以下、図面を用いて実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成図である。図1に示す画像形成装置100は、例えば、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能等を有するデジタル複合機である。なお、画像形成装置100は、複写機またはプリンタでもよい。また、画像形成装置100は、コピー機能の他に、図示しないLAN(Local Area Network)経由で受信する画像データを印刷する機能、またはUSB(Universal Serial Bus)経由で受信する画像データを印刷する機能を有してもよい。なお、画像および画像データは、文章等のテキストを含んでもよい。
例えば、画像形成装置100は、圧板10、スキャナ部20、操作部30、プリンタ部40、搬送部50、コントローラ部60、エンジン制御部70、およびシート供給装置である給紙トレイ80a、80b、手差しトレイ80cを有する。以下では、給紙トレイ80a、80bおよび手差しトレイ80cは、トレイ80とも称される。
圧板10は、スキャナ部20に置かれた原稿MSをスキャナ部20に向けて押え、圧板10とスキャナ部20との間で原稿MSを平坦に維持する。なお、圧板10に、自動原稿送り装置(ADF;Auto Document Feeder)が設けられてもよい。
スキャナ部20は、原稿MSをスキャンすることで画像データを生成する。操作部30は、操作パネル32を有する。図示は省略するが、操作パネル32には、印刷開始ボタンと、印刷枚数、シートサイズ(使用するトレイ80)および印刷倍率等を設定する複数の設定ボタンとが操作可能に表示される。また、印刷時等にエラーが発生した場合、操作パネル32には、エラーメッセージとともに、エラーに対する処置をユーザに選択させるボタンが表示される。
プリンタ部40は、例えば、4個の画像形成ユニット41(41a、41b、41c、41d)、4個の転写ローラ42(42a、42b、42c、42d)、中間転写ベルト43、定着装置44およびシート転写ローラ45を有する。定着装置44の一部およびシート転写ローラ45は、搬送部50内に配置されているが、プリンタ部40に属する。画像形成ユニット41a、41b、41c、41dは、それぞれイエロー色(Y)、マゼンダ色(M)、シアン色(C)、ブラック色(B)のトナーを含み、互いに異なる色の画像を形成する。中間転写ベルト43は、各色に対応する画像形成ユニット41と転写ローラ42とにそれぞれ挟まれる位置に配置され、図に示す矢印の方向に走行する。画像形成ユニット41は、画像形成手段の一例である。
給紙トレイ80a、80bは、プリンタ部40の下側に設けられる収納空間に装着され、手差しトレイ80cは、搬送部50の側面の開口部に装着される。各給紙トレイ80a、80bおよび手差しトレイ80cには、所定のサイズのシートSHを複数枚まとめてセット可能である。
搬送部50は、搬送センサ52および排出センサ54を有する。排出センサ54は、プリンタ部40に配置されているが、搬送部50に属する。なお、搬送部50に設けられるセンサの数は2個に限定されない。搬送部50に示す一点鎖線は、シートSHの搬送経路を示す。
搬送部50は、搬送経路に沿う矢印で示すように、ユーザにより指定されたトレイ80から取り出されるシートSHをシート転写ローラ45および定着装置44に順次搬送し、画像が印刷されたシートSHを排出口51から排出する。なお、両面印刷が指定された場合、定着装置44から排出口51に向けて搬送されたシートSHは、両面経路56を経由して表裏が反転され、シート転写ローラ45に搬送される。
原稿MSをコピーするユーザは、圧板10とスキャナ部20の間に原稿MSをセットし、操作パネル32にて印刷枚数、シートサイズ(使用するトレイ80)等を設定し、印刷開始ボタンを選択(押下)する。これにより、設定したトレイ80から供給されるシートSHに原稿MSの画像が印刷される。印刷開始ボタンの選択は、印刷要求の一例である。
なお、LANまたはUSBを介して画像形成装置100に接続されたコンピュータで処理された画像データ等を印刷する場合、ユーザは、コンピュータのディスプレイ上に表示される設定画面から印刷枚数、シートサイズ(使用するトレイ80)等を設定する。設定画面には、操作パネル32に表示される要素と同様の要素が表示される。そして、ユーザが設定画面内の印刷開始ボタンを選択することで、設定したトレイ80から供給されるシートSHに画像データ等が印刷される。
以下では、圧板10とスキャナ部20の間にセットされる原稿MSをコピーする例が主に説明される。しかしながら、以下の説明は、操作パネル32に表示される内容をコンピュータのディスプレイ上の設定画面に表示される内容に置き換えることで、コンピュータで処理する画像データ等を印刷する場合にも適用可能である。但し、画像データ等はコンピュータから送信されるため、スキャナ部20によるスキャン動作は不要である。
コントローラ部60は、画像形成装置100の全体の動作を制御し、印刷処理を実行する。コントローラ部60は、印刷開始ボタンが選択されたことに基づいて、画像を形成する動作の開始要求をエンジン制御部70に送信する。コントローラ部60は、スキャナ部20でのスキャンにより生成された画像データを管理しており、開始要求の送信とともに、エンジン制御部70に画像データを送信する。
エンジン制御部70は、開始要求の受信に基づいて画像形成ユニット41を制御し、受信した画像データを用いて各画像形成ユニット41に画像の形成を行わせる。この時、画像形成ユニット41aにより形成されたイエロー色の画像は、高電圧が印加された転写ローラ42aの作用により、中間転写ベルト43に転写される。
画像形成ユニット41bは、中間転写ベルト43に転写されたイエロー色の画像が、転写ローラ42bに到達するタイミングに合わせて、マゼンダ色の画像を形成する。そして、画像形成ユニット41bは、中間転写ベルト43に転写されたイエロー色の画像上にマゼンダ色の画像を転写する。以下、同様にして、画像形成ユニット41cにより形成されたシアン色の画像および画像形成ユニット41dにより形成されたブラック色の画像が、中間転写ベルト43に順次転写され、中間転写ベルト43上にフルカラー画像が形成される。
搬送部50は、エンジン制御部70による制御に基づいて動作する。搬送部50は、中間転写ベルト43上のフルカラー画像がシート転写ローラ45に到達するタイミングに合わせて、ユーザにより指定されたトレイ80から取り出されたシートSHをシート転写ローラ45に搬送する。中間転写ベルト43上のフルカラー画像は、シート転写ローラ45に印加された高電圧の作用によって、シート転写ローラ45に到達したシートSHに転写される。搬送部50は、フルカラー画像が転写されたシートSHを定着装置44に搬送する。搬送部50は、シートSHを搬送する搬送手段の一例である。
定着装置44は、定着ローラ44aを有する。定着装置44は、エンジン制御部70による制御に基づいて動作し、搬送されたシートSHを、加熱した定着ローラ44aに挟み込み、シートSH上のトナー像をシートSHに溶融定着する。搬送部50は、定着装置44を通過したシートSHを排出口51に向けて搬送し、排出口51から排出する。なお、表面に画像が印刷されたシートSHの裏面に画像を印刷する場合(すなわち、両面印刷する場合)、搬送部50は、上述したように、シートSHを排出口51から排出することなく、両面経路56を介してシートSHをシート転写ローラ45に搬送する。
エンジン制御部70は、排出口51に設けられた排出センサ54をモニタし、シートSHが排出センサ54を通過したことを検知した場合、シートSHが正常に排出されたことをコントローラ部60に通知する。コントローラ部60は、エンジン制御部70からの通知に基づいて、操作パネル32に印刷完了を示す情報を表示する。
また、エンジン制御部70は、搬送部50に設けられた搬送センサ52を用いて、シートSHの搬送センサ52への到達タイミングおよび通過タイミングを計測する。そして、エンジン制御部70は、計測結果に基づいて、シートSHが搬送センサ52を通過する時間を算出し、算出した時間が所定の時間範囲に含まれるか否かを判定する。搬送センサ52は、搬送部50内で搬送させるシートSHを検知する検知手段の一例である。例えば、所定の時間範囲は、操作パネル32を用いてユーザにより設定されたシートのサイズである設定サイズに応じて変更されてもよい(設定サイズが大きいほど大きい)。
そして、エンジン制御部70は、シートSHの搬送センサ52の通過時間が、所定の時間範囲に含まれる場合、シートSHのサイズが、操作パネル32を用いてユーザにより設定されたシートサイズと一致すると判定する。エンジン制御部70は、シートSHの搬送センサ52の通過時間が、設定サイズ毎の所定の時間範囲から外れる場合、シートSHのサイズが、操作パネル32を用いてユーザにより設定されたシートサイズと異なることを判定する。
なお、エンジン制御部70は、搬送センサ52へのシートSHの到達が検知されない場合、または、シートSHの搬送センサ52の通過時間がタイムアウト時間を超えた場合、シートSHが搬送部50内で詰まったと判定する。
例えば、コントローラ部60およびエンジン制御部70の各々は、図示しないCPU(Central Processing unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有する。そして、コントローラ部60の機能の少なくとも一部は、コントローラ部60内のROM等に格納された制御プログラムをCPUが実行することで実現されてもよい。同様に、エンジン制御部70の機能の少なくとも一部は、エンジン制御部70内のROM等に格納された制御プログラムをCPUが実行することで実現されてもよい。
図2は、図1の画像形成装置100の制御体系の例を示すブロック図である。
コントローラ部60は、操作パネル32を介して受信するユーザからの印刷開始の指示に基づいて印刷動作の制御を開始する。コントローラ部60は、印刷開始の指示を受信した場合、スキャナ部20を駆動して原稿MSの画像データを生成する。
なお、コントローラ部60は、LANを経由して受信する印刷開始の指示に基づいて印刷動作の制御を開始してもよく、USBを経由して受信する印刷開始の指示に基づいて印刷動作の制御を開始してもよい。また、コントローラ部60は、ファクシミリ(FAX)から受信する印刷開始の指示に基づいて印刷動作の制御を開始してもよい。印刷開始の指示は、印刷枚数、シートサイズ(使用するトレイ80)および片面印刷/両面印刷の指定等の情報(以下、設定情報)を含む。さらに、LAN経由での印刷開始の指示およびファクシミリからの印刷開始の指示は、上記設定情報に加えて画像データを含む。
コントローラ部60は、印刷開始の指示毎に主管理番号を付け、さらに、印刷する画像毎に副管理番号を付ける。コントローラ部60は、主管理番号をRAM60aに記録し、副管理番号により識別される設定情報の少なくとも一部と画像データとを、副管理番号とともに印刷モード情報としてRAM60aに記録する。なお、RAM60aは、コントローラ部60に含まれてもよい。コントローラ部60は、主管理番号と、副管理番号を含む印刷モード情報とをエンジン制御部70に送信することで、エンジン制御部70に印刷を指示する。以下では、主管理番号と副管理番号とを区別しなくてよい場合、単に管理番号とも称される。
エンジン制御部70は、コントローラ部60から受信した印刷モード情報をRAM70aに記録する。なお、RAM70aは、エンジン制御部70に含まれてもよい。エンジン制御部70は、印刷モード情報にしたがって、画像形成ユニット41、転写ローラ42、中間転写ベルト43、定着装置44、シート転写ローラ45を制御し、シートSHへの画像の印刷を行う。エンジン制御部70は、シートSHへの画像の印刷を制御する制御手段の一例である。
エンジン制御部70は、搬送センサ52のセンサ出力を監視し、トレイ80から給紙されたシートSHが搬送センサ52を通過する時間である通過時間を算出することで、シートSHのサイズを判定する。ここで、通過時間は、シートSHの先端が搬送センサ52に到達してからシートSHの末端が搬送センサ52を通過するまでの時間である。エンジン制御部70は、通過時間とシートSHの搬送速度とに基づいて、シートSHの搬送方向(縦方向)の長さをシートサイズとして算出する。
なお、この実施形態では、各トレイ80にセット可能な複数種のシートSHにおいて、サイズが相対的に大きいシートSHは、サイズが相対的に小さいシートSHに比べて長さおよび幅がそれぞれ大きい。このため、シートSHの長さが決まると、シートサイズを一意に決めることができる。
エンジン制御部70は、算出したシートサイズが、印刷モード情報に含まれるシートサイズである設定サイズと一致する場合、印刷を継続し、印刷を完了する。エンジン制御部70は、判定したシートサイズが、設定サイズと一致しない場合、印刷開始ボタンの選択(印刷ジョブ)毎に印刷される枚数に応じて、動作モードをMD1またはMD2のいずれかに設定する。動作モードMD1は、第1の動作モードの一例であり、動作モードMD2は、第2の動作モードの一例である。
例えば、印刷開始ボタンの選択に対応してシートSHに印刷される枚数が1枚の場合で、算出したシートサイズが設定サイズと一致しない場合、動作モードMD1(印刷継続/リカバリー印刷禁止)が設定される。また、印刷開始ボタンの選択に対応してシートSHに印刷される枚数が2枚以上の場合で、算出したシートサイズが設定サイズと一致しない場合、動作モードMD2(印刷停止/リカバリー印刷許可)が設定される。すなわち、動作モードMD2は、動作モードMD1に比べて印刷回数が多い。
動作モードMD1では、エンジン制御部70は、シートサイズが不一致であると判定したシートSHに画像を印刷して排出口51から排出する。また、エンジン制御部70は、シートSHに印刷した画像に対応してRAM70aに保持されている主管理番号と副管理番号を含む印刷モード情報とを消去する。これにより、リカバリー印刷が禁止される。
エンジン制御部70は、排出センサ54の出力を監視し、シートSHが排出口51を通過したことを確認した後、画像データを印刷したシートSHを排出したことを主管理番号または副管理番号とともにコントローラ部60に通知する。また、エンジン制御部70は、シートサイズの不一致をコントローラ部60に通知する。シートSHの排出の通知およびシートサイズの不一致の通知は、コントローラ部60に同時に送信されてもよい。
コントローラ部60は、シートSHの排出の通知を受信した場合、印刷が正常に完了したと判断し、受信した管理番号に対応してRAM60aに保持されている印刷モード情報を消去し、リカバリー印刷を禁止する。また、コントローラ部60は、シートサイズの不一致の通知を受信した場合、エラー画面(シートサイズ不一致画面)を操作パネル32に表示し、トレイ80に正しいシートを入れて、印刷し直すことをユーザに促す。
ユーザは、排出口51に排出されたシートSH(設定サイズと異なる)で満足できない場合、圧板10を開けて原稿MSをスキャナ部20にセットし、印刷条件を設定し直して再度印刷を行う。
これに対して、ユーザが、排出口51に排出されたシートSHに満足した場合、シートSHを持って画像形成装置100から立ち去ることが考えられる。この場合にも、リカバリー印刷の禁止の決定に基づいてRAM60aから画像データを含む印刷モード情報が消去されているため、ユーザ以外の第三者により不正な印刷が行われることを防止でき、セキュリティを向上することができる。
一方、動作モードMD2では、エンジン制御部70は、シートサイズが不一致と判定したシートSHの搬送動作を停止し、シートSHを搬送部50内に留める。以下では、シートSHの搬送動作を停止し、シートSHを搬送部50内に留めることは、ジャム停止とも称される。なお、エンジン制御部70は、ユーザが取り出しやすい位置までシートSHを搬送してから搬送動作を停止してもよい。ユーザが取り出しやすい位置は、例えば、シートSHの一部が排出口51から出た位置などである。
なお、エンジン制御部70は、少なくとも1枚目のシートSHを排出口51から排出した後、後続のシートSHの搬送動作を停止してもよい。複数枚を印刷する場合に最初の1枚が排出されても残りのシートSHが排出されないことで、ユーザは画像形成装置100から離れることなくリカバリー印刷を行う。ユーザが画像形成装置100から離れずにリカバリー印刷を行うことで、ユーザ以外の第三者により不正な印刷が行われることを防止でき、セキュリティを維持することができる。
エンジン制御部70は、画像データを印刷したシートSHがジャム停止したことを、例えば、副管理番号とともにコントローラ部60に通知する。また、エンジン制御部70は、シートサイズの不一致をコントローラ部60に通知する。ジャム停止の通知およびシートサイズの不一致の通知は、コントローラ部60に同時に送信されてもよい。
コントローラ部60は、エラー画面(ジャム停止画面)を操作パネル32に表示し、搬送部50または排出口51からシートSHを取り除くことをユーザに促す。コントローラ部60は、受信した副管理番号およびそれ以降の副管理番号に対応する画像データのリカバリー印刷を許可し、リカバリー印刷が可能なことを示すリカバリー情報を、受信した管理番号に対応してRAM60a内の記録された印刷モード情報に追加する。
エンジン制御部70は、搬送部50内に留まっているシートSHがユーザにより除去されたことを検知した場合、搬送部50内にシートSHが残っていないことを示す情報をコントローラ部60に通知する。コントローラ部60は、リカバリー印刷の要否を選択させる画面(リカバリー印刷画面)を操作パネル32に表示し、リカバリー印刷をするか否かをユーザに選択させる。
ユーザがリカバリー印刷を選択した場合、コントローラ部60は、リカバリー印刷の対象の印刷モード情報(副管理番号および画像データを含む)をRAM60aから読み出してエンジン制御部70に送信し、エンジン制御部70にリカバリー印刷を指示する。エンジン制御部70は、コントローラ部60から受信した印刷モード情報をRAM70aに記録し、リカバリー印刷を開始する。リカバリー印刷が正常に終了した場合、エンジン制御部70は、RAM70aが保持するリカバリー印刷の対象の印刷モード情報を消去し、コントローラ部60は、RAM60aが保持するリカバリー印刷の対象の印刷モード情報と画像データとを消去する。
図3は、図1のRAM60a、70aに記録される印刷モード情報の例を示す説明図である。RAM60a、70aには、主管理番号(例えば、A)に続いて少なくとも1つの印刷モードの内容が、枝番を付した副管理番号(例えば、A−1)とともに記録される。主管理番号は、操作パネル32に表示される印刷開始ボタンの選択毎に(すなわち、印刷ジョブ毎に)割り当てられる。副管理番号は、シートSHに印刷する画像毎に割り当てられる。
例えば、図3は、1枚の原稿MSに対して印刷枚数がm枚(mは3以上の整数)に設定された後、印刷開始ボタンが選択された場合にRAM60a、70aに記録される情報を示す。あるいは、図3は、印刷枚数が1枚に設定され、印刷開始ボタンが選択され、ADFを用いてm枚の原稿MSが印刷される場合にRAM60a、70aに記録される情報を示す。あるいは、図3は、印刷枚数が2枚に設定され、印刷開始ボタンが選択され、ADFを用いてm/2枚(mは4以上の偶数)の原稿MSが印刷される場合にRAM60a、70aに記録される情報を示す。
副管理番号とともにRAM60a、70aの各々に記録される印刷モードは、シートSHのサイズを示す設定サイズ、印刷に使用するシートSHが収納されたトレイ80および片面印刷/両面印刷の設定を含む。これら情報は、例えば、操作パネル32を操作するユーザにより設定される。さらに、RAM60aに記録される印刷モードは、画像データを含む。また、RAM60aに記録される印刷モードは、後述するリカバリー印刷の許可を示すリカバリー情報を含む場合がある。図3に示す例では、RAM60aに記録された管理番号A−mに対応する画像データの印刷が失敗したが、RAM60aに追加されたリカバリー情報により、リカバリー印刷が可能であることを示す。
なお、RAM60aにおいて、画像データは、画像データ以外の印刷モードの内容が記録される領域とは別の領域に記録されてもよい。この場合、図3のRAM60aにおいて画像データと示した領域には、例えば、画像データの格納先のアドレスが格納される。
図4は、シートサイズの不一致時の動作仕様の例を示す説明図である。この実施形態では、画像形成装置100は、印刷開始ボタンの選択毎(すなわち、印刷要求毎)に印刷枚数が1枚の場合、動作モードをMD1に設定し、印刷開始ボタンの選択毎に印刷枚数が2枚以上の場合、動作モードをMD2に設定する。
動作モードMD1では、シートサイズの不一致時に、シートSHが排出され、リカバリー印刷が禁止される。動作モードMD2では、シートサイズの不一致時に、シートSHが排出されずにジャム停止になり、リカバリー印刷が許可される。シートサイズの不一致の表示は、動作モードMD1、MD2に拘わらず行われる。例えば、印刷開始ボタンの選択毎の印刷枚数は、図3に示した副管理番号の領域の数(枝番の数)により判定される。
図4に示す動作仕様1により、印刷枚数の少ない動作モードMD1では、シートサイズの不一致時にシートSHをジャム停止させずに、シートSHを排出することで、搬送部50からシートSHを除去する手間を省くことができる。なお、シートサイズの不一致によるジャム停止は、折り目等のダメージがないため、搬送による紙詰まりを発生させることなくシートSHを排出口51から排出することができる。
また、免許証などの機密性の高い書類のコピーは、コピー枚数が最小限に設定される場合が多い。また、免許証などのコピーを役所などに提出する場合、ユーザは、シートサイズにこだわらない場合もあり、シートサイズが不一致だった場合でも再印刷しないで印刷されたシートSHを持ち去ることが多い。このような場合にも、リカバリー印刷を禁止することで他のユーザが印刷を不正に実行することを防止でき、セキュリティを向上することができる。
一方、印刷開始ボタンの選択毎の印刷枚数が動作モード1より多い動作モードMD2では、シートサイズの不一致時にシートSHをジャム停止させてリカバリー印刷を許可することで、間違ったサイズの複数のシートSHが印刷されることを防止することができる。これにより、シートSHが無駄に消費されることを防止することができ、ユーザが準備したシートが足りなくなるという問題を解消することができる。
なお、シートSHをジャム停止させた場合、ユーザは搬送部50内で停止したシートSHを取り除いた後、操作パネル32を用いてリカバリー印刷するか否かを選択する。ユーザが画像形成装置100から離れることがないため、他のユーザが印刷を不正に実行することを防止でき、セキュリティを向上することができる。また、間違ったサイズの大量のシートSHが印刷されるのを待つことなく、リカバリー印刷を実行できるため、ユーザは、サイズの正しいシートを用いて、素早く印刷を再開することができる。以上より、シートを無駄に印刷することを抑止しつつ、セキュリティを向上することができる。
なお、操作パネル32を用いてユーザが設定する印刷枚数が1枚の場合に動作モードMD1が設定され、2枚以上の場合に動作モードMD2が設定されてもよい。また、ユーザが設定する印刷枚数が2枚の場合に動作モードMD1が設定され、3枚以上の場合に動作モードMD2が設定されてもよい。すなわち、動作モードMD1、MD2は、印刷する原稿MSの1枚毎の印刷枚数に応じて設定されてもよい。
この場合、図3に示したRAM60a、70aに記録される印刷モード情報は、ユーザが設定する印刷枚数を含んでもよい。そして、エンジン制御部70は、RAM70aに記録された印刷枚数に応じて、動作モードをMD1またはMD2に設定する。なお、RAM60a、70aにおいて、副管理番号は、印刷する画像毎に割り当てられる。例えば、印刷枚数が1枚に設定され、ADFを用いてm枚の原稿MSが印刷される場合、m個の副管理番号の印刷枚数の領域には、"1"が記録される。あるいは、印刷枚数がm枚に設定され、1枚の原稿MSが印刷される場合、m個の副管理番号の印刷枚数の領域には、"m"が記録される。
図5は、図1のコントローラ部60の動作の例を示すフローチャートである。図5に示す動作は、画像形成装置100に電源が投入された場合に開始され、あるいは印刷が終了した場合に開始される。
まず、ステップS10において、コントローラ部60は、ユーザにより印刷モードが設定され、かつ、ユーザにより印刷開始が選択されたか否かを監視する。印刷モードの設定および印刷開始の選択は、ユーザによる操作パネル32の操作、ユーザによるLAN経由での印刷の指示、またはユーザによるUSB経由での印刷の指示のいずれかにより認識される。コントローラ部60は、印刷モードが設定され、かつ、印刷開始が選択された場合、処理をステップS12に移行する。
ステップS12において、コントローラ部60は、ユーザにより設定された印刷モードに副管理番号を付けて印刷モード情報を生成する。ここで、印刷枚数が複数に設定された場合、または、ADFにより複数枚の原稿MSが順次スキャンされる場合、コントローラ部60は、複数の印刷モード情報を順次生成する。
次に、ステップS14において、コントローラ部60は、画像データを含む印刷モード情報をRAM60aに記録する。次に、ステップS16において、コントローラ部60は、主管理番号と副管理番号を含む複数の印刷モード情報とともに印刷の開始の指示をエンジン制御部70に送信し、処理を終了する。
例えば、印刷の開始の指示は、操作パネル32による印刷開始ボタンの選択毎に行われる。エンジン制御部70に送信される印刷モード情報の最大数は、ユーザにより設定される印刷枚数と、スキャナ部20による原稿MSのスキャン能力に依存して決まる。
例えば、コントローラ部60からエンジン制御部70に印刷モード情報の送信が開始されるまでに3枚の原稿MSがスキャン可能であるとする。原稿MSが3枚以下(a枚とする)で設定された印刷枚数がb枚のとき、a×b個の印刷モード情報とともに、印刷の開始の指示がエンジン制御部70に送信される。原稿MSが4枚以上で設定された印刷枚数がb枚のとき、3×b個の印刷モード情報とともに、印刷の開始の指示がエンジン制御部70に送信される。
なお、LANまたはUSBを介して受信する画像データを印刷する場合、コントローラ部60は、印刷開始ボタンの選択に対応して受信した全ての画像データを印刷モード情報とともにRAM60aに記録する。そして、コントローラ部60は、印刷開始ボタンの選択に対応する全ての印刷モード情報とともに、印刷の開始の指示をエンジン制御部70に送信する。
図6は、図1のエンジン制御部70の動作の例を示すフローチャートである。図6に示す動作は、画像形成装置100に電源が投入された場合に開始され、あるいは印刷が終了した場合に開始される。
まず、ステップS20において、エンジン制御部70は、コントローラ部60から少なくとも1つの印刷モード情報とともに印刷の開始の指示を受信したか否かを監視する。エンジン制御部70は、印刷モード情報とともに印刷の開始の指示を受信した場合、処理をステップS22に移行する。
ステップS22において、エンジン制御部70は、受信した印刷モード情報(副管理番号を含む)のうち、画像データを除く情報をRAM70aに記録する。次に、ステップS24において、エンジン制御部70は、印刷モード情報にしたがって印刷を開始し、処理を終了する。
図7は、図6のステップS24の動作の例を示すフローチャートである。例えば、図7の動作は、トレイ80のいずれかからシートSHの搬送が開始されたことに基づいて開始される。
まず、ステップS30において、エンジン制御部70は、搬送センサ52のセンサ出力のON/OFFを監視し、トレイ80から取り出したシートSHが搬送センサ52に届いたことを検知した場合、処理をステップS32に移行する。なお、搬送センサ52は、シートSHによりセンサ部が塞がれたときにON情報を出力し、センサ部が塞がれていないときにOFF情報を出力する。
ステップS32において、エンジン制御部70は、搬送センサ52がON情報を出力している時間であるON時間の計測を開始し、処理をステップS34に移行する。ステップS34において、エンジン制御部70は、搬送センサ52のセンサ出力のON/OFFを監視し、OFF状態になった場合、処理をステップS36に移行し、ON状態が維持される場合、処理をステップS60に移行する。
ステップS36において、エンジン制御部70は、搬送センサ52がON情報を出力している時間の計測を終了し、処理をステップS38に移行する。ステップS38において、エンジン制御部70は、搬送センサ52がON情報を出力した時間と、シートSHの搬送速度とに基づいて、シートSHの搬送方向(例えば、縦方向)の長さであるシート長Lを算出し、処理をステップS40に移行する。
ステップS40において、エンジン制御部70は、RAM70aに記録した印刷モード情報に含まれる設定サイズに対応するシート長Aと、ステップS38で算出したシート長Lとを比較する。エンジン制御部70は、シート長Lが、シート長A+α以上またはシート長A−β以下の場合、シートサイズの不一致を検知し、処理をステップS42に移行する。特に限定されないが、αはシート長Aの20%程度であり、βはシート長Aの10%程度である。なお、α、βは、シートサイズに拘わらず一定でもよく、シートサイズが大きいほど大きくしてもよい。
なお、エンジン制御部70は、ステップS38の処理を省略し、計測したON時間をシート長Lとしてもよい。この場合、エンジン制御部70は、ステップS40において、ON時間が所定の時間範囲外である場合、シートサイズの不一致を検知し、ON時間が所定の時間範囲である場合、シートサイズの一致を検知する。なお、上述したように、所定の時間範囲は、操作パネル32を用いてユーザにより設定されたシートのサイズである設定サイズに応じて変更されてもよい。
ステップS42において、エンジン制御部70は、RAM70aに記録された印刷モード情報に基づいて、印刷開始ボタンの選択に応じてシートSHに印刷される印刷回数である印刷枚数が1枚か否かを判定する。例えば、エンジン制御部70は、RAM70aに1つの副管理番号のみが記録されている場合、印刷枚数が1枚であると判定し、RAM70aに複数の副管理番号が記録されている場合、印刷枚数が複数枚であると判定する。エンジン制御部70は、印刷枚数が1枚の場合、動作モードがMD1であると判定し、処理をステップS44に移行する。エンジン制御部70は、印刷枚数が2枚以上の場合、動作モードがMD2であると判定し、処理をステップS50に移行する。
なお、ユーザにより設定された印刷枚数に応じて動作モードMD1、MD2が判定される場合、エンジン制御部70は、RAM70aに記録された印刷モード情報の印刷枚数が1の場合、動作モードがMD1であると判定する。エンジン制御部70は、RAM70aに記録された印刷モード情報の印刷枚数が2以上の場合、動作モードがMD2であると判定する。
ステップS44において、エンジン制御部70は、印刷を継続し、画像が印刷されたシートSHを排出口51から排出し、処理をステップS46に移行する。ステップS46において、エンジン制御部70は、印刷したシートSHの排出とシートサイズの不一致とをコントローラ部60に通知し、処理をステップS48に移行する。通知を受信したコントローラ部60は、シートサイズの不一致を示すエラー画面(シートサイズ不一致画面)を操作パネル32に表示する。
ステップS48において、エンジン制御部70は、リカバリー印刷を禁止し、RAM70aに保持された印刷対象の印刷モード情報を消去し、処理を終了する。印刷開始ボタンの選択毎の印刷枚数が1枚で、かつ、シートサイズの不一致が検知された場合、リカバリー印刷を禁止することで、排出された印刷済みのシートSHを持ち去った場合にも、他のユーザが印刷を不正に実行することを防止できる。この結果、セキュリティを向上することができる。
一方、印刷開始ボタンの選択に応じてシートSHに印刷される印刷枚数が2枚以上の場合、ステップS50において、エンジン制御部70は、シートSHの搬送動作を停止し、シートSHを搬送部50内に留め(ジャム停止)、処理をステップS52に移行する。
ステップS52において、エンジン制御部70は、ジャム停止をコントローラ部60に通知する。通知を受信したコントローラ部60は、搬送部50からシートSHを取り除くことをユーザに促すエラー画面(ジャム停止画面)を操作パネル32に表示させる。
次に、ステップS54において、エンジン制御部70は、ジャム停止したシートSHが搬送部50から取り除かれたことを搬送センサ52等により検知した後、シートサイズの不一致を示す情報をコントローラ部60に通知する。通知を受信したコントローラ部60は、シートサイズの不一致を示すエラー画面(シートサイズ不一致画面)を操作パネル32に表示させる。この後、コントローラ部60は、リカバリー印刷の制御を実行する。
次に、ステップS56において、エンジン制御部70は、コントローラ部60からリカバリー印刷の指示を受信した場合、処理をステップS58に移行し、リカバリー印刷の指示を受信しない場合、処理を終了する。ステップS58において、エンジン制御部70は、コントローラ部60から受信する印刷モード情報のうち、画像データを除く情報をRAM70aに記録し、コントローラ部60から受信した画像データを使用してリカバリー印刷を行い、処理を終了する。なお、エンジン制御部70は、リカバリー印刷の終了後、RAM70aに記録されたリカバリー印刷用の印刷モード情報を消去する。
ステップS60において、エンジン制御部70は、ON時間が、予め設定されたタイムアウト時間を超えた場合、処理をステップS62に移行し、ON時間がタイムアウト時間を超えていない場合、処理をステップS34に戻し、ON時間の計測を継続する。
ステップS62において、エンジン制御部70は、シートSHの搬送中にジャム(紙詰まり)が発生したと判断し、シートSHの搬送動作を停止し(ジャム停止)、処理をステップS64に移行する。ステップS64において、エンジン制御部70は、ステップS52と同様に、ジャム停止をコントローラ部60に通知し、搬送部50からシートSHを取り除くことをユーザに促すエラー画面(ジャム停止画面)を操作パネル32に表示させる。
また、エンジン制御部70は、ジャム停止したシートSHが搬送部50から取り除かれたことを搬送センサ52等により検知した場合、コントローラ部60にジャム停止の解除を通知し、処理をステップS56に移行する。ジャム停止の解除の通知を受信したコントローラ部60は、リカバリー印刷の制御を実行する。
一方、ステップS40において、シートSHのサイズと設定サイズとが一致する場合、ステップS66において、エンジン制御部70は、印刷を継続し、画像が印刷されたシートSHを排出口51から排出し、処理を終了する。すなわち、通常の印刷動作が実行される。なお、エンジン制御部70は、シートSHに印刷した画像に対応してRAM70aが保持する印刷モード情報の消去を消去する。
図8は、図1のコントローラ部60によるリカバリー印刷の制御の例を示すフローチャートである。図8に示す動作は、例えば、図5に示したステップS16の後に開始される。
まず、ステップS70において、コントローラ部60は、エンジン制御部70からジャム停止の通知を受信した場合、処理をステップS72に移行し、ジャム停止の通知を受信していない場合、処理をステップS82に移行する。ジャム停止の通知は、印刷モード情報に含まれる副管理番号(何枚目のシートSHをジャム停止したかの情報)を含む。
ステップS72において、コントローラ部60は、ジャム停止の通知に含まれる副管理番号に対応してRAM60aに記録されている印刷モード情報に、リカバリー印刷があることを示すリカバリー情報を追加し、処理をステップS74に移行する。
例えば、エンジン制御部70は、ステップS70のジャム停止の通知において、印刷ジョブのうち、ジャム停止したシートSHに対応する副管理番号と、それ以降の副管理番号とを含むジャム停止の通知をコントローラ部60に送信する。この場合、ジャム停止したシートSHと、それ以降のシートSHに印刷される画像がリカバリー印刷の対象になる。あるいは、エンジン制御部70は、ステップS70のジャム停止の通知において、印刷ジョブに対応する主管理番号をコントローラ部60に送信する。この場合、印刷ジョブに含まれる全ての画像がリカバリー印刷の対象になる。
ステップS74において、コントローラ部60は、リカバリー印刷を行うか否かをユーザに選択させる画面を、操作パネル32に表示し、ユーザによりリカバリー印刷が選択されか否かを判定する。そして、コントローラ部60は、リカバリー印刷が選択された場合、処理をステップS76に移行し、リカバリー印刷が選択されていない場合、処理をステップS84に移行する。
ステップS76において、コントローラ部60は、リカバリー情報を追加した印刷モード情報(画像データを含む)を、リカバリー印刷の対象の情報としてエンジン制御部70に送信することで、リカバリー印刷を指示し、処理をステップS78に移行する。なお、複数の印刷モード情報が、リカバリー印刷の対象の情報として、エンジン制御部70に送信されてもよい。リカバリー印刷の指示を受信したエンジン制御部70は、リカバリー印刷を行う。
ステップS78において、コントローラ部60は、リカバリー印刷の終了を示すシートSHの排出通知の受信を待ち、エンジン制御部70から排出通知を受信した場合、処理をステップS80に移行する。ステップS80において、コントローラ部60は、リカバリー印刷を行った印刷ジョブを示す主管理番号に対応してRAM60aに記録された印刷モード情報を削除し、処理を終了する。なお、ステップS78、S80の処理は、リカバリー印刷の対象の印刷モード情報毎に行われてもよい。
一方、ステップS82において、コントローラ部60は、エンジン制御部70から排出通知を受信した場合、印刷が正常に終了したと判定し、処理を終了し、排出通知を受信しない場合、処理をステップS70に戻す。
ステップS84において、コントローラ部60は、ユーザによりリカバリー印刷の不要が選択された場合、処理を終了し、ユーザによりリカバリー印刷の不要が選択されていない場合、処理をステップS74に戻す。
図9は、図1の操作パネル32に表示される画面の例を示す説明図である。
エンジン制御部70からシートSHのジャム停止(紙詰まり)の通知を受信した場合、コントローラ部60は、図9(a)に示すジャム停止画面を操作パネル32に表示する。図9(a)では、紙詰まりの発生を知らせるメッセージと、搬送部50からシートSH(用紙)を取り除くことを促すメッセージとを含む画像が操作パネル32に表示される。
エンジン制御部70からシートサイズの不一致の通知を受信した場合、コントローラ部60は、図9(b)に示すシートサイズ不一致画面を操作パネル32に表示する。図9(b)では、ユーザが選択したトレイ80の名称(この例では手差しトレイ)と、設定サイズ(この例ではA5サイズ)とを含む画像が操作パネル32に表示される。また、シートSH(用紙)の向きとおよびシートSHのサイズ(用紙サイズ)の確認を促すメッセージを含む画像が操作パネル32に表示される。
エンジン制御部70からジャム停止の解除の通知を受信した後、コントローラ部60は、図9(c)に示すリカバリー印刷画面を操作パネル32に表示する。図9(c)では、リカバリー印刷をするか否かをユーザに選択させるメッセージを含む画像が操作パネル32に表示される。
図10から図12は、図1の画像形成装置100におけるシートサイズの不一致時の動作の概要図である。図10から図12では、手差しトレイ80cが選択され、手差しトレイ80cから供給されるシートSHに画像が印刷される例が示される。
図10から図12の左側は、印刷開始ボタンの選択毎に印刷枚数が1枚に設定された場合の動作の例を示す。図10から図12の右側は、印刷開始ボタンの選択毎に印刷枚数が複数枚(例えば、2枚)に設定された場合の動作の例を示す。以下では、印刷開始ボタンの選択毎に印刷枚数が1枚に設定された動作は1枚印刷と称され、印刷開始ボタンの選択毎に印刷枚数が複数枚に設定された動作は複数枚印刷と称される。
まず、状態1において、原稿MSがスキャナ部20にセットされた後、印刷開始ボタンがユーザにより選択され、手差しトレイ80cからシートSHが給紙される。ここで、手差しトレイ80cにセットされたシートSHのサイズは、操作パネル32で設定された設定サイズと異なる。
次に、状態2において、シートサイズの不一致が検知される。複数枚印刷では、1枚目のシートSHのサイズの不一致が検知されたときに、2枚目のシートSHの給紙が開始されている。
次に、状態3において、1枚印刷では、シートSHが搬送部50から排出され、操作パネル32にシートサイズ不一致画面が表示される。複数枚印刷では、1枚目および2枚目のシートSHが搬送部50内で停止し(ジャム停止)、操作パネル32にジャム停止画面が表示される。なお、複数枚印刷では、状態3の代わりに状態3'に示すように、シートSHを除去しやすい位置まで搬送した後、シートSHの搬送を停止してもよい。例えば、シートSHを除去しやすい位置は、排出口51である。
次に、図11に示す状態4において、1枚印刷では、操作パネル32にシートサイズ不一致画面が継続して表示される。複数枚印刷では、ジャム停止画面を見たユーザによりシートSHが除去された後、操作パネル32にシートサイズ不一致画面が表示される。
次に、状態5において、手差しトレイ80cに設定サイズと同じサイズのシートSHがユーザによりセットされる。次に、状態6において、ユーザにより、シートサイズ不一致画面の「OK」が選択される。
次に、状態7において、1枚印刷では、ユーザにより原稿MSがスキャナ部20にセットされ、シートサイズが設定される。複数枚印刷では、操作パネル32に表示されるリカバリー印刷画面において、リカバリー印刷が選択される。
次に、図12の状態8において、操作パネル32の画面中の印刷開始がユーザにより選択され、手差しトレイ80cからサイズの正しいシートSHが給紙される。次に、状態9において、シートサイズの一致が検知され、シートSHに画像が印刷される。複数枚印刷では、設定された印刷枚数のシートSHが順次印刷される。そして、状態10において、画像が印刷されたシートSHが搬送部50から排出され、印刷動作が終了する。
以上、図1から図12に示す実施形態では、一枚印刷でシートサイズの不一致が検知された場合、印刷したシートSHが排出され、リカバリー印刷が禁止される。これにより、ユーザが排出されたシートを持ち去った場合にも、第三者によるリカバリー印刷ができないため、不正な印刷が行われることを防止することができ、セキュリティを向上することができる。
複数枚印刷でシートサイズの不一致が検知された場合、印刷したシートSHの搬送が停止され、リカバリー印刷が許可される。これにより、間違ったサイズの複数のシートSHに画像が印刷されることを防止することができる。また、間違ったサイズの大量のシートSHが印刷されるのを待つことなく、リカバリー印刷を実行できるため、ユーザは、サイズの正しいシートを用いて、素早く印刷を再開することができる。さらに、印刷されたシートが排出されないことを契機として、ユーザは、シートのジャムを認識して搬送部50からシートSHを取り出してリカバリー印刷を行うため、第三者によりリカバリー印刷が行われることを防止することができる。
この結果、シートサイズの不一致を検知した場合、シートを無駄に印刷することを抑止しつつ、セキュリティを向上することができる。
また、1枚印刷でシートサイズの不一致が検知された場合、印刷したシートSHが排出されるため、シートSHを搬送部50から取り除く時間を不要にでき、印刷作業の効率を向上することができる。さらに、複数枚印刷でシートサイズの不一致が検知された場合、シートSHを除去しやすい位置まで搬送することでも、シートSHを搬送部50から取り除く時間を不要にでき、印刷作業の効率を向上することができる。
図13は、本発明の別の実施形態に係る画像形成装置におけるシートサイズの不一致時の動作仕様の例を示す説明図である。この実施形態の画像形成装置の構成は、シートサイズの不一致時の動作仕様が異なることを除き、図1および図2に示した画像形成装置100の構成と同様である。この実施形態の画像形成装置は、図1の画像形成装置100と区別するため、画像形成装置200と称される。
また、画像形成装置200の動作は、動作モードMD1、MD2の判定条件が異なることを除き、図5、図6、図7、図8に示した動作と同様である。図2のRAM60a、70aに記録される印刷モード情報の例は、図3と同じである。
例えば、動作仕様は、画像形成装置200の出荷前に4つの動作仕様2−5のいずれかに設定される。各動作モードMD1、MD2において、シートSHを排出するかジャム停止するかの仕様、およびリカバリー印刷を禁止するか許可するかの仕様は、図4の各動作モードMD1、MD2の仕様と同じである。
すなわち、動作モードMD1では、シートサイズの不一致時に、シートSHが排出され、リカバリー印刷が禁止される。動作モードMD2では、シートサイズの不一致時に、シートSHが排出されずにジャム停止になり、リカバリー印刷が許可される。なお、シートサイズの不一致の表示は、動作モードMD1、MD2に拘わらず行われる。
動作仕様2では、画像形成装置200は、印刷開始ボタンの選択毎(すなわち、印刷ジョブ毎)の印刷枚数がn枚以下(nは2以上の整数のいずれか)の場合、動作モードをMD1に設定する。また、画像形成装置200は、印刷開始ボタンの選択毎の印刷枚数がn+1枚以上の場合、動作モードをMD2に設定する。
動作仕様3では、画像形成装置200は、印刷開始ボタンの選択毎の印刷枚数がm枚以下(mは1以上の整数のいずれか)に設定され、かつ、片面印刷が選択され、かつ、予め決められた特定のトレイ80が選択された場合、動作モードをMD1に設定する。また、画像形成装置200は、動作モードMD1の条件以外に設定された場合、動作モードをMD2に設定する。例えば、印刷開始ボタンの選択毎の印刷枚数がm+1枚以上の場合、または両面印刷が選択された場合、または手差しトレイ80c以外のトレイ80a、80bが選択された場合、他の条件に拘わりなく、動作モードMD2が設定される。
例えば、免許証などの機密性の高い書類のコピーは、片面印刷されることが多く、あるいは、特定のトレイ80を選択することが多い。さらに、機密性の高い書類のコピーは、コピー枚数が最小限に設定されることが多い。このような条件(MD1)においてシートサイズの不一致を検知した場合、画像が印刷されたシートSHを排出してリカバリー印刷を禁止することで、他のユーザが印刷を不正に実行することを防止でき、セキュリティを向上することができる。
一方、動作モードMD1以外の条件の場合(すなわち、動作モードMD2)、シートサイズの不一致時にシートSHをジャム停止させてリカバリー印刷を許可することで、間違ったサイズの複数のシートSHが印刷されることを防止することができる。これにより、シートSHが無駄に消費されることを防止することができ、ユーザが準備したシートが足りなくなる問題を解消することができる。この結果、シートを無駄に印刷することを抑止しつつ、セキュリティを向上することができる。
動作仕様4では、画像形成装置200は、印刷開始ボタンの選択毎の印刷枚数がm枚以下(mは1以上の整数のいずれか)に設定され、かつ、片面印刷が選択され、かつ、手差しトレイ80cが選択された場合、動作モードをMD1に設定する。また、画像形成装置200は、動作モードMD1の設定条件を満足しない場合、動作モードを動作モードMD2に設定する。
例えば、免許証などの機密性の高い書類のコピーは、手差しトレイ80aを使用して片面印刷されることが多く、コピー枚数も最小限に設定される場合が多い。したがって、シートサイズの不一致時に、動作仕様3での動作と同様に、シートを無駄に印刷することを抑止しつつ、セキュリティを向上することができる。
動作仕様5では、シートサイズが不一致で、画像が印刷されたシートSHを排出する場合に、サイズが間違っているシートSHに画像が印刷できるか否かの条件が、動作仕様4の設定条件に追加される。そして、サイズが間違っているシートSHに画像が印刷できない場合、リカバリー印刷が禁止され(MD1)、サイズが間違っているシートSHに画像が印刷できる場合、リカバリー印刷が許可される(MD1')。
例えば、動作仕様5では、画像形成装置200は、印刷開始ボタンの選択毎の印刷枚数がm枚以下に設定され、かつ、片面印刷が選択され、かつ、手差しトレイ80cが選択された場合、動作モードをMD1またはMD1'に設定する。ここで、mは1以上の整数のいずれかである。画像形成装置200は、印刷開始ボタンの選択毎の印刷枚数がm+1枚以上の場合、動作モードをMD2に設定する。
操作パネル32を介して設定されたシートの設定サイズが、トレイ80から供給されるシートSHのサイズより小さい場合、プリンタ部40で形成される画像の全てをシートSHに印刷可能である。すなわち、ユーザは、シートSHのサイズが設定したサイズと異なるが、期待する画像が印刷されたシートSHを得ることが可能であり、印刷されたシートSHを持って立ち去る可能性がある。この場合、動作モードは、画像を印刷したシートSHが排出され、かつ、リカバリー印刷が禁止される動作モードMD1に設定される。
これにより、他の動作モードMD1−MD4と同様に、シートサイズの不一致を検知した場合、画像が印刷されたシートSHを排出してリカバリー印刷を禁止することで、他のユーザが印刷を不正に実行することを防止でき、セキュリティを向上することができる。
一方、シートの設定サイズが、トレイ80から供給されるシートSHのサイズを超える場合、プリンタ部40で形成される画像の全てをシートSHに印刷することができない場合がある。この場合、排出口51から排出されるシートSHには、ユーザが期待する画像は印刷されていない。したがって、動作モードは、リカバリー印刷が許可される動作モードMD1'に設定される。動作モードMD1、MD1'は、リカバリー印刷が禁止されるか許可されるかのみが異なる。
動作モードMD1'では、排出されたシートSHにユーザが期待する画像が印刷できていない場合、ユーザは再印刷(リカバリー印刷)を行うことが可能である。画像が印刷されたシートSHを排出するとともにリカバリー印刷を許可することで、ユーザは、サイズの正しいシートを用いて、再印刷を容易に行うことができる。
なお、動作仕様3では、「m枚以下かつ片面」または「m枚以下かつ特定の給紙トレイ」のいずれかが動作モードMD1の設定条件にされてもよい。動作仕様4では、「m枚以下かつ手差しトレイ」が動作モードMD1の設定条件にされてもよい。
また、動作仕様5において、動作モードMD1、MD2を判定するための設定条件は、シートサイズの比較を除き、動作仕様1(図4)、動作仕様2または動作仕様3の設定条件のいずれかに設定されてもよい。また、動作仕様5において、動作モードMD1、MD2を判定するための設定条件は、シートサイズの比較を除き、「m枚以下かつ片面」、「m枚以下かつ特定の給紙トレイ」または「m枚以下かつ手差しトレイ」のいずれかに設定されてもよい。
動作仕様2−5の各々における画像形成装置200の動作の概要は、印刷開始ボタンの選択毎の印刷枚数が異なることを除き、図10から図12と同様である。例えば、動作仕様4において、"m"が"2"で、印刷開始ボタンの選択毎の印刷枚数が1枚または2枚の場合であって、手差しトレイでの片面印刷が選択された場合(動作モードMD1)、シートサイズの不一致時に、画像が印刷された2枚の画像が排出される。このとき、リカバリー印刷は禁止される。また、"m"が"2"で印刷開始ボタンの選択毎の印刷枚数が3枚以上の場合、または両面印刷が選択された場合、または給紙トレイ80a、80bのいずれかが選択された場合、他の条件に拘わりなく、動作モードMD2が設定される。
なお、動作モードの条件であるn枚またはm枚は、操作パネル32を用いてユーザが設定する印刷枚数でもよい。この場合、例えば、ユーザが設定する印刷枚数がn枚以下またはm枚以下の場合に動作モードMD1が設定され、n+1枚以上またはm+1枚以上の場合に動作モードMD2が設定される。すなわち、動作モードMD1、MD2は、印刷する原稿MSの1枚毎の印刷枚数に応じて設定されてもよい。
なお、図4に示した動作仕様1と、図13に示した動作仕様2−5とを相互に切り替え可能にしてもよい。例えば、画像形成装置200に設けられるROM等の不揮発性メモリに、動作仕様1−5を示す情報を予め格納しておき、画像形成装置200の電源投入時に、不揮発性メモリから読み出す情報に応じて動作仕様が設定可能である。
以上、図13に示す実施形態においても、図1から図12に示した実施形態と同様に、シートを無駄に印刷することを抑止しつつ、セキュリティを向上することができる。さらに、図13に示す実施形態では、シートサイズを間違えやすい複数の条件が設定された場合で、シートサイズが不一致の場合に、印刷されたシートSHを排出し、リカバリー印刷を禁止することができる。
また、動作仕様5では、プリンタ部40で形成される画像の全てをシートSHに印刷できないおそれがある場合、シートSHが排出され、リカバリー印刷が許可される。これにより、ユーザは、シートSHを搬送部50から取り除くことなく、サイズの正しいシートSHを用いて、再印刷を行うことができ、印刷作業の効率を向上することができる。
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。