JP2020055628A - パウチ - Google Patents

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靖也 飯尾
満 武士田
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Abstract

【課題】電子レンジでの加熱の際に、安定して蒸気抜きができ、かつ耐熱性を有するパウチを提供する。【解決手段】おもて面10Bを構成するおもて面フィルム11、12と、裏面10Cを構成する裏面フィルム13を含み、収容空間10Aを有するパウチ10−1であって、パウチを密封するためのシール部20を備え、おもて面フィルムおよび裏面フィルムが、少なくとも第1基材層およびシーラント層を備え、おもて面に、合掌部14が設けられ、合掌部が、第3縁10Gから第4縁10Hに跨って設けられ、シール部が、外縁に沿って延びる外縁シール部21と、合掌部に設けられた合掌シール部と、合掌部に設けられかつ収容空間の圧力の増加により剥離するように構成された蒸気抜きシール部31とを備え、パウチは、収容空間の圧力が130.0kPa以下で蒸気抜きシール部が剥離した後、貫通部33Aを介して蒸気抜けすることができるように構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、パウチに関する。
従来から、主に、ボイル食品、レトルト食品、冷凍食品等の加工食品を収容可能なパウチが広く利用に供されている。このようなパウチにおいて、電子レンジ内での加熱に伴って発生する蒸気を自動的にパウチの外部へ逃がすための蒸気抜き機構を備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−151317号公報
しかしながら、特許文献1のような合掌部を備えるパウチを電子レンジで加熱すると、過度な圧力が加わり、蒸気抜き機構以外の箇所が開いてしまうことがある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものである。すなわち、電子レンジでの加熱の際に、安定して蒸気抜き機構から蒸気抜けができるパウチを提供することを目的とする。
本発明は、以下の発明を含む。
[1]おもて面を構成するおもて面フィルムと、裏面を構成する裏面フィルムとを含み、収容空間を有するパウチであって、第1縁と、前記第1縁と対向する第2縁と、前記第1縁と前記第2縁の間に延びる第3縁および第4縁と、前記パウチを密封するためのシール部とを備え、前記おもて面フィルムおよび裏面フィルムが、少なくとも基材層およびシーラント層を備え、前記おもて面に、合掌部が設けられ、前記合掌部が、前記第3縁から前記第4縁に跨って設けられ、前記合掌部に貫通部、開口部または切欠き部が設けられ、前記シール部が、前記パウチの外縁に位置し、かつ前記外縁に沿って延びる外縁シール部と、前記合掌部に設けられた合掌シール部と、前記合掌部に設けられ、かつ前記収容空間の圧力の増加により剥離するように構成された蒸気抜きシール部とを備え、前記パウチは、収容空間の圧力が130.0kPa以下で前記蒸気抜きシール部が剥離した後、前記貫通部または前記開口部を介して蒸気抜けすることができるように構成されている、パウチ。
[2]おもて面を構成するおもて面フィルムと、裏面を構成する裏面フィルムとを含み、収容空間を有するパウチであって、第1縁と、前記第1縁と対向する第2縁と、前記第1縁と前記第2縁の間に延びる第3縁および第4縁と、前記パウチを密封するためのシール部とを備え、前記おもて面フィルムおよび裏面フィルムが、少なくとも基材層およびシーラント層を備え、前記おもて面に、合掌部が設けられ、前記合掌部が、前記第3縁から前記第4縁に跨って設けられ、前記合掌部に貫通部、開口部または切欠き部が設けられ、前記シール部が、前記パウチの外縁に位置し、かつ前記外縁に沿って延びる外縁シール部と、前記合掌部に設けられた合掌シール部と、前記合掌部に設けられ、かつ前記収容空間の圧力の増加により剥離するように構成された蒸気抜きシール部とを備え、前記外縁シール部が、前記第3縁に沿って延びる第3外縁シール部と、前記第4縁に沿って延びる第4外縁シール部とを含み、前記合掌部に前記貫通部または前記開口部に連通し、かつ前記蒸気抜けシール部によって前記収容空間から隔離された未シール部が設けられている場合、前記収容空間の中心から前記未シール部までの最短距離をL1とし、前記合掌部が延びる方向において、前記収容空間の中心から前記第3外縁シール部の内縁および前記第4外縁シール部の内縁までの距離をそれぞれL2としたとき、L1/L2が1.0未満であり、または前記貫通部または前記切欠き部を備え、かつ前記合掌部に前記未シール部が設けられていない場合、前記蒸気抜けシール部と前記開口部の間に未シール部を備え、前記収容空間の前記中心から前記貫通部または前記切欠き部までの最短距離をL3とし、前記合掌部が延びる方向において、前記収容空間の中心から前記第3外縁シール部の内縁および前記第4外縁シール部の内縁までの距離をそれぞれL2としたとき、L3/L2が1.0未満である、パウチ。
[3]おもて面を構成するおもて面フィルムと、裏面を構成する裏面フィルムとを含み、収容空間を有するパウチであって、第1縁と、前記第1縁と対向する第2縁と、前記第1縁と前記第2縁の間に延びる第3縁および第4縁と、前記パウチを密封するためのシール部とを備え、前記おもて面フィルムおよび裏面フィルムが、少なくとも基材層およびシーラント層を備え、前記おもて面に、合掌部が設けられ、前記合掌部が、前記第3縁から前記第4縁に跨って設けられ、かつ貫通部、開口部または切欠き部を備え、前記シール部が、前記パウチの外縁に位置し、かつ前記外縁に沿って延びる外縁シール部と、前記合掌部に設けられた合掌シール部と、前記合掌部に設けられ、かつ前記収容空間の圧力の増加により剥離するように構成された蒸気抜きシール部とを備え、前記パウチは、前記蒸気抜きシール部が剥離した後、前記貫通部、前記開口部または前記切欠き部を介して蒸気抜けすることができるように構成されており、25℃の環境下で1分間保持した後の前記シール部のシール強度が35.0N以上であり、かつ100℃の環境下で1分間保持した後の前記シール部のシール強度が20.0N以下である、パウチ。
[4]おもて面を構成するおもて面フィルムと、裏面を構成する裏面フィルムとを含み、収容空間を有するパウチであって、第1縁と、前記第1縁と対向する第2縁と、前記第1縁と前記第2縁の間に延びる第3縁および第4縁と、前記パウチを密封するためのシール部とを備え、前記おもて面フィルムおよび裏面フィルムが、少なくとも第1基材層、第2基材層およびシーラント層を備え、前記第1基材層および前記第2基材層が、それぞれ主成分としてポリエステルを含む二軸延伸プラスチックフィルムであり、前記おもて面に、合掌部が設けられ、前記合掌部が、前記第3縁から前記第4縁に跨って設けられ、かつ貫通部、開口部または切欠き部を備え、前記シール部が、前記パウチの外縁に位置し、かつ前記外縁に沿って延びる外縁シール部と、前記合掌部に設けられた合掌シール部と、前記合掌部に設けられ、かつ前記収容空間の圧力の増加により剥離するように構成された蒸気抜きシール部とを備え、前記パウチは、前記蒸気抜きシール部が剥離した後、前記貫通部、前記開口部または前記切欠き部を介して蒸気抜けすることができるように構成されている、パウチ。
[5]前記パウチが、前記収容空間の圧力が110.0kPa以上で前記蒸気抜きシール部の剥離により蒸気抜けすることができるように構成されている、上記[1]ないし[4]のいずれか一項に記載のパウチ。
[6]前記シーラント層の第1方向における引張伸度(%)と厚み(μm)の積が、30000以上50000以下であり、前記シーラント層の前記第1方向と直交する第2方向における引張伸度(%)と厚み(μm)の積が、45000以上55000以下である、上記[1]ないし[5]のいずれか一項に記載のパウチ。
[7]前記シーラント層の第1方向における引張伸度(%)と厚み(μm)の積が、50000を越え、前記シーラント層の前記第1方向と直交する第2方向における引張伸度(%)と厚み(μm)の積が、55000を越える、上記[1]ないし[5]のいずれか一項に記載のパウチ。
[8]25℃の環境下で1分間保持した後25℃の環境下で測定したときの前記シール部のシール強度が35.0N以上であり、100℃の環境下で1分間保持した後100℃の環境下で測定したときの前記シール部のシール強度が20.0N以下である、上記[1]、[2]または[4]に記載のパウチ。
[9]前記シーラント層が、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む、上記[1]ないし[8]のいずれか一項に記載のパウチ。
[10]前記シーラント層が、エラストマーをさらに含む、上記[9]に記載のパウチ。
[11]前記第2縁側における前記おもて面と前記裏面フィルムが接合されている、上記[1]ないし[10]のいずれか一項に記載のパウチ。
[12]前記第2縁側において、前記おもて面フィルムと前記裏面フィルムとの間に配置され、かつ少なくとも基材層およびシーラント層を備える中間フィルムをさらに備え、前記おもて面フィルム、前記裏面フィルムおよび前記中間フィルムによってガセット部が設けられている、上記[1]ないし[11]のいずれか一項に記載のパウチ。
[13]前記パウチの前記収容空間に内容物が収容されている、上記[1]ないし[129]のいずれか一項に記載のパウチ。
本発明によれば、電子レンジでの加熱の際に、安定して蒸気抜け機構から蒸気抜けができ、かつ耐熱性を有するパウチを提供することができる。
図1は、実施形態に係るパウチの正面図である。 図2は、図1に示されるパウチをI−I線で切断したときの断面図である。 図3は、図1に示されるパウチの各構成要素の寸法を説明するための図である。 図4は、シール強度を測定する際に用いる試験片を示す断面図である。 図5は、試験片を用いてシール強度を測定する様子を示す図である。 図6(A)および図6(B)は、蒸気抜き機構の変形例を示す図である。 図7は、収容空間の圧力を測定する方法を示す図である。 図8は、収容空間の圧力を測定する方法を示す図である。 図9は、収容空間の圧力を測定する方法を示す図である。 図10は、収容空間の圧力を測定する方法を示す図である。 図11は、図1に示されるパウチを密封した状態の正面図である。 図12は、パウチに用いられる包装材料の断面図である。 図13は、パウチに用いられる他の包装材料の断面図である。 図14は、実施形態に係る他のパウチの正面図である。 図15(A)および図15(B)は、蒸気抜き機構の変形例を示す図である。 図16は、図14に示されるパウチを密封した状態の正面図である。 図17は、本実施形態に係る他のパウチを密封した状態の正面図である。 図18は、実施形態に係る他のパウチの正面図である。 図19(A)〜図19(D)は、蒸気抜き機構の変形例を示す図である。 図20は、図18に示されるパウチを密封した状態の正面図である。 図21は、本実施形態に係る他のパウチを密封した状態の正面図である。 図22は、実施形態に係る他のパウチの正面図である。 図23は、図22に示されるパウチの各構成要素の寸法を説明するための図である。 図24は、図22に示されるパウチを密封した状態の正面図である。 図25は、従来の平パウチの正面図である。 図26は、従来の平パウチを電子レンジで加熱するときの状態を示す図である。 図27は、比較例1に係るパウチの正面図である。
以下、本発明の実施形態に係るパウチについて、図面を参照しながら説明する。本明細書において、「フィルム」、「シート」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「フィルム」はシートとも呼ばれるような部材も含む意味で用いられる。図1は本実施形態に係るパウチの正面図であり、図2は図1に示されるパウチをI−I線で切断したときの断面図であり、図3は図1に示されるパウチの各構成要素の寸法を説明するための図である。図4はシール強度を測定する際に用いる試験片を示す断面図であり、図5は試験片を用いてシール強度を測定する様子を示す図である。図6、図15および図19は、蒸気抜き機構の変形例を示す図であり、図7〜図10は収容空間の圧力を測定する方向を示す図である。図11は、図1に示されるパウチを密封した状態の正面図である。図12はパウチに用いられる包装材料の断面図であり、図13はパウチに用いられる他の包装材料の断面図であり、図14、図18および図22は本実施形態に係る他のパウチの正面図であり、図16は、図14に示されるパウチを密封した状態の正面図であり、図17および図21は、本実施形態に係る他のパウチを密封した状態の正面図である。図20は、図18に示されるパウチを密封した状態の正面図である。図23は図22に示されるパウチの各構成要素の寸法を説明するための図であり、図24は、本実施形態に係る他のパウチを密封した状態の正面図である。図25は、従来の平パウチの正面図であり、図26は、従来の平パウチを電子レンジで加熱するときの状態を示す図である。
<<<パウチ>>>
図1に示されるパウチ10−1は、平面状のパウチである。パウチ10−1は、内容物を収容する収容空間10Aを有している。内容物としては、特に限定されないが、ボイル食品、レトルト食品、冷凍食品や冷蔵食品などの加工食品が挙げられる。加工食品としては、カレー、お粥、焼きそば、惣菜、加工もつ、ミートソース等のソース類などを挙げることができる。パウチは、内容物が充填されていない状態のパウチに限らず、内容物が充填されている状態のパウチも含む概念である。
図1に示されるパウチ10−1は、おもて面10Bおよび裏面10C(図2参照)を有している。おもて面10Bおよび裏面10Cは、矩形の輪郭を有している。おもて面10Bは、2枚のおもて面フィルム11、12から構成されており、裏面10Cは、1枚の裏面フィルム13から構成されているので、パウチ10−1は、3枚のフィルムから構成されている。ただし、パウチは、1枚以上のフィルムから構成されていれば、特に枚数は限定されない。
パウチ10−1の外縁10Dは、図1に示すように、第1縁10E、第1縁10Eと対向する第2縁10F、第1縁10Eと第2縁10Fの間に延びる第3縁10Gおよび第4縁10Hから構成されている。第4縁10Hは、第3縁10Gと対向している。
パウチ10−1は、おもて面に設けられた合掌部14と、パウチを密閉するためのシール部20と、パウチ10−1の開封を容易にする開封開始手段15とを備えている。
<<合掌部>>
合掌部14は、第3縁10Gから第4縁10Hに跨って設けられている。合掌部14は、おもて面フィルム11、12のシーラント層同士が向かい合った部分である。合掌部14は、第1縁14Aと、第1縁14Aと収容空間10Aとの間に延びる第2縁14Bおよび第3縁14Cを有している。第3縁14Cは、第2縁14Bと対向している。
合掌部14内には、後述する合掌シール部、収容空間10Aと連通した第1未シール部14D、蒸気抜き機構30が形成されている。
<<シール部>>
シール部20は、収容空間10Aに内容物が収容されている状態で、パウチ10−1を密閉していればよく、内容物が収容されていない状態では、パウチ10−1を密閉していなくともよい。シール部20は、パウチ10−1の外縁10Dに位置し、かつ外縁10Dに沿って延びる外縁シール部21と、合掌部14に設けられた合掌シール部22と、合掌部14に設けられ、かつパウチ10−1の収容空間10Aの圧力の増加によって剥離するように構成された蒸気抜きシール部31とを備えている。
電子レンジで加熱されて高温になったパウチにおけるシール部20のシール強度が適度に低い値になれば、収容空間において発生する水蒸気の圧力から受ける力に基づいて蒸気抜きシール部31が剥離し易くなる。すなわち、より低い圧力で蒸気抜きシール部31が剥離するようになる。このため、例えば、100℃の環境下で1分間保持した後100℃の環境下で測定したときのシール部20のシール強度(以下、「熱間シール強度」と称することもある。)は、好ましくは20.0N以下であり、より好ましくは15N以下であり、さらに好ましくは11N以下であり、最も好ましくは10.0N以下である。なお、熱間シール強度が低すぎると、内容物が十分に加熱および加圧されるよりも前に蒸気抜きシール部31が剥離して収容空間10Aの圧力および温度が低下してしまうことが考えられる。この点を考慮すると、パウチ10−1のシール部20の熱間シール強度は、好ましくは4N以上であり、より好ましくは5N以上である。
パウチ10−1のシール部20の熱間シール強度が20.0N以下になるようにシール部20を構成するための方法として、本実施形態においては、低温時、例えば25℃の環境下で1分間保持した後25℃の環境下で測定したときのパウチ10−1のシール部20のシール強度(以下、「常温シール強度」と称することもある。)を適切に管理する、という方法を採用する。本件発明者らが鋭意研究を重ねた結果、パウチ10−1においては、常温シール強度が60.0N以下になるようにシール部20を構成することにより、シール部20の熱間シール強度を20.0N以下にすることができることを見出した。このような知見に基づき、本実施形態においては、常温シール強度が60.0N以下になるようにシール部20の構成条件を設定することにより、20.0N以下の熱間シール強度を有するシール部20を備えるパウチ10−1を製造することができる。また、シール部20の常温シール強度は、搬送時などにパウチ10−1が受ける力に起因してパウチ10−1のシール部20が剥離してしまうことを抑制することができる点から、35.0N以上であることが好ましい。
また、25℃のときのシール部20の常温シール強度の下限は、好ましくは40.0N以上であり、45.0N以上または50.0N以上であってもよい。25℃のときのシール部20の常温シール強度の上限は、好ましくは55.0N以下である。
シール部20の常温シール強度を決定する要因としては、包装材料の内面に位置する後述するシーラント層の機械特性や厚みなどを挙げることができる。また、熱融着(ヒートシール)によって蒸気抜きシール部31などのシール部20を形成する場合、温度などの熱融着の条件によっても、シール部20のシール強度が変化し得る。また、ボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理によっても、シール部20のシール強度が変化し得る。本実施形態においては、これらの要因を適切に調整及び考慮することにより、35.0N以上の常温シール強度を有するシール部20を形成できる。なお、パウチ10−1にボイル処理やレトルト処理などの処理が施される場合には、特に断らない限り、「シール部のシール強度」とは、処理が施された後のパウチにおけるシール部のシール強度を意味する。「レトルト処理」とは、内容物をパウチに充填してパウチを密封した後、蒸気または加熱温水を利用してパウチを加圧状態で加熱する処理である。レトルト処理の温度は、例えば120℃以上である。「ボイル処理」とは、内容物をパウチに充填してパウチを密封した後、パウチを大気圧下で湯煎する処理である。ボイル処理の温度は、例えば90℃以上100℃以下である。
ボイル処理やレトルト処理等の処理が施される場合、処理前のパウチ10−1においては、シール部20の常温シール強度は35.0N以上であり、熱間シール強度は20.0N以下であってもよい。
シール部のシール強度は、JIS Z1707:1997 7.4に準拠して恒温槽付き引張試験機(型番「RTC−1310A」、株式会社オリエンテック製)用いて測定することができる。具体的には、まず、シール部のシール強度を測定するための試験片Sを5個準備する。例えば、図3において、パウチ10−1のうち第3外縁シール部23Cを含む部分(例えば、一点鎖線で囲まれる部分)を切り出して、第1方向DR1に沿って延びる試験片Sを得る。第1方向DR1に直交する第2方向DR2における試験片Sの幅W1(図3参照)は、15mmとする。
図4は、試験片Sを示す断面図である。試験片Sは、第3外縁シール部21Cなどの、おもて面フィルム11のシーラント層46とおもて面フィルム12のシーラント層46とが接合されているシール部S1と、おもて面フィルム11のシーラント層46とおもて面フィルム12のシーラント層46とが接合されていない未シール部S2と、を含んでいる。なお、図4に示される包装材料40、第1基材層41、第2基材層44は、後述するので、ここでは説明を省略するものとする。
図5は、試験片Sを用いてシール強度を測定する様子を示す図である。まず、未シール部S2においておもて面フィルム11、12をそれぞれ、測定器のつかみ具101およびつかみ具102で把持する。また、つかみ具101、102をそれぞれ、試験片Sのシール部S1の面方向に対して直交する方向において互いに逆向きに、300mm/分の速度で引っ張り、引張応力の最大値を測定する。
5個の試験片Sについて、引張応力の最大値を測定し、その平均値をシール強度とする。引っ張りを開始する際の、つかみ具101、102間の間隔Dは、例えば20mmであり、引っ張りを終了する際の、つかみ具101、102間の間隔Dは例えば40mmである。上記常温シール強度を測定する場合、測定時の環境は、例えば温度25℃、相対湿度50%±10%とし、この環境下に試験片Sを1分間保持した後に測定する。また、上記熱間シール強度を測定する場合、測定時の環境は、温度100℃、相対湿度20%±10%とし、この環境下に試験片Sを1分間保持した後に測定する。
<外縁シール部>
外縁シール部21は、第1縁10E側に形成された第1外縁シール部21A、第3縁10G側に形成された第3外縁シール部21C、第4縁10H側に形成された第4外縁シール部21Dとを備えている。第1外縁シール部21A、第3外縁シール部21Cおよび第4外縁シール部21Dは、おもて面フィルム11、12と裏面フィルム13を互いに接合した部分である。外縁シール部21の形成の際のおもて面フィルム11、12と裏面フィルム13の接合は、熱融着によって行われる。なお、図1に示されるパウチ10−1の第2縁10F側は開口しているが、内容物を収容空間に充填した後、第2縁10Fと二点鎖線で囲まれた第2側部シール部形成領域Rを熱融着することによって、第2外縁シール部21Bが形成され、パウチ10−1が密封される。
外縁シール部21の幅W2(図3参照)は、例えば、それぞれ2mm以上15mm以下となっていることが好ましい。外縁シール部21の幅W2がそれぞれ2mm以上であれば、外縁シール部21において確実にシールすることができ、また15mm以下であれば、収容空間10Aをより広く確保することができる。本明細書において、各シール部における「幅」とは、シール部の延びる方向に直交する方向の長さを意味する。なお、シール部の幅が一定でない場合には、シール部の幅は、シール部の延びる方向に直交する方向の長さのうち最も短い値とする。また、本明細書におけるパウチの寸法およびパウチを構成する各構成要素の寸法は、全て、おもて面と裏面を接触させた状態、すなわち内容物を収容せずにほぼ平面状にした状態で測定した値とする。幅W2の下限は、4mm以上であることが好ましく、また上限は、10mm以下であることが好ましい。
<合掌シール部>
合掌シール部22は、おもて面フィルム11、12の一部を互いに接合した部分である。合掌シール部の形成の際のおもて面フィルム11、12の接合は、熱融着によって行われる。
合掌シール部22は、合掌部14の第1縁14A側に第2縁14Bから第3縁14Cに跨って形成された第1合掌シール部22A、合掌部14の第2縁14B側に形成された第2合掌シール部22B、合掌部14の第3縁14C側に形成された第3合掌シール部22Cを備えている。合掌シール部22の幅W3(図3参照)は、例えば、それぞれ2mm以上15mm以下となっていることが好ましい。
<<開封開始手段>>
開封開始手段15は、パウチ10−1の開封の際の起点となり得るものであり、第3外縁シール部21Cおよび第4外縁シール部21Dに形成されている。開封開始手段15としては、切込みや切欠き等が挙げられる。図1に示される開封開始手段15は、切欠きとなっている。開封開始手段15は、第3外縁シール部21Cおよび第4外縁シール部21Dに形成されているが、開封開始手段は第3外縁シール部のみまたは第4外縁シール部のみに形成されていてもよい。
パウチ10−1は、パウチ10−1に収容された内容物を加熱する際に発生する蒸気を外部に逃がすための蒸気抜き機構30を備えている。蒸気抜き機構30は、蒸気の圧力が所定値以上になったときにパウチ10−1の内部と外部とを連通させて蒸気を逃がすとともに、蒸気抜き機構30以外の箇所から蒸気が抜けることを抑制するように構成されている。
<蒸気抜き機構>
図1に示される蒸気抜き機構30は、蒸気抜きシール部31と、蒸気抜きシール部31によって収容空間10Aから隔離されたシールされていない第2未シール部32と、貫通部33とから構成されている。なお、図6(A)に示されるように蒸気抜き機構30においては、第2未シール部は設けられていなくともよい。
(蒸気抜きシール部)
蒸気抜きシール部31は、第1合掌シール部22Aから突出しているとともに、第1合掌シール部22Aに連設されている。図1に示される蒸気抜きシール部31は、一端31Aおよび他端31Bが第1合掌シール部22Aに繋がっている。これにより、第2未シール部32が、収容空間10Aから隔離される。ただし、蒸気抜きシール部は、合掌シール部よりも収容空間の中心側に位置していれば、合掌シール部から離間していてもよい。
蒸気抜きシール部31は、加熱に伴ってパウチ10−1内の圧力が所定の圧力となったときに剥離するものであり、これにより収容空間10Aに連通した第1未シール部14Dと第2未シール部32が連通して、収容空間10A内の蒸気が自動的に第2未シール部32の後述する貫通部32Aを介して、パウチ10−1の外部に放出される。また、蒸気抜きシール部31が第1合掌シール部22Aよりも収容空間10A側に突出しているので、電子レンジによる加熱に伴ってパウチ10−1内の圧力が高まった際に、蒸気抜きシール部31に応力が集中しやすくなる。また、蒸気抜きシール部31から剥離が進行しやすいので、外縁シール部や合掌シール部から剥離が進行することを抑制することができる。
蒸気抜きシール部31のシール幅W4(図3参照)は、容易に蒸気を抜く観点から、例えば、それぞれ1mm以上5mm以下となっていることが好ましい。
(第2未シール部)
第2未シール部32は、蒸気抜きシール部31に隣接している。図1に示される第2未シール部32は、平面視において先端が収容空間10A側に突き出た形状となっているが、図6(B)に示されるように平面視において四角形状になっていてもよい。
(貫通部)
貫通部33は、第2未シール部32に形成されている。貫通部33は、おもて面フィルム11、12の少なくとも一方を貫通しており、外部と連通している。貫通部33としては、貫通孔や切れ込みが挙げられる。図1に示される貫通部32Aは、貫通孔となっている。貫通部33は、1つ存在すればよいが、2以上存在していてもよい。
パウチ10−1は、蒸気抜きシール部31の剥離により蒸気抜けするように構成されている。パウチ10−1は、収容空間10Aの圧力が130.0kPa以下で蒸気抜けすることができるように構成されていることが好ましく、125.0KPa以下で蒸気抜けすることができるように構成されていることがより好ましい。また、収容空間の圧力に対する蒸気抜きシール部の剥離が早すぎると、内容物が十分に加熱および加圧されるよりも前に蒸気抜きシール部が剥離して収容空間の圧力および温度が低下してしまうおそれがある。この点を考慮すると、パウチ10−1は、収容空間10Aの圧力が110.0kPa以上で蒸気抜きシール部31の剥離により蒸気抜けすることができるように構成されていることがより好ましい。
電子レンジによる加熱時のパウチ10−1内の圧力の測定方法について説明する。まず、図1に示すような、密封されていない状態のパウチ10−1を入手可能な場合の、パウチ10−1の圧力の測定方法について、説明する。
まず、図1に示すような、第2縁10Fに第2外縁シール部21Bが形成されておらず、第2縁が開口している状態のパウチ10−1を準備する。続いて、パウチ10−1の内部に、圧力を測定可能なデータロガーのセンサ103を配置する。例えば、センサ103をパウチ10−1の内面に取り付ける。また、パウチ10−1の収容空間に所定量の水を、例えば100mlの水を充填する。その後、第2外縁シール部21Bを形成してパウチ10−1を封止する。データロガーとしては、例えば、TMI−ORION製のPicoVACQ PTを用いることができる。PicoVACQ PTは、圧力に加えて温度を測定することもできる。
次いで、センサ103を用いて収容空間10Aの蒸気が抜ける直前の圧力(以下、蒸気抜け圧力)を所定の時間間隔で測定しながら、電子レンジなどを利用してパウチ10−1内の水を加熱する。電子レンジとしては、出力が500W〜1500Wの範囲内の任意のものを用いることができる。時間間隔は、例えば0.1秒以上且つ10秒以下であり、例えば1.0秒である。
水が蒸発して収容空間10Aの圧力が増加し、シール部20が剥離して、収容空間10Aがパウチ10−1の外部と連通すると、センサ103によって測定されている収容空間10Aの圧力が急激に低下する。圧力が急激に低下し始める直前に測定された、収容空間10Aの圧力を、パウチ10−1の蒸気抜け圧力として記録する。圧力が急激に低下し始める直前の収容空間10Aの温度は、例えば80℃以上120℃以下である。
次に、図7に示すような、内容物が収容され、封止された状態のパウチ10−1を用いて、パウチの蒸気抜け圧力を測定する方法について、図7〜図10を参照して説明する。
まず、封止された状態のパウチ10−1を準備する。続いて、おもて面フィルム12または裏面フィルム13のいずれか一方に、内容物を取り出すための開口部を設ける。例えば図7に示すように、おもて面フィルム12を貫通する切れ込みをおもて面フィルム12に形成することにより、おもて面フィルム12に開口部12Aを設ける。開口部12Aは、圧力の測定中に蒸気抜きシール部31よりも開口部12Aが先に開いてしまうのを防ぐために、パウチ10−1の正面視において合掌部14と第1外縁シール部21Aとの間の位置に設けられる。また、開口部12Aは、第3外縁シール部21Cおよび第4外縁シール部21Dのいずれにも達しないように第1方向D1に延びている。その後、パウチ10−1に収容されている内容物を、開口部12Aを介して外部に取り出す。その後、パウチ10−1の内部を洗浄してパウチ10−1の内面に付着している内容物を更に除去してもよい。
次いで、開口部12Aが設けられたおもて面フィルム12の内面に熱溶着可能なフィルム104を準備する。フィルム104は、開口部12Aを介してパウチ10−1の収容空間10Aに導入可能であり、かつ開口部12Aを覆うことができる形状となっている。フィルム104としては、おもて面フィルム12と同一の包装材料を用いることができる。このようなフィルム104は、例えばパウチ10−1が内容物を収容した状態で市販されている場合、パウチ10−1を購入してパウチ10−1のおもて面フィルム12を切り出すことによって準備することができる。
続いて、図8に示すように、開口部12Aを介してパウチ10−1の収容空間10Aにフィルム104を導入する。この際、フィルム104の内面がおもて面フィルム12の内面側を向くようにする。フィルム104は、第3外縁シール部21Cの内縁21C1と第4外縁シール部21Dの内縁21D1との間に位置し、かつ開口部12Aの全域を覆うように配置される。その後、フィルム104のうち開口部12Aよりも第1縁10E側の部分の内面を、おもて面フィルム12の内面に熱溶着する。図8においては、熱溶着によって形成されたシール部104Aにハッチングを施している。
続いて、図9に示すように、パウチ10−1の内部に、圧力を測定可能なデータロガーのセンサ103を、開口部12Aを介して導入する。例えば、センサ103をパウチ10−1の内面に取り付ける。また、パウチ10−1の収容空間に所定量の水を、例えば100mlの水を、開口部12Aを介して充填する。その後、パウチ10−1を外部から封止するように、フィルム104の内面をおもて面フィルム12の内面に熱溶着する。例えば、フィルム104の内面のうち未だおもて面フィルム12の内面に熱溶着されていない部分を加熱および押圧する。これによって、図10に示すように、パウチ10−1の開口部12Aを封止することができる。その後、上述のように、センサ103を用いて収容空間10Aの圧力を所定の時間間隔で測定しながら、電子レンジなどを利用してパウチ10−1内の水を加熱することにより、パウチの蒸気抜け時の圧力を測定することができる。
図1のように合掌部14に第2未シール部32が設けられている場合、収容空間10Aの中心Oから第2未シール部32までの最短距離をL1(図11参照)とし、合掌部14が延びる方向(図11においては第1方向DR1)において、収容空間10Aの中心Oから第3外縁シール部21Cの内縁21C1および第4外縁シール部21Dの内縁21D1までの距離をそれぞれL2(図11参照)としたとき、L1/L2が1.0未満であることが好ましい。L1/L2が小さいほど、収容空間の中心に近い。本明細書における「収容空間の中心」とは、パウチが密封された状態の収容空間の中心を意味するものとする。すなわち、図11においては、第2外縁シール部21Bが形成されて、パウチ10−1が密封されている。また、ガセット折込部が設けられていないパウチにおいては、収容空間10Aの中心Oは、第1外縁シール部21Aの内縁21A1の中点M1(図11参照)と、第2外縁シール部21Bの内縁21B1の中点M2(図11参照)とを結ぶ仮想線(図示せず)の中点とする。収容空間10Aの中心Oおよび距離L1、L2は、全て、パウチ10−1を広げずにほぼ平面状にした状態で測定した値とする。L1/L2の上限は、0.90以下、0.85以下または0.80以下であることがより好ましい。
<<包装材料>>
おもて面フィルム11、12および裏面フィルム13は、少なくとも基材層およびシーラント層をこの順に備える包装材料から構成されている。シーラント層は、パウチ10−1の内面を構成する層である。図12に示される包装材料40は、例えば、第1基材層41、印刷層42、第1接着剤層43、第2基材層44、第2接着剤層45およびシーラント層46をこの順で少なくとも備えている。なお、基材層としては、第1基材層41、第2基材層44の少なくともいずれかを備えていればよい。また、図13に示される包装材料は、例えば、第1基材層41、印刷層42、第1接着剤層43、シーラント層46をこの順で少なくとも備えている。なお、包装材料は、基材層とシーラント層との間に、透明ガスバリア層等の所望の機能を発揮する機能層をさらに備えていてもよい。
<第1基材層>
第1基材層41は、例えば、所定の方向において延伸されている延伸基材層である。第1基材層41は、包装材料40に所定の強度を持たせるための基材層として機能する。第1基材層41は、所定の一方向において延伸された一軸延伸フィルムであってもよく、所定の二方向において延伸された二軸延伸フィルムであってもよい。第1基材層41の延伸方向は特には限定されない。例えば、第1基材層41は、第3縁10Gが延びる方向において延伸されていてもよく、第3縁10Gが延びる方向に直交する方向において延伸されていてもよい。すなわち、第1基材層41は、二軸延伸されていてもよい。第1基材層41の延伸倍率は、例えば1.05倍以上である。
第1基材層41は、例えば、ポリエステルを主成分として含む。例えば、第1基材層41は、51質量%以上のポリエステルを含む。ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとも記す)などを挙げることができる。なお、第1基材層41における、51質量%以上のポリエステルは、一種類のポリエステルによって構成されていてもよく、二種類以上のポリエステルによって構成されていてもよい。
第1基材層41がポリエステルを主成分として含む場合、第1基材層41の厚みは、好ましくは9μm以上であり、より好ましくは12μm以上である。また、第1基材層41がポリエステルを主成分として含む場合、第1基材層41の厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。第1基材層41の厚みを9μm以上にすることにより、第1基材層41が十分な強度を有するようになる。また、第1基材層41の厚みを25μm以下にすることにより、第1基材層41が優れた成形性を示すようになる。このため、包装材料40を加工してパウチ10−1を製造する工程を効率的に実施することができる。
第1基材層41は、ポリアミドを主成分として含んでいてもよい。例えば、第1基材層41は、51質量%以上のポリアミドを含む。ポリアミドの例としては、脂肪族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドが挙げられる。脂肪族ポリアミドとてしてはナイロン−6、ナイロン-6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体などのナイロンが挙げられ、芳香族ポリアミドとしては、ポリメタキシレンアジパミド(MXD6)などが挙げられる。第1基材層41がポリアミドを主成分として含むことにより、第1基材層41を備える包装材料40の突き刺し強度を高めることができる。
第1基材層41がポリアミドを主成分として含む場合、第1基材層41の厚みは、好ましくは12μm以上であり、より好ましくは15μm以上である。また、第1基材層41がポリアミドを主成分として含む場合、第1基材層41の厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。
第1基材層41は、単一の層によって構成されていてもよく、複数の層によって構成されていてもよい。第1基材層41が複数の層を含む場合、第1基材層41は、例えば、共押し出しによって作製された共押しフィルムである。共押し出しによって作製された第1基材層41は、例えば、順に積層された、PETなどのポリエステルからなる第1層、ナイロンなどのポリアミドからなる第2層、およびPETなどのポリエステルからなる第3層を含む。なお、ナイロンなどのポリアミドからなる第2層の質量が、第1基材層41全体の質量の51%以上である場合、共押し出しによって作製された第1基材層41の主成分はポリアミドであると言える。
<印刷層>
印刷層42は、内容物や包装製品の情報を付与したり、またはパウチに美観を付与したりするための層であり、例えば、色材およびバインダ樹脂を含む。印刷層42を形成することにより、パウチ10−1に絵柄を形成することができる。本明細書における「絵柄」とは、特に限定されず、例えば、図、文字、模様、パターン、記号、柄、マーク等を広く含む。グラビア印刷用のインキとしては、DICグラフィックス株式会社製のフィナートを用いることができる。
印刷層42は、その他、任意の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、滑剤、ブロッキング防止剤、充填剤、硬化剤、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、ワックス、シランカップリング剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防錆剤、可塑剤、難燃剤、顕色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、特に印刷適正、印刷効果等の改善を目的に使用され、その種類、使用量は、印刷方法、印刷基材、印刷条件により適宜選択できる。印刷層42は、基材層41にグラビア印刷等の印刷法により形成することができる。
(色材)
色材は、特に限定されず、公知の顔料や染料を用いることができ、所望の色に合わせて適宜選択する。
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂としては、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、(メタ)アクリレート化合物の重合体、または、これらの混合物が挙げられる。
<第1接着剤層>
第1接着剤層43は、第1基材層41と第2基材層44とをドライラミネート法により接着するための接着剤を含む。第1接着剤層43を構成する接着剤は、主剤及び溶剤を含む第1組成物と、硬化剤及び溶剤を含む第2組成物とを混合して作製した接着剤組成物から生成される。具体的には、接着剤は、接着剤組成物中の主剤と溶剤とが反応して生成された硬化物を含む。
接着剤の例としては、ポリウレタンなどを挙げることができる。ポリウレタンは、主剤としてのポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。ポリウレタンの例としては、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタンなどを挙げることができる。ポリエーテルポリウレタンは、主剤としてのポリエーテルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。ポリエステルポリウレタンは、主剤としてのポリエステルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの芳香族系イソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂肪族系イソシアネート化合物、あるいは、上記各種イソシアネート化合物の付加体または多量体を用いることができる。
第1接着剤層43の厚みは、好ましくは2μm以上であり、より好ましくは3μm以上である。また、第1接着剤層43の厚みは、好ましくは6μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。
<第2基材層>
第2基材層44は、例えば、第1基材層41と同様に、所定の方向において延伸されている基材層である。例えば、第2基材層44は、第3縁10Gが延びる方向において延伸されていてもよく、第3縁10Gが延びる方向に直交する方向において延伸されていてもよい。すなわち、第2基材層44は、二軸延伸されていてもよい。第2基材層44も、第1基材層41と同様に、包装材料40に所定の強度を持たせるための基材層として機能する。第2基材層44の延伸方向も、第1基材層41の場合と同様に特には限定されない。
第2基材層44は、第1基材層41と同様に、ポリエステル又はポリアミドを主成分として含む。なお、包装材料40に耐熱性を持たせるためには、第1基材層41および第2基材層44のうちの少なくとも一方が、ポリエステルを主成分として含むことが好ましい。従って、第1基材層41がポリアミドを主成分として含む場合、第2基材層44は、ポリエステルを主成分として含む。第1基材層41がポリエステルを主成分として含む場合、第2基材層44は、ポリエステルを主成分として含んでいてもよく、ポリアミドを主成分として含んでいてもよい。
第2基材層44がポリエステルを主成分として含む場合、例えば、51質量%以上のポリエステルを含む場合、ポリエステルの例としては、第1基材層41の場合と同様に、PET、PBTなどを挙げることができる。第2基材層44の厚みは、好ましくは9μm以上であり、より好ましくは12μm以上である。また、第2基材層44がポリエステルを主成分として含む場合、第2基材層44の厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。第2基材層44がポリエステルを主成分として含む場合の、第2基材層44熱伝導率、融点などは、ポリエステルを主成分として含む第1基材層41の場合と同様である。
第2基材層44がポリアミドを主成分として含む場合、例えば、51質量%以上のポリアミドを含む場合、ポリアミドの例としては、第1基材層41の場合と同様に、脂肪族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドを挙げることができる。第2基材層44の厚みは、好ましくは12μm以上であり、より好ましくは15μm以上である。また、第2基材層44がポリアミドを主成分として含む場合、第2基材層44の厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。
<第2接着剤層>
第2接着剤層45は、第2基材層44とシーラント層46とをドライラミネート法により接着するための接着剤を含む。第2接着剤層45の接着剤の例としては、第1接着剤層43の場合と同様に、ポリウレタンなどを挙げることができる。以下に説明する構成、材料や特性以外にも、第2接着剤層45の構成、材料や特性として、第1接着剤層43と同様のものを採用することができる。
第2接着剤層45の厚みは、好ましくは2μm以上であり、より好ましくは3μm以上である。また、第2接着剤層45の厚みは、好ましくは6μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。
ところで、接着剤の硬化剤を構成するイソシアネート化合物としては、上述のように、芳香族系イソシアネート化合物及び脂肪族系イソシアネート化合物が存在する。このうち芳香族系イソシアネート化合物は、加熱殺菌などの高温環境下において、食品用途で使用できない成分が溶出する。ところで、第2接着剤層45は、シーラント層46に接している。このため、第2接着剤層45が芳香族系イソシアネート化合物を含む場合、芳香族系イソシアネート化合物から溶出された成分が、シーラント層46に接する収容空間10Aに収容されている内容物に付着することがある。このような課題を考慮し、好ましくは、第2接着剤層45を構成する接着剤として、主剤としてのポリオールと、硬化剤としての脂肪族系イソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物を用いる。これにより、第2接着剤層45に起因する、食品用途で使用できない成分が、内容物に付着することを防止することができる。
<シーラント層>
次に、シーラント層46について説明する。シーラント層46を構成する材料としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレンから選択される1種または2種以上の樹脂を用いることができる。シーラント層46は、単層であってもよく、多層であってもよい。また、シーラント層46は、好ましくは未延伸のフィルムからなる。なお「未延伸」とは、全く延伸されていないフィルムだけでなく、製膜の際に加えられる張力に起因してわずかに延伸されているフィルムも含む概念である。
包装材料40から構成されたパウチ10−1には、ボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理が高温で施される。従って、シーラント層46は、これらの高温での処理に耐える耐熱性を有するものが用いられる。
シーラント層46を構成する材料の融点は、150℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがより好ましい。シーラント層46の融点を高くすることにより、パウチ10−1のレトルト処理を高温で実施することが可能になり、このため、レトルト処理に要する時間を短くすることができる。なお、シーラント層46を構成する材料の融点は、第1基材層41、第2基材層44を構成する樹脂の融点より低い。
レトルト処理の観点で考える場合、シーラント層46を構成する材料として、プロピレンを主成分とする材料を用いることができる。ここで、「プロピレンを主成分とする材料」とは、プロピレンの含有率が90質量%以上である材料を意味する。プロピレンを主成分とする材料としては、具体的には、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、ホモポリプロピレンなどのポリプロピレン、又はポリプロピレンとポリエチレンとを混合したものなどを挙げることができる。ここで、「プロピレン・エチレンブロック共重合体」とは、下記式(1)に示される構造式を有する材料を意味する。また、「プロピレン・エチレンランダム共重合体」とは、下記式(2)に示される構造式を有する材料を意味する。また、「ホモポリプロピレン」とは、下記式(3)に示される構造式を有する材料を意味する。
Figure 2020055628
上記式(1)中、m1、m2、m3は、1以上の整数を表す。
Figure 2020055628
上記式(2)中、m、nは、1以上の整数を表す。
Figure 2020055628
上記式(3)中、mは、1以上の整数を表す。
プロピレンを主成分とする材料として、ポリプロピレンとポリエチレンとを混合したものを用いる場合には、材料は、海島構造を有していてもよい。ここで、「海島構造」とは、ポリプロピレンが連続する領域の内に、ポリエチレンが不連続に分散している構造をいう。
ボイル処理の観点で考える場合、シーラント層46を構成する材料の例として、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの組み合わせなどを挙げることができる。ポリエチレンとしては、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたはこれらの組み合わせなどを挙げることができる。例えば、上述のレトルト処理の観点からシーラント層46を構成する材料として挙げた材料を用いることも可能である。シーラント層46を構成する材料は、例えば100℃以上、より好ましくは105℃以上、更に好ましくは110℃以上の融点を有する。シーラント層46を構成する材料としてポリエチレンを用いる場合、100℃以上の融点は、例えば、ポリエチレンの密度が0.920g/cm以上である場合に実現され得る。また、100℃以上の融点を有するシーラント層46の具体例としては、三井化学東セロ製TUX−HC、東洋紡製L6101、出光ユニテック製LS700C等を挙げることができる。105℃以上の融点を有するシーラント層46の具体例としては、タマポリ製NB−1等を挙げることができる。110℃以上の融点を有するシーラント層46の具体例としては、出光ユニテック製LS760C、三井化学東セロ製TUX−HZ等を挙げることができる。
好ましくは、シーラント層46は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のフィルムである。例えば、シーラント層46は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を主成分とする単層の未延伸フィルムである。プロピレン・エチレンブロック共重合体を用いることにより、シーラント層46の耐衝撃性を高めることができ、これにより、落下時の衝撃によりパウチ10−1が破パウチしてしまうことを抑制することができる。また、包装材料40の耐突き刺し性を高めることができる。
また、プロピレン・エチレンブロック共重合体を用いることにより、高温時、例えば100℃のときの、シーラント層46によって構成されるシール部の強度、すなわち上述の熱間シール強度が、低温時、例えば常温シール強度に比べて極めて小さくなる。熱間シール強度が低いことにより、電子レンジを用いてパウチ10−1を加熱する際、蒸気抜きシール部31が剥離し易くなり、収容空間10Aの蒸気がパウチ10−1の外部に抜けやすくなる。このため、収容空間10Aの内圧が過大になることを抑制することができ、これにより、加熱時に包装材料40にダメージが生じることを抑制することができる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体は、例えば、ポリプロピレンからなる海成分と、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分と、を含む。海成分は、プロピレン・エチレンブロック共重合体の耐ブロッキング性、耐熱性、剛性、シール強度などを高めることに寄与し得る。また、島成分は、プロピレン・エチレンブロック共重合体の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。従って、海成分と島成分の比率を調整することにより、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含むシーラント層46の機械特性を調整することができる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体において、ポリプロピレンからなる海成分の質量比率は、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分の質量比率よりも高い。例えば、プロピレン・エチレンブロック共重合体において、ポリプロピレンからなる海成分の質量比率は、少なくとも51質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。
単層のシーラント層46は、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂に加えて、第2の熱可塑性樹脂を更に含んでいてもよい。第2の熱可塑性樹脂としては、α−オレフィン共重合体、ポリエチレンなどを挙げることができる。α−オレフィン共重合体は、例えば直鎖状低密度ポリエチレンである。ポリエチレンの例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを挙げることができる。第2の熱可塑性樹脂は、シーラント層46の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。
低密度ポリエチレンとは、密度が0.910g/cm以上0.925g/cm以下のポリエチレンである。中密度ポリエチレンは、密度が0.926g/cm以上0.940g/cm以下のポリエチレンである。高密度ポリエチレンとは、密度が0.941g/cm以上0.965g/cm以下のポリエチレンである。低密度ポリエチレンは、例えば、1000気圧以上2000気圧未満の高圧でエチレンを重合することにより得られる。中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、例えば、1気圧以上1000気圧未満の中圧又は低圧でエチレンを重合することにより得られる。
なお、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体を部分的に含んでいてもよい。また、中圧又は低圧でエチレンを重合する場合であっても、エチレンとα−オレフィンとの共重合体を含む場合は、中密度又は低密度のポリエチレンが生成され得る。このようなポリエチレンが、上述の直鎖状低密度ポリエチレンと称される。直鎖状低密度ポリエチレンは、中圧又は低圧でエチレンを重合することにより得られる直鎖状ポリマーにα−オレフィンを共重合させて短鎖分岐を導入することによって得られる。α−オレフィンの例としては、1−ブテン(C)、1−ヘキセン(C)、4−メチルペンテン(C)、1−オクテン(C)などを挙げることができる。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、例えば0.915g/cm以上0.945g/cm以下である。
なお、プロピレン・エチレンブロック共重合体の第2の熱可塑性樹脂を構成するα−オレフィン共重合体は、上述の直鎖状低密度ポリエチレンには限られない。α−オレフィン共重合体とは、下記の式(4)に示される構造式を有する材料を意味する。
Figure 2020055628
、Rはいずれも、H(水素原子)、またはCH、Cなどのアルキル基である。また、jおよびkはいずれも、1以上の整数である。また、jはkよりも大きい。すなわち、式(4)に示すα−オレフィン共重合体においては、Rを含む左側の構造がベースとなる。Rは例えばHであり、Rは例えばCである。
シーラント層46において、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂の質量比率は、α−オレフィン共重合体又はポリエチレンを少なくとも含む第2の熱可塑性樹脂の質量比率よりも高い。例えば、単層のシーラント層46において、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂の質量比率は、少なくとも51質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。
上述のように、第2の熱可塑性樹脂は、シーラント層46の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。従って、単層のシーラント層46における、α−オレフィン共重合体又はポリエチレンを少なくとも含む第2の熱可塑性樹脂の質量比率を調整することにより、シーラント層46の機械特性を調整することができる。
また、シーラント層46は、熱可塑性エラストマー等のエラストマーを更に含んでいてもよい。熱可塑性エラストマーを用いることにより、シーラント層46の耐衝撃性や耐突き刺し性を更に高めることができる。
熱可塑性エラストマーは、例えば水添スチレン系熱可塑性エラストマーである。水添スチレン系熱可塑性エラストマーは、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1個の水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBからなる構造を有する。また、熱可塑性エラストマーは、エチレン・α−オレフィンエラストマーであってもよい。エチレン・α−オレフィンエラストマーは、低結晶性もしくは非晶性の共重合体エラストマーであり、主成分としての50〜90質量%のエチレンと共重合モノマーとしてのα−オレフィンとのランダム共重合体である。
シーラント層46におけるプロピレン・エチレンブロック共重合体の含有率は、例えば80質量%以上であり、好ましくは90質量%以上である。
プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造方法としては、触媒を用いて原料であるプロピレンやエチレンなどを重合させる方法が挙げられる。触媒としては、チーグラー・ナッタ型やメタロセン触媒などを用いることができる。
シーラント層46の厚みは、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは40μm以上である。また、シーラント層46の厚みは、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは80μm以下である。
プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のシーラント層46のタイプとしては、主に2つのタイプが考えられる。第1は、後述するZK207のような、高い引張弾性率を有するタイプである。第2のタイプのシーラント層46を用いることにより、第1方向D1に沿って消費者がパウチ10−1を引き裂くことによりパウチ10−1を開封する際の引き裂き性を高めることができる。第2は、後述するZK500のような、高い引張伸度を有し、耐衝撃性を備えるタイプである。第2のタイプのシーラント層46は、好ましくは、熱間シール強度が低いという特性も更に備える。これにより、パウチ10−1の加熱時に収容空間10Aの内圧が過大になることを抑制することができる。
第1方向(例えば、流れ方向:MD)における第1のタイプのシーラント層46の、25℃の環境下で1分間保持した後25℃の環境下で測定した引張伸度(%)は、好ましくは1100(%)以下であり、より好ましくは1000(%)以下であり、900(%)以下、または800(%)以下であってもよい。また、第1方向における第1のタイプのシーラント層46の引張伸度(%)とシーラント層46の厚み(μm)の積は、30000以上50000以下であることが好ましい。第1方向におけるこの積の下限は、34000以上、36000以上、または38000以上がより好ましい。また、第1方向と直交する第2方向(例えば、垂直方向:TD)における第1のタイプのシーラント層46の、25℃の環境下で1分間保持した後25℃の環境下で測定した引張伸度(%)は、好ましくは1200(%)以下であり、より好ましくは1100(%)以下であり、1000(%)以下、または900(%)以下であってもよい。また、第2方向における第1のタイプのシーラント層46の引張伸度(%)とシーラント層46の厚み(μm)の積は、450000以上55000以下であることが好ましい。第1方向におけるこの積の下限は、47000以上、または49000以上であることがより好ましい。
第1方向DR1における第1のタイプのシーラント層46の、25℃の環境下で1分間保持した後25℃の環境下で測定した引張弾性率(MPa)は、好ましくは500MPa以上であり、より好ましくは600MPa以上であり、650MPa以上、または700MPa以上であってもよい。また、第1方向における第1のタイプのシーラント層46の引張弾性率(MPa)とシーラント層46の厚み(μm)の積は、好ましくは35000以上であり、より好ましくは38000以上であり、更に好ましくは45000以上である。また、第2方向DR2におけるシーラント層46の、25℃の環境下で1分間保持した後25℃の環境下で測定した引張弾性率(MPa)は、好ましくは450MPa以上であり、より好ましくは500MPa以上であり、550MPa以上、または600MPa以上であってもよい。また、第2方向DR2における第1のタイプのシーラント層46の引張弾性率(MPa)とシーラント層46の厚み(μm)の積は、好ましくは28000以上であり、より好ましくは30000以上である。シーラント層46が高い引張弾性率を有することにより、パウチ10−1を開封する際の引き裂き性を高めることができる。
第1方向DR1(例えば、流れ方向:MD)における第2のタイプのシーラント層46の、25℃の環境下で1分間保持した後25℃の環境下で測定した引張伸度(%)は、好ましくは800%以上であり、より好ましくは900%以上であり、1000%以上、または1100%以上であってもよい。また、第1方向における第2タイプのシーラント層46の引張伸度(%)とシーラント層46の厚み(μm)の積は、好ましくは50000を超え、より好ましくは55000以上であり、または60000以上であってもよい。また、第2方向DR2におけるシーラント層46の、25℃の環境下で1分間保持した後25℃の環境下で測定した引張伸度は、好ましくは1050%以上であり、より好ましくは1100%以下である。また、第2方向DR2における第2のタイプのシーラント層46の引張伸度(%)とシーラント層46の厚み(μm)の積は、好ましくは55000を超え、より好ましくは60000以上である。シーラント層46が高い引張伸度を有することにより、落下時の衝撃などによりパウチ10−1が破袋してしまうことを抑制することができる。
第1方向DR1における第2のタイプのシーラント層46の、25℃の環境下で1分間保持した後25℃の環境下で測定した引張弾性率は、好ましくは670MPa以下であり、より好ましくは650MPa以下である。また、第1方向における第2のタイプのシーラント層46の引張弾性率(MPa)とシーラント層46の厚み(μm)の積は、好ましくは35000未満であり、より好ましくは34000以下である。また、第2方向DR2における第2タイプのシーラント層46の、25℃の環境下で1分間保持した後25℃の環境下で測定した引張弾性率は、好ましくは550MPa以下であり、より好ましくは500MPa以下である。また、第2方向におけるシーラント層46の引張弾性率(MPa)とシーラント層46の厚み(μm)の積は、好ましくは28000未満であり、より好ましくは25000以下である。
引張伸度および引張弾性率は、JIS K7127:1999に準拠して恒温槽付き引張試験機(型番「RTC−1310A」、株式会社オリエンテック製)を用いて測定され得る。具体的には、まず、シーラント層を幅15mmおよび長さ100mmに切り出して、5個の試験片を得る。そして、25℃、相対湿度50%±10%の環境下に各試験片を1分間保持した後に上記引張試験機によって引張伸度および引張弾性率を測定する。引張伸度および引張弾性率を測定する際には、初期チャック間距離は100mmとし、引張速度は300mm/分とする。なお、図1に示すパウチ10−1においては、第1縁10Eおよび第2縁10Fが延びる方向が、シーラント層46などの、パウチ10−1を構成するフィルムの流れ方向であり、第3縁10Gおよび第4縁10Hが延びる方向が、シーラント層46などの、パウチ10−1を構成するフィルムの垂直方向である。図示はしないが、第1縁10Eおよび第2縁10Fが延びる方向が、フィルムの垂直方向となり、第3縁10Gおよび第4縁10Hが延びる方向が、フィルムの流れ方向となるよう、パウチ10−1が構成されていてもよい。
<バリア性フィルム>
バリア性フィルムは、第1基材層41または第2基材層44の面上などに形成され、透明蒸着層を少なくとも含む。また、バリア性フィルムは、透明蒸着層の面上に形成され、透明性を有する透明ガスバリア性塗布膜を更に含んでいてもよい。
透明蒸着層は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を阻止するガスバリア性の機能を有する層として機能する。なお、透明蒸着層は二層以上設けられてもよい。透明蒸着層を二層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。透明蒸着層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。具体的には、ローラー式蒸着膜成膜装置を用いて、成膜ローラー上において蒸着層を形成することができる。透明蒸着層を構成する無機材料の例としては、アルミニウム酸化物(酸化アルミニウム)などの金属酸化物、珪素酸化物などを挙げることができる。透明蒸着層の厚みは、好ましくは、40Å以上130Å以下、より好ましくは、50Å以上120Å以下である。
透明ガスバリア性塗布膜は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を抑制する層として機能する層である。透明ガスバリア性塗布膜は、一般式R M(OR(ただし、式中、R、Rは、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも一種以上のアルコキシドと、上記のようなポリビニルアルコ−ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合する透明ガスバリア性組成物により得られる。
包装材料40の具体例としては、例えば以下の包装材料が挙げられる。なお、「/」は、層を列記する場合に、層と層との境界を示す表記として用いている。層については、パウチの外側から内側に向かって記載するものとする。すなわち最も右側に記載された層がシーラント層である。
二軸延伸ポリエステルフィルム/印刷層/接着剤層/二軸延伸ポリアミドフィルム/接着剤層/シーラント層
二軸延伸ポリエステルフィルム/印刷層/接着剤層/二軸延伸ポリエステルフィルム/接着剤層/シーラント層
二軸延伸ポリエステルフィルム/印刷層/接着剤層/二軸延伸ポリアミドフィルム/延伸ポリエステルフィルム/接着剤層/シーラント層
二軸延伸ポリエステルフィルム/印刷層/接着剤層/二軸延伸ポリエステルフィルム/接合層/二軸延伸ポリエステルフィルム/接着剤層/シーラント層
二軸延伸ポリエステルフィルム/印刷層/接着剤層/二軸延伸ポリエステルフィルム/接合層/二軸延伸ポリアミドフィルム/接着剤層/シーラント層
二軸延伸ポリアミドフィルム/印刷層/接着剤層/シーラント層
二軸延伸ポリエステルフィルム/印刷層/接着剤層/シーラント層
<<<他のパウチ>>>
図1に示されるパウチ10−1においては、貫通部33が貫通孔となっているが、図14に示されるパウチ10−2のように貫通部33は切れ込みであってもよい。図14に示される貫通部33は複数設けられている。
パウチ10−2には、第2未シール部32が設けられているが、図15(A)に示されるように第2未シール部は設けられていなくともよい。また、図14に示される第2未シール部32は、平面視において四角形状になっているが、図15(B)に示されるように平面視において先端が収容空間10A側に突き出た形状となっていてもよい。
パウチ10−2においても、収容空間10Aの中心Oから第2未シール部32までの最短距離をL1(図16参照)とし、合掌部14が延びる方向(図16においては第1方向DR1)において、収容空間10Aの中心Oから第3外縁シール部21Cの内縁21C1および第4外縁シール部21Dの内縁21D1までの距離をL2(図16参照)としたとき、L1/L2が1.0未満であることが好ましい。
図17に示されるパウチ10−3においては、第2未シール部32が設けられていないが、この場合には、収容空間10Aの中心Oから貫通部33までの最短距離をL3(図17参照)とし、合掌部14が延びる方向(図17においては第1方向DR1)において、収容空間10Aの中心Oから第3外縁シール部21Cの内縁21C1および第4外縁シール部21Dの内縁21D1までの距離をそれぞれL2(図17参照)としたとき、L3/L2が1.0未満であることが好ましい。L3/L2が小さいほど、収容空間の中心に近い。L3/L2の上限は、0.90以下、0.85以下または0.80以下であることがより好ましい。
図1に示されるパウチ10−1においては、貫通部33が設けられているが、図18に示されるパウチ10−4のように貫通部の代わりに開口部34が設けられていてもよい。第2未シール部32は、蒸気抜けシール部31と開口部34の間に設けられており、開口部34に連設されている。
図18に示される第2未シール部32は、平面視において四角形状となっているが、第2未シール部32は、平面視において、先端が収容空間側に突き出た形状(図19(A)参照)、収容空間側に凸となる三角形状(図19(B)参照)、収容空間側が上底となる台形状(図19(C)参照)、収容空間側に凸となる円弧状(図19(D)参照)となっていてもよい。
蒸気抜き機構30が開口部34を備えている場合も、収容空間10Aの中心Oから第2未シール部32までの最短距離をL1(図20参照)とし、合掌部14が延びる方向(図20においては第1方向DR1)において、収容空間10Aの中心Oから第3外縁シール部21Cの内縁21C1および第4外縁シール部21Dの内縁21D1までの距離をそれぞれL2(図20参照)としたとき、L1/L2が1.0未満であることが好ましい。
図1に示されるパウチ10−1においては、貫通部33が設けられているが、図21に示されるパウチ10−5のように貫通部の代わりに切欠き部35が設けられていてもよい。切欠き部35の形状は収容空間10A側に凸となる三角形状となっているが、切欠き部35の形状は特に限定されず、例えば、先端が収容空間側に突き出た形状(図19(A)の第2未シール部32と同様の形状)、収容空間側が上底となる台形状(図19(C)の第2未シール部32と同様の形状)、収容空間側に凸となる円弧状(図19(D)の第2未シール部32と同様の形状)となっていてもよい。
図21に示されるパウチ10−5においては、第2未シール部32が設けられていないが、この場合には、収容空間10Aの中心Oから切欠き部35までの最短距離をL3(図21参照)とし、合掌部14が延びる方向(図21においては第1方向DR1)において、収容空間10Aの中心Oから第3外縁シール部21Cの内縁21C1および第4外縁シール部21Dの内縁21D1までの距離をそれぞれL2(図21参照)としたとき、L3/L2が1.0未満であることが好ましい。L3/L2が小さいほど、収容空間の中心に近い。L3/L2の上限は、0.90以下、0.85以下または0.80以下であることがより好ましい。
図1に示されるパウチ10−1は、ガセット折込部を備えていないが、図22に示されるパウチ10−6のように、第2縁10F側にガセット折込部50を備えていてもよい。ガセット折込部50を設けることにより、パウチ10−6を自立させることができる。また、収容空間10Aを大きくすることができるので、より多くの内容物を収容することができる。なお、パウチ10−6においては、第1縁10E側が、開口している。
<ガセット折込部>
ガセット折込部50は、おもて面フィルム11の底部と、裏面フィルム13の底部と、おもて面フィルム11の底部と裏面フィルム13の底部の間に内側に挿入された中間フィルム51から構成されている。また、本明細書における「上」、「下」、「側」、「底」の位置は、パウチを自立させた状態での位置を意味している。
パウチ10−6の高さHに対するガセット折込部50の幅W5(図23参照)の比(W5/H)は、0.2以上0.4以下であることが好ましい。上記W5/Hが0.2以上であれば、より多くの内容物を収容できるとともに開封後にパウチ10−6を自立させたときに、パウチを安定して自立させることができる。ガセット折込部50の幅W5とは、ガセット折込部50の第2方向DR2の長さである。具体的には、第2縁10Fから折込線50Aまでの長さである。ガセット折込部50の幅が一定でない場合には、ガセット折込部の幅は最も短い値とする。ガセット折込部50の幅W5は、15mm以上50mm以下となっていてもよい。
パウチ10−6の外縁シール部21は、第2縁10F側に形成された第1底部シール部21Eおよび第2底部シール部21F、第3縁10Gおよび第4縁10H側に形成された底部補助シール部21G、第3縁10G側に形成された第1側部シール部21I、第4縁10H側に形成された第2側部シール部21Jと、を備えている。
<第1底部シール部および第2底部シール部>
第1底部シール部21Eは、ガセット折込部50におけるおもて面フィルム11の底部の一部と中間フィルム51の一部を互いに接合した部分であり、第2底部シール部21Fは、ガセット折込部50における裏面フィルム13の底部の一部と中間フィルム51の一部を互いに接合した部分である。第1底部シール部21Eは、おもて面フィルム11と中間フィルム51を熱融着することによって形成されており、第2底部シール部21Fは、裏面フィルム13と中間フィルム51を熱融着することによって形成されている。
<底部補助シール部>
底部補助シール部21Gは、底部における第1方向DR1側の両縁部に形成されている。底部補助シール部21Gは、おもて面フィルム11と裏面フィルム13を互いに接合した部分である。底部補助シール部21Gは、中間フィルム51に設けられた切欠きを介しておもて面フィルム11と裏面フィルム13を熱融着することによって形成されている。内容部を収容空間に充填する際にガセット折込部を広げる観点から、パウチの底部中央部においては第1底部シール部と第2底部シール部は離れていることが必要であるが、第1底部シール部と第2底部シール部が完全に離れていると、収容空間に流動体を充填したときに、第1底部シール部と第2底部シール部が流動体の重量に耐え切れず、第1底部シール部と第2底部シール部との間が開いてしまい、パウチの自立が困難になるおそれがある。また、基材層同士は熱融着できないので、基材層同士が向かい合っている第1底部シール部と第2底部シール部は、そのままでは熱融着できない。このため、底部補助シール部21Gを形成することによって、第1底部シール部21Eと第2底部シール部21Fの両端部のみを接合している。したがって、内容物を充填する際に、中間フィルム51の広がりを阻害せず、かつ安定してパウチ10−6を自立させることができる。
<第1側部シール部および第2側部シール部>
第1側部シール部21Iおよび第2側部シール部21Jは、おもて面フィルム11、12と裏面フィルム13を互いに接合した部分である。
パウチ10−6においても、収容空間10Aの中心Oから第2未シール部32までの最短距離をL1(図24参照)とし、合掌部14が延びる方向(図24においては第1方向DR1)において、収容空間10Aの中心Oから第3外縁シール部21Cの内縁21C1および第4外縁シール部21Dの内縁21D1までの距離をそれぞれL2(図24参照)としたとき、L1/L2が1.0未満であることが好ましい。ただし、パウチ10−6の収容空間10Aの中心Oは、第1外縁シール部21Aの内縁21A1の中点M1(図24参照)と、第1底部シール部21Eの内縁21E1の中点M2(図24参照)とを結ぶ仮想線(図示せず)の中点とする。
パウチ10−2〜10−6におけるL1/L2の上限も、0.90以下、0.85以下または0.80以下であることがより好ましい。
<<パウチの製造方法>>
パウチ10−1は、以下のようにして製造することができる。まず、おもて面フィルム11、12および裏面フィルム13となる3枚の包装材料40を用意する。おもて面フィルム12となる包装材料は、第1基材層41が内側となるように所定の位置で2つ折りにしておく。
そして、おもて面フィルム11となる包装材料40および裏面フィルム13となる包装材料40の間の所定の位置に2つ折りにしたおもて面フィルム12となる包装材料40を配置して、外縁シール部21(ただし、第2外縁シール部21Bを除く)、合掌シール部22および蒸気抜きシール部31となるべき領域を熱融着して、接合する。その後、蒸気抜きシール部31に囲まれた第2未シール部32に貫通部33を形成する。
そして、パウチ10−1の形状に合わせて熱融着された領域を裁断することによって、パウチ10−1を得ることができる。パウチ10−1に内容物を収容する場合には、第2縁10Fに存在する開口から内容物を充填し、第2縁10Fにおけるおもて面フィルム11と裏面フィルム13を熱融着することにより第2外縁シール部21Bを形成して、パウチ10−1を密閉する。パウチ10−2も蒸気抜きシール部31や貫通部33の形状および数を変更したこと以外は、パウチ10−1と同様にして製造することができる。パウチ10−3も第2未シール部32を設けなかったことや貫通部33の形状を変更したこと以外は、パウチ10−1と同様にして製造することができる。また、パウチ10−4は、合掌シール部22が分断されるように合掌シール部22および蒸気抜きシール部31となるべき領域を熱融着して、接合すること以外は、パウチ10−1と同様にして製造することができる。パウチ10−5は、合掌シール部22の一部が分断されるように合掌シール部22および蒸気抜きシール部31となるべき領域を熱融着して、接合すること以外は、パウチ10−1と同様にして製造することができる。
また、パウチ10−6を製造する際には、まず、おもて面フィルム11、12、裏面フィルム13および中間フィルム51となる4枚の包装材料40を用意する。おもて面フィルム12および中間フィルム51となる包装材料は、第1基材層41が内側となるように所定の位置で2つ折りにしておく。
そして、おもて面フィルム11となる包装材料40および裏面フィルム13となる包装材料40の間の上部に2つ折りにしたおもて面フィルム12となる包装材料40を配置するとともに、おもて面フィルム11となる包装材料40および裏面フィルム13となる包装材料40の間の底部に2つ折りにした中間フィルム51となる包装材料を配置する。そして、外縁シール部21(ただし、第1外縁シール部21Aを除く)、合掌シール部22および蒸気抜きシール部31となるべき領域を熱融着して、接合する。その後、蒸気抜きシール部31に囲まれた第2未シール部32に貫通部33を形成する。
そして、パウチ10−6の形状に合わせて熱融着された領域を裁断することによって、パウチ10−6を得ることができる。パウチ10−2に内容物を収容する場合には、第1縁10Eに存在する開口から内容物を充填し、第1縁10Eにおけるおもて面フィルム12と裏面フィルム13を熱融着することにより上部シール部を形成して、パウチ10−2を密閉する。
パウチ10−1〜10−4を電子レンジに入れる際には、裏面10Bが下側となるように電子レンジに入れる。また、パウチ10−6を電子レンジに入れる際には、パウチ10−2を自立させたまま、または裏面10Bが下側となるようにパウチ10−6を横にした状態で電子レンジに入れる。
パウチ10−1〜10−6を電子レンジに入れて、加熱すると、収容空間10Aの圧力が高くなるので、収容空間10Aから受ける力によっておもて面10Bおよび裏面10Cが外側に膨らむ。ここで本実施の形態においては、収容空間10Aの圧力が130kPa以下で蒸気抜きシール部31の剥離により蒸気抜けするように構成されているので、収容空間の圧力が130kPaまたはその前に蒸気抜きシール部31が剥離する。したがって、電子レンジでの加熱により過度に収容空間10Aの圧力が高まることがなく、それにより、安定して貫通部33または開口部34を介して蒸気を抜くことができる。
図25に示される合掌部を備えない平パウチ100を電子レンジで加熱すると、平パウチ100は耐熱性に劣るので、パウチを構成する包装材料に穴が開いてしまうおそれや皺が生じるおそれがある。これは、主に以下の2つの理由からであると考えられる。まず、電子レンジで平パウチ100の内容物を加熱する際には、平パウチ100から蒸気が抜けたときに内容物が漏れることを抑制するために、図26に示されるように平パウチ100が収容されている箱110の一部を折り返すことによって貫通部101が存在する方が高くなるように平パウチ100を傾けた状態にする。このように平パウチ100を傾けると、平パウチ100が平パウチ100の下方に内容物が移動し、溜まる。この状態で内容物を加熱すると、均一に内容物を加熱することが困難となる。これにより、加熱ムラが発生しやすくなり、内容物の突沸が生じやすくなる。内容物の突沸が生じると、内容物が飛散するので、平パウチ100の内面に飛散した内容物が付着する。そして、この飛散した内容物が過加熱されてしまい、平パウチ100を構成する包装材料に穴が開き、または皺が生じてしまうものと考えられる。また、上記したように電子レンジでの加熱は、平パウチを傾けた状態で行われるが、平パウチ100を傾けると、内容物が下方に移動するので、内容物の液面変化が生じる。この液面変化が生じると、元々液面であった場所には、内容物の残渣が平パウチ100の内面に付着する。このため、この状態で、加熱すると、内容物の残渣が過加熱されてしまい、平パウチ100を構成する包装材料に穴が開き、または皺が生じてしまう。これに対し、本実施形態によれば、電子レンジでの加熱の際には、合掌部14に貫通孔33や開口部34が設けられているので、パウチ10−1〜10−6を寝かせたまま、すなわちパウチ10−1〜10−5の裏面全体を電子レンジに接触させたまま行うことができ、均一に内容物を加熱することができる。したがって、内容物の突沸を抑制でき、これにより内容物の飛散を抑制できる。また、パウチ10−1〜10−6を寝かせたまま加熱するので、液面変化がなく、液面変化に起因する内容物の残渣の付着を抑制できる。これにより、パウチ10−1〜10−6を構成する包装材料に穴が開き、または皺が生じることを抑制できるので、耐熱性を有するパウチ10−1〜10−6を提供できる。
貫通部が収容空間の中心に近いほど、電子レンジでの加熱時に過度に収容空間の圧力が高まることがなく、蒸気を抜くことができる一方で、平パウチにおいて貫通部を収容空間の中心の近くに設けると、収容空間の容量が小さくなってしまい、平パウチに収容される内容物の量が減ってしまう。これに対し、本実施形態によれば、パウチ10−1、10−2においては、L1/L2が1.0未満となっているので、貫通部が収容空間の中心に近くなっている。また、パウチ10−1、10−2、10−4、10−5、10−6においては、合掌部14に貫通部33または開口部34に連通した第2未シール部32を設けているので、貫通部33が収容空間10Aの中心Oの近くに設けられていても、収容空間10Aの容量にはほぼ影響はない。これにより、電子レンジでの加熱時に過度に収容空間10Aの圧力が高まることがなく、蒸気を抜くことができるとともに、収容空間10Aが狭くなることを抑制できる。同様に、パウチ10−3においても、L3/L2が1.0未満となっており、また合掌部14に貫通部33を設けているので、電子レンジでの加熱時に過度に収容空間10Aの圧力が高まることがなく、蒸気を抜くことができるとともに、収容空間10Aが狭くなることを抑制できる。
上記したように電子レンジで加熱されて高温になった状態においては、シール部20のシール強度が適度に低い値になれば、収容空間において発生する水蒸気の圧力から受ける力に基づいて蒸気抜きシール部31が剥離し易くなる。一方で、常温においては、シール部のシール強度が高い値であった方が、内容物が漏れ難い。本実施形態によれば、25℃の環境下で1分間保持した後のシール部20のシール強度が35.0N以上であり、かつ100℃の環境下で1分間保持した後のシール部20のシール強度が20N以下となっているので、蒸気を容易に抜くことができるとともに常温時に内容物が漏れ難い。
パウチ10−1〜10−6においては、第1基材層41および第2基材層42として、それぞれ主成分としてポリエステルを含む延伸プラスチックフィルムを用いた場合には、より耐熱性を得ることができる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。図27は、比較例1に係る平パウチの正面図である。
<実施例1>
実施例1においては、図1に示すパウチを作製した。まず、第1基材層として、12μmの厚みを有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を準備した。続いて、第1基材層に印刷層を形成した。また、第2基材層として、12μmの厚みを有する二軸延伸PETフィルムを準備した。また、未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「ZK207」、東レフィルム加工株式会社製)からなるシーラントフィルムを準備した。ZK207は、上述のプロピレン・エチレンブロック共重合体を含む。シーラントフィルムの厚みは70μmであった。
ZK207は、ZK500に比べて低い引張伸度を有する。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK207の引張伸度は、厚みが50μmの場合に790%であり、厚みが60μmの場合に730%である。また、垂直方向(TD)におけるZK207の引張伸度は、厚みが50μmの場合に1020%であり、厚みが60μmの場合に870%である。従って、流れ方向におけるZK207の引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に39500であり、厚みが60μmの場合に43800である。また、垂直方向におけるZK207の引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に51000であり、厚みが60μmの場合に52200である。
ZK207は、高い引張弾性率を有する。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK207の引張弾性率は、厚みが50μmの場合に780MPaであり、厚みが60μmの場合に680MPaである。また、垂直方向(TD)におけるZK207の引張弾性率は、厚みが50μmの場合に630MPaであり、厚みが60μmの場合に560MPaである。従って、流れ方向におけるZK207の引張弾性率(MPa)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に39000であり、厚みが60μmの場合に40800である。また、垂直方向におけるZK207の引張弾性率(MPa)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に31500であり、厚みが60μmの場合に33600である。
続いて、ドライラミネート法により、第1基材層、印刷層、第1接着剤層、第2基材層、第2接着剤層、およびシーラントフィルムを順に積層し、包装材料を作製した。第1接着剤層および第2接着剤層としては、ロックペイント株式会社製の2液型ポリウレタン系接着剤(主剤:RU−40、硬化剤:H−4)を用いた。なお、主剤のRU−40は、ポリエステルポリオールである。第1接着剤層および第2接着剤層の厚みは、3.5μmであった。
そして、上記で作製した包装材料3枚を用いて、100mlの水を充填の上、パウチを作製した。まず、おもて面フィルムとなる包装材料および裏面フィルムとなる包装材料の間の所定の位置に2つ折りにしたおもて面フィルムとなる包装材料を配置して、外縁シール部(ただし、第2外縁シール部を除く)、合掌シール部および蒸気抜きシール部となるべき領域を熱融着して、接合した。その後、蒸気抜きシール部に囲まれた第2未シール部に貫通孔を形成した。
(熱融着条件)
・ヒートシール装置:ヒートシーラーTP−701−A(テスター産業社株式会社製)
・温度:170℃
・圧力:0.1MPa
・時間:1秒間
その後、パウチの形状に合わせて熱融着された領域を裁断することによって、パウチを作製した。パウチにおいては、パウチの第1方向DR1の長さが140mmであり、第2方向DR2の長さが180mmであり、幅W2が8mmであり、幅W3が9mmであり、幅W4が2.5mmであった。なお、W2〜W4の寸法は、図3の示す通りである。また、第2外縁シール部を形成して、パウチを密封した状態において、距離収容空間の中心から貫通孔までの最短距離をL1とし、合掌部が延びる方向において、収容空間の中心から第3外縁シール部の内縁および第4外縁シール部の内縁までの距離をそれぞれL2としたとき、距離L1は48.5mm、距離L2は62.0mmであった。
<実施例2>
実施例2においては、シーラント層として、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「ZK500」、東レフィルム加工株式会社)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、包装材料を作製した。そして、包装材料3枚を用いて、実施例1と同様にして、パウチを作製した。ZK500は、プロピレン・エチレンブロック共重合体およびエラストマーを含むものであった。
ZK500は、一般的な未延伸ポリプロピレンフィルムに比べて高い引張伸度を有する。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK500の引張伸度は、厚みが50μmの場合に1180%であり、厚みが60μmの場合に1100%である。また、垂直方向(TD)におけるZK500の引張伸度は、厚みが50μmの場合に1240%であり、厚みが60μmの場合に1150%である。従って、流れ方向におけるZK500の引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に59000であり、厚みが60μmの場合に66000である。また、垂直方向におけるZK500の引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に62000であり、厚みが60μmの場合に69000である。
<実施例3>
実施例3においては、以下の包装材料を用いて、図14に示される切れ込みを備えるパウチを作製した。まず、第1基材層として、12μmの厚みを有する二軸延伸PETフィルムを準備した。
続いて、成膜装置を用いて、第1基材層である二軸延伸PETフィルムの一方の面に以下の条件で酸素プラズマ処理を施した後、酸素プラズマ処理面上に、以下の条件で蒸着加工を行い、酸化アルミニウムの厚さ120Åの透明蒸着層を形成した。
〔酸素プラズマ前処理条件〕
・プラズマ強度:200W・sec/m
・プラズマ形成ガス比:酸素/アルゴン=2/1
・前処理ドラム−プラズマ供給ノズル間印加電圧:340V
・前処理区画の真空度:3.8Pa
〔酸化アルミニウム成膜条件〕
・真空度:8.1×10−2Pa
・搬送速度:400m/min
・酸素ガス供給量:20000sccm
続いて、透明蒸着層上に透明ガスバリア性塗布膜を形成した。具体的には、まず、水385g、イソプロピルアルコール67gおよび0.5N塩酸9.1gを混合し、pH2.2に調整した溶液に、金属アルコキシドとしてテトラエトキシシラン175gと、シランカップリング剤としてグリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.2gを10℃となるよう冷却しながら混合させて溶液Aを調製した。水溶性高分子として、ケン価度99%以上の重合度2400のポリビニルアルコール14.7g、水324g、イソプロピルアルコール17gを混合した溶液Bを調製した。続いて、A液とB液を重量比6.5:3.5となるよう混合した。このようにして得られた溶液を、ガスバリア性塗布膜用コート剤とした。透明蒸着層上に、上記で調製した透明ガスバリア性塗布膜用コート剤をスピンコート法によりコーティングした。その後、180℃で60秒間、オーブンにて加熱処理して、厚さ約400nmの透明ガスバリア性塗布膜を透明蒸着層上に形成した。このようにして、第1基材層、透明蒸着層および透明ガスバリア性塗布膜を順に有するバリア性フィルムを得た。その後、バリア性フィルムの透明ガスバリア性塗布膜の面に印刷層を形成した。
また、第2基材層として、15μmの厚みを有する二軸延伸ナイロンフィルムを準備した。また、未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「ZK207」、東レフィルム加工株式会社)からなる厚み70μmのシーラントフィルムを準備した。続いて、ドライラミネート法により、第1基材層を含むバリア性フィルム、印刷層、第1接着剤層、第2基材層、第2接着剤層、およびシーラントフィルムを積層し、包装材料を作製した。そして、実施例1と同様にして、パウチを作製した。このパウチにおいては、パウチの第1方向DR1の長さが140mmであり、第2方向DR2の長さが180mmであり、幅W2が8mmであり、幅W3が9mmであり、幅W4が2.5mmであった。また、第2外縁シール部を形成して、パウチを密封した状態においては、距離L1は48.5mmであり、距離L2は62.0mmであった。
<実施例4>
実施例4においては、パウチの第2方向の長さを160mmとしたこと以外は、実施例3と同様にして、パウチを作製した。また、第2外縁シール部を形成して、パウチを密封した状態においては、距離L1は38.5mmであり、距離L2はそれぞれ52.0mmであった。
<実施例5>
実施例5においては、以下の包装材料を用いて、パウチを作製したこと以外は、実施例4と同様にして、パウチを作製した。まず、第1基材層を含むバリア性フィルムとして、実施例3で用いたバリア性フィルムを準備した。続いて、バリア性フィルムの透明ガスバリア性塗布膜の面に印刷層を形成した。また、第2基材層として、12μmの厚みを有する二軸延伸PETフィルムを準備した。また、未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「ZK500」、東レフィルム加工株式会社)からなる厚み60μmのシーラントフィルムを準備した。続いて、実施例3と同様に、ドライラミネート法により、第1基材層を含むバリア性フィルム、印刷層、第1接着剤層、第2基材層、第2接着剤層、およびシーラントフィルムを積層し、包装材料を作製した。また、第2外縁シール部を形成して、パウチを密封した状態においては、距離L1は38.5mmであり、距離L2は52.0mmであった。
<実施例6>
実施例6においては、蒸気抜き機構を図15(A)に示される形状としたこと以外は、実施例5と同様にして、パウチを作製した。第2外縁シール部を形成して、パウチを密封した状態においては、距離L3は48.5mmであり、距離L2は62.0mmであった。
<実施例7>
実施例7においては、実施例5に係る包装材料を用いて、実施例5と同様にして、図18に示される開口部を備えるパウチを作製した。また、第2外縁シール部を形成して、パウチを密封した状態においては、距離L1は48.5mmであり、距離L2は62.0mmであった。
<比較例1>
比較例1においては、実施例3で用いた2枚の包装材料を用いて、図27に示される合掌部を備えず、貫通孔を備える平パウチを作製した。平パウチにおいては、パウチの横方向の長さが130mmであり、縦方向の長さが165mmであった。また、第2外縁シール部を形成して、パウチを密封した状態においては、距離L1は60.8mmであり、距離L2は57.0mmであった。
<シール部のシール強度測定>
実施例1〜7および比較例1に係る各パウチからそれぞれ第3外縁シール部を含む部分(例えば、図3の一点鎖線で囲まれる部分)を切り出して、シール強度を測定するための幅方向15mm、長さ方向70mmの長方形状の試験片を作製した。このとき、第3外縁シール部が延びる方向と、試験片の長さ方向が直交するようにして試験片を切り出すようにした。ここでは、レトルト処理前のパウチと、レトルト処理後のパウチから試験片を作製した。レトルト処理は、以下の条件で行った。そして、レトルト処理前の試験片およびレトルト処理後の試験片を用いて、常温シール強度および熱間シール強度をそれぞれ測定した。なお、実施例3〜7および比較例1においては、レトルト処理後の試験片のみを用いて、常温シール強度および熱間シール強度をそれぞれ測定した。
・加熱温度:121℃
・加熱時間:40分
・圧力:0.2MPa
常温シール強度および熱間シール強度は、シール部のシール強度は、JIS Z1707:1997 7.4に準拠して恒温槽付き引張試験機(型番「RTC−1310A」、株式会社オリエンテック製)用いて測定した。まず、上記試験片の未シール部における2枚の包装材料をそれぞれ、測定器のつかみ具で把持した。また、つかみ具をそれぞれ、試験片のシール部の面方向に対して直交する方向において互いに逆向きに、300mm/分の速度で引っ張り、引張応力の最大値を測定した。そして、最大値の平均値をシール強度とした。引っ張りを開始する際におけるつかみ具間の間隔は20mmとし、引っ張りを終了する際におけるつかみ具間の間隔は40mmとした。常温シール強度の測定は、試験片を温度25℃、相対湿度50%の環境下で1分間保持した後25℃、相対湿度50%の環境下で行われた。また、熱間シール強度の測定は、温度100℃、相対湿度20%の環境下で1分間保持した後100℃、相対湿度5%の環境下で行われた。表1に示すシール強度の値は、5個の試験片を測定した結果の平均値である。
<蒸気抜け圧力測定および蒸気抜け評価>
実施例1〜7および比較例1に係る各パウチにおいて、水が充填されている状態で、電子レンジで加熱したときの圧力を測定した。まず、各パウチにおいて、第2縁の開口から100mlの水を内部に充填する際に、パウチの内部にデータロガーのセンサ(製品名「PicoVACQ PT」、TMI−ORION社製)を配置した。そして、パウチの第2縁を熱融着して第2外縁シール部を形成して、パウチを密封した。次いで、実施例1〜7においては、出力500Wの電子レンジ(型番「NE−MS261」、Panasonic株式会社製)にパウチの裏面全体が電子レンジの加熱面に接触するように入れて、3分間加熱した。比較例1においては、出力500Wの電子レンジ(型番「NE−MS261」、Panasonic株式会社製)にパウチの裏面が下側となり、かつ貫通孔が上方となるように紙箱によって電子レンジの加熱面に対して傾斜させた状態で入れて、3分間加熱した。このとき、センサを用いて収容空間の圧力を1秒ごとに測定した。そして、収容空間から蒸気が抜けるときの直前の圧力である蒸気抜け圧力を測定した。また、蒸気が蒸気抜きシール部から自動的に蒸気が抜けたか否かをそれぞれ評価した。評価基準は以下の通りとした。
○:蒸気抜きシール部が剥離して正常に蒸気が抜けた。
×:蒸気抜きシール部が剥離せずに他の部分から蒸気が抜けた。
<電子レンジ評価>
実施例1〜7および比較例1に係る各パウチにおいて、水の代わりに、ミートソースを充填した状態で、電子レンジで加熱したときに、包装材料に穴が開くかまたは皺が生じるか確認した。具体的には、まず、各パウチにおいて、第2縁の開口から150gのミートソースを内部に充填した。そして、パウチの第2縁を熱融着して第2外縁シール部を形成して、パウチを密封した。次いで、実施例1〜7においては、出力600Wの電子レンジ(型番「NE−MS254」、Panasonic株式会社製)にパウチの裏面が下側となる状態で入れて、1分間加熱した。また、比較例1においては、出力600Wの電子レンジ(型番「NE−MS254」、Panasonic株式会社製)にパウチの裏面が下側となり、かつ貫通孔が上方となるように紙箱によって電子レンジの加熱面に対して傾斜させた状態(図26参照)で配置し、1分間加熱した。そして、各パウチについて5つのサンプルを用意し、5つのサンプルにおいて、包装材料に穴が開いているかまたは皺が生じているか評価した。評価基準は以下の通りとした。
◎:5つのサンプルとも穴および皺のいずれも、確認されなかった。
〇:5つのサンプルとも穴は確認されなかったが、1つ以上のサンプルについて皺は確認された。
×:1つ以上のサンプルについて穴が確認された。
以下、評価結果を表2に示す。表1には、包装材料構成およびパウチの構造を示した。なお、表1の包装材料構成は、印刷層および接着剤層を省略して示す。
Figure 2020055628
Figure 2020055628
以下、結果について述べる。表2に示されるように、実施例1〜7に係るパウチにおいては、蒸気が抜けたときの圧力が130.0kPa以下であり、また蒸気抜きシール部が剥離して正常に蒸気が抜けた。また、実施例1〜7に係るパウチにおいては電子レンジでの加熱後に穴は確認されなかったが、比較例1に係るパウチは、電子レンジでの加熱後に穴が確認された。
10−1、10−2、10−3、10−4、10−5、10−6…パウチ
10A…収容空間
10B…おもて面
10C…裏面
10D…外縁
10E…第1縁
10F…第2縁
10G…第3縁
10E…第4縁
11、12…おもて面フィルム
13…裏面フィルム
14…合掌部
20…シール部
21…外縁シール部
22…合掌シール部
30…蒸気抜き機構
31…蒸気抜きシール部
32…第2未シール部
33…貫通部
34…開口部
35…切欠き部
40…包装材料
41…第1基材層
44…第2基材層
46…シーラント層

Claims (13)

  1. おもて面を構成するおもて面フィルムと、裏面を構成する裏面フィルムとを含み、収容空間を有するパウチであって、
    第1縁と、前記第1縁と対向する第2縁と、前記第1縁と前記第2縁の間に延びる第3縁および第4縁と、前記パウチを密封するためのシール部とを備え、
    前記おもて面フィルムおよび裏面フィルムが、少なくとも基材層およびシーラント層を備え、
    前記おもて面に、合掌部が設けられ、
    前記合掌部が、前記第3縁から前記第4縁に跨って設けられ、
    前記合掌部に貫通部、開口部または切欠き部が設けられ、
    前記シール部が、前記パウチの外縁に位置し、かつ前記外縁に沿って延びる外縁シール部と、前記合掌部に設けられた合掌シール部と、前記合掌部に設けられ、かつ前記収容空間の圧力の増加により剥離するように構成された蒸気抜きシール部とを備え、
    前記パウチは、収容空間の圧力が130.0kPa以下で前記蒸気抜きシール部が剥離した後、前記貫通部または前記開口部を介して蒸気抜けすることができるように構成されている、パウチ。
  2. おもて面を構成するおもて面フィルムと、裏面を構成する裏面フィルムとを含み、収容空間を有するパウチであって、
    第1縁と、前記第1縁と対向する第2縁と、前記第1縁と前記第2縁の間に延びる第3縁および第4縁と、前記パウチを密封するためのシール部とを備え、
    前記おもて面フィルムおよび裏面フィルムが、少なくとも基材層およびシーラント層を備え、
    前記おもて面に、合掌部が設けられ、
    前記合掌部が、前記第3縁から前記第4縁に跨って設けられ、
    前記合掌部に貫通部、開口部または切欠き部が設けられ、
    前記シール部が、前記パウチの外縁に位置し、かつ前記外縁に沿って延びる外縁シール部と、前記合掌部に設けられた合掌シール部と、前記合掌部に設けられ、かつ前記収容空間の圧力の増加により剥離するように構成された蒸気抜きシール部とを備え、
    前記外縁シール部が、前記第3縁に沿って延びる第3外縁シール部と、前記第4縁に沿って延びる第4外縁シール部とを含み、
    前記蒸気抜けシール部によって前記収容空間から隔離された未シール部が前記合掌部に設けられている場合、前記収容空間の中心から前記未シール部までの最短距離をL1とし、前記合掌部が延びる方向において、前記収容空間の中心から前記第3外縁シール部の内縁および前記第4外縁シール部の内縁までの距離をそれぞれL2としたとき、L1/L2が1.0未満であり、または
    前記貫通部または前記切欠き部を備え、かつ前記合掌部に前記未シール部が設けられていない場合、前記収容空間の中心から前記貫通部または前記切欠き部までの最短距離をL3とし、前記合掌部が延びる方向において、前記収容空間の中心から前記第3外縁シール部の内縁および前記第4外縁シール部の内縁までの距離をそれぞれL2としたとき、L3/L2が1.0未満である、パウチ。
  3. おもて面を構成するおもて面フィルムと、裏面を構成する裏面フィルムとを含み、収容空間を有するパウチであって、
    第1縁と、前記第1縁と対向する第2縁と、前記第1縁と前記第2縁の間に延びる第3縁および第4縁と、前記パウチを密封するためのシール部とを備え、
    前記おもて面フィルムおよび裏面フィルムが、少なくとも基材層およびシーラント層を備え、
    前記おもて面に、合掌部が設けられ、
    前記合掌部が、前記第3縁から前記第4縁に跨って設けられ、かつ貫通部、開口部または切欠き部を備え、
    前記シール部が、前記パウチの外縁に位置し、かつ前記外縁に沿って延びる外縁シール部と、前記合掌部に設けられた合掌シール部と、前記合掌部に設けられ、かつ前記収容空間の圧力の増加により剥離するように構成された蒸気抜きシール部とを備え、
    前記パウチは、前記蒸気抜きシール部が剥離した後、前記貫通部、前記開口部または前記切欠き部を介して蒸気抜けすることができるように構成されており、
    25℃の環境下で1分間保持した後25℃の環境下で測定したときの前記シール部のシール強度が35.0N以上であり、かつ100℃の環境下で1分間保持した後100℃の環境下で測定したときの前記シール部のシール強度が20.0N以下である、パウチ。
  4. おもて面を構成するおもて面フィルムと、裏面を構成する裏面フィルムとを含み、収容空間を有するパウチであって、
    第1縁と、前記第1縁と対向する第2縁と、前記第1縁と前記第2縁の間に延びる第3縁および第4縁と、前記パウチを密封するためのシール部とを備え、
    前記おもて面フィルムおよび裏面フィルムが、少なくとも第1基材層、第2基材層およびシーラント層を備え、
    前記第1基材層および前記第2基材層が、それぞれ主成分としてポリエステルを含む二軸延伸プラスチックフィルムであり、
    前記おもて面に、合掌部が設けられ、
    前記合掌部が、前記第3縁から前記第4縁に跨って設けられ、かつ貫通部または開口部を備え、
    前記シール部が、前記パウチの外縁に位置し、かつ前記外縁に沿って延びる外縁シール部と、前記合掌部に設けられた合掌シール部と、前記合掌部に設けられ、かつ前記収容空間の圧力の増加により剥離するように構成された蒸気抜きシール部とを備え、
    前記パウチは、前記蒸気抜きシール部が剥離した後、前記貫通部または前記開口部を介して蒸気抜けすることができるように構成されている、パウチ。
  5. 前記パウチが、前記収容空間の圧力が110.0kPa以上で前記蒸気抜きシール部の剥離により蒸気抜けすることができるように構成されている、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のパウチ。
  6. 前記シーラント層の第1方向における引張伸度(%)と厚み(μm)の積が、30000以上50000以下であり、前記シーラント層の前記第1方向と直交する第2方向における引張伸度(%)と厚み(μm)の積が、45000以上55000以下である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のパウチ。
  7. 前記シーラント層の第1方向における引張伸度(%)と厚み(μm)の積が、50000を越え、前記シーラント層の前記第1方向と直交する第2方向における引張伸度(%)と厚み(μm)の積が、55000を越える、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のパウチ。
  8. 25℃の環境下で1分間保持した後の前記シール部のシール強度が35.0N以上であり、100℃の環境下で1分間保持した後の前記シール部のシール強度が20.0N以下である、請求項1、2または4に記載のパウチ。
  9. 前記シーラント層が、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む、請求項1ないし8のいずれか一項に記載のパウチ。
  10. 前記シーラント層が、エラストマーをさらに含む、請求項9に記載のパウチ。
  11. 前記第2縁側における前記おもて面と前記裏面フィルムが接合されている、請求項1ないし10のいずれか一項に記載のパウチ。
  12. 前記第2縁側において、前記おもて面フィルムと前記裏面フィルムとの間に配置され、かつ少なくとも基材層およびシーラント層を備える中間フィルムをさらに備え、前記おもて面フィルム、前記裏面フィルムおよび前記中間フィルムによってガセット部が設けられている、請求項1ないし11のいずれか一項に記載のパウチ。
  13. 前記パウチの前記収容空間に内容物が収容されている、請求項1ないし12のいずれか一項に記載のパウチ。
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