JP2020056877A - 光学フィルタ、及び光学装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】設計の自由度を高めた、波長帯の異なる不連続な2つの透過阻止波長領域を有する光学フィルタを提供すること。【解決手段】本発明の光学フィルタは、基板の少なくても一方の面上に複数の薄膜を積層することで構成された、可視波長領域から近赤外波長領域において、波長領域が異なり、不連続である第1の透過阻止波長領域と、第2の透過阻止波長領域と、波長領域が異なり、不連続である第1の透過波長領域と、第2の透過波長領域を有する光学フィルタであって、第1の高屈折率薄膜11と第1の低屈折率薄膜12の交互層で構成された第1の薄膜積層構造体15と、第2の高屈折率薄膜13と第2の低屈折率薄膜14の交互層で構成された第2の薄膜積層構造体16を備え、前記第1の高屈折率薄膜と前記第1の低屈折率薄膜の屈折率差と、前記第2の高屈折率薄膜と前記第2の低屈折率薄膜の屈折率差とが異なることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明はデジタルカメラやビデオカメラ、監視カメラなど、撮像装置等で使用される光学フィルタに関するものであり、所定の波長領域の光をカット及び透過させる光学フィルタに関する。また、このような光学フィルタを搭載した光学装置に関する。
医療用、農業用の特殊カメラや、暗視画像を撮影する監視カメラなどの撮像デバイスでは、用途に応じて所定の波長帯域の光を透過させる透過領域と、所定の波長領域の光の透過を阻止する透過阻止領域を有するバンドパスフィルタが用いられている。それらのバンドパスフィルタの中でも、波長帯の異なる、不連続な2つの透過阻止領域を有する光学フィルタが知られている。
特開2016−12096号公報
特許文献1では2つの透過波長領域と2つの透過阻止波長領域を有するバンドパスタイプの光学フィルタが開示されており、高屈折率薄膜と低屈折率薄膜の、主に2種類の薄膜の交互層により、波長帯の異なる2つの透過阻止波長領域を構成している。しかしながら、このような場合、フィルタの構成設計が複雑化してしまい、所望の光学特性を得ることが難しい。
以上より、本発明の目的は上述の課題を解消し、設計の自由度を高めることで高精度化を実現できる、波長帯の異なる不連続な2つの透過阻止波長領域を有する光学フィルタを提供することにある。さらには、このような光学フィルタを搭載した光学装置を提供することにある。
以上の課題を解決する為に本発明は、基板の少なくても一方の面上に複数の薄膜を積層することで構成された、可視波長領域から近赤外波長領域において、波長領域が異なり、不連続である第1の透過阻止波長領域と、第2の透過阻止波長領域と、波長領域が異なり、不連続である第1の透過波長領域と、第2の透過波長領域を有する光学フィルタであって、第1の高屈折率薄膜と第1の低屈折率薄膜の交互層で構成された第1の薄膜積層構造体と、第2の高屈折率薄膜と第2の低屈折率薄膜の交互層で構成された第2の薄膜積層構造体を備え、前記第1の高屈折率薄膜と前記第1の低屈折率薄膜の屈折率差と、前記第2の高屈折率薄膜と前記第2の低屈折率薄膜の屈折率差とが異なることを特徴とする、光学フィルタである。
本発明の光学フィルタであれば、設計の自由度を高めた、所望する光学特性により近い値を得ることが可能な、光学フィルタを得ることができる。また、このような光学フィルタを搭載することで、高精度化が図られた光学装置を得ることができる。
本発明を実施するための形態に記載された薄膜積層例の説明図 本実施例1に記載の光学フィルタの分光透過特性 本実施例1に記載の光学フィルタの分光透過特性 本実施例1に記載の光学フィルタの構成図 本実施例2に記載の光学フィルタの分光透過特性 本実施例2に記載の光学フィルタの分光透過特性 本実施例2に記載の光学フィルタの構成図 本実施例3に記載の光学フィルタの分光透過特性 本実施例4に記載の光学装置の説明図
本実施例の光学フィルタは、波長帯の異なる不連続な2つの特定波長領域における光の透過を阻止する、異なる2つの透過阻止波長領域を有するバンドパスタイプの光学フィルタである。これら2つの透過阻止波長領域は、基板上に設けられた第1の透過阻止構造体と第2の透過阻止構造体から形成される。これらの2つの透過阻止構造体は基板上の同一面に積層配置することも可能であるし、基板の両面に分割配置することも可能である。また、これら2つの透過阻止構造体に加え、反射防止構造体(反射防止膜)を別途で配置することもできる。さらには、透過阻止構造体は2つに限らず、それ以上であってもよく、第3、第4となる、別の透過阻止構造体を追加配置することもできる。
第1の透過阻止構造体は高屈折率材料により構成された第1の高屈折率薄膜層と、低屈折率材料により構成された第1の低屈折率薄膜層の交互層を基本構造として形成されている。また同様に、第2の透過阻止構造体は高屈折率材料により構成された第2の高屈折率薄膜層と、低屈折率材料により構成された第2の低屈折率薄膜層の交互層を基本構造として形成されている。第1の高屈折率薄膜層と第1の低屈折率薄膜層との屈折率差と、第2の高屈折率薄膜層と第2の低屈折率薄膜層との屈折率差は異なっており、それぞれの透過阻止構造体が形成する透過阻止波長領域を形成するのに適した屈折率差を有している。後述するが、この第1の低屈折率薄膜層と第2の低屈折率薄膜層は同じ薄膜材料で構成されても良い。
このような光学フィルタの基板としては、少なくても光学フィルタの透過波長領域において光透過性を有する基板を用いる。このような基板はガラスタイプや樹脂タイプ、さらには有機無機のハイブリッドタイプでも良く、光学フィルタの基板として必要とされる強度や光学特性を有する、基体として機能可能であるものが利用される。
透過阻止構造体は基板上に1層以上の薄膜を積層することにより作製され、これらの薄膜は物理的、若しくは化学的成膜方法で形成しても良いし、スピンコートなどの湿式法で形成しても良い。これらの成膜方法の中で、再現性や膜の耐環境性などの観点からは、スパッタ法や、何らかのアシストを付加した蒸着方法など、比較的高エネルギーで膜を形成できるプロセスが好ましい。より具体的にはスパッタ法、IAD法、イオンプレーティング法、IBS法、クラスター蒸着法などが適用可能であり、膜厚を比較的正確に制御でき、再現性の高い膜を得ることができる成膜方法であればよく、透過阻止構造体に求められる特性や生産性等を考慮し、最適な方法を選択すれば良い。
本実施例における透過阻止構造体は、500nmで1.8以上の屈折率を有する高屈折率薄膜層と、500nmで1.6以下の屈折率を有する低屈折率薄膜層の、屈折率の異なる2種類の薄膜の交互層の積層を基本構成とした複数層の薄膜で構成されており、その最表層には透過波長領域である対象波長領域の光の反射を阻止する機能を有する反射防止膜が形成されている。反射防止膜は透過波長領域の中心波長、例えば本実施例に記載されているような400〜1000nmの特定波長領域に透過波長領域を有する光学フィルタならば対象とする波長領域の中心波長である約600〜800nmの1.0qw程度の膜厚であることが好ましい。ここで、qwは膜厚を表す単位であり、1つの波長λを基準として、λ/4を1つの単位としたものであり、例えば 2.0×λ/4の膜厚の場合は2.0qwと表現する。
光学フィルタの透過阻止波長領域においては、理想的には全域で透過率を0%にすることが望ましく、透過阻止波長領域の全波長域で可能な限り0%に近い透過率を得られるように調整される。また、光学フィルタの透過波長領域においては、理想的には全域で100%を透過することが望ましいが、実際にはこれを完璧に満足することは大変困難であり、透過波長領域の全波長域で可能な限り100%に近い透過率を得られるように調整される。このような透過率を実現する為に、本実施例では2つの透過阻止構造体のそれぞれが形成する透過波長領域での透過率を最大化すると共に、場合によっては、基板裏面に設けられた反射防止膜などが形成する透過波長領域での透過率を最大化し、全ての透過波長領域の透過特性を合成することで、光学フィルタ総体としての透過波長領域の透過率を最大化している。
ここで、透過波長領域における透過率は、波長が連続的に変化するにつれ、少なからず波打つように変化しており、これは透過波長領域のリップル(透過リップル)などと呼ばれ、薄膜の積層数が多く、厚膜化するほど発生し易い。この透過リップルが大きくなると、例えば、カラーバランスが崩れたり、夜間撮影時などでは撮像素子に入射する総合的な光量が低減したりするなど、画質の低下を引き起こすことがある為、リップルは可能な限り小さい方が望ましい。そこで、この透過波長領域でのリップルを低減する為に、基板と透過阻止構造体との間にリップルを低減する為の透過リップル調整層を挿入しても良い。光学フィルタ総体としての透過リップルは、2つの透過阻止構造体が形成する透過波長領域での透過リップルと、反射防止膜などが形成する透過波長領域での透過リップルとの合成により決定されるが、本発明においては、積層数が多い為に透過リップルが発生し易い2つの透過阻止構造体をはじめ、光学フィルタを構成する全ての構造体や機能膜単体で透過リップルが少ない平坦な透過特性を有するように構成されており、これらの平坦で高透過な全ての透過波長領域の特性を合成することで、光学フィルタ総体として透過リップルの少ない平坦な透過特性を形成している。これとは別に、例えば、透過リップルに対し、2つの透過阻止波長構造体の透過リップルの位相を調整し、2つの構造体でリップルを打ち消し合うように構成することでも光学フィルタ総体として透過リップルの少ない平坦な透過特性を得ることが可能ではあるが、2つの透過阻止構造体での位相関係に誤差が生じた場合などには、逆に透過リップルを増大させてしまう虞がある為、先の構成の方が望ましい。このような透過リップル調整層は透過阻止構造体を形成する複数の薄膜と比較し、膜厚が薄い特徴を有しており、全ての層の中で最も薄い層となる。透過リップル調整層は2層以上であっても良いが、その場合も、全ての透過リップル調整層は透過阻止構造体を形成する全ての層よりも薄くなる。
図1(a)には高屈折率薄膜層として500nmにおける屈折率が約2.41のTiO膜と、低屈折率薄膜層として500nmにおける屈折率が約1.45のSiO膜のλ/4の膜厚の交互層を16層積層した場合の分光透過特性を示している。また、図1(b)には高屈折率薄膜層として500nmにおける屈折率が約2.15のTa膜と、低屈折率薄膜層として500nmにおける屈折率が約1.45のSiO膜のλ/4の交互層を16層積層した場合の分光透過特性を示している。さらに、図1(c)には高屈折率薄膜層として500nmにおける屈折率が約2.15のTa膜と、低屈折率薄膜層として500nmにおける屈折率が約1.45のSiO膜のλ/4の交互層を20層積層した場合の分光透過特性を示している。図1(a)の構成では高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層の500nmにおける屈折率差は約0.96であり、図1(b)と(c)の構成では高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層の500nmにおける屈折率差は約0.70となっており、図1(a)の構成の方が屈折率差は大きくなっている。
積層数が同じである図1(a)と(b)を比較すると、屈折率差の大きい図1(a)の方が、透過阻止波長領域が広く、阻止波長領域全体的における透過率もより小さい値となっていることが分かる。また、高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層との屈折率差が同じ図1(b)と(c)を比較すると、積層数の多い図1(c)の方が、阻止波長領域全体的における透過率が小さい値となっている。さらに図1(a)と(c)を比較すると、阻止波長領域全体的における透過率は同程度であるものの、透過阻止波長領域は図1(a)の方が広くなっていることが分かる。
このように、積層数が同じ条件下では、交互層の屈折率差が大きい方が透過阻止波長領域は広く、阻止波長領域全体的における透過率をより小さくすることができる。また、交互層の屈折差が同じである場合は、積層数が多い方が阻止波長領域全体的における透過率を小さくすることができる。従って、これらの特性を利用して、阻止波長領域が比較的狭い分光透過特性を得たい場合は、高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層の屈折率差が小さい組合せを選択し、逆に広い帯域の透過を阻止したい場合は、高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層の屈折率差が大きい組合せを選択することで、設計を複雑化させること無く、より所望する光学特性に近い値を得ることができる。
つまり、例えば近赤外波長領域の700〜1200nmの透過を阻止するようなIRカットフィルタのように、透過阻止波長領域が広い為に、2つの透過阻止構造体が対象とする2つの透過阻止波長領域を連続させるように構成された光学フィルタの場合は、2つの構造体で屈折率差が大きい同じ高屈折率薄膜層と同じ低屈折率薄膜層の交互層を選択すれば良いが、本発明の光学フィルタのように、不連続な2つの異なる透過阻止波長領域を有する光学フィルタの場合、2つの透過阻止構造体を構成するそれぞれの交互層の屈折率差は異なる組合せを選択した方が、所望する光学特性に近い特性を得ることが可能となる。
このような本実施例の光学フィルタの場合、低屈折率薄膜は比較的選択肢が少なく、各材料による屈折率の差異も小さいことから、低屈折率薄膜層は2つの透過阻止構造体で主成分が共通となる薄膜材料で構成し、比較的選択肢が多い高屈折率薄膜層の薄膜材料のみを変えることで、2つの透過阻止構造体の屈折率差を調整することも可能である。
また、同じ積層数で同じ材料の組合せの交互層を比較した場合、対象とする波長域が長い方が、阻止波長領域も長くすることが出来る為、これらを加味して最適な構成を選択する必要がある。例えば、第1の透過阻止波長領域が第2の透過阻止波長領域よりも短波長側に配置されており、さらに第1の透過阻止波長領域の波長域の長さが第2の透過阻止波長領域の波長域の長さと同等以上の長さを有している場合、第1の透過阻止波長領域を構成する高屈折率薄膜と低屈折率薄膜の屈折率差の方が、第2の透過阻止波長領域を構成する高屈折率薄膜と低屈折率薄膜の屈折率差よりも大きくなるように構成することが望ましい。より具体的に説明すると、第1の透過阻止波長領域を400〜500nmの100nmの波長領域、第2の透過阻止波長領域を900〜1000nmの100nmの波長領域とした場合、第1の透過阻止波長領域を構成する高屈折率薄膜と低屈折率薄膜の屈折率差の方が、第2の透過阻止波長領域を構成する高屈折率薄膜と低屈折率薄膜の屈折率差よりも大きくなるように構成することで、設計の自由度が高まり、所望する値により近い光学特性を得ることできる。また、透過阻止波長領域が3つ以上となった場合であっても、2つの透過阻止波長領域比較した場合に前述の条件を満足するように光学フィルタを構成することで、同様の効果を得ることができる。
以上のような、光学特性に優れる本発明の光学フィルタを監視カメラや医療用カメラなどの撮像装置や、その他の様々な光学装置に配置させることで、より高精度化された光学装置を得ることができる。
以下、本発明の光学フィルタについて実施例に基づき具体的に説明する。
(実施例1)
1枚の透明基板上に、多層薄膜により構成された2つの透過阻止波長領域と2つの透過波長領域を有する、図2Aに示した分光透過特性を設計値とする光学フィルタを作製した実施例について、以下に詳しく記載する。
図3に示したように、本実施例1の光学フィルタは、基板の一方の面上に第1の高屈折率薄膜11と第1の低屈折率薄膜12の交互層により形成された第1の薄膜積層構造体15を配置し、基板のもう一方の面上に第2の高屈折率薄膜13と第2の低屈折率薄膜14の交互層により形成された第2の薄膜積層構造体16を配置した構成となっている。
このような光学フィルタの基板10には、少なくても第1の透過波長領域123、及び第2の透過波長領域124を含む連続する波長領域である400〜1000nmの波長領域において、基板裏面側での反射成分を除いた入射光の殆どを透過する分光特性を有した厚さ0.4mmのD263Tecoガラスを使用した。
この基板10の一方の面上にIAD法により第1の薄膜積層構造体15を形成した後、基板の表裏を変え、基板10のもう一方の面上にIAD法により第2の薄膜積層構造体16を形成した。
図3に示すように、第1の薄膜積層構造体15は第1の高屈折率薄膜11であるTiOと第1の低屈折率薄膜12であるSiOを交互に積層した16層膜で構成されている。そして、第1の薄膜積層構造体15は、基板10上に第1の薄膜積層構造体15を構成した場合の分光特性である図2B(b)に示した分光特性のように、紫外波長領域の約300〜400nmの波長領域の光の殆どを遮断する透過阻止波長領域と、可視波長から近赤外波長領域にかけての約430〜640nmの波長領域と近赤外波長領域における約850〜1000nmの光を小さいリップルに抑えつつ、基板裏面側での反射成分を除いた殆どの光を透過させた透過波長領域と、を有している。この第1の薄膜積層構造体15の光学特性から光学フィルタ17総体としての第1の透過阻止波長領域121を形成している。また、透過阻止波長領域と透過波長領域に挟まれた約400〜430nmの波長領域には、透過阻止波長領域から透過波長領域へ透過が連続的に変化する遷移波長領域を有しており、この第1の薄膜積層構造体15の光学特性から光学フィルタ17総体としての第1の遷移波長領域101を形成している。光学フィルタ17における、この遷移波長領域での透過率50%の波長を第1の半値波長111と定義し、この値を410nmとした。
図3に示すように、第2の薄膜積層構造体16は第2の高屈折率薄膜13であるTaと第2の低屈折率薄膜14であるSiOを交互に積層した24層膜で構成されている。そして、第2の薄膜積層構造体16は、基板10上に第2の薄膜積層構造体16を構成した場合の分光特性である図2B(c)に示した分光特性のように、可視波長から近赤外波長領域にかけての約700〜800nmの波長領域の光の殆どを遮断する透過阻止波長領域と、可視波長から近赤外波長領域にかけての約430〜640nmの波長領域と近赤外波長領域における約850〜1000nmの光を小さいリップルに抑えつつ、基板裏面側での反射成分を除いた殆どの光を透過させた透過波長領域と、を有している。この第2の薄膜積層構造体16の光学特性から光学フィルタ17総体としての第2の透過阻止波長領域122を形成している。また、透過阻止波長領域と透過波長領域に挟まれた約640〜700nmと約800〜850nmの2つの波長領域には、透過波長領域から透過阻止波長領域へ透過が連続的に変化する2つの遷移波長領域を有しており、この第2の薄膜積層構造体16の光学特性から光学フィルタ17総体としての第2の遷移波長領域102と第3の遷移波長領域103を形成している。光学フィルタ17における、これらの遷移波長領域での透過率50%の波長を第2の半値波長112、第3の半値波長113と定義し、これらの値をそれぞれ654nm、831nmとした。
以上のように、本実施例1における第1の薄膜積層構造体15は、光学フィルタ17における第1の透過阻止波長領域121を形成する主な要素となっており、第2の薄膜積層構造体16は、光学フィルタ17における第2の透過阻止波長領域122を形成する主な要素となっている。このように、それぞれの透過阻止波長領域を、別々の薄膜積層構造体で形成し、さらにはそれぞれの薄膜積層構造体を高屈折率薄膜と低屈折率薄膜の交互層により形成する構成とすることで、比較的少ない積層数と、膜厚の増減の少ない比較的単純な積層構成とすることができ、光学フィルタ構成の簡易化を図ることができる。これらの効果から、光学フィルタの更なる高精度化が図ることができる。
第1の透過阻止波長領域121と第2の透過阻止波長領域122は、同じ100nm程度の波長領域であるが、対象波長自体が長い第2の透過阻止波長領域122の方が、同じ層数、同じ高屈折率薄膜と低屈折率薄膜との交互層の場合、形成される阻止波長領域域は長くなる。本実施例1のように約700〜800nmを対象とした第2の透過阻止波長領域122の場合、500nmでの屈折率が2.41程度であるTiOと500nmでの屈折率が1.45程度であるSiOの交互層(屈折率差0.96)と、500nmでの屈折率が2.15程度であるTaと500nmでの屈折率が1.45程度であるSiOの交互層(屈折率差0.70)では、屈折率差の小さい後者の交互層の組合せとした方が、設計の自由度が広がり、より所望する値に近い光学特性を得ることが可出来る為、後者の組合せを選択した。また逆に、約300〜400nmを対象とした第1の透過阻止波長領域121では、第2の透過阻止波長領域122と比較して対象波長が短い為に、高屈折率薄膜と低屈折率薄膜の交互層で軽視される阻止波長領域域は短くなる。従って、より阻止波長領域域を長くできる、高屈折率薄膜と低屈折率薄膜の屈折率差が大きい、TiOとSiOの交互層の組合せを選択した。
本実施例1のように、波長領域にある第1の透過阻止波長領域121(300〜400nm)が第2の透過阻止波長領域122(700〜800nm)よりも短波長側に配置されており、さらに第1の透過阻止波長領域121の波長域の長さが第2の透過阻止波長領域122の波長域の長さと同等以上の長さを有している場合、第1の透過阻止波長領域121を構成する第1の高屈折率薄膜11であるTiOと第1の低屈折率薄膜12であるSiOの屈折率差(500nmにおいて0.96)の方が、第2の透過阻止波長領域122を構成する第2の高屈折率薄膜13であるTaと第2の低屈折率薄膜14であるSiOの屈折率差(500nmにおいて0.70)よりも大きくなるように構成することが望ましい。このような構成とすることで、設計の自由度が高まり、所望する値により近い光学特性を得ることできる。
基板10上に形成された第1の薄膜積層構造体15単体が作り出す第1の透過波長領域123、及び第1の透過波長領域124の透過特性は、図2B(b)で示すように、透過リップルが少ない平坦で、実質的に一定である透過特性を有しており、基板裏面側の反射成分を除いた殆どの光を透過する特性となっている。また同様に、基板10上に形成された第2の薄膜積層構造体16単体が作り出す第1の透過波長領域123、及び第1の透過波長領域124の透過特性は、図2B(c)で示すように透過リップルが少ない平坦で、実質的に一定である透過特性を有しており、基板の裏面側の反射成分を除いた殆どの光を透過する特性となっている。これら2つの薄膜積層構造体が作り出す2つの透過波長領域におけるそれぞれの透過特性は図2B(b)(c)に示すように、実質的に同一とみなせる特性を有しており、透過リップルが少なく平坦で、高透過となっているそれぞれの透過特性を合成することで、図2B(a)で示すように、光学フィルタ17の第1の透過波長領域123、及び第1の透過波長領域124における、透過リップルが少なく平坦で、第1の薄膜積層構造体15、及び第2の薄膜積層構造体16よりも高透過である特性を作り出している。また、光学フィルタ17の透過阻止波長領域においても同様に、2つの薄膜積層構造体が作り出す透過特性の合成により透過特性が決定される。従って、第1の薄膜積層構造体15、及び第2の薄膜積層構造体16の2つの構造体が作り出す透過特性の合成により、光学フィルタ17総体としての透過特性が決定される。
また、カメラなどでの使用が想定される本実施例1のような特性を有する光学フィルタは、画質に大きな影響を与える為に、透過波長領域や透過阻止波長領域での光量に大変敏感である。従って、光学フィルタ17の阻止波長領域では透過を平均で1%以下、より好ましくは平均で0.1%以下に抑えつつ、透過波長領域では平均で80%以上、より好ましくは平均で90%以上の透過特性を有することが望ましい。
本実施例1における第1の透過阻止構造体15、第2の透過阻止構造体16において、蒸着膜として構成された第1の高屈折率薄膜11や第2の高屈折率薄膜13の薄膜材料としたTiOやTa他に、高屈折率材料としてはNbやZrOなどが使用でき、第1の低屈折率薄膜12、及び第2の低屈折率薄膜14の薄膜材料としたSiOの他に、低屈折率材用としてはMgFなどが使用可能である。また、これらの材料に限らず、NiやW、Mo、Cu、Cr、Fe、Al、Mg、Ti、Si、Nb、Zr、Ta、In、Ag、Auなどの金属化合物でも良く、その時々で最適な材料の組合せを選択すれば良い。
以上のように作製された、光学フィルタ17の分光透過特性は図2Aで示した設計値と略同じ特性を得ることができた。以上より光学特性に優れる、波長帯の異なる2つの透過阻止波長領域を有する光学フィルタ17を得ることができた。
(実施例2)
1枚の透明基板上に、多層薄膜により構成された2つの透過阻止波長領域と2つの透過波長領域を有する、図4Aに示した分光透過特性を設計値とする光学フィルタを作製した実施例について、以下に詳しく記載する。
図5に示したように、本実施例2の光学フィルタは、基板の一方の面上に第1の高屈折率薄膜21と第1の低屈折率薄膜22の交互層により形成された第1の薄膜積層構造体25を配置し、さらにその上に第2の高屈折率薄膜23と第2の低屈折率薄膜24の交互層により形成された第2の薄膜積層構造体26を積層配置し、さらに基板のもう一方の面上に反射防止構造体28を配置した構成となっている。また、第1の薄膜積層構造体25と第2の薄膜積層構造体26の間に、第1の高屈折率薄膜21と第1の低屈折率薄膜22の2層で構成された、干渉条件調整層29を挿入した。干渉条件調整層29は、光学フィルタ28総体としての分光特性を所望の値とする為に、第1の薄膜積層構造体25と第2の薄膜積層構造体26の干渉条件を調整する為の調整層である。本実施例2では、2層構成としたが、3層以上の構成とすることも可能であるし、第2の高屈折率薄膜23を含む、他の薄膜材料を用いることも可能である。
このような光学フィルタの基板20には、少なくても第1の透過波長領域223、及び第2の透過波長領域224を含む連続する波長領域である400〜1000nmの波長領域において、基板裏面側での反射成分を除いた入射光の殆どを透過する分光特性を有した厚さ0.4mmのD263Tecoガラスを使用した。
この基板20の一方の面上にIAD法により第1の薄膜積層構造体25を形成し、干渉条件調整層29を同様にIAD法により形成した後、さらにその上にIAD法により第2の薄膜積層構造体26を形成した。次に基板20の表裏を変え、基板20のもう一方の面上に10層の多層薄膜で構成された反射防止構造体28をIAD法により形成した。
図5に示すように、第1の薄膜積層構造体25は第1の高屈折率薄膜21であるTiOと第1の低屈折率薄膜22であるSiOを交互に積層した16層膜で構成されている。そして、第1の薄膜積層構造体25は、基板20上に第1の薄膜積層構造体25を構成した場合の分光特性である図4B(b)に示した分光特性のように、紫外波長領域の約300〜400nmの波長領域の光の殆どを遮断する透過阻止波長領域と、可視波長から近赤外波長領域にかけての約430〜640nmの波長領域と近赤外波長領域における約850〜1000nmの光を小さいリップルに抑えつつ、基板裏面側での反射成分を除いた殆どの光を透過させた透過波長領域と、を有している。この第1の薄膜積層構造体25の光学特性から光学フィルタ27総体としての第1の透過阻止波長領域221を形成している。また、透過阻止波長領域と透過波長領域に挟まれた約400〜430nmの波長領域には、透過阻止波長領域から透過波長領域へ透過が連続的に変化する遷移波長領域を有しており、この第1の薄膜積層構造体25の光学特性から光学フィルタ27総体としての第1の遷移波長領域201を形成している。光学フィルタ27における、この遷移波長領域での透過率50%の波長を第1の半値波長211と定義し、この値を411nmとした。
図5に示すように、第2の薄膜積層構造体26は第2の高屈折率薄膜23であるTaと第2の低屈折率薄膜24であるSiOを交互に積層した26層膜で構成されている。そして、第2の薄膜積層構造体26は、基板20上に第2の薄膜積層構造体26を構成した場合の分光特性である図4B(c)に示した分光特性のように、可視波長から近赤外波長領域にかけての約700〜800nmの波長領域の光の殆どを遮断する透過阻止波長領域と、可視波長から近赤外波長領域にかけての約430〜640nmの波長領域と近赤外波長領域における約850〜1000nmの光を小さいリップルに抑えつつ、基板裏面側での反射成分を除いた殆どの光を透過させた透過波長領域と、を有している。この第2の薄膜積層構造体26の光学特性から光学フィルタ27総体としての第2の透過阻止波長領域222を形成している。また、透過阻止波長領域と透過波長領域に挟まれた約640〜700nmと約800〜850nmの2つの波長領域には、透過波長領域から透過阻止波長領域へ透過が連続的に変化する2つの遷移波長領域を有しており、この第2の薄膜積層構造体26の光学特性から光学フィルタ27総体としての第2の遷移波長領域202と第3の遷移波長領域203を形成している。光学フィルタ27における、これらの遷移波長領域での透過率50%の波長を第2の半値波長212、第3の半値波長213と定義し、これらの値をそれぞれ653nm、833nmとした。
以上のように、本実施例2における第1の薄膜積層構造体25は、光学フィルタ27における第1の透過阻止波長領域221を形成する主な要素となっており、第2の薄膜積層構造体26は、光学フィルタ27における第2の透過阻止波長領域222を形成する主な要素となっている。このように、それぞれの透過阻止波長領域を、別々の薄膜積層構造体で形成し、さらにはそれぞれの薄膜積層構造体を高屈折率薄膜と低屈折率薄膜の交互層により形成する構成とすることで、光学フィルタ構成の簡易化を図ることができ、光学フィルタにおける光学特性の高精度化を図ることができる。
第1の透過阻止波長領域221と第2の透過阻止波長領域222では、対象波長自体が長い第2の透過阻止波長領域222の方が、同じ層数、同じ高屈折率薄膜と低屈折率薄膜との交互層の場合、形成される阻止波長領域域は長くなる。本実施例2のように約700〜800nmを対象とした第2の透過阻止波長領域222の場合、500nmでの屈折率が2.41程度であるTiOと500nmでの屈折率が1.45程度であるSiOの交互層(屈折率差0.96)と、500nmでの屈折率が2.15程度であるTaと500nmでの屈折率が1.45程度であるSiOの交互層(屈折率差0.70)では、屈折率差の小さい後者の交互層の組合せとした方が、より所望する値に近い光学特性を得ることが可能である為、後者の組合せを選択した。また逆に、約300〜400nmを対象とした第1の透過阻止波長領域221では、より阻止波長領域域を長くできる、高屈折率薄膜と低屈折率薄膜の屈折率差が大きい、TiOとSiOの交互層の組合せを選択した。
本実施例2のように、波長領域にある第1の透過阻止波長領域221(300〜400nm)が第2の透過阻止波長領域222(700〜800nm)よりも短波長側に配置されており、さらに第1の透過阻止波長領域221の波長域の長さが第2の透過阻止波長領域222の波長域の長さと同等以上の長さを有している場合、第1の透過阻止波長領域221を構成する第1の高屈折率薄膜21であるTiOと第1の低屈折率薄膜22であるSiOの屈折率差(500nmにおいて0.96)の方が、第2の透過阻止波長領域222を構成する第2の高屈折率薄膜23であるTaと第2の低屈折率薄膜24であるSiOの屈折率差(500nmにおいて0.70)よりも大きくなるように構成することが望ましい。
基板20上に形成された第1の薄膜積層構造体25単体が作り出す透過波長領域の透過特性は、図4B(b)で示すように、透過リップルが少ない平坦で、実質的に一定である透過特性を有しており、基板裏面側の反射成分を除いた殆どの光を透過する特性となっている。また同様に、基板20上に形成された第2の薄膜積層構造体26単体が作り出す透過波長領域の透過特性は、図4B(c)で示すように透過リップルが少ない平坦で、実質的に一定である透過特性を有しており、基板の裏面側の反射成分を除いた殆どの光を透過する特性となっている。これら2つの薄膜積層構造体が作り出す透過波長領域におけるそれぞれの透過特性は図4B(b)(c)に示すように、実質的に同一とみなせる特性を有しており、透過リップルが少なく平坦で、高透過となっているそれぞれの透過特性を合成することで、図4B(a)で示すように、光学フィルタ27の透過波長領域における、透過リップルが少なく平坦で、第1の薄膜積層構造体25、及び第2の薄膜積層構造体26よりも高透過である特性を作り出している。また、光学フィルタ27の透過阻止波長領域においても同様に、2つの薄膜積層構造体が作り出す透過特性の合成により透過特性が決定される。従って、第1の薄膜積層構造体25、及び第2の薄膜積層構造体26の2つの構造体が作り出す透過特性の合成により、光学フィルタ27総体としての透過特性が決定される。
また、カメラなどでの使用が想定される本実施例2のような特性を有する光学フィルタは、画質に大きな影響を与える為に、透過波長領域や透過阻止波長領域での光量に大変敏感である。従って、光学フィルタ27の阻止波長領域では透過を平均で1%以下、より好ましくは平均で0.1%以下に抑えつつ、透過波長領域では平均で80%以上、より好ましくは平均で90%以上の透過特性を有することが望ましい。
本実施例2における第1の透過阻止構造体25、第2の透過阻止構造体26において、蒸着膜として構成された第1の高屈折率薄膜21や第2の高屈折率薄膜23の薄膜材料としたTiOやTa他に、高屈折率材料としてはNbやZrOなどが使用でき、第1の低屈折率薄膜22、及び第2の低屈折率薄膜24の薄膜材料としたSiOの他に、低屈折率材用としてはMgFなどが使用可能である。また、これらの材料に限らず、NiやW、Mo、Cu、Cr、Fe、Al、Mg、Ti、Si、Nb、Zr、Ta、In、Ag、Auなどの金属化合物でも良く、その時々で最適な材料の組合せを選択すれば良い。
以上のように作製された、光学フィルタ27の分光透過特性は図4Aで示した設計値と略同じ特性を得ることができた。以上より光学特性に優れる、波長帯の異なる2つの透過阻止波長領域を有する光学フィルタ27を得ることができた。
(実施例3)
第1、第2の透過阻止波長領域に加え、第3の透過阻止波長領域を有するタイプの光学フィルタに関する他の構成例について説明する。
本実施例1、2で示したような光学フィルタが、第2の透過波長領域が対象としている波長領域以上の波長領域の特性を制限しないタイプのフィルタであったのに対し、第2の透過波長領域の対象波長領域以上の波長領域の透過を再び阻止する図6で示したような、第1の透過阻止波長領域321と第2の透過阻止波長領域322に加え、第3の透過阻止波長領域323を有する光学フィルタ37とすることも可能である。
このような、3つ以上の透過阻止波長領域の内、2つの異なる不連続な透過阻止波長領域を比較した際、短波長側に配置された透過阻止波長領域の波長域の長さが長波長側に配置された透過阻止波長領域の波長域と同等以上の長さを有する場合、短波長側に配置された透過阻止波長領域を構成する高屈折率薄膜と低屈折率薄膜との屈折率差を、長波長側に配置された透過阻止波長領域を構成する高屈折率薄膜と低屈折率薄膜との屈折率差よりも大きくなるように構成することで、設計の自由度を高めることが可能である。
また、第1の透過阻止波長領域321、第2の透過阻止波長領域322、第3の透過阻止波長領域323をこの順に短波長側から長波長側に向け配置した、3つの異なる不連続な透過阻止波長領域を有する光学フィルタにおいて、第1の透過阻止波長領域321の波長域の長さと比較して第2の透過阻止波長領域322の波長域の長さが同等以上の長さを有しており、さらに第2の透過阻止波長領域321の波長域の長さと比較して第3の透過阻止波長領域323の波長域の長さが、同等以上の長さを有している場合、第1の透過阻止波長領域321を構成する第1の高屈折率薄膜と第1の低屈折率薄膜の屈折率差、第2の透過阻止波長領域322を構成する第2の高屈折率薄膜と第2の低屈折率薄膜の屈折率差、第3の透過阻止波長領域321を構成する第3の高屈折率薄膜と第3の低屈折率薄膜の屈折率差が、この順に大きい値を取るように構成することが望ましい。このような構成とすることで、設計の自由度が高まり、所望する値により近い光学特性を得ることできる。
さらに他の構成例として、本実施例1、2で作製した光学フィルタは近紫外波長領域と可視−近赤外波長領域とにそれぞれ透過阻止波長領域を有していたが、例えば可視波長領域に2つの阻止波長領域を有する構成としても良いし、可視波長領域と近赤外波長領域や、近紫外波長領域と可視波長領域に2つの阻止波長領域を設けることも可能である。さらには、これらの領域に第4、第5の阻止波長領域を有する構成にするなど、4つ以上の阻止波長領域を設けることも可能である。
(実施例4)
本実施例1〜3で作製した光学フィルタを備える、光学装置の1つであるビデオカメラ等の撮像装置に適用した実施例について図7を用いて説明する。
図7はビデオカメラなどの撮像装置の概略図であり、レンズや絞り羽根などで構成された撮像光学系47を透過した光線を、固体撮像素子48前の光学フィルタ挿入位置40に配置された光学フィルタにより所望の光学特性に調整して、適正な画像を得る構成となっている。この光学フィルタ挿入位置40に、本実施例1〜3で作製された光学フィルタ(バンドパスフィルタ41)を配置することで撮影画像の高画質化が図られ、光学装置(撮像装置)49の高精度化を実現することが可能となる。
また、図7の構成において、本実施例1〜3で作製された光学フィルタである、異なる2つの透過阻止領域を有するバンドパスフィルタ41を撮像装置内の所定の位置に配置しておき、撮影状況に応じて光学フィルタ挿入位置40にバンドパスフィルタ41を移動させることで、撮影を行うことが可能である。さらには、バンドパスフィルタ41とは透過波長領域や透過阻止波長領域の異なる、バンドパスフィルタ42を併用し、撮影状況に応じてフィルタを適宜選択して使用することもできる。また、これらに加え、第3のフィルタとしてARフィルタ43を併用することも可能であるし、不図示の他のフィルタを併用することも可能である。
以上のように、本実施例4の構成であれば、光学装置内に所望する光学特性により近い特性を有する光学フィルタを使用したことで、撮影装置の高画質化など、より高精度化された光学装置を実現することができる。
また、本実施例の撮影装置などの光学装置に限らず、他の光学装置であっても、実施例1〜3で作製されたような光学フィルタを用いることで、光学装置の高精度化を図ることができる。
10、20.基板
11、21.第1の高屈折率薄膜
12、22.第1の低屈折率薄膜
13、23.第2の高屈折率薄膜
14、24.第2の低屈折率薄膜
15、25.第1の薄膜積層構造体
16、26.第2の薄膜積層構造体
17、27、37.光学フィルタ
28.反射防止構造体
29.干渉条件調整層
101、201.第1の遷移波長領域
102、202.第2の遷移波長領域
103、203.第3の遷移波長領域
111、211.第1の半値波長
112、212.第2の半値波長
113、213.第3の半値波長
121、221.第1の透過阻止波長領域
122、222.第2の透過阻止波長領域
123、223.第1の透過波長領域
124、224.第2の透過波長領域

Claims (8)

  1. 基板の少なくても一方の面上に複数の薄膜を積層することで構成された、
    可視波長領域から近赤外波長領域において、波長領域が異なり、不連続である第1の透過阻止波長領域と、第2の透過阻止波長領域と、
    波長領域が異なり、不連続である第1の透過波長領域と、第2の透過波長領域を有する光学フィルタであって、
    第1の高屈折率薄膜と第1の低屈折率薄膜の交互層で構成された第1の薄膜積層構造体と、
    第2の高屈折率薄膜と第2の低屈折率薄膜の交互層で構成された第2の薄膜積層構造体を備え、
    前記第1の高屈折率薄膜と前記第1の低屈折率薄膜の屈折率差と、
    前記第2の高屈折率薄膜と前記第2の低屈折率薄膜の屈折率差とが異なることを特徴とする、光学フィルタ。
  2. 前記第1の薄膜積層構造体と前記第2の薄膜積層構造体とが、前記基板上の同一面上に積層配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. 前記第1の薄膜積層構造体と前記第2の薄膜積層構造体とを積層配置した面とは異なる、前記基板のもう一方の面上に、少なくても前記第1の透過波長領域と、前記第2の透過波長領域を含む波長領域の光の反射を抑制した、反射防止構造体を形成したことを特徴とする、請求項2に記載の光学フィルタ
  4. 前記基板の一方の面上に前記第1の薄膜積層構造体を形成し、前記基板のもう一方の面上に前記第2の薄膜積層構造体を形成したことを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルタ。
  5. 前記第1の透過阻止波長領域は主に前記第1の薄膜積層構造体により形成され、
    前記第2の透過阻止波長領域は主に前記第2の薄膜積層構造体により形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
  6. 前記第1の透過阻止波長領域が前記第2の透過阻止波長領域よりも短波長側に配置され、
    前記第1の透過阻止波長領域の波長域が前記第2の透過阻止波長領域の波長域よりも同等以上の長さを有し、前記第1の高屈折率薄膜と前記第1の低屈折率薄膜の屈折率差の方が、前記第2の高屈折率薄膜と前記第2の低屈折率薄膜の屈折率差よりも値が大きいことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
  7. 前記第1の低屈折率薄膜と、前記第2の低屈折率薄膜とが主成分が共通の薄膜材料で形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学フィルタ
  8. 請求項1〜7に記載のいずれか一項光学フィルタを搭載した、光学装置。

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