JP2020040381A - 物品および物品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学特性の異なるエリアで構成された意匠パターンと、ロゴ等を付与する加工を可能な第一の領域を物品の外面で体裁よく共存させることができるようにする。【解決手段】外面に、第一の光学特性を有するエリアと第二の光学特性を有するエリアとが特定の規則に基づき配列されている第一の領域および第二の領域を有し、前記第一の領域は、所定の高さ以下の凸部が形成されているか、あるいは、凸部が形成されておらず、前記第二の領域は、前記所定の高さよりも高い凸部が形成されていることを特徴とする物品である。【選択図】図8

Description

本発明は、文字入れ等の加工が行われる領域を外面に備える樹脂部品、文字入れ等の加工が行われたその樹脂部品、その樹脂部品を用いた電子機器、およびその樹脂部品の製造方法に関する。
プリンタなどの電子機器の筐体、外殻などに使用される板状又は箱状の樹脂部品の外面には、高い意匠性が求められるとともに、防汚や防傷などの機能性が求められる。従来では、例えば、平面的な光沢面と、平面から突出する凸部を有する非光沢面により構成される意匠パターンを外観面に形成することで、美観と、指紋などの汚れの目立ち難さを両立する構成が提案されている(例えば下記の特許文献1)。
また、電子機器の筐体、外殻などを構成する樹脂部品の外面には、メーカー名や機種名などのロゴ、数字、文字、図形などの意匠や商標を設ける必要が生じることがある。一般的に、これらの情報は樹脂成形後の被覆加工や、加熱による表面加工によって、付与される。この種の被覆加工には、例えば金属や顔料で作られた情報担持体としての箔を熱転写するホットスタンピングなどの手法が用いられる。また、シールのような情報担持体を貼付する、あるいは塗料、顔料、粉体の塗布や噴射などによる塗装の手法が用いられる場合もある。
また、上記のような凸部あるいは凹凸構造を備えた樹脂部品を射出成形などによって製造する場合、樹脂部品の外面に、離型方向に対する角度の異なる複数の面が含まれる場合があり、それらに設ける凹凸構造に種々の制限が必要になることがある。例えば、離型方向に対して傾斜していたり、あるいは曲面で構成されている部品面では、金型の離型性を良くするために、凹凸構造の部分がいわゆるアンダーカットとなるのを回避する必要が生じる。このため、樹脂部品の外面の一部領域については、止むを得ず凹凸構造を省略しなければならない場合がある。また、凹凸の向きが異なる部位ごとに、金型を分割しておき、例えば凹凸の部位がアンダーカットとならないような方向にそれぞれの金型を型開きする手法が取られる場合がある。
なお、上記のような意匠を施された外観面ないし外面、あるいは被覆加工や表面加工が行われる外観面ないし外面は、必ずしも電子機器の筐体、外殻の表側のみに限定されない。例えば、機器の扉やハッチ、蓋部などでは、通常は露出していなくても開放した時にユーザに視認可能となる樹脂部品の面に、上記のような意匠等を設ける場合もある。以下では、このようなユーザに視認可能な意匠等が施される樹脂部品の面(部品面)を、単に「外面」という。
特開2009−134271号公報
ホットスタンピングなどによる加工を行って、樹脂部品の外面にロゴなどを付与する場合、外面はある程度平滑、すなわち、安定に加工可能な面であることが求められる。しかしながら、上述のように、意匠性や機能性の観点から、樹脂部品の外面には、高低差(凹凸)のある意匠パターンが形成されている場合がある。この高低差のある意匠パターンの上からホットスタンピングなどの加工を行うと、正確に転写出来なかったり、定着出来ずに剥がれやすくなり、ロゴなどの品質が低下する可能性がある。これを避けるには、例えば、外面のうちロゴを形成する領域(以下、第一の領域という)のみ、意匠パターンを省略して平滑な外面とする構成が考えられる。しかしながら、人間の視覚特性によれば、意匠パターンの有無が認識されやすいため、第一の領域とそれ以外の領域(以下、第二の領域という)の境界部が目立ちやすく、意匠性が低下する可能性がある。
あるいは、離型性を良くするために、曲面に凹凸を形成しない方法を用いると、凹凸構造が設けられた領域との境界付近で、人間にとっては視覚的に目立つギャップが樹脂部品の外面に発生し、意匠性が低下する場合がある。
また、金型を分割してアンダーカットを回避する手法によると、金型の継ぎ目に対応する位置に意図しないアーティファクト、例えばパーティングラインが発生してしまう可能性がある。このようなパーティングラインは、樹脂部品の凹凸構造が連続する部位で発生するため、切削、研磨などの後加工によって凹凸構造を傷つけることなくパーティングラインのみを除去するのは困難である。
そこで、高低差(凹凸)のある意匠パターンが形成された外面に、意匠的な外観品質を大きく損なうことなく、加工によりロゴ等を付与したり、傾斜した面や曲面を形成したりする技術が求められていた。
本発明は、外面に、第一の光学特性を有するエリアと第二の光学特性を有するエリアとが特定の規則に基づき配列されている第一の領域および第二の領域を有し、前記第一の領域は、所定の高さ以下の凸部が形成されているか、あるいは、凸部が形成されておらず、前記第二の領域は、前記所定の高さよりも高い凸部が形成されていることを特徴とする物品である。
また、本発明は、外面に、第一の光学特性を有するエリアと第二の光学特性を有するエリアとが特定の規則に基づき配列されている第一の領域および第二の領域を有し、前記第一の領域は、所定の高さ以下の凸部が形成されている、あるいは、前記凸部が形成されておらず、前記第二の領域は、前記所定の高さよりも高い凸部が特定の規則に基づき形成された外面を有する成形品を造形する造形工程と、前記成形品の前記第一の領域に加工を行う加工工程と、を有する、物品の製造方法である。
本発明によれば、高低差(凹凸)のある意匠パターンが形成された外面に、意匠的な外観品質を大きく損なうことなく、加工によりロゴ等を付与することができる。また、傾斜した面や曲面を形成したりすることができる。
本発明の第一第一実施形態に係わる電子機器としてプリンタの外観を示した斜視図。 (A)従来例の樹脂部品の構造を示した模式的平面図。(B)従来例の樹脂部品の構造を示した模式的断面図。 (A)本発明の第一実施形態の樹脂部品の構造を示した模式的平面図。(B)本発明の第一実施形態の樹脂部品の構造を示した模式的断面図。 (A)本発明の第一実施形態に係わる電子機器に実施可能な表面パターンの一例。(B)本発明の第一実施形態に係わる電子機器に実施可能な表面パターンの一例。(C)本発明の第一実施形態に係わる電子機器に実施可能な表面パターンの一例。 本発明の第一実施形態に係わる樹脂部品の金型を加工する製造装置の一例を示す模式図。 (A)本発明の第一実施形態に係わる樹脂部品の金型の加工工程を示した説明図。(B)本発明の第一実施形態に係わる樹脂部品の金型の加工工程を示した説明図。 (A)本発明の第一実施形態に係わる樹脂部品の金型の加工工程を示した説明図。(B)本発明の第一実施形態に係わる樹脂部品の金型の加工工程を示した説明図。 (A)実施例1に係わる樹脂部品の表面構造を示した説明図。(B)実施例1に係わる樹脂部品の表面の光学特性を示した説明図。(C)実施例1に係わる樹脂部品の断面構造を示した説明図。 (A)実施例2に係わる樹脂部品の表面構造を示した説明図。(B)実施例2に係わる樹脂部品の表面の光学特性を示した説明図。(C)実施例2に係わる樹脂部品の断面構造を示した説明図。 (A)実施例2に係わる樹脂部品全体の平面図。(B)実施例2に係わる樹脂部品の表面構造を示した説明図。(C)実施例2に係わる樹脂部品の断面構造を示した説明図。(D)実施例2に係わる樹脂部品の表面の光学特性を示した説明図。 (A)実施例3に係わる樹脂部品全体の平面図。(B)実施例3に係わる樹脂部品の表面構造を示した説明図。(C)実施例3に係わる樹脂部品の断面構造を示した説明図。(D)実施例3に係わる樹脂部品の表面の光学特性を示した説明図。 (A)実施例3に用いた金型の加工工程を示した説明図。(B)金型の切込み深さと樹脂部品の光沢強度の関係を示した説明図。 金型の製造装置の制御系のブロック図。 金型の製造装置の制御系のブロック図。 金型の製造装置の制御手順を示すフローチャート。 光沢マップの一例を示す図。 切削工具情報の一例を示す表。 金型の製造装置の、別の制御手順を示すフローチャート。 (A)実施例3に係わる電子機器の表面の光学特性を示した説明図。(B)実施例3に係わる電子機器の断面構造を示した説明図。 (A)ロゴ等を付与する加工を行った本発明の第一実施形態である樹脂部品の表面構造を示した説明図。(B)ロゴ等を付与する加工を行った本発明の第一実施形態である樹脂部品の断面構造を示した説明図。 (A)ロゴ等を付与する加工を行った本発明の第一実施形態である樹脂部品の表面構造を示した説明図。(B)ロゴ等を付与する加工を行った本発明の第一実施形態である樹脂部品の断面構造を示した説明図。 (A)従来の樹脂部品の外面の構造を示した説明図。(B)従来の樹脂部品の断面の構造を示した説明図。 (A)本発明の第二実施形態である樹脂部品の外面の構造例を示した説明図。(B)本発明の第二実施形態である樹脂部品の断面の構造例を示した説明図。 (A)第二実施形態に用いた金型の加工工程を示した説明図。(B)第二実施形態に用いた金型の加工工程を示した説明図。(C)第二実施形態に用いた金型の加工工程を示した説明図。 (A)実施例4に係わる樹脂部品の表面構造を示した説明図。(B)実施例4に係わる樹脂部品の表面の光学特性を示した説明図。(C)実施例4に係わる樹脂部品の断面構造を示した説明図。 (A)実施例5に係わる樹脂部品の表面構造を示した説明図。(B)実施例5に係わる樹脂部品の表面の光学特性を示した説明図。(C)実施例5に係わる樹脂部品の断面構造を示した説明図。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態につき説明する。なお、以下に示す構成はあくまでも一例であり、例えば細部の構成については本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当業者が適宜変更することができる。また、実施形態で取り上げる数値は、参考数値であって、本発明を限定するものではない。
以下の実施形態で示す物品は、例えば記録装置(プリンタ)など電子部品を備えた電子機器製品であって、その外装表面や、自動車などの車両の外装や内装のように、高品位な外観が要求される物品に好適に用いることができる。以下では、原稿読取装置付きのプリンタ(記録装置)の外装に用いる例を、実施形態として例示する。
(第一実施形態)
図1は、本発明を実施した物品の一例である電子機器、特にプリンタの外観図である。図1において、プリンタ1は例えば複合型プリンタであり、原稿カバー12や、筐体10の外面(外装表面)等は、所定色、例えば黒色の樹脂で成形されている。プリンタ1の外面11は、ユーザの目に触れやすい部分であり、高品位な外観が求められるため、意匠パターンが形成されている。
ここで、図2(A)と図2(B)に、従来の物品の外面の構成を例示する。図2(A)は外面11の全体を、図2(B)は図2(A)の一点鎖線部分の断面を示している。図2(A)に示すように、従来の外面11は、ロゴ等の情報を印刷等により形成可能な第一の領域30と、この第一の領域以外の領域を構成する第二の領域31から成る。
図2(A)の第二の領域31は、図2(B)に示すように、例えばそれぞれに異なる光学特性を有する凸部41(例えば図2(A)の濃色の部位)と、平坦部42(例えば図2(A)の白色の部位)から成る表面パターンが形成されている。このように、意匠性や機能性の観点から、外面11の第二の領域31には、凸部と平坦部から構成される意匠パターンを形成している。一方、図2(B)に示すように、第一の領域30には、ロゴ等を付与するホットスタンピングなどの加工を良好に行うため、意匠パターンの凸部を形成していない。このような従来構成では、意匠パターンが不連続になるため、第一の領域30と第二の領域31の境界部が目立ちやすく、意匠性が低下してしまう問題があった。
これに対して、第一実施形態では、第一の領域30と第二の領域31の境界が目立つことよる外観品質の低下を抑制するために、電子機器の筐体を構成する樹脂部品の外面11に、図3(A)および図3(B)に示すような表面パターンを設ける。図2と同様に、図3(A)は外面11の全体を、図3(B)は図3(A)の一点鎖線部分の断面を示している。
第一実施形態では、電子機器の筐体を構成する樹脂部品の外面11には、第一の領域30と第二の領域31に渡る全面に、光学特性(特に光沢度)の異なるエリアを配置して構成された意匠パターン(表面パターン)が配置される。ここで、表面パターンを構成する光沢度の異なるエリアとは、図3(B)に示すように、相対的に光沢度が低い第一の光学特性を有する非光沢部51と、相対的に光沢度が高い第二の光学特性を有する光沢部52である。
図3(A)および図3(B)において、第二の領域31においては、所定の高さよりも高い凸部41の上面の微小な凹凸が形成された領域が非光沢部51に相当し、平坦部42の面が光沢部52に相当する。第二の領域31は、図2(A)、図2(B)に示した第二の領域の表面パターンと同等の視覚的印象を観察者に与えるよう構成されている。また、第一の領域30においては、凸部41を形成せずに、平坦面上に微小な凹凸が形成された領域である非光沢部51を形成する。あるいは、第一の領域30においては、前記所定の高さ以下の凸部を形成し、その凸部の上面に微小な凹凸が形成された領域である非光沢部51を形成する。微小な凹凸が形成された領域は非光沢部51に相当し、平坦部の面は光沢部52に相当する。
本実施形態においては、相対的に光沢度が低い第一の光学特性を有する非光沢部51には微小な凹凸構造が形成され、相対的に光沢度が高い第二の光学特性を有する光沢部52には平坦面が形成されており、非光沢部51と光沢部52の表面粗さが異なる。
本実施形態では、第一の光学特性を有するエリアと第二の光学特性を有するエリアとを配列する特定の規則と、前記所定の高さ以下の凸部と前記所定の高さよりも高い凸部を形成する特定の規則とは、同じ規則である例を示す。ただし、非光沢部と光沢部は表面粗さを変えることにより形成できるので、異なる光学特性を有するエリアを配列する特定の規則と、前記所定の高さ以下の凸部と前記所定の高さよりも高い凸部を形成する特定の規則を、異なる規則にすることも可能である。つまり、凸部の配置パターンは、光学特性の異なるエリアを配置して構成された意匠パターン、つまり、第一の光学特性を有するエリアと第二の光学特性を有するエリアとを配列する特定の規則とは異なるパターンであってもよい。
上述のように、非光沢部51の上面には、入射した光が散乱するように、肉眼では視認できないかあるいはそれが困難である程度の微細な凹凸が形成されている。これに対して、光沢部52は、入射した光が正反射するように滑らかな表面が形成されている。
即ち、本第一実施形態では、非光沢部51と、光沢部52とでは、その表面の表面粗さが相互に異なっており、図3(B)に示すように、凸部41の上面(表面)には微細凹凸が形成され、平坦部42の表面は滑らかな形状を有している。
しかも、本第一実施形態では、非光沢部51と光沢部52より成る意匠パターン(表面パターン)は、第一の領域30にも形成してある。しかし、第一の領域30には、第二の領域のように高さが大きな凸部41を、形成しなくてもよい。第二の領域31の凸部の高さ、つまり平坦面から凸部の上面までの高さは、第一の領域30の凸部の高さに比して著しく小さい。
例えば、第二の領域31において、凸部41は平坦部42から40μm以上、500μm以下の範囲で隆起していることが好ましい。例えば、40μmより隆起していると成形品に指紋が付きづらくなる防汚性を付与することができる。また、500μm以上隆起していると角度によって光沢部が視認できる領域が小さくなり、意匠的な高級感が抑制される。
第二の領域31において、平坦部42と凸部41の高さの差、すなわち光沢部52と非光沢部51の高さの差は、例えば白色干渉計を用いて光沢部を基準とした非光沢部の高さを測定することで得ることができる。例えば、ZYGO社の3次元光学プロファイラーNewView7000を用いて、10倍の対物レンズで成形品の1.0mm×1.4mmの領域を10箇所測定した値の平均値と定義する。
また、非光沢部51と光沢部52の光学特性の差である光沢差は、ユーザが目視で差異を知覚できる程度であれば良いが、好ましくは光沢度で10以上の差があることが望ましい。なお、本明細書における光沢度は、JIS Z 8741の反射角60°の鏡面光沢度に基づく光沢計を用いて測定した値とする。このような光沢度の測定値は、例えば、日本電色工業株式会社製のハンディ型光沢計PG−1を反射角60°に設定し、光沢計の測光部を成形品の光沢部に当てて測定スイッチを押すことで得ることが出来る。
また、特に第一の領域30においては、非光沢部51を構成する微細凹凸の凸部と光沢部52を構成する平坦部42の高低差が、非光沢部51と光沢部52の高さの差となる。この高低差が15μm以下となるように、非光沢部51の微細凹凸を形成する。これは、15μm以下の微細凹凸であれば、個々の凹凸が目立たないような非光沢部を形成できることに加え、ホットスタンピングなどによる加工が可能であるためである。発明者らの実験によれば、最大段差が15μm以下であれば、例えば、ホットスタンピングや塗装などの転写性や定着性が低下することはなく、ロゴ、数字、文字、図形などの意匠や商標等を付与する加工が可能であることが判っている。
図20(A)、図21(A)には、文字、数字や図形、ロゴなどの情報301の一例として、第一の領域30にAという文字を付与した例の平面図を示し、図20(A)、図21(A)の一点鎖線で切った断面を、図20(B)、図21(B)に示す。情報を付与した部分の光学特性が、第一の光学特性および第二の光学特性と異なる第三の光学特性を有していると、情報を視認しやすくなるため好ましい。
ホットスタンピングで微小凹凸の上に箔を付与したり、印刷でインクを塗布すると、図20(B)に示すように、情報301を付与した部分は微小凹凸の凸部よりも若干高さが高くなる場合がある。
また、文字、数字や図形、ロゴなどの情報301を付与する際のスタンプ条件によっては、図21(B)に示すように、情報301を付与した部分は微小凹凸の凸部よりも若干高さが低くなる場合がある。
いずれにせよ、本第一実施形態によれば、文字、数字や図形、ロゴなどの情報301を第一の領域30に安定して付与する加工を行うことができる。
以上のように、本第一実施形態における第一の領域30には、第二の領域31ほどの大きさの凸部41は成形されていないものの、加工が可能な範囲の高低差である15μm以下の微細凹凸により非光沢部の表面パターンが成形されている。そして、第一の領域30と第二の領域31の両方には、境界をまたいで、光沢部と非光沢部からなる意匠パターンが連続して形成されている。このため、第一の領域30と第二の領域31の境界における意匠パターンの連続性が保たれ、境目が目立たない(視認しづらい)という効果がある。そして、第一の領域30内に、例えばロゴ、数字、文字、図形などの意匠や商標などの情報301を、ホットスタンピングなどによる加工によって付与する。その場合、本第一実施形態によると、ユーザには、第二の領域31から、第一の領域30のロゴ、数字、文字、図形などの意匠や商標などの情報の極近傍まで、意匠パターンが連続しているように知覚されるため、美観が損ねられることはない。このように、本第一実施形態によれば、光学特性の異なるエリアを配置することにより構成された意匠パターン(表面パターン)と、加工により付与されたロゴなどの情報を、樹脂部品の外面で体裁よく共存させることができる。
なお、光沢/非光沢の表面パターンによって、樹脂部品の外面11に、市松模様(例えば後述の図8(B)、図9(B)参照)のような幾何学的な意匠パターンを表現することができる。その場合、凸部(非光沢部)および平坦部(光沢部)の各エリアは、平面視で、それぞれ幅が1mm以上であることが好ましい。この幅が1mm未満であると、例えば光沢部がユーザに視認しづらくなり、意図した模様として知覚されなくなる可能性がある。
なお、樹脂部品の外面11に付与する光沢/非光沢(あるいは凹凸)の各エリアから構成される表面パターンの幾何学的構成は、市松模様に限定されない。つまり、表面パターンの幾何学的構成は、凹凸や光沢により表面パターンの模様を視認させて観察者に美観を生じさせることができれば、いかなる模様であっても構わない。
図4(A)〜図4(C)は、樹脂部品の外面11に付与する光沢/非光沢(あるいは異なる表面粗さ)の各エリアから構成される規則的な表面パターンの幾何学的構成の例をいくつか示している。図4(A)は、円形を配列した水玉模様、図4(B)は、星形を配列した星柄模様、図4(C)は三角を配列したウロコ模様を示している。このように、特定の規則に基づいて同一形状の光沢/非光沢(あるいは異なる表面粗さ)のエリアが繰り返し配列された表面パターンを採用すると、製造がし易い利点がある。図4(A)〜図4(C)の形態は、あくまでも例示に過ぎず、光沢が異なるエリア(あるいは表面粗さが異なるエリア)が交互に配置された表面パターンの構成は、これらの例に限られない。
本第一実施形態において、電子機器の筐体や外殻を構成する上記のような外面11を備えた部品の材料としては、例えばABSやHIPS(ハイインパクトポリスチレン)などの樹脂材料を使用することができる。
次に第一実施形態に係る樹脂部品の製造方法について説明する。第二の領域31と第一の領域30に上述の意匠パターン(表面パターン)が形成された第一実施形態の樹脂部品は、例えば、金型に形成されたキャビティにゲートから樹脂を充填する、いわゆる射出成形法により作成することができる(造形工程)。その後、第一の領域30に対してホットスタンピングなどによる加工を施す(加工工程)ことによりロゴ等の情報を付与すれば、プリンタなどの電子機器の筐体などとして用いることができる樹脂部品が完成する。
ここで、図5に、第一実施形態に係わる樹脂部品を成形するための金型を製造するマシニングセンタの構成を示す。図5のマシニングセンタ90は、加工機本体91と、制御装置92と、を備えている。キャビティは、金型の一部を構成する複数の駒(キャビティ駒)によって形成されていてもよい。このように、キャビティを駒によって形成すると、複雑な形状の成形品であっても、転写面を分割して加工することができるため、金型の製造コストを削減することができる。
加工機本体91は、加工対象物である金型(キャビティ駒)93に切削加工を施して、金型を製造する。加工機本体91は、切削工具94を支持する主軸であるスピンドル95、Xステージ96、Yステージ97およびZステージ98を有する。
切削工具94としては、エンドミルを好適に用いることができる。スピンドル95は、切削工具94をZ軸まわりに回転させる。Zステージ98は、スピンドル95を支持し、切削工具94を、金型93に対してZ方向に移動させる。同様に、Xステージ96は、金型93に対して切削工具94をX方向に、Yステージ97は、Y方向に移動させる。このような構成により、加工機本体91は、切削工具94を回転させながら、切削工具94の先端を金型93に対して相対的にXYZ方向に移動させることができる。
制御装置92は、CPUおよびメモリなどを有するコンピュータで構成され、加工機本体91をNCデータ99に従って制御する。NCデータ99には、X方向の移動量、Y方向の移動量、Z方向の移動量、主軸の回転速度、X方向の送り速度、Y方向の送り速度、Z方向の移動速度などの切削加工で使用する各種の指令が含まれている。制御装置92の制御により、切削工具94を回転させながら金型93に対して相対的に移動させることにより、金型93にNCデータ99に基づく三次元形状を切削加工することができる。
図6(A)、図6(B)、図7(A)、および図7(B)は、第一実施形態の樹脂部品を成形するのに用いる金型93の製造工程を示している。図6(A)は第1の金型加工工程、図6(B)は第2の金型加工工程、図7(A)および図7(B)は第3の金型加工工程を示している。
まず、図6(A)に示す第1の金型加工工程では、金型93の表面101を荒加工する。図5のマシニングセンタに切削工具としてラジアスエンドミル102を装着し、NCデータ99に基づき、ラジアスエンドミル102を回転させながら切り込ませ、走査して金型面に対して切削加工を行う。その際、表面101を第2の金型加工工程で平滑にするときの手間を省くため、第1の金型加工工程で平面度が10μm以下にすることが好ましい。
図6(B)の第2の金型加工工程では、金型93の表面101を回転式研磨工具103とダイヤモンドペーストを使って鏡面加工する。この平滑な鏡面は、樹脂に転写された時、上記の光沢部を成形することになる。ここで、第3の金型加工工程で凹部104を加工したときに凹部104の深さに差が出ないよう、第2の金型加工工程で表面101の平面度を5μm以下にすることが好ましい。
第3の金型加工工程では、ボールエンドミル106を使って金型93の表面101に加工を行う。樹脂部品に前述した第二の領域31の形状を転写するための金型部分を形成する工程が図7(A)で、第一の領域30の形状を転写するための金型部分を形成する工程が図7(B)に相当する。
図7(A)に示すように、第二の領域31に相当する金型の加工は、まず、NCデータ99に基づき、ボールエンドミル106を回転させながら切り込ませ、走査して凹部104を形成する。凹部104は、樹脂部品に転写されると凸部41となる領域である。さらに、ボールエンドミル106を走査し、凹部104の底面に微小な凹部105を複数加工する。これにより、凹部104の底面に、非光沢部である粗面を成形するための微細な凹凸が形成される。
この微細凹凸は、射出成形により樹脂部品に転写されると、凸部41上の非光沢部51の光散乱面を構成する微細凹凸(粗面)が成形される。第一の領域30に相当する金型の部位については、図7(B)に示すように、金型の表面101のうち、非光沢部51に相当する領域に微細な凹部105を複数加工する。図7(B)に示すように、第一の領域30では、図7(A)の凹部104のような大きな凹部は形成しない。図7(A)、図7(B)のように、微細な凹部105が多数形成された領域は光散乱性の非光沢部51となり、微細な凹部105が形成されていない平坦な領域は光沢部52となる。
なお、上記のような金型加工を行う金型93の材料としては、ステンレス鋼が挙げられるが、加工性や射出成形の耐久性の観点から、その他の任意の材料を用いることができる。
以上、射出成形による樹脂部品の成形、また金型の製造工程について述べたが、製造方法は上記の限りではない。上述のような第二の領域31および第一の領域30を備えた樹脂部品の成形は、上述の射出成形以外の適当な手法によって行って構わない。
以下では、第一実施形態に関して、具体的な実施例を説明する。
<実施例1>
図8(A)〜図8(C)は、実施例1に係わる樹脂部品80を説明するための図である。図8(A)は、樹脂部品80の外面の高さ分布を、図8(B)は樹脂部品80の外面の光沢分布を、図8(C)は樹脂部品80の外面近傍の断面形状をそれぞれ示している。
実施例1では、図8(B)に示すように、樹脂部品80に、光沢部85と非光沢部84を配列してなる市松模様の意匠パターンを形成した。樹脂部品80の板厚は、例えば1.6mmとした。図8(B)に示すように、市松模様のピッチは7mmとし、第一の領域81と第二の領域87に連続的に設けた。図8(C)に示すように第二の領域87における隣接する凸部82(非光沢部84)と平坦部83(光沢部85)の高低差は、光学的に大きなコントラストが得られるが、ロゴ等を付与するための加工には適さない50μmとした。後工程でロゴ等を付与するための加工を行う中央の第一の領域81では、加工に影響しないよう、非光沢部84と光沢部85の高低差、すなわち光沢部85の平坦面に対する非光沢部84の微細凹凸の高さを、5〜15μmとした。
図8(B)に示すように、市松模様の意匠パターンは、非光沢部84(光沢度は30)と光沢部85(光沢度は80)を配列した光沢パターンによって構成される。図8(C)においては、第二の領域87では、凸部82が非光沢部84に相当し、平坦部83が光沢部85に相当する。非光沢部84である凸部82の上面には5μmの高さの微細凹凸を成形し、光沢度が30となるよう構成した。また、光沢部85は微細凹凸を成形しない平坦面とし、光沢度が80となるようにした。尚、上述したように、非光沢部84と光沢部85による市松模様の光沢パターンは第一の領域81にも形成しているが、高さ分布を示す図8(A)では、図示の便宜のため、第一の領域の市松模様を省略している。
図8(A)〜図8(C)を参照して説明した樹脂部品80を成形する金型の材料はステンレスを使用した。そして、上述のように図5に示すマシニングセンタにラジアスエンドミルを取り付けて荒加工を行い、回転式研磨工具とダイヤモンドペーストを用いて鏡面加工を施した。その後、図6〜図7に示したようにボールエンドミルを用いて、非光沢部84、光沢部85の市松模様を成形するための凸部82、微細凹凸、平坦部83の反転形状を金型に形成した。その後、製造した金型を用いて射出成形を行い、樹脂部品80を得る。なお、樹脂材料はHIPSで例えば黒色の材料を使用した。
さらに、樹脂部品の第一の領域81にロゴ等を付与するための加工を行ったが、非光沢部84と光沢部85の高低差が5〜15μmと小さいため、安定して加工を行うことができた。
本実施例で得られた樹脂部品80の外面について、標準的な視力の人に目視により観察させ、第一の領域と第二の領域の境界において、意匠パターンの不連続性(ギャップ)を知覚できるかを評価した。その結果、樹脂部品を観察する角度により、知覚結果にばらつきも認められたが、樹脂部品80の外面全体に渡り、図8(B)のような市松パターンが維持されているため、第二の領域87と第一の領域81の境界が目立ち難くなっていることが確認された。特に、第一の領域に光沢パターンを成形しない図2(A)に例示したような従来手法による樹脂部品と比較すると、境界の見た目のギャップ、違和感が大幅に抑制されていることが確認できた。
<実施例2>
図9(A)〜図9(C)は、実施例2に係わる樹脂部品80を説明するための図である。図9(A)は、樹脂部品80の外面の高さ分布を、図9(B)は樹脂部品80の外面の光沢分布を、図9(C)は樹脂部品80の外面近傍の断面形状をそれぞれ示している。
図9(B)に示すように、本実施例の市松模様の大きさやピッチは、図8(B)に示した実施例1と同様である。実施例1と異なるのは、中央の第一の領域81と周辺の第二の領域87の間に、移行領域86を設けた点にある。この移行領域86では、図9(A)に示したように、第二の領域87側から第一の領域81側に近付くほど、凸部82の高さが単調減少するように構成してある。
具体的には、移行領域86を縦横28mm(市松模様4ピッチ分)に設定し、第二の領域87から第一の領域81に7mm(1ピッチ分)近付くにつれて凸部82の高さを10μm減らした。第一の領域81においては、ロゴ等を付与するための加工に影響しないよう、非光沢部84と光沢部85の高低差は、光沢部85の平坦面に対する非光沢部84の微細凹凸の高さ5μmとした。光沢パターンについては、実施例1と同様に、凸部あるいは微細凹凸が非光沢部84に該当し、平坦部83が光沢部85に該当する。非光沢部84の光沢度は30、光沢部85の光沢度は80である。図9(B)に示すように、非光沢部84と光沢部85による光沢パターンは第一の領域81と移行領域86を含む外面全面に成形した。第一の領域81、第二の領域87、および移行領域86を含む樹脂部品を側面から見た高さ構造は、図9(C)のようになっている。尚、上述したように、非光沢部84と光沢部85による市松模様の光沢パターンは第一の領域81にも形成しているが、高さ分布を示す図9(A)では、図示の便宜のため、第一の領域の市松模様を省略している。
金型の材料はステンレスを使用し、上述のように図5に示すマシニングセンタにラジアスエンドミルを取り付けて荒加工を行い、回転式研磨工具とダイヤモンドペーストを用いて鏡面加工を施した。その後、図6(A)、図6(B)、図7(A)、図7(B)に示したようにボールエンドミルを用いて、非光沢部84、光沢部85の市松模様を成形するための凸部、微細凹凸、平坦部の反転形状を金型に形成した。その後、製造した金型を用いて射出成形を行い、樹脂部品80を得る。なお、樹脂材料はHIPSで例えば黒色の材料を使用した。
さらに、樹脂部品の第一の領域81にロゴ等を付与するための加工を行ったが、非光沢部84と光沢部85の高低差が5μmと小さいため、安定して加工を行うことができた。
本実施例で得られた樹脂部品80の外面について、標準的な視力の人に目視により観察させ、第一の領域と第二の領域の境界において、意匠パターンの不連続性(ギャップ)を知覚できるかを評価した。その結果、樹脂部品を観察する角度により、知覚結果にばらつきも認められたが、樹脂部品80の外面全体に渡り、図9(B)のような光沢パターンが維持されていた。しかも、第二の領域87から第一の領域81に向けて凸部の高さが段階的に変化することで、実施例1よりもさらに境界が目立ち難くなっていることが確認された。
<実施例3>
実施例2では、中央の第一の領域81と周辺の第二の領域87の間に、移行領域86を設け、この移行領域86では、図9(A)に示したように、第一の領域81に近付くほど凸部82の高さが単調減少するように構成した。具体的には、移行領域86を縦横28mm(市松模様4ピッチ分)に設定し、第二の領域87から第一の領域81に7mm(1ピッチ分)近付くにつれて凸部82の高さを10μm減らした。
実施例3は、いわゆるヘアライン模様のように、各凹凸の幅が小さく、凹凸の高さを変化させると、光沢強度が変化してしまう形状パターンの例である。
まず、図10(A)〜図10(D)を参照して、従来の原稿カバーにおける外面11の構成例を示す。図10(A)は外面11の全体平面を示しており、この外面11には、実施例2と同様に、第一の領域81、周辺の第二の領域87、両者の間に移行領域86が設けられている。第二の領域87には全面に所定の高さのヘアライン凹凸が構成され、移行領域86には、凹凸の高さが異なる6つのヘアライン領域が配置され、第一の領域81に近づくにつれ、凹凸が漸次低くなるように構成されている。図10(B)は、移行領域86の局所領域1001における凹凸の高さが異なる6つのヘアライン領域、領域21〜領域26を示している。上述したように、ヘアラインのような凹凸の幅が小さい構造の場合は凹凸の高さによって光沢強度が変化してしまうため、本実施例では、各々の領域21〜領域26の光沢強度も漸次変化する。また、図10(C)は、移行領域86の領域21〜領域26の断面を、図10(D)は領域21〜領域26の各領域の光沢度分布を示している。
図10(C)に示すように、加工制御などの容易性を考慮して、外面11に構成される粗面の凹凸の高低差が領域21〜領域26の順でほぼ線形(例えば1次関数に従って)に小さくなるように構成されている。なお、外面11に構成される粗面の凹凸の解像度、例えば1インチあたりの凸部(凹部)の数はそれぞれ30個(1つの凸部・凹部の幅が約420um)とし、領域21〜領域26の各々で、ほぼ等しいものとする。
この例のように、各凹凸の幅が1mmよりも小さい場合、凹凸の高さを変えると当該凹凸の集合体で構成されるマクロ領域の光沢が変化する。すなわち、領域21〜領域26の各領域で段階的に凹凸の高さを変えると、それぞれの領域の光沢度が段階的に変化する。例えば60度鏡面光沢度(JIS Z 8741)を測定する光沢計により光沢度を測定すると、多くの場合、各々の領域21〜領域26の光沢度は、図10(D)に示すような非線形な変化を示す場合が多い。即ち、図10(A)〜図10(D)の例では、外面11を構成する粗面の凹凸の高低差が直線(1次関数)的に変化するパターンであるが、光沢度の変化は非線形になっている。なお、図10(B)では、左方の濃色の領域21から右方の薄色ないし白色の領域26へと、粗面の凹凸の高低差が小さくなるように取られている。このような構成では、左方の濃色の領域21から右方の薄色ないし白色の領域26にむけて、平坦部である凹凸の底面がより多く露出するようになるため、反射光が増大し、より大きな光沢度として観察者に知覚される。
このように、樹脂部品の外面11において、第二の領域からロゴ等を形成する第一の領域に向けての光沢度の変化のしかたが非線形であると、観察者の知覚上、スムーズさの点で意匠的な効果が十分に得られない場合がある。なお、ここでは、外面11に構成される粗面からなる領域21〜領域26の各々の幅(各領域の配列方向に沿った大きさ:図10(B)の左右方向)は、最低でも10mm程度よりも大きいものとする。もし、外面11に構成される粗面からなる領域21〜26の各々の幅が10mm程度よりも小さいと、観察者には、各領域に作成された粗面の高低差は、例えば隣接する領域同士で比較しても識別がかなり難しくなる。
図11(A)〜図11(D)は、実施例3の樹脂部品を説明する図である。図示の様式は図10(A)〜図10(D)と同様である。図11(A)は外面11の全体平面を示しており、図11(B)は移行領域86の局所領域1001における凹凸の高さが異なる6つのヘアライン領域、領域31〜領域36を示している。図中の領域31〜領域36の光沢度は、図11(D)に示すように、領域から領域へと、順次、線形に変化するよう構成されている。このため、領域31〜領域36を構成するヘアライン凹凸の高さは、領域から領域へと非線形に変化するように構成されている。
なお、図11(D)のグラフの縦軸に示す光沢強度は、図9(C)と同様にJIS Z 8741の反射角60°の鏡面光沢度に基づく光沢計を用いて光沢度を測定した値とする。例えば、ある種の光沢計、日本電色工業株式会社製のハンディ型光沢計PG−1(製品名)では、測定光の反射角を60°に設定し、光沢計の測光部を成形品の光沢部に当てて測定スイッチを押すことで測定できる。
このように、実施例3における樹脂部品は、第二の領域からロゴ等を形成する第一の領域に向けての光沢度の変化のしかたが、領域から領域へと均等(線形)になるよう成形されている。なお、図11(C)において、高低差の異なる粗面で構成された領域31〜領域36(光沢部)の幅(各領域の配列方向に沿った大きさ:図11の左右方向)は、最低でも10mm以上とする。また、観察者に知覚される各領域の光沢度の変化がなるべく均等になるよう、各領域の幅はほぼ等しく取るのが望ましい。
以上のように、実施例3の樹脂部品は、移行領域内の光沢度の変化が線形になるように、各領域における平坦部に対する凸面の高さが定められている。このような樹脂部品では、外面11の第一の領域から第二の領域に至るまでの光沢強度の変化が線形に保たれるため、意匠パターンの不連続性(ギャップ)を提言することが出来る。
なお、金型により製造される樹脂部品の材料としては、例えばABSやHIPS(ハイインパクトポリスチレン)などの樹脂が考えられるが、特に樹脂の種類によって本発明の実施が限定されるものではないのはいうまでもない。
(射出成形金型の製造方法)
本実施例の樹脂部品は、その表面に、高低差の異なる凹凸を有する粗面で構成された複数の領域を配置しているが、この樹脂部品は、金型を用いた射出成形によって形成するものとする。そのための射出成形金型を製造する場合、本実施例では金型面に粗面を成形する切削工具の切削部の寸法と、金型によって複数の領域のうち特定の領域に与える光沢度と、に応じて、その領域に対応する金型面を切削する場合の切削工具による切削深さを制御する。また、より詳細には、下記の金型加工制御では、切削部の寸法と、切削工具による切削解像度と、金型の切削により樹脂部品の外面に得られる光沢度と、を関係づける光沢制御情報(光沢マップ情報)を用いる。
第一実施形態で説明したように、図5に示したマシニングセンタを用いて、実施例3の射出成形金型を製造する。図6(A)を参照して説明した第1の金型加工工程、図6(B)を参照して説明した第2の金型加工工程については、第一実施形態の説明と同様であるので、ここでは省略する。
図12(A)は、実施例3の金型93を製造する第3の加工工程を示し、図12(B)は第3の加工工程における切込み深さと光沢度の関係を示している。
図12(A)に示すように、第3の加工工程では、金型93の表面101に、切削工具としてボールエンドミル106を用い、樹脂部品に凸部として転写される凹部を切削加工する。この第3の加工工程では、ボールエンドミル106を回転させながら切り込み走査して、凹部1601〜凹部1606を形成する。凹部1601〜凹部1606は、樹脂部品の領域31〜領域36に形成される凸部に各々対応する。なお、図12(A)は、図示を容易にするため、樹脂部品の領域31〜領域36に凸部として転写される深さの異なる凹部を、領域ごとに1つずつしか示していない。しかしながら、実際には、凹部1601〜凹部1606は、各領域にそれぞれ所定の解像度で多数個が形成される。
上記の加工の対象である金型93の材料としては、加工性や射出成形の耐久性の観点からステンレス鋼などが好適であるが、金型の材料は任意であり、真鍮や鋼材、その他の任意の材料を用いてよい。
以下では、上記の第3の加工工程における切削工具(例えばボールエンドミル106)のZ方向の移動量、即ち凹部1601〜凹部1606の切削深さの決定方法の例を示す。樹脂部品の外面11の各領域に付与する光沢と対応づけて、各領域に対応した凹部の切削深さを決定する。
(金型の製造例1)
金型の製造例1では、図5のマシニングセンタにおいて、NCデータ99に基づくZ方向の移動量決定処理は、制御装置92を構成するCPUを中心とした制御系と、その制御プログラムによって実行できる。図13に、図5の制御装置92の具体的な構成例を示す。
図13の制御系は、主制御手段としてのCPU601、記憶装置としてのROM602、およびRAM603を備える。ROM602には、後述する製造手順を実現するためのCPU601の制御プログラムや定数情報などを格納しておくことができる。上記のNCデータ99(図4)、特に後述の光沢マップなどのテーブルデータは、例えばROM602に格納しておくことができる。また、RAM603は、その制御手順を実行する時にCPU601のワークエリアなどとして使用される。なお、後述の制御手順を実現するためのCPU601の制御プログラムは、不図示のHDDやSSDなどの外部記憶装置や、ROM602の(例えばEEPROM領域)のような記憶部に格納しておくこともできる。
その場合、後述の制御手順を実現するためのCPU601の制御プログラムは、例えばネットワークインターフェース606を介して、上記の各記憶部に供給し、また、新しい(別の)プログラムに更新することができる。ネットワーク607を介して通信するためのネットワークインターフェース606は、例えばIEEE 802.3のような有線通信、IEEE 802.11、802.15のような無線通信による通信規格で構成することができる。
あるいは、後述の制御手順を実現するためのCPU601の制御プログラムは、各種の磁気ディスクや光ディスク、フラッシュメモリなどの記憶手段と、そのためのドライブ装置を経由して、上記の各記憶部に供給し、またその内容を更新することができる。上述の制御手順を実現するためのCPU601の制御プログラムを格納した状態における各種の記憶手段、記憶部は、本発明を実施する制御手順を格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を構成することになる。また、必ずしも必須の構成ではないが、図13の制御系には、UI装置(ユーザーインターフェース装置)が接続されていてもよい。このUI装置は、例えば、ハンディターミナルのような端末、あるいはキーボード、ディスプレイ、ジョグダイアル、ポインティングデバイスなどのデバイス(あるいはそれらを備えたから成る制御端末)によって構成することができる。
図5の加工機本体91の切削工具94に係る各駆動部、例えば、スピンドル95、Xステージ96、Yステージ97およびZステージ98などは、図13のドライバ605を介して制御される。例えば、CPU601は、インターフェース604を介してドライバ605に与える駆動制御データを変更することにより、加工機本体91の上記各部を制御する。CPU601は、切削工具94(例えば図6(A)におけるボールエンドミル)の回転数や、切削工具94のZ方向の移動量、即ち凹部1601〜凹部1606の切削深さなどを決定して制御する。
図14は、例えば図13のように構成された制御装置92の機能的な構成を示している。図14の機能ブロックは、例えば図13の制御系のハードウェア上において、CPU601が実行するソフトウェア、例えば、切削工具94のZ方向の移動量を決定する移動量決定プログラム701により実現される。
図14において、移動量決定プログラム701は、光沢マップ入力部702、ボールエンドミル情報入力部703、移動量算出部704、ボールエンドミルデータベース705、データ出力部706から構成される。
以下、図15のフローチャートを用いて、図14の移動量決定プログラム701の動作を説明する。図15の制御手順は、データ出力部706(切込み深さマップ出力部)を介して加工機本体91を制御するために出力させる切込み深さマップを作成する処理である。切込み深さマップは、図16の光沢マップ9の各画素位置について、その位置で行うZ方向の切削深さ(切込み深さ)の情報を有する。データ出力部706の機能は、例えば図13においてはインターフェース604およびドライバ605の部分に相当する。実際の切削制御では、CPU601は、図15の手順で作成した切込み深さマップの格納値に応じて、光沢マップ9の各画素位置のZ方向に係る切削深さ(切込み深さ)の情報を読み出す。そして、この切削深さ(切込み深さ)から加工機本体91の各部を制御する駆動情報を作成し、インターフェース604およびドライバ605を介して加工機本体91の各部に出力する。
図15のステップS801〜S803のループは、光沢マップ9を2次元走査して、各画素について光沢度から切込み深さを算出するものである。ここでは、まず、ステップS801では、光沢マップ入力部から光沢マップ9を取得する。光沢マップ入力部702は、例えば、図13のROM602や不図示の外部記憶装置、ネットワーク607上のサーバなどから図16に示すような光沢マップを読み出し、移動量決定プログラム701にロードする機能に相当する。
図16の光沢マップ9は、画像データ、例えばビットマップに類似のデータ形式により構成できる。光沢マップ9は、樹脂部品の外面11の特定位置に相当する多数の画素191を構成要素として有する。例えば、画素191は、例えば8ビットで表現された例えば0〜100の光沢度値光沢度データを保持している。光沢マップ9は、金型93によって成形する特定の樹脂部品の外面の意匠、特にその各領域(31〜36…)の光沢度分布に応じたデータ構成を有する。即ち、各々の画素191が持つ光沢度は、意匠上、金型93によって成形する樹脂部品の外面11の特定位置に与えるべき光沢度に応じて決定されている。なお、図16では、簡略化のため、光沢マップ9を矩形の領域面を有する2次元のマップとして図示しているが、実際には、特定の樹脂部品の外面の形状に対応したデータ構成となるのはいうまでもない。
図15のステップS802では、例えば移動量算出部704により、光沢マップ9上の画素位置(x,y)に与えるべき光沢度に応じて、その画素位置(x,y)における切込み深さを算出する。ここでは、例えば、切削工具情報としてのボールエンドミルデータを用いて、必要に応じて補間処理を行い、その画素位置(x,y)における切込み深さを算出する。
切削工具情報としてのボールエンドミルデータの一例を、図17に示す。図17の切削工具情報(ボールエンドミルデータ)は、金型に切削する凹部の解像度と、切削工具の刃径ごとに、その工具による切込み深さに関連づけられた光沢度を格納したものである。このような切削工具情報としてのボールエンドミルデータは、種々の刃径を有するボールエンドミルを用い、種々の深さの金型の切削〜樹脂部品の射出成形〜光沢計による樹脂部品外面の光沢度を実測する実験などを行って、予め作成しておく。
なお、図17では、簡略化のため、100dpi〜1200dpiの間の格納域を省略しているが、もちろん、この範囲には、金型製造工程で使用が想定される解像度および切削工具に応じたデータを格納しておくのが望ましい。また、図17では、切込み深さに関しても、0.005(5μm)、0.02(20μm)、0.05(50μm)、0.1(100μm)、0.2(200μm)…のような範囲の値しか図示されていない。しかしながら、金型製造工程で想定される切込み深さについて測定を行ってデータを格納しておくのが望ましい。また、図17の工具情報で該当する切込み深さのデータを検索できない場合に備えて、適当なデータ範囲から得た近似値を演算する、あるいは補間によって該当する切込み深さの値を演算できるようにしておく。
図15のステップS803では、光沢マップ9の全ての画素位置に対して切込み深さを算出したか否かを判定する。ここで、全ての画素位置に対して切込み深さを算出した場合には、図15の切込み深さマップの生成処理を終了する。全ての画素位置に対する切込み深さの算出が終了していなければ、対象の画素位置を更新し、ステップS801に復帰して上記の処理を繰り返し実行する。
以上のように切削した金型面を有する金型で樹脂部品を成形することにより、図11(C)に示すように、その樹脂部品の外面11の各領域(31〜36…)には、線形に遷移するような光沢度の変化(光沢度分布:光沢パターン)を与えることができる。例えば、ある樹脂部品の外面11の各領域(31〜36…)に対応して、図11(C)に示すような光沢度分布(光沢パターン)を有する光沢マップ9が与えられたとする。上記の手順、工程によれば、光沢マップ9に基づき、また、切削工具情報としてのボールエンドミルデータを参照して、図11(B)に示すような各領域(31〜36…)の凹凸の高低差を転写可能な切込み深さの分布で、金型面を切削することができる。
従って、製造した金型で成形した樹脂部品は、外面11の複数の領域31〜領域36の配列方向に関して、隣接する領域の光沢度が線形に変化するように複数の領域の前記粗面の高低差が、領域ごとに異なる大きさに定められたものとなる。そして、上述のようにこのような樹脂部品では、外面11の光沢変化量の均一性が保たれ、複数の領域の配置されている方向に、スムーズに光沢度が変化する。従って、本第一実施形態の制御によれば、意匠性に優れ、また新規な意匠を有する樹脂部品を提供でき、また、このような樹脂部品を外装の一部として有する図1のプリンタなどの電子機器の意匠性を大きく向上することができる。
(金型の製造例2)
金型の製造例1では、図16の光沢マップ9と、図17の切削工具情報としてのボールエンドミルデータを参照し、切込み深さマップを算出する手法の基本構成を説明した。しかしながら、各種の製造条件に応じて例えば金型切削に使用できるボールエンドミルの刃径などの仕様が決定されていて変更できないような状況が生じることが考えられる。そのような場合、例えば入力解像度と、ボールエンドミルのドリル径の関係などによっては、所望の光沢を得るための切込み深さが得られない事態が予想される。そこで、金型の製造例2では、例えば使用可能な、あるいは使用すべき切削工具の条件と切削工具情報に応じて、デサイナーなどの希望に応じて作成された光沢マップの光沢度値を再構成する制御例について説明する。
本製造例でのNCデータ99におけるZ方向の移動量決定処理に必要な制御系と、その機能構成は例えば図13や図14に示したものと同様である。本製造例における移動量決定プログラム701の制御手順は、例えば図18のように構成される。図18の制御手順は、図15の制御手順と同様に、データ出力部706を介して加工機本体91を制御するために出力させる切込み深さマップを作成する処理である。
図18のフローチャートのステップS1101では、光沢マップ入力部702から光沢マップ9(図16)、および切削工具情報としてのボールエンドミルデータ(図17)を取得する。
次にステップS1102では、光沢マップ9から、格納されている光沢度の最大値GMmaxと最小値GMminを取得する。また、以下では、ボールエンドミルデータ(図17)の最大光沢度をGBmax、ボールエンドミルデータの最小光沢度をGBmin、補正後の最大光沢度をGCmax、補正後の最小光沢度をGCminとする。また、補正前光沢度をGin、補正後光沢度をGoutとする。補正後の最大光沢度であるGCmaxにGMmaxを、補正後の最小光沢度であるGCminにGMminを、初期値として設定する。
ステップS1103では、ボールエンドミルデータの最大光沢度GBmaxと入力された光沢度の最大値GMmaxを比較し、ボールエンドミルデータの最大光沢度GBmaxの方が小さければステップS1104へ、そうでなければステップS1105へ進む。ステップS1104では、補正後の最大光沢度GCmaxに最大光沢度GBmaxを設定する。
ステップS1105では、ボールエンドミルデータの最小値GBminと前記入力された光沢度の最小値GMminを比較し、ボールエンドミルデータの最小値GBminのほうが大きければステップS1106へ、そうでなければステップS1107へ進む。ステップS1106では、補正後の最小光沢度GCminにGBminを設定する。
ステップS1107〜S1109のループは、光沢マップ9を2次元走査して、各画素について光沢度から切込み深さを算出するものである。まず、ステップS1107では、例えば数式(1)により、注目画素の入力光沢度を補正、変換する。
数式(1)は、切削工具によって得られる最大および最小の光沢度に合わせて、光沢マップ9の最大および最小の光沢度の範囲を変更し、その倍率に応じて特定画素の光沢度情報を補正するものである。そして、ステップS1108では、ステップS1107で補正した画素位置(x、y)における光沢度とボールエンドミルデータから補間によって切込み深さを算出する。
ステップS1109では光沢マップ9の全ての画素位置に対して切込み深さを算出したか否かを判定する。ここで、全ての画素位置に対して切込み深さを算出した場合には、図18の切込み深さマップの生成処理を終了する。全ての画素位置に対する切込み深さの算出が終了していなければ、対象の画素位置を更新し、ステップS1107に復帰して上記の処理を繰り返し実行する。
以上のようにして、切削工具によって得られる最大および最小の光沢度に合わせて、光沢マップ9の各画素における光沢度を補正した上で、その光沢度を得られる切込み深さの値を持つ切込み深さマップを生成することができる。従って、使用しなければならない切削工具の制限に応じて、光沢マップ9の光沢度範囲のスケールを圧縮し、その切削工具で可能な光沢度分布(光沢パターン)を付与することができる、切込み深さの値を持つ切込み深さマップを生成することができる。
従って、例えば、光沢マップ9の光沢度範囲が切削工具により制限される光沢度範囲を超過し、切削した金型により領域(31〜36)が転写される樹脂部品の外面の端部に到達する手前で光沢度が最大値/最小値に到達してしまうような事態を回避できる。従って、その切削工具で可能な光沢度の範囲内で、光沢マップ9の光沢度分布の全体の印象に近似した、光沢度分布を樹脂部品の外面に与えることができる金型を製造することができる。
図19(A)、図19(B)は、上記のような金型加工制御を行って製造した金型を用いて成形した樹脂部品の一例を示している。原稿カバー12として用いられる樹脂部品の外面には、図11(A)の樹脂部品の外面11の領域31〜領域36にそれぞれ相当する領域1201〜領域1206が配置されている。図19(A)は、領域1201〜領域1206の光沢分布を示している。また、図19(B)は金型の凹部が転写されることで形成された粗面(凹凸)の高低差が判るように領域1201〜1206を側面方向から示している。図19(A)、図19(B)の例では、板状の厚さ16mmの樹脂部品に、金型の凹部が転写されることで形成された異なる高低差を有する粗面から成る領域、すなわち光沢度の異なる領域1201〜領域1206が配列されている。
なお、図19の樹脂部品の成形に用いた、金型切削のためのボールエンドミルと光沢度を格納した切削工具情報は図17のものと同等である。図19の例では、解像度は100dpi、金型切削に用いた切削工具(ボールエンドミル)の刃径は0.2mmである。また、領域1201〜1206の配列方向の幅(配列ピッチ)は60mmとした。
図19(A)の各々の領域1201〜1206の光沢度マップの設定は、30〜80(10刻み)の範囲に取られている。そして、図17のような切削工具情報を参照することにより、次のように金型の切込み深さを選択することにより光沢度マップで設定した所期の光沢度を得ることができる。例えば、領域1201では切込み深さ38μmが選択され、これにより光沢度は30に制御されている。領域1202では切込み深さが30μmが選択され、これにより光沢度は40に制御されている。領域1203では切込み深さが23μmが選択され、これにより光沢度は50に制御されている。領域1204では切込み深さが16μmが選択され、これにより光沢度は60に制御されている。領域1205では切込み深さが10μmが選択され、これにより光沢度は70に制御されている。領域1206では切込み深さが5μmが選択され、これにより光沢度は80に制御されている。
金型の材料にはステンレスを使用し、図5のマシニングセンタにはラジアスエンドミルを取り付けて図6(A)で説明した荒加工を行い、回転式研磨工具とダイヤモンドペーストを用いて図6(B)で説明した鏡面加工を施した。その後、ボールエンドミルを用いて、図19の上記のような領域1201〜1206から成るステップ模様の反転形状を金型に加工した。その後、製造した金型を用いて射出成形を行い、上記のような光沢度分布を備えた樹脂部品を得ることができる。射出成形する樹脂材料には、例えば黒色のHIPSを使用した。
上記のようにして得られた樹脂部品の外面について、標準的な視力の観察者に目視により観察させ、ステップ間光沢における偏りを評価したが、製造された樹脂部品の外面では、ギャップが目立ち難くなっていることが確認された。製造された樹脂部品では、領域1201〜1206では光沢度変化が線形、即ち、等幅の領域1201〜1206の光沢度の差分が均等に維持されているため、このような良好な結果が得られた、と考えられる。
尚、図19の例では、異なる光沢度を与える領域1201〜領域1206において、隣接する領域の光沢度の偏差が10になるように決めた例を示したが、領域間の光沢差は任意の値を設定してよい。また、実施例3では、知覚上、隣接する領域の光沢度の変化がほぼ線形に変化するような構成を例示したが、上述のような加工制御によれば、線型変化以外の任意の変化態様で隣接して配置する領域の光沢度を変化させることができるのはいうまでもない。
また、図17の切削工具情報は、ボールエンドミルデータの特定の刃径と、切込み深さと、によって得られる光沢度を関係づける情報で、この関係付け情報は例えばメモリ上に配置したデータテーブルによって構成されている。しかしながら、このような切削工具情報は必ずしもデータテーブルのような形式ばかりではなく、例えば下記の数式(2)に一例を示すような関数(数式)の形式で表現されていてもよい。
数式(2)において、Dは切削工具の刃径、apは切込み深さ、rezは切削する凹部(成形される樹脂部品においては突起)の解像度、Gは鏡面加工(図6(B))済みの金型93の光沢度である。この光沢度G(D,ap)の数式(2)は、光沢度Gを有する金型93の素材の鏡面を切削して凹部を作成し、樹脂部品に円筒状の突起として転写した場合に、光沢度Gをどれだけ低下させるかを示した関数式に相当する。
また、以上では、光沢マップの各画素に同じ形状の突起(金型面では凹部)を配列されているような粗面を想定した。しかしながら、樹脂部品の外面に作成する粗面の構造は、上記のような単純な突起による構造に限定されない。例えば、光沢マップの複数画素に相当する、所定のマトリクス状に配置した数個〜数10個の異なる高さ、深さを有する突起や凹部を構成単位として、粗面が構成されていても構わない。その場合、突起のみならず、凹部形状も用い、複数画素領域のトータル光沢度が同一になるよう凹、凸の形状を組み合わせても良い。このような構造によれば、空間周波数の異なるパターンを利用することでより自由度の高い光沢制御を行える可能性がある。
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステムまたは装置に供給しそのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
以上に示した第一実施形態、実施例においては、非光沢部と凸部、光沢部と平坦部が対応付けられた表面パターンを例示した。しかしながら、表面パターンの構成、例えば、光沢と凹凸の対応関係は、以上に示した構成に限定されるものではない。例えば、意図した意匠に応じて上述と逆に、非光沢部と平坦部、光沢部と凸部が対応付けられていても良いことは言うまでもない。この場合、樹脂部品には平坦部に例えば微細凹凸が成形されるように製造することになる。
この場合であっても、第一の領域と第二の領域を外面に備えた樹脂部品の外面には、光学特性の異なるエリアが特定の規則に基づき配列されて成る表面パターンが、第一の領域と第二の領域とに連続して配置される。第一の領域の表面パターンにおける光学特性の異なるエリアどうしの高低差が、第二の領域の表面パターンにおける光学特性の異なるエリアどうしの高低差よりも小さい樹脂部品が形成される。
また、以上に示した第一実施形態、実施例においては、樹脂部品の全面に渡り、同一サイズ、同一形状の単位エリアの繰り返し配置によって意匠パターン、光沢パターン、あるいは凹凸パターンが構成されていた。しかしながら、パターンの単位エリアの構成は、必ずしも同一でなくても良い。本発明は、第一の領域にロゴ等を付与するための加工に影響する表面パターン上の高低差の問題を解決するものであって、例えば、空間周波数の異なるパターン配置であっても本発明は適用できる。例えば、光沢パターン配置の空間周波数を、非光沢パターン配置の空間周波数よりも高い構成とすることが考えられ、このような構成によると、高低差の大なる領域と、高低差が小さい領域の間の境界の見た目のギャップを良好に低減できる。これは、低周波なパターンよりも高周波なパターンの方が視覚上、観察者の注意を引くためである。
また、以上では、光学特性が異なるエリアを配置してなる意匠パターンが形成された樹脂部品にロゴ等を付与する加工として、ホットスタンピングを行う例を示した。しかしながら、数字、文字や図形、ロゴなどのための加工は、ホットスタンプの他、印刷、塗装、ないしシールやステッカなどの情報担持部材の貼付など、任意の手法によって行うことができる。これらの加工は、いずれも樹脂部材の外面が大きな高低差を有していると、良好な結果を得られない場合がある。従って、他の手法による加工を行う場合は、第一の領域の最大の高低差を、その加工法を安定的に行うことができる高低差、例えば50μm以下にすることにより良好な結果を得られる。
また、樹脂部品を成形する金型を切削加工により製造していたが、金型の加工方法はこれに限定されない。例えばレーザー加工機など、他の加工方法を用いて金型を製造しても良い。また、本発明の樹脂部品の造形には、必ずしも金型による射出成形を用いる必要はない。例えば、樹脂材料を用いて、3Dプリント技術によって、光学特性が異なるエリアを立体的に造形して樹脂部品を製造しても良い。
(第二実施形態)
第二実施形態として、本発明の物品が、曲面部を有する例について説明する。第一実施形態と共通する部分については省略し、異なる部分について主に説明する。
図22は、従来の原稿カバーにおける外面2011の例を示している。図22(A)は外面2011の全体平面を、図22(B)は図22(A)の破線領域の断面構成を示している。図22(A)の外面2011は、平面部2030(第1の部分)と、この平面部2030の4辺を包囲する曲面部2031(第2の部分)から成る。曲面部2031は、第1の部分である平面部2030に対して傾斜した第2の部分である。
また、図22(A)の平面部2030の表面パターンは特定の規則に基づき配列されて成る表面パターン、例えば市松模様で、外面2011の例えば射出成形時に形成された凸部が特定の規則によって配列されることで凹凸構造が形成される。この凹凸構造は、図22(B)の黒色で示した凸部2041、および白色で示した凹部(平坦部)2042に相当する。図22(A)、(B)に示すように、平面部2030には、意匠性や機能性の観点から全面に凹凸が成形されている。意匠的には、曲面部2031にも、平面部2030の凸部2041、平坦部2042から成る規則的な高低差を有する表面パターンと同じ表面パターンを連続して設けるのが望ましいが、従来は設けていない。
というのも、曲面部2031にも凸部2041、平坦部2042から成る同じ表面パターンを成形してしまうと、射出成形における離型の際に、離型方向(図22(B)の上向き方向)に対して離型を阻害するアンダーカットとなる可能性が高いからである。そのため、この従来構成では、曲面部2031には、凹凸から成る表面パターンを形成していない。これにより、平面部2030と曲面部2031の境界において、装飾面としての表面パターンの連続性が失なわれ、見た目にギャップが生じ、意匠性が低下してしまう。
これに対して、本実施形態では、例えば離型方向と法線の方向が一致する平面部2030(第1の部分)と、この面に対して傾斜した曲面部2031(第2の部分)と、で、装飾面としての表面パターンの連続性を保てる構造を提供する。本実施形態では、樹脂部品の外面2011において、装飾面を構成する表面パターンとして、高低差を備えた凹凸パターンと光沢パターンを組み合せた構造を用いる。ここでいう光沢パターンとは、光学特性の異なるエリアが特定の規則に基づき配列されて成るものである。
図23(A)に、本実施形態の外面2011を示す。図23(A)は外面2011の全体平面を、図23(B)は図23(A)の破線領域の断面構成を示している。図23(A)、図23(B)に示すように、本実施形態の外面2011は、平面部2030(第1の部分)と、この面に対して傾斜した曲面部2031(第2の部分)と、で構成されている。
平面部2030(第1の部分)、および曲面部2031(第2の部分)は、いずれも第一の光学特性を有する低光沢部2051と第二の光学特性を有する光沢部2052から成る光沢パターンを有する。また、平面部2030(第1の部分)に凸部2041が特定の規則に基づき配列された凹凸パターンを有する。本実施形態では、光沢パターンと凹凸パターンと組み合せ(関連付け)て構成した表面パターンを備える例を示す。つまり、例えば、図23(B)に示すように、平面部2030(第1の部分)では、凸部2041の頂上部(上面部)に低光沢部2051を設け、平坦部2042に光沢部2052が設けられている。つまり、本実施形態においては、第一の光学特性を有するエリアと第二の光学特性を有するエリアとを配列する特定の規則と、凹凸パターンを形成する特定の規則とは、同じ規則である例を示す。そして、凸部2041が、第一の光学特性を有するエリアおよび第二の光学特性を有するエリアのいずれか一方のエリアである例を示す。しかし、これに限るものではなく、凸部2041の配列パターンは、光学特性の異なるエリアを配置して構成された意匠パターン、つまり第一の光学特性を有するエリアと第二の光学特性を有するエリアとを配列する特定の規則とは異なるパターンであってもよい。
低光沢部2051には、例えば、入射した光が散乱するように表面に目視での視認が難しいような微細凹凸を形成する。また、光沢部2052には、入射した光が正反射するような平滑な表面を形成する。即ち、低光沢部2051と光沢部2052は、樹脂部品の外面2011に異なる表面粗さを付与することにより形成する。即ち、本実施形態では、図23(B)に示すように、平面部2030(第1の部分)では、凸部2041の頂上部表面に微細凹凸を成形し、平坦部2042の表面は滑らかな形状で成形してある。なお、平坦部2042は、平面部2030(第1の部分)の基面の部分に相当する。
一方、曲面部2031(第2の部分)にも、同じパターンで微細凹凸から成る低光沢部2051と、光沢部2052が配置されている。低光沢部2051は、例えば平面部2030(第1の部分)の凸部2041よりも突出する高さが低い凸部の頂上部に設ける。また、光沢部2052は、曲面部2031(第2の部分)の基面の部分に相当する。
なお、図23(B)において、平面部2030(第1の部分)では、樹脂部品の離型方向(R)と法線(H)の方向が一致している。曲面部2031(第2の部分)は、平面部2030(第1の部分)に対して傾斜しており、その基面上の適当な位置における法線(H)は、当然ながら、平面部2030(第1の部分)の法線R(H)に対して傾斜したものとなる。
また、平面部2030(第1の部分)、曲面部2031(第2の部分)のいずれにおいても、低光沢部2051と、光沢部2052とは、各面の法線方向(正面)から視認した時にほぼ同じような視覚的な印象を与えるよう構成する。例えば、平面部2030(第1の部分)の低光沢部2051が光沢部2052に対して突出する方向が、平面部2030(第1の部分)の基面に対する法線と一致するように成形する。また、曲面部2031(第2の部分)の低光沢部2051が光沢部2052に対して突出する方向が、曲面部2031(第2の部分)の基面に対する法線と一致するように成形する。これにより、各面を法線方向(正面)から視認した時、観察者(ユーザ)には、ほぼ同じ視覚的な印象を備えた規則的なパターン(例えば市松模様)が知覚される。
本実施形態の図23(A)、図23(B)の構成では、従来の図22(A)、図22(B)の構成とは異なり、低光沢部2051、光沢部2052より成る表面(光沢)パターンは、曲面部2031にも成形されている。本実施形態では、このように曲面部2031(第2の部分)には、低光沢部2051を構成するのに必要にして十分な最低限の高低差の凹凸構造を設ける。即ち、離型方向(図23(B)の上向き方向)に対してアンダーカットとなる曲面部2031(第2の部分)の法線方向の高低差は、平面部2030(第1の部分)の法線方向の高低差よりも小さい。このため、良好な離型性をもって、成形した樹脂部品を離型でき、型開きの際に樹脂部品が破損するような問題を生じない。
図23(A)、図23(B)の構成において、平面部2030に配置される凸部2041は、平面部2030の基面に相当する平坦部2042から40μm以上で、かつ500μm未満の範囲で隆起していることが好ましい。これは、40μmより隆起していると成形品に指紋が付きづらくなる防汚性を実現でき、また、凸部2041が500μm以上隆起していると角度によって光沢部が見える領域が小さくなり、高級感が損なわれる可能性があるためである。即ち、本実施形態において、光沢部2052と低光沢部2051の高低差は40μm以上500μm未満であることが好ましい。なお、後述の実施例(図25、図26)では、上記の凸部2041に相当する凸部2083の隆起を約50μm程度に取っている。
光沢部2052と低光沢部2051の高低差は、例えば本実施形態では平面部2030の基面に相当する光沢部2052を基準とし、白色干渉計を用いることなどにより、低光沢部2051の高さを測定することで測定できる。例えば、本実施形態においては、光沢部2052と低光沢部2051の高低差は、ZYGO社の3次元光学プロファイラーNewView7000を用いて、10倍の対物レンズで成形品の1.0mm×1.4mmの領域を10箇所測定した値の平均値で評価した。
また、低光沢部2051と光沢部2052の光沢差は観察者が目視で差異が識別できる程度であれば良いが、好ましくは光沢度で10以上の差があることが望ましい。なお、本明細書における光沢度は、JIS Z 8741の反射角60°の鏡面光沢度に基づく光沢計を用いて測定した値とする。例えば、日本電色工業株式会社製のハンディ型光沢計PG−1を反射角60°に設定し、光沢計の測光部を成形品の光沢部に当てて測定を行うことができる。
また、低光沢部2051を実現するための微細凹凸は、15μm以下の段差で成形することが好ましい。これは、15μm以下の微細凹凸は、観察者が目視によって凹凸として視認できない範囲であること、また、射出成形時の樹脂の収縮率、および樹脂の弾性により、アンダーカット方向となっても構造の破壊なく良好に離型が可能であるためである。なお、発明者らの実験によれば、100mm幅の半円柱形状の樹脂部品に対して、離型方向と直交する方向に対する最大段差が15μm以下であれば、ABSやHIPS(ハイインパクトポリスチレン)等の樹脂で無理なく離型が可能であることが確認されている。
このように、本実施形態における曲面部2031(第2の部分)には、平面部2030(第1の部分)の凸部2041と平坦部2042で構成されるような高低差が大きな凹凸パターンは成形されていない。しかし、離型が可能な範囲の15μm以下の最大高低差の微細凹凸により光沢部2052と低光沢部2051を組み合せた表面パターンが、平面部2030(第1の部分)の凸部2041と平坦部2042の配列と同じ規則的なパターンで成形されている。
即ち、本実施形態では、平面部2030と曲面部2031の境界では、少なくとも、装飾面の表面パターンのうち、光沢のパターンの連続性が維持される。本実施形態では、このように、平面部2030(第1の部分)と曲面部2031(第2の部分)の境界における光沢パターンの連続性が保たれるため、この境界部分で視覚的印象のギャップが目立たない(視認しづらい)という効果がある。
なお、市松模様の場合、1つの平坦部2042ないし凸部2041(光沢部2052ないし低光沢部2051)の幅は1mm以上あることが好ましい。これは、平坦部2042ないし凸部2041(光沢部2052ないし低光沢部2051)の幅が1mm未満であると、光沢部が視認しづらくなり、観察者(ユーザ)が市松模様と識別しづらくなるためである。
なお、樹脂部品の外面2011に付与する光沢/非光沢(あるいは凹凸)の各エリアから構成される表面パターンの幾何学的構成は、市松模様に限定されない。例えば、つまり、表面パターンの幾何学的構成は、凹凸や光沢により表面パターンの模様を視認させることができればいかなる模様であっても構わない。
図4(A)〜図4(C)は、樹脂部品の外面2011に付与する光沢/非光沢(あるいは凹凸)の各エリアから構成される規則的な表面パターンの幾何学的構成の一例を示している。図4(A)は、円形の集合である水玉模様、図4(B)は、星形の集合である星柄模様、図4(C)は三角(ウロコ)模様を示している。このような特定の規則に基づいて配列された同一要素の光沢/非光沢(あるいは凹凸)の各エリアから繰り返しの表面パターンを採用すると、製造時の加工がし易い利点がある。尚、図4(A)〜図4(C)は、あくまでも例に過ぎず、凹凸や光沢が交互に配置された表面パターンの構成はこれ以外にも当業者において適宜、設計変更を行って構わない。
本実施形態において、電子機器の筐体や外殻を構成する上記のような外面2011を備えた樹脂部品の材料としては、ABSやHIPS(ハイインパクトポリスチレン)などの樹脂材料を使用することができる。
次に本実施形態に係る樹脂部品の製造方法について説明する。例えば、金型に形成されたキャビティにゲートから樹脂を射出充填することにより射出成形(成形、ないし造形工程)することができる。
ここで、図5に、本実施形態に係わる樹脂部品を成形するための金型を加工するマシニングセンタの構成を示す。図5のマシニングセンタ90は、加工機本体91と、制御装置92と、を備えている。キャビティは、金型の一部を構成する複数の駒(キャビティ駒)によって形成されていてもよい。このように、キャビティを駒によって形成すると、複雑な形状の成形品であっても、転写面を分割して加工することができるため、金型の製造コストを削減することができる。
加工機本体91は、加工対象物である金型(キャビティ駒)93に切削加工を施して、金型を製造する。加工機本体91は、切削工具94を支持する主軸であるスピンドル95、Xステージ96、Yステージ97およびZステージ98を有する。
切削工具94としては、エンドミルを好適に用いることができる。スピンドル95は、切削工具94をZ軸まわりに回転させる。Zステージ98は、スピンドル95を支持し、切削工具94を、金型93に対してZ方向に移動させる。同様に、Xステージ96は、金型93に対して切削工具94をX方向に、Yステージ97は、Y方向に移動させる。このような構成により、加工機本体91は、切削工具94を回転させながら、切削工具94の先端を金型93に対して相対的にXYZ方向に移動させることができる。
制御装置92は、CPUおよびメモリなどを有するコンピュータで構成され、加工機本体91をNCデータ99に従って制御する。NCデータ99には、X方向の移動量、Y方向の移動量、Z方向の移動量、主軸の回転速度、X方向の送り速度、Y方向の送り速度、Z方向の移動速度などの切削加工で使用する各種の指令が含まれている。制御装置92の制御により、切削工具94を回転させながら金型93に対して相対的に移動させることにより、金型93にNCデータ99に基づく三次元形状を切削加工することができる。
図6、および図24は、本実施形態の樹脂部品の平面部2030(第1の部分)と、曲面部2031(第2の部分)とをそれぞれ成形する金型93の第1の成形面、第2の成形面の製造工程を示している。図6(A)は第1の金型加工工程、図6(B)は第2の金型加工工程、図24(A)と、(B)または(C)は第3の金型加工工程を示している。図6、および図24に示すように、上述の平面部2030(第1の部分)と、曲面部2031(第2の部分)の表面パターンを転写する転写パターンが、金型93の第1の成形面、第2の成形面に加工される。
まず、図6(A)に示す第1の金型加工工程では、金型93の表面101を荒加工する。図5のマシニングセンタに切削工具としてラジアスエンドミル102を用い、NCデータ99に基づき、ラジアスエンドミル102を回転させながら切り込ませ、走査して金型面に対して切削加工を行う。その際、表面101を第2の金型加工工程で平滑にするときの手間を省くため、第1の金型加工工程で平面度が10μm以下にすることが好ましい。
図6(B)の第2の金型加工工程では、金型93の表面101を回転式研磨工具103とダイヤモンドペーストを使って鏡面加工する。この平滑な鏡面は、樹脂に転写された時、上記の光沢部を成形することになる。ここで、第3の金型加工工程で凹部104を加工したときに凹部104の深さに差が出ないよう、第2の金型加工工程で表面101の平面度を5μm以下にすることが好ましい。なお、図6(A)、図6(B)では平面の加工を図示しているが、曲面の場合は、CAD等で設計した所定の曲面データに従って同様の加工を行う。
第3の金型加工工程では、金型93の表面101にボールエンドミル106を使って加工を行う。射出成形により樹脂に転写された際に、上述の平面部2030(図23(B))を成形する金型領域の加工が図24(A)、曲面部2031(図23(B))を成形する金型領域の加工が図24(B)または図24(C)に相当する。なお、図24(B)は、曲面部2031が図23(B)に示したような凸面である場合を、また、図24(C)は、曲面部2031が凹面である場合を示している。
図24(A)に示すように、曲面部2031に相当する金型の加工は、まず、NCデータ99に基づき、ボールエンドミル106を回転させながら切り込ませ、走査して凹部104を形成する。凹部104は、樹脂部品に転写されると凸部2041となる領域である。さらに、ボールエンドミル106を走査し、凹部104の底面に凹部105を複数加工する。これにより、凹部104の底面に、低光沢部を成形する微細な凹凸が形成される。
この微細凹凸は、射出成形により樹脂部品に転写されると、凸部2041上の低光沢部2051を構成する微細凹凸が成形される。平面部2030に相当する金型の部位については、図24(B)または図24(C)に示すように、金型の表面101のうち、低光沢部2051に相当する領域に凹部105を複数加工する。図24(B)に示すように、平面部2030では、図24(A)の凹部104のような凹部は形成しない。図24(A)〜図24(C)のように、凹部105が複数加工された領域は低光沢部2051、凹部105が加工されていない領域は光沢部2052となる。
なお、上記のような金型加工を行う金型93の材料としては、ステンレス鋼が挙げられるが、加工性や射出成形の耐久性の観点から、その他の任意の材料を用いることができる。
以上、射出成形による樹脂部品の成形、また金型の製造工程について述べたが、製造方法は上記の限りではない。上述のような平面部2030および曲面部2031を備えた樹脂部品の成形は、上述の射出成形以外の適当な手法によって行って構わない。以下では、本実施形態に関して、より具体的な実施例を説明する。ただし、以下では、同一の部材や寸法、方向などに関しては同一の参照符号を用い、その詳細な説明は省略するものとする。
<実施例4>
図25(A)〜図25(C)は、実施例4に係わる樹脂部品を表す図である。図25(A)は高さ分布を表す平面図、図25(B)は光沢分布を表す平面図、図25(C)は断面図を示している。図25(B)に示すように、板状の厚さ1.6mmの樹脂部品2080に市松模様の凹凸・光沢パターンを形成した。尚、図示の便宜上、図25(A)の曲面部は高さ分布0μmとして示したが、図25(C)の断面図から明らかなように、曲面部には5μmの高さの微細凹凸のパターンが存在している。樹脂部品2080は、平面部2081(第1の部分)とその端縁に設けられ、平面部2081に対して傾斜した傾斜した曲面部2082(第2の部分)を備える。曲面部2082の曲率半径は60mm、曲面の接線の平面部2081に対する傾斜角度(θ)は最大で45度となっている。市松模様のピッチは7mm、隣接する凸部2083と凹部2084の法線方向に対する段差は50μmとした。
本実施例では、高低差の大きな凹凸パターンが形成されているのは平面部2081のみであり、曲面部2082には高低差の大きな凹凸パターンは形成していない。光沢パターンは低光沢部2085と光沢部2086によって構成され、低光沢部2085と凸部2083、光沢部2086と凹部2084が対応付けられている。低光沢部2085には5μmの高さの微細凹凸を成形し、60°鏡面光沢度が2030となるようにした。微細凹凸を成形しない光沢部2086の60°鏡面光沢度は2080とした。また、低光沢部2085と光沢部2086による光沢パターンは曲面部2082にも成形している。平面部2081と曲面部2082の断面構造は図25(C)のようになる。
本実施例の樹脂部品を製造するための金型の材料はステンレスを使用し、図5に示すマシニングセンタにラジアスエンドミルを取り付けて荒加工を行い、回転式研磨工具とダイヤモンドペーストを用いて鏡面加工を施した。その後、ボールエンドミルを用いて、凸部2083、凹部2084、低光沢部2085、光沢部2086から成る市松模様の反転形状を金型に加工した。
その後、金型を用いて射出成形を行い、樹脂部品2080を得た。尚、樹脂材料には黒色のHIPSを使用したが、その場合、樹脂部品2080は構造の破壊なく離型することが出来た。
得られた樹脂部品の外面について、標準的な視力の観察者に目視により観察させ、平面部2081と曲面部2082の境界におけるギャップを評価した。結果、視角度により、凹凸の有無によるギャップが知覚される場合はあったが、光沢パターンが維持されていることによって、そのギャップは目立ち難くなっていることが確認された。特に、曲面部2082に光沢パターンを成形しない従来手法による樹脂部品と比較すると、境界の見た目のギャップが大幅に抑制されていることが確認された。
<実施例5>
図26(A)〜図26(C)は、実施例5に係わる樹脂部品を表す図である。図26(A)は高さ分布を表す平面図、図26(B)は光沢分布表す平面図、図26(C)は断面図を示している。市松模様のピッチや凹凸の段差等は実施例4と同様である。実施例4と異なるのは、曲面部2082にも凹凸を形成した点である。本実施例における曲面部2082(第2の部分)の接線方向が平面部2081(第1の部分)となす傾斜の角度(θ)が大きくなる程、平面部との角度差が大きくなるほど凸部2083の法線方向の高さが単調減少するようにした。
即ち、この構成は、曲面部2082(第2の部分)の接線方向が平面部2081(第1の部分)となす角度が大きくなる程、曲面部2082(第2の部分)の前記表面パターンの隣接するエリア間の法線方向に関する最大の高低差が、減少する構成である。
具体的には、平面部2081から曲面部2082へ移行する点から外側(図26の右側)に7mm(1ピッチ分)移動するにつれて、凸部2083の高さを5μm減らした。そして、平面部2081との角度差が45度になる右端に到達すると、凸部2083の高さが10μmになるように成形した。光沢パターンについては、実施例4と同様に、低光沢部2085と凸部2083、光沢部2086と凹部2084が対応付けられており、低光沢部2085の光沢度は2030、光沢部2086の光沢度は2080である。低光沢部2085と光沢部2086による光沢パターンは平面部2081と曲面部2082の両方の全面に成形した。平面部2081と曲面部2082の断面構造は、図26(C)のようになる。
本実施例の樹脂部品を製造するための金型の材料はステンレスを使用し、図5に示すマシニングセンタ90にラジアスエンドミルを取り付けて荒加工を行い、回転式研磨工具とダイヤモンドペーストを用いて鏡面加工を施した。その後、ボールエンドミルを用いて、凸部2083、凹部2084、低光沢部2085、光沢部2086から成る市松模様の反転形状を金型に加工した。
その後、製造した金型を用いて、射出成形により樹脂材料を注型し、樹脂部品2080を得る。この時、樹脂材料には、例えば黒色のHIPSを使用したが、樹脂部品2080は破損などを生じず、良好に離型することができた。
得られた樹脂部品の外面について、標準的な視力の人に目視により観察してもらい、平面部2081と曲面部2082の境界におけるギャップを評価した。その結果、光沢パターンが曲面部2082に維持されていることによる境界のギャップの低減(実施例4の効果)に加え、凹凸が段階的に変化することで、さらに見た目のギャップが目立ち難くなっていることが確認された。
<他の実施例>
以上に示した実施形態、実施例においては、低光沢部と凸部、光沢部と凹部が対応付けられていたが、光沢と凹凸の対応関係は、これに限定されるものではない。低光沢部と凹部、光沢部と凸部が対応付けられた表面パターン、例えば、樹脂部品の凹部に微細凹凸が成形されるような構成でも、特定の意匠を表現した装飾面を表現できるのはいうまでもない。
また、以上に示した実施形態、実施例においては、光沢パターンと凹凸パターンが同一のパターンであったが、光沢パターンと凹凸パターンは必ずしも同一でなくても良い。例えば、空間周波数の異なるパターンであっても本発明は適用できる。この場合、光沢パターンの空間周波数は、凹凸パターンの空間周波数よりも高い方が、より境界の見た目のギャップを低減できる。これは、低周波なパターンよりも高周波なパターンの方が人の目の注意を引くためである。
また、上記の実施例5においては、凸部2083の高さを5μm毎に線形に変化させていたが、平面部2081との角度差に応じて高さを設定しても良い。例えば、離型方向が平面部2081に直交する方向とした場合、離型性を確保できる、アンダーカットとなる離型方向と直交する方向の凹凸の高低差DUは、例えば下記の数式(3)のように表わされる。
ただし、数式(3)において、Dは凸部2083の高さ、DMは凸部2083上に低光沢部2085を形成するための微細凹凸の高さ、θは凸部2083を形成する基面と平面部2081との成す角である。このDUが離型可能な高さ以下になるように、曲面部2082の各凸部の高さDを設定すればよい。
また、以上に示した実施形態、実施例においては、本発明の樹脂部品に係る金型を切削加工により加工していたが、金型の加工方法はこれに限定されない。例えばレーザー加工機等、他の加工方法を用いて金型を製造しても良いのはいうまでもない。
1…プリンタ、10…筐体、11…外面、12…原稿カバー、30、81…第一の領域、31、87…第二の領域、41、82…凸部、42、83…平坦部、104、105…凹部、51、84…非光沢部、52、85…光沢部、80…樹脂部品、90…マシニングセンタ。

Claims (29)

  1. 外面に、第一の光学特性を有するエリアと第二の光学特性を有するエリアとが特定の規則に基づき配列されている第一の領域および第二の領域を有し、
    前記第一の領域は、所定の高さ以下の凸部が形成されているか、あるいは、凸部が形成されておらず、
    前記第二の領域は、前記所定の高さよりも高い凸部が形成されていることを特徴とする物品。
  2. 請求項1に記載の物品において、前記第一の光学特性を有するエリアと前記第二の光学特性を有するエリアは、それぞれ異なる光沢度を有する物品。
  3. 請求項1または2に記載の物品において、前記第一の光学特性を有するエリアと前記第二の光学特性を有するエリアは、それぞれ異なる表面粗さを有する物品。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の物品において、前記所定の高さは15μm以下である物品。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の物品において、前記第二の領域における前記凸部の高さは、15μmを超え、かつ500μm以下である物品。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の物品において、前記第二の領域における前記凸部は、前記第一の領域に近づくにつれ減少するよう形成された物品。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の物品において、前記第一の光学特性を有するエリアと第二の光学特性を有するエリアとを配列する特定の規則と、前記所定の高さよりも高い凸部を形成する特定の規則とは、同じ規則であって、
    前記所定の高さよりも高い凸部が、前記第一の光学特性を有するエリアおよび前記第二の光学特性を有するエリアのいずれか一方のエリアであることを特徴とする物品。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の物品において、前記特定の規則に基づき幾何学的に配列された光学特性の異なる複数の前記エリアを備える物品。
  9. 請求項2に記載の物品において、前記第二の領域から前記第一の領域にむけて前記光沢度が線形に変化する物品。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の物品において、前記第一の領域には、第三の光学特性を有する部分が形成されている物品。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載の物品において、前記第一の領域に、文字、数字、図形のうち少なくとも1つが付与された物品。
  12. 請求項1から9のいずれか1項に記載の物品において、前記第一の領域は、曲面である物品。
  13. 複数の領域が配列された外面を備えた物品であって、
    前記複数の領域の配列方向に関して、前記外面の光沢度が線形に変化するよう、前記複数の領域は、領域ごとに高低差が異なる凹凸を有する物品。
  14. 請求項13に記載の物品において、前記複数の領域の各領域は、前記複数の領域の配列方向に関して、長さが同一である物品。
  15. 請求項13または14に記載の物品において、前記凹凸のピッチが1mm未満である物品。
  16. 請求項13から15のいずれか1項に記載の物品において、前記光沢度が、60度鏡面光沢度である物品。
  17. 請求項13から16のいずれか1項に記載の物品において、前記複数の領域には、第三の光学特性を有する部分が形成された領域が含まれている物品。
  18. 請求項13から17のいずれか1項に記載の物品において、前記複数の領域には、文字、数字、図形のうち少なくとも1つが付与された領域が含まれている物品。
  19. 請求項1から18のいずれか1項に記載の物品と、電子部品とを有する電子機器。
  20. 外面に、第一の光学特性を有するエリアと第二の光学特性を有するエリアとが特定の規則に基づき配列されている第一の領域および第二の領域を有し、前記第一の領域は、所定の高さ以下の凸部が形成されている、あるいは、前記凸部が形成されておらず、前記第二の領域は、前記所定の高さよりも高い凸部が特定の規則に基づき形成された外面を有する成形品を造形する造形工程と、
    前記成形品の前記第一の領域に加工を行う加工工程と、
    を有する、物品の製造方法。
  21. 請求項20に記載の物品の製造方法において、前記造形工程において、前記第一の光学特性を有するエリアと前記第二の光学特性を有するエリアに異なる光沢度を付与する、物品の製造方法。
  22. 請求項20または21に記載の物品の製造方法において、前記造形工程において、前記第一の光学特性を有するエリアと前記第二の光学特性を有するエリアを、それぞれ異なる表面粗さで造形する、物品の製造方法。
  23. 請求項20から22のいずれか1項に記載の物品の製造方法において、前記造形工程において、前記所定の高さが15μm以下である、物品の製造方法。
  24. 請求項23に記載の物品の製造方法において、前記造形工程において、前記第二の領域における前記凸部の高さは、15μmを超え、かつ500μm以下に造形される、物品の製造方法。
  25. 請求項20から24のいずれか1項に記載の物品の製造方法において、前記造形工程において、前記第二の領域における前記凸部は、前記第一の領域に近づくにつれ減少するよう造形される、物品の製造方法。
  26. 請求項20から25のいずれか1項に記載の物品の製造方法において、前記造形工程において、特定の規則に基づき幾何学的に配列された光学特性の異なる複数のエリアを備えた表面パターンが造形される、物品の製造方法。
  27. 請求項21に記載の物品の製造方法において、前記第二の領域から前記第一の領域にむけて前記光沢度が線形に変化するよう造形される物品の製造方法。
  28. 請求項20から27のいずれか1項に記載の物品の製造方法であって、前記造形工程において、前記外面を成形する成形面を備えた金型を用いて前記成形品を射出成形で形成する、物品の製造方法。
  29. 請求項20から28のいずれか1項に記載の物品の製造方法において、前記加工工程において、前記成形品の前記第一の領域にホットスタンプ、印刷、塗装、ないし情報担持部材の貼付のいずれかによって加工を行う、物品の製造方法。

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