JP4215629B2 - インクジェットプリンター用水性インクおよびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェットプリンター用水性インクおよびインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

本発明はインクジェットプリンターに好適に使用できる水性インクおよびインクジェット記録方法に関する。
コンピューターの普及に伴い広く利用されるようになっているインクジェットプリンター用のインクとしては、安全性などの面で水性インクが主流となっており、中でも水溶性染料を用いた水性インクは、画像の発色性に優れることから最も普及している。しかし、前記水溶性染料を用いた水性インクからなる画像は、染料が水溶性であるために耐水性に劣り、また、染料が分子状であるために、光やオゾンなどのガスによる劣化が速いという問題がある。
これらの問題を解決するために、着色剤が分子状ではなく、複数の分子が集合した形態をとる顔料などの不溶性着色剤を用いたインクが検討されている。これらの分散型のインクからなる画像は、耐水性、耐光性、耐ガス性などのいわゆる画像堅牢性において水溶性色素を用いたインクからなる画像よりも優れているが、インクの吐出安定性や画像の定着性などの面ではさらなる改善が必要である。
そこで、不溶性着色剤の微粒子の分散性を高めてインクの吐出を安定させ、また、画像の定着性を高める目的で、これらの不溶性着色剤に付着しやすい部分と、水性媒質への親和性が高い部分とを含有するブロック共重合体を用いたインク(特許文献1参照)やグラフト共重合体を用いたインク(特許文献2参照)が提案されている。これらの技術では、不溶性着色剤と水性媒質のそれぞれに対して親和性を持つブロックを有するブロック共重合体やグラフト共重合体の働きにより着色剤の分散安定性が改善されているが、インクの長期的な保存安定性に問題がある場合がある。
特開平5−179183号公報 特開平9−188732号公報
上記の状況に鑑み、本発明はインクの長期保存安定性やノズルからのインクの吐出安定性が良く、形成される画像の定着性が良好であるインクジェットプリンター用水性インクを提供することを目的とする。
上記目的は以下の本発明によって達せられる。すなわち、本発明は、色材と、樹脂(A)と、0〜1.0×10-18(e.s.u)の双極子モーメントを有する有機溶剤(B)と、水溶性有機溶剤と、水とを含む水性インクにおいて、上記色材が顔料であり、上記樹脂が、それぞれ少なくとも1種の親水性ブロックおよび疎水性ブロックを含有するポリビニルエーテル構造のブロック共重合体であり、且つ前記樹脂(A)と、0〜1.0×10 -18 (e.s.u)の双極子モーメントを有する有機溶剤(B)との質量比が、A:B=100:1〜10000:3であることを特徴とするインクジェットプリンター用水性インク(以下単に「インク」または「水性インク」と称する)、および該インクを用い、インクジェット記録装置により画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。
上記本発明においては、該溶剤としては特にトルエンおよび/またはシクロヘキサンが好ましい。
本発明によれば、インクの長期保存安定性やノズルからのインクの吐出安定が良く、形成される画像の定着性が良好であるインクを提供できる。
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のインクは、色材と、樹脂と、0〜1.0×10-18(e.s.u)の双極子モーメントを有する有機溶剤と、水溶性有機溶剤と、水とを含む水性インクにおいて、上記色材が顔料であり、上記樹脂が、それぞれ少なくとも1種の親水性ブロックおよび疎水性ブロックを含有するポリビニルエーテル構造のブロック共重合体であることを特徴としている。
本発明で使用する上記ブロック共重合体は、それぞれ少なくとも1種類の親水性ブロック(Aおよび/またはA’)および疎水性ブロック(Bおよび/またはB’)を有する。ブロック共重合体における各ブロックの配置は特に限定されないが、顔料粒子の分散性を高める観点からは親水性ブロックがポリマー鎖の末端にあるものが好ましい。例えば、AB型、ABA’型(AとA’は同じでも異なっていてもよい)、AA’B型、BB’A型(BとB’は同じでも異なっていてもよい)などが挙げられる。ここで、A、A’、B、B’はホモポリマー、またはコポリマーのブロックを示す。
本発明で使用する上記ブロック共重合体は、その親水性ブロックと疎水性ブロックとが、ともにビニルエーテル系モノマーのホモポリマーまたはコポリマーからなることが好ましい。
上記のブロック共重合体は、例えば、下記一般式(1)で示されるモノマー単位の繰り返し構造を有することが好ましい。
−(CH2−CH(OR1))− (1)
上記の一般式(1)において、R1は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはシクロアルケニル基のような脂肪族炭化水素、フェニル基、ピリジル基、ベンジル基、トルイル基、キシリル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキレン基、ビフェニル基、フェニルピリジル基などのような、炭素原子が窒素原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。また、芳香環上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい。R1の炭素数は1〜18が好ましい。
また、R1は、−(CH(R2)−CH(R3)−O)p−R4もしくは−(CH2)m−(O)n−R4で表される基でもよい。この場合、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、R4は、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはシクロアルケニル基のような脂肪族炭化水素、フェニル基、ピリジル基、ベンジル基、トルイル基、キシリル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキレン基、ビフェニル基、フェニルピリジル基などのような、炭素原子が窒素原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基(芳香環上の水素原子は、炭化水素基で置換されていてもよい)、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2、−CH2−CH=CH2、−CH2−C(CH3)=CH2、−CH2−COOR5などを表し、これらの基のうちの水素原子は、化学的に可能である範囲で、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子と置換されていてもよい。R4の炭素数は3〜18が好ましい。R5は水素、またはアルキル基である。pは1〜18が好ましく、mは1〜36が好ましく、nは0または1であるのが好ましい。
1およびR5において、アルキル基またはアルケニル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、オレイル、リノレイルなどであり、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロヘキセニルなどである。
下記に、上記で説明したブロック共重合体の繰り返し単位となるモノマー(I−a〜I−o)およびブロック共重合体(II−a〜II−e)の構造を例示するが、本発明に用いられるブロック共重合体は、これらの構造に限定されるものではない。
Figure 0004215629
Figure 0004215629
さらに、上記ブロック共重合体の繰り返し単位数(上記(II−a)〜(II−e)においては、m、n、l)は、それぞれ独立に、1〜10,000であることが好ましい。また、その合計が(上記(II−a)〜(II−e)においては、m+n+l)、10〜20,000であることがより好ましい。数平均分子量は、500〜20,000,000が好ましく、1,000〜5,000,000がより好ましく、2,000〜2,000,000が最も好ましい。
上記のブロック共重合体は、それを他の高分子にグラフト結合させたものを使用してもよいし、他のモノマーと共重合されたものを使用してもよい。また、各ブロックとも、ビニルエーテル系モノマーとそれ以外のモノマーとの共重合体も含まれる。
上記ブロック共重合体がインク中に占める割合は、インク全質量に対して、好ましくは0.001〜40質量%、より好ましくは0.01〜20質量%である。また、前記ブロック共重合体によって分散される後述の顔料の分散粒子の平均粒子径は、500nm以下が好ましく、200nm以下がさらに好ましく、100nm以下がさらに好ましい。
ポリビニルエーテル構造を含むポリマーの合成法は多数報告されている(例えば、特開平11−080221号公報)が、青島らによるカチオンリビング重合による方法(ポリマーブレタン誌 15巻、1986年 417頁、特開平11−322942号公報、特開平11−322866号公報)が代表的である。カチオンリビング重合でポリマー合成を行うことにより、ホモポリマーや2成分以上のモノマーからなる共重合体、さらにはブロック共重合体、グラフトポリマー、グラジュエーションポリマーなどの様々なポリマーを、長さ(分子量)を正確に揃えて合成することができる。また、ポリビニルエーテルは、その側鎖に様々な官能基を導入することができる。カチオン重合法は、他にHI/I2系、HCl/SnCl4系などで行うこともできる。本発明で使用する前記ブロック共重合体は上記公知の方法で製造することができる。
これらのポリビニルエーテル系ブロック共重合体は、その疎水性ブロックが顔料に対して親和性を持ち、顔料粒子表面と強く相互作用する一方、親水性ブロックは、水性インク中での顔料粒子の分散を安定化すると同時に、記録材に付与された際にはその記録材に強く固着する性質を持つ。ここで、親水性ブロック部分の分子量が小さい方が、インクの粘度を低く保ち、インクのゲル化などの現象を避けるには有利であり、逆に、親水性ブロック部分の分子量が大きい方が記録材への定着力が増加する。このような特性は高分子の主鎖の構造やガラス転移点温度によって良好な範囲が異なってくるのが通常である。
本発明で用いる色材は、顔料が好ましいが、顔料としては有機顔料および無機顔料のいずれでもよく、インクに用いられる顔料としては、好ましくは黒色顔料と、シアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料を用いる。なお、上記に記した以外の色顔料や、無色または淡色の顔料、金属光沢顔料などを使用してもよい。また、本発明のために、新規に合成した顔料を用いてもよい。
黒色の顔料としては、Raven760Ultra、Raven1060Ultra、Raven1080、Raven1100Ultra、Raven1170、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven2500Ultra、Raven3500、Raven5250、Raven5750、Raven7000、Raven5000 ULTRAII、Raven1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン社製)、Black Pearls L、MOGUL-L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW200、Color Black 18、Color Black S160、Color Black S170、Special Black 4、Special Black 4A、Special Black 6、Special Black 550、Printex35、Printex45、Printex55、Printex85、Printex95、PrintexU、Printex140U、PrintexV、Printex140V(以上デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.45、No.47、No.52、No.900、No.970、No.2200B、No.2300、No.2400B、MCF−88、MA600、MA77、MA8、MA100、MA230、MA220、(以上三菱化学社製)などを挙げることができるが、これらに限定されない。
シアン色の顔料としては、C.I.Pigment Blue-1、C.I.Pigment Blue-2、C.I.Pigment Blue-3、C.I.Pigment Blue-15、C.I.Pigment Blue-15:2、C.I.Pigment Blue-15:3、C.I.Pigment Blue-15:4、C.I.Pigment Blue-16、C.I.Pigment Blue-22、C.I.Pigment Blue-60などが挙げられるが、これらに限定されない。
マゼンタ色の顔料としては、C.I.Pigment Red-5、C.I.Pigment Red-7、C.I.Pigment Red-12、C.I.Pigment Red-48、C.I.Pigment Red-48:1、C.I.Pigment Red-57、C.I.Pigment Red-112、C.I.Pigment Red-122、C.I.Pigment Red-123、C.I.Pigment Red-146、C.I.Pigment Red-168、C.I.Pigment Red-184、C.I.Pigment Red-202、C.I.Pigment Red-207などが挙げられるが、これらに限定されない。
黄色の顔料としては、C.I.Pigment Yellow-12、C.I.Pigment Yellow-13、C.I.Pigment Yellow-14、C.I.Pigment Yellow-16、C.I.Pigment Yellow-17、C.I.Pigment Yellow-74、C.I.Pigment Yellow-83、C.I.Pigment Yellow-93、C.I.Pigment Yellow-95、C.I.Pigment Yellow-97、C.I.Pigment Yellow-98、C.I.Pigment Yellow-114、C.I.Pigment Yellow-128、C.I.Pigment Yellow-129、C.I.Pigment Yellow-151、C.I.Pigment Yellow-154などが挙げられるが、これらに限定されない。
これらの顔料のインク全質量に占める割合は0.1〜20質量%、さらには1〜10質量%であることが好ましい。顔料の量が0.1質量%未満では印字画像に十分な濃度が得られず、顔料の量が20質量%を超えると、画像濃度が大きく増加することがない反面、ノズルにおけるインクの目詰まりなどの吐出安定性の低下を招く。
本発明で使用する有機溶剤は、双極子モーメントが0〜1.0×10-18(e.s.u)である有機溶剤ならばいずれも使用可能である。より好ましくは、0〜0.45×10-18(e.s.u)である。例えば、トリクロルエチレン、p−キシレン、ベンゼン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、1−ブテンなどが挙げられる。中でも、トルエンおよびシクロヘキサンが好ましい。特徴的に0〜1.0×10-18(e.s.u)の双極子モーメントを有する有機溶剤を用いることにより該有機溶剤は、前記顔料と前記ブロック共重合体の疎水性ブロック部との極性が似ているため、吸着力が向上し、インク中において顔料粒子の分散安定性が向上する。
前記ブロック共重合体(A)と、0〜1.0×10-18(e.s.u)の双極子モーメントを有する有機溶剤(B)との質量比は、A:B=100:1〜10000:3である。上記有機溶剤の量が上記範囲よりも多いと、得られるインクのインクジェットプリンター内における発泡が均一に起きなくなり、印字画像が乱れる場合がある。一方、上記有機溶剤の量が上記範囲よりも少ないと本発明の効果が充分に得られない。
本発明の水性インクの主な液媒質は水であるが、その他の水溶性の有機物(水溶性有機溶剤)を含んでもよい。これらの有機物は、本発明のインクをインクジェットプリンターで使用した際に、ノズル部分での乾燥によるインクの固化を防止する働きをするもので、具体的には、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、チオジグリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコールなどのジオール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポリオール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;ジメチルスルホキシド、ジアセトンアルコール、グリセリンモノアリルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルフォラン、ウレア、β−ジヒドロキシエチルウレア、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、フェノキシエタノールなどが挙げられる。
このような有機物は、水溶性であれば固体でも液体でもよい。また、水が蒸発するような条件下でもインク中に残留することが要求されるので、沸点が水よりも高いことが望ましく、120℃以上であることが望ましいが、ブロック共重合体との相互作用があるために単独の場合よりも蒸発しにくくなることから、必ずしも高沸点物質には限定されない。これらの有機物は単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの有機物のインク中に占める割合としては、インク全質量に対して5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%である。なお、本発明のインクには、前記成分以外にも、例えば、界面活性剤、pH調整剤、酸化防止剤、防黴剤などの各種添加剤を加えてもよい。
本発明のインクの製造方法としては、前記顔料を水性媒体中において分散させる。この水性媒体中には前記特定の有機溶剤や前記水溶性有機溶剤が含まれていてもよいし、これらの前記特定の有機溶剤や前記水溶性有機溶剤は顔料の分散後に顔料分散液に加えてもよい。顔料の分散は公知の分散機、例えば、ボールミル、サンドミルなどの横型ビーズミル、「ダイノミル」(高速ビーズミルの商品名)などの縦型ビーズミル、ロールミル、超音波ミルなどにより分散処理する。この際分散された顔料粒子の平均粒子径は500nm以下が好ましい。なお、顔料分散液中に分散不良の粗大粒子が残っている場合には、遠心分離機などの適当な手段により粗大粒子を除去することが好ましい。このようにして得られた顔料分散液に必要に応じて水、前記特定の有機溶剤、水溶性有機溶剤、その他の添加剤を加えて本発明のインクとすることができる。
本発明のインクは、インクにエネルギーを与えて飛翔させて記録するインクジェット記録方法に好適に用いることができる。エネルギーとしては熱エネルギーや力学的エネルギーを用いることができるが、特に熱エネルギーを用いる方法が好ましい。インクジェット記録用のプリンターとしては、A4サイズ紙を主に用いる一般家庭用のプリンターや、名刺やカードを印刷対象とするプリンター、あるいは業務用の大型プリンターなどに適用できる。
本発明のインクで記録する記録材としては、特別なコーティングを施していない普通紙、少なくとも一方の面にインクを受容する層をコーティングしたいわゆるインクジェット専用紙、ハガキや名刺用紙、ラベル用紙、ダンボール紙、インクジェット用フィルムなどが挙げられる。
次に実施例および比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、下記実施例により限定されるものではない。なお、以下の記載で「部」または「%」とあるものは特に断らない限り質量基準である。また、以下の実施例において平均粒子径は動的光散乱法(商品名:レーザー粒径解析システムPAR−III;大塚電子(株)社製を使用)を用いて測定し、樹脂の分子量および分子量分布はGPC(Gel Permeation Chromatography)(商品名:HLC−8220GPC;東ソー(株))を用いて測定し、樹脂の同定にはNMR(核磁気共鳴分光法)(商品名:DPX400;ブルカー・バイオスピン(株))を用いた。
[ABC型トリブロック共重合体(ポリマー1)の合成]
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス雰囲気下250℃で加熱して吸着水を除去した。系を室温に戻した後、1−イソブチルビニルエーテル、酢酸エチル、1−イソブトキシエチルアセテート、およびトルエンを加え、系内温度が0℃になったところでエチルアルミニウムセスキクロライドを加え重合を開始し、トリブロック共重合体のA成分を合成した。分子量を時分割にゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー社製HLC−8220)を用いてモニタリングし、A成分の重合が完了した後、B成分である2−メトキシエチルビニルエーテルを添加することで合成を行い、上記と同様にGPCを用いてモニタリングしてB成分の重合の完了を確認した。
次いでC成分である4−[2−ビニルオキシエトキシ]安息香酸エチルを添加して合成を行い、重合反応の停止は、系内に0.3%のアンモニア/メタノール溶液を加えて行なった。得られたトリブロック共重合体の同定には、核磁気共鳴吸収測定装置およびGPCを用い、いずれも目的物質が合成できていることを示す結果を得た。数平均分子量(Mn)40,000、分子量分布の程度を示す重量平均分子量(Mw)/数平均分子量比(Mw/Mn)は1.2であった。また、これらのトリブロック共重合体のC成分のエステル部分は5倍当量の水酸化ナトリウム水溶液とメタノール混合溶媒中で加水分解し、溶媒を留去し、カルボン酸型のポリマー1を得た。
実施例1〜3[水性インク1〜3の作製]
C.I.ピグメントブルー15:3の1部とアルカリで中和した前記ポリマー1の1部と0〜1.0×10-18(e.s.u)の双極子モーメントを有する有機溶剤(トルエン)とを表1の割合で添加した後にビーズミルで分散処理し、ジエチレングリコール2部およびグリセリン2部、全量が100部になる量のイオン交換水を添加して本発明の水性インクを得た。
Figure 0004215629
比較例1[水性インク4の作製]
ポリマー1の代わりにn−ブチルメタクリレート−メタクリル酸ブロック共重合体(数平均分子量20,000)を1部用いて、顔料はインク1〜3と同様のものを1部用い、有機溶剤はトルエンの代わりにアセトンを0.01部使用し、その他は水性インク1〜3と同様の方法で比較例の水性インク4を調製した。
評価方法:
(粘度)
前記実施例1〜3および比較例1の各インクの粘度をE型回転粘度計((株)トキメック社製 VISCONIC ED形)にて測定した(測定温度25℃)。結果を表1に示す。インクの安定な吐出には、インクの粘度が3.5mPa・s以下が好ましく、さらには3.0mPa・s以下が好ましい。
(定着性)
前記実施例1〜3および比較例1の各インクを熱エネルギーを付与することによってインクを吐出させるインクジェット記録装置BJF−660(キヤノン製)に搭載して、光沢紙SP101(キヤノン製)に印字し、印字した紙上にキムワイプを載せ、さらにその上に500g/12.56cm2の重りを載せ、5往復したときの擦れ具合(定着性)を5段階評価した。
5:擦れなし。
4:実用上問題ないレベルの軽微な擦れあり。
3:明瞭に認められる擦れがあるが、印字の判読は可能。
2:印字の判読が困難な部分がある。
1:印字の判読が不可能。
Figure 0004215629
また、印字の擦れの度合い(白くて印刷できていないスジ状のものを擦れとする)を官能評価した。良い方から順に5、4、3、2、1とする。
Figure 0004215629
[AB型ジブロック共重合体(ポリマー2)の合成]
疎水性モノマーとしてイソブチルビニルエーテル12ミリモルを用い、親水性モノマーとして2−メトキシエチルビニルエーテル12ミリモルを使用し、その他はポリマー1と同様にしてAB型ジブロック共重合体(ポリマー2)を得た。 得られたジブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は標準ポリスチレン換算で25,000、分子量分布の程度を示す重量平均分子量(Mw)/数平均分子量比(Mw/Mn)は1.3であった。
実施例4、5
C.I.ピグメントブルー15:3の1部とアルカリで中和した前記ポリマー2の1部と0〜1.0×10-18(e.s.u)の双極子モーメントを有する有機溶剤(シクロヘキサン)とを表4の割合で添加した後にビーズミルで分散処理し、ジエチレングリコール2部およびグリセリン2部、全量が100部になる量のイオン交換水を添加して本発明の水性インクを得た。
Figure 0004215629
評価方法はインク1〜4と同様に行った。その結果を、表5に記す。
Figure 0004215629
[ABC型トリブロック共重合体(ポリマー3)の合成]
疎水性モノマーとして1−イソブトキシエチルビニルエーテル12ミリモルを用い、親水性モノマーとして2−メトキシエチルビニルエーテル12ミリモルおよび4−[2−ビニルオキシエトキシ]安息香酸エチル12ミリモルを使用し、その他はポリマー1と同様にしてABC型トリブロック共重合体(ポリマー3)を得た。
得られたトリブロック共重合体の数平均分子量は標準ポリスチレン換算で3,7000、分子量分布の程度を示す重量平均分子量(Mw)/数平均分子量比(Mw/Mn)は1.3であった。
実施例6、7
C.I.ピグメントレッド122の1部とアルカリで中和した前記ポリマー3の1部と0〜1.0×10-18(e.s.u)の双極子モーメントを有する有機溶剤(n−ヘキサン)とを表6の割合で添加した後にビーズミルで分散処理し、ジエチレングリコール2部およびグリセリン2部、全量が100部になる量のイオン交換水を添加して本発明の水性インクを得た。
Figure 0004215629
評価方法はインク1〜4と同様に行った。その結果を、表7に記す。
Figure 0004215629
[AB型ジブロック共重合体(ポリマー4)の合成]
疎水性モノマーとして2−デカノキシエチルビニルエーテル12ミリモルを用い、親水性モノマ−として4−[2−ビニルオキシエトキシ]安息香酸エチル12ミリモルを使用し、その他はポリマー1と同様にしてAB型ジブロック共重合体(ポリマー4)を得た。
得られたジブロック共重合体の数平均分子量は標準ポリスチレン換算で3,5000、分子量分布の程度を示す重量平均分子量(Mw)/数平均分子量比(Mw/Mn)は1.2であった。
実施例8、9
カーボンブラックMA8の1部とアルカリで中和した前記ポリマー4の1部と0〜1.0×10-18(e.s.u)の双極子モーメントを有する有機溶剤(トルエン)とを表8の割合で添加した後にビーズミルで分散処理し、ジエチレングリコール2部およびグリセリン2部、全量が100部になる量のイオン交換水を添加して本発明の水性インクを得た。
Figure 0004215629
評価方法はインク1〜4と同様に行った。その結果を、表9に記す。
Figure 0004215629
[AB型ジブロック共重合体(ポリマー5)の合成]
疎水性モノマーとしてイソブチルビニルエーテル12ミリモルを用い、親水性モノマーとして2−ヒドロキシエチルビニルエーテルの水酸基をトリメチルクロロシランでシリル化したビニルモノマー12ミリモルを用い、その他はポリマー1と同様にしてAB型ジブロック共重合体(ポリマー5)を得た。
得られたトリブロック共重合体の数平均分子量は標準ポリスチレン換算で3,7000、分子量分布の程度を示す重量平均分子量(Mw)/数平均分子量比(Mw/Mn)は1.3であった。
実施例10、11
C.I.ピグメントイエロー128の1部とアルカリで中和した前記ポリマー5の1部と0〜1.0×10-18(e.s.u)の双極子モーメントを有する有機溶剤(1−ブテン)とを表10の割合で添加した後にビーズミルで分散処理し、ジエチレングリコール2部およびグリセリン2部、全量が100部になる量のイオン交換水を添加して本発明の水性インクを得た。
Figure 0004215629
評価方法はインク1〜4と同様に行った。その結果を、表11に記す。
Figure 0004215629
以上のように本発明によれば、保存安定性やノズルからのインクの吐出安定が良く、形成される画像の定着性が良好であるインクを提供できる。

Claims (3)

  1. 色材と、樹脂(A)と、0〜1.0×10-18(e.s.u)の双極子モーメントを有する有機溶剤(B)と、水溶性有機溶剤と、水とを含む水性インクにおいて、上記色材が顔料であり、上記樹脂が、それぞれ少なくとも1種の親水性ブロックおよび疎水性ブロックを含有するポリビニルエーテル構造のブロック共重合体であり、且つ前記樹脂(A)と、0〜1.0×10 -18 (e.s.u)の双極子モーメントを有する有機溶剤(B)との質量比が、A:B=100:1〜10000:3であることを特徴とするインクジェットプリンター用水性インク。
  2. 前記0〜1.0×10-18(e.s.u)の双極子モーメントを有する有機溶剤が、トルエンおよび/またはシクロヘキサンである請求項1に記載のインクジェットプリンター用水性インク。
  3. 請求項1または2に記載のインクジェットプリンター用水性インクを用い、インクジェット記録装置により画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
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