JP2020059133A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録装置の制御方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびインクジェット記録装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インク中の溶存気体量を適切に推定すること。【解決手段】インクを収容するタンクと、タンクから供給されるインクを吐出して記録動作を行う記録ヘッドと、記録動作が行われる場合、タンクおよび記録ヘッドを含む循環経路でインクを循環させ、記録動作が終了した場合、循環経路でのインクの循環を停止する循環手段と、循環経路内のインクを脱気する脱気手段と、を備えるインクジェット記録装置であって、循環動作時に上昇する溶存気体量および循環停止時に上昇する溶存気体量に基づいて、循環経路内のインクの溶存気体量を推定する推定手段と、推定手段によって推定された循環経路内のインクの溶存気体量が所定の閾値を超えている場合、脱気手段による脱気を実行させる制御手段と、を備える。【選択図】図9

Description

本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録装置の制御方法に関する。
インクジェット記録装置においては、記録ヘッドに配された吐出口面からインクを吐出することで記録が行われる。ここで、インク中に気泡が含まれていると、気泡が吐出口に詰まる等の事象が生じてしまい、吐出特性が低下してしまう。このため、インク中の溶存気体を脱気させることが行われている。
特許文献1には、サブタンクと記録ヘッドとの間をインクが循環するインクジェット記録装置が開示されている。そして、インクの循環時間から、インク中の溶存気体量を推測し、推測された溶存気体量が所定の規定値を超える場合に脱気を実行する技術が記載されている。
特開2005−262876号公報
短い印刷ジョブが、数分の休止時間を挟んで繰り返し続く場合がある。例えば、第1の印刷ジョブの記録動作に応じて循環が行われ、記録終了時に循環が停止し、数分後に、第2の印刷ジョブの記録動作に応じて循環が行われ、記録終了時に循環が停止する。このような動作が繰り返し続く場合、インクの循環時間のみを考慮してインク中の溶存気体量を推定する特許文献1の技術では、循環が停止している場合に上昇する溶存気体量が考慮されない。従って、適切に溶存気体量を推定できず、記録ヘッド内に泡が発生し、正常に吐出が行われなくなる虞がある。
本発明は、インク中の溶存気体量を適切に推定して脱気を実行することを目的とする。
本発明の一態様に係るインクジェット記録装置は、インクを収容するタンクと、前記タンクから供給されるインクを吐出して記録動作を行う記録ヘッドと、前記記録動作が行われる場合、前記タンクおよび前記記録ヘッドを含む循環経路でインクを循環させ、前記記録動作が終了した場合、前記循環経路でのインクの循環を停止する循環手段と、前記循環経路内のインクを脱気する脱気手段と、を備えるインクジェット記録装置であって、循環動作時に上昇する溶存気体量および循環停止時に上昇する溶存気体量に基づいて、前記循環経路内のインクの溶存気体量を推定する推定手段と、前記推定手段によって推定された前記循環経路内のインクの溶存気体量が所定の閾値を超えている場合、前記脱気手段による脱気を実行させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、インク中の溶存気体量を適切に推定して脱気を実行することができる。
記録装置が待機状態にあるときの図である。 記録装置の制御構成図である。 記録装置が記録状態にあるときの図である。 記録装置がメンテナンス状態にあるときの図である。 インク循環系の流路構成を説明する図である。 吐出口と圧力室とを説明する図である。 脱気後に溶存酸素濃度が上がる様子を示す図である。 溶存酸素濃度の算出処理の概要を説明する図である。 記録命令を受信した場合に行う処理の一例を示すフローチャートである。 溶存酸素濃度の算出を説明する図である。 脱気後の溶存酸素濃度を算出する概要を示す図である。 記録命令を受信した場合以外の一例を示すフローチャートである。 記録命令を受信した場合に行う処理の一例を示すフローチャートである。 記録命令を受信した場合に行う処理の一例を示すフローチャートである。 サブタンク内における脱気中の溶存酸素濃度の推移の例を示す図である。 記録ヘッドの流路内の泡量の変化を観察した結果を示す図である。 各種タイミングにおける処理の一部を抜粋したフローチャートである。 記録命令を受信した場合に行う処理の一例を示すフローチャートである。 泡消し循環を動作中の処理に関するフローチャートである。 記録命令を受信した場合に行う処理の一例を示すフローチャートである。 サブタンクへのインク補給時の溶存酸素濃度を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成については、同じ符号を付して説明する。また、実施形態に記載されている構成要素の相対配置、形状等は、あくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<<実施形態1>>
図1は、本実施形態で使用するインクジェット記録装置1(以下、記録装置1)の内部構成図である。図において、x方向は水平方向、y方向(紙面垂直方向)は後述する記録ヘッド8において吐出口が配列される方向、z方向は鉛直方向をそれぞれ示す。
記録装置1は、プリント部2とスキャナ部3を備える複合機であり、記録動作と読取動作に関する様々な処理を、プリント部2とスキャナ部3で個別にあるいは連動して実行することができる。スキャナ部3は、ADF(オートドキュメントフィーダ)とFBS(フラットベッドスキャナ)を備えており、ADFによって自動給紙される原稿の読み取りと、ユーザによってFBSの原稿台に置かれた原稿の読み取り(スキャン)を行うことができる。なお、本実施形態はプリント部2とスキャナ部3を併せ持った複合機であるが、スキャナ部3を備えない形態であってもよい。図1は、記録装置1が記録動作も読取動作も行っていない待機状態にあるときを示す。
プリント部2において、筐体4の鉛直方向下方の底部には、記録媒体(カットシート)Sを収容するための第1カセット5Aと第2カセット5Bが着脱可能に設置されている。第1カセット5AにはA4サイズまでの比較的小さな記録媒体が、第2カセット5BにはA3サイズまでの比較的大きな記録媒体が、平積みに収容されている。第1カセット5A近傍には、収容されている記録媒体を1枚ずつ分離して給送するための第1給送ユニット6Aが設けられている。同様に、第2カセット5B近傍には、第2給送ユニット6Bが設けられている。記録動作が行われる際にはいずれか一方のカセットから選択的に記録媒体Sが給送される。
搬送ローラ7、排出ローラ12、ピンチローラ7a、拍車7b、ガイド18、インナーガイド19およびフラッパ11は、記録媒体Sを所定の方向に導くための搬送機構である。搬送ローラ7は、記録ヘッド8の上流側および下流側に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。ピンチローラ7aは、搬送ローラ7と共に記録媒体Sをニップして回転する従動ローラである。排出ローラ12は、搬送ローラ7の下流側に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。拍車7bは、記録ヘッド8の下流側に配される搬送ローラ7及び排出ローラ12と共に記録媒体Sを挟持して搬送する。
ガイド18は、記録媒体Sの搬送経路に設けられ、記録媒体Sを所定の方向に案内する。インナーガイド19は、y方向に延在する部材で湾曲した側面を有し、当該側面に沿って記録媒体Sを案内する。フラッパ11は、両面記録動作の際に、記録媒体Sが搬送される方向を切り替えるための部材である。排出トレイ13は、記録動作が完了し排出ローラ12によって排出された記録媒体Sを積載保持するためのトレイである。
本実施形態の記録ヘッド8は、フルラインタイプのカラーインクジェット記録ヘッドであり、記録データに従ってインクを吐出する吐出口が、図1におけるy方向に沿って記録媒体Sの幅に相当する分だけ複数配列されている。即ち、記録ヘッド8は、複数色のインクを吐出可能に構成されている。記録ヘッド8が待機位置にあるとき、記録ヘッド8の吐出口面8aは、図1のように鉛直下方を向きキャップユニット10によってキャップされている。記録動作を行う際は、後述するプリントコントローラ202によって、吐出口面8aがプラテン9と対向するように記録ヘッド8の向きが変更される。プラテン9は、y方向に延在する平板によって構成され、記録ヘッド8によって記録動作が行われる記録媒体Sを背面から支持する。記録ヘッド8の待機位置から記録位置への移動については、後に詳しく説明する。
インクタンクユニット14は、記録ヘッド8へ供給される4色のインクをそれぞれ貯留する。インク供給ユニット15は、インクタンクユニット14と記録ヘッド8を接続する流路の途中に設けられ、記録ヘッド8内のインクの圧力及び流量を適切な範囲に調整する。本実施形態では循環型のインク供給系を採用しており、インク供給ユニット15は記録ヘッド8へ供給されるインクの圧力と記録ヘッド8から回収されるインクの流量を適切な範囲に調整する。
メンテナンスユニット16は、キャップユニット10とワイピングユニット17を備え、所定のタイミングにこれらを作動させて、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う。
図2は、記録装置1における制御構成を示すブロック図である。制御構成は、主にプリント部2を統括するプリントエンジンユニット200と、スキャナ部3を統括するスキャナエンジンユニット300と、記録装置1全体を統括するコントローラユニット100によって構成されている。プリントコントローラ202は、コントローラユニット100のメインコントローラ101の指示に従ってプリントエンジンユニット200の各種機構を制御する。スキャナエンジンユニット300の各種機構は、コントローラユニット100のメインコントローラ101によって制御される。以下に制御構成の詳細について説明する。
コントローラユニット100において、CPUにより構成されるメインコントローラ101は、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとしながら記録装置1全体を制御する。例えば、ホストI/F102またはワイヤレスI/F103を介してホスト装置400から印刷ジョブが入力されると、メインコントローラ101の指示に従って、画像処理部108が受信した画像データに対して所定の画像処理を施す。そして、メインコントローラ101はプリントエンジンI/F105を介して、画像処理を施した画像データをプリントエンジンユニット200へ送信する。
なお、記録装置1は無線通信や有線通信を介してホスト装置400から画像データを取得しても良いし、記録装置1に接続された外部記憶装置(USBメモリ等)から画像データを取得しても良い。無線通信や有線通信に利用される通信方式は限定されない。例えば、無線通信に利用される通信方式として、Wi−Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)やBluetooth(登録商標)が適用可能である。また、有線通信に利用される通信方式としては、USB(Universal Serial Bus)等が適用可能である。また、例えばホスト装置400から読取コマンドが入力されると、メインコントローラ101は、スキャナエンジンI/F109を介してこのコマンドをスキャナ部3に送信する。
操作パネル104は、ユーザが記録装置1に対して入出力を行うための機構である。ユーザは、操作パネル104を介してコピーやスキャン等の動作を指示したり、印刷モードを設定したり、記録装置1の情報を認識したりすることができる。
プリントエンジンユニット200において、CPUにより構成されるプリントコントローラ202は、ROM203に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM204をワークエリアとしながら、プリント部2が備える各種機構を制御する。コントローラI/F201を介して各種コマンドや画像データが受信されると、プリントコントローラ202は、これを一旦RAM204に保存する。記録ヘッド8が記録動作に利用できるように、プリントコントローラ202は画像処理コントローラ205に、保存した画像データを記録データへ変換させる。記録データが生成されると、プリントコントローラ202は、ヘッドI/F206を介して記録ヘッド8に記録データに基づく記録動作を実行させる。この際、プリントコントローラ202は、搬送制御部207を介して図1に示す給送ユニット6A、6B、搬送ローラ7、排出ローラ12、フラッパ11を駆動して、記録媒体Sを搬送する。プリントコントローラ202の指示に従って、記録媒体Sの搬送動作に連動して記録ヘッド8による記録動作が実行され、印刷処理が行われる。
ヘッドキャリッジ制御部208は、記録装置1のメンテナンス状態や記録状態といった動作状態に応じて記録ヘッド8の向きや位置を変更する。インク供給制御部209は、記録ヘッド8へ供給されるインクの圧力が適切な範囲に収まるように、インク供給ユニット15を制御する。メンテナンス制御部210は、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う際に、メンテナンスユニット16におけるキャップユニット10やワイピングユニット17の動作を制御する。
スキャナエンジンユニット300においては、メインコントローラ101が、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとしながら、スキャナコントローラ302のハードウェアリソースを制御する。これにより、スキャナ部3が備える各種機構は制御される。例えばコントローラI/F301を介してメインコントローラ101がスキャナコントローラ302内のハードウェアリソースを制御することにより、ユーザによってADFに搭載された原稿を、搬送制御部304を介して搬送し、センサ305によって読み取る。そして、スキャナコントローラ302は読み取った画像データをRAM303に保存する。なお、プリントコントローラ202は、上述のように取得された画像データを記録データに変換することで、記録ヘッド8に、スキャナコントローラ302で読み取った画像データに基づく記録動作を実行させることが可能である。
図3は、記録装置1が記録状態にあるときを示す。図1に示した待機状態と比較すると、キャップユニット10が記録ヘッド8の吐出口面8aから離間し、吐出口面8aがプラテン9と対向している。本実施形態において、プラテン9の平面は水平方向に対して約45度傾いており、記録位置における記録ヘッド8の吐出口面8aも、プラテン9との距離が一定に維持されるように水平方向に対して約45度傾いている。
記録ヘッド8を図1に示す待機位置から図3に示す記録位置に移動する際、プリントコントローラ202は、メンテナンス制御部210を用いて、キャップユニット10を図3に示す退避位置まで降下させる。これにより、記録ヘッド8の吐出口面8aは、キャップ部材10aと離間する。その後、プリントコントローラ202は、ヘッドキャリッジ制御部208を用いて記録ヘッド8の鉛直方向の高さを調整しながら45度回転させ、吐出口面8aをプラテン9と対向させる。記録動作が完了し、記録ヘッド8が記録位置から待機位置に移動する際は、プリントコントローラ202によって上記と逆の工程が行われる。
図4は、記録装置1がメンテナンス状態のときの図である。記録ヘッド8を図1に示す待機位置から図4に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向において上方に移動させるとともにキャップユニット10を鉛直方向下方に移動させる。そして、プリントコントローラ202は、ワイピングユニット17を退避位置から図4における右方向に移動させる。その後、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向下方に移動させメンテナンス動作が可能なメンテナンス位置に移動させる。
一方、記録ヘッド8を図3に示す記録位置から図4に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を45度回転させつつ鉛直方向上方に移動させる。そして、プリントコントローラ202は、ワイピングユニット17を退避位置から右方向に移動させる。その後プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向下方に移動させて、メンテナンスユニット16によるメンテナンス動作が可能なメンテナンス位置に移動させる。
<インク供給ユニット(循環系)>
図5は、本実施形態のインクジェット記録装置1で採用するインク供給ユニット15を含む図である。図6を用いて本実施形態のインク循環系の流路構成を説明する。インク供給ユニット15は、インクタンクユニット14から供給されたインクを記録ヘッド8(ヘッドユニット)へ供給する。図6では、1色のインクについての構成を示しているが、実際にはこのような構成が、インク色ごとに用意されている。インク供給ユニット15は、基本的に図2で示したインク供給制御部209によって制御される。以下、インク供給ユニット15の各構成について説明する。
インクは、主にサブタンク151と記録ヘッド8との間を循環する。記録ヘッド8では、画像データに基づいてインクの吐出動作が行われ、吐出されなかったインクが再びサブタンク151に回収される。
所定量のインクを収容するサブタンク151は、記録ヘッド8へインクを供給するための供給流路C2と、記録ヘッド8からインクを回収するための回収流路C4とに接続されている。すなわち、サブタンク151、供給流路C2、記録ヘッド8、および回収流路C4によってインクが循環する循環流路(循環経路)が構成される。また、サブタンク151は、空気が流れる流路C0に接続されている。
サブタンク151には、複数の電極ピンで構成される液面検知手段151aが設けられている。インク供給制御部209は、これら複数のピン間の導通電流の有無を検知することによって、インク液面の高さ、即ちサブタンク151内のインク残量を把握することができる。また、サブタンク151には、攪拌子151bが設けられている。減圧ポンプP0(タンク内減圧ポンプ)は、サブタンク151のタンク内部を減圧するための負圧発生源である。大気開放弁V0は、サブタンク151の内部を大気に連通させるか否かを切り替えるための弁である。
メインタンク141は、サブタンク151へ供給されるインクを収容するタンクである。メインタンク141は可撓性部材で構成され、可撓性部材の容積変化によってサブタンク151へインクが充填される。メインタンク141は、記録装置本体に対して着脱可能な構成である。サブタンク151とメインタンク141とを接続するタンク接続流路C1の途中には、サブタンク151とメインタンク141の接続を切り替えるためのタンク供給弁V1が配されている。
インク供給制御部209は、液面検知手段151aによってサブタンク151内のインクが所定量より少なくなったことを検知すると、大気開放弁V0、供給弁V2、回収弁V4、およびヘッド交換弁V5を閉じる。またインク供給制御部209は、タンク供給弁V1を開く。この状態において、インク供給制御部209は減圧ポンプP0を作動させる。すると、サブタンク151の内部が負圧となりメインタンク141からサブタンク151へインクが供給される。液面検知手段151aによってサブタンク151内のインクが所定量を超えたことを検知すると、インク供給制御部209は、タンク供給弁V1を閉じ減圧ポンプP0を停止する。
供給流路C2は、サブタンク151から記録ヘッド8へインクを供給するための流路であり、その途中には供給ポンプP1と供給弁V2とが配されている。記録動作中は、供給弁V2を開いた状態で供給ポンプP1を駆動することにより、記録ヘッド8へインクを供給しつつ循環経路においてインクを循環することができる。記録ヘッド8によって単位時間あたりに吐出されるインクの量は画像データに応じて変動する。供給ポンプP1の流量は、記録ヘッド8が単位時間あたりのインク消費量が最大となる吐出動作を行った場合にも対応できるように決定されている。
リリーフ流路C3は、供給弁V2の上流側であって、供給ポンプP1の上流側と下流側とを接続する流路である。リリーフ流路C3の途中には差圧弁であるリリーフ弁V3が配される。リリーフ弁は、駆動機構によって開閉されるのではなく、ばね付勢されており、所定の圧に達すると弁が開くように構成されている。例えば、供給ポンプP1からの単位時間あたりのインク供給量が、記録ヘッド8の単位時間あたりの吐出量と回収ポンプP2の単位時間あたりの流量(インクを引く量)との合計値よりも多い場合は、リリーフ弁V3は、自身に作用する圧力に応じて開放される。これにより、供給流路C2の一部とリリーフ流路C3とで構成される巡回流路が形成される。リリーフ流路C3の構成を設けることにより、記録ヘッド8に対するインク供給量が、記録ヘッド8でのインク消費量に応じて調整され、循環経路内の圧力を画像データによらず安定させることができる。
回収流路C4は、記録ヘッド8からサブタンク151へインクを回収するための流路であり、その途中には回収ポンプP2と回収弁V4とが配されている。回収ポンプP2は、循環経路内にインクを循環させる際、負圧発生源となって記録ヘッド8よりインクを吸引する。回収ポンプP2の駆動により、記録ヘッド8内のIN流路80bとOUT流路80cの間に適切な圧力差が生じ、IN流路80bとOUT流路80cの間でインクを循環させることができる。
回収弁V4は、記録動作を行っていないとき、すなわち循環経路内にインクを循環させていないときの逆流を防止するための弁でもある。本実施形態の循環経路では、サブタンク151は記録ヘッド8よりも鉛直方向において上方に配置されている(図1参照)。このため、供給ポンプP1や回収ポンプP2を駆動していないとき、サブタンク151と記録ヘッド8との水頭差によって、サブタンク151から記録ヘッド8へインクが逆流してしまうおそれがある。このような逆流を防止するため、本実施形態では回収流路C4に回収弁V4を設けている。
なお、供給弁V2も、記録動作を行っていないとき、すなわち循環経路内にインクを循環させていないときに、サブタンク151から記録ヘッド8へのインクの供給を防止するための弁としても機能する。
ヘッド交換流路C5は、供給流路C2とサブタンク151の空気室(インクが収容されていない空間)とを接続する流路であり、その途中にはヘッド交換弁V5が配されている。ヘッド交換流路C5の一端は、供給流路C2における記録ヘッド8の上流に接続され、供給弁V2より下流側に接続される。ヘッド交換流路C5の他端は、サブタンク151の上方に接続してサブタンク151内部の空気室と連通する。ヘッド交換流路C5は、記録ヘッド8を交換する際や記録装置1を輸送する際など、使用中の記録ヘッド8からインクを引き抜くときに利用される。ヘッド交換弁V5は、記録ヘッド8にインクを充填するとき、および、記録ヘッド8からインクを回収するとき以外は閉じるように、インク供給制御部209によって制御される。
次に、記録ヘッド8内の流路構成について説明する。供給流路C2より記録ヘッド8に供給されたインクは、フィルタ83を通過した後、第1の負圧制御ユニット81と、第2の負圧制御ユニット82とに供給される。第1の負圧制御ユニット81は、弱い負圧(大気圧との圧力差が小さい負圧)に制御圧力が設定されている。第2の負圧制御ユニット82は、強い負圧(大気圧との圧力差が大きい負圧)に制御圧力が設定されている。これら第1の負圧制御ユニット81と第2の負圧制御ユニット82における圧力は、回収ポンプP2の駆動により適正な範囲で生成される。
インク吐出部80には、複数の吐出口が配列された記録素子基板80aが複数配置され、長尺の吐出口列が形成されている。第1の負圧制御ユニット81より供給されるインクを導くための共通供給流路80b(IN流路)と、第2の負圧制御ユニット82より供給されるインクを導くための共通回収流路80c(OUT流路)も、記録素子基板80aの配列方向に延在している。さらに個々の記録素子基板80aには、共通供給流路80bと接続する個別供給流路と、共通回収流路80cと接続する個別回収流路が形成されている。このため、個々の記録素子基板80aにおいては、相対的に負圧の弱い共通供給流路80bより流入し、相対的に負圧の強い共通回収流路80cへ流出するような、インクの流れが生成される。個別供給流路と個別回収流路との経路中に、各吐出口に連通し、インクが充填される圧力室が設けられており、記録を行っていない吐出口や圧力室においてもインクの流れが生じる。記録素子基板80aで吐出動作が行われると、共通供給流路80bから共通回収流路80cへ移動するインクの一部は吐出口から吐出されることによって消費されるが、吐出されなかったインクは共通回収流路80cを経て回収流路C4へ移動する。
図6(a)は記録素子基板80aの一部を拡大した平面模式図であり、図6(b)は、図6(a)の断面線VIb−VIbにおける断面模式図である。記録素子基板80aには、インクが充填される圧力室1005とインクを吐出する吐出口1006が設けられている。圧力室1005において、吐出口1006と対向する位置には記録素子1004が設けられている。また、記録素子基板80aには、共通供給流路80bと接続する個別供給流路1008と、共通回収流路80cと接続する個別回収流路1009とが吐出口1006毎に複数形成されている。
上述した構成により、記録素子基板80aでは、相対的に負圧の弱い(圧力の絶対値が高い)共通供給流路80bより流入し、相対的に負圧の強い(圧力の絶対値が低い)共通回収流路80cへ流出するインクの流れが生成される。より詳しくは、共通供給流路80b→個別供給流路1008→圧力室1005→個別回収流路1009→共通回収流路80cの順にインクが流れる。記録素子1004によってインクが吐出されると、共通供給流路80bから共通回収流路80cへ移動するインクの一部は吐出口1006から吐出されることによって記録ヘッド8の外部へ排出される。一方、吐出口1006から吐出されなかったインクは、共通回収流路80cを経て回収流路C4へ回収される。
また、記録素子基板80aには、インク供給制御部209によって制御されるサブヒータ1010が設けられている。記録時に吐出口1006からインクが安定的に吐出されるように、記録ヘッド8、または、記録ヘッド8内のインクをサブヒータ1010によって加熱することで、記録ヘッド8内のインクの温度を調節する処理が行われる。
以上の構成のもと、記録動作を行うとき、インク供給制御部209は、タンク供給弁V1とヘッド交換弁V5とを閉じ、大気開放弁V0、供給弁V2、および回収弁V4を開き、供給ポンプP1および回収ポンプP2を駆動する。これにより、サブタンク151→供給流路C2→記録ヘッド8→回収流路C4→サブタンク151の循環経路が確立する。供給ポンプP1からの単位時間あたりのインク供給量が記録ヘッド8の単位時間あたりの吐出量と回収ポンプP2における単位時間あたりの流量の合計値よりも多い場合は、供給流路C2からリリーフ流路C3にインクが流れ込む。これにより、供給流路C2から記録ヘッド8に流入するインクの流量が調整される。
記録動作を行っていないとき、インク供給制御部209は、供給ポンプP1および回収ポンプP2を停止し、大気開放弁V0、供給弁V2、および回収弁V4を閉じる。これにより、記録ヘッド8内のインクの流れは止まり、サブタンク151と記録ヘッド8の水頭差による逆流も抑制される。また、大気開放弁V0を閉じることで、サブタンク151からのインク漏れやインクの蒸発が抑制される。
また、脱気動作を行うとき、インク供給制御部209は、供給ポンプP1および回収ポンプP2を停止し、大気開放弁V0、供給弁V2、回収弁V4、およびヘッド交換弁V5を閉じ、減圧ポンプP0を駆動する。その後、サブタンク151内に所定の負圧が発生している状態で、インク供給制御部209は、攪拌子151bを駆動してサブタンク151内のインクを攪拌させる。これにより、サブタンク151内のインクに溶解している気体を脱気する処理が行われる。脱気制御は、プリントコントローラ202によって行われ、プリントコントローラ202の指示に応じてインク供給制御部209が脱気を実行する。
<脱気の説明>
次に、脱気処理を説明する。本実施形態では、記録動作時にサブヒータ1010を用いた記録ヘッド8の温度調節が行われる。本実施形態では、40℃になるように温度調節が行われる。ここで、インク中の飽和溶存酸素濃度(溶存する気体の飽和濃度)は、温度に応じて変わるものである。具体的には、温度が低いほど、飽和溶存酸素濃度は、高くなる。温度調節の目標値である40℃は、一般的な環境温度よりも高い。従って、温度調節を行っている記録ヘッド8内の流路におけるインクの飽和溶存酸素濃度は、一般的な環境温度におけるインクの飽和溶存酸素濃度よりも低くなる。
記録動作時には、サブタンク151から、環境温度に近い温度の飽和溶存酸素濃度のインクが、40℃に温度調節されている記録ヘッド8に供給され続ける。つまり、記録ヘッド8の流路内のインクで溶解が許容できる酸素量よりも多くの酸素量が溶け込んでいるインクが、記録ヘッド8に供給され続ける。すると、記録ヘッド8付近では、インク中の溶存酸素が溶出し、記録ヘッド8の流路内で泡が膨張し、正常に吐出できない状態が生じてしまう。
このため、本実施形態では、インクの溶存酸素濃度が所定の値を超えないように、脱気動作が実施される。なお、サブタンク151を減圧してサブタンク151内のインクを攪拌することで、サブタンク151内の溶存酸素濃度は、一旦は下がる。しかしながら、サブタンク151、循環流路、および記録ヘッド8内の各箇所にエアーは存在しており、循環動作をしている間でも、循環動作をしていない(以下、「放置」または「循環停止」という)間でも、徐々にインクに酸素が溶け込む。このため、時間の経過とともに、溶存酸素濃度は上がる。このため、所定のタイミングで、脱気動作を実行する必要がある。
図7は、脱気後に溶存酸素濃度が上がる様子を示すグラフである。図7(a)は、脱気後から240分経過までの溶存酸素濃度を示している。長時間で見ると、循環動作をしている方が、放置して場合に比べて溶存酸素濃度の上昇度が高い。即ち、循環動作をしている方が、放置している場合に比べて酸素の再溶解が早く進む。一方、図7(b)は、図7(a)の丸で示す部分を拡大した図である。脱気後から数分後までの短時間で見ると、循環している場合でも放置している場合でも、再溶解の速度は変わらないことがわかる。
ここで、例えば2〜3分ごとに、数枚ずつ記録が行われるケースを想定する。この場合、図7(b)で示すように、循環している場合でも放置している場合でも、同等の速度で再溶解が進む。上記のケースが繰り返し行われると、放置時の再溶解を考慮しないと適切な溶存酸素濃度が求められなくなる。そこで、本実施形態では、放置時の再溶解も考慮して溶存酸素濃度を求め、脱気実行タイミングを決定する形態を説明する。また、本実施形態では、サブタンク151内のインクの脱気が行われる。記録ヘッド8を含む循環流路内のインクは、脱気されたインクが混合することで間接的に脱気されることになる。このため、本実施形態では、流路内のインク量を考慮して溶存酸素濃度を求め、脱気タイミングを決定する処理が行われる。また、溶存酸素濃度は温度によって異なるので、本実施形態では、環境温度を考慮して溶存酸素濃度を求め、脱気タイミングを決定する処理が行われる。
<溶存酸素濃度の推定処理の概要>
図8は、本実施形態における溶存酸素濃度の推定処理の概要を説明する図である。本実施形態において溶存酸素濃度の推定処理は、プリントコントローラ202による算出処理によって行われる。本実施形態では、記録命令をプリントコントローラ202が受信した場合の処理を説明する。
まず、前提として、本実施形態では、プリントコントローラ202は、前回算出して求めた溶存酸素濃度をRAM204に記憶しておくものとする。そして、前回算出している溶存酸素濃度から今回の所定の処理に至る間に溶解した酸素濃度を算出し、溶解した酸素濃度と前回算出している溶存酸素濃度とに基づいて、現在の溶存酸素濃度を算出する。この算出された現在の溶存酸素濃度は、RAM204に記憶(更新)され、次回の溶存酸素濃度を求める場合に、再度用いられることになる。
図8(a)は、記録命令をプリントコントローラ202が受信した場合の処理の概念を示している。記録命令を受信するまでは、記録動作が行われておらず、循環が停止している状態である。また、本実施形態では、前回の記録動作終了時における溶存酸素濃度の算出から今回の記録命令を受信するまでの間、溶存酸素濃度の算出は行われていない。先に説明したように、循環が停止している場合、長期的に見て、溶存酸素濃度の上昇度は低いからである。そこで、プリントコントローラ202は、まず、前回の記録動作が終了した時点での溶存酸素濃度G(t−1)をRAM204から取得する。そして、前回の記録動作が終了した時点からの経過時間(放置時間t1とする)を取得する。例えばプリントコントローラ202は、不図示のタイマーを備えており、タイマーを用いて経過時間を測定する。プリントコントローラ202は、この放置時間t1の間に再溶解している酸素を考慮し、放置後の溶存酸素濃度G(t)を算出する。つまり、実際の記録動作に先立って、循環が停止している間に再溶解した酸素を考慮した現在の(放置後の)溶存酸素濃度を算出する。算出処理の詳細は、後述する。その後、記録命令に基づく記録動作に処理が進むことになる。
図8(b)は、記録中の溶存酸素濃度を求める概要を説明する図である。図8(b)は、図8(a)に続いて行われる処理に相当する。プリントコントローラ202は、記録動作開始時点での溶存酸素濃度G(t−1)をRAM204から取得する。図8(b)における記録動作開始時点での溶存酸素濃度G(t−1)は、図8(a)の放置後の溶存酸素濃度G(t)に対応することになる。そして、プリントコントローラ202は、記録開始時点から各ページの記録動作が終了するまでの経過時間(記録時間t2とする)を取得する。記録時間t2の間は、循環動作が継続している。プリントコントローラ202は、この記録時間t2の間に再溶解している酸素を考慮し、ページ記録完了後の溶存酸素濃度G(t)を算出する。より詳細には、プリントコントローラ202は、各ページの記録が終了した時点で、記録時間t2の間の再溶解を考慮した溶存酸素濃度G(t)を算出する。そして、算出した溶存酸素濃度G(t)をRAM204に記憶(更新)する。
例えば、図8(b)に示すように、1ページ目の記録動作が完了した時点で、記録動作開始時点から1ページ目の記録動作の完了までに要した記録時間t2を用いた算出処理が行われる。そして、1ページ後の溶存酸素濃度G(t)を算出して、RAM204に記憶(更新)する。2ページ目がある場合には、引き続き2ページ目の記録動作が行われる。2ページ目の記録動作が完了した時点で、記録動作開始時点から2ページ目の記録動作の完了までに要した記録時間t2を用いた算出処理が行われる。なお、このときの記録時間t2は、1ページ目の記録および2ページ目の記録の両方に要した時間である。そして、2ページ後の溶存酸素濃度G(t)が算出され、RAM204に記憶される。このように、各ページの記録動作が完了した時点で、その時点での溶存酸素濃度G(t)がRAM204上で更新され続けることになる。
<フローチャート>
図9は、本実施形態においてプリントコントローラ202が記録命令を受信した場合に行う処理の一例を示すフローチャートである。図9の処理は、プリントコントローラ202が、ROM203などに記憶されているプログラムコードをRAM204に展開し実行することにより行われる。あるいはまた、図9におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。なお、各処理の説明における記号「S」は、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する。
S901においてプリントコントローラ202は、記録命令を受信する。S902においてプリントコントローラ202は、記録装置1が設置されている環境の環境温度を取得する。例えば、記録装置1は、温度計を備えており、温度計で検出された環境温度を取得してもよいし、外部から環境温度に関する情報を取得してもよい。
S903においてプリントコントローラ202は、放置後の溶存酸素濃度G(t)を算出する。S903の処理は、図8(a)で説明した処理に相当する。以下、S903における放置後の溶存酸素濃度G(t)を算出する処理の詳細を説明する。
プリントコントローラ202は、RAM204に格納されている、前回の記録終了時点での溶存酸素濃度G(t−1)を取得する。また、プリントコントローラ202は、放置時間t1を取得する。放置時間t1は、前回の記録動作終了後からの経過時間である。また、プリントコントローラ202は、S902で取得した環境温度に対応する飽和溶存酸素濃度Gsを取得する。表1は、環境温度に基づいた飽和溶存酸素濃度Gsを示している。表1に示すテーブル情報は、例えばROM203に予め格納されているものとする。
Figure 2020059133
脱気されたインクへの酸素の再溶解が進むにつれて、飽和溶存酸素濃度Gsまで酸素の再溶解が進むことになる。表1に示すように、飽和溶存酸素濃度Gsは、環境温度に応じて変わるので、現在の環境温度に対応する飽和溶存酸素濃度Gsが取得される。
また、プリントコントローラ202は、環境温度に基づいた放置中の再溶解係数k1を取得する。表2は、環境温度に基づいた放置中の再溶解係数k1を示している。
Figure 2020059133
放置中の再溶解係数k1は、放置中(循環停止時)に再溶解が進む度合いを示す係数である。放置中の再溶解係数k1は、循環経路および記録ヘッド8内の気液界面での再溶解を実験的に測定して求めたものである。表2に示すテーブル情報は、例えばROM203に予め格納されているものとする。なお、再溶解係数k1は、
Figure 2020059133
に比例しているので、プリントコントローラ202は、環境温度に応じた値を取得する。プリントコントローラ202は、上記で取得したデータを用いて、下記の式1に従って、放置後の溶存酸素濃度G(t)を算出する。
Figure 2020059133
ここで、式1の右辺のうちの第一項「G(t−1)」は、前回の記録終了時点での溶存酸素濃度G(t−1)である。式1の右辺のうちの残りの項は、放置時間t1に応じて増加した溶存酸素濃度の増加分を示している。即ち、前回の記録終了時点での溶存酸素濃度G(t−1)に、放置時間t1に応じて増加した溶存酸素濃度の増加分を加算することで、放置後の溶存酸素濃度G(t)が算出される。
図10は、溶存酸素濃度の算出を説明する図である。図10(a)は、式1に対応した図であり、放置中の溶存酸素濃度の算出を説明する図である。放置中の気液界面においては、図10(a)に示すような濃度分布が現れる。なお、図10(a)におけるC0(=G(t−1))は、初期溶存酸素濃度であり、ここでは、前回の記録終了時点での溶存酸素濃度に相当する。図10(a)におけるCs(=Gs)は、飽和溶存酸素濃度である。気相から溶解した気体(酸素)は、液相内を拡散していく。このため、液面から拡散による濃度分布が生じる。単位時間あたりに溶け込む酸素量は、下記の式2
Figure 2020059133
となる。時間経過に伴う変化量を考慮すると、放置後の溶存酸素濃度G(t)は、式1のようにして算出することができる。式1によれば、溶存酸素濃度は、時間の平方根に比例して増加するので、初期の傾きが大きくなる。
このようにして、S903における放置後の溶存酸素濃度G(t)が算出される。プリントコントローラ202は、算出した放置後の溶存酸素濃度G(t)でRAM204に記憶されている溶存酸素濃度G(t)を更新する。
S904においてプリントコントローラ202は、記録動作を開始する。即ち、プリントコントローラ202は、循環動作を開始し、記録媒体を搬送し、記録ヘッド8による記録を行う。
S905からS910までの処理は、ページごとに繰り返し行われる処理になる。S905において1ページ分の記録が完了する。S906においてプリントコントローラ202は、ページ記録後の溶存酸素濃度G(t)を算出する。S906の処理は、図8(b)で説明した処理に相当する。以下、S906の処理の詳細を説明する。
プリントコントローラ202は、記録動作開始時点での溶存酸素濃度G(t−1)をRAM204から取得する。この「記録動作開始時点での溶存酸素濃度G(t−1)」は、S903で算出され、RAM204に更新されている放置後の溶存酸素濃度G(t)である。プリントコントローラ202は、記録時間t2を取得する。記録時間t2は、S904における記録動作開始から、S905のページ記録完了までの時間に相当する。図8(b)で説明したように、S905が1ページ目に関する処理の場合には、記録時間t2は、S904の記録動作開始から1ページ目の記録完了までの時間となる。S905が2ページ目に関する処理の場合には、記録時間t2は、S904の記録動作開始から2ページ目の記録完了までの時間となる。
また、プリントコントローラ202は、S902で取得した環境温度に基づいた飽和溶存酸素濃度Gsを、表1に示すテーブル情報を参照して取得する。また、プリントコントローラ202は、環境温度に基づいた記録中の再溶解係数k2を取得する。表3は、環境温度に基づいた記録中の再溶解係数k2を示している。
Figure 2020059133
記録中の再溶解係数k2は、記録中(循環動作時)に再溶解が進む度合いを示す係数である。記録中の再溶解係数k2は、循環経路および記録ヘッド8内の気液界面での再溶解を実験的に測定して求めたものである。なお、再溶解係数k2は、温度/インク粘度に比例しているので、プリントコントローラ202は、環境温度に応じた値を取得する。表3に示すテーブル情報は、例えば予めROM203に格納されているものとする。プリントコントローラ202は、上記で取得したデータを用いて、下記の式3に従って、記録中の溶存酸素濃度G(t)を算出する。
Figure 2020059133
図10(b)は、式3に対応した図であり、記録中の溶存酸素濃度の算出を説明する図である。記録中、すなわち、循環中の気液界面においては、図10(b)に示すような濃度分布が現れる。なお、図10(b)における、C0(=G(t−1))は、初期溶存酸素濃度であり、ここでは記録動作開始時点での溶存酸素濃度G(t−1)に相当する。図10(b)におけるCs(=Gs)は、飽和溶存酸素濃度である。気相から溶解した気体(酸素)は、液相内を拡散していく。循環中においては、図10(a)と異なり、液相内は攪拌(=循環)により濃度一定のため、液面近傍に濃度拡散境界層δが現れる。この場合、単位時間あたりに溶け込む酸素量は、気相と液相との濃度差に比例することとなり、酸素の移動速度は、再溶解係数×(Cs−C0)となる。気相と液相との濃度差は時間経過に伴い、随時変化するため、積分で算出する必要があり、換算すると、式3のように表せる。
このようにして、S906におけるページ記録後の溶存酸素濃度G(t)が算出される。プリントコントローラ202は、算出したページ記録後の溶存酸素濃度G(t)でRAM204に記憶されている溶存酸素濃度G(t)を更新する。なお、表1から表3に示すテーブル情報は、例えばネットワークを通じて他の装置から取得してもよい。
続いてS907においてプリントコントローラ202は、ページ記録後の溶存酸素濃度G(t)が閾値を超えているかを判定する。ここでは、閾値として「5.5」を用いる。閾値を超えている場合、S908に処理が進む。閾値を超えていない場合、S910に処理が進む。
S908においてプリントコントローラ202は、脱気動作を実行する。このとき、記録動作は中断する。なお、記録動作中においては、極力、記録動作を優先して行わせる方がユーザビリティが向上するので、記録動作が優先される。ただし、溶存酸素濃度G(t)が、閾値を超えている場合、泡が膨張して正常に吐出できない虞がある。このため、本実施形態では、各ページの記録後にページ記録後の溶存酸素濃度G(t)を算出し、閾値を超えている場合には、記録動作を中断して脱気動作を実行する。その後、S909に処理が進む。
S909においてプリントコントローラ202は、脱気後の溶存酸素濃度G(t)を算出する。本実施形態では、脱気はサブタンク151内のインクに対して行われ、他の循環経路のインクに対しては、直接的に脱気は行われない。このため、インク容量に基づいて、サブタンク151内で脱気されたインクと、循環経路における脱気されていないインクとの混合濃度を算出し、脱気後の溶存酸素濃度G(t)とする。具体的な例として、サブタンク151内のインク容量を80g、循環経路全体のインク容量を200gとする。つまり、サブタンク151を除く記録ヘッド8および各流路のインク容量を120gとする。脱気後のサブタンク151内のインクの溶存酸素濃度は、3.5mg/Lであるものとする。また、記録動作によって消費されたインク消費量Iとする。このような条件において、脱気後の溶存酸素濃度G(t)は、下記の式4のようにして算出できる。
G(t)=(G(t-1)×(200-80)+(3.5×(80-I)))÷(200-I) (式4)
式4において「G(t-1)×(200-80)」により、サブタンク151以外のインク中の酸素量が求まり、「(3.5×(80-I))」により、サブタンク151内のインク中の酸素量が求まる。そして、インク消費量を考慮して全体の容量で割ることで、混合濃度が算出される。
図11は、脱気後の溶存酸素濃度G(t)を算出する概要を示す図である。サブタンク151内のインクは、脱気動作により溶存酸素濃度が減少する一方で、サブタンク以外の流路等の溶存酸素濃度は、変わらない。脱気後に循環が行われると、インクが混合してサブタンク151およびサブタンク以外の流路等の溶存酸素濃度は概略等しくなる。プリントコントローラ202は、脱気後の溶存酸素濃度G(t)で、RAM204に記憶されている溶存酸素濃度G(t)を更新する。そして、S910に処理が進む。
S910においてプリントコントローラ202は、次ページが存在するかを判定する。次ページが存在する場合、そのページの記録を行いS905に処理が進む。そして、同様の処理が繰り返される。次ページが存在しない場合、S911に処理が進む。
S911においてプリントコントローラ202は、記録動作を終了する。このとき、プリントコントローラ202は、循環動作を停止する。なお、この記録動作を第一の記録動作とし、第一の記録動作の後に一度循環動作が停止されてから、次に行われる記録動作を第二の記録動作とする。第二の記録動作におけるS903の処理の際に取得される「前回の溶存酸素濃度G(t−1)」は、第一の記録動作の際に脱気動作が実行されている場合には、第一の記録動作におけるS909の脱気後の溶存酸素濃度G(t)となる。第一の記録動作の際に脱気動作が実行されていない場合には、第一の記録動作におけるS906のページ記録後の溶存酸素濃度G(t)となる。
以上説明したように、本実施形態においては、インクの循環時間のみに基づいてインクの溶存酸素濃度を算出するのではなく、循環を休止(停止)している循環停止時間に上昇する溶存酸素濃度をも考慮した処理が行われる。このため、インクの溶存酸素濃度を適切に算出することができる。従って、例えば、短時間の記録動作が、数分おきに繰り返し行われるような場合においても適切なタイミングで脱気動作を実行することができるので、泡が生じることによって正常に吐出できない事態を回避できる。また、本実施形態では、環境温度に応じた再溶解係数を用いて溶存酸素濃度を算出し、また、インク量に応じて脱気後の溶存酸素濃度を算出している。このため、より適切なインクの溶存酸素濃度を算出することができるので、好適なタイミングで脱気動作を実行することができる。
<<実施形態2>>
実施形態1では、記録命令を受信した場合に、循環停止中に上昇した溶存酸素濃度を求め、その後、各ページの記録完了後に、溶存酸素濃度を求める形態を説明した。本実施形態では、記録命令を受信した場合以外の場合において、溶存酸素濃度を求め、閾値を超えている場合には、脱気を実行する形態を説明する。
図12は、本実施形態のフローチャートを示す図である。S1201においてプリントコントローラ202は、電源ONされたか、または、ユーザが設定した時刻になったかを判定する。電源ONされたか、または、ユーザが設定した時刻になった場合には、S1202に処理が進む。そうでない場合、処理を抜ける。例えば、電源ON時やユーザが設定した時刻に各種のメンテナンス動作をまとめて実施することがある。そこで、本実施形態では、これらのタイミングで放置後の溶存酸素濃度G(t)を算出する処理が行われ、閾値を超えていた場合には、脱気動作が行われる。
S1202〜S1203は、図9のS902〜S903と同じ処理である。S1204〜S1206は、図9のS907〜S909と同じ処理である。よって、詳細な説明は省略する。
以上説明したように、記録命令を受信した場合以外においても、放置中の溶存酸素濃度G(t)を算出することで、適切なタイミングで脱気動作を実行することができる。
<<実施形態3>>
本実施形態は、実施形態1と同様に記録命令を受信した場合の処理である。実施形態1と異なる点は、記録動作中と記録動作後とで異なる閾値を用意し、記録動作後においても、溶存酸素濃度G(t)と閾値との判定処理を行う点である。
図13は、本実施形態のフローチャートを示す図である。実施形態1と同じ処理については、同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施形態では、S1307において、ページ記録後の溶存酸素濃度G(t)と比較する閾値として第1閾値を用いる。即ち、記録動作中の閾値として第1閾値を用いる。一方、記録動作終了後の溶存酸素濃度G(t)と比較する閾値として第2閾値を用いる。第2閾値は、第1閾値よりも低い値である。一例として、第1閾値は、「5.6」であり、第2閾値は、「5.5」である。
S911の記録動作が終了後、S1312においてプリントコントローラ202は、RAM204に記憶されている溶存酸素濃度G(t)と第2閾値とを比較する。溶存酸素濃度G(t)が第2閾値を超えている場合、S1313に処理が進む。S1313およびS1314は、S908およびS909と同じ処理であり、脱気動作を実行後に、脱気後の溶存酸素濃度G(t)を算出する処理である。
以上説明したように、本実施形態では、記録動作後の第2閾値を、記録動作中の第1閾値よりも低く設定する。これにより、記録動作後にユーザが使用をしていないタイミングで早めに脱気が実施されることになる。従って、極力、記録動作中に実行される脱気を抑制し、ユーザが脱気中に待機している時間を削減することができる。
<<実施形態4>>
本実施形態は、脱気動作を実行中に記録命令を受信した場合、脱気を中断して記録動作を実行することで記録動作を優先的に行う形態である。
図14は、本実施形態のフローチャートである。図14は、実施形態3で説明した図13のフローチャートにおいて、記録動作後の溶存酸素濃度G(t)が第2閾値を超えている場合に脱気動作を実行する場合の処理が、図13と異なる。即ち、S1313の脱気動作を実行後のS1415からS1418の処理が、図13と異なる。
S1415においてプリントコントローラ202は、脱気動作中に記録命令を受信したかを判定する。脱気動作中に記録命令を受信した場合、S1416に進む。そうでない場合、S1418に進む。S1418の処理は、図13のS1314と同じ処理であるので、説明を省略する。
S1416においてプリントコントローラ202は、脱気動作を中断する。脱気動作は、サブタンク151内を減圧し、その後、攪拌子151bによってインクを攪拌させることで行われる。脱気動作は、所定時間を要する。また、この脱気動作の間は、記録が行えない。このため、脱気動作中に記録命令を受信した場合、脱気動作が完了した後に記録動作を開始するように制御すると、ユーザの待機時間が生じてしまう。このため、本実施形態では、記録動作を優先して行うために、S1416において脱気動作を中断する。
その後、S1417においてプリントコントローラ202は、脱気動作を中断した後の溶存酸素濃度G(t)を算出する。脱気動作を中断した場合には、その中断タイミングによって中断後の溶存酸素濃度G(t)が異なる。このため、中断するまでに作用した脱気作用時間t3を算出する。
図15は、サブタンク151内における脱気中の溶存酸素濃度G(t)の推移の例を示すグラフである。本実施形態では、脱気動作を開始した場合、まず、減圧ポンプP0でサブタンク151内の減圧を開始する。本実施形態では、サブタンク151内を所定の負圧にするため、まず60秒間、減圧を行う。その後、攪拌子151bによってインクの攪拌を開始する。攪拌子151bが駆動していない状態では、図15に示すように、溶存酸素濃度は変わらない。そこで、脱気作用時間t3は、この60秒を差し引いた時間が求められる。具体的には、脱気作用時間t3は、下記の式5のように求められる。
t3=脱気中断時刻 − 脱気動作開示時刻 − 60秒 (式5)
そして、プリントコントローラ202は、脱気作用時間t3を用いて下記の式6のようにして、中断後の溶存酸素濃度G(t)を算出する。
G(t)=(G(t-1)×(200-80)+((G(t-1)-(G(t-1)-3.5)÷330×t3)×(80-I)))÷(200-I)
(式6)
右辺の第一の項「G(t-1)×(200-80)」は、サブタンク151以外の流路等のインクにおける溶存酸素量である。右辺の第二の項「(G(t-1)-(G(t-1)-3.5)÷330×t3)×(80-I)」は、脱気中断後のサブタンク151内のインクにおける溶存酸素量である。右辺の第二の項においては、RAM204に格納されている前回の溶存酸素濃度G(t−1)、即ち、元の濃度から、中断までに減った濃度を減算している。なお、図15に示すように、60秒後から撹拌子151bが駆動し始める。図15に示すように、溶存酸素濃度が下がる時間は、脱気開始時刻から60秒〜390秒の間、即ち、330秒間である。従って、右辺の第二項では、RAM204に格納されている前回の溶存酸素濃度G(t−1)(即ち、元の濃度)と、脱気後の濃度(3.5)との差分を330秒で割り、脱気作用時間t3を掛けることが行われる。これにより、中断後のサブタンク151内の溶存酸素濃度を求めている。プリントコントローラ202は、算出した中断後の溶存酸素濃度G(t)で、RAM204に記憶されている溶存酸素濃度G(t)を更新する。なお、S1417の処理の後、S901に処理が戻り、引き続き、前述した処理が行われることになる。
なお、本実施形態では、記録動作後の脱気動作を実行中に記録命令を受信した場合に、脱気動作を中断する例を説明した。一方で、記録動作中に脱気動作を実行している場合には、このような中断動作は行わない。記録動作中に脱気動作を実行しているということは、泡が発生してしまう可能性が高いが故に行われているからである。このため、安定的な吐出を行うことを優先し、記録動作中の脱気動作は中断しないように構成されている。
以上の通り、記録動作をしていないときであって脱気動作を実行中に記録命令を受信した場合に、本実施形態で説明した脱気動作の中断をすることが好ましい。従って、実施形態2で説明したように、記録命令受信以外のときに脱気動作を実行している場合に、本実施形態で説明したように脱気を中断して、中断後の溶存酸素濃度を算出する処理を行ってもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、記録動作中でないときの脱気動作を実行中に記録命令を受信した場合、脱気を中断して中断後の溶存酸素濃度を算出する処理を行う。このような処理によれば、脱気動作の完了を待たずに記録動作が開始されるので、ユーザの待機時間が発生してしまうことを抑制できる。また、脱気を中断した場合においても、中断後の溶存酸素濃度を算出するので、その後の処理においても、適切な溶存酸素濃度を算出することができる。
<<実施形態5>>
本実施形態は、これまでの各実施形態で説明した脱気動作を実行後に、記録ヘッド8の温度調節を行わずに循環を行うことで流路内(特に記録ヘッド8の流路内)の泡を収縮させる形態を説明する。
図16は、記録ヘッド8を40℃で温度調節した状態において、循環するインクの溶存酸素濃度を変えて記録ヘッド8の流路内の泡量の変化を観察した結果を示す図である。図16は、所定の溶存酸素濃度のインクに泡を混入した状態で循環を行い泡量の変化を観察した結果である。図16の横軸は、循環しているインクの溶存酸素濃度であり、縦軸は、単位流量あたりの泡量変化量である。泡量変化量がプラスの場合、泡が膨張し、泡量変化量がマイナスの場合、泡が収縮したことを示す。
図16に示すように、循環するインクの溶存酸素濃度が、記録ヘッド8内の流路の温度、即ち、40℃の飽和溶存酸素濃度(5mg/L)よりも低ければ、記録ヘッド8内の流路の泡に収縮効果が生じる。さらに、40℃の飽和溶存酸素濃度と循環するインクの溶存酸素濃度との差が大きいほど、収縮効果は高まる。一方、循環するインクの溶存酸素濃度が、40℃の飽和溶存酸素濃度よりも高ければ、ヘッド内流路の泡は膨張する。
ここで、温度調節制御された記録ヘッド8内の流路の温度40℃に比べて、記録装置1が設置されている環境温度の方が、一般的に飽和溶存酸素濃度は高くなる。つまり、記録ヘッド8を温度調節せずに環境温度に近い形でインクを循環する場合、飽和溶存酸素濃度は高くなるので、図16に示すように、収縮するか膨張するかを示す閾値ラインが高くなる(右に移動する)。さらには、脱気後のインクの溶存酸素濃度は、図16の左寄りの低い値となる。つまり、脱気後に記録ヘッドの温度調節制御を行わずにインクを循環させた場合、記録ヘッド8内の流路の温度(環境温度)に対応する飽和溶存酸素濃度と循環するインクの溶存酸素濃度との差が、温度調節を行う場合に比べて大きくなる。従って、記録ヘッド8内の流路の泡の収縮効果が、より一層高まる。
このため、本実施形態では、脱気動作を実施後に、記録ヘッド8の温度調節を行わない状態で、脱気動作後の溶存酸素濃度が低くなったインクを循環することで、記録ヘッド8内の流路または他の循環流路の泡を収縮させる。
図17は、本実施形態の特徴部分に関するフローチャートを示す図である。図17は、説明のため、実施形態1から4で説明したように、算出した溶存酸素濃度G(t)と閾値との判定処理に関連する部分を抜粋したフローチャートである。S1701に示すように、算出した溶存酸素濃度G(t)と閾値とを判定した結果、溶存酸素濃度G(t)が閾値を超えている場合、S1702に進む。S1702では脱気動作を実行する。S1703では脱気後の溶存酸素濃度G(t)を算出する。これらの処理は、実施形態1から4で説明した処理と同様である。S1704では、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8の温度調節を行わずに、循環動作を実行する。そして、処理が終了する。
以上説明したように、本実施形態によれば、所定のタイミングで脱気動作を実行後に、記録ヘッド8の温度調節を行わずに循環動作を実行することで、記録ヘッド8内の流路の泡の収縮効果を高めることができる。
<<実施形態6>>
本実施形態は、実施形態5で説明した、記録ヘッド8内の流路の泡の収縮を行うために、脱気動作後に記録ヘッド8の温度調節を行わずに循環動作を行う形態に関する。以下、この循環を、「泡消し循環」と呼ぶ。本実施形態では、記録動作中に脱気動作を実行した場合には、脱気動作が完了後に泡消し循環を直ちに行うのではなく、記録動作が終了した後に、泡消し循環を実行する形態である。記録動作中に実行している脱気動作の完了直後に泡消し循環を行うと、泡消し循環の完了まで記録動作が完了しないので、ユーザの待機時間が増えてしまう。そこで、本実施形態では、記録動作が完了している状態で泡消し循環を行う。
図18は、本実施形態におけるフローチャートである。実施形態3において図13で説明した処理と同じ処理については、同じ符号を付し、説明を省略する。記録動作中にS908で脱気動作が実行されると、S909の処理に続いてS1810においてプリントコントローラ202は、泡消し循環フラグを立てる。泡消し循環フラグは、泡消し循環が必要なことを示すフラグである。その後、処理が進み、S1312において記録動作後の溶存酸素濃度G(t)が第2閾値を超えていない場合、S1830に処理が進む。
S1830においてプリントコントローラ202は、泡消し循環フラグが立っているかを判定する。泡消し循環フラグが立っていれば、S1831に処理が進み、そうでない場合、処理を終了する。S1831においてプリントコントローラ202は、記録ヘッドの温度調節を行わずに循環動作(泡消し循環)を実行する。そして、泡消し循環フラグをリセットする。なお、S1312において記録動作後の溶存酸素濃度G(t)が第2閾値を超えている場合、S1313およびS1314の処理を経て、S1820に処理が進む。S1820においてプリントコントローラ202は、記録ヘッドの温度調節を行わずに循環動作(泡消し循環)を実行する。
以上説明したように、本実施形態では、記録動作中に脱気動作を行った場合、泡消し循環が必要なことを記憶し、脱気動作後に直ちに泡消し循環の実行をせず、記録動作終了後に泡消し循環を実行する。このように、本実施形態では、泡消し循環を記録動作終了後に後回しにして実行することで、泡消し循環に起因するユーザの待機時間を低減することができる。
なお、本実施形態は、実施形態3をベースに説明したが、他の実施形態と組み合わせた形態でもよい。例えば、本実施形態と実施形態4とを組み合わせた形態としてもよい。
<<実施形態7>>
本実施形態は、泡消し循環動作中に記録命令を受信した場合、泡消し循環の動作を中断して、記録動作を優先的に行う形態である。また、泡消し循環の動作が中断されたことを示す情報(中断履歴という)を記憶しておき、中断履歴に応じて、脱気動作を実行するかを判定する閾値を変更する。具体的には、中断履歴があった場合には、泡消し循環が十分に行われていないので、次に脱気動作を実行する判定閾値を下げて、脱気タイミングを早めて泡消し循環を早めに実行させる。
図19は、泡消し循環を動作中の処理に関するフローチャートである。泡消し循環を動作中、S1901においてプリントコントローラ202は、記録命令を受信したかを判定している。記録命令を受信した場合、S1902に処理が進む。S1902においてプリントコントローラ202は、泡消し循環の動作を中断する。S1903においてプリントコントローラ202は、中断履歴をRAM204に記憶する。そして、図19の処理を終了する。その後、後述する図20のS2001に処理が進む。一方、記録命令を受信しない場合、S1904に進み、泡消し循環が完了したので、泡消し循環フラグをオフにする。そして、図19の処理を終了する。
図20は、本実施形態において、記録命令を受信した場合に行う処理の一例を示すフローチャートである。本実施形態では、4つの閾値を用いる。以下は、閾値の例であり、各閾値の大小関係は、第1閾値>第2閾値>第3閾値>第4閾値の関係になっている。
・第1閾値:5.6
・第2閾値:5.5
・第3閾値:5.1
・第4閾値:5.0
S2001〜S2006までの処理は、図9のS901〜S906までの処理と同じである。S2007においてプリントコントローラ202は、溶存酸素濃度G(t)と第3閾値とを比較する。溶存酸素濃度G(t)が第3閾値を超えている場合、S2010に進む。そうでない場合、S2015に進む。第3閾値は、後述する、中断履歴がない場合の判定に用いられる第1閾値よりも、低い値である。
S2010においてプリントコントローラ202は、中断履歴があるかを判定する。中断履歴がある場合、S2011に進み、そうでない場合、S2014に進む。S2011〜S2013の処理は、図18のS908、S909、S1810の処理と同じ処理である。このS2007、S2010、S2011と続く処理は、端的に言えば、中断履歴がある場合には、脱気タイミングを早めて、泡消し循環の動作タイミングを早める処理に相当する。即ち、本実施形態では、中断履歴がある場合には、中断履歴がない場合の判定に用いられる閾値(第1閾値)よりも低い閾値(第3閾値)を用いた判定処理が行われる。このため、中断履歴がある場合には、脱気タイミングを早めて、泡消し循環の動作タイミングを早める処理が行われる。
中断履歴がない場合には、S2014においてプリントコントローラ202は、溶存酸素濃度G(t)と第1閾値との比較処理を行う。溶存酸素濃度G(t)が第1閾値を超えていたらS2011に処理が進む。そうでない場合、S2015に処理が進む。S2015は、S910と同じ処理である。また、S2015に続くS2016の記録動作終了の処理は、S911の処理と同じである。
S2016の記録動作終了の処理に続くS2020において、プリントコントローラ202は、溶存酸素濃度G(t)が第4閾値を超えているかを判定する。溶存酸素濃度G(t)が第4閾値を超えている場合、S2021に進み、そうでない場合、S2030に進む。第4閾値は、記録動作後の判定に用いられる閾値であり、実施形態2でも説明したように、記録動作中の判定に用いられる第3閾値よりも低い値である。また、第4閾値は、後述する、中断履歴がない場合の判定に用いられる第2閾値よりも、低い値である。
S2021においてプリントコントローラ202は、中断履歴があるかを判定する。中断履歴がある場合には、S2022に処理が進み、そうでない場合、S2025に処理が進む。S2022〜S2023の処理は、S1313〜S1314と同じ処理である。S2023に続き、S2024においてプリントコントローラ202は、泡消し循環を実行する。即ち、記録ヘッド8の温度調節を行わずに循環動作を実行する。S2024の処理は、図19で説明したフローチャートの処理に相当することになる。
このように、本実施形態では、記録動作終了時においても記録動作中と同様に、中断履歴がある場合には、中断履歴がない場合に用いられる閾値(第2閾値)よりも低い閾値(第4閾値)を用いた判定処理が行われる。つまり、中断履歴がある場合には、脱気タイミングを早めて、泡消し循環の動作タイミングを早める処理を行う。
S2021の判定の結果、中断履歴がない場合には、S2025においてプリントコントローラ202は、溶存酸素濃度G(t)と第2閾値との比較処理を行う。溶存酸素濃度G(t)が第2閾値を超えていたらS2022に進み、そうでない場合、処理を終了する。
一方、S2020で溶存酸素濃度G(t)が第4閾値を超えてない場合、S2030においてプリントコントローラ202は、泡消し循環フラグが立っているかを判定する。泡消し循環フラグが立っている場合、S2031に進み、図19で示した泡消し循環処理を実行し、処理を終了する。泡消し循環をフラグが立っていない場合、処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態では、泡消し循環動作中に記録命令を受信した場合、記録動作を優先的に行わせることでユーザの待機時間を低減させることができる。また、泡消し循環が完了していないので、次回の脱気タイミングを決定する際の閾値を下げることで、脱気タイミングを早めて、泡消し循環を早めに実行することができる。
<<その他の実施形態>>
以上説明した各実施形態では、主にサブタンク151および記録ヘッド8を含む循環流路におけるインクの溶存酸素濃度を算出し、脱気タイミングを決定する形態を説明した。記録装置1では、サブタンク151内のインクが少なくなると、メインタンク141からサブタンク151内にインクが補給される。即ち、環境温度の飽和溶存酸素濃度のインクがサブタンク151内に補給されることになる。そこで、メインタンク141からインクが補給された場合、メインタンク141から補給されたインク量Iを考慮して、補給後の溶存酸素濃度G(t)を算出し、RAM204の溶存酸素濃度G(t)を更新するとよい。具体的には、下記式7にて算出すればよい。
G(t)=(G(t-1)×(200-I)+ Gs×I)÷200 (式7)
図21は、メインタンク141からサブタンクに10gのインクが補給された場合の各箇所における溶存酸素濃度を模式的に示している。メインタンク141から環境温度の飽和溶存酸素濃度Gsのインクがサブタンク151に補給され、その後、循環されることで、サブタンク151および記録ヘッド8を含む循環流路におけるインクの溶存酸素濃度が均一的になる。
なお、上記で説明した各実施形態では、溶解する気体として酸素を例に挙げて説明したが、酸素以外の気体が溶解されてもよい。即ち、算出される溶存酸素濃度(溶存酸素量)は、酸素だけでなくインクに溶解し得る様々な気体を含む溶存気体濃度(溶存気体量)であってよい。つまり、溶存気体量を算出して閾値と比較する形態でよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
8 記録ヘッド
202 プリントコントローラ
151 サブタンク
P0 減圧ポンプ

Claims (16)

  1. インクを収容するタンクと、
    前記タンクから供給されるインクを吐出して記録動作を行う記録ヘッドと、
    前記記録動作が行われる場合、前記タンクおよび前記記録ヘッドを含む循環経路でインクを循環させ、前記記録動作が終了した場合、前記循環経路でのインクの循環を停止する循環手段と、
    前記循環経路内のインクを脱気する脱気手段と、
    を備えるインクジェット記録装置であって、
    循環動作時に上昇する溶存気体量および循環停止時に上昇する溶存気体量に基づいて、前記循環経路内のインクの溶存気体量を推定する推定手段と、
    前記推定手段によって推定された前記循環経路内のインクの溶存気体量が所定の閾値を超えている場合、前記脱気手段による脱気を実行させる制御手段と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記推定手段は、
    循環動作時に上昇する溶存気体量に関する第1の再溶解係数と、
    循環停止時に上昇する溶存気体量に関する第2の再溶解係数と、
    溶存する気体の飽和濃度と、
    循環の動作が継続している時間と、
    循環の停止が継続している時間と、
    に基づいて前記推定を行うことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記推定手段は、
    環境温度に応じた前記第1の再溶解係数、前記第2の再溶解係数、および前記飽和濃度を取得して前記推定に用いることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記推定手段は、推定した前記循環経路内のインクの溶存気体量を記憶手段に記憶させ、次回の推定の際に前記記憶手段に記憶されている溶存気体量を用いて前記循環経路内のインクの溶存気体量を推定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記推定手段は、前記制御手段によって脱気が実行された後の前記循環経路内のインクの溶存気体量を推定し、推定した溶存気体量で前記記憶手段に記憶されている溶存気体量を更新することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記脱気手段は、前記タンク内のインクを脱気するように構成され、
    前記推定手段は、前記タンク内のインク量と、タンクを除く循環経路内のインク量とに基づいて前記脱気が実行された後の前記循環経路内のインクの溶存気体量を推定することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記推定手段は、
    記録命令を受信した場合に前記推定を行うように構成され、
    前記記憶手段に記憶されている溶存気体量に、前記記録命令を受信するまでの循環停止時に上昇した溶存気体量を加えた第1の溶存気体量を推定し、
    前記推定した第1の溶存気体量に基づいて前記循環動作時に上昇する溶存気体量を推定することで、前記循環経路内のインクの溶存気体量を推定することを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記推定手段は、記録動作中に1ページの記録が完了するたびに前記推定を行い、かつ、記録動作が終了した後に前記推定を行うことを特徴とする請求項4から7のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記推定手段は、記録動作中の推定においては、前記閾値として第1の閾値を用い、記録動作が終了した後の推定においては、前記閾値として前記第1の閾値よりも低い第2の閾値を用いることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記記録動作が終了した後に前記推定手段によって推定された前記溶存気体量が前記第2の閾値を超えていることに応じて前記脱気が実行されている場合に新たに記録命令を受信した場合、前記制御手段は、前記脱気を中断し、
    前記推定手段は、前記脱気が中断された時点における前記循環経路内のインクの溶存気体量を推定し、推定した溶存気体量で前記記憶手段に記憶されている溶存気体量を更新することを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記記録ヘッドの温度を調節する温度調節手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記脱気を実行した後に、前記記録ヘッドの温度を調節しない状態で、所定時間、循環動作を実行させることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記制御手段は、前記脱気の実行タイミングが、記録動作中の場合、前記所定時間の循環動作を前記記録動作の終了後に実行することを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記制御手段は、前記所定時間の循環動作を前記記録動作の終了後に実行している場合に、新たに記録命令を受信した場合、前記所定時間の循環動作を中断して前記受信した新たな記録命令に基づく記録動作を実行することを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録装置。
  14. 前記推定手段は、前記所定時間の循環動作の中断の有無に応じて、前記閾値を変更することを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  15. 前記推定手段は、所定のメンテナンスのタイミングで前記推定を行うことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  16. インクを収容するタンクと、
    前記タンクから供給されるインクを吐出して記録動作を行う記録ヘッドと、
    前記記録動作が行われる場合、前記タンクおよび前記記録ヘッドを含む循環経路でインクを循環させ、前記記録動作が終了した場合、前記循環経路でのインクの循環を停止する循環手段と、
    前記循環経路内のインクを脱気する脱気手段と、
    を備えるインクジェット記録装置の制御方法であって、
    循環動作時に上昇する溶存気体量および循環停止時に上昇する溶存気体量に基づいて、前記循環経路内のインクの溶存気体量を推定する工程と、
    前記推定された前記循環経路内のインクの溶存気体量が所定の閾値を超えている場合、前記脱気手段による脱気を実行させる工程と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置の制御方法。
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