JP2020059443A - 車室暖房用ヒーターエレメント及びその使用方法、並びに車室暖房用ヒーター - Google Patents

車室暖房用ヒーターエレメント及びその使用方法、並びに車室暖房用ヒーター Download PDF

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Abstract

【課題】小型化が可能で、且つ、PTC材料による過剰発熱の抑制効果が改善された車室暖房用ヒーターエレメントを提供する。【解決手段】車両の車室暖房用ヒーターエレメントであって、外周側壁と、外周側壁の内周側に配設され、一方の底面から他方の底面まで流体の流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁とを有する通電発熱可能な柱状ハニカム構造部、当該柱状ハニカム構造部の外周側壁の外周側に対向するように形成された一対の電極部、及び、当該柱状ハニカム構造部の外周側壁と前記一対の電極部の少なくとも一方の電極部との間に挟まれた位置で、当該柱状ハニカム構造部の外周側壁を被覆するように配設されたPTCサーミスタ、を備えた車室暖房用ヒーターエレメント。【選択図】図1−1

Description

本発明は車室暖房用ヒーターエレメント及びその使用方法に関する。また、本発明は車室暖房用ヒーターに関する。
地球環境保護の観点から、自動車からのCO2排出量の低減要求が高まっている。また、都市部での環境基準達成の観点から、自動車からの窒素酸化物等のゼロエミッション化要求が高まっている。これらに対応可能な対策として、電気自動車が注目されている。しかしながら、電気自動車は従来暖房の熱源としていた内燃機関を持たないので、暖房の熱源が不足するという問題がある。
そこで、バッテリーの電力を有効に用いて暖房を行うために蒸気圧縮ヒートポンプが用いられてきた(特許文献1)。蒸気圧縮ヒートポンプでは、媒体を電動コンプレッサーにより圧縮し、気相−液相間の相変化での吸熱及び放熱を利用して、冷たい外気から車室内へ熱をポンピングするものであり、投入電力に対し、ポンピングできる熱量が大きいので電気エネルギーをより有効に利用できるという利点がある。
また、通電時の電気抵抗により発生するジュール熱を利用したヒーターも知られている(特許文献2)。ジュール熱を利用したヒーターでは、発熱体が熱交換器に配置されており、熱交換器を通過する流体が加熱される。ジュール熱を利用したヒーターは、車両始動時の急速加熱が必要なときや外気温が非常に低い時に有効である。発熱体としては、熱暴走を防止するためPTC材料を用いることが知られている。
一方で、ハニカム状のヒーターエレメントを用いたヒーター(以下、「ハニカムヒーター」という。)が知られている。例えば、特許文献3には、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン及び燃焼装置からの排ガスを加熱するのに有効な通電発熱用ハニカム構造体が記載されている。更に、特許文献4においても、内燃機関の排ガスを処理するための電気加熱可能なハニカム体が記載されている。特許文献4には、流体が貫流できる空洞を備え、少なくとも1個の電流分配構造物を有し、該電流分配構造物が電流供給体を介して電源に接続できる電気加熱可能なハニカム体において、a)電流供給体、b)電流分配構造物、の内の少なくとも1つが、正温度係数(PTC)の材料から成る少なくとも1個の制御要素を有し、該制御要素がハニカム体を貫流する流体に少なくとも熱的に接触されることを特徴とする電気加熱可能なハニカム体が記載されている。
特開2017−30724号公報 特表2015−519260号公報 特許第5261256号公報 特開2008−215351号公報
熱効率の観点からはヒートポンプが優れているが、ヒートポンプは外気が極低温の時に作動が困難であること、及び車両始動時に急速に車室を温めることが困難であるといった問題がある。そこで、ヒートポンプを主たる暖房として使用しつつ、車両始動時の急速加熱が必要なときや外気温が非常に低い時に、ジュール熱を利用したヒーターを補助的に活用することは実用的であると考えられる。
しかしながら、従来のジュール熱を利用したヒーターは大型化しやすく、車内スペースを圧迫するという問題がある。このため、よりコンパクトなヒーターが提供されることが望ましい。この点、ハニカムヒーターは体積当たりの熱伝達面積を大きくすることができるため、ヒーターの小型化に資すると考えられる。しかしながら、特許文献3に記載の通電発熱用ハニカム構造体は、ハニカム構造体がNTC特性を有するため、過剰に発熱してしまい、車室暖房用のヒーターとしては適応しにくいものである。また、特許文献4に記載の技術では、PTC材料からなる制御要素の温度がハニカム体の温度に追随せず、車室暖房用のヒーターとしては、過剰発熱の抑制効果が十分といえるものではなかった。以上のことから、従来、自動車や電車といった車両の車室を暖房する用途において上記の問題を解決するハニカムヒーターは未だ存在していない。
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、小型化が可能で、且つ、PTC材料による過剰発熱の抑制効果が改善された車室暖房用ヒーターエレメントを提供することを課題とする。本発明は別の一実施形態において、そのような車室暖房用ヒーターエレメントの使用方法を提供することを課題とする。本発明は更に別の一実施形態において、そのような車室暖房用ヒーターエレメントを備えた車室暖房用ヒーターを提供することを課題とする。
特許文献4に記載のハニカムヒーターでは、PTC材料からなる制御要素が、電流分配構造物よりもハニカム構造体の外周側に配置されているために(特許文献4の図2及び図3参照)、ハニカム構造体からの熱は、電流分配構造物を介してPTC材料からなる制御要素に伝達するため、応答速度が遅くなる。このため、特許文献4の技術では、ハニカム構造体が過熱状態に達しても、PTC材料に迅速に熱が伝達されないため、過剰発熱が生じやすくなっていた。このような知見に基づき、本発明者は、ハニカム構造体が過熱状態に達したときの応答速度を上げるために、PTCサーミスタをハニカム構造体と電極部(特許文献4の電流分配構造物に相当する。)の間に配置することが有効であることを見出し、以下に例示される本発明を完成した。
[1]
車両の車室暖房用ヒーターエレメントであって、
外周側壁と、外周側壁の内周側に配設され、一方の底面から他方の底面まで流体の流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁とを有する通電発熱可能な柱状ハニカム構造部、
当該柱状ハニカム構造部の外周側壁の外周側に対向するように形成された一対の電極部、及び、
当該柱状ハニカム構造部の外周側壁と前記一対の電極部の少なくとも一方の電極部との間に挟まれた位置で、当該柱状ハニカム構造部の外周側壁を被覆するように配設されたPTCサーミスタ、
を備えた車室暖房用ヒーターエレメント。
[2]
前記柱状ハニカム構造部の容積Vに対する、前記PTCサーミスタによって前記柱状ハニカム構造部の外周側壁が被覆される部分の合計面積Sの比(S/V)が、0.1cm2/cm3以上である[1]に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
[3]
前記S/Vが、0.2cm2/cm3以上である[2]に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
[4]
前記複数のセルの流体の流路に直交する方向の断面において、前記複数のセルは放射状に配列されている[1]〜[3]の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
[5]
前記PTCサーミスタは、キュリー点が100℃以上250℃以下のPTC材料で構成される[1]〜[4]の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
[6]
前記柱状ハニカム構造部がSi結合SiCを含有する[1]〜[5]の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
[7]
前記PTCサーミスタは、前記少なくとも一方の電極部が前記柱状ハニカム構造部の外周側壁と直接接触する部分がないように配設される[1]〜[6]の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
[8]
前記柱状ハニカム構造部の外周側壁と前記一対の電極部の各電極部との間に挟まれた位置にPTCサーミスタがそれぞれ配設されており、
少なくとも一方のPTCサーミスタの一部と、前記柱状ハニカム構造部の外周側壁との間に位置する電気絶縁層であって、前記一対の電極部に電圧を印加したときのハニカム構造部内における電流分布の均一性を高めることが可能な位置に延設された電気絶縁層を更に備える[1]〜[7]の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
[9]
前記外周側壁がPTCサーミスタによって被覆される部分の合計面積Sと、当該合計面積Sから前記外周側壁が前記電気絶縁層に接する部分の面積を除いた面積Seは、0.3≦Se/S<1を満たす[8]に記載のヒーターエレメント。
[10]
車両の車室暖房用ヒーターエレメントであって、
外周側壁と、内周側壁と、外周側壁及び内周側壁の間に配設され、一方の底面から他方の底面まで流体の流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有する通電発熱可能な中空状ハニカム構造部、
当該中空状ハニカム構造部の外周側壁の外周側に形成された外側電極部、
当該中空状ハニカム構造部の内周側壁の内周側に形成された内側電極部、
及び、
当該中空状ハニカム構造部の内周側壁と前記内側電極部との間に挟まれた位置で、当該中空状ハニカム構造部の内周側壁を被覆するように配設されている、及び/又は、当該中空状ハニカム構造部の外周側壁と前記外側電極部との間に挟まれた位置で、当該中空状ハニカム構造部の外周側壁を被覆するように配設されている、PTCサーミスタ、
を備えた車室暖房用ヒーターエレメント。
[11]
前記中空状ハニカム構造部の容積Vに対する、前記PTCサーミスタによって前記中空状ハニカム構造部の内周側壁及び/又は外周側壁が被覆される部分の合計面積Sの比(S/V)が、0.1cm2/cm3以上である[10]に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
[12]
前記S/Vが、0.2cm2/cm3以上である[11]に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
[13]
前記複数のセルの流体の流路に直交する方向の断面において、前記複数のセルは放射状に配列されている[10]〜[12]の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
[14]
前記PTCサーミスタは、キュリー点が100℃以上250℃以下のPTC材料で構成される[10]〜[13]の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
[15]
前記中空状ハニカム構造部がSi結合SiCを含有する[10]〜[14]の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
[16]
前記PTCサーミスタが中空状ハニカム構造部の内周側壁を被覆するように配設されている場合、当該PTCサーミスタは前記内側電極部が前記中空状ハニカム構造部の内周側壁と直接接触する部分がないように配設され、前記PTCサーミスタが中空状ハニカム構造部の外周側壁を被覆するように配設されている場合、当該PTCサーミスタは前記外側電極部が前記中空状ハニカム構造部の外周側壁と直接接触する部分がないように配設される[10]〜[15]の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
[17]
二つの電極間に200V以上の電圧を印加する[1]〜[16]の何れか一項に記載のヒーターエレメントの使用方法。
[18]
−60℃〜20℃のガスがセルを通過することを含む[17]に記載のヒーターエレメントの使用方法。
[19]
[1]〜[16]の何れか一項に記載のヒーターエレメント、
外気又は車室内空気と前記ヒーターエレメントの一方の底面を連通する流入配管、
前記ヒーターエレメントに電圧を印加するためのバッテリー、及び
前記ヒーターエレメントの他方の底面と車室内を連通する流出配管、
を備えた車室暖房用ヒーター。
本発明の一実施形態に係る車室暖房用ヒーターエレメントによれば、ハニカム構造によって、体積当たりの熱伝達面積を大きくすることができるため、ヒーターエレメントの小型化が可能である。また、本発明の一実施形態に係るヒーターエレメントによれば、PTCサーミスタが少なくとも一方の電極部とハニカム構造部の外周側壁又は内周側壁との間に挟まれて配置されているので、ハニカム構造部の熱が迅速にPTCサーミスタに伝達される。これにより、PTCサーミスタによる過剰発熱の抑制効果を改善することが可能となる。
本発明の第一実施形態に係るヒーターエレメントについて、ハニカム構造部の底面が長方形状である場合の模式的な斜視図である。 本発明の第一実施形態に係るヒーターエレメントについて、ハニカム構造部の底面が正方形状である場合の模式的な斜視図である。 本発明の第一実施形態に係るヒーターエレメントについて、ハニカム構造部の底面がオーバル形状である場合の模式的な斜視図である。 本発明の第一実施形態に係るヒーターエレメントについて、ハニカム構造部の底面が正方形状であり、ハニカム構造部の外周側壁とPTCサーミスタの間に電気絶縁層が挟まれている場合の模式的な斜視図である。 本発明の第一実施形態に係るヒーターエレメントについて、ハニカム構造部の底面が円形状である場合の模式的な斜視図である。 本発明の第一実施形態に係るヒーターエレメントについて、セルの流路に直交する方向から観察したときの、放射状に配列されたセルを示す部分的な模式図である。 本発明に係る車室暖房用ヒーターの構成例を示す模式図である。
次に本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
(1.ヒーターエレメント)
本発明に係るヒーターエレメントは、車両の車室暖房用のヒーターエレメントとして好適に利用可能である。車両には、限定的ではないが、自動車及び電車が挙げられる。自動車としては、限定的ではないが、ガソリン車、ディーゼル車、燃料電池自動車、電気自動車及びプラグインハイブリッド自動車が挙げられる。本発明に係るヒーターエレメントは、とりわけ電気自動車及び電車のような内燃機関を持たない車両に好適に利用可能である。
(1.1 ヒーターエレメントの第一実施形態)
図1−1、図1−2及び図1−3にはそれぞれ、本発明の第一実施形態に係るヒーターエレメント100についての、模式的な斜視図が示されている。ヒーターエレメント100は、外周側壁112と、外周側壁112の内周側に配設され、一方の底面114から他方の底面116まで流体の流路を形成する複数のセル115を区画形成する隔壁113とを有する通電発熱可能な柱状ハニカム構造部を備える。また、ヒーターエレメント100は、当該柱状ハニカム構造部の外周側壁112の外周側に対向するように形成された一対の電極部120を備える。また、ヒーターエレメント100は、該柱状ハニカム構造部の外周側壁112と一対の電極部120の少なくとも一方の電極部120との間に挟まれた位置で、当該柱状ハニカム構造部の外周側壁112を被覆するように配設されたPTCサーミスタ122を備える。
(1.1.1 柱状ハニカム構造部)
柱状ハニカム構造部は、例えば、底面が多角形(四角形(長方形(図1−1参照))、正方形(図1−2参照)、五角形、六角形、七角形、八角形等)の多角柱状、底面が円形の柱状(円柱状)(図2参照)、底面がオーバル形状(図1−3参照)の柱状等の任意の形状とすることができる。底面が多角形の場合、角部は面取りしてもよい。また、柱状ハニカム構造部は中空状にすることもできる。
セルの流路に直交する断面におけるセルの形状に制限はないが、四角形(長方形、正方形)、六角形、八角形、又はこれらの二種以上の組み合わせであることが好ましい。これらのなかでも、正方形及び六角形が好ましい。セル形状をこのようにすることにより、ハニカム構造部にガスを流したときの圧力損失を小さくすることができる。例えば図1−1に示すヒーターエレメント100の柱状ハニカム構造部において、セルの流路に直交する断面におけるセルの形状は正方形である。
セルの流路に直交する断面において、複数のセルを放射状に配列してもよい。図2−2には、後述する第二実施形態に関するが、複数のセルが放射状に配列されている例が示されている。図2−2に示す例においては、複数のセルはそれぞれが、柱状ハニカム構造部の中心側から外周側に向かって伸びる一対の隔壁と、当該一対の隔壁を連結する中心側及び外周側の隔壁と、によって区画形成される。より詳細には、図2−2の(a)に示す例においては、セルの流路に直交する断面において、複数のセル115はそれぞれが、柱状ハニカム構造部の中心側から外周側に向かって伸びる一対の直線状隔壁113aと、同心の一対の弧状隔壁113bとによって区画形成されている。図2−2の(b)に示す実施態様においては、セルの流路に直交する断面において、複数のセル115はそれぞれが六角形状であり、柱状ハニカム構造部の中心側から外周側に向かって伸びる一対の直線状隔壁113cと、当該一対の隔壁113cを連結する中心側及び外周側のそれぞれの折れ線状隔壁113dと、によって区画形成されている。なお、図2−2において、点線で示されている箇所は図示されている部分と同様に複数のセルが放射状に配列されていることを意味する。
ガス流量を確保するという観点から、柱状ハニカム構造部の各底面積の大きさ(柱状ハニカム構造部が中空状である場合は、その部分を除く。)の下限は、50cm2以上とすることが好ましく、70cm2以上とすることがより好ましく、100cm2以上とすることが更により好ましい。ヒーターエレメントをコンパクトにするという観点から、柱状ハニカム構造部の各底面積の大きさの上限は、300cm2以下とすることが好ましく、200cm2以下とすることがより好ましく、更には150cm2以下とすることが更により好ましい。柱状ハニカム構造部の各底面積の大きさは、例えば50〜300cm2とすることができる。
ヒーターエレメントをコンパクトにするという観点から、柱状ハニカム構造部の高さ(各セルの流路長さ)の上限は、例えば40mm以下とすることが好ましく、20mm以下とすることがより好ましく、10mm以下とすることが更により好ましく、5mm以下とすることが更により好ましい。加熱性能及び強度を確保するという観点からは、柱状ハニカム構造部の高さ(各セルの流路長さ)の下限は3mm以上とすることが好ましい。柱状ハニカム構造部の高さ(各セルの流路長さ)は、例えば3〜40mmとすることができる。
通電時の初期電流が過大になることを抑制するという観点及び通風抵抗を抑えて送風機の出力を抑制するという観点から、隔壁を薄くすることが有利である。従って、ハニカム構造部における隔壁113の平均厚みの上限は、0.15mm以下であることが好ましく、0.13mm以下であることがより好ましく、0.10mm以下であることがさらに好ましい。但し、ハニカム構造部の強度を確保するという観点からは、隔壁113の平均厚みの下限は、0.02mm以上であることが好ましく、0.04mm以上であることがより好ましく、0.06mm以上であることが更により好ましい。
本発明において、隔壁の厚みは、セルの流路に直交する断面において、隣接するセルの重心同士を線分で結んだときに当該線分が隔壁を横切る長さを指す。隔壁の平均厚みは、すべての隔壁の厚みの平均値を指す。
柱状ハニカム構造部は、セル密度が40セル/cm2以上であることが好ましく、80セル/cm2以上であることがより好ましい。先述した隔壁の平均厚みの好適な範囲と組み合わせてセル密度を上記範囲に規制することで、初期電流を抑えながら、急速加熱に適したヒーターエレメントとすることができる。通風抵抗を抑えて送風機の出力を抑制するという観点から、柱状ハニカム構造部は、セル密度が150セル/cm2以下であることが好ましく、120セル/cm2以下であることがより好ましい。本発明において、柱状ハニカム構造部のセル密度は、柱状ハニカム構造部の各底面の面積(柱状ハニカム構造部が中空状である場合は、その部分を除く。)でセル数を除して得られる値である。
通風抵抗を抑えるという観点から、開口率(OFA)は大きいほうが有利である。従って、柱状ハニカム構造部の各底面における開口率の下限は、0.7以上であることが好ましく、0.75以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更により好ましい。また、熱伝導性確保という観点からは、柱状ハニカム構造部の各底面における開口率の上限は0.9以下であることが好ましく、0.88以下であることがより好ましく、0.85以下であることが更により好ましい。本発明において、柱状ハニカム構造部の各底面における開口率は、セルの開口部を含む各底面の面積(柱状ハニカム構造部が中空状である場合は、その部分を除く。)に対する当該底面におけるセルの開口部の面積の比率を指す。
柱状ハニカム構造部の材質は、通電によって発熱可能な材質であれば特に制限はなく、金属やセラミックス等を使用可能である。外気又は車室内空気のようなガスが、柱状ハニカム構造部の一方の底面から流入してから、複数のセル115を通過し、他方の底面から流出するまでに、当該ガスは発熱する柱状ハニカム構造部からの伝熱によって加熱されることが可能である。特に、耐熱性と導電性の両立の観点から、柱状ハニカム構造部の材質は、Si結合SiC又はSiCを主成分とするものであることが好ましく、Si結合SiC又はSiCであることが更に好ましい。柱状ハニカム構造部の電気抵抗率を下げるために、ケイ化タンタル(TaSi2)及び/又はケイ化クロム(CrSi2)を配合することもできる。柱状ハニカム構造部がSi結合SiCを主成分とするというのは、柱状ハニカム構造部がSi結合SiC(合計質量)を、ハニカム構造部全体の90質量%以上含有していることを意味する。ここで、Si結合SiCは、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するものである。また、柱状ハニカム構造部がSiCを主成分とするというのは、柱状ハニカム構造部がSiC(合計質量)を、ハニカム構造部全体の90質量%以上含有していることを意味する。
柱状ハニカム構造部の材質としては、チタン酸バリウムに代表されるPTC(Positive Temperature Coefficient)材料を採用することも可能である。つまり、柱状ハニカム構造部自体が、温度が上昇してキュリー点を超えると急激に抵抗値が上昇して電気が流れにくくなるという特性を有していてもよい。しかしながら、熱伝導率、強度、適切な電気抵抗を満足するハニカム材料選定という観点からは、Si結合SiC又はSiCのようなNTC(Negative Temperature Coefficient)特性を有する材料が総合的には好ましい。
(1.1.2 電極部)
ヒーターエレメント100は、柱状ハニカム構造部の外周側壁112の外周側に対向するように形成された一対の電極部120を備える。柱状ハニカム構造部は、一対の電極部間に電圧を印加すると通電してジュール熱により発熱することが可能である。好ましい実施形態においては、一対の電極部120が、ハニカム構造部の中心軸を挟んで、ハニカム構造部の外周側壁112の外周側にセルの流路方向に帯状に延設される。これにより、ハニカム構造体は、一対の電極部120間に電圧を印加した時に、ハニカム構造部内を流れる電流の偏りを抑制することができ、ハニカム構造部内の温度分布の偏りを抑制することができる。各電極部120には電線を拡散接合、機械的な加圧機構、溶接等により接続することができ、例えばバッテリーから電線を介して給電可能である。
各電極部120は、例えばCu、Ag、Al及びSiから選択される少なくとも一種を含有する電極を使用することができる。後述するPTCサーミスタとオーミック接触の得られるオーミック電極を使用することもできる。オーミック電極は、例えば、ベース金属としてAu、Ag及びInから選択される少なくとも一種を含有し、ドーパントとしてn型半導体用のNi、Si、Ge、Sn、Se及びTeから選択される少なくとも一種を含有するオーミック電極を使用することができる。
一対の電極部120はそれぞれ、柱状ハニカム構造部のセルの流路方向に一方の底面から他方の底面まで延びる帯状に形成することが好ましい。このように、一対の電極部120が、柱状ハニカム構造部の両底面間に亘って配設されていることにより、一対の電極部120間に電圧を印加した時に、柱状ハニカム構造部内を流れる電流の偏りをより効果的に抑制することができる。そして、柱状ハニカム構造部内を流れる電流の偏りを抑制することにより、ハニカム構造部内の温度分布の偏りをより効果的に抑制することができる。「一対の電極部はそれぞれ、柱状ハニカム構造部のセルの流路方向に一方の底面から他方の底面まで延びる帯状に形成されている」とは、各電極部120の一方のセル流路方向端部が柱状ハニカム構造部の一方の底面の周縁に接し、且つ、各電極部120の他方のセル流路方向端部が柱状ハニカム構造部の他方の底面の周縁に接していることを意味する。
(1.1.3 PTCサーミスタ)
ヒーターエレメント100は、柱状ハニカム構造部の外周側壁112と一対の電極部120の少なくとも一方の電極部120との間に挟まれた位置で、当該柱状ハニカム構造部の外周側壁112を被覆するように配設されたPTCサーミスタ122を備える。このようなサンドイッチ構造を有することで、柱状ハニカム構造部からの熱は迅速にPTCサーミスタ122に伝えられるので、柱状ハニカム構造部が過剰発熱したときに、PTCサーミスタ122が速やかに作動し、電極部120を介して柱状ハニカム構造部を通る電流を抑制することが可能となる。PTCサーミスタ122は、柱状ハニカム構造部の外周側壁112と一対の電極部120の一方の電極部120との間に挟まれた位置にのみ設けてもよいし、柱状ハニカム構造部の外周側壁112と一対の電極部120の両方の電極部120との間に挟まれた位置に設けてもよい。PTCサーミスタを両方の電極部に対して設ける場合は、電流の偏りを防止するため、各電極部用のPTCサーミスタ同士を分離させて設けることが好ましい。
過熱防止性能を高めるという観点から、柱状ハニカム構造部の容積Vに対する、PTCサーミスタ122によって柱状ハニカム構造部の外周側壁112が被覆される部分の合計面積Sの比(S/V)の下限は、0.1cm2/cm3以上であることが好ましく、0.2cm2/cm3以上であることがより好ましく、0.4cm2/cm3以上であることが更により好ましい。また、円断面、四角断面の単純形状の側面全てを覆う以上に複雑形状にしてS/Vを稼ぐことは可能ではあるが電流の分布が複雑化して温度分布に不均一を生じやすくなってしまうので、単純形状を維持する観点から、S/Vの上限は、0.8cm2/cm3以下であることが好ましく、0.7cm2/cm3以下であることがより好ましく、0.6cm2/cm3以下であることが更により好ましい。ここで、ハニカムの容積Vは、柱状ハニカム構造部の外形寸法に基づいて測定される容積値を指す(中空部分は容積Vに算入しない。)。また、合計面積Sは、PTCサーミスタが複数設置されている場合には、複数のPTCサーミスタによって柱状ハニカム構造部の外周側壁が被覆される部分の合計面積を指す。
S/Vを大きくするために、PTCサーミスタによって柱状ハニカム構造部の外周側壁が被覆される部分の合計面積Sを大きくすると、各電極部用に配設したPTCサーミスタ同士の距離が短くなるので、ハニカム構造部内の電気伝導経路が短い部分ができてしまう。この場合、電気抵抗が低いためその部分に電流が集中して流れてしまい、局所的に高温になり、温度の不均一が生じる。そこで、ハニカム構造部中の電気伝導経路が短くなってしまう部分は電気伝導に関して絶縁し、熱伝導は可能な状態にすると、PTCサーミスタへの熱の伝わりは良好なので過熱防止効果に優れ、かつ、電気伝導経路の短い部分を作らないので、ハニカム構造部内での発熱均一性が向上するという効果が得られる。
従って、本発明に係るヒーターエレメントは一実施形態において、
前記柱状ハニカム構造部の外周側壁と前記一対の電極部の各電極部との間に挟まれた位置にPTCサーミスタがそれぞれ配設されており、
少なくとも一方のPTCサーミスタの一部と、前記柱状ハニカム構造部の外周側壁との間に位置する電気絶縁層であって、前記一対の電極部に電圧を印加したときのハニカム構造部内における電流分布の均一性を高めることが可能な位置に延設された電気絶縁層を更に備える。
好ましい実施形態において、電気絶縁層はそれぞれのPTCサーミスタの一部と、前記柱状ハニカム構造部の外周側壁との間に挟まれた位置に一対配設される。
前記一対の電極部に電圧を印加したときのハニカム構造部内における電流分布の均一性を高めることが可能な電気絶縁層の配設位置としては、各電極部用に配設したPTCサーミスタ同士が周方向に最も近接する各PTCサーミスタの端縁部が挙げられる。電気絶縁層は各PTCサーミスタの一方の端縁部に設けてもよいし、各PTCサーミスタの両方の端縁部に設けてもよい。ここで、周方向とはハニカム構造部の高さ方向(セルの延びる方向)に垂直な方向を指す。
前記外周側壁がPTCサーミスタによって被覆される部分の合計面積Sに対する、当該合計面積Sから前記外周側壁が前記電気絶縁層に接する部分の面積を除いた面積Seの比率(Se/S)は小さいほうが、ハニカム構造部内での発熱均一性が向上するという効果が得られやすい。一方で、Se/Sが小さすぎると過昇温防止効果が低下しやすくなる。このため、好ましい実施形態においては0.3≦Se/S<1を満たし、より好ましい実施形態においては、0.3≦Se/S≦0.8を満たし、更により好ましい実施形態においては0.4≦Se/S≦0.7を満たす。
例えば、図1−4には、図1−2の実施形態に対して、ハニカム構造部の外周側壁112とPTCサーミスタ122の間に電気絶縁層118を部分的に挟むように改変した変形例が示されている。図1−4の実施形態においては、一対の対向するPTCサーミスタ122はそれぞれ、外周側壁112の電圧印加面及び当該電圧印加面に対して垂直な外周側壁112の隣接側面に断面L字状に延設されている。電気絶縁層118は、各PTCサーミスタ122と外周側壁112の間に挟まれた位置で、外周側壁112の当該隣接側面を被覆するように設置されている。
電気絶縁層118の材質としては、特に制限はないが、例えば、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、CeO2等の酸化物や、AlN、Si34等の窒化物が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。電気絶縁層118の形成方法としては乾式法及び湿式法が挙げられる。乾式法としては、CVD(化学蒸着)法、PVD(物理蒸着)法、イオンプレーティング法、スパッタリング法及び静電スプレー法が例示される。湿式法としては、電気絶縁層形成用スラリーを外周側壁の所定位置に塗布し、乾燥させた後、焼成する方法が例示される。
PTCサーミスタ122は、少なくとも一方の電極部120が柱状ハニカム構造部の外周側壁112と直接接触する部分がないように配設されることが好ましい。当該構成によればPTCサーミスタが作動したときに、電流経路を完全に遮断することが可能となるので、過熱防止性能を高める効果が得られる。
PTC特性を有するという観点から、PTCサーミスタ122は、チタン酸バリウムを主成分とする材料で構成されるセラミックスであることが好ましく、チタン酸バリウムを70質量%以上含有する材料で構成されるセラミックスであることがより好ましく、チタン酸バリウムを90質量%以上含有する材料で構成されるセラミックスであることが更により好ましい。当該セラミックスは希土類元素等の添加物を一種又は二種以上含有することが所望のPTC特性を得る上で好ましい。添加物としては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのような半導体化剤、Sr、Sn及びZrのような低温側のシフター、(Bi−Na)、(Bi−K)のような高温側のシフター、Mnのような特性改善剤、酸化バナジウム及び酸化イットリウムのような金属酸化物(特に希土類元素の酸化物)、並びに、カーボンブラック及びニッケルのような導電体粉末が挙げられる。このほかのPTC材料として、クリストバライト相SiO2を母材とし導電フィラーを含む複合材がある。クリストバライト相SiO2母材の代替にトリジマイト相SiO2、クリストバライト相AlPO4、トリジマイト相AlPO4を用いることもできる。
PTCサーミスタ122を構成する材料のキュリー点の下限値は、暖房用に空気を効率良く加熱する観点から、100℃以上であることが好ましく、125℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることが更により好ましい。また、PTCサーミスタ122を構成する材料のキュリー点の上限値は、車室または車室近傍に置かれる部品としての安全性の観点から、250℃以下であることが好ましく、225℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることが更により好ましい。
PTCサーミスタ122を構成する材料のキュリー点は、シフターの種類及び添加量によって調整可能である。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)のキュリー点は約120℃であるが、Ba及びTiの一部をSr、Sn及びZrの一種以上で置換することにより、キュリー点を低温側にシフトさせることができる。また、Baの一部をPbで置換することにより、キュリー温度を高温側にシフトさせることができる。
本発明において、キュリー点は以下の方法により測定される。試料を測定用の試料ホルダーに取りつけ、測定槽(例:MINI−SUBZERO MC−810P タバイ エスペック社製)内に装着して、10℃から昇温したときの温度変化に対する試料の電気抵抗の変化を直流抵抗計(例:マルチメーター3478A YHP製)を用いて測定する。測定により得られた電気抵抗−温度プロットにより、抵抗値が20℃における抵抗値の2倍になるときの温度をキュリー点とする。
PTCサーミスタ122の平均厚みの下限は、過熱防止性能を高めるという観点から、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましく、2mm以上であることが更により好ましい。PTCサーミスタ122の平均厚みの上限は、全体としての初期電気抵抗値を過剰に大きくしないという観点から、50mm以下であることが好ましく、40mm以下であることがより好ましく、30mm以下であることが更により好ましい。PTCサーミスタ122の平均厚みは、セルの流路に直交する断面でPTCサーミスタ122の厚みを任意に10か所以上測定したときの平均値として求める。
(1.2 ヒーターエレメントの第二実施形態)
図2には、本発明の第二実施形態に係るヒーターエレメント200についての、模式的な斜視図が示されている。ヒーターエレメント200は、外周側壁112と、内周側壁117と、外周側壁112及び内周側壁117の間に配設され、一方の底面から他方の底面まで流体の流路を形成する複数のセル115を区画形成する隔壁113と、を有する通電発熱可能な中空状ハニカム構造部を備える。また、ヒーターエレメント200は、中空状ハニカム構造部の外周側壁112の外周側に形成された外側電極部120aと、中空状ハニカム構造部の内周側壁117の内周側に形成された内側電極部120bを備える。また、ヒーターエレメント200は、中空状ハニカム構造部の内周側壁117と内側電極部120bとの間に挟まれた位置で、中空状ハニカム構造部の内周側壁117を被覆するように配設されている、及び/又は、中空状ハニカム構造部の外周側壁112と外側電極部120aとの間に挟まれた位置で、中空状ハニカム構造部の外周側壁112を被覆するように配設されている、PTCサーミスタ122を備える。
(1.2.1 柱状ハニカム構造部)
中空状ハニカム構造部の全体形状及びセルの形状は、中空状であるという限定がある点を除き、第一実施形態で述べた柱状ハニカム構造部における説明と同様であるので、詳細な説明を省略する。但し、第二実施形態においては、電極部が中空状ハニカム構造部の外周側及び内周側の両方に配置されているため、セルを放射状に配列することで、電気が径方向に流れやすくなる。このため、セルを放射状に配列することは、本実施形態のように電極部を中空状ハニカム構造部の外周側及び内周側の両方に配置するときに均一加熱性能が高くなるという点で特に有利である。
中空状ハニカム構造部の各底面積の大きさ、高さ、隔壁の平均厚み、セル密度、開口率、及び材質は、第一実施形態で述べた柱状ハニカム構造部における説明と同様であるので詳細な説明を省略する。
PTC材料がハニカムと接触する面積を確保する観点から、セルの流路に直交する断面において、中空部分及びセル開口部を含む中空状ハニカム構造部全体の断面積に対する中空部分の占める面積の割合は、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。また、ハニカム部を十分確保し、ガスの流動抵抗を抑える観点から、セルの流路に直交する断面において、中空部分及びセル開口部を含む中空状ハニカム構造部全体の断面積に対する中空部分の占める面積の割合は、80%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、50%以下であることが更により好ましい。なお、中空部分の占める面積の算出には電極部及びPTCサーミスタは考慮しない。
(1.2.2 電極部)
ヒーターエレメント200は、中空状ハニカム構造部の外周側壁112の外周側に形成された外側電極部120aと、中空状ハニカム構造部の内周側壁117の内周側に形成された内側電極部120bを備える。中空状ハニカム構造部は、一対の電極部間に電圧を印加すると通電してジュール熱により発熱することが可能である。好ましい実施形態においては、均一発熱の観点から、外側電極部120aは中空状ハニカム構造部の外周側壁の外周側全体を被覆するように形成される。また、好ましい実施形態においては、均一発熱の観点から、内側電極部120bは、中空状ハニカム構造部の内周側壁117の内周側全体を被覆するように形成される。これにより、ハニカム構造体は、一対の電極部120a、120b間に電圧を印加した時に、ハニカム構造部内を流れる電流の偏りを抑制することができ、ハニカム構造部内の温度分布の偏りを抑制することができる。内側電極部120bは、図2−2の(a)に示すように、ハニカム構造部の中空部分を完全に閉塞するように設けることも可能であり、これによって、ヒーターエレメントの構造強度を高めることができる。各電極部120a、120bには電線を拡散接合、機械的な加圧機構、溶接等により接続することができ、例えばバッテリーから電線を介して給電可能である。
各電極部120a、120bの材質は、第一実施形態で述べた電極部における説明と同様であるので詳細な説明を省略する。
(1.2.3 PTCサーミスタ)
ヒーターエレメント200は、中空状ハニカム構造部の内周側壁117と内側電極部120bとの間に挟まれた位置で、中空状ハニカム構造部の内周側壁117を被覆するように配設されているPTCサーミスタ122を備えることができる。代替的に又は追加的に、ヒーターエレメント200は、中空状ハニカム構造部の外周側壁112と外側電極部120aとの間に挟まれた位置で、中空状ハニカム構造部の外周側壁112を被覆するように配設されている、PTCサーミスタ122を備える。
このようなPTCサーミスタのサンドイッチ構造を有することで、柱状ハニカム構造部からの熱は迅速にPTCサーミスタ122に伝えられるので、柱状ハニカム構造部が過剰発熱したときに、PTCサーミスタ122が速やかに作動し、電極部120を介して柱状ハニカム構造部を通る電流を抑制することが可能となる。過熱防止性能を高めるという観点からは、被覆面積を大きくすることができる外周電極側に少なくともPTCサーミスタが配設されていることが好ましい。
過熱防止性能を高めるという観点から、柱状ハニカム構造部の容積Vに対する、PTCサーミスタ122によって中空状ハニカム構造部の内周側壁及び/又は外周側壁112が被覆される部分の合計面積Sの比(S/V)の下限は、0.1cm2/cm3以上であることが好ましく、0.2cm2/cm3以上であることがより好ましく、0.4cm2/cm3以上であることが更により好ましい。また、単純形状を維持する観点から、S/Vの上限は、0.8cm2/cm3以下であることが好ましく、0.7cm2/cm3以下であることがより好ましく、0.6cm2/cm3以下であることが更により好ましい。ここで、ハニカムの容積Vは、柱状ハニカム構造部の外形寸法に基づいて測定される容積値を指す(中空部分は容積Vに算入しない。)。また、合計面積Sは、PTCサーミスタが複数設置されている場合には、複数のPTCサーミスタによって柱状ハニカム構造部の内周側壁及び/又は外周側壁が被覆される部分の合計面積を指す。
PTCサーミスタ122が中空状ハニカム構造部の内周側壁117を被覆するように配設されている場合、当該PTCサーミスタ122は内側電極部120bが中空状ハニカム構造部の内周側壁117と直接接触する部分がないように配設されていることが好ましい。同様に、PTCサーミスタ122が中空状ハニカム構造部の外周側壁112を被覆するように配設されている場合、当該PTCサーミスタ122は外側電極部120aが中空状ハニカム構造部の外周側壁112と直接接触する部分がないように配設されていることが好ましい。当該構成によればPTCサーミスタが作動したときに、電流経路を完全に遮断することが可能となるので、過熱防止性能を高める効果が得られる。
第二実施形態におけるPTCサーミスタ122の材質、キュリー点及び平均厚みは、第一実施形態で述べたPTCサーミスタにおける説明と同様であるので詳細な説明を省略する。
(2.ヒーターエレメントの使用方法)
本発明に係るヒーターエレメントは、例えば、一対の電極間に電圧を印加することで発熱させることができる。印加電圧としては、急速加熱の観点から、200V以上の電圧を印加することが好ましく、250V以上の電圧を印加することがより好ましい。先述したように、本発明に係るヒーターエレメントは高電圧を印加したときにでも初期電流を抑えることができるので、安全性が高い。また、安全仕様が重くならないため、ヒーター周りの機器を低コストで製造可能である。
ヒーターエレメントが、電圧の印加によって発熱しているときに、セルにガスを流すことで、ガスを加熱することができる。セルに流入するガスの温度としては、例えば−60℃〜20℃とすることができ、典型的には−10℃〜20℃とすることができる。
(3.ヒーターエレメントの製造方法)
次に、本発明に係るヒーターエレメントを製造する方法について例示的に説明する。
(3.1 ハニカム構造部の作製)
柱状ハニカム構造部(中空状ハニカム構造部を含む)の作製は、公知のハニカム構造体の製造方法に準じて行うことができる。例えば、まず、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素粉末(金属珪素)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素の質量との合計に対して、金属珪素の質量が10〜40質量%となるようにすることが好ましい。尚、これは、ハニカム構造部の材質を、Si結合SiCとする場合の成形原料の配合であり、ハニカム構造部の材質をSiCとする場合には、金属珪素は添加しない。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、2.0〜10.0質量部であることが好ましい。
水の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20〜60質量部であることが好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1〜2.0質量部であることが好ましい。
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.5〜10.0質量部であることが好ましい。
次に、得られた成形原料を混練して坏土を形成した後、坏土を押出成形してハニカム成形体を作製する。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚み、セル密度等を有する口金を用いることができる。
次いで、得られたハニカム成形体を乾燥する。乾燥工程においては、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の従来公知の乾燥方法を用いることができる。なかでも、成形体全体を迅速かつ均一に乾燥することができる点で、熱風乾燥と、マイクロ波乾燥又は誘電乾燥とを組み合わせた乾燥方法が好ましい。
次いで、乾燥後のハニカム成形体に対して焼成を行うことで柱状ハニカム構造部を作製可能である。焼成の前にバインダを除去するための脱脂工程を行うこともできる。焼成条件は、ハニカム成形体の材質によって適宜決定することができる。例えば、柱状ハニカム構造部の材質がSi結合SiCを主成分とする場合、ハニカム成形体をAr等の不活性ガス雰囲気中においてSiC粒子間をSi金属が結合する条件で焼成することにより、柱状ハニカム構造部を作製することができる。
焼成炉としては、特に限定されないが、電気炉、ガス炉等を用いることができる。
(3.2 PTCサーミスタの作製)
PTCサーミスタは例えば以下の手順により作製可能である。セラミックス原料に、分散媒及びバインダを含有する原料組成物を混ぜ合わせ、混練してペースト又はスラリーを調製する。原料組成物中には分散剤、半導体化剤、シフター、金属酸化物、特性改善剤、導電体粉末等の添加剤を必要に応じて配合することができる。
セラミックス原料は、焼成後に残存し、セラミックスとしてPTCサーミスタの骨格を構成する部分の原料である。セラミックス原料は例えば粉末の形態で提供することができる。セラミックス原料としては、チタン酸バリウムの主成分となるTiO2やBaCO3など酸化物や炭酸塩原料が使用可能である。また、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのような半導体化剤、Sr、Sn及びZrのような低温側のシフター、(Bi−Na)、(Bi−K)のような高温側のシフター、Mnのような特性改善剤等も、酸化物や炭酸塩、あるいは焼成後酸化物になるシュウ酸塩を用いてもよい。導電率を制御するため、カーボンブラック及びニッケルのような導電体粉末を添加してもよい。
分散媒としては、水、又は水とアルコール等の有機溶媒との混合溶媒等を挙げることができるが、特に水を好適に用いることができる。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の有機バインダを例示することができる。特に、メチルセルロース及びヒドロキシプロポキシルセルロースを併用することが好適である。また、バインダの含有量は、成形体の強度を維持する観点から、セラミックス原料100質量部に対して4質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であるのがより好ましく、6質量部以上であるのが更により好ましい。バインダの含有量は、バインダ除去加熱における成形体の割れを抑制する観点から、セラミックス原料100質量部に対して9質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であるのがより好ましく、7質量部以下であるのが更により好ましい。バインダは、1種類を単独で使用するものであっても、2種類以上を組み合わせて使用するものであってもよい。
分散剤には、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等の界面活性剤を用いることができる。分散剤は、1種類を単独で使用するものであっても、2種類以上を組み合わせて使用するものであってもよい。分散剤の含有量は、セラミックス原料100質量部に対して0〜2質量部であることが好ましい。
次いで、得られたペースト又はスラリーをハニカム構造体の外周側壁及び/又は内周側壁の所望の場所に塗布後、ペースト又はスラリーを焼成する。焼成の前に、バインダ等を除去するため、仮焼成を行ってもよい。焼成条件としては、窒素、アルゴン、真空等の不活性雰囲気において、950〜1300℃で、10分〜120分加熱することが好ましい。
代替的に、PTCサーミスタは、先述した原料組成物を混練して坏土を得て、所望のPTCサーミスタ形状に成形し、次いで、乾燥、脱脂及び焼成を行うことで作製してもよい。焼成条件は、PTCサーミスタの材質によって適宜決定することができる。例えば、PTCサーミスタの材質がチタン酸バリウムを主成分とする場合、焼成温度は、1100〜1400℃が好ましく、1200〜1300℃が更に好ましい。また、焼成時間は、1〜4時間程度とすることが好ましい。作製したPTCサーミスタは、ハニカム構造体の外周側壁及び/又は内周側壁の所望の場所に、メタライズ接合(ロウ付け)、拡散接合、無機接着剤などの方法で接合することができる。
(3.3 電極部の形成)
このようにして得られたPTCサーミスタ付きハニカム構造部には、電極部を接合することができる。電極部は、PTCサーミスタの表面上に、スパッタリング、蒸着、電解析出、化学析出のような金属析出法によって形成することができる。また、電極部は、PTCサーミスタの表面上に電極ペーストを塗布した後、焼き付けることによって形成することもできる。更には溶射によって形成することもできる。いずれの方法によっても、PTCサーミスタの表面にコーティングされた電極部を形成することができる。電極部は単層で構成してもよいが、組成の異なる複数の電極層で構成することもできる。例えば、電極部の厚みはペーストの焼付けでは5〜30μm程度、スパッタリング及び蒸着のような乾式めっきでは100〜1000nm程度、溶射では10〜100μm程度、電解析出及び化学析出のような湿式めっきでは5〜30μm程度とすることが好ましい。内側電極部は、ハニカム構造部の中空部分を完全に閉塞するように設けることも可能であり、これによって、ヒーターエレメントの構造強度を高めることができる。
(4.車室暖房用ヒーター)
図3には、本発明の一実施形態に係る車室暖房用ヒーター300の構成が模式的に示されている。本実施形態に係るヒーターは、本発明に係るヒーターエレメント100(又は200)、外気又は車室130内空気とヒーターエレメント100(又は200)の一方の底面114を連通する流入配管132(132a、132b)、ヒーターエレメント100(又は200)に電圧を印加するためのバッテリー134、及びヒーターエレメント100(又は200)の他方の底面116と車室130内空気を連通する流出配管136を備える。
ヒーターエレメント100(又は200)は、例えば、バッテリー134と電線119で接続し、その途中の電源スイッチをONにすることでヒーターエレメント100(又は200)を通電発熱するように構成することが可能である。
ヒーターエレメント100(又は200)の上流側又は下流側には送風機138を設置することができる。高電圧の部品をできるだけ車室から離して配置して安全を確保する観点から、送風機はヒーターエレメント100(又は200)の下流側に設置することが好ましい。送風機138を駆動すると、車室内又は車室外から空気が流入配管132(132a、132b)を通ってヒーターエレメント100(又は200)に流入する。発熱中のヒーターエレメント100(又は200)を通過する間に空気は加熱される。加熱された空気は、ヒーターエレメント100(又は200)から流出し、流出配管136を通って車室内に送られる。流出配管出口は車室内でも特に暖房効果の高くなるよう乗員の足元近傍に配置しても良いし、座席シート内へ配管出口を配置して座席シートを内側から温めるようにしても良いし、ウィンドウ近傍に配置してウィンドウの曇りを抑制する効果を合わせ持たせても良い。
図3の実施形態に係る車室暖房用ヒーター300は、外気とヒーターエレメント100(又は200)の一方の底面114を連通する流入配管132aを備える。更に、図3の実施形態に係る車室暖房用ヒーターは、車室130内空気とヒーターエレメント100(又は200)の一方の底面114を連通する流入配管132bを備える。流入配管132aと流入配管132bは途中で合流する。流入配管132a及び流入配管132bには、合流地点よりも上流側において、バルブ139(139a、139b)を設置することができる。バルブ139(139a、139b)の開閉を制御することで、外気をヒーターエレメント100(又は200)に導入するモードと、車室130内空気をヒーターエレメント100(又は200)に導入するモードの間で切り替えることができる。例えば、バルブ139aを開き、バルブ139bを閉じると、外気をヒーターエレメント100(又は200)に導入するモードとなる。バルブ139a及びバルブ139bの両者を開いて、外気及び車室130内空気を同時にヒーターエレメント100(又は200)に導入することも可能である。
本発明のヒーターは蒸気圧縮ヒートポンプを主暖房装置として採用している車両の補助ヒーターとして使用することができ、その場合には上記のように直接車室へ送風しない場合も想定される。その場合には上記説明の“車室”を“主暖房装置の送風配管の一部”と置き換える形での設置がされることでも良い。また、車室からの戻り配管にはさらに分岐してバルブを介して車外へ排気する経路を設けても良いが、車外への排気は、蒸気圧縮ヒートポンプを用いた主暖房装置の方で行っても良いし、別の排気システムと連動して行っても良い。
以下、本発明及びその利点をより理解するための実施例を挙げるが本発明は実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜6>
(1.ハニカム構造部の作製)
表1に記載に示す寸法を有する直方体状のSi結合SiC製ハニカム構造部を、公知の方法で成形及び焼成することで作製した。何れの実施例においてもハニカム構造部の材料組成は同じである。当該ハニカム構造部の隔壁平均厚みは0.13mm、セル密度は60セル/cm2、セルの流路に直交する断面におけるセル形状は正方形、開口率は0.806とした。表1中、a及びbはハニカム構造部の各底辺の長さ、cはハニカム構造部の高さ(セルの流路の長さ)を示す。表1中、Vはハニカム構造部の容積、TSは外周側壁の全面積を示す。
(2.PTCサーミスタの形成)
チタン酸バリウムの原料であるTiO2及びBaCO3に、分散媒、バインダ、シフター等を配合したペーストを調製し、上記のハニカム構造部の外周側壁の所定の位置に塗布後、ペーストを焼成することで、実施例の番号に応じて表1に示す各種仕様のPTCサーミスタをハニカム構造部の外周側壁に対向するようにして一対形成した。なお、実施例5及び実施例6においては、PTCサーミスタによって被覆すべきハニカム構造部の外周側壁の一部にCVD法によって電気絶縁層(酸化シリコン膜)を形成した後に、PTCサーミスタを形成した。
表1中、被覆面積Sは、PTCサーミスタによって外周側壁が被覆される合計面積を示す。表1中、キュリー点は、実施例で使用したPTCサーミスタと同スペックの試料に対して先述した方法で測定したキュリー点を示す。表1中、S/Vはハニカム構造部の容積Vに対する、PTCサーミスタによってハニカム構造部の外周側壁が被覆される部分の合計面積Sの比を示す。表1中、電気伝導面積は、ハニカム構造部の外周側壁がPTCサーミスタによって被覆される部分の合計面積Sから、ハニカム構造部の外周側壁が電気絶縁層に接する部分の面積を除いた面積Seを示す。実施例5及び実施例6以外は、電気伝導面積は被覆面積Sに等しい。表1中、被覆位置はハニカム構造部を底面側から観察したときのPTCサーミスタ及び電気絶縁層による外周側壁の被覆位置を図示するものである。何れの実施例においても、PTCサーミスタはハニカム構造部の高さ方向全体にわたって延設した。
(3.電極部の形成)
上記のようにして作成したPTCサーミスタ付きのハニカム構造部のPTCサーミスタ表面上に、ガラスフリット混合ペーストを焼き付ける方法によって、タングステンを材質とする電極部(厚み1mm)を形成し、ヒーターエレメントを製造した。何れの実施例においても、電極部はPTCサーミスタの表面全体を過不足なく被覆するように形成したが、ハニカム構造部の外周側壁と直接接触する部分がないように留意した。表1中、実施例1〜6において電極部位置が「外」とあるのは、電極部がPTCサーミスタよりも外周側にあることを意味する。
(4.過昇温防止効果の試験)
上記の手順で得られた各実施例に係るヒーターエレメントの対向する一対の電極部に対して、室温にて200Vの電圧を印加して発熱させたときのハニカム高さ(セルの流路の長さ)方向の中央位置におけるハニカム中心軸付近の最高到達温度を調査した。そして、以下の基準によって、過昇温防止効果を評価した。結果を表1に示す。
D: PTC材料のキュリー温度+100℃以上。
C: PTC材料のキュリー点温度+80℃以上+100℃未満。
B: PTC材料のキュリー点温度+60℃以上+80℃未満。
A: PTC材料のキュリー点温度+60℃未満。
(5.ハニカム温度均一性調査)
上記の手順で得られた各実施例に係るヒーターエレメントの対向する一対の電極部に対して、室温にて200Vの電圧を印加して加温したときのハニカム各位置:ハニカム高さ(セルの流路の長さ)方向の中央面内で、一本の対角線上の5点(最外周セル2点、中央セル、およびその中間セル2点)および、一本の辺の中央を結ぶ線上の5点(最外周セル2点、中央セル1点、およびその中間セル2点(但し、中央セルは共通))の計9点の温度分布を熱電対による温度計測の方法によって調査した。そして、以下の基準によって、ハニカム温度均一性を評価した。結果を表1に示す。
D: ハニカム内の最大温度差 100℃以上
C: ハニカム内の最大温度差 60℃以上 100℃未満
B: ハニカム内の最大温度差 30℃以上 60℃未満
A: ハニカム内の最大温度差 30℃未満
(6.考察)
表1の結果からわかるように、S/Vが大きくなるにつれて、過昇温防止効果が向上することが分かる。また、ハニカム温度均一性はハニカム中の電気伝導経路長さが比較的短くなってしまう領域を電気絶縁して覆うほうが向上することが分かる。
<比較例1>
実施例1と同様のハニカム構造部を用意した。比較例1では、電極部をハニカム構造部の外周側壁に形成した後にPTCサーミスタを形成した他は実施例1と同様の方法でヒーターエレメントを作製した。表1中、比較例1において電極部位置が「内」とあるのは、電極部がPTCサーミスタよりも内周側にあることを意味する。得られたヒーターエレメントに対して、実施例と同様の方法で、過昇温防止効果の試験及びハニカム温度均一性調査を行った。結果を表1に示す。
比較例1では、ハニカム構造部からの熱が電極部を介してPTCサーミスタに伝達するため、応答速度が遅くなった。この結果、過昇温防止効果が実施例1に比べて低下した。
Figure 2020059443
Figure 2020059443
100、200 ヒーターエレメント
112 外周側壁
113 隔壁
114 一方の底面
115 セル
116 他方の底面
117 内周側壁
118 電気絶縁層
119 電線
120 電極部
120a 外側電極部
120b 内側電極部
122 PTCサーミスタ
130 車室
139(139a、139b) バルブ
132(132a、132b) 流入配管
134 バッテリー
136 流出配管
138 送風機
300 車室暖房用ヒーター

Claims (19)

  1. 車両の車室暖房用ヒーターエレメントであって、
    外周側壁と、外周側壁の内周側に配設され、一方の底面から他方の底面まで流体の流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁とを有する通電発熱可能な柱状ハニカム構造部、
    当該柱状ハニカム構造部の外周側壁の外周側に対向するように形成された一対の電極部、及び、
    当該柱状ハニカム構造部の外周側壁と前記一対の電極部の少なくとも一方の電極部との間に挟まれた位置で、当該柱状ハニカム構造部の外周側壁を被覆するように配設されたPTCサーミスタ、
    を備えた車室暖房用ヒーターエレメント。
  2. 前記柱状ハニカム構造部の容積Vに対する、前記PTCサーミスタによって前記柱状ハニカム構造部の外周側壁が被覆される部分の合計面積Sの比(S/V)が、0.1cm2/cm3以上である請求項1に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  3. 前記S/Vが、0.2cm2/cm3以上である請求項2に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  4. 前記複数のセルの流体の流路に直交する方向の断面において、前記複数のセルは放射状に配列されている請求項1〜3の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  5. 前記PTCサーミスタは、キュリー点が100℃以上250℃以下のPTC材料で構成される請求項1〜4の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  6. 前記柱状ハニカム構造部がSi結合SiCを含有する請求項1〜5の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  7. 前記PTCサーミスタは、前記少なくとも一方の電極部が前記柱状ハニカム構造部の外周側壁と直接接触する部分がないように配設される請求項1〜6の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  8. 前記柱状ハニカム構造部の外周側壁と前記一対の電極部の各電極部との間に挟まれた位置にPTCサーミスタがそれぞれ配設されており、
    少なくとも一方のPTCサーミスタの一部と、前記柱状ハニカム構造部の外周側壁との間に位置する電気絶縁層であって、前記一対の電極部に電圧を印加したときのハニカム構造部内における電流分布の均一性を高めることが可能な位置に延設された電気絶縁層を更に備える請求項1〜7の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  9. 前記外周側壁がPTCサーミスタによって被覆される部分の合計面積Sと、当該合計面積Sから前記外周側壁が前記電気絶縁層に接する部分の面積を除いた面積Seは、0.3≦Se/S<1を満たす請求項8に記載のヒーターエレメント。
  10. 車両の車室暖房用ヒーターエレメントであって、
    外周側壁と、内周側壁と、外周側壁及び内周側壁の間に配設され、一方の底面から他方の底面まで流体の流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有する通電発熱可能な中空状ハニカム構造部、
    当該中空状ハニカム構造部の外周側壁の外周側に形成された外側電極部、
    当該中空状ハニカム構造部の内周側壁の内周側に形成された内側電極部、
    及び、
    当該中空状ハニカム構造部の内周側壁と前記内側電極部との間に挟まれた位置で、当該中空状ハニカム構造部の内周側壁を被覆するように配設されている、及び/又は、当該中空状ハニカム構造部の外周側壁と前記外側電極部との間に挟まれた位置で、当該中空状ハニカム構造部の外周側壁を被覆するように配設されている、PTCサーミスタ、
    を備えた車室暖房用ヒーターエレメント。
  11. 前記中空状ハニカム構造部の容積Vに対する、前記PTCサーミスタによって前記中空状ハニカム構造部の内周側壁及び/又は外周側壁が被覆される部分の合計面積Sの比(S/V)が、0.1cm2/cm3以上である請求項10に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  12. 前記S/Vが、0.2cm2/cm3以上である請求項11に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  13. 前記複数のセルの流体の流路に直交する方向の断面において、前記複数のセルは放射状に配列されている請求項10〜12の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  14. 前記PTCサーミスタは、キュリー点が100℃以上250℃以下のPTC材料で構成される請求項10〜13の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  15. 前記中空状ハニカム構造部がSi結合SiCを含有する請求項10〜14の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  16. 前記PTCサーミスタが中空状ハニカム構造部の内周側壁を被覆するように配設されている場合、当該PTCサーミスタは前記内側電極部が前記中空状ハニカム構造部の内周側壁と直接接触する部分がないように配設され、前記PTCサーミスタが中空状ハニカム構造部の外周側壁を被覆するように配設されている場合、当該PTCサーミスタは前記外側電極部が前記中空状ハニカム構造部の外周側壁と直接接触する部分がないように配設される請求項10〜15の何れか一項に記載の車室暖房用ヒーターエレメント。
  17. 二つの電極間に200V以上の電圧を印加する請求項1〜16の何れか一項に記載のヒーターエレメントの使用方法。
  18. −60℃〜20℃のガスがセルを通過することを含む請求項17に記載のヒーターエレメントの使用方法。
  19. 請求項1〜16の何れか一項に記載のヒーターエレメント、
    外気又は車室内空気と前記ヒーターエレメントの一方の底面を連通する流入配管、
    前記ヒーターエレメントに電圧を印加するためのバッテリー、及び
    前記ヒーターエレメントの他方の底面と車室内を連通する流出配管、
    を備えた車室暖房用ヒーター。
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