JP2020062912A - ルーフ開閉システム - Google Patents

Abstract

【課題】ルーフが開閉するコンバーチブル車両において、ユーザがルーフの作動について誤認することを抑制または防止する。【解決手段】コンバーチブル車両のルーフ開閉システムは、ルーフの開閉を行う開閉装置と、開閉装置による開または閉の少なくとも一方について、作動の可否の判定を行う判定手段と、判定手段による前記作動の可否をユーザに通知する通知手段と、を備える。そして、例えば、焼損保護の条件判定（Ｓ１６）によって焼損保護がＯＦＦとなった場合（Ｓ１８）には、他のルーフ作動の許可条件を満たしていれば（Ｓ２０）、ルーフ作動の禁止を解除した通知を行う（Ｓ２２）。【選択図】図３

Description

本発明は、コンバーチブル車両におけるルーフ開閉システムに関する。

ルーフを開閉する開閉装置を備えたコンバーチブル車両がある。開閉装置は、例えばユーザのスイッチ操作を受けて動力により自動的に開閉する。開閉装置では、異常を検出した場合に作動を禁止するなどの制御が行われている。

下記特許文献１には、ルーフの開閉装置の異常についてユーザ（搭乗者）向けに表示を行っている。異常項目は重要度に応じて区分し、表示は重要度の高い異常について優先的に行うことで、修理時の作業性を高めることを目指している。

特開平０５−２５４３４７号公報

ルーフの開閉装置における作動の可否は、故障の他に、修理を必要とせずに回復する一時的な要因にも依存している。例えば、開閉装置の温度や、車速などが所定の条件を満たさないような場合には、一時的にルーフの開閉が禁止されることになるが、状況が変わればルーフの開閉が許可されることになる。このため、ルーフの開閉装置を利用するユーザに対しては、ルーフの開閉の可否に関する通知の精度を高め、誤認を防ぐことが望まれる。

本発明の目的は、ルーフの作動の可否について、ユーザの誤認を抑制または防止することを目的とする。

本発明にかかるルーフ開閉システムは、コンバーチブル車両のルーフの開閉を行う開閉装置と、前記開閉装置による開または閉の少なくとも一方について、作動の可否の判定を行う判定手段と、前記判定手段による前記作動の可否をユーザに通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。

本発明にかかるルーフ開閉システムの一態様においては、前記作動の可否の判定の条件には、前記開閉装置の焼損保護に基づく条件が含まれ、前記通知手段は、前記焼損保護に基づく前記作動の可否の判定が可に切り替わるタイミングで、前記ユーザに前記作動が可能である旨を通知することを特徴とする。

本発明によれば、ルーフの作動の可否について故障等の誤認を抑制または防止することができる。

実施形態にかかるコンバーチブル車両の概略的な側面図である。 ルーフ開閉システムの概略的な構成を示すブロック図である。 ルーフ開閉システムにおける処理の流れと状態変化を示す図である。

以下に、図面を参照しながら、実施形態について説明する。説明においては、理解を容易にするため、具体的な態様について示すが、これらは実施形態を例示するものであり、他にも様々な実施形態をとることが可能である。

図１は実施形態にかかるコンバーチブル車両１０の概略を示す側面図である。図１においては、コンバーチブル車両１０は、ソフトトップルーフ１２が閉じられた状態を示している。ソフトトップルーフ１２は、布などの柔らかな素材を用いたルーフである。必要に応じて、金属フレームなどを利用することにより所定の形状が形成されている。

ソフトトップルーフ１２は、ユーザの指示に基づいて、ユーザがスイッチ操作をしている間にのみ開閉できるように構成されている。開状態では、ソフトトップルーフ１２が開かれ、後部のルーフ格納スペース内に折りたたまれて収納される。ルーフ格納スペースは、一般に、荷物搭載用のトランクルーム１４とは別に設けられており、ルーフ格納スペースの蓋であるトノカバーは、次に述べるルーフ開閉装置の一部をなしている。ただし、ルーフ格納スペースをトランクルーム１４内に設けることも可能である。ソフトトップルーフ１２の開状態から閉状態への遷移、あるいは、閉状態から開状態への遷移は、例えば１０秒から３０秒程度の短い時間に行われる。

図２は、ソフトトップルーフ１２の開閉を行うルーフ開閉システム２０の概略的な構成を示すブロック図である。ルーフ開閉システム２０には、ソフトトップルーフ１２の他、ルーフ開閉装置３０、ＥＣＵ３６、トランクリッド３８、インストルメントパネル４０、ルーフスイッチ４８が含まれる。

ルーフ開閉装置３０は、ソフトトップルーフ１２を駆動する装置である。ルーフ開閉装置３０には、油圧ポンプモータ３２と電磁バルブ３４が含まれる。油圧ポンプモータ３２は作動油をシリンダに送り込むモータである。作動油は、複数の電磁バルブ３４をプログラムされたタイミングで開閉されて、シリンダに送り込まれ、シリンダを駆動する。これにより、ルーフ開閉装置３０はソフトトップルーフ１２の開閉を行う。油圧ポンプモータ３２と電磁バルブ３４には、温度センサが搭載されており、温度情報はＥＣＵ３６に送出される。ここで温度センサとしては、例えば、サーミスタや熱電対などが用いられる。なお、油圧ポンプモータ３２あるいは電磁バルブ３４には、温度センサを設けずに代替機構により温度を予測するようにしてもよい。例えば、ＥＣＵ３６において、油圧ポンプモータ３２、電磁バルブ３４を駆動する回路に通電する電力量または通電時間から温度を推定するなどしてもよい。

ＥＣＵ３６は、Electronic Control Unitの略称であり、コンバーチブル車両１０に搭載されたコンピュータ装置である。ＥＣＵ３６は、プログラムに従って、演算処理ハードウエアを駆動することにより、コンバーチブル車両１０の各種制御を行っている。具体的には、ＥＣＵ３６は、油圧ポンプモータ３２及び電磁バルブ３４に作動を指示するとともに、油圧ポンプモータ３２及び電磁バルブ３４の温度情報の取得を行っている。そして、ＥＣＵ３６では、取得した温度情報に基づくルーフ開閉装置３０の焼損保護の制御（焼損保護のＯＮとＯＦＦの切り換え処理）を行っている。ここで、焼損保護とは、ルーフ開閉装置３０の温度が高温化した場合に、故障を防ぐためにその作動を禁止することをいう。焼損保護のＯＮとＯＦＦは、ルーフの開閉の一時的な要因に基づく可否条件の一つであり、焼損保護をＯＮにした状態では、ルーフ開閉装置３０の開閉作動が禁止され、開閉作動が不可となる。また、ＥＣＵ３６は、ルーフの開閉に関する他の一時的な要因に基づく可否条件についても判定を行う。この可否条件には、トランクリッド３８の開閉状態の他、イグニッションスイッチの状態、車速、エアコンを使用していることなどによる電圧低下などの条件が含まれる。このように、ＥＣＵ３６は、可否条件に基づいてルーフ開閉装置３０の開閉の可否を判定する判定手段となっている。ＥＣＵ３６では、さらに、トランクリッド３８、インストルメントパネル４０、ルーフスイッチ４８等にも接続されており、次に述べる処理を行っている。

トランクリッド３８は、トランクルームルーム１４の蓋である。実施形態にかかるコンバーチブル車両１０では、トランクリッド３８が開けられた状態では、ルーフの作動を停止するように設計されている。また、ルーフの作動中に、ユーザが、トランクスイッチを操作してトランクリッド３８を開けることを不可とする制御が行われている。ただし、ユーザは、制御が介在しないケーブルボタンあるいはトランクキーシリンダの操作を行った場合には、ルーフの作動中にもトランクリッド３８開けることができる。トランクリッド３８には、開閉状態を検出するセンサが取り付けられており、検出結果はＥＣＵ３６に出力される。

インストルメントパネル４０は、コンバーチブル車両１０の運転席の前方に取り付けられており、速度メータ４２、多機能ディスプレイ４４、タコメータ４６などが設けられている。このうち、多機能ディスプレイ４４には、ＥＣＵ３６によって運転者（ユーザ）に提供する各種の情報が表示される。多機能ディスプレイ４４は、通知手段として役割を担っており、表示される情報には、焼損保護の判定結果に基づくソフトトップルーフ１２の開閉に関する情報が含まれる。

ルーフスイッチ４８は、インストルメントパネル４０の近傍に設けられたスイッチである。あるいは、ルーフスイッチ４８は、インストルメントパネル４０上に設けられていてもよい。ルーフスイッチ４８は、ＥＣＵ３６と接続されており、運転者がルーフスイッチ４８を押した場合には、ＥＣＵ３６に信号が送信される。そして、ＥＣＵ３６では、ルーフ作動の可否を可否条件に基づいて判定した上で、ソフトトップルーフ１２を開状態から閉状態へ、あるいは閉状態から開状態へと変化させる。

続いて、図３を参照して、ルーフ開閉システム２０におけるルーフ開閉装置３０の焼損保護の制御を含む処理について説明する。図３は、ＥＣＵ３６において実行される処理の流れを示すフローチャート（図の左）と、その結果実現されるルーフ作動の可否状態（図の右）を示す図である。

ここでは、焼損保護がＯＦＦになっている状態（Ｓ１０）となっており、かつ、他のルーフ作動の可否条件も可と判定されて、ソフトトップルーフ１２の作動が可能となっている状態（１００）を起点として説明を行う。

ＥＣＵ３６は、この状態において、油圧ポンプモータ３２又は電磁バルブ３４の温度が作動禁止温度Ｔ１以上になっていないかを監視する（Ｓ１２）。作動禁止温度Ｔ１は、油圧ポンプモータ３２と電磁バルブ３４が焼損により故障することなく動作可能な範囲で設定される。なお、ここでは、説明を簡単化するために、油圧ポンプモータ３２と電磁バルブ３４の作動禁止温度をともにＴ１としたが、それぞれの特性に応じた異なる温度に設定することも可能である。

油圧ポンプモータ３２と電磁バルブ３４の両方が作動禁止温度Ｔ１よりも低い場合（Ｓ１２でＮｏの場合）には、焼損保護はＯＦＦの状態（Ｓ１０）に維持される。そして、次のタイミングで、再度、Ｓ１２における温度の監視を行う。監視は、常時適当な頻度で（例えば１０秒毎）行うように設定されてもよいし、例えば、ルーフ開閉装置３０を使用する段階あるいは使用が想定される段階（イグニッションキーをＯＮにした場合など）にのみ行われてもよい。

油圧ポンプモータ３２と電磁バルブ３４の一方または両方が作動禁止温度Ｔ１以上の場合（Ｓ１２でＹｅｓの場合）には、焼損保護がＯＮの状態に移行する（Ｓ１４）。焼損保護のＯＮは、ルーフ作動が不可と判定される状態である（１０２）。すなわち、ソフトトップルーフ１２の作動の可否条件の一つである焼損保護がＯＮになったことで、ルーフ作動が不可となった状態に移行している。なお、ソフトトップルーフ１２の状態によっては、ただちに、ルーフ作動を不可にすることが適切でない場合も考えられる。例えば、ソフトトップルーフ１２の開閉動作が行われている最中には、その動作が終了するのを待って、焼損保護をＯＮにするようにしてもよい。また、ソフトトップルーフ１２が開状態にあるときにルーフ作動を不可にしたのでは、防犯対策、降雨対策が取れなくなるため、ソフトトップルーフ１２が閉状態になった状態でのみ、焼損保護をＯＮにするようにしてもよい。このような処理は、作動禁止温度Ｔ１を実際に焼損する温度から若干余裕をもたせて低く設定することにより実現可能となる。

焼損保護がＯＮの状態（Ｓ１４）に移行した後には、油圧ポンプモータ３２の温度と電磁バルブ３４の温度がともに再作動許可温度Ｔ２を下回ったか否かが監視される（Ｓ１６）。ここで、再作動許可温度Ｔ２は、作動禁止温度Ｔ１に対し、Ｔ１＞Ｔ２となる値に設定されている。通常、油圧ポンプモータ３２の温度と電磁バルブ３４の温度は、適当な時間（外気温にもよるが例えば１０分）が経過した後には、自然放熱によって再作動許可温度Ｔ２を下回る。そこで、温度の監視は、短い時間間隔（例えば５秒）で繰り返して行われる（Ｓ１６でＮｏの場合）。

油圧ポンプモータ３２の温度と電磁バルブ３４の温度がともに再作動許可温度Ｔ２を下回った場合（Ｓ１６でＹｅｓの場合）には、焼損保護がＯＦＦの状態に移行する（Ｓ１８）。ただし、焼損保護がＯＦＦであることは、ルーフ作動が可能となる一つの条件にすぎない。この段階で、ルーフ作動に関する他の可否条件が全て可となったか否か（つまりルーフ作動の許可条件が成立したか否か）が判定される（Ｓ２０）。許可条件には、例えば、イグニッションスイッチがＯＮになっていること、トランクリッド３８が開いていること、車速が一定速度以下であること、電圧が一定値以上であることなどの条件が含まれる。

ルーフ作動の許可条件が成立していない場合には、繰り返し、許可条件の判定が行われる（Ｓ２０でＮｏの場合）。他方、ルーフ作動の許可条件が成立した場合（Ｓ２０でＹｅｓの場合）には、ルーフの作動が可能となる（１０４）とともに、ルーフ作動の禁止を解除した旨の通知が行われる（Ｓ２２）。具体的には、この通知は、インストルメントパネル４０の多機能ディスプレイ４４に「ルーフ作動禁止解除」あるいは「ルーフ作動可能」などの文字を表示することで行われる。これにより、ユーザは、ソフトトップルーフ１２を動かせるようになったことを認識することができる。

この表示は恒常的に行われてもよい。すなわち、ルーフ作動が可能になった後には、その旨が多機能ディスプレイ４４に表示が開始され、ルーフ作動が禁止されるまで、表示が継続されてもよい。

しかし、多機能ディスプレイ４４に表示される情報は、重要度の高いものに厳選した方が、ユーザの満足度を高められる可能性も考えられる。そこで、多機能ディスプレイ４４への表示は、ルーフ作動が可能になってからの一定時間だけ行うようにしてもよい。この態様では、例えば、１０秒、３０秒、１分あるいは５分といった所定の時間が経過した後には、多機能ディスプレイ４４の表示が消されることになる。

あるいは、多機能ディスプレイ４４への表示は、ユーザがソフトトップルーフ１２の開閉指示を行う可能性が高いと考えられる場合にのみ行うようにしてもよい。このような例としては、ルーフ作動が不可になった後に、ユーザがルーフスイッチ４８を押していた状況を挙げることができる。この状況では、ユーザがソフトトップルーフ１２の開閉を指示したが、焼損保護がＯＮであったために開閉が行われていない。そこで、ユーザが再度ルーフスイッチ４８を押す可能性があると考えられる。これに対し、ルーフ作動が不可になった後に、ユーザがルーフスイッチ４８を押すことなく時間が経過し、再びルーフ作動が可能となった場合には、ユーザがソフトトップルーフ１２の開閉を求める可能性は低いと考えられるため、特に表示を行わない。

なお、Ｓ２２におけるユーザへの通知は、多機能ディスプレイ４４への表示に代えて、あるいは多機能ディスプレイ４４への表示とともに、人の声あるいはブザーなどの音声で行うようにしてもよい。一例としては、多機能ディスプレイ４４への表示は行われず、音声によってのみユーザへの通知を行う態様が挙げられる。また、ユーザへの表示または音声による通知は、ナビゲーションシステムなどの他の車載装置、または、タブレット端末、スマートフォンなどの非車載端末（ユーザが携帯可能な移動端末）に行うことも可能である。

以上の説明では、焼損保護についてのみ、図３に示した特別な処理を行うものとした。同様の処理を、他の一部または全部の要因に基づく可否条件に関しても行うことができる。また、焼損保護を除く他の一時的な要因に基づく一部または全部の可否条件に関して行うようにしてもよい。これにより、ユーザは、対象となった可否条件が不可から可に変わるタイミングで、ソフトトップルーフ１２の開閉が可能になったことを把握できるようになる。また、これらの可否条件による判定が可から不可に変わるタイミングでも、多機能ディスプレイ４４にその旨を表示するようにしてもよい。これにより、ユーザは、対象となった可否条件が可から不可に変わるタイミングで、ソフトトップルーフ１２の開閉が不可になった（禁止された）ことを把握できるようになる。

他方、焼損保護についてのみ、図３に示した処理を行うことにも意義がある。特に、他の一時的な要因による可否条件であるイグニッションスイッチ、トランクリッド３８、車速、電圧などの状態は、ユーザが自己の行動結果、視覚、聴覚等に基づいて容易に認識できるものである。また、これらは、ユーザが自らの操作によって開閉可能な状態に移行させることもできる。したがって、このような状況が変化して、ルーフの作動の可否が一時的に切り替わったことを、あえてユーザに通知する必要はないとも言える。あるいは、ユーザに通知しない方が、多機能ディスプレイ４４の表示を簡潔にする観点から望ましい可能性もある。

これに対し、焼損保護は、油圧ポンプモータ３２及び電磁バルブ３４の温度状態に関するものであり、ユーザが通常は認識することができない。しかも、ユーザが容易に状態を変更できない一方で、比較的短時間の後に自然放熱によって温度低下により問題が解消されるものである。このため、焼損保護が切り替わるタイミングでユーザにルーフの作動の可否を通知することにはメリットがある。特に、焼損保護がＯＮからＯＦＦになるタイミングで、ユーザにルーフの作動が可能になった旨の通知をした場合には、ユーザはただちにルーフを作動することができるようになる。

以上の説明では、ソフトトップルーフ１２を備えるコンバーチブル車両１０を例に挙げた。しかし、ハードトップルーフを備えたコンバーチブル車両においても、同様に実施することが可能である。

また、以上の説明では、ユーザとしては、コンバーチブル車両１０の搭乗者を念頭においた。しかし、コンバーチブル車両１０に搭乗していないユーザがルーフについて操作を行うことも可能である。車外にいるユーザは、例えば、タブレット端末、スマートフォンなどのユーザが携帯可能な移動端末、あるいは車両キーなど（これらを総称して遠隔操作装置と呼ぶことにする）を用いてルーフの操作を行うことが考えられる。そこで、移動端末などの遠隔操作装置を通じて、ユーザに、開閉装置の作動の可否を通知するようにしてもよい。

１０ コンバーチブル車両、１２ ソフトトップルーフ、１４ トランクルーム、２０ ルーフ開閉システム、３０ ルーフ開閉装置、３２ 油圧ポンプモータ、３４ 電磁バルブ、３６ ＥＣＵ、３８ トランクリッド、４０ インストルメントパネル、４２ 速度メータ、４４ 多機能ディスプレイ、４６ タコメータ、４８ ルーフスイッチ。

Claims (2)

1. コンバーチブル車両のルーフの開閉を行う開閉装置と、
   前記開閉装置による開または閉の少なくとも一方について、作動の可否の判定を行う判定手段と、
   前記判定手段による前記作動の可否をユーザに通知する通知手段と、
   を備えることを特徴とするルーフ開閉システム。
2. 請求項１に記載のルーフ開閉システムにおいて、
   前記作動の可否の判定の条件には、前記開閉装置の焼損保護に基づく条件が含まれ、
   前記通知手段は、前記焼損保護に基づく前記作動の可否の判定が可に切り替わるタイミングで、前記ユーザに前記作動が可能である旨を通知することを特徴とするルーフ開閉システム。