JP2020041376A - 水栓装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、この従来の水栓装置の外殻部材の内部には、別体のケーシング部材が挿入されている。このケーシング部材には、水栓機能ユニットが内蔵されており、この水栓機能ユニットは、給水源及び給水源のそれぞれから一次側流路により供給された湯と水とを混合し、この混合した湯水を吐止水する機能を備えている。
また、従来の水栓装置の樹脂製のケーシング部材については、金属製のものに比べて強度が低く、経年変化等による耐久性も低いという問題もある。これにより、長期的な安全性を確保するためには、点検や部品交換等のメンテナンスにおいてもコストがかかるという問題がある。
また、常時湯水に晒される水栓装置の事情を考慮し、ケーシング部材として耐食性が高いステンレス材料を採用した場合には、ステンレス材料が高い加工精度で加工することが難しいという問題もある。
したがって、脱銅合金や脱鋳物を実現し、銅合金以外の素材を活用し、水栓装置の種類に応じて様々な仕様に対しても、いかに製造コストを抑制しつつ、設計の自由度を高めていくかが、近年要請された課題となっている。
さらに、金属製のケーシング部材については、水栓装置の種類に応じた形状の外殻部材の支柱部内に挿入可能に金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成することができる。これにより、ケーシング部材が樹脂材料で射出成形された場合や金属材料で鋳造成形された場合に比べて、水栓装置の種類に応じた外殻部材の形状毎にケーシング部材の成形用の型を用意する必要がないため、比較的安価な加工方式でケーシング部材の寸法や形状を容易に調整することができる。
また、ケーシング部材が金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成されるため、ケーシング部材について、必要な強度を保ちながら、薄く形成することもできる。これにより、水栓装置の内部寸法を抑制することができる。
さらに、水栓装置の種類に応じた様々な形状の外殻部材に対しても、ある程度共通化させたケーシング部材を用意しておけば、このケーシング部材の一部に切断加工等を施すだけで、比較的安価な加工方式で所望の軸方向の寸法に調整することができる。これにより、例えば台座部材と接続部材との間のケーシング部材の軸方向の寸法距離についても、ケーシング部材の軸方向の寸法に応じて自由に設定することができる。また、軸方向の寸法を調整した状態のケーシング部材を外殻部材の支柱部内に挿入するだけで、簡単に組み付けることができる。
これらの結果、水栓装置の設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる。
これによれば、ケーシング部材が所定位置に適切に位置決めされるため、弾性部材を所定位置に適切に挟持することができる。
これによれば、環状弾性部材を台座部材に対して安定的に固定することができ、ケーシング部材と台座部材との固定における「がたつき」抑制効果をより一層高めることができる。
これによれば、環状弾性部材を台座部材に対してより安定的に固定することができる他、ケーシング部材の一端部が環状弾性部材の断面中央付近を挟持しやすいという利点も得られる。
これは、ケーシング部材が弾性部材の端部ではなく中央寄りの部分を挟持している状態に対応し、ケーシング部材と台座部材との固定における「がたつき」抑制効果をより一層高めることができる。
これによれば、ケーシング部材が弾性部材を挟持しやすいという利点を得ることができる。
これによれば、ワッシャによって弾性部材との接触面積を増やすことができるため、弾性部材をより安定的に挟持することができる。
まず、図1は、本発明の第1実施形態による水栓装置を斜め前方から見た概略斜視図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態による水栓装置1は、給湯源(図示せず)から供給される湯と給水源(図示せず)から供給される水とを混合して吐止水する、いわゆる、「シングルレバー式」と呼ばれる水栓装置であり、台所のシンク又は洗面台のカウンター等の設置面F1上に設置されている。
すなわち、このシングルレバー式の水栓装置1においては、いわゆる、「シングルレバー」と呼ばれる単一の操作ハンドル2が手動で回動操作されることにより、流量と温度が調整された湯水がスパウト4の吐水口6から吐止水されるようになっている。
また、図1に示すように、操作ハンドル2が止水操作位置から上方の操作位置に回動操作された場合には、スパウト4の吐水口6から吐出される湯水が吐水状態に設定されるようになっている。
すなわち、操作ハンドル2は、吐水状態において、より上方(図1に示す矢印「開」の方向)に回動操作される程、湯水の流量が大きく設定され、より下方(図1に示す矢印「閉」の方向)に回動操作される程、湯水の流量が小さく設定されるようになっている。
一方、図1に示すように、操作ハンドル2が回転中心軸線A1を中心に湯側(図1に示す矢印「H」側)に回動操作された場合には、スパウト4の吐水口6から吐出される湯水の温度が高温側に設定されるなっている。
図2は、本発明の第1実施形態による水栓装置全体の分解斜視図である。また、図3は、本発明の第1実施形態による水栓装置の中央側面断面図である。
まず、図2及び図3に示すように、本実施形態の水栓装置1は、その種類又は仕様に応じた形状に形成された中空の外殻部材8を備えている。この外殻部材8は、上下方向に概ね筒状に延びる支柱部8a、及び、この支柱部8aの側面から外側に延びるスパウト部8bをそれぞれ備えている。
なお、外殻部材8については、金属材料で形成されていてもよいし、樹脂材料で形成されていてもよい。
図2及び図3に示すように、台座部材16は、水栓装置1の設置面F1に配置された状態で固定金具14の馬蹄形の把持金具14a及び締結金具14bにより固定されるようになっている。
また、図2に示すように、台座部材16には、縦方向に貫く通湯穴16a及び通水穴16bがそれぞれ形成されている。通湯穴16aには、給湯器等の給湯源(図示せず)から湯を供給する湯供給管10が下方から接続されている。同様に、通水穴16bには、水道等の給水源(図示せず)から水を供給する水供給管12が下方から接続されている。
また、図2及び図6に示すように、台座部材16には、フランジ状になって上方側に露出する上方側露出面16f(他端側露出面)と、側方側に露出する側方側露出面であって且つ径方向内側に凹んだ保持溝16gと、が設けられている。更に、保持溝16gの上方には、後述する下側ケーシング部材72の内周面に当接して(当該内周面の摺動を案内して)当該下側ケーシング部材72(ひいてはケーシング部材40)を位置決めするための円筒状のガイド面16sが設けられている。
さらに、図2、図3及び図6に示すように、本実施形態の水栓装置1は、外殻部材8の支柱部8aの内部において、詳細は後述する水栓機能ユニット18を備えている。
図4及び図5に示すように、本実施形態の水栓装置1は、水栓機能ユニット18の外側において、下方から上方に向って、下側下方シール保持部材20、下方シール部材22、上側下方シール保持部材24、下側上方シール保持部材26、上方シール部材28、及び、上側上方シール保持部材30をそれぞれ備えている。
また、図4及び図5に示すように、下方シール部材22及び上方シール部材28のそれぞれは、水栓機能ユニット18の外側面と外殻部材8の支柱部8aの内側面との間を水密にシールするものである。
さらに、図4及び図5に示すように、下側下方シール保持部材20及び上側下方シール保持部材24のそれぞれは、下方シール部材22を保持するためのものでもあり、一方、下側上方シール保持部材26及び上側上方シール保持部材30のそれぞれは、上方シール部材28を保持するためのものである。
これらの部材32,34,36,38については、外殻部材8の支柱部8a内に挿入された水栓機能ユニット18について、上方から水密に保持するものである。
まず、図3〜図7に示すように、本実施形態の水栓装置1の水栓機能ユニット18は、詳細については後述する金属製のケーシング部材40を備えている。この金属製のケーシング部材40は、外殻部材8の支柱部8a内に挿入された状態で、その一端側(下端側)が台座部材16に対して固定されている。
また、図4及び図5に示すように、水栓機能ユニット18は、ケーシング部材40の外側面において、台座部材保持用の機械的係合ピン58、及び、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60をそれぞれ備えている。
また、図6に示すように、湯供給管44は、下側被接続部44a及び上側被接続部44bをそれぞれ備えている。湯供給管44の下側被接続部44aは、台座部材16の通湯穴16aの上端(下流端)の湯側接続受け部16c内に湯側軸シール部材42aを介して差し込まれて水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。一方、湯供給管44の上側被接続部44bは、一次側アダプタ部材50の通湯穴50aの下端(上流端)の湯側接続受け部50c内に湯側軸シール部材48aを介して差し込まれて水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。
同様に、図6に示すように、水供給管46は、下側被接続部46a及び上側被接続部46bをそれぞれ備えている。水供給管46の下側被接続部46aは、台座部材16の通水穴16bの上端(下流端)の水側接続受け部16d内に水側軸シール部材42bを介して差し込まれて水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。一方、水供給管46の上側被接続部46bは、一次側アダプタ部材の通水穴50bの下端(上流端)の水側接続受け部50d内に水側軸シール部材48bを介して水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。
これらのクリアランスd1,d2,d3,d4により、湯供給管44の各被接続部44a,44b及び水供給管46の各被接続部46a,46bが、台座部材16の各接続受け部16c,16d及び一次側アダプタ部材50の各接続受け部50c,50dにおける各クリアランスd1〜d4の範囲内で水密状態を保ちながら移動することができるようになっている。
また、これらの一次側アダプタ部材50及び弁座部材52は、詳細は後述する上側ケーシング部材74の底部74aを間に挟みつつ、湯供給管44及び水供給管46のそれぞれの下流端とシングルレバーカートリッジ54とを互いに水密に接続する接続部材として機能するようになっている。
ここで、図4〜図7に示すように、シングルレバーカートリッジ54の構造については、周知のシングルレバーカートリッジの構造と同様であるため、詳細な説明は省略するが、代表的には、下方から上方に向って、固定弁体54a、可動弁体54b、及び、レバー操作部54cをそれぞれ備えている。
つぎに、図6及び図7に示すように、可動弁体54bは、固定弁体54aの上面に対して並進及び回転する摺動が可能に配置されている。
さらに、図6及び図7に示すように、レバー操作部54cは、その下端が可動弁体54bに連結されており、上端が操作ハンドル2に連結されている単一の軸部材となっている。
なお、図6に示すように、固定弁体54a及び可動弁体54bのそれぞれには、弁座部材52の通湯穴52a及び通水穴52bのそれぞれと連通する一次側流路である通湯路54d及び通水路54eがそれぞれ形成されている。
また、図7に示すように、固定弁体54a及び可動弁体54bのそれぞれには、通湯路54d及び通水路54eのそれぞれから供給された湯と水を混合する二次側流路である湯水混合路54fがそれぞれ形成されている。
また、図5及び図7に示すように、シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gは、当該シングルレバーカートリッジ54の側面に水を吐水するようになっており(サイドオープン型であり)、詳細は後述するケーシング部材40の上側ケーシング部材74の側面の流出穴74fと連通している。
また、図3及び図7に示すように、本実施形態の水栓装置1は、外殻部材8のスパウト部8b内において、スパウト流路68aを形成するスパウト側流路形成部材68と、吐水口6を形成する吐水口形成部材70と、をそれぞれ備えている。
図8は、本発明の第1実施形態による水栓装置1のケーシング部材40の分解斜視図である。また、図9は、図8のIX−IX線に沿った断面図である。
図4、図8及び図9に示すように、本実施形態による水栓装置1の金属製のケーシング部材40は、下側ケーシング部材72と上側ケーシング部材74とを有しており、上部円環部材76が上側ケーシング部材74上に溶接されている。
また、これらの部材72,74,76の金属材料としては、耐食性が比較的高く、耐久性や強度等も比較的高いステンレス材料(例えば、SUS304等)等が用いられている。
しかしながら、本実施形態による水栓装置1の金属製の部材72,74,76に用いられる金属材料については、耐食性が比較的高く、耐久性や強度等も比較的高い材料であれば、ステンレス材料以外の他の金属材料であってもよい。
そして、図4、図8及び図9に示すように、下側ケーシング部材72の上端と上側ケーシング部材74の下端とは、溶接加工等により互いに一体的に接続されていると共に、上側ケーシング部材74の上端と上部円環部材76の下端とは、溶接加工により互いに一体的に接続されている。
例えば、ほぼ円筒状の金属製の下側ケーシング部材72を成形する際には、金属製の薄板材について、ロール成形等の曲げ加工を行うことにより湾曲状に成形し、最終的には、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法でほぼ円筒状に形成する。
或いは、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材を用意し、この管材について、切断加工又は切削加工を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な軸方向の長さ寸法に調整する。
すなわち、金属製の下側ケーシング部材72を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に下側ケーシング部材72の成形用の型を用意する必要がない。
これにより、図3、図4、図8及び図9に示すように、台座部材保持用の機械的係合ピン58は、下方ピン係合穴72aに対して外側から挿入されるようになっている。そして、この機械的係合ピン58は、下方ピン係合穴72aに係合した後、その内側端部が台座部材16の側面の係合穴16eに係合するようになっている。
したがって、これらの下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a、台座部材保持用の機械的係合ピン58、及び、台座部材16の係合穴16eは、下側ケーシング部材72が機械的係合により台座部材16を保持可能にする機械的係合手段として機能するようになっている。
また、図3及び図6に示すように、台座部材16の保持溝16g内にシールリング部材80(環状弾性部材の一例)が嵌合され、当該シールリング部材80は、下側ケーシング部材72の環状の下端部と台座部材16の上方側露出面16fとの間に、支柱部8aが延びる方向(軸方向)に見て挟持されている。
また、台座部材16の保持溝16gの内周面(側方側露出面)に、シールリング部材80の内周面が当接しており、台座部材16の上方側露出面16fに、シールリング部材の下端面が当接している。
また、シールリング部材80の外周側部分は、下側ケーシング部材72の環状の下端部が当該シールリング部材80と当接する位置よりも、外側にはみ出している。
これにより、図3、図4、図8及び図9に示すように、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60は、上方ピン係合穴72bに対して外側から挿入されるようになっている。そして、この機械的係合ピン60は、上方ピン係合穴72bに係合した後、その内側端部が一次側アダプタ部材50の側面の係合穴50eに係合するようになっている。
したがって、これらの下側ケーシング部材72の上方ピン係合穴72b、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60、及び、一次側アダプタ部材50の係合穴50eは、下側ケーシング部材72が機械的係合により一次側アダプタ部材50を保持可能にする機械的係合手段として機能するようになっている。
なお、本実施形態の水栓装置では、下側ケーシング部材72の側面について穴開け加工を行うことにより、下方ピン係合穴72aや上方ピン係合穴72bを下側ケーシング部材72の機械的係合部とするような形態を採用している。
しかしながら、下側ケーシング部材72の機械的係合部として、下方ピン係合穴72aや上方ピン係合穴72bの代わりに、下側ケーシング部材72について曲げ加工を行うことにより、下側ケーシング部材72の側面に機械的係合を可能にする係合面等を設けた形態を採用してもよい。
また、図8及び図9に示すように、上側ケーシング部材74は、その底部74aから上方にほぼ円筒状に延びるように形成されている。
さらに、上側ケーシング部材74の上縁には、外側に突出するフランジ部74bが形成されている。当該フランジ部74bは、後述するように、上部円環部材76の下端部と溶接される溶接箇所である。本実施形態では、フランジ部74bの外径は、上側上方シール保持部材30の外径よりも小さくなっている。
例えば、このような有底のカップ状の上側ケーシング部材74を成形する際には、金属製の薄板材について絞り加工等を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で有底のカップ状に成形する。
すなわち、金属製の上側ケーシング部材74を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に上側ケーシング部材74の成形用の型を用意する必要がない。
ちなみに、図6に示すように、上側ケーシング部材74の底部74aの湯側連通穴74cにより、その下方の一次側アダプタ部材50の通湯穴50aと上方の弁座部材52の通湯穴52aとが連通可能となっている。
また、図6及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の底部74aの水側連通穴74dにより、その下方の一次側アダプタ部材50の通水穴50bと弁座部材52の通水穴52bとが連通可能となっている。
さらに、図7〜図9に示すように、上側ケーシング部材74の底部74aの取付穴74eにおいて、その上方の弁座部材52の底面から下側に突出する突起52cが挿入された後、その下方の一次側アダプタ部材50の取付穴50fに挿入されるようになっている。これにより、弁座部材52が上側ケーシング部材74の底部74aに固定されるようになっている。
また、図8及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の側面において、各流出穴74fに対して互いに周方向に離間する側には、複数(例えば、2個)の下方突起係合穴74gのそれぞれが、穴開け加工により互いに対角線上に形成されている。
ちなみに、図2、図5及び図8に示すように、上側ケーシング部材74の側面の各下方突起係合穴74gについては、上側下方シール保持部材24の内周面に対角線上に設けられた複数(例えば、2個)の突起24aのそれぞれが嵌合されるようになっている。これにより、上側下方シール保持部材24の内周面が上側ケーシング部材74の外周面上に対して保持されるようになっている。
さらに、図8及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の側面において、各流出穴74f及び各下方突起係合穴74gよりも上方には、複数(例えば、2個)の上方突起係合穴74hのそれぞれが、穴開け加工により互いに対角線上に形成されている。
ちなみに、図2、図5及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の側面の各上方突起係合穴74hについては、下側上方シール保持部材26の内周面に対角線上に設けられた複数(例えば、2個)の突起26aのそれぞれが嵌合されるようになっている。これにより、下側上方シール保持部材26の内周面が、上側下方シール保持部材24よりも上方の位置で上側ケーシング部材74の外周面に対して保持されるようになっている。
これらの穴開け加工の後、図8及び図9に示すように、有底のカップ状の上側ケーシング部材74の底部74aの外縁且つ下縁部分が下側ケーシング部材72の上方開口縁部72c内に挿入された状態で、この上側ケーシング部材74の底部74aの外縁且つ下縁部分と下側ケーシング部材72の上方開口縁部72cとが互いに溶接加工される。これにより、下側ケーシング部材72の上端と上側ケーシング部材74の下端とが互いに一体的に接続されるようになっている。
例えば、ほぼ円環状の金属製の上部円環部材76を成形する際には、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材を用意し、この管材について切断加工又は切削加工を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な軸方向の長さ寸法に調整する。
すなわち、金属製の上部円環部材76を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に上部円環部材76の成形用の型を用意する必要がない。
また、図6及び図7に示すように、上部円環部材76の雌ねじ76aにより、カートリッジ押さえ部材56の外周面に形成された雄ねじ56aが螺合可能であり、カートリッジ押さえ部材56がケーシング部材40の上端部(上部円環部材76)に対して固定されるようになっている。
このような雌ねじ加工の後、図8及び図9に示すように、上部円環部材76の下縁部分と上側ケーシング部材74のフランジ部74bの外縁部分とが互いに溶接加工され、上側ケーシング部材74の上端と上部円環部材76の下端とが互いに一体的に接続されている。
なお、本実施形態の水栓装置1では、上部円環部材76の内周面に雌ねじ76aを形成して雌側部材とし、カートリッジ押さえ部材56の外周面に雄ねじ56aを形成して雄側部材として互いに螺合させる形態を採用している。しかしながら、このような形態に限られず、上部円環部材76の外周面に雄ねじを形成して雄側部材とし、カートリッジ押さえ部材56の内周面に雌ねじを形成して雌側部材として互いに螺合させる形態を採用してもよい。
また、図7に示すように、概ね円柱状の一次側アダプタ部材50の外径D1は、弁座部材52の外径D2よりも大きく設定されている(D1>D2)。
また、図7に示すように、シングルレバーカートリッジ54の上方において、カートリッジ押さえ部材56(固定部材)の雄ねじ56aが上部円環部材76の雌ねじ76aに螺合されることにより、シングルレバーカートリッジ54が上側ケーシング部材74内の弁座部材52の上方において押圧された状態で保持されている。すなわち、カートリッジ押さえ部材56は、シングルレバーカートリッジ54を弁座部材52に固定する固定部材となる。
このとき、図5及び図7に示すように、シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gは、上側ケーシング部材74の流出穴74fと連通している。
また、図5及び図7に示すように、上側ケーシング部材74の外周面とその外側の二次側流路形成部材62の内周面との間には、二次側流路78が形成されている。シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gから流出した湯水は、上側ケーシング部材74の流出穴74fを介して二次側流路78に流出するようになっている。
さらに、図7に示すように、二次側流路78内の湯水は、二次側流路形成部材62のスパウト側の側面に形成された流出穴62aから二次側アダプタ部材64内の流路64aに流出した後、スパウト側流路形成部材68内のスパウト流路68aに流出するようになっている。
まず、本実施形態による水栓装置1によれば、この水栓装置1を組み立てる際、水栓装置1の種類に応じた形状に形成された外殻部材8の概ね筒状の支柱部8a内に対して、概ね円筒状の水栓機能ユニット18が挿入される。
その際、予め、この水栓機能ユニット18のケーシング部材40において、台座部材保持用の機械的係合ピン58及び一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60のそれぞれを介して、台座部材16及び一次側アダプタ部材50のそれぞれを保持することができる。これにより、台座部材16と一次側アダプタ部材50とをケーシング部材40を介して軸方向に接続することができる。
また、金属製のケーシング部材40により、水栓装置1の種類に応じた形状の外殻部材8に応じて、その支柱部8a内の台座部材16と一次側アダプタ部材50との間の軸方向のスペースや距離寸法を定めることができると共に、外殻部材8の支柱部8a内に挿入されている水栓機能ユニット18等の内部構造の強度を高めることができる。
さらに、金属製のケーシング部材40については、水栓装置1の種類に応じた形状の外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能に金属製の板材又は管材によって概ね円筒状に形成することができる。
これにより、ケーシング部材40が樹脂材料で射出成形された場合や金属材料で鋳造成形された場合に比べて、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎にケーシング部材40の成形用の型を用意する必要がないため、比較的安価な加工方式でケーシング部材40の寸法や形状を容易に調整することができる。
また、ケーシング部材40が金属製の板材又は管材によって概ね円筒状に形成されるため、ケーシング部材40について、必要な強度を保ちながら、薄く形成することもできる。これにより、水栓装置1の内部寸法を抑制することができる。
さらに、水栓装置1の種類に応じた様々な形状の外殻部材8に対しても、ある程度共通化させたケーシング部材40を用意しておけば、このケーシング部材40を切断加工等の比較的安価な加工方式で所望の軸方向の寸法に調整することができる。これにより、台座部材16と一次側アダプタ部材50との間のケーシング部材40の軸方向の寸法距離についても、ケーシング部材40の軸方向の寸法に応じて自由に設定することができる。また、軸方向の寸法を調整した状態のケーシング部材40を外殻部材8の支柱部8a内に挿入するだけで、簡単に組み付けることができる。
これらの結果、水栓装置1の設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる。
さらに、下側ケーシング部材72の上方ピン係合穴72b、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60、及び、一次側アダプタ部材50の係合穴50eは、下側ケーシング部材72が機械的係合により一次側アダプタ部材50を保持可能にする機械的係合手段として機能する。
これらにより、金属製の板材又は管材によって概ね円筒状に形成されているケーシング部材40であっても、このケーシング部材40が、台座部材16及び一次側アダプタ部材50を確実に保持することができる。
これに対し、本実施形態の水栓装置1では、図6に示すように、湯供給管44の各被接続部44a,44b及び水供給管46の各被接続部46a,46bが、台座部材16の各接続受け部16c,16d及び一次側アダプタ部材50の各接続受け部50c,50dにおける各クリアランスd1〜d4の範囲内で水密状態を保ちながら移動することができる。これにより、熱膨張による湯供給管44の各被接続部44a,44b及び水供給管46の各被接続部46a,46bの移動を吸収することができる。
したがって、一次側アダプタ部材50において、湯供給管44及び水供給管46のそれぞれが軸方向に接続されるスペースを十分に確保することができる。
これにより、上側ケーシング部材74に保持されるシングルレバーカートリッジ54の周辺の水により上側ケーシング部材74の溶接等の継ぎ目箇所が接水されるおそれがない。
したがって、金属製の上側ケーシング部材74が腐食されるリスクを軽減することができる。
これにより、ケーシング部材40と台座部材16との固定における「がたつき」の発生を顕著に抑制することができ、ケーシング部材40を基準にした機能ユニット18の各要素部材の位置決めを高精度に実現することができる。
これにより、ケーシング部材40が所定位置に適切に位置決めされるため、シールリング部材80を所定位置に適切に挟持することができる。
これにより、シールリング部材80を台座部材16に対して安定的に固定することができ、ケーシング部材40と台座部材16との固定における「がたつき」抑制効果をより一層高めることができる。
これにより、シールリング部材80を台座部材16に対してより安定的に固定することができる他、ケーシング部材40の下端部がシールリング部材80の断面中央付近を挟持しやすいという利点も得られる。
すなわち、下側ケーシング部材72の環状の下端部は、シールリング部材80の外周側端部ではなく、シールリング部材80の断面中央寄りの部分を挟持している。
これにより、ケーシング部材40と台座部材16との固定における「がたつき」抑制効果をより一層高めることができる。
図10は、本発明の第2実施形態による水栓装置の中央側面断面図の部分拡大図である。
図10に示す本発明の第2実施形態による水栓装置において、図1乃至図9に示す本発明の第1実施形態による水栓装置1と同一部分については同一の符号を付し、これらの説明については省略する。
図11は、本発明の第3実施形態による水栓装置の中央側面断面図の部分拡大図である。
図11に示す本発明の第3実施形態による水栓装置において、図1乃至図9に示す本発明の第1実施形態による水栓装置1と同一部分については同一の符号を付し、これらの説明については省略する。
しかしながら、本実施形態では、金属製のケーシング部材の形状については、必ずしも全周に亘って連続的に形成された完全な円筒形状に限られず、半円筒形状であってもよいし、この半円筒よりも周方向に延びて且つ完全な円筒未満の形状であってもよい。要するに、金属製のケーシング部材の形状については、少なくとも半円筒形状に形成された形状であればよい。
2 操作ハンドル
4 スパウト
6 吐水口
8 外殻部材
8a 支柱部
8b スパウト部
10 湯供給管(一次側流路)
12 水供給管(一次側流路)
14 固定金具
14a 把持金具
14b 締結金具
16 台座部材
16a 通湯穴
16b 通水穴
16c 湯側接続受け部
16d 水側接続受け部
16e 係合穴
16f フランジ状の上方側露出面
16g 保持溝(側方側露出面)
16s ガイド面(摺動案内面)
18 水栓機能ユニット
20 下側下方シール保持部材
22 下方シール部材
24 上側下方シール保持部材
24a 突起
26 下側上方シール保持部材
28 上方シール部材
30 上側上方シール保持部材
32 Cリング
34 シール部材
36 固定部材
38 留め具
38a ビス
38b キャップ
40 ケーシング部材
42 軸シール部材
42a 湯側軸シール部材
42b 水側軸シール部材
44 湯供給管(一次側流路)
44a 下側被接続部(被接続部)
44b 上側被接続部(被接続部)
46 水供給管(一次側流路)
46a 下側接続部
46b 上側接続部
48 軸シール部材
48a 湯側軸シール部材
48b 水側軸シール部材
50 一次側アダプタ部材(接続部材)
50a 通湯穴
50b 通水穴
50c 湯側接続部
50d 水側接続部
50e 係合穴
50f 取付穴
52 弁座部材(接続部材)
52a 通湯穴
52b 通水穴
52c 突起
54 シングルレバーカートリッジ
54a シングルレバーカートリッジの固定弁体
54b シングルレバーカートリッジの可動弁体(開閉弁)
54c シングルレバーカートリッジのレバー操作部
54d シングルレバーカートリッジ内の通湯路(一次側流路)
54e シングルレバーカートリッジ内の通水路(一次側流路)
54f シングルレバーカートリッジ内の湯水混合路(二次側流路)
54g シングルレバーカートリッジの湯水混合路の流出口
55 シール部材
56 カートリッジ押さえ部材(固定部材)
56a 雄ねじ
56b フランジ部
56c 逃げ部
58 台座部材保持用の機械的係合ピン(第2機械的係合手段)
60 一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン(機械的係合手段、第1機械的係合手段)
62 二次側流路形成部材
62a 流出穴
64 二次側アダプタ部材
64a 流路
66 スペーサ部材
68 スパウト側流路形成部材
68a スパウト流路
70 吐水口形成部材
72 下側ケーシング部材
72a 下方ピン係合穴(機械的係合手段、第2係合部)
72b 上方ピン係合穴(機械的係合手段、第1係合部)
72c 上方開口縁部
74 上側ケーシング部材
74a 上側ケーシング部材の底部(上側ケーシング部材の底面)
74b 上側ケーシング部材のフランジ部
74c 上側ケーシング部材の底部の湯側連通穴
74d 上側ケーシング部材の底部の水側連通穴
74e 上側ケーシング部材の底部の取付穴
74f 上側ケーシング部材の側面の流出穴
74g 上側ケーシング部材の側面の下方突起係合穴
74h 上側ケーシング部材の側面の上方突起係合穴
76 上部円環部材
76a 上部雌ねじ
76b 下部雌ねじ
76c 面取り部
76d 面取り部
76e 内周側凹部
76f 大径部
78 二次側流路
80 シールリング部材
85 ワッシャ
87 逃げ抑制リング
A1 回転中心軸線、下側ケーシング部材の軸方向の中心軸線
D1 一次側アダプタ部材の外径
D2 弁座部材の外径
d1 クリアランス
d2 クリアランス
d3 クリアランス
d4 クリアランス
F1 設置面
Claims (7)
- 給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置であって、
上記水栓装置が設置される設置面に固定される台座部材と、
上記台座部材に取り付けられる概ね筒状の支柱部を備えた外殻部材と、
この外殻部材の支柱部内に挿入され、その一端側が上記台座部材に固定される金属製のケーシング部材と、
このケーシング部材の内部に設けられ、上記台座部材から下流側にそれぞれ延びて湯及び水をそれぞれ供給する一次側流路を形成する湯供給流路及び水供給流路と、
上記ケーシング部材の他端側の内部に設けられたシングルレバーカートリッジであって、上記湯供給流路及び上記水供給流路から供給される湯水の混合比と流量を調整する開閉弁と、この開閉弁の開閉操作を可能にする単一のレバーと、を備えた上記シングルレバーカートリッジと、
上記ケーシング部材の内部に設けられ、上記湯供給流路及び上記水供給流路のそれぞれの下流端と上記シングルレバーカートリッジとを接続する接続部材と、
上記シングルレバーカートリッジを上記接続部材に固定する固定部材と、
を有し、
上記ケーシング部材は、上記外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によって形成されており、
上記ケーシング部材と上記台座部材との間に、上記支柱部が延びる方向に見て弾性部材が挟持されている
ことを特徴とする水栓装置。 - 上記台座部材は、上記ケーシング部材に当接して上記ケーシング部材を位置決めするガイド面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の水栓装置。 - 上記弾性部材は、環状弾性部材であり、
上記台座部材の側方側露出面に、上記環状弾性部材の内周面が当接しており、
上記台座部材の他端側露出面に、上記環状弾性部材の一端面が当接している
ことを特徴とする請求項1または2に記載の水栓装置。 - 上記台座部材の上記側方側露出面に、上記環状弾性部材の上記内周面が当接する保持溝が形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の水栓装置。 - 上記弾性部材の一部は、上記ケーシング部材が上記弾性部材と当接する位置よりも外側にはみ出している
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の水栓装置。 - 上記弾性部材が上記ケーシング部材の外側に逃げることを抑制する逃げ抑制構造
を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の水栓装置。 - 上記ケーシング部材は、ワッシャを介して、上記弾性部材を挟持している
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の水栓装置。
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