以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.第1の実施形態>
図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る放電機構60について説明する。
[構成]
まず、図1及び図2を参照して、第1の実施形態に係る放電機構60の構成について説明する。
本実施形態に係る放電機構60は、電源装置から供給される電力を蓄電して平滑化するコンデンサを含む電気回路を備える車両に搭載される車両用放電機構であり、車両の衝突時にコンデンサの電荷を適切に放電させるために設けられる。なお、放電機構60の構成の詳細については、後述する。
図1は、本実施形態に係る放電機構60が搭載される車両1の概略構成を示す模式図である。図1では、車両1の進行方向を前方向とし、進行方向に対して逆方向を後方向とし、進行方向を向いた状態における左側及び右側をそれぞれ左方向及び右方向として、車両1が示されている。
なお、車両1はあくまでも放電機構60が搭載される車両の一例であり、放電機構60が搭載される車両の構成はこのような例に特に限定されない。また、電気回路100は、あくまでも放電機構60が搭載される車両に設けられる電気回路の一例であり、放電機構60が搭載される車両に設けられる電気回路の構成はこのような例に特に限定されない。
図1に示すように、車両1は、コンデンサ37を含む電気回路100を備える。電気回路100には、電源装置としてのバッテリ35と、インバータ33とがさらに設けられる。さらに、車両1は、モータ31と、フロントディファレンシャル装置21と、センターディファレンシャル装置23と、リヤディファレンシャル装置25と、制御装置200と、衝突センサ301とを備える。
モータ31は、車輪を駆動するための動力を出力する駆動源である。具体的には、モータ31は、バッテリ35に蓄電される電力を用いて、左前輪11、右前輪12、左後輪13及び右後輪14へ伝達される動力を出力可能である。
具体的には、モータ31は、多相交流式(例えば、三相交流式)であり、インバータ33を介してバッテリ35と接続されている。バッテリ35から送られる直流電力は、インバータ33によって交流電力に変換されてモータ31へ供給される。モータ31は、このようにインバータ33を介してバッテリ35から供給される電力を用いて動力を生成する。モータ31の出力軸はセンターディファレンシャル装置23と接続されており、モータ31から出力された動力はセンターディファレンシャル装置23へ伝達される。
センターディファレンシャル装置23は、フロントディファレンシャル装置21及びリヤディファレンシャル装置25と駆動軸を介してそれぞれ接続されている。センターディファレンシャル装置23へ伝達された動力は、センターディファレンシャル装置23によってフロントディファレンシャル装置21及びリヤディファレンシャル装置25へ分配されて伝達される。
フロントディファレンシャル装置21は、左前輪11及び右前輪12と、車軸を介してそれぞれ接続されている。フロントディファレンシャル装置21へ伝達された動力は、フロントディファレンシャル装置21によって左前輪11及び右前輪12へ分配されて伝達される。
リヤディファレンシャル装置25は、左後輪13及び右後輪14と、車軸を介してそれぞれ接続されている。リヤディファレンシャル装置25へ伝達された動力は、リヤディファレンシャル装置25によって左後輪13及び右後輪14へ分配されて伝達される。
また、モータ31は、車両1の減速時等に車輪の運動エネルギを用いて回生発電を実行可能である。モータ31が回生発電を行う場合、モータ31により発電された交流電力は、インバータ33によって直流電力に変換されてバッテリ35へ充電される。
インバータ33は、上述したように、モータ31とバッテリ35との間での双方向の電力変換を実行可能である。インバータ33は、例えば、多相ブリッジ回路(例えば、三相ブリッジ回路)を含んで構成される。
バッテリ35は、モータ31とインバータ33を介して接続され、モータ31へ供給される電力を蓄電する。具体的には、バッテリ35は、高電圧(例えば、350V)の電力供給源である。バッテリ35としては、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池又は鉛蓄電池等の二次電池が用いられる。
電気回路100において、バッテリ35とインバータ33との間には、電源装置としてのバッテリ35から供給される電力を蓄電して平滑化するコンデンサ37が設けられる。このように、コンデンサ37は、バッテリ35に対してインバータ33と並列に接続される。
バッテリ35の正極とコンデンサ37の正極とは第1電力線40によって接続されており、バッテリ35の負極とコンデンサ37の負極とは第2電力線50によって接続されている。このように、電気回路100は、第1電力線40及び第2電力線50を含む。
放電機構60は、車両1の衝突時に作動してコンデンサ37の電荷を放電させる機能を有し、具体的には、バッテリ35とコンデンサ37との間に設けられる。例えば、放電機構60は、コンデンサ37及びインバータ33とともに同一の筐体内に収容され得る。以下、図2を参照して、放電機構60の構成の詳細について説明する。
図2は、放電機構60の作動前(つまり、車両1の衝突前)の様子を示す模式図である。
図2に示すように、放電機構60は、車両1の衝突時に第1電力線40及び第2電力線50を切断する切断部材63を備えており、切断部材63は、第1電力線40及び第2電力線50が切断された状態において第1電力線40のコンデンサ37側と第2電力線50のコンデンサ37側との間を接続する抵抗部63dを有している。
放電機構60は、具体的には、ケース61と、切断部材63と、駆動装置65とを備える。
ケース61には、切断部材63及び駆動装置65が収容される。第1電力線40及び第2電力線50は、ケース61の内部空間を通ってケース61を貫通して設けられている。第1電力線40及び第2電力線50におけるケース61を貫通している部分(具体的には、ケース61の内部空間及び当該内部空間を画成する部材を貫通している部分)は、図2に示すように、第1バスバー41及び第2バスバー51によってそれぞれ形成されており、第1電力線40及び第2電力線50における他の部分と比較して高剛性になっていることが好ましい。
切断部材63は、ケース61内において、移動可能に設けられている。具体的には、切断部材63は、ケース61の内周面に対して摺動して移動可能となっている。また、ケース61内において、第1バスバー41及び第2バスバー51は、切断部材63の移動可能な範囲内に位置しており、切断部材63の移動方向に交差する方向に延在している。例えば、ケース61内において、第1バスバー41及び第2バスバー51は、互いに平行に延在している。
車両1の衝突時に、切断部材63は、駆動装置65により駆動されて、第1バスバー41及び第2バスバー51に向けて移動する。このように、切断部材63が駆動装置65により駆動されることが、放電機構60の作動に相当する。ここで、切断部材63における第1バスバー41及び第2バスバー51側の部分は、鋭利な刃部となっている。ゆえに、切断部材63が、移動を開始した後に第1バスバー41及び第2バスバー51と接触し、さらに第1バスバー41及び第2バスバー51の位置を超えて移動することによって、第1バスバー41及び第2バスバー51を切断することができる。上述したように、第1電力線40及び第2電力線50におけるケース61を貫通している部分を第1バスバー41及び第2バスバー51によってそれぞれ形成することによって、第1電力線40及び第2電力線50を切断部材63により切断しやすくすることができる。
例えば、切断部材63における第1バスバー41及び第2バスバー51側の部分のうちのコンデンサ37側(換言すると、放電機構60においてコンデンサ37が接続される側)の部分が鋭利な刃部となっており、第1バスバー41及び第2バスバー51はケース61の内周面におけるコンデンサ37側の部分に沿って切断される。なお、切断部材63におけるコンデンサ37側の部分とは、切断部材63のうち放電機構60においてコンデンサ37が接続される側の部分を意味する。また、ケース61の内周面におけるコンデンサ37側の部分とは、ケース61の内周面のうち放電機構60においてコンデンサ37が接続される側の部分を意味する。なお、第1バスバー41及び第2バスバー51において切断部材63により切断される位置は、上記の例に特に限定されず、例えば、ケース61の内周面から離れた位置であってもよい。
切断部材63は、具体的には、第1導電部63aと、第2導電部63bと、絶縁部63cと、抵抗部63dとを有する。
第1導電部63a及び第2導電部63bは、導電性を有する部分であり、切断部材63におけるコンデンサ37側の端部に配置されている。抵抗部63dは、第1導電部63a及び第2導電部63bと比較して大きな電気抵抗を有する部分であり、第1導電部63aと第2導電部63bとの間に接続される。後述するように、第1バスバー41及び第2バスバー51が切断部材63により切断された状態において、第1導電部63a及び第2導電部63bが第1バスバー41のコンデンサ37側及び第2バスバー51のコンデンサ37側とそれぞれ電気的に接続されることより、第1バスバー41のコンデンサ37側と第2バスバー51のコンデンサ37側とが抵抗部63dを介して接続される
なお、抵抗部63dは、第1導電部63a及び第2導電部63bと同一の部材によって形成されてもよく、第1導電部63a又は第2導電部63bと別の部材によって形成されてもよい。例えば、第1導電部63a、第2導電部63b及び抵抗部63dが同一の部材によって形成される場合、当該部材のうちの他の部分と比較して電気抵抗が大きくなっている部分が抵抗部63dに相当する。
絶縁部63cは、絶縁性を有する部分であり、切断部材63における第1導電部63a、第2導電部63b及び抵抗部63d以外の部分が絶縁部63cに相当する。後述するように、第1バスバー41及び第2バスバー51が切断部材63により切断された状態において、第1バスバー41及び第2バスバー51の各バスバーのバッテリ35側とコンデンサ37側とは、絶縁部63cにより絶縁される。さらに、上記の状態において、第1バスバー41のバッテリ35側と第2バスバー51のバッテリ35側とは、絶縁部63cにより絶縁される。
駆動装置65は、上述したように、切断部材63を駆動する装置である。具体的には、駆動装置65は、車両1の衝突時に火薬に点火して燃焼ガスを発生させることによって切断部材63を駆動する。切断部材63を迅速に駆動する観点では、このように駆動装置65は、火薬を利用して切断部材63を駆動する装置であることが好ましい。また、駆動装置65の動作は、例えば、制御装置200によって制御される。具体的には、制御装置200から駆動装置65に対して動作指令が出力されたことをトリガとして、駆動装置65は切断部材63を駆動する。
衝突センサ301は、車両1の衝突の有無を検出し、検出結果を制御装置200へ出力する。例えば、衝突センサ301は、車両1の加速度の履歴に基づいて車両1の衝突の有無を検出し得る。
制御装置200は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)及びCPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される。
また、制御装置200は、車両1に搭載される各装置と通信を行う。制御装置200と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。例えば、制御装置200は、放電機構60の駆動装置65及び衝突センサ301と通信を行う。制御装置200が有する機能は複数の制御装置により分割されてもよく、その場合、当該複数の制御装置は、CAN等の通信バスを介して、互いに接続されてもよい。また、制御装置200は、下記で説明する以外の他の機能を追加的に有していてもよい。
具体的には、制御装置200は、衝突センサ301から車両1の衝突が発生した旨の検出結果を取得した場合に、放電機構60の駆動装置65に対して動作指令を出力し、駆動装置65を動作させて、放電機構60の切断部材63を駆動させる。
このように、制御装置200は、車両1の衝突時に放電機構60を作動させる機能を有するので、例えば、車両1の中で比較的強度が高く設定されているエアバッグECUであることが好ましい。エアバッグECUは、エアバッグの動作を制御する装置である。
[動作]
続いて、図3を参照して、第1の実施形態に係る放電機構60の動作について説明する。
図3は、本実施形態に係る放電機構60の作動後(つまり、車両1の衝突後)の様子を示す模式図である。なお、図3では、一点鎖線矢印によって、電流の流れが模式的に示されている。
上述したように、車両1の衝突が発生した場合、車両1の衝突が発生した旨の検出結果が衝突センサ301から制御装置200へ出力され、制御装置200から放電機構60の駆動装置65に対して動作指令が出力される。そして、駆動装置65は、火薬に点火して燃焼ガスを発生させる。それにより、切断部材63が、発生した燃焼ガスによって押圧されて、第1バスバー41及び第2バスバー51に向けて移動し始める。
その後、切断部材63が、第1バスバー41及び第2バスバー51と接触し、さらに第1バスバー41及び第2バスバー51の位置を超えて移動することによって、図3に示すように、第1バスバー41及び第2バスバー51が切断される。例えば、第1バスバー41及び第2バスバー51は、ケース61の内周面におけるコンデンサ37側の部分に沿って切断部材63により切断される。それにより、バッテリ35とコンデンサ37との電気的な接続を遮断することができる。
ここで、第1バスバー41及び第2バスバー51が切断部材63により切断された状態において、第1導電部63aが第1バスバー41のコンデンサ37側41bと電気的に接続され、第2導電部63bが第2バスバー51のコンデンサ37側51bと電気的に接続される。それにより、第1バスバー41のコンデンサ37側41bと第2バスバー51のコンデンサ37側51bとが、抵抗部63dを介して接続される。
具体的には、図3に示すように、上記の状態において、切断部材63は、第1導電部63aの外表面と第1バスバー41のコンデンサ37側41bの切断面とが接触し、第2導電部63bの外表面と第2バスバー51のコンデンサ37側51bの切断面とが接触するような位置に位置する。それにより、コンデンサ37、第1バスバー41のコンデンサ37側41b、第1導電部63a、抵抗部63d、第2導電部63b及び第2バスバー51のコンデンサ37側51bがこの順に並ぶ閉回路が形成される。
上記のように、第1バスバー41及び第2バスバー51が切断部材63により切断された状態において、第1バスバー41のコンデンサ37側41bと第2バスバー51のコンデンサ37側51bとが抵抗部63dを介して接続されることにより、コンデンサ37の電荷を抵抗部63dに流して消費することによって、コンデンサ37の電荷を放電させることができる。ゆえに、抵抗部63dの電気抵抗の大きさは、コンデンサ37の電荷を迅速に放電させることができる程度の大きさに適宜設定されることが好ましい。
なお、電気回路100には、コンデンサ37に対して並列に常時接続されている抵抗器が設けられる場合があるが、当該抵抗器は、コンデンサ37の電荷を迅速に放電させるために設けられているものではなく、比較的大きな電気抵抗を有している。抵抗部63dによりコンデンサ37の電荷を迅速に放電させる観点では、抵抗部63dの電気抵抗の大きさは、このような抵抗器の電気抵抗よりも小さな値に設定されることが好ましい。
また、図3に示すように、第1バスバー41及び第2バスバー51が切断部材63により切断された状態において、絶縁部63cは、第1バスバー41のバッテリ35側41a及び第2バスバー51のバッテリ35側51aと第1導電部63a及び第2導電部63bとの間に介在する。それにより、第1バスバー41のバッテリ35側41aと第1バスバー41のコンデンサ37側41bとは、絶縁部63cにより絶縁される。また、第2バスバー51のバッテリ35側51aと第2バスバー51のコンデンサ37側51bとは、絶縁部63cにより絶縁される。それにより、バッテリ35とコンデンサ37との電気的な接続をより適切に遮断することができる。さらに、上記の状態において、第1バスバー41のバッテリ35側41aと第2バスバー51のバッテリ35側51aとは、絶縁部63cにより絶縁される。それにより、バッテリ35がショートする回路が形成されることを適切に抑制することができる。
[効果]
続いて、第1の実施形態に係る放電機構60の効果について説明する。
本実施形態に係る放電機構60は、車両1の衝突時に第1電力線40及び第2電力線50を切断する切断部材63を備える。また、切断部材63は、第1電力線40及び第2電力線50が切断された状態において第1電力線40のコンデンサ37側と第2電力線50のコンデンサ37側とを接続する抵抗部63dを有する。それにより、車両1の衝突時に、第1電力線40及び第2電力線50を切断部材63により切断することによって、バッテリ35とコンデンサ37との電気的な接続を遮断し、コンデンサ37が抵抗部63dと接続される閉回路を形成することができる。ゆえに、コンデンサ37の電荷を抵抗部63dに流して消費することによって、コンデンサ37の電荷を放電させることができる。
ここで、電気回路100には、バッテリ35と電気回路100における他の部品との電気的な接続を断接する図示しないシステムメインリレーが設けられ得る。また、車両1の衝突時には、当該システムメインリレーを開き、バッテリ35と他の部品との間の電気的な接続を遮断する制御が行われ得る。本実施形態では、車両1の衝突時に、第1電力線40及び第2電力線50が切断部材63により切断されるので、上記のシステムメインリレーの制御が正常に行われない場合であっても、バッテリ35とコンデンサ37との電気的な接続を適切に遮断し、コンデンサ37が抵抗部63dと接続される閉回路を適切に形成することができる。また、電気回路100における上記のシステムメインリレーと放電機構60との間に図示しない種々の部品が接続されている場合であっても、コンデンサ37が抵抗部63dと接続される閉回路を適切に形成することができる。ゆえに、コンデンサ37の電荷を抵抗部63dに適切に流して消費することができる。よって、本実施形態によれば、車両1の衝突時にコンデンサ37の電荷を適切に放電させることができる。
さらに、本実施形態では、車両1の衝突時にコンデンサ37の電荷を適切に放電させることができるので、電気回路100に設けられる各部品にコンデンサ37から比較的大きな電流が流れることに起因して当該各部品が破損することを抑制することができる。それにより、電気回路100に設けられる各部品の車両1における配置の自由度を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、車両1の衝突時に、バッテリ35と接続されている第1電力線40及び第2電力線50が切断部材63により切断されるので、例えば、衝突後の車両1の修理等において、電気回路100における車両1の衝突により大きな衝撃を受けた部品がバッテリ35と電気的に接続されることを抑制することができる。ゆえに、車両1の衝突により大きな衝撃を受けた部品がバッテリ35と電気的に接続されることに起因して漏電等の二次災害が発生することを抑制することができる。
さらに、本実施形態では、車両1の衝突時に、第1電力線40及び第2電力線50が切断部材63により切断されるので、放電機構60を電気回路100から取り外し可能な部品(例えば、インバータ33が収容されている筐体及び当該筐体内の内容物を含む部品)に内蔵した場合、車両1の衝突後において、当該部品はその内部の電力線の少なくとも一部が切断された状態となる。それにより、車両1の衝突により大きな衝撃を受けた部品が他の車両に搭載し直されて再使用されることを抑制することができる。さらに、車両1の衝突により大きな衝撃を受けた部品が市場に流通することを抑制することができるので、そのような部品を回収して適切に修理することが容易となる。
また、本実施形態に係る放電機構60では、切断部材63を駆動する駆動装置65は、車両1の衝突時に火薬に点火して燃焼ガスを発生させることによって切断部材63を駆動することが好ましい。それにより、切断部材63を迅速に駆動させることができる。ゆえに、車両1の衝突時にコンデンサ37の電荷をより迅速に放電させることができる。
また、本実施形態に係る放電機構60では、車両1の衝突時に駆動装置65に対して動作指令を出力する制御装置200は、エアバッグの動作を制御する装置であることが好ましい。それにより、車両1に大きな衝撃が加わる衝突時において、制御装置200に異常が生じることを抑制することができるので、制御装置200駆動装置65に対して動作指令を適切に出力することができる。ゆえに、車両1の衝突時にコンデンサ37の電荷をより適切に放電させることができる。
また、本実施形態に係る放電機構60では、切断部材63は、第1電力線40及び第2電力線50が切断された状態において、第1電力線40及び第2電力線50の各電力線のバッテリ35側とコンデンサ37側とを絶縁する絶縁部63cを有することが好ましい。それにより、バッテリ35とコンデンサ37との電気的な接続をより適切に遮断することができる。ゆえに、コンデンサ37が抵抗部63dと接続される閉回路をより適切に形成することができる。ゆえに、コンデンサ37の電荷をより適切に放電させることができる。
<2.第2の実施形態>
図4〜図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係る放電機構160について説明する。
本実施形態に係る放電機構160は、上述した放電機構60と比較して、切断部材の構成について異なる。なお、放電機構160が搭載される車両における放電機構160以外の構成については、上述した車両1の構成と共通するので、説明を省略する。
[構成]
まず、図4を参照して、第2の実施形態に係る放電機構160の構成について説明する。
図4は、放電機構160の作動前の様子を示す模式図である。
図4に示すように、放電機構160は、具体的には、ケース61と、切断部材163と、駆動装置65とを備える。そして、放電機構160の切断部材163は、第1導電部63aと、第2導電部63bと、絶縁部63cと、抵抗部63dと、当該抵抗部63dに対して並列に接続されるヒューズ部163eとを有する。このように、放電機構160の切断部材163は、上述した切断部材63と比較して、ヒューズ部163eをさらに有する。
具体的には、ヒューズ部163eは、印加される電流によって発熱して溶断される部分であり、第1導電部63aと第2導電部63bとの間に抵抗部63dに対して並列に接続される。上述したように、第1バスバー41及び第2バスバー51が切断部材163により切断された状態において、第1導電部63a及び第2導電部63bが第1バスバー41のコンデンサ37側及び第2バスバー51のコンデンサ37側とそれぞれ電気的に接続されることより、第1バスバー41のコンデンサ37側と第2バスバー51のコンデンサ37側とは、抵抗部63dを介して接続される。この際、ヒューズ部163eは、コンデンサ37に対して抵抗部63dと並列に接続される。
なお、ヒューズ部163eは、第1導電部63a及び第2導電部63bと同一の部材によって形成されてもよく、第1導電部63a又は第2導電部63bと別の部材によって形成されてもよい。例えば、第1導電部63a、第2導電部63b及びヒューズ部163eが同一の部材によって形成される場合、当該部材のうちの他の部分と比較して溶断されやすくなっている部分がヒューズ部163eに相当する。
切断部材163では、切断部材63における第1導電部63a、第2導電部63b、抵抗部63d及びヒューズ部163e以外の部分が絶縁部63cに相当する。
[動作]
続いて、図5及び図6を参照して、第2の実施形態に係る放電機構160の動作について説明する。
図5は、本実施形態に係る放電機構160の作動後におけるヒューズ部163eの溶断前の様子を示す模式図である。図6は、本実施形態に係る放電機構160の作動後におけるヒューズ部163eの溶断後の様子を示す模式図である。なお、図5及び図6では、図3と同様に、一点鎖線矢印によって、電流の流れが模式的に示されている。
上述したように、車両の衝突が発生した場合、制御装置200から放電機構60の駆動装置65に対して動作指令が出力され、駆動装置65によって切断部材163が駆動される。そして、切断部材163が、第1バスバー41及び第2バスバー51に向けて移動することによって、図5に示すように、第1バスバー41及び第2バスバー51が切断される。それにより、バッテリ35とコンデンサ37との電気的な接続を遮断することができる。
ここで、第1バスバー41及び第2バスバー51が切断部材163により切断された状態において、第1導電部63aが第1バスバー41のコンデンサ37側41bと電気的に接続され、第2導電部63bが第2バスバー51のコンデンサ37側51bと電気的に接続される。それにより、第1バスバー41のコンデンサ37側41bと第2バスバー51のコンデンサ37側51bとは、互いに並列に接続されている抵抗部63d及びヒューズ部163eを介して接続される。
具体的には、図5に示すように、上記の状態において、切断部材163は、第1導電部63aの外表面と第1バスバー41のコンデンサ37側41bの切断面とが接触し、第2導電部63bの外表面と第2バスバー51のコンデンサ37側51bの切断面とが接触するような位置に位置する。それにより、コンデンサ37、第1バスバー41のコンデンサ37側41b、第1導電部63a、抵抗部63d及びヒューズ部163e、第2導電部63b並びに第2バスバー51のコンデンサ37側51bがこの順に並ぶ閉回路が形成される。このように形成される回路において、ヒューズ部163eは、コンデンサ37に対して抵抗部63dと並列に接続される。
ヒューズ部163eの電気抵抗は抵抗部63dの電気抵抗よりも小さいので、コンデンサ37の電荷は、図5に示すように、抵抗部63dと比較してヒューズ部163eに優先的に流れる。ここで、第1導電部63aの外表面と第1バスバー41のコンデンサ37側41bの切断面との間及び第2導電部63bの外表面と第2バスバー51のコンデンサ37側51bの切断面との間には、隙間が介在する。上述したように、コンデンサ37の電荷が抵抗部63dと比較してヒューズ部163eに優先的に流れることによって、抵抗部63dにおいて電圧降下が生じることを抑制することができるので、主として各導電部63a,63bの外表面と各バスバー41,51のコンデンサ37側の切断面との間で電圧降下を生じさせることができる。それにより、各導電部63a,63bの外表面と各バスバー41,51のコンデンサ37側の切断面との間で放電を生じさせることができるので、各導電部63a,63bの外表面と各バスバー41,51のコンデンサ37側の切断面とを溶着させることができる。
その後、ヒューズ部163eは、印加される電流によって発熱することにより、図6に示すように、溶断される。なお、図6では、各導電部63a,63bの外表面と各バスバー41,51のコンデンサ37側の切断面とが溶着された様子が示されている。このように、ヒューズ部163eは、各導電部63a,63bの外表面と各バスバー41,51のコンデンサ37側の切断面との溶着が完了した後に溶断されることが好ましい。ゆえに、ヒューズ部163eの各特性(例えば、材質又は寸法等)は、ヒューズ部163eの溶断にかかる時間が各導電部63a,63bの外表面と各バスバー41,51のコンデンサ37側の切断面との溶着にかかる時間よりも長くなるように適宜設定されることが好ましい。
ヒューズ部163eの溶断後において、コンデンサ37の電荷は、図6に示すように、抵抗部63dに流れて消費される。それにより、コンデンサ37の電荷を放電させることができる。また、上述したように、第1バスバー41及び第2バスバー51が切断部材163により切断された状態において、第1バスバー41のバッテリ35側41aと第1バスバー41のコンデンサ37側41bとは、絶縁部63cにより絶縁される。また、第2バスバー51のバッテリ35側51aと第2バスバー51のコンデンサ37側51bとは、絶縁部63cにより絶縁される。それにより、バッテリ35とコンデンサ37との電気的な接続をより適切に遮断することができる。
[効果]
続いて、第2の実施形態に係る放電機構160の効果について説明する。
本実施形態に係る放電機構160では、切断部材163は、抵抗部63dに対して並列に接続されるヒューズ部163eをさらに有する。それにより、車両の衝突時に、第1電力線40及び第2電力線50を切断部材163により切断することによって、バッテリ35とコンデンサ37との電気的な接続を遮断し、コンデンサ37が抵抗部63dと接続され、さらにヒューズ部163eがコンデンサ37に対して抵抗部63dと並列に接続される閉回路を形成することができる。ゆえに、コンデンサ37の電荷を抵抗部63dと比較してヒューズ部163eに優先的に流すことによって、上記閉回路において切断部材163と第1電力線40及び第2電力線50とが接触する部分を放電により溶着させることができる。よって、ヒューズ部163eの溶断後において、コンデンサ37と抵抗部63dとの電気的な接続をより安定化することができるので、コンデンサ37の電荷を抵抗部63dにより安定的に流して消費することができる。したがって、車両1の衝突時にコンデンサ37の電荷をより安定的に放電させることができる。
<3.第3の実施形態>
図7を参照して、本発明の第3の実施形態に係る放電機構260について説明する。
本実施形態に係る放電機構260は、上述した放電機構60と比較して、位置決め機構70をさらに備える点について異なる。なお、放電機構260が搭載される車両における放電機構260以外の構成については、上述した車両1の構成と共通するので、説明を省略する。
図7は、放電機構260の作動後の様子を示す模式図である。
図7に示すように、放電機構260は、具体的には、ケース261と、切断部材63と、駆動装置65と、位置決め機構70とを備える。
位置決め機構70は、第1電力線40及び第2電力線50が切断された状態における切断部材63の位置を位置決めする機構である。
位置決め機構70は、具体的には、回動部材71と、付勢部材73とを有する。
放電機構260では、ケース261における切断部材63と接する内周面261aに、収容穴部261bが凹設されている。放電機構260の作動前において、収容穴部261bは切断部材63におけるケース261と接する外周面63fにより塞がれており、収容穴部261bの内部に回動部材71及び付勢部材73が収容されている。
回動部材71は、収容穴部261bの内部に収容されている第1の姿勢(例えば、図7において二点鎖線で示す姿勢)からケース261における内周面261aより内側まで突出している第2の姿勢(例えば、図7において実線で示す姿勢)に変化するように回動可能となっている。例えば、回動部材71は、放電機構260の作動前において、第1の姿勢をとり、収容穴部261bの内部で切断部材63の移動方向に沿って延在している。そして、回動部材71は、収容穴部261bからケース261における内周面261aより内側に向かう方向及び切断部材63の移動方向に直交する回動軸79まわりに回動可能となっている。例えば、回動軸79は、回動部材71が収容穴部261bの内部に収容されている状態において、回動部材71における切断部材63の移動方向側に配置される。
付勢部材73は、回動部材71を第1の姿勢から第2の姿勢に変化するように付勢する。例えば、付勢部材73は、収容穴部261bの底部と回動部材71との間に配置される板バネである。そして、付勢部材73は、回動部材71を収容穴部261bからケース261における内周面261aより内側に向かう方向に付勢する。
上述したように、車両の衝突が発生した場合、制御装置200から放電機構260の駆動装置65に対して動作指令が出力され、駆動装置65によって切断部材63が駆動される。そして、切断部材63が、第1バスバー41及び第2バスバー51に向けて移動することによって、図7に示すように、第1バスバー41及び第2バスバー51が切断される。それにより、バッテリ35とコンデンサ37との電気的な接続を遮断し、コンデンサ37が抵抗部63dと接続される閉回路を形成することができる。
ここで、放電機構260の作動前には、収容穴部261bは切断部材63の外周面63fにより塞がれており、収容穴部261bの内部において、回動部材71は、付勢部材73により付勢されることによって、切断部材63の外周面63fに押し付けられている。一方、放電機構260の作動後において、切断部材63が駆動装置65によって駆動されて移動し、ケース261の収容穴部261bの一部又は全部が切断部材63の外周面63fにより塞がれずに開放された状態となる。この際、収容穴部261bの内部に収容されていた回動部材71は、付勢部材73により付勢されることによって、第1の姿勢から第2の姿勢となるように回動する。よって、切断部材63における移動方向と逆側の端部が回動部材71によって当該移動方向に押圧され、切断部材63が回動部材71とケース261における切断部材63の移動方向側の部分とによって挟持される。それにより、第1電力線40及び第2電力線50が切断された状態における切断部材63の位置が位置決めされる。
上記のように、本実施形態に係る放電機構260は、第1電力線40及び第2電力線50が切断された状態における切断部材63の位置を位置決めする位置決め機構70をさらに備える。それにより、上記の状態において、切断部材63を、第1導電部63aの外表面と第1バスバー41のコンデンサ37側41bの切断面とが接触し、第2導電部63bの外表面と第2バスバー51のコンデンサ37側51bの切断面とが接触するような位置に適切に位置させることができる。ゆえに、上記の状態において、コンデンサ37が抵抗部63dと接続される閉回路をより適切に形成することができる。よって、車両1の衝突時にコンデンサ37の電荷をより適切に放電させることができる。
<4.第4の実施形態>
図8を参照して、本発明の第4の実施形態に係る放電機構360について説明する。
本実施形態に係る放電機構360は、上述した放電機構260と比較して、位置決め機構の構成について異なる。なお、放電機構360が搭載される車両における放電機構360以外の構成については、上述した車両1の構成と共通するので、説明を省略する。
図8は、放電機構360の作動後の様子を示す模式図である。
図8に示すように、放電機構360は、具体的には、ケース361と、切断部材363と、駆動装置65と、位置決め機構80とを備える。
位置決め機構80は、上述した位置決め機構70と同様に、第1電力線40及び第2電力線50が切断された状態における切断部材363の位置を位置決めする機構である。
位置決め機構80は、具体的には、係合部材81と、付勢部材83とを有する。
放電機構360では、切断部材363におけるケース361と接する外周面363fに、収容穴部363gが凹設されている。具体的には、収容穴部363gは、外周面363fに直交する方向に延びて形成されている。放電機構360の作動前において、図7において二点鎖線で示すように、収容穴部363gはケース361における切断部材363と接する内周面361aにより塞がれており、収容穴部363gの内部に係合部材81及び付勢部材83が収容されている。
また、放電機構360では、ケース361における切断部材363と接する内周面361aに、係合穴部361bが凹設されている。放電機構360の作動後において、図7において実線で示すように、ケース361の係合穴部361bに係合部材81が係合される。係合穴部361bの形状は、係合部材81と対応する形状になっている。例えば、係合部材81が球状である場合、係合穴部361bの内周面は球面状となっている。
係合部材81は、収容穴部363gの延在方向に沿って移動可能となっている。そして、係合部材81は、付勢部材83によって収容穴部363gの内部から外部に向かう方向に付勢されている。付勢部材83は、例えば、収容穴部363gの底部と係合部材81との間に配置されるコイルバネである。
上述したように、車両の衝突が発生した場合、制御装置200から放電機構360の駆動装置65に対して動作指令が出力され、駆動装置65によって切断部材363が駆動される。そして、切断部材363が、第1バスバー41及び第2バスバー51に向けて移動することによって、図8に示すように、第1バスバー41及び第2バスバー51が切断される。それにより、バッテリ35とコンデンサ37との電気的な接続を遮断し、コンデンサ37が抵抗部63dと接続される閉回路を形成することができる。
ここで、放電機構360の作動前には、収容穴部363gはケース361の内周面361aにより塞がれており、収容穴部363gの内部において、係合部材81は、付勢部材83により付勢されることによって、ケース361の内周面361aに押し付けられている。一方、放電機構360の作動後において、切断部材363が駆動装置65によって駆動されて移動し、切断部材363の収容穴部363gがケース361の係合穴部361bと対向する状態となる。この際、収容穴部363gの内部に収容されていた係合部材81は、付勢部材83により付勢されることによって、収容穴部363gの内部から外部に向かう方向に移動し、係合穴部361bに係合される。それにより、第1電力線40及び第2電力線50が切断された状態における切断部材363の位置が位置決めされる。
上記のように、本実施形態に係る放電機構360は、第1電力線40及び第2電力線50が切断された状態における切断部材363の位置を位置決めする位置決め機構80をさらに備える。それにより、上述した放電機構260と同様の効果を奏することができる。このように、第1電力線40及び第2電力線50が切断された状態における切断部材の位置を位置決めする位置決め機構の構成として、種々の構成が適用され得るので、位置決め機構の構成は、上記で説明した位置決め機構70及び位置決め機構80の構成に特に限定されない。
<5.むすび>
以上説明したように、各実施形態に係る車両用放電機構は、車両の衝突時に第1電力線40及び第2電力線50を切断する切断部材を備える。また、切断部材は、第1電力線40及び第2電力線50が切断された状態において第1電力線40のコンデンサ37側と第2電力線50のコンデンサ37側とを接続する抵抗部63dを有する。それにより、車両の衝突時に、第1電力線40及び第2電力線50を切断部材63により切断することによって、バッテリ35とコンデンサ37との電気的な接続を遮断し、コンデンサ37が抵抗部63dと接続される閉回路を形成することができる。ゆえに、コンデンサ37の電荷を抵抗部63dに流して消費することによって、コンデンサ37の電荷を放電させることができる。
ここで、本実施形態では、車両の衝突時に、第1電力線40及び第2電力線50が切断部材により切断されることによって、以下の各効果を奏することができる。
まず、本実施形態では、車両の衝突時に、バッテリ35と電気回路100における他の部品との電気的な接続を断接するシステムメインリレーを開く制御が正常に行われない場合であっても、バッテリ35とコンデンサ37との電気的な接続を適切に遮断し、コンデンサ37が抵抗部63dと接続される閉回路を適切に形成することができる。また、電気回路100における上記のシステムメインリレーと放電機構60との間に図示しない種々の部品が接続されている場合であっても、コンデンサ37が抵抗部63dと接続される閉回路を適切に形成することができる。ゆえに、コンデンサ37の電荷を抵抗部63dに適切に流して消費することができる。よって、本実施形態によれば、車両の衝突時にコンデンサ37の電荷を適切に放電させることができる。
さらに、本実施形態では、例えば、衝突後の車両の修理等において、電気回路100における車両の衝突により大きな衝撃を受けた部品がバッテリ35と電気的に接続されることを抑制することができる。ゆえに、車両の衝突により大きな衝撃を受けた部品がバッテリ35と電気的に接続されることに起因して漏電等の二次災害が発生することを抑制することができる。
さらに、本実施形態では、放電機構60を電気回路100から取り外し可能な部品に内蔵した場合、車両の衝突後において、当該部品はその内部の電力線の少なくとも一部が切断された状態となる。それにより、車両の衝突により大きな衝撃を受けた部品が他の車両に搭載し直されて再使用されることを抑制することができる。さらに、車両の衝突により大きな衝撃を受けた部品が市場に流通することを抑制することができるので、そのような部品を回収して適切に修理することが容易となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、各実施形態に係る車両用放電機構が搭載される車両の例として車両1について説明したが、各実施形態に係る車両用放電機構が搭載される車両の構成はこのような例に限定されない。例えば、各実施形態に係る車両用放電機構が搭載される車両において、駆動源として設けられるモータの数は複数であってもよい。複数のモータが設けられる場合、各モータについてインバータが設けられ、各インバータについてコンデンサが設けられ得る。その場合、各コンデンサについて放電機構が設けられ得る。また、例えば、各実施形態に係る車両用放電機構が搭載される車両において、駆動源としてモータに加えてエンジンが設けられてもよい。
また、例えば、各実施形態に係る車両用放電機構が搭載される車両に設けられる電気回路の例として電気回路100について説明したが、各実施形態に係る車両用放電機構が搭載される車両に設けられる電気回路の構成はこのような例に限定されない。例えば、各実施形態に係る車両用放電機構が搭載される車両に設けられる電気回路として、電気回路100に対して部品を追加的に設けた回路が適用されてもよい。そのような電気回路として、例えば、電気回路100におけるバッテリ35とインバータ33との間に昇圧用のコンバータを追加的に設けた回路が適用されてもよい。
また、例えば、各実施形態に係る車両用放電機構が搭載される車両に設けられる電源装置の例としてバッテリ35について説明したが、各実施形態に係る車両用放電機構が搭載される車両には、バッテリ35に替えて他の電源装置が設けられてもよい。例えば、電源装置として、燃料電池が適用され、燃料電池から供給される電力がコンデンサ37によって蓄電されて平滑化されてもよい。この場合においても、各実施形態に係る車両用放電機構によれば、車両の衝突時にコンデンサ37の電荷を適切に放電させることができる。
また、例えば、各実施形態に係る車両用放電機構に設けられる駆動装置の例として駆動装置65について説明したが、各実施形態に係る車両用放電機構に設けられる駆動装置はこのような例に限定されない。具体的には、各実施形態に係る車両用放電機構に設けられる駆動装置によって切断部材が駆動される仕組みは駆動装置65と異なっていてもよい。例えば、各実施形態に係る車両用放電機構に設けられる駆動装置として、電力を用いて切断部材を駆動する電動アクチュエータを含む装置が適用されてもよい。また、各実施形態に係る車両用放電機構に設けられる駆動装置は、制御装置200からの動作指令の出力によらずに動作してもよい。例えば、各実施形態に係る車両用放電機構に設けられる駆動装置として、圧電素子による圧電効果を用いて切断部材を駆動する装置が適用される場合、車両の衝突時に当該圧電素子に衝撃が与えられることを利用して駆動装置を動作させることができる。
また、例えば、各実施形態に係る切断部材における第1導電部63a、第2導電部63b、絶縁部63c、抵抗部63d及びヒューズ部163eの各々の位置及び範囲は、図面に示した例に特に限定されない。また、各実施形態に係る切断部材における第1導電部63a、第2導電部63b、絶縁部63c、抵抗部63d及びヒューズ部163eの各々は、複数の部材によってそれぞれ形成されてもよい。
また、例えば、第3の実施形態及び第4の実施形態を参照して、位置決め機構の例として位置決め機構70,80について説明したが、第1電力線40及び第2電力線50が切断された状態における切断部材の位置を位置決めする位置決め機構の構成はこのような例に限定されない。例えば、位置決め機構として、位置決め機構70に対して回動部材71と回動軸79との間の位置関係を変更した機構が適用されてもよい。また、例えば、位置決め機構として、回動部材71の機能及び付勢部材73の機能が同一部材によって実現される機構が適用されてもよい。例えば、第1電力線40及び第2電力線50が切断された状態において、板バネ自体が切断部材を押圧してもよい。また、例えば、位置決め機構として、位置決め機構80に対して、係合部材81及び付勢部材83がケースに形成される収容穴部に収容され、係合部材81が係合される係合穴部が切断部材に形成されるように変更した機構が適用されてもよい。
また、例えば、第3の実施形態及び第4の実施形態を参照して、放電機構60に対して位置決め機構をさらに設けた例を説明したが、ヒューズ部163eを有する切断部材163を備える放電機構160に対して位置決め機構をさらに設けてもよい。