JP2012241771A - パイロット式流量調節弁装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 主弁38と、背圧室48と、パイロット流路52と、パイロット弁座142と、パイロット弁60と、を有し、パイロット弁60が閉弁状態でパイロット弁座142に対して、保持溝130の内部に保持したシール部材144を介して水密に嵌合し、パイロット流路52を閉鎖する流量調節弁装置において、保持溝130の内部には、溝側面130A,130Bの少なくとも一方からシール部材144に向けて突出しシール部材144を押圧する凸形状のシール押え132を設けておく。
【選択図】 図3
Description
例えば下記特許文献1にこの種の流調弁装置が開示されている。
同図において、200は主流路202上に設けられた主弁で、204は背圧室である。背圧室204は、内部の圧力を主弁200に対し閉弁方向の押圧力として作用させる。
206は主弁200を貫通して設けられた導入小孔で、この導入小孔206は、主流路202における主弁200の1次側流路の水を背圧室204に導入して背圧室204の圧力を上昇させる。
ここでシール部材212は、パイロット弁座210の内周に沿って形成された環状の保持溝214内部に保持されている。
パイロット弁216は、パイロット弁座210に対してパイロット流路208の開度を増減させる方向に図中上下方向に進退移動し、主弁200を追従して同方向に移動させる。
この流調弁装置にあっては、パイロット弁216が閉弁状態でパイロット弁座210に対しシール部材212を介し水密に弾性嵌合してパイロット流路208を閉鎖する。
この流調弁装置では、(III)に示す状態からパイロット弁216が上向きに後退移動すると、主弁200が背圧室204と1次側流路の圧力とをバランスさせるようにして、一定の追従間隙dを保持しつつパイロット弁216の移動に追従して移動し、主流路202を開いてそこに水を流通させ、またパイロット弁216の移動量に応じてその開度を変化させて、主流路202を流通する水の流量を変化させる。
そしてこの主弁200の開弁によって、そこで初めて主流路202に水の流れが生じる。即ち本流が生じる。
図中横軸はパイロット弁216の移動量を、縦軸は流量を表し、またXはブリード流を、Yは本流をそれぞれ表している。
更にP1はパイロット弁216が開弁開始する位置、詳しくはシール部材212から離れ始める位置を表し、P2はブリード流Xから本流Yに切り替るときのパイロット弁216の位置、即ち上記の追従間隙dを生ずるに到ったときのパイロット弁216の位置を表している。
その理由は、シール部材212は温度上昇や膨潤等によって体積膨張することがあり、その体積膨張によって保持溝214の空間が埋められると、シール部材212に過度の歪みが加わり、耐久性低下、シール性能の低下に繋がるからである。
そしてその間隙が上記の一定の追従間隙dに達し、そこから更にパイロット弁216が上向きに移動した時点で、図14のブリードXから本流Yへと流れが切り替る。
但しこの特許文献2におけるリブは、シール部材が保持溝に沿って相対移動するのを防ぐ働きを有するものではなく、本発明の上記の課題を解決することのできないものである。
ここでシール押えは、保持溝の周方向に及び/溝の深さ方向に部分的に設けておくことができる。
本発明によれば保持溝の内部空間に占めるシール部材及びシール押えの比率(充填率)を所定以下に抑制しつつ、パイロット弁の移動に伴ってシール部材が保持溝の内部を軸方向に相対移動するのを防止することができる。
また保持溝内でのシール部材の相対移動量のばらつきによって、吐水開始までの時間がばらつくなど流調特性が不安定化する問題を解決し得、流調特性を安定化することができる。
このようにすれば、シール部材を周方向に連続して均等に押圧することができ、従ってその押圧によるシール部材の変形を周方向に連続的且つ均等化し得て、シール部材の変形が周方向に局部的,部分的に偏ることによって局部歪が大となり、その劣化が進んでしまうのを防止することができる。
この場合には、シール押えが保持溝内部で占める体積比率を少なく維持しつつ、即ち保持溝内部の充填率の上昇を抑えつつ、シール部材に対する押圧を周方向において均等化することができる。
このようにすれば、シール部材に対する押圧を径方向に均等化することができる。
またシール部材を点状に押圧する場合に比べて、この請求項4ではシール部材を径方向全体に亘って押圧できるため、シール部材が径方向の内外に逃げ変形する量を少なく抑制でき、その逃げ変形した部分がパイロット弁の移動の妨げとなってしまうといったことを防ぐことができる。
シール押えを背圧室とは反対側の溝側面に設けた場合、パイロット弁の閉弁状態の下では背圧室の圧力が主流路の1次側流路の1次側圧力と同じ高い圧力となって、その高い圧力をシール部材に対してシール押えに押し付ける向きに及ぼし続けることとなる。即ちシール部材がシール押えに強く押し続けられることとなる。そしてそのことがシール部材の劣化の原因となってしまう。
しかるにシール押えを背圧室側の溝側面に設けておいた場合、シール部材は背圧室の圧力によってシール押えとは反対側の溝側面に押されることとなり、従ってシール押えがシール部材の劣化を促進してしまうといったことを防止することができる。
図1において、10は水栓で、カウンタ12上に設けられた操作部14と、カウンタ12から起立する吐水管15とを有している。
吐水管15はグースネック形状をなしており、先端に吐水口16を備えている。
また操作部14には、吐水口16からの吐水と止水とを行うための吐止水操作部,吐水の流量を調節する流調操作部及び吐水の温度を調節する温調操作部等が設けられている。
給水路18上の水側の流調弁装置22C及び給湯路20上の湯側の流調弁装置22Hは、それぞれ水の流量,湯の流量を調節し、そしてそれらによって水と湯との混合比を変化させて、吐水口16からの混合水の温度を変化させる。
また給水路18上の水側の流調弁装置22Cからの水の流量、及び給湯路20上の湯側の流調弁装置22Hからの湯の流量を合せた総流量によって、吐水口16からの吐水の流量を決定する。
これら流調弁装置22C,22Hから流出した水と湯とは合流部24で合流して混合水となり、混合水路26を通じて吐水管15へと送られ、吐水口16から外部に吐水される。
尚28は止水栓であり、また30は水栓10に備えられた制御部である。
この制御部30にはまた、操作部14が電気的に接続され、そこから制御部30に信号入力される。
36Aは流路36における主弁38の上流側の1次側流路を、36Bは下流側の2次側流路を表している。
主弁38はダイヤフラム式の弁で、図3にも示しているように硬質の主弁本体40と、これに保持された、シール部材を兼ねたゴム製のダイヤフラム膜42及び後述のパイロット弁ケース54を有している。
主弁38は主弁座44に向けて進退移動して流路36を開閉し、また開度を変化させる。
詳しくは、主弁38は主弁座44への着座によって流路36を遮断し、また主弁座44から図中上向きに離間することによって流路36を開放する。
また主弁座44からの離間量に応じて流路36の開度を大小変化させ、流路36を流れる水の流量を調節する。
尚、主弁座44はボデー34に形成された円筒部46の上端部にて構成されている。
背圧室48は、内部の圧力を主弁38に対し図中下向きの閉弁方向の押圧力として作用させる。
図3に示しているように主弁38には、これを貫通して1次側流路36Aと背圧室48とを連通させる導入小孔50が設けられている。
導入小孔50は、1次側流路36Aからの水を背圧室48に導いて背圧室48の圧力を増大させる。
このパイロット流路52は、背圧室48内の水を2次側流路36Bに抜いて背圧室48の圧力を減少させる。
パイロット弁ケース54は中心部にパイロット弁60のためのガイド孔58を有しており、そこにパイロット弁60が摺動可能に嵌合されている。
パイロット弁60は、このガイド孔58によって図中上下方向の移動時に移動ガイドされる。
尚、パイロット弁ケース54には切欠部(図示せず)が設けられており、この切欠部によって、背圧室48と上記のガイド孔56及び58とが互いに連通状態とされている。
主弁38は、パイロット弁ケース54とガイド孔56とによるガイド作用によって、図中上下方向に移動案内される。
上記パイロット弁60は、操作軸76の、くびれ部140よりも図中上側の先端側の一部にて構成されている。
ここでパイロット弁60には、図4に示しているようにくびれ部140側の図中下側の端部に全周に亘って傾斜面146が形成されている。
操作軸76の、くびれ部140より図中下側且つくびれ部140側の端部においても同様に傾斜面146が全周に亘り形成されている。
またシール部材78は、支持部材80によって図中下側から上向きに押えられ、支持されている。
この支持部材80は中心部に挿通孔を有しており、操作軸76はこの挿通孔を挿通して、下端側がボデー34の凹所82内に突き出している。
この例において、主弁38には中心の貫通孔の内周面に沿って軸心周りに環状をなすパイロット弁座142が設けられている。
このパイロット弁座142には、円形の環状の保持溝130の内部に弾性を有するリング状のシール部材(ここではOリング)144が保持されている。
また130Aは上側の溝側面を、130Bは下側の溝側面を示している。
ここで下側の溝側面130Bと溝底面130Cとは、主弁38における上記の主弁本体40にて形成されており、また上側の溝側面130Aは、主弁38に備えられたパイロット弁ケース54にて形成されている。
即ちこの実施形態において、パイロット弁ケース54は主弁38の移動案内をなす主弁ガイドとしての働きに加えて、シール部材144に対するキャップとしての働きを有している。
上記パイロット弁60は、閉弁状態でこのシール部材144を介してパイロット弁座142に水密に弾性嵌合し、パイロット流路52を閉鎖する。
またボデー34の内部の収容室84には、雌ねじ部材86,雄ねじ部材88が収容されている。
この収容室84にはまた、雌ねじ部材86の回転角度位置を検出するセンサ92、及び小径のギヤ96が併せて収容されている。
尚、センサ92は保持部材94にて保持されており、その保持部材94が小径のギヤ96の回転により回転させられることで、回転方向位置が調節される。
雌ねじ部材86の円筒状の筒壁100には、内周面に雌ねじ部が設けられている。
一方雄ねじ部材88には円形の外周面に雄ねじ部が設けられ、この雄ねじ部が雌ねじ部に螺合されている。
この雄ねじ部材88は、中心部に挿込孔106を有しており、そこに操作軸76の図中下端部が圧入状態に差し込まれ、雄ねじ部材88に結合されている。
そして操作軸76が図中上下方向に進退移動することで、パイロット弁60が一体に移動し、これによって主弁38が開閉方向に動作せしめられる。
スプリング110は、この雄ねじ部材88と上記の支持部材80との間に介在して、軸方向の各端を雄ねじ部材88の溝108の底面と、支持部材80の下面とに当接させ、それらを互いに逆方向に弾発している。
ここでシール押え132は、図3及び図4に示しているようにパイロット弁60における径方向に放射状に延びる形態で設けられている。
具体的には、ここでは4つの突条形態をなすシール押え132が、全体として十字状をなすように周方向に90°ごと隔たった4個所に設けられている。
即ちこれらシール押え132は、保持溝130の周方向に沿って90°ごとに部分的に設けられている。
これら各シール押え132は、保持溝130の全溝深さに亘って、つまり上側の溝側面130Aの全幅に亘って設けられている。
尚これらシール押え132は、図4(A)(ア)に示しているようにシール部材144に対する押え面となる図中下面が平坦な断面矩形状となしておくこともできるし、或いは(イ)に示しているように押え面となる下面が湾曲した凸曲面となる断面略半円形状、或いはその他の形状となしておくことができる。
そしてこのパイロット弁60の上下方向の進退移動に伴って、主弁38がこれに追従して同方向に移動する。
図6(I)は、パイロット弁60が閉弁した状態(止水状態)を表しており、このときパイロット弁60はシール部材144を介してパイロット弁座142に全周に亘り弾性嵌合しており、パイロット流路52は閉鎖された状態にある。
ここにおいて主流路36が開かれてそこに水の流れが生じる。即ち本流が生じる。
また逆にパイロット弁60が図中下向きに前進移動すると、パイロット弁60に追従して下向きに前進移動し、弁開度を小さくして主流路36を流れる水の流量を減少変化させる。
そしてパイロット弁60が再び図6(I)に示す閉弁状態となったところで、主弁38もまた閉弁状態となり、主流路36を閉鎖して水の流れを停止させる。
図中(A)は本実施形態の流調特性を、(B)は従来の流調弁装置の流調特性を示している。
図7(B)に示す従来の流調弁装置における流調特性では、パイロット弁216が閉弁状態から開く方向に後退移動したとき、シール部材212が保持溝214内部で相対移動してしまうために、本流Yに切り替るまでのパイロット弁216の移動距離LAが長く、従って吐水開始までに長い時間を要してしまうのに対し、図7(A)の本実施形態の流調弁装置における流調特性では、パイロット弁60が閉弁状態から開方向に移動する際にシール部材144が保持溝130の内部で相対移動しないため、本流Yに切り替るまでのパイロット弁60の移動距離Lが短く、従って吐水開始までの所要時間が短いことが見て取れる。
またシール部材144を点状に押圧する場合に比べて、この実施形態ではシール部材144を径方向全体に亘って押圧できるため、シール部材144が径方向の内外に逃げ変形する量を少なく抑制でき、その逃げ変形した部分がパイロット弁60の移動の妨げとなってしまうといったことを防ぐことができる。
この例はシール押え134を、保持溝130の内部において上側の溝側面130Aの側に、全周に亘り連続した形態で設けた例である。
尚このシール押え134は、その断面形状を図8(B)(ア)に示すような略半円形状とすること、或いは(B)(イ)に示すようにシール部材144に対する押え面となる下面が平坦な断面矩形状となしておくこと、或いはその他形状となしておくことができる。
この例によれば、シール部材144を周方向に連続して均等に押圧することができ、従ってその押圧によるシール部材144の変形を周方向に連続的且つ均等化し得て、シール部材144の変形が周方向に局部的,部分的に偏ることによって局部歪が大となり、その劣化が進んでしまうのを防止することができる。
この例は、保持溝130の内部において、上側の溝側面130Aの側からシール部材144に向けて突出する突起形状の複数(ここでは6個)のシール押え138を、周方向に一定間隔ごとに均等に分散配置した例である。
ここで突起形状の各シール押え138は略部分球状、即ち図9(B)に示しているように断面形状が略半円形状とされている。
但し他の断面形状でこれらを形成することも可能である。
但しシール押え138の分散配置の数を多くすることで、その逃げ変形の程度を小さくすることができる。
分散配置するシール押え138の数を多くすると、1つ1つのシール押え138による押圧量を少なくすることができる。
図10はその例を示している。
図10において、138は下側の溝側面130Bに設けたシール押えで、シール部材144は、このシール押え138と上側の溝側面130Aとの間に挟まれる状態に、保持溝130の内部に保持される。
尚、シール押え138は保持溝130に沿って周方向に連続した環状に設けても良いし、或いは周方向に所定間隔ごとに部分的に設けておくこともできる。
またその断面形状も様々な断面形状となすことができる。
この場合、シール部材144が強く変形した状態に放置されることとなり、そのことがシール部材144の劣化の原因となる。
そしてこの場合において、保持溝130の内部にシール押え139を設けておくことができる。
尚このシール押え139は、シール部材144に対して背圧室側の上側の溝側面130Aに設けておくことが望ましいが、場合によって下側の溝側面130Bに設けておくこと、或いはその形態を様々な形態となしておくことが可能である。
36 流路
36A 1次側流路
36B 2次側流路
38 主弁
48 背圧室
50 導入小孔
52 パイロット流路
60 パイロット弁
130 保持溝
130A,130B 溝側面
132,134,136,138,139 シール押え
Claims (5)
- (a)主流路上に設けられた主弁と、
(b)該主弁に対して内部の圧力を閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室と、
(c)前記主流路における前記主弁の1次側流路の水を該背圧室に導入して圧力上昇させる導入小孔と、
(d)該主弁を進退方向に貫通した貫通孔と、
(e)該貫通孔の内周に沿って形成された、前記背圧室の水を前記主流路における該主弁の2次側流路に抜いて該背圧室の圧力を減少させるパイロット流路と、
(f)前記主弁の前記貫通孔周りに設けられたパイロット弁座と、
(g)該パイロット弁座に対して前記パイロット流路の開度を増減させる方向に進退移動して、前記主弁を追従して同方向に移動させる軸状のパイロット弁と、
を有し、前記パイロット弁が閉弁状態で前記パイロット弁座に対して、該パイロット弁座の内周に沿って又は該パイロット弁の外周に沿って形成した環状の保持溝の内部に保持した、弾性を有するリング状のシール部材を介して水密に嵌合して前記パイロット流路を閉鎖するパイロット式流量調節弁装置であって、
前記保持溝の内部には、該保持溝の前記パイロット弁における軸方向に対向した一対の溝側面の少なくとも一方から前記シール部材に向けて突出し該シール部材を押圧する凸形状のシール押えが設けてあることを特徴とするパイロット式流量調節弁装置。 - 請求項1において、前記シール押えが、前記保持溝に沿って周方向に連続した環状に設けてあることを特徴とするパイロット式流量調節弁装置。
- 請求項1において、前記シール押えが、前記保持溝に沿って周方向に均等に分散配置してあることを特徴とするパイロット式流量調節弁装置。
- 請求項1において、前記シール押えが、前記パイロット弁の径方向に放射状に延びる形態で設けてあることを特徴とするパイロット式流量調節弁装置。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記シール押えが、前記背圧室側の前記溝側面に設けてあることを特徴とするパイロット式流量調節弁装置。
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