JP2020055884A - がんのためのグルフォスファミド組み合わせ療法 - Google Patents

がんのためのグルフォスファミド組み合わせ療法 Download PDF

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Abstract

【課題】がんのためのグルフォスファミド組み合わせ療法を提供すること。【解決手段】本発明は、腎臓の近位尿細管におけるグルコースの取り込みをブロックして、腎臓毒性を低下させるために、グルフォスファミドとナトリウム−グルコーストランスポーター タイプ2(SGLT2)のインヒビターとを組み合わせてがんを処置するための組成物および方法を提供する。本発明は、生物医学、薬理学、および分子生物学の分野に関する。組み合わせ療法であって、(i)腎臓グルコーストランスポータータンパク質のインヒビター、(ii)有効量のグルコース結合化学療法薬(例えば、グルフォスファミド)を含む、組み合わせ療法。【選択図】なし

Description

(関連出願の引用)
本願は、2012年4月19日に出願された米国仮特許第61/687,114号に対する優先権を主張する。米国仮特許第61/687,114号は、参考として本明細書中に援用される。
(発明の分野)
本発明は、一般に、グルコース結合薬物(glucose conjugated drug)(例えば、グルフォスファミド(glufosfamide))の治療指数を、その腎臓毒性を尿細管におけるグルコース再吸収のインヒビターの共投与を使用して低下させることによって増大させるための方法に関する。SGLT2インヒビターでグルコース再吸収をブロックすることは、グルフォスファミドの腎臓毒性を低下させ、従って、グルフォスファミドをがんの処置においてより有効にする。なぜなら、より高用量が与えられ得るか、またはより低い毒性が有効用量と関連づけられるかのいずれかであるからである。特に、本発明は、グルフォスファミドとSGLT2阻害薬とを組み合わせて投与することに関する。本発明は、生物医学、薬理学、および分子生物学の分野に関する。
(背景)
グルフォスファミド(β−D−グルコシル−イホスファミドマスタードもしくはglc−IPMとしても公知)は、アルキル化剤であるイソホスホルアミドマスタードのプロドラッグである。グルフォスファミドは、がんの処置において研究用薬物として臨床で使用されてきた。米国特許第5,622,936号および同第6,489,302号、ならびにPCT公開第WO 05/076888号、同第WO 06/071955号、同第WO 06/122227号、および同WO 07/035,961号(これらの各々は、本明細書に参考として援用される)を参照のこと。上記アルキル化剤プロドラッグであるイホスファミドとは対照的に、グルフォスファミドの代謝は、毒性代謝産物であるアクロレインを全身に放出せず、また、毒性代謝産物であるクロロアセトアルデヒドの生成は少ない。グルフォスファミドは、膵臓がんの処置に関して第III相臨床試験で近年試験された;グルフォスファミドは、3週間ごとに、6時間にわたって静脈内投与された。そのデータは、上記薬物が抗がん効果を有していることを示したが、上記臨床試験は、統計的有意性p<0.05でその主要エンドポイントを満たさなかった。1つの仮説は、上記薬物の主な副作用が腎損傷(近位尿細管性アシドーシス、もしくは「PTA」としても公知)であることである。PTAは、投与量および上記グルフォスファミド抗がん処置の頻度を制限する。腎臓をグルフォスファミドから保護する処置は、グルフォスファミドを、より高度な薬物曝露を危険な腎損傷なしに可能にすることによって、より有効な抗がん剤にする。グルフォスファミドをより高用量で安全に使用して、より有効にがんが処置され得るように、グルフォスファミドの腎臓副作用を制限する新たな療法が臨床的に必要である。
当該分野で公知であるように、特定の薬物は、化学療法に関連した毒性を低下させるために化学療法剤と共投与され得る。それによって、上記化学療法が、より高用量および/もしくはより有効な用量で安全に与えられることが可能になる。この一例は、膀胱を裏打ちする細胞からの出血(これは、さもなければイホスファミドで頻繁に起こる)を防止するために、イホスファミド化学療法とともに与えられる薬物であるメルカプトエタンスルホン酸ナトリウム(「MESNA」)である。MESNAの投与は、この合併症を回避し、イホスファミドのより高い用量および/もしくはより長い投与、ならびにより大きな抗腫瘍効力を可能にする。
ナトリウム−グルコーストランスポーター−2媒介性の、グルコース結合化学療法薬の再吸収は、腎臓の近位尿細管で起こる。これは、毒性効果、もしくは腎毒性を引き起こし、腎臓に重篤な損傷を与え得、許容され得る薬物の量を制限している。一般に、化学療法薬は、許容される最高用量で投与される。なぜなら、がんに対する効力は、用量および投与の持続時間とともに増大するからである。
ナトリウム−グルコーストランスポーター−2(「SGLT2」)は、腎臓に専ら位置することが見いだされたタンパク質である。SGLT2は、腎臓でのグルコース再吸収のうちの約90%を担っている。グルコース再吸収は、グルコースが尿中に残されないようにする正常な生理での通常の機能である。近年、多くの特定のSGLT2インヒビターが、2型糖尿病(「DM2」)での血漿グルコースレベルを低下させる、可能性のある使用について開発されてきた。グルコースの再吸収は、上記SGLT2によって腎尿細管でブロックされるので、余分なグルコースは排出される。これは、血中グルコースレベルを低下させ、DM2の治療的処置である。これらの特定のインヒビターは、腎臓でのグルコース再吸収をブロックするにあたって安全でかつ有効であるようである。
本発明は、SGLT−2インヒビターのグルコース再吸収ブロック機構と、グルフォスファミドの抗がん処置効果とを併用する。よって、本発明は、以下でまとめられかつ本明細書で詳細に記載されるように、腎臓を損傷することなく、グルフォスファミドとSGLT2インヒビターとの新規組み合わせ療法を提供することによって、グルフォスファミドでがんを処置することの未だ満たされていない必要性を満足させる。
米国特許第5,622,936号明細書 米国特許第6,489,302号明細書 国際公開第05/076888号 国際公開第06/071955号 国際公開第06/122227号 国際公開第07/035,961号
(要旨)
一実施形態において、がんと診断された患者を処置する方法が提供され、ここで上記方法は、1)腎臓によるグルコース再吸収を阻害する薬剤を上記患者に投与する工程、および2)治療上有効な量のグルコース結合体化学療法剤を上記患者に投与する工程を包含する。
一実施形態において、組み合わせ療法が提供され、上記療法は、(i)腎臓グルコーストランスポーター タイプ2(SGLT2)のインヒビター(例えば、ダパグリフロジン);および(ii)有効量のグルコース結合化学療法薬を含む。一実施形態において、上記グルコース結合化学療法薬は、グルフォスファミドである。
特定の実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
組み合わせ療法であって、
(i)腎臓グルコーストランスポータータンパク質のインヒビター、
(ii)有効量のグルコース結合化学療法薬(例えば、グルフォスファミド)
を含む、組み合わせ療法。
(項目2)
前記腎臓グルコーストランスポーターインヒビターは、SGLT2阻害薬である、項目1に記載の療法。
(項目3)
前記SGLT2インヒビターは、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、BI−10773、エタボン酸セルグリフロジン、エタボン酸レモグリフロジン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、項目2に記載の療法。
(項目4)
前記ナトリウム−グルコーストランスポーター タイプ2インヒビターは、ダパグリフロジンである、項目2に記載の療法。
(項目5)
前記化学療法薬は、任意の細胞傷害性薬剤、細胞増殖抑制薬剤、もしくはグルコースと結合した分子標的抗がん剤からなる群より選択される、項目1に記載の療法。
(項目6)
前記化学療法薬は、グルフォスファミドである、項目1に記載の療法。
(項目7)
患者におけるがんを処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量のグルフォスファミドとナトリウム−グルコーストランスポーター タイプ2インヒビターとを組み合わせて、がん処置が必要な患者に投与する工程を包含する、方法。
(項目8)
前記がんは、膵臓腺癌である、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記ナトリウム−グルコーストランスポーター タイプ2インヒビターは、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、BI−10773、エタボン酸セルグリフロジン、エタボン酸レモグリフロジン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記ナトリウム−グルコーストランスポーター タイプ2インヒビターは、ダパグリフロジンである、項目9に記載の方法。
(項目11)
がんと診断された患者を処置する方法であって、該方法は、
(i)腎臓によるグルコースの吸収を阻害する薬剤を該患者に投与する工程;および
(ii)治療上有効な量のグルコース結合化学療法剤を該患者に投与する工程、
を包含する、方法。
(詳細な説明)
ナトリウム−グルコーストランスポーター タイプ2インヒビターが、化学療法薬であるグルフォスファミドと関連する腎損傷から保護するために使用され得、がん療法におけるその治療指数および有用性を改善することが認識された。この療法は、SGLT2インヒビターのグルコース再吸収ブロック機構と、グルフォスファミドの抗がん処置効果とを併用する。この処置は、グルフォスファミドの毒性効果(これは、腎臓の近位尿細管でのSGLT2トランスポーターによって媒介される)から腎臓を保護する。
別段定義されなければ、本明細書で使用される技術、表記法、および他の科学用語もしくは医学用語または用語法の全ての用語は、化学分野および医学分野の当業者によって一般に理解される意味を有することが意図される。いくらかの場合には、一般に理解される意味を有する用語は、明瞭さのために、および/もしくは容易な参照のために本明細書で定義され、本明細書にこのような定義を含むことは、当該分野で一般に理解されるとおりの用語の定義との実質的な相違を表すと解釈されるべきではない。
患者に薬物を「投与する」もしくは「投与」(およびこの語句の文法的均等物)は、直接投与(これは、医療専門家による患者への投与であってもよいし、自己投与であってもよい)および/もしくは間接投与(例えば、薬物処方行為)をいう。例示であって限定ではなく、患者に薬物を自己投与するように指示するおよび/もしくは患者に薬物処方を提供する医師は、本発明の目的では、上記患者に薬物を「投与」している。
「グルコース取り込みを阻害する薬剤」は、腎臓によるグルコース再吸収をブロックし得る任意の薬剤を意味する。
「刷子縁細胞」とは、腎臓の近位尿細管を裏打ちする上皮細胞をいう。これら細胞は、それらの内腔表面に微絨毛を有する。SGLT2輸送タンパク質は、生理学的なグルコース再吸収を主に担うが、グルフォスファミドのこれら細胞への輸送をも担い、このことから、細胞損傷および腎機能喪失が引き起こされる。
「ダパグリフロジン」とは、ナトリウム−グルコース輸送系のサブタイプ2[SGLT2]を阻害するクラスの中のいくつかの薬物のうちの1つをいい、上記ナトリウム−グルコース輸送系のサブタイプ2の阻害は、血中グルコース、もしくはグルコース結合薬物が腎臓によって活発に再吸収される代わりに尿中に排出されるようにする。
「糖尿病」(diabetes mellitus)とは、高い血清グルコースレベル(これは、例えば、インスリン分泌、作用もしくはその両方の欠陥から生じ得る)によって特徴付けられる一群の代謝性疾患をいう。
「糖尿病患者」とは、糖尿病に罹患している患者をいう。
「有効量」もしくは「治療上の量」もしくは「治療上有効な量」とは、所望の治療結果を達成するために、必要な投与量でおよび期間にわたって有効な量をいう。グルフォスファミドに関する治療上有効な量は、疾患状態、個々の患者の年齢、性別および体重、ならびにグルフォスファミドが個体において所望の応答を誘発する能力のような要因に従って変動し得る。治療上有効な量とはまた、上記処置の任意の毒性効果もしくは有害な効果より治療上有益な効果が上回ることである。腫瘍療法に関する治療上有効な量はまた、疾患の進行を安定化させるか、または腫瘍のサイズを縮小するか、またはそれらの完全な消失を引き起こすその能力によって測定され得る。上記処置ががんを阻害する能力は、ヒト腫瘍における効力を推定する動物モデル系で評価され得る。あるいは、組成物のこの特性は、上記化合物が細胞増殖を阻害する能力もしくはアポトーシスを誘導する能力を、当業者に公知のインビトロアッセイによって試験することによって評価され得る。上記有効量(用量)は、腫瘍サイズを縮小させ得るか、またはさもなければ、患者における症状を改善し得る。当業者は、患者の大きさ、患者の症状の重篤度、および特定の投与経路に基づいて、この様な量を決定し得る。
「グルフォスファミド」もしくは「GlufosTM」とは、抗腫瘍薬であるβ−D−グルコシル−イホスファミドマスタード(glc−IPM)をいい、これは、がんの処置のために使用されるアルキル化剤である(米国特許第5,622,936号(その内容全体は、本明細書に参考として援用される)を参照のこと)。
「腎毒性」もしくは「腎臓毒性」とは、物質が腎臓に対して有する毒性効果をいう。「腎毒性の」物質は、腎(腎臓)不全を引き起こし得、これは、一時的であり得るかもしくは永久的であり得る。
「患者」もしくは「被験体」とは、がんの処置が必要な哺乳動物、またはいくつかの実施形態では、がん以外の過剰増殖性疾患の処置が必要な哺乳動物をいう。一般に、上記患者もしくは被験体は、ヒトである。しかし本発明の他の実施形態において、上記患者もしくは被験体は、非ヒト哺乳動物(例えば、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、ブタなど)である。本発明の他の実施形態において、上記患者もしくは被験体は、マウスもしくはラットのような動物、例えば、薬物および療法をスクリーニング、特徴付け、および評価するにあたって一般に使用される動物である。
「近位尿細管性アシドーシス」もしくは「PTA」とは、過剰な酸蓄積および重炭酸(bicarbonate)排出によって特徴付けられる異常な状態をいう。PTAは、腎臓の近位尿細管での重炭酸再吸収の欠陥およびそこから生じた遠位尿細管(これは、通常、水素イオンを分泌する)への過剰な重炭酸の流れによって引き起こされる。PTAはしばしば、近位尿細管を裏打ちする刷子縁細胞への損傷の結果である。このタイプの損傷の一例は、グルフォスファミドの投与によって認められるものである。
「ナトリウム−グルコーストランスポーター タイプ2」もしくは「SGLT2」とは、腎臓の近位尿細管でのグルコースの能動輸送のうちの約90%を担うトランスポータータンパク質をいう。
「ナトリウム−グルコーストランスポーター タイプ2インヒビター」もしくは「SGLT2インヒビター」とは、腎臓によるグルコース再吸収をブロックする薬剤をいう。
「治療指数」とは、任意の薬物の毒性用量 対 有効用量の比をいう。よって、薬物の治療指数の増大は、上記薬物をより安全にするかもしくはより有効にするかのいずれかにあたって有用である。
「処置」もしくは「療法」とは、有益なもしくは所望の結果(臨床結果を含む)を得るための方法をいう。本発明の目的のために、有益なもしくは所望の臨床結果としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:1つ以上の症状の軽減もしくは改善、疾患の程度の低下、疾患の安定した(すなわち、悪化しない)状態、疾患の拡がりの防止、疾患進行の遅延もしくは緩徐化する、上記疾患状態の改善もしくは一時的緩和、および寛解(部分的もしくは完全いずれにしても)。
「処置」はまた、処置を受けない場合に予期される生存と比較して、生存が延びることを意味し得る。
本発明は、化学療法薬によって引き起こされる腎損傷を低下させるために、SGLT2インヒビターと化学療法薬との共投与に関する。腎損傷の低下は、より大きな安全性を可能にし、そして/またはより高用量が使用されることを可能にする。このことは、より低い用量またはより低い頻度の投与よりも有効であり得る。グルフォスファミド(その分子構造は、グルコース分子を含む)は、SGLT2トランスポーターによって刷子縁細胞へと運ばれ、次に、活性化され、刷子縁細胞を損傷し、そのことは、上記患者においてPTAを引き起こす。このことはしばしば、特定の患者の用量もしくは投与頻度を制限する。この腎毒性は、SGLT2インヒビターによってブロックされ、このことは、上記グルフォスファミドがより高用量で、またはより頻繁に与えられることを可能にし、従って、上記患者におけるがんを処置するにあたってより有効である。
いくつかの実施形態では、上記化学療法薬は、グルフォスファミドである。グルフォスファミドは、多くの固形腫瘍適応症(例えば、膵臓がん、軟部組織肉腫、および結腸直腸がん)において活性であるようである実験的細胞傷害性化学療法薬である。しかし、グルフォスファミドでの処置は、副作用を引き起こす。一例は、近位尿細管を裏打ちする細胞へのグルコース含有薬物の活発な再吸収によって引き起こされ、これら細胞への損傷を引き起こす、腎臓の近位尿細管に損傷を引き起こす毒性である。上記毒性が十分に重篤である場合、グルフォスファミドでの処置は、減らされるかもしくはその全体が終了されなければならない。
グルコースと同様に、近位尿細管でのグルフォスファミドの再吸収は、具体的には、腎臓尿細管細胞で発現されるSGLT−2によって媒介される。SGLT−2インヒビターは、腎臓でのグルフォスファミドの取り込みをブロックするので、尿細管細胞損傷から腎臓を保護する。上記SGLT−2インヒビターとグルフォスファミドとの組み合わせは、毒性の懸念なしに、グルフォスファミドのより高い用量強度を可能にする。従って、がんに対するグルフォスファミドの効力および治療指数は増大する。グルフォスファミドは、腫瘍取り込みおよび腫瘍細胞死を達成するために、腫瘍細胞によって発現される他のグルコーストランスポーターを必要とする。しかし、これら他の腫瘍細胞グルコーストランスポーターは、SGLT2が腎臓にのみ存在することから、SGLT2特異的インヒビターによって影響を及ぼされない。
本発明の一実施形態において、グルフォスファミドおよび腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤は、がんの処置が必要な患者に組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、グルフォスファミドおよび上記腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤は、がんのファーストライン処置が必要な患者に組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、グルフォスファミドおよびSGLT2インヒビターは、他の化学療法剤と組み合わせて投与される。
本発明の一実施形態において、グルフォスファミドおよびナトリウム−グルコーストランスポーター−2(SGLT2)インヒビターは、がんの処置が必要な患者に組み合わせて投与される。一実施形態において、上記SGLT2のインヒビターは、ダパグリフロジンである。
本発明の一実施形態において、グルフォスファミドおよびSGLT2のインヒビターは組み合わせて、がんのファーストライン処置が必要な患者に、1種以上の他のがん治療剤との組み合わせで投与される。一実施形態において、上記インヒビターは、ダパグリフロジンである。
本発明の別の実施形態において、グルフォスファミドおよび腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤(このような薬剤の一例は、SGLT2インヒビターであり、このようなインヒビターの一例は、ダパグリフロジンである)は、がんのセカンドライン処置、またはがんのセカンドライン後処置が必要な患者に組み合わせて投与される。
本発明の一局面において、グルフォスファミドおよび腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤(このような薬剤の一例は、SGLT2インヒビターであり、このようなインヒビターの一例は、ダパグリフロジンである)は組み合わせて、がんのセカンドライン処置、もしくはがんのセカンドライン後の処置が必要な被験体に、1種以上の他のがん治療剤と組み合わせて投与される。
本発明の一局面において、グルフォスファミドおよび腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤(このような薬剤の一例は、SGLT2のインヒビターであり、このようなインヒビターの一例は、ダパグリフロジンである)は、ゲムシタビン不応性がんの処置が必要な被験体に、組み合わせて投与される。
一局面において、本発明は、グルフォスファミドと組み合わせた腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤(このような薬剤の一例は、SGLT2のインヒビターであり、このようなインヒビターの一例は、ダパグリフロジンである)が、がんの処置に特に有効であることが見いだされたスケジュールもしくは投与レジメンに従って投与される処置方法を提供する。
グルフォスファミドおよび腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤(このような薬剤の一例は、SGLT2のインヒビターであり、このようなインヒビターの一例は、ダパグリフロジンである)が組み合わせて投与される処置レジメンにおいて、それらは任意の順序で投与され得る。上記グルコース再吸収のブロックは、グルフォスファミドの投与の間に効力がなければならない。上記グルフォスファミドは、グルコース再吸収の十分な阻害なしに投与されるべきでなく、逆にいえば、グルフォスファミドもまた存在する、もしくは一瞬でも投与される予定がなければ、SGLT2インヒビターも必要でない。
2種以上の薬物が組み合わせて投与される場合、種々のスケジュールが使用され得る。特定の実施形態において、グルフォスファミドは、腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤(このような薬剤の一例は、SGLT2のインヒビターであり、このようなインヒビターの一例は、ダパグリフロジンである)の投与と同日に、同時に投与されるか、前に開始されるか、もしくは後に開始される。他のスケジュールが医師によって決定されるとおりに使用され得ることは、理解される。当該分野で理解されるように、がん治療薬での処置は、毒性が認められる場合には、または患者の便宜のために、本発明の範囲から逸脱することなく一時中断され得、その後、再開され得る。
(本発明の療法)
一局面において、本発明は、以下によって、がんと診断された患者を処置するための方法を提供する:
1)上記患者が高血糖でなくかつインスリンを使っていないことを確認する;
2)腎臓によるグルコース再吸収を阻害する薬剤を上記患者に投与すること、および
3)治療上有効な量のグルフォスファミドを上記患者に投与すること。
上記患者が以前もしくは現在インスリンでの処置を受けている場合、工程2は、グルフォスファミドの投与が容認されることが決定されるまで遅らせる。例えば、上記患者が1日目にある用量のインスリンを与えられていた場合、彼らは、2日目になるまで工程2を開始しないかもしれない。上記患者がグルフォスファミドの投与の少なくとも24時間以内にインスリンを受けていないことがいったん決定されれば、上記患者は、腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤を投与される。上記患者は、血清グルコースのレベルを決定するためにモニターされる。グルコースレベルが容認されることがいったん決定されれば、上記患者は、治療上有効な量のグルフォスファミドを投与される。
上記腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤は、グルフォスファミドの投与より前におよび/もしくはその投与と同時(「グルフォスファミド 1日目」)に、投与され得る。この文脈で使用される場合、「同時に」とは、上記2種の薬物が、同日に、または連続した日に、または互いに1週間以内に投与されることを意味し得る。この文脈での語句「もしくは」、「または」、「あるいは」(or)の使用が組み合わせ(例えば、グルフォスファミド投与の前日およびその投与と同日の投与)を排除しないことは、理解される。
1つのアプローチにおいて、上記腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤は、処置レジメンの一部として、複数回のグルフォスファミド投与(例えば、少なくとも、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、もしくは14回の投与)のうちの各々と同時に投与される。1つのアプローチにおいて、上記腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤は、処置レジメンの一部として、グルフォスファミドの各投与と同時に投与される。
1つのアプローチにおいて、上記腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤は、処置レジメンの一部として、グルフォスファミドの各投与と同時に投与される。例えば、上記腎臓からのグルコース取り込みを阻害する薬剤は、グルフォスファミド処置の過程全体を通して毎日、もしくは少なくとも数回のサイクルにわたって毎日、与えられ得る。
いくつかの実施形態では、上記SGLT2インヒビターは、グルフォスファミドと同時に投与される。いくつかの実施形態では、上記SGLT2は、ダパグリフロジン(dapaglifozin)であり、これは、グルフォスファミドとともに投与される。
繰り返すと、特定の投与スケジュールの記載は、限定することを意図するのではないこと、および例えば、本明細書で記載される投与スケジュールの組み合わせが理解される。
いくつかの実施形態では、上記腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤がグルフォスファミド療法の開始後に投与される場合、それは、毎日、グルフォスファミドが投与されるのと同日に(例えば、3週間の処置サイクルが使用されるのであれば、21日ごとに1回)、グルフォスファミド処置の前日および/もしくは翌日に、または別のスケジュールに従って、投与され得る。上記腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤による療法は、グルフォスファミド処置の継続期間(例えば、上記の処置サイクルを使用して最大42週間まで)またはより短い期間にわたって継続され得る。いくつかの実施形態では、上記薬剤は、グルフォスファミド投与の間でかつグルフォスファミドが血流中に検出され得るときにグルコース取り込みをブロックするSGLT2インヒビターである。いくつかの実施形態では、上記薬剤の投与は、グルフォスファミドが血流中でもはや検出可能でなくなったら、例えば、グルフォスファミドの投与が中止されて約6時間後に中止され得る。
本発明の方法の一実施形態において、上記がん患者は、少なくとも上記患者がグルフォスファミドを投与されている期間の間に、腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤を投与される。しばしば、本発明の方法によれば、腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤は、グルフォスファミド投与期間全体にわたって、および通常は、グルフォスファミド処置の開始前に、投与される。
一実施形態において、上記腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤は、ナトリウム−グルコーストランスポーター タイプ2のインヒビターである。一実施形態において、上記腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤は、ダパグリフロジンである。他の実施形態において、上記腎臓によるグルコース取り込みを阻害する薬剤は、SGLT2阻害薬からなる群より選択される。SGLT2阻害薬の例としては、以下の表1に見いだされるものが挙げられ得る:
Figure 2020055884
一局面において、本発明は、がんと診断された患者を処置する方法を提供し、上記方法は、1)上記患者が、インスリンを受けているかまたは高血糖であるかを決定する工程、および2)上記患者がインスリンを受けておらずかつ高血糖でないことが決定された場合、ナトリウム−グルコーストランスポーター−2のインヒビターを投与する工程、および3)治療上有効な量のグルフォスファミドを上記患者に投与する工程、によるものである。
一局面において、本発明は、がんと診断された患者を処置する方法を提供し、上記方法は、1)上記患者がインスリンを受けているかまたは高血糖であるかを決定する工程、および2)上記患者がインスリンを受けていることが決定された場合、インスリン療法を中止し、ナトリウム−グルコーストランスポーター−2のインヒビターでの治療を開始する工程、および空腹時血糖レベルが正常範囲にある場合、3)治療上有効な量のグルフォスファミドを上記患者に投与する工程によるものである。一実施形態において、上記ナトリウム−グルコーストランスポーター−2のインヒビターは、グルフォスファミド療法を開始する前に投与される。一実施形態において、上記ナトリウム−グルコーストランスポーター−2のインヒビターは、グルフォスファミド療法を施すのと同時に投与される。
一局面において、本発明は、がんと診断された患者を処置する方法を提供し、上記方法は、1)上記患者がインスリンを受けているかまたは高血糖であるかを決定する工程、および2)上記患者がインスリンを受けていることが決定された場合、インスリン療法を中止し、ダパグリフロジンでの療法を開始する工程、および3)治療上有効な量のグルフォスファミドを上記患者に投与する工程、によるものである。一実施形態において、上記ダパグリフロジンは、グルフォスファミド療法を開始する前に投与される。一実施形態において、上記ダパグリフロジンは、グルフォスファミド療法を施すのと同時に投与される。
一実施形態において、がんと診断された患者がインスリンを受けていることが決定された場合、上記インスリン療法は、グルフォスファミドを投与する前に中止される。一実施形態において、上記ダパグリフロジンは、グルフォスファミドと組み合わせて上記患者に投与される。一実施形態において、上記ダパグリフロジンは、グルフォスファミドを投与する前に投与される。
(A.投与サイクル)
がんの化学療法での処置は、代表的には、薬物投与の複数の「回(rounds)」もしくは「サイクル」を要し、ここで各サイクルは、特定のスケジュールに従って上記薬物を1回以上投与することを含み(例えば、毎日;2週間以上にわたって1週間につき1回;連続日もしくは非連続日のいずれかで、1週間に複数回;サイクルごとに1回(上記サイクルは、例えば、日、週、もしくは月であり得る);サイクルごとに複数回[例示であって限定ではなく、三週間ごとに3連続日にわたって]、ここで各サイクルは、1日から1週間、最大数週間(例えば、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、もしくは8週間)までの範囲に及ぶ。例示であって限定ではなく、化学療法薬は、1〜8サイクルにわたって、もしくはより多くのサイクル(すなわち、より長期間)にわたって投与され得る。当該分野で理解されるように、抗がん治療薬での処置は、毒性が認められれば、もしくは本発明の範囲から逸脱することなく上記患者の便宜のために、一時的に中断され得、その後、再開され得る。
本発明の一実施形態において、グルフォスファミドは、1、2、3、4、5、6、7、8、もしくはより8より多くの投与サイクルにわたって投与され、各サイクルは、以下の範囲のグルフォスファミドの注入による投与を要する:
a)約1.0〜約8.0g/m;約1.0〜約6.0g/m;約1.5〜約4.5g/m;約4.5〜約8.0g/m;約4.5〜約6.0g/m;もしくは約4.5〜約5.0g/mまたは1週間ごとに1回1〜6時間の注入期間にわたる;b)約5.0〜約12.0g/m;約6.0〜約10.0g/m;約6.5〜約9.5g/m;もしくは約7〜約9.0g/m;3週間ごとに1回1〜6時間の注入期間にわたる;c)3週間ごとに3連続日(1日目、2日目および3日目)の間1〜6時間の注入期間にわたって約1.0〜約3.0g/m、約1.5〜約3.0g/mもしくは約1.5〜約2.0g/m;d)3週間ごとに3連続日(1日目、2日目および3日目)の間に1〜6時間の注入期間にわたって約1.0〜約3.0g/m、約1.5〜約3.0g/mもしくは約1.5〜約2.0g/m;e)1週間につき1回1〜6時間の注入期間にわたって約1.0〜約2.0g/mもしくは約1.5〜約2.0g/m;あるいは
f)4週間ごとに1回1〜6時間の注入期間にわたって約1.0〜約12.0g/m;約5.0〜約9.0g/m;もしくは約6〜約8g/m
一実施形態において、グルフォスファミドは、1回、2回、3回、4回もしくは4回より多くの投与サイクルにわたって投与され、ここで各サイクルは、7週間サイクルである。一実施形態において、グルフォスファミドは、1回、2回、3回、4回、5回、6回、もしくは6回より多くの投与サイクルにわたって投与され、ここで各サイクルは、3週間サイクルである。一実施形態において、グルフォスファミドは、1回、2回、3回、4回、5回、6回もしくは6回より多くの投与サイクルにわたって投与され、ここで各サイクルは、4週間サイクルである。一実施形態において、グルフォスファミドは、1.0〜約3.0g/mの範囲で1週間に1回、例えば、限定ではなく、21日サイクルの1日目および8日目に;28日サイクルの1日目、8日目および15日目に;または21日サイクルの1日目、8日目、および15日目に投与される。この文脈で使用される場合、「1〜6時間の注入期間」としては、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、および約6時間の注入期間が挙げられるが、これらに限定されない。
(B.処置組み合わせ)
がんの化学療法での処置の間に、2種、3種もしくは4種の抗がん薬が、同じ療法過程の一部として、それらを投与することによって「組み合わせて」患者に投与され得る。療法過程とは、相加的に、補完的に、相乗的に一緒に機能する、もしくはさもなければ、予想されるより有利な結果を生じると医療専門家が考える薬物組み合わせの投与に言及する。
例示であって限定のためではなく、がんの処置のためのグルフォスファミドおよび種々の他の抗がん薬の投与は、米国特許出願第61/027,768号(2008年2月11日出願);同第60/991,660号(2007年11月30日出願);同第60/952,686号(2007年7月30日出願);同第60/915,882号(2007年5月3日出願);および同第60/910,403号(2007年4月5日出願)、ならびにPCT公開番号WO 05/076888、WO 06/071955、WO 06/122227、およびWO 07/035,961(これらの各々は、本明細書に参考として援用される)に見いだされる。これら刊行物および出願に記載される投与および投与スケジュールは、本発明の方法における使用に適している。
(C.本発明の方法に従って処置可能ながん)
一実施形態において、本発明は、膵臓がんを処置するための方法を提供する。別の実施形態において、上記処置されるがんは、原発性膵臓がん、転移性膵臓がん、およびゲムシタビン耐性膵臓がん(原発性および転移性)から選択される。化学療法耐性膵臓がん(例えば、Araneo et al., 2003, Cancer Invest. 21:489−96; Kozuch et al., 2001, The Oncologist 6:488−95; Noble and Goa, 1997, Drugs 54: 44772N; Stephens et al., 1998, Oncol. Nurs. Forum 25:87−93; Burris and Storniolo, 1997, Eur. J. Cancer 33: Suppl 1 :S 1822; Rothenberg et al., 1996, Ann. Oncol. 7:347−53(これらの各々は、本明細書に参考として援用される)を参照のこと)は、本明細書で開示される方法を使用して処置され得る。本発明の一実施形態において、血清炭化水素(serum carbohydrate)19−9は、膵臓がんにおけるこのようなグルフォスファミド療法への応答を評価するためのマーカーとして使用される(Ziske et al., 2003, Br. J. Cancer, 89: 1413−17(本明細書に参考として援用される))。
種々の実施形態において、本発明の方法は、任意のがん(膵臓がん、結腸直腸がん、軟部組織肉腫、卵巣がん、肺がん、乳がん、神経膠芽腫、皮膚がん、骨がん、肝臓がん、前立腺がん、肉腫、非ホジキンリンパ腫、腎臓がん、胆嚢がん、胃がん、脳のがんが挙げられるが、これらに限定されない)の処置のために使用され得る。
一般に、本発明の方法は、任意のがんの処置のために使用され得る。種々の実施形態において、上記処置されるがんは、副腎、骨、脳、乳房、気管支、結腸および/もしくは直腸、胆嚢、頭頚部、腎臓、喉頭、肝臓、肺、神経組織、膵臓、前立腺、上皮小体、皮膚、胃および甲状腺のがんからなる群より選択される。他の実施形態において、上記処置されるがんは、以下からなる群より選択される:急性および慢性のリンパ球および顆粒球の腫瘍、腺癌、腺腫、基底細胞癌、子宮頚部異形成およびカルチノーマインサイチュ(in situ carcinoma)、ユーイング肉腫、類表皮癌、巨細胞腫、多形性膠芽腫、ヘアリー細胞腫瘍、小腸の神経節細胞腫、過形成性角膜神経腫瘍(hyperplastic corneal nerve tumor)、島細胞がん、カポジ肉腫、平滑筋腫、白血病、リンパ腫、悪性カルチノイド、悪性黒色腫、悪性高カルシウム血症、マルファン体型腫瘍(marfanoid habitus tumor)、髄様癌、転移性皮膚癌、粘膜神経腫、骨髄腫、菌状息肉腫、神経芽腫、骨肉腫、骨原性肉腫および他の肉腫、卵巣腫瘍、褐色細胞腫、真性多血症(polycythermia vera)、原発性脳腫瘍、小細胞肺がん、潰瘍形成タイプおよび乳頭状タイプ両方の扁平上皮癌、過形成、セミノーマ、軟部組織肉腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、腎細胞腫瘍、小細胞肺がん、局所皮膚病変、細網肉腫、およびウィルムス腫瘍。
本明細書で引用される全ての刊行物および特許文献は、各々のこのような刊行物もしくは文献が、具体的にかつ個々に本明細書に参考として援用されることが示されたかのように、本明細書に参考として援用される。刊行物および特許文献の引用は、何らかのこのような文献が直接関連する先行技術であるということの表示を意図するのでもなく、内容もしくは上記内容の日付に関して、いかなる自認をも構成しない。
(実施例1)
膵臓がんを有する患者にダパグリフロジン(SGLT2インヒビター)の経口投与を与えると、1日目にグルフォスファミドの静脈内投与を開始する少なくとも2時間前に、腎臓でのSGLT2機能の完全な阻害が引き起こされる。グルフォスファミドのみの通常の用量は、4500mg/mのグルフォスファミドであり、21日ごとに6時間の期間にわたって投与される。しかし、SGLT2遮断薬の保護効果をもって、その耐容量は、遙かに高い(すなわち、6000mg/mもしくは最大12,000mg/m q 3
wks(もしくはより頻度が高い))。全ての患者の腎機能を、注意深くモニターする。これらのより高用量もしくはより頻度の高い投与は、上記SGLT2薬物が効力を有している限りにおいて、腎臓副作用なしで許容され得る。従って、上記薬物は、膵臓がんもしくは他のタイプのがんに対してより有効である。より高用量で、および腎臓毒性なしに、グルフォスファミドは、がんの退縮もしくは安定化を引き起こす可能性がより高く、このことは、臨床上有益である。

Claims (1)

  1. 本明細書に記載の組み合わせ療法など。
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