JP2020056058A - 熱処理方法 - Google Patents

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Yoshinori Fujita
悦則 藤田
誠也 吉田
Seiya Yoshida
誠也 吉田
勝義 桑田
Katsuyoshi Kuwata
勝義 桑田
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Abstract

【課題】熱処理により高硬度化されるワークの面が荒れることを抑制する。【解決手段】誘導加熱装置により直接加熱される加熱面を、ガイドプレート11等のワーク中、硬化を所望する部位(硬化対象位置)である溝部11aの表面11a1ではなく、その反対面11a2として熱処理を行う。そのため、硬化対象位置の表面11a1が熱処理により荒れて、熱処理前よりも面精度が低下することを抑制できる。また、本発明によれば、誘導加熱装置を用いており、必要な部分のみ熱処理することができる。【選択図】 図1

Description

本発明は、金属製のワークの表面を熱処理により硬化させる熱処理方法に関する。
例えば、自動車シートのリクライナーを構成する部品、ギヤの歯などは、焼き入れ等の熱処理を行い表面硬度を高めることが行われている。表面硬化法としては、浸炭焼き入れや炭素含有量が所定以上の材料を用いた熱処理等が行われているが、炉内に配置して部品全体を焼き入れする場合には、後工程で溶接を行う際、溶接部が脆くなったり、割れが発生したりする場合がある。そのため、誘導加熱装置を用い、所望の部位のみを部分的に熱処理する熱処理方法も用いられている。例えば、特許文献1では、ギヤの歯の硬度を高める熱処理方法として、誘導加熱装置の加熱コイルを一つ一つの歯に対向するように相対移動可能に設け、ギヤ全体ではなく、一つ一つの歯の表面のみを部分的に熱処理する技術が開示されている。
特開2016−178016号公報
しかし、特許文献1のように、歯の表面に加熱装置の加熱コイルを対峙させ、歯の表面を熱処理する場合には、表面が荒れ、面精度が低下するおそれがある。それにより、ギヤの噛み合い精度の低下や異音の要因になる場合もある。また、ギヤ以外の部品においても、処理した表面が例えば他の部品の表面に摺動する関係にある場合、表面の荒れにより摺動の円滑性が低下したりする場合もある。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、誘導加熱を利用してワークの必要な部分のみを熱処理し、後工程で溶接を行った際に溶接部が脆くなったり割れが発生したりすることを抑制することができると共に、硬化させる部位(硬化対象位置)の面の面精度の低下を抑制することができる熱処理方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の熱処理方法は、
金属製のワークを誘導加熱により部分的に熱処理する熱処理方法であって、
前記ワークの表面中、硬化対象位置の面とは異なる位置の面を、誘導加熱装置の加熱部により直接加熱される加熱面として熱処理し、前記硬化対象位置の面を硬化させることを特徴とする。
前記硬化対象位置の面が、所定の面精度で加工された加工面の熱処理に適用する。
前記加工面が凹凸面であり、前記凹凸面の反対面を前記加熱面として熱処理することが好ましい。
前記加工面が凹凸面であり、前記凹凸面に略直交する面を前記加熱面として熱処理することが好ましい。この場合、かかる凹凸面が、ギヤの歯の表面である場合に適用するとより好ましい。
本発明では、誘導加熱装置により直接加熱される加熱面を、ワーク中、硬化を所望する部位(硬化対象位置)の面ではなく、当該硬化対象位置の面とは異なる面として熱処理を行う。そのため、硬化対象位置の面が熱処理により荒れて、熱処理前よりも面精度が低下することを抑制できる。また、本発明によれば、誘導加熱装置を用いており、必要な部分のみ熱処理することができる。それにより、熱処理後の工程において溶接を行う場合には、熱処理した部位とは異なる部位で行えばよく、溶接をより確実に行うことができる。また、熱処理された部位が部分的であるため、熱処理されていない部位で歪みを吸収でき、全体を熱処理する方法と比較して、残留応力が少なくなる。
図1(a)〜(c)は、第1の実施形態のワークである自動車用シートのリクライナーの要部を示す図であり、図1(a)は、ロックプレートを省略して示したガイドプレートの平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A線断面図、図1(c)は、図1(a)のB−B線断面図である。 図2(a)は、誘導加熱装置の加熱部である加熱コイル及びコアをガイドプレートの裏面側に配置した状態を示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A線断面図、図2(c)は、図2(a)のB−B線断面図である。 図3は、第1の実施形態の実験例における断面検査を行った位置を示すためのガイドプレートの断面図である。 図4(a)は、図3のa1,a2における硬度を条件別に示した図であり、図4(b)は、図3のb1,b2における硬度を条件別に示した図であり、図4(c)は、図3のc点に沿った横方向の硬度を示した図である。 図5(a)は、図3のd領域のミクロ組織を条件別に示した図であり、図5(b)は、図3のe領域のミクロ組織を条件別に示した図である。 図6は、実験例において熱処理を行ったガイドプレートの表面に沿った形状(面精度)を条件別に示した図である。 図7(a)は、第2の実施形態のワークであるギヤを示した平面図であり、図7(b)は、図7(a)のA−A線に沿った断面図である。 図8(a)は、第2の実施形態で用いた誘導加熱装置の加熱部である加熱コイル及びコアをギヤの上面の上方に配置した状態を示す斜視図であり、図8(b)は、図8(a)の平面図であり、図8(c)は、図8(b)のA−A線断面図である。 図9は、第2の実施形態の実験例における断面検査を行った位置を示すためのギヤの断面図である。 図10(a)は、図9のX点に沿った硬度を条件別に示した図であり、図10(b)は、図9のY点に沿った硬度を条件別に示した図であり、図10(c)は、図9のZ点に沿った硬度を条件別に示した図である。 図11(a)は、図9のa領域のミクロ組織を条件別に示した図であり、図11(b)は、図9のb領域のミクロ組織を条件別に示した図であり、図11(c)は、図9のc領域のミクロ組織を条件別に示した図である。
以下、図面に示した実施形態に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、自動車用シートのリクライナー10に、本発明の熱処理方法を施す実施形態について説明する。図1(a)〜(c)は、誘導加熱装置100を用いて部分的に熱処理を施した自動車用シートのリクライナー10の要部を示す図である。ここで、リクライナー10は、自動車用シートのシートクッション及びシートバックのうちの一方に連結されるガイドプレート11と、シートクッション及びシートバックのうちの他方に連結され、ガイドプレート11に対して回転するインターナルギヤ(図示せず)とを有している。ガイドプレート11及びインターナルギヤ間に、径方向に摺動可能に配置されるロックプレート13を有していると共に、ロックプレート13の外周面には外歯(図示せず)が形成されており、ロックプレート13が径方向の外方に摺動すると、該外歯が、インターナルギヤの内歯に噛み合ってロックし、ロックプレート13が径方向の内方に摺動すると両者の噛み合いが外れ、ガイドプレート11及びインターナルギヤがリクライニング操作に伴って相対回転可能になる。
また、ガイドプレート11とロックプレート13との対向面(摺動面)には、それぞれ溝部11a,13aが形成され、この溝部11a,13a間に、ガイドプレート11及びロックプレート13間のガタ解消と摺動性の向上のため摺動用ボール14が配設されている。なお、この例では、図1(a)に示したように、ガイドプレート11において円周方向に180度隔てて、2箇所の溝部11aが形成されており、図示しないが、それに対応してロックプレート13も2枚配設されている。
一方、ガイドプレート11は、シートクッション又はシートバックのフレーム部分への溶接のため、例えば、炭素含有量の低いSPFH鋼(炭素含有量:0.07〜0.08%)が用いられるのに対し、ロックプレート13は、例えば、浸炭焼き入れ焼き戻しされたS20CK鋼(炭素含有量0.2%)からなるものが用いられる。よって、ガイドプレート11側において、摺動用ボール14による変形を抑制するため、摺動用ボール14の転動範囲付近、すなわち、ガイドプレート11の溝部11aの表面11a1の硬度を高める必要がある。この溝部11aは、プレス加工により形成されており、溝部11aを凹部とすると、その周囲の部位は相対的に凸部となり、溝部11a及びその周囲を含んだ部位が凹凸面からなる加工面となる。
本実施形態の熱処理方法は、誘導加熱装置100の加熱コイル101を、金属製のワークの表面中、高硬度化を図る部位(硬化対象位置)の面に直接対向させて加熱するのではなく、硬化対象位置とは異なる位置の面に対向させて加熱する。従って、ワーク中、硬化対象位置とは異なる位置の面が誘導加熱装置100により直接加熱される加熱面となる。図1(a)〜(c)の例では、ガイドプレート11の溝部11aの表面11a1が硬化対象位置の面(プレス加工による加工面)となるが、加熱面はこの表面11a1ではなく、その反対面11a2とする。そこで、反対面11a2側に加熱コイル101を対向させ、表面11a1まで誘導加熱を生じさせる(図2(a)〜(c)参照)。その結果、図1(a)〜(c)においてハッチングで示した領域が加熱されることになる。
図2(a)〜(c)は、本実施形態で用いた誘導加熱装置100の要部を示した図である。この図に示したように、誘導加熱装置100は、加熱部として、略U字状に形成した加熱コイル101と、ガイドプレート11の溝部11aの形成位置に対応させて対称位置において、加熱コイル101の背後に配設された磁力線を集中させるための磁性材からなるコア102を有している。この誘導加熱装置100を用いてガイドプレート11を熱処理する際には、まず、加熱コイル101を、ガイドプレート11の裏面(溝部11aが刻設されていない溝部11aの反対面11a2を含む面)側において、2つのコア102が2つの溝部11aに対応する位置となるように配置する。この状態で、加熱コイル101に交流電流を流し、誘導加熱によりガイドプレート11を裏面側から加熱する。2つのコア102が2つの溝部11aに対向しているため、溝部11aの反対面11a2に対する誘導加熱が促進され、溝部11aの表面11a1に至るまで加熱される。所定時間加熱した後、急冷して焼入れする。
(ガイドプレート11に対する熱処理実験)
・実験条件
図1(a)〜(c)に示したガイドプレート11(SPFH鋼(炭素含有量:0.07〜0.08%))に対して熱処理を施し、その評価を行った。ガイドプレート11に形成された溝部11aの形状は、図1(b)に示したとおりであり、溝部11aの反対面11a2から、溝部11aの底面及びテーパ面を含む表面(硬化対象位置の面)11a1のうち、該テーパ面と摺動用ボール14との接点までの距離は2.2mmであり、図1(b)の断面における摺動用ボール14の2つの接点間の距離は3mmであった。
誘導加熱装置100の加熱コイル101は、上記のように、ガイドプレート11の裏面側において、2つのコア102が2つの溝部11aの反対面(硬化対象位置とは異なる位置の面)11a2に対向するように配置した。加熱時間を変化させて、溝部11aの硬度を比較した。なお、ガイドプレート11及び加熱コイル101間のエアギャップ、電源出力(周波数は一定であるが、少なくとも、溝部11aの反対面11a2から表面11a1に向かった摺動用ボール14との接点までの距離2.2mmまで熱が浸透する周波数に設定)、冷却条件は一定とした。
・評価方法
熱処理した部位の断面検査(断面硬度測定、ミクロ組織観察)、形状測定を行う。断面検査位置は図3に示したとおりである。硬度測定は、図3の断面において、溝部11aの表面11a1中、中心から各サイドに1.1mmの位置a1,a2(a1,a2間の距離2.2mm)、溝部11aの中心から各サイドに1.5mmの位置b1,b2(b1,b2間の距離3mm)を、表面11a1から反対面11a2方向に縦方向に測定した。また、図3の断面において、溝部11aの表面11a1の底面位置から0.2mm反対面11a2側に寄ったc点に沿った横方向の硬度を測定した。結果を図4(a)〜(c)に示す。
ミクロ組織観察は、図3の断面において、溝部11aの中心から図の右側に1.5mm離間した四角で囲ったd領域と、溝部11aの形成位置より外方で、加熱コイル101に対向していない位置に相当する四角で囲ったe領域において比較した。結果を図5(a),(b)に示す。
・実験結果
図4(a)より、中心から1.1mmの位置a1,a2は、4秒加熱後に急冷するという条件でHV360〜365が確保できた。図4(b)より、中心から1.5mmの位置b1,b2は、5秒加熱後に急冷するという条件で、HV360〜385が確保できた。図4(c)に示したc点に沿った横方向の硬度は、加熱時間が長くなるに従って、高硬度の範囲が広くなっている。
ミクロ組織は、溝部11aの形成範囲内である中心から1.5mm離れたd領域では、図5(a)に示したように、4秒以上の加熱でマルテンサイトとなり、5秒間の加熱では4秒間の加熱よりも結晶粒が大きくなっている。溝部11aの外方のe領域では、図5(b)に示したように、材料のままの組織で、熱処理されていなかった。よって、本実施形態の熱処理方法によれば、加熱コイル101に対向する部位のみを部分的に熱処理できる。
硬度測定結果及びミクロ組織の観察から、加熱時間が長いと、不要な範囲まで硬度が高くなり、結晶粒が粗大化して脆くなる。従って、溶接予定の部位まで熱処理されないよう、加熱時間に留意する必要がある。また、加工時間が長くなることで生産効率が低下し、コストアップにつながる。よって、本実験例では、加熱時間として、4秒以上5秒以内が適切であり、このように、加工対象の形状、厚さ等により、所望の範囲のみを効率的に熱処理できる適切な加熱時間を予め決定していおくことが好ましい。
図6は、未処理の場合(Untreated)、4秒加熱後急冷処理した場合(Heating for 4 second)、5秒加熱後急冷処理した場合(Heating for 5 second)について、溝部11aの断面の表面11a1に沿った形状線を示した図である。この図に示したように、未処理、4秒加熱後急冷処理、5秒加熱後急冷処理の形状線のいずれもが重なってほぼ一本線となっており、本実施形態の反対面11a2側に加熱コイル101を配置して行う熱処理方法により、溝部11aの表面11a1に荒れが生じていないことがわかる。すなわち、プレス加工により形成された加工面である溝部11aの表面11a1が、熱処理後も、熱処理前の面精度を維持した状態で硬化されている。
(第2の実施形態)
次に、ワークとして、金属製のギヤ20に本発明の熱処理方法を施す実施形態について説明する。本実施形態で用いたギヤ20は、図7(a),(b)に示したように、内周面に加工面(凹凸面)である歯21が形成されたインターナルギヤである。このギヤ20は、図7(b)に示したように、断面略L字状となる上下2段に形成され、上段及び下段の内周面のそれぞれに歯筋が略上下方向に沿うように歯21,22が形成されている。本実施形態では、上段の歯21を熱処理を行う例について説明する。
本実施形態では、加工面(凹凸面)である歯21の表面21aを硬化対象位置の面とし、この硬化対象位置の面とは異なる面、すなわち、歯21の表面21aに対して略直交する方向(歯21の歯筋の上端側)に位置する面(上面)23を加熱面として熱処理する。すなわち、図8(c)に示したように、歯21の表面21aに対して略直交する方向に位置する上面23に、誘導加熱装置200の加熱部である加熱コイル201を対向配置させて加熱する。ギヤ20の上面23は略円形となっているため、図8(a),(b)に示したように、加熱コイル201も略円形に形成され、この加熱コイル201の背後に、加熱コイル201と共に加熱部を構成するコア202が配置されている。なお、コア202は、隣接するもの同士が内周縁側で隙間がないように、略円周上に複数配設されている。
上面23を加熱面として加熱する際、上面23からの熱の浸透する距離が、上面23側から見て略下方向に延びる歯21の下端に相当する位置となるように周波数が調整される。本実施形態では、図9に示したように、上段の歯21の下端に相当する上面23から4mmの深さの位置まで誘導加熱されるように周波数が調整されている。
誘導加熱装置200に交流電流を流すと、加熱コイル201及びコア202により、上面23が直接加熱され、上面23から4mmの深さまで熱が浸透する。このため、歯21の表面21aも熱処理され、所定時間加熱後、急冷して焼入れする。
(ギヤ20に対する熱処理実験)
・実験条件
図8(c)に示したように、誘導加熱装置200の加熱コイル201及びコア202をギヤ20の上面23に対向するように配置し、加熱コイル201及びコア202を固定し、加熱コイル201と上面23とのエアギャップを一定の距離で保ち、ギヤ20を円周方向に1000rpmで回転させて加熱し、その後40L/minの水とエアを合わせた気水で冷却して熱処理する。
そして、次の3つの加熱条件について評価した。
条件1)加熱時間:4秒間、エアギャップ:1.5mm
条件2)加熱時間:5秒間、エアギャップ:2.0mm
条件3)加熱時間:5秒間、エアギャップ:1.5mm
・評価方法
熱処理した部位の断面硬度測定、ミクロ組織観察により評価する。硬度測定は、図9の断面において、歯21の溝底面から外方に0.2mm向かったX点、同じく歯21の溝底面から外方に2.5mmに向かったY点(ギヤ20の歯21の溝底面と外周面24間の厚み方向中心線に沿った位置)、ギヤ20の外周面24から内方に0.2mm向かったZ点の3箇所において、上面23に接する位置を0mmとし、下面25に向かう縦方向の硬度を測定した。ミクロ組織の観察は、歯21の溝底面から外方に2.5mm向かったY点に位置する厚み方向中心線に沿って、上面(加熱面)23に接するa領域、上面23から下方に4mm向かった位置におけるb領域、及び、下面25に接するc領域において観察した。
図10(a)〜(c) に示したように、条件(Condition)1〜3のいずれも、全ての位置で、上面23から深さ4mmの範囲まで高硬度化され、未処理部(Untreated)の硬度がHV160程度であるのに対して、熱処理後はHV450程度となっていた。4mmを越えると徐々に硬度が下がり、条件1及び条件2では5mmの深さから、条件3では6mmの深さから未処理部と同等の硬度となった。
図11(a)〜(c)に示したミクロ組織からは、いずれの条件、いずれの部位も、上面(加熱面)23に近いa領域は典型的なマルテンサイトとなっており(図11(a)参照)、深くなるについて微細な結晶粒となった。上面(加熱面)23から4mmの深さのb領域では、条件1,2ではフェライトとマルテンサイトが混在している組織となっており、条件3では微細なマルテンサイトになっていた(図11(b)参照)。熱処理の影響のないc領域では、フェライトパーライト組織となっており、未処理材と同様の組織であった(図11(c)参照)。
なお、図10(a)〜(c)より、条件3は、最も深い位置まで高硬度化していることがわかるが、上面(加熱面)23が溶け落ちる部分が発生していた。条件1の場合には、高硬度化された範囲が、深さ4mmぎりぎりであった。よって、本実験例では、加熱時間:5秒間、エアギャップ:2mmの条件2が最も適切な加熱条件であった。
以上のとおり、本実施形態においては、歯21が形成されている面と略直交する方向の面である上面23に加熱コイル201及びコア202を対峙させて直接加熱しているが、図10(a)〜(c)より明らかなように、歯21の表面21aも、当該歯21の歯筋の上下方向の長さ(本実験例では4mm)の範囲に亘って高硬度化できた。従って、歯21の表面21aは、加熱コイル201及びコア202に直接対向させて加熱する場合と比較して、表面21aが荒れることがなく、熱処理前と同等の加工精度(面精度)を備えた構造とすることができる。よって、熱処理により高硬度化しても、歯21の噛合精度が低下することを抑制できる。
本発明の熱処理方法によれば、プレス加工等により所定の面精度で加工された加工面を有するワークに対し、特に上記のガイドプレート11やギヤ20等の所定の厚さを有する厚板状のワークに対し、硬化対象である上記の加工面と異なる面を誘導加熱装置100,200の加熱コイル101,201やコア102,202が直接対峙する加熱面として熱処理することで、熱処理前の当該加工面の面精度を維持したまま、当該加工面の高硬度化を図ることができる。
10 リクライナー
11 ガイドプレート
11a 溝部
11a1 溝部の表面
11a2 溝部の反対面
13 ロックプレート
13a 溝部
14 摺動用ボール
100 誘導加熱装置
101 加熱コイル
102 コア
20 ギヤ
21 歯
21a 歯の表面
22 歯
23 上面
200 誘導加熱装置
201 加熱コイル
202 コア

Claims (5)

  1. 金属製のワークを誘導加熱により部分的に熱処理する熱処理方法であって、
    前記ワークの表面中、硬化対象位置の面とは異なる位置の面を、誘導加熱装置の加熱部により直接加熱される加熱面として熱処理し、前記硬化対象位置の面を硬化させることを特徴とする熱処理方法。
  2. 前記硬化対象位置の面が、所定の面精度で加工された加工面である請求項1記載の熱処理方法。
  3. 前記加工面が凹凸面であり、前記凹凸面の反対面を前記加熱面として熱処理する請求項2記載の熱処理方法。
  4. 前記加工面が凹凸面であり、前記凹凸面に略直交する面を前記加熱面として熱処理する請求項2記載の熱処理方法。
  5. 前記凹凸面が、ギヤの歯の表面である請求項4記載の熱処理方法。
JP2018186174A 2018-09-28 2018-09-28 熱処理方法 Pending JP2020056058A (ja)

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