JP2020061338A - 全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法、及び、全固体リチウムイオン電池の製造方法 - Google Patents

全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法、及び、全固体リチウムイオン電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大粒径かつ高比表面積でLi−Nb酸化物被覆された全固体リチウムイオン電池用正極活物質の簡便な製造方法を提供する。【解決手段】ニッケル、コバルト及びマンガンで構成される遷移金属の水酸化物であって、且つ、平均粒径D50が10μm以上で比表面積が20m2/g以上である水酸化物前駆体をロッキングミキサー中に投入し、シュウ酸ニオブ水溶液を噴霧してシュウ酸ニオブが被覆された前駆体粉体を作製する工程と、シュウ酸ニオブが被覆された前駆体粉体とリチウム化合物とを乾式混合して焼成する工程とを含む全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法、及び、全固体リチウムイオン電池の製造方法に関する。
現在、使用されているリチウムイオン電池は、正極活物質として層状化合物LiMeO2(Meは平均で+III価となるように選択されるカチオンであり、レドックスカチオンを必ず含む)、スピネル化合物LiMeQO4(Qは平均で+IV価となるように選択されるカチオン)、オリビン系化合物LiX1X2O4(X1は+II価となるように選択されるカチオンであり、レドックスカチオンを必ず含む、X2は+V価となるように選択されるカチオン)や蛍石型化合物Li5MeO4等を用いており、一方でその特性を生かすことができるよう、電解液その他構成要件が年々改善されてきている。
ただ、リチウムイオン電池の場合は、電解液は有機化合物が大半であり、たとえ難燃性の化合物を用いたとしても火災に至る危険性が全くなくなるとは言いきれない。こうした液系リチウムイオン電池(以下、液系LIBとも称する)の代替候補として、電解質を固体とした全固体リチウムイオン電池(以下、全固体LIBとも称する)が近年注目を集めている(特許文献1等)。その中でも、固体電解質としてLi2S−P25などの硫化物やそれにハロゲン化リチウムを添加した全固体リチウムイオン電池が主流となりつつある。
特許第5971109号公報
全固体LIBでは、予想外の電池燃焼の可能性が液系LIBに比べて著しく低い反面、電流を取り出しにくいといった欠点があり、このための対策として、例えば、正極で用いる活物質の粒子を小さくしたり、正極中に固体電解質を2〜3割程度混合したり、正極活物質粒子の表面にLi−Nb酸化物を被覆するといった技術が開発されている。
このLi−Nb酸化物被覆は、正極活物質と固体電解質との間に緩衝層を作ることで、正極活物質からリチウムイオンを引き抜いたり正極活物質中へリチウムイオンを挿入したりすることがたやすくできるようになった点で画期的な技術と言える。ただし、これまでになされた検討では、中実粒子への被覆がメインであり、中空粒子等の比表面積の高い粒子への適用が難しい点があった。その理由として、(1)たいていの被覆方法では、リチウムアルコキシドとニオブアルコキシドとを混合した液体の有機物を用意し、転動流動装置などを用いて被覆する形をとるが、該液体が中空粒子内部に染み込まないか、小粒子に優先的に吸着されてしまって均一な被覆にならない、(2)被覆物による引っ掛かりがあって固体電解質との混合の際に正極活物質と固体電解質との密接した接触を阻害する、などが挙げられる。
一方で、液系LIBでは、主にHEV用に中空粒子等の比表面積の大きい正極活物質を検討することが増えてきた。液系LIBの場合は、Li−Nb酸化物で被覆することも特に必要ではなく、真空含浸等の技術により容易に電極中に電解質が染み込むため、高出力化に係るアプローチも数多くなされてきている。しかしながら、全固体LIBの場合はLi−Nb酸化物で被覆することも必要であり、また電解質の染み込みも起こらないので、このような検討がまだなされていない状態であった。そこで発明者らが比表面積の大きい正極活物質を作製できるよう、既知の一般的なLi−Nb酸化物被覆方法である転動流動法や、被覆原料を徐々に添加するようなやり方について検討したが、場合によっては均一なLi−Nb酸化物被覆が可能となりうるが、条件設定が複雑になったり、長い滞留時間が必要だったり、作業に熟練度が求められたりしたため、あまり量産向きのプロセスと言えるようなものではなく、これらに代わってより簡便な正極活物質へのLi−Nb酸化物被覆方法が求められていた。
ここで、均一被覆への粒子径の影響について考えてみる。小粒径のものはもともと比表面積が高く、また粒子径との関係から粒子表面の凹凸もそれほどあるわけでもないので、大粒径かつ低比表面積の粒子への被覆の条件が固まってさえいれば、それから溶媒量などの製造条件に関する多少の変更を行うことで比較的容易に均一な被覆を得ることができる場合が多い。ところが、大粒径かつ高比表面積のものを得ようとした場合、かなりの長時間をかけてもLi−Nb酸化物被覆原料が凹部の最深部に浸透せず、コア粒子から離れた状態でLi−Nb酸化物が形成されることがあった(以下、「単独Li−Nb酸化物」と称する)。これをそのまま焼成すると、例えばパルベライザーでの解砕等の際の衝撃で単独Li−Nb酸化物が容易に割れてしまい、そのまま例えば気流に乗ってバグフィルターに飛んでしまう等、Nb組成のズレや凹部の最深部での無被覆状態を発生させてしまうことがあった。しかしながら、EV(電気自動車)やフォークリフト等の容量も出力も求められる用途では、容量の点から大粒径の正極活物質が求められており、また、出力の点から高比表面積の正極活物質が求められていた。
そこで、本発明の実施形態は、大粒径かつ高比表面積でLi−Nb酸化物被覆された全固体リチウムイオン電池用正極活物質の簡便な製造方法を提供することを課題とする。
本発明は一実施形態において、ニッケル、コバルト及びマンガンで構成される遷移金属の水酸化物であって、且つ、平均粒径D50が10μm以上で比表面積が20m2/g以上である水酸化物前駆体をロッキングミキサー中に投入し、シュウ酸ニオブ水溶液を噴霧してシュウ酸ニオブが被覆された前駆体粉体を作製する工程と、シュウ酸ニオブが被覆された前駆体粉体とリチウム化合物とを乾式混合して焼成する工程とを含む全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の別の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法は、前記ニッケル、コバルト及びマンガンで構成される遷移金属の水酸化物前駆体におけるニッケルとコバルトとマンガンとの物質量比が、前記ニッケル、コバルト及びマンガンの総物質量を100とすると、85〜90:7〜9:0〜7.5(ただし、0を除く)で表され、前記リチウム化合物がLiOH・H2Oである。
本発明の更に別の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法は、前記LiOH・H2OのD90が20μm以下である。
本発明の更に別の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法は、前記正極活物質の平均粒径D50が10μm以上かつ比表面積が0.5m2/g以上である。
本発明の別の実施形態は、本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法によって製造された全固体リチウムイオン電池用正極活物質を用いて正極層を形成し、前記正極層、固体電解質層及び負極層を用いて全固体リチウムイオン電池を製造する全固体リチウムイオン電池の製造方法である。
本発明の実施形態によれば、大粒径かつ高比表面積でLi−Nb酸化物被覆された全固体リチウムイオン電池用正極活物質の簡便な製造方法を提供することができる。
(全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法)
ニッケル源:コバルト源:マンガン源が、モル比でNi:Co:Mn=85〜90:7〜9:0〜7.5(ただし、Mn=0を除く)となるように調製した遷移金属水溶液を準備する。ニッケル源、コバルト源、マンガン源は、以下の実施例ではいずれも硫酸塩を用いているが、それぞれ硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩等から選択される少なくとも1種の組み合わせであってもよい。
次に、当該遷移金属水溶液と、水酸化ナトリウム水溶液と、アンモニア水とを別々の槽に用意し、これらを一つの反応槽に投入して晶析法により反応させる。続いて、反応物をろ過、水洗及び乾燥を行うことで組成式:NiaCobMnc(OH)2[式中、a:b:c=85〜90:7〜9:0〜7.5(ただし、c=0を除く)]で示され、平均粒径D50が10μm以上で比表面積が20m2/g以上の前駆体粉体を作製する。該平均粒径D50および比表面積は、例えば水酸化物の製造条件(温度、pH、雰囲気等)によって当業者が常識と考える程度で制御することができる。
前駆体粉体の該平均粒径D50は、12μm以上、15μm以上、20μm以上であってもよい。また、前駆体粉体の該平均粒径D50は、45μm以下、40μm以下、35μm以下であってもよい。
前駆体粉体の該比表面積は、22m2/g以上、25m2/g以上、30m2/g以上であってもよい。また、前駆体粉体の該比表面積は、150m2/g以下、120m2/g以下であってもよい。
次に、該前駆体粉体と、Nbを63〜189g/Lの濃度で含むシュウ酸ニオブ水溶液とを、NiとCoとMnとの総物質量とNbの物質量との比:(Ni+Co+Mn):Nbが1:0.0027〜0.0055となるように秤量する。次に、該前駆体粉体をロッキングミキサーに投入する。続いて、該シュウ酸ニオブ水溶液を、噴霧時間17〜35秒、噴霧後均し時間900秒、回転数30Hz、揺動数30Hzでロッキングミキサー中の該前駆体粉体表面へ噴霧する操作を行い、シュウ酸ニオブが被覆された前駆体粉体を得る。
続いて、シュウ酸ニオブが被覆された前駆体粉体とリチウム化合物とを乾式混合して焼成する。具体的には、まず、ロッキングミキサーからシュウ酸ニオブが被覆された前駆体粉体を取り出し、該前駆体粉体とD90が20μm以下であるLiOH・H2Oとを、湿度が40〜65%の大気雰囲気にて物質量比Li/(Ni+Co+Mn)が1.00〜1.03となるように一つの袋に計量する。次に、袋を粗混合して得た粉体(以下、「粗混合粉」とも称する)を袋から全てヘンシェルミキサーに入れて、10〜30Hzで5〜15分間乾式混合する。ここで、当該LiOH・H2OのD90を20μm以下としているが、これは、該D90が20μmより大きいような粗粒を含むLiOH・H2Oを用いると、混合時にLiOH・H2Oの塊が見られることがあり、そのような状態で焼成した場合、正極活物質中にLi2CO3やLiOHが多く含まれる可能性があり、該正極活物質を用いた全固体リチウムイオン電池の性能についてバラつきが大きいことが予想されるためである。
続いて、混合した粉体(以下、「混合粉」とも称する)をアルミナ匣鉢に充填する。次に、焼成炉中に酸素を充填し、該アルミナ匣鉢を焼成炉中に入れ酸素雰囲気下で、350℃で2時間、続いて490℃で8時間、750℃で4時間焼成する。これを室温まで冷却した後、焼成炉から該アルミナ匣鉢をドライエアー中に取り出し、ロールクラッシャーとACMパルベライザーで解砕して正極活物質を得る。
上記の方法によれば、従来のように条件設定が複雑になったり、長い滞留時間が必要だったり、作業に熟練度が求められる等も問題も無く、非常に簡便な方法で、平均粒径D50が10μm以上で比表面積が0.5m2/g以上という大粒径かつ高比表面積を有するLi−Nb酸化物被覆正極活物質を製造することができる。また、当該正極活物質は、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の表面にLi−Nb酸化物が均一に被覆されている。ロッキングミキサーを用いることで、一般的な転動流動法に比べて、Li−Nb原料がコア粒子凹部により積極的に押し付けられる力が働くため、このように大粒径かつ高比表面積を有するLi−Nb酸化物被覆正極活物質ができ、しかも均一な被覆となるものと推定される。
(全固体リチウムイオン電池の製造方法)
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法によって製造された全固体リチウムイオン電池用正極活物質を用いて正極層を形成し、固体電解質層、当該正極層及び負極層を備えた全固体リチウムイオン電池を作製することができる。
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を提供するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
(実施例1)
硫酸ニッケル:硫酸コバルト:硫酸マンガンがモル比で88:9:3となるように調製した遷移金属水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水を別々の槽に用意し、これらを一つの反応槽に投入して晶析法により反応させ、ろ過、水洗及び乾燥を行うことで組成式:Ni0.88Co0.09Mn0.03(OH)2で示される前駆体粉体を得た。この前駆体の比表面積を測定したところ、21m2/gであった。また、この前駆体の平均粒径D50を測定したところ、14μmであった。
次に、該Ni0.88Co0.09Mn0.03(OH)2前駆体粉体とNbを232g/Lの濃度で含むシュウ酸ニオブ水溶液とを、NiとCoとMnとの総物質量とNbの物質量との比:(Ni+Co+Mn):Nbが1:0.0033となるように秤量した。次に、該前駆体粉体をロッキングミキサーに投入した。続いて、該シュウ酸ニオブ水溶液を、噴霧時間17秒、噴霧後均し時間15分、回転数30Hz、揺動数30Hzでロッキングミキサー中の該前駆体粉体表面へ噴霧する操作を行い、ロッキングミキサーによって20分撹拌した。
続いて、ロッキングミキサーからシュウ酸ニオブが被覆された前駆体粉体を取り出し、該シュウ酸ニオブが被覆された前駆体粉体とD90が20μm以下であるLiOH・H2Oとを、湿度が60%の大気雰囲気にて物質量比Li/(Ni+Co+Mn+Nb)が1.01となるように一つの袋に計量した。次に、袋を膨らませたまま開口部を手で握って粉が漏れないようにして、握ってない方の手を袋の底にあてて両方の手で袋を揺らして粗混合した。この粗混合した粉体を袋から全てヘンシェルミキサーに入れて、1500rpmで5分間混合した。
続いて、この混合した粉体をアルミナ匣鉢に充填した。次に、焼成炉中に酸素を充填し、該アルミナ匣鉢を焼成炉中に入れて0.1MPaの酸素雰囲気とし、350℃で2時間保持した後、490℃で8時間保持し、さらに昇温して750℃で4時間保持した。これを5℃/minで室温まで冷却した後、焼成炉から該アルミナ匣鉢をドライエアー中に取り出し、ロールクラッシャーとACMパルベライザーで解砕して実施例1の正極活物質とした。実施例1の正極活物質の比表面積を測定したところ、0.7m2/gであった。また、実施例1の正極活物質の粒子断面をEPMAで観察したところ、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の表面にNbが均一に被覆されており、粒子表面にリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物が露出していることはなかった。さらに、実施例1の正極活物質の平均粒径D50を測定したところ、14μmであった。
(比較例1)
実施例1と同じ前駆体粉体を用い、D90が20μm以下であるLiOH・H2Oとともに、湿度が60%の大気雰囲気にて物質量比Li/(Ni+Co+Mn+Nb)が1.01となるように一つの袋に計量し、袋を膨らませたまま開口部を手で握って粉が漏れないようにして、握ってない方の手を袋の底にあてて両方の手で袋を揺らして粗混合した。この粗混合した粉体を袋から全てヘンシェルミキサーに入れて、1500rpmで5分間混合し、この混合した粉体をアルミナ匣鉢に充填した。焼成炉中に酸素を充填し、該アルミナ匣鉢を焼成炉中に入れて0.1MPaの酸素雰囲気とし、350℃で2時間保持した後、490℃で8時間保持し、さらに昇温して750℃で4時間保持した。これを5℃/minで室温まで冷却した。冷却後、焼成炉から該アルミナ匣鉢をドライエアー中に取り出し、ロールクラッシャーとACMパルベライザーで解砕した。解砕した粉を、リチウムエトキシド、ニオブペンタエトキシドとともに、(Ni+Co+Mn):LiOC25:Nb(OC255=1:0.0033:0.0033の物質量比になるようにドライエアー中で秤量し、両アルコキシドをエタノール中に分散させて分散液となし、該解砕した粉および該分散液とともに常法にて転動流動装置によるリチウムニオブ酸化物被覆を行って比較例1の正極活物質とした。比較例1の正極活物質の比表面積を測定したところ、0.9m2/gであった。また、比較例1の正極活物質の粒子断面をEPMAで観察したところ、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の表面にNbが被覆されていたが、ところどころ無被覆の部分が存在していて粒子表面が露出しており、しかも粒子表面で凹部になっているところに多く存在していた。さらに、比較例1の正極活物質の平均粒径D50を測定したところ、14μmであった。
(参考例1)
実施例1および比較例1で用いた前駆体粉体に代えて、平均粒径D50が14μmで比表面積が6m2/gの前駆体粉体を用いたこと以外は比較例1と同様に正極活物質を作製した。この正極活物質の比表面積を測定したところ、0.3m2/gとなった。この正極活物質の粒子断面をEPMAで観察したところ、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の表面にNbが均一に被覆されており、粒子表面にリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物が露出していることはなかった。さらに、参考例1の正極活物質の平均粒径D50を測定したところ、14μmであった。
(比較例2)
実施例1においてロッキングミキサーでなく、振動ミルを用いて試験を行った。具体的には実施例1と同量の前駆体粉体、同量のシュウ酸ニオブ水溶液を直径5mmのアルミナメディアとともに振動ミルポットに入れ、60分混合した。このようにして得られたシュウ酸ニオブが被覆された前駆体粉体を用いて実施例1と同じように正極活物質を作製した。この正極活物質の比表面積は0.8m2/gであった。この正極活物質の粒子断面をEPMAで観察したところ、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の表面にNbが部分的にのみ被覆されていて、一部はリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物が粒子表面に露出していた。さらに、比較例2の正極活物質の平均粒径D50を測定したところ、10μmであった。
(参考例2)
実施例1においてロッキングミキサーでなく、手混練による試験を行った。具体的には実施例1と同量の前駆体粉体をガラス面上に載せ、実施例1と同量のシュウ酸ニオブ水溶液をビュレットから徐々に滴下しながらペイントナイフを用いて混練し、シュウ酸ニオブが被覆された前駆体粉体を得た。これをD90が20μm以下であるLiOH・H2Oとともに、湿度が60%の大気雰囲気にて物質量比Li/(Ni+Co+Mn+Nb)が1.01となるように一つの袋に計量し、袋を膨らませたまま開口部を手で握って粉が漏れないようにして、握ってない方の手を袋の底にあてて両方の手で袋を揺らして粗混合した。この粗混合した粉体を袋から全てヘンシェルミキサーに入れて、1500rpmで5分間混合し、この混合した粉体をアルミナ匣鉢に充填した。焼成炉中に酸素を充填し、該アルミナ匣鉢を焼成炉中に入れて0.1MPaの酸素雰囲気とし、350℃で2時間保持した後、490℃で8時間保持し、さらに昇温して750℃で4時間保持した。これを5℃/minで室温まで冷却した。冷却後、焼成炉から該アルミナ匣鉢をドライエアー中に取り出し、ロールクラッシャーとACMパルベライザーで解砕して参考例2の正極活物質とした。参考例2の正極活物質の比表面積を測定したところ、0.7m2/gであった。参考例2の正極活物質の粒子断面をEPMAで観察したところ、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の表面にNbが均一に被覆されており、粒子表面にリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物が露出していることはなかった。さらに、参考例2の正極活物質の平均粒径D50を測定したところ、14μmであった。

Claims (5)

  1. ニッケル、コバルト及びマンガンで構成される遷移金属の水酸化物であって、且つ、平均粒径D50が10μm以上で比表面積が20m2/g以上である水酸化物前駆体をロッキングミキサー中に投入し、シュウ酸ニオブ水溶液を噴霧してシュウ酸ニオブが被覆された前駆体粉体を作製する工程と、
    前記シュウ酸ニオブが被覆された前駆体粉体とリチウム化合物とを乾式混合して焼成する工程と、
    を含む全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法。
  2. 前記ニッケル、コバルト及びマンガンで構成される遷移金属の水酸化物前駆体におけるニッケルとコバルトとマンガンとの物質量比が、前記ニッケル、コバルト及びマンガンの総物質量を100とすると、85〜90:7〜9:0〜7.5(ただし、0を除く)で表され、前記リチウム化合物がLiOH・H2Oである請求項1に記載の全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法。
  3. 前記LiOH・H2OのD90が20μm以下である請求項2に記載の全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法。
  4. 前記正極活物質の平均粒径D50が10μm以上かつ比表面積が0.5m2/g以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の全固体リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法によって製造された全固体リチウムイオン電池用正極活物質を用いて正極層を形成し、前記正極層、固体電解質層及び負極層を用いて全固体リチウムイオン電池を製造する全固体リチウムイオン電池の製造方法。
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