JP2020061990A - ブドウの栽培方法及び鳥害防止具 - Google Patents
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Abstract
【課題】 作業能率を大きく低下させることなく効率的に行えるようにするとともに、資材コスト及び作業コストなどを含む全体の大幅なコストダウンを図る。【解決手段】 ブドウ棚Rにより栽培されるブドウGの生育中における所定の時期に、当該ブドウGに対してブドウ袋2を掛けて当該ブドウGを覆う袋掛け工程(S3)を含む栽培方法であって、ブドウGに対する袋掛けと同時に又は袋掛け後に、所定の目合の大きさに選定したネット部材Nにより構成したプロテクタ3によりブドウ袋2の少なくとも横方向の外面2fを覆い、このプロテクタ3を、ブドウ袋2に対して固定するプロテクタ装着工程(S4)を含ませてなる。【選択図】 図1
Description
本発明は、ブドウに対してブドウ袋を掛けて当該ブドウを覆う袋掛け工程を含むブドウの栽培方法及び同方法に用いて好適な鳥害防止具に関する。
一般に、ブドウの栽培においては、ブドウの粒が大きくなったタイミングでブドウ袋を掛け、ブドウの全体を覆うことにより鳥獣被害を防止している。しかし、この種のブドウ袋は、通常、紙により製作されるため、比較的容易に破断しやすい。したがって、使用開始から暫は効果があるとしても、カラスやムクドリ等の鳥類がクチバシによりブドウ袋を破き、中のブドウを食べれることを学習すると、次第に効果が薄れてしまう問題がある。このため、更なる対策が必要となり、現実的には音や光の鳥獣忌避手段を組合わせた対策も行われているが、このような鳥獣忌避手段も、初期の頃はある程度の効果が期待できるものの、学習効果により次第に恐れなくなる実情があり、鳥獣が学習効果を得たとしても被害を防止できる鳥獣害防止手段が必要となる。
従来、このような鳥獣害防止手段としては鳥獣ネットが知られている。この種の鳥獣ネットは、鳥獣が容易に侵入できないようにするため、比較的丈夫なネット(網)を使用し、果樹や果樹園の全体を囲むように設置される。さらに、この種のネットを応用した鳥獣害防止手段も提案されており、例えば、特許文献1には、鳥害防止装置が開示され、特許文献2には、果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスが開示されている。
同文献1に開示される鳥害防止装置は、畑の中にまばらに点在する果実を、最小の資材と労力で効果的、且つ確実に鳥から守る鳥害防止キャップの提供を目的としたものであり、具体的には、果実の真上に、鳥害防止装置が設置出来る様にするため、キャップ下部に、脚を設け、ツル、技葉が茂る狭い間にも挿入出来る様にするとともに、通過口を設け、ツル、技葉がキャップ内外へ成長出来るようにし、キャップは、太陽光及び通気性を持たせるため、網目若しくは、穴構造を成し、且つカラスの様な屈強な嘴から守られる材質で、キャップが飛ばされない様に、脚は、抜け防止付きピンを使用して確実に固定、又果実はもとより、鳥により、畑が荒らされないように、キャップ表面及び頂上に光反射鏡を配置して、鳥が近づき難くしたものである。
また、同文献2に開示される果樹覆いシートを具備した果樹栽培用簡易ハウスは、天井シート部を中心とし、開閉シートを具備した窓シート部、雨除けシート部、空気導入シート部を左右対称になるように横方向に一体的に連設し、l列の果樹群を包み込み可能な画積を有する平視矩形状を呈するように形成され、さらに、天井シート部、開閉シート及び雨除けシート部は通気性及び雨除け機能を有するシートよりなるとともに、窓シート部と空気導入シート部は通水性及び天井シート部よりは通気性の高いシートよりなり、開閉シートは窓シート部の全面を被覆可能に設けたものである。
しかし、上述した従来の鳥獣害防止手段(鳥害防止装置,果樹栽培用簡易ハウス等)は、次のような問題点があった。
第一に、従来の鳥獣害防止手段は、いずれもスイカ等の露地栽培やリンゴ等の果樹栽培を想定したものであり、ブドウの栽培を想定したものではない。ブドウは、ブドウ棚を設置して栽培を行うため、ネットを利用する場合、ブドウ棚の側方における周囲を囲むことはできるとしても上方を覆うことは容易でない。仮に、ネットによりブドウ棚の上方を覆う場合、かなりの広さを覆うことになるため、ネットの接合やネットの支持が必要になるとともに、ブドウ棚の上方で作業することは容易でなく、設置に係わる作業には大変な労力が強いられるなど、必ずしも現実的な手法(手段)とはいえない。
第二に、従来の鳥獣害防止手段は、基本的に、保護対象物に対して、その回りの空間を囲み、鳥獣自体の侵入を阻止する思想により構築されているため、ネットの使用量が多くなる傾向があるとともに、ネットやこのネットを支持する支持構造等には、ある程度の強度が要求される。したがって、ネットや支持部材に係わる資材コスト及び設置に伴う作業コストなど、全体のコストアップが無視できない。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したブドウの栽培方法及び鳥害防止具の提供を目的とするものである。
本発明に係るブドウの栽培方法は、上述した課題を解決するため、ブドウ棚Rにより栽培されるブドウGの生育中における所定の時期に、当該ブドウGに対してブドウ袋2を掛けて当該ブドウGを覆う袋掛け工程(S3)を含む栽培方法であって、ブドウGに対する袋掛けと同時に又は袋掛け後に、所定の目合の大きさに選定したネット部材Nにより構成したプロテクタ3によりブドウ袋2の少なくとも横方向の外面2fを覆い、このプロテクタ3を、ブドウ袋2に対して固定するプロテクタ装着工程(S4)を含ませてなることを特徴とする。
また、本発明に係るブドウの鳥害防止具1は、ブドウ棚Rにより栽培されるブドウGの生育中における所定の時期に、当該ブドウGに掛けて当該ブドウGを覆うブドウ袋2を備える鳥害防止具を構成するに際して、所定の目合の大きさに選定したネット部材Nにより構成し、ブドウ袋2の少なくとも横方向の外面2fを覆い、かつブドウ袋2に対して固定するプロテクタ3を備えてなることを特徴とする。
一方、本発明は、発明の好適な態様により、プロテクタ3は、外力が付加されない自然状態におけるネット部材Nの横方向の全周長を、ブドウ袋2の横方向の全周長よりも短く選定し、かつネット部材Nを弾性変形可能に形成することができる。なお、プロテクタ3は、ブドウ袋2に対して予め固定することもできる。また、プロテクタ3は、一端3pと他端3qを開口したチューブ形のネット部材Nにより構成することができる。さらに、ネット部材Nは、目合の大きさとして、1目3sを、5〜10〔mm〕の範囲に選定することが望ましいとともに、ピンク色又は濃いピンク色により着色することが望ましい。
このような本発明に係るブドウの栽培方法及び鳥害防止具1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) 本発明に係るブドウの栽培方法は、ブドウGに対する袋掛けと同時に又は袋掛け後に、所定の目合の大きさに選定したネット部材Nにより構成したプロテクタ3によりブドウ袋2の少なくとも横方向の外面2fを覆い、このプロテクタ3を、ブドウ袋2に対して固定するプロテクタ装着工程(S4)を含ませてなるため、ブドウ棚RによりブドウGの栽培を行う場合であっても、個々のブドウGに対するプロテクタ3の装着は、袋掛けと同様に、又はそれ以上に、容易に行うことができる。しかも、袋掛けと同時(又はその後)に行うことができるため、作業能率を大きく低下させることなく効率的に行うことができる。
(2) 本発明に係る鳥害防止具1は、所定の目合の大きさに選定したネット部材Nにより構成し、ブドウ袋2の少なくとも横方向の外面2fを覆い、かつブドウ袋2に対して固定するプロテクタ3を備えるため、個々のブドウGを覆う簡易で小サイズのネット部材Nにより構成できるとともに、プロテクタ3を支持する他の支持部材等は不要になり、資材コスト及び設置に伴う作業コストなどを含む全体の大幅なコストダウンを図ることができる。
(3) 好適な態様により、プロテクタ3を構成するに際し、外力が付加されない自然状態におけるネット部材Nの横方向の全周長を、ブドウ袋2の横方向の全周長よりも短く選定し、かつネット部材Nを弾性変形可能に形成すれば、ネット部材Nの中間部がブドウ袋2の周面に圧接し、かつネット部材Nの上部側及び下部側を弾性変形による小径化により、ブドウ袋2の上端側と下端側に係止可能になるため、プロテクタ3をブドウ袋2の周面に掛けるのみで、ブドウ袋2に対する装着作業と固定作業が同時に終了するため、プロテクタ3の装着は、極めて容易かつ能率的に行うことができる。
(4) 好適な態様により、プロテクタ3を、ブドウ袋2に対して予め固定すれば、袋掛けとプロテクタ3の装着を同時に行うことができるため、いわば、通常の袋掛けを行う作業のみで同時にネット掛けも行うことができるなど、作業性の観点から作業の容易性及び能率性を飛躍的に高めることができる。
(5) 好適な態様により、プロテクタ3を構成するに際し、一端3pと他端3qを開口したチューブ形のネット部材Nにより構成すれば、軸方向に長い連続したチューブ材を一定間隔おきに切断するのみで容易かつ低コストに製作できるとともに、使用に際しても容易に使用することができる。
(6) 好適な態様により、ネット部材Nにおける目合の大きさとして、1目3sを、5〜10〔mm〕の範囲に選定すれば、カラス等の鳥類のクチバシの挿入、即ち、クチバシによる採餌動作を阻止できるため、鳥害を有効に回避してブドウGに対する確実な保護を図ることができる。
(7) 好適な態様により、ネット部材Nを、ピンク色又は濃いピンク色により着色すれば、経験上、鳥類(カラス,ムクドリ等)に対する忌避色と思われる着色を付加することにより、鳥類に対する忌避効果をより高めることができる。
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係るブドウの鳥害防止具1の構成について、図3及び図5を参照して説明する。
鳥害防止具1は、基本構成として、図5に示すように、ブドウ袋2とプロテクタ3を備える。
ブドウ袋2は、鳥獣害防止用として一般に販売されている公知のブドウ袋を利用可能であり、実施形態では、一般的な公知のブドウ袋を一例として示す。例示のブドウ袋2は、図5に示すように、一枚の矩形の紙材を二つ折りにし、一方の側部における端辺同士が貼着されるとともに、下端部の端辺同士が貼着されることにより、上端口部2uが開口する袋状に構成される。図5中、Kbは折畳み部、Kpjは側辺接着部、Kdjをそれぞれ示す。例示するブドウ袋2のサイズは、横寸法Lp(図5)が20〔cm〕,縦寸法が30〔cm〕である。したがって、ブドウ袋2の全周長は概ねLp×2となる。
この際、側辺接着部Kpjの上端付近には、ブドウGのブドウ軸Gsに取付けるための固定具4を固定する。例示の固定具4は、捩ることによりブドウ軸Gsに巻き付けて固定する細長い金属製の固定ワイヤ(又は固定プレート)11であり、側辺接着部Kpjに挟まれることにより側辺に沿って固定される。この場合、上述のように、既存のブドウ袋2をそのまま利用することも可能であるが、本実施形態に係る鳥害防止具1を構成する専用のブドウ袋2として製作してもよい。
一方、プロテクタ3は、図3に示すように、所定の目合の大きさに選定したネット部材Nにより構成する。この場合、プロテクタ3は、ブドウ袋2の少なくとも横方向の外面2fを覆うことができるとともに、一端(上端)3pと他端(下端)3qを開口したチューブ形のネット部材Nにより構成することが望ましい。このように構成すれば、軸方向に長い連続したチューブ材を一定間隔おきに切断するのみで容易かつ低コストに製作できるとともに、使用に際しても容易に使用することができる。
ネット部材Nの形成素材は、特定の素材に限定されるものではなく、各種素材を利用できるが、強度に優れ、かつ低コストに製作できるものが望ましい。例示の素材は、ポリエチレン(PE)を用いたものである。したがって、ネット部材Nは、合成樹脂素材による一体成形が可能である。また、ネット部材Nは、一部抽出拡大図で示すように、目合の大きさ、即ち、1目3sの大きさLeを、7〜8〔mm〕に選定した。なお、1目3sの大きさLeは、このようなディメンションに限定されるものではなく、望ましい範囲として、5〜10〔mm〕の範囲を選定できる。このように選定すれば、カラス等の鳥類のクチバシの挿入、即ち、クチバシによる採餌動作を阻止できるため、鳥害を有効に回避してブドウGに対する確実な保護を図れる利点がある。さらに、例示のネット部材Nにおける網材の太さLsは、0.2〜0.3〔mm〕である。
例示するプロテクタ3は、軸方向の長さLmが30〔cm〕、径方向に潰したときの長さであって、外力が付加されない自然状態におけるネット部材Nの横方向の寸法Lnは12〔cm〕程度である。したがって、ネット部材Nの全周長は概ねLn×2となる。これにより、径方向Ddに引張ることにより伸長させた長さLkは、当該長さLnに対して概ね3倍程度まで伸長させることができるとともに、PE素材により一体成形されるため、径方向Ddに弾性伸縮(弾性変形)可能となる。
また、ネット部材Nは、ピンク色又は濃いピンク色により着色することが望ましい。ピンク色、より望ましくは、濃いピンク色に選定すれば、経験上、鳥類(カラス,ムクドリ等)に対する忌避色と思われる着色を付加できるため、鳥類に対する忌避効果をより高めることができる。
このように、本実施形態に係る鳥害防止具1は、基本構成として、所定の目合の大きさに選定したネット部材Nにより構成し、ブドウ袋2の少なくとも横方向の外面2fを覆い、かつブドウ袋2に対して固定するプロテクタ3を備えるため、個々のブドウGを覆う簡易で小サイズのネット部材Nにより構成できるとともに、プロテクタ3を支持する他の支持部材等は不要になり、資材コスト及び設置に伴う作業コストなどを含む全体の大幅なコストダウンを図ることができる。
次に、本実施形態に係る鳥害防止具1の使用方法を含む本実施形態に係るブドウの栽培方法について、各図を参照しつつ図4に示すフローチャートに従って説明する。
ブドウGの栽培に際しては、まず、前期間におけるブドウ栽培が行われる(ステップS1)。なお、ブドウGの栽培は、図1に示すようなブドウ棚Rにより行われる。
前期間におけるブドウ栽培プロセスに基づき、ブドウ粒が所定の大きさに生育したなら、図5に示すように、ブドウGに対してブドウ袋2を掛ける袋掛けを行う(ステップS2,S3)。なお、袋掛けのタイミングは、一般に、摘粒作業が終了したタイミングで行われる。袋掛けに際しては、図5に示すように、ブドウ袋2の上端口部2uを開けて広げ、矢印Dgの方向に向けることによりブドウ袋2の中にブドウGを収容する。ブドウGを収容したなら、ブドウ袋2の上端口部2uにおける固定ワイヤ11の存在する側に対して反対側を、固定ワイヤ11側へ窄めるとともに、図8に示すように、固定ワイヤ11がブドウ軸Gsに巻き付つくように、上端口部2uを捩るように操作する。これにより、ブドウ袋2の上端口部2uは、同図に示すように、ブドウ軸Gsに対して一緒に巻き付けられるとともに、固定ワイヤ11により、その状態が固定される捩り固定部13が形成される(ステップS4)。この状態を図7に示している。
次いで、図5に示すように、用意したプロテクタ3の上端3pを矢印Dc…方向に広げ、矢印Dr…方向からブドウ袋2の外面2fに装着するプロテクタ3の装着作業を行う(ステップS5)。例示のプロテクタ3はチューブ形に形成されるため、プロテクタ3の装着により、ブドウ袋2の外面2f、特に、横方向の外面2fがプロテクタ3により覆われる。図7はこの状態を示している。
この場合、外力が付加されない自然状態におけるネット部材Nの横方向の全周長(≒Ln×2)は、ブドウ袋2の横方向の全周長(≒Lp×2)よりも短く選定し、かつネット部材Nを弾性変形可能に形成してあるため、ブドウ袋2に対してプロテクタ3を装着した際には、ネット部材Nの中間部がブドウ袋2の周面に圧接し、かつネット部材Nの上部側及び下部側を弾性変形による小径化により、ブドウ袋2の上端側と下端側に係止可能になるため、プロテクタ3をブドウ袋2の周面に掛けるのみで、ブドウ袋2に対する装着作業と固定作業が同時に完了する。このように、プロテクタ3の装着は、極めて容易かつ能率的に行うことができる。
また、装着したプロテクタ3は、ブドウ袋2に対して、特に、上下方向における位置合わせを行う(ステップS6)。この場合、プロテクタ3の上端部3pは、図7に示すように、ブドウ袋2の捩り固定部13に対して稍下方に位置さ、後述する傘掛け(傘12)の邪魔にならないよう考慮することが望ましい。
次いで、傘掛けを行う(ステップS7)。図7に、傘12を示す。例示の傘12は、一枚の正方形に形成した傘紙Paを用いたものであり、一辺における中央の位置から傘紙Paの中心位置に沿った切込部12cを設けられている。したがって、傘12を装着する場合には、図7に示すように、傘紙Paの切込部12cを、捩り固定部13を挟む態様となるように矢印Da方向から装着し、装着した後に、切込部12cの両縁部同士を重ねて固定すればよい。
そして、袋掛け,プロテクタ装着,傘掛け,の終了したブドウGは、この後、後期間におけるブドウ栽培が行われる(ステップS8)。さらに、ブドウ栽培における後期間が終了し、収穫時期になったなら成長の終了したブドウGに対する収穫作業を行う(ステップS9,S10)。
よって、このような本実施形態に係るブドウGの栽培方法(鳥害防止具1)によれば、基本的な手法として、ブドウGに対する袋掛けと同時に又は袋掛け後に、所定の目合の大きさに選定したネット部材Nにより構成したプロテクタ3によりブドウ袋2の少なくとも横方向の外面2fを覆い、このプロテクタ3を、ブドウ袋2に対して固定するプロテクタ装着工程(S4)を含ませてなるため、ブドウ棚RによりブドウGの栽培を行う場合であっても、個々のブドウGに対するプロテクタ3の装着は、袋掛けと同様に、又はそれ以上に、容易に行うことができる。しかも、袋掛けと同時(又はその後)に行うことができるため、作業能率を大きく低下させることなく効率的に行うことができる。
換言すれば、ブドウGは、ブドウ袋2により覆われる通常の保護手法に加え、更に、ブドウ袋2の少なくとも横方向の外面2fがプロテクタ3により覆われるため、従来のように、ブドウGに対してブドウ袋2のみを掛け、ブドウ棚Rの全体を鳥獣ネットで囲む手法に比べ、鳥類による被害を確実に防止することができ、この効果の有効性は、実際の実施において確認することができた。しかも、使用する鳥害防止具1は、個々のブドウGを覆う簡易で小サイズのネット部材Nにより構成できるため、プロテクタ3を支持する他の支持部材等は不要になり、資材コスト及び設置に伴う作業コストなどを含む全体の大幅なコストダウンを図れる利点がある。
他方、図9(a),(b)には、本発明の変更実施形態に係る鳥害防止具1を示す。図9(a)は、プロテクタ3自体に、前述した固定ワイヤ11と同様の固定ワイヤ(又は固定プレート)11eを用いた固定具4を設けたものである。この場合、固定ワイヤ11eを図9(a)に示す位置において、例えばプロテクタ3を構成するネット部材Nの目に通し、両端を折り曲げる等により固定することができる。このようなプロテクタ3を用いれば袋掛けとプロテクタ3の装着を別々の作業として行うことができるとともに、プロテクタ3の装着(固定)をより確実に行うことができる。なお、固定ワイヤ11eを設けることなく、ブドウ紙2の固定ワイヤ(又は固定プレート)11を兼用して、即ち、ブドウ紙2とネット部材Nを一緒に捩ることにより固定することも可能である。このため、図9(a)に示すネット部材Nの軸方向長さは、図1に示したネット部材Nに対して長く選定する。
図9(b)は、鳥害防止具1を構成するに際し、プロテクタ3を、ブドウ袋2に対して予め固定し、一体化させて構成したものである。具体的には、未使用のブドウ袋2の外面2fに、プロテクタ3を装着するとともに、図9(b)に示すように、ブドウ袋2とプロテクタ3を位置合わせした状態において両者間を固定したものである。例示の場合、二個所の位置に接着剤を塗布し、ブドウ袋2とプロテクタ3間を二個所の接着部15,15により固定したものである。したがって、この場合のネット部材Nは、弾性変形可能に形成する必要はなく、また、横方向の全周長は、ブドウ袋2の横方向の全周長よりも稍長く選定することにより実施できる。
前述した図1〜図8の実施形態では、プロテクタ3を、ブドウ袋2に対して別体に構成したため、既存のブドウ袋2との組合せ使用ができるため、実施に際しては、いわば一部品となるプロテクタ3のみを追加すれば足り、実施の容易化及び低コスト化に寄与できる。しかも、使用に際しては、ブドウ袋2とプロテクタ3の任意の組合わせが可能になるとともに、袋掛けとプロテクタ3の装着を同時に行ってもよいし、袋掛けの後にプロテクタ3を装着してもよいなど、使用(実施)時における自由度を高めことができる。
これに対して、図9(b)に示す変更実施形態では、プロテクタ3を、ブドウ袋2に対して予め固定するため、袋掛けとプロテクタ3の装着を同時に行うことができ、いわば、通常の袋掛けを行う作業のみで同時にネット掛けも行うことができるなど、作業性の観点から作業の容易性及び能率性を飛躍的に高めることができる利点がある。
なお、図9(a),(b)に示すプロテクタ3及びブドウ袋2は、図1〜図8に使用したプロテクタ3及びブドウ袋2と寸法を除いて同一のものを使用することができる。したがって、図9(a),(b)において、図1〜図8と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
以上、好適実施形態(変更実施形態)について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、ブドウGは、特定のブドウ品種に限定されるものではなく、各種ブドウ品種に適用できる。また、固定具4として固定ワイヤ(固定プレート)11,11eを例示したが、ブドウ袋2及びプロテクタ3を、ブドウ軸Gsに対して直接又は間接的に固定できるものであれば各種固定具4を適用できる。他方、プロテクタ3は、一端3pと他端3qを開口したチューブ形に形成した場合を示したが、他端(下端)3qを閉塞した袋状に形成してもよい。また、ネット部材Nの目合の大きさとして、1目3sを、5〜10〔mm〕の範囲に選定することが望ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。さらに、ネット部材Nの形成素材として、PEを用いた例を示したが、各種合成樹脂素材をはじめ、各種天然繊維素材又は合成素材を適用できる。
本発明に係るブドウの栽培方法及び鳥害防止具は、ブドウに対してブドウ袋を掛けて当該ブドウを覆う袋掛け工程を含む各種ブドウに対する各種栽培方法に利用できる。
1:鳥害防止具,2:ブドウ袋,2f:ブドウ袋の外面,3:プロテクタ,3s:1目,3p:プロテクタの一端,3q:プロテクタの他端,N:ネット部材,R:ブドウ棚,G:ブドウ,(S3):袋掛け工程,(S4):プロテクタ装着工程
Claims (8)
- ブドウ棚により栽培されるブドウの生育中における所定の時期に、当該ブドウに対してブドウ袋を掛けて当該ブドウを覆う袋掛け工程を含むブドウの栽培方法において、前記ブドウに対する袋掛けと同時に又は袋掛け後に、所定の目合の大きさに選定したネット部材により構成したプロテクタによりブドウ袋の少なくとも横方向の外面を覆い、このプロテクタを、前記ブドウ袋に対して固定するプロテクタ装着工程を含ませてなることを特徴とするブドウの栽培方法。
- 前記プロテクタは、外力が付加されない自然状態における前記ネット部材の横方向の全周長を、前記ブドウ袋の横方向の全周長よりも短く選定し、かつ前記ネット部材を弾性変形可能に形成することを特徴とする請求項1記載のブドウの栽培方法。
- 前記プロテクタは、前記ブドウ袋に対して予め固定することを特徴とする請求項1又は2記載のブドウの栽培方法。
- ブドウ棚により栽培されるブドウの生育中における所定の時期に、当該ブドウに掛けて当該ブドウを覆うブドウ袋を備えるブドウの鳥害防止具において、所定の目合の大きさに選定したネット部材により構成し、前記ブドウ袋の少なくとも横方向の外面を覆い、かつ前記ブドウ袋に対して固定するプロテクタを備えてなることを特徴とするブドウの鳥害防止具。
- 前記プロテクタは、外力が付加されない自然状態における前記ネット部材の横方向の全周長を、前記ブドウ袋の横方向の全周長よりも短く選定し、かつ前記ネット部材を弾性変形可能に形成することを特徴とする請求項4記載のブドウの鳥害防止具。
- 前記プロテクタは、一端と他端を開口したチューブ形のネット部材により構成することを特徴とする請求項4又は5記載のブドウの鳥害防止具。
- 前記ネット部材は、目合の大きさとして、1目を、5〜10〔mm〕の範囲に選定してなることを特徴とする請求項4,5又は6記載のブドウの鳥害防止具。
- 前記ネット部材は、ピンク色又は濃いピンク色により着色してなることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のブドウの鳥害防止具。
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