本発明は、基板に対する部品の装着作業を実行する装着作業機に関するものである。
複数の部品を散在された状態で支持する部品支持部を有する部品供給装置では、部品収容器から部品支持部に部品が散在され、その部品支持部に支持されている部品のうちの部品保持具によって保持可能な姿勢の部品が保持される。次に、部品保持具に保持された部品が載置部に整列された状態で載置されることで、部品の供給が行われる。そして、供給された部品を用いて、装着作業機において、基板への装着作業が行われる。また、部品供給装置は、部品支持部から部品収容器に部品を戻す部品戻し装置を有している。このため、例えば、部品支持部に部品保持具によって保持可能な姿勢の部品が無くなった場合等に、部品支持部から部品収容器に部品が戻され、部品収容器に戻された部品が、再度、部品支持部に散在される。これにより、部品保持具によって保持可能な姿勢の部品が、再度、部品支持部に散在されることで、部品支持部から部品保持具によって部品が保持される。下記特許文献には、そのような構造の部品供給装置の一例が記載されている。
上記特許文献に記載の部品供給装置によれば、部品収容器への部品の戻し作業および、部品収容器に戻された部品の部品支持部への散在作業が行われることで、部品供給装置から多くの数の部品を供給することが可能となる。しかしながら、部品収容器への部品の戻し作業および、部品支持部への部品の散在作業には、ある程度、時間を要するため、部品の供給が滞り、装着作業機での装着作業のサイクルタイムが低下する虞がある。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、部品供給装置に供給された部品の装着作業のサイクルタイムの低下を防止することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に記載の装着作業機は、(A)複数の部品を収納する部品収納器と、(B)前記部品収納器から部品が散在され、その散在された状態の部品を支持する部品支持部と、(C)前記部品支持部に散在された状態の部品を前記部品収納器に戻す部品戻し装置と、(D)前記部品支持部に支持されている部品を保持する第1部品保持具と、(E)前記部品支持部に支持されている部品を撮像する撮像装置と、(F)前記第1部品保持具に保持された部品を整列させた状態で載置するための載置部と、(G)制御装置とを有し、前記載置部に整列された状態の部品を供給する部品供給装置と、前記載置部に載置された部品を保持する第2部品保持具を有し、前記第2部品保持具に保持された部品を基板に装着する部品装着装置とを備え、基板に対する部品の装着作業を実行する装着作業機であって、前記制御装置が、前記装着作業機における装着作業時に必要な部品の数である必要部品数を取得する部品数取得部と、前記撮像装置により撮像された撮像データに基づいて、前記第1部品保持具によって前記部品支持部から保持可能な部品の数である保持可能部品数を演算する部品数演算部と、前記部品数取得部により取得された必要部品数が、前記部品数演算部により演算された保持可能部品数を超えているか否かを判断する第1判断部と、前記第1判断部により前記必要部品数が前記保持可能部品数を超えていると判断されたことを条件として、前記第1部品保持具によって前記部品支持部から部品を保持する前に、前記部品戻し装置の作動により、前記部品支持部に散在された状態の部品を前記部品収納器に戻した後に、再度、前記部品収納器から前記部品支持部に部品を散在させる部品散在部とを有することを特徴とする。
本発明に記載の装着作業機では、装着作業時に必要な部品の数である必要部品数が、部品保持具によって部品支持部から保持可能な部品の数である保持可能部品数を超えているか否かが判断される。そして、必要部品数が保持可能部品数を超えていると判断されたことを条件として、部品保持具によって部品支持部から部品を保持する前に、部品収容器への部品の戻し作業および、部品支持部への部品の散在作業が行われる。これにより、タイミングよく、部品収容器への部品の戻し作業および、部品支持部への部品の散在作業を行うことが可能となり、装着作業機による装着作業のサイクルタイムの低下を防止することが可能となる。
部品実装機を示す斜視図である。
部品実装機の部品装着装置を示す斜視図である。
ばら部品供給装置を示す斜視図である。
部品供給ユニットを示す斜視図である。
部品回収容器が上昇端位置に上昇した状態の部品供給ユニットを示す斜視図である。
部品保持ヘッドを示す斜視図である。
リード部品が収納された状態の部品受け部材を示す図である。
部品実装機の制御装置を示すブロック図である。
部品散在状態実現装置を示す斜視図である。
複数のリード部品が散在された状態の部品支持部材を示す図である。
部品散在状態実現装置および部品戻し装置を示す斜視図である。
制御プログラムのフローチャートを示す図である。
制御プログラムのフローチャートを示す図である。
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
<部品実装機の構成>
図1に、部品実装機10を示す。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、撮像装置26,28、部品供給装置30、ばら部品供給装置32、制御装置(図8参照)34を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
装置本体20は、フレーム部40と、そのフレーム部40に上架されたビーム部42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム部40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
部品装着装置24は、ビーム部42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と作業ヘッド移動装置64とを有している。各作業ヘッド60,62は、吸着ノズル(図2参照)66を有しており、吸着ノズル66によって部品を保持する。また、作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置68とY方向移動装置70とZ方向移動装置72とを有している。そして、X方向移動装置68とY方向移動装置70とによって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム部40上の任意の位置に移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、図2に示すように、スライダ74,76に着脱可能に装着されており、Z方向移動装置72は、スライダ74,76を個別に上下方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向に移動させられる。
撮像装置26は、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向,Y方向およびZ方向に移動させられる。これにより、撮像装置26は、フレーム部40上の任意の位置を撮像する。撮像装置28は、図1に示すように、フレーム部40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、撮像装置28は、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66に保持された部品を撮像する。
部品供給装置30は、フレーム部40の前後方向での一方側の端部に配設されている。部品供給装置30は、トレイ型部品供給装置78とフィーダ型部品供給装置(図示省略)とを有している。トレイ型部品供給装置78は、トレイ上に載置された状態の部品を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置は、テープフィーダ(図示省略)、スティックフィーダ(図示省略)によって部品を供給する装置である。
ばら部品供給装置32は、フレーム部40の前後方向での他方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置32は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。以下に、部品供給装置32の構成について詳しく説明する。なお、部品供給装置30および、ばら部品供給装置32によって供給される部品として、電子回路部品,太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品等が挙げられる。また、電子回路部品には、リードを有する部品,リードを有さない部品等が有る。
ばら部品供給装置32は、図3に示すように、本体80と、部品供給ユニット82と、撮像装置84と、部品引渡し装置86とを有している。
(a)部品供給ユニット
部品供給ユニット82は、部品供給器88と部品散在状態実現装置90と部品戻し装置92とを含み、それら部品供給器88と部品散在状態実現装置90と部品戻し装置92とが一体的に構成されたものである。部品供給ユニット82は、本体80のベース96に着脱可能に組み付けられており、ばら部品供給装置32では、5台の部品供給ユニット82が、X方向に1列に並んで配設されている。
(i)部品供給器
部品供給器88は、図4に示すように、部品収納器100とハウジング102とグリップ104とを含む。部品収納器100は、概して直方体形状をなし、上面と前面とが開口している。その部品収納器100の底面は、傾斜面116となっており、部品収納器100の開口する前面に向かって傾斜している。
ハウジング102は、1対の側壁120を有しており、それら1対の側壁120の間において、部品収納器100が搖動可能に保持されている。また、1対の側壁120の間には、部品収納器100の前面の下端部の前方に位置するように、傾斜板152が固定的に配設されている。傾斜板152は、前方に向かうほど下降するように傾斜している。
グリップ104は、ハウジング102の後方側の端部に配設されており、固定把持部材170と可動把持部材172とによって構成されている。可動把持部材172は、固定把持部材170に対して接近・離間可能とされている。そして、可動把持部材172が、連結アーム(図示省略)によって部品収納器100の後面に連結されている。これにより、グリップ104が把持されることで、可動把持部材172が、固定把持部材170に対して接近・離間し、部品収納器100が1対の側壁120の間で搖動する。
また、部品供給器88は、ベース96に組み付けられている1対のサイドフレーム部190の間に配設されており、ベース96に着脱可能とされている。なお、グリップ104の可動把持部材172の下端部には、ロック機構(図示省略)が設けられており、グリップ104が把持されることで、そのロック機構が解除される。つまり、作業者が部品供給器88のグリップ104を把持した状態で、部品供給器88を持ち上げることで、部品供給器88が1対のサイドフレーム部190の間から取り外される。
(ii)部品散在状態実現装置
部品散在状態実現装置90は、部品支持部材220と部品支持部材移動装置222と供給器振動装置224とを含む。部品支持部材220は、概して長手形状の板形状をなし、部品供給器88の傾斜板152の下方から前方に延び出すように、配設されている。また、部品支持部材220の長手方向の両側縁には、側壁部228が形成されている。
部品支持部材移動装置222は、部品支持部材220を前後方向に電磁モータ(図8参照)223の駆動により移動させる装置である。これにより、部品支持部材220は、部品供給器88の傾斜板152の下端から僅かに下方において、部品支持部材220の上面が水平な状態で、前後方向に移動する。
供給器振動装置224は、カム部材240とカムフォロワ242とストッパ244とを含む。カム部材240は、板状をなし、側壁部228の外側の側面に、前後方向に延びるように固定されている。カム部材240の上端部には、複数の歯245が前後方向に等間隔で形成されている。カムフォロワ242は、レバー252とローラ254とを含む。レバー252は、部品供給器88の側壁120の下端部に配設されており、上端部を中心に揺動可能とされている。ローラ254は、レバー252の下端部において、回転可能に保持されている。なお、レバー252は、コイルばね(図示省略)の弾性力によって前方に向かう方向に付勢されている。また、ストッパ244は、側壁120に突状に設けられており、コイルばねの弾性力により付勢されたレバー252が、ストッパ244に接触している。
(iii)部品戻し装置
部品戻し装置92は、図5に示すように、容器昇降装置260と部品回収容器262とを含む。容器昇降装置260は、エアシリンダ266と昇降部材268とを含み、昇降部材268は、エアシリンダ266の作動により、昇降する。また、エアシリンダ266は、部品支持部材220の前方側の端部に固定されている。これにより、エアシリンダ266は、部品支持部材移動装置222の作動により、部品支持部材220と共に前後方向に移動する。
部品回収容器262は、昇降部材268の上面に配設されており、エアシリンダ266の作動により、上下方向に移動する。部品回収容器262は、上面が開口する箱状をなし、昇降部材268の上面において、回動可能に保持されている。その部品回収容器262の後方側の端部には、図4に示すように、突出ピン272が配設されている。突出ピン272は、部品回収容器262の側方での外側に向かって突出している。また、サイドフレーム部190の前方側の上端部の内側には、係合ブロック274が固定されている。そして、図5に示すように、部品回収容器262が、エアシリンダ266の作動により上昇端位置まで上昇する際に、突出ピン272が係合ブロック274に係合する。これにより、部品回収容器262は、回動する。
(b)撮像装置
撮像装置84は、図3に示すように、カメラ290とカメラ移動装置292とを含む。カメラ移動装置292は、ガイドレール296とスライダ298とを含む。ガイドレール296は、部品供給器88の上方において、ばら部品供給装置32の幅方向に延びるように、本体80に固定されている。スライダ298は、ガイドレール296にスライド可能に取り付けられており、電磁モータ(図8参照)299の作動により、任意の位置にスライドする。また、カメラ290は、下方を向いた状態でスライダ298に装着されている。
(c)部品引渡し装置
部品引渡し装置86は、図3に示すように、部品保持ヘッド移動装置300と部品保持ヘッド302と2台のシャトル装置304とを含む。
部品保持ヘッド移動装置300は、X方向移動装置310とY方向移動装置312とZ方向移動装置314とを含む。Y方向移動装置312は、X方向に延びるように、部品供給ユニット82の上方に配設されたYスライダ316を有しており、Yスライダ316は、電磁モータ(図8参照)319の駆動により、Y方向の任意の位置に移動する。X方向移動装置310は、Yスライダ316の側面に配設されたXスライダ320を有しており、Xスライダ320は、電磁モータ(図8参照)321の駆動により、X方向の任意の位置に移動する。Z方向移動装置314は、Xスライダ320の側面に配設されたZスライダ322を有しており、Zスライダ322は、電磁モータ(図8参照)323の駆動により、Z方向の任意の位置に移動する。
部品保持ヘッド302は、図6に示すように、ヘッド本体330と吸着ノズル332とノズル旋回装置334とノズル回転装置335とを含む。ヘッド本体330は、Zスライダ322と一体的に形成されている。吸着ノズル332は、部品を保持するものであり、ホルダ340の下端部に着脱可能に装着されている。ホルダ340は、支持軸344において屈曲可能とされており、ノズル旋回装置334の作動により、ホルダ340が上方向に90度屈曲する。これにより、ホルダ340の下端部に装着されている吸着ノズル332は、90度旋回し、旋回位置に位置する。つまり、吸着ノズル332は、ノズル旋回装置334の作動により、非旋回位置と旋回位置との間で旋回する。また、ノズル回転装置335は、吸着ノズル332をそれの軸心周りに回転させる。
また、2台のシャトル装置304の各々は、図3に示すように、部品キャリヤ388と部品キャリヤ移動装置390とを含み、部品供給ユニット82の前方側に横方向に並んで、本体80に固定されている。部品キャリヤ388には、5個の部品受け部材392が、横方向に一列に並んだ状態で装着されており、各部品受け部材392に、部品が載置される。
詳しくは、ばら部品供給装置32で供給される部品は、図7に示すように、リードを有する電子回路部品(以下、「リード部品」と略す場合がある)410であり、リード部品410は、ブロック状の部品本体412と、部品本体412の底面から突出する2本のリード414とから構成されている。また、部品受け部材392には、部品受容凹部416が形成されている。部品受容凹部416は、段付き形状の凹部であり、部品受け部材392の上面に開口する本体部受容凹部418と、その本体部受容凹部418の底面に開口するリード受容凹部420とから構成されている。そして、リード部品410は、リード414が下方を向く姿勢で、部品受容凹部416の内部に挿入される。これにより、リード414がリード受容凹部420に挿入されるとともに、部品本体412が本体部受容凹部418に挿入された状態で、リード部品410が部品受容凹部416の内部に載置される。
また、部品キャリヤ移動装置390は、図3に示すように、板状の長手部材であり、前後方向に延びるように、部品供給ユニット82の前方側に配設されている。部品キャリヤ移動装置390の上面には、部品キャリヤ388が前後方向にスライド可能に配設されており、電磁モータ(図8参照)430の駆動により、前後方向の任意の位置にスライドする。なお、部品キャリヤ388が、部品供給ユニット82に接近する方向にスライドした際には、部品保持ヘッド移動装置300による部品保持ヘッド302の移動範囲内に位置する部品受取位置までスライドする。一方、部品キャリヤ388が、部品供給ユニット82から離れる方向にスライドした際には、作業ヘッド移動装置64による作業ヘッド60,62の移動範囲内に位置する部品供給位置までスライドする。
また、制御装置34は、図8に示すように、統括制御装置450と、複数の個別制御装置(図では1つのみ図示されている)452と、画像処理装置454と、記憶装置456とを含む。統括制御装置450は、コンピュータを主体として構成されたものであり、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32に接続されている。これにより、統括制御装置450は、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32を統括して制御する。複数の個別制御装置452は、コンピュータを主体として構成されたものであり、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32に対応して設けられている(図では、ばら部品供給装置32に対応する個別制御装置452のみが図示されている)。ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、部品散在状態実現装置90,部品戻し装置92,カメラ移動装置292,部品保持ヘッド移動装置300,部品保持ヘッド302,シャトル装置304に接続されている。これにより、ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、部品散在状態実現装置90,部品戻し装置92,カメラ移動装置292,部品保持ヘッド移動装置300,部品保持ヘッド302,シャトル装置304を制御する。また、画像処理装置454は、撮像装置84に接続されており、撮像装置84により撮像された撮像データを処理する。その画像処理装置454は、ばら部品供給装置32の個別制御装置452に接続されている。これにより、ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、撮像装置84により撮像された撮像データを取得する。また、記憶装置456は、各種データを記憶しており、個別制御装置452に接続されている。これにより、個別制御装置452は、記憶装置456から各種データを取得する。
<部品実装機の作動>
部品実装機10は、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業が行われる。具体的には、回路基材12が、作業位置まで搬送され、その位置において、クランプ装置52によって固定的に保持される。次に、撮像装置26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。これにより、回路基材12の保持位置の誤差に関する情報が得られる。また、部品供給装置30若しくは、ばら部品供給装置32は、所定の供給位置において、部品を供給する。なお、ばら部品供給装置32による部品の供給に関しては、後で詳しく説明する。そして、作業ヘッド60,62の何れかが、部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル66によって部品を保持する。続いて、部品を保持した作業ヘッド60,62が、撮像装置28の上方に移動し、撮像装置28によって、吸着ノズル66に保持された部品が撮像される。これにより、部品の保持位置の誤差に関する情報が得られる。そして、部品を保持した作業ヘッド60,62が、回路基材12の上方に移動し、保持している部品を、回路基材12の保持位置の誤差,部品の保持位置の誤差等を補正し、回路基材12上に装着する。
<ばら部品供給装置の作動>
(a)ばら部品供給装置によるリード部品の供給
ばら部品供給装置32では、リード部品410が、作業者によって部品供給器88の部品収納器100に投入され、その投入されたリード部品410が、部品供給ユニット82,部品引渡し装置86の作動により、部品キャリヤ388の部品受け部材392に載置された状態で供給される。詳しくは、作業者は、部品供給器88の部品収納器100の上面の開口から、リード部品410を投入する。この際、部品支持部材220は、部品支持部材移動装置222の作動により、部品供給器88の下方に移動しており、部品供給器88の前方には、部品回収容器262が位置している。
部品収納器100の上面の開口から投入されたリード部品410は、部品収納器100の傾斜面116の上に落下し、傾斜面116上に広がる。この際、傾斜面116に落下したリード部品410が、傾斜板152を超えて転がり落ちた場合には、部品供給器88の前方に位置する部品回収容器262に収容される。
部品収納器100へのリード部品410の投入後に、部品支持部材220が、部品支持部材移動装置222の作動により、部品供給器88の下方から前方に向かって移動させられる。この際、カム部材240がカムフォロワ242に至れば、図9に示すように、カムフォロワ242のローラ254が、カム部材240の歯245を乗り越える。カムフォロワ242のレバー252は、コイルばねの弾性力によって前方に向かう方向に付勢されており、レバー252の前方への付勢は、ストッパ244によって規制されている。このため、部品支持部材220が前方に向かって移動する際には、ローラ254と歯245とが噛み合った状態に維持され、レバー252は前方に向かって回動せず、ローラ254は、歯245を乗り越える。この際、部品供給器88は、ローラ254の歯245の乗り越えにより、昇降する。つまり、ローラ254が歯245に噛み合った状態で、部品支持部材220が前方に向かって移動することで、ローラ254が複数の歯245を乗り越え、部品供給器88が上下方向に連続して振動する。
部品収納器100の傾斜面116上に広がっているリード部品410は、部品供給器88の振動と傾斜面116の傾斜により、前方に移動し、傾斜板152を介して、部品支持部材220の上面に排出される。この際、部品支持部材220の側壁部228によって、部品支持部材220からのリード部品410の落下が防止される。そして、部品支持部材220が前方に向かって移動することで、部品支持部材220の上面に、リード部品410が散在される。
なお、部品収納器100の内部から部品支持部材220の上にリード部品410が散在されると、図10に示すように、リード部品410は、様々な姿勢で部品支持部材220の上に散在される。具体的には、リード部品410の部品本体412は、概して直方体形状をしており、6つの面を有している。それら6つの面は、リード414が延び出す底面500と、その底面500の裏側の上面502と、4つの側面504,506,508,510である。そして、それら4つの側面504,506,508,510は、表面積が大きく、凹凸が多く存在する第1側面504と、第1側面504の裏側であり、凹凸が存在しない第2側面506と、第1側面504と第2側面506との横側の第3側面508、第4側面510である。
このようなリード部品410が部品支持部材220の上に散在されると、リード部品410は、概ね5つの姿勢で部品支持部材220の上において支持される。詳しくは、第1側面504を真上に向けた姿勢(以下、「第1姿勢」と記載する場合がある)と、第2側面506を真上に向けた姿勢(以下、「第2姿勢」と記載する場合がある)と、第3側面508若しくは、第4側面510を真上に向けた姿勢(以下、「第3姿勢」と記載する場合がある)と、底面500を真上に向けた姿勢(以下、「第4姿勢」と記載する場合がある)と、第1側面504若しくは第2側面506を斜め上方に向けた姿勢(以下、「第5姿勢」と記載する場合がある)との6つの姿勢のうちの何れかの姿勢で、リード部品410は部品支持部材220の上において支持される。なお、第5姿勢のリード部品410は、リード部品410の先端が部品支持部材220に接触することで、第1側面504若しくは第2側面506が斜め上方を向いている。
上述したように、リード部品410が、様々な姿勢で部品支持部材220の上に散在されると、撮像装置84のカメラ290が、カメラ移動装置292の作動により、部品支持部材220の上方に移動し、リード部品410を撮像する。そして、カメラ290により撮像された撮像データに基づいて、ピックアップの対象となるリード部品(以下、「ピックアップ対象部品」と略す場合がある)が、部品保持ヘッド302の吸着ノズル332により保持される。
具体的には、カメラ290の撮像データに基づいて、部品支持部材220上に散在されている複数の部品毎に、部品の姿勢と、部品の位置が演算される。そして、演算された部品の姿勢が第2姿勢および、第3姿勢であるリード部品410のみが、ピックアップ対象部品として特定される。これは、第1姿勢のリード部品410では、凹凸が多く存在する第1側面504が上方を向いており、その第1側面504を吸着ノズル332により保持することができないためである。また、第4姿勢のリード部品410では、リード414が配設された底面500が上方を向いており、その底面500を吸着ノズル332により保持することができないためである。また、第5姿勢のリード部品410では、部品本体412が傾いた状態となっており、その姿勢のリード部品410を吸着ノズル332により保持することができないためである。
このため、図10に示される部品支持部材220では、部品支持部材220の上に散在された11個のリード部品410のうちの4個のリード部品410が、ピックアップ対象部品として特定される。具体的には、2個の第2姿勢のリード部品410と、2個の第3姿勢のリード部品410とが、ピックアップ対象部品として特定される。なお、部品支持部材220の上にリード部品410が散在された際には、部品支持部材220の上に散在されたリード部品410のうちの、ピックアップ対象部品として特定されるリード部品410が存在する確率、つまり、吸着ノズル332により保持可能な確率(以下、「保持可能確率」と記載する場合がある)が演算される。
具体的には、カメラ290による部品支持部材220の撮像データに基づいて、部品支持部材220の上に散在されているリード部品410の総数(11個)が演算される。そして、そのリード部品410の数(11個)に対するピックアップ対象部品の数(4個)の比率が、保持可能確率として演算される。その演算された保持可能確率は、ばら部品供給装置32により供給される部品毎に、記憶装置456に記憶される。なお、保持可能確率は、後に詳しく説明する部品の戻し作業時に用いられる。
そして、ピックアップ対象部品が特定されると、そのピックアップ対象部品が、部品保持ヘッド302の吸着ノズル332により保持される。なお、吸着ノズル332によってピックアップ対象部品が吸着保持される際には、吸着ノズル332は、非旋回位置に位置している。そして、リード部品410が吸着ノズル332によって保持された後に、部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動させられる。この際、部品キャリヤ388は、部品キャリヤ移動装置390の作動により、部品受取位置に移動する。また、部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動する際に、吸着ノズル332は、旋回位置に旋回される。なお、旋回位置の吸着ノズル332に保持されたリード部品410のリード414が、鉛直方向での下方を向くように、吸着ノズル332は、ノズル回転装置335の作動により、回転される。
部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動すると、リード414が鉛直方向での下方を向いた状態のリード部品410が、部品受け部材392の部品受容凹部416内に挿入される。これにより、リード部品410は、図7に示すように、リード414を鉛直方向での下方に向けた状態で、部品受け部材392に載置される。
そして、リード部品410が部品受け部材392に載置されると、部品キャリヤ388は、部品キャリヤ移動装置390の作動により、部品供給位置に移動する。部品供給位置に移動した部品キャリヤ388は、作業ヘッド60,62の移動範囲に位置しているため、ばら部品供給装置32では、この位置においてリード部品410が供給される。このように、ばら部品供給装置32では、リード414が下方を向き、リード414が接続された底面500と対向する上面502が上方を向いた状態で、リード部品410が供給される。このため、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66は、適切にリード部品410を保持することが可能となる。
(b)リード部品の回収
また、ばら部品供給装置32では、部品支持部材220の上に散在するリード部品410を回収することが可能である。詳しくは、部品支持部材220が、部品支持部材移動装置222の作動により、部品供給器88の下方に向かって移動させられる。この際、図11に示すように、部品支持部材220上のリード部品410は、部品供給器88の傾斜板152によって堰き止められ、部品支持部材220上のリード部品410が、部品回収容器262の内部に掻き落とされる。
次に、部品回収容器262が、容器昇降装置260の作動により、上昇する。この際、図5に示すように、部品回収容器262に配設された突出ピン272が、サイドフレーム部190の内側に配設された係合ブロック274に係合する。これにより、部品回収容器262は回動し、部品回収容器262内のリード部品410が、部品収納器100の内部に戻される。
そして、作業者が、部品供給器88のグリップ104を把持することで、上述したように、部品供給器88のロックが解除され、部品供給器88を持ち上げることで、部品供給器88が1対のサイドフレーム部190の間から取り外される。これにより、ばら部品供給装置32の外部において、部品供給器88からリード部品410が回収される。
(c)リード部品の再供給
また、ばら部品供給装置32では、部品支持部材220から部品収納器100に戻されたリード部品410を、部品収納器100から回収することなく、再度、部品支持部材220の上に散在し、上述した手順に従って、部品受け部材392に載置することで、リード部品410が再供給される場合がある。
具体的には、上述したように、部品支持部材220の上に散在されたリード部品410のうちの第2姿勢および、第3姿勢のリード部品410のみが部品受け部材392に移載され、他の姿勢のリード部品410は部品支持部材220の上に残される。このため、部品支持部材220から全ての第2姿勢および、第3姿勢のリード部品410が部品受け部材392に移載されると、移載不可能な姿勢のリード部品410のみが部品支持部材220に残存し、ばら部品供給装置32はリード部品410を供給できなくなる。このように、部品支持部材220の上に移載不可能な姿勢のリード部品410のみが残存した場合には、その残存したリード部品410が、部品支持部材220から部品収納器100に戻され、再度、部品収納器100から部品支持部材220の上に散在される。この際、部品支持部材220の上には、第1〜第5姿勢の様々な姿勢でリード部品410が散在される。これにより、部品支持部材220から、再度、第2姿勢および、第3姿勢のリード部品410を部品受け部材392に移載することが可能となる。
また、部品支持部材220の上に移載不可能な姿勢のリード部品410のみが残存した場合だけでなく、部品支持部材220の上に移載可能な姿勢のリード部品410が残存している際にも、その残存したリード部品410が、部品支持部材220から部品収納器100に戻され、再度、部品収納器100から部品支持部材220の上に散在される場合がある。
詳しくは、部品実装機10での装着作業時に、その装着作業において必要なリード部品410の個数(以下、「必要部品数」と記載する場合がある)が、統括制御装置450からばら部品供給装置32の個別制御装置452に伝達される。そして、必要部品数が伝達された個別制御装置452では、供給可能なリード部品410の数が演算される。つまり、カメラ290によりリード部品410が散在された部品支持部材220が撮像され、その撮像データに基づいて、吸着ノズル332により保持可能なリード部品410の個数(以下、「保持可能部品数」と記載する場合がある)、つまり、第2姿勢、及び第3姿勢のリード部品410の個数が演算される。
そして、必要部品数が保持可能部品数を超えているか否が、個別制御装置452において判断される。つまり、必要部品数のリード部品410を部品支持部材220から供給できるか否かが判断される。この際、必要部品数が保持可能部品数を超えていない、つまり、必要部品数のリード部品410を部品支持部材220から供給できると判断された場合には、上述した手順に従って、必要部品数のリード部品410が、部品支持部材220から部品受け部材392に移載され、供給される。具体的には、例えば、図10に示すように、保持可能部品数が4個である場合に、必要部品数が3個であれば、上述した手順に従って、3個のリード部品410が順次、部品受け部材392に移載され、供給される。
一方、必要部品数が保持可能部品数を超えている、つまり、必要部品数のリード部品410を部品支持部材220から供給できないと判断された場合には、部品支持部材220から部品を部品収納器100に戻し、部品収納器100から部品支持部材220の上に散在する必要があるが、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業には、ある程度時間が必要である。このため、部品実装機10による装着作業の進捗状況、部品キャリヤ388の作動状況等に応じて、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業の実行タイミングが決定される。
詳しくは、部品実装機10による装着作業の進捗状況は、統括制御装置450において管理されている。このため、ばら部品供給装置32の個別制御装置452において、必要部品数が保持可能部品数を超えていると判断されると、個別制御装置452は、統括制御装置450に、部品実装機10による装着作業の進捗状況の問合せを行って、ばら部品供給装置32から供給される部品の装着作業が実行されるまでに残存している時間(以下、「残存時間」と記載する場合がある)を統括制御装置450から取得する。つまり、個別制御装置452から統括制御装置450への問合せの時刻から、ばら部品供給装置32から供給される部品を用いた装着作業の開始予定時刻までの時間が、残存時間として、個別制御装置452は統括制御装置450から取得する。
また、個別制御装置452は、部品キャリヤ388が部品受取位置に位置していない場合には、部品キャリヤ388が部品受取位置に移動するまでに必要な時間(以下、「必要時間」と記載する場合がある)を取得する。これは、例えば、部品キャリヤ388が部品供給位置において、部品を供給している際には、部品キャリヤ388は部品供給位置から移動することができないため、その部品キャリヤ388が部品受取位置まで移動する時間として、ある程度の時間が必要なためである。なお、部品キャリヤ388の作動は、個別制御装置452により管理されているため、必要時間は個別制御装置452により演算される。
個別制御装置452は、残存時間および、必要時間を取得すると、その残存時間および、必要時間が閾時間を超えているか否かを判断する。なお、閾時間は、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業に要する時間程度に設定されている。そして、個別制御装置452は、残存時間および、必要時間が閾時間を超えていないと判断された場合には、部品支持部材220から移載可能なリード部品410が全て部品受け部材392に移載された後に、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業が実行される。そして、部品支持部材220に再散在された部品が、部品受け部材392に移載される。
具体的には、例えば、図10に示すように、保持可能部品数が4個である場合に、必要部品数が6個であれば、まず、4個のリード部品410が、部品支持部材220に順次、移載され、供給される。次に、部品支持部材220からリード部品410が部品収納器100に戻され、再度、部品収納器100から部品支持部材220の上に散在される。そして、部品支持部材220から2個のリード部品410が、部品支持部材220に順次、移載され、供給される。これにより、必要部品数のリード部品410が、ばら部品供給装置32により供給される。
一方、個別制御装置452は、残存時間と必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えていると判断された場合には、部品支持部材220からのリード部品410の移載作業を行うことなく、部品支持部材220からリード部品410が部品収納器100に戻され、再度、部品収納器100から部品支持部材220の上に散在される。そして、部品支持部材220の上に再散在された部品から、必要部品数のリード部品410が部品受け部材392に移載される。
具体的には、例えば、図10に示すように、保持可能部品数が4個である場合に、必要部品数が6個であれば、部品支持部材220からリード部品410が移載されることなく、部品支持部材220からリード部品410が部品収納器100に戻され、再度、部品収納器100から部品支持部材220の上に散在される。この間に、例えば、部品供給位置に移動していた部品キャリヤ388が、部品受取位置に移動する。そして、部品支持部材220の上に再散在された部品から、6個のリード部品410が、部品支持部材220に順次、移載され、供給される。この間に、部品実装機10は、別の装着作業を実行しており、その装着作業の時間を利用して、リード部品410が供給される。
このように、ばら部品供給装置32では、ばら部品供給装置32により供給される部品を用いた装着作業までの空き時間、部品キャリヤ388が部品受取位置に移動するまでの空き時間を利用して、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業が実行される。これにより、部品実装機10による装着作業を停止させることなく、必要部品数のリード部品410を供給することが可能となり、サイクルタイムを向上させることが可能となる。
ただし、部品実装機10による装着作業の空き時間、部品キャリヤ388が部品受取位置に移動するまでの空き時間等を利用して、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業を実行しても、サイクルタイムを悪化させる虞がある。つまり、リード部品410の形状によって、保持可能確率が相当低い場合があり、このような場合には、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業が実行されても、部品支持部材220から保持可能なリード部品410の数が、必要部品数以上とならない虞があるためである。
具体的には、例えば、図10に示すように、保持可能部品数が4個である場合に、必要部品数が6個であり、残存時間と必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えていると判断されると、部品支持部材220からリード部品410が移載されることなく、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業が実行される。この際、リード部品410の保持可能確率が20%程度であれば、部品支持部材220からリード部品410が部品収納器100に戻され、再度、部品収納器100から部品支持部材220の上に散在されても、保持可能部品数は、2〜3個(11個(部品支持部材220上のリード部品410の総数)×20%)となる可能性が高く、6個のリード部品410を供給できない。このような場合には、再度、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業を行う必要があり、サイクルタイムが悪化する虞がある。
このため、ばら部品供給装置32では、残存時間と必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えていると判断された場合には、保持可能確率が閾値を超えているか否かが判断される。そして、保持可能確率が閾値を超えていないと判断された場合には、残存時間および必要時間が閾時間を超えていないと判断された場合と同様に、部品支持部材220から移載可能なリード部品410が全て部品受け部材392に移載された後に、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業が実行される。そして、部品支持部材220に再散在された部品が、部品受け部材392に移載される。
一方、保持可能確率が閾値を超えていると判断された場合に、上述したように、部品支持部材220からのリード部品410の移載作業を行うことなく、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業が実行され、その再散在された部品から、必要部品数のリード部品410が供給される。つまり、必要部品数が保持可能部品数を超えていること、必要時間と残存時間との少なくとも一方が閾時間を超えていること、保持可能確率が閾値を超えていることの3つの条件が満たされた場合に、空き時間を利用して、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業が実行される。これにより、確実にサイクルタイムを向上させることが可能となる。
なお、保持可能確率は、上述したように、部品が部品支持部材220の上に散在される毎に演算され、部品毎に記憶装置456に記憶される。このため、保持可能確率は、部品が部品支持部材220の上に散在される毎に刷新されるため、実際の確率に近い値となる。また、保持可能確率の閾値は、必要部品数,保持可能確率等によって変動する。
<制御プログラム>
上述したばら部品供給装置32の部品供給作業は、個別制御装置452において、制御プログラムが実行されることによって行われる。以下に、その制御プログラムが実行される際のフローを、図12及び図13を用いて説明する。
制御プログラムでは、まず、個別制御装置452が、必要部品数を統括制御装置450から取得する(S100)。次に、個別制御装置452は、保持可能部品数を演算する(S102)。そして、個別制御装置452が、必要部品数が保持可能部品数を超えているか否かを判断する(S104)。必要部品数が保持可能部品数を超えていると判断された場合(S104のYES)には、個別制御装置452が、残存時間および、必要時間を取得する(S106)。
続いて、個別制御装置452は、取得した残存時間と必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えているか否かを判断する(S108)。残存時間と必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えていると判断された場合(S108のYES)には、個別制御装置452が、保持可能確率が閾値を超えているか否かを判断する(S110)。保持可能確率が閾値を超えていると判断された場合(S110のYES)には、部品収納器100への戻し作業、および、部品支持部材220への散在作業が実行される(S112)。
次に、部品の散在された部品支持部材220がカメラ290により撮像され、その撮像データに基づいて、個別制御装置452が、保持可能確率を演算する(S114)。そして、演算された保持可能確率が、部品毎に記憶装置456に記憶される(S116)。続いて、部品支持部材220からピックアップ対象部品が吸着ノズル332により保持され、部品受け部材392に移載されることで、リード部品410が供給される(S118)。これにより、制御プログラムの実行が終了する。
また、S104で必要部品数が保持可能部品数を超えていないと判断された場合(S104のNO)、S108で残存時間と必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えていないと判断された場合(S108のNO)、S110で保持可能確率が閾値を超えていないと判断された場合(S110のNO)には、S118の処理が実行され、制御プログラムが終了する。
なお、個別制御装置452は、上記制御プログラムを実行するべく、図8に示すように、部品数取得部520、部品数演算部522、第1判断部524、確率演算部526、第2判断部528、時間取得部530、第3判断部532、部品散在部534を有している。部品数取得部520は、上記制御プログラムのS100の処理、つまり、必要部品数を統括制御装置450から取得する処理を実行するための機能部である。部品数演算部522は、上記制御プログラムのS102の処理、つまり、保持可能部品数を演算する処理を実行するための機能部である。第1判断部524は、上記制御プログラムのS104の処理、つまり、必要部品数が保持可能部品数を超えているか否かを判断する処理を実行するための機能部である。確率演算部526は、上記制御プログラムのS114の処理、つまり、保持可能確率を演算する処理を実行するための機能部である。第2判断部528は、上記制御プログラムのS110の処理、つまり、保持可能確率が閾値を超えているか否かを判断する処理を実行するための機能部である。時間取得部530は、上記制御プログラムのS106の処理、つまり、残存時間と必要時間とを取得する処理を実行するための機能部である。第3判断部532は、上記制御プログラムのS108の処理、つまり、残存時間と必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えているか否かを判断する処理を実行するための機能部である。部品散在部534は、上記制御プログラムのS112の処理、つまり、部品収納器100への戻し作業、および、部品支持部材220への散在作業を実行するための機能部である。
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、必要部品数が保持可能部品数を超えていること、必要時間と残存時間との少なくとも一方が閾時間を超えていること、保持可能確率が閾値を超えていることの3つの条件が満たされた場合に、空き時間を利用した部品収納器100への戻し作業等が実行されるが、少なくとも、必要部品数が保持可能部品数を超えていることの条件を満たした場合に、空き時間を利用した部品収納器100への戻し作業等を実行することが可能である。つまり、必要時間と残存時間との少なくとも一方が閾時間を超えていること、保持可能確率が閾値を超えていることとの2つの条件は、任意に設定することが可能である。
また、上記実施例では、リード414を有するリード部品410に本発明が適用されているが、種々の種類の部品に本発明を適用することが可能である。具体的には、例えば、太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品,リードを有さない電子回路部品等に、本発明を適用することが可能である。
10:部品実装機(装着作業機) 24:部品装着装置 66:吸着ノズル(第2部品保持具) 32:ばら部品供給装置(部品供給装置) 84:撮像装置 92:部品戻し装置 100:部品収納器 220:部品支持部材(部品支持部) 332:吸着ノズル(第1部品保持具) 392:部品受け部材(載置部) 452:個別制御装置(制御装置) 456:記憶装置 520:部品数取得部 522:部品数演算部 524:第1判断部 526:確率演算部 528:第2判断部 530:時間取得部 532:第3判断部 534:部品散在部
本発明は、基板に対する部品の装着作業を実行する装着作業機、および部品装着方法に関するものである。
複数の部品を散在された状態で支持する部品支持部を有する部品供給装置では、部品収容器から部品支持部に部品が散在され、その部品支持部に支持されている部品のうちの部品保持具によって保持可能な姿勢の部品が保持される。次に、部品保持具に保持された部品が載置部に整列された状態で載置されることで、部品の供給が行われる。そして、供給された部品を用いて、装着作業機において、基板への装着作業が行われる。また、部品供給装置は、部品支持部から部品収容器に部品を戻す部品戻し装置を有している。このため、例えば、部品支持部に部品保持具によって保持可能な姿勢の部品が無くなった場合等に、部品支持部から部品収容器に部品が戻され、部品収容器に戻された部品が、再度、部品支持部に散在される。これにより、部品保持具によって保持可能な姿勢の部品が、再度、部品支持部に散在されることで、部品支持部から部品保持具によって部品が保持される。下記特許文献には、そのような構造の部品供給装置の一例が記載されている。
上記特許文献に記載の部品供給装置によれば、部品収容器への部品の戻し作業および、部品収容器に戻された部品の部品支持部への散在作業が行われることで、部品供給装置から多くの数の部品を供給することが可能となる。しかしながら、部品収容器への部品の戻し作業および、部品支持部への部品の散在作業には、ある程度、時間を要するため、部品の供給が滞り、装着作業機での装着作業のサイクルタイムが低下する虞がある。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、部品供給装置に供給された部品の装着作業のサイクルタイムの低下を防止することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に記載の装着作業機は、(A)複数の部品を収納する部品収納器と、(B)前記部品収納器から部品が散在され、その散在された状態の部品を支持する部品支持部と、(C)前記部品支持部に散在された状態の部品を前記部品収納器に戻す部品戻し装置と、(D)前記部品支持部に支持されている部品を保持する第1部品保持具と、(E)前記部品支持部に支持されている部品を撮像する撮像装置と、(F)前記第1部品保持具に保持された部品を整列させた状態で載置するための載置部と、(G)制御装置とを有し、前記載置部に整列された状態の部品を供給する部品供給装置と、基板を保持する基板保持装置と、前記載置部に載置された部品を保持する第2部品保持具とを有し、前記第2部品保持具に保持された部品を、前記基板保持装置に保持された基板に装着する部品装着装置とを備え、基板に対する部品の装着作業を実行する装着作業機であって、前記制御装置が、前記撮像装置により撮像された撮像データに基づいて、前記第1部品保持具によって前記部品支持部から保持可能な部品の数である保持可能部品数を演算する部品数演算部と、前記基板保持装置に基板が保持されている際に当該基板に装着される部品の数である必要部品数が、前記部品数演算部により演算された保持可能部品数を超えているか否かを判断する第1判断部と、前記第1判断部により前記必要部品数が前記保持可能部品数を超えていると判断されたことを条件として、前記第1部品保持具によって前記部品支持部から部品を保持する前に、前記部品供給装置により供給される部品の装着作業が実行されるまで残存している残存時間と、前記載置部に部品を載置可能な状態となるまでに必要な必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えている場合に、前記部品戻し装置の作動により、前記部品支持部に散在された状態の部品を前記部品収納器に戻した後に、再度、前記部品収納器から前記部品支持部に部品を散在させる部品散在部とを有することを特徴とする。また、本発明に記載の部品装着方法では、(A)複数の部品を収納する部品収納器と、(B)前記部品収納器から部品が散在され、その散在された状態の部品を支持する部品支持部と、 (D)前記部品支持部に支持されている部品を保持する第1部品保持具と、(E)前記部品支持部に支持されている部品を撮像する撮像装置と、(F)前記第1部品保持具に保持された部品を整列させた状態で載置するための載置部とを有し、前記載置部に整列された状態の部品を供給する部品供給装置と、基板を保持する基板保持装置と、前記載置部に載置された部品を保持する第2部品保持具とを有し、前記第2部品保持具に保持された部品を、前記基板保持装置に保持された基板に装着する部品装着装置とを備えた装着作業機において、基板に対する部品の装着作業を実行する部品装着方法が、前記撮像装置により撮像された撮像データに基づいて、前記第1部品保持具によって前記部品支持部から保持可能な部品の数である保持可能部品数を演算する部品数演算工程と、前記基板保持装置に基板が保持されている際に当該基板に装着される部品の数である必要部品数が、前記部品数演算部により演算された保持可能部品数を超えているか否かを判断する第1判断工程と、前記第1判断部により前記必要部品数が前記保持可能部品数を超えていると判断されたことを条件として、前記第1部品保持具によって前記部品支持部から部品を保持する前に、前記部品供給装置により供給される部品の装着作業が実行されるまで残存している残存時間と、前記載置部に部品を載置可能な状態となるまでに必要な必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えている場合に、前記部品支持部に散在された状態の部品を前記部品収納器に戻した後に、再度、前記部品収納器から前記部品支持部に部品を散在させる部品散在工程とを有することを特徴とする。
本発明に記載の装着作業機では、基板保持装置に基板が保持されている際に当該基板に装着される部品の数である必要部品数が、部品保持具によって部品支持部から保持可能な部品の数である保持可能部品数を超えているか否かが判断される。そして、必要部品数が保持可能部品数を超えていると判断されたことを条件として、部品保持具によって部品支持部から部品を保持する前に、部品供給装置により供給される部品の装着作業が実行されるまで残存している残存時間と、載置部に部品を載置可能な状態となるまでに必要な必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えている場合に、部品収容器への部品の戻し作業および、部品支持部への部品の散在作業が行われる。これにより、タイミングよく、部品収容器への部品の戻し作業および、部品支持部への部品の散在作業を行うことが可能となり、装着作業機による装着作業のサイクルタイムの低下を防止することが可能となる。
部品実装機を示す斜視図である。
部品実装機の部品装着装置を示す斜視図である。
ばら部品供給装置を示す斜視図である。
部品供給ユニットを示す斜視図である。
部品回収容器が上昇端位置に上昇した状態の部品供給ユニットを示す斜視図である。
部品保持ヘッドを示す斜視図である。
リード部品が収納された状態の部品受け部材を示す図である。
部品実装機の制御装置を示すブロック図である。
部品散在状態実現装置を示す斜視図である。
複数のリード部品が散在された状態の部品支持部材を示す図である。
部品散在状態実現装置および部品戻し装置を示す斜視図である。
制御プログラムのフローチャートを示す図である。
制御プログラムのフローチャートを示す図である。
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
<部品実装機の構成>
図1に、部品実装機10を示す。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、撮像装置26,28、部品供給装置30、ばら部品供給装置32、制御装置(図8参照)34を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
装置本体20は、フレーム部40と、そのフレーム部40に上架されたビーム部42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム部40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
部品装着装置24は、ビーム部42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と作業ヘッド移動装置64とを有している。各作業ヘッド60,62は、吸着ノズル(図2参照)66を有しており、吸着ノズル66によって部品を保持する。また、作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置68とY方向移動装置70とZ方向移動装置72とを有している。そして、X方向移動装置68とY方向移動装置70とによって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム部40上の任意の位置に移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、図2に示すように、スライダ74,76に着脱可能に装着されており、Z方向移動装置72は、スライダ74,76を個別に上下方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向に移動させられる。
撮像装置26は、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向,Y方向およびZ方向に移動させられる。これにより、撮像装置26は、フレーム部40上の任意の位置を撮像する。撮像装置28は、図1に示すように、フレーム部40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、撮像装置28は、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66に保持された部品を撮像する。
部品供給装置30は、フレーム部40の前後方向での一方側の端部に配設されている。部品供給装置30は、トレイ型部品供給装置78とフィーダ型部品供給装置(図示省略)とを有している。トレイ型部品供給装置78は、トレイ上に載置された状態の部品を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置は、テープフィーダ(図示省略)、スティックフィーダ(図示省略)によって部品を供給する装置である。
ばら部品供給装置32は、フレーム部40の前後方向での他方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置32は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。以下に、部品供給装置32の構成について詳しく説明する。なお、部品供給装置30および、ばら部品供給装置32によって供給される部品として、電子回路部品,太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品等が挙げられる。また、電子回路部品には、リードを有する部品,リードを有さない部品等が有る。
ばら部品供給装置32は、図3に示すように、本体80と、部品供給ユニット82と、撮像装置84と、部品引渡し装置86とを有している。
(a)部品供給ユニット
部品供給ユニット82は、部品供給器88と部品散在状態実現装置90と部品戻し装置92とを含み、それら部品供給器88と部品散在状態実現装置90と部品戻し装置92とが一体的に構成されたものである。部品供給ユニット82は、本体80のベース96に着脱可能に組み付けられており、ばら部品供給装置32では、5台の部品供給ユニット82が、X方向に1列に並んで配設されている。
(i)部品供給器
部品供給器88は、図4に示すように、部品収納器100とハウジング102とグリップ104とを含む。部品収納器100は、概して直方体形状をなし、上面と前面とが開口している。その部品収納器100の底面は、傾斜面116となっており、部品収納器100の開口する前面に向かって傾斜している。
ハウジング102は、1対の側壁120を有しており、それら1対の側壁120の間において、部品収納器100が搖動可能に保持されている。また、1対の側壁120の間には、部品収納器100の前面の下端部の前方に位置するように、傾斜板152が固定的に配設されている。傾斜板152は、前方に向かうほど下降するように傾斜している。
グリップ104は、ハウジング102の後方側の端部に配設されており、固定把持部材170と可動把持部材172とによって構成されている。可動把持部材172は、固定把持部材170に対して接近・離間可能とされている。そして、可動把持部材172が、連結アーム(図示省略)によって部品収納器100の後面に連結されている。これにより、グリップ104が把持されることで、可動把持部材172が、固定把持部材170に対して接近・離間し、部品収納器100が1対の側壁120の間で搖動する。
また、部品供給器88は、ベース96に組み付けられている1対のサイドフレーム部190の間に配設されており、ベース96に着脱可能とされている。なお、グリップ104の可動把持部材172の下端部には、ロック機構(図示省略)が設けられており、グリップ104が把持されることで、そのロック機構が解除される。つまり、作業者が部品供給器88のグリップ104を把持した状態で、部品供給器88を持ち上げることで、部品供給器88が1対のサイドフレーム部190の間から取り外される。
(ii)部品散在状態実現装置
部品散在状態実現装置90は、部品支持部材220と部品支持部材移動装置222と供給器振動装置224とを含む。部品支持部材220は、概して長手形状の板形状をなし、部品供給器88の傾斜板152の下方から前方に延び出すように、配設されている。また、部品支持部材220の長手方向の両側縁には、側壁部228が形成されている。
部品支持部材移動装置222は、部品支持部材220を前後方向に電磁モータ(図8参照)223の駆動により移動させる装置である。これにより、部品支持部材220は、部品供給器88の傾斜板152の下端から僅かに下方において、部品支持部材220の上面が水平な状態で、前後方向に移動する。
供給器振動装置224は、カム部材240とカムフォロワ242とストッパ244とを含む。カム部材240は、板状をなし、側壁部228の外側の側面に、前後方向に延びるように固定されている。カム部材240の上端部には、複数の歯245が前後方向に等間隔で形成されている。カムフォロワ242は、レバー252とローラ254とを含む。レバー252は、部品供給器88の側壁120の下端部に配設されており、上端部を中心に揺動可能とされている。ローラ254は、レバー252の下端部において、回転可能に保持されている。なお、レバー252は、コイルばね(図示省略)の弾性力によって前方に向かう方向に付勢されている。また、ストッパ244は、側壁120に突状に設けられており、コイルばねの弾性力により付勢されたレバー252が、ストッパ244に接触している。
(iii)部品戻し装置
部品戻し装置92は、図5に示すように、容器昇降装置260と部品回収容器262とを含む。容器昇降装置260は、エアシリンダ266と昇降部材268とを含み、昇降部材268は、エアシリンダ266の作動により、昇降する。また、エアシリンダ266は、部品支持部材220の前方側の端部に固定されている。これにより、エアシリンダ266は、部品支持部材移動装置222の作動により、部品支持部材220と共に前後方向に移動する。
部品回収容器262は、昇降部材268の上面に配設されており、エアシリンダ266の作動により、上下方向に移動する。部品回収容器262は、上面が開口する箱状をなし、昇降部材268の上面において、回動可能に保持されている。その部品回収容器262の後方側の端部には、図4に示すように、突出ピン272が配設されている。突出ピン272は、部品回収容器262の側方での外側に向かって突出している。また、サイドフレーム部190の前方側の上端部の内側には、係合ブロック274が固定されている。そして、図5に示すように、部品回収容器262が、エアシリンダ266の作動により上昇端位置まで上昇する際に、突出ピン272が係合ブロック274に係合する。これにより、部品回収容器262は、回動する。
(b)撮像装置
撮像装置84は、図3に示すように、カメラ290とカメラ移動装置292とを含む。カメラ移動装置292は、ガイドレール296とスライダ298とを含む。ガイドレール296は、部品供給器88の上方において、ばら部品供給装置32の幅方向に延びるように、本体80に固定されている。スライダ298は、ガイドレール296にスライド可能に取り付けられており、電磁モータ(図8参照)299の作動により、任意の位置にスライドする。また、カメラ290は、下方を向いた状態でスライダ298に装着されている。
(c)部品引渡し装置
部品引渡し装置86は、図3に示すように、部品保持ヘッド移動装置300と部品保持ヘッド302と2台のシャトル装置304とを含む。
部品保持ヘッド移動装置300は、X方向移動装置310とY方向移動装置312とZ方向移動装置314とを含む。Y方向移動装置312は、X方向に延びるように、部品供給ユニット82の上方に配設されたYスライダ316を有しており、Yスライダ316は、電磁モータ(図8参照)319の駆動により、Y方向の任意の位置に移動する。X方向移動装置310は、Yスライダ316の側面に配設されたXスライダ320を有しており、Xスライダ320は、電磁モータ(図8参照)321の駆動により、X方向の任意の位置に移動する。Z方向移動装置314は、Xスライダ320の側面に配設されたZスライダ322を有しており、Zスライダ322は、電磁モータ(図8参照)323の駆動により、Z方向の任意の位置に移動する。
部品保持ヘッド302は、図6に示すように、ヘッド本体330と吸着ノズル332とノズル旋回装置334とノズル回転装置335とを含む。ヘッド本体330は、Zスライダ322と一体的に形成されている。吸着ノズル332は、部品を保持するものであり、ホルダ340の下端部に着脱可能に装着されている。ホルダ340は、支持軸344において屈曲可能とされており、ノズル旋回装置334の作動により、ホルダ340が上方向に90度屈曲する。これにより、ホルダ340の下端部に装着されている吸着ノズル332は、90度旋回し、旋回位置に位置する。つまり、吸着ノズル332は、ノズル旋回装置334の作動により、非旋回位置と旋回位置との間で旋回する。また、ノズル回転装置335は、吸着ノズル332をそれの軸心周りに回転させる。
また、2台のシャトル装置304の各々は、図3に示すように、部品キャリヤ388と部品キャリヤ移動装置390とを含み、部品供給ユニット82の前方側に横方向に並んで、本体80に固定されている。部品キャリヤ388には、5個の部品受け部材392が、横方向に一列に並んだ状態で装着されており、各部品受け部材392に、部品が載置される。
詳しくは、ばら部品供給装置32で供給される部品は、図7に示すように、リードを有する電子回路部品(以下、「リード部品」と略す場合がある)410であり、リード部品410は、ブロック状の部品本体412と、部品本体412の底面から突出する2本のリード414とから構成されている。また、部品受け部材392には、部品受容凹部416が形成されている。部品受容凹部416は、段付き形状の凹部であり、部品受け部材392の上面に開口する本体部受容凹部418と、その本体部受容凹部418の底面に開口するリード受容凹部420とから構成されている。そして、リード部品410は、リード414が下方を向く姿勢で、部品受容凹部416の内部に挿入される。これにより、リード414がリード受容凹部420に挿入されるとともに、部品本体412が本体部受容凹部418に挿入された状態で、リード部品410が部品受容凹部416の内部に載置される。
また、部品キャリヤ移動装置390は、図3に示すように、板状の長手部材であり、前後方向に延びるように、部品供給ユニット82の前方側に配設されている。部品キャリヤ移動装置390の上面には、部品キャリヤ388が前後方向にスライド可能に配設されており、電磁モータ(図8参照)430の駆動により、前後方向の任意の位置にスライドする。なお、部品キャリヤ388が、部品供給ユニット82に接近する方向にスライドした際には、部品保持ヘッド移動装置300による部品保持ヘッド302の移動範囲内に位置する部品受取位置までスライドする。一方、部品キャリヤ388が、部品供給ユニット82から離れる方向にスライドした際には、作業ヘッド移動装置64による作業ヘッド60,62の移動範囲内に位置する部品供給位置までスライドする。
また、制御装置34は、図8に示すように、統括制御装置450と、複数の個別制御装置(図では1つのみ図示されている)452と、画像処理装置454と、記憶装置456とを含む。統括制御装置450は、コンピュータを主体として構成されたものであり、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32に接続されている。これにより、統括制御装置450は、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32を統括して制御する。複数の個別制御装置452は、コンピュータを主体として構成されたものであり、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32に対応して設けられている(図では、ばら部品供給装置32に対応する個別制御装置452のみが図示されている)。ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、部品散在状態実現装置90,部品戻し装置92,カメラ移動装置292,部品保持ヘッド移動装置300,部品保持ヘッド302,シャトル装置304に接続されている。これにより、ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、部品散在状態実現装置90,部品戻し装置92,カメラ移動装置292,部品保持ヘッド移動装置300,部品保持ヘッド302,シャトル装置304を制御する。また、画像処理装置454は、撮像装置84に接続されており、撮像装置84により撮像された撮像データを処理する。その画像処理装置454は、ばら部品供給装置32の個別制御装置452に接続されている。これにより、ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、撮像装置84により撮像された撮像データを取得する。また、記憶装置456は、各種データを記憶しており、個別制御装置452に接続されている。これにより、個別制御装置452は、記憶装置456から各種データを取得する。
<部品実装機の作動>
部品実装機10は、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業が行われる。具体的には、回路基材12が、作業位置まで搬送され、その位置において、クランプ装置52によって固定的に保持される。次に、撮像装置26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。これにより、回路基材12の保持位置の誤差に関する情報が得られる。また、部品供給装置30若しくは、ばら部品供給装置32は、所定の供給位置において、部品を供給する。なお、ばら部品供給装置32による部品の供給に関しては、後で詳しく説明する。そして、作業ヘッド60,62の何れかが、部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル66によって部品を保持する。続いて、部品を保持した作業ヘッド60,62が、撮像装置28の上方に移動し、撮像装置28によって、吸着ノズル66に保持された部品が撮像される。これにより、部品の保持位置の誤差に関する情報が得られる。そして、部品を保持した作業ヘッド60,62が、回路基材12の上方に移動し、保持している部品を、回路基材12の保持位置の誤差,部品の保持位置の誤差等を補正し、回路基材12上に装着する。
<ばら部品供給装置の作動>
(a)ばら部品供給装置によるリード部品の供給
ばら部品供給装置32では、リード部品410が、作業者によって部品供給器88の部品収納器100に投入され、その投入されたリード部品410が、部品供給ユニット82,部品引渡し装置86の作動により、部品キャリヤ388の部品受け部材392に載置された状態で供給される。詳しくは、作業者は、部品供給器88の部品収納器100の上面の開口から、リード部品410を投入する。この際、部品支持部材220は、部品支持部材移動装置222の作動により、部品供給器88の下方に移動しており、部品供給器88の前方には、部品回収容器262が位置している。
部品収納器100の上面の開口から投入されたリード部品410は、部品収納器100の傾斜面116の上に落下し、傾斜面116上に広がる。この際、傾斜面116に落下したリード部品410が、傾斜板152を超えて転がり落ちた場合には、部品供給器88の前方に位置する部品回収容器262に収容される。
部品収納器100へのリード部品410の投入後に、部品支持部材220が、部品支持部材移動装置222の作動により、部品供給器88の下方から前方に向かって移動させられる。この際、カム部材240がカムフォロワ242に至れば、図9に示すように、カムフォロワ242のローラ254が、カム部材240の歯245を乗り越える。カムフォロワ242のレバー252は、コイルばねの弾性力によって前方に向かう方向に付勢されており、レバー252の前方への付勢は、ストッパ244によって規制されている。このため、部品支持部材220が前方に向かって移動する際には、ローラ254と歯245とが噛み合った状態に維持され、レバー252は前方に向かって回動せず、ローラ254は、歯245を乗り越える。この際、部品供給器88は、ローラ254の歯245の乗り越えにより、昇降する。つまり、ローラ254が歯245に噛み合った状態で、部品支持部材220が前方に向かって移動することで、ローラ254が複数の歯245を乗り越え、部品供給器88が上下方向に連続して振動する。
部品収納器100の傾斜面116上に広がっているリード部品410は、部品供給器88の振動と傾斜面116の傾斜により、前方に移動し、傾斜板152を介して、部品支持部材220の上面に排出される。この際、部品支持部材220の側壁部228によって、部品支持部材220からのリード部品410の落下が防止される。そして、部品支持部材220が前方に向かって移動することで、部品支持部材220の上面に、リード部品410が散在される。
なお、部品収納器100の内部から部品支持部材220の上にリード部品410が散在されると、図10に示すように、リード部品410は、様々な姿勢で部品支持部材220の上に散在される。具体的には、リード部品410の部品本体412は、概して直方体形状をしており、6つの面を有している。それら6つの面は、リード414が延び出す底面500と、その底面500の裏側の上面502と、4つの側面504,506,508,510である。そして、それら4つの側面504,506,508,510は、表面積が大きく、凹凸が多く存在する第1側面504と、第1側面504の裏側であり、凹凸が存在しない第2側面506と、第1側面504と第2側面506との横側の第3側面508、第4側面510である。
このようなリード部品410が部品支持部材220の上に散在されると、リード部品410は、概ね5つの姿勢で部品支持部材220の上において支持される。詳しくは、第1側面504を真上に向けた姿勢(以下、「第1姿勢」と記載する場合がある)と、第2側面506を真上に向けた姿勢(以下、「第2姿勢」と記載する場合がある)と、第3側面508若しくは、第4側面510を真上に向けた姿勢(以下、「第3姿勢」と記載する場合がある)と、底面500を真上に向けた姿勢(以下、「第4姿勢」と記載する場合がある)と、第1側面504若しくは第2側面506を斜め上方に向けた姿勢(以下、「第5姿勢」と記載する場合がある)との6つの姿勢のうちの何れかの姿勢で、リード部品410は部品支持部材220の上において支持される。なお、第5姿勢のリード部品410は、リード部品410の先端が部品支持部材220に接触することで、第1側面504若しくは第2側面506が斜め上方を向いている。
上述したように、リード部品410が、様々な姿勢で部品支持部材220の上に散在されると、撮像装置84のカメラ290が、カメラ移動装置292の作動により、部品支持部材220の上方に移動し、リード部品410を撮像する。そして、カメラ290により撮像された撮像データに基づいて、ピックアップの対象となるリード部品(以下、「ピックアップ対象部品」と略す場合がある)が、部品保持ヘッド302の吸着ノズル332により保持される。
具体的には、カメラ290の撮像データに基づいて、部品支持部材220上に散在されている複数の部品毎に、部品の姿勢と、部品の位置が演算される。そして、演算された部品の姿勢が第2姿勢および、第3姿勢であるリード部品410のみが、ピックアップ対象部品として特定される。これは、第1姿勢のリード部品410では、凹凸が多く存在する第1側面504が上方を向いており、その第1側面504を吸着ノズル332により保持することができないためである。また、第4姿勢のリード部品410では、リード414が配設された底面500が上方を向いており、その底面500を吸着ノズル332により保持することができないためである。また、第5姿勢のリード部品410では、部品本体412が傾いた状態となっており、その姿勢のリード部品410を吸着ノズル332により保持することができないためである。
このため、図10に示される部品支持部材220では、部品支持部材220の上に散在された11個のリード部品410のうちの4個のリード部品410が、ピックアップ対象部品として特定される。具体的には、2個の第2姿勢のリード部品410と、2個の第3姿勢のリード部品410とが、ピックアップ対象部品として特定される。なお、部品支持部材220の上にリード部品410が散在された際には、部品支持部材220の上に散在されたリード部品410のうちの、ピックアップ対象部品として特定されるリード部品410が存在する確率、つまり、吸着ノズル332により保持可能な確率(以下、「保持可能確率」と記載する場合がある)が演算される。
具体的には、カメラ290による部品支持部材220の撮像データに基づいて、部品支持部材220の上に散在されているリード部品410の総数(11個)が演算される。そして、そのリード部品410の数(11個)に対するピックアップ対象部品の数(4個)の比率が、保持可能確率として演算される。その演算された保持可能確率は、ばら部品供給装置32により供給される部品毎に、記憶装置456に記憶される。なお、保持可能確率は、後に詳しく説明する部品の戻し作業時に用いられる。
そして、ピックアップ対象部品が特定されると、そのピックアップ対象部品が、部品保持ヘッド302の吸着ノズル332により保持される。なお、吸着ノズル332によってピックアップ対象部品が吸着保持される際には、吸着ノズル332は、非旋回位置に位置している。そして、リード部品410が吸着ノズル332によって保持された後に、部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動させられる。この際、部品キャリヤ388は、部品キャリヤ移動装置390の作動により、部品受取位置に移動する。また、部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動する際に、吸着ノズル332は、旋回位置に旋回される。なお、旋回位置の吸着ノズル332に保持されたリード部品410のリード414が、鉛直方向での下方を向くように、吸着ノズル332は、ノズル回転装置335の作動により、回転される。
部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動すると、リード414が鉛直方向での下方を向いた状態のリード部品410が、部品受け部材392の部品受容凹部416内に挿入される。これにより、リード部品410は、図7に示すように、リード414を鉛直方向での下方に向けた状態で、部品受け部材392に載置される。
そして、リード部品410が部品受け部材392に載置されると、部品キャリヤ388は、部品キャリヤ移動装置390の作動により、部品供給位置に移動する。部品供給位置に移動した部品キャリヤ388は、作業ヘッド60,62の移動範囲に位置しているため、ばら部品供給装置32では、この位置においてリード部品410が供給される。このように、ばら部品供給装置32では、リード414が下方を向き、リード414が接続された底面500と対向する上面502が上方を向いた状態で、リード部品410が供給される。このため、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66は、適切にリード部品410を保持することが可能となる。
(b)リード部品の回収
また、ばら部品供給装置32では、部品支持部材220の上に散在するリード部品410を回収することが可能である。詳しくは、部品支持部材220が、部品支持部材移動装置222の作動により、部品供給器88の下方に向かって移動させられる。この際、図11に示すように、部品支持部材220上のリード部品410は、部品供給器88の傾斜板152によって堰き止められ、部品支持部材220上のリード部品410が、部品回収容器262の内部に掻き落とされる。
次に、部品回収容器262が、容器昇降装置260の作動により、上昇する。この際、図5に示すように、部品回収容器262に配設された突出ピン272が、サイドフレーム部190の内側に配設された係合ブロック274に係合する。これにより、部品回収容器262は回動し、部品回収容器262内のリード部品410が、部品収納器100の内部に戻される。
そして、作業者が、部品供給器88のグリップ104を把持することで、上述したように、部品供給器88のロックが解除され、部品供給器88を持ち上げることで、部品供給器88が1対のサイドフレーム部190の間から取り外される。これにより、ばら部品供給装置32の外部において、部品供給器88からリード部品410が回収される。
(c)リード部品の再供給
また、ばら部品供給装置32では、部品支持部材220から部品収納器100に戻されたリード部品410を、部品収納器100から回収することなく、再度、部品支持部材220の上に散在し、上述した手順に従って、部品受け部材392に載置することで、リード部品410が再供給される場合がある。
具体的には、上述したように、部品支持部材220の上に散在されたリード部品410のうちの第2姿勢および、第3姿勢のリード部品410のみが部品受け部材392に移載され、他の姿勢のリード部品410は部品支持部材220の上に残される。このため、部品支持部材220から全ての第2姿勢および、第3姿勢のリード部品410が部品受け部材392に移載されると、移載不可能な姿勢のリード部品410のみが部品支持部材220に残存し、ばら部品供給装置32はリード部品410を供給できなくなる。このように、部品支持部材220の上に移載不可能な姿勢のリード部品410のみが残存した場合には、その残存したリード部品410が、部品支持部材220から部品収納器100に戻され、再度、部品収納器100から部品支持部材220の上に散在される。この際、部品支持部材220の上には、第1〜第5姿勢の様々な姿勢でリード部品410が散在される。これにより、部品支持部材220から、再度、第2姿勢および、第3姿勢のリード部品410を部品受け部材392に移載することが可能となる。
また、部品支持部材220の上に移載不可能な姿勢のリード部品410のみが残存した場合だけでなく、部品支持部材220の上に移載可能な姿勢のリード部品410が残存している際にも、その残存したリード部品410が、部品支持部材220から部品収納器100に戻され、再度、部品収納器100から部品支持部材220の上に散在される場合がある。
詳しくは、部品実装機10での装着作業時に、その装着作業において必要なリード部品410の個数(以下、「必要部品数」と記載する場合がある)が、統括制御装置450からばら部品供給装置32の個別制御装置452に伝達される。そして、必要部品数が伝達された個別制御装置452では、供給可能なリード部品410の数が演算される。つまり、カメラ290によりリード部品410が散在された部品支持部材220が撮像され、その撮像データに基づいて、吸着ノズル332により保持可能なリード部品410の個数(以下、「保持可能部品数」と記載する場合がある)、つまり、第2姿勢、及び第3姿勢のリード部品410の個数が演算される。
そして、必要部品数が保持可能部品数を超えているか否が、個別制御装置452において判断される。つまり、必要部品数のリード部品410を部品支持部材220から供給できるか否かが判断される。この際、必要部品数が保持可能部品数を超えていない、つまり、必要部品数のリード部品410を部品支持部材220から供給できると判断された場合には、上述した手順に従って、必要部品数のリード部品410が、部品支持部材220から部品受け部材392に移載され、供給される。具体的には、例えば、図10に示すように、保持可能部品数が4個である場合に、必要部品数が3個であれば、上述した手順に従って、3個のリード部品410が順次、部品受け部材392に移載され、供給される。
一方、必要部品数が保持可能部品数を超えている、つまり、必要部品数のリード部品410を部品支持部材220から供給できないと判断された場合には、部品支持部材220から部品を部品収納器100に戻し、部品収納器100から部品支持部材220の上に散在する必要があるが、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業には、ある程度時間が必要である。このため、部品実装機10による装着作業の進捗状況、部品キャリヤ388の作動状況等に応じて、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業の実行タイミングが決定される。
詳しくは、部品実装機10による装着作業の進捗状況は、統括制御装置450において管理されている。このため、ばら部品供給装置32の個別制御装置452において、必要部品数が保持可能部品数を超えていると判断されると、個別制御装置452は、統括制御装置450に、部品実装機10による装着作業の進捗状況の問合せを行って、ばら部品供給装置32から供給される部品の装着作業が実行されるまでに残存している時間(以下、「残存時間」と記載する場合がある)を統括制御装置450から取得する。つまり、個別制御装置452から統括制御装置450への問合せの時刻から、ばら部品供給装置32から供給される部品を用いた装着作業の開始予定時刻までの時間が、残存時間として、個別制御装置452は統括制御装置450から取得する。
また、個別制御装置452は、部品キャリヤ388が部品受取位置に位置していない場合には、部品キャリヤ388が部品受取位置に移動するまでに必要な時間(以下、「必要時間」と記載する場合がある)を取得する。これは、例えば、部品キャリヤ388が部品供給位置において、部品を供給している際には、部品キャリヤ388は部品供給位置から移動することができないため、その部品キャリヤ388が部品受取位置まで移動する時間として、ある程度の時間が必要なためである。なお、部品キャリヤ388の作動は、個別制御装置452により管理されているため、必要時間は個別制御装置452により演算される。
個別制御装置452は、残存時間および、必要時間を取得すると、その残存時間および、必要時間が閾時間を超えているか否かを判断する。なお、閾時間は、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業に要する時間程度に設定されている。そして、個別制御装置452は、残存時間および、必要時間が閾時間を超えていないと判断された場合には、部品支持部材220から移載可能なリード部品410が全て部品受け部材392に移載された後に、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業が実行される。そして、部品支持部材220に再散在された部品が、部品受け部材392に移載される。
具体的には、例えば、図10に示すように、保持可能部品数が4個である場合に、必要部品数が6個であれば、まず、4個のリード部品410が、部品支持部材220に順次、移載され、供給される。次に、部品支持部材220からリード部品410が部品収納器100に戻され、再度、部品収納器100から部品支持部材220の上に散在される。そして、部品支持部材220から2個のリード部品410が、部品支持部材220に順次、移載され、供給される。これにより、必要部品数のリード部品410が、ばら部品供給装置32により供給される。
一方、個別制御装置452は、残存時間と必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えていると判断された場合には、部品支持部材220からのリード部品410の移載作業を行うことなく、部品支持部材220からリード部品410が部品収納器100に戻され、再度、部品収納器100から部品支持部材220の上に散在される。そして、部品支持部材220の上に再散在された部品から、必要部品数のリード部品410が部品受け部材392に移載される。
具体的には、例えば、図10に示すように、保持可能部品数が4個である場合に、必要部品数が6個であれば、部品支持部材220からリード部品410が移載されることなく、部品支持部材220からリード部品410が部品収納器100に戻され、再度、部品収納器100から部品支持部材220の上に散在される。この間に、例えば、部品供給位置に移動していた部品キャリヤ388が、部品受取位置に移動する。そして、部品支持部材220の上に再散在された部品から、6個のリード部品410が、部品支持部材220に順次、移載され、供給される。この間に、部品実装機10は、別の装着作業を実行しており、その装着作業の時間を利用して、リード部品410が供給される。
このように、ばら部品供給装置32では、ばら部品供給装置32により供給される部品を用いた装着作業までの空き時間、部品キャリヤ388が部品受取位置に移動するまでの空き時間を利用して、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業が実行される。これにより、部品実装機10による装着作業を停止させることなく、必要部品数のリード部品410を供給することが可能となり、サイクルタイムを向上させることが可能となる。
ただし、部品実装機10による装着作業の空き時間、部品キャリヤ388が部品受取位置に移動するまでの空き時間等を利用して、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業を実行しても、サイクルタイムを悪化させる虞がある。つまり、リード部品410の形状によって、保持可能確率が相当低い場合があり、このような場合には、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業が実行されても、部品支持部材220から保持可能なリード部品410の数が、必要部品数以上とならない虞があるためである。
具体的には、例えば、図10に示すように、保持可能部品数が4個である場合に、必要部品数が6個であり、残存時間と必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えていると判断されると、部品支持部材220からリード部品410が移載されることなく、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業が実行される。この際、リード部品410の保持可能確率が20%程度であれば、部品支持部材220からリード部品410が部品収納器100に戻され、再度、部品収納器100から部品支持部材220の上に散在されても、保持可能部品数は、2〜3個(11個(部品支持部材220上のリード部品410の総数)×20%)となる可能性が高く、6個のリード部品410を供給できない。このような場合には、再度、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業を行う必要があり、サイクルタイムが悪化する虞がある。
このため、ばら部品供給装置32では、残存時間と必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えていると判断された場合には、保持可能確率が閾値を超えているか否かが判断される。そして、保持可能確率が閾値を超えていないと判断された場合には、残存時間および必要時間が閾時間を超えていないと判断された場合と同様に、部品支持部材220から移載可能なリード部品410が全て部品受け部材392に移載された後に、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業が実行される。そして、部品支持部材220に再散在された部品が、部品受け部材392に移載される。
一方、保持可能確率が閾値を超えていると判断された場合に、上述したように、部品支持部材220からのリード部品410の移載作業を行うことなく、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業が実行され、その再散在された部品から、必要部品数のリード部品410が供給される。つまり、必要部品数が保持可能部品数を超えていること、必要時間と残存時間との少なくとも一方が閾時間を超えていること、保持可能確率が閾値を超えていることの3つの条件が満たされた場合に、空き時間を利用して、部品収納器100への戻し作業および、部品支持部材220への散在作業が実行される。これにより、確実にサイクルタイムを向上させることが可能となる。
なお、保持可能確率は、上述したように、部品が部品支持部材220の上に散在される毎に演算され、部品毎に記憶装置456に記憶される。このため、保持可能確率は、部品が部品支持部材220の上に散在される毎に刷新されるため、実際の確率に近い値となる。また、保持可能確率の閾値は、必要部品数,保持可能確率等によって変動する。
<制御プログラム>
上述したばら部品供給装置32の部品供給作業は、個別制御装置452において、制御プログラムが実行されることによって行われる。以下に、その制御プログラムが実行される際のフローを、図12及び図13を用いて説明する。
制御プログラムでは、まず、個別制御装置452が、必要部品数を統括制御装置450から取得する(S100)。次に、個別制御装置452は、保持可能部品数を演算する(S102)。そして、個別制御装置452が、必要部品数が保持可能部品数を超えているか否かを判断する(S104)。必要部品数が保持可能部品数を超えていると判断された場合(S104のYES)には、個別制御装置452が、残存時間および、必要時間を取得する(S106)。
続いて、個別制御装置452は、取得した残存時間と必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えているか否かを判断する(S108)。残存時間と必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えていると判断された場合(S108のYES)には、個別制御装置452が、保持可能確率が閾値を超えているか否かを判断する(S110)。保持可能確率が閾値を超えていると判断された場合(S110のYES)には、部品収納器100への戻し作業、および、部品支持部材220への散在作業が実行される(S112)。
次に、部品の散在された部品支持部材220がカメラ290により撮像され、その撮像データに基づいて、個別制御装置452が、保持可能確率を演算する(S114)。そして、演算された保持可能確率が、部品毎に記憶装置456に記憶される(S116)。続いて、部品支持部材220からピックアップ対象部品が吸着ノズル332により保持され、部品受け部材392に移載されることで、リード部品410が供給される(S118)。これにより、制御プログラムの実行が終了する。
また、S104で必要部品数が保持可能部品数を超えていないと判断された場合(S104のNO)、S108で残存時間と必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えていないと判断された場合(S108のNO)、S110で保持可能確率が閾値を超えていないと判断された場合(S110のNO)には、S118の処理が実行され、制御プログラムが終了する。
なお、個別制御装置452は、上記制御プログラムを実行するべく、図8に示すように、部品数取得部520、部品数演算部522、第1判断部524、確率演算部526、第2判断部528、時間取得部530、第3判断部532、部品散在部534を有している。部品数取得部520は、上記制御プログラムのS100の処理、つまり、必要部品数を統括制御装置450から取得する処理を実行するための機能部である。部品数演算部522は、上記制御プログラムのS102の処理、つまり、保持可能部品数を演算する処理を実行するための機能部である。第1判断部524は、上記制御プログラムのS104の処理、つまり、必要部品数が保持可能部品数を超えているか否かを判断する処理を実行するための機能部である。確率演算部526は、上記制御プログラムのS114の処理、つまり、保持可能確率を演算する処理を実行するための機能部である。第2判断部528は、上記制御プログラムのS110の処理、つまり、保持可能確率が閾値を超えているか否かを判断する処理を実行するための機能部である。時間取得部530は、上記制御プログラムのS106の処理、つまり、残存時間と必要時間とを取得する処理を実行するための機能部である。第3判断部532は、上記制御プログラムのS108の処理、つまり、残存時間と必要時間との少なくとも一方が閾時間を超えているか否かを判断する処理を実行するための機能部である。部品散在部534は、上記制御プログラムのS112の処理、つまり、部品収納器100への戻し作業、および、部品支持部材220への散在作業を実行するための機能部である。
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、必要部品数が保持可能部品数を超えていること、必要時間と残存時間との少なくとも一方が閾時間を超えていること、保持可能確率が閾値を超えていることの3つの条件が満たされた場合に、空き時間を利用した部品収納器100への戻し作業等が実行されるが、少なくとも、必要部品数が保持可能部品数を超えていることの条件を満たした場合に、空き時間を利用した部品収納器100への戻し作業等を実行することが可能である。つまり、必要時間と残存時間との少なくとも一方が閾時間を超えていること、保持可能確率が閾値を超えていることとの2つの条件は、任意に設定することが可能である。
また、上記実施例では、リード414を有するリード部品410に本発明が適用されているが、種々の種類の部品に本発明を適用することが可能である。具体的には、例えば、太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品,リードを有さない電子回路部品等に、本発明を適用することが可能である。
10:部品実装機(装着作業機) 24:部品装着装置 66:吸着ノズル(第2部品保持具) 32:ばら部品供給装置(部品供給装置) 84:撮像装置 92:部品戻し装置 100:部品収納器 220:部品支持部材(部品支持部) 332:吸着ノズル(第1部品保持具) 392:部品受け部材(載置部) 452:個別制御装置(制御装置) 456:記憶装置 520:部品数取得部 522:部品数演算部 524:第1判断部 526:確率演算部 528:第2判断部 530:時間取得部 532:第3判断部 534:部品散在部