以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施形態>
第1の実施形態では、本発明の冷蔵庫の一例として、上段側に冷蔵室を配置し、下段側に冷凍室を配置した冷蔵庫を例に挙げて説明する。但し、本発明の冷蔵庫の各貯蔵空間の配置は、これに限定はされない。
<冷蔵庫の全体構成>
図2の左側には、本実施形態に係る冷蔵庫1の概略構成を示す。また、図3には、冷蔵庫1の内部構成を示す。図2に示すように、冷蔵庫1は、最上段に冷蔵室11が配置され、最下段に第1の冷凍室12が配置されている。また、冷蔵庫1の中段には、左側に製氷室13が配置され、右側に第2の冷凍室14が配置されている。
本実施形態では、扉が設けられている面を冷蔵庫の前面とする。そして、前面を基準にして、冷蔵庫1の各面を上面1a、側面1b、背面1c、及び底面1dとする(図2及び図3参照)。したがって、本明細書中において、「前面側」または「背面側」と規定するときは、任意の位置を基準として前面又は背面が設けられている側、あるいは、任意の位置から前面又は背面へ向かう方向のことを意味する。
また、図3に示すように、冷蔵庫1の各貯蔵空間の前面(図3中の左側)には、開閉可能な扉(例えば、冷蔵室扉11a、第1冷凍室扉12a、製氷室扉13a)がそれぞれ設けられている。上段の冷蔵室扉11aは、例えば、左右の何れかの端部から開閉する方式、左右両側から開閉可能な方式、左右に分割された観音開きの方式などを採用できる。また、中段及び下段の第1冷凍室扉12a、製氷室扉13a、及び第2冷凍室扉(図示せず)としては、例えば、引き出し式の扉を採用できる。
冷蔵庫1の内部には、冷凍サイクルが設けられている。冷蔵庫1に設けられている冷凍サイクルについて、図2及び図3を参照しながら説明する。図2の右側には、冷蔵庫の内部に設けられている冷凍サイクル20の構成を示す。また、同図には、冷凍サイクル20に接続された放熱パイプ25の配置を示す。また、図3には、冷蔵庫1の背面1c側に設けられた冷却室35、及び、冷蔵庫1の底面1dの背面側に設けられた機械室30を示す。
図2に示すように、冷凍サイクル20は、主な構成部材として、冷却器(蒸発器)21、圧縮機22、凝縮器23、及び膨張器24を備えている。これらの各構成部材は、冷媒が流通する冷媒管(冷媒流路)を介して接続されている。冷媒管のうち、凝縮器23から膨張器24に至る流路が、放熱パイプ25を構成している。膨張器24は、キャピラリーチューブ(毛細管)(図示せず)と、該キャピラリーチューブに対して冷媒の流通方向の上流側に設けられたドライヤ及び冷媒バルブとで構成されている。
また、冷蔵庫1の内部には、制御部(図示せず)が設けられている。この制御部が、冷凍サイクル20の運転の制御を行っている。すなわち、制御部が圧縮機22を駆動させることによって、冷凍サイクル20の運転が開始され、圧縮機22→凝縮器23→放熱パイプ25→膨張器24→冷却器21→圧縮機22という経路で冷媒が循環する。
具体的には、圧縮機22により圧縮された高温高圧の冷媒は、凝縮器23で放熱しながら凝縮される。凝縮器23を出た冷媒は、その後、放熱パイプ25内を流れる。放熱パイプ25を流れる間に冷媒の熱は奪われ、冷媒の凝縮が進行する。放熱パイプ25を通過した冷媒は、膨張器24を経て低温低圧となり、蒸発器としての冷却器21に送られる。冷却器21に流入する冷媒は冷却室35内を流通する気流と熱交換され、吸熱しながら蒸発して低温のガス冷媒となって圧縮機22に送られる。このように、冷凍サイクル20が運転されて冷媒が循環するとともに、冷却器21と熱交換した気流によって冷気が生成される。
冷凍サイクル20の冷凍能力は、例えば、制御部が冷媒バルブによって絞り度の異なる毛細管に切り替えること、あるいは、制御部が圧縮機22の回転数を調整すること、またあるいは、これらを組み合わせることによって、制御される。
図3に示すように、冷却器21は、冷蔵庫1の背面側に設けられた冷却室35内に配置されている。冷却室35は、各貯蔵空間の背後に配置されている。冷却室35内には、冷却器21の他に、冷却ファン33などが備えられている。冷却ファン33は、冷却室35と各貯蔵空間との間で空気を循環させるために設けられている。すなわち、冷却ファン33は、冷凍サイクルの運転時などに冷却器21によって生成された冷気を、各流路を経由して各貯蔵空間へ送出するとともに、各貯蔵室に供給された冷気を、冷却室35内へ戻す。また、図3に示すように、圧縮機22は、冷蔵庫1の底部の背面側に設けられた機械室30内に配置されている。
<断熱箱体の構成>
冷蔵庫1には、各貯蔵空間を周囲から断熱するための断熱構造として、断熱箱体50が設けられている(図3参照)。断熱箱体50は、冷蔵庫1の外周を覆うように設けられている。図3に示すように、断熱箱体50は、主として、外箱40と、内箱60と、断熱層51とを備えている。なお、図3では、断熱箱体50の内側に設けられた冷蔵庫の内部構成については、図示を省略している。また、図10では、外箱40を組み立てる工程を模式的に示している。
外箱40は、断熱箱体50の外周面を形成する。外箱40は、冷蔵庫1の外形も部分的に形成している。内箱60は、断熱箱体50の内周面を形成する。また、内箱60は、各貯蔵空間(例えば、冷蔵室11、第1の冷凍室12、製氷室13)の内壁を形成している。
また、断熱箱体50の底部には、底板41が設けられている。この底板41が冷蔵庫1の底面1dを主に形成している。また、底板41の前方には、ベースプレート70(図8、図10など参照)が設けられている。すなわち、断熱箱体50の間口部10の底部は、内箱60、底板41、及びベースプレート(ベース部材)70で、その外形が形成されている。
また、断熱箱体50の底部の背面側には、機械室30を配置するための空間が形成されている。つまり、機械室30は、断熱箱体50の外側に配置される。これは、圧縮機22が運転されることにより、機械室30内の温度が上昇するためである。
上記の構成により、図3に示すように、機械室30と第1の冷凍室12とは、断熱箱体50によって隔離される。そのため、機械室30内で発生した熱が第1の冷凍室12へ流れ込むことを抑えることができる。
断熱層51は、外箱40と内箱60との間の空間内に設けられている。断熱層51は、例えば、真空断熱材と発泡断熱材とで構成される。真空断熱材は、シート状または板状の断熱材である。発泡断熱材は、例えば、発泡ポリウレタンなどで形成することができる。
断熱箱体50は、例えば次のように製造される。まず、真空断熱材をあらかじめ外箱40または内箱60に接着固定する。そして、外箱40と内箱60とを固定する。その後、断熱箱体50の背面1cを上にした状態で、背面に形成された注入口より液体状の発泡断熱材の原料を注入する。注入された発泡断熱材の原料は、外箱40と内箱60との間の空間内で発泡した後、硬化する。これにより、断熱箱体50の内部は、断熱層51で充填された状態となる。なお、図3に示すように、冷蔵庫1は、各貯蔵空間を仕切る仕切り壁56の内部にも、断熱層51を備えている。
<放熱パイプの配置について>
続いて、放熱パイプ25の配置について、図2及び図4を参照しながら説明する。図4には、冷蔵庫1の間口部10(図2参照)に配置された放熱パイプ25を示す。
放熱パイプ25は、一般的には、銅、アルミ、鉄などの比較的高い熱伝導性を有する金属材料で形成されている。上述したように、放熱パイプ25内には、凝縮器23から比較的高温の冷媒が流れる。そして、図2に示すように、放熱パイプ25は、冷蔵庫1の外周に張り巡らされている。このように比較的高温の冷媒が流れる放熱パイプ25が、冷蔵庫1の外周に配置されていることで、冷蔵庫1の外周面などにおいて、庫内と庫外との温度差に起因して発生し得る結露を抑えることができる。
図2に示すように、放熱パイプ25は、間口部放熱パイプ25a、右側面放熱パイプ25b、左側面放熱パイプ25c、及び背面放熱パイプ25dに大別される。間口部放熱パイプ25aは、冷蔵庫本体と扉との間口部10に配置される。右側面放熱パイプ25b及び左側面放熱パイプ25cは、冷蔵庫1の左右それぞれの側面1bに配置される。背面放熱パイプ25dは、冷蔵庫1の背面1cに配置される。
放熱パイプ25内の冷媒の流通経路は特に限定はされないが、例えば、冷媒は、間口部放熱パイプ25aから、右側面放熱パイプ25b、背面放熱パイプ25d、及び左側面放熱パイプ25cという順で流れてもよい。冷蔵庫1の間口部10は、庫内と外気との境界部であることから、より結露が発生しやすい。そのため、凝縮器23を出たより高温の冷媒を最初に間口部放熱パイプ25aへ流すことで、間口部10における結露抑制効果をより高めることができる。
図4に示すように、本実施形態の冷蔵庫1では、冷凍室及び製氷室が配置されている中段から下段部分の間口部10にのみ放熱パイプ25(25a)が設けられている。これは、より温度の低い冷凍室の間口部において、結露が発生しやすいためである。但し、本発明はこのような構成に限定はされず、冷蔵室部分も含む冷蔵庫の間口部全域にわたって放熱パイプ25を這わせるようにしてもよい。
図2に示すように、冷蔵庫1の間口部10において、放熱パイプ25は、冷蔵庫1の第1の冷凍室12、製氷室13、及び第2の冷凍室14の周縁全体にわたって張り巡らされている。そして、放熱パイプ25は、断熱箱体50を構成する内箱60の間口に沿うようにして配置されている。
<冷蔵庫間口部の仕切り部の構成について>
続いて、冷蔵庫1の間口部10の仕切り壁56(仕切り部)における放熱パイプ25の配置構成について、図1、図5、及び図6などを参照しながら説明する。図1は、冷蔵庫の中段部分の間口部10に設けられている放熱パイプ25を示す。図5は、図1に示す冷蔵庫1のY−Y線での断面図である。図6は、図5に示す仕切り壁56のうち、放熱パイプ25が設けられている下方部分の断面を拡大して示す図である。
仕切り壁56は、上段の冷蔵室11と、中段の製氷室13及び第2の冷凍室14との境界に設けられている。なお、ここでは、冷蔵庫1の上段部分と中段部分との間の仕切り壁を例に挙げて説明するが、他の貯蔵空間同士の間に設けられた仕切り壁の間口部にも同様の構成を適用することができる。
図1に示すように、仕切り壁56の間口部10側には、フレーム板81(支持部材)と、センタープレート82(表側板状部材)とが設けられている。フレーム板81とセンタープレート82との間には、放熱パイプ25が配置されている。
フレーム板81は、冷蔵庫1の仕切り壁56の前面側に、一方の側面1bから他方の側面1bにわたって配置されている細長い板状の部材である。フレーム板81は、断熱箱体50の間口部10に取り付けられている。フレーム板81は、ある程度の剛性を有する金属板で形成されている。これにより、冷蔵庫を補強することができる。なお、冷蔵庫の補強のためには、冷蔵庫の外殻を形成する断熱箱体50の一方の側面1bと他方の側面1bとを、フレーム板81によって連結することが望ましい。
センタープレート82は、細長い薄板状の部材であり、フレーム板81と重なるように配置されている。センタープレート82は、冷蔵庫1の間口部10の表面に設けられる部材であるため、化粧板などの美感作用のある素材で形成される。フレーム板81及びセンタープレート82は、図示しないビス、ネジなどで断熱箱体50に固定されている。
放熱パイプ25は、冷蔵庫1の仕切り壁56において、冷凍室側の周縁を取り囲むように張り巡らされている。すなわち、ループ状の細長い筒状体の放熱パイプ25が蛇行しながら、第1の冷凍室12、製氷室13、及び第2の冷凍室14の間口部10の周囲を這っている。これにより、各冷凍室の間口部10における結露の発生を抑えることができる。
続いて、間口部10近傍の仕切り壁56の内部構造について、図5及び図6を参照しながら説明する。仕切り壁56は、断熱箱体50の一部によって形成されている。図5に示すように、間口部10の近傍において、仕切り壁56は、内箱60、断熱材55、放熱パイプ25、下部支持部材53(スペーサ部58を含む)、フレーム板81、センタープレート82、及び伝熱補助テープ83などを有している。
仕切り壁56は内箱60内に嵌め込まれている。仕切り壁56の上面は、冷蔵室11の底面に相当し、仕切り壁56の下面は、製氷室13及び第2の冷凍室14の天面に相当する。内箱60の前面側には、仕切り壁56の上面から前方へ突出する庇部60dが設けられている。
断熱材55は、断熱箱体50の前面側であって、庇部60dの下方に配置されている。断熱材55は、例えば、発泡スチロールで形成される。
フレーム板81は、仕切り壁56の間口部10に断熱材55を覆うようにして配置されている。図5に示すように、フレーム板81は、その上下方向における中央部が前面側へ突出した形状を有している。すなわち、フレーム板81は、互いに段差を有する複数の面81a、81b、81cを有する。また、各面の間(すなわち、面81aと面81bとの間、及び、面81bと面81cとの間)には、段差部81dが存在する。
これら複数の面のうち、前面側へ突出した中央部分の面が、センタープレート82の背面との接触面81bとなっている。フレーム板81の接触面81bがセンタープレート82に接触することで、センタープレート82の構造強度を補強することができる。また、フレーム板81が放熱パイプ25に接触している場合は、放熱パイプ25からの熱がフレーム81を介してセンタープレート82に伝熱するため、効率良くセンタープレート82を加熱でき、センタープレート82の結露抑制効果を向上させることができる。この場合、フレーム板81は熱伝導性の高い材質で形成されることが好ましい。なお、フレーム板81の主要な機能は、冷蔵庫の構造強度を高めることである。そこで、構造の補強及び熱伝導性の両方を考慮して、フレーム板81は、例えば、鉄やアルミなどの金属、鋼材などで形成することが好ましい。
また、フレーム板81の下方に位置する背面側へ凹んだ面81cと、センタープレート82との間に、放熱パイプ25が配置されている。なお、本実施の形態の冷蔵庫1では、フレーム板81の上方に位置する背面側へ凹んだ面81aの前方部分に放熱パイプは設けられていない。
下部支持部材53は、フレーム板81の下方に配置されている。下部支持部材53は、放熱パイプ25を下方から支持している。下部支持部材53は、本体部57とスペーサ部58とで構成されている。本体部57は、断面がL字状の屈曲した板状部材である。本体部57は、金属などの剛性を有する素材、あるいは、樹脂などのある程度の弾性を有する素材で形成することができる。本体部57の屈曲した一方の外側表面は、内箱60前面部と接触している。本体部57の屈曲した他方の部分は、仕切り壁56の底部を構成している。
スペーサ部58は、本体部57から前面側へ突出した部分である。図6に示すように、スペーサ部58は、仕切り壁56の底部を構成する本体部57と向かい合って互いに略平行に取り付けられている。スペーサ部58は、樹脂で形成されている。スペーサ部58は、本体部57と一体的に形成されていてもよいし、本体部57とは別部材として形成されていてもよい。スペーサ部58が本体部57とは別部材として形成されている場合には、スペーサ部58は、本体部57に嵌め込まれたり、接着されたりして、本体部57と結合される。このような構成により、スペーサ部58は、上下方向にある程度のバネ性(弾性)を有する。
図6に示すように、スペーサ部58には、放熱パイプ25と接触する傾斜面58aが設けられている。傾斜面58aは、放熱パイプ25の背面側下方に設けられており、放熱パイプ25の背面側下方の外周面と接触して、放熱パイプ25を前面側(センタープレート82側)の上方へ押している。
これにより、センタープレート82をスペーサ部58及びフレーム板81に対して取り付ける際に、放熱パイプ25は、傾斜面58aから受ける力の作用により、センタープレート82の背面に沿って上方へ移動しつつ、センタープレート82の背面に対して押し付けられる。したがって、放熱パイプ25を仕切り壁56の間口部10へより確実に近づけることができる。
なお、スペーサ部58の傾斜面58aと接触している放熱パイプ25の外周面は、センタープレート82の背面に対して傾斜している面であることが好ましい。これにより、傾斜面58aから放熱パイプ25にかかる力が、前面方向または上方向の一方だけに伝達することを抑制することができる。したがって、放熱パイプ25には、外周面を通じて前面方向および上方向に適切に分配された応力がかかる。そのため、放熱パイプ25を、センタープレート82の背面に沿って上方へ移動させつつ、センタープレート82の背面に対して押し付けることができる。
また、スペーサ部58は、センタープレート82がフレーム板81に固定された状態で、スペーサ部58と接触している放熱パイプ25の外周面に直交する方向に弾性変形してもよい。スペーサ部58がこのように弾性変形することで、スペーサ部58から放熱パイプ25にかかる押圧力の一部をスペーサ部58自身の弾性変形で吸収させることができ、スペーサ部58から放熱パイプ25に過剰な押圧力がかかった場合であっても、放熱パイプの変形を抑制することができる。
伝熱補助テープ83は、放熱パイプ25とセンタープレート82との間に配置されている。伝熱補助テープ83は、センタープレート82の裏面における放熱パイプ25との接触位置に貼り付けられている。伝熱補助テープ83は、例えば、ブチルテープなどの比較的柔らかく放熱パイプ25の表面(外周面)に密着する材料で形成されている。これにより、放熱パイプ25から発せられる熱をセンタープレート82へ効率よく伝達することができる。
センタープレート82は、断熱材55、フレーム板81、放熱パイプ25、及びスペーサ部58を覆うように取り付けられ、仕切り壁56の間口部10の最表面を構成する。センタープレート82の上端部と下端部は、それぞれ屈曲部82a・82bとなっている。これら屈曲部82a・82bが、内箱60の庇部60d及び下部支持部材53の本体部57の内側に嵌め込まれる。
また、本実施形態の冷蔵庫1においては、上述したように、フレーム板81が段差部81dを有している。この段差部81dの表面は、センタープレート82に対して傾斜した傾斜面となっている。図6に示すように、この傾斜面は、後方側から前方側へ向かって上昇するように傾斜している。一方、スペーサ部58の傾斜面58aは、後方側から前方側へ向かって下降するように傾斜している。
この構成により、放熱パイプ25が配置される空間は、後方側から前方側へ向かって拡張するような形状となっている。そして、この空間の大きさは、例えば、放熱パイプ25よりも後方に位置する部分における段差部81dとスペーサ部58との間隔が、放熱パイプ25の径よりも小さくなるように設計されていることが好ましい。これにより、放熱パイプ25をより確実にセンタープレート82側へ移動させることができる。
さらに、この空間の大きさは、放熱パイプ25よりも前方に位置する部分における段差部81dスペーサ部58との間隔が放熱パイプ25の径よりも大きくなるように設計されていることが好ましい。これにより、放熱パイプ25がセンタープレート82よりも前方へ突出しようとして、センタープレート82が変形してしまうことを抑えることができる。
<仕切り壁部分の製造方法>
本実施形態に係る冷蔵庫1においては、放熱パイプ25が仮固定されたフレーム板81に対して、センタープレート82を嵌め込む際に、スペーサ部58などの作用により、放熱パイプ25を冷蔵庫1の前面(すなわち、間口部10)へ誘導することができる。また、本実施形態に係る冷蔵庫1においては、製造工程の途中で仕切り壁56に位置する放熱パイプ25をひねることによって、放熱パイプ25の位置を変更する。このとき、スペーサ部58などの作用により、放熱パイプ25を冷蔵庫1の前面(すなわち、間口部10)へさらに誘導することができる。これらの点について以下に説明する。
仕切り壁56は独立した部品であり、間口部10に相当する部分には断熱材55が取り付けられている。内箱60内に仕切り壁56を篏合すると、仕切り壁56によって内部空間が仕切られる。仕切り壁56は、上方空間を形成する上側内箱60bと下方空間を形成する下側内箱60cとを有する。そして、仕切り壁56の間口部10に断熱材55を覆うようにして、フレーム板81を取り付ける。次に、フレーム板81の面81cと段差部81dとで形成される窪み部分に、放熱パイプ25を仮固定する。仮固定には、粘着テープなどを用いればよい。この段階では、放熱パイプ25の厳密な位置決めを行わなくてもよい。そのため、例えば、放熱パイプ25の数か所を粘着テープで仮固定すればよい。
続いて、フレーム板81の下側に下部支持部材53を取り付ける。このとき、フレーム板81の傾斜面58aが放熱パイプ25に接触する。このとき、放熱パイプ25の上方部分が段差部81dと接触することが好ましい。なお、下部支持部材53、およびスペーサ部58は、仕切壁56と一体的に形成されていてもよい。この場合は、下部支持部材53とスペーサ部58との間にフレーム板81を嵌め込むように組立てる。次に、断熱材55、フレーム板81、放熱パイプ25、及びスペーサ部58を覆うように、センタープレート82を取り付ける。
以上の流れで仕切り壁56部分を形成することで、放熱パイプ25を、傾斜面58a、段差部81d、及びセンタープレート82にそれぞれ接触するように配置させることができる。すなわち、スペーサ部58の弾性が起動力となって放熱パイプ25を上方へ押し上げる。放熱パイプ25は、傾斜面58a及び段差部81dと接触することによって、上記の上方への力を、センタープレート82の内面に押し当てる向きの力に変更することができる。したがって、放熱パイプ25を確実にセンタープレート82へ接触させることができ、仕切り壁56の間口部10における結露抑制効果を向上させることができる。
また、冷蔵庫1の製造工程において、断熱箱体50へ発泡断熱材料を注入する際には、図7中破線で示すように、放熱パイプ25が仕切り壁56に沿うように位置している構成も可能である。これは、図7中破線で示す放熱パイプ25のU字部分が、冷蔵庫1の前面に沿った位置にあると、発泡時に内箱60の形を規定するための内型の挿入作業と干渉し、発泡断熱材料の注入作業の妨げとなるためである。
このとき、放熱パイプ25のU字部分は、フレーム板81の面81cを貫通して背面側に向いて配置されている。すなわち、フレーム板81の面81cには、U字部分を配置するための切り欠きが形成されている。
そして、冷蔵庫1の製造工程では、断熱箱体50へ注入した断熱材料の発泡工程の後に、図7に示すように、矢印Aの方向に放熱パイプ25をひねって、放熱パイプ25の位置を変更している。このとき、センタープレート82の裏面に配置された放熱パイプ25には、図7中矢印Bで示すような下方向への力が働く。
本実施形態に係る仕切り壁56においては、放熱パイプ25に接触する傾斜面58aを有するスペーサ部58が設けられているため、放熱パイプ25に作用する矢印B方向の力を、矢印C方向(すなわち、前面側)への力に変えることができる(図7参照)。したがって、仕切り壁56に配置される放熱パイプ25をより前面側へ押すことができる。このように、図7で示すような工程を経ることで、スペーサ部58が比較的弾性に乏しい剛体で構成されている場合にも放熱パイプ25を前面側へ押す効果を発揮させることができる。
なお、冷蔵庫1においては、下段の第1の冷凍室12と中段の製氷室13及び第2の冷凍室14との間の間口部10に、間口部10の上方と下方とを通るように2列の放熱パイプ25が配置されている(図2参照)。この部分についても、上述した放熱パイプの配置構成を適用することができる。
<冷蔵庫間口部の底部の構成について>
続いて、冷蔵庫1の間口部10の底部における放熱パイプ25の配置構成について、図8及び図9などを参照しながら説明する。図8は、図4に示す冷蔵庫1のX−X線での断面図である。図9は、断熱箱体50の底部分の構成を示す図である。なお、図9は、図8とほぼ同じ部分の構成を示す。
断熱箱体50は、内箱60、底板41、及びベースプレート(表側板状部材)70を有しており、これらによって冷蔵庫1の間口部10の底部を形成している。内箱60は、冷蔵庫1の間口部10に相当する位置に、屈曲端部(突出端部)61を有している。屈曲端部61は、内箱60の本体部分60aを折り曲げることによって形成されている。なお、ベースプレート70及び内箱60の屈曲端部61を備える冷蔵庫1底部における間口部の構成も、本発明の一構成例である。
屈曲端部61は、ベースプレート70と接触する平坦な接触面62・64を有する。本実施形態では、接触面62・64は、屈曲端部61の屈曲面61aから一段内側に凹んでいる。また、接触面62・64は、面一となっている。そして、2つの接触面62及び64の間には、断熱材封止部63が設けられている。断熱材封止部63は、面一の接触面62及び64を内側に窪ませることによって形成される。本実施形態では、断熱材封止部63の断面はU字状になっているが、本発明では、これに限定はされない。断熱材封止部63は、後述するベースプレート70の折り返し空間(すなわち、収容部73)内に嵌め込まれ、内箱60、ベースプレート70、及び底板41で形成される空間内に断熱材を封止することができればよい。
また、屈曲端部61の先端には、内側へ傾斜した傾斜部65が設けられている。傾斜部65は、屈曲端部61がベースプレート70の折り返し空間内に挿入される際に、空間内にある第2のスペーサ31を背面側へ方向付けるガイド部材として機能する。また、本実施の形態の屈曲端部61には、傾斜部65のさらに先端に、接触面62及び64とほぼ平行な先端面66が設けられている。
底板41は、本体部分41aと、本体部分41aの前面部分を折り曲げて形成したフランジ部41bとを有する。
ベースプレート70は、図10に示すように、冷蔵庫1の間口部10の底部に沿って、左側面から右側面へ延びている。図8及び図9に示すように、ベースプレート70は、一枚の板状部材を折り返した折り返し部72を有する。図8及び図9に示すように、折り返し部72は、その断面が略U字形状を有する。このようにして形成された断面が略U字形状の空間の内部には、放熱パイプ25及び第2のスペーサ31が収容される。すなわち、この折り返し空間は、収容部73となっている。また、収容部73には、内箱60の屈曲端部61も挿入される。
本実施形態では、収容部73は、底部から上方へ向かって、その幅が徐々に小さくなっている。すなわち、上方部分が窄んだ形状になっている。そして、折り返し部72の先端部分、すなわち、収容部73の背面側の上端部分74は、収容部73の開口部の幅が広がる方向へ折り曲げられている。そのため、収容部73においては、折り曲げ部74aでの開口幅が最も小さくなっている。
そして、収容部73へ挿入される内箱60の屈曲端部61の接触面62及び64から突出した断熱材封止部63の突出高さは、折り曲げ部74aにおける収容部73の幅よりも若干大きめに設計されている。ベースプレート70は鋼材等の金属製であり、それ自体が弾性を有する。また内箱60の素材はABS等の樹脂製であり、荷重によって微少に撓むことができる。そのため、ベースプレート70の一部である収容部73および折り曲げ部74aの形状がクリップを構成し、折り曲げ部74aが断熱材封止部63を咥え込む保持力が働く。これにより、収容部73内に内箱60の屈曲端部61を挿入すると、折り曲げ部74aの位置で、断熱材封止部63は係止され、収容部73内に屈曲端部61を嵌め込むことができる。
以上のように、本実施形態の冷蔵庫1の底部では、ベースプレート70の収容部73と屈曲端部61とで形成された空間内に、放熱パイプ25及び第2のスペーサ部31が保持される。そして、屈曲端部61を収容部73へ嵌め込む際には、放熱パイプ25は、第2のスペーサ部31から受ける力の作用により、ベースプレート70の背面に沿って上方へ移動しつつ、屈曲端部61を介してベースプレート70の背面に対して押し付けられる。したがって、放熱パイプ25を間口部10へより確実に近づけることができる。
<断熱箱体底部の組み立て方法について>
続いて、断熱箱体50の底部分の組み立て方法について、図10を参照しながら説明する。図10では、内箱60に対して、放熱パイプ25、外箱40、及び、ベースプレート70を取り付ける様子を示す。
図10に示すように、断熱箱体50においては、内箱60の外周を、外箱40、底板41(図10では、図示せず)、及びベースプレート70などが覆い、冷蔵庫1の外形を形成している。外箱40は、冷蔵庫1の上面1aの部分と、左右両側の側面1b及び1bの部分とが一体となっている板状部材と、冷蔵庫の1の背面1cの部分を構成する板状部材(図10では、図示せず)とで構成されている。
上記構成の断熱箱体50を組み立てる際には、先ず、内箱60に対して、放熱パイプ25を仮固定する。このとき、収容部73内で放熱パイプ25と接触して配置される第2のスペーサ31は、放熱パイプ25とともに、粘着テープなどを用いて巻き束ねられている。そのため、放熱パイプ25の仮固定時には、第2のスペーサ31も併せて内箱60に仮固定される。なおこのとき、放熱パイプ25は、内箱60の屈曲端部61の断熱材封止部63、接触面64に触れるように粘着テープで仮固定される。ただしこの段階では、放熱パイプ25の厳密な位置決めを行わなくてもよく、断熱材封止部63から浮いていても構わない。そのため、例えば、放熱パイプ25の数か所を粘着テープで仮固定すればよい。
図10では、冷蔵庫1の間口部10に位置する放熱パイプ25(25a)のみを示している。そのため、図10では図示されていないが、冷蔵庫の側面1bに位置する放熱パイプ25(25b及び25c)は、外箱40の内側にアルミテープ等の熱伝導性を有する粘着テープで固定されている。
次に、ベースプレート70を内箱60の間口部10の底部に嵌め込む。その後、放熱パイプ25が仮固定された内箱60の外周を覆うように外箱40を被せる。このとき、例えば、冷蔵庫1の上面1a及び側面1bを構成する外箱40を最初に被せた後に、冷蔵庫1の底面1dを構成する底板41を取り付けることができる。
そして最後に、断熱箱体50の背面を覆うように、背面1cを構成する部材を取り付ける。なお、ここで説明した外箱の取り付け方法は一例であり、本発明ではこの方法に限定はされない。
<内箱へのベースプレートの嵌め込み工程>
本実施形態に係る冷蔵庫1においては、放熱パイプ25が仮固定された内箱60に対して、ベースプレート70を嵌め込む際に、第2のスペーサ31などの作用により、放熱パイプ25を冷蔵庫1の前面(すなわち、間口部10)へ誘導することができる。この点について、図11を参照しながら以下に説明する。図11では、内箱60にベースプレート70を嵌め込む工程を、(a)から(c)に順に示す。
上述したように、本実施形態の冷蔵庫1においては、間口部10の底部に位置する放熱パイプ25は、予め内箱60の屈曲端部61の先端部分に第2のスペーサ31とともに仮固定されている。本実施形態では、第2のスペーサ31は、比較的剛性が高く、放熱パイプ25と同様に断面が円形の形状を有している。なお、第2のスペーサ31は必ずしも中空(円筒形状)である必要はなく、中実の円柱形状を有していてもよい。また、第2のスペーサ31の材料としては、比較的熱伝導性の高いものが望ましい。例えば、スペーサ31の材料として、アルミ、銅などを用いることができる。
上述したように、内箱60に対してベースプレート70を取り付ける際には、内箱60の屈曲端部61を、ベースプレート70の折り返し部72で形成された断面U字形状の収容部73に挿入する(図11(a)参照)。このとき、図11(a)に示すように、放熱パイプ25と第2のスペーサ31とは、屈曲端部61の形状に沿って、上下方向に並んでほぼ垂直に位置している。
なお、第2のスペーサ31は、間口部10の底部に位置する放熱パイプ25のほぼ全域にわたって、放熱パイプ25に沿うように配置されている。これにより、収容部73内での放熱パイプ25の位置合わせをより確実に行うことができる。
図11(a)に示す段階では、断面円形の第2のスペーサ31は、粘着テープなどで数か所放熱パイプ25とともに巻き束ねられて簡易的に接着されている。この状態で、第2のスペーサ31は、放熱パイプ25とともに内箱60の屈曲端部61に仮固定されている。
その後、ベースプレート70を上方へ持ち上げる(矢印A参照)につれて、内箱60の屈曲端部61の先端側に設けられたガイド部材65によって、第2のスペーサ31は収容部73の背面側へ導かれる(矢印B参照)。このとき、放熱パイプ25とスペーサ31は簡易に巻き束ねられただけであるから、スペーサ31には可動性がある。放熱パイプ25とスペーサ31は、互いの円形表面で接触しつつ滑りあうことができるため、スペーサ31は放熱パイプ25の外周面に沿って短く回転移動する。
そして、図11(b)に示すように、ベースプレート70をさらに上方へ持ち上げると、第2のスペーサ31は、収容部73の底面に接触する。このとき、第2のスペーサ31は、ガイド部材65により収容部73の背面側のコーナー部73aの方へ誘導される。
屈曲端部61が、収容部73内に完全に嵌まり込むと、図11(c)に示すように、第2のスペーサ31の外周面は、コーナー部73aの湾曲面と接触する。このとき、第2のスペーサ31が収容部73の底面から受ける力(矢印X)に起因して、放熱パイプ25を屈曲端部61のコーナー部61bに向かって押し付ける力(矢印Y)が働く。そのため、嵌め込み前に行う放熱パイプ25の内箱60に対する仮固定の段階で厳密な位置合わせを行うことなく、放熱パイプ25を所望の位置(すなわち、発露抑制効果を高める位置)に配置させることができる。このとき矢印Yの力は、スペーサ31が収容部73の底面から受ける力(矢印X=矢印y1)と、コーナー部73aの保持力からスペーサ31が受ける抗力(矢印y2)との合力である。
放熱パイプは、細く曲がりやすい形状及び材質を有している。このような特性を有する放熱パイプを、薄い樹脂製の内箱に高い精度で取り付けるのは非常に困難である。さらに、放熱パイプは、長大なループ状の曲げ成形品である。そのため、例えば、冷蔵庫の各貯蔵空間の仕切り部などのように、幅が狭く、内箱へ取り付ける際により高い精度を有する箇所以外に、放熱パイプの位置ずれを吸収できるような比較的取り付け精度の緩やかな箇所が必要となる。しかし、従来の放熱パイプの取り付け方法では、内箱に成形された溝に対して、放熱パイプの全体が精度よく取り付けられなければ実現できない構造も多く見られる。
これに対して、本実施形態の冷蔵庫1における放熱パイプ25の取り付け構造では、ベースプレート70を嵌め込む際に発生する第2のスペーサ31の押し出し力により、間口部10の底部の放熱パイプ25の位置を改めて規定しなおすことができる。これにより、放熱パイプ25に存在する撓みや軽度の曲りを矯正することができる。そのため、その特性上、完全な直線形状とはなりにくい放熱パイプ25を、間口部10の底部において、所望の位置に配置させることができる。
なお、本実施形態においては、第2のスペーサ31の素材として、金属などの剛性を有する材料を用いている。そのため、ベースプレート70の収容部73に対して、内箱60の屈曲端部61をやや深めに押し込んだ場合であっても、剛性を有する第2のスペーサ31の抗力によって、放熱パイプ25を矢印Yの方向に押すことができる。そのため、放熱パイプ25を、冷蔵庫1の前面の間口部10により近づけることができる。
また、第2のスペーサ31が剛性を有すると、弾性体(例えば、スポンジ、ブチルゴムなど)で形成されているスペーサ部材と比較して、ベースプレート70を嵌める力(図11(c)の矢印y1)を、第2のスペーサ31が放熱パイプ25を押す力(図11(c)の矢印Y)へとより確実に変換することができる。これにより、放熱パイプ25を収容空間の前面(本実施形態の場合は、接触面64)側により密着させることができる。
さらに、第2のスペーサ31を、放熱パイプ25と同様に熱伝導性の高い金属(銅、アルミ等)で形成すると、放熱パイプ25から第2のスペーサ31へ熱が伝達され、さらにその熱を、収容部73を形成する折り返し部72へと伝えることができる。これにより、間口部10周辺のベースプレート70及び底板41を温めることができ、発露の発生をより抑えることができる。なお、第2のスペーサ31の外周面の形状と収容部73のコーナー部73aの内面の湾曲形状とが略等しいことが好ましい。これにより、第2のスペーサ31から収容部73に対する伝熱をより促進させることができる。
なお、収容部73と屈曲端部61とによって形成される収容空間の寸法(具体的には、コーナー部73aからコーナー部61bまでの距離)は、適切に篏合した状態で、放熱パイプ25の外径とスペーサ31の外径との合計よりもやや小さくなっていることが好ましい。これにより、収容空間の微小なクリアランス(例えば折り返し部72で囲まれた空間や、折り返し部72と接触面64との間の隙間)に対して、放熱パイプ及びスペーサを食い込ませることができ、放熱パイプ25を接触面64に対し確実に密着させることができる。
もし第2のスペーサ31が放熱パイプ25を押す力と、ベースプレート70を嵌める力の向きとが同じである場合、放熱パイプ25から押し返される反発力がベースプレート70を外す向きに働くため、放熱パイプ25を収容空間内に密着させにくくなる。そのため、本実施形態の構成のように、第2のスペーサ31が放熱パイプ25を押す力(矢印Y)と、ベースプレート70を嵌める力(図11(c)の矢印X)の向きが、同じではないことが好ましい。これにより、第2のスペーサ31が放熱パイプ25を押す力(矢印Y)に対して、収容部73内の形状の保持力(図11(c)の矢印y2)成分が作用を及ぼすことになり、屈曲端部61の接触面64に対して放熱パイプ25を押し付けることができる。
また、本実施形態の構成では、屈曲端部61に仮固定される段階で、放熱パイプ25と第2のスペーサ31とは、屈曲端部61の形状に沿って、上下方向に並んでほぼ垂直に配置されている。そして、図11(a)に示すように、ほぼ垂直に配置された放熱パイプ25と第2のスペーサ31との奥行幅は、折り曲げ部74aにおける収容部73の幅よりも十分に小さい。そのため、放熱パイプ25と第2のスペーサ31とを仮固定した状態の屈曲端部61を、収容部73内に容易に挿入することができる。
<効果>
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫1には、仕切り壁56の間口部10に配置される放熱パイプ25をセンタープレート82側へ押すスペーサ部58が設けられている。この構成により、仕切り壁56において、放熱パイプ25をより間口部10へ近づけるように配置させることができる。したがって、冷蔵庫の仕切り部分での結露の抑制効果を高めることができる。
また、本実施形態に係る冷蔵庫1では、間口部10の底部に配置されるベースプレート70の収容部73内に、放熱パイプ25と第2のスペーサ31とが収容されている。そして、第2のスペーサ31は、放熱パイプ25の背面側下方に設けられ、放熱パイプ25を前面側へ押すような構成となっている。
このような構成によれば、収容部73内へ放熱パイプ25を収容する時点では、放熱パイプの厳密な位置合わせを行うことなく、収容部73内への設置が完了した時点において、放熱パイプを冷蔵庫の間口部により近い収容部の前方側(前面側)へ固定配置させることができる。放熱パイプを冷蔵庫の間口部近くに配置させることにより、間口部における結露の抑制効果を高めることができる。
近年の冷蔵庫では、省エネ性能をより向上させるために、断熱性能のより高い真空断熱材の使用が推進されている。また、環境への影響を考慮して、冷凍サイクルを低負荷で運転することが基本となっている。これにより、放熱パイプを流れる冷媒の温度が低下する傾向にある。このようにして放熱パイプの温度が低下すると、冷蔵庫の間口部分において行われる放熱パイプによる発露の抑制が難しくなる。そのため、冷蔵庫の間口部により近い位置に放熱パイプを配置することが、発露の抑制に大きく影響する。
本実施形態の冷蔵庫1によれば、内箱にベースプレートを取り付ける際に、スペーサの作用により、放熱パイプを冷蔵庫の間口部に接触するように、前面に押し出すことができる。そのため、組立前の段階で放熱パイプの厳密な位置合わせを行うことなく、放熱パイプを間口部に接触させることができ、放熱パイプから発生する熱を間口部へ効率的に伝達させることができる。したがって、間口部の底部における発露の抑制効果を向上させることができる。
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、冷蔵庫1の間口部10の仕切り部分の構成が第1の実施形態とは異なっている。その他の構成については、基本的に第1の実施形態と同じ構成を適用することができる。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なる点のみを説明する。
上述した第1の実施形態では、傾斜面58aを有するスペーサ部58が下部支持部材53に設けられている構成について説明した。しかし、本発明においては、第1の実施形態とは異なる形状のスペーサ部が、下部支持部材53とは別部材として設けられていてもよい。そこで、第2の実施形態として、放熱パイプと同様に断面円形状を有するスペーサ部が設けられている構成を例に挙げて説明する。
図12には、第2の実施形態に係る冷蔵庫1の仕切り壁156の間口部分の断面構成を示す。第1の実施形態と同様に、仕切り壁156は、断熱箱体50の一部によって形成されている。図12に示すように、間口部10の近傍において、仕切り壁156は、内箱60、断熱材55、放熱パイプ25、下部支持部材153、スペーサ158、フレーム板81、センタープレート82、及び伝熱補助テープ83などを有している。
仕切り壁156において、下部支持部材153及びスペーサ158以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
下部支持部材153は、フレーム板81の下方に配置されている。下部支持部材153は、後述するスペーサ158を下方から支持している。下部支持部材153は、本体部157とスペーサ支持部159とで構成されている。本体部157は、断面がL字状の屈曲した板状部材である。本体部157は、金属などの剛性を有する素材、あるいは、樹脂などのある程度の弾性を有する素材で形成することができる。本体部157の屈曲した一方の外側表面は、内箱60前面部と接触している。本体部157の屈曲した他方の部分は、仕切り壁156の底部を構成している。
スペーサ支持部159は、本体部157から前面側へ突出した部分である。図12に示すように、スペーサ支持部159は、仕切り壁56の底部を構成する本体部157と向かい合って互いに略平行に取り付けられている。スペーサ支持部159は、樹脂で形成されている。スペーサ支持部159は、本体部157と一体的に形成されている。このような構成により、スペーサ支持部159は、上下方向にある程度のバネ性を有する。
図12に示すように、スペーサ支持部159上には、スペーサ158が配置されている。本実施形態では、スペーサ158は、比較的剛性が高く、放熱パイプ25と同様に断面が円形の形状を有している。なお、スペーサ158は必ずしも中空(円筒形状)である必要はなく、中実の円柱形状を有していてもよい。
スペーサ支持部159の先端には、スペーサ158が正面側に移動することを抑えるための折り返し部159aが設けられている。また、スペーサ158の径は放熱パイプ25の径以下である。スペーサ158は、放熱パイプ25の中心よりも背面側に位置する。スペーサ158は、放熱パイプ25の背面側下方に設けられており、弾性を有するスペーサ支持部159によって上方に押されている。スペーサ158はその円筒面(外周面)で放熱パイプ25を段差部81dに向かって押すことで、直上方向の力の向きを前方方向へ変更し、放熱パイプ25を前面側(センタープレート82側)へ押している。
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫1には、仕切り壁156の間口部10に配置される放熱パイプ25をセンタープレート82側へ押すスペーサ158が設けられている。この構成により、仕切り壁156において、放熱パイプ25をより間口部10へ近づけるように配置させることができる。したがって、冷蔵庫の仕切り部分での結露の抑制効果を高めることができる。
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、冷蔵庫1の間口部10に配設される放熱パイプの構成が第1の実施形態とは異なっている。その他の構成については、基本的に第1の実施形態と同じ構成を適用することができる。そこで、第3の実施形態では、第1の実施形態とは異なる点のみを説明する。
上述した第1の実施形態では、冷凍室及び製氷室が配置されている中段から下段部分の間口部10にのみ放熱パイプ25(25a)が設けられている構成について説明した。しかし、本発明はこのような構成に限定はされず、冷蔵室部分も含む冷蔵庫の間口部全域にわたって放熱パイプを這わせるようにしてもよい。そこで、第3の実施形態では、冷蔵室側の間口部にも放熱パイプが設けられている構成について説明する。
図13には、第3の実施形態に係る冷蔵庫200の間口部10の構成を示す。図13に示すように、冷蔵庫200は、最上段に冷蔵室11が配置され、最下段に第1の冷凍室12が配置されている。また、冷蔵庫1の中段には、左側に製氷室13が配置され、右側に第2の冷凍室14が配置されている。
第1の実施形態と同様に、冷蔵庫200の各部分には、放熱パイプ125が設けられている。放熱パイプ125は、間口部放熱パイプ125a、右側面放熱パイプ25b、左側面放熱パイプ25c、及び背面放熱パイプ25dに大別される(図2参照)。間口部放熱パイプ125aは、冷蔵庫本体と扉との間口部10に配置される。
図13に示すように、間口部放熱パイプ125aは、冷蔵庫200の全ての貯蔵室の周囲に張り巡らされている。これにより、冷凍空間のみならず冷蔵室11についても、間口部10における結露の発生を抑えることができる。
図13に示すように、冷蔵庫200では、各貯蔵空間を区画している仕切り壁256,257,258において、放熱パイプ125がそれぞれ配設されている。各仕切り壁における放熱パイプ125の配置の仕方については、第1の実施形態と同様の方法を採用することができる。
なお、本実施形態の冷蔵庫200では、各仕切り壁256,257,258において、放熱パイプ125がそれぞれ2列に配設されている。例えば、仕切り壁256では、上段の第1の冷蔵室11と中段の製氷室13及び第2の冷凍室14との間の間口部10に、間口部10の上方と下方とを通るように2列の放熱パイプ125が配置されている。
間口部10の下方を通る放熱パイプ125については、図5などを参照しながら説明した放熱パイプの配置構成を適用することができる。間口部10の上方を通る放熱パイプ125についても、同様の方法を適用して、フレーム板81とセンタープレート82との間に配置することができる。すなわち、フレーム板81の上方において、フレーム板81とセンタープレート82との間に形成される空間に、放熱パイプ125をスペーサ部とともに配置することができる。
このとき、スペーサ部が放熱パイプ125をセンタープレート82側へ押すように配置されることで、放熱パイプ125を確実にセンタープレート82へ接触させることができる。したがって、仕切り壁256の間口部10における結露抑制効果を向上させることができる。他の仕切り壁257,258についても、上記と同様の方法で放熱パイプ125を配置すればよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。