JP7393928B2 - セラミックス体及びヒーターエレメント - Google Patents

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Description

本発明は一実施形態において、PTC特性を有するセラミックス体に関する。また、本発明は一実施形態において、PTC特性を有するセラミックス体を備えたヒーターエレメントに関する。
従来、PTC(Positive Temperature Coefficient)特性を示す材料として、BaTiO3で表される組成に様々な添加元素を加えたセラミックス体が提案されている。PTC特性とはキュリー点以上の高温になると急激に抵抗値が増大する特性である。PTC特性を有するセラミックス体はPTCヒーター、PTCスイッチ、過電流保護素子、温度検知器などに用いられており、用途に応じて種々の特性改善が行われてきた。
特許文献1(特開2013-79160号公報)には、BaTiO3に、Y、Ho、Er、Ybを用いること、及び、La、Dy、Eu、GdをY、Ho、Er、Ybと適量複合添加することで、経時変化が小さく、室温抵抗率、抵抗温度係数が共に実用的な値であるPTCサーミスタ用磁器組成物を得られることが記載されている。
特許文献2(特許第5510455号公報)には、一般式AmBO3で表わされるペロブスカイト型構造を有するBamTiO3系組成物を主成分とし、Ti100モル%のうち、0.05モル%以上0.3モル%以下の範囲で、半導体化剤としてのWが置換されており、主にBaが占めるAサイトと主にTiが占めるBサイトの比であるmが0.99≦m≦1.002であり、Aサイトを構成する元素の総モル数を100モル%としたとき、Caを15モル%以下の範囲で含有しており、抵抗値が25℃での抵抗値の2倍になる温度を2倍点としたときに、2倍点が100℃以上であり、実測焼結密度が理論焼結密度の70%以上90%以下である半導体セラミックが記載されている。当該半導体セラミックは、安定したPTC特性を有し、2倍点が高く、使用温度範囲が広いとされている。
特許文献3(特許第5930118号公報)には、チタン酸バリウム系のPTCサーミスタにおいて、Baの一部を環境負荷の高いPbではなく、所定の範囲でBiおよびアルカリ金属A(NaあるいはK)で置換し、なおかつBaサイト/Tiサイトのmol比およびCaの添加量を所定の範囲内にすることにより、大気中あるいは窒素雰囲気中のいずれかの焼成においても容易に半導体化し、常温比抵抗が低く、キュリー点が120℃より高温側にシフトしたPTCサーミスタを得ることができると記載されている。また、当該文献には、このPTCサーミスタは、ヒーター素子として使用しても、経時変化を小さくすることができると記載されている。
特許文献4(特開2017-27980号公報)には、立方晶のチタン酸バリウム粉末に代えて、結晶性の高い正方晶のチタン酸バリウム粉末を原料に使用し、かつ、123ケルビンから163ケルビンにおいて、ケルビン温度の逆数に対する粒内抵抗の変化の傾きが、135以上、340以下となるように制御し、焼結後の平均磁器粒径を0.8μm以下とすることで、積層型PTCサーミスタの室温比抵抗を低く、耐電圧性を高くすることができると記載されている。
特許文献5(特許第5970717号公報)には、チタン酸バリウムを主成分とし、希土類元素が添加されることにより構成され、セラミック基体の平均磁器粒径は、0.3[μm]以上、0.5[μm]未満であり、セラミック基体の相対密度の下限値は70[%]であり、セラミック基体の相対密度の上限値は、平均磁器粒径をdとおくと、-6.43d+97.83[%]であるセラミック基体を使用した積層型PTCサーミスタ素子が記載されている。当該積層型PTCサーミスタ素子は、低室温比抵抗および高耐電圧を両立することができるとされる。
特開2013-79160号公報 特許第5510455号公報 特許第5930118号公報 特開2017-27980号公報 特許第5970717号公報
このように、PTC特性を有するセラミックス体について、種々の観点から改良がなされてきたものの、未だ開発の余地が残されている。例えば、PTC特性を有するセラミックス体を暖房用のヒーターエレメントに適用することは、熱暴走を防止する観点から有用であるが、室温での電気抵抗が低すぎると、初期電流が過大になってしまう問題がある。電流値が高くなると、それに対応して周辺機器を設計する必要が出てくるため、コスト高になる。すなわち、室温での電気抵抗は適度に高いことが望ましい。このことは、限られた空間に機器を設置する必要のある自動車や電車といった車両の車室を暖房する用途において顕著となる。また、熱暴走を防止するという観点からは、高温(例:200℃)での電気抵抗はより一層高いことが望ましい。つまり、室温と200℃の間の抵抗温度係数が大きいことが望ましい。
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、一実施形態において、室温での電気抵抗が適度に高く、室温と200℃の間の抵抗温度係数も高い、PTC特性を有するセラミックス体を提供することを課題とする。本発明は別の一実施形態において、そのようなセラミックス体を備えたヒーターエレメントを提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、BaTiO3で表される組成に、希土類元素及びアルカリ金属元素を微量添加することが有効であることを見出した。本発明は当該知見に基づき完成したものであり、以下に例示される。
[1]
組成式が(Ba1-x-yA1xA2y)TiO3(式中、A1は一種又は二種以上の希土類元素を表し、A2は一種又は二種以上のアルカリ金属元素を表し、0.001≦x≦0.01、0.001≦y≦0.01、0.002≦x+y≦0.02である。)で表されるセラミックスが90質量%以上を占めるセラミックス体。
[2]
希土類元素がLaであり、アルカリ金属元素がK及びNaの一方又は両方である[1]に記載のセラミックス体。
[3]
相対密度が60%~98%である[1]又は[2]に記載のセラミックス体。
[4]
Pb含有量が0~0.01質量%である[1]~[3]の何れか一項に記載のセラミックス体。
[5]
25℃での体積抵抗率に対する200℃での体積抵抗率の比率として定義される抵抗温度係数が100~1000000である[1]~[4]の何れか一項に記載のセラミックス体。
[6]
25℃で測定される体積抵抗率が10~10000Ω・cmである[1]~[5]の何れか一項に記載のセラミックス体。
[7]
25℃で測定される体積抵抗率が100~10000Ω・cmである[6]に記載のセラミックス体。
[8]
平均結晶粒径が0.3~15.0μmである[1]~[7]の何れか一項に記載のセラミックス体。
[9]
平均結晶粒径が0.3~3.0μmである[8]に記載のセラミックス体。
[10]
ウォールフロー型又はフロースルー型の柱状ハニカム構造を有する[1]~[9]の何れか一項に記載のセラミックス体。
[11]
25℃での体積抵抗に対し、2倍の体積抵抗となる温度が80~120℃である[1]~[10]の何れか一項に記載のセラミックス体。
[12]
[1]~[11]の何れか一項に記載のセラミックス体を備えたヒーターエレメント。
[13]
車室暖房用である[12]に記載のヒーターエレメント。
本発明の一実施形態によれば、PTC特性を有するセラミックス体において、室温での電気抵抗を適度に高くでき、更に、室温と200℃の間の抵抗温度係数も高くすることができる。このような特性をもつセラミックス体は例えば暖房用のヒーターエレメントとして、とりわけ車室暖房用のヒーターエレメントとして好適に使用可能である。
本発明に係るセラミックス体の第一実施形態についての模式的な斜視図である。 本発明に係るセラミックス体の第一実施形態についての模式的な断面図である。 本発明に係る車室暖房用ヒーターの構成例を示す模式図である。
次に本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
(1.組成)
通電発熱可能であり、且つ、PTC特性を有するという観点から、本発明に係るセラミックス体は一実施形態において、チタン酸バリウムを主成分とする材料で構成される。そして、室温での電気抵抗を適度に高くすると共に、室温と200℃の間の抵抗温度係数を高くするという観点から、本発明に係るセラミックス体は一実施形態において、一種又は二種以上の希土類元素、及び、一種又は二種以上のアルカリ金属元素をそれぞれ微量に含有する。理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、希土類元素及びアルカリ金属元素を併用することで、希土類元素の固溶量が減り、析出した希土類元素のピン止め効果によって結晶粒の成長が抑制されると考えられる。そして、結晶粒が微細化することで、粒界抵抗が上昇すると考えられる。また、2価であるBaに比べ高価数の希土類元素により増加した電荷が低価数であるアルカリ金属に相殺されることによりキャリアが減少し、高抵抗化しているとも考えられる。但しアルカリ金属元素が過剰となると液相量が増大し粒成長を促進するため、希土類元素のピン止め効果は発現しないと考えられる。
具体的には、本発明に係るセラミックス体は一実施形態において、組成式が(Ba1-x-yA1xA2y)TiO3(式中、A1は一種又は二種以上の希土類元素を表し、A2は一種又は二種以上のアルカリ金属元素を表し、0.001≦x≦0.01、0.001≦y≦0.01、0.002≦x+y≦0.02である。)で表されるセラミックスが90質量%以上を占める。予期せぬ特性変化を防止するという観点から、本発明に係るセラミックス体は一実施形態において、上記組成式で表されるセラミックスが95質量%以上を占めることができ、98質量%以上を占めることもでき、又は、99質量%以上を占めることもできる。セラミックス体を構成する残部成分としては、例えば、PTC材料に慣用的に添加されているシフター、特性改良材、金属酸化物及び導電体粉末等の添加剤の他、不可避的不純物が挙げられる。
上記の組成式において、A1は一種又は二種以上の希土類元素を表し、xはBaサイトの一部をA1で置換する量の合計を表す。A1は、希土類元素であれば特に制限はないが、La、Ce、Pr、Nd、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Ybが好適に使用可能であり、Laが特に好適に使用可能である。xは、小さすぎると室温での電気抵抗が高くなり過ぎることから、0.001以上であることが好ましく、0.0015以上であることがより好ましく、0.002以上であることが更により好ましい。一方、xは、大きすぎた場合にも焼結不足となり室温での電気抵抗が高くなりすぎることから、0.01以下であることが好ましく、0.009以下であることがより好ましく、0.008以下であることが更により好ましい。
上記の組成式において、A2は一種又は二種以上のアルカリ金属元素を表し、yはBaサイトの一部をA2で置換する量の合計を表す。A2は、アルカリ金属元素であれば特に制限はないが、K、Na、Liが好適に使用可能であり、K及びNaの一方又は両方が特に好適に使用可能である。yは、小さすぎるとA1元素によるBaTiO3結晶の微粒化効果を小さくすることから、0.001以上であることが好ましく、0.0012以上であることがより好ましい。一方、yは、大きすぎるとBaTiO3中へのA1元素の固溶を阻害し所望の電気特性を得られないことから、0.01以下であることが好ましく、0.003以下であることがより好ましい。
上記の組成式において、x+yは、小さすぎるとA1元素によるBaTiO3結晶の微粒化効果を小さくすることから、0.002以上であることが好ましく、0.003以上であることがより好ましい。一方、x+yは、大きすぎるとBaTiO3中へのA1元素の固溶を阻害し所望の電気特性を得られないことから、0.02以下であることが好ましく、0.015以下であることがより好ましい。
環境負荷を軽減するという観点から、本発明に係るセラミックス体は一実施形態において、Pb含有量が0~0.01質量%であり、好ましくは0~0.001質量%であり、より好ましくは0である。Pb含有量が少ないことで、例えばセラミックス体をヒーターエレメントに用いたときに、セラミックス体に接触させることで加温した空気をヒト等の生物に安全に当てることができる。また、本発明に係るセラミックス体の一実施形態において、Pb含有量はPbOに換算して0.03質量%未満であり、好ましくは0.01質量%未満である。
(2.相対密度)
本発明に係るセラミックス体は一実施形態において、相対密度が60%~98%である。相対密度の下限は、低い方がセラミックス体の電気抵抗は上昇しやすいが、強度も低下するので、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更により好ましい。相対密度の上限は、高過ぎると電気抵抗が低下しやすいことから、98%以下であることが好ましく、92%以下であることがより好ましく、86%以下であることが更により好ましい。
本発明においては、セラミックス体の相対密度は以下のように測定する。セラミックス体の密度をアルキメデス法により測定し、これをBaTiO3の理論密度である6.02g/cm3で割り算し、相対密度を求める。
(3.平均結晶粒径)
セラミックス体の平均結晶粒径は小さい方が、粒界抵抗が増加してセラミックス体の電気抵抗を上昇させることができるので望ましい。従って、本発明に係るセラミックス体は一実施形態において、平均結晶粒径の上限が15.0μm以下であり、好ましくは3.0μm以下であり、より好ましくは2.0μm以下であり、更により好ましくは1.0μm以下である。平均結晶粒径の下限は特に設定されないが、作り込みの容易性の観点から、通常は0.3μm以上である。
本発明において、セラミックス体の平均結晶粒径は以下のように測定する。セラミックス体から、5mm×5mm×5mmの角状試料を切り出し、樹脂で包埋する。包埋した試料を機械研磨により鏡面研磨し、SEM観察する。SEM観察は、例えば日立ハイテクノロジーズ社製の型式S-3400Nを使用し、加速電圧15kV、倍率3000で行う。SEM観察像(縦30μm×横45μm)において、視野の縦方向全体にまたがる太さ0.3μmの直線を10μmの間隔で4本引き、この直線が一部でも通過する結晶の数を数えた。直線の長さを結晶の数で割ったものの4カ所以上のSEM観察像の平均を平均結晶粒径とする。
(4.室温での体積抵抗率)
本発明に係るセラミックス体の一実施形態においては、室温(25℃)で測定される体積抵抗率が10~10000Ω・cmである。室温(25℃)で測定される体積抵抗率がこの範囲であることで、例えば、本発明に係るセラミックス体に通電したときの初期電流を抑制することができる。初期電流を抑制できることにより、例えば、周辺機器の設計を簡素化することができるという利点が得られる。また、暖房に必要な発熱性能は確保しながら、消費電力が大きくなるのを抑制することができる。
セラミックス体の室温(25℃)における体積抵抗率の下限は、初期電流を抑制するという観点から、10Ω・cm以上であることが好ましく、100Ω・cm以上であることがより好ましく、500Ω・cm以上であることが更により好ましく、1000Ω・cm以上であることが更により好ましく、2000Ω・cm以上であることが最も好ましい。但し、体積抵抗率が過度に高くなると、セラミックス体に電圧を印加したときに電流が流れ難くなり、例えば、セラミックス体をヒーターエレメントに適用したときの発熱性能が低下する。このため、セラミックス体の室温(25℃)における体積抵抗率の上限は、10000Ω・cm以下であることが好ましく、8000Ω・cm以下であることがより好ましく、6000Ω・cm以下であることが更により好ましく、4000Ω・cm以下であることが最も好ましい。
本発明において、セラミックス体の体積抵抗率は、以下のように測定する。セラミックス体から、30mm×30mm×15mmの寸法の試験片をランダムに2個以上切削加工し採取する。そして、測定温度における電気抵抗を2端子法にて測定し、試験片の形状から体積抵抗率を算出する。すべての試験片の体積抵抗率の平均値を測定温度における測定値とする。
(5.抵抗温度係数)
セラミックス体に通電したときの熱暴走を防止するという観点からは、セラミックス体の高温(例:200℃)下での電気抵抗は十分に高いことが望ましい。この点、本発明に係るセラミックス体の一実施形態においては、室温(25℃)での体積抵抗率に対する200℃での体積抵抗率の比率として定義される抵抗温度係数を100~1000000の範囲にすることができる。抵抗温度係数の下限は、熱暴走の防止性能を高めるという観点から、100以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましく、1000以上であることが更により好ましく、10000以上であることが更により好ましく、100000以上であることが最も好ましい。
(6.体積抵抗が2倍になる温度:T2)
本発明に係るセラミックス体の一実施形態においては、室温(25℃)での体積抵抗に対し、2倍の体積抵抗となる温度(T2)が80~120℃であり、典型的には85~115℃であり、より典型的には90~110℃である。T2は、用途に応じて適宜設定すればよく、シフターを用いて高温化してもよいし、低温化してもよい。
(7.セラミックス体の用途)
本発明に係るセラミックス体は、限定的ではないが、例えば、PTCヒーター、PTCスイッチ、過電流保護素子、温度検知器に利用可能である。中でも、暖房用のヒーターエレメントとして、とりわけ車室暖房用のヒーターエレメントとして好適に使用可能である。車両には、限定的ではないが、自動車及び電車が挙げられる。自動車としては、限定的ではないが、ガソリン車、ディーゼル車、燃料電池自動車、電気自動車及びプラグインハイブリッド自動車が挙げられる。本発明に係るヒーターエレメントは、とりわけ電気自動車及び電車のような内燃機関を持たない車両に好適に利用可能である。
(8.セラミックス体の形状及び構造)
本発明に係るセラミックス体の形状及び構造は、用途に応じて適宜選択すればよく、特段の制約はない。例えば、セラミックス体をヒーターエレメントとして利用することを考える場合、ウォールフロー型又はフロースルー型の柱状ハニカム構造を有することができる。
図1には、本発明に係るセラミックス体の第一実施形態についての模式的な斜視図が示されている。図2には、本実施形態に係るセラミックス体を点線Aに沿って切断したときの模式的な断面図が示されている。本実施形態のセラミックス体100は、外周側壁112と、外周側壁112の内側に配設され、第1の底面114から第2の底面116まで流路を形成する複数のセル115を区画形成する隔壁113とを有する柱状ハニカム構造部を備える。
図1に示すセラミックス体100は、各セル115の両端が開口するフロースルー型の柱状ハニカム構造を有する。別の実施形態において、セラミックス体100は、隣り合うセルが交互に反対側の底面で目封止されたウォールフロー型のハニカム構造を有することができる。
柱状ハニカム構造部は、例えば、底面が多角形(四角形(長方形、正方形)、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状、底面が円形の柱状(円柱形状)、底面がオーバル形状の柱状、底面がL字状の柱状等の任意の形状とすることができる。底面が多角形の場合、角部は面取りしてもよい。
セルの流路に直交する断面におけるセルの形状に制限はないが、四角形(長方形、正方形)、六角形、八角形、又はこれらの二種以上の組み合わせであることが好ましい。これらのなかでも、正方形及び六角形が好ましい。セル形状をこのようにすることにより、ハニカム成形体にガスを流したときの圧力損失を小さくすることができる。図1に示す実施形態に係るセラミックス体における柱状ハニカム構造部は、セルの流路に直交する断面におけるセルの形状は正方形である。
初期電流を抑えるという観点からは、電流通路を小さくして電気抵抗を大きくすることが有利である。従って、ハニカム構造部における隔壁113の平均厚みの上限は、0.13mm以下であることが好ましく、0.10mm以下であることがより好ましく、0.08mm以下であることが更により好ましい。但し、ハニカム構造部の強度を確保するという観点からは、隔壁113の平均厚みの下限は、0.02mm以上であることが好ましく、0.04mm以上であることがより好ましく、0.06mm以上であることが更により好ましい。
本発明において、隔壁の厚みは、セルの流路に直交する断面において、隣接するセルの重心同士を線分で結んだときに当該線分が隔壁を横切る長さを指す。隔壁の平均厚みは、すべての隔壁の厚みの平均値を指す。
柱状ハニカム構造部は、セル密度が15セル/cm2以上であることが好ましく、30セル/cm2以上であることがより好ましい。先述した隔壁の平均厚みの好適な範囲と組み合わせてセル密度を上記範囲に規制することで、初期電流を抑えながら、急速加熱に適したセラミックス体とすることができる。通風抵抗を抑えて送風機の出力を抑制するという観点から、柱状ハニカム構造部は、セル密度が70セル/cm2以下であることが好ましく50セル/cm2以下であることがより好ましい。本発明において、柱状ハニカム構造部のセル密度は、柱状ハニカム構造部の各底面の面積でセル数を除して得られる値である。
従来の車室暖房用のPTCヒーターは、PTC素子が絶縁材料を介してアルミ金属等のカバーで覆い、このカバーと接触するアルミフィン構造に熱を伝えて、アルミフィンを介して空気を加熱する構成を採用しているため、PTC素子は直接空気と接触しない。一方、本実施形態に係るセラミックス体は、PTC特性を有する柱状ハニカム構造部を備えており、この柱状ハニカム構造部自体が発熱して、直接空気を加熱することができる。つまり、絶縁材料や、アルミ金属を介さず、空気に熱を伝えられるので、柱状ハニカム構造部と空気の温度差を小さくすることが可能である。したがって、目標とするガス温度に対して、従来技術ではPTC素子材料の温度を高くする必要があったが、本発明ではより低い温度のPTC材料で目標ガス温度を達成可能である。このため、従来技術で用いられていたPTC材料に比較して、T2が低いPTC材料を用いることが可能である。
図1に示す実施形態に係るセラミックス体100はヒーターエレメントとして利用可能であり、通電によって発熱可能である。従って、外気又は車室内空気のようなガスが、第1の底面114から流入してから、複数のセル115を通過し、第2の底面116から流出するまでに、当該ガスは発熱する隔壁からの伝熱によって加熱されることが可能である。
(9.電極)
本発明に係るセラミックス体は一実施形態において、一対の電極118が取り付けられてもよい(図1参照)。電極118としては、例えばCu、Ag、Al及びSiから選択される少なくとも一種を含有する電極を使用することができる。セラミックス体とオーミック接触の得られるオーミック電極を使用することもできる。オーミック電極は、例えば、ベース金属としてAu、Ag及びInから選択される少なくとも一種を含有し、ドーパントとしてn型半導体用のNi、Si、Ge、Sn、Se及びTeから選択される少なくとも一種を含有するオーミック電極を使用することができる。
電流を柱状ハニカム構造部に効率的に流すため、電極118は外周側壁及び/又は隔壁に接合していることが好ましく、外周側壁及び隔壁の両方に接合していることが好ましい。そこで、例えば、柱状ハニカム構造部を有するセラミックス体の対向する側面にそれぞれ電極を接合することが好ましく、柱状ハニカム構造部を有するセラミックス体の両底面にそれぞれ電極を接合することがより好ましい。両底面にそれぞれ電極を形成する場合、各電極は、セルを塞ぐことなく各底面を被覆するように設けることが好ましく、セルを塞ぐことなく各底面全体を被覆するように設けることがより好ましい。換言すれば、本発明に係るセラミックス体の好ましい実施形態においては、外周側壁及び隔壁の両底面部分上に、セルを塞ぐことなく、表面電極層(電極)118が形成されている。表面電極層118には電線119を拡散接合、機械的な加圧機構、溶接等により接続することができ、例えばバッテリーから電線119を介して給電可能である。
(10.セラミックス体の使用方法)
本発明に係るセラミックス体をヒーターエレメントとして使用する場合、例えば、一対の電極をセラミックス体に接合した上で、一対の電極間に電圧を印加することで発熱させることができる。印加電圧としては、急速加熱の観点から、200V以上の電圧を印加することが好ましく、250V以上の電圧を印加することがより好ましい。先述したように、本発明に係るセラミックス体は高電圧を印加したときにでも初期電流を抑えることができるので、安全性が高い。また、安全仕様が重くならないため、ヒーター周りの機器を低コストで製造可能である。
セラミックス体が、電圧の印加によって発熱しているときに、セルにガスを流すことで、ガスを加熱することができる。セルに流入するガスの温度としては、例えば-60℃~20℃とすることができ、典型的には-10℃~20℃とすることができる。
(11.セラミックス体の製造方法)
次に、本発明に係るセラミックス体を製造する方法について例示的に説明する。まず、狙いの組成となるようにセラミックス原料を乾式混合した後、分散媒、バインダー、可塑剤及び分散剤を添加して混ぜ合わせて原料組成物を調製する。先述したx及びyを定める希土類元素及びアルカリ金属元素の配合比及び種類は、セラミックス体の結晶粒径を制御するのに寄与する。原料組成物を混練して坏土を調製した後、坏土を押出成形してハニカム成形体を作製する。原料組成物中にはシフター、金属酸化物、特性改善剤、導電体粉末等の添加剤を必要に応じて配合することができる。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚み、セル密度等を有する口金を用いることができる。
セラミックス原料は、焼成後に残存し、セラミックスとしてハニカム構造体の骨格を構成する部分の原料である。セラミックス原料は例えば粉末の形態で提供することができる。セラミックス原料としては、チタン酸バリウムの主成分となるTiO2やBaCO3など酸化物や炭酸塩原料が使用可能である。BaTiO3の結晶粒径が成長しやすく電気抵抗が低くなりやすいチタン酸バリウム(BaTiO3)自体は原料として使用しないほうが好ましい。但し、BaTiO3を添加するとセラミックス体の相対密度を高くできるので、必要に応じて適宜原料組成物中に添加することは可能である。また、希土類元素、シフター、特性改善剤等の添加剤も、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、又は焼成後酸化物になるシュウ酸塩を用いてもよい。導電率を制御するため、カーボンブラック及びニッケルのような導電体粉末を添加してもよい。
分散媒としては、水、又は水とアルコール等の有機溶媒との混合溶媒等を挙げることができるが、特に水を好適に用いることができる。
バインダーとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の有機バインダーを例示することができる。特に、メチルセルロース及びヒドロキシプロポキシルセルロースを併用することが好適である。バインダーは一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよいが、アルカリ金属元素を含有していることが好ましく、その中でも、K(カリウム原子)及びNa(ナトリウム原子)の一方又は両方を含有していることが望ましい。アルカリ金属元素は、例えば、バインダー分子に水素原子を置換するような形で結合していてもよいし、金属塩のような形で混合物として存在していてもよい。バインダー中のアルカリ金属元素はセラミックス体の構成元素となり得る。但し、セラミックス体中のアルカリ金属元素はバインダー由来に限られるものではなく、他の原料に由来しても構わない。
可塑剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリカルボン酸系高分子、アルキルリン酸エステル等を例示することができる。
分散剤には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等の界面活性剤を用いることができる。分散剤は、1種類を単独で使用するものであっても、2種類以上を組み合わせて使用するものであってもよい。分散剤の含有量は、セラミックス原料100質量部に対して0~2質量部であることが好ましい。
次いで、得られたハニカム成形体を乾燥する。乾燥工程においては、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の従来公知の乾燥方法を用いることができる。なかでも、成形体全体を迅速かつ均一に乾燥することができる点で、熱風乾燥と、マイクロ波乾燥又は誘電乾燥とを組み合わせた乾燥方法が好ましい。
次いで、乾燥後のハニカム成形体に対して焼成を行うことで柱状ハニカム構造体を有するセラミックス体を製造可能である。焼成の前にバインダーを除去するための脱脂工程を行うこともできる。焼成条件は、ハニカム成形体の材質によって適宜決定することができる。例えば、ハニカム成形体の材質がチタン酸バリウムを主成分とする場合、焼成温度は、1100~1400℃が好ましく、1200~1300℃が更に好ましい。また、焼成時間は、1~4時間程度とすることが好ましい。
脱脂工程を実施する際の雰囲気は、有機成分を完全に分解するために大気雰囲気とすることが好ましい。焼成工程を実施する際の雰囲気も、電気特性の制御と製造コストの観点から大気雰囲気とすることが好ましい。
焼成炉としては、特に限定されないが、電気炉、ガス炉等を用いることができる。
このようにして得られた柱状ハニカム構造部をもつセラミックス体には、一対の電極を接合することができる。電極は、セラミックス体の表面上、典型的には側面上又は底面上に、スパッタリング、蒸着、電解析出、化学析出のような金属析出法によって形成することができる。また、電極は、セラミックス体の表面上、典型的には側面上又は底面上に、電極ペーストを塗布した後、焼き付けることによって形成することもできる。更には溶射によって形成することもできる。いずれの方法によっても、セラミックス体の表面に被覆された電極を形成することができる。電極は単層で構成してもよいが、組成の異なる複数の電極層で構成することもできる。上記の方法で電極を底面に形成するとき、電極層の厚みを過度に大きくならないように設定すれば、セルを塞がないようにすることができる。例えば、電極の厚みはペーストの焼付けでは5~30μm程度、スパッタリング及び蒸着のような乾式めっきでは100~1000nm程度、溶射では10~100μm程度、電解析出及び化学析出のような湿式めっきでは5~30μm程度とすることが好ましい。
(12.車室暖房用ヒーター)
図3には、本発明の一実施形態に係る車室暖房用ヒーター200の構成が模式的に示されている。本実施形態に係るヒーターは、ヒーターエレメントとして使用される本発明の一実施形態に係る柱状ハニカム構造を有するセラミックス体100、外気又は車室130内空気とセラミックス体100の第1の底面114を連通する流入配管132(132a、132b)、セラミックス体100に電圧を印加するためのバッテリー134、及びセラミックス体100の第2の底面116と車室130内空気を連通する流出配管136を備える。
セラミックス体100は、例えば、バッテリー134と電線119で接続し、その途中の電源スイッチをONにすることでセラミックス体100を通電発熱するように構成することが可能である。
セラミックス体100の上流側又は下流側には送風機138を設置することができる。高電圧の部品をできるだけ車室から離して配置して安全を確保する観点から、送風機138はセラミックス体100の下流側に設置することが好ましい。送風機138を駆動すると、車室内又は車室外から空気が流入配管132(132a、132b)を通ってセラミックス体100に流入する。発熱中のセラミックス体100を通過する間に空気は加熱される。加熱された空気は、セラミックス体100から流出し、流出配管136を通って車室内に送られる。流出配管出口は車室内でも特に暖房効果が高くなるよう乗員の足元近傍に配置しても良いし、座席シート内へ配管出口を配置して座席シートを内側から温めるようにしても良いし、ウィンドウ近傍に配置してウィンドウの曇りを抑制する効果を合わせ持たせても良い。
図3の実施形態に係る車室暖房用ヒーター200は、外気とセラミックス体100の第1の底面114を連通する流入配管132aを備える。更に、図3の実施形態に係る車室暖房用ヒーターは、車室130内空気とセラミックス体100の第1の底面114を連通する流入配管132bを備える。流入配管132aと流入配管132bは途中で合流する。流入配管132a及び流入配管132bには、合流地点よりも上流側において、バルブ139(139a、139b)を設置することができる。バルブ139(139a、139b)の開閉を制御することで、外気をセラミックス体100に導入するモードと、車室130内空気をセラミックス体100に導入するモードの間で切り替えることができる。例えば、バルブ139aを開き、バルブ139bを閉じると、外気をセラミックス体100に導入するモードとなる。バルブ139a及びバルブ139bの両者を開いて、外気及び車室130内空気を同時にセラミックス体100に導入することも可能である。
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を比較例と共に示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<実施例1~10、比較例1~3>
(1.セラミックス体の作製)
セラミックス原料として、表1に記載の原料紛を用意した。これらの原料紛を、試験番号に応じて所望の組成となるように秤量して、乾式混合して混合粉を得た。表中の「○」は、記載の原料紛を使用したことを表す。乾式混合は、30分間実施した。次いで、得られた混合粉100質量部に対して、水、バインダー、可塑剤、分散剤を、合計で3~30重量部の範囲で適量ずつ添加して混練し、坏土を得た。バインダーとしてはK及び/又はNaを含有するバインダーを使用した。可塑剤及び分散剤としてはポリオキシアルキレンアルキルエーテルを使用した。
この坏土を押出成形機に投入し、所定の口金を用いて押出成形することにより、直方体状のハニカム成形体を得た。
このハニカム成形体を得られたハニカム成形体を誘電乾燥及び熱風乾燥した後、所定の寸法となるように両底面を切断して、下記の試験に必要なだけの数のハニカム乾燥体を得た。
ハニカム乾燥体の仕様は以下である。
全体形状:30mm×30mm×高さ(セルの延びる方向)50mmの直方体状
セルの流路方向に垂直な断面におけるセル形状:正方形
セル密度(単位断面積当たりのセルの数):300cpsi(46.5セル/cm2
隔壁厚み:4mil(0.10mm)
その後、焼成炉内にて、各ハニカム乾燥体を大気雰囲気下で脱脂(450℃×4時間)及び焼成(1350又は1400℃×0.5~8時間)し、ハニカム構造を有するセラミックス体を多数得た。
(2.化学分析)
得られたセラミックス体の化学組成をICP発光分光法により分析した。結果を表1に示す。なお、何れの試験番号に係るセラミックス体においても原料紛にはPbを使用しておらず、得られたセラミックス体は何れもPbを含有していなかった。
(3.結晶相の同定)
得られたセラミックス体の結晶相を、X線回折装置を用いて同定した。X線回折装置としては、多機能粉末X線回折装置(Bruker社製、D8Advance)を用いる。X線回折測定の条件は、CuKα線源、10kV、20mA、2θ=5~100°とした。そして、解析ソフトTOPAS(BrukerAXS社製)を用いてリートベルト法により、得られたX線回折データを解析して各結晶相を同定した。表1に結果を示す。結晶相とは、主相を示していて、主相というのは材料全体の80質量%以上を占めている結晶相のことである。
(4.平均結晶粒径の測定)
得られたセラミックス体の平均結晶粒径を、先述した方法に従って測定した。SEM観察は、日立ハイテクノロジーズ社製の型式S-3400Nを使用し、加速電圧15kV、倍率3000で行った。結果を表1に示す。
(5.相対密度)
得られたセラミックス体の相対密度を先述した方法に従って測定した。結果を表1に示す。
(6.体積抵抗率)
得られたセラミックス体の室温(25℃)における体積抵抗率を、先述した方法に従って測定した。次いで、試験片の温度を徐々に上昇させながら、5℃毎に試験片の体積抵抗率を測定し、室温に対して抵抗が2倍になる温度(T2)、200℃における体積抵抗率をそれぞれ求めた。また、室温における体積抵抗率に対する200℃における対する比である抵抗温度係数を算出した。なお、各温度における体積抵抗率の測定値は、すべての試験片の体積抵抗率の平均値とした。結果を表1に示す。
(7.考察)
上記の結果から分かる通り、実施例に係るセラミックス体はPTC特性を有し、室温での体積抵抗率が適度に高く、室温と200℃の間の抵抗温度係数も高い。このような特性をもつセラミックス体は例えば暖房用のヒーターエレメントとして、とりわけ車室暖房用のヒーターエレメントとして好適に使用可能である。
理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、各実施例の考えられ得るメカニズムについて分析する。実施例1~4は、原料にBaTiO3粉末を用いており焼結性がよいため、相対密度が高かった。このために体積抵抗率が低い傾向にあった。また、相対密度が高い実施例2~4の間で比較すると、平均結晶粒径が小さい方が体積抵抗率が高い傾向にあった。一方、実施例5~10は、原料にBaCO3とTiO2を用いているため、反応中にCO2ガスが発生し焼結を阻害しやすいため、相対密度が低かった。また、原料にBaCO3とTiO2を用いていることに加え、一部のNaやKがBaサイトに固溶して、本来Baサイトに固溶するLaの一部が固溶せず、粒子のピン止めとなって粒成長が抑えられ、平均結晶粒径が小さかった。このため、体積抵抗率が実施例1~4に比べて高い傾向にあった。また、希土類元素のLaが多くなると体積抵抗率が下がるはずであるが、平均結晶粒径が小さいことで、体積抵抗率が大きく変化しなかった。つまり、平均結晶粒径が小さいことで、安定した体積抵抗率を得られることも分かる。これは品質安定性に役立つ。更に、実施例5~10は平均結晶粒径が小さいことで粒子と粒子の界面が増え、界面抵抗が高くなったことにより、高い抵抗温度係数を示し、高温での優れた電流遮断機能を有していることが分かる。
一方、比較例1は、希土類元素が含まれていなかったことから、室温での体積抵抗率が高過ぎた。比較例2は、Laを過剰に添加したことで、ピン止め効果が過剰になりすぎ、相対密度が大きく低下した。このため、室温での体積抵抗率が高過ぎた。比較例3は、アルカリ金属元素を過剰に添加したことで、室温での体積抵抗率が低過ぎた。
100 セラミックス体
112 外周側壁
113 隔壁
114 第1の底面
115 セル
116 第2の底面
118 電極
119 電線
130 車室
132(132a、132b) 流入配管
134 バッテリー
136 流出配管
138 送風機
139(139a、139b) バルブ

Claims (13)

  1. 組成式が(Ba1-x-yA1xA2y)TiO3(式中、A1は一種又は二種以上の希土類元素を表し、A2は一種又は二種以上のアルカリ金属元素を表し、0.001≦x≦0.01、0.001≦y≦0.01、0.002≦x+y≦0.02である。)で表されるセラミックスが90質量%以上を占めるセラミックス体。
  2. 希土類元素がLaであり、アルカリ金属元素がK及びNaの一方又は両方である請求項1に記載のセラミックス体。
  3. 相対密度が60%~98%である請求項1又は2に記載のセラミックス体。
  4. Pb含有量が0~0.01質量%である請求項1~3の何れか一項に記載のセラミックス体。
  5. 25℃での体積抵抗率に対する200℃での体積抵抗率の比率として定義される抵抗温度係数が100~1000000である請求項1~4の何れか一項に記載のセラミックス体。
  6. 25℃で測定される体積抵抗率が10~10000Ω・cmである請求項1~5の何れか一項に記載のセラミックス体。
  7. 25℃で測定される体積抵抗率が100~10000Ω・cmである請求項6に記載のセラミックス体。
  8. 平均結晶粒径が0.3~15.0μmである請求項1~7の何れか一項に記載のセラミックス体。
  9. 平均結晶粒径が0.3~3.0μmである請求項8に記載のセラミックス体。
  10. ウォールフロー型又はフロースルー型の柱状ハニカム構造を有する請求項1~9の何れか一項に記載のセラミックス体。
  11. 25℃での体積抵抗に対し、2倍の体積抵抗となる温度が80~120℃である請求項1~10の何れか一項に記載のセラミックス体。
  12. 請求項1~11の何れか一項に記載のセラミックス体を備えたヒーターエレメント。
  13. 車室暖房用である請求項12に記載のヒーターエレメント。
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