JP2020041237A - スケール防止剤及びその製造方法並びにスケール防止方法。 - Google Patents

スケール防止剤及びその製造方法並びにスケール防止方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、パルプ製造における蒸解工程のスケール生成を効率良く防止するスケール防止剤及びその製造方法並びにスケール防止方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】重量平均分子量が15000以上25000以下のポリイタコン酸及び/又はポリイタコン酸塩であることを特徴とする蒸解工程のスケール防止剤及びその製造方法並びにスケール防止方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、パルプ製造の蒸解工程に用いられるスケール防止剤及びその製造方法並びにスケール防止方法に関する。なお、本明細書及び請求の範囲において、蒸解工程とは、パルプを蒸解釜で蒸解する工程の他、蒸解釜から生じた黒液を回収する工程も含むものとする。
パルプ製造時には、原料である木材から多くのカルシウムやシリカ分が溶出し、さらに使用する水からもカルシウムやシリカ分が供給されるため、水系中のカルシウムやシリカの濃度が高くなっており、スケールが生成し易い条件にある。中でも、蒸解工程では、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを混合した強アルカリ性の白液を用いて100℃以上の高温下でパルプ化処理が行われ、木材中に含まれるカルシウム塩類や珪酸塩類が白液中に溶出し易いため、蒸解釜内壁や付帯装置のスクリーン、加熱ヒーター、ウォッシャー及びスクリーンワイヤー等に、炭酸カルシウムを含むスケール、例えば炭酸カルシウムを主体としたスケールが付着することで、ヒーターの熱交換不良、濾過・脱水効率の低下、洗浄性の低下など様々な問題を引き起こしている。
このような付着スケールの除去方法として、定期的に操業を一時停止して機械的な剥離・除去、あるいは配管や装置類を洗浄液に浸して洗浄液を循環してスケールを剥離・除去することが行われている。この作業は通常、3〜6ヶ月に一度の頻度で行われ、一回の作業で1日〜2日を要している。しかし、このような定期的な付着スケールの剥離・除去を行っていても、突発的にスケールの付着が生じ、配管閉塞やスクリーンの目詰まりによる脱水不良を起こすなど操業に支障をきたし、エネルギーコストの高騰につながることがある。このため、工程水にスケール防止剤を添加することも行われている。
従来、各種の工程のスケール防止法として、低分子量のポリイタコン酸あるいはその塩類を工程水に添加することが知られている。例えば、特許文献1では重量平均分子量500〜2000のポリイタコン酸及びその塩類を水系に添加してスケールを防止することが記載されている。また、特許文献2では、ポリイタコン酸とホスホン酸類との混合液が紙パルプ製造工程のスケール防止剤として有効であることが示されており、特に分子量500〜5000のポリイタコン酸が好ましいこと示されている。
特開昭58−174295号公報 特開2011−52358号公報
しかしながら、本発明者が上記従来の低分子量のポリイタコン酸をパルプ製造の蒸解工程のスケール防止剤として用いたところ、充分なスケール防止効果が得られないという問題を見出した。本発明は、この従来の実情に鑑みてなされたものであり、蒸解工程においても充分なスケール防止効果を発揮できるスケール防止剤及びその製造方法並びにスケール防止方法を提供することを解決すべき課題としている。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、意外なことに、従来スケール防止効果が劣るとされていた高分子量のポリイタコン酸が、パルプ製造における蒸解工程のスケール防止には好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のスケール防止剤は、パルプ製造における蒸解工程に用いられるスケール防止剤であって、重量平均分子量が15000以上25000以下のポリイタコン酸及び/又はポリイタコン酸塩を含有することを特徴とする。
本発明のスケール防止剤は、更にホスホン酸及び/又はホスホン酸塩を含有することが好ましい。ホスホン酸及び/又はホスホン酸塩を共存させることにより、さらにスケール防止効果を向上させることができる。
また、ポリイタコン酸及び/又はポリイタコン酸塩と、ホスホン酸及び/又はホスホン酸塩の重量比が9:1〜4:6であることが好ましい。本発明者は、この範囲において、蒸解工程における優れたスケール防止効果を見出している。
さらに、本発明のスケール防止剤において、ホスホン酸及び/又はホスホン酸塩を1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸とすることができる。
また、本発明のスケール防止剤において、ポリイタコン酸及び/又はポリイタコン酸塩の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比である分散度(Mw/Mn)が3以下であることが好ましい。分散度がこの範囲において、優れたスケール防止効果を発揮することができる。
本発明のスケール防止剤は本発明のスケール防止剤の製造方法であって、
重合開始剤として過硫酸アンモニウムを用いて、イタコン酸を重合させて得られたポリイタコン酸及び/又はポリイタコン酸塩を含有させることを特徴とする。
本発明のスケール防止方法は、本発明のスケール防止剤をパルプ製造における蒸解工程の工程水に添加することを特徴とする。これにより、配管等にスケールが付着することを防止することができる。
本発明のスケール防止剤は、パルプ製造における蒸解工程において用いられる。ここでパルプ製造とは、木材パルプや非木材パルプの製造をいい、古紙から製造する古紙パルプの製造は含まない意味である。具体的には、クラフトパルプ、亜硫酸パルプ、ソーダパルプ等の製造をいう。これらのパルプ製造においては、蒸解工程として、蒸解釜で木材(あるいは非木材)チップを薬液中で煮込んでリグニンを除去し、パルプが薬液中に分散された状態とする。薬液は分離・濃縮されて焼却して回収されるが(黒液の回収工程)、本明細書では、この黒液回収の工程についても、蒸解工程に含まれるものとする。
したがって、本発明のスケール防止剤は、これらのパルプ蒸解のみならず、黒液の回収における工程水が接する装置・設備類についてのスケールを除去するために用いるものである。こうした装置・設備類として、具体的にはチップビン及びチップ輸送装置並びに余熱装置、白液供給ライン、蒸解釜(蒸解釜内壁)、蒸解釜の蒸解液抽出ストレーナー及び抽出ライン、抽出した蒸解液を再び蒸解液として使用するための熱交換器及び蒸解液循環ライン、抽出ライン及び循環ラインのフィルター、配管並びに液送ポンプ(フィーダー)等が挙げられる。
本発明における工程水とは、蒸解工程の白液、蒸解釜内の蒸解液、蒸解釜の浸透ゾーン、蒸解ゾーン及び洗浄ゾーンから抽出された蒸解液、抽出された蒸解液を再び蒸解液として使用される循環蒸解液等が挙げられ、温度は100℃以上である。
本発明が対象とするスケールには、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、シュウ酸カルシウムなどのカルシウム化合物のスケール、あるいは、カルシウム化合物を主な成分とする複合したスケールが挙げられる。本発明のスケール防止剤、及びスケール防止方法を適用することで、前記スケールの生成及び付着が妨げられ、付着した場合でも、除去しやすい非晶質のスケールとなる。
本発明で使用されるポリイタコン酸及び/又はポリイタコン酸塩は、平均分子量が15000以上25000以下であることが必須であり、イタコン酸を重合性エチレン性化合物のラジカル重合方法に準じて製造する場合に、イタコン酸を10〜40重量%含む水溶液を50〜90℃に加温し、重合開始剤として過硫酸アンモニウムを添加して重合させる方法等が挙げられる。
本発明で使用されるポリイタコン酸塩としては、ポリイタコン酸のアルカリ金属塩が挙げられ、アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。その他の塩として、例えばポリイタコン酸のアンモニウム塩、アミン塩などの部分中和塩、完全中和塩が挙げられる。
本発明で使用される重合開始剤としては、一般にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾビス化合物、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、クメンパーオキサイド、ジ−tert−ブチルヒドロパーオキサイド等が使用することができ、スケールの生成防止の観点から、使用される開始剤は、好ましくは過硫酸アンモニウムである。また、分散度を調整する際に必要に応じて連鎖移動剤を添加しても良い。連鎖移動剤として、具体的には、メルカプトエタノール、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、n−ドデシルメルカプタン等のチオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等の、ハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸、及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等);亜硫酸、重亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、メタ重亜硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩(具体的には、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)が挙げられる。前記連鎖移動剤の添加量は、特に制限されないが、全単量体成分1モルに対して、1〜10gであることが好ましい。得られた重合体の分子量は、高速液体クロマトグラフ等により測定することができる。
本発明で使用されるポリイタコン酸及び/又はポリイタコン酸塩の重量平均分子量は、15000以上25000以下であることが必須であり、この分子量範囲において優れたスケール防止効果を示す。重量平均分子量が15000未満や重量平均分子量が25000を超えると、スケール防止効果が不充分となる。従来、ポリイタコン酸をスケール防止剤として用いる場合には500〜5000の低分子量のものが好ましいとされていたが(特許文献2)、パルプ製造の蒸解工程におけるスケール防止においては、ポリイタコン酸をスケール防止剤として用いる場合には重量平均分子量が15000以上25000以下であることが好ましいことを見出したのである。このように、パルプ製造の蒸解工程におけるスケール防止においては、他の工程におけるスケール防止と好適な分子量範囲がおおきく異なることなる理由については未解明であるが、蒸解工程の工程水の温度が通常100℃以上という高温であることが一因となっていると推定される。
本発明で使用されるホスホン酸及び/又はホスホン酸塩としては、アミノトリメチレンホスホン酸(ATMP)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DETPMP)、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(HMDTMP)、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸(PBTC)、およびこれらの水溶性塩が挙げられ、その水溶性塩はナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩などである。スケールの生成防止の観点から使用されるホスホン酸及び/又はホスホン酸塩は、好ましくは1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)である。また通常、これらの化合物は水溶液の形態で市販されている。
本発明のスケール防止剤において、ポリイタコン酸及び/又はポリイタコン酸塩にホスホン酸及び/又はホスホン酸塩を共存させる場合、ポリイタコン酸及び/又はポリイタコン酸塩と、ホスホン酸及び/又はホスホン酸塩の重量比は9:1〜4:6であることが好ましく、より好ましくは8:2〜6:4である。
本発明で分散度とは、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)であり、この値が1に近いほど分子量分布が均一であることを示す。本発明のスケール防止剤では、ポリイタコン酸及び/又はポリイタコン酸塩の分散度が3以下であることが好ましい。
本発明のスケール防止方法は、本発明のスケール防止剤をパルプ製造における蒸解工程の工程水に添加する蒸解工程のスケール防止方法である。該スケール防止剤は取扱い上の必要に応じて水で希釈して用いても良い。
本発明のスケール防止方法における本発明のスケール防止剤の添加量は、スケールの発生程度、装置の運転状況などによって異なり一律に決められないが、対象水系の工程水量に対し0.1〜500mg/L、好ましくは1〜300mg/L、より好ましくは10〜200mg/Lである。
本発明のスケール防止方法における本発明のスケール防止剤の添加場所は、スケールが生じている箇所や工程に直接添加してもよく、あるいはその場所より上流部の工程水、及び/または循環する下流部に添加しても良い。添加は、ポンプで連続添加あるいは間欠添加する。
また、本発明のスケール防止剤の添加をする際、本発明の効果を妨げない限りにおいて他の重合物、界面活性剤、キレート剤、歩留まり剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤、防食剤、消泡剤等を同時に添加してもよい。また、本発明の効果を妨げない限りにおいて、これらの添加剤の成分を本発明のスケール防止剤に配合することもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。
[ポリイタコン酸及びポリアクリル酸の合成]
ポリイタコン酸(合成例1〜6)、ポリイタコン酸ナトリウム(合成例10)及びポリアクリル酸(合成例7〜9)を、以下に示す方法によって合成した。
[合成例1の製造]
ガラス還流管、窒素通気管、滴下ロート、攪拌器付きの500mlの4つ口フラスコに、イタコン酸を60g、水270gを加え、撹拌下に冷却しながら48%水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加えた。なお、水酸化ナトリウムの添加量は、生成したポリイタコン酸が大部分遊離酸として存在する量である。溶液を70℃に加温し、液温を維持しながら撹拌下で重合開始剤である過硫酸アンモニウム3.7gを投入し、反応を開始させた。6時間反応を続けた後、90℃に加温してさらに1時間維持し、冷却して合成例1のポリイタコン酸を得た。イオンクロマトグラフィーにより残存モノマー濃度を測定した結果、未反応のモノマーは0.1重量%未満であり、反応率は実質100%であることを確認した。
下記条件のように設定したHPLC(高速液体クロマトグラフ)で、合成例1のポリイタコン酸の重量平均分子量を測定した結果、重量平均分子量は15000であった。
測定機器:LC−2000Plus(日本分光社製)
ポンプ:PU−2086(日本分光社製)
検出器:RI−2031(日本分光社製)
カラム:Waters Ultra Hydrogel 250(Waters社製)
溶離液:0.1M NaNO
流速: 1.0ml/min
[合成例2の製造]
分子量を調整するために過硫酸アンモニウムを3.1gに変更した以外は合成例1と同様の製造方法により表1記載の合成例2のポリイタコン酸を得た。
[合成例3の製造]
分子量を調整するために過硫酸アンモニウムを2.0gに変更した以外は合成例1と同様の製造方法により表1記載の合成例3のポリイタコン酸を得た。
[合成例4の製造]
分子量を調整するために過硫酸アンモニウムを4.6gに変更した以外は合成例1と同様の製造方法により表1記載の合成例4のポリイタコン酸を得た。
[合成例5の製造]
分子量を調整するために過硫酸アンモニウムを4.2gに変更した以外は合成例1と同様の製造方法により表1記載の合成例5のポリイタコン酸を得た。
[合成例6の製造]
分子量を調整するために過硫酸アンモニウムを1.5gに変更した以外は合成例1と同様の製造方法により表1記載の合成例6のポリイタコン酸を得た。
[合成例7の製造]
イタコン酸をアクリル酸に変更した以外は合成例1と同様の製造方法により表1記載の合成例7のポリアクリル酸を得た。
[合成例8の製造]
イタコン酸をアクリル酸に変更した以外は合成例2と同様の製造方法により表1記載の合成例8のポリアクリル酸を得た。
[合成例9の製造]
イタコン酸をアクリル酸に変更した以外は合成例3と同様の製造方法により表1記載の合成例9のポリアクリル酸を得た。
[合成例10の製造]
合成例2のポリイタコン酸に、中和当量の水酸化ナトリウムを添加し、表1記載の合成例10のポリイタコン酸ナトリウムを得た。
[スケール防止試験方法]
(実施例1)
1Lの耐圧容器に、模擬蒸解液(水酸化ナトリウム4%、炭酸ナトリウム2%、硫化ナトリウム4%、脱イオン水90%)を800ml投入し、密閉して、撹拌しながら昇温を開始した。液温が150℃に到達した後、有効成分の合計として20mg/Lの合成例1のポリイタコン酸を模擬蒸解液に添加して、撹拌混合した。次にカルシウムイオンとして100ppmとなるよう塩化カルシウムを添加し、そのまま60分間撹拌を継続した後、加温を止め、常温まで冷却して試験を終了した。
スケール防止試験後の試験液をNo5Cの濾紙で濾過し、JIS―K0101の方法でカルシウム硬度を算出した。
実施例1のスケール防止率を次式より算出し、結果を表1に記載した。また、スケール防止剤無添加時のカルシウム硬度は0であった。
スケール防止率(%)=1−((C−B)/(C−A))×100
A:スケール防止剤無添加時のカルシウム硬度(mgCaCO/l)
B:合成例1のスケール防止剤添加時のカルシウム硬度(mgCaCO/l)
C:添加したカルシウム硬度(mgCaCO/l)
(実施例2〜4及び比較例1〜6)
合成例2〜6のポリイタコン酸、合成例10のポリイタコン酸ナトリウム及び合成例7〜9のポリアクリル酸を用い、実施例1と同様に、スケール防止試験を実施した。表1にスケール防止試験の結果を記載した。
Figure 2020041237
表1に示した実施例1〜4及び比較例1〜6から、次のことが明らかである。
実施例1〜3のように重量平均分子量が15000〜25000であるポリイタコン酸を用いた場合、炭酸カルシウムのスケール防止率が60%以上と高い効果を示した。対して、比較例1〜3のようにポリイタコン酸であっても重量平均分子量が15000未満及び25000を超える場合では、スケール防止率が35%以下であった。また、比較例4〜6のように重量平均分子量が15000〜25000であっても、ポリアクリル酸の場合では、スケール防止率が30%以下であり、重量平均分子量が15000〜25000であるポリイタコン酸のみが、高いスケール防止効果が得られるという本発明の特異な効果が明示された。
また、実施例2と実施例4の比較から、ポリイタコン酸の替わりにポリイタコン酸ナトリウムを用いても、良好なスケール防止効果が得られることが分かった。
[ポリイタコン酸の合成]
ポリイタコン酸(合成例11〜13)を、以下に示す方法によって合成した。
[合成例11の製造]
重合開始剤である過硫酸アンモニウムを過硫酸ナトリウムに変更した以外は、合成例2と同様の製造方法により表2記載の合成例11のポリイタコン酸を得た。
[合成例12の製造]
重合開始剤である過硫酸アンモニウムを過硫酸カリウムに変更した以外は、合成例2と同様の製造方法により表2記載の合成例12のポリイタコン酸を得た。
[合成例13の製造]
重合開始剤である過硫酸アンモニウムをアゾビスイソブチロニトリルに変更した以外は、合成例2と同様の製造方法により表2記載の合成例13のポリイタコン酸を得た。
(実施例5〜7)
重合開始剤の種類を変更した合成例11〜13のポリイタコン酸を用い、実施例1と同様に、スケール防止試験を実施した。表2にスケール防止試験の結果を記載した。尚、対照として、実施例2、及び比較例2、3、5を記載した。
Figure 2020041237
表2に示した実施例2,5〜7、及び比較例2、3、5から、次のことが明らかである。
実施例2、5〜7のように重合開始剤を変化させた場合、炭酸カルシウムのスケール防止率はいずれも50%以上であり、本発明以外のポリマーを用いた比較例2、3、5に比べ、高いスケール防止効果を示した。中でも、実施例2のように、重合開始剤に過硫酸アンモニウムを用いたポリイタコン酸の場合、スケール防止率が65%であり、最もスケール防止効果に優れた。重合開始剤の種類によってスケール防止効果が変化し、特に過硫酸アンモニウムを用いた場合にスケール防止効果が優れていることが分かった。
[スケール防止剤の調製]
表3に記載した配合に従い、実施例8〜16、及び比較例7〜14に用いるスケール防止剤を調製した。
(実施例8〜16、及び比較例7〜14)
実施例1と同様に、スケール防止試験を実施した。表3にスケール防止試験の結果を記載した。尚、対照として、実施例2を記載した。
Figure 2020041237
表3に示した実施例2,8〜16、及び比較例7〜14から、次のことが明らかである。
実施例8〜14のように本発明のポリイタコン酸(実施例2)にホスホン酸をさらに含有させた場合、炭酸カルシウムのスケール防止率が79%以上となり、実施例2と比較し、高いスケール防止効果を示した。対して、本発明以外のポリマーにホスホン酸を含有させた比較例7〜12では、炭酸カルシウムのスケール防止率は50%以下であった。また、比較例13、14のようにホスホン酸のみを用いた場合は炭酸カルシウムのスケール防止率が0%であり、本発明のポリイタコン酸にホスホン酸を含有させた場合にのみスケール防止効果が向上するという特異な相乗効果が示された。
また、実施例8〜13のようにポリイタコン酸とホスホン酸の重量比が9:1〜4:6の場合、スケール防止率が86%以上となった。更に実施例9〜11のように、重量比が8:2〜6:4の場合、スケール防止率が95%と最も高い結果となり、この重量比が好ましいことが示された。
また、実施例11と実施例15の比較から、ホスホン酸としてHEDPの替わりにHEDPのナトリウム塩を用いても、同様に良好なスケール防止効果が得られることが分かった。
さらに、実施例16から、ポリイタコン酸ナトリウムとHEDPのナトリウム塩の組み合わせによっても、同様に良好なスケール防止効果が得られることが分かった。
[スケール防止剤の調製]
表4に記載した配合に従い、実施例17〜20で用いるスケール防止剤を調製した。
(実施例17〜20)
実施例17〜20では、実施例11においてホスホン酸として用いた1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)に替えて、表4に示す各種のホスホン酸を用い、実施例1の場合と同様に、スケール防止試験を実施した。表4にスケール防止試験の結果を記載した。尚、対照として、実施例11の結果を記載した。
Figure 2020041237
表4に示した実施例11、17〜20から、次のことが明らかである。
実施例11、17〜20のように、いずれのホスホン酸を用いた場合でも、炭酸カルシウムのスケール防止率は80%以上であった。中でも、実施例11のように、ホスホン酸としてHEDPを用いた場合、スケール防止率が95%となり、HEDPが特に好ましいことが示された。
[ポリイタコン酸の合成]
ポリイタコン酸(合成例14)を、以下に示す方法によって合成した。
[合成例14の製造]
分散度を調整するために、連鎖移動剤である2−メルカプトプロピオン酸1.1gを追加した以外は、合成例2と同様の製造方法により合成例14のポリイタコン酸を得た。重量平均分子量、及び分散度を測定し、結果を表5に記載した。
[スケール防止剤の調製]
表5に記載した配合に従い、実施例22に用いるスケール防止剤を調製した。
(実施例21、22)
実施例1と同様に、スケール防止試験を実施した。表5にスケール防止試験の結果を記載した。尚、対照として、実施例2、11の結果を記載した。
Figure 2020041237
表5に示した実施例2、11、21及び22から、次のことが明らかである。
実施例2、21のように分散度が3以下の場合、炭酸カルシウムのスケール防止率はいずれも65%以上であり、高いスケール防止効果を示した。中でも、実施例21のように、分散度が2以下の場合、スケール防止率が71%となり最もスケール防止効果に優れた。分散度によって、スケール防止効果が変化する本発明の特異な効果が明示された。
また、実施例11及び実施例22のようにポリイタコン酸にホスホン酸を含有させた場合、スケール防止率が95%以上に向上し、相乗効果が示された。
本発明のスケール防止剤及びその製造方法並びにスケール防止方法をパルプ製造における蒸解工程に適用することにより、スケールの生成を効率良く防止できるため、該工程のスケール付着による操業トラブルや操業停止の頻度を大幅に減らすことが可能となり、省エネルギーに大いに寄与する。
Figure 2020041237
Figure 2020041237

Claims (7)

  1. パルプ製造における蒸解工程に用いられるスケール防止剤であって、重量平均分子量が15000以上25000以下のポリイタコン酸及び/又はポリイタコン酸塩を含有することを特徴とするスケール防止剤。
  2. さらに、ホスホン酸及び/又はホスホン酸塩が含有されていることを特徴とする請求項1に記載のスケール防止剤。
  3. ポリイタコン酸及び/又はポリイタコン酸塩と、ホスホン酸及び/又はホスホン酸塩の重量比が9:1〜4:6であることを特徴とする請求項2に記載のスケール防止剤。
  4. 前記ホスホン酸及び/又はホスホン酸塩が、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸であることを特徴とする請求項2又は3に記載のスケール防止剤。
  5. 前記ポリイタコン酸及び/又は前記ポリイタコン酸塩の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比である分散度(Mw/Mn)が3以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスケール防止剤。
  6. 請求項1に記載のスケール防止剤の製造方法であって、
    重合開始剤として過硫酸アンモニウムを用いて、イタコン酸を重合させて得られたポリイタコン酸及び/又はポリイタコン酸塩を含有させることを特徴とするスケール防止剤の製造方法。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスケール防止剤をパルプ製造における蒸解工程の工程水に添加することを特徴とする蒸解工程におけるスケール防止方法。
JP2018170050A 2018-09-11 2018-09-11 スケール防止剤及びその製造方法並びにスケール防止方法。 Active JP6542966B1 (ja)

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