JP2004076985A - 建物の空調システム - Google Patents
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Abstract
【課題】自然エネルギーを有効活用し、安価に実現できる空調システムを提供する。
【解決手段】建物内に設けられ、空気循環経路の一部及び蓄熱空間を兼ねる二重床の床下空間1と、屋外と屋内との間で空気を給排気し、この給排気する空気間で熱交換可能な第1熱交換装置4と、屋外に設けられ、前記第1熱交換装置4を経由した空気と、外気及び太陽熱のいずれかとの間で熱交換可能な第2熱交換装置3と、前記第1熱交換装置4を経由した空気を前記第2熱交換装置3へ導く第1送気通路41と、前記第1熱交換装置4を経由した空気を前記床下空間1へ導く第2送気通路42と、前記第2熱交換装置3を経由した空気を前記床下空間1へ導く第3送気通路43と、前記床下空間1内の空気を室内へ導く送気口2と、前期室内へ導かれた空気を屋外に排気するための第4送気通路と、外気の温湿度に基づいて、取り入れた外気の循環経路を制御する制御装置と、を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】建物内に設けられ、空気循環経路の一部及び蓄熱空間を兼ねる二重床の床下空間1と、屋外と屋内との間で空気を給排気し、この給排気する空気間で熱交換可能な第1熱交換装置4と、屋外に設けられ、前記第1熱交換装置4を経由した空気と、外気及び太陽熱のいずれかとの間で熱交換可能な第2熱交換装置3と、前記第1熱交換装置4を経由した空気を前記第2熱交換装置3へ導く第1送気通路41と、前記第1熱交換装置4を経由した空気を前記床下空間1へ導く第2送気通路42と、前記第2熱交換装置3を経由した空気を前記床下空間1へ導く第3送気通路43と、前記床下空間1内の空気を室内へ導く送気口2と、前期室内へ導かれた空気を屋外に排気するための第4送気通路と、外気の温湿度に基づいて、取り入れた外気の循環経路を制御する制御装置と、を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の空調システムであり、特に、集合住宅の空調システムとして好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、集合住宅の空調システムとしては、シックハウス等の空気質対策として24時間換気システムが挙げられる。この機械換気システムは、例えば、便所、廊下天井等から室内の空気を排気し、給気は各居室壁面の自然給気口から行う方式がある。または、集合住宅内に、集中型給排気装置とダクトを設けて、この集中型給排気装置によりダクト経由で各室の天井開口部から給気し、便所、廊下天井等から排気する方法がある。この集中型給排気装置は、給気と排気との間で熱交換を行い省エネルギーを図ることが出来るため、近年このシステムを導入する集合住宅は増えつつある。
【0003】
しかし、24時間換気システムの本来の目的は、室内の空気質向上であり、常時一定量の新鮮な室外空気を導入するシステムである。そのため、外気の温湿度条件が極端に悪いときでも外気を室内に導入し、空調エネルギーが増大することもある。さらに、集中型給排気装置とダクトを用いる換気システムは、各室へ通じるダクト工事が必要であり、初期設備費は増大する。
【0004】
一方、近年、環境問題への対応や、エネルギー源の多様化を図る目的から自然の資源をエネルギー源として有効活用する取り組みが進んでおり、建物にも空調システム、省エネルギー対策等に自然エネルギーを利用するものが増えてきている。
【0005】
建物の省エネルギー対策として自然エネルギーは、例えば、屋根面や屋上等の屋外に集熱パネルを設けて、この集熱パネルにより太陽熱を収集し、この集熱を、暖房、給湯に利用したり、夜間のエネルギー源として、基礎コンクリート等の蓄熱体に蓄えたりして利用されている。また、自然エネルギーは、外気の温湿度条件が良いときに、通風を良くしたり、予め通風性を考慮した間取りにして涼感を得たり、屋内と屋外の温度差により換気を行う等によっても利用されている。
【0006】
しかし、太陽熱を収集する際には、集熱装置の他、新たに熱の循環経路、循環装置及び蓄熱装置などが必要であり初期設備が増大する。そのため、特に集合住宅では、入居者の考えが様々であり導入することが困難であることが多い。また、通風により自然エネルギーを得る場合は、各室によって温度分布差が生じたり、通風を良くするために窓の開閉等の人手による作業が必要である等で十分な効果が得られない問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題に鑑みて成されたものであり、自然エネルギーを有効に活用した空調システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、建物内に設けられ、空気循環経路の一部及び蓄熱空間を兼ねる二重床の床下空間と、屋外と屋内との間で空気を給排気し、この給排気する空気間で熱交換可能な第1熱交換装置と、屋外に設けられ、前記第1熱交換装置を経由した空気と、外気及び太陽熱のいずれかとの間で熱交換可能な第2熱交換装置と、前記第1熱交換装置を経由した空気を前記第2熱交換装置へ導く第1送気通路と、前記第1熱交換装置を経由した空気を前記床下空間へ導く第2送気通路と、前記第2熱交換装置を経由した空気を前記床下空間へ導く第3送気通路と、前記床下空間内の空気を室内へ導く送気口と、前期室内へ導かれた空気を屋外へ排気するための第4送気通路と、外気の温湿度に基づいて、取り入れた外気の循環経路を制御する制御装置と、を備えている建物の空調システムである。
【0009】
第1熱交換装置が取り入れた外気は、制御装置に基づき、必要に応じて、第1熱交換装置及び第2熱交換装置を経由して床下空間へ送られて蓄熱される。そして、温湿度調整された空気は、床下空間を経由し室内全体に導入され、室内の空気は第1熱交換装置を経由して屋外へ排出される。このようにして、自然エネルギーを有効に活用することにより外気を室内に適した状態に調整し、この調整した空気を室内全体に渡って循環させる。
【0010】
前記構成により、空調システムに自然エネルギーを有効活用することが出来る。また、二重床の床下空間を空気の循環経路に用いたことで、新たにダクトを設ける必要がなく、さらに、床スラブに蓄熱することが可能であるため新たに蓄熱材を設ける必要がなく、安価に自然エネルギーを利用した空調システムを実現することが可能となる。
【0011】
また、前記第1熱交換装置は、屋外からの給気と屋内からの排気との間で熱交換をする熱交換器と、前記屋外からの給気と屋内からの排気のいずれかが前記熱交換器をバイパスするバイパス手段とを備え、前記制御装置は、前記バイパス手段を制御するバイパス制御装置を備えることが望ましい。
【0012】
前記構成により、制御装置は、外気と室内の空気の温湿度に基づいて、第1熱交換装置が給排気する空気のいずれかを熱交換器からバイパスさせる。いずれかが熱交換器をバイパスしたときは、給排気する空気間で熱交換は行われず、外気は熱を加えられたり、奪われたりすることなく屋内へ導かれる。制御装置により熱交換器をバイパスするか否かが判断されるので、自動的に空気調整を行うことが出来る。
【0013】
さらに、前記制御装置は、外気、屋内空気の温湿度及び第2熱交換装置の温度を検知する温湿度検知装置と、その温湿度検知装置の出力に基づいて前記第1送気通路及び第2送気通路の何れかを選択する経路選択装置とを備えていることが望ましい。
【0014】
前記構成により、第1熱交換装置が取り入れた外気は、第1送気通路と第2送気通路のうち自動的に適した送気通路に導かれる。従って、自然エネルギーにより外気を適した温湿度に調整して室内に導くことが出来る。
【0015】
加えて、前記制御装置は、前記温湿度検知装置の出力に基づいて、前記第1熱交換装置が給排気する空気量を調整する空気量調整装置を備えていることが望ましい。
【0016】
前記構成により、自動的に外気と屋内の空気との給排気量を変えることが出来て、自然エネルギーをより有効に活用することが可能である。
【0017】
また、本発明は、建物の高さ方向に延び、上端開口が外気に解放された排気通路を備え、その排気通路に前記屋内から屋外への排気通路が接続されていることが望ましい。
【0018】
前記構成により、屋内から屋外へ空気を排出する排気通路は、上端開口部で発生する風による風圧を受ける。この風圧は、屋内から屋外へ空気を排気する駆動力となり、前記第1熱交換装置による屋外への空気排気力を補助する。従って、風圧による省エネルギー効果が得られる。
【0019】
また、前記第2熱交換装置は、その形状がパネル状であり、日射を受ける位置に配置することが望ましい。
【0020】
前記構成により、第2熱交換装置は、受光面積の広いパネル状の集熱部分により、効果的に太陽熱を収集することが出来る。こうして収集した熱は、第2熱交換装置により、装置内を循環する空気に与えられ、有効に自然エネルギーを活用することが出来る。
【0021】
また、この第2熱交換装置の集熱部分は、夜間等には天空放射により冷却される。こうして得られた冷熱は、第2熱交換装置により装置内を循環する空気に与えられ、有効に自然エネルギーを活用することが出来る。
【0022】
尚、本発明は以上の構成に基づいているが、前記構成に限られず、可能な限りこれらを組み合わせることが出来る。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る空調システムを集合住宅に用いた季節毎の実施の形態を図面に基づき説明する。図1から図3に示す住宅は、鉄筋コンクリート造の集合住宅である。屋内は二重床になっており、仕切のない床下空間1を有している。北側の居室aの床板5には、床下空間1と室内をつなぐ送気口2が設けられている。また、屋外にはバルコニーBが設けられており、このバルコニーBの手摺は、第2熱交換装置を兼ねた集放熱パネル3で構成されている。そして、天井裏のバルコニーB近くに、第1熱交換装置を兼ねた換気装置4が設けられている。
【0024】
換気装置4は、屋外と通じる給気通路4a、排気通路4bと接続されており、それぞれ外気と屋内の空気を給排気する。加えて、換気装置4は、床下空間1に給気する第2送気通路42と、バルコニーの集放熱パネル3に給気する第1送気通路41とそれぞれ接続されている。さらに、換気装置4は、屋内の空気を屋外へ排出するために屋内と通じる第4送気通路44と接続されている。
【0025】
さらに、この換気装置4内には、熱交換を行う熱交換部(図示せず)と、前記送気通路のうち適した送気通路を選択する経路選択装置としてのダンパー(図示せず)と、給排気する空気の量を調整する空気量調整装置としての送気ファン(図示せず)が設けられている。
【0026】
また、外気を取り入れる給気通路4aと、屋内の空気を排気する排気通路4bと、集放熱パネル3と床下空間1をつなぐ第3送気通路43には、それぞれ、外気、室内の空気の温湿度、及び、集放熱パネル3内の空気の温度を検知する温湿度検知装置(図示せず)が設けられている。この温湿度検知装置の出力に基づいて、ダンパー、及び、送気ファンが制御されるように設定されている。
【0027】
前記熱交換部は、取り入れた外気と、屋内から屋外へ排気する空気間で必要に応じて熱交換をする部分である。換気装置4内において、屋内から屋外へ排気する送気経路は、熱交換部を通る経路と、熱交換部をバイパスする経路とが設けられている。
【0028】
前記温湿度検知装置の出力に基づいて、外気の温湿度が室内に適していると判断された場合には、屋内から屋外へ排出する空気は熱交換部をパイパスする経路へ導かれ、給排気される空気間で熱交換は行われない。しかし、屋内から屋外へ排出する空気の温湿度が、外気の温湿度より室内に適していると判断された場合には、屋内から屋外へ排出する空気は、熱交換部を通る経路に導かれ、給排気される空気間で熱交換が行われる。また、前記バイパス経路は、屋内から屋外へ送気する通路ではなく、屋外から屋内に送気する通路に、熱交換部をバイパスする経路を設けても良い。
【0029】
さらに、バルコニーB部分には、屋内から屋外への空気の排気通路4bと接続された排気通路4cが建物の高さ方向に設けられている。この排気通路4cは、上部開口が外気に解放されており、上端開口部で発生する風による風圧を受ける。この風圧は、屋内から屋外へ空気を排気する駆動力となり、換気装置4による屋外への空気排気力を補助する。
【0030】
(空調形態1)
図1は、本発明に係る空調システムを用いた集合住宅の冬季昼間の空気の循環経路を示している。以下、矢印で示した空気の循環経路に従って説明する。外気は、換気装置4に設けられた給気通路4aを通じて換気装置4へ給気される(経路11)。
【0031】
このとき、給気する外気の空気量、及び、換気装置4内で熱交換を行うか否かは温湿度検知装置の出力に基づいて制御される。そして、換気装置4の熱交換部を通過した外気の送気先は、温湿度検知装置の出力によって、集放熱パネル3へと通じる第1送気通路41か、床下空間1へと通じる第2送気通路42が選択される。換気装置4の熱交換部を経由した外気に太陽熱を与えることが必要であると判断された場合に、外気は第1送気通路41を通じて集放熱パネル3へ導かれる(経路12)。一方、換気装置4の熱交換部を経由した外気を直接室内へ送ることが適していると判断された場合には、第2送気通路42を通じて屋内の床下空間1へ導かれる(経路13)。
【0032】
集放熱パネル3は、バルコニーBの手摺部分に合致させてパネル状に設けられており、太陽熱を広い面で受けることが可能である。従って、集放熱パネル3は、多くの太陽熱を収集し、この熱と集放熱パネル3に導かれた空気との間で熱交換を行う。冬季は外気の温度が低く、室内に給気するためには多くの熱を加える必要があるため、日中日射があたる時間には、有効に活用することが可能である。そして、集放熱パネル3により熱交換を行った空気は、第3送気通路43を通じて床下空間1へ導かれる(経路14)。
【0033】
床下空間1は二重床であるため、仕切のない空間であり、床下空間1へ導かれた空気は床下空間1全体に行き渡る(経路15)。床下空間1に導かれた空気により、床板5に熱が加えられる。そして、床板5が熱を室内へ放出し、室内の空気が暖められる(経路16)。あるいは、床板5からの輻射により人体が直接暖められる。また、床下空間1へ導かれた空気は、床板5に蓄熱すると同時に、コンクリートスラブ6にも蓄熱することが可能である。コンクリートスラブ6に日中得た熱を蓄熱させておくことで、集合住宅に蓄熱材等を設けることなく、日中得た熱を夜間に有効利用することが可能である。
【0034】
一方、床下空間1へ導かれた空気は、床板5に設けられた送気口2により室内へ導かれる(経路17)。この集合住宅では、比較的日当たりの悪い北側居室aに送気口2を設けて、北側居室aから暖かい空気を導入することにより、各室の温度差を少なくすることが出来る。
【0035】
ここで、本実施の形態では、送気口2は北側居室aに設けられているが、本発明はこれに限られず、例えば、集合住宅の間取り、日照条件に応じて南側居室に設けても良い。
【0036】
また、室内の空気は、新しい空気が導入されると同時に、不要な空気は屋外へと排出される。換気装置4と接続されている第4送気通路44は、天井裏を通じて室内のトイレ部分に通じており、室内のトイレ部分から屋外へ排出する空気が第4送気通路44に導かれる(経路18)。
【0037】
こうして屋外へ排出する空気は、第4送気通路44を通じて換気装置4内に導かれる。この空気は、先述のように、温湿度検知装置の出力に基づいて、必要に応じて熱交換部を経由して排気通路4bに導かれる(経路19)。この排気通路4bは、排気通路4cと連結しており、排気通路4c上部の風による補助排気力を受ける。そして、屋内の空気は、屋外へ排出される(経路20)。
【0038】
このように空気を循環させることにより、太陽熱等、自然エネルギーを有効に利用して、室内全体に渡って、適した状態の空気を循環させることが出来る。冬季は、日中に自然エネルギーを蓄熱することにより、夜間においても自然エネルギーを利用することが可能である。また、排気通路4cを設けることで、換気装置4の排気駆動力が補助される。さらに、二重床の床下空間1を空気の循環経路としたことで、新たにダクトを設ける必要がなく、初期設備投資も抑えることが出来る。
【0039】
(空調形態2)
次いで、図2は、本発明に係る空調システムを用いた集合住宅の夏季夜間の空気の循環経路を示している。図2に示す集合住宅は、図1に示す集合住宅と同様である。
【0040】
以下、矢印で示した空気の循環経路に従って説明する。外気は、給気通路4aを通じて換気装置4へ給気される(経路21)。
【0041】
このとき、空調形態1と同様に、給気する外気の空気量、及び、換気装置4内で熱交換を行うか否か、適した送気通路の選択は、温湿度検知装置の出力に基づいて制御されている。外気を集放熱パネル3の夜間放射により冷却したい場合には、外気は第1送気通路41を通じて集放熱パネル3へ導かれる(経路22)。一方、外気を直接室内へ送ることが適していると判断された場合には、第2送気通路42を通じて屋内の床下空間1へ導かれる(経路23)。
【0042】
集放熱パネル3は、バルコニーBの手摺部分に合致させてパネル状に設けられており、外気と広い面で接触している。そのため、夜間には放射冷却による外気の冷却効果を得ることが出来る。集放熱パネル3に導かれた空気は冷却されたのち、第3送気通路43を通じて床下空間1へ導かれる(経路24)。
【0043】
床下空間1は仕切のない空間であり、床下空間1へ導かれた空気は床下空間1全体に行き渡る(経路25)。床下空間1に導かれた空気により、床板5が冷却される。そして、床板5を通じて室内の空気が冷却される(経路26)。あるいは、床板5からの輻射により、人体が直接冷却される。また、床下空間1へ導かれた空気は、床板5を冷却すると同時に、コンクリートスラブ6にも冷熱を蓄えることが可能である。
【0044】
一方、床下空間1へ導かれた空気は、床板5に設けられた送気口2により室内へ導かれる(経路27)。また、室内に新しい空気が導入されると同時に、室内の不要な空気は屋外へと排出される。換気装置4と接続されている第4送気通路44は、天井裏を通じて室内のトイレ部分に通じており、室内のトイレ部分から屋外へ排出する空気が第4送気通路44に導かれる(経路28)。
【0045】
こうして屋外へ排出する空気は、第4送気通路44を通じて換気装置4内に導かれる。排気する空気は、温湿度検知装置の出力に基づいて必要に応じ熱交換部を経由して、排気通路4bへ導かれる(経路29)。この排気通路4bは、排気通路4cと連結しており、排気通路4c上部の風による補助排気力を受ける。そして、屋内の空気は、屋外へ排出される(経路30)。
【0046】
このように空気を循環させることにより、外気、放射冷却等、自然エネルギーを有効に利用して、室内全体に渡って、適した状態の空気を循環させることが出来る。夜間に自然エネルギーによる冷熱を蓄えることにより、省エネルギー化を図ることが出来る。また、排気通路4cを設けることで、換気装置4の排気駆動力が補助される。
【0047】
また、本実施の形態では、送気口2は床板5に設けられているが、床下空間1と室内をつなぐことが出来れば良く、例えば、外壁と内壁の空間を床下空間1と連通させて、送気口2を内壁に設けても良い。夏季は、冷たい空気を室内に取り込む必要があり、冷たい空気は下方に溜まってしまうので、送気口2を上方に設けた方が室内全体を冷却することが可能である。さらに、例えば、送気口2は、床板に設けず、内壁の幅木部分に設けても良い。
【0048】
(空調形態3)
次いで、図3は、本発明に係る空調システムを用いた集合住宅の夏期昼間や中間期等の空気の循環経路を示している。図3に示す集合住宅は、図1、図2に示す集合住宅と同様である。
【0049】
以下、矢印で示した空気の循環経路に従って説明する。外気は、換気装置4に設けられた給気通路4aから屋内へ給気される(経路31)。
【0050】
このとき、空調形態1と同様に、給気する外気の空気量、及び、換気装置4内で熱交換を行うか否か、適した送気通路の選択は、温湿度検知装置の出力に基づいて制御されている。但し、夏季昼間や暖房が不要な中間期は、通常外気の温度は高く集放熱パネル3により熱を加える必要はない。そのため通常は、換気装置4から第2送気通路42を通じて床下空間1へ導かれる(経路32)。
【0051】
床下空間1は仕切のない空間であり、床下空間1へ導かれた空気は床下空間1全体に行き渡る(経路33)。床下空間1のコンクリートスラブ6は、夜間冷熱を蓄えているため、床下空間1で空気は冷却される。
【0052】
床下空間1で冷却された空気は、床板5に設けられた送気口2により室内へ導かれる(経路34)。また、室内に新しい空気が導入されると同時に、室内の不要な空気は屋外へと排出される。換気装置4と接続されている第4送気通路44は、天井裏を通じて室内のトイレ部分に通じている。屋外へ排出する空気は室内のトイレ部分から第4送気通路44に導かれる(経路35)。さらに、室内の不要な空気を屋外へ排出するのと同時に、屋内の天井裏の熱気も屋外へ排出する(経路36)。通常暖かい空気は上方に溜まり、屋内の中でも天井裏の気温が高くなるため、天井裏の空気を排出すると屋内全体の温度を下げることが出来る。
【0053】
こうして屋外へ排出する空気は、第4送気通路44を通じて換気装置4内に導かれる。そして、排気する空気は、温湿度検知装置の出力に基づいて必要に応じて熱交換部を経由して、排気通路4bへ導かれる(経路37)。この排気通路4bは、排気通路4cと連結しており、排気通路4c上部の風による補助排気力を受ける。そして、屋内の空気は、屋外へ排出される(経路38)。
【0054】
このようにして、空気を循環させることにより、外気、放射冷却等、自然エネルギーを有効に利用して、室内全体に渡って、適した状態の空気を循環させることが出来る。特に夏季は、屋内の上方に溜まった熱気を排出することにより、屋内全体の温度を下げることが可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、外気、太陽熱等の自然エネルギーを有効に活用し、屋内の空気調整をすることが出来る。また、床下空間を空気の循環経路に利用したことで、空調システムのために新たにダクト、蓄熱材を設ける必要がなく、初期設備投資を軽減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】空調の形態1に係る集合住宅の冬季日中の空気の循環経路
【図2】空調の形態2に係る集合住宅の夏季夜間の空気の循環経路
【図3】空調の形態3に係る集合住宅の夏季日中及び中間期の空気の循環経路
【符号の説明】
1 床下空間
2 送気口
3 集放熱パネル
4 換気装置
5 床板
6 コンクリ−トスラブ
41 第1送気通路
42 第2送気通路
43 第3送気通路
44 第4送気通路
4a 給気通路
4b 排気通路
4c 排気通路
a 北側居室
B バルコニー
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の空調システムであり、特に、集合住宅の空調システムとして好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、集合住宅の空調システムとしては、シックハウス等の空気質対策として24時間換気システムが挙げられる。この機械換気システムは、例えば、便所、廊下天井等から室内の空気を排気し、給気は各居室壁面の自然給気口から行う方式がある。または、集合住宅内に、集中型給排気装置とダクトを設けて、この集中型給排気装置によりダクト経由で各室の天井開口部から給気し、便所、廊下天井等から排気する方法がある。この集中型給排気装置は、給気と排気との間で熱交換を行い省エネルギーを図ることが出来るため、近年このシステムを導入する集合住宅は増えつつある。
【0003】
しかし、24時間換気システムの本来の目的は、室内の空気質向上であり、常時一定量の新鮮な室外空気を導入するシステムである。そのため、外気の温湿度条件が極端に悪いときでも外気を室内に導入し、空調エネルギーが増大することもある。さらに、集中型給排気装置とダクトを用いる換気システムは、各室へ通じるダクト工事が必要であり、初期設備費は増大する。
【0004】
一方、近年、環境問題への対応や、エネルギー源の多様化を図る目的から自然の資源をエネルギー源として有効活用する取り組みが進んでおり、建物にも空調システム、省エネルギー対策等に自然エネルギーを利用するものが増えてきている。
【0005】
建物の省エネルギー対策として自然エネルギーは、例えば、屋根面や屋上等の屋外に集熱パネルを設けて、この集熱パネルにより太陽熱を収集し、この集熱を、暖房、給湯に利用したり、夜間のエネルギー源として、基礎コンクリート等の蓄熱体に蓄えたりして利用されている。また、自然エネルギーは、外気の温湿度条件が良いときに、通風を良くしたり、予め通風性を考慮した間取りにして涼感を得たり、屋内と屋外の温度差により換気を行う等によっても利用されている。
【0006】
しかし、太陽熱を収集する際には、集熱装置の他、新たに熱の循環経路、循環装置及び蓄熱装置などが必要であり初期設備が増大する。そのため、特に集合住宅では、入居者の考えが様々であり導入することが困難であることが多い。また、通風により自然エネルギーを得る場合は、各室によって温度分布差が生じたり、通風を良くするために窓の開閉等の人手による作業が必要である等で十分な効果が得られない問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題に鑑みて成されたものであり、自然エネルギーを有効に活用した空調システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、建物内に設けられ、空気循環経路の一部及び蓄熱空間を兼ねる二重床の床下空間と、屋外と屋内との間で空気を給排気し、この給排気する空気間で熱交換可能な第1熱交換装置と、屋外に設けられ、前記第1熱交換装置を経由した空気と、外気及び太陽熱のいずれかとの間で熱交換可能な第2熱交換装置と、前記第1熱交換装置を経由した空気を前記第2熱交換装置へ導く第1送気通路と、前記第1熱交換装置を経由した空気を前記床下空間へ導く第2送気通路と、前記第2熱交換装置を経由した空気を前記床下空間へ導く第3送気通路と、前記床下空間内の空気を室内へ導く送気口と、前期室内へ導かれた空気を屋外へ排気するための第4送気通路と、外気の温湿度に基づいて、取り入れた外気の循環経路を制御する制御装置と、を備えている建物の空調システムである。
【0009】
第1熱交換装置が取り入れた外気は、制御装置に基づき、必要に応じて、第1熱交換装置及び第2熱交換装置を経由して床下空間へ送られて蓄熱される。そして、温湿度調整された空気は、床下空間を経由し室内全体に導入され、室内の空気は第1熱交換装置を経由して屋外へ排出される。このようにして、自然エネルギーを有効に活用することにより外気を室内に適した状態に調整し、この調整した空気を室内全体に渡って循環させる。
【0010】
前記構成により、空調システムに自然エネルギーを有効活用することが出来る。また、二重床の床下空間を空気の循環経路に用いたことで、新たにダクトを設ける必要がなく、さらに、床スラブに蓄熱することが可能であるため新たに蓄熱材を設ける必要がなく、安価に自然エネルギーを利用した空調システムを実現することが可能となる。
【0011】
また、前記第1熱交換装置は、屋外からの給気と屋内からの排気との間で熱交換をする熱交換器と、前記屋外からの給気と屋内からの排気のいずれかが前記熱交換器をバイパスするバイパス手段とを備え、前記制御装置は、前記バイパス手段を制御するバイパス制御装置を備えることが望ましい。
【0012】
前記構成により、制御装置は、外気と室内の空気の温湿度に基づいて、第1熱交換装置が給排気する空気のいずれかを熱交換器からバイパスさせる。いずれかが熱交換器をバイパスしたときは、給排気する空気間で熱交換は行われず、外気は熱を加えられたり、奪われたりすることなく屋内へ導かれる。制御装置により熱交換器をバイパスするか否かが判断されるので、自動的に空気調整を行うことが出来る。
【0013】
さらに、前記制御装置は、外気、屋内空気の温湿度及び第2熱交換装置の温度を検知する温湿度検知装置と、その温湿度検知装置の出力に基づいて前記第1送気通路及び第2送気通路の何れかを選択する経路選択装置とを備えていることが望ましい。
【0014】
前記構成により、第1熱交換装置が取り入れた外気は、第1送気通路と第2送気通路のうち自動的に適した送気通路に導かれる。従って、自然エネルギーにより外気を適した温湿度に調整して室内に導くことが出来る。
【0015】
加えて、前記制御装置は、前記温湿度検知装置の出力に基づいて、前記第1熱交換装置が給排気する空気量を調整する空気量調整装置を備えていることが望ましい。
【0016】
前記構成により、自動的に外気と屋内の空気との給排気量を変えることが出来て、自然エネルギーをより有効に活用することが可能である。
【0017】
また、本発明は、建物の高さ方向に延び、上端開口が外気に解放された排気通路を備え、その排気通路に前記屋内から屋外への排気通路が接続されていることが望ましい。
【0018】
前記構成により、屋内から屋外へ空気を排出する排気通路は、上端開口部で発生する風による風圧を受ける。この風圧は、屋内から屋外へ空気を排気する駆動力となり、前記第1熱交換装置による屋外への空気排気力を補助する。従って、風圧による省エネルギー効果が得られる。
【0019】
また、前記第2熱交換装置は、その形状がパネル状であり、日射を受ける位置に配置することが望ましい。
【0020】
前記構成により、第2熱交換装置は、受光面積の広いパネル状の集熱部分により、効果的に太陽熱を収集することが出来る。こうして収集した熱は、第2熱交換装置により、装置内を循環する空気に与えられ、有効に自然エネルギーを活用することが出来る。
【0021】
また、この第2熱交換装置の集熱部分は、夜間等には天空放射により冷却される。こうして得られた冷熱は、第2熱交換装置により装置内を循環する空気に与えられ、有効に自然エネルギーを活用することが出来る。
【0022】
尚、本発明は以上の構成に基づいているが、前記構成に限られず、可能な限りこれらを組み合わせることが出来る。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る空調システムを集合住宅に用いた季節毎の実施の形態を図面に基づき説明する。図1から図3に示す住宅は、鉄筋コンクリート造の集合住宅である。屋内は二重床になっており、仕切のない床下空間1を有している。北側の居室aの床板5には、床下空間1と室内をつなぐ送気口2が設けられている。また、屋外にはバルコニーBが設けられており、このバルコニーBの手摺は、第2熱交換装置を兼ねた集放熱パネル3で構成されている。そして、天井裏のバルコニーB近くに、第1熱交換装置を兼ねた換気装置4が設けられている。
【0024】
換気装置4は、屋外と通じる給気通路4a、排気通路4bと接続されており、それぞれ外気と屋内の空気を給排気する。加えて、換気装置4は、床下空間1に給気する第2送気通路42と、バルコニーの集放熱パネル3に給気する第1送気通路41とそれぞれ接続されている。さらに、換気装置4は、屋内の空気を屋外へ排出するために屋内と通じる第4送気通路44と接続されている。
【0025】
さらに、この換気装置4内には、熱交換を行う熱交換部(図示せず)と、前記送気通路のうち適した送気通路を選択する経路選択装置としてのダンパー(図示せず)と、給排気する空気の量を調整する空気量調整装置としての送気ファン(図示せず)が設けられている。
【0026】
また、外気を取り入れる給気通路4aと、屋内の空気を排気する排気通路4bと、集放熱パネル3と床下空間1をつなぐ第3送気通路43には、それぞれ、外気、室内の空気の温湿度、及び、集放熱パネル3内の空気の温度を検知する温湿度検知装置(図示せず)が設けられている。この温湿度検知装置の出力に基づいて、ダンパー、及び、送気ファンが制御されるように設定されている。
【0027】
前記熱交換部は、取り入れた外気と、屋内から屋外へ排気する空気間で必要に応じて熱交換をする部分である。換気装置4内において、屋内から屋外へ排気する送気経路は、熱交換部を通る経路と、熱交換部をバイパスする経路とが設けられている。
【0028】
前記温湿度検知装置の出力に基づいて、外気の温湿度が室内に適していると判断された場合には、屋内から屋外へ排出する空気は熱交換部をパイパスする経路へ導かれ、給排気される空気間で熱交換は行われない。しかし、屋内から屋外へ排出する空気の温湿度が、外気の温湿度より室内に適していると判断された場合には、屋内から屋外へ排出する空気は、熱交換部を通る経路に導かれ、給排気される空気間で熱交換が行われる。また、前記バイパス経路は、屋内から屋外へ送気する通路ではなく、屋外から屋内に送気する通路に、熱交換部をバイパスする経路を設けても良い。
【0029】
さらに、バルコニーB部分には、屋内から屋外への空気の排気通路4bと接続された排気通路4cが建物の高さ方向に設けられている。この排気通路4cは、上部開口が外気に解放されており、上端開口部で発生する風による風圧を受ける。この風圧は、屋内から屋外へ空気を排気する駆動力となり、換気装置4による屋外への空気排気力を補助する。
【0030】
(空調形態1)
図1は、本発明に係る空調システムを用いた集合住宅の冬季昼間の空気の循環経路を示している。以下、矢印で示した空気の循環経路に従って説明する。外気は、換気装置4に設けられた給気通路4aを通じて換気装置4へ給気される(経路11)。
【0031】
このとき、給気する外気の空気量、及び、換気装置4内で熱交換を行うか否かは温湿度検知装置の出力に基づいて制御される。そして、換気装置4の熱交換部を通過した外気の送気先は、温湿度検知装置の出力によって、集放熱パネル3へと通じる第1送気通路41か、床下空間1へと通じる第2送気通路42が選択される。換気装置4の熱交換部を経由した外気に太陽熱を与えることが必要であると判断された場合に、外気は第1送気通路41を通じて集放熱パネル3へ導かれる(経路12)。一方、換気装置4の熱交換部を経由した外気を直接室内へ送ることが適していると判断された場合には、第2送気通路42を通じて屋内の床下空間1へ導かれる(経路13)。
【0032】
集放熱パネル3は、バルコニーBの手摺部分に合致させてパネル状に設けられており、太陽熱を広い面で受けることが可能である。従って、集放熱パネル3は、多くの太陽熱を収集し、この熱と集放熱パネル3に導かれた空気との間で熱交換を行う。冬季は外気の温度が低く、室内に給気するためには多くの熱を加える必要があるため、日中日射があたる時間には、有効に活用することが可能である。そして、集放熱パネル3により熱交換を行った空気は、第3送気通路43を通じて床下空間1へ導かれる(経路14)。
【0033】
床下空間1は二重床であるため、仕切のない空間であり、床下空間1へ導かれた空気は床下空間1全体に行き渡る(経路15)。床下空間1に導かれた空気により、床板5に熱が加えられる。そして、床板5が熱を室内へ放出し、室内の空気が暖められる(経路16)。あるいは、床板5からの輻射により人体が直接暖められる。また、床下空間1へ導かれた空気は、床板5に蓄熱すると同時に、コンクリートスラブ6にも蓄熱することが可能である。コンクリートスラブ6に日中得た熱を蓄熱させておくことで、集合住宅に蓄熱材等を設けることなく、日中得た熱を夜間に有効利用することが可能である。
【0034】
一方、床下空間1へ導かれた空気は、床板5に設けられた送気口2により室内へ導かれる(経路17)。この集合住宅では、比較的日当たりの悪い北側居室aに送気口2を設けて、北側居室aから暖かい空気を導入することにより、各室の温度差を少なくすることが出来る。
【0035】
ここで、本実施の形態では、送気口2は北側居室aに設けられているが、本発明はこれに限られず、例えば、集合住宅の間取り、日照条件に応じて南側居室に設けても良い。
【0036】
また、室内の空気は、新しい空気が導入されると同時に、不要な空気は屋外へと排出される。換気装置4と接続されている第4送気通路44は、天井裏を通じて室内のトイレ部分に通じており、室内のトイレ部分から屋外へ排出する空気が第4送気通路44に導かれる(経路18)。
【0037】
こうして屋外へ排出する空気は、第4送気通路44を通じて換気装置4内に導かれる。この空気は、先述のように、温湿度検知装置の出力に基づいて、必要に応じて熱交換部を経由して排気通路4bに導かれる(経路19)。この排気通路4bは、排気通路4cと連結しており、排気通路4c上部の風による補助排気力を受ける。そして、屋内の空気は、屋外へ排出される(経路20)。
【0038】
このように空気を循環させることにより、太陽熱等、自然エネルギーを有効に利用して、室内全体に渡って、適した状態の空気を循環させることが出来る。冬季は、日中に自然エネルギーを蓄熱することにより、夜間においても自然エネルギーを利用することが可能である。また、排気通路4cを設けることで、換気装置4の排気駆動力が補助される。さらに、二重床の床下空間1を空気の循環経路としたことで、新たにダクトを設ける必要がなく、初期設備投資も抑えることが出来る。
【0039】
(空調形態2)
次いで、図2は、本発明に係る空調システムを用いた集合住宅の夏季夜間の空気の循環経路を示している。図2に示す集合住宅は、図1に示す集合住宅と同様である。
【0040】
以下、矢印で示した空気の循環経路に従って説明する。外気は、給気通路4aを通じて換気装置4へ給気される(経路21)。
【0041】
このとき、空調形態1と同様に、給気する外気の空気量、及び、換気装置4内で熱交換を行うか否か、適した送気通路の選択は、温湿度検知装置の出力に基づいて制御されている。外気を集放熱パネル3の夜間放射により冷却したい場合には、外気は第1送気通路41を通じて集放熱パネル3へ導かれる(経路22)。一方、外気を直接室内へ送ることが適していると判断された場合には、第2送気通路42を通じて屋内の床下空間1へ導かれる(経路23)。
【0042】
集放熱パネル3は、バルコニーBの手摺部分に合致させてパネル状に設けられており、外気と広い面で接触している。そのため、夜間には放射冷却による外気の冷却効果を得ることが出来る。集放熱パネル3に導かれた空気は冷却されたのち、第3送気通路43を通じて床下空間1へ導かれる(経路24)。
【0043】
床下空間1は仕切のない空間であり、床下空間1へ導かれた空気は床下空間1全体に行き渡る(経路25)。床下空間1に導かれた空気により、床板5が冷却される。そして、床板5を通じて室内の空気が冷却される(経路26)。あるいは、床板5からの輻射により、人体が直接冷却される。また、床下空間1へ導かれた空気は、床板5を冷却すると同時に、コンクリートスラブ6にも冷熱を蓄えることが可能である。
【0044】
一方、床下空間1へ導かれた空気は、床板5に設けられた送気口2により室内へ導かれる(経路27)。また、室内に新しい空気が導入されると同時に、室内の不要な空気は屋外へと排出される。換気装置4と接続されている第4送気通路44は、天井裏を通じて室内のトイレ部分に通じており、室内のトイレ部分から屋外へ排出する空気が第4送気通路44に導かれる(経路28)。
【0045】
こうして屋外へ排出する空気は、第4送気通路44を通じて換気装置4内に導かれる。排気する空気は、温湿度検知装置の出力に基づいて必要に応じ熱交換部を経由して、排気通路4bへ導かれる(経路29)。この排気通路4bは、排気通路4cと連結しており、排気通路4c上部の風による補助排気力を受ける。そして、屋内の空気は、屋外へ排出される(経路30)。
【0046】
このように空気を循環させることにより、外気、放射冷却等、自然エネルギーを有効に利用して、室内全体に渡って、適した状態の空気を循環させることが出来る。夜間に自然エネルギーによる冷熱を蓄えることにより、省エネルギー化を図ることが出来る。また、排気通路4cを設けることで、換気装置4の排気駆動力が補助される。
【0047】
また、本実施の形態では、送気口2は床板5に設けられているが、床下空間1と室内をつなぐことが出来れば良く、例えば、外壁と内壁の空間を床下空間1と連通させて、送気口2を内壁に設けても良い。夏季は、冷たい空気を室内に取り込む必要があり、冷たい空気は下方に溜まってしまうので、送気口2を上方に設けた方が室内全体を冷却することが可能である。さらに、例えば、送気口2は、床板に設けず、内壁の幅木部分に設けても良い。
【0048】
(空調形態3)
次いで、図3は、本発明に係る空調システムを用いた集合住宅の夏期昼間や中間期等の空気の循環経路を示している。図3に示す集合住宅は、図1、図2に示す集合住宅と同様である。
【0049】
以下、矢印で示した空気の循環経路に従って説明する。外気は、換気装置4に設けられた給気通路4aから屋内へ給気される(経路31)。
【0050】
このとき、空調形態1と同様に、給気する外気の空気量、及び、換気装置4内で熱交換を行うか否か、適した送気通路の選択は、温湿度検知装置の出力に基づいて制御されている。但し、夏季昼間や暖房が不要な中間期は、通常外気の温度は高く集放熱パネル3により熱を加える必要はない。そのため通常は、換気装置4から第2送気通路42を通じて床下空間1へ導かれる(経路32)。
【0051】
床下空間1は仕切のない空間であり、床下空間1へ導かれた空気は床下空間1全体に行き渡る(経路33)。床下空間1のコンクリートスラブ6は、夜間冷熱を蓄えているため、床下空間1で空気は冷却される。
【0052】
床下空間1で冷却された空気は、床板5に設けられた送気口2により室内へ導かれる(経路34)。また、室内に新しい空気が導入されると同時に、室内の不要な空気は屋外へと排出される。換気装置4と接続されている第4送気通路44は、天井裏を通じて室内のトイレ部分に通じている。屋外へ排出する空気は室内のトイレ部分から第4送気通路44に導かれる(経路35)。さらに、室内の不要な空気を屋外へ排出するのと同時に、屋内の天井裏の熱気も屋外へ排出する(経路36)。通常暖かい空気は上方に溜まり、屋内の中でも天井裏の気温が高くなるため、天井裏の空気を排出すると屋内全体の温度を下げることが出来る。
【0053】
こうして屋外へ排出する空気は、第4送気通路44を通じて換気装置4内に導かれる。そして、排気する空気は、温湿度検知装置の出力に基づいて必要に応じて熱交換部を経由して、排気通路4bへ導かれる(経路37)。この排気通路4bは、排気通路4cと連結しており、排気通路4c上部の風による補助排気力を受ける。そして、屋内の空気は、屋外へ排出される(経路38)。
【0054】
このようにして、空気を循環させることにより、外気、放射冷却等、自然エネルギーを有効に利用して、室内全体に渡って、適した状態の空気を循環させることが出来る。特に夏季は、屋内の上方に溜まった熱気を排出することにより、屋内全体の温度を下げることが可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、外気、太陽熱等の自然エネルギーを有効に活用し、屋内の空気調整をすることが出来る。また、床下空間を空気の循環経路に利用したことで、空調システムのために新たにダクト、蓄熱材を設ける必要がなく、初期設備投資を軽減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】空調の形態1に係る集合住宅の冬季日中の空気の循環経路
【図2】空調の形態2に係る集合住宅の夏季夜間の空気の循環経路
【図3】空調の形態3に係る集合住宅の夏季日中及び中間期の空気の循環経路
【符号の説明】
1 床下空間
2 送気口
3 集放熱パネル
4 換気装置
5 床板
6 コンクリ−トスラブ
41 第1送気通路
42 第2送気通路
43 第3送気通路
44 第4送気通路
4a 給気通路
4b 排気通路
4c 排気通路
a 北側居室
B バルコニー
Claims (6)
- 建物内に設けられ、空気循環経路の一部及び蓄熱空間を兼ねる二重床の床下空間と、
屋外と屋内との間で空気を給排気し、この給排気する空気間で熱交換可能な第1熱交換装置と、
屋外に設けられ、前記第1熱交換装置を経由した空気と、外気及び太陽熱のいずれかとの間で熱交換可能な第2熱交換装置と、
前記第1熱交換装置を経由した空気を前記第2熱交換装置へ導く第1送気通路と、
前記第1熱交換装置を経由した空気を前記床下空間へ導く第2送気通路と、
前記第2熱交換装置を経由した空気を前記床下空間へ導く第3送気通路と、
前記床下空間内の空気を室内へ導く送気口と、
前期室内へ導かれた空気を屋外に排気するための第4送気通路と、
外気の温湿度に基づいて、取り入れた外気の循環経路を制御する制御装置と、を備えている建物の空調システム。 - 前記第1熱交換装置は、屋外からの給気と屋内からの排気との間で熱交換する熱交換器と、前記屋外からの給気と屋内からの排気のいずれかが前記熱交換器をバイパスするバイパス手段とを備え、前記制御装置は、前記バイパス手段を制御するバイパス制御装置を備えることを特徴とする請求項1記載の建物の空調システム。
- 前記制御装置は、外気、屋内空気の温湿度及び第2熱交換装置の温度を検知する温湿度検知装置と、その温湿度検知装置の出力に基づいて前記第1送気通路及び第2送気通路の何れかを選択する経路選択装置とを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建物の空調システム。
- 前記制御装置は、前記温湿度検知装置の出力に基づいて、前記第1熱交換装置が給排気する空気量を調整する空気量調整装置を備えていることを特徴とする請求項3記載の建物の空調システム。
- 建物の高さ方向に延び、上端開口が外気に解放された排気通路を備え、その排気通路に前記屋内から屋外への排気通路が接続されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の建物の空調システム。
- 前記第2熱交換装置は、その熱交換器部分がパネル状であり、日射を受ける位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の建物の空調システム。
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105841271A (zh) * | 2016-03-31 | 2016-08-10 | 青岛海尔空调器有限总公司 | 一种太阳能半导体制冷装置 |
CN106765706A (zh) * | 2016-12-29 | 2017-05-31 | 武汉嘉荣医疗净化工程有限公司 | 一种节能型自取新风净化空调系统 |
CN109654655A (zh) * | 2018-12-11 | 2019-04-19 | 美的集团武汉制冷设备有限公司 | 空调器及其控制方法、控制装置及可读存储介质 |
CN112097361A (zh) * | 2020-09-23 | 2020-12-18 | 黑龙江建筑职业技术学院 | 一种绿色建筑环保节能通风装置 |
-
2002
- 2002-08-12 JP JP2002234895A patent/JP2004076985A/ja active Pending
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