JP2020063348A - トナー用結着樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐久性に優れるトナー用結着樹脂、電子写真用トナー、及び電子写真用トナーの製造方法等に関する。【解決手段】〔1〕炭素数2以上14以下のα,ω−脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、炭素数4以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分と、シリコーンとの反応物であり、前記シリコーンは、アミノ基、カルボキシ基、エポキシ基、及びカルビノール基から選ばれる少なくとも1種を有するシリコーンである、トナー用結着樹脂、〔2〕前記〔1〕に記載のトナー用結着樹脂を含有する、電子写真用トナー、及び〔3〕工程1:前記〔1〕に記載の結着樹脂を含むトナー原料を溶融混練する工程、及び工程2:工程1で得られた溶融混練物を粉砕、分級しトナー粒子を得る工程を含む、電子写真用トナーの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナー用結着樹脂、電子写真用トナー、及び電子写真用トナーの製造方法等に関する。
電子写真の分野においては、電子写真システムの発展に伴い、高画質化及び高速化に対応した電子写真用トナーの開発が求められている。
特許文献1には、有機溶剤に可溶なトナー用樹脂であって、芳香環を有するジオールとヒドロキシカルボン酸とから得られるポリヒドロキシカルボン酸骨格を有するオリゴマー及びソフトセグメントを材料とし、伸長剤を用いて伸長反応させたものであることを特徴とするトナー用樹脂が記載されている。また、前記ソフトセグメントが、脂肪族系エステル、脂肪族系エーテル、脂肪族系シリコーン又は炭素数5以上の脂肪族系直鎖ジオールからなること、及び、前記ソフトセグメントが、ポリカプロラクトン、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、又は両末端カルビノール変性シリコーンであることを特徴とするトナー用樹脂が記載されている。当該トナーによれば、耐熱保存性を確保しつつ低温定着性にも優れ、長期撹拌における帯電安定性及び温度・湿度等の使用環境の変化に対する帯電安定性が良好であると記載されている。
特開2012−242448号公報
特許文献1のトナーによれば、電子写真システムの発展に伴い、より優れた低温定着性が求められる。
しかし、このトナーの低温定着性を高めると、耐ホットオフセット性が低下することがあった。更に、トナーの低温定着性を高めることで、トナーの耐久性が低下し、感光体にトナーが付着することがあった。
本発明の一実施形態は、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐久性に優れるトナー用結着樹脂、電子写真用トナー、及び電子写真用トナーの製造方法等に関する。
本発明の一実施形態は、以下の〔1〕〜〔3〕に関する。
〔1〕炭素数2以上14以下のα,ω−脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、炭素数4以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分と、シリコーンとの反応物であり、
前記シリコーンは、アミノ基、カルボキシ基、エポキシ基、及びカルビノール基から選ばれる少なくとも1種を有するシリコーンである、トナー用結着樹脂。
〔2〕前記〔1〕に記載のトナー用結着樹脂を含有する、電子写真用トナー。
〔3〕工程1:前記〔1〕に記載の結着樹脂を含むトナー原料を溶融混練する工程、及び
工程2:工程1で得られた溶融混練物を粉砕、分級しトナー粒子を得る工程
を含む、電子写真用トナーの製造方法。
本発明の一実施形態によれば、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐久性に優れるトナー用結着樹脂、電子写真用トナー、及び電子写真用トナーの製造方法を提供することができる。
[トナー用結着樹脂]
本発明の一実施形態のトナー用結着樹脂(以下、単に「樹脂(C)」ともいう)は、炭素数2以上14以下のα,ω−脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、炭素数4以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分と、シリコーンとの反応物である。
そして、シリコーンは、アミノ基、カルボキシ基、エポキシ基、及びカルビノール基から選ばれる少なくとも1種を有するシリコーンである
以上の構成を有する結着樹脂によれば、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐久性に優れるトナー用結着樹脂、電子写真用トナー、及び電子写真用トナーの製造方法を提供することができる。
このような効果が得られる理由は、定かではないが以下のように考えられる。
所定のα,ω−脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、所定の脂肪族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分と、シリコーンとの反応物である結着樹脂を用いることで、画像の定着時に離型効果を発揮すると考えられる。このことで低温定着性及び耐ホットオフセット性が向上する。
また、結着樹脂に含まれるアルコール成分及びカルボン酸成分が疎水的なため、トナー中に含まれる他の結着樹脂よりもシリコーンとの反応性が良好になる。そして、結着樹脂全体が、より疎水的になっている。このことでトナー中に含まれる他の結着樹脂と相分離し、本発明の結着樹脂は表面に存在しやすくなっている。一般的に、結着樹脂が表面に存在すると基本的に耐久性などのトナー評価に悪影響を与えるが、シリコーン部分が衝撃吸収の役割を担うため、耐久性が向上するようになると考えられる。
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
樹脂が結晶性であるか非晶性であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、後述する実施例に記載の測定方法における、樹脂の軟化点と吸熱の最高ピーク温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最高ピーク温度(℃))で定義される。結晶性樹脂とは、結晶性指数が0.6以上1.4未満、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上であり、そして、好ましくは1.2以下の樹脂である。非晶性樹脂とは、結晶性指数が1.4以上、又は0.6未満、好ましくは1.5以上、又は0.5以下、より好ましくは1.6以上、又は0.5以下の樹脂である。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。結晶性指数は、実施例に記載の樹脂の軟化点と吸熱の最高ピーク温度の測定方法により得られた値から算出することができる。
明細書中、カルボン酸化合物とは、そのカルボン酸のみならず、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び各カルボン酸のアルキルエステル(アルキル基の炭素数1以上3以下)も含まれる意味である。
ビスフェノールAは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。
明細書中、単に「結着樹脂」とは、樹脂(A)、樹脂(B)及び樹脂(C)を含むトナー中に含まれる樹脂成分を意味する。
<樹脂(C)>
樹脂(C)中の反応物は、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐久性に優れる電子写真用トナーを得る観点から、炭素数2以上14以下のα,ω−脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、炭素数4以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分と、所定のシリコーンとの反応物である。
当該所定のシリコーンは、アミノ基、カルボキシ基、エポキシ基、及びカルビノール基から選ばれる少なくとも1種を有するシリコーンである。
樹脂(C)は、好ましくは結晶性である。
以下、樹脂(C)の各成分について説明する。
〔アルコール成分〕
アルコール成分は、炭素数2以上14以下のα,ω−脂肪族ジオールを含む。
α,ω−脂肪族ジオールは、好ましくはα,ω−直鎖脂肪族ジオールである。
α,ω−脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下であり、そして、更に好ましくは10である。
α,ω−脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオールが挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、又は1,10−デカンジオールが好ましく、1,10−デカンジオールがより好ましい。
α,ω−脂肪族ジオールの量は、アルコール成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
アルコール成分は、α,ω−脂肪族ジオールとは異なる他のアルコール成分を含有していてもよい。他のアルコール成分としては、例えば、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のα,ω−脂肪族ジオール以外の脂肪族ジオール;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。これらのアルコール成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
〔カルボン酸成分〕
カルボン酸成分は、炭素数4以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含む。
脂肪族ジカルボン酸化合物は、好ましくは直鎖脂肪族ジカルボン酸化合物である。
脂肪族ジカルボン酸化合物の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは12以下である。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、例えば、フマル酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸が挙げられる。これらの中でも、セバシン酸、ドデカン二酸、又はテトラデカン二酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。これらのカルボン酸成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
脂肪族ジカルボン酸化合物の量は、カルボン酸成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
カルボン酸成分は、脂肪族ジカルボン酸化合物とは異なる他のカルボン酸成分を含有していてもよい。他のカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、等の芳香族ジカルボン酸化合物;3価以上の多価カルボン酸化合物が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルコール成分の水酸基に対するカルボン酸成分のカルボキシ基の当量比(COOH基/OH基)は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下である。
〔シリコーン〕
樹脂(C)に用いられるシリコーンは、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐久性に優れる電子写真用トナーを得る観点から、アミノ基、カルボキシ基、エポキシ基、及びカルビノール基から選ばれる少なくとも1種を有するシリコーンである。
シリコーンは、より具体的には、好ましくは、式(1):

〔式中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1以上5以下の炭化水素基であり、R’はそれぞれ独立に、炭素数1以上5以下のアルキレン基であり、aは1又は0であり、Xは、それぞれ独立に、アミノ基、カルボキシ基、エポキシ基、又はヒドロキシ基であり、*は結合部位である。〕で表される繰り返し単位、及び、式(2):

〔式中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1以上5以下の炭化水素基であり、*は結合部位である。〕で表される繰り返し単位を有する。
なお、シリコーンの末端は、式(3):

〔式中、R’’は、炭素数1以上10以下の炭化水素基であり、*は結合部位である。〕で表される基であってもよい。
Rの炭化水素基の炭素数は、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、更に好ましくは1である。
Rの炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。
R’のアルキレン基の炭素数は、10以下、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、更に好ましくは1である。
R’のアルキレン基としては、例えば、メタンジイル基、エタン−1,2−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、n−プロパン−1,3−ジイル基、n−プロパン−1,2−ジイル基、2−メチルエタン−1,2−ジイル基、1,4−n−ブチル基、1,2−tert−ブチル基、1,5−ペンチル基が挙げられる。これらの中でも、メタンジイル基が好ましい。
R’’の炭化水素基の炭素数は、10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下、更に好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、更に好ましくは1である。
R’’の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ベンジル基が挙げられる。
シリコーンの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは600以上、より好ましくは800以上、更に好ましくは1,000以上であり、そして、好ましくは20,000以下、より好ましくは10,000以下、更に好ましくは7,000以下、更に好ましくは6,000以下、更に好ましくは5,000以下、更に好ましくは4,000以下である。
シリコーンの数平均分子量(Mn)は、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、更に好ましくは800以上であり、そして、好ましくは10,000以下、より好ましくは8,000以下、更に好ましくは6,000以下、更に好ましくは4,000以下、更に好ましくは3,000以下である。
シリコーンの動粘度は、25℃において、好ましくは10mm/s以上、より好ましくは100mm/s以上、更に好ましくは1,000mm/s以上であり、そして、好ましくは4,000mm/s以下、より好ましくは3,000mm/s以下、更に好ましくは2,500mm/s以下である。
シリコーンの動粘度は、全自動微量動粘度計(ビスコテック株式会社製)を用い、25℃における動粘度を測定する。
シリコーンの官能基当量は、好ましくは300g/mol以上、より好ましくは500g/mol以上、更に好ましくは1,000g/mol以上、更に好ましくは2,000g/mol以上であり、そして、好ましくは6,000g/mol以下、より好ましくは5,000g/mol以下、更に好ましくは4,000g/mol以下である。
なお、官能基当量とは、官能基1モルあたりのシリコーンの質量を意味する。
上述のシリコーンとしては、例えば、アミノ基を側鎖に有する変性シリコーン(市販品としては、例えば、「KF−864」(信越化学工業株式会社製))、カルボキシ基を側鎖に有する変性シリコーン(市販品としては、例えば、「X−22−162C」、「X−22−3701E」(信越化学工業株式会社製))、「BY16−880」(東レ・ダウコーニング株式会社製)、エポキシ基を側鎖に有する変性シリコーン(市販品としては、「X−22−343」(信越化学工業株式会社製))、ヒドロキシ基を側鎖に有する変性シリコーン(市販品としては、「X−22−4039」(信越化学工業株式会社製))が挙げられる。
樹脂(C)中、シリコーンの質量比は、アルコール成分、カルボン酸成分及びシリコーンの合計量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下である。
シリコーンは、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐久性に優れる電子写真用トナーを得る観点から、好ましくは、アミノ基を側鎖に有するシリコーン(a)(以下、単に「シリコーン(a)」ともいう)である。
つまり、シリコーン(a)は、好ましくは、式(1a):

〔式中、R、R’、a、及び*は、前述の式(1)と同定義である。〕で表される繰り返し単位、及び、式(2):

〔式中、R、及び*は、前述の式(2)と同定義である。〕で表される繰り返し単位を有する。
式(1a)中、*−(R’)―NHで表される基は、例えば、下記の置換基1a−1〜1a−3が挙げられる。
なお、シリコーン(a)の末端は、式(3):

〔式中、R’’、及び*は、前述の式(3)と同定義である。〕で表される基であってもよい。
シリコーン(a)としては、例えば、アミノ基を側鎖に有する変性シリコーン(市販品としては、例えば「KF−864」(信越化学工業株式会社製))が挙げられる。
樹脂(C)に用いられるシリコーンは、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐久性に優れる電子写真用トナーを得る観点から、カルボキシ基、エポキシ基、及びカルビノール基から選ばれる少なくとも1種を片末端に又は両末端に有するシリコーン(b)である。
シリコーンは、より具体的には、好ましくは、式(2):

〔式中、R、及び*は、前述の式(1)と同定義である。〕で表される繰り返し単位を有し、
片末端又は両末端に、式(4):

〔式中、R’’’は、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下のアルキレン基であり、
X’は、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキルオキシ基、カルボキシ基、カルボキシアルキルオキシ基、グリシジル基、又はグリシジルオキシ基であり、
*は結合部位である。〕で表される基を有する。
なお、片末端が、式(4)で表される基である場合、他方の末端は、式(3):

〔式中、R’’、及び*は、前述の式(3)と同定義である。〕で表される基であってもよい。
R’’’のアルキレン基の炭素数は、10以下、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、更に好ましくは1である。
R’’’のアルキレン基としては、例えば、メタンジイル基、エタン−1,2−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、n−プロパン−1,3−ジイル基、n−プロパン−1,2−ジイル基、2−メチルエタン−1,2−ジイル基、1,4−n−ブチル基、1,2−tert−ブチル基、1,5−ペンチル基が挙げられる。これらの中でも、メタンジイル基が好ましい。
式(4)で表される基は、X’がヒドロキシ基、又はヒドロキシアルキルオキシ基である場合、例えば、下記の置換基4−1〜4−3が挙げられる。これらの中でも、置換基4−1又は置換基4−2が好ましく、置換基4−1がより好ましい。
式(4)で表される基は、X’がグリシジル基、又はグリシジルオキシ基である場合、例えば、下記の置換基4−10〜4−12挙げられる。これらの中でも、置換基4−10が好ましい。
式(4)で表される基は、X’が、カルボキシ基、又はカルボキシアルキルオキシ基である場合、例えば、下記の置換基4−20が挙げられる。
シリコーン(b)としては、例えば、両末端カルビノール変性シリコーン(市販品としては、例えば「X−22−160AS」、「KF−6000」、「KF−6001」、「KF−6002」、「KF−6003」(以上、信越化学工業株式会社製))、片末端カルビノール変性シリコーン(市販品としては、例えば「X−22−170BX」、「X−22−170DX」、「X−22−176DX」、「X−22−176GX−A」(以上、信越化学工業株式会社製))、両末端エポキシ変性シリコーン(市販品としては、「KF−105」、「X−22−163A」、「X−22−163B」、「X−22−163C」、「X−22−169AS」、「X−22−169B」(以上、信越化学工業株式会社製))、片末端エポキシ変性シリコーン(市販品としては、「X−22−173BX」、「X−22−173DX」(以上、信越化学工業株式会社製))、両末端カルボキシ変性シリコーン(市販品としては、「X−22−162C」(信越化学工業株式会社製))が挙げられる。
〔樹脂(C)の物性〕
樹脂(C)の酸価は、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上、更に好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下である。
樹脂(C)の水酸基価は、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上、更に好ましくは7mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下である。
樹脂(C)の軟化点は、耐ホットオフセット性及び耐久性をより向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下、更に好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下である。
樹脂(C)の融点は、耐ホットオフセット性及び耐久性をより向上させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、更に好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
樹脂(C)の数平均分子量は、優れた耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは2,000以上、更に好ましくは3,000以上、更に好ましくは4,000以上であり、そして、優れた低温定着性の観点から、好ましくは10,000以下、より好ましくは8,000以下、更に好ましくは6,000以下、更に好ましくは5,000以下である。
樹脂(C)の酸価、軟化点、ガラス転移温度、及び数平均分子量は、原料モノマーの種類及びその使用量、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができ、また、それらの値は、実施例に記載の方法により求められる。
〔樹脂(C)の製造方法〕
樹脂(C)は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とシリコーンとを反応させることで得られる。当該反応においては、必要に応じて、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)、酸化ジブチル錫、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のエステル化触媒をアルコール成分及びカルボン酸成分の合計量100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下;没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸と同じ。)等のエステル化助触媒をアルコール成分及びカルボン酸成分の合計量100質量部に対し0.001質量部以上0.5質量部以下用いて反応させてもよい。
反応の温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下である。
なお、反応は、不活性ガス雰囲気中にて行ってもよい。
[電子写真用トナー]
本発明において用いられるトナーは、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐久性に優れるトナーを得る観点から、樹脂(C)を含有する。
トナーは、例えば、トナー粒子及び外添剤を含む。
〔トナー粒子〕
トナー粒子は、好ましくは樹脂(C)を含む。
トナー粒子は、低温定着性及び耐ホットオフセット性のいずれかをより向上させる観点から、好ましくは、樹脂(A)と、樹脂(A)の軟化点と5℃以上異なる軟化点を有する樹脂(B)を更に含有する。
トナー粒子は、その他、ワックス、荷電制御剤、着色剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を含有していてもよい。
樹脂(C)の含有量は、トナーの低温定着性、及び耐ホットオフセットをより向上させる観点から、トナーの結着樹脂中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3量%以上、更に好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
<樹脂(A)>
トナー中には、樹脂(A)が含まれていてもよい。
樹脂(A)は、好ましくは非晶性樹脂である。
樹脂(A)は、例えば、アルコール成分と、カルボン酸成分の重縮合物であるポリエステル樹脂である。
以下、樹脂(A)の各成分について説明する。
〔アルコール成分〕
アルコール成分は、2価以上のアルコールを含む。
2価以上のアルコールの含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下である。
2価以上のアルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、直鎖又は分岐の脂肪族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコールが挙げられる。これらの中でも、芳香族ジオール、又は、直鎖若しくは分岐の脂肪族ジオールが好ましく、芳香族ジオールがより好ましい。
芳香族ジオールは、好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であり、より好ましくは式(I):

(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、R及びRはそれぞれ独立にエチレン基又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。これらの中でも、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、及びビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の組合せが好ましい。
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とのモル比(ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物/ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物)は、好ましくは10/90以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは20/80以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは70/30以下、更に好ましくは50/50以下である。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジオールとしては、第2級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールが好ましい。
第2級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは3以上4以下である。
第2級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールとしては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールが挙げられる。
第2級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
その他の直鎖又は分岐の脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8‐オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが挙げられる。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA[2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン]、水素添加ビスフェノールAの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数2以上12以下)付加物が挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールが挙げられる。
これらアルコール成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
〔カルボン酸成分〕
カルボン酸成分は、2価以上のカルボン酸化合物を含む。
2価以上のカルボン酸化合物の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下である。
2価以上のカルボン酸化合物としては、例えば、芳香族ジカルボン酸化合物、直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸化合物、脂環式ジカルボン酸化合物、3価以上の多価カルボン酸化合物が挙げられる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸化合物が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。これらの中でも、イソフタル酸、又はテレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは16以下である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸、又は、これらの無水物若しくは炭素数1以上3以下のアルキルエステルが挙げられる。
炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸としては、例えば、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸が挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸、又はこれらの無水物が好ましい。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは2モル%以上、より好ましくは3モル%以上、更に好ましくは5モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下である。
3価以上の多価カルボン酸としては、好ましくは3価のカルボン酸であり、例えばトリメリット酸又はその無水物が挙げられる。これらの中でもトリメリット酸又はその無水物が好ましい。
3価以上の多価カルボン酸を含む場合、3価以上の多価カルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは1モル%以上、より好ましくは2モル%以上、更に好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上、更に好ましくは15モル%以上、更に好ましくは20モル%以上であり、そして、好ましくは35モル%以下、より好ましくは30モル%以下である。
これらのカルボン酸成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
アルコール成分のヒドロキシ基に対するカルボン酸成分のカルボキシ基の当量比(COOH基/OH基)は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下である。
〔樹脂(A)の物性〕
樹脂(A)の酸価は、好ましくは0.1mgKOH/g以上、より好ましくは0.5mgKOH/g以上、更に好ましくは1mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以下、更に好ましくは5mgKOH/g以下である。
樹脂(A)の水酸基価は、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは20mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下、更に好ましくは40mgKOH/g以下、更に好ましくは35mgKOH/g以下である。
樹脂(A)の軟化点は、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは120℃以下、更に好ましくは115℃以下、更に好ましくは110℃以下である。
樹脂(A)のガラス転移温度は、耐ホットオフセット性及び耐久性をより向上させる観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは48℃以上、更に好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは63℃以下である。
樹脂(A)の数平均分子量は、優れた耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは1,500以上、更に好ましくは2,000以上、更に好ましくは2,500以上であり、そして、優れた低温定着性の観点から、好ましくは10,000以下、より好ましくは8,000以下、更に好ましくは6,000以下、更に好ましくは4,000以下、更に好ましくは3,500以下である。
樹脂(A)の酸価、軟化点、ガラス転移温度、及び数平均分子量は、原料モノマーの種類及びその使用量、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができ、また、それらの値は、実施例に記載の方法により求められる。
なお、反応物を2種以上組み合わせて使用する場合は、それらの混合物として得られた酸価、水酸基価、軟化点、ガラス転移温度の値がそれぞれ前述の範囲内であることが好ましい。
〔樹脂(A)の製造方法〕
樹脂(A)は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを反応させることで得られる。当該反応においては、必要に応じて、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)、酸化ジブチル錫、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のエステル化触媒をアルコール成分及びカルボン酸成分の合計量100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下;没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸と同じ。)等のエステル化助触媒をアルコール成分及びカルボン酸成分の合計量100質量部に対し0.001質量部以上0.5質量部以下用いて反応させてもよい。
反応の温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下である。
なお、反応は、不活性ガス雰囲気中にて行ってもよい。
樹脂(A)の含有量は、トナーの低温定着性、及び耐ホットオフセットをより向上させる観点から、トナーの結着樹脂中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、100質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
<樹脂(B)>
トナー中には、樹脂(B)が含まれていてもよい。
樹脂(B)は、樹脂(A)の軟化点と5℃以上異なる軟化点を有する。樹脂(B)は、好ましくは樹脂(A)の軟化点よりも5℃以上高い軟化点を有し、より好ましくは樹脂(A)の軟化点よりも10℃以上高い軟化点を有し、更に好ましくは樹脂(A)の軟化点よりも15℃以上高い軟化点を有する。
樹脂(B)は、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。
樹脂(B)は、好ましくは非晶性である。
アルコール成分及びカルボン酸成分は、前述の樹脂(A)で例示したとおりである。
〔樹脂(B)の物性〕
樹脂(B)の酸価は、好ましくは0.1mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上、更に好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは35mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは23mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下である。
樹脂(B)の水酸基価は、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは20mgKOH/g以上、更に好ましくは30mgKOH/g以上、更に好ましくは35mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下、更に好ましくは40mgKOH/g以下である。
樹脂(B)の軟化点は、耐ホットオフセット性及び耐久性をより向上させる観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
樹脂(B)のガラス転移温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは63℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
樹脂(B)の数平均分子量は、優れた耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは2,000以上、更に好ましくは3,000以上、更に好ましくは3,500以上であり、そして、優れた低温定着性の観点から、好ましくは10,000以下、より好ましくは8,000以下、更に好ましくは6,000以下、更に好ましくは4,000以下である。
樹脂(B)の酸価、水酸基価、軟化点、ガラス転移温度、及び数平均分子量は、原料モノマーの種類及びその使用量、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができ、また、それらの値は、実施例に記載の方法により求められる。
樹脂(B)は、例えば、アルコール成分及びカルボン酸成分の重縮合により得られる。重縮合の条件は、例えば、前述の樹脂(A)の製造方法で示した反応条件を適用することができる。
樹脂(B)を含有する場合、樹脂(A)と樹脂(B)との質量比率[樹脂(A)/樹脂(B)]は、低温定着性、及び耐ホットオフセット性を向上させる観点から、好ましくは20/80以上、より好ましくは30/70以上、更に好ましくは40/60以上、更に好ましくは50/50以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下である。
樹脂(B)を含有する場合、樹脂(B)の含有量は、トナーの結着樹脂中、低温定着性、及び耐ホットオフセット性を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
<ワックス>
ワックスとしては、例えば、炭化水素ワックス、エステルワックス、シリコーンワックス、脂肪酸アミドワックスが挙げられる。
炭化水素ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物又は石油系炭化水素ワックス;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス等のポリオレフィンワックス等の合成炭化水素ワックスが挙げられる。
エステルワックスとしては、例えば、モンタンワックス等の鉱物又は石油系エステルワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の植物系エステルワックス;ミツロウ等の動物系エステルワックスが挙げられる。
脂肪酸アミドワックスとしては、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミドが挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
これらの中でも、炭化水素ワックス又はエステルワックスが好ましく、エステルワックスがより好ましく、カルナウバワックスが更に好ましい。
ワックスの融点は、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
なお、ワックスを2種以上組み合わせて使用する場合は、それぞれのワックスの融点が、前述の範囲内であることが好ましい。
ワックスの含有量は、トナー中の結着樹脂100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以下であり、そして、好ましくは0以上である。
<荷電制御剤>
荷電制御剤は、正帯電性荷電制御剤、負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN−01」、「ボントロンN−04」、「ボントロンN−07」、「ボントロンN−09」、「ボントロンN―11」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP−51」(オリヱント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP−B」(オリヱント化学工業株式会社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ−2001」、「PLZ−8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA−701PT」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS−31」、「ボントロンS−32」、「ボントロンS−34」、「ボントロンS−36」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T−77」(保土谷化学工業株式会社製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR−147」、「LR−297」(以上、日本カーリット株式会社製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE−81」、「ボントロンE−84」、「ボントロンE−88」、「ボントロンE−304」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、「TN−105」(保土谷化学工業株式会社製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の中でも、負帯電性荷電制御剤が好ましく、ベンジル酸化合物の金属化合物がより好ましい。
荷電制御剤の含有量は、トナー中の結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
<着色剤>
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、その他のカラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、トナーの画像濃度を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
[トナーの製造方法]
トナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法、乳化凝集法等の公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。
溶融混練法による粉砕トナーの場合、トナーの製造方法は、好ましくは
工程1:樹脂(C)を含むトナー原料を溶融混練する工程、及び
工程2:工程1で得られた溶融混練物を粉砕、分級しトナー粒子を得る工程
を含む。
工程1では、例えば、樹脂(C)、樹脂(A)、樹脂(B)、ワックス、荷電制御剤、着色剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸又は2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練することができる。
工程1では、好ましくは、上記のトナー原料を含有する混合物を80℃以上160℃以下の範囲内の温度で溶融混練してもよい。溶融混練温度は、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である。
工程1では、溶融混練後の溶融混練物を冷却し、次の工程に供してもよい。
工程2では、好ましくは、溶融混練により得られた溶融混練物を、粉砕及び分級しトナー粒子を得る工程を含む。当該粉砕及び分級は、公知の方法により行うことができる。
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は、高画質の画像を得る観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは9μm以下、更に好ましくは8μm以下である。
トナーは、流動化剤等を外添剤としてトナー粒子表面に添加処理されていることが好ましい。
外添剤としては、例えば、疎水性シリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化セリウム、カーボンブラック等の無機材料微粒子、及びポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子が挙げられる。これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
外添剤を用いる場合、外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる。トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
[測定方法]
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT−500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の融点及びガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで、試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定する。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度とする。結晶性樹脂の場合には、該ピーク温度を融点とする。
また、非晶性樹脂の場合に、ピークが観測される時はそのピークの温度を、ピークが観測されずに段差が観測される時は該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の低温側のベースラインの延長線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価及び水酸基価〕
樹脂の酸価及び水酸基価は、JIS K 0070:1992に記載の中和滴定法に従って測定する。
ただし、酸価の測定は、測定溶媒をクロロホルムとした。そして、水酸基価の測定は、テトラヒドロフランとする。
〔樹脂の数平均分子量〕
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフランに、25℃で溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「DISMIC−25JP」(アドバンテック東洋株式会社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン「A−500(5.0×102)」、「A−1000」(1.01×103)、「A−2500」(2.63×103)、「A−5000」(5.97×103)、「F−1」(1.02×104)、「F−2」(1.81×104)、「F−4」(3.97×104)、「F−10」(9.64×104)、「F−20」(1.90×105)、「F−40」(4.27×105)、「F−80」(7.06×105)、「F−128」(1.09×106)(以上、東ソー株式会社製)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:「HLC−8220GPC」(東ソー株式会社製)
分析カラム:「GMHXL+G3000HXL」(東ソー株式会社製)
〔外添剤の平均粒子径〕
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、外添剤の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から測定した、500個の粒子の粒径の数平均値とする。長径と短径がある場合、粒子の粒径は、長径を指す。
〔トナー粒子の体積中位粒径〕
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は、以下の条件で測定する。
測定機:「コールターマルチサイザーII」(ベックマン・コールター株式会社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:「コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19」(ベックマン・コールター株式会社製)
電解液:「アイソトンII」(ベックマン・コールター株式会社製)
分散液:電解液に界面活性剤「エマルゲン109P」(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
[評価方法]
〔低温定着性及び耐ホットオフセット性〕
未定着画像を取れるように改造した、プリンター「Microline(登録商標)5400」(株式会社沖データ製)にトナーを充填し、2cm角のベタ画像の未定着画像を印刷した。「OKI MICROLINE 3010」(株式会社沖データ製)を改造した外部定着装置を使用して、定着ロールの回転速度180mm/secにて、定着ロールの温度を100℃から230℃まで5℃ずつ上昇させながら、各温度でこの未定着画像の定着処理を行い、定着画像を得た。
各定着温度で得られた画像を目視で観察し、ホットオフセットの有無を確認した。ホットオフセットが発生する最低の定着温度より5℃低い温度を、耐ホットオフセット性の指標とした。値が大きいほど耐ホットオフセット性に優れる。
各定着温度で得られた画像を、400gの荷重をかけた砂消しゴム「ER−502R」(株式会社ライオン事務器製)で5往復擦り、擦り前後の画像濃度を画像濃度測定器「Gretag SPM50」(グレタグマクベス社製)を用いて測定し、擦り前後の画像濃度比率([擦り後の画像濃度/擦り前の画像濃度]×100)が最初に90%を超える温度を最低定着温度とし、低温定着性の指標とした。値が小さいほど低温定着性に優れる。
〔耐久性〕
複写機「AR−505」(シャープ株式会社製)の改造機(印刷速度:120ppm、解像度:600dpi、現像システム:1本マグネットロール、有機感光体、反転現像、接触現像方式、定着温度:170℃)に、二成分現像剤を実装し、網点面積率20%のプリントパターンの印刷のA4サイズ(210mm×297mm)のカット紙への印刷を連続50万枚行った。なお、連続印刷における現像剤の補給には最初に実装したのと同じ現像剤を用いた。以下の方法に従って、耐久性を測定した。
連続印刷において、トナーが感光体にフィルミングした結果、印刷されたベタ部に白斑が生じた枚数をフィルミング発生枚数とし、耐久性を評価した。
[樹脂の製造]
製造例A1(樹脂A−1)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した内容積10Lの四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(2.2)付加物1413g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(2.2)付加物4156g、テレフタル酸2430g、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)40gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、235℃で6時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、非晶性樹脂A−1を得た。物性を表1に示す。
製造例A2(樹脂A−2)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した内容積10Lの四つ口フラスコの内部を窒素置換し、1,2−プロパンジオール2758g、テレフタル酸5242g、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)40gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、180℃から220℃まで6時間かけて段階昇温を行った。その後、8.0kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、非晶性樹脂A−2を得た。物性を表1に示す。
製造例B1(樹脂B−1)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した内容積10Lの四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(2.2)付加物2890g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(2.2)付加物2684g、テレフタル酸1563g、ドデセニル無水コハク酸210g、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)24gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、235℃で6時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて1時間保持した。その後、大気圧に戻した後、220℃まで冷却し、トリメリット酸無水物653gを加え、220℃で0.5時間反応させ、その後、フラスコ内の圧力を下げ、20kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、非晶性樹脂B−1を得た。物性を表1に示す。
製造例A81〔樹脂A−81〕
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した内容積10Lの四つ口フラスコの内部を窒素置換し、L−ラクチド70質量部(5091g)、D−ラクチド10質量部(2182g)、ビス(2−ヒドロキシプロピル)テレフタレート(BHPT)10質量部(727g)を投入し、内温を徐々に昇温し減圧条件下で脱水処理を行った。次いで、Nパージ下で更に昇温し、目視で系が均一化したことを確認した後、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)24gを系に投入して重合反応を行った。この際、系の内温が190℃を超えないように制御した。2時間の反応時間経過後、系を再び流出ラインに切り替え、減圧条件下で未反応のラクチドを除去し、重合反応を完結させ、樹脂オリゴマーを得た。その後、フラスコ中に、樹脂オリゴマーを100質量部(5882g)、シリコーン「X22-160AS」(信越化学工業株式会社製)を10質量部(588g)投入し、内温を徐々に昇温した。系の均一化を確認した後、減圧下で脱水処理を行った。次いで更に昇温し、170℃においてジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)24gを系に投入した後、伸長剤〔イソホロンジイソシアネート(IPDI)〕9質量部(529g)を徐々に加えて伸長反応を行い樹脂A−81を得た。物性を表1に示す。
表中、使用した各種シリコーンは、以下のとおりである。
X−22−160AS:ポリアルキルシロキサン「X−22−160AS」(信越化学工業株式会社製、カルビノール基を末端に有するシリコーン、粘度(25℃):35mm/s、官能基当量:470g/mol)
製造例C1(樹脂C−1)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した内容積10Lの四つ口フラスコの内部を窒素置換し、1,10−デカンジオール3702g、セバシン酸4298g、シリコーン「KF−864」(信越化学工業株式会社製)362gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、140℃に昇温し、1時間保持した。その後、10℃/時間で昇温し、200℃到達後、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)24gを入れ、1時間保持した。保持後、フラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて所望の酸価まで反応を行って、結晶性樹脂C−1を得た。物性を表に示す。
製造例C2〜C3、C11〜C13,C81(樹脂C−2〜C−3、C−11〜C−13、C−81)
原料組成を表に示すように変更した以外は製造例C1と同様にして、結晶性樹脂C−2〜C−3、C−11〜C−13、C−81を得た。物性を表に示す。
製造例C4(樹脂C−4)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した内容積10Lの四つ口フラスコの内部を窒素置換し、1,10−デカンジオール3702g、セバシン酸4298g、シリコーン「X−22−162C」(信越化学工業株式会社製)362gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、140℃に昇温し、1時間保持した。その後、10℃/時間で昇温し、200℃到達後、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)24gを入れ、1時間保持した。保持後、フラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて所望の酸価まで反応を行って、結晶性樹脂C−4を得た。物性を表に示す。
製造例C5〜C10、C82(樹脂C−5〜C−10、C−82)
原料組成を表に示すように変更した以外は製造例C4と同様にして、結晶性樹脂C−5〜C−10、C−82を得た。物性を表に示す。
表中、使用した各種シリコーンは、以下のとおりである。
KF−864:変性シリコーン「KF−864」(信越化学工業株式会社製、アミノ基を側鎖に有するシリコーン[前述のシリコーン(a)]、粘度(25℃):1,700mm/s、官能基当量:3,800g/mol)
X−22−162C:変性シリコーンオイル「X−22−162C」(両末端にカルボキシ基を有するシリコーン[前述のシリコーン(b)(片末端が式(4)で表される基であり、当該基が、置換基4−20)]、動粘度(25℃)220mm/s、数平均分子量Mn2,600、重量平均分子量Mw7,800、官能基当量2,300g/mol、信越化学工業株式会社製)
BY16−750:変性シリコーンオイル「BY16−750」(両末端にカルボキシ基を有するシリコーン[前述のシリコーン(b)(両末端が式(4)で表される基であり、X’がカルボキシ基である)]、動粘度(25℃)170mm/s、数平均分子量Mn1,400、重量平均分子量Mw2,200、官能基当量750g/mol、東レ・ダウコーニング株式会社製)
KF−6000:変性シリコーンオイル「KF−6000」(両末端にカルビノール基を有するシリコーン[前述のシリコーン(b)(両末端が式(4)で表される基であり、当該基は、置換基4−1)]、動粘度(25℃)35mm/s、数平均分子量Mn1,000、重量平均分子量Mw1,400、官能基当量467g/mol、信越化学工業株式会社製)
X−22−173BX:変性シリコーンオイル「X−22−173BX」(片末端にグリシジル基を有するシリコーン[前述のシリコーン(b)(片末端のみが式(4)で表される基であり、当該基は、置換基4−10)]、動粘度(25℃)30mm/s、数平均分子量Mn1,900、重量平均分子量Mw3,300、官能基当量2,500g/mol、信越化学工業株式会社製)
X−22−3701E:シリコーン「X−22−3701E」(信越化学工業株式会社製、カルボキシ基を側鎖に有するシリコーン、粘度(25℃):2,000mm/s、官能基当量:4,000g/mol)
X−22−163C:変性シリコーンオイル「X−22−163C」(両末端にグリシジル基を有するシリコーン[前述のシリコーン(b)(両末端が式(4)で表される基であり、当該基は、置換基4−10)]、動粘度(25℃)120mm/s、数平均分子量Mn2,700、重量平均分子量Mw6,800、官能基当量2,700g/mol、信越化学工業株式会社製)
X−22−170BX:変性シリコーンオイル「X−22−170BX」(片末端にカルビノール基を有するシリコーン[前述のシリコーン(b)(片末端が式(4)で表される基であり、当該基は、置換基4−1)]、動粘度(25℃)40mm/s、数平均分子量Mn1,900、重量平均分子量Mw3,500、官能基当量20g/mol、信越化学工業株式会社製)
KF96−100cs:シリコーンオイル「KF96−100cs」(シリコーンオイル、動粘度(25℃)100mm/s、信越化学工業株式会社製)
[トナーの製造]
実施例1〔トナー1〕
非晶性樹脂A−1を60質量部、非晶性樹脂B−1を30質量部、結晶性樹脂C−1を10質量部、
負帯電性荷電制御剤「LR‐147」(日本カーリット株式会社製)1質量部、及び銅フタロシアニン顔料「ECB−301」(大日精化工業株式会社製)1質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて1分間混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
得られた原料混合物を、二軸混練機「PCM−30」(株式会社池貝製、軸の直径29mm、軸の断面積7.06cm)を使用して、混合物供給速度8kg/h、バレル設定温度100℃、回転数200r/min(周速0.30m/sec)の条件で溶融混練した。
得られた溶融混練物を、粉砕分級機「IDS−2/DS2型」(日本ニューマチック工業株式会社製)にて、混練物供給速度2.5kg/h、アッパーダンパ30°、CCリング30mm、OEリング20mm、ルーバー1.5mm、衝突板距離30mmの条件にて粉砕・分級を行い、体積中位粒径(D50)が7.0μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部と、外添剤として疎水性シリカ「R972」(日本アエロジル株式会社製、疎水化処理剤:DMDS、平均粒子径:16nm)0.5質量部、及び疎水性シリカ「RY−50」(日本アエロジル株式会社製、疎水化処理剤:シリコーンオイル、平均粒子径:40nm)1.0質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)にて3000r/min(周速度32m/sec)で3分間混合して、トナー1を得た。各種評価の結果を表3に示す。
実施例2〜14、比較例1〜3〔トナー2〜14、81〜83〕
樹脂を表3のように変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー2〜14、81〜83を得た。各種評価の結果を表3に示す。
以上、実施例及び比較例の結果から、本願発明によれば、低温定着性、耐ホットオフセット性及び耐久性に優れるトナーが得られることがわかる。

Claims (8)

  1. 炭素数2以上14以下のα,ω−脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、炭素数4以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分と、シリコーンとの反応物であり、
    前記シリコーンは、アミノ基、カルボキシ基、エポキシ基、及びカルビノール基から選ばれる少なくとも1種を有するシリコーンである、トナー用結着樹脂。
  2. 前記シリコーンは、式(1):

    〔式中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1以上5以下の炭化水素基であり、R’はそれぞれ独立に、炭素数1以上5以下のアルキレン基であり、aは1又は0であり、Xは、アミノ基、カルボキシ基、エポキシ基、又はヒドロキシ基であり、*は結合部位である。〕で表される繰り返し単位、及び、式(2):

    〔式中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1以上5以下の炭化水素基であり、*は結合部位である。〕で表される繰り返し単位を有する、請求項1に記載のトナー用結着樹脂。
  3. 前記シリコーンは、アミノ基を側鎖に有するシリコーンである、請求項1又は2に記載のトナー用結着樹脂。
  4. 前記シリコーンが、式(2):

    〔式中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1以上5以下の炭化水素基であり、*は結合部位である。〕で表される繰り返し単位を有し、
    片末端又は両末端に、式(4):

    〔式中、R’’’は、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下のアルキレン基であり、
    X’は、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキルオキシ基、カルボキシ基、カルボキシアルキルオキシ基、グリシジル基、又はグリシジルオキシ基であり、
    *は結合部位である。〕で表される基を有する、請求項1に記載の電子写真用トナー。
  5. 前記シリコーンは、カルボキシ基、エポキシ基、及びカルビノール基から選ばれる少なくとも1種を片末端に又は両末端に有するシリコーンである、請求項1に記載のトナー用結着樹脂。
  6. 前記シリコーンの質量比が、前記アルコール成分、前記カルボン酸成分及び前記シリコーンの合計量に対して、0.1質量%以上10質量%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のトナー用結着樹脂。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のトナー用結着樹脂を含有する、電子写真用トナー。
  8. 工程1:請求項1〜6のいずれかに記載の結着樹脂を含むトナー原料を溶融混練する工程、及び
    工程2:工程1で得られた溶融混練物を粉砕、分級しトナー粒子を得る工程
    を含む、電子写真用トナーの製造方法。
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