[第1実施形態の構成]
次に、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態によるシャワーヘッドについて説明する。本実施形態のシャワーヘッド1は、後述するように、複数の吐水モードを切り替えることができる(複数の吐水モードでの吐水が可能な)シャワーヘッドである。
図1は、本発明の第1実施形態によるシャワーヘッド1の部分断面斜視図であり、図2は、本実施形態のシャワーヘッド1の断面図であり、図3は、本実施形態によるシャワーヘッド1の分解斜視図である。
図1乃至図3に示すように、本実施形態のシャワーヘッド1は、給水源(不図示)から給水部材2、3を介して水が供給され貯留される貯留室5(キャビティとも称される)を備えている。
貯留室5に対して当該シャワーヘッド1の吐水面側に、4つの略円板状の要素部材40、47、48、49の重ね合わせによって構成された二次側流路部材4が設けられている。二次側流路部材4は、3つ(複数の一例)の吐水モードに対応する3つ(複数の一例)の流路を有している。
二次側流路部材4のうち貯留室5に面する要素部材40には、貯留室5側に盛り上がった3個の弁座41〜43が形成されており、各弁座41〜43の中央には対応する流路に連通する連通孔が設けられている(後述の図4も参照)。3個の弁座41〜43(及び対応する流路)は、環状に、周方向に120度ずつ均等に配置されている。
3個の弁座41〜43のそれぞれに対応するように、ダイヤフラム弁21〜23が環状に設けられている。3個のダイヤフラム弁21〜23は、一部品のダイヤフラム部材20として一体形成されているが、それぞれのダイヤフラム弁21〜23は独立に動作できるようになっている。
また、ダイヤフラム部材20の外周部には、シールリング部24が形成されている。シールリング部24は、要素部材40の上縁部40aとカバー部材8とによって水密に挟持されている。一方、ダイヤフラム部材20の中心側の領域は、スペース部材38を介して要素部材40の上面上に支持されている。
また、各ダイヤフラム弁21〜23は、カバー部材8の下面との間に、それぞれコイルバネ51〜53(弾性部材の一例)が設けられており、当該コイルバネ51〜53によって閉鎖方向に付勢されている。
また、本実施形態の3個のダイヤフラム弁21〜23は、環状に配置されており、各ダイヤフラム弁21〜23の背圧室21b〜23bと貯留室5の外側の空間である要素部材40の下方の空間とを連通させるためのパイロット孔(一部はカバー部材8の下面側に形成された背圧室流出孔21c〜23c)が、当該3個のダイヤフラム弁21〜23の配置の中心側の領域に集約的に設けられていて、共通のパイロット弁として機能するディスク部材10によって開閉されるようになっている。(ダイヤフラム弁が2個の場合には、各ダイヤフラム弁の背圧室と貯留室5の外側の空間である要素部材40の下方の空間とを連通させるためのパイロット孔が、当該2個のダイヤフラム弁の配置の中間側の領域に集約的に設けられ得る。)
ディスク部材10は、樹脂製であり、それ自身の回転軸回りに回転可能に支持されており、外周部に12個の歯10tを有している(後述の図6乃至図8も参照)。
図4は、パイロット孔の開閉について説明するための概略図である。ディスク部材10は、4個(複数の一例)の連通孔10hを有しており、図4に概略的に示すように、当該4個の連通孔10hの各々は、ディスク部材10の回転位置に応じて、各ダイヤフラム弁21〜23の背圧室21b〜23bに設けられた背圧室流出孔21c〜23cと選択的に連通することで当該ダイヤフラム弁21〜23のパイロット孔を解放するようになっている。より詳細には、ダイヤフラム弁21〜23のパイロット孔は、背圧室流出孔21c〜23cと当該背圧室流出孔21c〜23cに対応するように要素部材40に設けられた流出孔44〜46とが、ディスク部材10の連通孔10hによって選択的に連通される時に解放されるようになっている。4つの連通孔10hは、周方向に90度ずつ均等に配置されている。背圧室流出孔21c〜23c及び流出孔44〜46は、周方向に120度ずつ均等に配置されている。
図5は、ディスク押え部材30について説明するための概略図である。図5に概略的に示すように、ディスク押え部材30は、背圧室流出孔21c〜23cとディスク部材10との間に介在しており、付勢手段の一例であるコイルバネ35によって、ディスク部材10を背圧室流出孔21c〜23から遠ざける方向に(要素部材40に向けて)押し付けるようになっている。
また、ディスク押え部材30には、各ダイヤフラム弁21〜23の背圧室流出孔21c〜23cと連通する流出連通路31c〜33cが設けられている。本実施形態では、流出連通路31c〜33cは、それぞれ管状部31〜33によって構成され、各管状部31〜33は、対応する背圧室流出孔21c〜23c内に挿入されている。そして、各管状部31〜33と背圧室流出孔21c〜23cとの間に隙間が残存しており、当該隙間が、背圧室流入孔として機能するようになっている。(もっとも、図4に示すように、ダイヤフラム弁21〜23の一部に背圧室流入孔21d〜23dを設ける態様も、本願出願の時点では本発明の範囲から除外されない。)
図2に戻って、シャワーヘッド筐体7の下方部に、使用者が操作力を与える操作部としての押圧ボタン11が設けられている。(押圧ボタン11に替えて、他のタイプのボタンや、スライドスイッチ等が設けられてもよい。)
押圧ボタン11は、使用者による押圧操作の度に(使用者が操作力としての押圧力を与える度に)、回動軸11s回りに回動するようになっている。そして、押圧ボタン11の当該回動動作に連動して、押圧ボタン11の当接スライド傾斜部11aと棒部12の基端部に設けられた当接環12aとの当接(及びスライド)を利用して、棒部12がそれ自身の軸線方向に往復移動するようになっている。
棒部12は、その先端部が貯留室5内(水中)に露出されており(図6乃至図8も参照)、錆びない性質を有するステンレス等の金属製の棒材からなっている。本実施形態では、棒部12は、シャワーヘッド筐体7に一体的に固定された要素部材40内を摺動移動可能に貫通している。水密を維持するべく、シールリング部材12sが設けられている。棒部12は、剛性体のみならず、紐のような塑性体や、ゴムのような弾性体、によって構成されていてもよい。
図6は、ディスク部材10の回転動作開始時の状態を説明するための概略図であり、図7は、ディスク部材10の回転動作中の状態を説明するための概略図であり、図8は、ディスク部材10の回転動作終了時の状態を説明するための概略図である。
図6乃至図8に示すように、貯留室5内に位置する棒部12の先端部の周囲には、コイルバネ14が配置されている。当該コイルバネ14の基端は、要素部材40に固定されており、それによってシャワーヘッド筐体7に対して(押圧ボタン11の回動軸11sに対して)固定されている。
コイルバネ14の先端には、爪部材15が固定されており、棒部12の先端には、爪部材15のためのストッパ13が取り付けられており、コイルバネ14の先端及び爪部材15は、コイルバネ14の軸線方向の変形によって、ストッパ13に対して棒部12の基端側の領域において、当該軸線方向に移動可能となっている。
更に、コイルバネ14の先端及び爪部材15は、コイルバネ14の軸線方向に対して傾斜した方向への変形によって、当該傾斜した方向へも移動可能(姿勢変更可能)となっている。
爪部材15のディスク部材10側の側面には、ディスク部材10の歯10tと係合する爪15tが設けられている。そして、棒部12の移動中に、爪15tが歯10tを引き込むことによって、ディスク部材10が回転されるようになっている(図6→図7→図8)。
その他、ディスク部材10(歯10t)が逆方向に回転するのを防止する止め爪16が、要素部材40上に設けられた止め爪固定部17によって保持されている。
[第1実施形態の作用]
次に、本実施形態によるシャワーヘッド1の作用について説明する。
図2を参照して、押圧ボタン11が使用者によって押圧操作されると、その押圧力(操作力)によって、押圧ボタン11の当接スライド傾斜部11aが回動軸11s回りに回動し、当接環12aを介して棒部12を軸線方向に基端側(図2の右側)へと移動させる。
図6の状態は、押圧操作前の状態に対応している。この状態から棒部12の移動が始まると、図7に示すように、爪部材15の爪15tがディスク部材10の歯10tを引き込むようにして、ディスク部材10が回転される。図8は、押圧ボタン11が最奥部にあって棒部12が最も基端側(図2の右側)に移動された状態に対応している。図8の状態では、止め爪16が、図6の状態よりも1つ先の歯10tを止めている。以上の通り、押圧ボタン11の1回の押圧操作で、ディスク部材10は30度回転する。
図8の状態では、コイルバネ14が、棒部12の先端のストッパ13及び爪部材15と要素部材40との間で圧縮された状態となっている。この状態で、押圧ボタン11に対する押圧力が解除されると、コイルバネ14の復元力によって、棒部12及び押圧ボタン11が元の位置(図6の状態)に戻される。この過程では、爪15tは歯10tと係合していないし、止め爪16の存在とも相俟って、ディスク部材10は逆回転しない。また、この過程において、爪部材15は、コイルバネ14の軸線方向に対して傾斜した方向への変形によって当該傾斜した方向へも移動可能(姿勢変更可能)であるため、ディスク部材10からの抵抗(干渉)を効果的に回避することができる。そして、爪部材15は、元の位置(図6の状態)に戻ると、コイルバネ14の復元力によって、前回引き込んだ歯の次の歯10tと係合する。
前述のように、4つの連通孔10hは、周方向に90度ずつ均等に配置されており、背圧室流出孔21c〜23c及び流出孔44〜46は、周方向に120度ずつ均等に配置されている。従って、ディスク部材10が30度ずつ回転することによって、背圧室流出孔21cと流出孔44とが連通して背圧室流出孔22c、23cと流出孔45、46とは連通しない第1吐水モードと、背圧室流出孔22cと流出孔45とが連通して背圧室流出孔21c、23cと流出孔44、46とは連通しない第2吐水モードと、背圧室流出孔23cと流出孔46とが連通して背圧室流出孔21c、22cと流出孔44、45とは連通しない第3吐水モードと、を順次に切り替えることができる。
背圧室流出孔と流出孔とが連通せず、すなわち、対応するダイヤフラム弁のパイロット孔が解放されていない状態の一例が、図4及び図5の右側の状態である。図4及び図5の右側の状態は、背圧室流出孔22c、23cと流出孔45、46とが、ディスク部材10によって遮断されている。一方、背圧室流入孔22d、23dを介して(図4の場合)、あるいは、管状部32、33と背圧室流出孔22c、23cとの間の隙間が背圧室流入孔として機能して(図5の場合)、貯留室5内の水圧と背圧室23b、23c内の水圧は等しくなっている。従って、コイルバネ52、53(図4及び図5では図示を省略されている)の付勢力によって、ダイヤフラム弁22、23は閉鎖状態にある。
一方、背圧室流出孔と流出孔とが連通して、すなわち、対応するダイヤフラム弁のパイロット孔が解放された状態の一例が、図4及び図5の左側の状態である。図4及び図5の左側の状態は、背圧室流出孔21cと流出孔44とが、ディスク部材10の連通孔10hによって連通(解放)されている。この状態では、背圧室21bから背圧室流出孔21c及び流出孔44を介して水が流出することによって、貯留室5内の水圧が背圧室21b内の水圧よりも大きくなり、コイルバネ51(図4及び図5では図示を省略されている)の付勢力にも拘わらず、ダイヤフラム弁21が開放状態となる。
[第1実施形態の効果]
以上のように、本実施形態のシャワーヘッド1によれば、3個のダイヤフラム弁21〜23によって3個の流路の各々と貯留室5との連通ないし遮断が制御されるため、流路の切り替え操作の操作力の顕著な低減を実現することができる。
特に、本実施形態のシャワーヘッド1によれば、環状に配置された3個のダイヤフラム21〜23の背圧室21b〜23bと貯留室5外の空間とを連通させるためのパイロット孔が、ダイヤフラム弁21〜23の配置の中心側の領域に集約的に設けられていて、共通のディスク部材10(パイロット弁)によって開閉されるため、シャワーヘッド1の小型化が実現でき、また、ディスク部材10(パイロット弁)の移動範囲(移動距離)も小さくてよいため、操作力の更なる低減が図れる。
また、本実施形態のシャワーヘッド1によれば、ディスク部材10が、それ自身の回転軸回りに回転可能に支持されると共に外周部に歯10tを有している。このため、当該歯10tを利用することによって、ディスク部材10を容易に回転駆動することができる。
また、本実施形態のシャワーヘッド1によれば、ディスク部材10が樹脂製であるため、高い平滑度を容易に実現できる。このため、摺動抵抗を抑えることができ、また、別途にシール部材を設ける必要がない。
また、本実施形態のシャワーヘッド1によれば、ディスク部材10は、4個の連通孔10hを有しており、当該連通孔10hの各々は、ディスク部材10の回転位置に応じて、3個のダイヤフラム弁21〜23の背圧室21b〜23bに設けられた背圧室流出孔21c〜23cと選択的に連通することで当該ダイヤフラム弁21〜23のパイロット孔を解放するようになっている。これにより、シャワーヘッド1の更なる小型化が実現でき、また、ディスク部材10の回転角度(移動距離)が30度と小さいため、操作力の更なる低減が図れる。
また、本実施形態のシャワーヘッド1によれば、背圧室流出孔21c〜23cとディスク部材10との間にディスク押え部材30が介在しており、当該ディスク押え部材30には、各ダイヤフラム弁21〜23の背圧室流出孔21c〜23cと連通する流出連通路31c〜33cが設けられており、また、当該ディスク押え部材30は、コイルバネ35によって、ディスク部材10を背圧室流出孔21c〜23cから遠ざける方向に押し付けるようになっている。これにより、ディスク部材10に対して背圧室流出孔21c〜23cとは反対側の部材(要素部材40)と当該ディスク部材10との間にシール部材を設ける必要がない。
特に、本実施形態のシャワーヘッド1によれば、流出連通路31c〜33cがそれぞれ管状部31〜33によって構成され、各管状部31〜33は、対応する背圧室流出孔21c〜23c内に挿入されており、各管状部31〜33と背圧室流出孔21c〜23cとの間の隙間が背圧室流入孔として機能するようになっている。当該隙間は、高い寸法精度で形成することが容易であるため、複数のダイヤフラム弁21〜23間で背圧室流入孔(隙間)の特性にバラツキが生じることを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態のシャワーヘッド1によれば、使用者が操作力を与える押圧ボタン11と、当該押圧ボタン11の押圧操作の度にそれ自身の軸線方向に往復移動する棒部12と、棒部12の先端側に取り付けられてディスク部材10の歯10tと係合する爪15tを有する爪部材15と、を備えた駆動機構によって、棒部12の移動中に爪15tが歯10tを引き込むことによってディスク部材10が回転されるようになっている。このように、引き込む方向に力を作用させることによって、棒部12が座屈変形することを効果的に防止することができ、棒部12に求められる剛性を低減できる。これにより、剛体のみならず、ひも状の塑性体や、ゴムなどの弾性体、によって棒部12を構成することができるようになる。
特に、本実施形態のシャワーヘッド1によれば、棒部12の基端が押圧ボタン11に接続されており、棒部12の先端部の周囲にコイルバネ14が配置されており、コイルバネ14の基端は要素部材40に固定され、コイルバネ14の先端は爪部材15に固定されており、棒部12の先端には爪部材15のためのストッパ13が取り付けられている。これにより、爪部材15は、コイルバネ14の変形によって、棒部12に対して相対移動可能(軸線方向及び軸線方向に対して傾斜した方向)となっている。このため、歯10tを引き込んだ後の爪部材15が次の歯10tと係合するために元の位置(図6の位置)に戻る際に、ディスク部材10からの抵抗(干渉)を効果的に回避することができる。
また、本実施形態のシャワーヘッド1によれば、3個のダイヤフラム弁21〜23は、一部品のダイヤフラム部材20として一体化されており、周囲にシールリング部24が設けられている。これにより、別途にシールリング部材を設ける必要がない(後述の第2実施形態参照)。
また、本実施形態のシャワーヘッド1によれば、各ダイヤフラム弁21〜23はコイルバネ51〜53によってそれぞれ閉鎖方向に付勢されている。これにより、各ダイヤフラム弁21〜23の開閉動作が安定化されている。
[第2実施形態の構成]
次に、添付図面を参照して、本発明の第2実施形態によるシャワーヘッドについて説明する。本実施形態のシャワーヘッド101も、複数の吐水モードを切り替えることができる(複数の吐水モードでの吐水が可能な)シャワーヘッドである。
図9は、本発明の第2実施形態によるシャワーヘッド101の平面図であり、図10は、図9のシャワーヘッド101のX−X線断面図であり、図11は、本実施形態によるシャワーヘッド101の分解斜視図である。
図9乃至図11に示すように、本実施形態のシャワーヘッド101も、給水源(不図示)から給水部材102、103を介して水が供給され貯留される貯留室105(キャビティとも称される)を備えている。
貯留室105に対して当該シャワーヘッド101の吐水面側に、4つの略円板状の要素部材140、147、148、149の重ね合わせによって構成された二次側流路部材104が設けられている。二次側流路部材104は、更に、中央吐水口部材161〜163と、シール部材165と、を有しており、3つ(複数の一例)の吐水モードに対応する3つ(複数の一例)の流路を有している。
二次側流路部材104のうち貯留室105に面する要素部材140には、貯留室105側に盛り上がった3個の弁座141〜143が形成されており、各弁座141〜143の中央には対応する流路に連通する連通孔が設けられている。3個の弁座141〜143(及び対応する流路)は、環状に、周方向に120度ずつ均等に配置されている。
3個の弁座141〜143のそれぞれに対応するように、ダイヤフラム弁121〜123が環状に設けられている。3個のダイヤフラム弁121〜123は、第1実施形態とは異なり、別個独立の部材として形成されて配置されている。
また、3個のダイヤフラム弁121〜123を取り囲むように、シールリング部材124が配置されている。シールリング部材124は、要素部材140の上縁部140aとカバー部材108とによって水密に挟持されている。本実施形態のカバー部材108は、カバー本体108aと、2枚の上方ディスク108b、108cと、からなっている。一方、各ダイヤフラム弁121〜123は、スペース部材171〜173を介して要素部材140の上面上に支持されている。
また、各ダイヤフラム弁121〜123は、カバー部材108の下面との間に、それぞれコイルバネ151〜153(弾性部材の一例)が設けられており、当該コイルバネ151〜153によって閉鎖方向に付勢されている。
また、本実施形態の3個のダイヤフラム弁121〜123も、環状に配置されており、各ダイヤフラム弁121〜123の背圧室121b〜123bと貯留室105の外側の空間である要素部材140の下方の空間とを連通させるためのパイロット孔(一部はカバー部材108の下面側に形成された背圧室流出孔121c〜123c)が、当該3個のダイヤフラム弁121〜123の配置の中心側の領域に集約的に設けられていて、共通のパイロット弁として機能するディスク部材110によって開閉されるようになっている。(ダイヤフラム弁が2個の場合には、各ダイヤフラム弁の背圧室と貯留室105の外側の空間である要素部材140の下方の空間とを連通させるためのパイロット孔が、当該2個のダイヤフラム弁の配置の中間側の領域に集約的に設けられ得る。)
本実施形態のディスク部材110も、樹脂製であり、それ自身の回転軸回りに回転可能に支持されており、外周部に12個の歯110tを有している。
図12は、図4と同様、パイロット孔の開閉について説明するための概略図であり、図4における参照符号に100を足したものに相当している。本実施形態のディスク部材110も、4個(複数の一例)の連通孔110hを有しており、当該4個の連通孔110hの各々は、ディスク部材110の回転位置に応じて、各ダイヤフラム弁121〜123の背圧室121b〜123bに設けられた背圧室流出孔121c〜123cと選択的に連通することで当該ダイヤフラム弁121〜123のパイロット孔を解放するようになっている。より詳細には、ダイヤフラム弁121〜123のパイロット孔は、背圧室流出孔121c〜123cと当該背圧室流出孔121c〜123cに対応するように要素部材140に設けられた流出孔144〜146とが、ディスク部材110の連通孔110hによって選択的に連通される時に解放されるようになっている。4つの連通孔110hも、周方向に90度ずつ均等に配置されており、背圧室流出孔121c〜123c及び流出孔144〜146も、周方向に120度ずつ均等に配置されている。
図13は、図5と同様、ディスク押え部材30について説明するための概略図であり、図5における参照符号に100を足したものに相当している。ディスク押え部材130が、背圧室流出孔121c〜123cとディスク部材110との間に介在しており、付勢手段の一例であるコイルバネ135によって、ディスク部材110を背圧室流出孔121c〜123から遠ざける方向に(要素部材140に向けて)押し付けるようになっている。
また、ディスク押え部材130には、各ダイヤフラム弁121〜123の背圧室流出孔121c〜123cと連通する流出連通路131c〜133cが設けられており、本実施形態でも、流出連通路131c〜133cは、それぞれ管状部131〜133によって構成され、各管状部131〜133は、対応する背圧室流出孔121c〜123c内に挿入されている。そして、各管状部131〜133と背圧室流出孔121c〜123cとの間に隙間が残存しており、当該隙間が、背圧室流入孔として機能するようになっている。(図12に示すように、ダイヤフラム弁121〜123の一部に背圧室流入孔121d〜123dを設ける態様も、本願出願の時点では本発明の範囲から除外されない。)
図11に戻って、シャワーヘッド筐体107の下方部に、使用者が操作力を与える操作部としての押圧ボタン111が設けられている。(押圧ボタン111に替えて、他のタイプのボタンや、スライドスイッチ等が設けられてもよい。)
押圧ボタン111は、使用者による押圧操作の度に(使用者が操作力としての押圧力を与える度に)、回動軸111s回りに回動するようになっている。そして、押圧ボタン111の当該回動動作に連動して、押圧ボタン111の当接スライド傾斜部111aと棒部112の基端部に設けられた当接環112aとの当接(及びスライド)を利用して、棒部112がそれ自身の軸線方向に往復移動するようになっている。
棒部112は、その先端部が貯留室105内(水中)に露出されており(図14も参照)、錆びない性質を有するステンレス等の金属製の棒材からなっている。本実施形態では、棒部112は、シャワーヘッド筐体107に一体的に固定された要素部材140内を摺動移動可能に貫通している。水密を維持するべく、シールリング部材112sが設けられている。
図14は、図6と同様、ディスク部材110の回転動作開始時の状態を説明するための概略図である。図14に示すように、貯留室105内に位置する棒部112の先端部の周囲には、コイルバネ114が配置されている。当該コイルバネ114の基端は、要素部材140に固定されており、それによってシャワーヘッド筐体107に対して(押圧ボタン111の回動軸111sに対して)固定されている。
コイルバネ114の先端には、爪部材115が固定されており、棒部112の先端には、爪部材115のためのストッパ113が取り付けられており、コイルバネ114の先端及び爪部材115は、コイルバネ114の軸線方向の変形によって、ストッパ113に対して棒部112の基端側の領域において、当該軸線方向に移動可能となっている。
更に、コイルバネ114の先端及び爪部材115は、コイルバネ114の軸線方向に対して傾斜した方向への変形によって、当該傾斜した方向へも移動可能(姿勢変更可能)となっている。
爪部材115のディスク部材110側の側面には、ディスク部材110の歯110tと係合する爪115tが設けられている。そして、棒部112の移動中に、爪115tが歯110tを引き込むことによって、ディスク部材110が回転されるようになっている。
その他、ディスク部材110(歯110t)が逆方向に回転するのを防止する止め爪116が、要素部材140上に設けられた止め爪固定部117によって保持されている。
[第2実施形態の作用]
次に、本実施形態によるシャワーヘッド101の作用について説明する。
図13を参照して、押圧ボタン111が使用者によって押圧操作されると、その押圧力(操作力)によって、押圧ボタン111の当接スライド傾斜部111aが回動軸111s回りに回動し、当接環112aを介して棒部112を軸線方向に基端側(図13の右側)へと移動させる。
図14の状態は、押圧操作前の状態に対応している。この状態から棒部112の移動が始まると、爪部材115の爪115tがディスク部材110の歯110tを引き込むようにして、ディスク部材110が回転される(図7も参照)。押圧ボタン111が最奥部にあって棒部112が最も基端側(図13の右側)に移動された状態で、止め爪116は、図14の状態よりも1つ先の歯110tを止める(図8も参照)。これにより、押圧ボタン111の1回の押圧操作で、ディスク部材110は30度回転する。
この状態では、コイルバネ114が、棒部112の先端のストッパ113及び爪部材115と要素部材140との間で圧縮された状態となっている。この状態で、押圧ボタン111に対する押圧力が解除されると、コイルバネ114の復元力によって、棒部112及び押圧ボタン111が元の位置(図14の状態)に戻される。この過程では、爪115tは歯110tと係合していないし、止め爪116の存在とも相俟って、ディスク部材110は逆回転しない。また、この過程において、爪部材115は、コイルバネ114の軸線方向に対して傾斜した方向への変形によって当該傾斜した方向へも移動可能(姿勢変更可能)であるため、ディスク部材110からの抵抗(干渉)を効果的に回避することができる。そして、爪部材115は、元の位置(図14の状態)に戻ると、コイルバネ114の復元力によって、前回引き込んだ歯の次の歯110tと係合する。
前述のように、4つの連通孔110hは、周方向に90度ずつ均等に配置されており、背圧室流出孔121c〜123c及び流出孔144〜146は、周方向に120度ずつ均等に配置されている。従って、ディスク部材110が30度ずつ回転することによって、背圧室流出孔121cと流出孔144とが連通して背圧室流出孔122c、123cと流出孔145、146とは連通しない第1吐水モードと、背圧室流出孔122cと流出孔145とが連通して背圧室流出孔121c、123cと流出孔144、146とは連通しない第2吐水モードと、背圧室流出孔123cと流出孔146とが連通して背圧室流出孔121c、122cと流出孔144、145とは連通しない第3吐水モードと、を順次に切り替えることができる。
背圧室流出孔と流出孔とが連通せず、すなわち、対応するダイヤフラム弁のパイロット孔が解放されていない状態の一例が、図12及び図13の右側の状態である。図12及び図13の右側の状態は、背圧室流出孔122c、123cと流出孔145、146とが、ディスク部材110によって遮断されている。一方、背圧室流入孔122d、123dを介して(図12の場合)、あるいは、管状部132、133と背圧室流出孔122c、123cとの間の隙間が背圧室流入孔として機能して(図13の場合)、貯留室105内の水圧と背圧室123b、123c内の水圧は等しくなっている。従って、コイルバネ152、153(図12及び図13では図示を省略されている)の付勢力によって、ダイヤフラム弁122、123は閉鎖状態にある。
一方、背圧室流出孔と流出孔とが連通して、すなわち、対応するダイヤフラム弁のパイロット孔が解放された状態の一例が、図12及び図13の左側の状態である。図12及び図13の左側の状態は、背圧室流出孔121cと流出孔144とが、ディスク部材110の連通孔110hによって連通(解放)されている。この状態では、背圧室121bから背圧室流出孔121c及び流出孔144を介して水が流出することによって、貯留室105内の水圧が背圧室121b内の水圧よりも大きくなり、コイルバネ151(図12及び図13では図示を省略されている)の付勢力にも拘わらず、ダイヤフラム弁121が開放状態となる。
[第2実施形態の効果]
以上のように、本実施形態のシャワーヘッド101によれば、3個のダイヤフラム弁121〜123によって3個の流路の各々と貯留室105との連通ないし遮断が制御されるため、流路の切り替え操作の操作力の顕著な低減を実現することができる。
特に、本実施形態のシャワーヘッド101によれば、環状に配置された3個のダイヤフラム121〜123の背圧室121b〜123bと貯留室105外の空間とを連通させるためのパイロット孔が、ダイヤフラム弁121〜123の配置の中心側の領域に集約的に設けられていて、共通のディスク部材110(パイロット弁)によって開閉されるため、シャワーヘッド101の小型化が実現でき、また、ディスク部材110(パイロット弁)の移動範囲(移動距離)も小さくてよいため、操作力の更なる低減が図れる。
また、本実施形態のシャワーヘッド101によれば、ディスク部材110が、それ自身の回転軸回りに回転可能に支持されると共に外周部に歯110tを有している。このため、当該歯110tを利用することによって、ディスク部材110を容易に回転駆動することができる。
また、本実施形態のシャワーヘッド101によれば、ディスク部材110が樹脂製であるため、高い平滑度を容易に実現できる。このため、摺動抵抗を抑えることができ、また、別途にシール部材を設ける必要がない。
また、本実施形態のシャワーヘッド101によれば、ディスク部材110は、4個の連通孔110hを有しており、当該連通孔110hの各々は、ディスク部材110の回転位置に応じて、3個のダイヤフラム弁121〜123の背圧室121b〜123bに設けられた背圧室流出孔121c〜123cと選択的に連通することで当該ダイヤフラム弁121〜123のパイロット孔を解放するようになっている。これにより、シャワーヘッド101の更なる小型化が実現でき、また、ディスク部材110の回転角度(移動距離)が30度と小さいため、操作力の更なる低減が図れる。
また、本実施形態のシャワーヘッド101によれば、背圧室流出孔121c〜123cとディスク部材110との間にディスク押え部材130が介在しており、当該ディスク押え部材130には、各ダイヤフラム弁121〜123の背圧室流出孔121c〜123cと連通する流出連通路131c〜133cが設けられており、また、当該ディスク押え部材130は、コイルバネ135によって、ディスク部材110を背圧室流出孔121c〜123cから遠ざける方向に押し付けるようになっている。これにより、ディスク部材110に対して背圧室流出孔121c〜123cとは反対側の部材(要素部材140)と当該ディスク部材110との間にシール部材を設ける必要がない。
特に、本実施形態のシャワーヘッド101によれば、流出連通路131c〜133cがそれぞれ管状部131〜133によって構成され、各管状部131〜133は、対応する背圧室流出孔121c〜123c内に挿入されており、各管状部131〜133と背圧室流出孔121c〜123cとの間の隙間が背圧室流入孔として機能するようになっている。当該隙間は、高い寸法精度で形成することが容易であるため、複数のダイヤフラム弁121〜123間で背圧室流入孔(隙間)の特性にバラツキが生じることを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態のシャワーヘッド101によれば、使用者が操作力を与える押圧ボタン111と、当該押圧ボタン111の押圧操作の度にそれ自身の軸線方向に往復移動する棒部112と、棒部112の先端側に取り付けられてディスク部材110の歯110tと係合する爪115tを有する爪部材115と、を備えた駆動機構によって、棒部112の移動中に爪115tが歯110tを引き込むことによってディスク部材110が回転されるようになっている。このように、引き込む方向に力を作用させることによって、棒部112が座屈変形することを効果的に防止することができ、要求される剛性を低減することができる。これにより、棒部12は必ずしも剛体である必要が無くなり、ひも状の塑性体やゴムのような弾性体によって構成することができる。
特に、本実施形態のシャワーヘッド101によれば、棒部112の基端が押圧ボタン111に接続されており、棒部112の先端部の周囲にコイルバネ114が配置されており、コイルバネ114の基端は要素部材140に固定され、コイルバネ114の先端は爪部材115に固定されており、棒部112の先端には爪部材115のためのストッパ113が取り付けられている。これにより、爪部材115は、コイルバネ114の変形によって、棒部112に対して相対移動可能(軸線方向及び軸線方向に対して傾斜した方向)となっている。このため、歯110tを引き込んだ後の爪部材115が次の歯110tと係合するために元の位置(図14の位置)に戻る際に、ディスク部材110からの抵抗(干渉)を効果的に回避することができる。
また、本実施形態のシャワーヘッド101によれば、3個のダイヤフラム弁121〜123は、それぞれ別個の部品である。これにより、各ダイヤフラム弁121〜123を個別に交換等することができる。
また、本実施形態のシャワーヘッド101によれば、各ダイヤフラム弁121〜123はコイルバネ151〜153によってそれぞれ閉鎖方向に付勢されている。これにより、各ダイヤフラム弁121〜123の開閉動作が安定化されている。
[流路パターンについての補足]
なお、以上の各実施形態のシャワーヘッド1、101では、3個のダイヤフラム弁21〜23、121〜123の各々の開閉が、二次側流路部材4、104の3個の流路の各々の連通/遮断に1:1に対応しており、ディスク部材10、110の回転位置に応じて、いずれか1個のダイヤフラム弁のみが開放され、すなわち、いずれか1個の流路のみが連通されるようになっているが、本発明はそのような態様に限定されない。
例えば、ディスク部材10、110の連通孔10h、110hの配置パターンを変更する等して、ディスク部材10、110の回転位置に応じて、同時に複数のダイヤフラム弁が開放され、すなわち、同時に複数の流路が連通されて複合的に吐水がなされてもよい。
あるいは、二次側流路部材4、104の流路のパターンを変更する等して、ある1個のダイヤフラム弁が開放される時に、同時に複数の流路が連通されて複合的に吐水がなされてもよい。
さらには、ディスク部材10、110の連通孔10h、110hの配置パターンを変更する等して、ディスク部材10、110の回転位置に応じて、同時に全てのダイヤフラム弁が閉止され、すなわち、同時に複数の流路が閉止されて止水がなされてもよい。このように構成することで押圧ボタン11を操作することで一時止水を行うことができるようになる。
[第2実施形態の変形例]
第2実施形態のシャワーヘッド101は、3個の別個のダイヤフラム弁121〜123(主弁体の一例)を用いて複数の吐水モードを切り替えることができる(複数の吐水モードでの吐水が可能な)シャワーヘッドである。
本実施形態において、ダイヤフラム弁121〜123の各々は、例えばピストン弁(主弁体の他の例)によって置換することが可能である。
図15は、ダイヤフラム弁121〜123をピストン弁221〜223に置換した構成例を示す、図13に対応する概略図である。
図15に示す変形例では、ピストン弁221〜223が、水密リング261〜263を介して、カバー本体部108a内に設けられた対応する摺動案内筒部271〜273内を摺動移動可能に設けられている。
各ピストン弁221〜223は、カバー本体部108aの下面との間に、それぞれコイルバネ251〜253(弾性部材の一例)が設けられており、当該コイルバネ251〜253によって閉鎖方向に付勢されている。
このような変形例においても、第2実施形態のシャワーヘッド101と同様の作用効果を得ることができる。
具体的には、対応するピストン弁222、223のパイロット孔が解放されていない状態(図16の右側の状態)、すなわち、背圧室流出孔222c、223cと流出孔45、46とがディスク部材10によって遮断されている状態では、管状部32、33と背圧室流出孔222c、223cとの間の隙間が背圧室流入孔として機能して、貯留室5内の水圧と背圧室223b、223c内の水圧は等しくなっている。従って、コイルバネ252、253の付勢力によって、ピストン弁222、223は閉鎖状態にある。
一方、対応するピストン弁221のパイロット孔が解放された状態(図16の左側の状態)、すなわち、背圧室流出孔221cと流出孔44とがディスク部材10の連通孔10hによって連通(解放)されている状態では、背圧室221bから背圧室流出孔221c及び流出孔44を介して水が流出することによって、貯留室5内の水圧が背圧室221b内の水圧よりも大きくなり、コイルバネ251の付勢力にも拘わらず、ピストン弁221が開放状態となる。
[第3実施形態の構成]
前述のように、第1実施形態のシャワーヘッド1は、複数の吐水モードを切り替えることができる(複数の吐水モードでの吐水が可能な)シャワーヘッドである。この実施形態は、吐水モードを1種類に限定して使用する場合、吐水と止水とを切り替えることのみができるシャワーヘッドとなる。すなわち、第1実施形態のシャワーヘッド1の開示は、吐水と止水とを切り替えるシャワーヘッドの開示を兼ねるものである(特に、段落0120参照)。
しかしながら、理解の一層の容易のため、本発明を吐水と止水とを切り替えるシャワーヘッド(吐水モードは1種類)に適用した構成例について、第3実施形態として以下に説明する。
図16は、本発明の第3実施形態によるシャワーヘッド301の部分断面斜視図であり、図17は、本実施形態のシャワーヘッド301の断面図であり、図18は、本実施形態によるシャワーヘッド301の分解斜視図である。
図16乃至図18に示すように、本実施形態のシャワーヘッド301は、第1実施形態のシャワーヘッド1と同様に、給水源(不図示)から給水部材2、3を介して水が供給され貯留される貯留室5(キャビティとも称される)を備えている。
貯留室5に対して当該シャワーヘッド301の吐水面側に、概ね円板状の要素部材(単数でも複数でもよい)によって構成された二次側流路部材304が設けられている。二次側流路部材304は、唯一の吐水モードに対応する唯一の流路を有している。
二次側流路部材304のうち貯留室5に面する部分には、貯留室5側に盛り上がった3個の弁座341〜343が形成されており、各弁座341〜343の中央には対応する流路に連通する連通孔が設けられている(図4も参照)。3個の弁座341〜343(及び対応する流路)は、環状に、周方向に120度ずつ均等に配置されている。
3個の弁座341〜343のそれぞれに対応するように、第1実施形態のシャワーヘッド1と同様に、ダイヤフラム弁21〜23が環状に設けられている。3個のダイヤフラム弁21〜23は、一部品のダイヤフラム部材20として一体形成されているが、それぞれのダイヤフラム弁21〜23は独立に動作できるようになっている。
また、ダイヤフラム部材20の外周部には、シールリング部24が形成されている。シールリング部24は、二次側流路部材304の上縁部とカバー部材8とによって水密に挟持されている。一方、ダイヤフラム部材20の中心側の領域は、スペース部材38を介して二次側流路部材304の上面上に支持されている。
また、第1実施形態のシャワーヘッド1と同様に、各ダイヤフラム弁21〜23は、カバー部材8の下面との間に、それぞれコイルバネ51〜53(弾性部材の一例)が設けられており、当該コイルバネ51〜53によって閉鎖方向に付勢されている。
また、本実施形態の3個のダイヤフラム弁21〜23も、環状に配置されており、各ダイヤフラム弁21〜23の背圧室21b〜23bと貯留室5の外側の空間である二次側流路部材304内の空間とを連通させるためのパイロット孔(一部はカバー部材8の下面側に形成された背圧室流出孔21c〜23c)が、当該3個のダイヤフラム弁21〜23の配置の中心側の領域に集約的に設けられていて、共通のパイロット弁として機能するディスク部材310によって開閉されるようになっている。(ダイヤフラム弁が2個の場合には、各ダイヤフラム弁の背圧室と貯留室5の外側の空間である二次側流路部材0内の空間とを連通させるためのパイロット孔が、当該2個のダイヤフラム弁の配置の中間側の領域に集約的に設けられ得る。)
第1実施形態のシャワーヘッド1と同様に、ディスク部材310は、樹脂製であり、それ自身の回転軸回りに回転可能に支持されており、外周部に12個の歯310tを有している(図6乃至図8も参照)。
パイロット孔の開閉については、第1実施形態のシャワーヘッド1と概ね同様であるが、念のため図4を参照しながら説明する(図4における弁座41〜43が本実施形態の弁座341〜343に相当し、図4におけるディスク部材10及び連通孔10hが本実施形態のディスク部材310及び連通孔310hに相当する)。ディスク部材310は、6個(第1実施形態では4個であった)の連通孔310hを有しており、図4に概略的に示すように、当該6個の連通孔310hの各々は、ディスク部材310の回転位置に応じて、各ダイヤフラム弁21〜23の背圧室21b〜23bに設けられた背圧室流出孔21c〜23cと選択的に連通することで当該ダイヤフラム弁21〜23のパイロット孔を解放するようになっている。より詳細には、ダイヤフラム弁21〜23のパイロット孔は、背圧室流出孔21c〜23cと当該背圧室流出孔21c〜23cに対応するように二次側流路部材304に設けられた流出孔44〜46とが、ディスク部材310の連通孔310hによって選択的に連通される時に解放されるようになっている。6個の連通孔310hは、周方向に60度ずつ均等に配置されている。背圧室流出孔21c〜23c及び流出孔44〜46は、周方向に120度ずつ均等に配置されている。
ディスク押え部材30については、第1実施形態のシャワーヘッド1と同様であるが、念のため図5を参照しながら説明する(図5における弁座41〜43が本実施形態の弁座341〜343に相当し、図5におけるディスク部材10及び連通孔10hが本実施形態のディスク部材310及び連通孔310hに相当する)。図5に概略的に示すように、ディスク押え部材30は、背圧室流出孔21c〜23cとディスク部材310との間に介在しており、付勢手段の一例であるコイルバネ35によって、ディスク部材310を背圧室流出孔21c〜23から遠ざける方向に(二次側流路部材304に向けて)押し付けるようになっている。
また、ディスク押え部材30には、各ダイヤフラム弁21〜23の背圧室流出孔21c〜23cと連通する流出連通路31c〜33cが設けられている。本実施形態では、流出連通路31c〜33cは、それぞれ管状部31〜33によって構成され、各管状部31〜33は、対応する背圧室流出孔21c〜23c内に挿入されている。そして、各管状部31〜33と背圧室流出孔21c〜23cとの間に隙間が残存しており、当該隙間が、背圧室流入孔として機能するようになっている。(もっとも、図4に示すように、ダイヤフラム弁21〜23の一部に背圧室流入孔21d〜23dを設ける態様も、本願出願の時点では本発明の範囲から除外されない。)
図17に戻って、第1実施形態のシャワーヘッド1と同様に、シャワーヘッド筐体7の下方部に、使用者が操作力を与える操作部としての押圧ボタン11が設けられている。(押圧ボタン11に替えて、他のタイプのボタンや、スライドスイッチ等が設けられてもよい。)
押圧ボタン11は、使用者による押圧操作の度に(使用者が操作力としての押圧力を与える度に)、回動軸11s回りに回動するようになっている。そして、押圧ボタン11の当該回動動作に連動して、押圧ボタン11の当接スライド傾斜部11aと棒部12の基端部に設けられた当接環12aとの当接(及びスライド)を利用して、棒部12がそれ自身の軸線方向に往復移動するようになっている。
棒部12は、その先端部が貯留室5内(水中)に露出されており(図6乃至図8も参照)、錆びない性質を有するステンレス等の金属製の棒材からなっている。本実施形態でも、棒部12は、シャワーヘッド筐体7に一体的に固定された二次側流路部材304内を摺動移動可能に貫通している。水密を維持するべく、シールリング部材12sが設けられている。棒部12は、剛性体のみならず、紐のような塑性体や、ゴムのような弾性体、によって構成されていてもよい。
ディスク部材310の回転動作開始時の状態についても、第1実施形態のシャワーヘッド1と同様であるが、念のため図6乃至図8を参照しながら説明する(図6乃至図8における要素部材40が本実施形態の二次側流路部材304に相当し、図6乃至図8におけるディスク部材10、連通孔10h及び歯10tが本実施形態のディスク部材310、連通孔310h及び歯310tに相当する)。
図6乃至図8に示すように、貯留室5内に位置する棒部12の先端部の周囲には、コイルバネ14が配置されている。当該コイルバネ14の基端は、二次側流路部材304に固定されており、それによってシャワーヘッド筐体7に対して(押圧ボタン11の回動軸11sに対して)固定されている。
コイルバネ14の先端には、爪部材15が固定されており、棒部12の先端には、爪部材15のためのストッパ13が取り付けられており、コイルバネ14の先端及び爪部材15は、コイルバネ14の軸線方向の変形によって、ストッパ13に対して棒部12の基端側の領域において、当該軸線方向に移動可能となっている。
更に、コイルバネ14の先端及び爪部材15は、コイルバネ14の軸線方向に対して傾斜した方向への変形によって、当該傾斜した方向へも移動可能(姿勢変更可能)となっている。
爪部材15のディスク部材310側の側面には、ディスク部材310の歯310tと係合する爪15tが設けられている。そして、棒部12の移動中に、爪15tが歯310tを引き込むことによって、ディスク部材310が回転されるようになっている(図6→図7→図8)。
その他、ディスク部材310(歯310t)が逆方向に回転するのを防止する止め爪16が、二次側流路部材304上に設けられた止め爪固定部17によって保持されている。
[第3実施形態の作用]
次に、本実施形態によるシャワーヘッド301の作用について説明する。
図17を参照して、押圧ボタン11が使用者によって押圧操作されると、その押圧力(操作力)によって、押圧ボタン11の当接スライド傾斜部11aが回動軸11s回りに回動し、当接環12aを介して棒部12を軸線方向に基端側(図17の右側)へと移動させる。
図6の状態は、押圧操作前の状態に対応している。この状態から棒部12の移動が始まると、図7に示すように、爪部材15の爪15tがディスク部材310の歯310tを引き込むようにして、ディスク部材310が回転される。図8は、押圧ボタン11が最奥部にあって棒部12が最も基端側(図17の右側)に移動された状態に対応している。図8の状態では、止め爪16が、図6の状態よりも1つ先の歯310tを止めている。以上の通り、押圧ボタン11の1回の押圧操作で、ディスク部材310は30度回転する。
図8の状態では、コイルバネ14が、棒部12の先端のストッパ13及び爪部材15と二次側流路部材304との間で圧縮された状態となっている。この状態で、押圧ボタン11に対する押圧力が解除されると、コイルバネ14の復元力によって、棒部12及び押圧ボタン11が元の位置(図6の状態)に戻される。この過程では、爪15tは歯310tと係合していないし、止め爪16の存在とも相俟って、ディスク部材310は逆回転しない。また、この過程において、爪部材15は、コイルバネ14の軸線方向に対して傾斜した方向への変形によって当該傾斜した方向へも移動可能(姿勢変更可能)であるため、ディスク部材310からの抵抗(干渉)を効果的に回避することができる。そして、爪部材15は、元の位置(図6の状態)に戻ると、コイルバネ14の復元力によって、前回引き込んだ歯の次の歯310tと係合する。
前述のように、6つの連通孔310hは、周方向に60度ずつ均等に配置されており、背圧室流出孔21c〜23c及び流出孔44〜46は、周方向に120度ずつ均等に配置されている。従って、ディスク部材310が30度ずつ回転することによって、背圧室流出孔21c〜23cと流出孔44〜46とが(組み合わせは自由だが)3組同時に連通する吐水モードと、背圧室流出孔21c〜23cと流出孔44〜46とが互いに連通しない止水モードと、を順次に切り替えることができる。
背圧室流出孔と流出孔とが連通せず、すなわち、対応するダイヤフラム弁のパイロット孔が解放されていない状態の一例が、図4及び図5の右側の状態である。図4及び図5の右側の状態は、背圧室流出孔22c、23cと流出孔45、46とが、ディスク部材310によって遮断されている。一方、背圧室流入孔22d、23dを介して(図4の場合)、あるいは、管状部32、33と背圧室流出孔22c、23cとの間の隙間が背圧室流入孔として機能して(図5の場合)、貯留室5内の水圧と背圧室23b、23c内の水圧は等しくなっている。従って、コイルバネ52、53(図4及び図5では図示を省略されている)の付勢力によって、ダイヤフラム弁22、23は閉鎖状態にある。
一方、背圧室流出孔と流出孔とが連通して、すなわち、対応するダイヤフラム弁のパイロット孔が解放された状態の一例が、図4及び図5の左側の状態である。図4及び図5の左側の状態は、背圧室流出孔21cと流出孔44とが、ディスク部材310の連通孔310hによって連通(解放)されている。この状態では、背圧室21bから背圧室流出孔21c及び流出孔44を介して水が流出することによって、貯留室5内の水圧が背圧室21b内の水圧よりも大きくなり、コイルバネ51(図4及び図5では図示を省略されている)の付勢力にも拘わらず、ダイヤフラム弁21が開放状態となる。
[第3実施形態の効果]
以上のように、本実施形態のシャワーヘッド301によれば、3個のダイヤフラム弁21〜23によって二次側流路部材304の流路と貯留室5との連通(吐水)ないし遮断(止水)が制御されるため、吐水/止水の切り替え操作の操作力の顕著な低減を実現することができる。
特に、本実施形態のシャワーヘッド301によれば、環状に配置された3個のダイヤフラム21〜23の背圧室21b〜23bと貯留室5外の空間とを連通させるためのパイロット孔が、ダイヤフラム弁21〜23の配置の中心側の領域に集約的に設けられていて、共通のディスク部材310(パイロット弁)によって開閉されるため、シャワーヘッド301の小型化が実現でき、また、ディスク部材310(パイロット弁)の移動範囲(移動距離)も小さくてよいため、操作力の更なる低減が図れる。
また、本実施形態のシャワーヘッド301によれば、ディスク部材310が、それ自身の回転軸回りに回転可能に支持されると共に外周部に歯310tを有している。このため、当該歯310tを利用することによって、ディスク部材310を容易に回転駆動することができる。
また、本実施形態のシャワーヘッド301によれば、ディスク部材310が樹脂製であるため、高い平滑度を容易に実現できる。このため、摺動抵抗を抑えることができ、また、別途にシール部材を設ける必要がない。
また、本実施形態のシャワーヘッド1によれば、ディスク部材310は、6個の連通孔310hを有しており、当該連通孔310hの各々は、ディスク部材310の回転位置に応じて、3個のダイヤフラム弁21〜23の背圧室21b〜23bに設けられた背圧室流出孔21c〜23cと選択的に連通することで当該ダイヤフラム弁21〜23のパイロット孔を解放するようになっている。これにより、シャワーヘッド301の更なる小型化が実現でき、また、ディスク部材310の回転角度(移動距離)が30度と小さいため、操作力の更なる低減が図れる。
また、本実施形態のシャワーヘッド301によれば、背圧室流出孔21c〜23cとディスク部材310との間にディスク押え部材30が介在しており、当該ディスク押え部材30には、各ダイヤフラム弁21〜23の背圧室流出孔21c〜23cと連通する流出連通路31c〜33cが設けられており、また、当該ディスク押え部材30は、コイルバネ35によって、ディスク部材310を背圧室流出孔21c〜23cから遠ざける方向に押し付けるようになっている。これにより、ディスク部材310に対して背圧室流出孔21c〜23cとは反対側の部材(二次側流路部材304)と当該ディスク部材310との間にシール部材を設ける必要がない。
特に、本実施形態のシャワーヘッド301によれば、流出連通路31c〜33cがそれぞれ管状部31〜33によって構成され、各管状部31〜33は、対応する背圧室流出孔21c〜23c内に挿入されており、各管状部31〜33と背圧室流出孔21c〜23cとの間の隙間が背圧室流入孔として機能するようになっている。当該隙間は、高い寸法精度で形成することが容易であるため、複数のダイヤフラム弁21〜23間で背圧室流入孔(隙間)の特性にバラツキが生じることを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態のシャワーヘッド301によれば、使用者が操作力を与える押圧ボタン11と、当該押圧ボタン11の押圧操作の度にそれ自身の軸線方向に往復移動する棒部12と、棒部12の先端側に取り付けられてディスク部材310の歯310tと係合する爪15tを有する爪部材15と、を備えた駆動機構によって、棒部12の移動中に爪15tが歯310tを引き込むことによってディスク部材310が回転されるようになっている。このように、引き込む方向に力を作用させることによって、棒部12が座屈変形することを効果的に防止することができ、棒部12に求められる剛性を低減できる。これにより、剛体のみならず、ひも状の塑性体や、ゴムなどの弾性体、によって棒部12を構成することができるようになる。
特に、本実施形態のシャワーヘッド301によれば、棒部12の基端が押圧ボタン11に接続されており、棒部12の先端部の周囲にコイルバネ14が配置されており、コイルバネ14の基端は二次側流路部材304に固定され、コイルバネ14の先端は爪部材15に固定されており、棒部12の先端には爪部材15のためのストッパ13が取り付けられている。これにより、爪部材15は、コイルバネ14の変形によって、棒部12に対して相対移動可能(軸線方向及び軸線方向に対して傾斜した方向)となっている。このため、歯310tを引き込んだ後の爪部材15が次の歯310tと係合するために元の位置(図6の位置)に戻る際に、ディスク部材310からの抵抗(干渉)を効果的に回避することができる。
また、本実施形態のシャワーヘッド301によれば、3個のダイヤフラム弁21〜23は、一部品のダイヤフラム部材20として一体化されており、周囲にシールリング部24が設けられている。これにより、別途にシールリング部材を設ける必要がない(前述の第2実施形態参照)。
また、本実施形態のシャワーヘッド301によれば、各ダイヤフラム弁21〜23はコイルバネ51〜53によってそれぞれ閉鎖方向に付勢されている。これにより、各ダイヤフラム弁21〜23の開閉動作が安定化されている。
このような構成の場合でも、ディスク部材310(パイロット弁)による3個のパイロット孔の開閉状態の切り替えによって3個のダイヤフラム弁(主弁体)の開閉が制御されるため、グリスを利用することなく、長期間に亘って安定的に切り替え操作の操作力の顕著な低減を実現することができる。
[第3実施形態の変形例1]
前述のように、第3実施形態のシャワーヘッド301は、3個のダイヤフラム弁21〜23によって吐水と止水とを切り替えることができるシャワーヘッドであり、3個のダイヤフラム弁21〜23は、それぞれ対応する背圧室流出孔21c〜23cと流出孔44〜46とがディスク部材310の連通孔310hによって連通される時に開放状態となる。
ここで、3個のダイヤフラム弁21〜23の各々に対応する背圧室21b〜23b同士を連通させておいて、3個の背圧室21b〜23bに対して共通の背圧室流出孔を1個だけ設けておく(例えば、背圧室流出孔21c〜23cのうちいずれか1個だけ設けておく)、という構成を採用することも可能である。(この場合、流出孔44〜46についても、対応する1個だけを設けておけば足りる。)
このような構成の場合でも、第3実施形態のシャワーヘッド301と同様に、ディスク部材310が例えば6個の連通孔310hを周方向に60度ずつ均等に有していれば、ディスク部材310が30度ずつ回転することによって、1組のみ設けられた背圧室流出孔と流出孔とが連通する吐水モードと、当該1組の背圧室流出孔と流出孔とが互いに連通しない止水モードと、を順次に切り替えることができる。
止水モード、すなわち、背圧室流出孔(21c〜23cのうちいずれか1個)と流出孔(44〜46のうちいずれか1個)とが連通しない状態(図4及び図5の右側の状態)では、背圧室流入孔を介して貯留室5内の水圧と背圧室内の水圧は等しくなっており、コイルバネ(図4及び図5では図示を省略されている)の付勢力によって、ダイヤフラム弁21〜23は閉鎖状態にある。
吐水モード、すなわち、背圧室流出孔(21c〜23cのうちいずれか1個)と流出孔(44〜46のうちいずれか1個)とが連通した状態(図4及び図5の左側の状態)では、背圧室から背圧室流出孔及び流出孔を介して水が流出することによって、貯留室5内の水圧が背圧室内の水圧よりも大きくなり、コイルバネ(図4及び図5では図示を省略されている)の付勢力にも拘わらず、ダイヤフラム弁21〜23が開放状態となる。
このような構成の場合でも、ディスク部材310(パイロット弁)による1個のパイロット孔の開閉状態の切り替えによって3個のダイヤフラム弁(主弁体)の開閉が制御されるため、グリスを利用することなく、長期間に亘って安定的に切り替え操作の操作力の顕著な低減を実現することができる。
[第3実施形態の変形例2]
更に、吐水と止水とを切り替えることができるシャワーヘッドの場合、3個のダイヤフラム弁21〜23に代えて、1個のダイヤフラム弁のみを設けておく(例えば、ダイヤフラム弁21〜23のうちいずれか1個だけ設けておく、あるいは、サイズの大きい1個のダイヤフラム弁で3個のダイヤフラム弁21〜23を置換する)、という構成を採用することも可能である。(この場合、弁座341〜343についても、対応する1個だけを設けておけば足りる。)
このような構成の場合でも、第3実施形態のシャワーヘッド301と同様に、ディスク部材310が例えば6個の連通孔310hを周方向に60度ずつ均等に有していれば、ディスク部材310が30度ずつ回転することによって、1個のみ設けられたダイヤフラム弁の背圧室流出孔と流出孔とが連通する吐水モードと、当該背圧室流出孔と流出孔とが互いに連通しない止水モードと、を順次に切り替えることができる。
止水モード、すなわち、1個のみ設けられたダイヤフラム弁の背圧室流出孔と流出孔とが連通しない状態(図4及び図5の右側の状態)では、背圧室流入孔を介して貯留室5内の水圧と背圧室内の水圧は等しくなっており、コイルバネ(図4及び図5では図示を省略されている)の付勢力によって、当該1個のみのダイヤフラム弁は閉鎖状態にある。
吐水モード、すなわち、1個のみ設けられたダイヤフラム弁の背圧室流出孔と流出孔とが連通した状態(図4及び図5の左側の状態)では、背圧室から背圧室流出孔及び流出孔を介して水が流出することによって、貯留室5内の水圧が背圧室内の水圧よりも大きくなり、コイルバネ(図4及び図5では図示を省略されている)の付勢力にも拘わらず、当該1個のみのダイヤフラム弁が開放状態となる。
このような構成の場合でも、ディスク部材310(パイロット弁)による1個のパイロット孔の開閉状態の切り替えによって1個のダイヤフラム弁(主弁体)の開閉が制御されるため、グリスを利用することなく、長期間に亘って安定的に切り替え操作の操作力の顕著な低減を実現することができる。
[第4実施形態の構成]
次に、図19乃至図30を参照して、本発明の第4実施形態によるシャワーヘッドについて説明する。本実施形態のシャワーヘッド401は、後述するように、吐水と止水とを切り替える操作と、吐水状態について複数の吐水モードを切り替える操作と、を2つの押圧ボタン411、511を用いて独立に行うことができるシャワーヘッドである。
図19は、本発明の第4実施形態によるシャワーヘッド401の斜視図であり、図20は、本実施形態のシャワーヘッド401の正面図であり、図21は、図20のXXI−XXI線断面図であり、図22は、図21のXXII−XXII線断面図であり、図23は、本実施形態のシャワーヘッド401の分解斜視図である。
図19乃至図23に示すように、本実施形態のシャワーヘッド401も、給水源(不図示)から給水部材402、403を介して水が供給され貯留される貯留室405(キャビティとも称される)を備えている。
そして、第1実施形態のシャワーヘッド1と同様に、貯留室405に対して当該シャワーヘッド401の吐水面側に、4つの略円板状の要素部材440、447、448、449の重ね合わせによって構成された二次側流路部材404が設けられている。二次側流路部材404は、3つ(複数の一例)の吐水モードに対応する3つ(複数の一例)の流路を有している。
二次側流路部材404のうち貯留室405に面する要素部材440には、貯留室405側に盛り上がった弁座441、442、443a、443aが形成されており、各弁座441、442、443a、443aの中央には対応する流路に連通する連通孔が設けられている(後述の図24も参照)。2個の平面視豆形状(図22参照)の弁座441、442(及び対応する流路)は、環状に周方向に120度ずつ均等に分配された3領域のうちの2領域に配置され、2個の平面視円形状(図22参照)の弁座443a、443a(及び対応する流路)は、前記3領域のうちの残りの1領域の両端に配置されている(後述する第2棒部512の軌道を確保するためである)。
3領域の弁座441、442、443a、443aに対応するように、ダイヤフラム弁421〜423が環状に設けられている(図23参照)。3個のダイヤフラム弁421〜423は、一部品のダイヤフラム部材420として一体形成されているが、それぞれのダイヤフラム弁421〜423は独立に動作できるようになっている。
また、ダイヤフラム部材420の外周部には、シールリング部424が形成されている。シールリング部424は、要素部材440の上縁部440aとカバー部材408とによって水密に挟持されている。一方、ダイヤフラム部材420の中心側の領域は、スペース部材438を介して要素部材440の上面上に支持されている。
また、各ダイヤフラム弁421〜423は、カバー部材408の下面との間に、それぞれコイルバネ451〜453(弾性部材の一例)が設けられており、当該コイルバネ451〜543によって閉鎖方向に付勢されている。
また、本実施形態の3個のダイヤフラム弁421〜423は、環状に配置されており、各ダイヤフラム弁421〜423の背圧室421b〜423bと貯留室405の外側の空間である要素部材440の下方の空間とを連通させるためのパイロット孔(一部はカバー部材408の下面側に形成された背圧室流出孔421c〜423c)が、当該3個のダイヤフラム弁421〜423の配置の中心側の領域に集約的に設けられていて、共通のパイロット弁として機能する第1ディスク部材410及び第2ディスク部材510によって開閉されるようになっている。(ダイヤフラム弁が2個の場合には、各ダイヤフラム弁の背圧室と貯留室405の外側の空間である要素部材440の下方の空間とを連通させるためのパイロット孔が、当該2個のダイヤフラム弁の配置の中間側の領域に集約的に設けられ得る。)
第1ディスク部材410は、樹脂製であり、それ自身の回転軸回りに回転可能に支持されており、外周部に12個の歯410tを有している(後述の図25乃至図27も参照)。
第2ディスク部材510も、樹脂製であり、それ自身の回転軸回りに回転可能に支持されており、外周部に12個の歯510tを有している(後述の図28乃至図30も参照)。
本実施形態では、第1ディスク部材410と第2ディスク部材510との間に、要素部材440の上縁部440a(あるいはカバー部材408でもよい)に対して回転方向に固定されたディスク状の弁座610が設けられている(後述するコイルバネ435の付勢力を第1ディスク部材410に伝達するべく、軸方向には移動可能である)。すなわち、第1ディスク部材410及び第2ディスク部材510は、弁座610に対して、互いに独立に回転するようになっている。
図24は、パイロット孔の開閉について説明するための概略図である。第1ディスク部材410は、第1実施形態のディスク部材10と同様、4個(複数の一例)の連通孔410hを有しており、図24に概略的に示すように、当該4個の連通孔410hの各々は、第1ディスク部材410の回転位置に応じて、各ダイヤフラム弁421〜423の背圧室421b〜423bに設けられた背圧室流出孔421c〜423cと選択的に連通することで当該ダイヤフラム弁421〜423のパイロット孔を解放するようになっている。より詳細には、ダイヤフラム弁421〜423のパイロット孔は、背圧室流出孔421c〜423cと当該背圧室流出孔421c〜423cに対応するように要素部材440に設けられた流出孔444〜446とが、第1ディスク部材410の連通孔410h(及び後述する第2ディスク部材510の連通孔510h)によって選択的に連通される時に解放されるようになっている。4つの連通孔410hは、周方向に90度ずつ均等に配置されている。背圧室流出孔421c〜423c及び流出孔444〜446は、周方向に120度ずつ均等に配置されている。
第2ディスク部材510は、第3実施形態のディスク部材310と同様、6個の連通孔510hを有しており、図24に概略的に示すように、当該6個の連通孔510hの各々は、ディスク部材510の回転位置に応じて、各ダイヤフラム弁421〜423の背圧室421b〜423bに設けられた背圧室流出孔421c〜423cと選択的に連通することで当該ダイヤフラム弁421〜423のパイロット孔を解放するようになっている。より詳細には、ダイヤフラム弁421〜423のパイロット孔は、背圧室流出孔421c〜423cと当該背圧室流出孔421c〜423cに対応するように要素部材440に設けられた流出孔444〜446とが、(前述の第1ディスク部材410の連通孔410h及び)第2ディスク部材510の連通孔510hによって選択的に連通される時に解放されるようになっている。6個の連通孔510hは、周方向に60度ずつ均等に配置されている。
ディスク状の弁座610は、図24に概略的に示すように、流出孔444〜446に対応するように3個の連通孔610hを有している。すなわち、連通孔610hは、周方向に120度ずつ均等に配置されている。
更に、図24を参照して、ディスク押え部材430について説明する。図24に概略的に示すように、ディスク押え部材430は、カバー部材408の下面と第2ディスク部材510の上面との間に介在しており、付勢手段の一例であるコイルバネ435によって、第2ディスク部材510を背圧室流出孔421c〜423cから遠ざける方向に(要素部材440に向けて)押し付けるようになっている。
また、各ダイヤフラム弁421〜423の背圧室流出孔421c〜423cは、ディスク押え部材430の周囲の領域を経て、第2ディスク部材510の連通孔510hと連通している。そして、ディスク押え部材430の周囲の領域は、スペース部材438等により形成された隙間を介して貯留室405にも連通しており、すなわち、当該隙間が背圧室流入孔として機能するようになっている。(もっとも、ダイヤフラム弁421〜423の一部に背圧室流入孔を設ける態様も、本願出願の時点では本発明の範囲から除外されない(図4参照)。)
図19に戻って、シャワーヘッド筐体407の下方部に、使用者が操作力を与える操作部としての第1押圧ボタン411が設けられている。(第1押圧ボタン411に替えて、他のタイプのボタンや、スライドスイッチ等が設けられてもよい。)
図21乃至図23を参照して、第1押圧ボタン411は、使用者による押圧操作の度に(使用者が操作力としての押圧力を与える度に)、回動軸411s回りに回動するようになっている。そして、第1押圧ボタン411の当該回動動作に連動して、第1押圧ボタン411の当接スライド傾斜部(図2の当接スライド傾斜部11aと略同様の構成)と棒部412の基端部に設けられた当接環412aとの当接(及びスライド)を利用して、棒部412がそれ自身の軸線方向に往復移動するようになっている。
棒部412は、その先端部が貯留室405内(水中)に露出されており(図25乃至図27も参照)、錆びない性質を有するステンレス等の金属製の棒材からなっている。本実施形態では、棒部412は、シャワーヘッド筐体407に一体的に固定された要素部材440内を摺動移動可能に貫通している。水密を維持するべく、シールリング部材412sが設けられている。棒部412は、剛性体のみならず、紐のような塑性体や、ゴムのような弾性体、によって構成されていてもよい。
図25は、第1ディスク部材410の回転動作開始時の状態を説明するための概略図であり、図26は、第1ディスク部材410の回転動作中の状態を説明するための概略図であり、図27は、第1ディスク部材410の回転動作終了時の状態を説明するための概略図である。
図25乃至図27に示すように、貯留室405内に位置する棒部412の先端部の周囲には、コイルバネ414が配置されている。当該コイルバネ414の基端は、要素部材440に固定されており、それによってシャワーヘッド筐体407に対して(第1押圧ボタン411の回動軸411sに対して)固定されている。
コイルバネ414の先端には、爪部材415が固定されており、棒部412の先端には、爪部材415のためのストッパ413が取り付けられており、コイルバネ414の先端及び爪部材415は、コイルバネ414の軸線方向の変形によって、ストッパ413に対して棒部412の基端側の領域において、当該軸線方向に移動可能となっている。
更に、コイルバネ414の先端及び爪部材415は、コイルバネ414の軸線方向に対して傾斜した方向への変形によって、当該傾斜した方向へも移動可能(姿勢変更可能)となっている。
爪部材415の第1ディスク部材410側の側面には、第1ディスク部材410の歯410tと係合する爪415tが設けられている。そして、棒部412の移動中に、爪415tが歯410tを引き込むことによって、第1ディスク部材410が回転されるようになっている(図25→図26→図27)。
その他、第1ディスク部材410(歯410t)が逆方向に回転するのを防止する止め爪416が、要素部材440(あるいはカバー部材408)に保持されている。
更に本実施形態では、図19に示すように、シャワーヘッド筐体407の下方部に、使用者が操作力を与える操作部としての第2押圧ボタン511も設けられている。(第2押圧ボタン511に替えて、他のタイプのボタンや、スライドスイッチ等が設けられてもよい。)
再び図21乃至図23を参照して、第2押圧ボタン511も、使用者による押圧操作の度に(使用者が操作力としての押圧力を与える度に)、回動軸511s(本実施形態では回動軸411sを兼ねている)回りに回動するようになっている。そして、第2押圧ボタン511の当該回動動作に連動して、第2押圧ボタン511の当接スライド傾斜部(図2の当接スライド傾斜部11aと略同様の構成)と棒部512の基端部に設けられた当接環512aとの当接(及びスライド)を利用して、棒部512がそれ自身の軸線方向に往復移動するようになっている。
本実施形態では、2つの棒部412、512は、要素部材440の上面に対して略同じ高さに、互いに略平行に配置されている(図22参照)。
棒部512も、その先端部が貯留室405内(水中)に露出されており(図28乃至図30も参照)、錆びない性質を有するステンレス等の金属製の棒材からなっている。本実施形態では、棒部512も、シャワーヘッド筐体407に一体的に固定された要素部材440内を摺動移動可能に貫通している。水密を維持するべく、シールリング部材512sが設けられている。棒部512についても、剛性体のみならず、紐のような塑性体や、ゴムのような弾性体、によって構成されていてもよい。
図28は、第2ディスク部材510の回転動作開始時の状態を説明するための概略図であり、図29は、第2ディスク部材510の回転動作中の状態を説明するための概略図であり、図30は、第2ディスク部材510の回転動作終了時の状態を説明するための概略図である。
図28乃至図30に示すように、貯留室405内に位置する棒部512の先端部の周囲にも、コイルバネ514が配置されている。当該コイルバネ514の基端は、要素部材440に固定されており、それによってシャワーヘッド筐体407に対して(第2押圧ボタン511の回動軸511sに対して)固定されている。
コイルバネ514の先端にも、爪部材515が固定されており、棒部512の先端には、爪部材515のためのストッパ513が取り付けられており、コイルバネ514の先端及び爪部材515は、コイルバネ514の軸線方向の変形によって、ストッパ513に対して棒部512の基端側の領域において、当該軸線方向に移動可能となっている。
更に、コイルバネ514の先端及び爪部材515は、コイルバネ514の軸線方向に対して傾斜した方向への変形によって、当該傾斜した方向へも移動可能(姿勢変更可能)となっている。
爪部材515の先端領域は、第1ディスク部材410と第2ディスク部材510との高さ方向のオフセットを補償するべく上方側に延出しており、当該延出領域の第2ディスク部材510側の側面に、第2ディスク部材510の歯510tと係合する爪515tが設けられている(図23参照)。そして、棒部512の移動中に、爪515tが歯510tを引き込むことによって、第2ディスク部材510が回転されるようになっている(図28→図29→図30)。
その他、第2ディスク部材510(歯510t)が逆方向に回転するのを防止する止め爪516が、要素部材440(あるいはカバー部材408)に保持されている。
[第4実施形態の作用]
次に、本実施形態によるシャワーヘッド401の作用について説明する。
図19を参照して、第1押圧ボタン411が使用者によって押圧操作されると、その押圧力(操作力)によって、第1押圧ボタン411の当接スライド傾斜部が回動軸411s回りに回動し、当接環412aを介して棒部412を軸線方向に基端側(図22の下側)へと移動させる。
図25の状態は、押圧操作前の状態に対応している。この状態から棒部412の移動が始まると、図26に示すように、爪部材415の爪415tが第1ディスク部材410の歯410tを引き込むようにして、第1ディスク部材410が回転される。図27は、第1押圧ボタン411が最奥部にあって棒部412が最も基端側(図22の下側)に移動された状態に対応している。図27の状態では、止め爪416が、図25の状態よりも1つ先の歯410tを止めている。以上の通り、第1押圧ボタン411の1回の押圧操作で、第1ディスク部材410は30度回転する。
図27の状態では、コイルバネ414が、棒部412の先端のストッパ413及び爪部材415と要素部材440との間で圧縮された状態となっている。この状態で、第1押圧ボタン411に対する押圧力が解除されると、コイルバネ414の復元力によって、棒部412及び第1押圧ボタン411が元の位置(図25の状態)に戻される。この過程では、爪415tは歯410tと係合していないし、止め爪416の存在とも相俟って、第1ディスク部材410は逆回転しない。また、この過程において、爪部材415は、コイルバネ414の軸線方向に対して傾斜した方向への変形によって当該傾斜した方向へも移動可能(姿勢変更可能)であるため、第1ディスク部材410からの抵抗(干渉)を効果的に回避することができる。そして、爪部材415は、元の位置(図25の状態)に戻ると、コイルバネ414の復元力によって、前回引き込んだ歯の次の歯410tと係合する。
前述のように、4つの連通孔410hは、周方向に90度ずつ均等に配置されており、背圧室流出孔421c〜423c及び流出孔444〜446は、周方向に120度ずつ均等に配置されている。従って、第2ディスク部材510の連通孔510hが流出孔44、45、46(及び弁座の連通孔610h)に対応する位置にある場合、第1ディスク部材410が30度ずつ回転することによって、背圧室流出孔421cと流出孔444とが連通して背圧室流出孔422c、423cと流出孔445、446とは連通しない第1吐水モードと、背圧室流出孔422cと流出孔445とが連通して背圧室流出孔421c、423cと流出孔444、446とは連通しない第2吐水モードと、背圧室流出孔423cと流出孔446とが連通して背圧室流出孔421c、422cと流出孔444、445とは連通しない第3吐水モードと、を順次に切り替えることができる。
背圧室流出孔と流出孔とが連通せず、すなわち、対応するダイヤフラム弁のパイロット孔が解放されていない状態の一例が、図24の右側の状態である。図24の右側の状態は、背圧室流出孔422c、423cと流出孔445、446とが、第1ディスク部材410によって遮断されている。一方、背圧室流入孔を介して、貯留室405内の水圧と背圧室423b、423c内の水圧は等しくなっている。従って、コイルバネ452、453(図24では図示を省略されている)の付勢力によって、ダイヤフラム弁422、423は閉鎖状態にある。
一方、背圧室流出孔と流出孔とが連通して、すなわち、対応するダイヤフラム弁のパイロット孔が解放された状態の一例が、図24の左側の状態である。図24の左側の状態は、背圧室流出孔421cと流出孔444とが、第1ディスク部材410の連通孔410hによって連通(解放)されている。この状態では、背圧室421bから背圧室流出孔421c及び流出孔444を介して水が流出することによって、貯留室405内の水圧が背圧室421b内の水圧よりも大きくなり、コイルバネ451(図24では図示を省略されている)の付勢力にも拘わらず、ダイヤフラム弁421が開放状態となる。
そして、本実施形態のシャワーヘッド401においては、第1押圧ボタン411を操作することによって複数の吐水モードを切り替えることに加えて、第2押圧ボタン511を操作することによって止水と吐水とを切り替えることができる。
すなわち、図19を参照して、第2押圧ボタン511が使用者によって押圧操作されると、その押圧力(操作力)によって、第2押圧ボタン511の当接スライド傾斜部が回動軸511s回りに回動し、当接環512aを介して棒部512を軸線方向に基端側(図22の下側)へと移動させる。
図28の状態は、押圧操作前の状態に対応している。この状態から棒部512の移動が始まると、図29に示すように、爪部材515の爪515tが第2ディスク部材510の歯510tを引き込むようにして、第2ディスク部材510が回転される。図30は、第2押圧ボタン511が最奥部にあって棒部512が最も基端側(図22の下側)に移動された状態に対応している。図30の状態では、止め爪516が、図28の状態よりも1つ先の歯510tを止めている。以上の通り、第2押圧ボタン511の1回の押圧操作で、第2ディスク部材510は30度回転する。
図30の状態では、コイルバネ514が、棒部512の先端のストッパ513及び爪部材515と要素部材440との間で圧縮された状態となっている。この状態で、第2押圧ボタン511に対する押圧力が解除されると、コイルバネ514の復元力によって、棒部512及び第2押圧ボタン511が元の位置(図28の状態)に戻される。この過程では、爪515tは歯510tと係合していないし、止め爪516の存在とも相俟って、第2ディスク部材510は逆回転しない。また、この過程において、爪部材515は、コイルバネ514の軸線方向に対して傾斜した方向への変形によって当該傾斜した方向へも移動可能(姿勢変更可能)であるため、第2ディスク部材510からの抵抗(干渉)を効果的に回避することができる。そして、爪部材515は、元の位置(図28の状態)に戻ると、コイルバネ514の復元力によって、前回引き込んだ歯の次の歯510tと係合する。
前述のように、6つの連通孔510hは、周方向に60度ずつ均等に配置されており、背圧室流出孔421c〜423c及び流出孔444〜446は、周方向に120度ずつ均等に配置されている。従って、第2ディスク部材510が30度ずつ回転することによって、背圧室流出孔及び流出孔と第2ディスク部材510の連通孔510hとが連通する吐水モードと、背圧室流出孔及び流出孔と第2ディスク部材510の連通孔510hとが連通しない止水モードと、を順次に切り替えることができる。
[第4実施形態の効果]
以上のように、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、3個のダイヤフラム弁4421〜423によって3個の流路の各々と貯留室405との連通ないし遮断が制御されるため、流路の切り替え操作の操作力の顕著な低減を実現することができる。
特に、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、吐水と止水とを切り替える操作と、吐水状態について複数の吐水モードを切り替える操作と、を2つの押圧ボタン411、511を用いて独立に行うことができるため、操作性に優れる。
また、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、環状に配置された3個のダイヤフラム421〜423の背圧室421b〜423bと貯留室405外の空間とを連通させるためのパイロット孔が、ダイヤフラム弁421〜423の配置の中心側の領域に集約的に設けられていて、共通の第1ディスク部材410及び第2ディスク部材510(パイロット弁)によって開閉されるため、シャワーヘッド401の小型化が実現でき、また、第1ディスク部材410及び第2ディスク部材510(パイロット弁)の移動範囲(移動距離)も小さくてよいため、操作力の更なる低減が図れる。
また、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、第1ディスク部材410が、それ自身の回転軸回りに回転可能に支持されると共に外周部に歯410tを有している。このため、当該歯410tを利用することによって、第1ディスク部材410を容易に回転駆動することができる。
また、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、第1ディスク部材410が樹脂製であるため、高い平滑度を容易に実現できる。このため、摺動抵抗を抑えることができ、また、別途にシール部材を設ける必要がない。
また、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、第1ディスク部材410は、4個の連通孔410hを有しており、当該連通孔410hの各々は、第1ディスク部材410の回転位置に応じて、3個のダイヤフラム弁421〜423の背圧室421b〜423bに設けられた背圧室流出孔421c〜423cと選択的に連通することで当該ダイヤフラム弁421〜423のパイロット孔を解放するようになっている。これにより、シャワーヘッド401の更なる小型化が実現でき、また、第1ディスク部材410の回転角度(移動距離)が30度と小さいため、操作力の更なる低減が図れる。
略同様に、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、第2ディスク部材510が、それ自身の回転軸回りに回転可能に支持されると共に外周部に歯510tを有している。このため、当該歯510tを利用することによって、第2ディスク部材510を容易に回転駆動することができる。
また、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、第2ディスク部材510が樹脂製であるため、高い平滑度を容易に実現できる。このため、摺動抵抗を抑えることができ、また、別途にシール部材を設ける必要がない。
また、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、第2ディスク部材510は、6個の連通孔510hを有しており、当該連通孔510hの各々は、第2ディスク部材510の回転位置に応じて、3個のダイヤフラム弁421〜423の背圧室421b〜423bに設けられた背圧室流出孔421c〜423cと選択的に連通することで当該ダイヤフラム弁421〜423のパイロット孔を解放するようになっている。これにより、シャワーヘッド401の更なる小型化が実現でき、また、第2ディスク部材510の回転角度(移動距離)が30度と小さいため、操作力の更なる低減が図れる。
また、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、背圧室流出孔421c〜423cと第2ディスク部材510との間にディスク押え部材430が介在しており、当該ディスク押え部材430は、コイルバネ435によって、第2ディスク部材510、弁座610及び第1ディスク部材410を背圧室流出孔421c〜423cから遠ざける方向に押し付けるようになっている。これにより、第1ディスク部材410に対して背圧室流出孔421c〜423cとは反対側の部材(要素部材440)と第1ディスク部材410との間にシール部材を設ける必要がない。
また、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、スペース部材438等により形成された、ディスク押え部材430の周囲の領域に通じる隙間が、背圧室流入孔として機能するようになっている。当該隙間は、高い寸法精度で形成することが容易であるため、複数のダイヤフラム弁21〜23間で背圧室流入孔(隙間)の特性にバラツキが生じることを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、使用者が操作力を与える第1押圧ボタン411と、当該第1押圧ボタン411の押圧操作の度にそれ自身の軸線方向に往復移動する棒部412と、棒部412の先端側に取り付けられて第1ディスク部材410の歯410tと係合する爪415tを有する爪部材415と、を備えた駆動機構によって、棒部412の移動中に爪415tが歯410tを引き込むことによって第1ディスク部材410が回転されるようになっている。このように、引き込む方向に力を作用させることによって、棒部412が座屈変形することを効果的に防止することができ、棒部412に求められる剛性を低減できる。これにより、剛体のみならず、ひも状の塑性体や、ゴムなどの弾性体、によって棒部412を構成することができるようになる。
特に、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、棒部412の基端が第1押圧ボタン411に接続されており、棒部412の先端部の周囲にコイルバネ414が配置されており、コイルバネ414の基端は要素部材440に固定され、コイルバネ414の先端は爪部材415に固定されており、棒部412の先端には爪部材415のためのストッパ413が取り付けられている。これにより、爪部材415は、コイルバネ414の変形によって、棒部412に対して相対移動可能(軸線方向及び軸線方向に対して傾斜した方向)となっている。このため、歯410tを引き込んだ後の爪部材415が次の歯410tと係合するために元の位置(図25の位置)に戻る際に、第1ディスク部材410からの抵抗(干渉)を効果的に回避することができる。
略同様に、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、使用者が操作力を与える第2押圧ボタン511と、当該第2押圧ボタン511の押圧操作の度にそれ自身の軸線方向に往復移動する棒部512と、棒部512の先端側に取り付けられて第2ディスク部材510の歯510tと係合する爪515tを有する爪部材515と、を備えた駆動機構によって、棒部512の移動中に爪515tが歯510tを引き込むことによって第2ディスク部材510が回転されるようになっている。このように、引き込む方向に力を作用させることによって、棒部512が座屈変形することを効果的に防止することができ、棒部512に求められる剛性を低減できる。これにより、剛体のみならず、ひも状の塑性体や、ゴムなどの弾性体、によって棒部512を構成することができるようになる。
特に、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、棒部512の基端が第2押圧ボタン511に接続されており、棒部512の先端部の周囲にコイルバネ514が配置されており、コイルバネ514の基端は要素部材440に固定され、コイルバネ514の先端は爪部材515に固定されており、棒部512の先端には爪部材515のためのストッパ513が取り付けられている。これにより、爪部材515は、コイルバネ514の変形によって、棒部512に対して相対移動可能(軸線方向及び軸線方向に対して傾斜した方向)となっている。このため、歯510tを引き込んだ後の爪部材515が次の歯510tと係合するために元の位置(図28の位置)に戻る際に、第2ディスク部材510からの抵抗(干渉)を効果的に回避することができる。
また、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、3個のダイヤフラム弁421〜423は、一部品のダイヤフラム部材420として一体化されており、周囲にシールリング部24が設けられている。これにより、別途にシールリング部材を設ける必要がない(前述の第2実施形態参照)。
また、本実施形態のシャワーヘッド401によれば、各ダイヤフラム弁421〜423はコイルバネ451〜453によってそれぞれ閉鎖方向に付勢されている。これにより、各ダイヤフラム弁421〜423の開閉動作が安定化されている。
[流路パターンについての補足]
第4実施形態のシャワーヘッド401でも、3個のダイヤフラム弁421〜423の各々の開閉が、二次側流路部材404の3個の流路の各々の連通/遮断に1:1に対応しており、第1ディスク部材410の回転位置に応じて、いずれか1個のダイヤフラム弁のみが開放され、すなわち、いずれか1個の流路のみが連通されるようになっているが、本発明はそのような態様に限定されない。
例えば、第1ディスク部材410の連通孔410hの配置パターンを変更する等して、第1ディスク部材410の回転位置に応じて、同時に複数のダイヤフラム弁が開放され、すなわち、同時に複数の流路が連通されて複合的に吐水がなされてもよい。
あるいは、二次側流路部材404の流路のパターンを変更する等して、ある1個のダイヤフラム弁が開放される時に、同時に複数の流路が連通されて複合的に吐水がなされてもよい。