上方に大きな開口が設けられた箱体を組み立てる場合は、この箱体の開口を蓋部により閉じるときに、特許文献1等に開示されるような従来の箱組立装置では、蓋部が変形してしまうため、箱体の開口を蓋部により確実に閉じることができないという問題があった。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、上方に大きな開口が設けられた箱体を組み立てる場合に、この箱体の開口を蓋部により確実に閉じることができる蓋閉め機構、蓋閉め装置および蓋閉め方法を提供することを目的とする。
本発明の蓋閉め機構は、略直方体形状の箱体の開口を蓋部により閉じるための蓋閉め機構であって、前記蓋部のフラップを折り曲げるための折曲部材と、前記蓋部に当接する当接部分を有する押込部材と、前記折曲部材および前記押込部材を支持する支持部と、前記支持部を移動させる駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記折曲部材によって前記蓋部の前記フラップを折り曲げた後、前記折曲部材および前記押込部材を移動させることにより前記蓋部を移動させ、その後、前記押込部材によって前記蓋部を前記箱体の前記開口に押し込むよう前記駆動部を制御することを特徴とする。
このような蓋閉め機構によれば、上方に大きな開口が設けられた箱体を組み立てる場合に、この箱体の開口を蓋部により確実に閉じることができる。
本発明の蓋閉め機構においては、前記制御部は、前記折曲部材によって前記蓋部の前記フラップを折り曲げる前に、前記折曲部材を移動させることにより当該折曲部材によって前記箱体の側面に対して前記蓋部を折り曲げるよう前記駆動部を制御するようになっていてもよい。
また、前記折曲部材および前記押込部材を移動させることにより前記蓋部を移動させる際に、前記押込部材を前記箱体から遠ざかる方向に移動させるようになっていてもよい。
また、前記折曲部材および前記押込部材を移動させることにより前記蓋部を移動させる際に、前記蓋部における前記フラップの折り目部分を前記折曲部材と前記押込部材との間で挟むようになっていてもよい。
また、前記折曲部材によって前記蓋部の前記フラップを折り曲げる際に、前記フラップは前記箱体の外側で折り曲げられるようになっていてもよい。
この場合、前記折曲部材によって前記蓋部の前記フラップを折り曲げる際に、前記押込部材により前記蓋部が前記箱体の前記開口に向かって押圧されるようになっていてもよい。
また、前記制御部は、前記折曲部材および前記押込部材を移動させることにより前記蓋部を移動させた後、前記折曲部材により前記フラップの折り曲げ角度を変え、その後、前記押込部材を移動させることにより当該押込部材によって前記蓋部を前記箱体の前記開口に押し込むよう前記駆動部を制御するようになっていてもよい。
この場合、前記折曲部材により前記フラップの折り曲げ角度を変えることにより、前記フラップの先端部分が前記箱体の内側を向くようにしてもよい。
また、前記押込部材を移動させることにより当該押込部材によって前記蓋部を前記箱体の前記開口に押し込むときに、前記折曲部材が前記フラップに当接し続けることにより当該フラップの先端部分が前記箱体の内側を向く状態が維持されるようになっていてもよい。
また、前記制御部は、前記押込部材を移動させることにより当該押込部材によって前記蓋部を前記箱体の前記開口に押し込む直前に、前記折曲部材が前記フラップから離間する方向に移動するよう前記駆動部を制御するようになっていてもよい。
また、前記折曲部材は、一方向にのみ回転可能となるよう前記支持部により支持される回転体から構成されてもよい。
この場合、前記回転体の表面には、前記フラップとの間で摩擦力が働く摩擦部材が設けられていてもよい。
また、前記摩擦部材は弾性体であってもよい。
また、前記押込部材は、前記当接部分から突出する突出部分を有しており、前記押込部材を移動させることにより当該押込部材によって前記蓋部を前記箱体の前記開口に押し込むときに、前記突出部分により前記蓋部が前記箱体の前記開口に押し込まれるようになっていてもよい。
本発明の蓋閉め装置は、アーム部と、前記アーム部に取り付けられた、略直方体形状の箱体の開口を蓋部により閉じるための蓋閉め機構であって、前記蓋部のフラップを折り曲げる折曲部材および前記蓋部に当接する当接部分を有する押込部材を有する蓋閉め機構と、前記蓋閉め機構の前記折曲部材によって前記蓋部の前記フラップを折り曲げた後、前記折曲部材および前記押込部材を移動させることにより前記蓋部を移動させ、その後、前記押込部材によって前記蓋部を前記箱体の前記開口に押し込むよう前記アーム部を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
このような蓋閉め装置によれば、上方に大きな開口が設けられた箱体を組み立てる場合に、この箱体の開口を蓋部により確実に閉じることができる。
本発明の蓋閉め方法は、略直方体形状の箱体の開口を蓋部により閉じるための蓋閉め方法であって、折曲部材によって前記蓋部のフラップを折り曲げる工程と、前記折曲部材および押込部材を移動させることにより前記蓋部を移動させる工程と、前記押込部材によって前記蓋部を前記箱体の前記開口に押し込む工程と、を備えたことを特徴とする。
このような蓋閉め方法によれば、上方に大きな開口が設けられた箱体を組み立てる場合に、この箱体の開口を蓋部により確実に閉じることができる。
本発明の蓋閉め機構、蓋閉め装置および蓋閉め方法によれば、上方に大きな開口が設けられた箱体を組み立てる場合に、この箱体の開口を蓋部により確実に閉じることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図17は、本実施の形態による蓋閉め装置として用いられるロボットならびにこのロボットにより略直方体形状の箱体の開口を蓋部により閉じる動作を示す図である。
最初に、本実施の形態による蓋閉め装置として用いられるロボット10の概略的な構成について図1を用いて説明する。図1に示すように、ロボット10は、胴体部12と、胴体部12に設けられた左右一対のアーム部14、15と、左側のアーム部14に取り付けられた左ハンド機構100と、右側のアーム部15に取り付けられた右ハンド機構200と、ロボット10の各構成部材を制御する制御部16とを備えている。このようなロボット10は、上方に大きな開口が設けられた箱体50を組み立てるようになっている。より詳細には、ロボット10により組み立てられる箱体50は例えば紙等の材料から構成されており、当該箱体50は、左右一対の側方フラップ52と、蓋部54とを有している。また、図5等に示すように、蓋部54は蓋フラップ56を有しており、この蓋フラップ56は折り目部分58により折り曲げられるようになっている。このようなロボット10により箱体50が組み立てられる際に、左ハンド機構100により箱体50の左右一対の側方フラップ52が折り曲げられた後、右ハンド機構200により蓋部54の蓋フラップ56が折り目部分58により折り曲げられ、その後、右ハンド機構200により箱体50の開口が蓋部54により閉じられるようになっている。
次に、左ハンド機構100の構成の詳細について図2等を用いて説明する。図2等に示すように、左ハンド機構100は、左側のアーム部14に取り付けられるベース部102と、ベース部102に設けられた側方フラップ折り曲げ部110と、ベース部102に設けられた側方フラップ押さえ部120とを有している。より詳細には、側方フラップ折り曲げ部110は例えば樹脂ブロック等から構成されており、この側方フラップ折り曲げ部110の底部には、断面が略半円形状となるよう湾曲した湾曲面112が形成されている。箱体50の各側方フラップ52が湾曲面112に接触した状態で側方フラップ折り曲げ部110が下降することにより箱体50の各側方フラップ52が当該箱体50の側面51に対して折り曲げられるようになっている。また、図5等に示すように、側方フラップ折り曲げ部110の上面には接続部材114が取り付けられている。また、ベース部102には、接続部材114を昇降させるエアシリンダー130が取り付けられている。エアシリンダー130が接続部材114を昇降させることにより、側方フラップ折り曲げ部110をベース部102に近づく方向およびベース部102から遠ざかる方向にそれぞれ移動させることができるようになっている。
また、側方フラップ押さえ部120は例えば板金等から構成されており、この側方フラップ押さえ部120は水平方向に延びるようになっている。また、側方フラップ押さえ部120の端部には、鉛直方向に延びる垂れ下がり部121が設けられている。また、側方フラップ押さえ部120の上面には左右一対の接続部材122が取り付けられている。また、図5等に示すように、各接続部材122の上端は取付部材140にそれぞれ接続されており、この取付部材140は一対のバネ116によりベース部102に取り付けられている。このことにより、外部から側方フラップ押さえ部120に力が加えられてこの側方フラップ押さえ部120が押されると、各バネ116が収縮することにより側方フラップ押さえ部120に加えられる衝撃力を緩和することができるようになる。
次に、右ハンド機構200の構成の詳細について図2および図3等を用いて説明する。図2等に示すように、右ハンド機構200は、右側のアーム部15に取り付けられるベース部202と、ローラ210と、押込部材220とを有している。ローラ210の両端には左右一対のローラ保持部材212が設けられており、ローラ210は各ローラ保持部材212により回転自在となるよう支持されている。より詳細には、ローラ210と各ローラ保持部材212との間にはワンウェイクラッチ(図示せず)が設けられており、ローラ210は図12における反時計回りの方向のみに回転可能となるよう各ローラ保持部材212により支持されるようになっている。また、ローラ210の表面には、箱体50における蓋部54の蓋フラップ56との間で摩擦力が働く摩擦部材が設けられている。具体的には、ローラ210の表面に設けられる摩擦部材は、ウレタンゴム等の弾性体である。また、各ローラ保持部材212は支持部213に取り付けられており、この支持部213は左右一対のバネ214によりベース部202に取り付けられている。ここで、支持部213は例えば板金等が折り曲げられたものから構成されている。
また、図3等に示すように、支持部213には押込部材220が取り付けられている。押込部材220は例えば板金等が折り曲げられたものから構成されている。また、押込部材220の中央には、この押込部材220の底面から下方に突出する突出部分としてシリコン(登録商標)等の材料から構成されるパッド部材222が設けられている。具体的には、押込部材220の中央には貫通穴が形成されており、パッド部材222はこの貫通穴を通って押込部材220の底面から下方に突出するようになっている。
また、図3等に示すように、支持部213には取付部材230が取り付けられており、この取付部材230には被検知板232が取り付けられている。また、ベース部202には、被検知板232を検知するための検知センサ234が取り付けられている。検知センサ234は発光素子および受光素子を含むフォトインタラプタ等から構成されており、ローラ210や押込部材220が外部の部材に衝突してこれらのローラ210や押込部材220が押されることによりバネ214が収縮してベース部202と支持部213との間の距離が小さくなると、発光素子から発せられた光が被検知板232により遮られることによって受光素子により受けられなくなる。このことにより、検知センサ234は、ローラ210や押込部材220が外部の部材に衝突してこれらのローラ210や押込部材220が押されたことを検知する。
次に、本実施の形態のロボット10における左ハンド機構100および右ハンド機構200により組み立てられるべき箱体50を搬送する搬送コンベア20の構成について図2等を用いて説明する。搬送コンベア20は無端状の平ベルトを有しており、本実施の形態のロボット10における左ハンド機構100および右ハンド機構200により組み立てられるべき箱体50は、この平ベルト上で搬送されるようになっている。また、図2等に示すように、搬送コンベア20の上方には側面吸着パッド22が設けられており、左ハンド機構100により箱体50の側方フラップ52が折り曲げられる間に、この箱体50の側面51が側面吸着パッド22により吸着されるようになっている。このことにより、左ハンド機構100により箱体50の側方フラップ52が折り曲げられる間に箱体50が移動してしまうことを防止することができる。また、図2等に示すように、搬送コンベア20の側方には、図2等における箱体50の奥側の面をガイドするガイド部材30が設けられている。ガイド部材30は、搬送コンベア20の長手方向に沿って延びるようになっている。
また、搬送コンベア20における、左ハンド機構100により側方フラップ52が折り曲げられるときの箱体50の位置の近傍には、箱体50をガイド部材30に向かって押圧する押圧部材24が設けられている。また、押圧部材24には進退機構28が取り付けられており、この押圧部材24は進退機構28によりガイド部材30に向かう方向およびガイド部材30から遠ざかる方向の両方向に移動可能となっている。また、図9および図10に示すように、搬送コンベア20における、左ハンド機構100により側方フラップ52が折り曲げられるときの箱体50の位置の近傍には、搬送コンベア20上の箱体50を検知する一対の検知センサ26、27が搬送コンベア20を挟むよう配置されている。一対の検知センサ26、27のうち一方の検知センサ26は発光素子であり、他方の検知センサ27は受光素子である。そして、発光素子としての検知センサ26から発せられた光線が受光素子としての検知センサ27により受けられるようになっている。図9および図10において、発光素子としての検知センサ26から発せられた光線が受光素子としての検知センサ27により受けられる光線を二点鎖線で示す。また、発光素子としての検知センサ26から発せられた光線が、搬送コンベア20に載置された箱体50により遮られて受光素子としての検知センサ27により受けられなくなった場合に、搬送コンベア20に載置された箱体50が検知されるようになる。
また、搬送コンベア20における、右ハンド機構200により開口が蓋部54により閉じられるときの箱体50の位置の近傍には、箱体50をガイド部材30に向かって押圧する押圧部材32が設けられている。また、押圧部材32には進退機構34が取り付けられており、この押圧部材32は進退機構34によりガイド部材30に向かう方向およびガイド部材30から遠ざかる方向の両方向に移動可能となっている。
次に、このような構成からなるロボット10により箱体50を組み立てるときの動作について以下に説明する。なお、以下に示すような動作は、ロボット10の制御部16が左側のアーム部14、右側のアーム部15および左ハンド機構100のエアシリンダー130等を制御することにより行われるようになっている。
まず、図2に示すように、左右一対の側方フラップ52および蓋部54がそれぞれ側面51から上方を向くような箱体50が搬送コンベア20上で図2に示す位置に搬送される。そして、搬送コンベア20上で搬送される箱体50が一対の検知センサ26、27により検知されると、進退機構28により押圧部材24がガイド部材30に向かって移動させられ、この押圧部材24により箱体50がガイド部材30に向かって押圧される。また、箱体50の側面51が側面吸着パッド22により吸着される。このことにより、箱体50の位置が押圧部材24および側面吸着パッド22によって固定されるようになる。
次に、搬送コンベア20上で位置が固定された箱体50における左右一対の側方フラップ52が側面51に対して箱体50の開口に向かって折り曲げられる。具体的には、側方フラップ折り曲げ部110および側方フラップ押さえ部120が箱体50の各側方フラップ52の上方に位置しているような状態において、左側のアーム部14が左ハンド機構100を搬送コンベア20に向かって下方に押し下げる。このことにより、図5および図6に示すように、各側方フラップ52の上端縁が側方フラップ折り曲げ部110の湾曲面112に接触し、側方フラップ折り曲げ部110が下降するにつれて各側方フラップ52が側方フラップ折り曲げ部110の湾曲面112により箱体50の開口に向かって側面51に対して約40°〜50°程度折り曲げられる。ここで、側方フラップ折り曲げ部110の湾曲面112は、その断面が略半円形状となるよう湾曲しているため、各側方フラップ52をスムーズに側面51に対して箱体50の開口に向かって折り曲げることができる。また、側方フラップ押さえ部120も側方フラップ折り曲げ部110と一体的に下降するため、各側方フラップ52が側面51に対して箱体50の開口に向かって折り曲げられると、これらの各側方フラップ52の上端縁は側方フラップ押さえ部120の底面に接触するようになる。
その後、図6に示すように、側面吸着パッド22による箱体50の側面51の吸着が解除され、この側面吸着パッド22は箱体50の側面51から離間する。また、押圧部材24が進退機構28によりガイド部材30から遠ざかる方向に移動させられ、この押圧部材24は箱体50から離間する。そして、側面吸着パッド22および押圧部材24が箱体50から離間すると、図7に示すように、エアシリンダー130により側方フラップ折り曲げ部110が上昇させられる。このことにより、側方フラップ折り曲げ部110は箱体50から上方に離間するようになる。なお、この際に、箱体50の各側方フラップ52の上端縁は側方フラップ押さえ部120の底面に接触しているため、これらの側方フラップ52は箱体50の開口に向かって折り曲げられた状態が維持される。その後、図8に示すように、左側のアーム部14が左ハンド機構100を搬送コンベア20に向かって更に下方に押し下げる。このことにより、箱体50の開口の位置まで側方フラップ押さえ部120は下降し、この箱体50は側方フラップ押さえ部120と搬送コンベア20との間に挟まれた状態となる。また、各側方フラップ52は側方フラップ押さえ部120により側面51に対して略90°折り曲げられる。また、側方フラップ押さえ部120の端部に設けられた垂れ下がり部121が箱体50の側面51に対向するようになる。
その後、図9に示すように、左側のアーム部14が左ハンド機構100を移動させることにより、この左ハンド機構100の垂れ下がり部121により箱体50の側面51に当接しながらこの箱体50を搬送コンベア20上で図9に示す位置まで移動させる。なお、この際に、搬送コンベア20も左ハンド機構100と一体的に移動することにより、箱体50が側方フラップ押さえ部120と搬送コンベア20との間に挟まれた状態で図9に示す位置まで移動させられるようになっていてもよい。そして、箱体50が図9に示す位置まで移動すると、進退機構34により押圧部材32がガイド部材30に向かって移動させられ、この押圧部材32により箱体50がガイド部材30に向かって押圧される。このことにより、箱体50の位置が押圧部材32によって固定されるようになる。また、箱体50の位置が押圧部材32によって固定された後、図10に示すように、箱体50の各側方フラップ52を側方フラップ押さえ部120により押さえた状態を維持しながら、左側のアーム部14が左ハンド機構100を図10に示す位置に移動させる。そして、箱体50の各側方フラップ52が側方フラップ押さえ部120により押さえられた状態で、右側のアーム部15が右ハンド機構200を移動させることにより、右ハンド機構200のローラ210によって箱体50の蓋部54が側面51に対して箱体50の開口に向かって約40°〜50°程度折り曲げられる。具体的には、ローラ210が蓋部54における折り目部分58の近傍を円弧を描くように移動し、箱体50の側面51と蓋部54との間の接続部分から蓋部54を折り曲げる。その後、図11に示すように側方フラップ押さえ部120が箱体50から退避するよう左側のアーム部14が左ハンド機構100を移動させる。
左側のアーム部14により左ハンド機構100が箱体50から退避させられると、右ハンド機構200により蓋部54の蓋フラップ56が折り目部分58から折り曲げられ、その後、右ハンド機構200により箱体50の開口が蓋部54により閉じられる。より詳細には、図12に示すように、右側のアーム部15が右ハンド機構200を移動させることにより、ローラ210によって蓋部54の蓋フラップ56を折り目部分58に沿って略90°折り曲げる。ここで、ローラ210によって蓋部54の蓋フラップ56を折り曲げる際に、蓋フラップ56は箱体50の外側で折り曲げられる。より詳細には、押込部材220によって蓋部54を箱体50の開口に向かって押圧しながら、ローラ210によって蓋フラップ56を箱体50の側面51に向かって押圧する。このことにより、蓋部54の蓋フラップ56が折り目部分58から折り曲げられる。その後、図13に示すように、右側のアーム部15が右ハンド機構200を上方に移動させることにより、ローラ210を上方に移動させる。この際に、ローラ210の表面には、蓋部54の蓋フラップ56との間で摩擦力が働くウレタンゴム等の弾性体からなる摩擦部材が設けられているとともに、ローラ210は図12や図13における反時計回りの方向のみに回転可能となっているため、ローラ210の表面と蓋フラップ56との間で働く摩擦力によって蓋フラップ56もローラ210と一体的に持ち上げられる。そして、蓋部54における折り目部分58の近傍の箇所がローラ210と押込部材220との間で挟まれるようになる。
そして更に、図14に示すように、右側のアーム部15が右ハンド機構200を移動させることにより、ローラ210を図13に示す位置から図13における右方向に移動させる。具体的には、ローラ210が右側に移動するように、右ハンド機構200を図中の反時計回り方向に傾ける、もしくは、右ハンド機構200を図13における右方向に移動させる。このことにより、蓋フラップ56は折り目部分58から90°より大きな角度で折り曲げられるようになり、この蓋フラップ56の先端部分は箱体50の内側を向くようになる。その後、右側のアーム部15が右ハンド機構200を下降させることにより、ローラ210を図14に示す位置から図14における下方向に移動させる。このことにより、箱体50の蓋部54は当該箱体50の開口に向かって押込部材220により押し込められる。また、この際に、ローラ210が蓋フラップ56に当接し続けることにより、蓋フラップ56の先端部分が箱体50の内側を向く状態が維持される。このため、箱体50の蓋部54が当該箱体50の開口に向かって押込部材220により押し込められると、蓋フラップ56の先端部分が箱体50の内部に入るようになる。
そして、蓋フラップ56の先端部分が箱体50の内部に入ると、右側のアーム部15が右ハンド機構200を移動させることにより、ローラ210が図15における左方向に移動させられ、図16に示すようにローラ210が蓋フラップ56から離間する。その後、右側のアーム部15が右ハンド機構200を下降させることにより、図17に示すように箱体50の開口を蓋部54が完全に閉じるようこの蓋部54が押込部材220により押し込められる。また、押込部材220により箱体50の開口が蓋部54により閉じられる際に、この蓋部54の上面にパッド部材222が接触する。ここで、パッド部材222は押込部材220の下面から下方に突出している。このため、パッド部材222が蓋部54を下方に押圧することによって、箱体50の開口をより一層確実に蓋部54により閉じることができる。そして、箱体50の開口が蓋部54により完全に閉じられると、右側のアーム部15が右ハンド機構200を移動させることにより、箱体50から押込部材220を離間させる。このようにして、箱体50の一連の組み立て動作が完了する。
なお、押込部材220により蓋部54を箱体50の開口に押し込んでこの開口を蓋部54により閉じる際に、蓋部54の挿入不良等によって押込部材220に一定以上の力がかかると、押込部材220が図17等における上方に押し込まれることによりバネ214が収縮する。この場合には、バネ214が収縮してベース部202と支持部213との間の距離が小さくなったことが検知センサ234により検知され、エラー警報がロボット10から発せられるようになる。また、押込部材220により蓋部54を箱体50の開口に押し込んでこの開口を蓋部54により閉じる際に、開口に対して平行に押し込むのではなく、図13における手前側もしくは奥側から蓋フラップ56が開口に挿入されるように斜めに押し込むようにしてもよい。このようにすることで、より確実に蓋フラップ56を開口に挿入することができる。
以上のような構成からなる本実施の形態のロボット10(蓋閉め装置)によれば、制御部16は、図12に示すようにローラ210(折曲部材)によって蓋部54の蓋フラップ56を折り曲げた後、ローラ210および押込部材220を移動させることにより図13に示すように蓋部54を移動させ、その後、図15乃至図17に示すように押込部材220によって蓋部54を箱体50の開口に押し込むよう右側のアーム部15(駆動部)を制御するようになっている。このことにより、上方に大きな開口が設けられた箱体50を組み立てる場合に、この箱体50の開口を蓋部54により確実に閉じることができる。
また、本実施の形態のロボット10(蓋閉め装置)においては、上述したように、制御部16は、折曲部材としてのローラ210によって蓋部54の蓋フラップ56を折り曲げる前に、図11に示すようにローラ210を移動させることにより当該ローラ210によって箱体50の側面51に対して蓋部54を折り曲げるよう右側のアーム部15を制御するようになっている。このことにより、蓋部54の蓋フラップ56を折り曲げる前に、ローラ210によって箱体50の側面51に対して蓋部54を折り曲げることができるようになる。このため、箱体50の側面51に対して蓋部54を折り曲げるための機構を設ける必要がなくなるため、右ハンド機構200の構成をシンプルなものとすることができる。
また、本実施の形態のロボット10(蓋閉め装置)においては、上述したように、ローラ210および押込部材220を移動させることにより蓋部54を移動させる際に、図13に示すように押込部材220を箱体50から遠ざかる方向に移動させるようになっている。また、ローラ210および押込部材220を移動させることにより蓋部54を移動させる際に、図13に示すように蓋部54における蓋フラップ56の折り目部分58をローラ210と押込部材220との間で挟むようになっている。このように、蓋部54における蓋フラップ56の折り目部分58をローラ210と押込部材220との間で挟んだ場合には、蓋部54をより確実に移動させることができるようになる。また、図12に示すように、ローラ210によって蓋部54の蓋フラップ56を折り曲げる際に、蓋フラップ56は箱体50の外側で折り曲げられるようになっている。また、図12に示すように、ローラ210によって蓋部54の蓋フラップ56を折り曲げる際に、押込部材220により蓋部54が箱体50の開口に向かって押圧される。
また、本実施の形態のロボット10(蓋閉め装置)においては、上述したように、制御部16は、ローラ210および押込部材220を移動させることにより蓋部54を移動させた後、図14に示すようにローラ210により蓋フラップ56の折り曲げ角度を変え、その後、図15乃至図17に示すように押込部材220を移動させることにより当該押込部材220によって蓋部54を箱体50の開口に押し込むよう右側のアーム部15を制御する。この際に、ローラ210により蓋フラップ56の折り曲げ角度を変えることにより、蓋フラップ56の先端部分が箱体50の内側を向くようにする。このことにより、押込部材220によって蓋部54を箱体50の開口に押し込むときに、蓋フラップ56を箱体50の内部により確実に入れることができるようになる。また、押込部材220を移動させることにより当該押込部材220によって蓋部54を箱体50の開口に押し込むときに、ローラ210が蓋フラップ56に当接し続けることにより蓋フラップ56の先端部分が箱体50の内側を向く状態が維持される。このことにより、押込部材220を移動させることにより当該押込部材220によって蓋部54を箱体50の開口に押し込むときに、蓋フラップ56が箱体50の外部に逃げてしまうことを防止することができるようになる。また、制御部16は、押込部材220を移動させることにより当該押込部材220によって蓋部54を箱体50の開口に押し込む直前に、図16に示すように、ローラ210が蓋フラップ56から離間する方向に移動するよう右側のアーム部15を制御する。このことにより、押込部材220を移動させることにより当該押込部材220によって蓋部54を箱体50の開口に押し込むときに、蓋フラップ56を略鉛直方向に延びる状態(すなわち、折り目部分58から略90°曲げられた状態)で箱体50の内部に押し込むことができるようになる。
なお、本実施の形態による蓋閉め機構や蓋閉め装置は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、上記の説明ではロボット10が左ハンド機構100および右ハンド機構200を備えた態様について述べたが、蓋閉め装置として用いられるロボットとして、右ハンド機構200のみを備えたものが用いられてもよい。
また、蓋部54の蓋フラップ56を折り曲げるための折曲部材はローラ210に限定されることはない。蓋部54の蓋フラップ56を折り曲げるための折曲部材として、L字状に板金を折り曲げた部材が用いられてもよい。このような折曲部材でも、L字状の角の部分に蓋フラップ56の先端部分を入れながら当該折曲部材を移動させることにより、蓋部54の蓋フラップ56を折り曲げることができる。
また、本実施の形態による蓋閉め機構は、ロボット10の右側のアーム部15に取り付けられる右ハンド機構200に限定されることはない。本実施の形態による蓋閉め機構が、ロボット10以外の装置において用いられてもよい。変形例に係る蓋閉め機構として、図3等に示すような右ハンド機構200と同様の構成のユニットと、このユニットを移動させる駆動部と、駆動部を制御する制御部とを備えたものが用いられてもよい。そして、このような変形例に係る蓋閉め機構でも、制御部は、折曲部材によって箱体の蓋部の蓋フラップを折り曲げた後、折曲部材および押込部材を移動させることにより蓋部を移動させ、その後、押込部材によって蓋部を箱体の開口に押し込むよう駆動部を制御する。このことにより、蓋閉め機構がロボット10以外の装置において用いられるときでも、上方に大きな開口が設けられた箱体を組み立てる場合に、この箱体の開口を蓋部により確実に閉じることができる。