はじめに、本発明の実施態様を列記して説明する。
雄型コネクタに関する本発明の第一の態様は、雄側ハウジングに保持された雄端子と、前記雄側ハウジングに突設されて前記雄端子の雄側接続部を包囲する筒状体と、前記雄側接続部の先端部を被覆する絶縁被覆部と、前記雄側接続部と前記筒状体の対向面間に形成された雌端子収容隙間と、前記筒状体の突出端面と側面に開口する雌端子収容孔とを含み、前記雌端子収容隙間と前記雌端子収容孔が、前記雄側接続部への手指の接触を阻止しつつ、相手側となる雌型コネクタにおける前記雄側接続部に接続される雌側接続部を含む雌端子の挿通を許容するように構成されている。
本態様に従う構造の雄型コネクタによれば、雄側接続部を包囲する筒状体において、突出端面と側面に開口する雌端子収容孔が設けられ、雄側接続部と筒状体の対向面間には雌端子収容隙間が形成されている。これにより、雄側接続部の軸方向の突出領域内に雌端子を収容することができ、雄型コネクタからの雌端子や雌端子を含む雌型コネクタの突出寸法を小さくできる。それゆえ、コネクタ装置の低背化を有利に実現することができる。
しかも、雌端子収容隙間と雌端子収容孔は、雄側接続部への手指の接触を阻止しつつ雌型コネクタにおける雄側接続部に接続される雌側接続部を含む雌端子の挿通を許容するような寸法に設定されている。それゆえ、筒状体の側面に開口する雌端子収容孔が形成された構造であっても、手指が雌端子収容孔を通過できず筒状体に当接する。これにより、雌端子収容孔からの雄側接続部に対する手指の接触が、確実に防止されている。また、雄側接続部の先端部は絶縁被覆部に被覆されている。雄側接続部の外周面は、手指の接触を阻止する寸法の雌端子収容隙間を隔てて包囲されている。これにより、雄側接続部の先端側から手指が接近した場合でも、絶縁被覆部と筒状体の先端面に手指が当接して雄側接続部との接触が阻止される。このように、雄型コネクタからの雌型コネクタの突出高さの低減やコネクタ装置の低背化の実現を、簡単な構造によって有利に実現できるのである。
加えて、雄側接続部には、少なくとも先端部に絶縁被覆部を設ければよい。それゆえ、雄側接続部の基端から先端部に亘って絶縁部材を延在させる必要があった従来構造に比して、雄端子の構造を簡素化できる。さらに、雄端子における雄側接続部の断面積も有利に確保できる。その結果、雄型コネクタの低コスト化や雄端子の小径化、ひいては雄型コネクタの小型化も有利に実現できる。
雄型コネクタに関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載の雄型コネクタにおいて、前記雄端子の前記雄側接続部は、前記先端部を除く部位が絶縁部材で覆われていないものである。
本態様によれば、筒状体の雌端子収容孔から外部に露出された部位を含む雄側接続部の外周面の全体を絶縁部材で覆われていない状態とすることができる。これにより、雄側接続部と雌端子の雌側接続部との接触面積を有利に確保して導通安定性を向上させることができる。加えて、雄側接続部自体の断面積も一層有利に確保できることから、雄側接続部の小径化や雄型コネクタの小型化に一層有利に寄与することができる。
雄型コネクタに関する本発明の第三の態様は、前記第一または第二の態様に記載の雄型コネクタにおいて、前記筒状体において、前記雌端子収容孔を画成する一対の周縁部から前記筒状体の外周側に突出する一対の接触防止リブが設けられており、該雌端子収容孔が前記一対の接触防止リブを含んで構成されているものである。
本態様によれば、雌端子収容孔を画成する一対の周縁部からそれぞれ外周側に突出する一対の接触防止リブを含んで雌端子収容孔が構成されている。これにより、接触防止リブの突出寸法だけ、手指を雄端子から遠ざけることができる。接触防止リブを設けることにより、触手防止機能を確保しつつ雌端子収容孔における一対の周縁部の周方向の離隔寸法を大きく確保することができる。また、雄型コネクタの相手方の雌端子に対応した設計自由度の向上を図ることができる。一対の接触防止リブを設けたことにより、切欠き状の雌端子収容孔が設けられた筒状体の剛性や耐久性の向上も併せて達成することができる。
雄型コネクタに関する本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れか一つの態様に記載の雄型コネクタにおいて、前記雄側ハウジングが、前記雄端子の基端部を収容する本体部を備え、前記本体部が、前記雌型コネクタが装着される雌型コネクタ装着面を有し、前記雌型コネクタ装着面の中央部分に前記雄端子の前記雄側接続部とそれを包囲する前記筒状体が突設されており、前記雌型コネクタ装着面の周縁部に前記筒状体と同方向に突出する雄側ハウジング嵌合部が突設されており、前記筒状体と前記雄側ハウジング嵌合部との間の領域が前記雌型コネクタの雌側ハウジングを収容する雌側ハウジング収容部とされているものである。
本態様によれば、雄端子の基端部を収容する雄側ハウジングの本体部が雌型コネクタ装着面を有しており、雌型コネクタ装着面から雄側接続部と筒状体が外方に突設されている。さらに、雌型コネクタ装着面の周縁部にハウジング嵌合部が突設されており、筒状体とハウジング嵌合部との間の空間を利用し雌側ハウジング収容部が形成されている。これにより、雄側接続部や筒状体の軸方向の突出領域内に雌端子に加え雌端子を収容する雌型コネクタの雌側ハウジングも収容することができる。雄型コネクタからの雌端子を含む雌型コネクタの突出寸法を確実に小さくできて、コネクタ装置の低背化を有利に実現することができる。
雄型コネクタに関する本発明の第五の態様は、前記第四の態様に記載の雄型コネクタにおいて、前記雄側ハウジング嵌合部の前記雌型コネクタ装着面からの突出寸法が、前記雄側接続部および前記筒状体の前記雌型コネクタ装着面からの突出寸法よりも大きくされており、前記雄側ハウジング嵌合部が、前記雌側ハウジングに設けられた雌側ハウジング嵌合部に嵌合することで、前記雌端子収容隙間および前記雌端子収容孔に対して、前記雌型コネクタの前記雌端子が、位置決めされるようになっているものである。
本態様によれば、雄側ハウジング嵌合部の突出高さを雄側接続部や筒状体の突出高さよりも大きくすることで、雄型コネクタの雄側ハウジング嵌合部の雌型コネクタの雌側ハウジング嵌合部への嵌合をガイドすることができる。その結果、雌端子の雌端子収容隙間および雌端子収容孔への位置決めを有利且つ簡便に達成することができる。雌端子収容隙間および雌端子収容孔を触手を防止する狭い寸法に設定した場合でも、雌雄のコネクタのスムーズな組み付け操作を安定して実現することができる。
コネクタ装置に関する本発明の第一の態様は、前記雄型コネクタに関する本発明の前記第一乃至第五の何れか一つの態様に記載の雄型コネクタと、該雄型コネクタと嵌合される雌型コネクタとを含むコネクタ装置であって、前記雌型コネクタは、前記雄端子の前記雄側接続部と接続される雌側接続部を含む雌端子と、前記雌端子を収容する雌側ハウジングとを備え、前記雌側ハウジングが、雄側接続部挿通部と筒状体挿通部を有し、前記雄側接続部挿通部と前記筒状体挿通部の間に、前記雌側接続部を含む前記雌端子が位置決めされた状態で保持されている。
本態様に従う構造のコネクタ装置によれば、本発明の雄型コネクタと嵌合される雌型コネクタを構成する雌側ハウジングにおいて、雄側接続部挿通部と筒状体挿通部が形成されてそれらの間に雌端子の雌側接続部が位置決めされた状態で保持されている。これにより、雄型コネクタの雄側接続部や筒状体の軸方向上方から、雌型コネクタを組み付けることにより、雌型コネクタの雌側ハウジングへの雄側接続部と筒状体の挿通が許容される。その結果、雄側接続部挿通部と筒状体挿通部の間に位置決めされた状態で保持された雌側接続部を含む雌端子を、雄型コネクタの雌端子収容隙間と前記雌端子収容孔に収容することができる。それゆえ、低背化されたコンパクトなコネクタ装置を簡単な構造で有利に実現することができる。
コネクタ装置に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のコネクタ装置において、前記雄型コネクタに設けられた前記雌端子収容隙間と前記雌端子収容孔には、前記雌端子の前記雌側接続部およびその近傍領域が収容されるようになっており、前記筒状体の外部に前記雌端子の電線接続部が収容されるようになっているものである。
本態様によれば、雌端子において、比較的薄肉に形成できる雌側接続部およびその近傍領域が雌端子収容隙間と雌端子収容孔に収容される。比較的厚肉に形成される電線接続部が、筒状体の外部に収容される。これにより、雄側接続部と雌端子の雌側接続部の接続を許容しつつ、雌端子収容隙間と雌端子収容孔の寸法を可能な限り小さくすることができる。それゆえ、接手防止機能を有利に実現することができる。
コネクタ装置に関する本発明の第三の態様は、前記第二の態様に記載のコネクタ装置において、前記雌端子の前記雌側接続部が、前記雌端子収容隙間に収容されて前記雄側接続部の外周面に圧接されるようになっており、前記雌端子の前記電線接続部から延出する電線が、前記筒状体の突出方向に直交する方向で前記雌端子収容孔の外方に延出しているものである。
本態様によれば、雄側接続部の外周面に圧接される雌側接続部を雌端子収容隙間に収容することができる。さらに、雌端子の電線接続部から延出する電線が、前記雌端子収容孔から筒状体の突出方向に直交する方向である軸直方向外方に延び出している。これにより、雄型コネクタの筒状体の軸方向上方に雌型コネクタから延び出す電線が延出すること等を回避することができる。雌端子収容隙間および雌端子収容孔を利用して、雄型コネクタを用いたコネクタ装置全体の低背化を一層有利に実現することができる。
コネクタ装置に関する本発明の第四の態様は、前記第三の態様に記載のコネクタ装置において、前記雌型コネクタの前記雌端子が、前記雄側接続部が圧入される内面によって前記雌側接続部を構成する雄端子挿通筒部と、前記雄端子挿通筒部の周方向の一か所が軸方向全長に亘って分離されることによって設けられた一対の第一分離部に連接して相互に離隔して外方に突出する一対の重ね板部と、前記雌端子に保持されて、前記一対の重ね板部を相互に重ね合せる方向に付勢して前記雄端子挿通筒部を縮径状態に保持する付勢手段とを備え、前記雄端子挿通筒部に前記雄側接続部が圧入される際には、前記付勢手段の付勢力に抗して前記雄端子挿通筒部が拡径方向に弾性変形されて前記雄側接続部の前記雄端子挿通筒部への圧入が許容されるようになっており、前記雄型コネクタの前記筒状体の外部に前記雌端子の前記付勢手段が収容されるようになっているものである。
本態様によれば、雌端子の雌側接続部が、雄端子挿通筒部によって構成されている。雄端子挿通筒部は、周方向の一か所において軸方向全長に亘って分離された一対の第一分離部を備えている。一対の第一分離部には、相互に離隔して外方に突出する一対の重ね板部が連接されている。雌端子に保持された付勢手段は、一対の重ね板部を相互に接近して重ね合される方向に付勢している。これにより、雄端子挿通筒部の一対の第一分離部が相互に接近して重ね合される方向に弾性変形され、付勢手段の付勢力によって、雄端子挿通筒部が縮径状態に保持されている。その上で、雄端子挿通筒部に雄側接続部が圧入される際には、付勢力に抗して、雄端子挿通筒部が拡径方向に弾性変形可能であることから、雄端子挿通筒部への雄側接続部の圧入が許容される。このような構造の本態様の雌端子においては、付勢手段の付勢力により、雄端子挿通筒部には縮径方向の力が加えられている。それゆえ、雄端子挿通筒部に圧入された雄側接続部に対して、雄端子挿通筒部の内面によって構成される雌側接続部を大きな接圧で圧接することが可能となる。
しかも、付勢手段は、雌端子に保持されていることから、雄端子を雌端子に接続した後に、別体のばね部材等を接続部分を挟持するように取り付ける必要がない。それゆえ、作業工程の簡素化を図ることができ、雌雄端子間の高い接圧を優れた作業性により実現することができる。
また、雄端子挿通筒部に雄側接続部が圧入される際に、付勢手段の付勢力に抗して雄端子挿通筒部の拡径方向の弾性変形が許容される。これにより、雄側接続部を雌端子の雌側接続部に向けて挿入する際の挿入力を有利に低減しつつ接圧状態を安定して保持することが可能となっている。
加えて、比較的大型となる雌端子の付勢手段は、雄型コネクタの筒状体の外部に収容される。それゆえ、本態様のごとき雌端子を採用した場合でも、雄型コネクタの筒状体に設けられた雌端子収容隙間および雌端子収容孔の寸法を大きくする必要がない。したがって、触手防止機能を維持しつつ、雌雄端子の接圧状態の向上や挿入力の低減を両立して達成することができる。
コネクタ装置に関する本発明の第五の態様は、前記第三または第四の態様に記載のコネクタ装置において、前記雄型コネクタが前記雄型コネクタに係る本発明の前記第五の態様に記載の雄型コネクタを用いて構成されており、前記雌側ハウジングには、前記雄側ハウジング嵌合部が嵌合する雌側ハウジング嵌合部が形成されており、前記雄型コネクタと前記雌型コネクタの嵌合時には、前記雄側ハウジング嵌合部と前記雌側ハウジング嵌合部が嵌合することにより、前記雄型コネクタの前記雌端子収容隙間および前記雌端子収容孔に対して、前記雌型コネクタの前記雌端子が位置決めされ、前記雌型コネクタの雄側接続部挿通部と筒状体挿通部が、前記雄型コネクタの前記雄側接続部と前記筒状体に対して位置決めされるようになっているものである。
本態様によれば、雄型コネクタと雌型コネクタの嵌合時には、雄側ハウジング嵌合部と雌側ハウジング嵌合部が最初に嵌合するようになっている。これにより、雄型コネクタの雌端子収容隙間および雌端子収容孔に対して、雌型コネクタの雌端子が位置決めされる。また、雌型コネクタの雄側接続部挿通部と筒状体挿通部が、雄型コネクタの雄側接続部と筒状体に対して位置決めされる。雄側ハウジング嵌合部と雌側ハウジング嵌合部の相互の嵌合による案内機能が発揮されて、狭い隙間への雌端子や雄側接続部、筒状体のそれぞれの挿通が安定して実現される。コネクタ装置の低背化の実現と嵌合容易性の両立が簡単な構造によって有利に実現される。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜6に、本発明の一実施形態としてのコネクタ装置10を示す。コネクタ装置10は、図示しない車載機器(例えば、ハイブリッド車等に搭載されたモータやインバータ等)に電力を供給するコネクタに適用した場合を例示するものである。コネクタ装置10は、互いに嵌合可能で、機器側に固定される雄型コネクタ12と、雌型コネクタ14とを備えている。なお、この機器は、シールド機能を有する金属製の取付体16を備えており、その取付体16には、取付体16の内外を貫通するコネクタ取付孔18(図2参照)が形成されている。なお、以下の説明において、上方とは、図1,3中の上方、下方とは、図1,3中の下方を言い、また前方とは、図1,4中の右方、後方とは、図1,4中の左方を言い、さらに長手方向とは、図1,4中の左右方向、幅方向とは、図3中の左右方向を言うものとする。また、理解を容易とするため、図5〜6では、取付体16を仮想線で記載している。
図7〜8に示されているように、雄型コネクタ12は、絶縁性を有する合成樹脂製の雄側ハウジング20に対して導電性を有する金属材料製の2つの雄端子22の一部が埋設されてモールド成形されたものである。なお、図8では、理解を容易とするために、一部が雄側ハウジング20に埋設された雄端子22の一方を雄側ハウジング20から取り出した状態で示している。2つの雄端子22は互いに同一形状とされており、先端側(図8中、奥方側)が略中実円筒形状を有する雄側接続部24とされている。雄側接続部24の基端部26は雄側接続部24よりも大径とされた略中実円筒形状を有している。また、基端部26から後端側(図8中、手前側)には後端側に向かって延び出して機器側に接続される略平板形状の機器側接続部28が設けられている。図3に示されているように、雄側接続部24の先端部には先端側(図3中、上側)に向かって開口する絶縁被覆部収容穴30が設けられている。絶縁被覆部収容穴30に対して、略リベット状の絶縁性を有する合成樹脂製の絶縁被覆部32の基端側が圧入あるいはモールド成形されて固定的に保持されている。これにより、雄側接続部24の先端部が絶縁被覆部32によって被覆されている。雄端子22の雄側接続部24は、先端部のみが絶縁性を有する絶縁被覆部32によって覆われており、先端部を除く部位は絶縁部材で覆われていない。それゆえ、先端部を除く部位が絶縁部材で覆われている従来構造に比して、雄側接続部24と後述する雌端子72の雌側接続部70間の接触面積を有利に確保して導通安定性を向上させることができる。しかも、雄側接続部24自体の断面積も絶縁部材の分だけ有利に確保できることから、雄側接続部24の小径化や雄型コネクタ12の小型化も可能となる。
一方、雄側ハウジング20は、平面視で略楕円形状を有する板状の本体部34を備えている。本体部34の中央部分における長手方向(図7中、左右方向)に離隔した2箇所において、2つの雄端子22の基端部26が埋設された状態で保持されている。各雄端子22の雄側接続部24が、本体部34の表面上に突設されている。本体部34の外周縁部には、全周に亘って雄側接続部24と同方向となる上方に向かって突出する周壁36が設けられている。また、本体部34の幅方向(図7中、上下方向)で対向する周壁36の幅方向両側の外周面には、それぞれ本体部34の長手方向に離隔した2箇所から本体部34の幅方向の外方に突出する取付脚部38が形成されている。各取付脚部38にはボルト挿通孔40が貫設されている。さらに、本体部34の表面が、後述する雌型コネクタ14を構成する雌側ハウジング本体66aが装着される雌型コネクタ装着面42を構成している。雌型コネクタ装着面42の中央部分には、本体部34の長手方向に離隔して配置された2つの雄端子22の雄側接続部24を外周側から包囲する一対の筒状体44,44がそれぞれ上方に向かって突設されている。各筒状体44は、雄端子22の雄側接続部24の外周面に略沿うように湾曲形成された一対の半円弧板部44a,44bを有している。一対の半円弧板部44a,44bは、雄側接続部24の径方向で互いに隙間を隔てて対向し、半円弧板部44aの周縁部と半円弧板部44bの周縁部が相互に周方向で隙間を隔てて対向している。各雄側接続部24と各筒状体44の対向面間には雌端子収容隙間46が形成されている。また、一対の半円弧板部44a,44bの周方向対向隙間により、筒状体44の径方向に対向する2か所(図7中、上下側)において、筒状体44の側面及び突出端面に開口する一対の雌端子収容孔48,48が形成されている。ここで、雌端子収容隙間46と雌端子収容孔48は、雄側接続部24に対する手指の接触を阻止しつつ、後述する相手側となる雌型コネクタ14における雌側接続部70を含む雌端子72の挿通を許容する寸法に設定されている。本実施形態では、各筒状体44の先端面が、雄側接続部24の先端面よりも上方に位置し、絶縁被覆部32の先端面よりも下方に位置するように設定されている(図3参照)。したがって、雄側接続部24の先端側から手指が接近した場合には、絶縁被覆部32と筒状体44の先端面に手指が当接して、雄側接続部24への触手が阻止される。
さらに、図7に示されているように、各筒状体44において、各雌端子収容孔48を画成する半円弧板部44a,44bのそれぞれの周縁部には、各筒状体44の外周側となる径方向外方に突出する一対の接触防止リブ50,50が設けられている。本実施形態では、雌端子収容孔48は一対の接触防止リブ50,50を含んで構成されていることから、接触防止リブ50の外周側への突出寸法分だけ、手指を雄側接続部24から遠ざけることができる。接触防止リブ50を設けたことにより、触手防止機能を確保しつつ各雌端子収容孔48を画成する半円弧板部44a,44bの周縁部の周方向の離隔寸法を大きく確保することができる。それゆえ、雄型コネクタ12の相手方の雌端子72に対する設計自由度を確保することができる。しかも、一対の接触防止リブ50,50を設けたことにより、切欠き状の雌端子収容孔48を設けたことによる筒状体44の剛性や耐久性の向上を図ることができる。
加えて、図7に示されているように、周壁36において、本体部34の長手方向で対向する部位には、周壁36に連接して周壁よりも上方に向かって突出する円弧状に湾曲された板状の雄側ハウジング嵌合部52a,52aが突設されている。さらに、周壁36において、本体部34の幅方向の一方側(図7中、上側)に位置する部位にも、周壁36に連接して周壁よりも上方に向かって突出する平板状の雄側ハウジング嵌合部52bが突設されている。そして、筒状体44と雄側ハウジング嵌合部52a,52a,52bとの間の領域が後述する雌型コネクタ14の雌側ハウジング66を構成する雌側ハウジング本体66aを収容する雌ハウジング収容部53とされている。このように、雄側ハウジング20には、雌型コネクタ装着面42の中央部分から雄側接続部24とそれを包囲する筒状体44が突設されている。雌型コネクタ装着面42の周縁部に雄側ハウジング嵌合部52a,52a,52bが突設されており、筒状体44と雄側ハウジング嵌合部52a,52a,52b間の空間を利用して雌ハウジング収容部53が形成されている。
また、図3に示されているように、雄側ハウジング嵌合部52a,52a,52bの雌型コネクタ装着面42からの突出寸法は、互いに同一とされ、雄側接続部24および筒状体44の雌型コネクタ装着面42からの突出寸法よりも大きくされている。さらに、雌側ハウジング66が、後述する雄側接続部挿通部116と筒状体挿通部118を有しており、雄側接続部挿通部116と筒状体挿通部118の間に、雌側接続部70を含む雌端子72が位置決めされた状態で保持される。このように、雄側ハウジング嵌合部52a,52a,52bの突出高さを雄側接続部24や筒状体44の突出高さよりも大きくすることにより、雄側ハウジング嵌合部52a,52a,52bの雌型コネクタ14に設けられた後述する雌側ハウジング嵌合部146a,146a,146bへの嵌合が、ガイド機能を発揮する。これにより、雄端子22の雌端子収容隙間46および雌端子収容孔48への位置決めを有利且つ簡便に達成することができる。したがって、触手を防止するために雌端子収容隙間46および雌端子収容孔48を狭くせざるを得ない場合でも、雄型コネクタ12と雌型コネクタ14のスムーズな組み付けを安定して実現できる。
雄側ハウジング20の本体部34における雌型コネクタ装着面42の裏面には、2つの雄端子22の基端部26および機器側接続部28を埋設する略ブロック状の埋設部54が突設されている。埋設部54には、一対の開口部58,58が形成されており、各開口部58から各雄端子22の機器側接続部28が外部に露呈されている。各開口部58には、機器側接続部28に重ね合されて配置される金属製のナット60が収容されている。さらに埋設部54に対して、一対の開口部58を覆う合成樹脂製の蓋体62が組み付けられており、各開口部58に収容されたナット60が収容状態に保持される。なお、機器側接続部28、ナット60および蓋体62にはいずれも、相手側の接続部をナット60にボルト固定するための貫通孔が貫設されている。また、雌型コネクタ装着面42の裏面には、外周縁部の略全周に亘って延びるゴム製でリング状の防水部材64が取り付けられている。
一方、雌型コネクタ14は、絶縁性を有する合成樹脂製の雌側ハウジング66に対して2つの雌端子付電線68が位置決めされた状態で収容されている。図9に示されているように、雌端子付電線68は、略円筒状のピン形状を有する雄端子22の雄側接続部24と接続される雌側接続部70を含む導電性を有する金属製の雌端子72を有している。さらに、雌端子付電線68は、雌端子72に組み付けられ、収容空所を有するばね収容ケース74を有している。本実施形態では、雌端子72は、帯状の金属平板を用いて構成されており、金属平板の長手方向の一端部が他端部上に向かって2つ折り状に折り重ねられている。重ね合わせ面の長手方向の中間部分が相互に離隔する方向に向かって湾曲されることにより、略円筒状の雄端子挿通筒部76が形成されている。この雄端子挿通筒部76の内面によって雌側接続部70が構成されている。
また、2つ折り状に折り重ねられた金属平板の折り返し部分が位置する雌端子72の一端側が電線接続部78とされており、電線接続部78に対して電線80の芯線82が接続されている。より詳細には、電線80は、導体である銅やアルミニウムその他の金属線の複数を束ね合わせた芯線82が、エチレン系樹脂やスチレン系樹脂等の電気絶縁性を有する絶縁被覆84で覆われた構造とされている。そして、電線80の端末において絶縁被覆84を剥いで露呈された芯線82を、例えば抵抗溶接等の公知の技術を用いて雌端子72の電線接続部78に固着することにより電線80の芯線82が雌端子72に対して接続される。
このような構成とされた雌端子72に対してばね収容ケース74が組み付けられている。ばね収容ケース74は、雌端子72において金属平板の長手方向の一端部が他端部上に向かって2つ折り状に折り重ねられた部分の上方に収容空所が配設されるように、雌端子72に対して組み付けられている。雌端子72に組み付けられたばね収容ケース74の収容空所には、金属製のコイルばね86が圧縮状態で収容されており、重ね合わされた金属平板の一端部と他端部が、コイルばね86によって相互に接近する方向に向かって付勢されている。
すなわち、雌端子付電線68を構成する雌端子72は、雄側接続部24が圧入される雄端子挿通筒部76を有しており、雄端子挿通筒部76の内面によって雌側接続部70が構成されている。それゆえ、雄端子22の雄側接続部24が雌端子72の雄端子挿通筒部76の内面に圧接されることにより、雌端子72が雄端子22に対して接続されるようになっている。また、雌端子72は、雄端子挿通筒部76の周方向の一か所(図9中、左側)が軸方向全長に亘って分離されることによって一対の第一分離部88,88が設けられている。一対の第一分離部88,88には、相互に離隔して外方(図9中、左斜め下方)に突出する一対の略平板状の重ね板部90,90が連接されている。さらに、一対の略平板状の重ね板部90,90上には、一対の重ね板部90,90を相互に重ね合せる方向に付勢する付勢手段を構成する、ばね収容ケース74に保持されたコイルばね86が、組付けられている。この付勢手段によって、雄端子挿通筒部76が縮径状態に保持されている。すなわち、雄端子挿通筒部76に雄側接続部24が圧入される際には、付勢手段を構成するコイルばね86の付勢力に抗して雄端子挿通筒部76が拡径方向に弾性変形されて雄側接続部24の雄端子挿通筒部76への圧入を許容するようになっている。
このような構造とされた本実施形態の雌端子72によれば、付勢手段を構成するコイルばね86の付勢力により、雄端子挿通筒部76に縮径方向の力が加えられている。それゆえ、雄端子挿通筒部76に圧入された雄側接続部24に対して、雄端子挿通筒部76の内面によって構成される雌側接続部70を大きな接圧で圧接することが可能となっている。また、付勢手段を構成するコイルばね86は予め雌端子72に組付けられていることから、雄端子22を雌端子72に対して接続した後に、雌雄端子間の接圧を確保するために従来の如き別体のばね部材等を取り付ける必要がない。それゆえ、雄端子22と雌端子72の高い接圧による接続を優れた作業性により実現することができる。しかも、コイルばね86の付勢力に抗して雄端子挿通筒部76の拡径方向の弾性変形が許容されるようになっていることから、雄側接続部24を雌側接続部70に圧入する際の挿入力を有利に低減しつつ接圧状態を安定して保持することが可能となっている。
このような構成とされた2つの雌端子付電線68が、雌側ハウジング66に対して位置決めされた状態で保持されて雌型コネクタ14が構成されている。図3,図12,図14等に示すように、雌側ハウジング66は、2つの雌端子付電線68を収容して保持する雌側ハウジング本体66aと、雌側ハウジング本体66aを下方側から覆蓋する雌側ロアカバー66bと、雌側ハウジング本体66aを上方側から覆蓋する雌側アッパカバー66cを含んで構成されている。
図10,11に示されているように、雌側ハウジング本体66aは、2つの雌端子付電線68をそれぞれ収容して保持する2つの略円筒形状の雌端子収容筒部92と、2つの雌端子収容筒部92を連結する連結筒部94を備えている。各雌端子収容筒部92は、基端側が開口されており、内部への雌端子付電線68の収容が可能となっている。連結筒部94は、隙間を隔てて並列状態で配置された2つの雌端子収容筒部92の長さ方向の中間部分を相互に連結するように2つの雌端子収容筒部92の間に跨って設けられている。2つの雌端子収容筒部92の並列方向で外側に位置する各雌端子収容筒部92の側面には、雌側アッパカバー66cが装着される側となる上方側(図10中、右側)に向かって片持ち梁状に突設され突出端部に係合突起が形成された係合部96が雌端子収容筒部92の長さ方向に離隔した2か所において突設されている。図10,12に示されているように、連結筒部94は、2つの雌端子収容筒部92の並列方向での対向側面間を連結する中央連結部97と、中央連結部97に連接して2つの雌端子収容筒部92の上面(係合部96の突出側の面)に跨って広がる天壁部98と、中央連結部97に連接して2つの雌端子収容筒部92の下面(雌側ロアカバー66bが取り付けられる面)に跨って広がる筒状フード部99を有している。天壁部98の中央部には、中央連結部97に設けられた凹所100が開口している。筒状フード部99は、雌側ハウジング本体66aの底面視で略楕円形状とされており(図11,13参照)、各雌端子収容筒部92の下面に設けられた開口窓101が筒状フード部99によって包囲されている。筒状フード部99の外周面には、ゴム製のリング状防水部材102が取り付けられている。このような構成とされた雌側ハウジング本体66aの各雌端子収容筒部92に対して、雌端子付電線68の雌端子72が、雌端子収容筒部92の基端側の開口から圧入されている。ここで、雌端子付電線68の電線80の絶縁被覆84上には、雌端子72側から順に、略リング状の合成樹脂製の防水部材104と、合成樹脂製の略半円筒形状の一対の固定部材106,106が組み付けられている。図11に示されているように、雌端子72は、雄端子挿通筒部76の軸方向が雌端子収容筒部92の上下方向となるように収容されており、雄端子挿通筒部76の一方の開口部が開口窓101を介して外部に露呈されている。
続いて、雌側ロアカバー66bが雌側ハウジング本体66aの連結筒部94における筒状フード部99に対して組み付けられ、各雌端子収容筒部92に設けられた開口窓101が、雌側ロアカバー66bによって覆蓋される。図12,13に示されているように、雌側ロアカバー66bは、筒状フード部99に収容可能で且つ筒状フード部99の開口を覆い得る大きさで形成された略楕円形状の底壁部108を有している。底壁部108の長手方向(図12中、上下方向)の中央部には長手方向に離隔して対向する一対の隔壁110,110が突設されている。各隔壁110は、底壁部108の長手方向に直交する方向で底壁部108の幅方向全長に亘って延出しており、底壁部108の上方となる筒状フード部99側に向かって突出する略矩形平板形状を有している。底壁部108の幅方向両側縁部における隔壁110の近傍には、片持ち梁状に突設され突出端部に係合突起が形成された係合部112が設けられている。また、底壁部108の長手方向の両側縁部には外周縁部に沿って湾曲しつつ上方に向かって突出する一対の嵌合壁114,114が設けられている。各嵌合壁114の周方向の中央部は切り欠かれている。この切欠部分にも片持ち梁状に突設され突出端部に係合突起が形成された係合部112が設けられている。図13に示されているように、底壁部108における隔壁110と嵌合壁114に囲まれた領域には、中央部に雄側接続部24が挿通される略円形断面形状の雄側接続部挿通部116が貫設されている。また、雄側接続部挿通部116を挟んだ両側には筒状体44が挿通される略円弧断面形状の筒状体挿通部118が貫設されている。このような構造の雌側ロアカバー66bが筒状フード部99に内挿された状態で組み付けられる。その際、雌側ロアカバー66bに設けられた係合部112が雌側ハウジング本体66aに設けられた被係合部120(図3参照)に係合する。これにより、雌側ロアカバー66bが雌側ハウジング本体66aに対して固定されている。そして、図13に示されているように、雄側接続部挿通部116と筒状体挿通部118の間に、雌側接続部70を含む雌端子72が位置決めされた状態で保持されている。開口窓101から露呈する雌端子72の雄端子挿通筒部76は、雄側接続部挿通部116の下方に略同軸上に配置されている。
続いて、雌側ロアカバー66bが組み付けられた雌側ハウジング本体66aに対して雌側アッパカバー66cが組み付けられる。図14に示されているように、雌側アッパカバー66cは、略矩形平板状の天壁部130と、天壁部130の外周縁部から雌側ハウジング本体66a側に向かって突出する周壁132を備えている。周壁132は、雌側ハウジング本体66aの両側面を囲う一対の側壁132a,132a(図14中、上下側)と、雌側ハウジング本体66aの先端面を覆う前壁132b(図14中、右側)から構成されている。雌端子収容筒部92,92の基端側に対応する天壁部130の後方側(図14中、左側)には周壁132は設けられていない。天壁部130の外周縁部には、雌側ハウジング本体66aの係合部96に対応する部位となる4ケ所に略矩形断面形状の被係合部134が貫設されている。天壁部130の中央部には略三角断面形状で天壁部130の後方から前方に向かって延びる突起136が形成されている。さらに、天壁部130の後方側の中央部には、ボルト固定部138が突設されている。そして、雌側ハウジング本体66aの上方側(図14中、下方側)から雌側アッパカバー66cを装着して雌側ハウジング本体66aを雌側アッパカバー66cで覆蓋する。この時、雌側アッパカバー66cの突起136が、雌側ハウジング本体66aの中央連結部97の凹所100に収容されるようになっている。これにより、雌側ハウジング本体66aの係合部96が雌側アッパカバー66cの被係合部134に係合して、雌側アッパカバー66cに対して雌側ハウジング本体66aが保持される。続いて、雌側ハウジング本体66aの雌端子収容筒部92に対して、一対の電線挿通筒部を備えて雌端子収容筒部92に外挿されて固定される中間部材140が組み付けられる。さらに、電線80の周囲を覆うシールド部材142(図1,2参照)を取り付けるための部材であって、一対の電線挿通筒部を備える取付部材144が、中間部材140に外挿されて固定される。このようにして、雌側ハウジング66を構成する雌側ハウジング本体66aと雌側ロアカバー66bと雌側アッパカバー66cに対して、雌端子付電線68が収容状態で配置された雌型コネクタ14が完成する。この雌型コネクタ14においては、図4に示されるように、雌側アッパカバー66cの一対の側壁132a,132aと雌側ハウジング本体66aの両側面との対向隙間に、一対の雌側ハウジング嵌合部146a,146aが形成されている。また、雌側アッパカバー66cの前壁132bと雌側ハウジング本体66aの先端面との間にも雌側ハウジング嵌合部146bが形成されている。
そして、雄型コネクタ12の雌型コネクタ装着面42に対して雌型コネクタ14の雌側ロアカバー66bを対向させた状態で、雄型コネクタ12に雌型コネクタ14を嵌め入れる。この時、はじめに雄側ハウジング嵌合部52a,52a,52bが雌側ハウジング嵌合部146a,146a,146b(図4参照)に嵌合されるようになっている。これにより、雄型コネクタ12の雌端子収容隙間46および雌端子収容孔48に対して、雌型コネクタ14の雌端子72の雌側接続部70及びその近傍領域が位置決めされる。併せて、雌型コネクタ14の雄側接続部挿通部116と筒状体挿通部118が、雄型コネクタ12の雄側接続部24と筒状体44に対して位置決めされている。このような位置決め状態を保持したまま、さらに雌型コネクタ14を雄型コネクタ12に向かって嵌め入れることにより、雌端子72の雌側接続部70が、雌端子収容隙間46に収容されて雄側接続部24の外周面に圧接され、雌型コネクタ14の雄側接続部挿通部116と筒状体挿通部118に、雄型コネクタ12の雄側接続部24と筒状体44が収容される。なお、この雄型コネクタ12と雌型コネクタ14の嵌合状態では、図4に示されているように、筒状体44の外部(図4中、左方側)に雌端子72の電線接続部78が収容されるようになっている。また、雌端子72の電線接続部78から延出する電線80が、筒状体44の突出方向に直交する方向で雌端子収容孔48の外方に延出されている(図1,4参照)。雌端子72のコイルばね86も雄型コネクタ12の筒状体44の外部に収容されるようになっている(図4、右方側)。付勢手段を構成するコイルばね86は大きくなるおそれがあるが、付勢手段が筒状体44の外部に収容できることから、筒状体44による触手防止機能を維持しつつ雌端子72と雄端子22の接圧状態の向上や挿入力の低減を両立して達成することができる。この雄型コネクタ12と雌型コネクタ14の嵌合状態で、中間部材140に設けられた固定部148(図14参照)と雌側アッパカバー66cに設けられたボルト固定部138の貫通孔を互いに位置合わせして取付体16の締結部位に対してボルト締結する。これにより、中間部材140と雌側アッパカバー66cが取付体16に取り付けられるようになっている。この結果、雄型コネクタ12と雌型コネクタ14が嵌合した状態で、取付体16に取り付けられている。
このような構造とされた雄型コネクタ12とコネクタ装置10によれば、雄端子22の雄側接続部24が突設された雄型コネクタ12の本体部34において、雄側接続部24を包囲する筒状体44が突設されている。筒状体44には、突出端面と側面に開口する雌端子収容孔48が設けられている(本実施形態では2箇所)。一方、雄側接続部24と筒状体44の対向面間には雌端子収容隙間46が形成されている。ここで、雌端子収容隙間46と雌端子収容孔48は、雄側接続部24に対する手指の接触を阻止しつつ、雌型コネクタ14における雄側接続部24に接続される雌側接続部70を含む雌端子72の挿通を許容するように構成されている。このように雌側接続部70を含む雌端子72を雌端子収容隙間46と雌端子収容孔48に収容して配置できることから、雄型コネクタ12からの雌端子72や雌端子72を含む雌型コネクタ14の突出寸法を小さくすることができ、コネクタ装置10の低背化を有利に実現できる。しかも、雌端子収容隙間46と雌端子収容孔48は、雄側接続部24に対する手指の接触を阻止する寸法をもって構成されていることから、本実施形態の如き筒状体44に雌端子収容孔48が形成された構造であっても、雄側接続部24に対する手指の接触は確実に防止されている。また、雄側接続部24の先端部は絶縁被覆部32で覆われていることから、雄側接続部24の先端側から手指が接近しても、絶縁被覆部32と筒状体44の協働により雄側接続部24に対する手指の接触が防止される。
本実施形態に従う構造のコネクタ装置10によれば、雌型コネクタ14において、雄側接続部挿通部116と筒状体挿通部118の間に、雌側接続部70を含む雌端子72が位置決めされた状態で保持されている。これにより、雄型コネクタ12の雄側接続部24や筒状体44の軸方向上方から、雌型コネクタ14を組み付ける際に、雌型コネクタ14の雌側ハウジング66に対する、雄型コネクタ12の雄側接続部24と筒状体44の挿通が許容される。それゆえ、雌側接続部70を含む雌端子72を雄型コネクタ12の雌端子収容隙間46と雌端子収容孔48にスムーズに収容して配置することができる。低背化されたコンパクトなコネクタ装置10を簡単な構造で有利に実現することができる。また、雌端子72において、比較的薄肉に形成できる雌側接続部70およびその近傍領域が雌端子収容隙間46と雌端子収容孔48に収容されて配置される。比較的厚肉に形成される電線接続部78やばね収容ケース74が、筒状体44の外部に収容されて配置されるようになっている。これにより、雌端子収容隙間46と雌端子収容孔48の寸法を可能な限り小さくすることができ、触手防止機能を確実に実現できる。
さらに、雌端子72の電線接続部78から延出する電線80が、筒状体44の突出方向に直交する方向で雌端子収容孔48の外方に延出するように配置されるようになっていることから、筒状体44の軸方向上方に電線80が延出すること等を回避することができる。それゆえ、雄型コネクタ12を用いたコネクタ装置10全体の低背化を一層有利に実現することができる。加えて、雄型コネクタ12と雌型コネクタ14の嵌合時には、雄側ハウジング嵌合部52a,52a,52bと雌側ハウジング嵌合部146a,146a,146bが最初に嵌合するようになっている。これにより、雄型コネクタ12の雌端子収容隙間46と雌端子収容孔48に対して、雌型コネクタ14の雌端子72が位置決めされる。一方、雌型コネクタ14の雄側接続部挿通部116と筒状体挿通部118が、雄型コネクタ12の雄側接続部24と筒状体44に対して位置決めされる。すなわち、雄側ハウジング嵌合部52a,52a,52bと雌側ハウジング嵌合部146a,146a,146bの相互の嵌合による案内機能が発揮されて、狭い隙間への雌端子72や雄側接続部24、筒状体44のそれぞれの挿通が安定して実現される。コネクタ装置10の低背化の実現と嵌合容易性の両立が簡単な構造によって有利に実現される。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、本実施形態では、雄側接続部24はピン形状とされていたが、平型等の任意の形状のものが採用可能である。また、雌端子収容孔48は2ヶ所に設けられていたが、1ヶ所でもよいし、3ヶ所に設けられていてもよい。さらに、本発明は、筒状体44によって画成される雌端子収容隙間46と雌端子収容孔48の寸法が雌側接続部70の挿通を許容し雄端子22への手指の接触を阻害するように構成されていればよく、その他のハウジングや雌雄端子さらには電線等の構成は任意のものが採用可能であることは言うまでもない。