本発明は、空気を熱媒として日中の太陽熱の集熱を行い、これを暖房に用いるパッシブソーラー利用のソーラーシステムハウスなどで使用する太陽熱利用機器において、太陽熱、放射冷却とヒートポンプ空調熱交を合体した場合に効率よく運転できる太陽熱利用機器の運転制御方法に関するものである。
住宅の高気密高断熱が整備され、従来の個別エアコンや間欠冷暖房から、住宅業界では全館空調への動きが加速している。
例えば、太陽で温められる空気によって暖房等を行うソーラーシステムハウスとしては下記特許文献にもあるが、図33に示すようなものがある。
特許第4485539号公報
これは集熱面であるカラー鉄板の金属製屋根板1の直下に屋根勾配を有する空気流路2を形成し、この空気流路2の一方の端は軒先に空気取入口3として開口し、さらに空気流路2の他方の端は集熱ダクト4に連通させる。屋根板1の一部は太陽電池23で覆い、太陽熱発電を行う。
内部に逆流防止兼流路切換えダンパー6、ファン7及び流路切換えダンパー8を設けたハンドリングボックス5を屋根裏空間である小屋裏33に設置し、ハンドリングボックス5の流路切換えダンパー8の流出側の一方は排気ダクト9により屋外に開口する。
また、ハンドリングボックス5の逆流防止兼流路切換えダンパー6の流入側は、前記集熱ダクト4に連通させる接続ダクト32と室内20からの循環ダクト18とに選択的に接続し、流路切換えダンパー8の流出側の他の一方を立下りダクト10の上端に連結する。
立下りダクト10の下端は床下蓄熱体としての土間コンクリート11と床パネル12との間の空気流通空間13に開口した。さらに、該空気流通空間13から室内への床吹出口14を設けた。
ハンドリングボックス5の内部またはハンドリングボックス5集熱ダクト4との間にお湯とりコイル15を設け、このお湯とりコイル15は循環配管16で貯湯槽17に連結する。図示は省略するが貯湯槽17は循環ポンプと有し、また、必要に応じて追焚き用の給湯ボイラーを途中へ設けて、風呂や洗面所、台所へとつながる給湯配管をこの貯湯槽17に接続する。
このようにして、暖房が必要な冬の昼間は、軒先の空気取入口3から入った冷たい空気は、屋根板1に降り注ぐ太陽の熱によって徐々に暖められる。この温められた空気は屋根勾配に沿って上昇する。そして、この加熱空気は集熱ダクト4に集められてからファン7によりハンドリングボックス5に入り、ハンドリングボックス5から立下りダクト10内へ流下し、床下に送られる。
空気は床下に広がり、蓄熱土間コンクリート11に熱を奪われ(蓄えさせ)ながら、床吹出口14から温風として室内20へと流れ出る。夕方、外気温が下がり始める頃から、昼間蓄熱土間コンクリート11に蓄えられた熱が放熱を始め、床を温める。
夏の昼間は暖房の不要な期間であり、太陽熱で温められた空気は、昼間、貯湯槽17内の水を温めることに利用される。すなわち、流路切換えダンパー8の流出側を排気ダクト9に接続し、お湯とりコイル15で湯を作るだけで、前記排気ダクト9から戸外へ捨てられる。
お湯とりコイル15では、ここに循環配管16を介して貯湯槽17から送り込まれる熱媒が加熱され、湯として貯湯槽17へ蓄えられ、さらにここから必要に応じて追焚き用の給湯ボイラーで再加熱されて給湯配管から各所へ給湯される。
快晴の日の雲のない夏の夜は、ファン7を駆動して軒先の空気取入口3から外気を空気流路2に取り込み、放射冷却現象(放射冷却で屋根全体が冷える)を利用して、涼しい外気を室内に取り込む。冷房のようには冷えないが、寝苦しくない夏の夜を演出できる。
前記特許文献1に示す空気集熱式太陽熱床暖房システム(ソーラーシステムハウス)は暖房システムとして省エネ性・快適性ともに極めて優れているが、悪天候のときや冷房に対しては別の暖冷房システムが必要になっていた。
また、集熱しているときは換気システムとしてきわめてたくさんの換気量があり有効だが、夜間や夏期は別換気システムが必要になり、いずれも二重設備が必要だった。
お湯採りシステムも雨天や曇天などのために給湯補助ボイラーなどの別システムが必要になり、空気集熱式太陽熱床暖房システムでも補助システムが必要で二重設備になるのが大きな課題だった。
また、通常の住宅設備では居室分の空調設備(エアコン)が必要で屋外に5台〜6台の室外ユニットや貯湯槽などが必要で室内外の景観を悪化させるだけでなく、狭い敷地では設置スペースが取れないことや隣地との騒音や熱風等のトラブルがあった。
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、太陽熱利用での省エネ性を生かしながら、二重設備の課題も解決し、ヒートポンプ空調熱交(空調機)と全熱交換器を一体に構成することでダクト設備や施工を軽減することができる太陽熱利用機器の制御方法を提供することにある。
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、ダンパーおよびファンを設けた屋内ユニットとしてのハンドリングボックスを屋根集熱部に直接または間接的に連結し、ハンドリングボックスからのダクトを屋内もしくは床下空間に導くソーラーシムテムハウスにおいて、ヒートポンプによる屋外ユニット、貯湯ユニットを備え、また、ハンドリングボックスに外気と室内空気を熱交換する換気空気と室内戻り空気を混合して全熱交換器とヒートポンプの空調熱交を設置し、
集熱可能な条件として、集熱空気温が全熱交換器を通して外気と室内空気を熱交換して得られた空気より高いときは、屋根集熱部での集熱空気を取り入れ、ハンドリングボックスからのダクトを介して屋内もしくは床下空間に導く太陽熱集熱暖房を行い、室温が設定温度より低いときは、全熱交換器を通した換気空気と室内戻り空気を混合して吸込んでヒートポンプの空調熱交で暖房する暖房運転を行い、もしくは、室温が設定温度より低いときで、前記屋根集熱部からの集熱空気温が、全熱交換器を通ってきた空気温よりも高い場合は、ヒートポンプの空調熱交で暖房すし、前記ハンドリングボックスからのダクトを介して屋内もしくは床下空間に導く太陽熱集熱暖房を行い、冷房室温設定より室温が高いときは、全熱交換器を通した換気空気と室内空気を混合して吸込んでヒートポンプ冷房する冷房運転を行うことを要旨とするものである。
室内ユニットにはヒートポンプ空調熱交が搭載されているので室温を一定にするのはヒートポンプが運転すれば可能である。しかし、それでは年中ヒートポンプが運転して、太陽熱や夜間放射冷却などの自然エネルギーが使用されない。
請求項1記載の本発明によれば、ハンドリングボックスに外気と室内空気を熱交換する全熱交換器を搭載することで、太陽熱集熱暖房を行う時以外に、暖房運転として室温が設定温度より低いとき全熱交換器を通した外気(換気空気)と室内戻り空気を混合して吸込んでヒートポンプ暖房する、冷房運転として、冷房室温設定より室温が高いときに全熱交換器を通した外気(換気空気)と室内空気を混合して吸込んでヒートポンプ冷房することができる。
設定温度に達したら屋根集熱部からの集熱空気だけでヒートポンプを止めて暖房する。また、この条件は冷房のときも同じで、室温に関わらず全熱交換器より屋根集熱部からの空気が低ければ、そちらを吸込みヒートポンプ冷却を追加して室内に吹出す。
このようにして、全熱交換器は太陽熱、夜間放射冷却を利用しながら、ヒートポンプによる冷暖房を行なう全館空調機で、ハンドリングボックスに外気と室内空気を熱交換する全熱交換器とヒートポンプの空調熱交を設置することで、通常のエアコンや全館空調システムと違い、快適な温度範囲の中で外気温や室温を機械が判断して集熱取り込み運転や放射冷却外気取り込み運転を利用しながら、ヒートポンプの運転を最少にする運転を行うことができる。
従って、通常のエアコンや全館空調システムと違い、快適な温度範囲の中で外気温や室温を機械が判断して集熱取り込み運転や放射冷却外気取り込み運転を利用しながら、ヒートポンプの運転を最少にする運転を行うことができる。
さらに、自動的に冷房モードと暖房モードを機械が判断することで、この判断を集熱空気の有効利用や外気取入を活用することができ、また、この判断を冷房排熱をお湯採りに使うために使用でき、このような制御により、20℃〜27℃の間で(専ら22℃〜25℃)自然エネルギー(OM集熱と外気取入)を優先に使う制御ができる。
真夏と真冬以外は健康に支障の無い温度範囲で自然なリズムで温度変化を許すことで、有効に自然エネルギーを使える時間帯が増える。年間エネルギー消費で2000〜2500kWhになり、3kWの太陽電池システムだけで、空調給湯エネルギーを賄える。
請求項2記載の本発明は、屋根集熱部は太陽電池を備えるものであり、冷房運転では全熱交換器を通した換気空気と室内空気を混合して吸込んで、屋根集熱部の太陽電池の裏面を通して排気することを要旨とするものである。
請求項2記載の本発明によれば、冷房モードでは1種換気運転(全熱交換器を通した換気空気と室内空気を混合して吸込んでヒートポンプ冷房)を行い、排気空気は太陽電池の裏面を通して排気することで太陽電池を冷却し、太陽電池の効率をアップさせることができる。
請求項3記載の本発明は、季節判断(冷暖判断)として、温度センサーの検知で、外気温18℃以下で常時暖房設定、外気温25℃以上で常時冷房設定とし、冷房設定温度−2℃までは暖房運転、それを超えたら冷房運転であり、冷房運転は暖房設定温度+2℃まで冷房運転を行い、その温度を下回ったら暖房運転になることを要旨とするものである。
請求項3記載の本発明によれば、判断温度を設定することで、適切は制御が可能となる。
以上述べたように本発明のソーラーシステムハウス用太陽熱利用機器の制御方法は、太陽熱利用での省エネ性を生かしながら、二重設備の課題も解決し、ヒートポンプ空調機と全熱交換器を一体に構成することでダクト設備や施工を軽減することができるものである。
また、通常のエアコンや全館空調システムと違い、快適な温度範囲の中で外気温や室温を機械が判断して集熱取り込み運転や放射冷却外気取り込み運転を利用しながら、ヒートポンプの運転を最少にすることができる。
本発明の太陽熱利用機器の運転制御方法を適用するソーラーシステムハウスの概要を示す説明図である。
本発明の太陽熱利用機器の運転制御方法を適用するソーラーシステムハウスの概要を示す斜視図である。
本発明の太陽熱利用機器の運転制御方法を適用するソーラーシステムハウスの概要を示す透視図である。
ハンドリングボックスの正面図である。
ハンドリングボックスの平面図である。
ハンドリングボックスの左側面図である。
ハンドリングボックスの右側面図である。
温度センサー設置の説明図である。
冷暖判定モードの制御フロー図である。
暖房モードの制御フロー図である。
冷房モードの制御フロー図である。
ダンパー・ファン制御の制御フロー図である。
温度リズムイメージを示すグラフである。
おまかせ設定温度を示すグラフである。
スマホでの温度設定の変更を示すグラフである。
リモコンの正面図である。
動作モード(暖房)で、屋根集熱部暖房の説明図である。
動作モード(暖房)で、屋根集熱部暖房+ヒートポンプ暖房の説明図である。
動作モード(暖房)で、屋根集熱部暖房+ヒートポンプ貯湯の説明図である。
動作モード(暖房)で、換気+送風の説明図である。
動作モード(暖房〜冷房)で、換気+ヒートポンプ暖房の説明図である。
動作モード(暖房〜冷房)で、換気+ヒートポンプ貯湯の説明図である。
動作モード(暖房〜冷房)で、LITE(屋根集熱部暖房とは逆運転)+ヒートポンプ冷房+ヒートポンプ貯湯の説明図である。
動作モード(暖房〜冷房)で、LITE(屋根集熱部暖房とは逆運転)+ヒートポンプ冷房の説明図である。
動作モード(冷房)で、LITE(屋根集熱部暖房とは逆運転)+送風+ヒートポンプ貯湯の説明図である。
動作モード(冷房)で、屋根集熱部からの夜間取入の説明図である。
動作モード(冷房)で、屋根集熱部からの夜間取入+ヒートポンプ冷房の説明図である。
動作モード(冷房)で、屋根集熱部からの夜間取入+ヒートポンプ貯湯の説明図である。
本発明の運転概要で、冬(集熱あり)の説明図である。
本発明の運転概要で、冬(集熱なし)の説明図である。
本発明の運転概要で、夏(集熱あり)の説明図である。
本発明の運転概要で、夏(夜間)の説明図である。
従来例としてのソーラーシステムハウスの概要を示す説明図である。
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の太陽熱利用機器の運転制御方法を適用するソーラーシステムハウスの概要を示す説明図、図2は同上斜視図、図3は同上透視図で、前記図34に示す太陽エネルギーを利用するものとして、太陽で温められる空気によって暖房等を行うソーラーシステムハウスの従来例と同一構成要素には同一参照符号を付したものである。
集熱面であるカラー鉄板の金属製屋根板1の直下に屋根勾配を有する空気流路2を形成して屋根集熱部40とし、空気流路2の一方の端は軒先に空気取入口3として開口し、さらに空気流路2の他方の端は集熱ダクト4に連通させる。屋根板1の一部は太陽電池23で覆い、太陽熱発電を行う。
図中5は流入ダクトと流出ダクトを接続し、ダンパーおよびファンを設けた(空気流通)制御ボックスであるハンドリングボックスで、図5〜図7に示すように、集熱空気接続口5−1、室内還り空気接続口5−2−1、室内還り空気接続口5−2−2、屋外吸込口5−3、冷房口5−4−1、冷房口5−4−2、暖房(床下)口5−5、屋外への排気口5−6、LITE運転口5−7、ドレン口5−8、冷媒配管口5−9を有する。ここでLITE運転とは、冷房モードのときに後述の全熱交換器56を通過した排気空気をLITE運転口5−7から太陽電池23の裏面に逆流させて排気する運転((屋根集熱部暖房とは逆運転)をいう。
ダンパーにはヒンジで吊り下がり、ファンの動圧で開閉する重力式ダンパー52と、モータで開閉を制御する比例ダンパー53とがあり、ファン54は重力式ダンパー52を作動させるものとして、前記冷房口5−4−1、冷房口5−4−2、暖房(床下)口5−5、屋外への排気口5−6、LITE運転口5−7の5箇所の各吹出口に設置され、これに対応して重力式ダンパー52が設けられる。
比例ダンパー53は吸込み口である集熱空気接続口5−1、室内還り空気接続口5−2−1、屋外吸込口5−3に設けられ、吸込み風量を混合するために開度を調整する。
図中55は筒型フィルターで、室内還り空気接続口5−2−1と室内還り空気接続口5−2−2に配設される。
流入ダクトとして、前記屋根集熱部40に連結する集熱接続ダクト41および集熱ダクト42が集熱空気接続口5−1に接続され、外気吸込口43を端部とする外気吸込ダクト44が屋外吸込口5−3に接続される。
ハンドリングボックス5に接続する流出ダクトとして、下端が土間コンクリート11の上の断熱材と床パネル12の間の空気流通空間13に床下への送風口25として開口する立下りダクト10が暖房(床下)口5−5に接続され、室内20に吹き出し口46として開口する送気ダクト47が冷房口5−4−1、冷房口5−4−2に接続される。
また、端部を排気口45として屋外に開口する排気ダクト9が排気口5−6に接続される。
なお、送気ダクト47は分岐管48や分岐ボックス49で分岐し複数の吹き出し口46に導かれる。
また、端部が集熱接続ダクト41に接続する屋根排気ダクト50がLITE運転口5−7に接続される。
ハンドリングボックス5の内部中央に、外気と室内空気を熱交換する全熱交換器56とヒートポンプの空調熱交(空調熱交換器)57を設置した。
図2中、58はヒートポンプによる屋外ユニット、59は貯湯ユニットで、ヒートポンプによる屋外ユニット58は冷媒配管60で冷媒配管口5−9を介してヒートポンプの空調熱交(空調熱交換器)57と連結し、ドレン口5−8に接続するドレン管61は屋外に導かれる。
貯湯ユニット59は配管65でヒートポンプによる屋外ユニット58と繋がり、また、貯湯ユニット59からは風呂67との風呂循環配管64や給水口63がある給湯配管62が接続されて伸びている。図示は省略するが給湯配管62は風呂の他に洗面所、台所へと繋がる。66は貯湯ユニット59への給水配管である。
本発明は温度センサーを設置するものであり、図8に示すように集熱温度センサー70−1は集熱ダクト42の接続部に、外気温センサー70−2は外気吸込ダクト44の接続部に、室内リターンセンサー70−3は室内還り空気接続口5−2−1にそれぞれ設けた。
また、熱交換前温湿度センサー70−4はハンドリングボックス5の外側に設け、室内に設置する図9に示すリモコン71に内蔵させるリモコン内蔵(室温)センター70−5を室内に、室外ユニット外気温センサー70−7をヒートポンプによる屋外ユニット58の外側に設置する。
なお、貯湯ユニット59には、貯温槽缶体表面温度センサー70−6−1(7点)と給水、給湯温度、風呂循環温度を把握する温度センサー70−6−2が設けられている。
図8に示すように、コンピュータ等による制御装置72は例えばハンドリングボックス5に搭載され、これにLANで家庭用ルーター73を介して計測ユニット74、パワーコンディショナ75、分電盤76が接続される。
図中79は家庭用ルーター73に接続するエコナビゲートウェイである。エコナビゲートウェイとは、エコーネットライトを使って、太陽熱利用機器の運転の動作状況などを通信してクラウドに保存するシステムで、スマートホンなどを使って自宅の運転状況や発停もできるなどのサービスの通信をするための通信装置である。
また、77は台所リモコン、78は浴槽リモコンで、貯湯ユニット59のコントローラである。
本発明は前記のようなダンパーおよびファンを設けた屋内ユニットとしてのハンドリングボックス5を屋根集熱部40に直接または間接的に連結し、ハンドリングボックス5からのダクトを屋内もしくは床下空間に導くソーラーシムテムハウスにおいて実施するものである。
本発明における運転モードの種類としては、1.おまかせ運転、2.温度リズム運転、3.暖房モード運転、4.冷房モード運転がある。
1.おまかせ運転
:システムが自動で冷暖房状態判定を行い最適の運転を行なう。冷房設定:27℃±1℃、暖房設定:20℃〜18℃±1℃
2.温度リズム運転
:初期設定はおまかせモードと同様であるが、ゲートウェイからスマホなどで設定温度を1時間ごとに設定できる。
3.暖房モード運転
:暖房運転を行なう。設定温度は18℃〜30℃まで1℃刻みで可能である。
4.冷房モード運転
特におまかせ運転モードでは自動的に冷房モード運転と暖房モード運転を機械が判断できる。本発明の運転システムでは集熱空気の有効利用や外気取入を活用するために自動判断が必須である。また、冷房排熱をお湯採りに使うため、このためにも自動判断が必須である。
前記制御により、20℃〜27℃の間で(専ら22℃〜25℃)自然エネルギー(OM集熱と外気取入)を優先に使う制御ができる。
真夏と真冬以外は健康に支障の無い温度範囲で自然なリズムで温度変化を許すことで、有効に自然エネルギーを使える時間帯が増える。年間エネルギー消費で2000〜2500kWhになり、3kWの太陽電池システムだけで、空調給湯エネルギーを賄える。
暖房温度リズム設定により、暖房・給湯が同時に出来ない場合でも貯湯運転タイミングを作ることができる。
次に図29〜図32について本発明の運転概要を説明すると、冬(集熱あり)の場合は、図30に示すように、太陽熱を使って暖房する。集熱温度によっては、ヒートポンプ暖房でバックアップする。暖房が十分な時はお湯採りする。ここで言う暖房が十分なという意味は、冬期や暖房が必要な時期におおむね12時以降になると集熱により室温が上がることや外気温が上昇することで、暖房負荷が「減る」または「なくなる」時間が12時から16時ごろまでに発生するので、その時間帯にヒートポンプ給湯器回路でヒートポンプ貯湯を行なうものである。
冬(集熱なし)の場合は、図30に示すように、冬、陽射しが少ない日でも、ヒートポンプを使って床暖房でバックアップする。陽射しが少ない時は外気取込み(外気吸込口43を端部とする外気吸込ダクト44での取込)を全熱交換器56で全熱交換して暖房負荷を低減し、ヒートポンプで床暖房する。
集熱可能な条件として、集熱空気温が全熱交換器を通して外気と室内空気を熱交換して得られた空気より高いときは、屋根集熱部での集熱空気を取り入れ、ハンドリングボックスからのダクトを介して屋内もしくは床下空間に導く太陽熱集熱暖房を行い、室温が設定温度より低いときは、全熱交換器を通した換気空気と室内戻り空気を混合して吸込んでヒートポンプの空調熱交で暖房する暖房運転を行い、もしくは、室温が設定温度より低いときで、前記屋根集熱部からの集熱空気温が、全熱交換器を通ってきた空気温よりも高い場合は、ヒートポンプの空調熱交で暖房すし、前記ハンドリングボックスからのダクトを介して屋内もしくは床下空間に導く太陽熱集熱暖房を行うものである。
夏(集熱あり)の場合は、図31に示すように、夏の日中はヒートポンプを使って冷房し、冷房の排熱からお湯採りもする。外気取込みは室内空気を全熱交換して冷房負荷を低減しつつ熱交換後の空気を太陽電池(集熱面)裏面を通して太陽電池の冷房も行う。
前記お湯採りは、まず、夏の日中というのは、日中が冷房負荷が多く給湯時時間帯にも近いので、冬の時間帯と同じく12時から16時に貯湯運転をあてがっている。(条件によって違う時間にも貯湯する。)
ヒートポンプによる屋外ユニット58には放熱コイル(凝縮熱の放熱熱交)と水−冷媒熱交が内蔵されているので、普通に冷房するときは放熱コイルで排熱を放熱する。冷房貯湯するときは放熱コイルへいく冷媒を水−冷媒熱交側に切り替えて貯湯ユニットからの水を循環して、高温の冷媒ガスを凝縮させてお湯を作り、貯湯ユニットに送る。
夏(夜間)の場合は、図32に示すように、屋根の放射冷却を利用して外気を冷しながら室内に取込み、必要に応じてヒートポンプ冷房でバックアップする。バックアップの時には残湯に応じてお湯採りもする。
前記のように本発明は季節判断を前提とし、季節判断を24時間適切に行なえないと太陽熱や夜間放射冷却を十分に利用できない。(人の力では常時判断できない)
この判断は温度センサーにより、計測ユニット74を介して制御装置72がプログラムに基づき実施するもので、そのフローを図9に示すと、季節判断(冷暖判断)は外気温18℃以下で常時暖房設定、外気温25℃以上で常時冷房設定とする。
外気温18℃〜25℃の間は室内温度によって判断する。冷房設定温度−2℃までは暖房運転、それを超えたら冷房運転になる。冷房運転は暖房設定温度+2℃まで冷房運転を行い、その温度を下回ったら暖房運転になる。
おまかせモードでは自動的に冷房モードと暖房モードを機械が判断できる。本発明システムでは集熱空気の有効利用や外気取入を活用するために自動判断が必須である。また、冷房排熱をお湯採りに使うため、このためにも自動判断が必須である。
前記の制御により、20℃〜27℃の間で(専ら22℃〜25℃)自然エネルギー(屋根集熱部40での集熱と、外気吸込口43を端部とする外気吸込ダクト44での取外気取入を優先に使う制御ができる。
真夏と真冬以外は健康に支障の無い温度範囲で自然なリズムで温度変化を許すことで、有効に自然エネルギーを使える時間帯が増える。年間エネルギー消費で2000〜2500kWhになり、3kWの太陽電池システムだけで、空調給湯エネルギーを賄える。
暖房温度リズム設定により、暖房・給湯が同時に出来ない本発明システムの貯湯運転タイミングを作ることができる。図13、図14におまかせ運転温度リズムイメージを示す。
設定温度は図15に示すように、モバイルやスマートホン80でも変更可能であるが、初期設定温度は暖房20℃、冷房27℃なので、前記切替温度で冷房になったり暖房になっても直ちにヒートポンプは動かない。
この間は集熱暖房や夜間放射冷却運転で中間期は22℃〜25℃を中心に変化し、夏期は22℃〜27℃、冬期は20℃〜25℃を変化する。
下記表1、表2に太陽熱利用・外気取り込み判断の制御フローを示すと、表1は太陽熱直接暖房の制御を示す表で、表2は放射冷却利用冷房の制御を示す表である。
図17〜図20に動作モード(暖房)の場合、図21〜図24に動作モード(暖房〜冷房)の場合、図25〜図28に動作モード(冷房)を示す。各図とも黒く塗られた箇所が空気の流れを示す。
図17は動作モード(暖房)で、屋根集熱部暖房の場合、図18は、屋根集熱部暖房+ヒートポンプ暖房の場合、図19は屋根集熱部暖房+ヒートポンプ貯湯の場合、図20は換気+送風の場合である。(屋根集熱部暖房の場合は、集熱接続ダクト41→集熱ダクト42→ハンドリングボックス5→立下りダクト10)
図21は、換気+ヒートポンプ暖房の場合、図22は換気+ヒートポンプ貯湯の場合、図23はLITE(屋根集熱部暖房とは逆運転)+ヒートポンプ冷房+ヒートポンプ貯湯の場合、図24はLITE(屋根集熱部暖房とは逆運転)+ヒートポンプ冷房の場合である。
図25は、LITE(屋根集熱部暖房とは逆運転)+送風+ヒートポンプ貯湯の場合、図26は屋根集熱部からの夜間取入の場合、図27は屋根集熱部からの夜間取入+ヒートポンプ冷房の場合、図28は屋根集熱部からの夜間取入+ヒートポンプ貯湯の場合である。
冷暖房運転としては、暖房運転は室温が設定温度より低いとき全熱交換器56を通した換気空気と室内戻り空気を混合して吸込んで、ヒートポンプの空調熱交(空調熱交換器)57によるヒートポンプ暖房する。
集熱可能な条件(集熱空気温が全熱交換器56を通して外気と室内空気を熱交換して得られた空気より高いとき)のときは太陽熱集熱暖房を行う。
この太陽熱集熱暖房は、屋根集熱部40での集熱空気を取り入れ、ハンドリングボックス5からのダクトを介して屋内もしくは床下空間に導くものであり、詳しくは、暖房が必要な冬の昼間は、軒先の空気取入口3から入った冷たい空気は、屋根板1に降り注ぐ太陽の熱によって徐々に暖められる。
この温められた空気は屋根勾配に沿って上昇する。そして、この加熱空気は集熱ダクト4に集められてからファンによりハンドリングボックス5に入り、ハンドリングボックス5から立下りダクト10内へ流下し、床下に送られる。
また、送気ダクト47により吹き出し口46から室内20に吹き出される。
前記床下に送られる空気は床下に広がり、床吹出口14から温風として室内20へと流れ出る。
この太陽熱集熱暖房で集熱空気温度が不十分ならヒートポンプの空調熱交(空調熱交換器)57でバックアップ加熱する。
室温設定以上になったらヒートポンプは運転を止める。ただし、冷房設定温度−2℃(初期設定は25℃)までは続けて前記太陽熱集熱暖房(OM集熱)を続ける。
冷房設定温度−2℃を超えた場合は冷房運転に変わる。ただし、冷房設定以下なので冷房モードになるだけである。(前記太陽熱集熱暖房・OM集熱は止まる)
冷房モードでは1種換気運転を行い排気は屋根集熱部40の集熱面(太陽電池23)の裏面を通して排気する(屋根排気)。ここでは1種換気運転とは、交換型換気システムや給気と排気のための換気機械を組み合わせ、同時給排を行う換気設備を言う。両者とも送風機と排風機を併用する方法で、吸気量と排気量の調整により室内の気圧を均一にすることができるほか、外気圧に対して正圧(プラス圧)に、あるいは負圧(マイナス圧)に保つことが出来るなどの利点がある。
図10に暖房モードの制御フロー、図11に冷房モードの制御フローを示すが、前記図9のフローと合わせて、外気温が低く次第に室温が下がる場合は暖房設定+2℃(初期設定は22℃)までは冷房モードで運転を行い(外気導入しているだけ)、前記温度を下回った場合は再び暖房モードになる。この場合でも設定温度はさらに−2℃のため、暖房モードになるだけで、集熱があれば集熱をする。
冷房運転は冷房室温設定より室温が高いときに全熱交換器56を通した換気空気と室内戻り空気を混合して吸込んで、ヒートポンプの空調熱交(空調熱交換器)57によるヒートポンプ冷房をする。
排気空気は外気と全熱交換器56で熱交換した上で太陽電池23の裏面を通して排気する。(屋根排気→太陽電池冷却→効率アップ)
冷房モードで夜間になると太陽電池23の下面を通して取り入れる空気温度と全熱交換器56を通して取り入れる空気を比較して(全熱交換器56側は外気温度と室温から全熱交換器56の熱交換効率から計算)外気取入にメリットがあれば太陽電池23の下面を通して空気を入れる。
直前まで冷房している場合、室温が設定温度より1℃以上低ければヒートポンプは止まり外気取入のみの運転になる。
低くなるのは専ら夜12:00以降になる。なお、ヒートポンプが運転しているときは1階、2階の冷房吹出し口46から冷房し、外気取り込みのみになった場合は床下に空気を取り入れる。(ファンを駆動して軒先の空気取入口3から外気を空気流路2に取り込み、放射冷却現象(放射冷却で屋根全体が冷える)を利用して、涼しい外気を取り込む。
こうして、集熱と外気取り込みで室温を最大20℃〜27℃にコントロールする。実際上は冷暖房切替が行なわれるため、冷房設定+2℃〜冷房設定−2℃(初期設定では22℃〜25℃)で制御される。
冷房負荷と貯湯負荷があるときは冷房貯湯モードになる。(冷房した排熱を貯湯に使う)
暖房時温度設定として、おまかせ運転の暖房設定温度は下記表3のように18℃〜20℃に設定されている。すなわち0:00〜4:59まで18℃、5:00〜5:59まで19℃、6:00〜22:59まで20℃、23:00〜23:59まで19℃である。
これは日中20℃の快適温度として、就寝に近い時間になって徐々に下げるリズムである。就寝時には布団もかけるので18℃が適温になる。
ヒートポンプが1台しかないために暖房とお湯採りが同時に出来ない。
そこで、早朝には徐々に室温を上げて起床の環境を整備し、昼間は20℃設定する。9:00頃には前記太陽熱集熱暖房(OM集熱)でヒートポンプ負荷がなくなり、12:00頃には25℃近くまで温度上昇するので(暖房負荷が無いので)、このタイミングでヒートポンプを湯沸かしモードで運転する。おおむね4時間で貯湯槽が満タンになる。エコキュート(登録商標)と違って昼間に沸かすので外気温が高い(深夜は0℃に対し昼間は10℃程度あるのでCOPが高い。また、お湯の使用時間までの時間が短いので有利)
また、お湯が不足する予想のときは23:00から設定温度が下がるために4時間程度暖房負荷がなくなるので、このタイミングに不足分を沸かすことができる。(昼間4時間、夜4時間、合計8時間湯沸しのタイミングがある)
1…屋根板 2…空気流路
3…空気取入口 4…集熱ダクト
5…ハンドリングボックス
5−1…集熱空気接続口
5−2−1…室内還り空気接続口
5−2−2…室内還り空気接続口
5−3…屋外吸込口
5−4−1…冷房口
5−4−2…冷房口
5−5…暖房(床下)口
5−6…屋外への排気口
5−7…LITE運転口
5−8…ドレン口
5−9…冷媒配管口
6…逆流防止兼流路切換えダンパー
7…ファン
8…流路切換えダンパー 9…排気ダクト
10…立下りダクト 11…土間コンクリート
12…床パネル 13…空気流通空間
14…床吹出口 15…お湯とりコイル
16…循環配管 17…貯湯槽
18…循環ダクト 19…温水ボイラー
20…室内 21…給湯配管
23…太陽電池 24…第2のハンドリングボックス
25…床下への送風口 26…室内への送風口
27…ダンパー 32…接続ダクト
33…小屋裏 40…屋根集熱部
41…集熱接続ダクト 42…集熱ダクト
43…外気吸込口 44…外気吸込ダクト
45…排気口 46…吹き出し口
47…送気ダクト 48…分岐管
49…分岐ボックス 50…屋根排気ダクト
52…重力式ダンパー 53…比例ダンパー
54…ファン 55…筒型フィルター
56…全熱交換器
57…ヒートポンプの空調熱交(空調熱交換器)
58…屋外ユニット 59…貯湯ユニット
60…冷媒配管 61…ドレン管
62…給湯配管 63…給水口
64…風呂循環配管 65…配管
66…給水配管 67…風呂
70−1…集熱温度センサー 70−2…外気温センサー
70−3…室内リターンセンサー
70−4…熱交換前温湿度センサー
70−5…リモコン内蔵(室温)センター
70−6−1…貯温槽缶体表面温度センサー
70−6−2…温度センサー
70−7…室外ユニット外気温センサー
71…リモコン 72…制御装置
73…家庭用ルーター 74…計測ユニット
75…パワーコンディショナ 76…分電盤
77…台所リモコン 78…浴槽リモコン
79…エコナビゲートウェイ
本発明は、空気を熱媒として日中の太陽熱の集熱を行い、これを暖房に用いるパッシブソーラー利用のソーラーシステムハウスなどで使用する太陽熱利用機器において、太陽熱、放射冷却とヒートポンプ空調熱交を合体した場合に効率よく運転できる太陽熱利用機器の運転制御方法に関するものである。
住宅の高気密高断熱が整備され、従来の個別エアコンや間欠冷暖房から、住宅業界では全館空調への動きが加速している。
例えば、太陽で温められる空気によって暖房等を行うソーラーシステムハウスとしては下記特許文献にもあるが、図33に示すようなものがある。
特許第4485539号公報
これは集熱面であるカラー鉄板の金属製屋根板1の直下に屋根勾配を有する空気流路2を形成し、この空気流路2の一方の端は軒先に空気取入口3として開口し、さらに空気流路2の他方の端は集熱ダクト4に連通させる。屋根板1の一部は太陽電池23で覆い、太陽光発電を行う。
内部に逆流防止兼流路切換えダンパー6、ファン7及び流路切換えダンパー8を設けたハンドリングボックス5を屋根裏空間である小屋裏33に設置し、ハンドリングボックス5の流路切換えダンパー8の流出側の一方は排気ダクト9により屋外に開口する。
また、ハンドリングボックス5の逆流防止兼流路切換えダンパー6の流入側は、前記集熱ダクト4に連通させる接続ダクト32と室内20からの循環ダクト18とに選択的に接続し、流路切換えダンパー8の流出側の他の一方を立下りダクト10の上端に連結する。
立下りダクト10の下端は床下蓄熱体としての土間コンクリート11と床パネル12との間の空気流通空間13に開口した。さらに、該空気流通空間13から室内への床吹出口14を設けた。
ハンドリングボックス5の内部またはハンドリングボックス5集熱ダクト4との間にお湯とりコイル15を設け、このお湯とりコイル15は循環配管16で貯湯槽17に連結する。図示は省略するが貯湯槽17は循環ポンプと有し、また、必要に応じて追焚き用の給湯ボイラーを途中へ設けて、風呂や洗面所、台所へとつながる給湯配管をこの貯湯槽17に接続する。
このようにして、暖房が必要な冬の昼間は、軒先の空気取入口3から入った冷たい空気は、屋根板1に降り注ぐ太陽の熱によって徐々に暖められる。この温められた空気は屋根勾配に沿って上昇する。そして、この加熱空気は集熱ダクト4に集められてからファン7によりハンドリングボックス5に入り、ハンドリングボックス5から立下りダクト10内へ流下し、床下に送られる。
空気は床下に広がり、蓄熱土間コンクリート11に熱を奪われ(蓄えさせ)ながら、床吹出口14から温風として室内20へと流れ出る。夕方、外気温が下がり始める頃から、昼間蓄熱土間コンクリート11に蓄えられた熱が放熱を始め、床を温める。
夏の昼間は暖房の不要な期間であり、太陽熱で温められた空気は、昼間、貯湯槽17内の水を温めることに利用される。すなわち、流路切換えダンパー8の流出側を排気ダクト9に接続し、お湯とりコイル15で湯を作るだけで、前記排気ダクト9から戸外へ捨てられる。
お湯とりコイル15では、ここに循環配管16を介して貯湯槽17から送り込まれる熱媒が加熱され、湯として貯湯槽17へ蓄えられ、さらにここから必要に応じて追焚き用の給湯ボイラーで再加熱されて給湯配管から各所へ給湯される。
快晴の日の雲のない夏の夜は、ファン7を駆動して軒先の空気取入口3から外気を空気流路2に取り込み、放射冷却現象(放射冷却で屋根全体が冷える)を利用して、涼しい外気を室内に取り込む。冷房のようには冷えないが、寝苦しくない夏の夜を演出できる。
前記特許文献1に示す空気集熱式太陽熱床暖房システム(ソーラーシステムハウス)は暖房システムとして省エネ性・快適性ともに極めて優れているが、悪天候のときや冷房に対しては別の暖冷房システムが必要になっていた。
また、集熱しているときは換気システムとしてきわめてたくさんの換気量があり有効だが、夜間や夏期は別換気システムが必要になり、いずれも二重設備が必要だった。
お湯採りシステムも雨天や曇天などのために給湯補助ボイラーなどの別システムが必要になり、空気集熱式太陽熱床暖房システムでも補助システムが必要で二重設備になるのが大きな課題だった。
また、通常の住宅設備では居室分の空調設備(エアコン)が必要で屋外に5台〜6台の室外ユニットや貯湯槽などが必要で室内外の景観を悪化させるだけでなく、狭い敷地では設置スペースが取れないことや隣地との騒音や熱風等のトラブルがあった。
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、太陽熱利用での省エネ性を生かしながら、二重設備の課題も解決し、ヒートポンプ空調熱交(空調機)と全熱交換器を一体に構成することでダクト設備や施工を軽減することができる太陽熱利用機器の制御方法を提供することにある。
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、ダンパーおよびファンを設けた屋内ユニットとしてのハンドリングボックスを屋根集熱部に直接または間接的に連結し、ハンドリングボックスからのダクトを屋内もしくは床下空間に導くソーラーシステムハウスにおいて、ヒートポンプによる屋外ユニット、貯湯ユニットを備え、また、ハンドリングボックスに外気と室内空気を全熱交換器で熱交換した換気空気と室内戻り空気を混合した空気を温調するヒートポンプの空調熱交を設置し、運転モードの種類としては、おまかせ運転および設定温度があり、おまかせ運転は、システムが自動で冷暖房状態判定を行い最適の運転を行ない、設定温度運転はリモコンによる温度設定の運転でユーザーがリモコン設定温度を決めるもので、おまかせ運転として、集熱可能な条件として、外気と室内の空気を全熱交換器で熱交換した予想温度より集熱温度が高いか低いかで判断し、集熱空気温が全熱交換器を通して外気と室内空気を熱交換して得られた空気より高いときは、屋根集熱部での集熱空気を取り入れ、ハンドリングボックスからのダクトを介して屋内もしくは床下空間に導く太陽熱集熱暖房を行い、設定温度運転として、室温が暖房室温設定温度より低いときは、全熱交換器を通した換気空気と室内戻り空気を混合して吸込んでヒートポンプの空調熱交で暖房する暖房運転を行い、もしくは、室温が暖房室温設定温度より低いときで、前記屋根集熱部からの集熱空気温が、全熱交換器を通ってきた空気温よりも高い場合は、ヒートポンプの空調熱交で暖房し、前記ハンドリングボックスからのダクトを介して屋内もしくは床下空間に導く太陽熱集熱暖房を行い、冷房室温設定より室温が高いときは、全熱交換器を通した換気空気と室内空気を混合して吸込んでヒートポンプで冷房する冷房運転を行うことを要旨とするものである。
室内ユニットにはヒートポンプ空調熱交が搭載されているので室温を一定にするのはヒートポンプが運転すれば可能である。しかし、それでは年中ヒートポンプが運転して、太陽熱や夜間放射冷却などの自然エネルギーが使用されない。
請求項1記載の本発明によれば、ハンドリングボックスに外気と室内空気を熱交換する全熱交換器を搭載することで、太陽熱集熱暖房を行う時以外に、暖房運転として室温が設定温度より低いとき全熱交換器を通した外気(換気空気)と室内戻り空気を混合して吸込んでヒートポンプ暖房する、冷房運転として、冷房室温設定より室温が高いときに全熱交換器を通した外気(換気空気)と室内空気を混合して吸込んでヒートポンプ冷房することができる。
設定温度に達したら屋根集熱部からの集熱空気だけでヒートポンプを止めて暖房する。また、この条件は冷房のときも同じで、室温に関わらず全熱交換器より屋根集熱部からの空気が低ければ、そちらを吸込みヒートポンプ冷却を追加して室内に吹出す。
このようにして、全熱交換器は太陽熱、夜間放射冷却を利用しながら、ヒートポンプによる冷暖房を行なう全館空調機で、ハンドリングボックスに外気と室内空気を熱交換する全熱交換器とヒートポンプの空調熱交を設置することで、通常のエアコンや全館空調システムと違い、快適な温度範囲の中で外気温や室温を機械が判断して集熱取り込み運転や放射冷却外気取り込み運転を利用しながら、ヒートポンプの運転を最少にする運転を行うことができる。
従って、通常のエアコンや全館空調システムと違い、快適な温度範囲の中で外気温や室温を機械が判断して集熱取り込み運転や放射冷却外気取り込み運転を利用しながら、ヒートポンプの運転を最少にする運転を行うことができる。
さらに、自動的に冷房モードと暖房モードを機械が判断することで、この判断を集熱空気の有効利用や外気取入を活用することができ、また、この判断を冷房排熱をお湯採りに使うために使用でき、このような制御により、20℃〜27℃の間で(専ら22℃〜25℃)自然エネルギー(OM集熱と外気取入)を優先に使う制御ができる。
真夏と真冬以外は健康に支障の無い温度範囲で自然なリズムで温度変化を許すことで、有効に自然エネルギーを使える時間帯が増える。年間エネルギー消費で2000〜2500kWhになり、3kWの太陽電池システムだけで、空調給湯エネルギーを賄える。
請求項2記載の本発明は、屋根集熱部は太陽電池を備えるものであり、冷房運転では全熱交換器を通した換気空気と室内空気を混合して吸込んで、屋根集熱部の太陽電池の裏面を通して排気することを要旨とするものである。
請求項2記載の本発明によれば、冷房モードでは1種換気運転(全熱交換器を通した換気空気と室内空気を混合して吸込んでヒートポンプ冷房)を行い、排気空気は太陽電池の裏面を通して排気することで太陽電池を冷却し、太陽電池の効率をアップさせることができる。
請求項3記載の本発明は、外気温が一定温度、例えば、25℃以上は冷房判断、外気温一定温度の範囲内、例えば、25℃〜18℃の範囲では室温で判断、外気温度が一定温度、例えば18℃以下では暖房判断であり、冷房判断の時期は夜から朝までの屋根からの空気も観察して屋根からの放射冷却で冷えた空気が全熱交換器より低い結果になれば屋根から放射冷却空気を導入し、外気温が一定温度例えば25℃以上になると室温はそれ以上の温度になるとするもので、季節判断(冷暖判断)として、温度センサーの検知で、外気温18℃以下で常時暖房設定、外気温25℃以上で常時冷房設定とし、冷房設定温度−2℃までは暖房運転、それを超えたら冷房運転であり、冷房運転は暖房設定温度+2℃まで冷房運転を行い、その温度を下回ったら暖房運転になることを要旨とするものである。
請求項3記載の本発明によれば、判断温度を設定することで、適切な制御が可能となる。
以上述べたように本発明のソーラーシステムハウス用太陽熱利用機器の制御方法は、太陽熱利用での省エネ性を生かしながら、二重設備の課題も解決し、ヒートポンプ空調機と全熱交換器を一体に構成することでダクト設備や施工を軽減することができるものである。
また、通常のエアコンや全館空調システムと違い、快適な温度範囲の中で外気温や室温を機械が判断して集熱取り込み運転や放射冷却外気取り込み運転を利用しながら、ヒートポンプの運転を最少にすることができる。
本発明の太陽熱利用機器の運転制御方法を適用するソーラーシステムハウスの概要を示す説明図である。
本発明の太陽熱利用機器の運転制御方法を適用するソーラーシステムハウスの概要を示す斜視図である。
本発明の太陽熱利用機器の運転制御方法を適用するソーラーシステムハウスの概要を示す透視図である。
ハンドリングボックスの正面図である。
ハンドリングボックスの平面図である。
ハンドリングボックスの左側面図である。
ハンドリングボックスの右側面図である。
温度センサー設置の説明図である。
冷暖判定モードの制御フロー図である。
暖房モードの制御フロー図である。
冷房モードの制御フロー図である。
ダンパー・ファン制御の制御フロー図である。
温度リズムイメージを示すグラフである。
おまかせ設定温度を示すグラフである。
スマホでの温度設定の変更を示すグラフである。
リモコンの正面図である。
動作モード(暖房)で、屋根集熱部暖房の説明図である。
動作モード(暖房)で、屋根集熱部暖房+ヒートポンプ暖房の説明図である。
動作モード(暖房)で、屋根集熱部暖房+ヒートポンプ貯湯の説明図である。
動作モード(暖房)で、換気+送風の説明図である。
動作モード(暖房〜冷房)で、換気+ヒートポンプ暖房の説明図である。
動作モード(暖房〜冷房)で、換気+ヒートポンプ貯湯の説明図である。
動作モード(暖房〜冷房)で、LITE(屋根集熱部暖房とは逆運転)+ヒートポンプ冷房+ヒートポンプ貯湯の説明図である。
動作モード(暖房〜冷房)で、LITE(屋根集熱部暖房とは逆運転)+ヒートポンプ冷房の説明図である。
動作モード(冷房)で、LITE(屋根集熱部暖房とは逆運転)+送風+ヒートポンプ貯湯の説明図である。
動作モード(冷房)で、屋根集熱部からの夜間取入の説明図である。
動作モード(冷房)で、屋根集熱部からの夜間取入+ヒートポンプ冷房の説明図である。
動作モード(冷房)で、屋根集熱部からの夜間取入+ヒートポンプ貯湯の説明図である。
本発明の運転概要で、冬(集熱あり)の説明図である。
本発明の運転概要で、冬(集熱なし)の説明図である。
本発明の運転概要で、夏(集熱あり)の説明図である。
本発明の運転概要で、夏(夜間)の説明図である。
従来例としてのソーラーシステムハウスの概要を示す説明図である。
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の太陽熱利用機器の運転制御方法を適用するソーラーシステムハウスの概要を示す説明図、図2は同上斜視図、図3は同上透視図で、前記図34に示す太陽エネルギーを利用するものとして、太陽で温められる空気によって暖房等を行うソーラーシステムハウスの従来例と同一構成要素には同一参照符号を付したものである。
集熱面であるカラー鉄板の金属製屋根板1の直下に屋根勾配を有する空気流路2を形成して屋根集熱部40とし、空気流路2の一方の端は軒先に空気取入口3として開口し、さらに空気流路2の他方の端は集熱ダクト4に連通させる。屋根板1の一部は太陽電池23で覆い、太陽光発電を行う。
図中5は流入ダクトと流出ダクトを接続し、ダンパーおよびファンを設けた(空気流通)制御ボックスであるハンドリングボックスで、図5〜図7に示すように、集熱空気接続口5−1、室内還り空気接続口5−2−1、室内還り空気接続口5−2−2、屋外吸込口5−3、冷房口5−4−1、冷房口5−4−2、暖房(床下)口5−5、屋外への排気口5−6、LITE運転口5−7、ドレン口5−8、冷媒配管口5−9を有する。ここでLITE運転とは、冷房モードのときに後述の全熱交換器56を通過した排気空気をLITE運転口5−7から太陽電池23の裏面に逆流させて排気する運転((屋根集熱部暖房とは逆運転)をいう。
ダンパーにはヒンジで吊り下がり、ファンの動圧で開閉する重力式ダンパー52と、モータで開閉を制御する比例ダンパー53とがあり、ファン54は重力式ダンパー52を作動させるものとして、前記冷房口5−4−1、冷房口5−4−2、暖房(床下)口5−5、屋外への排気口5−6、LITE運転口5−7の5箇所の各吹出口に設置され、これに対応して重力式ダンパー52が設けられる。
比例ダンパー53は吸込み口である集熱空気接続口5−1、室内還り空気接続口5−2−1、屋外吸込口5−3に設けられ、吸込み風量を混合するために開度を調整する。
図中55は筒型フィルターで、室内還り空気接続口5−2−1と室内還り空気接続口5−2−2に配設される。
流入ダクトとして、前記屋根集熱部40に連結する集熱接続ダクト41および集熱ダクト42が集熱空気接続口5−1に接続され、外気吸込口43を端部とする外気吸込ダクト44が屋外吸込口5−3に接続される。
ハンドリングボックス5に接続する流出ダクトとして、下端が土間コンクリート11の上の断熱材と床パネル12の間の空気流通空間13に床下への送風口25として開口する立下りダクト10が暖房(床下)口5−5に接続され、室内20に吹き出し口46として開口する送気ダクト47が冷房口5−4−1、冷房口5−4−2に接続される。
また、端部を排気口45として屋外に開口する排気ダクト9が排気口5−6に接続される。
なお、送気ダクト47は分岐管48や分岐ボックス49で分岐し複数の吹き出し口46に導かれる。
また、端部が集熱接続ダクト41に接続する屋根排気ダクト50がLITE運転口5−7に接続される。
ハンドリングボックス5の内部中央に、外気と室内空気を熱交換する全熱交換器56とヒートポンプの空調熱交(空調熱交換器)57を設置した。
図2中、58はヒートポンプによる屋外ユニット、59は貯湯ユニットで、ヒートポンプによる屋外ユニット58は冷媒配管60で冷媒配管口5−9を介してヒートポンプの空調熱交(空調熱交換器)57と連結し、ドレン口5−8に接続するドレン管61は屋外に導かれる。
貯湯ユニット59は配管65でヒートポンプによる屋外ユニット58と繋がり、また、貯湯ユニット59からは風呂67との風呂循環配管64や給水口63がある給湯配管62が接続されて伸びている。図示は省略するが給湯配管62は風呂の他に洗面所、台所へと繋がる。66は貯湯ユニット59への給水配管である。
本発明は温度センサーを設置するものであり、図8に示すように集熱温度センサー70−1は集熱ダクト42の接続部に、外気温センサー70−2は外気吸込ダクト44の接続部に、室内リターンセンサー70−3は室内還り空気接続口5−2−1にそれぞれ設けた。
また、熱交換前温湿度センサー70−4はハンドリングボックス5の外側に設け、室内に設置する図9に示すリモコン71に内蔵させるリモコン内蔵(室温)センター70−5を室内に、室外ユニット外気温センサー70−7をヒートポンプによる屋外ユニット58の外側に設置する。
なお、貯湯ユニット59には、貯温槽缶体表面温度センサー70−6−1(7点)と給水、給湯温度、風呂循環温度を把握する温度センサー70−6−2が設けられている。
図8に示すように、コンピュータ等による制御装置72は例えばハンドリングボックス5に搭載され、これにLANで家庭用ルーター73を介して計測ユニット74、パワーコンディショナ75、分電盤76が接続される。
図中79は家庭用ルーター73に接続するエコナビゲートウェイである。エコナビゲートウェイとは、エコーネットライトを使って、太陽熱利用機器の運転の動作状況などを通信してクラウドに保存するシステムで、スマートホンなどを使って自宅の運転状況や発停もできるなどのサービスの通信をするための通信装置である。
また、77は台所リモコン、78は浴槽リモコンで、貯湯ユニット59のコントローラである。
本発明は前記のようなダンパーおよびファンを設けた屋内ユニットとしてのハンドリングボックス5を屋根集熱部40に直接または間接的に連結し、ハンドリングボックス5からのダクトを屋内もしくは床下空間に導くソーラーシステムハウスにおいて実施するものである。
本発明における運転モードの種類としては、1.おまかせ運転、2.温度リズム運転、3.暖房モード運転、4.冷房モード運転がある。
1.おまかせ運転
:システムが自動で冷暖房状態判定を行い最適の運転を行なう。冷房設定:27℃±1℃、暖房設定:20℃〜18℃±1℃
2.温度リズム運転
:初期設定はおまかせモードと同様であるが、ゲートウェイからスマホなどで設定温度を1時間ごとに設定できる。
3.暖房モード運転
:暖房運転を行なう。設定温度は18℃〜30℃まで1℃刻みで可能である。
4.冷房モード運転
:冷房運転を行なう。設定温度は18℃〜30℃まで1℃刻みで可能である。
特におまかせ運転モードでは自動的に冷房モード運転と暖房モード運転を機械が判断できる。本発明の運転システムでは集熱空気の有効利用や外気取入を活用するために自動判断が必須である。また、冷房排熱をお湯採りに使うため、このためにも自動判断が必須である。
前記制御により、20℃〜27℃の間で(専ら22℃〜25℃)自然エネルギー(OM集熱と外気取入)を優先に使う制御ができる。
真夏と真冬以外は健康に支障の無い温度範囲で自然なリズムで温度変化を許すことで、有効に自然エネルギーを使える時間帯が増える。年間エネルギー消費で2000〜2500kWhになり、3kWの太陽電池システムだけで、空調給湯エネルギーを賄える。
暖房温度リズム設定により、暖房・給湯が同時に出来ない場合でも貯湯運転タイミングを作ることができる。
次に図29〜図32について本発明の運転概要を説明すると、冬(集熱あり)の場合は、図30に示すように、太陽熱を使って暖房する。集熱温度によっては、ヒートポンプ暖房でバックアップする。暖房が十分な時はお湯採りする。ここで言う暖房が十分なという意味は、冬期や暖房が必要な時期におおむね12時以降になると集熱により室温が上がることや外気温が上昇することで、暖房負荷が「減る」または「なくなる」時間が12時から16時ごろまでに発生するので、その時間帯にヒートポンプ給湯器回路でヒートポンプ貯湯を行なうものである。
冬(集熱なし)の場合は、図30に示すように、冬、陽射しが少ない日でも、ヒートポンプを使って床暖房でバックアップする。陽射しが少ない時は外気取込み(外気吸込口43を端部とする外気吸込ダクト44での取込)を全熱交換器56で全熱交換して暖房負荷を低減し、ヒートポンプで床暖房する。
集熱可能な条件として、集熱空気温が全熱交換器を通して外気と室内空気を熱交換して得られた空気より高いときは、屋根集熱部での集熱空気を取り入れ、ハンドリングボックスからのダクトを介して屋内もしくは床下空間に導く太陽熱集熱暖房を行い、室温が設定温度より低いときは、全熱交換器を通した換気空気と室内戻り空気を混合して吸込んでヒートポンプの空調熱交で暖房する暖房運転を行い、もしくは、室温が設定温度より低いときで、前記屋根集熱部からの集熱空気温が、全熱交換器を通ってきた空気温よりも高い場合は、ヒートポンプの空調熱交で暖房すし、前記ハンドリングボックスからのダクトを介して屋内もしくは床下空間に導く太陽熱集熱暖房を行うものである。
夏(集熱あり)の場合は、図31に示すように、夏の日中はヒートポンプを使って冷房し、冷房の排熱からお湯採りもする。外気取込みは室内空気を全熱交換して冷房負荷を低減しつつ熱交換後の空気を太陽電池(集熱面)裏面を通して太陽電池の冷房も行う。
前記お湯採りは、まず、夏の日中というのは、日中が冷房負荷が多く給湯時時間帯にも近いので、冬の時間帯と同じく12時から16時に貯湯運転をあてがっている。(条件によって違う時間にも貯湯する。)
ヒートポンプによる屋外ユニット58には放熱コイル(凝縮熱の放熱熱交)と水−冷媒熱交が内蔵されているので、普通に冷房するときは放熱コイルで排熱を放熱する。冷房貯湯するときは放熱コイルへいく冷媒を水−冷媒熱交側に切り替えて貯湯ユニットからの水を循環して、高温の冷媒ガスを凝縮させてお湯を作り、貯湯ユニットに送る。
夏(夜間)の場合は、図32に示すように、屋根の放射冷却を利用して外気を冷しながら室内に取込み、必要に応じてヒートポンプ冷房でバックアップする。バックアップの時には残湯に応じてお湯採りもする。
前記のように本発明は季節判断を前提とし、季節判断を24時間適切に行なえないと太陽熱や夜間放射冷却を十分に利用できない。(人の力では常時判断できない)
この判断は温度センサーにより、計測ユニット74を介して制御装置72がプログラムに基づき実施するもので、そのフローを図9に示すと、季節判断(冷暖判断)は外気温18℃以下で常時暖房設定、外気温25℃以上で常時冷房設定とする。
外気温18℃〜25℃の間は室内温度によって判断する。冷房設定温度−2℃までは暖房運転、それを超えたら冷房運転になる。冷房運転は暖房設定温度+2℃まで冷房運転を行い、その温度を下回ったら暖房運転になる。
この暖房運転、冷房運転の判断を前記フローに基づいてさらに説明すると、外気温が一定温度、例えば、25℃以上は冷房判断、外気温一定温度の範囲内、例えば、25℃〜18℃の範囲では室温で判断、外気温度が一定温度、例えば18℃以下では暖房判断であり、冷房判断の時期は夜から朝までの屋根からの空気も観察して屋根からの放射冷却で冷えた空気が全熱交換器より低い結果になれば屋根から放射冷却空気を導入し、外気温が一定温度25℃以上になると室温はそれ以上の温度になるとするものである。
おまかせモードでは自動的に冷房モードと暖房モードを機械が判断できる。本発明システムでは集熱空気の有効利用や外気取入を活用するために自動判断が必須である。また、冷房排熱をお湯採りに使うため、このためにも自動判断が必須である。
前記の制御により、20℃〜27℃の間で(専ら22℃〜25℃)自然エネルギー(屋根集熱部40での集熱と、外気吸込口43を端部とする外気吸込ダクト44での取外気取入を優先に使う制御ができる。
真夏と真冬以外は健康に支障の無い温度範囲で自然なリズムで温度変化を許すことで、有効に自然エネルギーを使える時間帯が増える。年間エネルギー消費で2000〜2500kWhになり、3kWの太陽電池システムだけで、空調給湯エネルギーを賄える。
暖房温度リズム設定により、暖房・給湯が同時に出来ない本発明システムの貯湯運転タイミングを作ることができる。図13、図14におまかせ運転温度リズムイメージを示す。
設定温度は図15に示すように、モバイルやスマートホン80でも変更可能であるが、初期設定温度は暖房20℃、冷房27℃なので、前記切替温度で冷房になったり暖房になっても直ちにヒートポンプは動かない。
この間は集熱暖房や夜間放射冷却運転で中間期は22℃〜25℃を中心に変化し、夏期は22℃〜27℃、冬期は20℃〜25℃を変化する。
下記表1、表2に太陽熱利用・外気取り込み判断の制御フローを示すと、表1は太陽熱直接暖房の制御を示す表で、表2は放射冷却利用冷房の制御を示す表である。
図17〜図20に動作モード(暖房)の場合、図21〜図24に動作モード(暖房〜冷房)の場合、図25〜図28に動作モード(冷房)を示す。各図とも黒く塗られた箇所が空気の流れを示す。
図17は動作モード(暖房)で、屋根集熱部暖房の場合、図18は、屋根集熱部暖房+ヒートポンプ暖房の場合、図19は屋根集熱部暖房+ヒートポンプ貯湯の場合、図20は換気+送風の場合である。(屋根集熱部暖房の場合は、集熱接続ダクト41→集熱ダクト42→ハンドリングボックス5→立下りダクト10)
図21は、換気+ヒートポンプ暖房の場合、図22は換気+ヒートポンプ貯湯の場合、図23はLITE(屋根集熱部暖房とは逆運転)+ヒートポンプ冷房+ヒートポンプ貯湯の場合、図24はLITE(屋根集熱部暖房とは逆運転)+ヒートポンプ冷房の場合である。
図25は、LITE(屋根集熱部暖房とは逆運転)+送風+ヒートポンプ貯湯の場合、図26は屋根集熱部からの夜間取入の場合、図27は屋根集熱部からの夜間取入+ヒートポンプ冷房の場合、図28は屋根集熱部からの夜間取入+ヒートポンプ貯湯の場合である。
冷暖房運転としては、暖房運転は室温が設定温度より低いとき全熱交換器56を通した換気空気と室内戻り空気を混合して吸込んで、ヒートポンプの空調熱交(空調熱交換器)57によるヒートポンプ暖房する。
集熱可能な条件(集熱空気温が全熱交換器56を通して外気と室内空気を熱交換して得られた空気より高いとき)のときは太陽熱集熱暖房を行う。
この太陽熱集熱暖房は、屋根集熱部40での集熱空気を取り入れ、ハンドリングボックス5からのダクトを介して屋内もしくは床下空間に導くものであり、詳しくは、暖房が必要な冬の昼間は、軒先の空気取入口3から入った冷たい空気は、屋根板1に降り注ぐ太陽の熱によって徐々に暖められる。
この温められた空気は屋根勾配に沿って上昇する。そして、この加熱空気は集熱ダクト4に集められてからファンによりハンドリングボックス5に入り、ハンドリングボックス5から立下りダクト10内へ流下し、床下に送られる。
また、送気ダクト47により吹き出し口46から室内20に吹き出される。
前記床下に送られる空気は床下に広がり、床吹出口14から温風として室内20へと流れ出る。
この太陽熱集熱暖房で集熱空気温度が不十分ならヒートポンプの空調熱交(空調熱交換器)57でバックアップ加熱する。
室温設定以上になったらヒートポンプは運転を止める。ただし、冷房設定温度−2℃(初期設定は25℃)までは続けて前記太陽熱集熱暖房(OM集熱)を続ける。
冷房設定温度−2℃を超えた場合は冷房運転に変わる。ただし、冷房設定以下なので冷房モードになるだけである。(前記太陽熱集熱暖房・OM集熱は止まる)
冷房モードでは1種換気運転を行い排気は屋根集熱部40の集熱面(太陽電池23)の裏面を通して排気する(屋根排気)。ここでは1種換気運転とは、交換型換気システムや給気と排気のための換気機械を組み合わせ、同時給排を行う換気設備を言う。両者とも送風機と排風機を併用する方法で、吸気量と排気量の調整により室内の気圧を均一にすることができるほか、外気圧に対して正圧(プラス圧)に、あるいは負圧(マイナス圧)に保つことが出来るなどの利点がある。
図10に暖房モードの制御フロー、図11に冷房モードの制御フローを示すが、前記図9のフローと合わせて、外気温が低く次第に室温が下がる場合は暖房設定+2℃(初期設定は20℃)までは冷房モードで運転を行い(外気導入しているだけ)、前記温度を下回った場合は再び暖房モードになる。この場合でも設定温度はさらに−2℃のため、暖房モードになるだけで、集熱があれば集熱をする。
冷房運転は冷房室温設定より室温が高いときに全熱交換器56を通した換気空気と室内戻り空気を混合して吸込んで、ヒートポンプの空調熱交(空調熱交換器)57によるヒートポンプ冷房をする。
排気空気は外気と全熱交換器56で熱交換した上で太陽電池23の裏面を通して排気する。(屋根排気→太陽電池冷却→効率アップ)
冷房モードで夜間になると太陽電池23の下面を通して取り入れる空気温度と全熱交換器56を通して取り入れる空気を比較して(全熱交換器56側は外気温度と室温から全熱交換器56の熱交換効率から計算)外気取入にメリットがあれば太陽電池23の下面を通して空気を入れる。
直前まで冷房している場合、室温が設定温度より1℃以上低ければヒートポンプは止まり外気取入のみの運転になる。
低くなるのは専ら夜12:00以降になる。なお、ヒートポンプが運転しているときは1階、2階の冷房吹出し口46から冷房し、外気取り込みのみになった場合も1階、2階の冷房吹出し口46から空気を取り入れる。(ファンを駆動して軒先の空気取入口3から外気を空気流路2に取り込み、放射冷却現象(放射冷却で屋根全体が冷える)を利用して、涼しい外気を取り込む。
こうして、集熱と外気取り込みで室温を最大20℃〜27℃にコントロールする。実際上は冷暖房切替が行なわれるため、冷房設定+2℃〜冷房設定−2℃(初期設定では22℃〜25℃)で制御される。
冷房負荷と貯湯負荷があるときは冷房貯湯モードになる。(冷房した排熱を貯湯に使う)
暖房時温度設定として、おまかせ運転の暖房設定温度は下記表3のように18℃〜20℃に設定されている。すなわち0:00〜4:59まで18℃、5:00〜5:59まで19℃、6:00〜22:59まで20℃、23:00〜23:59まで19℃である。
これは日中20℃の快適温度として、就寝に近い時間になって徐々に下げるリズムである。就寝時には布団もかけるので18℃が適温になる。
ヒートポンプが1台しかないために暖房とお湯採りが同時に出来ない。
そこで、早朝には徐々に室温を上げて起床の環境を整備し、昼間は20℃設定する。9:00頃には前記太陽熱集熱暖房(OM集熱)でヒートポンプ負荷がなくなり、12:00頃には25℃近くまで温度上昇するので(暖房負荷が無いので)、このタイミングでヒートポンプを湯沸かしモードで運転する。おおむね4時間で貯湯槽が満タンになる。エコキュート(登録商標)と違って昼間に沸かすので外気温が高い(深夜は0℃に対し昼間は10℃程度あるのでCOPが高い。また、お湯の使用時間までの時間が短いので有利)
また、お湯が不足する予想のときは23:00から設定温度が下がるために4時間程度暖房負荷がなくなるので、このタイミングに不足分を沸かすことができる。(昼間4時間、夜4時間、合計8時間湯沸しのタイミングがある)
1…屋根板 2…空気流路
3…空気取入口 4…集熱ダクト
5…ハンドリングボックス
5−1…集熱空気接続口
5−2−1…室内還り空気接続口
5−2−2…室内還り空気接続口
5−3…屋外吸込口
5−4−1…冷房口
5−4−2…冷房口
5−5…暖房(床下)口
5−6…屋外への排気口
5−7…LITE運転口
5−8…ドレン口
5−9…冷媒配管口
6…逆流防止兼流路切換えダンパー
7…ファン
8…流路切換えダンパー 9…排気ダクト
10…立下りダクト 11…土間コンクリート
12…床パネル 13…空気流通空間
14…床吹出口 15…お湯とりコイル
16…循環配管 17…貯湯槽
18…循環ダクト 19…温水ボイラー
20…室内 21…給湯配管
23…太陽電池 24…第2のハンドリングボックス
25…床下への送風口 26…室内への送風口
27…ダンパー 32…接続ダクト
33…小屋裏 40…屋根集熱部
41…集熱接続ダクト 42…集熱ダクト
43…外気吸込口 44…外気吸込ダクト
45…排気口 46…吹き出し口
47…送気ダクト 48…分岐管
49…分岐ボックス 50…屋根排気ダクト
52…重力式ダンパー 53…比例ダンパー
54…ファン 55…筒型フィルター
56…全熱交換器
57…ヒートポンプの空調熱交(空調熱交換器)
58…屋外ユニット 59…貯湯ユニット
60…冷媒配管 61…ドレン管
62…給湯配管 63…給水口
64…風呂循環配管 65…配管
66…給水配管 67…風呂
70−1…集熱温度センサー 70−2…外気温センサー
70−3…室内リターンセンサー
70−4…熱交換前温湿度センサー
70−5…リモコン内蔵(室温)センター
70−6−1…貯温槽缶体表面温度センサー
70−6−2…温度センサー
70−7…室外ユニット外気温センサー
71…リモコン 72…制御装置
73…家庭用ルーター 74…計測ユニット
75…パワーコンディショナ 76…分電盤
77…台所リモコン 78…浴槽リモコン
79…エコナビゲートウェイ