JP2020057683A - 太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】太陽電池セルの破損を抑制し、外観の良好な太陽電池モジュールを提供すること。【解決手段】太陽電池モジュール100は、複数の太陽電池セル10と、太陽電池セル10の受光面側に設けられた第1保護樹脂層20と、を備える。また、太陽電池モジュール100は、太陽電池セル10の受光面とは反対側に設けられた第2保護樹脂層30と、第1保護樹脂層20と第2保護樹脂層30との間に設けられ、太陽電池セル10を封止する封止層40と、を備える。そして、封止層40の120℃での貯蔵弾性率が0.1MPa以上であり、封止層40のゲル分率が0質量%超75質量%以下である。【選択図】図2
Description
本発明は、太陽電池モジュールに関する。
環境保護の観点から、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池モジュールが注目されている。
太陽電池モジュールは、一般的に、太陽電池セルを封止する充填剤層と、充填剤層の表面側に配置されたフロントシートと、充填剤層の裏面側に配置されたバックシートと、を備えている。
例えば、特許文献1には、太陽電池モジュール用フロントシートと、表面側充填剤層と、光起電力素子としての太陽電池セルと、裏面側充填剤層と、バックシートとがこの順に積層されている太陽電池モジュールが記載されている。また、太陽電池モジュール用フロントシートは、表面側保護フィルムと、この表面側保護フィルムの裏面側に積層されるガスバリア層と、このガスバリア層の裏面側に積層される基材層とを備え、上記基材層の主成分がポリカーボネートである。
しかしながら、特許文献1に記載されたフロントシート、表面側充填剤層、裏面側充填剤層及びバックシートは、主に樹脂材料により形成されている。そのため、寒暖差などにより、これらの樹脂材料が熱伸縮した場合、熱伸縮に追従して太陽電池セルも移動してしまい、太陽電池セル同士が衝突して破損するおそれがある。
また、封止層の架橋密度を大きくして太陽電池セルの移動を抑制すると、製造時に太陽電池セルと封止層との間に気泡が混入するおそれがあり、太陽電池セルの外観に影響を及ぼすおそれがある。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、太陽電池セルの破損を抑制し、外観の良好な太陽電池モジュールを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の態様に係る太陽電池モジュールは、複数の太陽電池セルと、太陽電池セルの受光面側に設けられた第1保護樹脂層と、を備える。また、太陽電池モジュールは、太陽電池セルの受光面とは反対側に設けられた第2保護樹脂層と、第1保護樹脂層と第2保護樹脂層との間に設けられ、太陽電池セルを封止する封止層と、を備える。そして、封止層の120℃での貯蔵弾性率が0.1MPa以上であり、封止層のゲル分率が0質量%超75質量%以下である。
本開示によれば、太陽電池セルの破損を抑制し、外観の良好な太陽電池モジュールを提供することができる。
以下、図面を用いて本実施形態に係る太陽電池モジュールについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
図1は、本実施形態に係る太陽電池モジュール100の一例を示す平面図である。図1に示すように、太陽電池モジュール100は、太陽電池ストリング16を備えている。隣接する太陽電池ストリング16は、コネクタ14によって互いに電気的に接続されている。また、太陽電池ストリング16は、太陽電池セル10と、コネクタ12と、を備えている。
図1では、一方向に並んで配置される5つの太陽電池セル10が、コネクタ12によって直列に接続されることで、1つの太陽電池ストリング16が形成されている。また、図1では、5つの太陽電池セル10が接続される方向に対して略垂直方向において、一方向に略平行に並んで配置される4つの太陽電池ストリング16が、コネクタ14によって電気的に接続されている。ただし、太陽電池セル10の数及び太陽電池ストリング16の数は、このような実施形態に限定されない。
図2は、図1に示す太陽電池モジュール100のA−A線における断面図である。図2に示すように、太陽電池モジュール100は、複数の太陽電池セル10と、第1保護樹脂層20と、第2保護樹脂層30と、封止層40と、を備えている。以下、各構成要素について詳細に説明する。
<太陽電池セル>
太陽電池セル10は、光起電力効果により、照射された光を、電気エネルギーに変換することができる。太陽電池セル10は、公知のものを使用することができ、受光面と、受光面とは反対側の裏面とを有していてもよい。受光面は、太陽電池セル10が主に光を受光する面であり、裏面よりも単位面積当たりの受光量が多い面である。太陽電池セル10の形状は特に限定されず、例えば平面状であってもよく、面方向に対して垂直方向に湾曲していてもよい。
太陽電池セル10は、光起電力効果により、照射された光を、電気エネルギーに変換することができる。太陽電池セル10は、公知のものを使用することができ、受光面と、受光面とは反対側の裏面とを有していてもよい。受光面は、太陽電池セル10が主に光を受光する面であり、裏面よりも単位面積当たりの受光量が多い面である。太陽電池セル10の形状は特に限定されず、例えば平面状であってもよく、面方向に対して垂直方向に湾曲していてもよい。
太陽電池セル10には、例えば、シリコン系太陽電池、化合物系太陽電池、及び有機系太陽電池などが含まれる。シリコン系太陽電池には、例えば、単結晶シリコン系太陽電池、多結晶シリコン系太陽電池、微結晶シリコン系太陽電池、及びアモルファスシリコン系太陽電池などが含まれる。化合物系太陽電池には、GaAs系太陽電池、CIS系太陽電池、CIGS系太陽電池、及びCdTe系太陽電池などが含まれる。また、有機系太陽電池には、色素増感太陽電池、及び有機薄膜太陽電池などが含まれる。また、太陽電池セル10には、ヘテロ接合型太陽電池及び多接合型太陽電池などが含まれる。
図2に示すように、複数の太陽電池セル10の内、隣接する太陽電池セル10は、コネクタ12によって互いに接続されている。具体的には、隣接する太陽電池セル10の内、一方の太陽電池セル10の受光面側と、他方の太陽電池セル10の裏面とが、コネクタ12によって互いに電気的に接続されている。
太陽電池セル10は、図示しない、互いに略平行に延びる複数のフィンガー電極と、フィンガー電極に略垂直方向に延びる複数のバスバー電極と、を含む集電電極を備えていてもよい。本実施形態では、隣接した太陽電池セル10の内、一方の太陽電池セル10の受光面側のバスバー電極と、他方の太陽電池セル10の裏面側のバスバー電極とが、コネクタ12により電気的に接続されている。
コネクタ12及びコネクタ14は、隣接する太陽電池セル10又は隣接する太陽電池ストリング16を互いに電気的に接続するものであれば、形状や材料は特に限定されず、例えば、細長い金属箔により形成されていてもよい。コネクタ12を構成する材料は、例えば、銅などの金属であることが好ましい。コネクタ12は、銅などの金属を被覆する被覆層を有していてもよい。被覆層は、ハンダ又は銀などで構成されていてもよい。
コネクタ12とバスバー電極との接続には樹脂を使用することができる。この樹脂は導電性、非導電性いずれでもよい。樹脂が非導電性の場合には、コネクタ12とバスバー電極とが直接接続されることで電気的に接続される。また、コネクタ12とバスバー電極との接続には、樹脂ではなくハンダを使用してもよい。
<第1保護樹脂層>
第1保護樹脂層20は、太陽電池セル10の受光面側に設けられている。第1保護樹脂層20は、太陽電池モジュール100の受光面側の表面を保護することができる。第1保護樹脂層20は、太陽電池モジュール100の受光面側の最表面に設けられていてもよいが、第1保護樹脂層20のさらに受光面側の表面に他の層を設けてもよい。
第1保護樹脂層20は、太陽電池セル10の受光面側に設けられている。第1保護樹脂層20は、太陽電池モジュール100の受光面側の表面を保護することができる。第1保護樹脂層20は、太陽電池モジュール100の受光面側の最表面に設けられていてもよいが、第1保護樹脂層20のさらに受光面側の表面に他の層を設けてもよい。
第1保護樹脂層20は、樹脂により構成されている。そのため、ガラスを用いた場合と比較して、太陽電池モジュール100が軽量化されている。したがって、太陽電池モジュール100を取り付ける屋根などの設置部にかかる負荷を軽減することができ、太陽電池モジュール100が適用される範囲を広くすることができる。
第1保護樹脂層20の全光線透過率は、80%〜100%であることが好ましく、85%〜100%であることがより好ましい。第1保護樹脂層20の全光線透過率をこのような範囲とすることにより、光を効率よく太陽電池セル10へ到達させることができる。全光線透過率は、例えばJIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第1部:シングルビーム法)などの方法により測定することができる。
第1保護樹脂層20を構成する樹脂には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、並びに、ポリカーボネート(PC)、非晶ポリアリレート、ポリアセタール(POM)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン並びに変性ポリフェニレンエーテルなどからなる群より選択される少なくとも1つの樹脂が含まれていることが好ましい。これらの中でも、耐衝撃性及び透光性に優れるため、第1保護樹脂層20を構成する樹脂は、ポリカーボネート(PC)であることがより好ましい。
第1保護樹脂層20の引張弾性率は、1.0GPa以上10.0GPa以下であることが好ましく、2.0GPa以上5.0GPa以下であることがより好ましく、2.3GPa以上2.5GPa以下であることがさらに好ましい。第1保護樹脂層20の引張弾性率がこのような範囲であることにより、太陽電池モジュール100を異物の衝突などから適切に保護することができる。なお、本明細書において、引張弾性率は、例えば、日本工業規格JIS K7161−1(プラスチック−引張特性の求め方−第1部:通則)に従って、試験温度25℃、試験速度100mm/分で測定することができる。
第1保護樹脂層20の線膨張率は、封止層40の線膨張率よりも小さいことが好ましい。なお、線膨張率は、日本工業規格JIS K7197:2012(プラスチックの熱機械分析による線膨脹率試験方法)に従って測定することができる。
第1保護樹脂層20の厚さは、0.1mm〜100mmであることが好ましく、0.1mm〜50mmであることがより好ましく、0.5mm〜10mmであることがさらに好ましい。このような範囲とすることによって、太陽電池モジュール100を衝突物などから保護することができるとともに、光を太陽電池セル10まで効率よく到達させることができる。
<第2保護樹脂層>
第2保護樹脂層30は、太陽電池セル10の受光面とは反対側に設けられている。第2保護樹脂層30は、太陽電池モジュール100の受光面とは反対側(裏面側)に設けられ、太陽電池モジュール100の裏面側を保護することができる。第2保護樹脂層30は、太陽電池モジュール100の裏面側の最表面に設けられていてもよいが、第2保護樹脂層30のさらに裏面側の外側に他の層を設けてもよい。
第2保護樹脂層30は、太陽電池セル10の受光面とは反対側に設けられている。第2保護樹脂層30は、太陽電池モジュール100の受光面とは反対側(裏面側)に設けられ、太陽電池モジュール100の裏面側を保護することができる。第2保護樹脂層30は、太陽電池モジュール100の裏面側の最表面に設けられていてもよいが、第2保護樹脂層30のさらに裏面側の外側に他の層を設けてもよい。
第2保護樹脂層30は、樹脂により構成されている。そのため、金属などを用いた場合と比較して、太陽電池モジュール100が軽量化されている。したがって、太陽電池モジュール100を取り付ける屋根などの設置部にかかる負荷を軽減することができ、太陽電池モジュール100が適用される範囲を広くすることができる。
第2保護樹脂層30を構成する樹脂には、例えば、ポリイミド(PI)、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及び繊維強化プラスチック(FRP)などからなる群より選択される少なくとも1つの樹脂が含まれていることが好ましい。これらの中でも、強度及び軽量性の観点から、第2保護樹脂層30を構成する樹脂は、繊維強化プラスチック(FRP)であることがより好ましい。
繊維強化プラスチック(FRP)は、例えば、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、アラミド繊維強化プラスチック(AFRP)及びセルロース繊維強化プラスチックなどからなる群より選択される少なくとも1つであること好ましい。これらの中でも、たわみが生じにくく、軽量であるため、第2保護樹脂層30を構成する樹脂は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)であることがさらに好ましい。
第2保護樹脂層30は、ハニカム構造体、発泡体及び多孔質体からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。これらによって、太陽電池モジュール100の剛性を維持しつつ、太陽電池モジュール100を軽量化することができる。
第2保護樹脂層30の厚さは、特に限定されないが、0.1mm〜10mmであることが好ましく、0.2mm〜5.0mmであることがより好ましい。このような範囲とすることによって、第2保護樹脂層30のたわみを抑制し、太陽電池モジュール100をより軽量化することができる。
第2保護樹脂層30の引張弾性率は特に限定されないが、1GPa以上50GPa以下であることが好ましく、20GPa以上30GPa以下であることがより好ましい。第1保護樹脂層20の引張弾性率がこのような範囲であることにより、太陽電池モジュール100の剛性を高めることができる。
第2保護樹脂層30の線膨張率は、第1保護樹脂層20の線膨張率よりも小さいことが好ましい。また、第2保護樹脂層30の線膨張率は、封止層40の線膨張率よりも小さいことが好ましい。具体的には、第2保護樹脂層30の線膨張率は、70×10−6K−1以下であることが好ましく、50×10−6K−1以下であることがより好ましく、20×10−6K−1以下であることがさらに好ましい。
<封止層>
封止層40は、第1保護樹脂層20と第2保護樹脂層30との間に設けられ、太陽電池セル10を封止している。封止層40は、外部の衝撃などから太陽電池セル10を保護している。封止層40は、第1保護樹脂層20と直接接触していてもよく、接着層などを含む他の層を介して第1保護樹脂層20と接着していてもよい。また、封止層40は、第2保護樹脂層30と直接接触していてもよく、接着層などを含む他の層を介して第2保護樹脂層30と接着していてもよい。
封止層40は、第1保護樹脂層20と第2保護樹脂層30との間に設けられ、太陽電池セル10を封止している。封止層40は、外部の衝撃などから太陽電池セル10を保護している。封止層40は、第1保護樹脂層20と直接接触していてもよく、接着層などを含む他の層を介して第1保護樹脂層20と接着していてもよい。また、封止層40は、第2保護樹脂層30と直接接触していてもよく、接着層などを含む他の層を介して第2保護樹脂層30と接着していてもよい。
図2に示すように、封止層40は、太陽電池セル10の受光面側に配置された第1封止層42と、受光面と反対側に配置された第2封止層44とを含んでいてもよい。第1封止層42及び第2封止層44は同じ材料により形成されていてもよいが、異なる材料により形成されていてもよい。
本実施形態では、封止層40の120℃での貯蔵弾性率が0.1MPa以上であり、封止層40のゲル分率が0質量%超75質量%以下である。そのため、太陽電池モジュール100が高温になった場合であっても、クリープ現象が抑制され、太陽電池セル10の位置ずれが生じにくくなる。また、製造時において、太陽電池セル10と封止層40との間に気泡が入りにくく、太陽電池セル10と封止層40との接着性が良好である。
ここで、従来の封止層140と、本実施形態に係る上記特性を有する封止層40との違いについて説明する。図3は、従来の封止層140の架橋状態を説明する模式図である。また、図4は、本実施形態に係る封止層40の架橋状態を説明する模式図である。
図3に示すように、従来使用されているエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)で構成された封止層140は、一般的に、架橋されて太陽電池モジュール100に用いられている。加熱によって架橋する場合には、封止層140は、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)と、有機過酸化物などの架橋剤と、トリアリルイソシアヌレートなどに代表される架橋助剤と、を有している。このような封止層140は、熱によって、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)から酢酸イオンが脱離した箇所が架橋点となって、網目構造が形成されると推定される。
従来の封止層140では、封止層140の架橋密度が均一であり、架橋点同士を繋ぐ直鎖状の炭化水素が比較的長い。そのため、架橋反応を促進させ、封止層140のゲル分率を高くした場合であっても、封止層140の貯蔵弾性率はそれほど高くなりにくい。また、封止層140の接着性を向上させるため、架橋反応を抑制し、ゲル分率を低下させると、封止層140の貯蔵弾性率はさらに低下してしまう。そのため、従来の封止層140では、120℃での貯蔵弾性率が0.1MPa未満か、又は、ゲル分率が75質量%を超えていると推定される。
一方、本実施形態では、例えば、加熱でなく、電子線(EB)などの放射線を照射して封止層40が架橋されている。そのため、封止層40を構成する材料を、例えばEVAとした場合には、図4に示すように、酢酸イオンが脱離した箇所だけでなく、直鎖状の炭化水素にもラジカルが発生し、架橋点が形成されると考えられる。したがって、本実施形態に係る封止層40では、従来の封止層140と比較して、架橋点同士の間の距離が短くなっており、架橋密度の高い高架橋領域40aが形成されていると推測される。
また、封止層40を、例えば電子線を照射して架橋した場合、電子線は、封止層40における様々な箇所でラジカルを発生させ、小さな核となる高架橋領域40aを生成していると推定される。そのため、封止層40は、図4に示すように、高い密度で架橋された高架橋領域40aと、分子間の架橋密度が小さい低架橋領域40bと、を含んでいると推定される。
したがって、本実施形態の封止層40は、高架橋領域40aを有することから、封止層40の120℃での貯蔵弾性率は0.1MPa以上となっていると推測される。また、本実施形態の封止層40は、低架橋領域40bを有することから、封止層40のゲル分率は0質量%超75質量%以下となっていると推測される。従来のような熱によって架橋させるタイプの封止層140では、架橋のメカニズムが異なるため、本実施形態のような封止層40のように、貯蔵弾性率及びゲル分率を上記範囲とすることが困難であることが予想される。
本実施形態では、封止層40における、120℃での貯蔵弾性率が0.1MPa以上であるため、太陽電池モジュール100が高温になった場合であっても、クリープ現象が抑制され、太陽電池セル10の位置ずれが生じにくくなる。そのため、高温時に隣接する太陽電池セル10同士が接触して破損したり、コネクタ12が座屈又は破断したりするのを抑制することができる。なお、封止層40における、120℃での貯蔵弾性率が0.12MPa以上であることが好ましく、0.15MPa以上であることがより好ましい。なお、封止層40における、120℃での貯蔵弾性率が0.3MPa以下であることが好ましく、0.2MPa以下であることがより好ましい。
貯蔵弾性率は、回転式レオメータを用いて、動的粘弾性を測定することにより得ることができる。貯蔵弾性率は、複素弾性率の実数部分であり、荷重サイクルを通じて蓄積される最大エネルギーに比例し、粘弾性材料の剛性を表す。複素弾性率は、粘弾性材料に正弦波振動を加えた場合の動的ひずみε(t)に対する動的応力σ(t)の比である。なお、動的ひずみε(t)はε(t)=εAexp{i(2πft−δ)}で表され、動的応力σ(t)はσ(t)=σAexp(i2πft)で表される。なお、上記式において、εAはひずみの振幅、σAは応力の振幅、fは周波数、tは時間、δは応力とひずみとの間の位相角である。
また、本実施形態では、封止層40のゲル分率が0質量%超75質量%以下であるため、太陽電池セル10と封止層40との接着性が良好であり、太陽電池セル10と封止層40との間に気泡が混入するのを抑制することができる。なお、封止層40のゲル分率は、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、50質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。
ゲル分率は、封止層40を構成する材料を、120℃のトルエンに4時間浸漬した場合における、浸漬前の乾燥質量に対する抽出不溶分の乾燥質量の百分率である。抽出不溶分は、120℃のトルエンに4時間浸漬する前の質量からトルエンに浸漬した後の質量を差し引いた値である。すなわち、ゲル分率(質量%)は、(ゲル分率)=((浸漬前の質量)−(浸漬後の質量))/(浸漬前の質量)×100によって算出することができる。
封止層40の貯蔵弾性率及びゲル分率が上記範囲内となるよう、放射線を封止層40に照射することが好ましい。また、放射線のなかでも電子線が好ましく、封止層40は、電子線を照射することにより架橋されていることが好ましい。上述したように、封止層40に放射線などの電子線を照射することにより、封止層40を構成する材料の一部が電離し、電離した各部位を中心として高架橋領域40aが形成される。高架橋領域40aは、それほど大きく成長しないことから、封止層40は、高架橋領域40aと低架橋領域40bとを有し、上記貯蔵弾性率及びゲル分率の範囲とすることができる。
電子線は、公知の電子線照射装置を用いて照射することができる。電子線照射装置は、例えば、熱電子をフィラメントから発生させて加速させる加速部を備えている。
電子線の照射線量は、30kGy〜300kGyであることが好ましく、50kGy〜100kGyであることがより好ましい。電子線の照射線量をこのような範囲とすることにより、貯蔵弾性率とゲル分率とのバランスに優れた封止層40を形成することができる。
電子線の加速電圧は、封止層40の厚さにもよるが、50keV〜1000keVであることが好ましく、100keV〜750keVであることがより好ましい。封止層40の架橋密度を、第1保護樹脂層20と第2保護樹脂層30の積層方向において均一にする場合、加速電圧は大きい方が好ましい。一方、封止層40の架橋密度を、上記垂直方向において不均一にする場合、加速電圧を低くすると、封止層40の照射面側の架橋密度を高く、照射面とは反対面側の架橋密度を低くすることができる。
図5は、電子線の加速電圧を調節し、封止層40の架橋密度を、第1保護樹脂層20と第2保護樹脂層30の積層方向において不均一にした場合の例を示す模式的な断面図である。図5に示すように、封止層40は、第1保護樹脂層20と第2保護樹脂層30の積層方向において、第1保護樹脂層20及び第2保護樹脂層30の少なくともいずれか一方側の架橋密度よりも、太陽電池セル10側の架橋密度の方が低いことが好ましい。
図5のように、封止層40における太陽電池セル10側の架橋密度が低いと、太陽電池セル10と封止層40との接着性が向上するため好ましい。また、封止層40における第1保護樹脂層20及び第2保護樹脂層30の少なくともいずれか一方の側の架橋密度が高いと、封止層40が、第1保護樹脂層20及び第2保護樹脂層30の少なくともいずれか一方に追従して熱伸縮が抑制される。そのため、太陽電池モジュール100が高温になった場合であっても、クリープ現象がより抑制され、太陽電池セル10の位置ずれが生じにくくなる。
封止層40の厚さは、特に限定されないが、0.1mm以上10mm以下であることが好ましく、0.2mm以上1.0mm以下であることがより好ましい。このような範囲とすることによって、太陽電池セル10を適切に保護し、光を太陽電池セル10に効率よく到達させることができる。
封止層40の引張弾性率は、特に限定されないが、第1保護樹脂層20の引張弾性率よりも小さいことが好ましい。また、封止層40の引張弾性率は、第2保護樹脂層30の引張弾性率よりも小さいことが好ましい。具体的には、封止層40の引張弾性率は0.005GPa以上1.0GPa未満であることが好ましく、0.01GPa以上0.5GPa未満であることがより好ましい。封止層40の引張弾性率をこのような範囲とすることによって、外部の衝撃などから太陽電池セル10を保護することができる。
封止層40の全光線透過率は特に限定されないが、60%〜100%であることが好ましく、70%〜100%であることがより好ましく、80%〜100%であることがさらに好ましい。封止層40の全光線透過率をこのような範囲とすることにより、光を効率よく太陽電池セル10へ到達させることができる。全光線透過率は、例えば、JIS K7361−1などの方法により測定することができる。
封止層40を構成する材料には、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及びゲルからなる群より選択される少なくとも1つの樹脂が含まれることが好ましい。これらの樹脂は、変性樹脂であってもよく、未変性樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂には、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、オレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリイミド(PI)からなる群より選択される少なくとも1つの樹脂が含まれることが好ましい。熱硬化性樹脂には、例えば、エポキシ、ウレタン及びポリイミドからなる群より選択される少なくとも1つの樹脂が含まれることが好ましい。ゲルには、例えば、シリコーンゲル、アクリルゲル及びウレタンゲルからなる群より選択される少なくとも1つの樹脂が含まれることが好ましい。
上記樹脂の中でも、太陽電池セル10の保護の観点から、封止層40を構成する材料は、熱可塑性樹脂であることがより好ましく、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びオレフィン系樹脂の少なくともいずれか一方であることがさらに好ましい。
オレフィン系樹脂には、例えば、ポリオレフィン及びオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)などが含まれる。オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)は、ポリオレフィンと通常のゴムとのブレンドからなる。オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)におけるゴム相は架橋点がないか又はほとんどないものであってもよい。
ポリオレフィンには、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン若しくは1−デセンなどのα−オレフィンの単独重合体、又はこれらの共重合体が含まれる。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)に用いられるゴムには、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)及びエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などが含まれる。
上記の通り、封止層40は、電子線を照射することにより架橋されていることが好ましい。電子線を照射する場合、封止層40は、熱硬化する場合に使用するような架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤及び光重合開始剤などを含んでいる必要がない。
架橋剤には、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどの有機過酸化物が含まれる。架橋助剤には、例えば、トリアリルイソシアヌレートなどのビニル基を有する多官能モノマーが含まれる。シランカップリング剤には、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリロキシ系シランカップリング剤が含まれる。光重合開始剤には、紫外線硬化(UV硬化)する場合に使用するような、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤及び光アニオン重合開始剤などが含まれる。
次に、本実施形態に係る太陽電池モジュール100の製造方法について説明する。太陽電池モジュール100は、例えば、ヒーター上に、第1保護樹脂層20、第1封止層42、太陽電池セル10、第2封止層44及び第2保護樹脂層30が上から順番に積層される。そして、この積層体は、ラミネート装置などで、例えば真空状態でヒーター側に各層を押し付けながら加熱して貼り合わせる。
ここで、従来の太陽電池モジュール100の製造方法は、ラミネート装置などで加熱して各層を貼り合わせると同時に、封止層を構成する材料を架橋させている。しかしながら、第1保護樹脂層20が樹脂により構成されていると、高温で積層体を加熱した後に冷却した場合、第1保護樹脂層20が、反り及びうねりによって変形してしまい、太陽電池モジュール100の外観を損なうおそれがある。例えば、ポリカーボネートの軟化点は130℃〜140℃であり、一般的な封止層の架橋温度は150℃程度であるため、封止層を架橋させるためには、軟化点よりも高い温度で加熱する必要がある。
一方、本実施形態に係る太陽電池モジュール100では、例えば、電子線を照射して架橋された封止層40を積層した後、ラミネート装置などによって加熱して貼り合わせることができる。この時、封止層40は、既に架橋されているため、150℃のような高い温度に加熱する必要がない。そのため、第1保護樹脂層20を構成する樹脂の軟化点よりも低い温度でラミネートすることができ、室温に冷却した後であっても、第1保護樹脂層20の変形を抑制することができる。
さらに、電子線を照射した後においては、封止層40のゲル分率が0質量%超75質量%以下である。そのため、太陽電池セル10と封止層40との接着性も良好であり、貼り合わせの際に、太陽電池セル10と封止層40との間に気泡などが混入するおそれも低減することができる。
以上の通り、本実施形態に係る太陽電池モジュール100は、複数の太陽電池セル10と、太陽電池セル10の受光面側に設けられた第1保護樹脂層20と、を備える。また、太陽電池モジュール100は、太陽電池セル10の受光面とは反対側に設けられた第2保護樹脂層30と、第1保護樹脂層20と第2保護樹脂層30との間に設けられ、太陽電池セル10を封止する封止層40と、を備える。そして、封止層40の120℃での貯蔵弾性率が0.1MPa以上であり、封止層40のゲル分率が0質量%超75質量%以下である。
また、本実施形態に係る太陽電池モジュール100では、貯蔵弾性率及びゲル分率が上記範囲内にある封止層40を備える。そのため、太陽電池モジュール100が高温になった場合であっても、クリープ現象が抑制され、太陽電池セル10の位置ずれが生じにくくなる。そのため、高温時に隣接する太陽電池セル10同士が接触して破損したり、コネクタ12が座屈又は破断したりするのを抑制することができる。また、太陽電池セル10と封止層40との接着性が良好であり、製造時に太陽電池セル10と封止層40との間に気泡が混入するのを抑制することができる。
本実施形態では、加熱により封止層を架橋するのではなく、電子線などの放射線を封止層40に照射することにより、封止層40の貯蔵弾性率とゲル分率とを上記範囲に調節している。そのため、従来のように、封止層40を加熱によって架橋する必要がなくなるため、第1保護樹脂層20の変形を抑制することができる。したがって、太陽電池モジュール100は、太陽電池セル10の破損を抑制し、外観が良好である。
なお、本実施形態の太陽電池モジュール100は、建物や移動体の屋根などの上に取り付けられていてもよい。このとき、屋根の形状に適合するよう、太陽電池モジュール100は曲面形状であってもよい。また、第1保護樹脂層20は受光面側に向かって突出して湾曲した形状をしていてもよい。太陽電池モジュール100及び第1保護樹脂層20は、例えば、受光面側に向かって突出した弓形状であってもよい。
上記の通り、本実施形態に係る太陽電池モジュール100は、移動体に搭載されていてもよい。具体的には、本実施形態の移動体は、太陽電池モジュール100を備えていてもよい。移動体としては、例えば、自動車等の車両、電車、又は船舶等などが挙げられる。本実施形態の太陽電池モジュール100は、自動車に搭載される場合、ボンネットや屋根などの自動車本体の上面部分に設置されることが好ましい。いずれの移動体も、本実施形態の太陽電池モジュール100により発電して得られた電流が、ファン及びモーターなどの電気機器に供給され、当該電気機器の駆動及び制御に使用される。
以下、本実施形態を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
1mm厚のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)により構成されたシートに、加速電圧を750keVかつ照射線量を50kGyとして電子線(EB)を照射し、封止層を作製した。なお、電子線は、株式会社NHVコーポレーション社製のEPS−750を用いて照射した。
1mm厚のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)により構成されたシートに、加速電圧を750keVかつ照射線量を50kGyとして電子線(EB)を照射し、封止層を作製した。なお、電子線は、株式会社NHVコーポレーション社製のEPS−750を用いて照射した。
次に、1mm厚の第1保護樹脂層、上記のように作製された封止層、太陽電池ストリング、上記のように作製された封止層、2mm厚の第2保護樹脂層を上から順に積層して120℃で圧縮して加熱することにより太陽電池モジュールを作製した。なお、第1保護樹脂層及び第2保護樹脂層として、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた。太陽電池ストリングは、太陽電池セル同士をコネクタで電気的に接続することにより形成した。また、電子線の照射側が、太陽電池セルに対して第1保護樹脂層側又は第2保護樹脂層側となるように、封止層を積層した。
[実施例2]
照射線量を100kGyに変更した以外は、実施例1と同様にして封止層を作製した。
照射線量を100kGyに変更した以外は、実施例1と同様にして封止層を作製した。
[実施例3]
加速電圧を200keVかつ照射線量を50kGyに変更した以外は、実施例1と同様にして封止層を作製した。
加速電圧を200keVかつ照射線量を50kGyに変更した以外は、実施例1と同様にして封止層を作製した。
[実施例4]
加速電圧を200keVかつ照射線量を100kGyに変更した以外は、実施例1と同様にして封止層を作製した。
加速電圧を200keVかつ照射線量を100kGyに変更した以外は、実施例1と同様にして封止層を作製した。
[実施例5]
加速電圧を200keVかつ照射線量を200kGyに変更した以外は、実施例1と同様にして封止層を作製した。
加速電圧を200keVかつ照射線量を200kGyに変更した以外は、実施例1と同様にして封止層を作製した。
[比較例1]
電子線を照射せず、実施例1で使用した1mm厚のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)により構成されたシートをそのまま使用した。
電子線を照射せず、実施例1で使用した1mm厚のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)により構成されたシートをそのまま使用した。
[比較例2]
照射線量を300kGyに変更した以外は、実施例1と同様にして封止層を作製した。
照射線量を300kGyに変更した以外は、実施例1と同様にして封止層を作製した。
[比較例3]
電子線の照射に代え、シートを165℃で60分間加熱した以外は、実施例1と同様にして封止層を作製した。
電子線の照射に代え、シートを165℃で60分間加熱した以外は、実施例1と同様にして封止層を作製した。
[比較例4]
電子線の照射に代え、シートを165℃で10分間加熱した以外は、実施例1と同様にして封止層を作製した。
電子線の照射に代え、シートを165℃で10分間加熱した以外は、実施例1と同様にして封止層を作製した。
[比較例5]
オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)に代えてエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を使用した。また、電子線の照射に代え、シートを165℃で60分間加熱した。上記以外は、実施例1と同様にして封止層を作製した。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)に代えてエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を使用した。また、電子線の照射に代え、シートを165℃で60分間加熱した。上記以外は、実施例1と同様にして封止層を作製した。
上記の通り作製した封止層について、以下の通り評価した。各例の詳細と評価結果を表1に示す。
[評価]
(貯蔵弾性率)
貯蔵弾性率M’は、回転式レオメータ(株式会社ティー・エイ・インスツルメント・社製 AR2000)を用い、以下の条件にて動的粘弾性を測定した。
試料:上記の通り作製した封止層からくり抜いた直径20mmかつ厚さ1.0mmのシート
治具:直径20mmの平行円板
測定温度:120℃
周波数:6rad/s
(貯蔵弾性率)
貯蔵弾性率M’は、回転式レオメータ(株式会社ティー・エイ・インスツルメント・社製 AR2000)を用い、以下の条件にて動的粘弾性を測定した。
試料:上記の通り作製した封止層からくり抜いた直径20mmかつ厚さ1.0mmのシート
治具:直径20mmの平行円板
測定温度:120℃
周波数:6rad/s
(接着性)
上記の通り作製した太陽電池モジュールを目視にて観察し、封止層と太陽電池セルとが、気泡が混入しておらず外観も良好な場合を「A」、気泡が混入していないが少し白濁している場合を「B」、気泡が混入している場合を「C」として評価した。
上記の通り作製した太陽電池モジュールを目視にて観察し、封止層と太陽電池セルとが、気泡が混入しておらず外観も良好な場合を「A」、気泡が混入していないが少し白濁している場合を「B」、気泡が混入している場合を「C」として評価した。
(ゲル分率)
ゲル分率は、上記の通り作製した封止層を、120℃のトルエンに4時間浸漬した場合における、浸漬前の乾燥質量に対する抽出不溶分の乾燥質量の百分率である。具体的には、ゲル分率(質量%)は、(ゲル分率)=((浸漬前の質量)−(浸漬後の質量))/(浸漬前の質量)×100によって算出して求めた。
ゲル分率は、上記の通り作製した封止層を、120℃のトルエンに4時間浸漬した場合における、浸漬前の乾燥質量に対する抽出不溶分の乾燥質量の百分率である。具体的には、ゲル分率(質量%)は、(ゲル分率)=((浸漬前の質量)−(浸漬後の質量))/(浸漬前の質量)×100によって算出して求めた。
(クリープ)
クリープは、JIS C8990:2009(IEC61215:2005)(地上設置の結晶シリコン太陽電池(PV)モジュール−設計適格性確認及び形式認証のための要求事項)の温度サイクル試験に準じ、以下の条件で実施した試験によって評価した。まず、各例の太陽電池モジュールを試験槽内に設置し、太陽電池モジュールの温度を−40℃±2℃と+85℃±2℃との間で周期的に変化させた。このような温度サイクル試験を200サイクル行った後、太陽電池セルを目視で確認し、太陽電池セルが、割れていない場合を「A」、割れていないが隣接する太陽電池セルと接触している場合を「B」、割れている場合を「C」として評価した。なお、下限と上限との間の温度変化速度を約1.4℃/時間、下限温度の保持時間を60分、上限温度の保持時間を1時間20分とし、1サイクルの時間を5時間20分とした。また、温度サイクル試験は少なくとも3回実施した。
クリープは、JIS C8990:2009(IEC61215:2005)(地上設置の結晶シリコン太陽電池(PV)モジュール−設計適格性確認及び形式認証のための要求事項)の温度サイクル試験に準じ、以下の条件で実施した試験によって評価した。まず、各例の太陽電池モジュールを試験槽内に設置し、太陽電池モジュールの温度を−40℃±2℃と+85℃±2℃との間で周期的に変化させた。このような温度サイクル試験を200サイクル行った後、太陽電池セルを目視で確認し、太陽電池セルが、割れていない場合を「A」、割れていないが隣接する太陽電池セルと接触している場合を「B」、割れている場合を「C」として評価した。なお、下限と上限との間の温度変化速度を約1.4℃/時間、下限温度の保持時間を60分、上限温度の保持時間を1時間20分とし、1サイクルの時間を5時間20分とした。また、温度サイクル試験は少なくとも3回実施した。
表1に示す通り、実施例1〜実施例5では、貯蔵弾性率及びゲル分率が所定の範囲内であるため、接着性及びクリープ特性が良好であった。一方、比較例1〜比較例5では、貯蔵弾性率又はゲル分率が所定の範囲外であるため、接着性又はクリープ特性のいずれかが良好な結果とならなかった。
また、実施例1及び実施例2で作製した封止層をトルエンに浸漬したところ、これらの封止層は、第1保護樹脂層側及び第2保護樹脂層側と、太陽電池セル側とで、膨潤の程度の差が確認できなかった。一方、実施例3〜実施例5で作製した封止層をトルエンに浸漬したところ、これらの封止層は、第1保護樹脂層側及び第2保護樹脂層側よりも、太陽電池セル側の方が膨潤した。すなわち、実施例3〜実施例5では、電子線の加速電圧を200keV以下に設定しているため、封止層において、第1保護樹脂層側及び第2保護樹脂層側の架橋密度よりも、太陽電池セル側の架橋密度の方が低くなっていると考えられる。そのため、実施例3〜5は、実施例1及び実施例2と比較し、接着性及びクリープ特性にさらに優れている。
以上、本実施形態を実施例によって説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
10 太陽電池セル
20 第1保護樹脂層
30 第2保護樹脂層
40 封止層
100 太陽電池モジュール
20 第1保護樹脂層
30 第2保護樹脂層
40 封止層
100 太陽電池モジュール
Claims (3)
- 複数の太陽電池セルと、
前記太陽電池セルの受光面側に設けられた第1保護樹脂層と、
前記太陽電池セルの受光面とは反対側に設けられた第2保護樹脂層と、
前記第1保護樹脂層と前記第2保護樹脂層との間に設けられ、前記太陽電池セルを封止する封止層と、
を備え、
前記封止層の120℃での貯蔵弾性率が0.1MPa以上であり、前記封止層のゲル分率が0質量%超75質量%以下である、太陽電池モジュール。 - 前記封止層は電子線を照射することにより架橋されている、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
- 前記封止層は、前記第1保護樹脂層と前記第2保護樹脂層の積層方向において、前記第1保護樹脂層及び前記第2保護樹脂層の少なくともいずれか一方側の架橋密度よりも、前記太陽電池セル側の架橋密度の方が低い、請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018186697A JP2020057683A (ja) | 2018-10-01 | 2018-10-01 | 太陽電池モジュール |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102021203078A1 (de) | 2020-03-27 | 2021-09-30 | Ngk Insulators, Ltd. | Poröse Keramikstruktur und Verfahren zum Herstellen einer porösen Keramikstruktur |
-
2018
- 2018-10-01 JP JP2018186697A patent/JP2020057683A/ja active Pending
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DE102021203078A1 (de) | 2020-03-27 | 2021-09-30 | Ngk Insulators, Ltd. | Poröse Keramikstruktur und Verfahren zum Herstellen einer porösen Keramikstruktur |
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