以下、図面を参照して、例示的な実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
[車両及び報知装置の構成]
図1は、実施形態に係る報知装置1を含む車両2の一例の機能ブロック図である。図1に示されるように、乗用車などの車両2には、報知装置1が搭載される。報知装置1は、自動運転で走行する車両2に設けられ、歩行者に対して情報を報知する。自動運転とは、予め設定された目的地に向かって自動で車両2を走行させる車両制御である。目的地は、運転者などの乗員が設定してもよく、車両2が自動で設定してもよい。自動運転では、運転者が運転操作を行う必要が無く、自動で車両2が走行する。
車両2は、外部センサ3、GPS受信部4、内部センサ5、地図データベース6、ナビゲーションシステム7、自動運転ECU8、及び、アクチュエータ9を備える。
外部センサ3は、車両2の周辺の状況を検出する検出機器である。外部センサ3は、車両2が走行する車道の前方の物体の位置を検出する。外部センサ3は、カメラ及びレーダセンサのうち少なくとも一つを含む。
カメラは、車両2の外部状況を撮像する撮像機器である。カメラは、一例として車両2のフロントガラスの裏側に設けられる。カメラは、車両2の外部状況に関する撮像情報を取得する。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。ステレオカメラは、両眼視差を再現するように配置された二つの撮像部を有する。ステレオカメラの撮像情報には、奥行き方向の情報も含まれる。
レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して車両2の周辺の物体を検出する検出機器である。レーダセンサには、例えば、ミリ波レーダ又はライダー(LIDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)が含まれる。レーダセンサは、電波又は光を車両2の周辺に送信し、障害物で反射された電波又は光を受信することで物体を検出する。
GPS受信部4は、3個以上のGPS衛星から信号を受信して、車両2の位置を示す位置情報を取得する。位置情報には、例えば緯度及び経度が含まれる。GPS受信部4に代えて、車両2が存在する緯度及び経度が特定できる他の手段が用いられてもよい。
内部センサ5は、車両2の走行状態を検出する検出機器である。内部センサ5は、車速センサ、加速度センサ及びヨーレートセンサを含む。車速センサは、車両2の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、例えば、車両2の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフトなどに対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。
加速度センサは、車両2の加速度を検出する検出器である。加速度センサは、車両2の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、車両2の加速度を検出する横加速度センサとを含んでもよい。ヨーレートセンサは、車両2の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。
地図データベース6は、地図情報を記憶する記憶装置である。地図データベース6は、例えば、車両2に搭載されたHDD(Hard Disk Drive)内に格納される。地図データベース6は、地図情報として、静止物体の情報、交通ルール、信号機の位置などを含む。静止物体は、例えば、路面ペイント(白線や黄線などのレーン境界線を含む)や構造物(縁石、ポール、電柱、建物、標識、木など)である。地図データベース6に含まれる地図情報の一部は、地図データベース6が記憶されたHDDとは異なる記憶装置に記憶されてもよい。地図データベース6に含まれる地図情報の一部又は全ては、車両2に備わる記憶装置以外の記憶装置に記憶されていてもよい。
ナビゲーションシステム7は、予め設定された目的地まで車両2の運転者の案内を行うシステムである。ナビゲーションシステム7は、GPS受信部4により測定された車両2の位置と地図データベース6の地図情報とに基づいて、車両2の走行する走行道路及び走行レーンを認識する。ナビゲーションシステム7は、車両2の位置から目的地に至るまでの目標ルートを演算し、HMI(Human Machine Interface)を用いて運転者に対して当該目標ルートの案内を行う。
アクチュエータ9は、車両2の走行制御を実行する装置である。アクチュエータ9は、エンジンアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。エンジンアクチュエータは、自動運転ECU8からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量を変更(例えばスロットル開度を変更)することで、車両2の駆動力を制御する。なお、エンジンアクチュエータは、車両2がハイブリッド車又は電気自動車である場合には、動力源としてのモータの駆動力を制御する。
自動運転ECU8は、車両2を制御する。ECUは、CPU(CentralProcessing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CAN(Controller AreaNetwork)通信回路などを有する電子制御ユニットである。自動運転ECU8は、例えばCAN通信回路を用いて通信するネットワークに接続され、上述した車両2の構成要素と通信可能に接続される。自動運転ECU8は、例えば、CPUが出力する信号に基づいて、CAN通信回路を動作させてデータを入出力し、データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行することで、自動運転機能を実現する。自動運転ECU8は、複数の電子制御ユニットから構成されてもよい。
自動運転ECU8は、一例として、外部センサ3の検出結果、及び、地図データベース6の少なくとも一方に基づいて、車両2の周囲の物体(物体の位置も含む)を認識する。物体には、電柱、ガードレール、木、建物などの移動しない静止物体の他、歩行者、自転車、他車両などの動的物体が含まれる。自動運転ECU8は、例えば、外部センサ3から検出結果を取得する度に物体の認識を行う。自動運転ECU8は、その他の周知の手法により物体を認識してもよい。
自動運転ECU8は、一例として、地図データベース6に含まれる静止物体の情報を利用して、認識された物体の中から動的物体を検出する。自動運転ECU8は、その他の周知の手法により、動的物体を検出してもよい。
自動運転ECU8は、検出された動的物体に対して、カルマンフィルタ、パーティクルフィルタなどを適用して、その時点における動的物体の移動量を検出する。移動量には、動的物体の移動方向及び移動速度が含まれる。移動量には、動的物体の回転速度が含まれてもよい。また、自動運転ECU8は、移動量の誤差推定を行ってもよい。
自動運転ECU8は、内部センサ5の検出結果(例えば車速センサの車速情報、加速度センサの加速度情報、ヨーレートセンサのヨーレート情報など)に基づいて、車両2の走行状態を認識する。車両2の走行状態には、例えば、車速、加速度、及びヨーレートが含まれる。
自動運転ECU8は、外部センサ3の検出結果に基づいて車両2の走行するレーンの境界線の認識を行う。
自動運転ECU8は、外部センサ3の検出結果、地図データベース6、認識された車両2の地図上の位置、認識された物体(車線境界線を含む)の情報、及び、認識された車両2の走行状態などに基づいて、車両2の進路を生成する。このとき、自動運転ECU8は、車両2の周囲の物体の挙動を仮定して、車両2の進路を生成する。物体の挙動の仮定の例としては、車両2の周囲の物体が全て静止物体であるとの仮定、動的物体は独立して移動するとの仮定、動的物体が他の物体及び車両2の少なくとも一方と相互作用しながら移動するとの仮定、などが挙げられる。
自動運転ECU8は、複数の仮定を用いて複数の車両2の進路候補を生成する。進路候補は、車両2が物体を回避して走行する進路が少なくとも一つ含まれる。自動運転ECU8は、それぞれの進路候補の信頼度などを用いて、一つの進路を選択する。
自動運転ECU8は、選択された進路に応じた走行計画を生成する。自動運転ECU8は、外部センサ3の検出結果、及び地図データベース6に基づいて、車両2の進路に応じた走行計画を生成する。自動運転ECU8は、地図データベース6に格納された制限速度を用いて、走行レーンの制限速度を超えない範囲で走行計画を生成する。また、自動運転ECU8は、所定の上限速度を超えない範囲で車両2が走行する走行計画を生成する。
自動運転ECU8は、生成する走行計画を、車両2の進路を車両2に固定された座標系での目標位置pと各目標点での速度Vとの二つの要素からなる組、すなわち配位座標(p、V)を複数持つものとして出力する。ここで、それぞれの目標位置pは、少なくとも車両2に固定された座標系でのx座標、y座標の位置もしくはそれと等価な情報を有する。なお、走行計画は、車両2の挙動を記すものであれば特に限定されるものではない。走行計画は、例えば速度Vの代わりに目標時刻tを用いてもよいし、目標時刻tとその時点での車両2の方位とを付加したものでもよい。走行計画は、車両2が進路を走行する際における、車両2の車速、加減速度及び操舵トルクなどの推移を示すデータとしてもよい。走行計画は、車両2の速度パターン、加減速度パターン及び操舵パターンを含んでいてもよい。
自動運転ECU8は、生成した走行計画に基づいて車両2の走行を自動で制御する。自動運転ECU8は、走行計画に応じた制御信号をアクチュエータ9に出力する。これにより、自動運転ECU8は、走行計画に沿って車両2が自動で走行するように、車両2の走行を制御する。
以下、車両2が走行する道路の前方に歩行者が存在する場合において、自動運転ECU8が実行する自動運転を概説する。
自動運転ECU8は、外部センサ3の検出結果に基づいて、車両2が走行する車道の前方の歩行者の位置を認識する。自動運転ECU8は、パターンマッチングなどの技術を用いて、外部センサ3によって検出された物体が歩行者であるか否かを判定する。図2の(A)は、歩行者の位置の一例である。図2の(A)に示される例では、車両2が道路Rを走行している。車両2が走行する車道の前方(例えば車頭の位置P0よりも進行方向前方の位置)には、歩行者Hが存在する。外部センサ3により、道路Rの境界線、及び、位置PHに存在する物体が検出され、自動運転ECU8により、位置PHの物体が歩行者Hであると認識される。
自動運転ECU8は、認識された歩行者Hの位置PHと車両2が走行する道路Rとの距離に基づいて、歩行者Hが横断予定歩行者であるか否かを判定する。横断予定歩行者とは、道路を横断する意思を有する歩行者である。図2の(A)に示される例においては、歩行者Hは、道路Rの境界線から距離Wだけ離れている。自動運転ECU8は、一例として、距離Wが閾値以下である場合には歩行者は横断予定歩行者であると判定する。判定部12は、一例として、距離Wが閾値以下でない場合には歩行者Hは横断予定歩行者でないと判定する。自動運転ECU8は、歩行者Hの顔向き、移動方向などをさらに考慮して歩行者Hが横断予定歩行者であるか否かを判定してもよい。自動運転ECU8は、歩行者Hが道路Rから離れる方向に移動している場合には、歩行者は横断予定歩行者でないと判定する。自動運転ECU8は、歩行者Hから横断歩道までの距離をさらに考慮して歩行者Hが横断予定歩行者であるか否かを判定してもよい。
自動運転ECU8は、歩行者Hが横断予定歩行者でない場合には、自動運転を継続する。自動運転ECU8は、歩行者Hが横断予定歩行者である場合には、横断予定歩行者に対応する道路R上の位置を決定する。自動運転ECU8は、一例として、横断予定歩行者の位置から車両2の進路と直交する直線を引き、進路と直線との交点を、横断予定歩行者に対応する位置とする。歩行者に対応する位置とは、歩行者の位置に基づいて定まる道路上の位置であり、自動運転時において歩行者に応じて停止するなどの挙動をする際に用いられる位置である。自動運転ECU8は、横断予定歩行者の移動方向をさらに考慮して横断予定歩行者に対応する位置を決定してもよい。図2の(B)は、横断予定歩行者に対応する位置の一例である。図2の(B)では、横断予定歩行者H1は道路Rを真横に横切る方向に移動しているとする。この場合、図2の(B)に示されるように、横断予定歩行者H1の位置PHから移動方向へと延びる直線を引き、車両2の進路と直線との交点を、横断予定歩行者H1に対応する位置P1とする。図2の(C)は、横断予定歩行者に対応する位置の他の例である。図2の(C)では、横断予定歩行者H1は道路Rを斜めに横切る方向に移動しているとする。この場合、図2の(C)に示されるように、横断予定歩行者H1の位置PHから移動方向へと延びる直線を引き、車両2の進路と直線との交点を、横断予定歩行者H1に対応する位置P1とする。
自動運転ECU8は、自動運転中の車両2の速度に基づいて車両2を自動運転で停車状態とするまでの停車距離を演算する。停車状態とは、内部センサ5の検出結果に基づいて車両2が停車したと判定される状態である。自動運転ECU8は、内部センサ5により検出された車速が0又は0を含む所定範囲にある場合には、車両2を停車状態と判定する。つまり、停車状態は、車両2が完全に停車している場合だけでなく、停車していると見なせる範囲において移動している場合も含む。
自動運転ECU8は、一例として、内部センサ5により検出された車速と、車両2の制動性能とに基づいて、現在の車両2の位置から走行中の車両2を停車状態とするまでの停車距離を算出することができる。自動運転ECU8は、車両2の制動性能を、車両2の諸元情報から得てもよいし、現在の車両2の走行状況を考慮して車両2が発揮可能な制動力を決定してもよい。例えば、現在の車両2の走行状況が急制動可能な走行状況である場合には、自動運転ECU8は、車両2の制動性能の上限値となる制動力で車両2を停車状態とすると判定する。現在の車両2の走行状況が急制動可能な走行状況でない場合には、自動運転ECU8は、他車両との車間距離や乗員の乗り心地などを考慮して車両2の制動性能の上限値よりも小さい制動力で停車状態とすると判断する。
自動運転ECU8は、横断予定歩行者H1に対応する位置P1と現在の車両2の位置P0(例えば車両2の車頭の位置)との間の距離である歩車間距離を算出する。そして、自動運転ECU8は、歩車間距離が停車距離以上である場合には、車両2が位置P1に到達する前に車両2を停車させることができると判定する。そして、自動運転ECU8は、歩車間距離が停車距離未満となる位置よりも手前から車両2を減速させる。自動運転ECU8は、歩車間距離が停車距離未満である場合には、車両2が位置P1に到達する前に車両2を停車させることができないと判定する。この場合、自動運転ECU8は、横断予定歩行者H1に対応する位置P1を車両2に通過させる。なお、横断予定歩行者H1に対応する位置P1を通過させる場合において、自動運転ECU8は、車両2を減速させてもよい。
報知装置1は、報知ECU10及び表示部16(報知部の一例)を備える。報知ECU10は、歩行者に対する情報の報知を制御する電子制御ユニットである。報知ECU10は、複数のECUで構成されてもよい。表示部16は、車両2に設けられ、車外に向けて情報を報知する機器である。表示部16は、報知ECU10に接続され、報知ECUの出力信号に基づいて情報を表示する。情報は、車両2の進行方向の歩行者に通知すべき情報であり、一例として車両2の現在の走行状態を示す情報である。車両2の走行状態は、例えば、車両2が走行を継続していることを示す走行継続状態、車両2が減速していることを示す減速中状態、車両2が停車していることを示す停車状態、車両2が発進していることを示す発進状態、歩行者に対応する位置を通過している通過状態、などを含む。
表示部16は、一例としてランプなどの光源装置である。表示部16は、車両2の前方から視認可能な位置に配置される。図3の(A)は、表示部の車両搭載位置の一例を示す図である。図3の(A)に示されるように、車両2の前方のグリル部に1つの表示部16が設けられる。図3の(B)は、表示部の車両搭載位置の他の例を示す図である。図3の(B)に示されるように、車両2の前方のグリル部に2つの表示部16が設けられる。このように、表示部16は、車両2の前方に1つ又は複数設けられる。
報知ECU10は、表示部16の点灯状態を変更して、車両2の種々の走行状態を表示させることができる。例えば、報知ECU10は、表示部16を、減速中状態時は点滅させ(減速表示の一例)、停車状態時は点滅を終了して点灯を継続させ(停車表示の一例)、発進状態時は減速中状態時の光の点滅よりも早い周期で点滅させる(発進表示の一例)。あるいは、報知ECU10は、表示部16を、減速中状態時や停車状態は青や緑など人が安心を感じる色(安全色)で発光させ(減速表示及び停車表示の一例)、発進状態時は赤などの人が警戒する警戒色で発光させる(発進表示の一例)。報知ECU10は、減速中状態時と停車状態とを区別するために、表示部16を、第1の安全色(減速表示の一例)と第2の安全色(停車表示の一例)とを用いて発光させてもよい。あるいは、報知ECU10は、表示部16を、減速中状態時は高輝度で点滅させ(減速表示の一例)、停車状態時は点滅を終了して低輝度で点灯を継続させ(停車表示の一例)、発進状態時は減速中状態時の光の輝度よりも高い輝度で点滅させてもよい(発進表示の一例)。
報知ECU10は、認識部11、判定部12、演算部13、表示制御部14(報知制御部の一例)および停車判定部15を備える。
認識部11は、外部センサ3の検出結果に基づいて、車両2が走行する車道の前方の歩行者の位置を認識する。この認識部11の機能は、自動運転ECU8の上述した歩行者認識機能と同一であり得る。認識部11は、パターンマッチングなどの技術を用いて、外部センサ3によって検出された物体が歩行者であるか否かを判定する。
判定部12は、認識部11により認識された歩行者の位置と車両2が走行する道路との距離に基づいて、歩行者が横断予定歩行者であるか否かを判定する。この判定部12の機能は、自動運転ECU8の上述した歩行者認識機能と同一であり得る。図2の(A)に示される例において、判定部12は、自動運転ECU8と同様に、距離Wが閾値以下である場合には歩行者は横断予定歩行者であると判定し、距離Wが閾値以下でない場合には歩行者Hは横断予定歩行者でないと判定する。判定部12は、歩行者Hの顔向き、移動方向などをさらに考慮して歩行者Hが横断予定歩行者であるか否かを判定してもよい。
演算部13は、判定部12により歩行者Hが横断予定歩行者であると判定された場合には、自動運転中の車両2の速度に基づいて車両2を自動運転で停車状態とするまでの停車距離を演算する。この演算部13の機能は、自動運転ECU8の上述した停車距離演算機能と同一であり得る。演算部13は、一例として、自動運転ECU8と同様に、内部センサ5により検出された車速と、車両2の制動性能とに基づいて、現在の車両2の位置から走行中の車両2が停車状態となるまでの停車距離を算出することができる。演算部13は、車両2の制動性能を、車両2の諸元情報から得てもよいし、自動運転ECU8から取得してもよい。
表示制御部14は、演算部13によって演算された停車距離と、車両2の位置と、横断予定歩行者の位置とに基づいて情報を決定し、決定された情報を表示部16に表示させる。停車判定部15は、車両2の停車状態を判定する。停車判定部15は、自動運転ECU8と同様に、内部センサ5により検出された車速が0又は0を含む所定範囲にある場合には、車両2を停車状態と判定する。
以下、表示制御部14の詳細について説明する。表示制御部14は、横断予定歩行者が一人の場合と、横断予定歩行者が複数の場合とで異なる動作をする。このため、以下では、横断予定歩行者が一人の例と、横断予定歩行者が複数の例を説明する。
図4は、一人の横断予定歩行者に対する表示態様の切り替えの一例を説明する図である。図4に示される例では、車両2が道路Rを走行しており、時刻t1において外部センサ3により車両2の前方の位置PHにおいて移動物体を検出したとする。そして、認識部11により移動物体が歩行者であると認識され、判定部12により歩行者が横断予定歩行者H1であると判定され、演算部13により停車距離LA1が算出されたとする。この場合、表示制御部14は、自動運転ECU8と同様に、横断予定歩行者H1の位置PHに対応する道路R上の位置P1を決定する。そして、表示制御部14は、横断予定歩行者H1に対応する位置P1と現在の車両2の位置P0(例えば車両2の車頭の位置)との間の距離である歩車間距離LB1を算出する。
図4に示される例では、歩車間距離LB1は停車距離LA1よりも長い。したがって、表示制御部14は、車両2が横断予定歩行者H1に対応する位置P1に至る前に自動運転ECU8が車両2を停車させると判定する。つまり、表示制御部14は、歩車間距離LB1が停車距離LA1以上である場合には、車両2が減速中である旨を示す情報を、表示部16に表示させる情報として決定する。自動運転ECU8が時刻t2となったときに車両2の減速を開始する場合には、表示制御部14は、時刻t1から時刻t2までの期間は表示部16に情報を表示させず(減速表示OFF、通過表示OFF、停車表示OFF)、時刻t2を経過したときに、車両2が減速中である旨を示す情報を、表示部16に表示させる(減速表示ON、通過表示OFF、停車表示OFF)。表示制御部14は、自動運転ECU8と同期するように動作することによって時刻のみに基づいて表示部16を制御してもよいし、内部センサ5の検出結果に基づいて車両2が減速中であることを確認の上、減速表示をOFFからONへと変更してもよい。
表示制御部14は、停車判定部15により車両2が停車状態であると判定された場合に、表示部16に表示させる情報を、車両2が減速中であることを示す情報から車両2が停車状態であることを示す情報へ変化させる。時刻t4において、停車判定部15により車両2が停車状態であると判定されたとする。この場合には、表示制御部14は、時刻t4において、車両2が減速中であることを示す情報の表示を表示部16に終了させて、車両2が停車状態であることを示す情報を表示部16に表示させる(減速表示ON、通過表示OFF、停車表示OFF)。これにより、横断予定歩行者H1は、停止表示を確認の上、道路Rを横断することができる。
図5は、一人の横断予定歩行者に対する表示態様の切り替えの他の例を説明する図である。図5に示される例では、車両2が道路Rを走行しており、時刻t1において外部センサ3により車両2の前方の位置PHにおいて移動物体を検出したとする。そして、認識部11により移動物体が歩行者であると認識され、判定部12により歩行者が横断予定歩行者H1であると判定され、演算部13により停車距離LA1が算出されたとする。この場合、表示制御部14は、自動運転ECU8と同様に、横断予定歩行者H1の位置PHに対応する道路R上の位置P1を決定する。そして、表示制御部14は、横断予定歩行者H1に対応する位置P1と現在の車両2の位置P0(例えば車両2の車頭の位置)との間の距離である歩車間距離LB1を算出する。
図5に示される例では、歩車間距離LB1は停車距離LA1よりも短い。したがって、表示制御部14は、横断予定歩行者H1に対応する位置P1を車両2が通過すると判定する。つまり、表示制御部14は、歩車間距離LB1が停車距離LA1未満である場合には、車両2が通過中である旨を示す情報を、表示部16に表示させる情報として決定する。時刻t3において横断予定歩行者H1に対応する位置P1を車両2が通過する場合には、表示制御部14は、時刻t1から時刻t3までの期間は、車両2が通過中である旨の情報を表示部16に表示させ(減速表示OFF、通過表示ON、停車表示OFF)、時刻t3を経過したときに、車両2が通過中である旨を示す情報の表示を、表示部16に終了させる(減速表示OFF、通過表示OFF、停車表示OFF)。これにより、横断予定歩行者H1は、自身の手前で車両2が停止しないことを理解することができる。
図6は、複数の横断予定歩行者に対する表示態様の切り替えの一例を説明する図である。図6に示される例では、車両2が道路Rを走行しており、時刻t1において外部センサ3により車両2の前方の位置PH1及び位置PH2において移動物体を検出したとする。そして、認識部11により移動物体が歩行者であると認識され、判定部12により歩行者が第1横断予定歩行者H1及び第2横断予定歩行者H2であると判定されたとする。第2横断予定歩行者H2は、第1横断予定歩行者よりも車両2の進行方向前方に位置するとする。そして、演算部13により、停車距離LA1が算出されたとする。この場合、表示制御部14は、第1横断予定歩行者H1の位置PH1に対応する道路R上の位置P1を決定する。さらに、表示制御部14は、第2横断予定歩行者H2の位置PH2に対応する道路R上の位置P2を決定する。そして、表示制御部14は、第1横断予定歩行者H1に対応する位置P1と現在の車両2の位置P0(例えば車両2の車頭の位置)との間の距離である第1歩車間距離LB1を算出する。さらに、表示制御部14は、第2横断予定歩行者H2に対応する位置P2と現在の車両2の位置P0(例えば車両2の車頭の位置)との間の距離である第2歩車間距離LB2を算出する。
図6に示される例では、第1歩車間距離LB1は停車距離LA1よりも短く、第2歩車間距離LB2は停車距離LA1よりも長い。したがって、表示制御部14は、車両2が、第1横断予定歩行者H1に対応する位置P1を通過し、車両2が第2横断予定歩行者H2に対応する位置P2に至る前に停車すると判定する。つまり、車両2は、時刻t2から減速を開始しつつ、時刻t3で第1横断予定歩行者H1に対応する位置P1を通過し、時刻t4で第2横断予定歩行者H2に対応する位置P2で停止する。
表示制御部14は、第1歩車間距離LB1が停車距離LA1未満であり、かつ、第2歩車間距離LB2が停車距離LA1以上である場合には、第1横断予定歩行者H1を通過するまでは車両2が減速中であることを示す情報を表示部16に表示させない。つまり、時刻t2〜時刻t3の期間、車両2は減速中であるにも関わらず、車両2が減速中である旨を示す情報は表示部16に表示されない(減速表示OFF)。そして、表示制御部14は、第1横断予定歩行者H1を通過した後、つまり時刻t3経過後に、車両2が減速中であることを示す情報を表示部16に表示させる(減速表示ON)。これにより、第1横断予定歩行者H1が表示部16の表示に基づいて自身の手前で車両2が停車すると誤認することを回避することができる。
表示制御部14は、減速表示OFFとなる時刻t2〜時刻t3の期間、あるいはその前の期間である時刻t1〜時刻t2の期間において、車両2が通過中である旨の情報を表示部16に表示させてもよい(通過表示ON)。これにより、表示部16を見た第1横断予定歩行者H1に対して、車両2が通過することを報知することができる。
時刻t4における表示制御部14の動作は、図4と同一である。表示制御部14は、車両2が減速中であることを示す情報の表示を表示部16に終了させて、車両2が停車状態であることを示す情報を表示部16に表示させる(減速表示ON、通過表示OFF、停車表示OFF)。
[報知装置の動作]
図7及び図8は、報知装置の動作の一例を示すフローチャートである。図7に示されるフローチャートは、報知装置1の報知ECU10により実行される。報知ECU10は、自動運転ECU8が自動運転を開始したタイミングで図7に示されるフローチャートを開始する。
図7に示されるように、報知ECU10の認識部11は、歩行者検出処理(S10)として、外部センサ3により検出された、車両2の前方の物体が歩行者であるか否かの認識を行う。認識部11は、検出された物体が歩行者である場合には、歩行者の位置を認識する。続いて、報知ECU10の表示制御部14は、歩行者の判定処理(S12)として、歩行者検出処理(S10)において歩行者として認識された物体が存在するか否かを判定する。歩行者として認識された物体が存在すると判定された場合(S12:YES)、横断予定歩行者の判定処理(S14)へ移行する。
報知ECU10の判定部12は、横断予定歩行者の判定処理(S14)として、歩行者検出処理(S10)において認識された歩行者が横断予定歩行者であるか否かを判定する。判定部12は、歩行者Hの位置PHと車両2が走行する道路Rとの距離Wに基づいて、歩行者が横断予定歩行者であるか否かを判定する(図2の(A))。
歩行者が横断予定歩行者であると判定された場合(S14:YES)、表示制御部14は、複数判定(S16)として、横断予定歩行者が第1及び第2横断予定歩行者を含むか否かを判定する。横断予定歩行者が第1及び第2横断予定歩行者を含むと判定された場合(S16:YES)、報知ECU10の演算部13は、停車距離演算処理(S18)として、自動運転中の車両2の速度に基づいて車両2を自動運転で停車状態とするまでの停車距離LA1を演算する(図6)。
続いて、表示制御部14は、第1歩車間判定処理(S20)として、第1横断予定歩行者H1と車両2との距離である第1歩車間距離LB1が停車距離LA1未満であるか否かを判定する(図6)。第1歩車間距離LB1が停車距離LA1未満であると判定された場合(S20:YES)、車両2を第1横断予定歩行者H1に対応する位置P1で停車状態とすることができない。この場合、表示制御部14は、第2歩車間判定処理(S22)として、第2横断予定歩行者H2と車両2との距離である第2歩車間距離LB2が停車距離LA1以上であるか否かを判定する(図6)。第2歩車間距離LB2が停車距離LA1以上であると判定された場合(S22:YES)、車両2を第2横断予定歩行者H2に対応する位置P2で停車状態とすることができる。この場合、表示制御部14は、フラグON処理(S24)として、表示変化フラグを「0」(初期値)から「1」へ設定する。表示変化フラグは、図8に示すフローチャートの実行を判断するためのフラグである。このように、第1横断予定歩行者H1に対応する位置P1で停車状態とすることができず、第2横断予定歩行者H2に対応する位置P2で停車状態とすることができる場合には、表示制御部14は、第1横断予定歩行者H1が誤解しないように表示を調整する必要があるとして、表示変化フラグを「1」に設定する。
横断予定歩行者が第1及び第2横断予定歩行者を含まないと判定された場合(S16:NO)、横断予定歩行者は第1横断予定歩行者H1だけである。この場合、表示制御部14は、表示制御処理(S28)として、車両減速に合わせた減速中表示処理を行う。表示制御部14は、第1横断予定歩行者H1に対応する位置P1で停車状態とできる場合には車両2の減速に合わせて車両2が減速中であることを示す情報を表示部16に表示させる(図4)。表示制御部14は、第1横断予定歩行者H1に対応する位置P1で停車状態とできない場合には、車両2が減速中であることを示す情報を表示部16に表示させない、又は、車両2が通過することを示す情報を表示部16に表示させる。(図5)。
また、第1歩車間距離LB1が停車距離LA1未満でないと判定された場合(S20:NO)、横断予定歩行者が第1横断予定歩行者H1だけではないが、第1横断予定歩行者H1に対応する位置P1で停車状態とすることが可能である。このため、表示制御部14は、表示制御処理(S28)として、車両減速に合わせた減速中表示処理を行う。表示制御部14は、車両2の減速に合わせて車両2が減速中であることを示す情報を表示部16に表示させる(図4)。
第2歩車間距離LB2が停車距離LA1以上でないと判定された場合(S22:NO)、車両2は第1横断予定歩行者H1に対応する位置P1及び第2横断予定歩行者H2に対応する位置P2の何れでも停車状態とすることができない。このため、表示制御部14は、通過表示処理(S26)として、車両2が通過することを示す情報を表示部16に表示させる。
歩行者として認識された物体が存在しないと判定された場合(S12:NO)、歩行者が横断予定歩行者でないと判定された場合(S14:NO)、フラグON処理(S24)が終了した場合、通過表示処理(S26)が終了した場合、表示制御処理(S28)が終了した場合、図7に示されるフローチャートが終了する。報知ECU10は、図7に示されるフローチャートが終了した場合であって終了条件が満たされていないときには、フローチャートの最初から処理を開始する。終了条件は、例えば自動運転の終了、ユーザによる処理中止指示などである。
図8に示されるフローチャートは、報知装置1の報知ECU10によって実行される。報知ECU10は、図7のフラグON処理(S24)において表示変化フラグが「1」に設定された場合に処理を開始する。
報知ECU10の表示制御部14は、通過判定(S30)として、第1横断予定歩行者H1に対応する位置P1を通過したか否かを判定する。表示制御部14は、一例として、外部センサ3の検出結果に基づいて通過を判定する。第1横断予定歩行者H1に対応する位置P1を通過していないと判定された場合(S30:NO)、表示制御部14は、通過表示処理(S40)として、車両2が通過することを示す情報を表示部16に表示させ、車両2が減速中であることを示す情報を表示部16に表示させない(図6)。通過表示処理(S40)が終了すると、図8に示されるフローチャートを終了する。このとき、表示変化フラグは「1」のままであるため、表示制御部14は、図8に示されるフローチャートを最初から実行する。このように、表示制御部14は、第1横断予定歩行者H1を通過するまでは車両2の通過を示す情報を表示部16に表示させるとともに、第1横断予定歩行者H1を通過するまでは車両2が減速中であることを示す情報を表示部16に表示させない。
第1横断予定歩行者H1に対応する位置P1を通過したと判定された場合(S30:YES)、表示制御部14は、減速中表示処理(S32)として、車両2は減速中であることを示す情報を表示部16に表示させる(図6)。このように、表示制御部14は、第1横断予定歩行者H1を通過した後に車両2が減速中であることを示す情報を表示部16に表示させる。
続いて、報知ECU10の停車判定部15は、停車判定処理(S34)として、車両2が停車状態であるか否かを判定する。車両2が停車状態でないと判定された場合(S34:NO)、図8に示されるフローチャートを終了する。このとき、表示変化フラグは「1」のままであるため、表示制御部14は、図8に示されるフローチャートを最初から実行する。つまり、表示制御部14は、車両2が停車状態となるまで、減速中表示処理(S32)を繰り返し実行する。
車両2が停車状態であると判定された場合(S34:YES)、表示制御部14は、停車表示処理(S36)として、表示部16に表示させる情報を、車両2が減速中であることを示す情報から車両2が停車状態であることを示す情報へ変化させる。続いて、表示制御部14は、フラグOFF処理(S38)として、表示変化フラグを「1」から「0」へ設定する。フラグOFF処理(S38)が終了すると、図8に示されるフローチャートを終了する。このとき、表示変化フラグは「0」であるため、表示制御部14は、図8に示されるフローチャートを繰り返さない。
以上、報知装置1によれば、第1歩車間距離LB1(車両2と第1横断予定歩行者H1との距離)が停車距離LA1未満であり、かつ、第2歩車間距離LB2(車両2と第2横断予定歩行者H2との距離)が停車距離LA1以上である場合には、第1横断予定歩行者H1を通過するまでは減速表示(車両2が減速中であることを示す情報)が車外に向けて報知されず、第1横断予定歩行者H1を通過した後に減速表示が車外に向けて報知される。このように、停車予定のない第1横断予定歩行者H1の手前から車両2が減速表示の報知を開始しないことにより、第1横断予定歩行者H1が自身の手前で車両2が停止すると誤認することを回避することができる。そして、車両2が第1横断予定歩行者H1を通過した後には、減速表示が報知される。したがって、第2横断予定歩行者H2に対しては、第2横断予定歩行者の手前で車両が停止するという正しい情報を適切に与えることができる。よって、報知装置1によれば、第1横断予定歩行者H1と第2横断予定歩行者H2との双方に混乱を招くことがない報知をすることができる。
報知装置1によれば、減速表示が報知されない第1横断予定歩行者H1に対して通過表示を報知することにより、車両2の今後の挙動、つまり、第1横断予定歩行者H1の手前では車両2は停止せずに通過する挙動、が適切に報知される。よって、報知装置1は、第1横断予定歩行者H1に混乱を与えることを回避することができる。
報知装置1によれば、停車状態と判定されたときには、減速表示から停車表示へと情報を変化させるため、減速中なのか停車状態なのかを明確に歩行者に区別させることができる。
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。
例えば、表示部16は、車両2の外部に設けられる必要はなく、車外に向けて情報を報知可能であれば、フロントガラスの内側などの車内に設けられていてもよい。また、表示部16はランプに限定されず、ディスプレイ装置などであってもよく、要は発光する装置であれば何でもよい。報知装置1は、表示部16としてディスプレイ装置を採用する場合、光に替えて文字で減速、停車、発進を表示してもよい。報知装置1は、文字情報による報知であっても上述した例示的実施形態と同一の効果を奏する。また、報知装置1は、表示部16に替えて音を出力するスピーカを用いてもよい。報知装置1は、報知音として擬似エンジン音を利用してもよい。報知装置1は、音情報による報知であっても上述した例示的実施形態と同一の効果を奏する。
認識部11、判定部12および演算部13の機能は、自動運転ECU8の機能と重複するため、自動運転ECU8によって演算された結果を報知ECU10が取得する構成としてもよい。つまり、自動運転ECU8の一部機能と、表示制御部14とによって、報知装置1が構成されてもよい。
図7の停車距離演算処理(S18)は、図7の処理開始後であって第1歩車間判定処理(S20)よりも前であれば、いつ実行してもよい。図8の通過表示処理(S40)において、通過表示は省略してもよい。また、報知装置1は、停車判定部15を備えていなくてもよい。