JP2020059059A - ガスシールドメタル溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭素鋼同士の接合において、溶接ビード表面にスラグが発生しないような溶接施工方法を提供する。【解決手段】炭素鋼の母材同士を溶接するガスシールドメタル溶接方法であって、少なくとも後工程で電着塗装が施される範囲に亘る溶接施工において、重量%でCr:15%以上、かつ、C:1.2%以下を含む合金鋼から成るソリッド溶接ワイヤを用いる。【選択図】図1
Description
本発明は、電着塗装を前提とした炭素鋼母材同士の溶接方法に関する。
車両の足回り部品やフレーム部品においては、カチオンなどの電着塗装を施して防錆性能を向上させている。それら部品は、炭素鋼の板材やパイプから成形した複数の構成品を溶接継手にて接続する構造体が一般的であり、特にその溶接施工においては、アーク溶接等のガスシールドメタル溶接が多用されている。この炭素鋼同士の溶接においては炭素鋼用の溶接ワイヤを使用するのが一般的であるが、溶接施工後に溶接ビードの表面にスラグと呼ぶ溶融脱酸素生成物が付着し易い。
スラグは、ワイヤ中の各成分が酸化して生成しビード表面に析出するもので、SiO2やMnO2が主である。最近はブローホールやピットの発生抑制のための脱酸剤として、ワイヤ中にSiとMnが積極添加される傾向にあるため、溶接ビードの表面にスラグの析出が顕著となっている。
これらスラグのうちガラス質のSiO2等は導電性を持たないため、接合した母材を電極とする電着塗装において母材と塗料間で絶縁物として機能し、下地処理である化成被膜を形成しないと共に塗料付着を阻害してしまうという問題を惹起し、時間経過とともに塗料の剥離による耐食性の悪化が懸念される。炭素鋼同士の接合において、溶接ビード表面に非導電性のスラグが発生しないような溶接施工方法が待たれていた。
そこで上記問題の解決策として、溶接ワイヤ中にある強脱酸元素のSiとTiの重量%バランスを規定し、スラグの元であるSi含有量を低減することでスラグ発生を抑制することが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、Si自体は溶接ワイヤ中に存在するため、依然としてSi由来のスラグをビード表面から排除できていない。
また、フラックスワイヤ全体としての成分組成およびシールドガスの組成を規定することで、スラグ発生を抑制する方法も提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、スラグの発生量を抑制できるとしても、ビード表面から排除できるものではない。また、フラックスワイヤは高酸素化により酸化によるスラグ化を促進するとともに、ソリッド溶接ワイヤに比べてコスト高となる。
また、シールドガスに不活性ガスおよびN2ガスを含ませると共に、溶接ワイヤに少なくともSiおよびCrを含ませて、スラグを低減する溶接施工方法も提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、この溶接ワイヤ中にもSiが存在するため、依然としてSi由来のスラグをビード表面から排除できない。
上述したように、炭素鋼母材同士の接合において、溶接ビード表面におけるスラグ発生量を低下させるだけでなく、絶縁体であるスラグを表面から完全排除できる溶接施工方法が望まれている。
上記課題に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果、炭素鋼母材同士の接合において、少なくとも後工程で電着塗装される範囲に亘って、重量%でCr:15%以上、かつ、C:1.2%以下を含む合金鋼から成るソリッド溶接ワイヤを用いて溶接施工すると、溶接ビード表面にスラグが析出しないことを見出した。そして、そのような溶接施工部分には良好な電着塗装が可能となることを確認した。
請求項1記載の発明は、炭素鋼の母材同士の溶接において、少なくとも後工程で電着塗装が施される範囲に亘る溶接施工において、重量%でCr:15%以上、かつ、C:1.2%以下を含む合金鋼から成るソリッド溶接ワイヤを用いる、ガスシールドメタル溶接方法である。
請求項1の発明は、上記構成としたので、ステンレス鋼をステンレスワイヤで溶接するのと同様に溶融池およびビードの表面に酸化クロム(Cr2O3)の薄い層(不動態被膜)ができて、この層にはスラグは析出しないので、ビード表面に絶縁層であるスラグが付着することはなくなる。したがって、その後の電着塗装における工程品質が確保される。
なお、酸化クロム(Cr2O3)は基本的に電荷移動型の絶縁物であるが、溶接ビード表面の全域に亘ってごく薄い(数nm)層が形成され、非常に薄い絶縁膜ゆえにトンネル効果による導電性が確保されるものと考えられる。したがって、溶接後の電着塗装工程において母材を電極としたカチオン電着塗装を施しても、確実に溶接ビード部にも塗料が付着・固定される。
溶接ワイヤの組成を重量%でCr:15%以上、かつ、C:1.2%以下とする理由は、ステンレス鋼の母材同士をステンレスワイヤで溶接する場合と違って溶融池におけるCr量の希釈化が懸念されるため、希釈化と不動態被膜形成のバランスを発明者達が鋭意研究した結果、Crが15%以上、かつ、Cが1.2%以下の含有であれば、炭素鋼母材においても溶接ビードに確実な不動態被膜形成がされることを見出したためである。
以下、本発明の望ましい実施形態について図1を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る溶接施工品1であり、炭素鋼から成る母材2および3の端面同士を当接させた状態で、当接面4上に本発明のガスシールドメタル溶接を施工し、溶接ビード5が形成された状態を示す。すなわち、母材2と3を溶接ビード5にて締結した状態を示す。
母材2および3は、熱間圧延鋼板SHP270の板厚3.8mmのものを使用した。溶接ワイヤはフェライト系ステンレス素材から成り、その成分組成は重量%で、C:0.01、Si:0.45、Mn:0.43、Ni:0.31、Cr:19.1、Cu:0.41、Nb:0.46、Mo:0.26、Ti:0である。シールドガスは、アルゴンと酸素と二酸化炭素の混成ガスを用い、溶接条件は、電流230A、電圧24.4〜27V、速度60mm/秒で溶接施工した。
上記の溶接施工において得られた溶接施工品1は、目視でもスラグがビード部5やその周辺の母材2および3に付着していないことが確認できたが、次工程においてカチオン電着塗装を施し、更に塩害耐久試験において塗装の付着性を確認した。
溶接施工品1へのカチオン電着塗装工程においては、先ず湯洗をし、次いで脱脂を行って水洗する。そして溶接施工品1を塗料液中に浸漬し、溶接施工品1に負電圧を加え、塗料液内の電極に正電圧を加えて、電気化学反応で溶接施工品1上に塗膜を形成させる。電着塗料としては、例えば、アクリル塗料、アルキド塗料、ウレタン塗料、エポキシ塗料があり、塗料はカチオン性の水溶液またはエマルジョンとして提供される。そして、電着塗装後、溶接施工品1の水洗が行われると共に、焼付け乾燥が行われる。
こうして塗装された溶接施工品1の防錆性能を確認するために、防錆性能試験(塩害耐久試験)を実施した。防錆性能試験は、塩水噴霧−加熱乾燥−湿潤−常温乾燥を順に実行して1サイクルとし、840時間にわたって実施した。
防錆性能試験の結果としては、溶接施工品1の母材2,3およびビード5の表面共に、塗料の浮きや剥離は全く見られなかった。すなち、絶縁物の存在による塗料付着性の悪化はないものと判断され、極めて良好な防錆性能を確認できた。
以上、本発明の実施形態を説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱し範囲の変更があっても本発明に包含される。溶接ワイヤの組成および溶接条件は、上述に限るものではない。また、後工程で電着塗装が施される範囲に加えて、それ以外の範囲に本発明の溶接方法が及んでも構わない。更に、本発明の溶接方法は車両の足回り部品やフレーム部品等に限定されること無く、輸送機械全般、建築物、インフラ設備など、適用範囲は問わない。
1 溶接施工品
2、3 母材
4 当接面
5 ビード部
2、3 母材
4 当接面
5 ビード部
Claims (1)
- 炭素鋼の母材同士を溶接するガスシールドメタル溶接方法であって、
少なくとも後工程で電着塗装が施される範囲に亘る溶接施工において、
重量%でCr:15%以上、かつ、C:1.2%以下を含む合金鋼から成るソリッド溶接ワイヤを用いることを特徴とする、
ガスシールドメタル溶接方法。
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JP2018204474A JP2020059059A (ja) | 2018-10-12 | 2018-10-12 | ガスシールドメタル溶接方法 |
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2018
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