JP2020056873A - 光学フィルタ、及び撮像装置 - Google Patents

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Shinji Uchiyama
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【課題】夜間撮影などにおいて高画質化を図ることが可能な光学フィルタを提供する。【解決手段】本発明のIRパスフィルタは、近赤外波長において光透過性を有する基板10の一方の面上に、可視波長の光を遮断し近赤外波長の光の反射を阻止する機能膜11を備え、基板10のもう一方の面上に、可視波長の光を低減し近赤外波長の光の反射を阻止する他の機能膜12を備えた光学フィルタであり、基板10及び機能膜11が形成する近赤外波長の光透過と、基板10及び他の機能膜12が形成する近赤外波長の光透過と、を実質的に同一とすることにより、光学フィルタ総体として、可視波長の光を遮断し近赤外波長の光を透過させる光透過特性を有したことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明はデジタルカメラやビデオカメラ、監視カメラなど、入射光量が極めて少ない夜間などにも撮影を行う、固体撮像素子を搭載した撮像装置等で使用される光学フィルタに関するものであり、特には可視光の透過を遮断し、近赤外光を透過する光学フィルタに関する。また、このような光学フィルタを搭載した撮像装置に関する。
ビデオカメラなどの撮像装置に使用される固体撮像素子は、人間の目の感度特性に対応させるために、分光透過率など光学特性を調節するフィルタと組み合わせて使用されることが多い。具体的には、紫外線カットフィルタ(UVカットフィルタ)や近赤外線カットフィルタ(IRカットフィルタ)、若しくはこれらを一枚のフィルタで実現した、UVIRカットフィルタなどがある。
特開2003−153076号公報
特許文献1では、入射光量が多い昼間の撮影時などには、近赤外波長領域の光を遮断し、可視波長領域の光のみを透過させるIRカットフィルタ(赤外光カットフィルタ)を用いる事で、色再現性の低下などを招く近赤外波長領域のノイズ成分を低減する事で画質の高精度化を図り、逆に入射光量が少ない夜間撮影時などではIRカットフィルタを取り除き、赤外光をカットしないダミーガラスを挿入する事で固体撮像素子の感度が高い近赤外波長領域の光を積極的に利用して暗視画像として撮影する方法が提案されている。
しかしながら、昼夜を問わず撮影を行う必要がある、特に監視カメラなどに用いられる撮像装置においては、夜間など入射光量が極めて少ないシチュエーションにおける撮影画像の更なる高精度化が強く求められている。
以上より、本発明の目的は上述の課題を解消し、夜間撮影などにおいて高画質化を図る事が可能な光学フィルタを提供することにある。さらには、このような光学フィルタを用いることで高精度化を実現した撮像装置を提供することにある。
以上の課題を解決する為に本発明のIRパスフィルタは、近赤外波長において光透過性を有する基板の一方の面上に、可視波長の光を遮断し近赤外波長の光の反射を阻止する機能膜を備え、前記基板のもう一方の面上に、可視波長の光を低減し近赤外波長の光の反射を阻止する他の機能膜を備えた光学フィルタであり、前記基板及び前記機能膜が形成する近赤外波長の光透過と、前記基板及び前記他の機能膜が形成する近赤外波長の光透過と、を実質的に同一とすることにより、前記光学フィルタ総体として、可視波長の光を遮断し近赤外波長の光を透過させる光透過特性を有したことを特徴とする。
本発明のように、可視波長領域の光を遮断し、近赤外波長領域の光を透過する機能膜を設けた基板の裏面側に、近赤外波長領域の光の反射を阻止する機能膜を設ける事で、夜間撮影時においてはノイズ成分となる可視波長領域の光を遮断しつつ、暗視画像として夜間撮影時に使われる近赤外波長領域の光を効率良く取り込む事が可能な光学フィルタを提供することができる。
さらには、このような本発明の光学フィルタを、監視カメラ等の撮影装置に使用することにより、外光が極めて少ない夜間撮影時などにおける暗視画像であっても、高画質化が図られる撮像装置を提供することができる。
本実施例1におけるIRパスフィルタの分光透過率特性図 本実施例1におけるIRパスフィルタの断面図 本比較例におけるIRパスフィルタの分光透過率特性図 本比較例におけるIRパスフィルタの断面図 本実施例2におけるIRパスフィルタの分光透過率特性図 本実施例2におけるIRパスフィルタの断面図 本実施例4における撮像装置の概略構成図 本実施例4におけるNDIRフィルタの断面図 本実施例4におけるNDIRフィルタの分光透過率特性図 本実施例1におけるIRパスフィルタの積層構成表図 本比較例におけるIRパスフィルタの積層構成表図 本実施例2におけるIRパスフィルタの積層構成表図
本実施例の光学フィルタは、基板の一方の面上に、所定の可視波長領域における光の透過を遮断し、所定の近赤外波長領域の光を透過する近赤外透過膜を形成し、基板のもう一方の面上に、所定の可視波長領域における光の透過を低減し、所定の近赤外波長領域の光の反射を阻止する近赤外反射防止膜を構成したIRパスフィルタである。
このようなIRパスフィルタの基板としては、少なくても近赤外透過膜において光を透過させる近赤外波長全域に光透過性を有する基板を用いる。このような近赤外透明基板はガラスタイプや樹脂タイプ、さらには有機無機のハイブリッドタイプでも良く、光学フィルタの基板としての必要とされる強度や光学特性を有する、基体として機能可能であるものが利用される。
IRパスフィルタの機能を発現する為に基板上に形成される近赤外透過膜と近赤外反射防止膜の機能膜は、基板上に1層以上の薄膜を積層する事により作製され、これらの薄膜は物理的、若しくは化学的成膜方法で形成しても良いし、スピンコートなどの塗装法で形成しても良い。これらの成膜方法の中で、再現性や膜の耐環境性などの観点からは、スパッタ法や、何らかのアシストを付加した成膜方法など、比較的高エネルギーで膜を形成できるプロセスが好ましい。より具体的にはスパッタ法、IAD法、イオンプレーティング法、IBS法、クラスター蒸着法などが適用可能であり、膜厚を比較的正確に制御でき、再現性の高い膜を得る事ができる成膜方法であればよく、機能膜に求められる特性や生産性等を考慮し、最適な方法を選択すれば良い。
本実施例における近赤外透過膜は、複数層の薄膜で構成されており、その最表層には透過帯である近赤外波長領域の光の反射を阻止する、1層または複数層の薄膜で構成される反射防止構造が形成されている。反射防止構造の最表層に配置される膜は透過帯の中心波長、例えば本実施例に記載されているような700〜1200nmの透過帯を有する近赤外透過膜ならば透過帯の中心波長である波長900〜1000nmの1.0qw程度の膜厚である事が好ましい。屈折率の波長分散が無い仮定であれば、450〜500nmの2.0qwと言い換える事もできる。ここで、qwは膜厚を表す単位であり、1つの波長λを基準として、λ/4を1つの単位としたものであり、例えば 2.0×λ/4 の膜厚の場合は2.0qwと表現する。
このように構成されたIRパスフィルタは所定の近赤外波長領域に透過帯を有している。この透過帯においては、理想的には全域で100%を透過する事が望ましいが、実際にはこれを完璧に満足する事は大変困難であり、透過帯の全波長域で可能な限り100%に近い透過率を得られるように調整される。このような透過率を実現する為に本実施例では、近赤外透過膜が形成する透過帯での透過率を最大化すると共に、基板裏面に設けられた近赤外反射防止膜が形成する透過帯での透過率を最大化し、これらの2つの透過特性を合成する事で、光学フィルタ総体としての透過帯の透過率を最大化している。
ここで、透過帯における透過率は、波長が連続的に変化するにつれ、少なからず波打つように変化しており、これは透過帯のリップル(透過リップル)などと呼ばれ、機能膜を構成する薄膜の積層数が多く、厚膜化するほど発生し易い。この透過リップルが大きくなると、夜間撮影時などに撮像素子に入射する総合的な光量が低減し、暗視画像の画質低下を引き起こす虞がある為、リップルは可能な限り小さい方が望ましい。そこで、この透過帯でのリップルを低減する為に、基板と近赤外透過膜との間にリップルを低減する為の透過リップル調整層を挿入した。光学フィルタ総体としての透過リップルは、近赤外透過膜が形成する透過帯での透過リップルと、近赤外反射防止膜が形成する透過帯での透過リップルとの合成により決定されるが、本発明においては、積層数が多い為に透過リップルが発生し易い近赤外透過膜単体でも透過リップルが少ない平坦な透過特性を有し、さらに近赤外反射防止膜単体でも透過リップルが少ない平坦な透過特性を有するように構成されており、これらの平坦な2つの透過帯を合成する事で、光学フィルタ総体として透過リップルの少ない平坦な透過特性を形成している。これとは別に、例えば、近赤外透過膜における透過リップルに対し、近赤外反射防止膜の透過リップルの位相を調整し、両面でリップルを打ち消し合うように構成する事でも光学フィルタ総体として透過リップルの少ない平坦な透過特性を得る事が可能ではあるが、近赤外透過膜、及び近赤外反射防止膜での位相関係に誤差が生じた場合には透過リップルを増大させてしまう虞がある為、高画質化の観点から本実施例では先の構成を選択した。
また、透過リップル調整層の挿入位置が、近赤外透過膜の最表層に位置する近赤外反射防止膜手前の位置であると、最表層における透過帯での反射防止機能への影響が大きくなる為、透過帯の反射の最小化、つまりは透過帯の透過の最大化と、リップル低減とを同時に満足する事が難しくなってしまう。また、近赤外反射防止膜が1層構成の場合、仮に最表層の膜厚を、反射防止に適した膜厚よりも薄くすれば、反射防止機能への影響を低減しつつ、この位置にも極薄層を挿入する事自体は可能であるが、この場合、極薄層は透過リップル低減の機能は果たす事は難しい。つまりは、極薄層の前後の膜を足し合わせた膜厚が反射防止に適した膜厚であり、その間に挿入された干渉への影響が非常に小さい、リップル低減には殆ど寄与しない、単なる極薄膜となる。さらに近赤外透過膜内の途中層の場合、近赤外透過膜を分割してしまうような配置となり、近赤外透過膜への影響が大きくなり、結果近赤外透過膜による阻止域での反射の最大化を阻害してしまい、これと同時にリップルを低減する事が難しくなってしまう。以上の理由から、透過リップル調整層は、基板と隣接する近赤外透過膜の第1層目に配置し、透過帯の透過の最大化と、阻止域の透過の最小化を優先し、次に透過リップルの低減を優先するコンセプトで最適化された。
このような透過リップル調整層は近赤外透過膜を形成する複数の薄膜や反射防止構造と比較し、膜厚が薄い特徴を有しており、全ての層の中で最も薄い層となる。透過リップル調整層は2層以上であっても良いが、その場合も、全ての透過リップル調整層は近赤外透過膜や反射防止構造を形成する層よりも薄くなる。
さらには、以上のような本発明の光学フィルタを監視カメラ等の撮影装置に使用することにより、高精度化が可能となる撮像装置とすることができる。
以下、本発明の光学フィルタについて実施例に基づき具体的に説明する。
(実施例1)
多層薄膜により構成された近赤外透過膜と近赤外反射防止膜とを、1枚の近赤外波長透明基板の両面上に形成し、図1に示した分光透過特性を設計値とするIRパスフィルタを作製した実施例について、以下に詳しく記載する。
図2に示したような本実施例1のIRパスフィルタの近赤外透明基板10には、少なくても650〜1200nmの波長領域において、基板裏面での反射成分を除いた入射光の殆どを透過する分光特性を有した厚さ0.4mmのB270iガラスを使用した。
そして、この近赤外透明基板10上にIAD法により近赤外反射防止膜12を成膜した後、近赤外透明基板10の表裏を変え、近赤外透明基板10のもう一方の面に近赤外透過膜11をIAD法により成膜した。先に近赤外反射防止膜12を形成したのは、近赤外透過膜11よりも膜厚が薄く、膜応力が低い為、基板の反りに起因した成膜時の基板位置により成膜誤差の影響を小さくする理由からである。以上のように、本実施例1におけるIRパスフィルタ13は、図2に示すように、近赤外透明基板10の片面側に近赤外透過膜11を、近赤外透明基板10のもう一方の面に近赤外波長反射防止膜12を配置する構成とした。
近赤外透明基板10上に形成された本実施例1の近赤外透過膜11は、図1(b)に示すように、可視波長領域の約400〜650nmの波長領域の光の殆どを遮断する透過阻止帯と、可視波長から近赤外波長領域にかけての約750〜1200nmの波長領域の光を小さいリップルに抑えつつ、基板裏面での反射成分を除いた殆どの光を透過させた透過帯を有している。また、透過阻止帯と透過帯に挟まれた約650〜750nmの波長領域には、透過阻止帯から透過帯へ透過が連続的に変化する透過−阻止遷移領域を有している。さらには、透過−阻止遷移領域における透過率50%の波長をIR半値波長と定義し、この値を700nmとした。また、本実施例1における近赤外透過膜11は高屈折率材料であるTiOと低屈折率材料であるSiOを交互に積層した図10で示すような38層膜で構成されており、この近赤外透過膜11の近赤外透明基板10直上の第1層には透過リップル低減機能を有する透過リップル調整層14が配置されている。さらに、最表層となる第38層には、近赤外波長における透過帯での反射防止機能を有する1層で構成された反射防止構造15が配置されている。透過リップル調整層14は、近赤外透過膜11を構成する全ての膜厚の中で最も薄い膜厚となっており、また反射防止構造15は近赤外透過膜11における透過帯、つまりは反射防止帯となる波長域の中心波長の約1.0qw程度の膜厚を有している。
近赤外透明基板10上に形成された本実施例1の近赤外反射防止膜12は、図1(c)に示すように、可視波長領域の約400〜650nmの波長領域の透過の一部を低減し、可視波長から近赤外波長領域にかけての約650〜1200nmの波長領域の光における、基板裏面での反射成分を除いた殆どの反射を阻止した、つまりは殆どの光を透過させた透過帯を有した光学特性となっている。このように、先のIR半値波長において近赤外反射防止膜12は透過帯を形成しており、成膜誤差等により近赤外透過膜11の光学特性が例えば10nm短波長側や長波長側へシフトとしたとしても、近赤外反射防止膜12はIR半値波長において殆どを透過する透過帯を維持できる。従って、以上のような構成設計とする事により、近赤外反射防止膜12形成時の成膜誤差により近赤外反射防止膜12の光学特性が変化したとしても、近赤外透明基板10を含んで形成されるIRパスフィルタ13のIR半値波長に与える影響は極めて小さく、近赤外透過膜11の誤差のみでIRパスフィルタ13の透過−阻止遷移領域が決まる為、より再現性を高める事ができ、光学フィルタ総体としての高精度化を実現する事ができる。
また、本実施例1における近赤外反射防止膜12は高屈折率材料であるTiOと低屈折率材料であるSiOを交互に積層した図10で示すような4層膜で構成されており、特に反射防止機能に最も影響を与える最表層となる第4層は、近赤外透過膜11における透過帯、つまりは反射防止帯となる波長域の中心波長の約1.0qw程度の膜厚を有している。
さらには、近赤外透明基板10上に構成された近赤外透過膜11単体が作り出す透過帯の透過特性は、図1(a)で示すように透過リップルが少ない平坦で、実質的に一定である透過特性を有しており、基板の裏面側の反射成分を除いた殆どの光を透過する特性となっている。また同様に、近赤外透明基板10上に構成された近赤外反射防止膜12単体が作り出す透過帯の透過特性は、図1(b)で示すように透過リップルが少ない平坦で、実質的に一定である透過特性を有しており、基板の裏面側の反射成分を除いた殆どの光を透過する特性となっている。これら2つの機能膜が作り出す透過帯におけるそれぞれの透過特性は図1(b)(c)に示すように、厳密には近赤外反射防止膜12の透過率の方が近赤外透過膜11の透過率よりも僅かながら高い値となっているが、実質的に同一とみなせる特性を有している。そして、これら2つの機能膜が作り出す、透過リップルが少なく平坦で、高透過となっているそれぞれの透過特性を合成する事で、図1(a)で示すように、IRパスフィルタ13の透過帯において、透過リップルが少なく平坦で、近赤外透過膜11、及び近赤外反射防止膜12よりも高透過である特性を作り出している。また、IRパスフィルタ13の阻止帯においても同様に、2つの機能膜が作り出す透過特性の合成により透過特性が決定される。従って、近赤外透過膜11、及び近赤外反射防止膜12の2つの機能膜が作り出す透過特性の合成により、IRパスフィルタ13総体としての透過特性が決定される。
本実施例1における近赤外透過膜11、及び近赤外反射防止膜12において、蒸着膜として構成された高屈折率材料であるTiOと低屈折率材料であるSiOの他に、高屈折率材料としてはNbやZrO、Taなどが使用でき、低屈折率材用としてはMgFなどが使用可能である。また、設計上や成膜上の理由から中間屈折率材料であるAlなどを一部の層で使用する事も可能であり、これらの材料に限らず、NiやW、Mo、Cu、Cr、Fe、Al、Mg、Ti、Si、Nb、Zr、Ta、Inなどの金属膜化合物でも良く、その時々で最適な材料の組合せを選択すれば良い。
以上のように作製された、IRパスフィルタ13の分光透過特性は図1(a)で示した設計値と略同じ特性を得る事ができた。これにより、入射光量が少ない夜間撮影時などにおいても、ノイズ成分となる可視波長域の透過を遮断し、暗視画像を生成する為に少しでも多く取り込みたい所定の近赤外波長領域の光を今まで以上に効率良く取り込むことを可能とした事で、暗視画像の高画質化を図る事ができる光学フィルタを得る事ができる。
(比較例)
多層薄膜により構成された近赤外透過膜と可視・近赤外反射防止膜とを、1枚の近赤外波長透過基板の両面上に形成し、図3に示した分光透過特性を設計値とするIRパスフィルタを作製した比較例について、以下に詳しく記載する。
図4に示したような本比較例のIRパスフィルタの近赤外透明基板20には、少なくても650〜1200nmの波長領域において、基板裏面での反射成分を除いた入射光の殆どを透過する分光特性を有した厚さ0.4mmのB270iガラスを使用した。
この近赤外透明基板20上にIAD法により可視・近赤外反射防止膜22を成膜した後、近赤外透明基板20の表裏を変え、近赤外透明基板20のもう一方の面に近赤外透過膜21をIAD法により成膜した。先に可視・近赤外反射防止膜22を形成したのは、近赤外透過膜21よりも膜厚が薄く、膜応力が低い為、基板の反りに起因した成膜時の基板位置により成膜誤差の影響を小さくする理由からである。以上のように、本比較例におけるIRパスフィルタ23は、図4に示すように、近赤外透明基板20の片面側に近赤外透過膜21を、近赤外透明基板20のもう一方の面に可視・近赤外波長反射防止膜22を配置する構成とした。
近赤外透明基板20上に形成された本比較例の近赤外透過膜21は、図3(b)に示すように、可視波長領域の約400〜650nmの波長領域の光の殆どを遮断する透過阻止帯と、可視波長から近赤外波長領域にかけての約750〜1200nmの波長領域の光を小さいリップルに抑えつつ、基板裏面での反射成分を除いた殆どの光を透過させた透過帯を有している。また、透過阻止帯と透過帯に挟まれた約650〜750nmの波長領域には、透過阻止帯から透過帯へ透過が連続的に変化する透過−阻止遷移領域を有している。さらには、透過−阻止遷移領域におけるIR半値波長を700nmとした。このように、近赤外透過膜21は本実施例1における近赤外透過膜11と同じ構成とした。
また、本比較例における近赤外透過膜21は高屈折率材料であるTiOと低屈折率材料であるSiOを交互に積層した図11で示すような38層膜で構成されており、この近赤外透過膜21の近赤外透明基板20直上の第1層には透過リップル低減機能を有する透過リップル調整層24が配置されている。さらに、最表層となる第38層には、近赤外波長における透過帯での反射防止機能を有する1層で構成された反射防止構造25が配置されている。透過リップル調整層24は、近赤外透過膜を構成する全ての膜厚の中で最も薄い膜厚となっており、また反射防止構造25は近赤外透過膜21における透過帯、つまりは反射防止帯となる波長域の中心波長の約1.0qw程度の膜厚を有している。
近赤外透明基板20上に形成された本比較例の可視・近赤外反射防止膜22は、図3(c)に示すように、可視波長領域から近赤外波長領域にかけての約400〜1200nmの波長領域の光における、基板裏面での反射成分を除いた殆どの反射を阻止した、つまりは殆どの光を透過させた透過帯を有した光学特性となっている。このように、先のIR半値波長において可視・近赤外反射防止膜22は透過帯を形成している。また、本比較例における可視・近赤外反射防止膜22は高屈折率材料であるTiOと低屈折率材料であるSiOを交互に積層した図11で示すような12層膜で構成されており、特に反射防止機能に最も影響を与える最表層となる第12層は、可視・近赤外反射防止膜22における透過帯、つまりは反射防止帯となる波長域の中心波長の約1.0qw程度の膜厚を有している。
さらには、近赤外透明基板20上に構成された近赤外透過膜21単体が作り出す透過帯の透過特性は、図3(a)で示すように透過リップルが少ない平坦で、実質的に一定である透過特性を有しており、基板の裏面側の反射成分を除いた殆どの光を透過する特性となっている。また同様に、近赤外透明基板20上に構成された可視・近赤外反射防止膜22単体が作り出す透過帯の透過特性は、図3(b)で示すように透過リップルが少ないが、長波長側へ進むにつれ透過率が低下する透過特性を有している。これら2つの機能膜が作り出す透過帯におけるそれぞれの透過特性は図3(b)(c)に示すように、可視・近赤外反射防止膜22の透過率の方が近赤外透過膜21の透過率よりも小さくなる特性を有しており、特には950nm〜1200nmの近赤外波長領域においてその差がより顕著となっている。そして、これら2つの機能膜が作り出す、それぞれの透過特性を合成する事で、図3(a)で示すような透過特性を作り出している。また、IRパスフィルタ23の阻止帯においても同様に、2つの機能膜が作り出す透過特性の合成により透過特性が決定される。従って、近赤外透過膜21、及び近赤外反射防止膜22の2つの機能膜が作り出す透過特性の合成により、IRパスフィルタ23総体としての透過特性が決定される。
しかしながら、本実施例1における近赤外透過膜12と比較した場合、可視・近赤外反射防止膜22における透過帯、つまりは反射防止領域が可視波長領域分拡大している事に起因して、積層数が大幅に増えているにも関わらず全体的に透過率が低くなっており、特に950〜1200nmの波長領域における透過率が顕著に低下している。
以上のように作製された、IRパスフィルタ23の分光透過特性は図3(a)で示した設計値と略同じ特性となった。これにより、入射光量が少ない夜間撮影時などにおいて、ノイズ成分となる可視波長域の透過を遮断する事は可能であるが、暗視画像を生成する為に少しでも多く取り込みたい近赤外波長領域の光においては、本実施例1で作製した光学フィルタと比較し、透過帯における透過率が全体的に低くなる事から、取り込み効率が低くなり、画像精度に劣る。
また、本実施例1で作製された4層構成の近赤外反射防止膜12と比較し、本比較例で作製された可視−近赤外反射防止膜22は12層構成であり、積層数が増加している。勿論、各層の膜厚にも依存するが、近赤外反射防止膜12と可視−近赤外反射防止膜22とを考慮した場合、本実施例1、及び本比較例のように、成膜条件の異なる材料を積層する場合は、各層の成膜時間に対し、材料の切り替えに要する時間の割合が実質的に高くなり、積層数が増えるほど総合的な成膜時間が長くなってしまう。本比較例における可視・近赤外反射防止膜22を構成する薄膜の積層数を増やす事で、透過特性を改善する方向に調整する事も可能ではあるが、同様に、以上の理由から生産性を損なう問題が発生する。従って、生産性の観点からも、本比較例よりも本実施例1の方が優れた構成となる。
さらには全体的な膜厚が増えると、画質への影響が大きい為に、ゴミや欠陥等に非常に敏感なフィルタの外観状態を悪化させてしまう虞がある為、膜厚や層数は必要な条件を満足する範囲で、可能な限り少ない方が好ましく、本実施例1における近赤外反射防止膜12のように、必要とされる波長領域に絞り込んだ最小構成とする事がより望ましい。
(実施例2)
本実施例1において作製された近赤外透過膜の最表層に配置された反射防止構造を、図5に示すような多層膜構成とする事も可能である。
本実施例2のIRパスフィルタにおける近赤外透明基板30は本実施例1と同様に図2に示すような、厚さ0.4mmのB270iガラスを使用した。そして、この近赤外透明基板30上にIAD法により近赤外反射防止膜32を成膜した後、近赤外透明基板30の表裏を変え、近赤外透明基板30のもう一方の面に近赤外透過膜31をIAD法により成膜した。以上のように、本実施例2におけるIRパスフィルタ33は、図5に示すように、近赤外透明基板30の片面側に近赤外透過膜31を、近赤外透明基板30のもう一方の面に近赤外波長反射防止膜32を配置する構成とした。
近赤外透明基板30上に形成された本実施例2の近赤外透過膜31は、図5(b)に示すように、可視波長領域の約400〜650nmの波長領域の光の殆どを遮断する透過阻止帯と、可視波長から近赤外波長領域にかけての約750〜1200nmの波長領域の光を小さいリップルに抑えつつ、基板裏面での反射成分を除いた殆どの光を透過させた透過帯を有している。また、透過阻止帯と透過帯に挟まれた約650〜750nmの波長領域には、透過阻止帯から透過帯へ透過が連続的に変化する透過−阻止遷移領域を有している。さらには、透過−阻止遷移領域におけるIR半値波長を700nmとした。また、本実施例2における近赤外透過膜31は高屈折率材料であるTiOと低屈折率材料であるSiOを交互に積層した図12で示すような42層膜で構成されており、この近赤外透過膜31の近赤外透明基板30直上の第1層には透過リップル低減機能を有する透過リップル調整層34が配置されている。さらに、最表層付近に配置された第38層〜第42層には、近赤外波長における透過帯での反射防止機能を有する5層で構成された反射防止構造35が配置されている。透過リップル調整層34は、近赤外透過膜31を構成する全ての膜厚の中で最も薄い膜厚となっており、また反射防止構造35の最表層である第42層は近赤外透過膜31における透過帯、つまりは反射防止帯となる波長域の中心波長の約1.0qw程度の膜厚を有している。
近赤外透明基板30上に形成された本実施例2の近赤外反射防止膜32は、図5(c)に示すように、可視波長領域の約400〜650nmの波長領域の透過の一部を低減し、可視波長から近赤外波長領域にかけての約650〜1200nmの波長領域の光における、基板裏面での反射成分を除いた殆どの反射を阻止した、つまりは殆どの光を透過させた透過帯を有した光学特性となっている。このように、先のIR半値波長において近赤外反射防止膜32は透過帯を形成しており、成膜誤差等により近赤外透過膜31の光学特性が例えば10nm短波長側や長波長側へシフトとしたとしても、近赤外反射防止膜32はIR半値波長において殆どを透過する透過帯を維持でき、IRパスフィルタ33総体として100%に近い透過帯を維持できるように構成されている。また、本実施例2における近赤外反射防止膜32は本実施例1と同様の構成であり、高屈折率材料であるTiOと低屈折率材料であるSiOを交互に積層した図12で示すような4層膜で、特に反射防止機能に最も影響を与える最表層となる第4層は、近赤外透過膜11における透過帯、つまりは反射防止帯となる波長域の中心波長の約1.0qw程度の膜厚を有している。
さらには、近赤外透明基板30上に構成された近赤外透過膜31単体が作り出す透過帯の透過特性は、図5(a)で示すように透過リップルが少なく平坦で、実質的に一定である透過特性を有しており、基板の裏面側の反射成分を除いた殆どの光を透過する特性となっている。また同様に、近赤外透明基板30上に構成された近赤外反射防止膜32単体が作り出す透過帯の透過特性は、図5(b)で示すように透過リップルが少なく平坦で、実質的に一定である透過特性を有しており、基板の裏面側の反射成分を除いた殆どの光を透過する特性となっている。これら2つの機能膜が作り出すそれぞれの透過特性は図5(b)(c)に示すように厳密には近赤外反射防止膜32の透過率の方が近赤外透過膜31の透過率よりも僅かながら高い値となっているが、実質的に同一とみなせる特性を有している。そして、これら2つの機能膜が作り出す、透過リップルが少なく平坦で、高透過となっているそれぞれの透過特性を合成する事で、図5(a)で示すように、IRパスフィルタ33の透過帯において、透過リップルが少なく平坦で、近赤外透過膜31、及び近赤外反射防止膜32よりも高透過である特性を作り出している。また、IRパスフィルタ33の阻止帯においても同様に、2つの機能膜が作り出す透過特性の合成により透過特性が決定される。従って、近赤外透過膜31、及び近赤外反射防止膜32の2つの機能膜が作り出す透過特性の合成により、IRパスフィルタ33総体としての透過特性が決定される。
本実施例2における近赤外透過膜31、及び近赤外反射防止膜32において、蒸着膜として構成された高屈折率材料であるTiOと低屈折率材料であるSiOに限らず、その時々で最適な材料の組合せを選択すれば良い。
以上のように作製された、IRパスフィルタ33の分光透過特性は図5(a)で示した設計値と略同じ特性を得る事ができた。これにより、本実施例1で作製されたIRパスフィルタ同様、入射光量が少ない夜間撮影時などにおいても、ノイズ成分となる可視波長域の透過を遮断し、暗視画像を生成する為に少しでも多く取り込みたい所定の近赤外波長領域の光を今まで以上に効率良く取り込むことを可能とした事で、暗視画像の高画質化を図る事ができる光学フィルタを得る事ができる。
(実施例3)
本実施例1、2で作製されたような、IRパスフィルタの機能を有する光学フィルタの他の構成例について説明する。
本実施例1、及び本実施例2で説明した、図1、図5で示したような、撮像素子の感度特性や光学系での配置位置などの様々な要素から決定される、調整が必要な近赤外波長領域全域の光を透過させる、エッジフィルタタイプの光学特性とは異なるIRパスフィルタとする事も可能である。
つまりは、調整が必要な近赤外波長領域の特定波長領域のみの光を透過させる、バンドパスタイプのIRパスフィルタとする事でも、本実施例1、2で作製した光学フィルタと同様の効果を持つフィルタを形成する事が可能である。例えば、図1(b)における近赤外透過膜の透過帯の透過特性を、800〜900nmの波長領域のみを100%に近い値で透過させ、950〜1100nmの波長領域の透過を遮断し、その他の波長領域は図1(b)と同様な特性とする。そして、近赤外反射防止膜の光学特性を図1(c)と同様とする。以上より、これら2つの機能膜が作り出す、透過リップルが少なく平坦で、高透過となっているそれぞれの透過特性を合成する事で作製される、透過帯において透過リップルが少なく平坦で、非常に高い透過特性を有するIRパスフィルタを、近赤外波長領域における800〜900nmの特定領域のみ光を透過させるバンドパスタイプとして形成する事ができる。このようなバンドパスタイプの透過特性は、近赤外透過膜を構成している薄膜の膜厚や積層数、薄膜材料などを適宜で調整する事で得る事ができる。同様に800〜1000nmや750〜850nmなど、意図する様々な波長領域のみを透過させるバンドパスタイプのIRパスフィルタを形成する事が可能である。
以上のような、バンドパスタイプのIRパスフィルタや、各機能膜の最表層に形成された複数層で構成された反射防止構造などを、組み合わせて、IRパスフィルタの機能を有する光学フィルタを構成する事も可能である
(実施例4)
本実施例1〜3で作製した光学フィルタを備えるビデオカメラ等の撮像装置に適用した実施例について図7、図8を用いて説明する。
図7(a)(b)は、ビデオカメラなどの撮像装置で、絞り羽根45などで構成された撮像光学系43を透過した光線を、光学フィルタ挿入位置40に配置された光学フィルタにより固体撮像素子44の特性に合わせて調整し、適正な画像を得るような構成となっている。
例えば、図7(a)の構成において、本実施例1〜3で作製されたIRパスフィルタと、近赤外波長領域の光を遮断し可視波長領域の光を透過させるIRカットフィルとを撮像装置内の所定の位置に配置し、光学フィルタ挿入位置40にそれぞれのフィルタを出し入れ自由に駆動させる事で、撮影状況に応じて適切なフィルタを選択し、撮影を行う事が可能である。より具体的には、撮像光学系43を透過して撮像素子44に結像した光量等を判断して、光学フィルタ挿入位置40にIRカットフィルタ41、またはIRパスフィルタ42のどちらか一方のフィルタを配置させる。入射した光量が通常の撮影に十分な量であるときは、IRカットフィルタ41を光学フィルタ挿入位置40に配置させる事でカラー画像を形成し、逆に光量が不十分であるときはIRパスフィルタ42を光学フィルタ挿入位置40に配置させる事で暗視画像を形成する。
これにより作製された撮像装置は、入射光量が多い昼間の撮影時にはIRカットフィルタにより近赤外波長のノイズ成分を除去し、入射光量が少ない夜間の撮影時にはIRパスフィルタにより可視波長のノイズ成分を除去する事が可能となり、撮影画像の高画質化が図られる。
また、IRカットフィルタ41に変え、可視波長領域の光量を減衰させるNDフィルタの機能とIRカットフィルタの機能とを1枚のフィルタで実現したNDIRフィルタを用いる事も可能である。NDIRフィルタはNDフィルタとIRカットフィルタの光学特性を合わせた特性を有しており、図9で例示するような、可視波長領域の光を減衰し、近赤外波長領域の光を遮蔽する透過特性を有している。このような構成とする事で、入射した光量が通常の撮影に十分な量であるときは、NDIRフィルタ46を光学フィルタ挿入位置40に配置させカラー画像を形成し、逆に光量が不十分であるときはIRパスフィルタ42を光学フィルタ挿入位置40に配置させ暗視画像を形成する。このようなNDIRフィルタは、例えば図8(a)(b)に示すように、白板ガラスやIR吸収ガラスなどの透明基板50の一方の面上にIRカット機能を発現するIRカット膜51を配置し、基板50のもう一方の面上に可視光の光量を調整する機能を発現するND膜52を配置する事で構成する事ができる。
さらには、図7(b)に示すように、IRカットフィルタ41とIRパスフィルタ42に加え、可視波長領域の光量を減衰させるNDフィルタ47の3枚のフィルタを併用する事で、前述の効果に加え入射光量が特に多いスチエーションでの高画質化を同時に実現する事が可能となる。この場合、NDフィルタ47はIRカットフィルタ41と組み合わせて使用され、例えば、撮像光学系43を透過した光に対して、NDフィルタ41とIRカットフィルタ47とが同時挿入される。従って、入射光量が特に多い場合はNDフィルタ47とIRカットフィルタ41とを同時挿入した配置とし、通常の昼間撮影ではIRカットフィルタ41を配置し、さらに夜間撮影時にはIRパスフィルタ42を配置するよう事で、様々な撮影スチエーションにおいて高画質化を図る事が可能な撮像装置を実現する事ができる。
また、図8(b)で示した構成を持つNDIRフィルタ55を、図7(a)におけるNDIRフィルタ46として用いる事で、IRパスフィルタ42とNDIRフィルタ46により、入射光量が特に多い場合はNDIRフィルタ46におけるNDIR機能領域47を光路上に配置させ、通常の昼間撮影ではNDIRフィルタ46におけるIRカット機能領域48を光路上に配置させ、さらに夜間撮影時にはIRパスフィルタ42を光路上に配置させる。これにより、様々な撮影スチエーションにおいて高画質化を図る事が可能な撮像装置を実現する事ができる。
このようなIRカットフィルタ、NDフィルタ、及びNDIRフィルタは本実施例1で記載したIRパスフィルタの形成方法と同じ手法などで作製可能であり、例えば蒸着法により複数層の薄膜を積層する事で作製する事ができる。さらに、図8(b)に示したように、NDIRフィルタ54において、ND膜52が形成されずIRカット膜51のみを光が透過できるIRカット機能領域48を有するフィルタ構成の場合、IRカット膜51が配置された位置に対峙する基板50の裏面側に、IRカット膜51の透過帯に該当する波長領域の光の反射を阻止するAR膜53を構成する事が望ましい。このような構成とする事で、NDIRフィルタ54で発生する不要光の乱反射などを低減する事が可能となり、撮影画像の更なる高精度化が図られる。さらには、基板の両面にND膜やIRカット膜を配置させた構成のIRカットフィルタやNDフィルタ、NDIRフィルタを用いた場合であっても、本実施例1〜3で作製されたようなIRパスフィルタと併用する事で、同様の効果を有する、撮像装置を得る事ができる。
また、これに限らず、他の撮像装置であっても、実施例1、2で作製されたようなIRパスフィルタを用いることで、特に入射光量の少ないスチエーションにおける暗視画像等の更なる高精度化を実現する事が可能である。
10,20,30.近赤外透明基板
11,21,31.近赤外透過膜
12,22,32.近赤外反射防止膜
13,23,33.IRパスフィルタ
14,24,34.透過リップル調整層
15,25,35.反射防止構造

40.光学フィルタ挿入位置
41.IRカットフィルタ
42.IRパスフィルタ
43.撮像光学系
44.固体撮像素子
45.絞り羽根
46.NDIRフィルタ
47.NDフィルタ

50.基板
51.IRカット膜
52.ND膜
53.AR膜
54,55.NDIRフィルタ
56.NDIR機能領域
57.IRカット機能領域

Claims (9)

  1. 近赤外波長において光透過性を有する基板の一方の面上に、可視波長の光を遮断し近赤外波長の光の反射を阻止する機能膜を備え、
    前記基板のもう一方の面上に、可視波長の光を低減し近赤外波長の光の反射を阻止する他の機能膜を備えた光学フィルタであり、
    前記基板及び前記機能膜が形成する近赤外波長の光透過と、
    前記基板及び前記他の機能膜が形成する近赤外波長の光透過とを、実質的に同一とすることにより、前記光学フィルタ総体として、可視波長の光を遮断し近赤外波長の光を透過させる光透過特性を有したことを特徴とするIRパスフィルタ。
  2. 前記光学フィルタ総体としての近赤外波長における光透過が、
    前記基板及び前記機能膜が形成する近赤外波長の光透過と、
    前記基板及び前記他の機能膜が形成する近赤外波長の光透過よりも高透過であることを特徴とする、請求項1に記載のIRパスフィルタ。
  3. 前記基板及び前記機能膜が形成する近赤外波長の光透過と、
    前記基板及び前記他の機能膜が形成する近赤外波長の光透過とが、実質的に一定であることを特徴とする、請求項1または2に記載のIRパスフィルタ。
  4. 前記機能膜は近赤外波長の光を透過させる透過帯と可視波長の光を遮断させる透過阻止帯との間を遷移する遷移領域を有し、
    前記他の機能膜は前記遷移領域に対応する波長領域において、光を透過させる他の透過帯を形成していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のIRパスフィルタ。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のIRパスフィルタを備えたことを特徴とする、撮像装置。
  6. 可視波長の光を透過し近赤外波長の光を遮断するIRカットフィルタを備えたことを特徴とする、請求項5に記載の撮像装置。
  7. 可視波長の光を減衰するNDフィルタを備えたことを特徴とする、請求項5または6に記載の撮像装置。
  8. 可視波長の光を減衰し近赤外波長の光を遮断するNDIRフィルタを備えたことを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載の撮像装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のIRパスフィルタを出し入れ自由に駆動させ、撮像手段よりも被写体側に選択的に配置可能な構成を有することを特徴とする、撮像装置。

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