JP2020049493A - 熱硬化性フラックス組成物および電子基板の製造方法 - Google Patents
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Description
一方、実装基板上にフラックス剤を含有する接着剤を予め印刷しておき、印刷部分にパッケージ部品を実装する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、特許文献1に記載の接着剤を用いる方法においては、接着剤の硬化物が実装基板に残ることになる。そのため、この接着剤の硬化物にも、実装基板に用いられる材料(ソルダーレジストなど)と同様に絶縁性が求められる。そして、例えば接着剤の硬化率を下げるような方法で、はんだ付け性の向上を図ろうとしても、接着剤の硬化物における絶縁性が問題となる。
このように、硬化物の絶縁性と、はんだ付け性とは、トレードオフの関係にあり、これらを共に向上させるのは困難であった。
また、近年の実装部品の小型化および狭ピッチ化により、フラックス剤中の活性剤粒子の存在も無視できなくなってきている。この活性剤粒子は、リフロー時には液状となるために活性作用が高く、室温で固体であるために安定性が高いという点で優れるので、フラックス剤の多くで使用されている。しかしながら、この活性剤粒子は、電極間や電極上に存在することで、接続不良または絶縁不良の原因ともなりえる。そこで、活性剤粒子(例えば、粒子径が10μm以上の活性剤粒子)を用いない活性剤組成も求められている。
本発明の熱硬化性フラックス組成物は、リフローはんだ付けまたは熱圧着により、融点が130℃以上240℃以下のはんだ合金からなるはんだバンプを有する電子部品を電子基板に接合させる場合に用いる熱硬化性フラックス組成物であって、(A)オキセタン化合物と、(B)温度20℃において液状のカルボキシル基含有化合物と、を含有し、前記(A)成分が、(A1)1分子中に2つのオキセタン環を有する二官能オキセタン化合物を含有することを特徴とするものである。
本発明の熱硬化性フラックス組成物においては、前記(B2)成分が、下記一般式(1)で表される化合物、および下記一般式(2)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の熱硬化性フラックス組成物においては、(C)エポキシ樹脂を、さらに含有することが好ましい。
本発明の熱硬化性フラックス組成物においては、(D)硬化剤を、さらに含有し、前記(D)成分が、カチオン重合開始剤であることが好ましい。
本発明の第二の電子基板の製造方法は、配線基板上に、前記熱硬化性フラックス組成物を塗布する塗布工程と、はんだバンプを有する電子部品を前記配線基板の接合用ランド上に搭載する搭載工程と、前記電子部品を前記配線基板に熱圧着する熱圧着工程と、前記熱硬化性フラックス組成物を加熱して硬化させる熱硬化工程と、を備えることを特徴とする方法である。
本発明の電子基板の製造方法においては、前記接合用ランドには、予め、はんだプリコートが形成されていることが好ましい。
すなわち、本発明の熱硬化性フラックス組成物は、リフロー工程では、熱硬化性フラックス組成物の硬化がそれほど進まないような(A)オキセタン化合物を用いている。そのため、溶融はんだの流動性が熱硬化性フラックス組成物の硬化物により妨げられることがないために、はんだ付け性を維持できる。一方で、本発明の熱硬化性フラックス組成物は、リフロー工程後の熱硬化工程で、十分に硬化させることができるので、硬化物の絶縁性を確保できる。さらに、本発明の熱硬化性フラックス組成物は、(C)温度20℃において液状のカルボキシル基含有化合物を含有しており、温度20℃において固体状の活性剤は用いていない。そのため、活性剤粒子を原因とする接続不良または絶縁不良が発生するおそれがない。また、この(C)成分は、十分な活性作用を有しており、保存安定性についてもそれほど低下はしない。以上のようにして、上記本発明の効果が達成されるものと本発明者らは推察する。
まず、本実施形態の熱硬化性フラックス組成物について説明する。
本実施形態の熱硬化性フラックス組成物は、リフローはんだ付けまたは熱圧着により、はんだバンプを有する電子部品を電子基板に接合させる場合に用いる熱硬化性フラックス組成物であって、以下説明する(A)オキセタン化合物、(B)温度20℃において液状のカルボキシル基含有化合物を含有するものである。
本実施形態に用いる(A)オキセタン化合物としては、公知のオキセタン化合物を適宜用いることができる。また、この(A)成分は、(A1)1分子中に2つのオキセタン環を有する二官能オキセタン化合物を含有することが必要である。
また、この(A)成分は、(A2)1分子中に1つのオキセタン環を有する単官能オキセタン化合物を含有していてもよい。この(A2)成分を含有することにより、熱硬化性フラックス組成物の硬化温度を高めることができ、熱硬化性フラックス組成物の硬化温度を調整できる。
前記(A2)成分としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成社製の「OXT−101」)、2−エチルヘキシルオキセタン(東亞合成社製の「OXT−212」)、および、3−エチル−3−(メタクリロイルオキシ)メチルオキセタン(宇部興産社製の「ETERNACOLL OXMA」)などが挙げられる。
本実施形態に用いる(B)温度20℃において液状のカルボキシル基含有化合物としては、(B1)ロジン系樹脂および(B2)分岐二塩基酸が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。この(B)成分は、リフロー工程では、オキセタン化合物との硬化反応がそれほど進まないため、熱硬化性フラックス組成物の硬化温度を適切な範囲に調整できる。また、(B)成分は、粒子化しにくいという観点から、非結晶性であることが好ましい。
(B)成分としては、(B1)成分および(B2)成分からなる群から選択される少なくとも1種を用いればよいが、諸特性のバランスの観点からは、(B1)成分および(B2)成分を併用することが好ましい。
また、一般式(2)中、nは、2〜30であり、2〜5であることが好ましい。
なお、一般式(2)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物の誘導体であり、ポリ酸ポリ無水物である。
(B2)成分としては、イソエイコサン二酸、イソドコサン二酸、イソドコサジエン二酸、ブチルオクタン二酸、2−メチルアゼライン酸、2−ブチルオクタン二酸、8,13−ジメチル−8,12−エイコサジエン二酸、8,13−ジメチルエイコサン二酸、8−エチルオクタデカン二酸、8−ビニル−10−オクタデセン二酸、ポリ8,13−ジメチル−8,12−エイコサジエン二酸無水物、および、炭素数36のダイマー酸などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(B2)成分の市販品としては、MMA−10R、SB−12、IPU−22、IPS−22、SB−20、UB−20、IPU−22AH(岡村製油社製、商品名)、および、プリポール1009など(クローダジャパン社製、商品名)が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態に用いる(C)エポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂を適宜用いることができる。この(C)成分により、硬化物のガラス転移点を高めたり、耐衝撃性を高めたりすることができる。また、この(C)成分により、熱硬化性フラックス組成物の硬化温度を調整できる。
このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビフェニル型、ナフタレン型、クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型などのエポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらのエポキシ樹脂は、硬化物の耐衝撃性の観点から、ゴム変性されたものであることが好ましい。さらに、これらのエポキシ樹脂は、常温で液状のものを含有することが好ましく、常温で固形のものを用いる場合には、常温で液状のものと併用することが好ましい。
また、(C)成分は、硬化物のガラス転移点を高め、耐衝撃性を高めるという観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。
本実施形態に用いる(D)硬化剤としては、公知の硬化剤を適宜用いることができる。この(D)成分により、熱硬化性フラックス組成物の硬化温度を調整できる。(D)成分としては、例えば、カチオン重合開始剤などを用いることができる。カチオン重合開始剤とは、熱や光により酸を発生するものである。本実施形態においては、熱により酸を発生する熱カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。
熱カチオン重合開始剤としては、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、アレン−イオン錯体、第4級アンモニウム塩、アルミニウムキレート、および三フッ化ホウ素アミン錯体などが挙げられる。これらの中でも、熱硬化性フラックス組成物の硬化温度を適切な範囲に調整するという観点から、アリールスルホニウム塩が好ましい。
本実施形態の熱硬化性フラックス組成物は、必要に応じて、(A)成分〜(D)成分の他に、チクソ剤、界面活性剤、カップリング剤、消泡剤、粉末表面処理剤、反応抑制剤、沈降防止剤、およびフィラーなどの添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤の配合量としては、固形分換算で、熱硬化性フラックス組成物100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。また、本実施形態の熱硬化性フラックス組成物は、塗布性の調整などの観点から、溶剤を含有していてもよい。溶剤を用いる場合、その配合量は特に制限されない。
本実施形態の熱硬化性フラックス組成物は、(A)成分および(B)成分などを前記の所定の割合で配合し、撹拌混合することで製造できる。
次に、本実施形態の電子基板の製造方法について説明する。なお、本実施形態の熱硬化性フラックス組成物の使用方法が、本実施形態の電子基板の製造方法に限定されるわけではない。
本実施形態の第一の電子基板の製造方法は、前述した本実施形態の熱硬化性フラックス組成物を用いる方法であって、以下説明する塗布工程、搭載工程、リフロー工程および熱硬化工程を備える。
配線基板としては、プリント配線基板、配線が設けられたシリコン基板などが挙げられる。
塗布装置としては、スピンコータ、スプレーコータ、バーコータ、アプリケータ、ディスペンサ、およびスクリーン印刷機などが挙げられる。なお、塗布装置として、スピンコータ、スプレーコータなどを用いる場合には、熱硬化性フラックス組成物を溶剤にて希釈して用いることが好ましい。
溶剤としては、ケトン類(メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなど)、芳香族炭化水素類(トルエンおよびキシレンなど)、アルコール類(メタノール、イソプロパノールおよびシクロヘキサノールなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサンなど)、石油系溶剤類(石油エーテルおよび石油ナフサなど)、セロソルブ類(セロソルブおよびブチルセロソルブなど)、カルビトール類(カルビトールおよびブチルカルビトールなど)、および、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、およびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなど)などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
塗布膜の厚み(塗布膜厚)は、適宜設定できる。
はんだバンプを有する電子部品としては、例えば、BGAパッケージ、およびチップサイズパッケージなどが挙げられる。
はんだバンプは、融点が130℃以上240℃以下のはんだ合金からなる。なお、はんだバンプは、その表面にはんだ合金によるメッキがされているものであってもよい。融点が130℃以上150℃以下のはんだ合金としては、Sn−Bi系などのはんだ合金が挙げられる。また、融点が200℃以上240℃以下のはんだ合金としては、Sn−Ag−Cu系、およびSn−Ag系などのはんだ合金が挙げられる。
搭載工程で用いる装置としては、公知のチップマウント装置を適宜用いることができる。
また、接合用ランドの材質としては、公知の導電性材料(銅、銀など)を適宜用いることができる。なお、接合用ランドには、予め、はんだプリコートが形成されていることが好ましい。はんだプリコートとは、例えば、接合用ランドの銅などの酸化を防止するといった目的のために、接合用ランド上に設けられるはんだ薄膜のことである。このはんだプリコートにより、接合部における接合強度を更に向上できる。はんだプリコートを形成する方法としては、(i)はんだ組成物を接合用ランド上に印刷し、リフロー処理を施す方法、(ii)はんだメッキによる方法、および(iii)ホットエアレベラーによる方法などが挙げられる。
ここで用いる装置としては、公知のリフロー炉を適宜用いることができる。
リフロー条件は、はんだの融点に応じて適宜設定すればよい。例えば、Sn−Ag−Cu系のはんだ合金を用いる場合には、プリヒートを温度150〜180℃で60〜120秒行い、ピーク温度を220〜260℃に設定すればよい。
加熱条件としては、加熱温度が、150℃以上220℃以下であることが好ましく、180℃以上200℃以下であることがより好ましい。加熱温度が前記範囲内であれば、熱硬化性フラックス組成物を十分に硬化させることができ、電子基板に搭載された電子部品への悪影響も少ない。
加熱時間は、10分間以上3時間以下であることが好ましく、20分間以上90分間以下であることがより好ましく、30分間以上60分間以下であることが特に好ましい。加熱時間が前記範囲内であれば、熱硬化性フラックス組成物を十分に硬化させることができ、電子基板に搭載された電子部品への悪影響も少ない。
熱圧着時の温度は、はんだの融点よりも高い温度(より好ましくは10℃以上高い温度)とすることが好ましい。熱圧着時の温度が、はんだの融点よりも高い温度とすれば、はんだを十分に溶融させることができる。
例えば、Sn−Ag−Cu系のはんだ合金を用いる場合には、熱圧着時の温度は、200℃以上250℃以下とすることが好ましい。
熱圧着時の圧力は、特に限定されないが、はんだ付け性と基板へのストレスとのバランスの観点から、0.05MPa以上4MPa以下とすることが好ましく、0.1MPa以上2MPa以下とすることがより好ましく、0.3MPa以上1MPa以下とすることが特に好ましい。
熱圧着時の時間は、特に限定されないが、1秒間以上60秒間以下であることが好ましく、2秒間以上20秒間以下であることがより好ましく、3秒間以上15秒間以下であることが特に好ましい。
なお、本実施形態の熱硬化性フラックス組成物、および電子基板の製造方法は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
((A1)成分)
二官能オキセタン化合物:商品名「ETERNACOLL OXBP」、宇部興産社製
((A2)成分)
単官能オキセタン化合物:商品名「アロンオキセタン OXT−212」、東亞合成社製
((B1)成分)
ロジン系樹脂:水添酸変性ロジン、商品名「KE−604」、荒川化学工業社製
((B2)成分)
分岐二塩基酸A:2−メチルアゼライン酸(主成分)、商品名「MMA−10R」、岡村製油社製
分岐二塩基酸B:2−ブチルオクタン二酸(主成分)、商品名「SB−12」、岡村製油社製
分岐二塩基酸C:8,13−ジメチル−8,12−エイコサジエン二酸(主成分)、商品名「IPU−22」、岡村製油社製
分岐二塩基酸D:8,13−ジメチルエイコサン二酸(主成分)、商品名「IPS−22」、岡村製油社製
分岐二塩基酸E:8−エチルオクタデカン二酸(主成分)、商品名「SB−20」、岡村製油社製
分岐二塩基酸F:8−ビニル−10−オクタデセン二酸(主成分)、商品名「UB−20」、岡村製油社製
分岐二塩基酸G:ポリ8,13−ジメチル−8,12−エイコサジエン二酸無水物(主成分)、商品名「IPU−22AH」、岡村製油社製
分岐二塩基酸H:炭素数36のダイマー酸(主成分)、商品名「プリポール1009」、クローダジャパン社製
((C)成分)
エポキシ樹脂A:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名「EPICLON EXA−850CRP」、DIC社製
((D)成分)
硬化剤:カチオン重合開始剤、商品名「SAN−AID SI−B4」、三新化学工業社製
(他の成分)
活性剤A:アジピン酸
活性剤B:エイコサン二酸、商品名「SL−20」、岡村製油社製
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
二官能オキセタン化合物65質量%、ロジン系樹脂30質量%および溶剤5質量%を容器に投入し、粉砕混合機(三本ロール)にて、粉砕し混合し分散させて、表1に示す組成を有する熱硬化性フラックス組成物を得た。
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、熱硬化性フラックス組成物および評価用基板を得た。
熱硬化性フラックス組成物の評価(粒子、はんだ溶融性、絶縁性、保存安定性、フィルム加工性)を以下のような方法で行った。得られた結果を表1に示す。
(1)粒子
熱硬化性フラックス組成物をスライドガラスに0.05g載せ、10mm角のカバーガラスで挟み、金属顕微鏡で観察する。なお、試験は、サンプルを3つ作製し、それぞれのサンプルについて行った。そして、下記の基準に従って、粒子を評価した。
○:10μm以上の粒がない。
△:10μm以上の粒が、1サンプルあたり、5個未満である。
×:10μm以上の粒が、1サンプルあたり、5個以上である。
(2)加熱だれ性
厚みが0.3mmの銅板上に、熱硬化性フラックス組成物を、直径が1cmで厚みが50μmとなるように、メタルマスクにて塗布した後、SAC305のはんだボール(直径:350〜450μm、はんだ合金:Sn−Ag3.0−Cu0.5、はんだの融点:217℃〜220℃)を1個載せて、試験基板を作製した。この試験基板をホットプレートに載せ、下記の2つの条件で加熱して、はんだボールの溶融性を目視にて確認した。
条件(a)150℃で1分間加熱後に、250℃で30秒間加熱する。
条件(b)250℃で30秒間加熱する。
そして、下記の判定基準に従って、はんだ溶融性を評価した。
○:条件(a)および条件(b)のいずれの場合も、はんだが溶融した。
△:条件(a)の場合は、はんだが溶融しなかったが、条件(b)の場合は、はんだが溶融した。
×:条件(a)および条件(b)のいずれの場合も、はんだが溶融しなかった。
(3)絶縁性
JIS2型の櫛形銅基板(導体幅:0.318mm、導体間隔:0.318mm、大きさ:30mm×30mm)に、熱硬化性フラックス組成物を、櫛形部分を覆い、厚みが30μmとなるように、メタルマスクにて塗布した後、ホットプレートに載せ、180℃1時間加熱して、試験基板を作製した。そして、この試験基板を、JIS Z 3284−1の規定に準拠して、温度85℃、相対湿度85%に設定した恒温恒湿試験機に投入し、300時間後の絶縁抵抗値を測定した。そして、下記の基準に従って、絶縁性を評価した。
○:絶縁抵抗値が、1.0×109以上である。
△:絶縁抵抗値が、1.0×108以上1.0×109未満である。
×:絶縁抵抗値が、1.0×108未満である。
(4)保存安定性
まず、熱硬化性フラックス組成物を試料として、粘度を測定する。その後、試料を密封容器に入れ、温度25℃の恒温槽に投入し、24時間保管し、保管した試料の粘度を測定する。そして、保管前の粘度値(η1)に対する、温度25℃にて24時間保管後の粘度値(η2)と変化度(η2/η1)を求める。なお、粘度測定は、スパイラル方式の粘度測定(測定温度:25℃、回転速度:10rpm)によりを行う。
そして、粘度の変化度の結果に基づいて、下記の基準に従って、保存安定性を評価した。
○:粘度の変化度が、1.3未満である。
△:粘度の変化度が、1.3以上2.0未満である。
×:粘度の変化度が、2.0以上である。
(5)フィルム加工性
熱硬化性フラックス組成物を銅板上に塗布し、180℃1時間加熱して、その後、銅板から剥離してフィルム化した後、切り出して試験片を得た。試験片の大きさは、4mm×20mmであり、厚みは200μmである。この試験片を破断するまで、或いは180度まで折り曲げ、試験片を破断した時の角度(折り曲げ角度)を計測した。
そして、折り曲げ角度に基づいて、下記の基準に従って、フィルム加工性を評価した。
◎:折り曲げ角度が、120度以上である。
○:折り曲げ角度が、90度以上120度未満である。
△:折り曲げ角度が、45度以上90度未満である。
×:折り曲げ角度が、45度未満である。
なお、実施例1〜13で得られた熱硬化性フラックス組成物のように、フィルム加工性が良好な場合には、硬化物にクラックが入りにくい傾向があり、また、はんだ接合の補強効果も高い傾向にある。
Claims (8)
- リフローはんだ付けまたは熱圧着により、融点が130℃以上240℃以下のはんだ合金からなるはんだバンプを有する電子部品を電子基板に接合させる場合に用いる熱硬化性フラックス組成物であって、
(A)オキセタン化合物と、(B)温度20℃において液状のカルボキシル基含有化合物と、を含有し、
前記(A)成分が、(A1)1分子中に2つのオキセタン環を有する二官能オキセタン化合物を含有する
ことを特徴とする熱硬化性フラックス組成物。 - 請求項1に記載の熱硬化性フラックス組成物において、
前記(B)成分が、(B1)ロジン系樹脂および(B2)分岐二塩基酸からなる群から選択される少なくとも1種である
ことを特徴とする熱硬化性フラックス組成物。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱硬化性フラックス組成物において、
(C)エポキシ樹脂を、さらに含有する
ことを特徴とする熱硬化性フラックス組成物。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱硬化性フラックス組成物において、
(D)硬化剤を、さらに含有し、
前記(D)成分が、カチオン重合開始剤である
ことを特徴とする熱硬化性フラックス組成物。 - 配線基板上に、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱硬化性フラックス組成物を塗布する塗布工程と、
はんだバンプを有する電子部品を前記配線基板の接合用ランド上に搭載する搭載工程と、
前記電子部品が搭載された配線基板を加熱することにより、前記はんだバンプを溶融させ、前記はんだバンプを前記接合用ランドに接合するリフロー工程と、
前記熱硬化性フラックス組成物を加熱して硬化させる熱硬化工程と、を備える
ことを特徴とする電子基板の製造方法。 - 配線基板上に、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱硬化性フラックス組成物を塗布する塗布工程と、
はんだバンプを有する電子部品を前記配線基板の接合用ランド上に搭載する搭載工程と、
前記電子部品を前記配線基板に熱圧着する熱圧着工程と、
前記熱硬化性フラックス組成物を加熱して硬化させる熱硬化工程と、を備える
ことを特徴とする電子基板の製造方法。 - 請求項6または請求項7に記載の電子基板の製造方法において、
前記接合用ランドには、予め、はんだプリコートが形成されている
ことを特徴とする電子基板の製造方法。
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