以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
<部品実装装置の構成>
図1に、部品実装装置10を示す。部品実装装置10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装装置10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、撮像装置26,28、部品供給装置30、ばら部品供給装置32、制御装置(図13参照)34を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
装置本体20は、フレーム部40と、そのフレーム部40に上架されたビーム部42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム部40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装装置10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
部品装着装置24は、ビーム部42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と作業ヘッド移動装置64とを有している。各作業ヘッド60,62は、チャック,吸着ノズル等の部品保持具(図2参照)66を有しており、部品保持具66によって部品を保持する。また、作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置68とY方向移動装置70とZ方向移動装置72とを有している。そして、X方向移動装置68とY方向移動装置70とによって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム部40上の任意の位置に移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、図2に示すように、スライダ74,76に着脱可能に装着されており、Z方向移動装置72は、スライダ74,76を個別に上下方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向に移動させられる。
撮像装置26は、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向,Y方向およびZ方向に移動させられる。これにより、撮像装置26は、フレーム部40上の任意の位置を撮像する。撮像装置28は、図1に示すように、フレーム部40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、撮像装置28は、作業ヘッド60,62の部品保持具66に保持された部品を撮像する。
部品供給装置30は、フレーム部40の前後方向での一方側の端部に配設されている。部品供給装置30は、トレイ型部品供給装置78とフィーダ型部品供給装置(図示省略)とを有している。トレイ型部品供給装置78は、トレイ上に載置された状態の部品を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置は、テープフィーダ(図示省略)によって部品を供給する装置である。
ばら部品供給装置32は、フレーム部40の前後方向での他方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置32は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。以下に、部品供給装置32の構成について詳しく説明する。なお、部品供給装置30および、ばら部品供給装置32によって供給される部品として、電子回路部品,太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品等が挙げられる。また、電子回路部品には、リードを有する部品,リードを有さない部品等が有る。
ばら部品供給装置32は、図3および図4に示すように、本体80と、部品供給ユニット82と、撮像装置84と、部品引渡し装置86とを有している。
(a)部品供給ユニット
部品供給ユニット82は、部品供給器88と部品散在状態実現装置90と部品戻し装置92とを含み、それら部品供給器88と部品散在状態実現装置90と部品戻し装置92とが一体的に構成されたものである。部品供給ユニット82は、本体80のベース96に着脱可能に組み付けられており、ばら部品供給装置32では、5台の部品供給ユニット82が、X方向に1列に並んで配設されている。
(i)部品供給器
部品供給器88は、図5に示すように、部品収納器100とハウジング102とグリップ104とを含む。部品収納器100は、概して直方体形状をなし、上面と前面とが開口している。その部品収納器100の底面は、傾斜面116となっており、部品収納器100の開口する前面に向かって傾斜している。
ハウジング102は、1対の側壁120を有している。それら1対の側壁120は、概して矩形をなし、部品収納器100を挟むように、対向して配設されている。各側壁120の後方側の端部には、コの字型に突出する1対の突出部122,124が形成されている。1対の側壁120は、突出部122,124において、連結部材126,128によって連結されている。また、1対の側壁120は、上端部において、連結ロッド130によって連結され、下端部において、連結ロッド(図示省略)によって連結されている。なお、1対の側壁120の間の寸法は、1対の側壁120によって挟まれる部品収納器100の幅より僅かに長い。
1対の側壁120には、突出部122の基端部において、支持軸134が架け渡されており、部品収納器100が、支持軸134により揺動可能に支持されている。つまり、部品収納器100は、ハウジング102の内部において、支持軸134を中心に揺動する。また、1対の側壁120の間には、部品収納器100の前面の下端部の前方に位置するように、部品排出部材150が固定的に配設されている。部品排出部材150は、傾斜板152と、その傾斜板152の幅方向での両端部に立設された1対の側板(図では一方の側板のみが記されている)154とを含む。傾斜板152は、前方に向かうほど下降するように傾斜している。
グリップ104は、固定把持部材170と可動把持部材172とによって構成されている。固定把持部材170は、四角筒形状をなし、1つの側面が開口している。固定把持部材170は、開口する側面を1対の側壁120の間に向けた状態で、上端部において、連結部材128に固定され、下端部において、連結部材126に固定されている。また、可動把持部材172も、四角筒形状をなし、固定把持部材170の開口する側面から固定把持部材170の内部に嵌め入れられている。そして、可動把持部材172は、下端部において、揺動可能に連結部材126に支持されている。これにより、可動把持部材172は、下端部を中心に揺動し、可動把持部材172の上端部が、固定把持部材170に接近・離間する。
その可動把持部材172は、上端部において、連結アーム(図示省略)によって部品収納器100の後面に連結されている。このため、可動把持部材172の揺動に伴って、部品収納器100も揺動する。つまり、可動把持部材172の上端部が固定把持部材170から離間する方向に揺動すると、部品収納器100は、下方に向かって揺動する。一方、可動把持部材172の上端部が固定把持部材170に接近する方向に揺動すると、部品収納器100は、上方に向かって揺動する。
また、固定把持部材170と可動把持部材172との間には、スプリング(図示省略)が圧縮された状態で配設されている。このため、可動把持部材172は、スプリングの弾性力によって、固定把持部材170から離れる方向に付勢されている。つまり、通常時において、可動把持部材172の上端部は、固定把持部材170から離間する方向に揺動しており、部品収納器100は、下方に向かって揺動している。この際、部品収納器100の傾斜面116の前方側の端部は、傾斜板152の後方側の端部と、殆ど隙間なく向かい合っている。
また、部品供給器88は、ベース96に組み付けられている1対のサイドフレーム部190に着脱可能に取り付けられる。詳しくは、1対のサイドフレーム部190は、概して板状をなし、所定距離、離れた状態で向かい合うように配設されている。1対のサイドフレーム部190の間の距離は、部品供給器88の幅方向の寸法、つまり、1対の側壁120の間の距離より僅かに長い。このため、1対のサイドフレーム部190の間に、部品供給器88が挿入される。
また、グリップ104の可動把持部材172の下端部には、ロック機構(図示省略)が設けられており、可動把持部材172がスプリングの弾性力によって固定把持部材170から離れる方向に付勢されている状態、つまり、通常時において、部品供給器88は、ロック機構により、1対のサイドフレーム部190の間においてロックされている。一方、作業者が、グリップ104を把持した場合には、可動把持部材172が、スプリングの弾性力に抗して、固定把持部材170に向かって接近する。この際、可動把持部材172の下端部に設けられているロック機構が解除される。これにより、作業者が部品供給器88のグリップ104を把持した状態で、部品供給器88を持ち上げることで、部品供給器88が1対のサイドフレーム部190の間から取り外される。
(ii)部品散在状態実現装置
部品散在状態実現装置90は、部品支持部材220と部品支持部材移動装置222と供給器振動装置224とを含む。部品支持部材220は、概して長手形状の板形状をなし、部品供給器88の傾斜板152の下方から前方に延び出すように、配設されている。また、部品支持部材220の長手方向の両側縁には、側壁部228が形成されている。
部品支持部材移動装置222は、部品支持部材220を前後方向に電磁モータ(図13参照)236の駆動により移動させる装置である。これにより、部品支持部材220は、部品供給器88の傾斜板152の下端から僅かに下方において、部品支持部材220の上面が水平な状態で、前後方向に移動する。なお、部品支持部材220は、部品支持部材220の略全体が露出する部品供給位置と、部品支持部材220の略全体が部品供給器88の下方に位置する退避位置との間で移動する。
供給器振動装置224は、カム部材240とカムフォロワ242とストッパ244とを含む。カム部材240は、板状をなし、側壁部228の外側の側面に、前後方向に延びるように固定されている。カム部材240の上端部には、複数の歯245が前後方向に等間隔で形成されている。カムフォロワ242は、レバー252とローラ254とを含む。レバー252は、上下方向に延びるように、部品供給器88の側壁120の下端部に配設されており、上端部において、部品供給器88の幅方向に平行な軸線周りに揺動可能に、側壁120により保持されている。ローラ254は、部品供給器88の幅方向に平行な軸線周りに回転可能に、レバー252の下端部によって保持されている。なお、レバー252は、コイルばね(図示省略)の弾性力によって前方に向かう方向に付勢されている。
ストッパ244は、側壁120に突状に設けられており、コイルばねの弾性力により付勢されたレバー252が、ストッパ244に接触している。なお、レバー252は、ストッパ244に接触した状態において、鉛直方向において下方に延び出す姿勢となっている。
(iii)部品戻し装置
部品戻し装置92は、図6に示すように、容器昇降装置260と部品回収容器262とを含む。容器昇降装置260は、エアシリンダ266と昇降部材268とを含み、昇降部材268は、エアシリンダ266の作動により、昇降する。また、エアシリンダ266は、部品支持部材220の前方側の端部に固定されている。これにより、エアシリンダ266は、部品支持部材移動装置222の作動により、部品支持部材220と共に前後方向に移動する。
部品回収容器262は、昇降部材268の上面に配設されており、エアシリンダ266の作動により、上下方向に移動する。この際、部品回収容器262は、部品供給器88より上方に位置する上昇端位置と、部品支持部材220より下方に位置する下降端位置との間で移動する。
部品回収容器262は、上面が開口する箱状をなし、昇降部材268の上面において、部品供給器88の幅方向に平行な軸線周りに回動可能に保持されている。これにより、部品回収容器262は、それの底面が水平となり、開口から部品を受け入れ可能な部品受け姿勢(図14における部品回収容器262の姿勢)と、それの底面が鉛直となり、開口から部品を排出可能な部品排出姿勢(図6における部品回収容器262の姿勢)との間で回動する。なお、部品回収容器262は、コイルばね(図示省略)によって、部品受け姿勢となる方向に付勢されている。
その部品回収容器262の後方側の端部には、図5に示すように、突出ピン272が配設されている。突出ピン272は、部品回収容器262の側方での外側に向かって突出している。また、サイドフレーム部190の前方側の上端部の内側には、係合ブロック274が固定されている。そして、図6に示すように、部品回収容器262が、エアシリンダ266の作動により上昇端位置まで上昇する際に、突出ピン272が係合ブロック274に係合する。これにより、部品回収容器262は、回動し、部品排出姿勢となる。
なお、ばら部品供給装置32では、部品供給器88と部品散在状態実現装置90と部品戻し装置92とによって構成される部品供給ユニット82と異なる幅の部品供給ユニットが用意されている。詳しくは、図3乃至図6において図示されている部品供給ユニット82を幅方向に2倍に拡張した部品供給ユニット(図7参照)280と、部品供給ユニット82を幅方向に3倍に拡張した部品供給ユニット(図8参照)282が用意されている。なお、部品供給ユニット280,282も、部品供給ユニット82と同様に、部品供給器と部品散在状態実現装置と部品戻し装置とによって構成されているが、部品供給ユニット280,282の部品供給器,部品散在状態実現装置,部品戻し装置は、部品供給ユニット82の部品供給器88,部品散在状態実現装置90,部品戻し装置92を幅方向に拡張したものであるため、それらの説明は省略する。
部品供給ユニット82は、上述したように、本体80のベース96に着脱可能とされている。このため、例えば、隣り合う2台の部品供給ユニット82を、ベース96から取り外し、その位置に、図7に示すように、部品供給ユニット280を装着することが可能である。また、例えば、隣り合う3台の部品供給ユニット82を、ベース96から取り外し、その位置に、図8に示すように、部品供給ユニット282を装着することが可能である。
さらに、ばら部品供給装置32では、部品供給ユニット82,280,282の代わりに、図9に示すように、部品支持ユニット284をベース96に装着することが可能である。詳しくは、部品支持ユニット284は、図9および図10に示すように、部品支持部材285と傾斜板286とを含む。部品支持部材285は、概して矩形の板状の部材であり、部品支持部材285の幅は、部品供給ユニット82の幅の5倍程度とされている。また、部品支持部材285の下面には、前後方向に延びるように、レール287が形成されており、本体80のベース96には、前後方向に延びるように、溝288が形成されている。そして、部品支持部材285のレール287が溝288に嵌合されており、部品支持部材285は前後方向にスライド可能とされている。これにより、部品支持ユニット284は、ベース96に着脱可能に装着される。
また、傾斜板286は、部品支持部材285の後方側の端部の上方において、支持機構(図示省略)により支持されている。傾斜板286は、前方に向かうほど下降するように傾斜している。また、部品支持部材285がスライドした際に、部品支持部材285上の部品と傾斜板286とが干渉しないように、傾斜板286の下端部と部品支持部材285の上面とは所定の距離、離れている。
(b)撮像装置
撮像装置84は、図3に示すように、カメラ290とカメラ移動装置292とを含む。カメラ移動装置292は、ガイドレール296とスライダ298とを含む。ガイドレール296は、部品供給器88の上方において、ばら部品供給装置32の幅方向に延びるように、本体80に固定されている。スライダ298は、ガイドレール296にスライド可能に取り付けられており、電磁モータ(図13参照)299の作動により、任意の位置にスライドする。また、カメラ290は、下方を向いた状態でスライダ298に装着されている。
(c)部品引渡し装置
部品引渡し装置86は、図3に示すように、部品保持ヘッド移動装置300と部品保持ヘッド302と2台のシャトル装置304とを含む。
部品保持ヘッド移動装置300は、X方向移動装置310とY方向移動装置312とZ方向移動装置314とを含む。Y方向移動装置312は、X方向に延びるように、部品供給ユニット82の上方に配設されたYスライダ316を有しており、Yスライダ316は、電磁モータ(図13参照)319の駆動により、Y方向の任意の位置に移動する。X方向移動装置310は、Yスライダ316の側面に配設されたXスライダ320を有しており、Xスライダ320は、電磁モータ(図13参照)321の駆動により、X方向の任意の位置に移動する。Z方向移動装置314は、Xスライダ320の側面に配設されたZスライダ322を有しており、Zスライダ322は、電磁モータ(図13参照)323の駆動により、Z方向の任意の位置に移動する。
部品保持ヘッド302は、図11に示すように、ヘッド本体330と吸着ノズル332とノズル旋回装置334とノズル回転装置335とを含む。ヘッド本体330は、Zスライダ322と一体的に形成されている。吸着ノズル332は、負圧により部品を吸着保持するものであり、ノズルホルダ340の下端部に装着されている。ノズルホルダ340は、支持軸344において屈曲可能とされており、ノズル旋回装置334の作動により、ノズルホルダ340が90度屈曲する。これにより、ノズルホルダ340の下端部に装着された吸着ノズル332は、90度旋回し、旋回位置に位置する。つまり、吸着ノズル332は、ノズル旋回装置334の作動により、非旋回位置と旋回位置との間で旋回する。また、ノズル回転装置335は、吸着ノズル332をそれの軸心周りに回転させる。
2台のシャトル装置304の各々は、図3に示すように、部品キャリヤ388と部品キャリヤ移動装置390とを含み、部品供給ユニット82の前方側に横方向に並んで、本体80に固定されている。部品キャリヤ388には、5個の部品受け部材392が、横方向に一列に並んだ状態で装着されており、各部品受け部材392に、部品が載置される。
詳しくは、ばら部品供給装置32で供給される部品は、図12に示すように、リードを有する電子回路部品(以下、「リード部品」と略す場合がある)410であり、リード部品410は、ブロック状の部品本体412と、部品本体412の底面から突出する2本のリード414とから構成されている。また、部品受け部材392には、部品受容凹部416が形成されている。部品受容凹部416は、段付き形状の凹部であり、部品受け部材392の上面に開口する本体部受容凹部418と、その本体部受容凹部418の底面に開口するリード受容凹部420とから構成されている。そして、リード部品410は、リード414が下方を向く姿勢で、部品受容凹部416の内部に挿入される。これにより、リード414がリード受容凹部420に挿入されるとともに、部品本体412が本体部受容凹部418に挿入された状態で、リード部品410が部品受容凹部416の内部に載置される。
部品キャリヤ移動装置390は、図3に示すように、板状の長手部材であり、前後方向に延びるように、部品供給ユニット82の前方側に配設されている。部品キャリヤ移動装置390の上面には、部品キャリヤ388が前後方向にスライド可能に配設されており、電磁モータ(図13参照)438の駆動により、前後方向の任意の位置にスライドする。なお、部品キャリヤ388が、部品供給ユニット82に接近する方向にスライドした際には、部品保持ヘッド移動装置300による部品保持ヘッド302の移動範囲内に位置する部品受取位置までスライドする。一方、部品キャリヤ388が、部品供給ユニット82から離れる方向にスライドした際には、作業ヘッド移動装置64による作業ヘッド60,62の移動範囲内に位置する部品供給位置までスライドする。
また、制御装置34は、図13に示すように、統括制御装置450と、複数の個別制御装置(図では1つのみ図示されている)452と、画像処理装置454とを含む。統括制御装置450は、コンピュータを主体として構成されたものであり、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32に接続されている。これにより、統括制御装置450は、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32を統括して制御する。複数の個別制御装置452は、コンピュータを主体として構成されたものであり、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32に対応して設けられている(図では、ばら部品供給装置32に対応する個別制御装置452のみが図示されている)。ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、部品散在状態実現装置90,部品戻し装置92,カメラ移動装置292,部品保持ヘッド移動装置300,部品保持ヘッド302,シャトル装置304に接続されている。これにより、ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、部品散在状態実現装置90,部品戻し装置92,カメラ移動装置292,部品保持ヘッド移動装置300,部品保持ヘッド302,シャトル装置304を制御する。また、画像処理装置454は、撮像装置84に接続されており、撮像装置84により撮像された撮像データを処理する。さらに、画像処理装置454は、ばら部品供給装置32の個別制御装置452に接続されている。これにより、ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、撮像装置84により撮像された撮像データを取得する。
<部品実装装置の作動>
部品実装装置10は、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業が行われる。具体的には、回路基材12が、作業位置まで搬送され、その位置において、クランプ装置52によって固定的に保持される。次に、撮像装置26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。これにより、回路基材12の保持位置の誤差に関する情報が得られる。また、部品供給装置30若しくは、ばら部品供給装置32は、所定の供給位置において、部品を供給する。なお、ばら部品供給装置32による部品の供給に関しては、後で詳しく説明する。そして、作業ヘッド60,62の何れかが、部品の供給位置の上方に移動し、部品保持具66によって部品を保持する。続いて、部品を保持した作業ヘッド60,62が、撮像装置28の上方に移動し、撮像装置28によって、部品保持具66に保持された部品が撮像される。これにより、部品の保持位置の誤差に関する情報が得られる。そして、部品を保持した作業ヘッド60,62が、回路基材12の上方に移動し、保持している部品を、回路基材12の保持位置の誤差,部品の保持位置の誤差等を補正し、回路基材12上に装着する。
<ばら部品供給装置の作動>
(a)ばら部品供給装置によるリード部品の供給
ばら部品供給装置32では、リード部品410が、作業者によって部品供給器88の部品収納器100に投入され、その投入されたリード部品410が、部品供給ユニット82,部品引渡し装置86の作動により、部品キャリヤ388の部品受け部材392に載置された状態で供給される。詳しくは、作業者は、部品供給器88の部品収納器100の上面の開口から、複数種類のリード部品410を投入する。この際、部品支持部材220は、部品支持部材移動装置222の作動により、部品供給器88の下方の退避位置に移動しており、部品供給器88の前方には、部品回収容器262が位置している。
部品収納器100の上面の開口から投入されたリード部品410は、部品収納器100の傾斜面116の上に落下し、傾斜面116上に広がる。この際、傾斜面116に落下したリード部品410が、傾斜板152を超えて転がり落ちた場合には、部品供給器88の前方に位置する部品回収容器262に収容される。
部品収納器100へのリード部品410の投入後に、部品支持部材220が、部品支持部材移動装置222の作動により、部品供給器88の下方から前方に向かって移動させられる。この際、カム部材240がカムフォロワ242に至れば、図14に示すように、カムフォロワ242のローラ254が、カム部材240の歯245を乗り越える。カムフォロワ242のレバー252は、コイルばねの弾性力によって前方に向かう方向に付勢されており、レバー252の前方への付勢は、ストッパ244によって規制されている。このため、部品支持部材220が前方に向かって移動する際には、ローラ254と歯245とが噛み合った状態に維持され、レバー252は前方に向かって回動せず、ローラ254は、歯245を乗り越える。この際、部品供給器88は、ローラ254の歯245の乗り越えにより、昇降する。つまり、ローラ254が歯245に噛み合った状態で、部品支持部材220が前方に向かって移動することで、ローラ254が複数の歯245を乗り越え、部品供給器88が上下方向に連続して振動する。
部品収納器100の傾斜面116上に広がっているリード部品410は、部品供給器88の振動と傾斜面116の傾斜により、前方に移動し、傾斜板152を介して、部品支持部材220の上面に排出される。この際、部品支持部材220の側壁部228によって、部品支持部材220からのリード部品410の落下が防止される。そして、部品支持部材220が部品供給位置まで移動することで、部品支持部材220の上面に、複数種類のリード部品410が散在される。ただし、部品支持部材220の幅は、比較的狭いため、大きなリード部品410、若しくは、多数のリード部品410を適切に散在させることができない虞がある。
このため、供給すべきリード部品410のサイズが大きい場合、若しくは、供給すべきリード部品410の数が相当多い場合には、部品供給ユニット82の代わりに、部品供給ユニット280若しくは、部品供給ユニット282が本体80のベース96に取り付けられる。そして、部品供給ユニット280,282の部品収納器に複数種類のリード部品410が投入され、部品供給ユニット280,282の部品散在状態実現装置が、部品供給ユニット82の部品散在状態実現装置90と同様に作動することで、部品供給ユニット280,282の部品支持部材にリード部品410が散在される。これにより、大きなリード部品410若しくは、多数のリード部品410であっても、比較的幅の広い部品支持部材の上に適切に散在することが可能となる。
また、更に大きなリード部品410を供給したい場合、若しくは、更に多くの数のリード部品410を供給したい場合には、部品供給ユニット82,280,282の代わりに、部品支持ユニット284が本体80のベース96に取り付けられる。そして、作業者が、部品支持ユニット284の傾斜板286の上に、直接、複数種類のリード部品410を供給する。つまり、部品支持ユニット284では、部品供給ユニット82,280,282の部品供給器88と異なり、部品収納器100等を介することなく、作業者が、直接、傾斜板286の上にリード部品410を投下する。
傾斜板286の上にリード部品410が供給されると、そのリード部品410は、傾斜板286の上を転がり、部品支持部材285の上に落下する。これにより、図9および図10に示すように、部品支持部材285の上に、リード部品410が散在される。このように、部品供給ユニット82,280,282の代わりに、部品支持ユニット284をベース96に取り付けることで、大きなリード部品410若しくは、多数のリード部品410であっても、比較的幅の広い部品支持部材285の上に適切に散在することが可能となる。また、部品支持ユニット284は、部品供給ユニット82,280,282と比較して、比較的簡素な構造であるため、コスト的に非常に有利である。なお、図9および図10では、3種類のリード部品410a、410b、410cが、傾斜板286に供給された場合に、それら3種類のリード部品410a、410b、410cが散在された状態の部品支持部材285が記されている。
上述した手順により、部品供給ユニット82,280,282の部品支持部材220の上、若しくは、部品支持ユニット284の部品支持部材285の上に複数種類のリード部品410が散在されると、撮像装置84のカメラ290が、カメラ移動装置292の作動により、リード部品410が散在する部品支持部材220,285の上方に移動させられ、リード部品410を撮像する。そして、カメラ290により撮像された撮像データに基づいて、ピックアップの対象となるリード部品(以下、「ピックアップ対象部品」と略す場合がある)が、部品保持ヘッド302の吸着ノズル332により保持される。ただし、上述したように、部品供給ユニット82,280,282の部品支持部材220の上、若しくは、部品支持ユニット284の部品支持部材285の上には、複数種類のリード部品410が散在されている。このため、複数種類のリード部品410から、ピックアップ対象部品が特定される。
具体的に、図9および図10に示すように、部品支持ユニット284の部品支持部材285の上に3種類のリード部品410a、410b、410cが散在されている際に、リード部品410aがピックアップ対象部品である場合について説明する。ばら部品供給装置32の個別制御装置452には、リード部品410を識別するための情報(以下、「識別情報」と記載する場合がある)が記憶されている。識別情報は、ばら部品供給装置32により供給されるリード部品410毎の形状に関する情報であり、リード部品410の4つの側面の形状を示す情報によって構成されている。リード部品410の識別情報の一例として、リード部品410aの識別情報460を、図15に概念的に示す。
リード部品410aの識別情報460には、リード部品410aの部品本体412の4つの側面462のうちの所定の側面462aからの視点におけるリード部品410aの形状を示す情報460aと、側面462aの隣の側面462bからの視点におけるリード部品410aの形状を示す情報460bと、側面462bの反対側の側面462cからの視点におけるリード部品410aの形状を示す情報460cと、側面462aの反対側の側面462dからの視点におけるリード部品410aの形状を示す情報460dとが含まれている。
一方、カメラ290の撮像データには、部品支持部材285の上に散在されている複数のリード部品410の各々の個別の画像データ(以下、「個別画像データ」)が含まれている。このため、カメラ290の撮像データに含まれる複数の個別画像データと、個別制御装置452に記憶されている識別情報とが比較され、それら複数の個別画像データから、リード部品410aの識別情報460と一致するものが抽出される。そして、抽出された個別画像データに対応するリード部品410が、ピックアップ対象部品として特定される。
ピックアップ対象部品が特定されると、そのピックアップ対象部品の位置、および、ピックアップ対象部品の姿勢が、カメラ290の撮像データに基づいて演算される。そして、演算されたピックアップ対象部品の位置、および、ピックアップ対象部品の姿勢に基づいて、部品保持ヘッド移動装置300の作動が制御される。これにより、部品保持ヘッド302が、ピックアップ対象部品の上方に移動し、吸着ノズル332によってピックアップ対象部品が吸着保持される。なお、吸着ノズル332によってピックアップ対象部品が吸着保持される際には、吸着ノズル332は、非旋回位置に位置している。
そして、リード部品410が吸着ノズル332によって保持された後に、部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動させられるが、この際、部品キャリヤ388は、部品キャリヤ移動装置390の作動により、部品受取位置に移動している。また、部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動する際に、吸着ノズル332は、旋回位置に旋回される。なお、旋回位置の吸着ノズル332に保持されたリード部品410のリード414が、鉛直方向での下方を向くように、吸着ノズル332は、ノズル回転装置335の作動により、回転されている。
部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動すると、リード414が鉛直方向での下方を向いた状態のリード部品410が、部品受け部材392内に挿入される。これにより、リード部品410は、リード414を鉛直方向での下方に向けた状態で、部品受け部材392に載置される。そして、部品キャリヤ388は、部品キャリヤ移動装置390の作動により、部品供給位置に移動する。部品供給位置に移動した部品キャリヤ388は、作業ヘッド60,62の移動範囲に位置しているため、ばら部品供給装置32では、この位置においてリード部品410が供給される。このように、ばら部品供給装置32では、リード414が下方を向き、リード414が接続された面と対向する面が上方を向いた状態で、リード部品410が供給される。このため、作業ヘッド60,62の部品保持具66は、適切にリード部品410を保持することが可能となる。
また、従来のばら部品供給装置では、1台の部品供給ユニット82,280,282において、1種類のリード部品410しか供給することはできなかった。つまり、1台の部品供給ユニット82,280,282の部品収納器100に、1種類のリード部品410しか投入することはできなかった。このため、ベース96に5台の部品供給ユニット82が取り付けられている場合であっても、最大で5種類のリード部品410しか供給することができず、利便性が低かった。また、部品供給ユニット82,280,282毎に、リード部品410の種類を区別する必要があり、作業者の負担が大きかった。一方、ばら部品供給装置32では、1台の部品供給ユニット82,280,282および、部品支持ユニット284に複数種類のリード部品410が供給され、それら複数種類のリード部品410から任意のピックアップ対象部品がピックアップされる。これにより、ばら部品供給装置32は、5種類以上のリード部品410を供給することが可能となり、利便性が向上する。また、作業者は、部品供給ユニット82,280,282若しくは、部品支持ユニット284毎に、リード部品410の種類を区別する必要がなくなり、作業者の負担が軽減する。
なお、個別制御装置452は、図13に示すように、情報取得部470と作動制御部472とを有している。情報取得部470は、カメラ290の撮像データに基づいて、個別画像データとピックアップ対象部品の位置に関する情報とを取得するための機能部である。作動制御部472は、個別画像データとピックアップ対象部品の位置に関する情報とに基づいて、部品保持ヘッド移動装置300と部品保持ヘッド302の作動を制御するための機能部である。
(b)リード部品の回収
また、ばら部品供給装置32では、部品支持部材220,285上に散在するリード部品410を回収することが可能である。詳しくは、ベース96に部品供給ユニット82,280,282が取り付けられている場合には、まず、部品支持部材220が、部品支持部材移動装置222の作動により、部品供給器88の下方に向かって移動させられる。この際、図16に示すように、部品支持部材220上のリード部品410は、部品供給器88の傾斜板152によって堰き止められる。これにより、部品支持部材220上のリード部品410は、部品回収容器262の内部に掻き落とされる。
部品支持部材220が部品供給器88の下方に移動すると、部品回収容器262が、容器昇降装置260の作動により、上昇する。この際、図6に示すように、部品回収容器262に配設された突出ピン272が、サイドフレーム部190の内側に配設された係合ブロック274に係合する。これにより、部品回収容器262は回動し、部品回収容器262の底面が鉛直となる。このため、部品回収容器262内のリード部品410は、全て、部品収納器100の内部に戻される。
そして、作業者が、部品供給器88のグリップを把持することで、上述したように、部品供給器88のロックが解除され、部品供給器88を持ち上げることで、部品供給器88が1対のサイドフレーム部190の間から取り外される。これにより、ばら部品供給装置32の外部において、部品供給器88からリード部品410を取り出すことで、リード部品410が回収される。
また、ベース96に部品支持ユニット284が取り付けられている場合には、作業者が、部品支持部材285をベース96から離れる方向にスライドさせることで、部品支持部材285は、ベース96から取り外される。これにより、ばら部品供給装置32の外部において、部品支持部材285の上に散在されているリード部品410が回収される。このように、部品支持ユニット284では、非常に簡素な構造の機構により、リード部品410を回収することが可能であり、コスト的に非常に有利である。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、部品供給ユニット82の幅の2倍および、3倍の部品供給ユニット280,282が採用されているが、任意の幅の部品供給ユニットを採用することが可能である。また、部品供給ユニット82の幅の5倍の部品支持ユニット284が採用されているが、任意の幅の部品支持ユニットを採用することが可能である。
また、上記実施例では、リード部品410を識別するための情報として、リード部品410の形状に関する情報が採用されているが、種々の識別情報を採用することが可能である。例えば、リード部品410にID等が記されている場合には、IDを識別情報として採用することが可能である。