JP2020039789A - 塗装医療器具および塗料 - Google Patents

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吉彦 望月
菜穂 河原
Nao Kawahara
菜穂 河原
慶子 瀧口
Keiko Takiguchi
慶子 瀧口
努 森原
Tsutomu Morihara
努 森原
俊実 塩野
Toshimi Shiono
俊実 塩野
謙一 嘉山
Kenichi Kayama
謙一 嘉山
哲央 山中
Tetsuhisa Yamanaka
哲央 山中
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Abstract

【課題】生体組織上で高い視認性を有する塗装医療器具を提供する。【解決手段】本発明の塗装医療器具は、医療器具と、その表面に配置されている基材樹脂製の塗膜とを有する。上記塗膜は有機蛍光化合物をさらに含有し、当該有機蛍光化合物は、一分子内にアニオン性官能基とカチオン性官能基とを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、塗装されている縫合針などの塗装医療器具、および、それに用いられる塗料に関する。
現在、ガーゼなどの医療器具の手術後における遺残が問題となっている。X線撮影で映らない素材の医療器具(ガーゼなど)については、例えば、当該医療器具にX線撮影で映る素材を含有させ、手術後または手術中にX線撮影によって確認する方法が知られている。
医療の分野では、創傷、もしくは手術部位の組織をつなぎ合わせるために、縫合針が用いられている。当該縫合針は、手術場でカウントし、そのカウントが一致しない時には、多大な時間をかけて、体内、そして手術場を探索している。このため、一般に、医療器具には、体内に置き忘れられることを防止するための工夫が求められている。
たとえば、医療の分野で使用される針については、識別性を高めるため、フッ素コーティングで白く着色した、あるいは、シリコーン系塗膜に着色顔料を添加して着色した医療用縫合針(例えば、特許文献1参照)や、滅菌を行うために、紫外線を可視光に変換する蛍光剤を二酸化チタンとともに含有する塗膜を有する穿刺針(例えば、特許文献2参照)、蛍光発色する縫合針(例えば、特許文献3参照)などが知られている。
特開昭64−83252号公報 特開2005−270644号公報 米国特許出願公開第2005/222617号明細書
しかしながら、従来の縫合針は、使用時に紛失したときの早期発見の観点から、未だ検討の余地が残されている。たとえば、特許文献1に記載の縫合針では、特に生体組織上での視認性の観点から検討の余地が残されており、特許文献2に記載の縫合針では、暗所での紫外線照射により十分な視認性がもたらされるものの、上記塗膜中に無機顔料が分散されるために、縫合針への塗膜の密着性が不十分となることがあり、その結果、塗膜が剥がれることにより視認性が不十分となることがある。特許文献3に記載の縫合針では、塗料が具体的に開示されておらず、例えば生体組織上での視認性の観点から検討の余地が残されている。
本発明は、生体組織上で高い視認性を有する塗装医療器具および、それに用いられる塗料を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するための一手段として、医療器具と、その表面に配置されている基材樹脂製の塗膜とを有する塗装医療器具において、上記塗膜は、有機蛍光化合物をさらに含有し、上記有機蛍光化合物は、一分子内にアニオン性官能基とカチオン性官能基とを含む塗装医療器具、を提供する。
本発明は、上記課題を解決するための他の手段として、基材樹脂と有機蛍光化合物とを含有する塗料であって、上記有機蛍光化合物は、一分子内にアニオン性官能基とカチオン性官能基とを含む塗料、を提供する。
本発明の塗装医療器具は、生体組織上で高い視認性を有する。また、本発明の塗料は、当該塗装医療器具の製造に供され得る。
本発明の一実施の形態に係る塗装医療器具は、医療器具とその表面に配置されている塗膜とを有する。
上記医療器具は、手術や検査などの医療行為に使用される器具であり、体内に挿入される器具であってもよいし、その付属物であってもよいし、その包装体であってもよい。医療器具の例には、体内に挿入される内視鏡、内視鏡用部品、内視鏡用処置具、カテーテル、ガイドワイヤ、PTCAバルーンカテーテル、PTAバルーンカテーテル、造影用カテーテル、カテーテル導入管、マイクロカテーテル、メス、鉗子、はさみ、縫合針、シリンジなどの注射器具、留置針やその挿入具、採血針、翼付静注針などの注射針、ガーゼ、持針器、鑷子、鉤、開創器およびゾンデが含まれる。
上記塗膜は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、上記医療器具の表面の全部または一部に配置されていてよく、連続してまたは断続的に配置されていてよい。また、上記塗膜の厚さは、視認性の観点から適宜に決めることが可能である。上記塗膜の厚さは、薄すぎると視認性が不十分になることがある。視認性の観点から、上記塗膜の厚さは、0.1μm以上であることが好ましい。上記厚さが0.1μm未満であると、紫外線照射時における発光量が少なく、視認しにくくなることがある。上記塗膜の厚さは、公知の膜厚測定方法によって求めることが可能である。
上記塗膜は、基材樹脂製である。すなわち、上記塗膜は、基材樹脂で構成されている。上記基材樹脂は、一種でもそれ以上でもよい。上記基材樹脂には、塗膜を構成するのに公知である種々の樹脂を採用することができ、その例には、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、フッ素樹脂およびシリコーン樹脂が含まれる。たとえば、刺通時または切断時の抵抗(刺通抵抗または切断抵抗)を小さくする観点から、上記基材樹脂は、フッ素樹脂またはシリコーン樹脂であることが好ましい。
上記塗膜は、有機蛍光化合物をさらに含有する。当該有機蛍光化合物は、励起光の照射によって蛍光を発する有機化合物であって、一分子内にアニオン性官能基とカチオン性官能基との両方を含む有機化合物である。上記有機蛍光化合物は、紫外線などの励起光のエネルギーを吸収し、励起後、基底状態に戻る際、エネルギーを、運動(熱)エネルギーとしてではなく、自身が発光することで放出し、例えばブラックライト(紫外線ライト)で照らすことにより、鮮やかに発色する。
上記有機蛍光化合物の一分子中における上記アニオン性官能基および上記カチオン性官能基の数は、それぞれ一以上であればよく、複数であってもよい。上記アニオン性官能基の例には、カルボキシル基、スルホン酸基およびリン酸基が含まれる。上記アニオン性官能基は、カルボキシル基であることが好ましい。上記カチオン性官能基の例には、アミノ基およびそれを含む有機基が含まれる。アミノ基を含む有機基とは、例えば、アミノ基を有する炭素数1〜10のアルキル基、である。上記カチオン性官能基は、アミノ基であることが好ましい。
上記有機蛍光化合物は、上記塗装医療器具の用途に応じて適宜に決めることができる。たとえば、上記塗装医療器具の用途が日本国内における上記の医療器具である場合には、上記有機蛍光化合物は、「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」で医薬品などに使用可能とされている色素(法定色素)であることが好ましい。上記法定色素に含まれる上記有機蛍光化合物の例には、ローダミンBおよびローダミンBステアレートが含まれる。
上記塗膜における上記有機蛍光化合物の含有量は、少なすぎると紫外線を照射したときに発光が十分に認められないことがあり、多すぎても紫外線照射時における発光が十分に認められなくなることがある。紫外線照射時における上記塗装医療器具の視認性の観点から、上記含有量は、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5.0質量%であることがより好ましい。上記含有量が0.1質量%未満であると、上記有機蛍光化合物の含有量が少ないため、紫外線を照射した際の上記有機蛍光化合物の発光量が不十分となることがあり、0.01質量%未満では視認しにくくなることがある。また、上記含有量が5.0質量%よりも多いと、当該含有量を多くするにつれて、紫外線を照射した際の上記有機蛍光化合物の発光量が低下していき、10質量%を超えると視認しにくくなることがある。
上記塗装医療器具は、上記塗膜を有することから、その表面における摩擦力を低減させ、その上昇を抑制させることが可能である。よって、刺通抵抗または切断抵抗を低減させ、その上昇を抑制する観点から、上記医療器具は、生体組織を刺し通す、または切断するのに使用される器具であることが好ましい。このような刺通系または切断系の医療器具の例には、縫合針、注射針、メス、はさみが含まれる。
たとえば、上記縫合針は、生体組織の縫い合わせに用いられる針であり、例えば、創傷または手術部位の組織をつなぎ合わせるための医療器具である。上記縫合針には、例えば、医療器具として知られている種々の形態のものを用いることができる。上記縫合針の材質は、ステンレス鋼、タングステン、モリブデン鋼など、現在、一般的に使用されているものであってよい。また、上記縫合針は、針穴を有する針であってもよいし、いわゆる無傷針と呼ばれる、縫合糸と接続されている、針穴を有さない針であってもよい。
上記刺通系または切断系の医療器具における上記塗膜の厚さは、視認性に加えて刺通抵抗の観点から適宜に決めることが可能である。すなわち、上記塗膜の厚さは、厚すぎると刺通抵抗または切断抵抗が高くなることがある。上記刺通抵抗または切断抵抗の低減の観点から20μm以下であることが好ましい。上記厚さが20μmを超えると、発光に関しては問題ないが、例えば縫合針の先端部の塗膜が厚くなることなどにより刺通抵抗または切断抵抗が高くなることがある。
上記刺通系または切断系の医療器具における上記塗膜は、本実施の形態の効果(例えば視認性と刺通抵抗または切断抵抗の低減)が得られる範囲において、上記医療器具の表面の全部または一部に配置されていてよく、連続してまたは断続的に配置されていてよい。たとえば、上記塗膜は、上記縫合針の表面の全体に配置されていてもよいし、先端部のみに配置されていてもよいし、上記縫合針の表面の全体においてドット状に配置されていてもよい。なお、上記縫合針における上記先端部とは、縫合時における縫合針の進行方向における先端側の部分であり、例えば尖っている先端から縫合針の太さが一定となるまでの部分である。
上記塗膜は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、上記基材樹脂および上記有機蛍光化合物以外の他の成分をさらに含有していてもよい。このような他の成分の例には、潤滑剤が含まれる。
上記潤滑剤は、刺通抵抗または切断抵抗の低減の観点から好ましく、例えば樹脂粒子であり、その材質の例には、ポリエチレンおよびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が含まれる。上記潤滑剤は、一種でもそれ以上でもよい。上記塗膜における上記潤滑剤の含有量は、上記潤滑剤による刺通抵抗または切断抵抗の低減効果が得られる範囲において適宜に決めることができ、上記潤滑剤の粒径は、上記塗膜の厚さ以下の範囲において適宜に決めることができる。
上記塗装医療器具は、上記の塗膜の材料を含有する塗料を上記医療器具に塗布し、得られる液膜を乾燥固化または硬化させることによって作製することができる。当該塗料は、上記基材樹脂および上記有機蛍光化合物を含有する。
上記塗料は、前述した塗膜の材料以外に、液媒をさらに含有していてもよい。当該液媒は、水を主成分とする水系の媒体であってもよいし、有機溶剤を主成分とする溶剤系の媒体であってもよい。上記塗料において、上記塗膜の材料は、溶解していてもよいし、分散していてもよい。上記液媒の量は、上記塗料の塗布性に応じて適宜に決めることができる。上記塗料は、例えば、市販のクリアー塗料に上記有機蛍光化合物を所定量添加することによって調製することが可能である。
上記医療器具への上記塗料の塗布方法には、金属製のワークへの塗料の一般的な塗布方法を採用することが可能である。上記塗布方法の例には、ディップコーティング、スプレーコーティングおよび刷毛塗りが含まれる。また、上記液膜の乾燥条件は、作製される塗膜の物性や上記液膜の固化または硬化の条件に応じて適宜に決めることができ、例えは、常温および高温のいずれの環境下であってもよい。
一般に、蛍光を示す成分は、無機化合物(例えば、各種酸化物に希土類元素をドープさせたもの)と有機化合物とに大別される。無機化合物の蛍光成分は、通常、水や溶剤に不溶なある一定の粒径をもった顔料として使用される。塗装医療器具の塗膜がこのような顔料を含有する場合、表面粗度が大きくなり、塗膜が脆くなり、縫合時または切断時に塗膜から顔料が脱落する恐れがある。加えて、刺通系または切断系の医療器具においては、縫合時に皮膚に刺す際の刺通抵抗または切断時の切断抵抗が高くなり、縫合または切断の作業性が低下する傾向にある。顔料の粒径を小さくすることにより、膜強度と刺通抵抗または切断抵抗との上記の問題の解決が図られるが、この場合、塗膜の発光量が低下し、塗膜への顔料の添加量を多くする必要が生じるため、医療器具に対する塗膜の密着性がさらに低下することがある。
一方、有機化合物の蛍光成分(有機蛍光化合物)は、その多くが染料であり、水や溶剤に可溶であり、少量で効果が発現される。このため、有機化合物の蛍光成分では、無機化合物の蛍光成分における上記の問題は、生じにくいものの、有機化合物の蛍光成分には、医療器具の塗膜として一般に使用されるシリコーン系やフッ素系の塗膜に添加しても発光しないものが多く存在する。
その中でも、分子内にカチオン性官能基とアニオン性官能基の両方を含む有機化合物(有機蛍光化合物)は、上記の塗膜中においても、紫外線を照射した場合、発光が認められ、特にアミノ基とカルボキシル基の両方を含む有機蛍光化合物は、より鮮やかに発光する傾向がある。これは、紫外線照射時において、上記塗膜内において上記有機蛍光化合物の分子間で、アニオン性官能基とカチオン性官能基とが相互に作用し、互いの有機蛍光化合物分子の運動を規制し、励起した上記有機蛍光化合物のエネルギーが光エネルギーとしてより効率よく出力されるため、と考えられる。
以上の説明から明らかなように、上記塗装医療器具は、医療器具と、その表面に配置されている基材樹脂製の塗膜とを有し、上記塗膜は有機蛍光化合物をさらに含有し、上記有機蛍光化合物は、一分子内にアニオン性官能基とカチオン性官能基とを含む。よって、上記塗装医療器具は、生体組織上で高い視認性を有する。
また、上記アニオン性官能基がカルボキシル基であり、上記カチオン性官能基がアミノ基であることは、視認性を高める観点からより一層効果的である。
また、上記有機蛍光化合物がローダミンBおよびローダミンBステアレートの一方または両方であることは、医療器具の視認性を高める観点からより一層効果的である。
また、上記塗装医療器具が塗装縫合針であることは、医療現場で紛失した医療器具を簡易かつ迅速に発見し、かつ刺通抵抗を低減させる観点からより一層効果的である。
また、上記塗料は、上記基材樹脂と上記有機蛍光化合物とを含有する。よって、上記塗料によれば、生体組織上で高い視認性を有する塗装医療器具を製造することが可能となる。
以下、実施例を参照して本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
[ベース塗料1〜5]
樹脂を基材とする塗料として、以下のベース塗料1〜5を用意した。
ベース塗料1は、東京熱科学工業株式会社製の「サーモジンMF(クリアー)」である。ベース塗料1は、シリコーン系塗料であり、かつ溶剤系の塗料である。
ベース塗料2は、ダイキン工業株式会社製の「ポリフロンPTFE EK370021CR」である。ベース塗料2は、フッ素樹脂系塗料であり、かつ、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の粒子が水系の分散媒に分散している水系の塗料である。PTFEは、OH基を有さない。
ベース塗料3は、日本ペイントインダストリアルコーティングス株式会社製の「キノーコート250HQ(クリアー)」である。ベース塗料3は、ポリエステル系の塗料であり、かつ溶剤系の塗料である。
ベース塗料4は、日本ペイントインダストリアルコーティングス株式会社製の「スーパーラックエコ(クリアー)」である。ベース塗料4は、アクリル系の塗料であり、かつ溶剤系の塗料である。
ベース塗料5は、株式会社ADEKA製の「アデカレジンEP4005」である。ベース塗料5は、エポキシ系の塗料であり、かつ溶剤系の塗料である。
[蛍光剤]
蛍光剤として、以下の蛍光剤1〜6を用意した。蛍光剤1は、無機化合物であり、蛍光剤2〜6は、上記法定色素である。蛍光剤3〜5は、アニオン性官能基およびカチオン性官能基の両方を有する有機蛍光化合物であり、蛍光剤2、6は、アニオン性官能基およびカチオン性官能基の一方を有する有機蛍光化合物である。
蛍光剤1は、株式会社ネモト・ルミマテリアル製の「G−300M」である。蛍光剤2は、紅不二科学工業株式会社製の「緑色204号(ピラニンコンク)」である。蛍光剤3は、紅不二科学工業株式会社製の「赤色213号(ローダミンB)」である。蛍光剤4は、紅不二科学工業株式会社製の「赤色215号(ローダミンBステアレート)」である。蛍光剤5は、紅不二科学工業株式会社製の「赤色106号(スルホローダミンB)」である。蛍光剤6は、紅不二科学工業株式会社製の「黄色201号(フルオレセイン)」である。
[塗料1の調製]
ベース塗料1に蛍光剤1を乾燥塗膜中の含有量で0.5質量%になるように添加し、これらを攪拌機で30分間撹拌し、塗料1を調製した。
[塗料2〜30の調製]
蛍光剤1に代えて蛍光剤2〜6のそれぞれを用いる以外は塗料1と同様にして、塗料2〜6のそれぞれを調製した。
また、ベース塗料1に代えてベース塗料2を用いる以外は塗料1〜6と同様にして、塗料7〜12のそれぞれを調製した。
さらに、ベース塗料1に代えてベース塗料3〜5のそれぞれを用いる以外は、塗料1〜6と同様にして、塗料13〜18、19〜24および25〜30のそれぞれを調製した。
[塗装縫合針1の作製]
ステンレス鋼製の縫合針の盲穴をマスキングテープで覆った後、乾燥膜厚が2μmとなるように塗料1をスプレーで上記縫合針に塗装し、その後、マスキングテープを剥がし、炉温100℃のオーブンに塗装された縫合針を収容し、塗装による液膜を当該オーブン内で10分間乾燥させ、こうして塗膜を有する塗装縫合針1を作製した。
[塗装縫合針2〜30の作製]
塗料1に代えて塗料2〜30のそれぞれを用いる以外は塗装縫合針1と同様にして、塗装縫合針2〜30のそれぞれを作製した。
[塗装縫合針1〜30の評価]
(1)刺通抵抗
生体組織に近似した性質を有す被刺通材(市販の合成皮革)を、塗装縫合針1〜30のそれぞれで3回刺し通し、各回の刺通抵抗(N)を精密万能試験機(株式会社島津製作所製の「オートグラフ」)を用いて測定し、各塗装縫合針における刺通抵抗の測定値の平均値を求めた。そして、当該平均値をその塗装縫合針の刺通抵抗値Rsとし、当該刺通抵抗値Rsを以下の評価基準により評価した。
A:刺通抵抗値Rsが1.2N以下。
B:刺通抵抗値Rsが1.2N超1.5N以下。
C:刺通抵抗値Rsが1.5N超。
(2)刺通後の外観(刺通後の塗膜の状態)
上記の刺通抵抗の試験後の塗装縫合針の塗膜の外観を、10倍のルーペを用いて観察し、以下の評価基準により評価した。
A:塗膜に傷や剥がれは確認されない。
B:塗膜の一部に傷または剥がれがある。
(3)視認性
塗装縫合針1〜30のそれぞれを暗室にてブラックライトで照らし、その発光状態を目視にて観察し、以下の評価基準により評価した。
A:塗膜全体で蛍光色の発色が認められる。
B:塗膜全体で蛍光色の発色が認められるが、より弱く発色する部分が存在する。
C:蛍光色の発色が弱いものの、塗膜全体での蛍光色の発色が認められる。
D:蛍光色の発色が認められない。
塗装縫合針1〜30における塗料の組成および評価結果を表1に示す。
Figure 2020039789
表1から明らかなように、塗装縫合針3〜5、9〜11、15〜17、21〜23および27〜29は、いずれも、基材樹脂の種類に関わらず、刺通抵抗が十分に低く、また紫外線照射時における視認性にも十分に高く、かつ、刺通後の塗膜の状態も、刺通試験前後で実質的に変化せず、縫合針として優れている。
これに対して、塗装縫合針1、7、13、19および25は、いずれも、刺通抵抗が高く、また刺通による塗膜の損傷が見られた。これは、蛍光剤が夜光塗料(無機化合物)であるため、有機化合物の蛍光剤を含有する塗膜に比べて、塗膜表面での抵抗が大きく、また、塗膜が脆いため、と考えられる。
また、塗装縫合針2、6、8、12、14、18、20、24、26および30は、いずれも、視認性が不十分であった。これは、蛍光剤が有機化合物ではあるものの、アニオン性官能基を有するがカチオン性官能基を有さないことから、紫外線の照射によって励起した蛍光剤が、塗膜中において、分子の運動などの蛍光以外の方法でエネルギーを放出し、その結果、蛍光の発光量が不十分となったため、と考えられる。
[塗料31〜40の調製]
蛍光剤3の含有量を乾燥塗膜の含有量で0.001、0.005、0.01、0.03、0.07、0.1、1.0、5.0、10、および20質量%になるように変更した以外は塗料3と同様にして、塗料31〜40のそれぞれを調製した。
[塗料41〜44の調製]
蛍光剤3に代えて蛍光剤5、2、6をそれぞれ用いる以外は塗料38と同様にして、塗料41、43、44のそれぞれを調製した。
また、蛍光剤3に代えて蛍光剤2を用いる以外は塗料36と同様にして、塗料42を調製した。
[塗装縫合針31〜44の作製]
塗料1に代えて塗料31〜44のそれぞれを用いる以外は塗装縫合針1と同様にして、塗装縫合針31〜44のそれぞれを作製した。
[塗装縫合針31〜44の評価]
塗装縫合針31〜44のそれぞれについて、塗装縫合針1と同様に、刺通抵抗、刺通後の外観および視認性を評価した。塗装縫合針31〜44における塗料の組成および評価結果を表2に示す。
Figure 2020039789
表2から明らかなように、塗膜における蛍光剤の含有量が少なくとも0.001〜20質量%の範囲において、十分な視認性が得られている。蛍光剤によって多少の変動はあると思われるが、視認性は、蛍光剤の含有量が0.01質量%以上でより高まり、0.1質量%以上でさらに高まる。また、10質量%以下でより高まり、5.0質量%以下でさらに高まっている。
これに対して、アニオン性官能基のみを有する蛍光剤2および6を塗膜に含有する塗装縫合針42〜44では、蛍光剤の含有量に関わらず視認性が不十分であった。
[塗装縫合針45〜53の作製]
塗料3のスプレー塗布において、乾燥膜厚が0.05、0.1、0.3、0.7、1.0、5.0、10、20および50μmとなるように変更した以外は塗装縫合針3と同様にして、塗装縫合針45〜53のそれぞれを作製した。
[塗装縫合針54〜57の作製]
塗料5のスプレー塗布において、乾燥膜厚が5.0μmとなるように変更した以外は、塗装縫合針5と同様にして、塗装縫合針54を作製した。
また、塗料2のスプレー塗布において、乾燥膜厚が0.1および20μmとなるように変更した以外は、塗装縫合針2と同様にして、塗装縫合針55、56のそれぞれを作製した。
さらに、塗料6のスプレー塗布において、乾燥膜厚が10μmとなるように変更した以外は、塗装縫合針6と同様にして、塗装縫合針57を作製した。
[塗装縫合針45〜57の評価]
塗装縫合針45〜57のそれぞれについて、塗装縫合針1と同様に、刺通抵抗、刺通後の外観および視認性を評価した。塗装縫合針45〜57における塗料の組成、塗膜の膜厚および評価結果を表3に示す。
Figure 2020039789
表3から明らかなように、刺通抵抗は、膜厚が10μm以下で十分に低くなり、視認性は0.3μm以上で十分に高くなる。これに対して、塗装縫合針55〜57は、いずれも、前述したように蛍光剤がアニオン性官能基のみを有することから、視認性が不十分であった。
本発明の塗装医療器具は、紫外線の照射によって鮮やかに発色することから、生体組織上にあっても高い視認性を有する。また、刺通系または切断系の医療器具に本発明を採用することによって、低い刺通抵抗または切断抵抗を発現させることが可能である。よって、本発明によれば、手術などの医療行為における作業性の向上およびそれによる医療行為のより一層の充足が期待される。

Claims (5)

  1. 医療器具と、その表面に配置されている基材樹脂製の塗膜とを有する塗装医療器具において、
    前記塗膜は、有機蛍光化合物をさらに含有し、
    前記有機蛍光化合物は、一分子内にアニオン性官能基とカチオン性官能基とを含む、
    塗装医療器具。
  2. 前記アニオン性官能基はカルボキシル基であり、前記カチオン性官能基はアミノ基である、請求項1に記載の塗装医療器具。
  3. 前記有機蛍光化合物は、ローダミンBおよびローダミンBステアレートの一方または両方である、請求項1または2に記載の塗装医療器具。
  4. 塗装縫合針である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗装医療器具。
  5. 基材樹脂と有機蛍光化合物とを含有する塗料であって、
    前記有機蛍光化合物は、一分子内にアニオン性官能基とカチオン性官能基とを含む、
    塗料。
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