JP2020060648A - ガラス繊維含有波長変換シリコーンシート及びそれを用いた光半導体装置 - Google Patents

ガラス繊維含有波長変換シリコーンシート及びそれを用いた光半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な低熱膨張性、自己接着性、接着耐久性、高熱伝導性を併せ持つガラス繊維含有波長変換シリコーンシートの提供。【解決手段】ガラス繊維含有波長変換シリコーンシート1であって、ガラス繊維を芯材4とし、1分子中に少なくとも1個のアリール基を有するオルガノシロキサン化合物を含有するとともに23℃で可塑性の固体状又は半固体状である熱硬化型シリコーン樹脂組成物5をガラス繊維に付着してなり、かつ、付着後の全質量を100質量%とした時に付着した樹脂組成物5が15〜70質量%である樹脂処理ガラス基材2と、熱硬化型シリコーン樹脂組成物と蛍光体とを含む波長変換シリコーンシート3とが、それぞれ少なくとも1層以上積層されてなるガラス繊維含有波長変換シリコーンシート1。【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス繊維含有波長変換シリコーンシート及びそれを用いた半導体装置に関する。
現代社会において照明は、白熱電球から始まり今ではLEDが一般化され全世界に波及している。また、LEDの薄型化、小型化の要求は絶えず続いており、更なる科学技術の進歩が期待されている。ところで、LEDの製造方法は著しく進歩してきている。安価な型に流し込むキャスティング方式からSMDへの封止材のポッティング方式、もしくは成型することにより製造されてきたが、最近ではCSP(Chip Size Packageの略)と呼ばれるチップの周囲に側壁を形成し、チップ上部に蛍光体層を搭載し、最後にチップ周囲をダイシングすることで従来のパッケージ材料と呼ばれるPPAなどの素材が用いられることがなくなり、成型、スプレーもしくは蛍光体層の貼り合わせによる手法を取ることが多くなってきた。
その際、蛍光体層、白色材料およびチップとのCTEのミスマッチにより、様々な信頼性試験において剥離やクラックが発生することがわかってきた。特に多いのがLEDと蛍光体層の剥離である。
その対策として、シリコーン組成物に蛍光体を混ぜた蛍光体フィルム用いて貼り合わせによりチップ上部に均一に分散した蛍光体層を形成することで接着を改善してきた(特許文献1)。しかし、この方法では蛍光体フィルムがチップやパッケージ材料からのストレスに耐えきれずクラックが発生してしまう問題が起こっている。
また、蛍光体層の下に、接着層として透明なシリコーン層を用いることで一括成型できるCSP材料も試みられている(特許文献2)。しかし、こちらはチップ側面にも補強効果がないシリコーンのみの透明層が存在し、高輝度化していくチップの応力に耐えうるものではなかった。
更に、ガラスクロスに屈折率を調整したシリコーン樹脂を含浸させることで、補強された高透明基板も提供されている(特許文献3)。しかし、この基板に蛍光体を入れただけでは、発光させると蛍光体層が前記ガラスクロスのうねりに追従してしまうため、細かい範囲内での色のばらつきが大きくなることがわかってきた。
また、蛍光体層を焼成したセラミックスにして、金ワイヤ接合部に穴を開けたLED部材も開示されている(特許文献4)が、セラミックスを作製するのは高額であり、自己接着性がないため、別途接着剤が必要となる。
そのうえ、補強層のない蛍光体シートと、拡散硬化を狙った拡散剤含有シートを貼り合わせることで補強された多層波長変換シリコーンシートをカットする際に、充填材が高充填されているとシートが脆弱であるため、カット部にクラックが発生したり、二層間で界面剥離などが発生したりしてしまう(特許文献5,6)。
特開2010−123802号公報 特開2016−119454号公報 特開2015−174937号公報 特開2016−222902号公報 特開2013−159003号公報 特開2014−138999号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、良好な低熱膨張性を有するとともに、自己接着性、接着耐久性、高熱伝導性を併せ持つガラス繊維含有波長変換シリコーンシート及び前記シリコーンシートの硬化物を封止樹脂層として用いた光半導体装置を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、本発明では、ガラス繊維含有波長変換シリコーンシートであって、該ガラス繊維含有波長変換シリコーンシートは、樹脂処理ガラス基材(I)と波長変換シリコーンシート(II)とが積層されたものであり、前記樹脂処理ガラス基材(I)は、ガラス繊維を芯材とし、1分子中に少なくとも1個のアリール基を有するオルガノシロキサン化合物を含有するとともに23℃で可塑性の固体状または半固体状である熱硬化型シリコーン樹脂組成物を前記ガラス繊維に付着させたものであり、かつ、付着後の全質量を100質量%とした時に付着した前記樹脂組成物が15〜70質量%となるものであり、前記波長変換シリコーンシート(II)は、前記熱硬化型シリコーン樹脂組成物と蛍光体とを含むものであり、かつ、前記樹脂処理ガラス基材(I)と前記波長変換シリコーンシート(II)とがそれぞれ少なくとも1層以上積層されてなるものであることを特徴とするガラス繊維含有波長変換シリコーンシートを提供する。
このようなガラス繊維含有波長変換シリコーンシートであれば、良好な低熱膨張性を有するとともに、自己接着性、接着耐久性、高熱伝導性を併せ持つものとなる。
前記樹脂処理ガラス基材(I)と前記波長変換シリコーンシート(II)における前記熱硬化型シリコーン樹脂組成物は、共に未硬化のものであることが好ましい。
この場合、自己接着性がより優れたものとなるうえに、樹脂処理ガラス基材(I)と波長変換シリコーンシート(II)のいずれの面でも積層することができる。
また、前記ガラス繊維が、ガラスクロス、ガラス不織布、ガラスウールまたはガラスチョップドストランドから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
このようなガラス繊維を含有することにより、熱衝撃試験での膨張および収縮が少なく、クラックや剥離がないものとすることができる。
この場合、前記ガラス繊維が、石英ガラスクロスであることが好ましい。
これにより、低線膨張と耐変色性を兼ね備えたガラス繊維含有波長変換シリコーンシートとすることができる。
また、前記ガラス繊維の表面がシランカップリング剤で処理されているものであることが好ましい。
これにより、樹脂とガラス繊維との密着性が向上したガラス繊維含有波長変換シリコーンシートとすることができる。
また、前記熱硬化型シリコーン樹脂組成物が、更に無機充填材を含むものであることが好ましい。
このようなガラス繊維含有波長変換シリコーンシートであれば、シートの熱膨張係数を低減することができる。
この場合、前記無機充填材のレーザー回折散乱法による一次平均粒径が0.05〜20μmであることが好ましい。
このような無機充填材であれば、充填性が向上するため、シートの熱膨張係数をより好ましいものとすることができる。
また、本発明は、上記ガラス繊維含有波長変換シリコーンシートの硬化物からなる樹脂封止層を有する光半導体装置を提供する。
このような光半導体装置であれば、熱衝撃を受けても膨張および収縮が少なく、クラックや剥離がないため信頼性が高く、また、補強層(樹脂処理ガラス基材)に蛍光体を含有しないため、ガラス繊維の目地に蛍光体が流れ込むことによる蛍光体層の色ばらつきが少なくなる。
以上のように、本発明のガラス繊維含有波長変換シリコーンシートであれば、自己接着性、低熱膨張性、波長変換均一性(即ち、波長変換膜としての色ばらつきが非常に少ないこと)を有するシリコーンシートを提供することができる。
補強層(樹脂処理ガラス基材(I))および蛍光体層(波長変換シリコーンシート(II))がそれぞれ1層以上存在する本発明のガラス繊維含有波長変換シリコーンフィルムは、前記蛍光体層に自己接着性を持たせることもでき、補強層自体も自己接着性を付与することができ、両面ともに貼り合わせることができるので、チップ形状によって拡散状態を表裏の2条件変更できるため、新たに拡散層を作製する工程の省略が可能となる。また、補強層を導入することにより、充填材が高充填されていてもクラックなく界面剥離も起こさずにカットできるので波長変換シートとしては非常に扱いやすくなる。クロス内に蛍光体がないため、蛍光体が厚み方向に均一に存在しているため波長変換膜としての色ばらつきも非常に少なくなる。
本発明のガラス繊維含有波長変換シリコーンシートの一例を示す概略断面図である。 本発明のガラス繊維含有波長変換シリコーンシートの他の例を示す概略断面図である。
上述のように、良好な低熱膨張性を有するとともに、自己接着性、接着耐久性、高熱伝導性を併せ持つガラス繊維含有波長変換シリコーンシートの開発が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、補強層としての特定のシリコーン樹脂組成物をガラス繊維芯材に付着させた樹脂処理ガラス基材と、波長変換層としての前記シリコーン樹脂組成物と蛍光体とを含む波長変換シリコーンシートとがそれぞれ少なくとも1層以上積層されている構成により、良好な低熱膨張性、自己接着性、耐熱・耐光性、高熱伝導性などを併せ持った、高信頼性のシリコーンシートとすることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、ガラス繊維含有波長変換シリコーンシートであって、該ガラス繊維含有波長変換シリコーンシートは、樹脂処理ガラス基材(I)と波長変換シリコーンシート(II)とが積層されたものであり、前記樹脂処理ガラス基材(I)は、ガラス繊維を芯材とし、1分子中に少なくとも1個のアリール基を有するオルガノシロキサン化合物を含有するとともに23℃で可塑性の固体状または半固体状である熱硬化型シリコーン樹脂組成物を前記ガラス繊維に付着させたものであり、かつ、付着後の全質量を100質量%とした時に付着した前記樹脂組成物が15〜70質量%となるものであり、前記波長変換シリコーンシート(II)は、前記熱硬化型シリコーン樹脂組成物と蛍光体とを含むものであり、かつ、前記樹脂処理ガラス基材(I)と前記波長変換シリコーンシート(II)とがそれぞれ少なくとも1層以上積層されてなるものであることを特徴とするガラス繊維含有波長変換シリコーンシートである。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書中、「Me」はメチル基、「Ph」はフェニル基、「Vi」はビニル基を示す。
1.ガラス繊維含有波長変換シリコーンシート
本発明のガラス繊維含有波長変換シリコーンシートは、補強層としての樹脂処理ガラス基材(I)と波長変換層としての波長変換シリコーンシート(II)とがそれぞれ少なくとも1層以上積層されている。前記樹脂処理ガラス基材(I)は、ガラス繊維を芯材とし、1分子中に少なくとも1個のアリール基を有するオルガノシロキサン化合物を含有するとともに23℃で可塑性の固体状または半固体状である熱硬化型シリコーン樹脂組成物を前記ガラス繊維に付着させたものである。そして、前記波長変換シリコーンシート(II)は、前記熱硬化型シリコーン樹脂組成物と蛍光体とを含むものである。
図1を参照して本発明のガラス繊維含有波長変換シリコーンシートについて以下説明する。ガラス繊維含有波長変換シリコーンシート1は、樹脂処理ガラス基材(I)2と波長変換シリコーンシート(II)3とが積層されたものである。樹脂処理ガラス基材2は、ガラス繊維を芯材4とし、1分子中に少なくとも1個のアリール基を有するオルガノシロキサン化合物を含有するとともに23℃で可塑性の固体状または半固体状である熱硬化型シリコーン樹脂組成物5を前記ガラス繊維に付着させたものである。波長変換シリコーンシート3は、前記熱硬化型シリコーン樹脂組成物5と同じ樹脂組成物と蛍光体とを含むものである。
なお、図1では芯材4が層状でその両面に樹脂組成物5が付着しているような態様を示しているが、本発明は芯材4に樹脂組成物5が付着していればよく、かかる態様に限定されない。例えば、芯材4に樹脂組成物5が含浸されて一体となって樹脂処理ガラス基材2の全体を占めてもよいし、芯材4が樹脂組成物5に分散して樹脂処理ガラス基材2を構成してもよい。
ガラス繊維含有波長変換シリコーンシート1は、樹脂処理ガラス基材2と波長変換シリコーンシート3とがそれぞれ少なくとも1層以上積層されてなる。樹脂処理ガラス基材2と波長変換シリコーンシート3とが積層している態様は特に限定されないが、図1に示すように両者が1層ずつ積層している態様のほか、図2に示すように2つの波長変換シリコーンシート3で樹脂処理ガラス基材2を挟み込むようにして積層している態様や、図1に示す積層構造単位を複数回繰り返して積層している態様も可能である。
以下、樹脂処理ガラス基材(I)と波長変換シリコーンシート(II)それぞれについて説明する。
2.樹脂処理ガラス基材(I)
本発明を構成する樹脂処理ガラス基材(I)は、前記ガラス繊維含有波長変換シリコーンシートの補強層となるものである。前記樹脂処理ガラス基材は、(B)ガラス繊維を芯材とし、(A)23℃で半固体状または固体状である熱硬化型シリコーン樹脂組成物を前記ガラス繊維に付着させた基材である。なお、本発明において、(B)ガラス繊維に(A)熱硬化型シリコーン樹脂組成物を塗布、含浸させ、該組成物が未硬化の状態にあるものを特にプリプレグと言うものとする。以下、構成成分、製造方法について詳述する。
<(A)熱硬化性シリコーン樹脂組成物>
本発明の(A)成分である熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、23℃で可塑性の固体状または半固体状であり、1分子中に少なくとも1個のアリール基を有するオルガノシロキサン化合物を含有することを特徴とする。このような性状でない場合、すなわち前記樹脂組成物が液状である場合は、前記樹脂処理ガラス基材を作製する際の作業性等が劣るため好ましくない。また、前記オルガノシロキサン化合物は、1分子中に少なくとも1個のアリール基を有するものであれば特に限定されないが、後述する付加硬化型シリコーン樹脂や縮合硬化型シリコーン樹脂を構成するオルガノシロキサン化合物が好ましい。なお、前記樹脂組成物は、必要に応じてその他の成分を更に含むことができる。
なお、本明細書において、「半固体」とは可塑性を有し、特定の形状に成形されたときに少なくとも1時間、好ましくは8時間以上その形状を保持し得る物質の状態を云う。したがって、例えば、常温で非常に高い粘度を有する流動性物質が本質的には流動性を有するものの、非常に高い粘度のために少なくとも1時間という短時間では付与された形状に変化(即ち、くずれ)を肉眼では認めることができないとき、その物質は半固体の状態にある。可塑性の固体又は半固体の状態であるので組成物は取り扱い性がよく作業性が高い。
この熱硬化性シリコーン樹脂組成物としては、(A1)、(A2)、(A3)で構成される付加硬化型シリコーン樹脂組成物と、(A4)および(A5)で構成される縮合硬化型シリコーン樹脂組成物が挙げられる。そして、前記熱硬化性シリコーン樹脂組成物を構成するオルガノシロキサン化合物としては、付加硬化型シリコーン樹脂組成物を構成する(A1)、(A2)成分と、縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を構成する(A4)、(A5)成分とが挙げられる。
なお、(A)成分である熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、1分子中に少なくとも1個のアリール基を有するオルガノシロキサン化合物を含有することを特徴とするものであるため、以下に説明する(A1)または(A2)成分のいずれか1つが1分子中に少なくとも1個のアリール基を有するオルガノシロキサン化合物である必要があり、(A4)または(A5)成分のいずれか1つが1分子中に少なくとも1個のアリール基を有するオルガノシロキサン化合物である必要がある。(A1)及び(A2)成分の両方、または、(A4)及び(A5)成分の両方に少なくとも1個のアリール基を有していることが好ましい。
<付加硬化型シリコーン樹脂組成物>
[(A1)成分]
(A1)成分は、下記平均組成式(1)
(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2 (1)
(式中、Rは独立に水酸基、炭素数1〜10の1価飽和炭化水素基、炭素数6〜14の1価芳香族炭化水素基、及び炭素数2〜10のアルケニル基から選ばれる基であり、Rの少なくとも2個はアルケニル基であり、a、b、c、dは、a≧0、b≧0、c≧0、d≧0、a+b+c+d=1、及び0<(c+d)<1.0を満足する数である。)で示され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン(即ち、不飽和基含有オルガノポリシロキサン)である。
(A1)成分は、(RSiO3/2)単位[T単位]及び(SiO4/2)単位[Q単位]のいずれか又は両方を含有するものであり、このような分岐構造を含むことで、良好な機械的強度を有したシリコーン樹脂シートが得られる。
上記平均組成式(1)において、Rは独立に水酸基、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6の1価飽和炭化水素基、炭素数6〜14、好ましくは6〜10、より好ましくは6〜8の1価芳香族炭化水素基、及び炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜8、より好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基から選ばれる基である。Rの具体例としては、水酸基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基等のアルケニル基等が挙げられる。これらの中でも、特にメチル基、フェニル基、及びビニル基が好ましい。
(A1)成分の具体例としては、例えば、(RSiO1/2)単位[M単位]、(RSiO2/2)単位[D単位]、及び(RSiO3/2)単位[T単位]を有する、以下のオルガノポリシロキサンが挙げられる。
(MeViSiO1/2a1(MeSiO2/2b1(PhSiO3/2c1
(MeViSiO1/2a2(MeViSiO2/2b2(PhSiO3/2c2
(MeViSiO1/2a3(MePhSiO2/2b3(PhSiO3/2c3
(MeViSiO1/2a4(PhSiO2/2b4(PhSiO3/2c4
(MeViSiO1/2a5(PhSiO2/2b5(MeSiO3/2c5
(MeViSiO1/2a6(MeSiO2/2b6(MeViSiO2/2b7(PhSiO3/2c6
(MeViSiO1/2a7(MePhSiO2/2b8(MeViSiO2/2b9(PhSiO3/2c7
(MeViSiO1/2a8(MeSiO2/2b10(PhSiO3/2c8
(MeViSiO1/2a9(MePhSiO1/2a10(MePhSiO2/2b11(MeSiO3/2c9
(式中、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7、a8、a9、a10、b1、b2、b3、b4、b5、b6、b7、b8、b9、b10、b11、c1、c2、c3、c4、c5、c6、c7、c8、及びc9は、それぞれ、0.01≦a1≦0.6、0.01≦a2≦0.6、0.01≦a3≦0.6、0.01≦a4≦0.6、0.01≦a5≦0.6、0.01≦a6≦0.2、0.01≦a7≦0.2、0.01≦a8≦0.6、0.01≦a9≦0.2、0.01≦a10≦0.2、0.005≦b1≦0.5、0.005≦b2≦0.5、0.005≦b3≦0.5、0.005≦b4≦0.5、0.005≦b5≦0.5、0.2≦b6≦0.7、0.01≦b7≦0.2、0.2≦b8≦0.7、0.01≦b9≦0.2、0.005≦b10≦0.5、0.4≦b11≦0.9、0.24≦c1≦0.9、0.24≦c2≦0.9、0.24≦c3≦0.9、0.24≦c4≦0.9、0.24≦c5≦0.9、0.2≦c6≦0.7、0.2≦c7≦0.7、0.24≦c8≦0.9、0.01≦c9≦0.2、かつa1+b1+c1=1、a2+b2+c2=1、a3+b3+c3=1、a4+b4+c4=1、a5+b5+c5=1、a6+b6+b7+c6=1、a7+b8+b9+c7=1、a8+b10+c8=1、a9+a10+b11+c9=1を満たす数である。)
また、(A1)成分の他の具体例としては、例えば、(RSiO3/2)単位[T単位]のみを有する、以下のオルガノポリシロキサンが挙げられる。
(PhSiO3/2c10(ViSiO3/2c11
(MeSiO3/2c12(ViSiO3/2c13
(式中、c10、c11、c12、及びc13は、それぞれ、0.5≦c10≦0.95、0.05≦c11≦0.5、0.5≦c12≦0.98、0.02≦c13≦0.5、かつc10+c11=1、c12+c13=1を満たす数である。)
また、(A1)成分の他の具体例としては、例えば、(RSiO1/2)単位[M単位]、(RSiO2/2)単位[D単位]、及び(SiO4/2)単位[Q単位]を有する、以下のオルガノポリシロキサンが挙げられる。
(MeViSiO1/2a11(PhSiO2/2b12(SiO4/2d1
(MeSiO1/2a12(MeViSiO1/2a13(MePhSiO2/2b13(MeViSiO2/2b14(PhSiO2/2b15(SiO4/2d2
(式中、a11、a12、a13、b12、b13、b14、b15、d1、及びd2は、それぞれ、0.1≦a11≦0.7、0.02≦a12≦0.3、0.05≦a13≦0.4、0.1≦b12≦0.2、0.02≦b13≦0.3、0.005≦b14≦0.1、0.1≦b15≦0.5、0.1≦d1≦0.7、0.1≦d2≦0.6、かつa11+b12+d1=1、a12+a13+b13+b14+b15+d2=1を満たす数である。)
また、(A1)成分の他の具体例としては、例えば、(RSiO1/2)単位[M単位]及び(SiO4/2)単位[Q単位]を有する、以下の不飽和基含有オルガノポリシロキサンが挙げられる。
(MeViSiO1/2a14(SiO4/2d3
(MeSiO1/2a15(MeViSiO1/2a16(SiO4/2d4
(MeSiO1/2a17(MePhViSiO1/2a18(SiO4/2d5
(式中、a14、a15、a16、a17、a18、d3、d4、及びd5は、それぞれ、0.01≦a14≦0.5、0.1≦a15≦0.5、0.05≦a16≦0.3、0.1≦a17≦0.5、0.05≦a18≦0.3、0.5≦d3≦0.99、0.3≦d4≦0.85、0.3≦d5≦0.85、かつa14+d3=1、a15+a16+d4=1、a17+a18+d5=1を満たす数である。)
中でも、前記T単位を必須とするオルガノポリシロキサンが好ましく、T単位、D単位及びM単位を必須とするオルガノポリシロキサンがより好ましく、前記D単位が連続したものであることがさらに好ましい。このようなオルガノポリシロキサンであれば、23℃で固体状または半固体状となりやすいため、取扱い性が良好となる。
加えて、上記(MeViSiO1/2)単位のように、分子鎖末端にアルケニル基(ビニル基)を有することが好ましく、上記(MeViSiO1/2)単位に加えて、上記(MeViSiO2/2)単位のように、分子鎖側鎖にもアルケニル基(ビニル基)を有することがさらに好ましい。
なお、(A1)成分のオルガノポリシロキサンは、上記の具体例に限定されるものではない。また、(A1)成分としては、上記のようなオルガノポリシロキサンを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(A1)成分のポリスチレン換算での重量平均分子量は、1,000〜1,000,000の範囲内であることが好ましい。
なお、本発明中で言及する重量平均分子量とは、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量を指すこととする。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolomn SuperH−L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL(濃度0.5重量%のTHF溶液)
(A1)成分のオルガノポリシロキサンは、各単位の原料となる化合物を、生成ポリマー中で各シロキサン単位が所要のモル比となるように組み合わせ、例えば酸の存在下で共加水分解縮合を行うことによって合成することができる。
各シロキサン単位の原料としては、各シロキサン単位に相当するクロロシラン類、これらそれぞれのクロロシラン類に対応するメトキシシラン類等のアルコキシシラン類等を例示することができる。
[(A2)成分]
(A2)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子(以下、「SiH基」とも称する)を1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、上述の(A1)成分の架橋剤として作用する成分である。
(A2)成分の具体例としては、例えば、以下のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
(MeHSiO1/2e1(MeSiO2/2f1(PhSiO3/2g1
(MeHSiO1/2e2(MeSiO2/2f2(MeHSiO2/2f3(PhSiO3/2g2
(MeHSiO1/2e3(PhSiO3/2g3
(MeHSiO1/2e4(MeSiO3/2g4
(MeHSiO2/2f4(PhSiO3/2g5
(MeHSiO2/2f5(MeSiO3/2g6
(MeHSiO2/2f6(MeSiO2/2f7(PhSiO3/2g7
(MeHSiO2/2f8(MePhSiO2/2f9(PhSiO3/2g8
(MeHSiO1/2e5(PhSiO2/2f10
(MeHSiO1/2e6(MeSiO2/2f11
(MeSiO1/2e7(MeHSiO2/2f12
(MeSiO1/2e8(MeHSiO2/2f13(PhSiO2/2f14
(MeSiO1/2e9(MeHSiO2/2f15(MeSiO2/2f16
(式中、e1、e2、e3、e4、e5、e6、e7、e8、e9、f1、f2、f3、f4、f5、f6、f7、f8、f9、f10、f11、f12、f13、f14、f15、f16、g1、g2、g3、g4、g5、g6、g7、及びg8は、それぞれ、0.01≦e1≦0.5、0.01≦e2≦0.5、0.3≦e3≦0.9、0.01≦e4≦0.9、0.3≦e5≦0.9、0.05≦e6≦0.7、0.1≦e7≦0.7、0.01≦e8≦0.2、0.01≦e9≦0.3、0.09≦f1≦0.75、0.045≦f2≦0.7、0.045≦f3≦0.7、0.05≦f4≦0.5、0.05≦f5≦0.5、0.01≦f6≦0.2、0.2≦f7≦0.8、0.01≦f8≦0.2、0.2≦f9≦0.8、0.1≦f10≦0.7、0.3≦f11≦0.95、0.3≦f12≦0.9、0.3≦f13≦0.9、0.05≦f14≦0.5、0.1≦f15≦0.6、0.3≦f16≦0.8、0.24≦g1≦0.9、0.24≦g2≦0.9、0.1≦g3≦0.7、0.1≦g4≦0.99、0.5≦g5≦0.95、0.5≦g6≦0.95、0.1≦g7≦0.7、0.1≦g8≦0.7、かつe1+f1+g1=1、e2+f2+f3+g2=1、e3+g3=1、e4+g4=1、f4+g5=1、f5+g6=1、f6+f7+g7=1、f8+f9+g8=1、e5+f10=1、e6+f11=1、e7+f12=1、e8+f13+f14=1、e9+f15+f16=1を満たす数である。)
中でも、前記T単位を必須とするオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましく、T単位及びD単位を必須とするオルガノハイドロジェンポリシロキサンがより好ましく、前記D単位が連続したものであることがさらに好ましい。
加えて、上記(HMeSiO2/2)単位のように、分子鎖側鎖にケイ素原子に直結した水素原子(ヒドロシリル基)を有することが好ましい。
なお、(A2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、上記の具体例に限定されるものではない。また、(A2)成分としては、上記のようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(A2)成分の配合量は、上記(A1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり、(A2)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)の量が0.1〜5.0モルとなる量であり、好ましくは0.1〜4.0モルとなる量、より好ましくは0.5〜3.0モルとなる量、特に好ましくは0.8〜2.0モルとなる量である。0.1モル以上であれば硬化反応を十分に進行させることができるため、容易に硬化物を得ることができ、5.0モル以下であれば未反応のSiH基が硬化物に多量に残存する恐れがないため、硬化物の特性が経時的に変化することを防止できる。
(A2)成分のポリスチレン換算での重量平均分子量は、100〜1,000,000の範囲内であることが好ましい。
(A2)成分のオルガノポリシロキサンは、各単位の原料となる化合物を、生成ポリマー中で各シロキサン単位が所要のモル比となるように組み合わせ、例えば酸の存在下で共加水分解縮合を行うことによって合成することができる。
各シロキサン単位の原料としては、各シロキサン単位に相当するクロロシラン類、これらそれぞれのクロロシラン類に対応するメトキシシラン類等のアルコキシシラン類等を例示することができる。
本発明では、接着性付与のために、上記の(A1)成分及び(A2)成分のいずれか又は両方を、シラノール基(ケイ素原子結合水酸基)を含有するポリシロキサンとすることが好ましい。なお、この場合、シラノール基を有するシロキサン単位の量は、全シロキサン単位に対して40モル%以下(0〜40モル%)が好ましく、0.1〜10モル%とすることがより好ましい。
また、前記(A1)及び(A2)成分は、その製法上アルコキシ基を含んでいてもよい。具体的には、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、アルコキシ基を有するシロキサン単位の量としては、全シロキサン単位に対して10モル%以下が好ましく、0〜5モル%とすることがより好ましい。
[(A3)成分]
(A3)成分は、白金族金属系触媒(硬化触媒)であり、前記付加硬化型シリコーン樹脂組成物の付加硬化反応を生じさせるために配合される成分である。
(A3)成分としては、ヒドロシリル化反応を促進する白金族金属系触媒であれば、従来公知のいずれのものも使用することができる。(A3)成分として、具体的には、コスト等の観点から、白金、白金黒、塩化白金酸等の白金系のもの、例えば、HPtCl・pHO、KPtCl、KHPtCl・pHO、KPtCl、KPtCl・pHO、PtO・pHO、PtCl・pHO、PtCl、HPtCl・pHO(ここで、pは、正の整数)等や、これらと、オレフィン等の炭化水素、アルコール、又はビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等が挙げられる。なお、(A3)成分としては、上記のような触媒を1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(A3)成分の配合量は、硬化のための有効量でよく、通常、上記(A1)成分及び(A2)成分の合計量に対して白金族金属として質量換算で0.1〜500ppm、特に好ましくは0.5〜100ppmの範囲である。前述の範囲で(A3)成分を配合することで、良好な生産性で透明な樹脂処理ガラス基材を得ることができる。
<縮合硬化型シリコーン樹脂組成物>
縮合硬化型シリコーン樹脂組成物は、(A4)成分および(A5)成分(縮合促進剤)を含む。以下(A4)及び(A5)について詳述する。
[(A4)成分]
(A4)成分は、この組成物の主剤となるものであり、下記平均組成式(2)
(R’SiO1/2a’(R’SiO2/2b’(R”SiO3/2c’(SiO4/2d’ (2)
(Rは水素原子、炭素数1〜10の一価脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、水酸基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基であり、a’、b’、c’、及びd’は各々0以上の整数であり、b’+c’+d’は1以上の整数である。)
で示されるオルガノポリシロキサンであり、アルコキシ基、水酸基または水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンである。上記平均組成式(2)において、R’は独立に水素原子、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6の1価飽和炭化水素基、炭素数6〜12、好ましくは6〜10、より好ましくは6〜8の1価芳香族炭化水素基、水酸基、炭素数1〜6、好ましくは1〜4のアルコキシ基から選ばれる基である。R’の具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。これらの中でも、特に水素原子、メチル基、フェニル基、水酸基、メトキシ基が好ましい。
上述のa’、b’、c’、及びd’の好ましい範囲としては、a’は0〜5,000の整数であり、さらには0〜2,500の整数であり、b’は10〜12,000の整数、さらには100〜10,000の整数であり、c’は0〜10,000の整数、さらには0〜8,000の整数であり、d’は0〜10,000の整数であり、さらには0〜8,000の整数であり、20≦c’+d’≦20,000であり、さらには50≦c’+d’≦15,000であり、15≦b’+c’+d’≦1,500であり、さらには20≦b’+c’+d’≦1,000である。
また、上記(A4)成分のオルガノポリシロキサンは、ポリスチレン換算分子量が5,000以上1,000,000以下のものが好ましい。この範囲内であれば、性状が液体になったり、ゲル状となって相溶性を失ったりすることもない。
なお、(A4)成分として、前記付加硬化型シリコーン樹脂組成物で用いた(A2)成分を用いてもよい。この場合、用いる(A2)成分のハイドロジェンオルガノポリシロキサンは、前記平均組成式(2)のように書き表した場合に、前記式(2)の条件を満たすものであることが必要である。
[(A5)成分]
(A5)成分は、この組成物の縮合反応を促進する目的で添加する縮合促進剤であり、ケイ素原子に結合した水素原子を1個以上有し、且つ、ケイ素原子に結合した−OX(Xは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数2〜10のアルコキシアルキル基)を分子内に2個以上有するものであり、同一ケイ素原子上に1個以上の水素原子と1個以上の−OXで示される基(Xは上記と同様である)とを有するケイ素原子を1個以上有するポリオルガノシロキサンである。
具体的には、下記一般式(3)、下記一般式(4)、及び下記一般式(5)で示されるポリオルガノシロキサンのうちの少なくとも1つから選ばれるものであることが好ましい。
Figure 2020060648
(式中、Xは上記と同様であり、Rは、互いに独立に、酸素原子、ハロゲン原子、窒素原子、又は硫黄原子を含んでいてよい炭素数1〜18の一価炭化水素基であり、Rは、互いに独立に、酸素原子、ハロゲン原子、窒素原子、又は硫黄原子を含んでいてよい炭素数1〜18の一価炭化水素基もしくは−OX’で示される基(X’は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルコキシアルキル基である)である。dは1〜300の整数であり、eは0または1であり、d’は、e=0のときは、d’=0であり、e=1のときは、d’=dである。pは1以上の整数である。なお、[ ]内のシロキサンはランダム構造を有してもブロック構造を有しても良い。)
Figure 2020060648
(式中、R、R、及びXは、互いに独立に、上記と同様であり、Qは、互いに独立に、酸素原子、ハロゲン原子、窒素原子、又は硫黄原子を含んでいてよい炭素数1〜18の一価炭化水素基、−OX’で示される基(X’は上記と同様である)、もしくは下記一般式(4’)で示される基である。但し、Qのうち、1つ以上は下記一般式(4’)で示される基である。dは1〜300の整数であり、eは1であり、d=dである。p’は1以上の整数である。なお、[ ]内のシロキサンはランダム構造を有してもブロック構造を有しても良い。)
Figure 2020060648
(式中、R、R、及びXは、互いに独立に、上記と同様である。dは1〜300の整数であり、eは0または1である。p”は、1以上の整数である。なお、[ ]内のシロキサンはランダム構造を有してもブロック構造を有しても良い。)
Figure 2020060648
(式中、R、R、及びXは、互いに独立に、上記と同様であり、Rは、互いに独立に、水素原子、メチル基、フェニル基、炭素数2〜10のアルケニル基、又は3−グリシジルオキシプロピル基である。但し、末端のケイ素原子に結合しているRのうち、1つ以上が−OX’で示される基(X’は上記と同様である)であるとき、これと同一のケイ素原子に結合しているRは水素原子ではない。tは0または1であり、sは0〜300の整数であり、s’は、t=0のときはs’=0であり、t=1のときはs’=sである。qは1以上の整数である。なお、[ ]内のシロキサンはランダム構造を有してもブロック構造を有しても良い。)
(A4)成分のケイ素原子結合水素原子と(A5)成分のアルコキシ基と、ケイ素に直接結合する水素原子とが熱によって縮合反応が進行する。(A4)に対する(A5)の配合量は、(A4)100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。
また、前記付加硬化型シリコーン樹脂組成物と、縮合硬化型シリコーン樹脂組成物を混合して使用してもよい。この場合、付加硬化型シリコーン樹脂組成物に配合されている(A2)成分及び、縮合硬化型シリコーン樹脂組成物に配合されている(A4)成分は、いずれもケイ素原子に直接結合する水素原子を有しており、各成分を一括して配合してしまうと硬化のバラつきを生ずる恐れがあるため、付加硬化型組成物と、縮合硬化型組成物を予め配合したものを、さらに混合することが好ましい。
−その他の添加剤−
本発明においての組成物には、上述した成分以外にも、必要に応じて、それ自体公知の各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、無機充填材、反応抑制剤、接着助剤などを挙げることができる。
[無機充填材]
本発明の(A)成分である熱硬化型シリコーン樹脂組成物は無機充填材を含んでもよい。たとえば、溶融シリカ、結晶性シリカなどのシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、三酸化アンチモン、酸化チタンなどが挙げられるが、透明性を上げるために、シリカ類が好ましい。また、これらの無機充填材は、シランカップリング剤のような表面処理剤で表面処理されたものを用いてもよく、無機充填材と前記シリコーン樹脂および芯材であるガラス繊維との濡れ性を向上させるために、スラリー状態になっていることが好ましい。
前記無機充填材の一次平均粒径は0.05〜20μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。なお、前記無機充填材の一次平均粒径はレーザー回折・散乱法によって測定したメジアン径(d50)を指すものとする。
無機充填材の添加量としては、(A)成分のシリコーン樹脂100質量部に対して、0〜400質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜100質量部である。400質量部以下であれば、シートとして十分な強度があり、接着性も良好である。
[反応抑制剤]
本発明の組成物には必要に応じて適宜反応抑制剤を配合することができる。反応抑制剤はヒドロシリル化による硬化反応を抑制し、保存性を改善する目的で添加する。該反応抑制剤としては、例えば、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンのようなビニル基高含有オルガノポリシロキサン、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート、アセチレンアルコール類及びそのシラン変性物及びシロキサン変性物、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール及びこれらの混合物からなる群から選ばれる化合物等が挙げられる。反応抑制剤は(A)成分100質量部当り通常0.001〜1.0質量部、好ましくは0.005〜0.5質量部添加される。
[接着助剤]
本発明の組成物には、接着性を付与するため、接着助剤(接着付与剤)を必要に応じて添加できる。接着助剤としては、例えば、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)、ケイ素原子に結合したアルケニル基(例えばSi−CH=CH基)、アルコキシシリル基(例えばトリメトキシシリル基)、エポキシ基(例えばグリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基)から選ばれる官能性基を少なくとも2種、好ましくは2種又は3種含有する直鎖状又は環状のケイ素原子数4〜50個、好ましくは4〜20個程度のオルガノシロキサンオリゴマー、オルガノオキシシリル変性イソシアヌレート化合物及び/又はその加水分解縮合物(オルガノシロキサン変性イソシアヌレート化合物)などが挙げられる。
<(B)ガラス繊維>
本発明におけるガラス繊維は、繊維状でもガラスクロスと呼ばれる布帛状でもチョップドストランドでも不織布でもウールでもよい。ガラスの種類としては、Eガラス、Tガラス、NEガラス、Sガラス、石英などが挙げられるが、低線膨張と耐変色性を兼ね備えたTガラス、石英が好ましく、更に好ましくは石英である。また、繊維の形態としては取扱いが容易であるなどの理由で、ガラスクロスを用いるのが好ましい。石英ガラスクロスは、平織、朱子織、綾織、などが挙げられるが、厚みの均一性などから平織、朱子織が好ましく、薄型化という観点から平織が更に好ましい。例えば、石英ガラスストランド及び/又は石英ガラスヤーンを用いて作製されたものである。石英ガラスストランド及び/又は石英ガラスヤーンは、上記石英ガラス繊維を50本以上500本以下束ねたものである。なお、本発明においては、繊維を撚らずに束ねたものをストランドと称し、繊維に撚りをかけて束ねたものをヤーンと称する。
また、ガラス繊維表面が、シランカップリング剤で処理されていることが、樹脂とガラス繊維との密着性を上げることができるため好ましい。シランカップリング剤としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、フェニルメチルビニルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメチルジエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、1,4−ビス(メトキシジメチルシリル)ベンゼン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(N−ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、N−(N−ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びその塩酸塩、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプリピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリスエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のアルコキシシラン化合物が挙げられ、1種あるいは2種以上混合して使用しても良い。また、これらに限定するものではない。
[樹脂処理ガラス基材(I)の製造方法]
前記樹脂処理ガラス基材の製造方法としては、特に限定されないが、一般的なガラス繊維の処理方法を適用することができる。例えば、一般的なガラス繊維の塗布方法(コーティング方式)を例示できる。代表的なコーティング方式としては、ダイレクトグラビアコーター、チャンバードクターコーター、オフセットグラビアコーター、一本ロールキスコーター、リバースキスコーター、バーコーター、リバースロールコーター、スロットダイ、エアードクターコーター、正回転ロールコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、含浸コーター、MBコーター、MBリバースコーターなどがある。中でもダイレクトグラビアコーター、オフセットコーター、含浸コーター、スロットダイ塗布方式が本発明の樹脂処理ガラス基材の製造には好ましい。
上記塗布方法で用いる塗布液は、前述の熱硬化型シリコーン樹脂組成物をそのまま用いてもよいし、溶媒で希釈してもよい。溶媒は前記硬化性シリコーン樹脂組成物の溶解特性に応じて、有機溶剤をそれぞれ単独あるいは2種以上混合して用いることができる。有機溶剤の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールエーテル類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテルなどのエーテル類などが挙げられる。
前記の塗布方法でシリコーン樹脂組成物を塗布したガラス基材は、塗布後に乾燥させる目的で80〜150℃で1分〜4時間加熱してプリプレグとして用いてもよいし、硬化目的で100〜300℃で1分〜24時間加熱して硬化した樹脂処理ガラス基材としてもよい。いずれの場合でも、後述する(II)波長変換シリコーンシートもしくはその未硬化物であるフィルム成形物と積層してガラス繊維含有波長変換シリコーンシートを製造する。
(B)樹脂処理ガラス基材における上記硬化性シリコーン樹脂組成物の付着量としては、付着後の全質量を100質量%とした時に15質量%以上70質量%以下であることを特徴とする。この範囲内であれば、前記樹脂組成物とガラス繊維との割合が適切であるため好ましい。15質量%未満では繊維表面の平滑性が保てず、たとえ蛍光体層を貼り合わせても波長変換された色ばらつきがクロスの目地の凹凸に追従して大きくなるため好ましくない。また、70質量%を超えてくると樹脂量が多く、蛍光体層を貼り合わせる際に樹脂部分の融着する体積が増え、樹脂が流れてしまうことで色ばらつきがおおきくなるため好ましくない。なお、ここで言う付着量とはプリプレグ全体の質量に対する硬化性シリコーン樹脂組成物の質量%の事を指す。
3.波長変換シリコーンシート(II)
本発明を構成する波長変換シリコーンシート(II)は、前記ガラス繊維含有波長変換シリコーンシートの波長変換層となるものである。前記波長変換シリコーンシートは、前記(A)23℃で固体状または半固体状である熱硬化型シリコーン樹脂組成物と(C)蛍光体とを含むシリコーンシートである。なお、本発明において、(A)熱硬化型シリコーン樹脂組成物と(C)蛍光体とを混合し、シート状に成形したものであって、未硬化でも、硬化したものであってもよいが、該シートが未硬化の状態にあるものを特にフィルム成形物と言うものとする。以下、構成成分、製造方法について詳述する。
<(A)熱硬化性シリコーン樹脂組成物>
(A)23℃で固体状または半固体状である熱硬化型シリコーン樹脂組成物の例としては、上記で例示したものと同様のものを用いることができる。前記樹脂組成物の構成は前記(I)で用いたものと同じであるため、貼り合せて用いる際の親和性に優れ、反りを低減できる。
<(C)蛍光体>
本発明の波長変換シリコーンシートに含まれる、(C)成分の蛍光体としては、無機蛍光体、有機蛍光体のどちらも使用することができ、有機蛍光体としては錯形成した有機蛍光体を使用することもできる。なお、蛍光体含有シリコーンフィルムの耐熱性など信頼性の観点から、無機蛍光体が好ましい。
蛍光体の配合する量としては、(A)のシリコーン樹脂100質量部に対して、蛍光体は1〜600質量部が好ましく、より好ましくは10〜400質量部である。1質量部以上であれば波長変換シートとして十分機能し、600質量部以下であれば基材と十分に接着できる。
[無機蛍光体]
無機蛍光体としては、例えば、窒化物系半導体を発光層とする半導体発光ダイオードからの光を吸収し、異なる波長の光に波長変換するものを使用することができる。このような無機蛍光体としては、例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素により主に賦活される窒化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体;Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類金属ケイ酸塩蛍光体、アルカリ土類金属硫化物蛍光体、希土類硫化物蛍光体、アルカリ土類金属チオガレート蛍光体、アルカリ土類金属窒化ケイ素蛍光体、ゲルマン酸塩蛍光体;Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体、希土類ケイ酸塩蛍光体;Eu等のランタノイド系元素で主に賦活されるCa−Al−Si−O−N系オキシ窒化物ガラス蛍光体等を挙げることができる。なお、これらの無機蛍光体は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。具体例として、下記の無機蛍光体を例示できるが、これに限定されない。
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体としては、MSi:Eu、MSi10:Eu、M1.8Si0.2:Eu、M0.9Si0.110:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、及びZnから選ばれる1種以上である)などを例示できる。
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される酸窒化物系蛍光体としては、MSi:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、及びZnから選ばれる1種以上である)などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体としては、M(POX:Z(Mは、Sr、Ca、Ba、及びMgから選ばれる1種以上であり、Xは、F、Cl、Br、及びIから選ばれる1種以上であり、Zは、Eu、Mn、及びEuとMnから選ばれる1種以上である)などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体としては、MX:Z(Mは、Sr、Ca、Ba、及びMgから選ばれる1種以上である。Xは、F、Cl、Br、及びIから選ばれる1種以上であり、Zは、Eu、Mn、及びEuとMnから選ばれる1種以上である)などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体としては、SrAl:Z、SrAl1425:Z、CaAl:Z、BaMgAl1627:Z、BaMgAl1612:Z、BaMgAl1017:Z(Zは、Eu、Mn、及びEuとMnから選ばれる1種以上である)などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ケイ酸塩蛍光体としては、(BaMg)Si:Eu、(BaSrCa)SiO:Eu、などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属硫化物蛍光体としては、(Ba,Sr、Ca)(Al, Ga)2S4;Euなどを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活される希土類硫化物蛍光体としては、LaS:Eu、YS:Eu、GdS:Euなどを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属チオガレート蛍光体としては、MGa:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる1種以上である)などを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるアルカリ土類金属窒化ケイ素蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)AlSiN3:Eu,(Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Eu,SrAlSi4N7:Euなどを例示できる。
Eu等のランタノイド系元素、Mn等の遷移金属系元素により主に賦活されるゲルマン酸塩蛍光体としては、ZnGeO:Mnなどを例示できる。
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体としては、YAl12:Ce、(Y0.8Gd0.2Al12:Ce、Y(Al0.8Ga0.212:Ce、(Y,Gd)(Al,Ga)12等のYAG系蛍光体などを例示できる。また、Yの一部もしくは全部をTb、Lu等で置換したTbAl12:Ce、LuAl12:Ceなども使用できる。
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類ケイ酸塩蛍光体としては、YSiO:Ce,Tbなどを例示できる。
Ca−Al−Si−O−N系オキシ窒化物ガラス蛍光体とは、モル%表示で、CaCOをCaOに換算して20〜50モル%、Alを0〜30モル%、SiOを25〜60モル%、AlNを5〜50モル%、希土類酸化物又は遷移金属酸化物を0.1〜20モル%とし、5成分の合計が100モル%となるオキシ窒化物ガラスを母体材料とした蛍光体である。なお、オキシ窒化物ガラスを母体材料とした蛍光体では、窒素含有量が15質量%以下であることが好ましい。また、希土類酸化物イオンの他に増感剤となる他の希土類元素イオンを希土類酸化物の状態で含むことが好ましく、蛍光体中に0.1〜10モル%の範囲の含有量で共賦活剤として含むことが好ましい。
その他の無機蛍光体としては、ZnS:Euなどを挙げることができる。また、上記以外のシリケート系蛍光体としては、(BaSrMg)Si:Pb、(BaMgSrZnCa)Si:Pb、ZnSiO:Mn、BaSi:Pbなどが挙げられる。
また、上記の無機蛍光体において、Euに代えて、又はEuに加えて、Tb、Cu、Ag、Au、Cr、Nd、Dy、Co、Ni、及びTiから選択される1種以上を含むものも使用することができる。
また、上記の無機蛍光体以外の蛍光体であって、上記のものと同様の性能、効果を有するものであれば、本発明の(C)成分として使用することができる。
上記無機蛍光体の性状は、特に限定されるものではなく、例えば粉末状のものを使用することができる。また、無機蛍光体粉末の形状は、特に限定されるものではなく、具体的には球形、非球形などが挙げられる。無機蛍光体粉末の平均粒径としては、0.01〜200μmが好ましく、0.01μm〜100μmがより好ましい。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。
[有機蛍光体]
有機蛍光体としては、例えば、Eu等のランタノイド系元素等で主に賦活される有機蛍光体や有機錯体蛍光体等を使用することができ、9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノリノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス〔8−(パラ−トシル)アミノキノリン〕亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、ポリ[2,5−ジヘプチルオキシ−p−フェニレンビニレン]、クマリン系蛍光体、ペリレン系蛍光体、ピラン系蛍光体、アンスロン系蛍光体、ポルフィリン系蛍光体、キナクリドン系蛍光体、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系蛍光体、ナフタルイミド系蛍光体、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系蛍光体、あるいはIr錯体等の燐光性発光体などを使用できる。
[波長変換シリコーンシート(II)の製造方法]
前記波長変換シリコーンシートの製造方法としては、例えばフィルムコータ、熱プレス機等をあげることができる。これらの手段を用いて組成物をシート状に加工するには、例えば組成物を、加圧用ベースフィルムと剥離フィルムとの間に挟み、熱プレス機を用いて通常60〜120℃、好ましくは70〜100℃の温度で、0.5〜10t/cm、好ましくは1〜7t/cmの圧力下で、約1〜約30分間、好ましくは2〜10分間圧縮成形を行う。
加圧用ベースフィルムとしてはPETフィルム、フッ素系樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等があげられ、剥離フィルムとしては、フッ素系樹脂コートしたPETフィルム、シリコーン樹脂コートしたPETフィルム、フッ素系樹脂フィルム等があげられる。
また、別法として、一般的なシリコーンシートの塗布方法に準じて製造することもできる。代表的なコーティング方式としては、ダイレクトグラビアコーター、チャンバードクターコーター、オフセットグラビアコーター、一本ロールキスコーター、リバースキスコーター、バーコーター、リバースロールコーター、スロットダイ、エアードクターコーター、正回転ロールコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、含浸コーター、MBコーター、MBリバースコーターなどがある。中でも、前記(A)成分の硬化性シリコーン樹脂組成物と前記(C)成分の蛍光体とを溶剤で希釈してブレードコーター、ナイフコーター、エアードクターコーターなどで製造するのが好ましい。
なお、この溶剤は塗布性を向上、確保するために用いるものである。前記硬化性シリコーン樹脂の溶解特性から有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。有機溶剤の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールエーテル類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテルなどのエーテル類などが挙げられる。
前記の製造方法で製造された波長変換層となるシート状の蛍光体含有硬化性シリコーン樹脂組成物は、塗布後に乾燥させる目的で60〜150℃で1分〜4時間加熱してフィルム成形物として用いてもよいし、硬化目的で20〜300℃で1分〜24時間加熱して硬化した波長変換シリコーンシートとしてもよい。
4.ガラス繊維含有波長変換シリコーンシートの製造方法
本発明のガラス繊維含有波長変換シリコーンシートは、補強層としての上記樹脂処理ガラス基材(I)と、波長変換層としての上記波長変換シリコーンシート(II)とを積層することで得られる。例えば、上記硬化性シリコーン樹脂組成物の未硬化物からなるプリプレグ、もしくはその硬化物のいずれかと、上記製造方法で製造された蛍光体含有硬化性シリコーン樹脂組成物の未硬化物からなるフィルム成形物、もしくはその硬化物のいずれかを積層することによりガラス繊維含有波長変換シリコーンシートを製造する。
上記樹脂処理ガラス基材(I)(補強層)と上記波長変換シリコーンシート(II)(波長変換層)との積層(貼り合わせ)については、特に限定されず様々な方法が挙げられる。真空ラミネータ、加圧プレス、真空プレス、ロールラミネータ、熱ロールラミネータ、多層熱ロールラミネータなどが挙げられる。好ましくは厚みの均一性や融着性を高めるために熱ロールラミネータや真空ラミネータ、真空プレスが好ましく、量産性を加味すると多層熱ロールラミネータが好ましい。融着させる条件としては25℃〜200℃で1秒〜10時間加熱する方法を挙げることができる。
使用する硬化性樹脂組成物により条件は異なるが、例えば室温〜200℃で1分間〜24時間加熱する方法を挙げることができる。加熱硬化する前に前記プリプレグとフィルム成形物とを貼り合わせ、その後硬化させることにより、接着剤を使用することなく補強層と波長変換層とを、低熱膨張性を保持しつつ貼り合わせることができるため好ましい。
本発明のガラス繊維含有波長変換シリコーンシートの厚さは、20〜500μmが好ましく、かつ、この範囲の厚さにおけるJIS R2616記載の熱伝導率が0.40〜10W/m・Kであることが望ましい。
厚さ20μm以上であれば、ガラス繊維含有波長変換シリコーンシートを作製することが容易になる。また、厚さ500μm以下であれば、波長変換層として光半導体装置に搭載するのに十分な厚さとなる。
また、熱伝導率が0.40W/m・K以上であれば、波長変換時の発熱が抑えられ、デバイスに異常が発生し難くなるため好ましく、10W/m・K以下であれば、シリコーン分の低い熱伝導率(0.29W/m・K)にかかわらず限られた厚みでもシートを作製することができるため好ましい。
5.光半導体装置
上記ガラス繊維含有波長変換シリコーンシートの硬化物は、光半導体装置の樹脂封止層とすることができる。この硬化物を適用する半導体装置は特に限定されないが、例えばLED素子を挙げることができる。本発明のガラス繊維含有波長変換シリコーンシートの硬化物は、熱伝導率が高いため高温点灯しても発熱が少なく、自己接着性、接着耐久性を有するためクラックや剥離がない。また、補強層にガラス繊維を含有することにより、線膨張係数も低いため、熱衝撃に対して膨張および収縮が少なく、クラックや剥離がない。また、補強層に蛍光体を含有しないことにより、ガラス繊維の目地に蛍光体が流れ込むことによる蛍光体層の色ばらつきが非常に少ない(即ち、波長変換均一性が高い)。こうした上記硬化物の優れた特徴により、上記硬化物を光半導体装置の樹脂封止層とする本発明の光半導体装置は、信頼性と波長変換均一性に優れる。
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、重量平均分子量の測定条件は上述のとおりである。
(A)熱硬化性シリコーン樹脂組成物
(A1)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン:(融点:80℃、重量平均分子量:20,000)
(MeViSiO1/20.018(MeSiO2/20.662(MeViSiO2/20.018(PhSiO3/20.302
(A2)オルガノハイドロジェンポリシロキサン:(重量平均分子量:10,000)
(MeHSiO2/20.036(MeSiO2/20.66(PhSiO3/20.304
(A3)硬化触媒:塩化白金酸 オクチルアルコール溶液(白金金属単体としての濃度:1質量%)
(A4)オルガノポリシロキサン:調製例8〜11においては上記(A2)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを(A4)オルガノポリシロキサンとして用いた。
(A5)縮合促進剤:[HSi(OEt)0.67(PhSiO)0.33
(B)ガラス繊維
(B1) SQF1024C(平織石英クロス、厚さ25μm、信越石英(株)製)
(B2) SQF2116AC(平織石英クロス、厚さ95μm、信越石英(株)製)
(B3) SQMBC−00(石英チョップドストランド、フィラメント径5μm、アスペクト比10、信越石英(株)製)
(C)蛍光体
(C1) NYAG4454L(YAG系蛍光体、Intematix社製)
(D)無機充填材(無機フィラー)
(D1) CRB−8SE(シリカ:一次平均粒径10μm、フミテック(株)製)
(D2) AEROSIL957L(シリカ:一次平均粒径0.1μm、日本アエロジル(株)製)
(D3) SO−25H(シリカ:一次平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製)
(調製例1)
前記(A1)としてアルケニル基含有オルガノポリシロキサン100g、前記(A2)としてオルガノハイドロジェンポリシロキサン100g、前記(A3)として塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金濃度1質量%)0.2g、アセチレンアルコール系反応抑制剤としてエチニルシクロヘキサノール0.6g、接着付与剤(接着助剤)として下記一般式(6)の接着付与剤6gを混合し、シリコーン樹脂組成物S1を調製した。当該S1をトルエンで希釈し、不揮発分を70%に調整してワニスとしたのちに、該ワニスを含浸ロール2本がついた含浸浴内に投入した。その後前記ワニスにガラス繊維(B1)を含浸させ、含浸ロールの隙間を80μmにして塗工し、100℃×10分で乾燥させ、縦150mm×横150mm、厚さ40μmのプリプレグP1を製造した。この時のガラス繊維に付着した樹脂組成物の付着量は30質量%であった。
Figure 2020060648
(調製例2)
前記シリコーン樹脂組成物S1のワニスを調製するまでは調製例1と同様に行い、ガラス繊維(B1)の代わりに(B2)を含浸させ、含浸ロールの隙間200μmで塗工し、調製例1と同条件で乾燥して縦150mm×横150mm、厚さ120μmのプリプレグP2を製造した。この時のガラス繊維に付着した樹脂組成物の付着量は30質量%であった。
(調製例3)
前記シリコーン樹脂組成物S1を調製するまでは調製例1と同様の操作を行い、ガラス繊維(B3)を200g加え、混合しトルエンで希釈し、不揮発分を70%にしてワニスとした後は自動塗工装置 PI−1210(テスター産業(株)製)で塗工し、100℃×10分で乾燥して、縦150mm×横150mm、厚さ40μmを有するフィルム成形物F1を製造した。
(調製例4)
(A1)としてアルケニル基含有オルガノポリシロキサン100g、前記(A2)としてオルガノハイドロジェンポリシロキサン100g、前記(A3)として塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金濃度1質量%)0.2g、アセチレンアルコール系反応抑制剤としてエチニルシクロヘキサノール0.6g、接着付与剤として上記一般式(6)の接着付与剤6gおよび無機充填材(D1)を200g混合し、シリコーン樹脂組成物S2を調製した。当該S2をトルエンで希釈してワニスとし、以下は調製例1と同様の操作を行い、縦150mm×横150mm、厚さ40μmのプリプレグP3を製造した。この時のガラス繊維に付着した樹脂組成物の付着量は30質量%であった。
(調製例5)
前記(A1)としてアルケニル基含有オルガノポリシロキサン100g、前記(A2)としてオルガノハイドロジェンポリシロキサン100g、前記(A3)として塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金濃度1質量%)0.2g、アセチレンアルコール系反応抑制剤としてエチニルシクロヘキサノール0.6g、接着付与剤として上記一般式(6)の接着付与剤6gおよび無機充填材(D2)を200g混合し、シリコーン樹脂組成物S3を調製した。当該S3をトルエンで希釈してワニスとし、以下は調製例1と同様の操作を行い、縦150mm×横150mm、厚さ40μmのプリプレグP4を製造した。この時のガラス繊維に付着した樹脂組成物の付着量は30質量%であった。
(調製例6)
前記(A1)としてアルケニル基含有オルガノポリシロキサン100g、前記(A2)としてオルガノハイドロジェンポリシロキサンを100g、前記(A3)として塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金濃度1質量%)0.2g、アセチレンアルコール系反応抑制剤としてエチニルシクロヘキサノール0.6g、接着付与剤として上記一般式(6)の接着付与剤6gおよび無機充填材(D3)を200g混合し、シリコーン樹脂組成物S4を調製した。当該S4をトルエンで希釈してワニスとし、以下は調製例1と同様の操作を行い、縦150mm×横150mm、厚さ40μmのプリプレグP5を製造した。この時のガラス繊維に付着した樹脂組成物の付着量は30質量%であった。
(調製例7)
前記(A1)としてアルケニル基含有オルガノポリシロキサン100g、前記(A2)としてオルガノハイドロジェンポリシロキサン100g、前記(A3)として塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金濃度1質量%)0.2g、アセチレンアルコール系反応抑制剤としてエチニルシクロヘキサノール0.6g、接着付与剤として上記一般式(6)の接着付与剤6gおよび前記(C)として蛍光体(C1)を200g混合し、シリコーン樹脂組成物S5を調製した。トルエンで希釈し、不揮発分を70%にしてワニスとした後は自動塗工装置 PI−1210(テスター産業(株)製)で塗工し、100℃×10分乾燥させ、縦150mm×横150mm、厚さ40μmを有するフィルム成形物F2を製造した。
(調製例8)
前記(A4)として、前記(A2)成分として用いたオルガノハイドロジェンポリシロキサン100g、前記(A5)成分の縮合促進剤2g、接着付与剤として上記一般式(6)の接着付与剤6gを混合し、シリコーン樹脂組成物S6を調製した。以下は調製例1と同様の操作を行い、縦150mm×横150mm、厚さ40μmのプリプレグP6を製造した。この時のガラス繊維に付着する樹脂組成物の付着量は30質量%であった。
(調製例9)
前記シリコーン樹脂組成物S6を調製するまでは調製例8と同様の操作を行い、ガラス繊維(B3)を100g加え、混合しトルエンで希釈し、不揮発分を70%にしてワニスとした後は自動塗工装置 PI−1210(テスター産業(株)製)で塗工し、100℃×10分で乾燥させ、縦150mm×横150mm、厚さ40μmを有するフィルム成形物F3を製造した。
(調製例10)
前記(A4)として、前記(A2)成分として用いたオルガノハイドロジェンポリシロキサンを100g、前記(A5)成分の縮合促進剤2g、接着付与剤として上記一般式(6)の接着付与剤6gおよび無機充填材(D1)を100g混合し、シリコーン樹脂組成物S7を調製した。当該S7をトルエンで希釈してワニスとし、以下は調製例1と同様の操作を行い、縦150mm×横150mm、厚さ40μmのプリプレグP7を製造した。この時のガラス繊維に付着した樹脂組成物の付着量は30質量%であった。
(調製例11)
前記(A4)として、前記(A2)成分として用いたオルガノハイドロジェンポリシロキサンを100g、前記(A5)成分の縮合促進剤2g、接着付与剤として上記一般式(6)の接着付与剤6gおよび前記(C)として蛍光体(C1)を100g混合し、シリコーン樹脂組成物S8を調製した。トルエンで希釈し、不揮発分を70%にしてワニスとした後は自動塗工装置 PI−1210(テスター産業(株)製)で塗工し、100℃×10分乾燥させ、縦150mm×横150mm、厚さ40μmを有するフィルム成形物F4を製造した。
(比較調製例1)
前記シリコーン樹脂組成物S1を調製するまでは調製例1と同様の操作を行い、自動塗工装置 PI−1210(テスター産業(株)製)で縦150mm×横150mm、厚さ40μmを有するフィルム成形物F5を製造した。
(比較調製例2)
前記シリコーン樹脂組成物S2を調製するまでは調製例4と同様の操作を行い、自動塗工装置 PI−1210(テスター産業(株)製)で縦150mm×横150mm、厚さ40μmを有するフィルム成形物F6を製造した。
(比較調製例3)
前記シリコーン樹脂組成物S5を不揮発分70%に希釈してワニスとするまでは調製例7と同様の操作を行い、含浸ロール2本がついた含浸浴内に投入した。その後前記ワニスにガラス繊維(B1)を含浸させ、含浸ロールの隙間を80μmにして塗工し、100℃×10分で乾燥させ、縦150mm×横150mm、厚さ40μmのプリプレグP8を製造した。この時のガラス繊維に付着した樹脂組成物の付着量は30質量%であった。
(比較調製例4)
含浸ロールの隙間を30μmにした以外は調製例1と同様の操作を行い、縦150mm×横150mm、厚さ30μmのプリプレグP9を製造した。この時のガラス繊維に付着した樹脂組成物の付着量は10質量%であった。
(比較調製例5)
含浸ロールの隙間を150μmにした以外は調製例1と同様の操作を行い、縦150mm×横150mm、厚さ90μmのプリプレグP10を製造した。この時のガラス繊維に付着した樹脂組成物の付着量は80質量%であった。
(比較調製例6)
(A)成分として、液状の付加硬化型ポリシロキサン組成物である、LPS−3412(信越化学工業(株)製、粘度9Pa・s)を用いた以外は調製例1と同様の操作を行ったが、塗工時に液だれがひどく、乾燥後も粘着が強くてシート状に切り出すことが困難であったため、以後の評価は行わなかった。
調製例、比較調製例で用いた各成分の配合量を表1A、1Bに示す。表中(A)、(C)、(D)成分の単位は”g”である。
Figure 2020060648
*:調製例8〜11については、(A4)成分として用いたオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量である。
Figure 2020060648
[実施例および比較例]
表2A,2Bに示されるように、調製例および比較調製例で調製した補強層および蛍光体層について、熱ラミネータを使用してロール温度80℃で補強層および蛍光体層を貼り合わせた。貼り合わせた積層シートについて、以下の物性及び特性を測定した。なお、実施例1〜13は本発明のガラス繊維含有波長変換シリコーンシートであり、図1に示す2層構造(実施例1、3〜8、10、11)もしくは図2に示す3層構造(実施例2、9)のもの、又は、図1に示す積層構造単位を複数回繰り返して積層しているもの(実施例12、13)である。一方、比較例1〜4では補強層がガラス繊維を含まず、比較例5〜8では補強層における付着した樹脂組成物量が本発明の範囲外であり、比較例10では補強層がガラス繊維のみで樹脂組成物を含まず、比較例9では補強層に蛍光体が含まれている。
<線膨張係数(TMA)>
積層シート0.08〜0.5mmにおいて、150℃×4時間加熱して硬化させ、5mm×4cmの試験片を作製し、TMA法によるX−Y方向の線膨張係数を昇温速度5℃/分で温度範囲は−100℃〜200℃を測定し、−50〜0℃の線膨張係数を測定した。
<熱伝導率>
150℃×4時間加熱して硬化させ、熱伝導率測定装置(QTM−500、京都電子製)を用いて各積層シートの熱伝導率を測定した。
<CSPの作製>
未硬化の波長変換シートを、主発光ピークが460nmのInGaN半導体を用いたLEDチップが搭載されたCSP(Chip Size Package)基板にダイボンダーでダイアタッチをおこない、150℃4時間加熱して硬化させた。その後、5mm×5mmにダイシングを行い、厚さ300μmのCSPを得た。
<色度座標評価>
作製した光半導体装置(CSP)各50個を点灯させて大塚電子製LED光学特性モニタ(LE−3400)により色度座標のバラつきを測定し平均値を得た。u’、v’それぞれの標準偏差をΔu’,Δv’で示す。
(注:u’、v’:CIE1976色度座標。JIS Z 8726:1990に記載の求め方による。)
<熱衝撃試験>
作製した光半導体装置(CSP)各20個を−40℃〜120℃の熱衝撃試験を2,000サイクル行い、クラック、剥離の個数を確認した。
<高温点灯試験>
作製した光半導体装置(CSP)各20個を120℃/200mAの高温点灯試験を1,000時間行い、クラック、剥離の個数を確認した。
Figure 2020060648
Figure 2020060648
表2A,2Bに示されるように、補強層と蛍光体層とが積層された2層構造(実施例1、3〜8、10、11:図1参照)、もしくは、補強層を挟み込むように2つの蛍光体層が積層された3層構造(実施例2、9:図2参照)を有する本発明のガラス繊維含有波長変換シリコーンシートは、熱伝導率が高いため高温点灯試験での発熱が少なく、自己接着性、接着耐久性を有するためクラックや剥離がない。また、補強層にガラス繊維を含有することにより、線膨張係数も低いため、熱衝撃試験での膨張および収縮が少なく、クラックや剥離がない信頼性の高い光半導体装置を提供することができる。また、補強層に蛍光体を含有しないことにより、ガラス繊維の目地に蛍光体が流れ込むことによる蛍光体層の色ばらつきが非常に少ない(即ち、波長変換均一性が高い)光半導体装置を提供することができる。そして、上記2層構造からなる単位を複数回繰り返し積層してシリコーンシート厚みを大きくしても、クラックや剥離がない高信頼性と高い波長変換均一性を維持・両立できるので(実施例12、13)、波長変換層として光半導体装置に搭載するのに十分な厚さと上記のような優れた特性を併有するシリコーンシートを容易に作製することができる。
一方、補強層がガラス繊維を含まない比較例1〜4では、補強層の線膨張係数が低くならないため、熱衝撃試験での膨張および収縮が大きく、クラックや剥離が発生してしまい、信頼性に劣る。樹脂処理ガラス基材における上記硬化性シリコーン樹脂組成物の付着量が、付着後の全質量を100質量%とした時に15質量%未満である比較例5、6、10では、波長変換された色ばらつきがガラス繊維の凹凸に追従してしまうため大きくなり、また、70質量%を超えている比較例7、8では、樹脂量が多く、蛍光体層を貼り合わせる際に樹脂部分の融着する体積が増え、樹脂が流れてしまうことで色ばらつきが大きくなる。補強層に蛍光体が含まれている比較例9では、ガラス繊維の目地に蛍光体が流れ込んでしまうため、蛍光体層の色ばらつきが大きくなる(即ち、波長変換均一性が低い)。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…ガラス繊維含有波長変換シリコーンシート、 2…樹脂処理ガラス基材、
3…波長変換シリコーンシート、 4…芯材、 5…熱硬化型シリコーン樹脂組成物。

Claims (8)

  1. ガラス繊維含有波長変換シリコーンシートであって、
    該ガラス繊維含有波長変換シリコーンシートは、樹脂処理ガラス基材(I)と波長変換シリコーンシート(II)とが積層されたものであり、
    前記樹脂処理ガラス基材(I)は、ガラス繊維を芯材とし、1分子中に少なくとも1個のアリール基を有するオルガノシロキサン化合物を含有するとともに23℃で可塑性の固体状または半固体状である熱硬化型シリコーン樹脂組成物を前記ガラス繊維に付着させたものであり、かつ、付着後の全質量を100質量%とした時に付着した前記樹脂組成物が15〜70質量%となるものであり、
    前記波長変換シリコーンシート(II)は、前記熱硬化型シリコーン樹脂組成物と蛍光体とを含むものであり、かつ、
    前記樹脂処理ガラス基材(I)と前記波長変換シリコーンシート(II)とがそれぞれ少なくとも1層以上積層されてなるものであることを特徴とするガラス繊維含有波長変換シリコーンシート。
  2. 前記樹脂処理ガラス基材(I)と前記波長変換シリコーンシート(II)における前記熱硬化型シリコーン樹脂組成物は、共に未硬化のものであることを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維含有波長変換シリコーンシート。
  3. 前記ガラス繊維が、ガラスクロス、ガラス不織布、ガラスウールまたはガラスチョップドストランドから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガラス繊維含有波長変換シリコーンシート。
  4. 前記ガラス繊維が、石英ガラスクロスであることを特徴とする請求項3に記載のガラス繊維含有波長変換シリコーンシート。
  5. 前記ガラス繊維の表面がシランカップリング剤で処理されているものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガラス繊維含有波長変換シリコーンシート。
  6. 前記熱硬化型シリコーン樹脂組成物が、更に無機充填材を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガラス繊維含有波長変換シリコーンシート。
  7. 前記無機充填材のレーザー回折散乱法による一次平均粒径が0.05〜20μmであることを特徴とする請求項6に記載のガラス繊維含有波長変換シリコーンシート。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のガラス繊維含有波長変換シリコーンシートの硬化物からなる樹脂封止層を有するものであることを特徴とする光半導体装置。
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