JP2020055130A - 光学用積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】薄手の支持体における点欠陥の発生を低減し得る光学用積層フィルムを提供する。【解決手段】非晶性樹脂を含み、厚みが50μm以下である支持体と、上記支持体の少なくとも一方の面側に設けられた、オレフィン樹脂を含む保護フィルムと、を有し、上記保護フィルムの引張弾性率に対する上記支持体の引張弾性率の比が、1.0〜6.0である光学用積層フィルム。【選択図】なし

Description

本開示は、光学用積層フィルムに関する。
加工時、搬送時又は保管時における塵埃の付着、傷の発生等から光学用フィルム等の部材の表面を保護するために、保護フィルムが利用されている。
例えば、特許文献1には、環状オレフィン系樹脂からなる光学フィルムと、保護フィルムとを積層巻回してなる光学フィルムロールにおいて、保護フィルムにおける直径30μm以上のフィッシュアイの個数が5個/m以下である、光学フィルムロールが開示されている。
特許文献2には、熱可塑性樹脂からなる基材フィルムの片面に粘着層を有する液晶光学部品用の表面保護フィルムにおいて、基材フィルムの表面に高さ0.4μm以上かつ幅1.0mm以下の突起がない表面平滑性を有していることを特徴とする液晶光学部品用の表面保護フィルムが開示されている。
特許文献3には、粘着層と中間層と背面層の3層積層形態からなり、粘着層は、エチレン・α−オレフィン共重合体およびエチレン・メチルメタクリレート共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種からなり、中間層は密度0.870〜0.935g/cmのポリエチレン系樹脂およびエチレン・メチルメタクリレート共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種を含有し、背面層は、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン樹脂で構成されてなり、背面層の表面粗さがJIS B0601−1982に準拠される中心面平均粗さ(SRa)として0.2〜0.6μm、十点平均粗さ(SRz)として2.0〜5.0μmで、かつ、ISO 4287−1997に準拠される背面層の凹凸平均間隔(RSm)が0.08mm以下であることを特徴とする表面保護フィルムが開示されている。
特許文献4には、粘着層と背面層と中間層の少なくとも3層複合形態を有し、粘着層は密度が0.910〜0.925g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体であり、背面層はプロピレン系樹脂90〜99重量%、低密度ポリエチレン10〜1重量%からなり、中間層は主として粘着層及び背面層を構成する樹脂とは異なるポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする表面保護フィルムが開示されている。
特許文献5には、エチレン系樹脂製の基材フィルムの片面に粘着剤層が形成された表面保護フィルムにおいて、エチレン系樹脂が、クロス分別法によって10重量%溶出したときの温度から100重量%溶出終了したときの温度の幅が30℃以下であり、かつ、重量平均分子量/数平均分子量の値が1.5〜3.5であることを特徴とする表面保護フィルムが開示されている。
特開2008−55691号公報 特開平8−143832号公報 特開2012−11735号公報 特開2008−30349号公報 特開平9−111208号公報
従来提案されている技術では、保護フィルム中の異物、突起等を低減することで、保護フィルムに起因する被保護体の凹み等を改善している。しかしながら、加工時等の雰囲気中に存在する微小な異物(例えば、数μm程度の粒子等)を完全に除去することは困難であり、被保護体における支持体(例えば、光学用フィルム等)の薄手化及び要求品質の高度化の進展に伴い、薄手(例えば、厚み50μm以下)の支持体における点欠陥の発生が新たな課題となっている。薄手の支持体における点欠陥は、例えば、薄手の支持体に保護フィルムをラミネート加工によって貼り合わせる場合等において顕著となる。しかしながら、従来提案されている保護フィルムでは、薄手の支持体における点欠陥の発生を十分に低減できない。
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものである。
本開示の一実施形態は、薄手の支持体における点欠陥の発生を低減し得る光学用積層フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 非晶性樹脂を含み、厚みが50μm以下である支持体と、上記支持体の少なくとも一方の面側に設けられた、オレフィン樹脂を含む保護フィルムと、を有し、上記保護フィルムの引張弾性率に対する上記支持体の引張弾性率の比が、1.0〜6.0である光学用積層フィルム。
<2> 上記保護フィルムの引張弾性率が、420MPa〜800MPaである<1>に記載の光学用積層フィルム。
<3> 上記保護フィルムの厚みが、5μm〜100μmである<1>又は<2>に記載の光学用積層フィルム。
<4> 上記保護フィルムの厚みに対する、上記支持体の厚みの比が、0.8以上である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の光学用積層フィルム。
<5> 上記保護フィルムの引張弾性率に対する上記支持体の引張弾性率の比が、2.0〜5.5である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の光学用積層フィルム。
<6> 上記非晶性樹脂が、環状ポリオレフィンである<1>〜<5>のいずれか1つに記載の光学用積層フィルム。
<7> 上記支持体が、光学用フィルムである<1>〜<6>のいずれか1つに記載の光学用積層フィルム。
本開示の一実施形態によれば、薄手の支持体における点欠陥の発生を低減し得る光学用積層フィルムを提供することができる。
本開示に係る光学用積層フィルムの製造方法を実施するための装置の全体構成の一例を示す概略図である。
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、本開示は、以下の実施形態に何ら制限されず、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本開示において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「工程」との用語には、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有しないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
<光学用積層フィルム>
本開示に係る光学用積層フィルムは、非晶性樹脂を含み、厚みが50μm以下である支持体と、上記支持体の少なくとも一方の面側に設けられた、オレフィン樹脂を含む保護フィルムと、を有し、上記保護フィルムの引張弾性率に対する上記支持体の引張弾性率の比が、1.0〜6.0である。
本開示に係る光学用積層フィルムによれば、薄手の支持体における点欠陥の発生を低減することができる。本開示に係る光学用積層フィルムが上記効果を奏する理由は明らかではないものの、以下のように推察される。
上記のとおり、保護フィルムの表面状態等を制御する従来技術では薄手の支持体における点欠陥の発生を防ぐことはできないため、薄手の支持体における点欠陥の発生は、加工時等の雰囲気中に存在する微小な異物(例えば、数μm程度の粒子等)に強く起因していると考えられる。例えば、支持体に保護フィルムを貼り合わせる際に、保護フィルムと押圧部材(例えば、ロール等)との間に微小な異物が存在すると、支持体及び保護フィルムの厚み方向に対して局所的な圧縮力が作用し、ポアソン効果により、支持体及び保護フィルムはそれぞれ面内方向に微小変形する。そして、変形した保護フィルムが元の形状に収縮する際に、支持体内部には圧縮応力が発生する。保護フィルムが変形しやすいものであると、上記圧縮応力が、外力の影響を受けやすい薄手の支持体のクリープ変形を引き起こし、その結果、点欠陥として視認される支持体の座屈変形を引き起こすと考えられる。すなわち、薄手の支持体における点欠陥の発生要因は、微小な異物の付着等を発端とする保護フィルムの弾性変形によって引き起こされる支持体の座屈変形であると考えられる。
従来提案されている保護フィルムでは、支持体の変形量と表面保護フィルムの変形量との関係について考慮されていないため、微小な異物に起因する、薄手の支持体における点欠陥の発生を十分に低減することができないと考えられる。例えば、上述の特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4では、保護フィルムの表面状態等について検討されている。しかしながら、保護フィルムの表面状態等を制御するのみでは、薄手の支持体に生じる上記圧縮応力を低減できず、点欠陥の発生を防ぐことは困難と考えられる。また、上述の特許文献5に記載された保護フィルムでは、変形しやすい低密度ポリエチレンが用いられているため、保護フィルムの復元に伴う圧縮応力によって支持体のクリープ変形を容易に引き起こし得る。
本開示に係る光学用積層フィルムは、上記構成を有することで、薄手の支持体の変形量と保護フィルムの変形量との差を小さくできるため、微小な異物が存在する状況下であっても、支持体に生じる上記圧縮応力を低減することができると考えられる。よって、本開示に係る光学用積層フィルムによれば、薄手の支持体における点欠陥の発生を低減することができる。
保護フィルムの引張弾性率に対する支持体の引張弾性率の比は、1.0〜6.0である。保護フィルムの引張弾性率と支持体の引張弾性率との比を上記数値範囲に調節することによって、微小な異物の付着等を発端とする保護フィルムの変形によって支持体に生じる圧縮応力を低減することができる。具体的には、保護フィルムの引張弾性率に対する支持体の引張弾性率の比を6.0以下とすることで、薄手の支持体の変形量と保護フィルムの変形量との差を小さくできるため、保護フィルムの変形によって支持体に生じる圧縮応力を低減することができる。また、保護フィルムの引張弾性率に対する支持体の引張弾性率の比を1.0以上とすることで、保護フィルムの擦過等に起因する工程汚染を低減することができる。保護フィルムの引張弾性率及び支持体の引張弾性率はそれぞれ、後述する方法にしたがって測定することができる。
保護フィルムの引張弾性率に対する支持体の引張弾性率の比の上限値は、点欠陥発生の低減の観点から、5.5以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましく、4.0以下としてもよく、3.5以下としてもよく、3.0以下としてもよい。
保護フィルムの引張弾性率に対する支持体の引張弾性率の比の下限値は、擦過等による工程汚染の低減の観点から、1.5以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましく、2.5以上であることが特に好ましい。
保護フィルムの引張弾性率に対する支持体の引張弾性率の比は、点欠陥発生及び工程汚染の低減の観点から、1.5〜5.5であることが好ましく、2.0〜5.5であることがより好ましく、2.5〜5.5であることが特に好ましい。
[支持体]
本開示に係る光学用積層フィルムは、非晶性樹脂を含み、厚みが50μm以下である支持体を有する。ここで、「非晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークが認められず、階段状の吸熱変化を示すことを意味する。
非晶性樹脂としては、例えば、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、非晶性樹脂としては、光学特性の観点から、環状ポリオレフィンが好ましい。
環状ポリオレフィンは、脂環構造を有する重合体である。脂環構造を有する重合体の例としては、(1)ノルボルネン重合体、(2)単環の環状オレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(1)〜(4)の水素化物などが挙げられる。なお、本開示において、「重合体」との用語は、特に断りのない限り、特定の構成単位を含む単独重合体だけでなく、特定の構成単位を含む共重合体を包含する。
なかでも、(1)ノルボルネン重合体、並びに(2)単環の環状オレフィンの重合体及びその水素化物が好ましい。
なお、本開示におけるノルボルネン重合体とは、ノルボルネン構造を有する構成単位を含む単独重合体、及び共重合体を含む意味で用いられ、ノルボルネン構造は、開環であってもよい。
環状ポリオレフィンの具体例としては、下記一般式(II)で表される構成単位を少なくとも1種以上含む付加重合体、及び必要に応じ、一般式(I)で表される構成単位の少なくとも1種以上を更に含んでなる付加共重合体が挙げられる。
また、環状ポリオレフィンとしては、一般式(III)で表される構成単位を少なくとも1種含む開環重合体も好適に使用することができる。



一般式(II)、及び一般式(III)において、mは0〜4の整数を表す。一般式(I)、一般式(II)、及び一般式(III)において、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、X、X、X、Y、Y及びYはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CHCOOR11、−(CHOCOR12、−(CHNCO、−(CHNO、−(CHCN、−(CHCONR1314、−(CHNR1314、−(CHOZ、−(CHQ、又はXとY、XとY、若しくはXとYから構成された(−CO)O若しくは(−CO)NR15を表す。なお、R11、R12、R13、R14、及びR15は水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基を表し、QはSiR16 3−pを表し(R16は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Dはハロゲン原子、−OCOR16又は−OR16を表し、pは0〜3の整数を表す。)、nは0〜10の整数を表す。
、X、X、Y、Y及びYの全部又は一部の置換基に分極性の大きい官能基を導入することにより、支持体の厚さ方向レターデーションを大きくし、面内レターデーションの発現性を大きくすることができる。面内レターデーションの発現性の大きな支持体は、製膜過程で延伸することにより面内レターデーションの値を大きくすることができる。
分極性の大きい官能基とは、電気陰性度の異なる2種以上の原子を含み、双極子モーメントを有する官能基を意味する。分極性の大きい官能基としては、具体的には例えば、カルボキシ基、カルボニル基、エポキシ基、エーテル基、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、アミド基、イミド基、エステル基、スルホン基等を挙げることができる。
ノルボルネン重合体の一例であるノルボルネン付加重合体は、特開平10−7732号公報、特表2002−504184号公報、米国特許出願公開2004/229157号明細書、国際公開第2004/070463号等に開示されている。ノルボルネン付加重合体は、例えば、ノルボルネン多環状不飽和化合物同士を付加重合することによって得られる。また、ノルボルネン付加重合体は、必要に応じ、ノルボルネン多環状不飽和化合物と、エチレン、プロピレン、ブテン;ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン;エチリデンノルボルネンのような非共役ジエン;アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、酢酸ビニル、塩化ビニルなどの線状ジエン化合物と、を付加重合して得ることもできる。
ノルボルネン付加重合体は、市販品を用いてもよい。ノルボルネン付加重合体は、三井化学(株)よりアペル(登録商標)の商品名で市販されており、ガラス転移温度(Tg)の異なる、例えばAPL8008T(Tg:70℃)、APL6013T(Tg:125℃)、APL6015T(Tg:145℃)などのグレードがある。ポリプラスチック(株)よりTOPAS8007、同6013、同6015などのノルボルネン付加重合体がペレットとして市販されている。更に、Ferrania社よりノルボルネン付加重合体として、Appear3000が市販されている。
ノルボルネン重合体の水素化物は、多環状不飽和化合物を付加重合又はメタセシス開環重合したのち水素添加することにより得ることができる。ノルボルネン重合体の水素化物については、例えば、特開平1−240517号、特開平7−196736号、特開昭60−26024号、特開昭62−19801号、特開2003−159767号、特開2004−309979号等に開示されており、これらの記載を本開示に参照することができる。
ノルボルネン重合体としては、上記一般式(III)で表される構成単位を含む重合体が好ましく、一般式(III)で表される構成単位において、R及びRは水素原子又は−CHが好ましく、X、及びYは水素原子、−Cl又は−COOCHが好ましく、その他の基は適宜選択される。
ノルボルネン重合体又はノルボルネン重合体を用いた成形品は、JSR(株)からアートン(ARTON:登録商標)G、アートンF等の商品名で市販されており、日本ゼオン(株)からゼオノア(ZEONOR:登録商標)ZF14、ZF16、ゼオネックス(ZEONEX:登録商標)250、ゼオネックス280等の商品名で市販されており、これらを使用することができる。
光学用フィルムにおいては、加工適性として又は製品性能として耐熱性が要求されることがある。このため、非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、130℃以上であることが好ましい。非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)の上限値は、制限されない。ただし、非晶性樹脂のガラス転移温度が高いと、溶融押出成形等において原料樹脂を溶融する際の加熱温度も高くなるため、異物が発生し易くなる。よって、非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)の上限値は、製造条件等を考慮して適宜選択することが好ましい。非晶性樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。
非晶性樹脂の重量平均分子量は、点欠陥発生の低減の観点から、20000〜500000であることが好ましく、30000〜250000であることがより好ましく、40000〜150000であることが特に好ましい。非晶性樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定され、標準物質としてポリスチレンを用いて換算される分子量である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定条件は、以下のとおりである。
カラム:TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、及びTSKgel G2000HxL(いずれも東ソー(株)製の商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
温度:40℃
流量:0.8mL/分
試料濃度:0.6mg/mL
注入量:100μL
非晶性樹脂のメルトフローレートは、点欠陥発生の低減の観点から、1g/10分〜50g/10分であることが好ましく、3g/10分〜40g/10分であることがより好ましく、5g/10分〜25g/10分であることが特に好ましい。非晶性樹脂のメルトフローレートは、以下の条件で、JIS K 7210(2014)に準拠した方法によって測定することができる。
温度:[非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)+100]℃
荷重:49N(5kgf)
支持体は、必要に応じて、例えば、劣化防止剤、紫外線防止剤、レターデーション(光学異方性)調節剤、微粒子、剥離促進剤、赤外線吸収剤等の公知の添加剤を含有していてもよい。
本開示において非晶性樹脂は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
支持体中の非晶性樹脂の含有量は、点欠陥発生の低減及び光学特性の観点から、支持体の全質量に対して、70質量%〜100質量%であることが好ましく、80質量%〜100質量%であることがより好ましく、90質量%〜100質量%であることが特に好ましい。
支持体の引張弾性率は、保護フィルムの引張弾性率に対する支持体の引張弾性率の比が上記数値範囲となる値であれば制限されない。
支持体の引張弾性率は、点欠陥発生の低減及び耐熱性の観点から、1800MPa〜3000MPaであることが好ましく、1900MPa〜2800MPaであることがより好ましく、2000MPa〜2500MPaであることが特に好ましい。
支持体の引張弾性率は、以下の方法にしたがって測定することができる。
まず、任意のサイズの支持体の中心領域から、支持体の面内方向において選択した任意の第1の方向(例えば、MD:Machine Direction)に対して、平行方向に全長115mm、直交方向に幅6mmの試験片を5つ切り出す。次に、任意のサイズの支持体の中心領域から、支持体の面内方向において上記第1の方向に直交する第2の方向(例えば、TD:Transverse Direction)に対して、平行方向に全長115mm、直交方向に幅6mmの試験片を5つ切り出す。下記条件で、テンシロン(東洋精機株式会社製、ストログラフVE50)を用いて上記各試験片を引っ張り、荷重に対する試験片の伸びを測定する。次いで、測定値から荷重を横軸、伸びを縦軸としたグラフを作成し、荷重−伸び曲線の立ち上がり部の接線から各試験片の引張弾性率を算出する。
以上によって得られた10点の引張弾性率の算術平均を求め、得られる値を支持体の引張弾性率とする。
(条件)
測定場:熱風加熱炉
温度:30℃
温度制御:試験片の近傍に温度測定用の同種同サイズの試験片を設置し、温度測定用の試験片に熱電対を貼り付け、測定時の温度を監視する。1.5分で30℃まで上昇し、温度測定用の試験片の温度が30℃に到達した後1分経過しても温度上昇が2℃以内に収まるように温度設定と風量調整とを行う。
試験開始タイミング:温度測定用の試験片の温度が30℃に到達した後に引っ張りを開始する。
チャック間:50mm
引張速度:100mm/min
支持体の引張弾性率の調節方法は、制限されず、公知の方法を適用することができる。支持体の引張弾性率は、例えば、樹脂の種類、樹脂の分子量、樹脂のメルトフローレート、添加剤(例えば、可塑剤等)などを適宜選択することによって調節することができる。
支持体の厚みは、50μm以下である。厚みが50μm以下であることは、薄手であることを示す。支持体の厚みは、光学特性の観点から、45μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。
支持体の厚みの下限値は制限されず、支持体の用途等に応じて適宜選択することができる。支持体の厚みの下限値は、点欠陥発生の低減、強度等の観点から、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが特に好ましい。
支持体の厚みは、以下の方法にしたがって測定することができる。
触式膜厚測定機(Mitutoyo ID−C112X)を用い、支持体の面内方向において選択した任意の第1の方向(例えば、TD:Transverse Direction)に50mm間隔で測定する。この操作を、支持体の面内方向において上記第1の方向に直交する第2の方向(例えば、MD:Machine Direction)に沿って1m間隔で合計5セット行い、測定された値の平均値を支持体の厚みとする。
保護フィルムの厚みに対する支持体の厚みの比は、点欠陥発生の低減の観点から、0.8以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましく、1.3以上であることが特に好ましく、3.0以上であってもよく、4.0以上であってもよく、6.0以上であってもよく、8.0以上であってもよい。保護フィルムの厚みと支持体の厚みとの比を上記数値範囲に調節することによって、微小な異物の付着等を発端とする保護フィルムの変形によって支持体に生じる圧縮応力を低減することができる。
保護フィルムの厚みに対する支持体の厚みの比の上限値は、制限されず、支持体の厚み、支持体の引張弾性率、保護フィルムの引張弾性率等に応じて適宜選択することができる。保護フィルムの厚みに対する支持体の厚みの上限値は、保護フィルムの取扱性の観点から、10.0以下であることが好ましく、9.0以下であることがより好ましく、8.0以下であることがさらに好ましく、4.0以下であることが特に好ましい。
支持体のメルトフローレートは、点欠陥発生の低減の観点から、1g/10分〜50g/10分であることが好ましく、3g/10分〜40g/10分であることがより好ましく、5g/10分〜25g/10分であることが特に好ましい。支持体のメルトフローレートの測定は、以下の条件で、JIS K 7210(2014)に準拠した方法によって行うことができる。なお、以下の条件における「非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)」とは、支持体に含有される非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)をいう。
温度:[非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)+100]℃
荷重:49N(5kgf)
支持体の形状は、制限されず、用途に応じて適宜選択することができる。支持体の形状としては、長尺状、枚葉状等が挙げられ、搬送性等の観点から、長尺状であることが好ましい。
支持体としては、市販品を用いてもよく、溶融押出成形等の公知の方法によって製造されたものを用いてもよい。市販品としては、例えば、ゼオノアフィルム(登録商標)ZF14、ZF16(いずれも日本ゼオン株式会社製)等が挙げられる。また、本開示に係る光学用積層フィルムにおいては、薄手の支持体における点欠陥の発生を低減することができるため、光学用途に好適な支持体を適用することができる。好適な支持体としては、例えば、位相差フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム等の光学用フィルムなどが挙げられる。
以下、支持体の製造方法の一例として、溶融押出成形について説明する。
図1は、支持体を製造するための製膜装置の全体構成の一例を概略的に示している。
図1に示す製膜装置10は、原料樹脂が投入されるホッパー12と、ホッパー12から供給された原料樹脂を溶融する押出機14と、溶融した樹脂(溶融樹脂)の押出量を安定化させるギアポンプ16と、溶融樹脂を濾過するフィルター18と、溶融樹脂をフィルム状に溶融押出するダイ20と、ダイ20から吐出された高温の樹脂を多段冷却する複数の冷却ロール(以下、冷却ロールをキャスティングロールと称することがある)22、24、及び26と、ダイ20から吐出されたフィルム状の樹脂100を冷却ロール22との間で挟み込む接触ロール(以下、接触ロールをタッチロールと称することがある)28とを備えている。なお、図示されていないが、通常は、最後の第3冷却ロール26からフィルム状の樹脂100を剥離する剥離ロールと、冷却されたフィルム状の樹脂100を巻き取る巻取機とが設けられる。
ホッパー12に投入する原料樹脂は、原料樹脂のペレットであってもよく、原料樹脂と添加剤とを含むペレットであってもよく、フレーク状の原料樹脂であってもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤、紫外線防止剤、レターデーション(光学異方性)調節剤、微粒子、剥離促進剤、赤外線吸収剤等が挙げられる。添加剤は、固体でもよく、油状物でもよい。
加熱温度は、原料樹脂のガラス転移温度をTg(℃)とした場合に、[Tg−90]℃以上、[Tg+10]℃以下であることが好ましく、[Tg−80]℃以上、[Tg−10℃]以下に制御することがより好ましい。
溶融された樹脂は、配管40を通じてギアポンプ16及びフィルター18を経て、ダイ20に向けて連続的に送られる。そして、溶融樹脂は、ダイ20からフィルム状に溶融押出しされる。溶融樹脂の押出量は、0.5kg/h〜1800kg/hが好ましく、1kg/h〜900kg/hがより好ましい。
ダイ20から溶融押出しされたフィルム状の樹脂100は、接触ロール(タッチロール)28と第1冷却ロール22との間に挟み込まれ、第2冷却ロール24、第3冷却ロール26を経て、不図示の巻取機により巻き取られる。このようにフィルム状の樹脂100(以下、「樹脂フィルム」ということがある。)を冷却することによって、支持体を得ることができる。
支持体は、目的に応じて延伸されたものであってもよい。延伸によって引張弾性率を調節することもできる。
延伸を行う場合、樹脂フィルムに対して、そのまま延伸するオンライン延伸を施してもよく、一旦巻き取った後、再度送り出して延伸するオフライン延伸を施してもよい。
延伸方向としては、樹脂フィルムの幅方向に延伸する横延伸でもよく、樹脂フィルムの製膜方向に延伸する縦延伸でもよく、横延伸と縦延伸の双方を行ってもよい。
さらに、延伸と組み合わせて、後述の緩和処理をおこなってもよい。これらは例えば以下の組合せで実施できる。
延伸として、横延伸と縦延伸とを組み合わせて行うことが好ましい。横延伸と縦延伸とを行う場合、二軸同時延伸を行ってもよく、逐次延伸を行ってもよい。なかでも、まず、縦延伸を行ない、その後、横延伸を行う逐次延伸を行うことがより好ましい。
また、上記延伸後に緩和処理を行うことで支持体の寸法安定性を改良できる。緩和処理は延伸フィルムの縦方向及び横方向の少なくともいずれかの寸法を、例えば、1%〜8%程度緩和した状態で、熱固定する熱緩和処理が好ましい。熱緩和処理における温度は、支持体に含まれる非晶性樹脂の種類により適宜選択される。非晶性樹脂が、環状ポリオレフィンである場合の熱緩和処理における温度は、通常、130℃〜240℃であることが好ましい。
熱緩和は、縦延伸後、横延伸後のいずれか、又は両方で行うことが好ましく、より好ましくは横延伸後である。緩和処理は樹脂フィルムの延伸後に連続してオンラインで行ってもよく、延伸後、巻き取った樹脂フィルムに対し、オフラインで行ってもよい。
[保護フィルム]
本開示に係る光学用積層フィルムは、上記支持体の少なくとも一方の面側に設けられた、オレフィン樹脂を含む保護フィルムを有する。
オレフィン樹脂としては、例えば、オレフィン単量体の単独重合体、オレフィン単量体と他の単量体との共重合体等が挙げられる。具体的なオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらの中でも、オレフィン樹脂としては、点欠陥発生の低減の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂が好ましい。
オレフィン樹脂の重量平均分子量は、点欠陥発生の低減の観点から、10000〜500000であることが好ましく、50000〜400000であることがより好ましく、70000〜300000であることが特に好ましい。オレフィン樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定され、標準物質としてポリスチレンを用いて換算される分子量である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定条件は、以下のとおりである。
カラム:TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、及びTSKgel G2000HxL(いずれも東ソー(株)製の商品名)
溶離液:o−ジクロロベンゼン
温度:140℃
流量:1mL/分
試料濃度:1.5mg/mL
注入量:500μL
オレフィン樹脂のメルトフローレートは、点欠陥発生の低減の観点から、0.5g/10分〜50g/10分であることが好ましく、3g/10分〜40g/10分であることがより好ましく、5g/10分〜20g/10分であることが特に好ましい。オレフィン樹脂のメルトフローレートの測定は、JIS K 7210(2014)に準拠した方法によって行うことができる。
オレフィン樹脂は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
保護フィルム中のオレフィン樹脂の含有量は、点欠陥発生の低減の観点から、保護フィルムの全質量に対して、60質量%〜100質量%であることが好ましく、80質量%〜100質量%であることがより好ましい。
保護フィルムは、可塑剤をさらに含んでいてもよい。可塑剤を含むことで、保護フィルムの引張弾性率を調節することができる。
可塑剤は制限されず、公知の可塑剤を用いることができる。可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジフェニル等のフタル酸エステル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル、トリメット酸トリブチル、トリメット酸トリス(2−エチルヘキシル)等のトリメット酸エステル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、ドデカン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、オレイン酸エチル等の脂肪酸エステルなどが挙げられる。
可塑剤は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
保護フィルム中の可塑剤の含有量は、点欠陥発生の低減の観点から、保護フィルムの全質量に対して、1質量%〜10質量%であることが好ましく、1質量%〜5質量%であることがより好ましい。
保護フィルムの引張弾性率は、保護フィルムの引張弾性率に対する支持体の引張弾性率の比が上記数値範囲となる値であれば制限されない。
保護フィルムの引張弾性率の下限値は、点欠陥発生の低減の観点から、350MPa以上であることが好ましく、420MPa以上であることがより好ましく、500MPa以上であることが特に好ましい。
保護フィルムの引張弾性率の上限値は、擦過等による工程汚染の低減の観点から、900MPa以下であることが好ましく、800MPa以下であることがより好ましく、700MPa以下であることが特に好ましい。
保護フィルムの引張弾性率は、既述の支持体の引張弾性率の測定方法に基づいて測定することができる。
保護フィルムの引張弾性率の調節方法は、制限されず、公知の方法を適用することができる。保護フィルムの引張弾性率は、例えば、樹脂の種類、樹脂の分子量、樹脂のメルトフローレート、添加剤(例えば、可塑剤等)などを適宜選択することによって調節することができる。
保護フィルムの厚みの上限値は、点欠陥発生の低減の観点から、100μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましく、40μm以下であることが特に好ましい。
保護フィルムの厚みの下限値は、取扱性の観点から、5μm以上であることが好ましく、8μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。
保護フィルムの厚みは、点欠陥発生の低減及び取扱性の観点から、5μm〜100μmであることが好ましく、5μm〜60μmであることがより好ましく、8μm〜50μmであることがさらに好ましく、10μm〜40μmであることが特に好ましい。
保護フィルムの厚みは、以下の方法にしたがって測定することができる。
触式膜厚測定機(Mitutoyo ID−C112X)を用い、保護フィルムの面内方向において選択した任意の第1の方向(例えば、TD:Transverse Direction)に50mm間隔で測定する。この操作を、保護フィルムの面内方向において上記第1の方向に直交する第2の方向(例えば、MD:Machine Direction)に沿って1m間隔で合計5セット行い、測定された値の平均値を保護フィルムの厚みとする。
保護フィルムの構造は、制限されず、単層構造であってもよく、2層以上を組み合わせた積層構造であってもよい。保護フィルムが2つ以上の層によって形成される場合、少なくとも1つの層に上記オレフィン樹脂が含まれていればよく、すべての層に上記オレフィン樹脂が含まれていてもよい。
保護フィルムは、支持体の少なくとも一方の面側に設けられていればよく、支持体の両面側にそれぞれ設けられていてもよい。また、保護フィルムは、支持体の面上に直接設けられていてもよく、支持体と保護フィルムとの間に設けられた少なくとも1種の他の層上に設けられていてもよい。他の層としては、例えば、後述する接着層等が挙げられる。
保護フィルムとしては、市販品を用いてもよく、上記「支持体」の項において説明した溶融押出成形等によって製造したものでもよい。市販品としては、例えば、トレテック(登録商標)7111、7121、7332、7531、7721、トレファン(登録商標)NO3301(いずれも東レフィルム加工株式会社製)等が挙げられる。
[接着層]
本開示に係る光学用積層フィルムは、上記支持体と上記保護フィルムとの間に接着層を有していてもよい。接着層を設けることで、層間の密着性を向上させることができる。
接着層としては、公知の粘着剤若しくは公知の接着剤を含む層、又はこれらの硬化物を含む層が挙げられる。
接着層は、樹脂及び架橋剤を含む接着層形成用塗布液を塗布し、乾燥又は硬化した層であることが好ましい。
樹脂としては、例えば、ポリオレフィン(オレフィン樹脂)、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアミド、シリコーン樹脂等が挙げられ、密着性の観点から、ポリオレフィンが好ましい。
架橋剤としては、例えば、オキサゾリン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、ブロックイソシアネート系架橋剤等が挙げられる。
接着層形成用塗布液は、界面活性剤、溶媒等の公知の成分をさらに含んでいてもよい。
接着層の厚みは、保護フィルムの引張弾性率及び貼付け適性の観点から、0.5μm〜20μmであることが好ましく、1μm〜20μmであることがより好ましく、2μm〜15μmであることが特に好ましい。
<積層フィルムの製造方法>
本開示に係る光学用積層フィルムの製造方法としては、例えば、支持体の少なくとも一方の面側に保護フィルムを貼り合わせる方法等が挙げられる。支持体の少なくとも一方の面側に保護フィルムを貼り合わせる方法としては、例えば、ラミネート加工等を用いる方法などが挙げられる。
ラミネート加工において用いられる装置としては、例えば、ラミネーター、真空ラミネーター、より生産性を高めることができるオートカットラミネーター等が挙げられる。ラミネート加工において用いられる装置は、金属製ロール、ゴム製ロール等の加熱可能なロールを備え、加圧及び加熱ができるものであることが好ましい。
保護フィルムを貼り合わせる際の圧力は、制限されず、保護フィルム及び支持体の厚み、搬送速度、使用する装置等に応じて適宜選択することができ、通常、0.5MPa〜3MPaである。1対のロールを用いて支持体と保護フィルムとを貼り合わせる場合、点欠陥発生の低減の観点から、少なくとも保護フィルムの表面にゴム製ロールを接触させて貼り合わせる方法が好ましい。
保護フィルムを貼り合わせる場合における温度は、制限されず、保護フィルム及び支持体の厚み、搬送速度、使用する装置等に応じて適宜選択することができ、通常、30℃〜120℃である。
以下、実施例により本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに制限されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
<実施例1>
[支持体の製造]
環状オレフィンポリマー(COP:環状ポリオレフィン)を、100℃で5時間予備乾燥した。予備乾燥後、押出機に設けたホッパーに環状オレフィンポリマーを投入し、押出機により285℃で溶融した。溶融樹脂を濾過精度5μmのリーフ型ディスクフィルターで濾過した。スリット間隔1.0mm、285℃のコートハンガーダイから、137℃に設定した第1キャスティングロール上に溶融樹脂を押出し、続いて、タッチロール(金属製、133℃)に接触させた。次いで、第2キャスティングロール、第3キャスティングロールを通過させることで、環状オレフィンポリマーフィルム(厚み40μm、幅1500mm、引張り弾性率2300MPa)を得た。
[光学用積層フィルムの製造]
ライン速度15m/分、1m幅あたりの張力130Nの条件で搬送した環状オレフィンポリマーフィルムと、ライン速度15m/分、1m幅あたりの張力34Nの条件で搬送したトレテック(登録商標)7332(厚み30μm、幅1500mm、引張弾性率600MPa、PP(ポリプロピレン)とLDPE(低密度ポリエチレン)の積層比率3:1)と、をφ300mmの鏡面ロール(表面粗度0.1S)及びφ250mmのニトリルゴム(NBR)製のゴムロール(JIS K6253に準拠したアスカ社製のゴム硬度計「Type−A」を用いて測定した硬度が70度であり、表面粗度Raが0.2μmである。)を有する一対の貼合ロールを用いて貼り合わせた。貼り合わせは、環状オレフィンポリマーフィルムの表面を金属ロールに接触させ、トレテック(登録商標)7332の表面をゴムロールに接触させて行った。貼合圧力は、富士フイルム株式会社製ツーシートタイププレスケース(超低圧用)における瞬間圧がニップロール幅方向で0.6MPaに均一になるように調整した。得られた保護フィルム付き環状オレフィンポリマーフィルムを、直径6インチの巻き芯に、フィルム1m幅あたり150Nの張力で巻き取り、実施例1の光学用積層フィルムを得た。
<実施例2〜5及び7>
保護フィルムの種類を表1の記載にしたがって変更した点以外は、実施例1と同様の手順により、実施例2〜5及び7の光学用積層フィルムをそれぞれ得た。
<実施例6>
製造ロット番号の異なる保護フィルムを用いた点以外は、実施例5と同様の手順により、実施例6の光学用積層フィルムを得た。
<実施例8及び11〜12>
厚みの異なる保護フィルムを用いた点以外は、実施例5と同様の手順により、実施例8及び11〜12の光学用積層フィルムをそれぞれ得た。
<実施例9〜10>
二軸延伸により、表1の記載にしたがって厚みを変更した保護フィルムを用いた点以外は、実施例5と同様の手順により、実施例9〜10の光学用積層フィルムをそれぞれ得た。
<実施例13>
表1の記載にしたがって厚みを変更した支持体を用いた点以外は、実施例1と同様の手順により、実施例13の光学用積層フィルムを得た。
<実施例14>
表1の記載にしたがって樹脂の種類を変更し、厚みを変更した支持体を用いた点以外は、実施例1と同様の手順により、実施例14の光学用積層フィルムを得た。なお、表1中の「PC」は、ポリカーボネートを意味する。
<比較例1>
保護フィルムの種類を表1の記載にしたがって変更した点以外は、実施例1と同様の手順により、比較例1の光学用積層フィルムを得た。
<比較例2>
製造ロット番号の異なる保護フィルムを用いた点以外は、実施例7と同様の手順により、実施例6の光学用積層フィルムを得た。
<参考例1>
厚みの異なる支持体を用いた点以外は、実施例1と同様の手順により、参考例1の光学用積層フィルムを得た。
<引張弾性率の測定>
巻き取られた状態の実施例1〜14、比較例1〜2、及び参考例1の光学用積層フィルムから、それぞれ、幅1m、長さ1.2mのサイズの光学用積層フィルムを切り出した。次いで、得られた各光学用積層フィルムから保護フィルムを剥離した。得られた各支持体及び各保護フィルムの引張弾性率を、以下の方法にしたがって測定した。
まず、幅1m、長さ1.2mの支持体の中心領域から、支持体の面内方向における第1の方向(MD:Machine Direction)に対して、平行方向に全長115mm、直交方向に幅6mmの試験片を5つ切り出した。次に、幅1m、長さ1.2mの支持体の中心領域から、支持体の面内方向における上記第1の方向に直交する方向(TD:Transverse Direction)に対して、平行方向に全長115mm、直交方向に幅6mmの試験片を5つ切り出した。下記条件で、テンシロン(東洋精機株式会社製、ストログラフVE50)を用いて上記各試験片を引っ張り、荷重に対する試験片の伸びを測定する。次いで、測定値から荷重を横軸、伸びを縦軸としたグラフを作成し、荷重−伸び曲線の立ち上がり部の接線から各試験片の引張弾性率を算出した。
以上によって得られた10点の引張弾性率の算術平均を求め、得られる値を支持体の引張弾性率とした。
さらに、上記と同様の操作を行い、保護フィルムの引張弾性率を測定した。
以上によって得られた測定結果を表1に示す。
(条件)
測定場:熱風加熱炉
温度:30℃
温度制御:試験片の近傍に温度測定用の同種同サイズの試験片を設置し、温度測定用の試験片に熱電対を貼り付け、測定時の温度を監視した。1.5分で30℃まで上昇し、温度測定用の試験片の温度が30℃に到達した後1分経過しても温度上昇が2℃以内に収まるように温度設定と風量調整とを行った。
試験開始タイミング:温度測定用の試験片の温度が30℃に到達した後に引っ張りを開始した。
チャック間:50mm
引張速度:100mm/min
<評価>
[点欠陥]
実施例1〜14、比較例1〜2、及び参考例1の光学用積層フィルムを用いて支持体における点欠陥を評価した。
まず、巻き取られた状態の実施例1〜14、比較例1〜2、及び参考例1の光学用積層フィルムをそれぞれ、25℃で48時間放置した。その後、幅1m、長さ1.2mのサイズで切り出した各光学用積層フィルムから、保護フィルムを除去した。得られた各試験片(支持体)を吊り上げ、暗視野、次いで明視野における点欠陥の数を確認した。暗視野においては、各試験片の幅方向の斜め45°の位置からLED(発光ダイオード)ライトの光を当て、各試験片面の垂直方向から各試験片を目視する。そして、暗視野において視認された点欠陥に印をつける。次に、印がつけられた点欠陥を、明視野において目視で確認する。暗視野において視認された点欠陥、及び明視野において視認された点欠陥を、以下の基準に基づいて評価した。評価結果を表1に示す。なお、以下の基準のS、A、及びBが実用可能なレベルである。
(基準)
S:暗視野及び明視野において点欠陥が視認されない。
A:暗視野において点欠陥がわずかに視認され、明視野において点欠陥が視認されない。
B:明視野において点欠陥がわずかに視認される。
C:暗視野及び明視野において点欠陥が視認される。
表1より、実施例1〜14の光学用積層フィルムでは、支持体における点欠陥の発生が低減されることがわかった。一方、保護フィルムの引張弾性率(Eb)に対する支持体の引張弾性率(Ea)の比(Ea/Eb)が6.0を超える比較例1〜2の光学用積層フィルムでは、支持体における点欠陥が発生した。
10:製膜装置
12:ホッパー
14:押出機
16:ギアポンプ
18:フィルター
20:ダイ
22:第1冷却ロール
24:第2冷却ロール
26:第3冷却ロール
28:接触ロール
40:配管
100:フィルム状の樹脂

Claims (7)

  1. 非晶性樹脂を含み、厚みが50μm以下である支持体と、
    前記支持体の少なくとも一方の面側に設けられた、オレフィン樹脂を含む保護フィルムと、
    を有し、
    前記保護フィルムの引張弾性率に対する前記支持体の引張弾性率の比が、1.0〜6.0である光学用積層フィルム。
  2. 前記保護フィルムの引張弾性率が、420MPa〜800MPaである請求項1に記載の光学用積層フィルム。
  3. 前記保護フィルムの厚みが、5μm〜100μmである請求項1又は請求項2に記載の光学用積層フィルム。
  4. 前記保護フィルムの厚みに対する、前記支持体の厚みの比が、0.8以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光学用積層フィルム。
  5. 前記保護フィルムの引張弾性率に対する前記支持体の引張弾性率の比が、2.0〜5.5である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光学用積層フィルム。
  6. 前記非晶性樹脂が、環状ポリオレフィンである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光学用積層フィルム。
  7. 前記支持体が、光学用フィルムである請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の光学用積層フィルム。
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