JP2020050843A - インクセット、インクジェット記録方法、インク収容容器、及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、本発明は、高彩度で、かつ標準色の色再現性に優れる画像を得ることができるインクセットを提供することを目的とする。
(1)ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの4色のインクを有するインクセットにおいて、可視光領域での前記シアンインク、前記マゼンタインク、前記イエローインクの最大吸光度をそれぞれAc、Am、Ayとし、前記シアンインク、前記マゼンタインク、前記イエローインクが最大吸光度を示す波長における、ブラックインクの吸光度をそれぞれAck、Amk、Aykとするとき、下記式(1)〜式(3)で表されるパラメータXck、Xmk、Xykがいずれも0.41以上、0.80以下であるインクセット。
Xck=Ac/Ack・・・式(1)
Xmk=Am/Amk・・・式(2)
Xyk=Ay/Ayk・・・式(3)
なお、本発明(1)の実施の形態には、次の(2)〜(11)も含まれるので、これらについても併せて説明する。
(2)前記パラメータXck、Xmk、Xykが、Xyk>Xck>Xmkである前記(1)に記載のインクセット。
(3)前記パラメータXck、Xmk、Xykが、いずれも0.50以上、0.70以下である前記(1)又は(2)に記載のインクセット。
(4)前記4色のインクが、いずれも色材を含有し、前記色材が顔料である前記(1)から(3)のいずれかに記載のインクセット。
(5)前記ブラックインクの顔料がC.I.ピグメントブラック7(カーボンブラック)、前記シアンインクの顔料がC.I.ピグメントブルー15:3または15:4、前記マゼンタインクの顔料がC.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントバイオレット19の混晶またはC.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントバイオレット19の混晶、前記イエローインクの顔料がC.I.ピグメントイエロー74または155を含む前記(4)に記載のインクセット。
(6)前記4色のインクに含有される顔料の体積平均粒径が、ブラックインク、マゼンタインク、イエローインク、シアンインクの順で小さくなる前記(4)又は(5)に記載のインクセット。
(7)前記4色のインクがさらに樹脂を含有し、樹脂の含有量をR、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの各インクにおける顔料含有量をPとしたとき、RとPの比率(R/P)がブラックインク、マゼンタインク、イエローインク、シアンインクの順で大きくなる前記(4)から(6)のいずれかに記載のインクセット。
(8)前記4色のインクがさらに分散剤を含有し、前記分散剤が、下記一般式(a)で表される構造単位と、下記一般式(b)で表される構造単位及び下記一般式(c)で表される構造単位のいずれかと、を有する前記(1)から(7)のいずれかに記載のインクセット。
(9)前記(1)から(8)のいずれかに記載のインクセットを用いて、非画像部の60°光沢度が30以上の記録媒体に画像部を形成する記録方法であって、形成した画像部の60°光沢度が50以上であるインクジェット記録方法。
(10)前記(1)から(8)のいずれかに記載のインクセットの4色のインクをそれぞれ容器中に収容してなるインク収容容器。
(11)前記(1)から(8)のいずれかに記載のインクセットの4色のインクに刺激を印加し、前記4色のインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するインク吐出手段を有するインクジェット記録装置。
本発明においては、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの4色のインクを含むインクセットにおいて、可視光領域でのシアンインク、マゼンタインク、イエローインクの最大吸光度をそれぞれAc、Am、Ayとし、対応する波長におけるブラックインクの吸光度をAck、Amk、Aykとするとき、下記式(1)〜式(3)
Xck=Ac/Ack・・・式(1)
Xmk=Am/Amk・・・式(2)
Xyk=Ay/Ayk・・・式(3)
で表されるパラメータXck、Xmk、Xykが0.41以上、0.80以下であるインクセットを用いることで、暗部や2次色においても、色再現性の高い印刷画像を得ることができる。
インクの吸光度は、顔料種、溶剤、分散体などの種類や含有量、顔料の体積平均粒径等により調整可能である。
一般に、顔料の含有量が多くなると吸光度が高くなり、顔料の体積平均粒径が小さくなると吸光度が高くなる。また顔料種によっても吸光度が異なる。従って、顔料種、顔料の含有量、体積平均粒径等を調節することにより、上記式(1)〜(3)の範囲とすることができる。
Xyk>Xck>Xmkであることにより、発色のバランスが良く、色再現性の高さに効果がある。
インクに含まれる顔料種にもよるが、概ね Ay>Ac≒Am のような関係があるとき発色のバランスが良く、色再現性が高くなる。一方、ブラックインクに含まれる顔料がカーボンブラックの場合には、図3にもあるように Ayk>Amk>Ack の関係があり、少なくとも Xck>Xmk の関係があるとき色再現性は高くなる。
顔料種にもよるが、一色だけXik(i=c、m、y)の値が大き過ぎたり、小さすぎたりすると、発色のバランスが悪くなり、色再現性が低くなる。また、Xck、Xmk、Xyk共に0.50よりも低い場合は、カラーの発色が低く、黒が強い画像になり、明部と暗部がはっきりした(ガンマの立った)画像になる傾向があり、逆に、0.70よりも大きい場合は、明部と暗部がはっきりしない(ガンマの寝た)画像になる傾向がある。
以下、インクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、添加剤等について説明する。
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクトブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
ブラックインクの顔料として、カーボンブラックを用いた場合、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの顔料として、上記の顔料を用いることにより、前記パラメータXck、Xmk、Xykがいずれも0.41以上、0.80以下となり易い。
顔料として前記顔料を含有することにより、発色性・色再現性が高くなる。
カラーインクの場合、顔料の体積平均粒径が小さいほど吸光度(Ac、Am、Ay)は大きくなる傾向があり、発色性が上がる。特に、シアンインクは顔料の体積平均粒径を小さくすることでグリーンの発色性が上がり(イエローインクの顔料の体積平均粒径も影響されるが)、明部の再現域が広くなる。逆に、ブラックインクは吐出性に影響しない程度に顔料の体積平均粒径が大きいほうが光学濃度が上がる傾向がある。このような理由で、体積平均粒径は、ブラックインク、マゼンタインク、イエローインク、シアンインクの順で小さくなると色再現性が向上することに繋がる。
樹脂は顔料を記録媒体上に定着させるために必要なものであるが、色再現性にも影響を与える。樹脂を添加することで、画像表面が平滑になり、光沢性が上がることによる発色性向上の効果がある。一方で、顔料に対する樹脂添加量が多くなりすぎた場合は、暗部が明るくなるため色再現性が低下し、逆効果となる。
ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクに用いる顔料自体の明るさ等を考慮すると、RとPの比率(R/P)がブラックインク、マゼンタインク、イエローインク、シアンインクの順で大きくなった場合に、全体の光沢が上がり、バランス良くなる。
顔料の分散剤として共重合体を用いることができる。共重合体としては、例えば、アクリル酸系共重合体、ビニル系共重合体、ポリエステル系共重合体、ポリウレタン系共重合体などが挙げられる。ここで、アクリル酸系共重合体とは、アクリル酸誘導体モノマー及び/又はメタクリル酸誘導体モノマーを用いた共重合体をいう。前記アクリル酸誘導体モノマー、及び前記メタクリル酸誘導体モノマーとしては、例えば、疎水性モノマー、及び親水性モノマーを用いることができる。
前記共重合体を用いて、顔料を分散する方法としては、例えば、ビーズミルやボールミルのようなボールを用いた混練分散機、ロールミルのような剪断力を用いた混練分散機、超音波分散機などを用いることができる。
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。
中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
一般式(F−2)
CnF2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1〜6の整数、又はCH2CH(OH)CH2−CmF2m+1でmは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
前処理液は、凝集剤、有機溶剤、水を含有し、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等を含有しても良い。
有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤は、インクに用いる材料と同様の材料を使用でき、その他、公知の処理液に用いられる材料を使用できる。
凝集剤の種類は特に限定されず、水溶性カチオンポリマー、酸、多価金属塩等が挙げられる。
後処理液は、透明な層を形成することが可能であれば、特に限定されない。後処理液は、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等、必要に応じて選択し、混合して得られる。また、後処理液は、記録媒体に形成された記録領域の全域に塗布しても良いし、インク像が形成された領域のみに塗布しても良い。
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
記録に用いる記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材繊維主体の紙、木材繊維及び合成繊維を主体とした不織布のようなシート状物質などが挙げられる。
記録媒体の表面層(塗工層)は、顔料及びバインダー(結着剤)を含有していてもよく、更に必要に応じて、界面活性剤、その他の成分を含有していてもよい。
前記顔料としては、無機顔料、又は無機顔料と有機顔料とを併用したものを用いることができる。
前記表面層を有する記録媒体には、非画像部の60°光沢度が30以上のものが多い。
1,6−ヘキサンジオール(東京化成工業株式会社製)62.0質量部(525mmol)を塩化メチレン700mLに溶解し、ピリジン20.7質量部(262mmol)を加えた。
この溶液に、2−ナフタレンカルボニルクロリド(東京化成工業株式会社製)50.0質量部(262mmol)を塩化メチレン100mLに溶解した溶液を、2時間かけて撹拌しながら滴下した後、室温で6時間撹拌した。得られた反応溶液を水洗した後、有機相を単離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比:98/2)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステル52.5質量部を得た。
次に、2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステル42.1質量部(155mmol)を乾燥メチルエチルケトン80mLに溶解し、60℃まで加熱した。この溶液に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズMOI、昭和電工株式会社製)24.0質量部(155mmol)を乾燥メチルエチルケトン20mLに溶解した溶液を、1時間かけて撹拌しながら滴下した後、70℃で12時間撹拌した。室温まで冷却した後、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比:99/1)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記構造式(c−1)で表される構造を有するモノマー57.0質量部を得た。
共重合体aの合成において、アクリル酸、及び下記構造式(b−1)で表される構造を有するモノマーを60℃で15時間反応させた以外は、共重合体aの合成と同様にして共重合体を得た。得られた共重合体を100%酸中和するようにジメチルエタノールアミン水溶液に溶解しながら、共重合体の濃度が10質量%になるようにイオン交換水で濃度調整することで共重合体bを得た。得られた共重合体bの重量平均分子量は29,000であった。
自己分散型のPigment black7の分散液(IJX−2440、Cabot製)を顔料濃度15%になるように調整して顔料分散体K1を得た。顔料分散体K1は、分散剤は未使用である。
顔料をIJX−2440から、IJX−2465M、IJX−2470Y、IJX−2450C(いずれもCabot社製顔料分散体)に変えた以外は顔料分散体K1と同様に、顔料濃度15%に調整して実施例1に用いる顔料分散体M1、Y1、C1を得た。
・NIPEX150(カーボンブラック、オリオンエンジニアドカーボンズ社製)
・・・15.0質量部
・高分子分散剤(BYKJET−9151、有効成分100%、ビックケミー社製)
・・・・5.0質量部
・イオン交換水 ・・・80.0質量部
分散剤をイオン交換水に加えて溶解し、カーボンブラックNIPEX150を混合、撹拌し充分に湿潤したところで、混練装置(ダイノーミル KDL A型、WAB社製)に直径0.5mmジルコニアビーズを充填して、2,000rpmで60分間混練を行なった。ジルコニアビーズを取り出して平均孔径が1μmのフィルターでろ過して、顔料固形分濃度が15質量%である顔料分散体K2を得た。
顔料および分散剤を表1に掲載した材料に変えた以外は顔料分散体K2と同様の方法を用いて、実施例2から実施例8、および比較例1、2に用いる顔料分散体K3〜K4、M2〜M4、M7、C2〜C4を得た。
10.83g(104mmol)のスチレンを4.33g(60mmol)のアクリル酸に溶解し、130gのイオン交換水、4.00gのアクアロンKH−10(第一工業製薬社製のアニオン性ラジカル反応性界面活性剤)、及び1.30gの過硫酸アンモニウムを加え、ホモミキサーでプレエマルションを形成した。次いで、100gのイオン交換水に2.00gのアクアロンKH−10を加え、アルゴン気流下で80℃まで加熱した後、プレエマルションのうち10%を加え、30分間初期重合させた。次いで、残りのプレエマルションを2時間かけて滴下しながら重合させた後、更に80℃で2時間重合させた。冷却後、ろ過し、アンモニア水で中和して、固形分濃度41%の樹脂エマルションW1を得た。
得られた顔料分散体における顔料の体積平均粒径D(50)の測定には、マイクロトラック社製のUPA−EX150を用いた。測定条件はイオン交換水でインクを600倍に希釈して測定セルに投入し、25℃で60秒間の測定を行った。測定結果を表1に掲載する。
(インクK1)
・顔料分散体K1 ・・・36.0質量部
・プロピレングリコール ・・・20.0質量部
・1,3−ブタンジオール ・・・10.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール ・・・・2.0質量部
・タケラック W−6110 ・・・17.6質量部
(ポリウレタン樹脂エマルション、有効分34%、三井化学株式会社製)
・TEGO Wet270 ・・・1.0質量部
(ポリエーテル変性シロキサン化合物、エボニック社製)
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール ・・・0.5質量部
・プロキセルLV ・・・0.1質量部
(防腐防黴剤、アーチ・ケミカルズ・ジャパン社製)
・イオン交換水 ・・・12.8質量部
顔料分散体K1以外の前記成分をイオン交換水に溶解した混合液を作製した後、顔料分散体K1と混合し、平均孔径が1μmのフィルターでろ過して、ブラックインクK1を得た。インク中に含まれる樹脂量Rと顔料の量P、及び両者の比R/Pを表3に記載する。
顔料分散体K1を顔料分散体M1、Y1、C1に変えた以外は、インクK1と同様の材料と表2に示す配合量にて、インクM1、インクY1、インクC1を得た。インク中に含まれる樹脂量Rと顔料の量P、及び両者の比R/Pを表3に記載する。
表2に示す材料と配合量にて、実施例1と同様の方法で、実施例2〜8に用いるインクを得た。インク中に含まれる樹脂量Rと顔料の量P、及び両者の比R/Pを表3に記載する。
実施例2に用いたインクK2の顔料分散体40.0質量部を34.0質量部に変え、イオン交換水を19.1質量部から25.1質量部に変えた以外を同様の材料と方法を用いてインクK5を得た。実施例2におけるインクK2の代わりにインクK5を用いたインクセットを比較例1として用いた。
実施例3に用いたインクM3の顔料分散体34.0質量部を28.0質量部に変え、イオン交換水を14.8質量部から20.8質量部に変えた以外を同様の材料と方法を用いてインクM5を得た。
同様の方法で、インクY3とインクC3の顔料分散体とイオン交換水の配合量を表2に示すように変えて、インクY5とインクC5を得た。
実施例3におけるインクM3、Y3、C3の代わりにインクM5、Y5、C5を用いたインクセットを比較例2として用いた。
実施例1に用いたインクY1の顔料分散体24.0質量部を18.0質量部に変え、イオン交換水を21.8質量部から27.8質量部に変えた以外は同様の材料と方法を用いてインクY6を得た。実施例1におけるインクY1の代わりにインクY6を用いたインクセットを比較例3として用いた。
実施例1に用いたインクY1の顔料分散体24.0質量部を36.0質量部に変え、イオン交換水を21.8質量部から9.8質量部に変えた以外は同様の材料と方法を用いてインクY7を得た。実施例1におけるインクY1の代わりにインクY7を用いたインクセットを比較例4として用いた。
MBD 3−メチル−1,3−ブタンジオール
PG プロピレングリコール
EHO 3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン
13BD 1,3−ブタンジオール
GLY グリセリン
2E13HD 2−エチル−1,3−ヘキサンジオール
WET270 TEGO WET270
(ポリエーテル変性シロキサン化合物、エポニック社製、
有効成分100%)
AEPD 2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール
LV プロキセルLV
W6110 タケラック W−6110
前記吸光度の測定には分光光度計(U−3310、株式会社日立製作所製)を用いた。測定対象である各インクを純水で900倍に希釈した上で、光路長10mmの石英ガラス製セルに入れて、測定に供した。リファレンスとしては純水を用いた。
可視光領域(波長340nmから波長800nm)において5nm刻み以下の間隔でスキャンを行い、吸光スペクトルを得た。
図3には、実施例4のインクの吸光スペクトルを示す。図3から、マゼンタ、イエロー、シアンの各インクのピーク波長を求め、対応する吸光度Am、Ay、Ac、およびAmk、Ayk、Ackを求めて表4に掲載した。
実施例におけるインクジェット記録用インクを、リコー製インクジェットプリンターIPSiO GX e5500に充填し、ワンパスでベタ画像の印字を行った。印刷評価は下記記録紙を用い、印字乾燥後、60°光沢度をBYK Gardner 4501(ビッグ・ガードナー社製)で測定した。画像部の測定結果を表5に記載する。
[評価紙]
OKトップコート+(王子製紙株式会社製):非画像部の60°光沢度は36.3
PODグロスコート100g/m2紙(王子製紙株式会社製)
:非画像部の60°光沢度は22.3
各インクを、インクジェットプリンタ(IPSiO GX−e5500、株式会社リコー製)にセットし、10分間連続印字を行い、ヘッド面にインクが付着した状態で保湿キャップをして前記インクジェットプリンタを50℃で60%RH環境下、1ヶ月間放置した後、クリーニングを実施して放置前と同等に復帰させた。その後、印刷パターンチャートを20枚連続で印字した後、20分間印字を実施しない休止状態にする。これを50回繰り返し、累計で1,000枚印字した後、もう1枚同じチャートを印字した時の5面積%チャートベタ部の筋、白抜け、噴射乱れの有無を目視により下記の基準で吐出安定性を評価し、表6に掲載する。ランクA、及びBが許容範囲である。
なお、印刷パターンは、紙面全面積中、各色の印字面積が5%であるチャートにおいて、各インクを100%dutyで印字した。印字条件は、記録密度1,200dpi×1,200dpiとした。
[評価基準]
A:ベタ部にスジ、白抜け、及び噴射乱れのいずれも無い
B:ベタ部にスジ、白抜け、及び噴射乱れの少なくともいずれかが若干認められる
C:ベタ部にスジ、白抜け、及び噴射乱れの少なくともいずれかが認められる
D:ベタ部全域にわたってスジ、白抜け、及び噴射乱れの少なくともいずれかが認め
られる
インクセットを、インクジェットプリンタ(IPSiO GX−e5500、株式会社リコー製)にセットし、下記評価紙にマゼンタ、イエロー、シアンおよび、2次色であるレッド、グリーン、ブルーの6色について、17諧調の画像を記録密度1,200dpi×1,200dpiで印字し、乾燥後、反射型カラー分光測色濃度計(X−Rite社製)を用いて、L*a*b*の値をJIS Z8781に準拠して測定した。
マゼンタ、イエロー、シアンの画像は、17階調の中の1から9階調までの明るい画像(明部)をカラー単色インクのみで形成し、10から17階調までの暗い画像(暗部)をカラー単色インクにブラックインクを加えることで形成した。同様に、レッドは明部にマゼンタとイエローインク、グリーンは明部にイエローとシアンインク、ブルーは明部にシアンとマゼンタインクを用い、2色の配合割合を変えずに画像を形成し、暗部の画像は更にブラックインクを加えることで形成した。
測定値と標準色(Japan color ver.2)の彩度C*と明度L*のグラフを図4のように作成し、以下に示す方法を用いてリーフ面積カバー率を求めた。
図4は実施例1のマゼンタとブラックインクを用いた画像であり、彩度はC*={(a*)2+(b*)2}1/2で定義され、色の鮮やかさを測る指標である。
まず、リーフ面積の求め方を以下に示す。例えば、図4においてJapan Colorのマゼンタ色の場合、マゼンタ色再現域の最外郭のプロットを17ポイント選び、表示している。このプロットを明度L*の高い順に1、2、・・・17の番号を付け、プロット1とプロット2の間を直線で結び、プロット1、2と明度L*軸で囲まれた台形(三角形の場合もある)の面積S1,2を算出する。次にプロット2、3と明度L*軸で囲まれた台形の面積S2,3を求める。同様の方法で、面積S16,17まで求め、S1,2からS16,17までを全て足し合わせた値Sをリーフ面積と定義する。実施例1のリーフ面積も同様の方法で算出できる。
次に、リーフ面積カバー率の求め方を以下に示す。図4において、Japan Colorのプロットを結んだラインよりも実施例1のプロットを結んだラインの方が彩度C*が高い(ラインが右側にある)場合、この明度においては実施例1はJapan Colorの色域を100%カバーしていると言える。逆に、Japan Colorのプロットを結んだラインよりも実施例1のプロットを結んだラインほうが彩度C*が低い(ラインが左側にある)場合、実施例1はJapan Colorの色域をカバーできていないことになる。実施例1がJapan Colorをカバーできている部分はJapan Colorのリーフ面積Sn,n+1を足し合わせ、カバーできていない部分はリーフ面積Sm,m+1(n、mは自然数)を足し合わせることで、実施例1がJapan Colorをカバーできている面積を算出する。これは、図4においてグレーで塗りつぶした部分の面積に対応する。実施例等の画像から測定したJapan Colorをカバーできている面積と、Japan Colorのリーフ面積の比率(%)をリーフ面積カバー率と定義する。
他の5色(シアン、イエロー、レッド、ブルー、グリーン)も同様の方法で、リーフ面積カバー率を求めることができる。
図4の場合のリーフ面積カバー率は92%と算出できる。下記評価基準に基づき色再現性を評価した結果を表7〜10に示した。リーフ面積カバー率が大きく100%に近いほど色再現性に優れる。なお、ランクA、Bが許容範囲である。
[評価紙]
OKトップコート+(王子製紙株式会社製)
PODグロスコート100g/m2紙(王子製紙株式会社製)
[評価基準]
A:リーフ面積カバー率が95%以上、100%以下
B:リーフ面積カバー率が90%以上、95%未満
C:リーフ面積カバー率が85%以上、90%未満
D:リーフ面積カバー率が85%未満
上記リーフ面積カバー率の測定値における17プロットの中で最も彩度C*の高いデータを、Japan Colorの17プロットの中で最も彩度の高い数値で割った比率をkとする。
kの値が1よりも大きい場合はJapan Colorよりも高彩度である。以下の評価基準に基き評価した結果を表9、表10に記載するが、許容範囲はA、Bである。
[評価基準]
A: k≧1.1
B:1.1>k≧1.0
C:1.0>k≧0.9
D:0.9>k」
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
Claims (11)
- ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの4色のインクを有するインクセットにおいて、
可視光領域での前記シアンインク、前記マゼンタインク、前記イエローインクの最大吸光度をそれぞれAc、Am、Ayとし、前記シアンインク、前記マゼンタインク、前記イエローインクが最大吸光度を示す波長における、ブラックインクの吸光度をそれぞれAck、Amk、Aykとするとき、下記式(1)〜式(3)で表されるパラメータXck、Xmk、Xykがいずれも0.41以上、0.80以下であるインクセット。
Xck=Ac/Ack・・・式(1)
Xmk=Am/Amk・・・式(2)
Xyk=Ay/Ayk・・・式(3) - 前記パラメータXck、Xmk、Xykが、Xyk>Xck>Xmkである請求項1に記載のインクセット。
- 前記パラメータXck、Xmk、Xykが、いずれも0.50以上、0.70以下である請求項1又は2に記載のインクセット。
- 前記4色のインクが、いずれも色材を含有し、前記色材が顔料である請求項1から3のいずれかに記載のインクセット。
- 前記ブラックインクの顔料がC.I.ピグメントブラック7(カーボンブラック)、前記シアンインクの顔料がC.I.ピグメントブルー15:3または15:4、前記マゼンタインクの顔料がC.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントバイオレット19の混晶またはC.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントバイオレット19の混晶、前記イエローインクの顔料がC.I.ピグメントイエロー74または155を含む請求項4に記載のインクセット。
- 前記4色のインクに含有される顔料の体積平均粒径D(50)が、ブラックインク、マゼンタインク、イエローインク、シアンインクの順で小さくなる請求項4又は5に記載のインクセット。
- 前記4色のインクがさらに樹脂を含有し、樹脂の含有量をR、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクの各インクにおける顔料含有量をPとしたとき、RとPの比率(R/P)がブラックインク、マゼンタインク、イエローインク、シアンインクの順で大きくなる請求項4から6のいずれかに記載のインクセット。
- 前記4色のインクがさらに分散剤を含有し、前記分散剤が、下記一般式(a)で表される構造単位と、下記一般式(b)で表される構造単位及び下記一般式(c)で表される構造単位のいずれかと、を有する請求項1から7のいずれかに記載のインクセット。
- 請求項1から8のいずれかに記載のインクセットを用いて、非画像部の60°光沢度が30以上の記録媒体に画像部を形成する記録方法であって、形成した画像部の60°光沢度が50以上であるインクジェット記録方法。
- 請求項1から8のいずれかに記載のインクセットの4色のインクをそれぞれ容器中に収容してなるインク収容容器。
- 請求項1から8のいずれかに記載のインクセットの4色のインクに刺激を印加し、前記4色のインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するインク吐出手段を有するインクジェット記録装置。
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