JP2015023070A - 太陽電池モジュール、車両用部材、車両 - Google Patents

太陽電池モジュール、車両用部材、車両 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、軽量でありながら且つ剛性に優れ、振動や冷熱変化を受けても故障しにくい太陽電池モジュールを提供することにある。
【解決手段】裏面保護層として、樹脂基板を樹脂と異なる材質の2つの基板で挟んだ積層体を使用し、その樹脂基板を挟む2つの基板の厚みの合計が、裏面保護層の厚みに対して一定の範囲であること、
【選択図】図2

Description

本発明は、太陽電池モジュールに関するものである。また、太陽電池モジュールを用いてなる車両用部材、および太陽電池モジュールを搭載した車両に関する。
近年、省エネルギーと環境問題に対する意識の向上を受けて、太陽光の受光で発電する太陽電池が普及しつつある。それに伴い、太陽電池セルを樹脂やガラスなどの板状のもので挟みこみ発電を行う太陽電池モジュールが多く開発されてきた。
太陽電池モジュールの多くは、太陽光受光面側の表面保護層に厚みのあるガラス板を、また、非太陽光受光面側の裏面保護層に樹脂シートを用いた太陽電池モジュール、あるいは表面保護層/裏面保護層の両方にガラス板を用いた太陽電池モジュール(たとえば、特許文献1)が一般的であった。しかし、太陽電池モジュールを設置する場所によっては、振動が激しい場所があり、そのような振動が激しい場所に設置する場合や、モジュールの表面保護層などに物が当たるなど物理的衝撃が想定される場所に設置する場合には、耐振動性や耐衝撃性が十分ではなかった。
また、太陽電池モジュール自体が非常に重いため、設置する場所によっては、耐荷重の問題が生じ、あるいは車両に取り付ける場合には重量増に伴う移動効率(燃費など)低下の問題が生じ、これらの太陽電池モジュールの適用が困難なケースがあった。
最近では、太陽電池モジュールを軽量化することで、これを建材あるいは車両搭載用途に利用しようとする試みもなされている。例えば、特許文献2及び特許文献3には、表裏保護層に樹脂フィルムを採用した太陽電池モジュールが提案されている。この太陽電池モジュールは建材や車輌搭載用途には適用可能であるが、その際に、太陽電池モジュールの剛性が低すぎるため、運搬、施工時などに過度に折れ曲がってしまい、内部の光電変化層や配線材を損傷してしまうという問題があった。
この課題を解決するために、特許文献4には、樹脂と鋼板を一体化させた太陽電池モジュールが提案されている。しかしながら、この太陽電池モジュールは裏面の鋼板1枚で剛性を出すために重くなりやすい。また、太陽電池モジュールの裏面側のみが高剛性であるため、太陽電池モジュールが上下に振動を受けた際、モジュールが撓んで光電変換層が圧縮および引っ張り応力を受けやすく、光電変換層を損傷してしまうリスクが高いという問題があった。
一方で、特許文献5に記載されているように、表面保護層や裏面保護層などにポリカーボネートのような硬質樹脂シートを用いる技術も知られている。しかしながら、このものは冷熱サイクルを繰り返し受けた際、硬質樹脂シートの熱変形応力で、内部の光電変換層や配線材が損傷してしまうという問題があった。
特開平11−031834号公報 特開平10−070300号公報 特開平10−284745号公報 特開2012−004416号公報 特開平09−092848号公報
上記特許文献1〜5には、車両用部材、とりわけトラックの荷台に設置するのに適した太陽電池モジュールの材質や大きさなどについて言及されていない。本発明者らが検討したところ、これらの太陽電池モジュールは、重量や剛性の面から、振動や冷熱変化を受けやすい場所(例えば、トラック等の車輌の荷台など)では、振動でセルやインターコネクタが損傷を受け、太陽電池モジュールとしての発電効率が低下することがあった。そのため車両用部材として、最適な太陽電池モジュールではなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、軽量でありながら且つ剛性に優れ、振動や冷熱変化を受けても故障しにくい太陽電池モジュールを提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、裏面保護層として、樹脂基板を樹脂と異なる材質の2つの基板で挟んだ積層体を使用し、その樹脂基板を挟む2つの基板の厚みの合計が、裏面保護層の厚みに対して一定の範囲であり、且つ裏面保護層の厚みが特定の範囲であること、好ましくは、その樹脂基板を挟む基板の材質を適切に組み合わせた薄型複合基板とすることで、太陽電池モジュールが設置された後の自重や振動、冷熱変化による撓みや太陽電池モジュールに発生する内部応力を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の[1]〜[9]に存する。
[1]太陽光受光面側から、表面保護層、光電変換層、裏面保護層の順に封止材を介して積層される太陽電池モジュールであって、該裏面保護層は、樹脂基板を該樹脂基板の材料と異なる材質の2枚の基板で挟んだ積層構造を形成しており、該裏面保護層の厚み(Tb)が1mmより大きく4mm未満であり、且つ該裏面保護層の厚み(Tb)と、該裏面保護層中の樹脂基板を挟む2枚の基板の厚み(Ti1、Ti2)が下記式の関係を満足することを特徴とする太陽電池モジュール。
0.1≦(Ti1+Ti2)/Tb≦0.4
[2]前記樹脂基板を挟む2枚の基板の材質が金属を含むことを特徴とする[1]に記載の太陽電池モジュール。
[3]前記裏面保護層の曲げ弾性率が10〜100GPaであることを特徴とする[1]または[2]に記載の太陽電池モジュール。
[4]前記表面保護層と前記光電変換層の間に、線膨張係数が−10〜40ppm/Kの補強層をさらに有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
[5]前記光電変換層と前記裏面保護層との間に、絶縁層を更に有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
[6]前記表面保護層の厚みが0.05mm以上0.3mm以下であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
[7]前記裏面保護層の形状が略矩形状であり、長辺の長さ(L)が、Tbの100〜1000倍の範囲であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の太陽電池モジュールを用いてなる車両用部材。[9][1]〜[7]のいずれかに記載の太陽電池モジュールを搭載した車両。
本発明によれば、軽量でありながら、剛性に優れ、振動や冷熱変化を受けても故障しにくい太陽電池モジュールを得ることができる。また、施工性に優れ、振動や冷熱変化が受けやすくかつ軽量性を求められる場所、特にトラック等の車輌の荷台に設置する場合に非常に適した太陽電池モジュールを提供できる。
本発明の実施例で用いた太陽電池モジュール(a)、(b)を、太陽光受光面側から見た概略図である。 本発明の実施例で用いた太陽電池セルの層構成を示す概略図である。 本発明の実施例で製造した太陽電池モジュールの評価を行う際の境界条件を示す概念図である。 本発明の実施例で製造した太陽電池モジュールの評価を行う際の境界条件を示す概念図である。
本発明の太陽電池モジュールの実施の形態について、以下に具体的に説明する。本発明の太陽電池モジュールは、その太陽光受光面側から、表面保護層、光電変換層、裏面保護層の順に封止材を介して積層され、その他の層を適宜含むこともできる。
<表面保護層>
本発明の太陽電池モジュールにおける表面保護層について説明する。
表面保護層は、太陽電池モジュールに機械的強度、耐候性、耐スクラッチ性、耐薬品性、ガスバリア性などを付与するための層である。表面保護層は光電変換層より受光面側に位置するため、光電変換層の光吸収を妨げない観点から、全光線透過率は80%以上が好ましく、より好ましくは90%以上である。全光線透過率の測定方法は、例えば、JIS
K 7361−1によって測定できる。
さらに、太陽電池モジュールは光を受けて熱せられることが多いため、表面保護層も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、表面保護層の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで太陽電池モジュールの使用時に耐候層が融解・劣化する可能性を低減できる。
表面保護層の材質としては、軽量性の観点から樹脂が好適に使用される。表面保護層は樹脂層からなり、樹脂層を形成する樹脂材料は、天候変化から太陽電池素子を保護することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド−イミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
中でも好ましくはフッ素系樹脂が挙げられ、その具体例を挙げるとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3−フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
なお、表面保護層は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、表面保護層は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
表面保護層の厚みは特に規定されないが、一般的には10μm以上、2000μm以下である。特に、耐候性、耐擦傷性、光電変換層に加わる外的衝撃緩和性、軽量性の観点から、通常50μm以上、好ましくは75μm以上、より好ましくは100μm以上であり、また、通常300μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以
下である。
また耐候層には、他のフィルムとの接着性の改良のために、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を行なってもよい。
<光電変換層>
本発明の太陽電池モジュールにおける光電変換層について説明する。
光電変換層は、太陽光受光面側から入射される太陽光に基づき発電を行う素子である。この光電変換層は、光エネルギーを電気エネルギーに変換でき、変換によって得られた電気エネルギーを外部に取り出せるものでありさえすれば良い。
従って、光電変換層としては、一対の電極で、発電層(光電変換層、光吸収層)を挟んだもの、一対の電極で、発電層と他層(バッファ層等)との積層体を挟んだもの、そのようなもの(以下、セルと表記する)を、複数個、直列若しくは/かつ並列接続したものなどを用いることが出来る。
光電変換層の発電層としても様々なものを採用することが出来る。ただし、発電層は、薄膜単結晶シリコン、薄膜多結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、CdTe、Cu−In−(Ge)−Seなどの無機半導体材料、ブラックダイなどの有機色素材料、共役高分子/フラーレンなどの有機半導体材料等からなる層としておくことが好ましいが、発電効率の観点からは薄膜単結晶シリコンあるいは薄膜多結晶シリコンがより好ましい。
例えば、シリコン系太陽電池セルは市販のものでよく、例えば、シャープ社製、Shinsung社製、Sunpower社製、Gintech社製、NeoSolarPower社製、TaiwanSolarEnergy社製、SunriseGrobalSolarEnergy社製、DelSolar社製、デルタ電子社製などの太陽電池セルが挙げられる。また、多接合型光電変換層、HIT光電変換層等を採用してもよい。
なお、さらに高い発電効率を実現するために、発電層の表面又は光電変換層基材に凸凹構造を形成するなど十分な光閉じ込め構造を設けておくことが好ましい。
発電層をアモルファスシリコン層としておけば、可視域での光学吸収係数が大きく、厚さ1μm程度の薄膜でも、太陽光を十分に吸収できる光電変換層を実現できる。しかも、アモルファスシリコンや微結晶シリコン、無機半導体材料、有機色素材料、有機半導体材料は、非結晶質の材料、または結晶性の低い材料であるが故に、変形にも耐性を有している。従って、光電変換層を、発電層としてアモルファスシリコン層を備えたものとしておけば、特に軽量な、変形に対しても或る程度の耐性を有する太陽電池モジュールを実現できることになる。
発電層を無機半導体材料(化合物半導体)層としておけば、発電効率が高い光電変換層を実現することが出来る。なお、発電効率(光電変換効率)の観点からは、発電層を、S、Se、Teなどカルコゲン元素を含むカルコゲナイド系発電層としておくことが好ましく、I−III−VI2族半導体系(カルコパイライト系)発電層としておくことがより好ましく、I族元素としてCuを用いたCu−III−VI2族半導体系発電層、特に、CIS系半導体〔CuIn(Se1−ySy)2;0≦y≦1〕層やCIGS系半導体〔Cu(In1−xGax)(Se1−ySy)2;0<x<1、0≦y≦1〕層としておくことが、望ましい。
発電層として、酸化チタン層及び電解質層などからなる色素増感型発電層を採用しても、発電効率が高い光電変換層を実現することが出来る。
発電層として、有機半導体層(p型の半導体とn型の半導体を含む層)を採用することも出来る。なお、有機半導体層を構成し得るp型の半導体としては、テトラベンゾポルフ
ィリン、テトラベンゾ銅ポルフィリン、テトラベンゾ亜鉛ポリフィリン等のプルフィリン化合物;フタロシアニン、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン等のフタロシアニン化合物;テトラセンやペンタセンのポリアセン;セキシチオフェン等のオリゴチオフェン及びこれら化合物を骨格として含む誘導体が例示できる。さらに、有機半導体層を構成し得るp型の半導体として、ポリ(3−アルキルチオフェン)などを含むポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、ポリトリアリルアミン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール等の高分子等も例示できる。
また、有機半導体層を構成し得るn型の半導体としては、フラーレン(C60、C70、C76);オクタアポフィリン;上記p型半導体のパーフルオロ体;ナフラレンテトラカルボン酸無水物、ナフラレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化合物;及び、これら化合物を骨格として含む誘導体などを例示できる。
また、有機半導体層の具体的な構成例としては、p型半導体とn型半導体が層内で相分離した層(i層)を有するバルクヘテロ接合型、それぞれp型半導体を含む層(p層)とn型半導体を含む層(n層)を積層した積層型(ヘテロpn接合型)、ショットキー型およびそれらの組み合わせを、挙げることが出来る。
光電変換層の各電極は、導電性を有する任意の材料を1種又は2種以上用いて形成することが出来る。電極材料(電極の構成材料)としては、例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属、あるいはそれらの合金;酸化インジウムや酸化錫等の金属酸化物、あるいはその合金(ITO:酸化スズインジウム);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;そのような導電性高分子に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子などのドーパントを含有させたもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料などを例示できる。
電極材料は、正孔又は電子を捕集するのに適した材料としておくことが好ましい。なお、正孔の捕集に適した電極材料(つまり、高い仕事関数を有する材料)としては、Au、Ag、Cu、Al、ITO、IZO、ZnO2等を例示できる。また、電子の捕集に適した電極材料(つまり、低い仕事関数を有する材料)としては、Alを例示できる。
電極の形成方法にも特に制限はない。従って、電極を、真空蒸着、スパッタ等のドライプロセスにより形成することも、導電性インク等を用いたウェットプロセスにより形成することもできる。なお、導電性インクとしては、任意のもの(導電性高分子、金属粒子分散液等)を使用することができる。
光電変換層の各電極は、発電層とほぼ同サイズのものであっても、発電層よりも小さなものであっても良い。ただし、光電変換層の,受光面側の電極を、比較的に大きなもの(その面積が、発電層面積に比して十分に小さくないもの)とする場合には、当該電極を、透明な(透光性を有する)電極、特に、発電層が効率良く電気エネルギーに変換できる波長(例えば、300〜1200nm、好ましくは500nm〜800nm)の光の透過率が比較的に高い(例えば、50%以上)電極、としておくべきである。なお、透明な電極材料としては、ITO、IZO(酸化インジウム−亜鉛酸化物)等の酸化物;金属薄膜などを、例示できる。
また、光電変換層の各電極の厚さ及び発電層の厚さは、必要とされる出力等に基づき、決定することが出来るが、厚すぎると電気抵抗が大きくなり、薄すぎると耐久性が低下する恐れがある。
〔光電変換層基材〕
光電変換層基材は、本発明の太陽電池モジュールの光電変換層に必要に応じて用いられるものであり、その一方の面上に、光電変換層が形成される部材である。従って、光電変換層基材は、機械的強度が比較的に高く、耐候性、耐熱性、耐水性等に優れ、且つ、軽量なものであることが望まれる。また、光電変換層基材は、変形に対して或る程度の耐性を有するものであることも望まれる。一方で形成される光電変換層と材料物性(例えば、線膨張係数、融点など)が著しく異なると形成後の界面で歪や剥離などが生じる恐れがある。
そのため、光電変換層基材としては、金属箔や、融点が85℃以上あるいは融点がない樹脂フィルム、幾つかの金属箔/樹脂フィルムの積層体を採用しておくことが好ましい。
光電変換層基材(又は、その構成要素)として使用し得る金属箔としては、アルミニウム、ステンレス、金、銀、銅、チタン、ニッケル、鉄、それらの合金からなる箔を、例示できる。
また、融点が85℃以上あるいは融点がない樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアセタール、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、これらの共重合体、PVDF、PVFなどのフッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース、ニトリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、アイオノマー、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイミドなどからなるフィルムを、例示できる。また、金属樹脂複合基材の生産性の観点から、樹脂は熱可塑性樹脂が好ましい。なお、発電素子基材として使用する樹脂フィルムは、上記のような樹脂中に、酸化アンチモン、水酸化アンチモン、ホウ酸バリウム、ガラス繊維などの無機物、有機繊維、炭素繊維等を分散させたフィルムであってもよい。
光電変換層基材(又は、その構成要素)として使用する樹脂フィルムの融点が85℃以上であることが好ましい理由は、融点が過度に低いと、太陽電池モジュールの通常の使用環境下で光電変換層基材が変形し、光電変換層にダメージを与える恐れがあるからである。
従って、光電変換層基材(又は、その構成要素)として使用する樹脂フィルムの融点は、100℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましく、150℃以上であることが特に好ましく、180℃以上であることが最も好ましい。
本発明の太陽電池モジュールの光電変換層の熱膨張係数は、特に限定されないが、40ppm/K以下であることが好ましく、更に好ましくは35ppm/K以下であり、特に好ましくは30ppm/K以下である。熱膨張係数の測定方法は、例えば、ASTM D696などによる。熱膨張係数が40ppm/Kを越えると、温度変化に伴う変形が大きいため、加熱・冷却プロセス、あるいは実使用条件下で故障しやすくなる傾向にある。一方下限は特段限定されないが、通常−5ppm/K以上であり、0ppm/K以上であることが好ましい。
<裏面保護層>
本発明の太陽電池モジュールにおける裏面保護層について説明する。
裏面保護層は、樹脂基板をその樹脂基板に使用される材質とは異なる2枚の基板で挟んだ積層構造を形成する。そして、裏面保護層の厚み(Tb)と、該裏面保護層中の樹脂基板を挟む2枚の基板の厚み(Ti1、Ti2)が下記式の関係を満足することを特徴とする。
0.1≦(Ti1+Ti2)/Tb≦0.4
また、本実施態様においては、裏面保護層の厚みを特定の範囲内とすることが好ましく、裏面保護層の厚み(Tb)は、通常1mmより大きく、1.5mm以上がより好ましく、2mm以上が特に好ましい。一方で通常4mm未満、より好ましくは3.5mm以下、特に好ましくは3mm以下である。厚さが小さすぎると太陽電池モジュール全体の剛性が低下し、厚すぎると太陽電池モジュール全体の重量が重くなりすぎる上、太陽電池モジュールが曲げ応力を受けた際に光電変換層に伝わる引張応力の増大をまねく。
裏面保護層に使用される樹脂基板を挟む2つの基板の厚さは、それぞれ通常0.02mm以上、0.1mm以上であることが好ましく、0.15mm以上であることがより好ましい。一方で通常0.5mm以下であり、0.4mm以下であることが好ましく、0.3mm以下であることがより好ましい。厚さが小さすぎると太陽電池モジュール全体の剛性が低下し、厚すぎると太陽電池モジュール全体の重量が重くなりすぎる上、太陽電池モジュールが曲げ応力を受けた際に光電変換層に伝わる引張応力の増大をまねく。この裏面保護層に使用される樹脂基板を挟む2つの基板は、裏面保護層の剛性を担保するための基板であるため、高剛性、高耐熱性であることが重要である。また、樹脂基板を挟む2つの基板は、それぞれ材質や厚みが同一であっても、異なってもよいが、温度変化で変形を来さないため、あるいは外部応力を上下基板で均等分散させる観点から同一材料・同一厚みであることが好ましい。
この材質については、特に制限はないが、ガラス、アルミナ、ジルコニアなどのセラミック類、鉄、ガルバリウム鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、チタン、インバー合金などの金属あるいはこれらを亜鉛メッキしたものなどが好ましいものとして挙げられるが、特に好ましくは、金属を含むものである。その理由として安価で加工性を有し、割れて飛散するリスクがない上、高い剛性を有すること、また熱伝導性が高いため、太陽電池モジュールに熱が溜まり難くなることが挙げられる。特に、アルミニウムは、比重が小さいために太陽電池モジュールの軽量化が図れ、熱伝導性が優れるため、温度上昇に伴う光電変換層の発電効率低下を抑制する効果が高いことから好ましい。これら2つの基板の材質としては1種類で使用しても、異なる2種を使用しても良い。
裏面保護層の樹脂基板の厚さは、通常0.6mm以上、好ましくは0.8mm以上、より好ましくは1.0mm以上である。一方、通常3.5mm以下、好ましくは3mm以下、より好ましくは2.7mm以下である。この厚さが薄すぎると自重で撓みやすくなり、厚すぎると太陽電池モジュールの重量増や大型化による施工性低下や、曲げ応力を受けた際に光電変換層に与える引張応力の増大をまねく恐れがある。なお、この樹脂基板は、上記の2つの基板を接合する接合層としての機能を有し、且つ、裏面保護層の基材としての軽量性を担保するための層であるため、低比重であることが重要である。
樹脂基板の材質としては、通常はポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられるが、エチレン−酢ビ共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、さらには、各種樹脂の混合物等を用いてもよい。所望により樹脂中には各種難燃剤やタルク、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、けい酸カルシウム等の各種フィラー、安定剤、着色剤、架橋剤、発泡剤等を添加してもよい。
また樹脂基板は1種類の樹脂のみを使用する単層でなく2種類以上の樹脂を使用して多層構造として使用することもできる。たとえば中心をなす厚い樹脂シートの両面に薄い接着性を有する樹脂層を積層した3層構造とすることもできる。
本発明の裏面保護層の具体例としては、軽量且つ高剛性の優れた物性を有しているアルポリック(登録商標)(三菱樹脂株式会社製)などが挙げられる。アルポリック(登録商標;三菱樹脂株式会社製)は3層構造を有しており、樹脂層の材質としてポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンが用いられ、樹脂からなる層を挟む金属シートはアルミニウムからなるアルミニウム−ポリオレフィン複合板である。金属−樹脂複合板は公
知の方法に従って、製造することができる。
上記式の裏面保護層Tbと(Ti1、Ti2)との関係は、(Ti1+Ti2)/Tbが0.1〜0.4の範囲であるが、0.15以上であることが好ましく、0.18以上であることがより好ましい。一方、0.3以下であることが好ましく0.25以下であることがより好ましい。(Ti1+Ti2)/Tbの値が小さすぎると太陽電池モジュール全体の剛性が低下し、大きすぎると太陽電池モジュール全体の重量が重くなりすぎる。
裏面保護層の曲げ弾性率は、通常10GPa以上、好ましくは15GPa以上、より好ましくは20GPa以上、最も好ましくは30GPa以上である。一方、通常100GPa以下、好ましくは70GPa以下、より好ましくは60GPa以下、最も好ましくは50GPa以下である。
曲げ弾性率が10GPa未満であると、太陽電池モジュールが搬送中や車載中に振動を受けるなどして曲げ応力を受けた際、光電変換層に引張あるいは圧縮応力がかかりやすくなる。曲げ弾性率が100GPaを超える場合、太陽電池モジュールが局所的に大きな衝撃を受けた場合に裏面保護層あるいは光電変換層などが損傷するリスクが増大する。
<封止材>
本発明の太陽電池モジュールに使用される封止材について説明する。
封止材は、本発明の太陽電池モジュールの構成層(表面保護層、光電変換層、裏面保護層、絶縁層、破損防止層など)を一体化するために用いられるとともに、光電変換層を補強するための構成要素である。光電変換層は薄いため通常は強度が弱く、ひいては太陽電池モジュールの強度が弱くなる傾向があるが、封止材により強度を高く維持することが可能である。
また、封止材は、太陽電池モジュールの強度保持の観点から強度が高いことが好ましい。
具体的強度については、封止材以外の表面保護層や裏面保護層の強度とも関係することになり一概には規定しにくいが、太陽電池モジュール全体が良好な耐久性を有し、長期使用しても内部剥離を生じないような強度を有するのが望ましい。
また、封止材は、光電変換層の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上、中でも好ましくは85%以上、とりわけ好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、その中でも特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
さらに、太陽電池モジュールは光を受けて熱せられることが多いため、封止材も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、封止材の構成材料の融点は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで太陽電池モジュールの使用時に封止材が融解・劣化する可能性を低減できる。
封止材を構成する材料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂組成物をフィルムにしたもの(EVAフィルム)などを用いることができる。EVAフィルムには通常は耐候性の向上のために架橋剤を配合して架橋構造を構成させる。この架橋剤としては、一般に、100℃以上でラジカルを発生する有機過酸化物が用いられる。このような有機過酸化物としては、例えば、2,5−ジメチルヘキサン;2,5−ジハイドロパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;3−ジ−t−ブチルパーオキサイド等を用いることができる。これらの有機過酸化物の
配合量は、EVA樹脂100重量部に対して、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下であり、通常1重量部以上である。なお、架橋剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
このEVA樹脂組成物には、接着力向上の目的で、シランカップリング剤を含有させてもよい。この目的に供されるシランカップリング剤としては、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリクロロシラン;ビニルトリエトキシシラン;ビニル−トリス−(β−メトキシエトキシ)シラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらのシランカップリング剤の配合量は、EVA樹脂100重量部に対して、通常5重量部以下、好ましくは2重量部以下であり、通常0.1重量部以上である。なお、シランカップリング剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
更に、EVA樹脂のゲル分率を向上させ、耐久性を向上するために、EVA樹脂組成物に架橋助剤を含有させてもよい。この目的に供される架橋助剤としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアネート等の3官能の架橋助剤等の単官能の架橋助剤等が挙げられる。これらの架橋助剤の配合量は、EVA樹脂100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下であり、また、通常1重量部以上である。なお、架橋助剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
更に、EVA樹脂の安定性を向上する目的で、EVA樹脂組成物に、例えばハイドロキノン;ハイドロキノンモノメチルエーテル;p−ベンゾキノン;メチルハイドロキノンなどを含有させてもよい。これらの配合量は、EVA樹脂100重量部に対して、通常5重量部以下である。
しかし、EVA樹脂の架橋処理には1〜2時間程度の比較的長時間を要するため、太陽電池モジュールの生産速度および生産効率を低下させる原因となる場合がある。また、長期間使用の際には、EVA樹脂組成物の分解ガス(酢酸ガス)またはEVA樹脂自体が有する酢酸ビニル基が、光電変換層に悪影響を与えて発電効率が低下させる場合がある。そこで、封止材としては、EVAフィルムの他に、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体からなる共重合体のフィルムを用いることもできる。この共重合体としては、例えば、下記成分1および成分2が配合された熱可塑性樹脂組成物が挙げられる。
・成分1:プロピレン系重合体が、通常0重量部以上、好ましくは10重量部以上であり、また、通常70重量部以下、好ましくは50重量部以下。
・成分2:軟質プロピレン系共重合体が、30重量部以上、好ましくは50重量部以上であり、また、通常100重量部以下、好ましくは90重量部以下。
なお、成分1および成分2の合計量は100重量部である。上記のように、成分1および成分2が好ましい範囲にあると、封止材のシートへの成形性が良好であるとともに、得られる封止材の耐熱性、透明性および柔軟性が良好となり、太陽電池モジュールに好適である。
以下、成分1及び成分2について詳しく説明する。
〔成分1〕
成分1はプロピレン系重合体であり、例えば、プロピレン単独重合体;プロピレンと、少なくとも1種のプロピレン以外の炭素原子数が2〜20のα−オレフィンとの共重合体;などが挙げられる。ここで、プロピレン以外の炭素原子数が2〜20のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキ
サデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。中でも、エチレンまたは炭素原子数が4〜10のα−オレフィンが好ましい。なお、α−オレフィンは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
これらのα−オレフィンは、プロピレンとランダム共重合体を形成してもよく、ブロック共重合体を形成してもよい。これらのα−オレフィンから導かれる構成単位の存在割合は、ポリプロピレン中に通常35モル%以下、好ましくは30モル%以下である。
成分1は、ASTM D 1238に準拠して230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が、通常0.01g/10分以上、好ましくは0.05g/10分以上であり、通常1000g/10分以下、好ましくは100g/10分以下である。
成分1の示差走査熱量計で観測される融点は、通常100℃以上、好ましくは110℃以上であり、また、通常160℃以下、好ましくは150℃以下である。
成分1はアイソタクチック構造、シンジオタクチック構造のどちらも用いることができるが、アイソタクチック構造の方が耐熱性などの点で好ましい。
また、成分1としては必要に応じて複数のプロピレン系重合体を併用することができ、例えば融点や剛性の異なる2種類以上の成分を用いることもできる。
〔成分2〕
成分2は軟質プロピレン系共重合体であり、例えば、プロピレンと、少なくとも1種のプロピレン以外の炭素原子数2〜20のα−オレフィンとの共重合体などが挙げられる。
また、成分2は、ショアーA硬度が、通常30以上、好ましくは35以上であり、また、通常80以下、好ましくは70以下である。
さらに、成分2の示差走査熱量計DSCで観測される融点は、100℃未満か、または融点が観測されない。ここで、融点が観測されないとは、−150〜200℃の範囲において、結晶融解熱量が1J/g以上の結晶融解ピークが観測されないことをいう。
成分2において、コモノマーとして用いられるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンが好ましい。なお、α−オレフィンは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
成分2は、プロピレン由来の単位を通常45モル%以上、好ましくは56モル%以上、また、通常92モル%以下、好ましくは90モル%以下含み、コモノマーとして用いられるα−オレフィン由来の単位を通常8モル%以上、好ましくは10モル%以上、また、通常55モル%以下、好ましくは44モル%以下含む。
成分2は、ASTM D 1238に準拠して、230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が、通常0.01g/10分以上、好ましくは0.05g/10分以上であり、また、通常100g/10分以下、好ましくは50g/10分以下である。
成分2は、JIS K6301に準拠して、JIS3号ダンベルを用い、スパン間:30mm、引っ張り速度:30mm/minで、23℃にて測定した、100%歪での応力(M100)が、通常4MPa以下、好ましくは3MPa以下、更に好ましくは2MPa以下である。軟質プロピレン系共重合体がこのような範囲にあると柔軟性、透明性、ゴム弾性に優れる。
成分2は、X線回折で測定した結晶化度が、通常20%以下、好ましくは15%以下であり、また、通常0%以上である。
また、成分2は単一のガラス転移温度Tgを有し、かつ示差走査熱量計(DSC)によって測定したガラス転移温度Tgが、通常−10℃以下、好ましくは−15℃以下の範囲にあることが望ましい。成分2のガラス転移温度Tgが前記範囲内にあると、耐寒性、低
温特性に優れる。
成分2のGPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn、ポリスチレン換算、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)は、4.0以下であることが好ましく、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下である。
成分2の好ましい具体例として、以下のプロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体を挙げることができる。このようなプロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体を用いることで、柔軟性、耐熱性、機械強度、太陽電池封止性および透明性が良好な封止材が得られる。ここで、太陽電池封止性とは、良好な柔軟性により、光電変換層を充填する際のセルの割れ率を低減できることをいう。
プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体としては、プロピレン由来の構成単位を通常45モル%以上、好ましくは56モル%以上、より好ましくは61モル%以上、また、通常92モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは86モル%以下含み、さらにエチレン由来の構成単位を通常5モル%以上、好ましくは8モル%以上、また、通常25モル%以下、好ましくは14モル%以下、より好ましくは14モル%以下含み、炭素数4〜20のα−オレフィン由来の構成単位を通常3モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは6モル%以上、また、通常30モル%以下、好ましくは25モル%以下含むものが好ましい。α−オレフィンに関しては、1−ブテンが特に好ましい。
プロピレン由来の構成単位、エチレン由来の構成単位、および炭素数4〜20のα−オレフィン由来の構成単位を上記の量で含有するプロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体(成分2)は、プロピレン系重合体(成分1)との相溶性が良好となり、得られる封止材は、充分な透明性、柔軟性、耐熱性および耐傷付性を発揮する。
上記の成分1および成分2が配合された熱可塑性樹脂組成物は、メルトフローレート(ASTM D 1238、230度、荷重2.16kg)が、通常0.0001g/10分以上であり、また、通常1000g/10分以下、好ましくは900g/10分以下、より好ましくは800g/10分以下である。
成分1および成分2が配合された熱可塑性樹脂組成物の融点は、通常100℃以上、好ましくは110℃以上である。また通常140℃以下、好ましくは135℃以下である。
また成分1および成分2が配合された熱可塑性樹脂組成物の密度は、0.98g/cm3以下が好ましく、0.95g/cm3以下がより好ましく、0.94g/cm3以下がさらに好ましい。
この封止材においては、上記成分1および成分2に、プラスチックなどに対する接着促進剤としてカップリング剤を配合することが可能である。カップリング剤は、シラン系、チタネート系、クロム系の各カップリング剤が好ましく用いられ、特にシラン系のカップリング剤(シランカップリング剤)が好適に用いられる。
上記シランカップリング剤としては公知のものが使用でき、特に制限はないが、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシーエトキシシラン)、γ−グリシドキシプロピルートリピルトリーメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。なお、カップリング剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、これらは熱可塑性樹脂組成物(成分1および成分2の合計量)100重量部に対して、上記シランカップリング剤を通常0.1重量部以上、また、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下含むことが望ましい。
また、上記カップリング剤は、有機過酸化物を用いて、当該熱可塑性樹脂組成物にグラフト反応させてもよい。この場合、熱可塑性樹脂組成物(成分1および成分2の合計量)100重量部に対して、上記カップリング剤を0.1〜5重量部含むことが望ましい。シ
ラングラフト化された熱可塑性樹脂組成物を用いても、ガラス、プラスチックに対して、シランカップリング剤ブレンドと同等以上の接着性が得られる。
有機過酸化物を用いる場合、有機過酸化物は、熱可塑性樹脂組成物(成分1および成分2の合計量)100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、また、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下である。
有機過酸化物としては公知のものが使用でき、特に制限はないが、例えば、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジベンゾイルパーオキサイド、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、などが挙げられる。なお、有機過酸化物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、封止材としてエチレン・α−オレフィン共重合体からなる共重合体を用いることもできる。この共重合体としては、下記に示す成分Aおよび成分Bからなる封止材用樹脂組成物と基材とを積層してなる、ホットタック性が5〜25℃のラミネートフィルムが例示される。
・成分A:エチレン系樹脂。
・成分B:以下の(a)〜(d)の性状を有するエチレンとα−オレフィンとの共重合体。
(a)密度が0.86〜0.935g/cm3
(b)メルトフローレート(MFR)が1〜50g/10分。
(c)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線のピークが1つであり;該ピーク温度が100℃以下である。
(d)温度上昇溶離分別(TREF)による積分溶出量が、90℃のとき90%以上である。
(A)成分A(エチレン系樹脂)
封止材用樹脂組成物を構成する成分Aとしてのエチレン系樹脂の例としては、いわゆるラジカル重合法で製造される高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・フッ化ビニル共重合体などが挙げられる。また、イオン重合法で製造される、いわゆる線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどエチレンを主成分とする重合体または共重合体も挙げられる。中でも好ましくは、エチレン・酢酸ビニル共重合体、高圧法低密度ポリエチレンである。なお、これらは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
封止材用樹脂組成物を構成する成分Aとしてのエチレン系樹脂がエチレン・酢酸ビニル共重合体である場合、下記の性状を有するものが好適である。
(i)メルトフローレート(MFR)
封止材用樹脂組成物を構成する成分Aとしてのエチレン・酢酸ビニル共重合体のJIS
K7210によるMFR(メルトフローレート:Melt Flow rate:溶融流量)は、通常1g/10分以上、好ましくは2g/10分以上、より好ましくは3g/10分以上であり、また、通常50g/10分以下、好ましくは30g/10分以下、より好ましくは20g/10分以下である。MFRを高くすることで、成分Bとブレンドした際の透明性が高まる傾向があり、MFRを低くする事で、成形が容易となる傾向がある。
(ii)酢酸ビニル含量
封止材用樹脂組成物を構成する成分Aとしてのエチレン・酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量は、通常3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上
であり、また、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。酢酸ビニル含量を多くすることでヒートシール性が高まる傾向にあり、酢酸ビニル含量を少なくすることで封止材のべたつきを抑えることができる。
封止材用樹脂組成物を構成する成分Aとしてのエチレン系樹脂が高圧法低密度ポリエチレンである場合は、下記の性状を有するものが好適である。
(i)メルトフローレート(MFR)
封止材用樹脂組成物を構成する成分Aとしての高圧法低密度ポリエチレンのJIS K7210によるMFR(メルトフローレート:Melt Flow rate:溶融流量)は、通常1g/10分以上、好ましくは2g/10分以上、より好ましくは3g/10分以上であり、また、通常50g/10分以下、好ましくは30g/10分以下、より好ましくは20g/10分以下である。MFRを高くすることで押出が容易となる傾向にあり、MFRを低くすることで柔らかくなりすぎず垂れなどが起こりにくく成形性が高まる。
(ii)密度
封止材用樹脂組成物を構成する成分Aとしての高圧法低密度ポリエチレンのJIS K7112による密度は、通常0.915g/cm3以上、好ましくは0.916g/cm3以上、より好ましくは0.917g/cm3以上であり、また、通常0.93g/cm3以下、好ましくは0.925g/cm3以下、より好ましくは0.923g/cm3以下である。密度を高くすることで封止材のべたつきが抑制される傾向にあり、密度を低くすることでヒートシール性が高まる傾向にある。
封止材用樹脂組成物を構成する成分Aとしての高圧法低密度ポリエチレンは、市販品の中から上記物性を示すものを適宜選択して使用することが出来る。
(B)成分B(エチレン・α−オレフィン共重合体)
封止材用樹脂組成物を構成する成分Bは、上記成分A以外のエチレン・α−オレフィン共重合体である。成分Bは、下記の性状を有するものが好ましい。
(i)密度
封止材用樹脂組成物を構成する成分Bとしてのエチレン・α−オレフィン共重合体のJlS K7112による密度は、通常0.86g/cm3以上、好ましくは0.87g/cm3以上、より好ましくは0.88g/cm3以上であり、また、通常0.935g/cm3以下、好ましくは0.915g/cm3以下、より好ましくは0.91g/cm3以下である。密度を高くすることでフィルムとしたときのべたつきが抑制される傾向にあり、密度を低くすることでヒートシール性が高まる傾向にある。
(ii)メルトフローレート(MFR)
封止材用樹脂組成物を構成する成分Bとしてのエチレン・α−オレフィン共重合体のJlS K7210によるMFR(メルトフローレート:Melt Flow rate:溶融流量)は、通常1g/10分以上、好ましくは2g/10分以上、より好ましくは3g/10分以上であり、また、通常50g/10分以下、好ましくは30g/10分以下、より好ましくは20g/10分以下である。MFRを高くすることで押出が容易となる傾向にあり、MFRを低くすることで柔らかくなりすぎず垂れなどが起こりにくく成形性が高まる。
ここでα−オレフィンとしては、炭素数4〜40のα−オレフィンが好ましい。中でも、α−オレフィンの中でも、炭素数が通常4以上、好ましくは6以上であり、通常12以下、好ましくは10以下のものが望ましい。その例を挙げると、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−へプテン、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等が挙げられる。なお、α−オレフィンは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
α−オレフィンとエチレンとの比率は、α−オレフィンを通常2重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、また、通常60重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下とし、エチレンを通常40重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、また、通常98重量%以下、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下とすることが望ましい。
成分Aと成分Bとの配合割合(成分A/成分B)は、重量比で、通常50/50以上、好ましくは55/45以上、より好ましくは60/40以上であり、また、通常99/1以下、好ましくは90/10以下、より好ましくは85/15以下である。成分Bの配合量を多くすることで透明性やヒートシール性が高まる傾向にあり、成分Bの配合量を少なくすることでフィルムの作業性が高まる傾向にある。
成分Aと成分Bを配合して生成される封止材用樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、通常2g/10分以上、好ましくは3g/10分以上であり、通常50g/10分以下、好ましくは40g/10分以下である。なおMFRの測定と評価は、JIS K7210(190℃、2.16kg荷重)に準拠する方法によって実施することができる。
封止材用樹脂組成物の融点は、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上であり、また、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。融点を高くすることで太陽電池モジュールの使用時に融解・劣化する可能性を低減できる。
封止材用樹脂組成物の密度は、0.80g/cm3以上が好ましく、0.85g/cm3以上がより好ましく、また、0.98g/cm3以下が好ましく、0.95g/cm3以下がより好ましく、0.94g/cm3以下がさらに好ましい。なお、密度の測定と評価は、JIS K7112に準拠する方法によって実施することができる。
さらに、エチレン・α−オレフィン共重合体を用いた封止材において、前記プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体を用いた場合と同様に、カップリング剤を用いることが可能である。
上述した封止材は、材料由来の分解ガスを発生することがないため、光電変換層への悪影響がなく、良好な耐熱性、機械強度、柔軟性(太陽電池封止性)および透明性を有する。また、材料の架橋工程を必要としないため、シート成形時および太陽電池モジュールの製造時間が大きく短縮できるとともに、使用後の太陽電池モジュールのリサイクルも容易となる。
なお、封止材は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、封止材は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
本発明では、上記の通り、封止材の材料としてエチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体からなる共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体からなる共重合体を好ましく例示したが、これらを封止材の材料として用いることで、本発明の効果をよりよく得ることができる。
封止材を設ける位置に制限は無いが、通常は光電変換層を挟み込むように設ける。光電変換層を確実に保護するためである。本実施形態では、光電変換層の正面及び背面にそれぞれ封止材を設けるようにしている。そして、封止材により光電変換層が封止されてなる層を本発明では封止層とする。
封止層の厚みは、光電変換層を含んだ状態で通常100μm以上、好ましくは150μm以上、より好ましくは200μm以上であり、また、通常5000μm以下、好ましく
は3000μm以下、より好ましくは1500μm以下である。
厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、また光電変換層と基材との絶縁性を確保できる。薄くすることで柔軟性が高まりまた光線透過率が高まる傾向にある。
<補強層>
本発明における太陽電池モジュールにおいて、補強層は表面保護層と光電変換層との間に配置される層であり、外からの物理衝撃から光電変換層を守る機能と、熱ラミネート後の冷却時に発生する表面保護層からの熱収縮応力により、光電変換層の太陽電池セルが破損したり、太陽電池セルに亀裂が生じたりすることを防ぐ機能を有する層である。
本発明の太陽電池モジュールに含まれる補強層の数は、特に限定されないが、通常は1〜2層である。
補強層の材質は、光透過性を有するものであれば、特に限定されないが、薄板フロートガラス、高強度プラスチック(延伸ポリエチレンテレフタレート(延伸PET)、延伸ポリエチレンナフタレート(延伸PEN))などが挙げられる。
補強層の線膨張係数は、熱変形を抑制する観点からは小さいことが好ましいが、負の値が大きいと、太陽電池モジュール内部の熱歪みが増大するため好ましくない。具体的には、−10〜40ppm/Kが好ましく、0〜30ppm/Kがより好ましく、5〜20ppmが更に好ましい。
補強層の厚さは特段限定されないが、通常10μm以上、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは100μm以上である。一方上限は、通常1000μm以下であり、好ましくは500μm以下である。
<絶縁層>
本発明の太陽電池モジュールの絶縁層について説明する。
本発明の太陽電池モジュールには、必要に応じて、絶縁層を更に設けてもよい。絶縁層に使用される材料としては、電気を通しにくい材質であれば特段限定されない。このような絶縁層を設けることで、光電変換層で生じた電気が、集電線以外から外部に抜けることを防止することができるため、太陽電池の発電効率が向上する。
絶縁層の材料としては、例えばETFE(テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体)などのフッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などを用いることができる。
なお、絶縁層の配置位置は特段限定されないが、裏面保護層と光電変換層の間の絶縁性確保、耐電圧性向上の観点から、光電変換層と裏面保護層の間に配置するのが好ましい。
絶縁層の厚さは、特段限定されないが、通常0.01mm以上、好ましくは0.02mm以上であり、より好ましくは0.05mm以上である。一方上限は、通常1.0mm以下であり、好ましくは0.5mm以下であり、より好ましくは0.2mm以下である。薄すぎると絶縁性が低下し、厚すぎると太陽電池モジュールの重量増が無視できなくなる。
絶縁層の線膨張係数は、熱変形を抑制する観点からは小さいことが好ましいが、負の値が大きいと、太陽電池モジュール内部の熱歪みが増大するため好ましくない。具体的には、通常、−20〜200ppm/Kであり、−10〜100ppm/Kが好ましく、0〜40ppm/Kがより好ましく、5〜30ppmが更に好ましい。
<その他の層>
これらの層以外にも、ガスバリア層、紫外線カット層、接着性改良層など公知の機能層を積層してもよい。
<太陽電池モジュール>
上記の層構成を有する太陽電池モジュールの形状は特に限定されないが、通常は略矩形
状であり、長辺の長さ(L)が、Tbの100〜1000倍の範囲の範囲であるのが好ましい。100倍未満であると、剛性が必要以上に高くなり、単位面積当たりの重量が増大してしまう。1000倍を超えると、自重での撓みが大きくなりすぎると同時に、振動など外部からの曲げ応力を受けた際に光電変換層を損傷する恐れがある。
上記の層構成を有する太陽電池モジュール全体としての形状は、通常は平板、若しくは1軸ないし2軸方向で受光面側に凸に湾曲しているものが好ましい。
受光面側に凸に湾曲することにより、太陽電池モジュールを受光面を真上に向けた場合でも、雨水や塵、土砂、葉などが堆積、沈着しにくい(防汚効果)。また、太陽電池モジュールの周辺部の一部あるいは全部をレール等で固定し、周辺部以外が宙に浮いたように車両等に固定する場合、上下動に対する剛性が増すため、太陽電池モジュールが損傷しにくい(耐震効果)。
受光面側に凸とは、常温常圧、相対湿度20〜80%の環境下で、太陽電池モジュールを、受光面を下にして水平面上に無負荷状態で静置したとき、周辺部の一部または全部が水平面と接していない状態であることを差す。
このとき、水平面と接していない太陽電池モジュール周辺部と水平面の最短距離には特に制限がないが、太陽電池モジュールの面積をA(単位:m2)としたとき、水平面から最も離れた位置となる太陽電池モジュール周辺部と水平面の最短距離は、通常A×1mm以上、A×100mm以下であり、A×2mm以上、A×50mm以下が好ましく、A×5mm以上、A×25mm以下がより好ましい。A×1mm未満であると、受光面側を凸にすることによる防汚効果、耐震効果が得られない一方、A×100mmを超えると、湾曲が大きすぎて成形時に表面保護層、光電変換層を損傷しやすい。
湾曲した太陽電池モジュールを得る方法としては特に限定されないが、例えば、平らな熱板上で平板状に形成した太陽電池モジュールを後加工で湾曲させる方法、曲面状の熱板上で曲面状に形成する方法、が挙げられる。
また、表面保護層と裏面保護層の熱膨張率差を利用することで、通常のフラットラミネーターを用いて、受光面側に凸の太陽電池モジュールを形成する方法が好ましく例示できる。具体的には、補強層の熱膨張係数(αF)を−10〜25ppm/K(好ましくは0〜20ppm/K)、裏面保護層である金属板の熱膨張係数(αB)を0〜40ppm/K(好ましくは5〜30ppm/K)とし、(αB−αF)を1〜30ppm/K(好ましくは5〜20ppm/K)となるように組み合せる。これらを含め、表面保護層、封止層、光電変換層、封止層、裏面保護層の順に積層したものを、フラットな真空ラミネーターに投入し、加熱温度100℃以上(好ましくは120℃以上)で減圧下、大気加圧して一体化させた後、室温まで冷却させると、表面保護層と裏面保護層との熱膨張率差、つまり、好ましくは、裏面保護層の熱膨張係数が表面保護層の熱膨張係数よりも大きくすることで、受光面側が凸の太陽電池モジュールを得ることができる。
<太陽電池モジュールの製造方法>
本発明の太陽電池モジュールの製造方法に関して説明する。
具体的な製法としては特に限定されないが、例えば、表面保護層と裏面保護層との間に1個又は2個以上の太陽電池素子を直列および/または並列接続した光電変換層を、封止材と共に一般的な真空ラミネート装置でラミネートすることで製造できる。この際、加熱温度は通常100℃以上、好ましくは120℃以上であり、通常170℃以下、好ましくは150℃以下である。また、加熱時間は通常5分以上、好ましくは10分以上であり、通常100分以下、好ましくは70分以下である。圧力は通常0.001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上であり、通常0.2MPa以下、好ましくは0.1MPa以下である。圧力をこの範囲とすることで封止を確実に行い、かつ、端部からの封止材がはみ出しや過加圧による膜厚低減を抑え、寸法安定性を確保しうる。
また、各層のいずれかに、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、UV照射、電子線照射、火炎処理などの表面処理を施してもよい。
<太陽電池モジュールの設置方法>
本発明の太陽電池モジュールは、特に制限なく、任意の用途に任意の方法で設置が可能であるが、剛性、軽量性に優れるため、車両用として用いるのに特に適しており、施工性、設置安定性の観点から、太陽電池モジュールを矩形状とし、その2〜4辺を任意の固定手段(例えば、太陽電池モジュール周辺部をアルミ製等のレールやフレームで加締めるなど。リベット打ちやクッション材、滑り止め防止用ゴムパッキン、粘着材、コーキング材なども使用可能)で車両に固定するとともに、太陽電池モジュール裏面は車両本体とは接しないように設置するのが好ましい。
裏面が車両本体と接しないことで、車両表面の凹凸や曲面形状に追従する必要性がなくなるという利点がある。尚、固定する辺は、互いに対抗する2辺を固定するのが振動力学上、光電変換層のダメージが小さく、特に好ましいが、3辺固定、4辺固定でも可能である。また、振動を受けた際に車両本体と裏面が接触しあう可能性がある場合には、裏面と車両本体との間にクッション材を設置することも可能である。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
太陽電池モジュールの耐振強度の評価方法は、市販の有限要素解析ソフトLS−DYNA ver5.1.1を用いて、JIS D1601(1995)に記載の方法で行った。即ち、太陽電池モジュール使用状態に近い状態に固定し、加速度45m/s2、振動数33Hzの正弦波振動を与えた。
太陽電池モジュールの撓みの評価方法は、市販の有限要素解析ソフトLS−DYNA ver5.1.1を用いて、太陽電池モジュール使用状態に近い状態に固定し、重力を与えた。
この方法で振動を受けている光電変換層の等方応力を評価した。その光電変換層は引っ張りにより破壊すると想定し、等方応力の最小値(引っ張りは数値的に負になる)をシミュレートすることにより行った。
また、太陽電池モジュールの撓み量は、自重条件下の最大変位をシミュレートすることにより行った。
<比較例1>
太陽電池のモジュールを構成する太陽電池セルは図2に示す層構成とし、セルの配置は図1の(a)に示すとおりとした。太陽電池モジュール10の寸法は、長手方向12が1000mm、幅手方向13が890mm、周縁部14が47mm、周縁部15が22mmである。太陽電池セル11は156mm×156mmの大きさとし、セル間隔4mmで配置した。
図2において太陽電池セル100は、表面保護層として厚さ0.1mmのETFE樹脂を用いた。封止層102乃至は封止層108(封止層1〜封止層4)として厚さ0.3mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂を用いた。補強層と絶縁層として、厚さ0.125mmのPET樹脂を用いた。裏面保護層として厚さ0.15mmのアルミニウム109及び111(金属層1と金属層2)にサンドイッチされた厚さ0.7mmのポリエチレン(PE)の樹脂層110を用いた。実施例で用いた各層の物性と厚みについて、表1に示す。なお、物性は23℃で測定した値である。
耐振強度の評価は図3に示した境界条件下で行う。なお、撓み量の評価は図4に示した境界条件下で行う。振動を与えた光電変換層の等方応力の最小値(絶対値最大)及び太陽電池モジュールの自重条件下の最大変位を表2に示す。
<実施例1>
裏面保護層として、比較例1の樹脂層110(PE樹脂)の厚さを1.7mmに変更する以外は比較例1と同様にして太陽電池のモジュールを得た。
<実施例2>
裏面保護層として、実施例1のアルミニウム109及び111(金属層1及び2)の厚さをそれぞれ0.2mm、樹脂層110(PE樹脂)の厚さを1.6mmに変更する以外は実施例1と同様にして太陽電池のモジュールを得た。
<実施例3>
裏面保護層として、比較例1の樹脂層110(PE樹脂)の厚さを2.7mmに変更する以外は比較例1と同様にして太陽電池のモジュールを得た。
<実施例4>
裏面保護層として、比較例1のアルミニウム109及び111(金属層1及び金属層2)厚さをそれぞれ0.3mm、樹脂層110(PE樹脂)の厚さを2.4mmに変更する以外は比較例1と同様にして太陽電池のモジュールを得た。
<比較例2>
裏面保護層として、実施例2の樹脂層110(PE樹脂)の厚さを3.6mmに変更する以外は実施例2と同様にして太陽電池のモジュールを得た。
<実施例5>
モジュールのセルの配置として、図1の(b)の態様に変更する以外は実施例1と同様にして太陽電池のモジュールを得た。
<実施例6>
モジュールのセルの配置として、図1の(b)の態様に変更する以外は実施例3と同様にして太陽電池のモジュールを得た。
実施例1乃至6、及び比較例2の太陽電池モジュールの評価結果を表2に示す。
本発明によれば、外壁用、外装バックパネル用、屋根用等の建材や、車両(自動車、鉄道)、船舶、飛行機、宇宙機等の構成要素として使用できる太陽電池モジュールを得ることが出来る。本発明による太陽電池モジュールは、高剛性で、振動に強く、軽量であるため、特に、車両用途に好適である。
10、10´ 太陽電池モジュール
11、11´ 太陽電池セル
12、12´ 太陽電池モジュールの長手方向
13、13´ 太陽電池モジュールの幅手方向
14、14´、15、15´ 太陽電池モジュールの周縁部
100 太陽電池セル
101 ETFE樹脂(表面保護層)
102 EVA樹脂(封止層1)
103 PET樹脂(補強層)
104 EVA樹脂(封止層3)
105 光電変換層
106 EVA樹脂(封止層4)
107 PET樹脂(絶縁層)
108 EVA樹脂(封止層2)
109 アルミニウム層(金属層1)
110 PE樹脂(樹脂層)
111 アルミニウム層(金属層2)
112 Ti
113 Tb

Claims (9)

  1. 太陽光受光面側から、表面保護層、光電変換層、裏面保護層の順に封止材を介して積層される太陽電池モジュールであって、
    該裏面保護層は、樹脂基板を該樹脂基板の材料と異なる材質の2枚の基板で挟んだ積層構造を形成しており、
    該裏面保護層の厚み(Tb)が1mmより大きく4mm未満であり、かつ該Tbと該裏面保護層中の樹脂基板を挟む2枚の基板の厚み(Ti1、Ti2)が下記式の関係を満足することを特徴とする太陽電池モジュール。
    0.1≦(Ti1+Ti2)/Tb≦0.4
  2. 前記樹脂基板を挟む2枚の基板の材質が金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  3. 前記裏面保護層の曲げ弾性率が10〜100GPaであることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
  4. 前記表面保護層と前記光電変換層の間に、線膨張係数が−10〜40ppm/Kの補強層をさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  5. 前記光電変換層と前記裏面保護層との間に、絶縁層を更に有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  6. 前記表面保護層の厚みが0.05mm以上0.3mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  7. 前記裏面保護層の形状が略矩形状であり、長辺の長さ(L)が、Tbの100〜1000倍の範囲であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  8. 前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールを用いてなる車両用部材。
  9. 前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールを搭載した車両。
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