JP2020045424A - 分散樹脂、分散液およびインク - Google Patents
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Abstract
【課題】色材に対する密着性を向上させ、水系媒体に色材を分散させた場合における当該色材の分散安定性および当該色材を含む分散液の保存安定性を向上させることのできる分散樹脂を提供すること。【解決手段】本発明の分散樹脂は、色材の分散に用いられる分散樹脂であって、疎水性部位と、疎水性部位よりも親水性の高い親水性部位とを有するブロック共重合体であり、疎水性部位が分岐した構造を有している。【選択図】図1
Description
本発明は、分散樹脂、分散液およびインクに関する。
近年、インクジェットプリントの用途が拡大しており、オフィス、家庭用の印刷機としてのほか、商業印刷、テキスタイルプリント等へも適用されている。
そして、分散染料等の色材が分散したインクジェット用インクも用いられている。
そして、分散染料等の色材が分散したインクジェット用インクも用いられている。
このようなインクでは、色材の分散に高分子材料である分散樹脂が用いられることがある。
例えば、特許文献1には、水系媒体中の粒子の疎水性表面に強力に吸着する分散剤として、ABn構造(Aはイオン化性部分を含有する親水性ポリマーセグメントであって多官能性連鎖移動剤で終端し、Bは無極性非重合疎水性炭化水素部分であり、nは1を越え、B部分がAセグメントのCTA末端で分岐セグメントを形成する。)を有する分散樹脂が記載されている。
しかしながら、このような分散樹脂は、色材に付着した状態が不安定であり、色材に対する密着性が十分ではなく、水系媒体に色材を分散させた場合における当該色材の分散安定性および当該色材を含む分散液の保存安定性が不十分であるという課題があった。分散安定性向上のために分散樹脂の添加量を増やすと、インクの粘度が上昇し、例えば、インクジェット法による吐出の際に不具合を生じやすかった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することができる。
[1] 色材の分散に用いられる分散樹脂であって、
疎水性部位と、当該疎水性部位よりも親水性の高い親水性部位とを有するブロック共重合体であり、
前記疎水性部位が分岐した構造を有している分散樹脂。
疎水性部位と、当該疎水性部位よりも親水性の高い親水性部位とを有するブロック共重合体であり、
前記疎水性部位が分岐した構造を有している分散樹脂。
[2] 前記疎水性部位は、スチレン、アクリル酸のアルキルエステル、シクロヘキサン、フェノキシエチル、またはフェノキシを含むものである[1]に記載の分散樹脂。
[3] 前記親水性部位は、オリゴオキシエチレン鎖、カルボキシル基、スルホン酸基、またはリン酸基を含むものである[1]または[2]に記載の分散樹脂。
[4] 前記疎水性部位の前記分岐した構造は、デンドリマー構造を有するものであり、
当該デンドリマーの世代は3以上4以下である[1]ないし[3]のいずれかに記載の分散樹脂。
当該デンドリマーの世代は3以上4以下である[1]ないし[3]のいずれかに記載の分散樹脂。
[5] 色材と、
[1]ないし[4]のいずれかに記載の分散樹脂と、を含有する分散液。
[1]ないし[4]のいずれかに記載の分散樹脂と、を含有する分散液。
[6] [5]に記載の分散液を含有するインク。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[分散樹脂]
まず、本発明の分散樹脂について説明する。
[分散樹脂]
まず、本発明の分散樹脂について説明する。
図1は、本発明の分散樹脂の概念を模式的に示す図であり、図2は、本発明の分散樹脂に色材が付着した状態を模式的に示す図である。
分散樹脂1は、色材の分散に用いられる分散樹脂であって、疎水性部位10と、疎水性部位10よりも親水性の高い親水性部位20とを有するブロック共重合体である。そして、疎水性部位10は分岐した構造である分岐構造部11を有している。
このような分散樹脂1を用いて水系媒体に色材50を分散させる場合に、疎水性部位10は、色材50に対する親和性および付着性を示す部位であり、親水性部位20は、水系媒体との親和性を示す部位である。
分散樹脂1が、疎水性部位10と親水性部位20とを有することにより、色材50を水系媒体中により安定して分散させることができる。
そして、疎水性部位10が分岐構造部11を有することで、図2に示すように、分岐した部分で色材50を包み込むようにして色材50に付着することができる。これにより分散樹脂1の色材50に対する密着性が向上し、水系媒体に色材50を分散させた場合における当該色材50の分散安定性および当該色材50を含む分散液の保存安定性が向上する。なお、本明細書において、「分散液の保存安定性」という場合、後述するインクについての保存安定性も含む。
さらに、疎水性部位10が分岐構造部11を有することにより、当該分散樹脂1を用いた分散液およびインクの粘度が大きくなることを効果的に抑制することができる。
したがって、分散液をインク、特に、水性インクジェット用インクに用いた場合に、インクジェット法による吐出安定性を向上させることができる。
分散樹脂1は、疎水性部位10と親水性部位20とを有するブロック共重合体である。
より具体的には、図示の構成では、分散樹脂1は、分子内に、疎水性部位10としての第1セグメント、および、親水性部位20としての第2セグメントを、それぞれ、有するブロックコポリマーである。
より具体的には、図示の構成では、分散樹脂1は、分子内に、疎水性部位10としての第1セグメント、および、親水性部位20としての第2セグメントを、それぞれ、有するブロックコポリマーである。
ブロック共重合体は、性質の異なる2種類以上のモノマー成分において、各モノマー成分が形成するポリマーセグメント同士が共有結合で結合し、性質の異なる2種類以上のポリマーセグメントが1本のポリマー鎖に含まれた構造のものである。
分散樹脂1は、2種類のセグメントA、BからなるA−B型ブロック共重合体であり、性質の異なる疎水性部位10および親水性部位20が共有結合した構造を有する。
ブロック共重合体は、性質の異なる2種類以上のモノマー成分が、モノマー成分ごとに局在化している部分を有しているため、各モノマー成分がランダムに配列したランダム共重合体と比べ、各々の成分の性能がより発揮されると期待できる。
すなわち、分散樹脂1の構造を、疎水性部位10および親水性部位20を有するA−B型ブロック共重合体とすることで、色材の付着性能および水系媒体への親和性能が、各々の部位によって十分に発揮される。
以下の説明では、必要に応じ、図1、図中の符号を省略する。
以下の説明では、必要に応じ、図1、図中の符号を省略する。
<疎水性部位>
疎水性部位は、色材に対する付着性および親和性を示す部位である。
疎水性部位は、色材に対する付着性および親和性を示す部位である。
疎水性部位は、後に詳述する親水性部位よりも疎水性の高いもの、すなわち、親水性の低いものであれば、特に限定されないが、例えば、スチレン、アクリル酸のアルキルエステル、シクロヘキサン、フェノキシエチル、フェノキシ、ビフェニルオキシ等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、スチレン、アクリル酸のアルキルエステル、シクロヘキサン、フェノキシエチル、またはフェノキシを含むものであるのが好ましい。
これにより、色材への付着性能がより良好なものとなり、水系媒体に色材を分散させた場合における当該色材の分散安定性および当該色材を含む分散液の保存安定性をより優れたものとすることができる。
疎水性部位を構成する疎水性モノマーとしては、スチレン、アクリル酸のアルキルエステル、シクロヘキサン、フェノキシエチル、フェノキシが好ましく、スチレン、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシルがより好ましい。これらの疎水性モノマーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
分散樹脂を構成する疎水性モノマー(疎水性部位を構成する疎水性モノマー)と親水性モノマー(親水性部位を構成する親水性モノマー)の合計量に対する前記疎水性モノマーの割合の下限は、mol比率で、30mol%であるのが好ましく、32mol%であるのがより好ましく、35mol%であるのがさらに好ましい。また、分散樹脂を構成する疎水性モノマー(疎水性部位を構成する疎水性モノマー)と親水性モノマー(親水性部位を構成する親水性モノマー)の合計量に対する前記疎水性モノマーの割合の上限は、mol比率で、50mol%であるのが好ましく、47mol%であるのがより好ましく、45mol%であるのがさらに好ましい。
これにより、色材に対する分散樹脂の親和性、および、水系媒体に対する分散樹脂の親和性を、より高いレベルで両立することができ、水系媒体に色材を分散させた場合における当該色材の分散安定性および当該色材を含む分散液の保存安定性をより優れたものとすることができる。
そして、本実施形態において、疎水性部位の分岐した構造である分岐構造部は、デンドリマー構造を有している。
これにより、色材に対する分散樹脂の密着性をさらに向上させることができ、水系媒体に色材を分散させた場合における当該色材の分散安定性および当該色材を含む分散液の保存安定性をさらに優れたものとすることができる。また、当該分散樹脂を用いた分散液およびインクの粘度の上昇をより効果的に抑制することができる。
なお、本明細書において、「デンドリマー」とは、中心から規則的に分枝した構造を持つ樹状高分子化合物を意味し、「デンドリマー」は、コアと呼ばれる中心部分と、デンドロンと呼ばれる分岐構造を有する側鎖部分とを有している。そして、デンドロン部分の分岐回数を「世代」と称する。
本発明の分散樹脂において、疎水性部位の分岐した構造である分岐構造部についてのデンドリマーの世代は、3以上4以下であるのが好ましい。
これにより、色材に対する分散樹脂の密着性をより一層向上させることができ、水系媒体に色材を分散させた場合における当該色材の分散安定性および当該色材を含む分散液の保存安定性をより一層優れたものとすることができる。
また、デンドリマーの世代が上記範囲内の値であることにより、より好適に、当該分散樹脂を用いた分散液およびインクの粘度を好適な範囲に調整することができる。その結果、分散液をインク、特に、例えば、水性インクジェット用インクに用いた場合に、インクジェット法による吐出安定性をより向上させることができる。
<親水性部位>
親水性部位は、前述した疎水性部位よりも親水性の高い部位、すなわち、疎水性の低い部位である。そして、親水性部位は、疎水性部位に比べて色材に対する付着性、親和性が低い。したがって、分散樹脂が色材に付着した状態において、優先的に、色材とは反対側を向く部位である。
親水性部位は、前述した疎水性部位よりも親水性の高い部位、すなわち、疎水性の低い部位である。そして、親水性部位は、疎水性部位に比べて色材に対する付着性、親和性が低い。したがって、分散樹脂が色材に付着した状態において、優先的に、色材とは反対側を向く部位である。
そして、親水性部位は、水系媒体に対する親和性に優れている。したがって、分散樹脂が、前述したような疎水性部位ととともに親水性部位を有することにより、分散樹脂が付着した色材が水系媒体に分散した分散液(ただし、後述するインクを含む)において、当該色材の分散安定性を優れたものとすることができる。
親水性部位は、前述した疎水性部位よりも親水性の高い部位、すなわち、疎水性の低い部位であれば、特に限定されないが、例えば、オリゴオキシエチレン鎖、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、オリゴオキシエチレン鎖、カルボキシル基、スルホン酸基、またはリン酸基を含むものであることが好ましい。
これにより、水系媒体への親和性能がより良好なものとなり、水系媒体に色材を分散させた場合における当該色材の分散安定性および当該色材を含む分散液の保存安定性をより優れたものとすることができる。
なお、親水性部位は、直鎖構造を有するものであっても、分岐構造を有するものであってもよいが、直鎖構造を有するものであるのが好ましい。
親水性部位を構成する親水性モノマーとしては、オリゴオキシエチレン、カルボン酸、スルホン酸、リン酸が好ましく、アクリル酸2−エトキシエトキシメチル、アクリル酸2−エトキシエトキシエチル、スチレンスルホン酸、アクリル酸がより好ましい。これらの親水性モノマーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上述したような疎水性部位と親水性部位とを有する分散樹脂は、例えば、疎水性部位を構成する疎水性モノマーと、親水性部位を構成する親水性モノマーとをブロック共重合させることにより、合成することができる。言い換えると、上述したような疎水性部位と親水性部位とを有する分散樹脂は、疎水性モノマーが重合して構成された疎水性部位としての第1セグメントと、親水性モノマーが重合して構成された親水性部位としての第2セグメントとを結合させることにより、合成することができる。
ブロック共重合体の合成方法は、特に制限はなく、様々な方法を用いることができるが、リビングラジカル重合法により合成することが好ましい。
リビングラジカル重合法で得られたブロック共重合体は、通常のブロック共重合体に比べて、疎水性部位と親水性部位とが精密に区分され、各部位の特性を発現しやすい。
これにより、得られる分散樹脂の、色材への付着性および水系媒体への親和性をより優れたものとすることができ、水系媒体に色材を分散させた場合における当該色材の分散安定性および当該色材を含む分散液の保存安定性をより優れたものとすることができる。
式(1)に、本発明の分散樹脂の合成経路の一例を示す。ここでは、疎水性モノマーとしてアクリル酸ブチルを用い、親水性モノマーとしてアクリル酸2−エトキシエトキシメチルを用いた場合を例に挙げている。
例えば、まず、直鎖状の親水性部位として、アクリル酸ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルを重合し、これをマクロ開始剤とする。続いて、分岐用のモノマー(分岐剤)の共存下、疎水性モノマーを重合させる。
分岐剤としては、例えば、有機テルル化合物を用いることができるが、これに限定されない。
分散樹脂の重量平均分子量Mwの下限は、1000であるのが好ましく、2000であるのがより好ましく、3000であるのがさらに好ましい。また、分散樹脂の重量平均分子量Mwの上限は、20000であるのが好ましく、10000であるのがより好ましく、5000であるのがさらに好ましい。
これにより、水系媒体に色材を分散させた場合における当該色材の分散安定性および当該色材を含む分散液の保存安定性をより優れたものとすることができる。また、分散樹脂を後述するインクに用いた場合におけるインクジェット法による吐出安定性をより優れたものとすることができる。
疎水性部位である第1セグメントの重量平均分子量Mwの下限は、400であるのが好ましく、800であるのがより好ましく、1200であるのがさらに好ましい。また、疎水性部位である第1セグメントの重量平均分子量Mwの上限は、8000であるのが好ましく、4000であるのがより好ましく、2000であるのがさらに好ましい。
親水性部位である第2セグメントの重量平均分子量Mwの下限は、600であるのが好ましく、1200であるのがより好ましく、1800であるのがさらに好ましい。また、親水性部位である第2セグメントの重量平均分子量Mwの上限は、12000であるのが好ましく、6000であるのがより好ましく、3000であるのがさらに好ましい。
[分散液]
次に、本発明の分散液について説明する。
次に、本発明の分散液について説明する。
本発明の分散液は、色材と、前述した本発明の分散樹脂とを含有する。
これにより、色材の分散安定性および保存安定性に優れた分散液を提供することができる。
これにより、色材の分散安定性および保存安定性に優れた分散液を提供することができる。
なお、本明細書において、分散液とは、分散媒中に、色材が分散した液体のことを指し、例えば、後述するインクの製造に用いられるインクの原液等を含む概念である。
<色材>
本発明の分散液は、色材を含有する。本発明の分散液中において、色材は、その少なくとも一部が分散した状態である。
本発明の分散液は、色材を含有する。本発明の分散液中において、色材は、その少なくとも一部が分散した状態である。
分散液中に含まれる色材としては、例えば、各種顔料や、各種分散染料等が挙げられる。
上記のような色材は、一般に、疎水性が高く、前述した本発明の分散樹脂を適用した際に、分散樹脂の疎水性部位との密着性に優れるものである。したがって、前述したような効果が発揮される。
本発明の分散液を構成する顔料としては、例えば、カーボンブラック等の黒色顔料;C.I.ピグメントブルー1,2,3,15:3,15:4,15:34,16,22,60、C.I.バットブルー4,60等のシアン系顔料;C.I.ピグメントレッド5,7,12,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,112,122,123,168,184,202、C.I.ピグメントバイオレット19等のマゼンタ系顔料;C.I.ピグメントイエロー1,2,3,12,13,14C,16,17,73,74,75,83,93,95,97,98,119,110,114,128,129,138,150,151,154,155,180,185等のイエロー系顔料;C.I.ピグメントオレンジ36,43等のオレンジ系顔料;C.I.ピグメントグリーン7,36等のグリーン系顔料等が挙げられる。
本発明の分散液を構成する分散染料としては、例えば、C.I.ディスパースイエロー3,7,8,23,39,51,54,60,71,86;C.I.ディスパースオレンジ1,1:1,5,20,25,25:1,33,56,76;C.I.ディスパースブラウン2;C.I.ディスパースレッド11,50,53,55,55:1,59,60,65,70,75,93,146,158,190,190:1,207,239,240;C.I.バットレッド41;C.I.ディスパースバイオレット8,17,23,27,28,29,36,57;C.I.ディスパースブルー19,26,26:1,35,55,56,58,64,64:1,72,72:1,81,81:1,91,95,108,131,141,145,359;C.I.ソルベントブルー36,63,105,111等が挙げられる。
分散染料は、分散液中において分散媒中に分散するものであり、加熱により昇華する性質を有する昇華性染料である。分散染料は、各種色材の中でも、鮮明な色相が得られること、被染色体に対する染色特性(例えば、染色再現性、堅牢性、耐白場汚染性等)等の点で優れている。
その一方で、従来の分散液では、分散染料を含む場合に、分散染料を含む材料が凝集するという問題が発生しやすかったが、本発明においては、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、分散液が分散染料を含む場合に、分散染料を用いることの利点を発揮させつつ、前述したような本発明による効果をより顕著に発揮させることができる。
特に、本発明の分散液を構成する分散染料としては、C.I.ディスパースイエロー54,232が好ましい。
これらの分散染料は、特に優れた発色性を有する一方で、分散染料を含む材料が凝集するという問題が発生しやすかったが、本発明においては、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、分散液が上記のような特定の分散染料を含む場合に、上記分散染料を用いることの利点を発揮させつつ、前述したような本発明による効果をさらに顕著に発揮させることができる。
なお、本発明の分散液は、複数種の色材種を含んでいてもよい。
なお、本発明の分散液は、複数種の色材種を含んでいてもよい。
分散液中における色材の含有率の下限は、0.2質量%であるのが好ましく、0.3質量%であるのがより好ましく、0.5質量%であるのがさらに好ましい。また、分散液中における色材の含有率の上限は、30質量%であるのが好ましく、25質量%であるのがより好ましく、20質量%であるのがさらに好ましい。
色材の含有率が前記範囲内の値であると、より優れた発色性が得られるとともに、分散液中における色材の分散安定性および分散液の保存安定性がさらに向上する。また、この分散液を用いてインクジェット用インクを製造した場合に、特に優れた吐出安定性が得られる。
<分散樹脂>
本発明の分散液は、上述したような本発明の分散樹脂を含んでいる。
これにより、前述した効果が得られる。
なお、本発明の分散液は、複数種の分散樹脂を含んでいてもよい。
本発明の分散液は、上述したような本発明の分散樹脂を含んでいる。
これにより、前述した効果が得られる。
なお、本発明の分散液は、複数種の分散樹脂を含んでいてもよい。
分散液中における分散樹脂の含有率の下限は、0.2質量%であるのが好ましく、0.3質量%であるのがより好ましく、0.4質量%であるのがさらに好ましい。また、分散液中における分散樹脂の含有率の上限は、30質量%であるのが好ましく、20質量%であるのがより好ましく、15質量%であるのがさらに好ましい。
分散樹脂の含有率が前記範囲内の値であると、分散液中における色材の分散安定性および分散液の保存安定性がさらに向上する。また、この分散液を用いてインクジェット用インクを製造した場合に、特に優れた吐出安定性が得られる。
分散液中における、色材の含有率をXD[質量%]、分散樹脂の含有率をXB[質量%]としたとき、XB/XDの下限は、0.3であるのが好ましく、0.5であるのがより好ましく、0.6であるのがさらに好ましい。また、XB/XDの上限は、2.0であるのが好ましく、1.5であるのがより好ましく、1.2であるのがさらに好ましい。
このような関係を満足することにより、色材の分散安定性および分散液の保存安定性がさらに向上する。また、分散液を後述するインクに適用した場合におけるインクジェット法による吐出安定性をより優れたものとすることができる。
<水系媒体>
分散液は、通常、水系媒体を含んでいる。
分散液は、通常、水系媒体を含んでいる。
水系媒体とは、水との親和性が高い液体成分のことを言い、具体的には、25℃における水に対する溶解度が10g/100g水以上の液体成分のことを指す。
水系媒体としては、例えば、水や親水性溶剤が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、水や親水性溶剤が挙げられる。
分散液中における水の含有率の下限は、特に限定されないが、30質量%であるのが好ましく、35質量%であるのがより好ましく、40質量%であるのがさらに好ましい。また、分散液中における水の含有率の上限は、特に限定されないが、85質量%であるのが好ましく、80質量%であるのがより好ましく、75質量%であるのがさらに好ましい。
これにより、分散液の粘度をより確実に好適な値に調整することができる。
これにより、分散液の粘度をより確実に好適な値に調整することができる。
また、分散液が水以外の溶剤として親水性溶剤を含んでいることにより、分散液の粘度を好適に調整することができる。また、分散液の保湿性を高めたりすることができる。その結果、分散液をインク、特に、インクジェット用インクに適用した場合に、インクジェット法による液滴吐出をより安定的に行うことができる。
親水性溶剤の水に対する溶解度は、25℃で、20g/100g水以上であるのが好ましい。
親水性溶剤は、室温(25℃)において単体で液状をなすものであり、その沸点(1気圧下での沸点)の下限は、180℃であるのが好ましく、185℃であるのがより好ましく、190℃であるのがさらに好ましい。また、親水性溶剤の沸点(1気圧下での沸点)の上限は、320℃であるのが好ましく、310℃であるのがより好ましく、300℃であるのがさらに好ましい。
分散液中に含まれる親水性溶剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、2−ピロリドン等が挙げられる。
これらの溶剤を含むことにより、優れた保湿能により蒸発速度を緩やかにすることができ、本発明の分散液を適用したインクにおいて、より安定的な液滴吐出を行うことができる。
なお、本発明の分散液は、親水性溶剤として複数種の溶剤を含んでいてもよい。
なお、本発明の分散液は、親水性溶剤として複数種の溶剤を含んでいてもよい。
分散液中における親水性溶剤の含有率の下限は、0質量%であるのが好ましく、10質量%であるのがより好ましく、15質量%であるのがさらに好ましい。また、分散液中における親水性溶剤の含有率の上限は、45質量%であるのが好ましく、43質量%であるのがより好ましく、40質量%であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した親水性溶剤を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
これにより、前述した親水性溶剤を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
<界面活性剤>
分散液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
分散液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
これにより、本発明の分散液やこれを適用したインクの記録媒体に対する濡れ性をより好適なものとすることができる。その結果、例えば、当該インクを用いて形成される画像の画質をより良好なものとすることができる。
分散液中に含まれる界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の各種界面活性剤を用いることができる。
より具体的には、分散液中に含まれる界面活性剤としては、例えば、アセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
分散液がシリコーン系界面活性剤を含んでいると、本発明の分散液やこれを適用したインクの記録媒体に対する濡れ性をさらに好適なものとすることができ、前述した効果がより顕著に発揮される。
分散液がシリコーン系界面活性剤を含んでいる場合、分散液中におけるシリコーン系界面活性剤の含有量の下限は、色材の100質量部に対して、5.0質量部であるのが好ましく、7.0質量部であるのがより好ましく、10質量部であるのがさらに好ましい。また、分散液中におけるシリコーン系界面活性剤の含有量の上限は、色材の100質量部に対して、150質量部であるのが好ましく、140質量部であるのがより好ましく、70質量部であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したシリコーン系界面活性剤を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
市販のシリコーン系界面活性剤としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−337、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−378(以上商品名、ビックケミー・ジャパン社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−640、KF−642、KF−643、KF−945、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学社製)等が挙げられる。
<その他の成分>
分散液は、前述した成分以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。
分散液は、前述した成分以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、前記分散樹脂以外の分散剤、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール等の浸透剤、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、溶解助剤、尿素類等が挙げられる。防腐剤・防かび剤としては、例えば、分子内にイソチアゾリン環構造を有する化合物を好適に用いることができる。
その他の成分の含有率(その他の成分として複数種の成分を含む場合は、これらの含有率の総和)は、6質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下であるのがより好ましい。
特に、本発明の分散液が、前記分散樹脂以外の分散剤を含む場合、当該分散剤の含有率は、5質量%以下であるのが好ましく、3質量%以下であるのがより好ましい。
本発明の分散液の25℃における粘度の下限は、2mPa・sであるのが好ましく、3mPa・sであるのがより好ましく、4mPa・sであるのがさらに好ましい。また、本発明の分散液の25℃における粘度の上限は、30mPa・sであるのが好ましく、20mPa・sであるのがより好ましく、15mPa・sであるのがさらに好ましい。
これにより、分散液の流動性を適度に優れたものとすることができる。また、本発明の分散液を適用したインクにおいて、インクジェット法による吐出安定性を良好なものとなるように調整しやすい。
なお、粘度は、25℃にて、粘弾性試験機(例えば、Pysica社製、MCR−300)を用いて、せん断速度(Shear Rate)が10[s−1]の時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
[インク]
次に、本発明のインクについて説明する。
次に、本発明のインクについて説明する。
本発明のインクは、上記分散液を含有するものである。
これにより、色材の分散安定性および保存安定性により優れたインクを提供することができる。
これにより、色材の分散安定性および保存安定性により優れたインクを提供することができる。
なお、本発明のインクは、前述した本発明の分散液をそのままインクとしたものであってもよいし、前述した本発明の分散液に希釈溶媒等、他の成分を加えて調製されたものであってもよいし、前述した本発明の分散液を2種類以上混合することにより調製されたものであってもよい。
本発明のインクは、水性インクであり、特に、水性インクジェット用インクであることが好ましい。
本発明のインクでは、色材の分散安定性や保存安定性に優れるため、長期間保存した場合等であっても、色材の不本意な凝集や沈降等を効果的に防止することができる。その結果、インクジェット法による吐出を行った場合でも、吐出不良等を生じにくい。したがって、本発明をインクジェット用インクに適用した場合に、本発明による効果がより顕著に発揮される。
なお、本発明のインクは、複数種の分散樹脂を含んでいてもよい。
なお、本発明のインクは、複数種の分散樹脂を含んでいてもよい。
インク中における分散樹脂の含有率の下限は、0.1質量%であるのが好ましく、0.2質量%であるのがより好ましく、0.4質量%であるのがさらに好ましい。また、インク中における分散樹脂の含有率の上限は、30質量%であるのが好ましく、18質量%であるのがより好ましく、10質量%であるのがさらに好ましい。
分散樹脂の含有率が前記範囲内の値であると、インク中における色材の分散安定性およびインクの保存安定性がさらに向上する。また、このインクをインクジェット用インクとして用いた場合に、特に優れた吐出安定性が得られる。
インク中における色材の含有率の下限は、0.1質量%であるのが好ましく、0.3質量%であるのがより好ましく、0.5質量%であるのがさらに好ましい。また、インク中における色材の含有率の上限は、30質量%であるのが好ましく、15質量%であるのがより好ましく、8.0質量%であるのがさらに好ましい。
色材の含有率が前記範囲内の値であると、より優れた発色性が得られるとともに、インク中における色材の分散安定性およびインクの保存安定性がさらに向上する。また、このインクをインクジェット用インクとして用いた場合に、特に優れた吐出安定性が得られる。
インク中における、色材の含有率をXD[質量%]、分散樹脂の含有率をXB[質量%]としたとき、0.3≦XB/XD≦2.0の関係を満足するのが好ましく、0.5≦XB/XD≦1.5の関係を満足するのがより好ましく、0.6≦XB/XD≦1.2の関係を満足するのがさらに好ましい。
このような関係を満足することにより、色材の分散安定性およびインクの保存安定性がさらに向上する。また、このインクをインクジェット用インクとして用いた場合に、特に優れた吐出安定性が得られる。
<水系媒体>
インクは、通常、水系媒体を含んでいる。
水系媒体としては、水や親水性溶剤が挙げられる。
インクは、通常、水系媒体を含んでいる。
水系媒体としては、水や親水性溶剤が挙げられる。
親水性溶剤としては、分散液の構成成分として説明したものを好適に用いることができる。
これにより、前述したのと同様の効果が得られる。
これにより、前述したのと同様の効果が得られる。
インク中における水の含有率の下限は、特に限定されないが、40質量%であるのが好ましく、45質量%であるのがより好ましく、50質量%であるのがさらに好ましい。また、インク中における水の含有率の上限は、特に限定されないが、85質量%であるのが好ましく、80質量%であるのがより好ましく、75質量%であるのがさらに好ましい。
これにより、インクの粘度をより確実に好適な値に調整することができる。また、このインクをインクジェット用インクとして用いた場合に、特に優れた吐出安定性が得られる。
インク中における親水性溶剤の含有率の下限は、0質量%であるのが好ましく、10質量%であるのがより好ましく、15質量%であるのがさらに好ましい。また、インク中における親水性溶剤の含有率の上限は、45質量%であるのが好ましく、43質量%であるのがより好ましく、40質量%であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した親水性溶剤を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
これにより、前述した親水性溶剤を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
<界面活性剤>
インクは、界面活性剤を含んでいてもよい。
インクは、界面活性剤を含んでいてもよい。
これにより、インクの記録媒体に対する濡れ性をより好適なものとすることができる。その結果、例えば、当該インクを用いて形成される画像の画質をより良好なものとすることができる。
界面活性剤としては、分散液の構成成分として説明したものを好適に用いることができる。
これにより、前述したのと同様の効果が得られる。
これにより、前述したのと同様の効果が得られる。
インクがシリコーン系界面活性剤を含んでいる場合、インク中におけるシリコーン系界面活性剤の含有量の下限は、色材の100質量部に対して、5.0質量部であるのが好ましく、7.0質量部であるのがより好ましく、10質量部であるのがさらに好ましい。また、インク中におけるシリコーン系界面活性剤の含有量の上限は、色材の100質量部に対して、150質量部であるのが好ましく、140質量部であるのがより好ましく、70質量部であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したシリコーン系界面活性剤を含むことによる効果がより顕著に発揮される。
<その他の成分>
本発明のインクは、前述した成分以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。
本発明のインクは、前述した成分以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、分散液の構成成分として説明したものを好適に用いることができる。
その他の成分の含有率(その他の成分として複数種の成分を含む場合は、これらの含有率の総和)は、6質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下であるのがより好ましい。
特に、本発明のインクが、前記分散樹脂以外の分散剤を含む場合、当該分散剤の含有率は、5質量%以下であるのが好ましく、3質量%以下であるのがより好ましい。
本発明のインクの25℃における表面張力の下限は、20mN/mであるのが好ましく、21mN/mであるのがより好ましく、23mN/mであるのがさらに好ましい。また、本発明のインクの25℃における表面張力の上限は、50mN/mであるのが好ましく、40mN/mであるのがより好ましく、30mN/mであるのがさらに好ましい。
これにより、液滴吐出ヘッドのノズルの目詰まり等がより生じにくくなり、インクの吐出安定性がより向上する。また、ノズルの詰まりを生じた場合でも、ノズルにキャップをすること(キャッピング)による回復性をより優れたものとすることができる。
なお、表面張力としては、ウィルヘルミー法により測定した値を採用することができる。表面張力の測定は、表面張力計(例えば、協和界面科学社製、CBVP−7等)を用いることができる。
本発明のインクの25℃における粘度の下限は、2mPa・sであるのが好ましく、3mPa・sであるのがより好ましく、4mPa・sであるのがさらに好ましい。また、本発明のインクの25℃における粘度の上限は、10mPa・sであるのが好ましく、8mPa・sであるのがより好ましく、6mPa・sであるのがさらに好ましい。
これにより、インクの流動性を適度に優れたものとすることができる。また、本発明のインクをインクジェット用インクとして用いた場合に、特に優れた吐出安定性が得られる。
本発明のインク中の色材の粒度分布においてD50は、300nm以下であるのが好ましく、300nm未満であるのがより好ましく、200nm未満であるのがさらに好ましい。また、本発明のインク中の色材の粒度分布においてD50の下限は、10nmであるのがより好ましく、50nmであるのがさらに好ましい。
これにより、インクの発色性が特に優れたものになるとともに、インクジェット法による吐出安定性がさらに向上する。
なお、本明細書において、D50とは、動的光散乱法により得られる体積粒度分布において、小さい粒子からその体積を積算した場合に、累積体積%が50体積%となるときの粒径を意味する。粒度分布は、ナノ粒子粒度分布測定器(例えば、日機装社製、ナノトラックUPA−EX150)を用いた測定により求めることができる。
本発明のインクは、通常、カートリッジ、袋、タンク等の容器に収納された状態で、各種記録装置、例えば、インクジェット法による記録装置等に適用される。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、本発明の分散液をインクまたはその原液として用いる場合について中心的に説明したが、本発明の分散液の用途は、これらに限定されず、例えば、塗料として用いてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]分散樹脂の合成
(実施例A1)
式(2)に、本実施例の分散樹脂の合成経路を示す。
直鎖状の親水性部位は、通常のリビングラジカル重合により得た。
[1]分散樹脂の合成
(実施例A1)
式(2)に、本実施例の分散樹脂の合成経路を示す。
直鎖状の親水性部位は、通常のリビングラジカル重合により得た。
まず、連鎖移動剤として有機テルル化合物(1)を2mmolと、親水性部位を構成する親水性モノマーとしてアクリル酸2−エトキシエトキシエチルを1molと、ラジカル反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.4mmolとを、60℃で72時間撹拌し、溶液を−20℃に冷却し、反応を停止した。
得られた反応溶液をTHFで希釈し、ヘキサン中で沈殿した後、遠心分離により固体を分離し、乾燥させた。これにより、親水性部位を構成する直鎖型ホモポリマー(2)である、アクリル酸ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルを得た。
この直鎖型ホモポリマー(2)を開始剤として、分岐構造を有する疎水性部位の合成を行った。
得られた直鎖型ホモポリマー(2)に、疎水性部位を構成する疎水性モノマーとしてアクリル酸ブチルを1molと、分岐剤として有機テルル化合物(3)を30mmolと、ラジカル反応の開始剤としてAIBNを0.4mmolとを加え、トルエン中、60℃で60時間、加熱および撹拌することにより、反応物(4)を得た。
反応溶液にTHFを加え、末端封止剤(反応停止剤)としてMe3SiTeMeを64mmolと、メタノールを0.34molとを加えて室温で1時間撹拌した。これをヘキサン中に注入し、沈殿物を遠心分離することにより白色の固体(5)を得た。
これにより、疎水性部位としての分岐構造を有するポリアクリル酸ブチルである第1セグメント、および、親水性部位としてのアクリル酸ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルである第2セグメントを、分子内に1つずつ有するブロック共重合体である、分散樹脂A−1を得た。分散樹脂を構成する疎水性モノマー(疎水性部位を構成する疎水性モノマー)と親水性モノマー(親水性部位を構成する親水性モノマー)の合計量に対する疎水性モノマーの割合は、40mol%であり、疎水性部位のデンドリマーの世代は3以上4以下であった。また、分散樹脂の重量平均分子量は4000であり、疎水性部位である第1セグメントの重量平均分子量は1600であり、親水性部位である第2セグメントの重量平均分子量は2400であった。
(実施例A2)
アクリル酸2−エトキシエトキシエチルの代わりにスチレンスルホン酸を用いた以外は、前記実施例A1と同様にして、分散樹脂A−2を合成した。
アクリル酸2−エトキシエトキシエチルの代わりにスチレンスルホン酸を用いた以外は、前記実施例A1と同様にして、分散樹脂A−2を合成した。
これにより、疎水性部位として分岐構造を有するポリアクリル酸ブチルと、親水性部位として直鎖構造を有するポリスチレンスルホン酸とを有するブロック共重合体である、分散樹脂A−2を得た。分散樹脂を構成する疎水性モノマー(疎水性部位を構成する疎水性モノマー)と親水性モノマー(親水性部位を構成する親水性モノマー)の合計量に対する疎水性モノマーの割合は、40mol%であり、疎水性部位のデンドリマーの世代は3以上4以下であった。
(実施例A3)
アクリル酸ブチルの代わりにスチレンを用い、アクリル酸2−エトキシエトキシエチルの代わりにアクリル酸を用いた以外は、前記実施例A1と同様にして、分散樹脂A−3を合成した。
アクリル酸ブチルの代わりにスチレンを用い、アクリル酸2−エトキシエトキシエチルの代わりにアクリル酸を用いた以外は、前記実施例A1と同様にして、分散樹脂A−3を合成した。
これにより、疎水性部位として分岐構造を有するポリスチレンと、親水性部位として直鎖構造を有するポリアクリル酸とを有するブロック共重合体である、分散樹脂A−3を得た。分散樹脂を構成する疎水性モノマー(疎水性部位を構成する疎水性モノマー)と親水性モノマー(親水性部位を構成する親水性モノマー)の合計量に対する疎水性モノマーの割合は、40mol%であり、疎水性部位のデンドリマーの世代は3以上4以下であった。
(実施例A4)
アクリル酸ブチルの代わりにアクリル酸シクロヘキシルを用いた以外は、前記実施例A1と同様にして、分散樹脂A−4を合成した。
アクリル酸ブチルの代わりにアクリル酸シクロヘキシルを用いた以外は、前記実施例A1と同様にして、分散樹脂A−4を合成した。
これにより、疎水性部位として分岐構造を有するポリアクリル酸シクロヘキシルと、親水性部位として直鎖構造を有するアクリル酸ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルとを有するブロック共重合体である分散樹脂A−3を得た。分散樹脂を構成する疎水性モノマー(疎水性部位を構成する疎水性モノマー)と親水性モノマー(親水性部位を構成する親水性モノマー)の合計量に対する疎水性モノマーの割合は、40mol%であり、疎水性部位のデンドリマーの世代は3以上4以下であった。
(比較例A1)
アクリル酸ブチルの代わりにスチレンを用い、アクリル酸2−エトキシエトキシエチルの代わりにアクリル酸を用いて、分散樹脂A−5を合成した。
このとき、分岐剤を用いず、親水性部位に対する疎水性部位の重合を行った。
アクリル酸ブチルの代わりにスチレンを用い、アクリル酸2−エトキシエトキシエチルの代わりにアクリル酸を用いて、分散樹脂A−5を合成した。
このとき、分岐剤を用いず、親水性部位に対する疎水性部位の重合を行った。
これにより、疎水性部位として直鎖構造を有するポリスチレンと、親水性部位として直鎖構造を有するポリアクリル酸とを有するブロック共重合体である、分散樹脂A−5を得た。分散樹脂を構成する疎水性モノマー(疎水性部位を構成する疎水性モノマー)と親水性モノマー(親水性部位を構成する親水性モノマー)の合計量に対する疎水性モノマーの割合は、30mol%であった。
前記各実施例および比較例の分散樹脂の構成を表1にまとめて示す。
前記各実施例および比較例の分散樹脂の構成を表1にまとめて示す。
[2]分散液の調製
(実施例B1)
まず、分散染料としてのC.I.ディスパースイエロー54と、実施例A1で合成した分散樹脂A−1と、イオン交換水とを、表2に示す割合で混合し、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌してスラリー化した。
(実施例B1)
まず、分散染料としてのC.I.ディスパースイエロー54と、実施例A1で合成した分散樹脂A−1と、イオン交換水とを、表2に示す割合で混合し、ハイシアミキサー(シルバーソン社製)にて3000rpmで撹拌してスラリー化した。
その後、製造したスラリーと0.5mm径ガラスビーズをビーズミル(LMZ015 アシザワ・ファインテック社)にて、水冷下、撹拌分散を行い、分散液を製造した。
分散液中におけるC.I.ディスパースイエロー54の平均粒径は、120nmであった。
(実施例B2〜B4)
分散樹脂の種類を表2に示すものとするとともに、各成分の配合比を表2に示すようにした以外は、前記実施例B1と同様にしてインクを製造した。
分散樹脂の種類を表2に示すものとするとともに、各成分の配合比を表2に示すようにした以外は、前記実施例B1と同様にしてインクを製造した。
(比較例B1)
分散樹脂の種類を表2に示すものとするとともに、各成分の配合比を表2に示すようにした以外は、前記実施例B1と同様にしてインクを製造した。
分散樹脂の種類を表2に示すものとするとともに、各成分の配合比を表2に示すようにした以外は、前記実施例B1と同様にしてインクを製造した。
前記各実施例および比較例の分散液の条件を表2にまとめて示す。なお、表2中、C.I.ディスパースイエロー54を「DY54」、トリエタノールアミンを「TEA」と示した。また、実施例B1〜B4の分散液について、それぞれ、粘弾性試験機(Pysica社製、MCR−300)を用いて、25℃の環境下でせん断速度10[s−1]におけるせん断粘度を求めたところ、いずれも、2mPa・s以上30mPa・s以下の範囲内の値であった。
[3]インク(水性インクジェットインク)の調製
(実施例C1)
前記実施例B1で調製した分散液と、親水性溶剤としてのジエチレングリコール(DEG)と、親水性溶剤としての1,2−ヘキサンジオール(1,2−HD)と、pH調整剤としてのトリエタノールアミン(TEA)と、シリコーン系界面活性剤としてのBYK−348(ビックケミー・ジャパン社製)と、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC)と、純水とを混合し、撹拌することにより、表3に示す組成のインクを製造した。
(実施例C1)
前記実施例B1で調製した分散液と、親水性溶剤としてのジエチレングリコール(DEG)と、親水性溶剤としての1,2−ヘキサンジオール(1,2−HD)と、pH調整剤としてのトリエタノールアミン(TEA)と、シリコーン系界面活性剤としてのBYK−348(ビックケミー・ジャパン社製)と、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC)と、純水とを混合し、撹拌することにより、表3に示す組成のインクを製造した。
(実施例C2〜C4)
分散液の種類を表3に示すものとするとともに、各成分の配合比を表3に示すようにした以外は、前記実施例C1と同様にしてインクを製造した。
分散液の種類を表3に示すものとするとともに、各成分の配合比を表3に示すようにした以外は、前記実施例C1と同様にしてインクを製造した。
(比較例C1)
分散液の種類を表3に示すものとするとともに、各成分の配合比を表3に示すようにした以外は、前記実施例C1と同様にしてインクを製造した。
分散液の種類を表3に示すものとするとともに、各成分の配合比を表3に示すようにした以外は、前記実施例C1と同様にしてインクを製造した。
前記各実施例および比較例のインクの条件を表3にまとめて示す。なお、表3中、C.I.ディスパースイエロー54を「DY54」、ジエチレングリコールを「DEG」、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩を「CMC」、トリエタノールアミンを「TEA」、1,2−ヘキサンジオールを「1,2−HD」と示した。また、表3中の「直鎖型高分子」とは、疎水性部位も直鎖構造のスチレンとアクリル酸のブロック共重合体のことである。また、実施例C1〜C4のインクは、いずれも、表面張力が23mN/m以上30mN/m以下の範囲内の値であった。なお、表面張力は、表面張力計(協和界面科学社製、CBVP−7)を用いて、25℃にて、ウィルヘルミー法により測定した。
[4]インクについての評価
[4−1]粒度分布
前記各実施例および比較例の製造直後のインクについて、それぞれ、色材の粒径について、D50を求め、以下の基準に従い評価した。D50が小さいほど、色材は良好に分散しやすく、インクの発色性を優れたものとする上で有利である。
なお、粒度分布の測定には、UPA−EX150(日機装社製)を用いた。
[4−1]粒度分布
前記各実施例および比較例の製造直後のインクについて、それぞれ、色材の粒径について、D50を求め、以下の基準に従い評価した。D50が小さいほど、色材は良好に分散しやすく、インクの発色性を優れたものとする上で有利である。
なお、粒度分布の測定には、UPA−EX150(日機装社製)を用いた。
A:D50が100nm未満。
B:D50が100nm以上300nm未満。
C:D50が300nm以上。
B:D50が100nm以上300nm未満。
C:D50が300nm以上。
[4−2]保存安定性(粒度分布変化)
前記各実施例および比較例のインクを、それぞれ、60℃の環境で5日間放置した。
その後、上記方法と同様にして、D50を求めた。
前記各実施例および比較例のインクを、それぞれ、60℃の環境で5日間放置した。
その後、上記方法と同様にして、D50を求めた。
これらの値から、製造直後のインクでのD50に対する、60℃の環境で1週間放置した際のD50の増加率を求め、以下の基準に従い評価した。D50の増加率が大きいほど保存安定性が低く、吐出安定性に与える悪影響が大きいといえる。また、D50が増加すると、インクの発色性も低下する。
A:D50の増加率が10%未満。
B:D50の増加率が10%以上30%未満。
C:D50の増加率が30%以上。
B:D50の増加率が10%以上30%未満。
C:D50の増加率が30%以上。
[4−3]粘性
前記各実施例および比較例の製造直後のインクについて、それぞれ、粘弾性試験機(Pysica社製、MCR−300)を用いて、25℃の環境下でせん断速度10[s−1]におけるせん断粘度を求め、以下の基準に従い評価した。粘度が高いと、インクジェットによる吐出安定性が低下する他、ヘッド詰まりの原因にもなる。
前記各実施例および比較例の製造直後のインクについて、それぞれ、粘弾性試験機(Pysica社製、MCR−300)を用いて、25℃の環境下でせん断速度10[s−1]におけるせん断粘度を求め、以下の基準に従い評価した。粘度が高いと、インクジェットによる吐出安定性が低下する他、ヘッド詰まりの原因にもなる。
A:粘度が4mPa・s以上6mPa・s未満。
B:粘度が6mPa・s以上10mPa・s未満。
C:粘度が10mPa・s以上。
B:粘度が6mPa・s以上10mPa・s未満。
C:粘度が10mPa・s以上。
[4−4]インクジェット法による吐出安定性
前記各実施例および比較例のインクを、それぞれ、所定のインク収容容器に充填し、60℃の環境で5日間放置した。
前記各実施例および比較例のインクを、それぞれ、所定のインク収容容器に充填し、60℃の環境で5日間放置した。
その後、当該収容容器を、記録装置PX−H6000(セイコーエプソン社製)に装着し、インクジェットインクを吐出し、中間転写媒体であるTRANSJET Classic(Cham Paper社製)に、100個のノズルで100000発連続吐出した際のノズル詰まりの個数を調べ、以下の基準に従い評価した。ノズル詰まりの数が少ないほど、吐出安定性に優れていると言える。なお、記録装置(プリンター)の動作環境は40℃、20RH%とした。
A:ノズル詰まりが0個。
B:ノズル詰まりが1個以上9個以下。
C:ノズル詰まりが10個以上。
これらの結果を表4にまとめて示す。
B:ノズル詰まりが1個以上9個以下。
C:ノズル詰まりが10個以上。
これらの結果を表4にまとめて示す。
表4から明らかなように、本発明では優れた結果が得られた。これに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
1…分散樹脂、10…疎水性部位、11…分岐構造部、20…親水性部位、50…色材
Claims (6)
- 色材の分散に用いられる分散樹脂であって、
疎水性部位と、当該疎水性部位よりも親水性の高い親水性部位とを有するブロック共重合体であり、
前記疎水性部位が分岐した構造を有している分散樹脂。 - 前記疎水性部位は、スチレン、アクリル酸のアルキルエステル、シクロヘキサン、フェノキシエチル、またはフェノキシを含むものである請求項1に記載の分散樹脂。
- 前記親水性部位は、オリゴオキシエチレン鎖、カルボキシル基、スルホン酸基、またはリン酸基を含むものである請求項1または2に記載の分散樹脂。
- 前記疎水性部位の前記分岐した構造は、デンドリマー構造を有するものであり、
当該デンドリマーの世代は3以上4以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の分散樹脂。 - 色材と、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の分散樹脂と、を含有する分散液。 - 請求項5に記載の分散液を含有するインク。
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