JP2020034645A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】媒体に形成された画像を布地などの他媒体に転写させた際に、その他媒体に高品質な画像を形成することが可能な画像形成装置を提供する。【解決手段】画像形成装置は、捺染染料を含む捺染トナーを用いて捺染トナー像を形成する第1トナー像形成部とその捺染染料を含まない非捺染トナーを用いて非捺染トナー像を形成する第2トナー像形成部とを含むと共に、非捺染トナー像の転写領域と捺染トナー像の転写領域とが互いに重なるように媒体の上に非捺染トナー像および捺染トナー像をこの順に転写させる画像形成部を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、捺染染料を含む捺染トナーを用いて画像を形成する画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置が広く普及している。インクジェット方式などの他の方式の画像形成装置と比較して、鮮明な画像が短時間で得られるからである。
電子写真方式の画像形成装置は、トナーを用いて媒体に画像を形成する。この場合には、静電潜像に付着されたトナーが媒体に転写されたのち、そのトナーが媒体に定着される。
電子写真方式の画像形成装置を用いて形成される画像の用途に関しては、様々な提案がなされている。具体的には、媒体に画像が形成されたのち、その媒体から布地などの他媒体に画像が転写されることにより、その他媒体に画像が形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2015−176032号公報
媒体に形成された画像を利用して、布地などの他媒体に画像を形成することが提案されている。しかしながら、他媒体に形成される画像の品質は未だ十分でないため、改善の余地がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、媒体に形成された画像を布地などの他媒体に転写させた際に、その他媒体に高品質な画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することにある。
本発明の一実施形態の画像形成装置は、捺染染料を含む捺染トナーを用いて捺染トナー像を形成する第1トナー像形成部とその捺染染料を含まない非捺染トナーを用いて非捺染トナー像を形成する第2トナー像形成部とを含むと共に、非捺染トナー像の転写領域と捺染トナー像の転写領域とが互いに重なるように媒体の上に非捺染トナー像および捺染トナー像をこの順に転写させる画像形成部を備えたものである。
本発明の一実施形態の画像形成装置によれば、非捺染トナー像の転写領域と捺染トナー像の転写領域とが互いに重なるように、媒体の上に非捺染トナー像および捺染トナー像をこの順に転写させる。よって、媒体に形成された画像を布地などの他媒体に転写させた際に、その他媒体に高品質な画像を形成することができる。
本発明の一実施形態の画像形成装置の構成を模式的に表す平面図である。 捺染トナー像および非捺染トナー像が転写された転写ベルトの構成を表す断面図である。 転写ベルトから非捺染トナー像および捺染トナー像が転写された媒体の構成を表す断面図である。 定着処理が行われることにより画像(非捺染画像および捺染画像)が形成された媒体の構成を表す断面図である。 比較例の画像(捺染画像)が形成された媒体の構成を表す断面図である。 他媒体に対する画像の転写方法を説明するための断面図である。 他媒体に対する画像の転写状態を説明するための断面図である。 比較例である他媒体に対する画像の転写状態を説明するための断面図である。
以下、本発明の一実施形態に関して、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。

1.画像形成装置
1−1.全体構成
1−2.トナーの構成
1−3.動作
1−4.作用および効果
2.画像の用途
3.変形例
<1.画像形成装置>
まず、本発明の一実施形態の画像形成装置に関して説明する。
ここで説明する画像形成装置は、後述するように、2種類のトナー(捺染トナーおよび非捺染トナー)を用いて媒体M(図1参照)に画像を形成する装置であり、いわゆる電子写真方式のフルカラープリンタである。より具体的には、画像形成装置は、例えば、媒体Mに画像を形成するために中間転写媒体(転写ベルト41)を用いる中間転写方式の画像形成装置である。
媒体Mの種類は、特に限定されないが、例えば、紙およびフィルムなどのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
<1−1.全体構成>
図1は、画像形成装置の平面構成を模式的に表している。この画像形成装置は、例えば、図1に示したように、筐体1の内部に、トレイ10と、送り出しローラ20と、現像ユニット30と、転写ユニット40と、定着ユニット50と、搬送ローラ61,62と、制御基板70とを備えている。筐体1には、例えば、画像が形成された媒体Mを排出および蓄積するためのスタッカ1Sが設けられている。この画像形成装置では、破線で示した搬送経路Rに沿って媒体Mが搬送される。
以下で説明する一連のローラ、すなわち名称中に「ローラ」という文言を含む一連の構成要素は、図1の紙面と直交する方向に延在する円筒状の部材であると共に、その方向に延在する回転軸を中心として回転可能である。
[トレイおよび送り出しローラ]
トレイ10は、例えば、複数の媒体Mを収納しており、筐体1に着脱可能である。送り出しローラ20は、例えば、いわゆるホッピングローラであり、トレイ10から媒体Mを取り出したのち、その媒体Mを搬送経路Rに送り出す。
[現像ユニット]
現像ユニット30は、トナーを用いて現像処理を行う。具体的には、現像ユニット30は、例えば、静電潜像を形成すると共に、クーロン力を利用して静電潜像にトナーを付着させる。
この現像ユニット30は、例えば、現像処理を行う現像処理ユニット31を含んでいる。この現像処理ユニット31は、例えば、静電潜像が形成される感光体ドラム32を含んでおり、その現像処理ユニット31には、例えば、その感光体ドラム32の表面に静電潜像を形成する光源33が付設されている。この光源33は、例えば、発光ダイオード(LED)を含んでいる。ただし、現像処理ユニット31は、例えば、さらに、帯電ローラ、現像ローラおよび供給ローラなども含んでいる。
ここでは、現像ユニット30は、例えば、5個の現像処理ユニット31(31Y,31M,31C,31K,31N)を含んでいる。現像処理ユニット31Y,31M,31C,31K,31Nは、例えば、後述する転写ベルト41の移動方向Dにおける上流から下流に向かってこの順に配置されている。すなわち、現像処理ユニット31Nは、現像処理ユニット31Y,31M,31C,31Kよりも下流に配置されている。ここで、現像処理ユニット31Y,31M,31C,31Kのそれぞれは、本発明の一実施形態の「第1トナー像形成部」であると共に、現像処理ユニット31Nは、本発明の一実施形態の「第2トナー像形成部」である。
なお、現像処理ユニット31Y,31M,31C,31K,31Nのそれぞれは、例えば、搭載しているトナーの種類(色)が互いに異なることを除いて、互いに同様の構成を有している。ここでは、上記したように、2種類のトナー(捺染トナーおよび非捺染トナー)を用いられている。
具体的には、現像処理ユニット31Yは、例えば、捺染トナー(捺染イエロートナー)を搭載している。現像処理ユニット31Mは、例えば、捺染トナー(捺染マゼンタトナー)を搭載している。現像処理ユニット31Cは、例えば、捺染トナー(捺染シアントナー)を搭載している。現像処理ユニット31Kは、例えば、捺染トナー(捺染ブラックトナー)を搭載している。現像処理ユニット31Nは、例えば、非捺染トナーを搭載している。
捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナー、捺染シアントナーおよび捺染ブラックトナーのそれぞれは、フルカラーの画像を形成するために用いられるトナーであり、特に、加熱時に昇華転写性を利用して後述する他媒体L(図6参照)に移行可能な有色トナーである。この他媒体Lは、画像形成装置を用いて画像が形成される媒体Mとは異なる他の媒体であり、例えば、布地などである。一方、非捺染トナーは、例えば、媒体Mに形成された画像が他媒体Lに転写される際に、その他媒体Lに転写される画像の性能を向上させるために用いられるトナーである。
捺染トナーは、捺染染料を含むトナーである。一方、非捺染トナーは、捺染染料を含まないトナーである。なお、捺染トナー(捺染マゼンタトナー、捺染シアントナーおよび捺染ブラックトナー)および非捺染トナーのそれぞれの詳細な構成に関しては、後述する。
以下では、捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナー、捺染シアントナー、捺染ブラックトナーおよび非捺染トナーを個別に呼称する他、必要に応じて総称を用いる。具体的には、捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナー、捺染シアントナー、捺染ブラックトナーおよび非捺染トナーを「トナー」と総称する。また、捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナー、捺染シアントナーおよび捺染ブラックトナーを「捺染トナー」と総称する。
特に、現像処理ユニット31Y,31M,31C,31Kのそれぞれは、後述するように、捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナー、捺染シアントナーおよび捺染ブラックトナー)を用いて捺染トナー像TD(後述する図2および図3参照)を形成する。一方、現像処理ユニット31Nは、後述するように、非捺染トナーを用いて非捺染トナー像TN(後述する図2および図3参照)を形成する。
[転写ユニット]
転写ユニット40は、現像ユニット30により現像処理されたトナーを用いて転写処理を行う。具体的には、転写ユニット40は、例えば、静電潜像に付着されたトナーを転写ベルト41に転写させたのち、その転写ベルト41から媒体Mにトナーを転写させる。
この転写ユニット40は、例えば、転写ベルト41と、ドライブローラ42と、アイドルローラ43と、バックアップローラ44と、1次転写ローラ45と、2次転写ローラ46と、クリーニングブレード47とを含んでいる。ここで、転写ベルト41は、本発明の一実施形態の「中間転写媒体」である。
転写ベルト41は、例えば、無端のベルトである。この転写ベルト41は、例えば、ドライブローラ42、アイドルローラ43およびバックアップローラ44により張架された状態において、そのドライブローラ42の回転に応じて移動方向Dに移動可能である。ドライブローラ42は、例えば、モータなどの駆動源を介して回転可能である。アイドルローラ43およびバックアップローラ44のそれぞれは、例えば、ドライブローラ42の回転に応じて回転可能である。
1次転写ローラ45は、転写ベルト41を介して感光体ドラム32に圧接されており、静電潜像に付着されたトナーを転写ベルト41に転写(1次転写)させる。ここでは、転写ユニット40は、例えば、5個の1次転写ローラ45(45Y,45M,45C,45K,45N)を含んでいる。1次転写ローラ45Y,45M,45C,45K,45Nの配置順は、例えば、現像処理ユニット31Y,31M,31C,31K,31Nの配置順と同様である。
2次転写ローラ46は、転写ベルト41を介してバックアップローラ44に圧接されており、転写ベルト41に転写されたトナーを媒体Mに転写(2次転写)させる。
クリーニングブレード47は、転写ベルト41に圧接されており、その転写ベルト41の表面に残留した異物を掻き取る。この異物は、例えば、不要なトナーなどである。
特に、転写ユニット40は、後述するように、転写ベルト41の上に捺染トナー像TDおよび非捺染トナー像TNをこの順に転写させたのち(図2参照)、その転写ベルト41から媒体Mの上に非捺染トナー像TNおよび捺染トナー像TDをこの順に転写させる(図3参照)。これにより、媒体Mの上に、非捺染トナー像TNおよび捺染トナー像TDがこの順に積層される。
[定着ユニット]
定着ユニット50は、転写ユニット40により媒体Mに転写されたトナーを用いて定着処理を行う。具体的には、定着ユニット50は、例えば、トナーが転写された媒体Mを加熱しながら加圧することにより、そのトナーを媒体Mに定着させる。
この定着ユニット50は、例えば、搬送経路Rを介して互いに対向する加熱ローラ51および加圧ローラ52を含んでいる。加熱ローラ51は、例えば、ハロゲンランプなどのヒータを内蔵しており、トナーが転写された媒体Mを加熱する。加圧ローラ52は、加熱ローラ51に圧接されており、トナーが転写された媒体Mを加圧する。
[搬送ローラ]
搬送ローラ61,62のそれぞれは、搬送経路Rを介して互いに対向する一対のローラを含んでおり、その搬送経路Rに沿うように媒体Mを搬送させる。特に、搬送ローラ61は、例えば、トレイ10から送り出された媒体Mを搬送経路Rに誘導するレジストローラとして機能すると共に、搬送ローラ62は、例えば、画像が形成された媒体Mをスタッカ1Sに排出する排出ローラとして機能する。
[制御基板]
制御基板70は、画像形成装置の全体の動作を制御する。この制御基板70は、制御回路、メモリ、入出力ポートおよびタイマなどを備えた回路基板であり、その制御回路は、例えば、中央演算処理装置(CPU)などを含んでいる。
特に、制御基板70は、後述するように、現像処理ユニット31Y,31M,31C,31Kにより形成される捺染トナー像TDと、現像処理ユニット31Nにより形成される非捺染トナー像TNとの位置関係を制御する(後述する図2および図3参照)。
具体的には、制御基板70は、例えば、後述するように、捺染トナー像TDの転写領域と非捺染トナー像TNの転写領域とが互いに重なるように、転写ベルト41の上に捺染トナー像TDおよび非捺染トナー像TNをこの順に転写させる(図2参照)。この場合には、転写ベルト41の表面に近い側に捺染トナー像TDが配置されると共に、その転写ベルト41の表面から遠い側に非捺染トナー像TNが配置される。ここで、現像部30、転写ユニット40および制御基板70は、本発明の一実施形態の「画像形成部」である。
制御基板70が転写ベルト41の上に捺染トナー像TDおよび非捺染トナー像TNをこの順に転写させるのは、後述するように、最終的に、非捺染トナー像TNの転写領域と捺染トナー像TDの転写領域とが互いに重なるように、媒体Mの上に非捺染トナー像TNおよび捺染トナー像TDをこの順に転写させるためである(図3参照)。この場合には、媒体Mの表面に近い側に非捺染トナー像TNが配置されると共に、その媒体Mの表面から遠い側に捺染トナー像TDが配置される。
[非捺染トナー像の形成量]
ここで、非捺染トナーは、上記したように、媒体Mに形成された画像が他媒体Lに転写される際に、その他媒体Lに転写される画像の性能を向上させるために用いられるトナーであるが、その非捺染トナーを用いて形成される非捺染トナー像TNの形成量(mg/cm2 )は、特に限定されない。捺染トナー像TDと共に非捺染トナー像TNが形成されれば、その非捺染トナー像TNが形成されない場合と比較して、他媒体Lに転写される画像の性能が向上するからである。ここで説明した非捺染トナー像TNの形成量は、転写ベルト41の上における非捺染トナー像TNの形成量ではなく、媒体Mの上における非捺染トナー像TNの形成量である。
中でも、非捺染トナー像TNの形成量は、0.10mg/cm2 以上であることが好ましい。他媒体Lに移行する捺染染料の量が担保されるため、その他媒体Lに形成された画像では、捺染トナーの色に依存せずに高い濃度が得られるからである。
特に、非捺染トナー像TNの形成量は、0.20mg/cm2 以上であることがより好ましい。他媒体Lに形成された画像において、より高い濃度が得られるからである。
また、非捺染トナー像TNの形成量は、0.38mg/cm2 以上であることがさらに好ましい。他媒体Lに形成された画像において、さらに高い濃度が得られるだけでなく、優れた階調再現性も得られるからである。これにより、広い中間色、すなわち広いハーフトーン(中階調)の色域が得られる。
なお、非捺染トナー像TNの形成量は、0.65mg/cm2 以下であることが好ましい。非捺染トナー像TNの形成量が多くなりすぎると、かえって不具合が発生する可能性があるからである。この不具合は、例えば、非捺染トナーの転写量が過剰であることに起因した定着不良などである。
ここで、非捺染トナー像TNの形成量の測定手順は、例えば、以下で説明する通りである。最初に、先端に平面部(面積=1cm2 )を有する治具を準備したのち、その平面部に両面テープを貼り付ける。続いて、外部電源を用いて治具の先端(平面部)に電圧(=+300V)を印加する。続いて、画像形成装置を用いて転写処理が行われることにより、非捺染トナー像TN(画像パターン=ベタ,印字率=100%)が転写された媒体Mを画像形成装置から取り出す。この状態では、媒体Mに転写された非捺染トナー像TNが未だ定着処理されていないため、その非捺染トナー像TNは、いわゆる未定着の非捺染トナーにより形成されている。続いて、媒体Mの上の非捺染トナー像TNに治具の平面部を押し当てることにより、その治具に貼り付けられた両面テープに未定着の非捺染トナーを付着させたのち、電子天秤を用いて未定着の非捺染トナーの付着量を測定する。この場合には、媒体Mの上における任意の3箇所において測定作業を行うことにより、3個の付着量を得る。最後に、3個の付着量の平均値を算出することにより、非捺染トナー像TNの形成量とする。
<1−2.トナーの構成>
ここで説明するトナーは、例えば、一成分現像方式の負帯電トナーである。すなわち、トナーは、例えば、負の帯電極性を有している。一成分現像方式とは、トナーに電荷を付与するためのキャリア(磁性粒子)を用いずに、そのトナー自身に適切な帯電量を付与する方式である。これに対して、二成分現像方式とは、上記したキャリアとトナーとを混合することにより、そのキャリアとトナーとの摩擦を利用してトナーに適切な帯電量を付与する方式である。
トナーの製造方法は、特に限定されない。具体的には、トナーの製造方法は、例えば、粉砕法でもよいし、重合法でもよいし、それら以外の方法でもよい。もちろん、上記した製造方法のうちの2種類以上を併用してもよい。重合法は、例えば、乳化重合凝集法および溶解懸濁法などである。
[非捺染トナー]
非捺染トナーは、上記したように、媒体Mに形成された画像が他媒体Lに転写される際に、その他媒体Lに転写される画像の性能を向上させるために用いられるトナーであり、より具体的には、非捺染トナー像TNを形成するために用いられるトナーである。
この非捺染トナーは、例えば、結着剤を含んでいる。この結着剤は、例えば、ポリエステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂およびスチレン−ブタジエン系樹脂などの高分子化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
ポリエステル系樹脂は、ポリエステルおよびその誘導体を含む総称である。すなわち、「ポリエステル系樹脂」のうちの「系」は、ポリエステルだけでなく、そのポリエステルの誘導体も含むことを意味している。この「系」の定義は、スチレン−アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂およびスチレン−ブタジエン系樹脂などに関しても同様である。
中でも、高分子化合物は、ポリエステル系樹脂を含んでいることが好ましい。後述するように、媒体Mに形成された画像が他媒体Lに転写される際に、非捺染画像GNが部分的に破断することにより、その非捺染画像GNの一部が捺染画像GDの一部と一緒に他媒体Lに移行しやすくなるからである(図7参照)。この他、ポリエステル系樹脂は、紙などの媒体Mに対して高い親和性を有するため、そのポリエステル系樹脂を含んでいる非捺染トナーは、その媒体Mに定着しやすいからである。ポリエステル系樹脂は、布地などの他媒体Lに対して高い親和性を有するため、そのポリエステル系樹脂を含んでいる非捺染トナーは、その他媒体Lに定着しやすいからである。ポリエステル系樹脂は、比較的分子量が小さい場合においても高い物理的強度を有するため、そのポリエステル系樹脂を含んでいる非捺染トナーは、優れた耐久性を有するからである。非捺染トナーが本質的に低い帯電特性を有していても、その非捺染トナーが媒体Mに定着しやすくなるからである。
ポリエステル系樹脂の結晶状態は、特に限定されない。このため、ポリエステル系樹脂は、結晶性ポリエステルでもよいし、非晶質ポリエステルでもよいし、双方でもよい。
なお、非捺染トナーの色は、特に限定されないため、その非捺染トナーは、着色剤を含んでいてもよいし、着色剤を含んでいなくてもよい。この着色剤は、例えば、捺染トナーに含まれている着色剤(捺染染料)と同様に、染色性を有していてもよいし、捺染トナーに含まれている着色剤とは異なり、染色性を有していなくもよい。
非捺染トナーが着色剤を含んでいない場合、その非捺染トナーの色は、無色(透明)である。この無色の非捺染トナーは、例えば、いわゆるクリアトナーである。この場合には、非捺染トナー像TNの色が無色になるため、その非捺染トナー像TNの色相が捺染トナー像TDの色相にほとんど影響を与えなくなる。
非捺染トナーが染色性を有していない着色剤を含んでいる場合、その非捺染トナーの色は、特に限定されない。このため、非捺染トナーの色は、イエローでもよいし、マゼンタでもよいし、シアンでもよいし、ブラックでもよいし、ホワイトでもよいし、それらのうちの2種類以上が混合された色でもよい。この場合において、非捺染トナーは、例えば、その非捺染トナーの色に対応する色の着色剤を含んでおり、その着色剤は、例えば、顔料および染料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。一例を挙げると、ホワイトの非捺染トナーは、例えば、酸化チタンなどの顔料を含んでいる。
中でも、非捺染トナーの色は、非捺染トナー像TNの色相が捺染トナー像TDの色相に影響を及ぼしにくい色であることが好ましいため、ホワイトであることが好ましい。ただし、非捺染トナー像TNの色相が捺染トナー像TDの色相に影響を及ぼしにくい色であれば、その非捺染トナーの色は、ホワイトに限らず、淡いグレーなどの淡色でもよい。
非捺染トナーが染色性を有する着色剤を含んでいる場合、その非捺染トナーの色は、特に限定されない。このため、非捺染トナーの色は、上記した非捺染トナーが染色性を有していない着色剤を含んでいる場合と同様に、イエローでもよいし、マゼンタでもよいし、シアンでもよいし、ブラックでもよいし、ホワイトでもよいし、それらのうちの2種類以上が混合された色でもよい。この場合において、非捺染トナーは、例えば、その非捺染トナーの色に対応する色の着色剤を含んでおり、その着色剤は、例えば、染色性を有する染料(捺染材料)のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。各色の捺染染料に関する詳細は、後述する捺染トナーに含まれる着色剤(捺染染料)に関する詳細と同様である。
ここで、非捺染トナーの色は、上記したように、非捺染トナー像TNの色相が捺染トナー像TDの色相に影響を及ぼしにくい色であることが好ましい。このため、非捺染トナーの色は、無色(透明)および白色であることがより好ましく、無色であることがさらに好ましい。すなわち、非捺染トナーは、着色剤を含んでいない無色トナー(クリアトナー)であることが特に好ましい。
ただし、非捺染トナーは、さらに、添加剤などの他の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。他の材料の種類は、特に限定されないが、例えば、外添剤、離型剤、帯電制御剤、蛍光増白剤、導電性調整剤、補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤およびクリーニング性向上剤などである。
外添剤は、主に、トナー同士の凝集などを抑制することにより、そのトナーの流動性を向上させる。この外添剤は、例えば、無機材料および有機材料などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。無機材料は、例えば、疎水性シリカなどである。有機材料は、例えば、メラミン樹脂などである。外添剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、結着剤100重量部に対して0.01重量部〜10重量部、好ましくは0.05重量部〜8重量部である。
離型剤は、主に、トナーの定着性および耐オフセット性などを向上させる。この離型剤は、例えば、脂肪族炭化水素系ワックス、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、脂肪酸エステル系ワックス、脂肪酸エステル系ワックスの脱酸化物などのワックスのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。この他、離型剤は、例えば、上記した一連のワックスのブロック共重合物などでもよい。離型剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、結着剤100重量部に対して0.1重量部〜20重量部、好ましくは0.5重量部〜12重量部である。
脂肪族炭化水素系ワックスは、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、オレフィンの共重合物、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスおよびフィッシャートロプシュワックスなどである。脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物は、例えば、酸化ポリエチレンワックスなどである。脂肪酸エステル系ワックスは、例えば、カルナバワックスおよびモンタン酸エステルワックスなどである。脂肪酸エステル系ワックスの脱酸化物は、その脂肪酸エステル系ワックスの一部または全部が脱酸化されたワックスであり、例えば、脱酸カルナバワックスなどである。
帯電制御剤は、主に、トナーの摩擦帯電性などを制御する。負帯電のトナーに用いられる帯電制御剤は、例えば、アゾ系錯体、サリチル酸系錯体およびカリックスアレン系錯体などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。帯電制御剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、結着剤100重量部に対して0.05重量部〜15重量部である。
蛍光増白剤は、主に、トナーの白色度を増加させる。結着剤が白色以外の色に着色(例えば、僅かに黄色に着色)していることに起因して、トナーが意図せずに白色以外の色に着色している場合には、そのトナーは蛍光増白剤を含んでいることが好ましい。トナー(結着剤)の白色度が増加するため、そのトナーの色が白色に近くなるからである。なお、トナーが蛍光増白剤を含んでいる場合には、そのトナーは紫外線光を受けると青色に発光するため、その蛍光増白剤は着色剤の一種であるとも考えられる。しかしながら、ここで説明する蛍光増白剤は、あくまでトナーの白色度を増加させる目的で用いられる添加剤(成分)であるため、着色剤とは異なる成分である。
[捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナー、捺染シアントナーおよび捺染ブラックトナー)]
捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナー、捺染シアントナーおよび捺染ブラックトナーのそれぞれは、それぞれの色に対応した色の捺染染料を含んでいる。この捺染染料は、捺染イエロー染料、捺染マゼンタ染料、捺染シアン染料および捺染ブラック染料である。
具体的には、捺染イエロートナーは、例えば、着色剤として捺染イエロー染料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいることを除いて、非捺染トナーと同様の構成を有している。捺染イエロー染料は、例えば、C.L Reactive Yellow2、C.L Disperse Yellow54、Disperse Yellow160およびC.L Yellow114などである。ただし、捺染イエロートナーは、例えば、非捺染トナーとは異なり、離型剤を含んでいなくてもよい。
捺染マゼンタトナーは、例えば、捺染イエロー染料の代わりに捺染マゼンタ染料を含んでいることを除いて、捺染イエロートナーと同様の構成を有している。捺染マゼンタ染料は、例えば、C.L Reactive Red3、C.L Disperse Red50およびC.L Disperse Red92などである。
捺染シアントナーは、例えば、捺染イエロー染料の代わりに捺染シアン染料を含んでいることを除いて、捺染イエロートナーと同様の構成を有している。捺染シアン染料は、例えば、C.L Disperse Blue60、C.L Reactive Blue15、C.L Disperse Blue359、C.L Solvent Blue63、C.L Disperse Blue165およびCibacronTurquoiseBlueFGF−Pなどである。
捺染ブラックトナーは、例えば、捺染イエロー染料の代わりに捺染ブラック染料を含んでいることを除いて、捺染イエロートナーと同様の構成を有している。捺染ブラック染料は、例えば、C.L Reactive Black5などである。ただし、捺染ブラック染料は、例えば、捺染イエロー染料と捺染マゼンタ染料と捺染シアン染料との混合物でもよい。
捺染イエロー染料、捺染マゼンタ染料、捺染シアン染料および捺染ブラック染料のそれぞれの含有量は、特に限定されないが、例えば、結着剤100重量部に対して2重量部〜25重量部、好ましくは2重量部〜15重量部である。
<1−3.動作>
図2は、捺染トナー像TDおよび非捺染トナー像TNが転写された転写ベルト41の断面構成を表している。図3は、転写ベルト41から非捺染トナー像TNおよび捺染トナー像TDが転写された媒体Mの断面構成を表している。図4は、定着処理が行われることにより画像G(非捺染画像GNおよび捺染画像GD)が形成された媒体Mの断面構成を表している。
図2および図3のそれぞれでは、捺染トナー像TDおよび非捺染トナー像TNを互いに区別しやすくするために、その捺染トナー像TDに網掛けを施している。また、図4では、捺染画像GDおよび非捺染画像GNを互いに区別しやすくするために、その捺染画像GDに網掛けを施している。すなわち、図2〜図4のそれぞれでは、実質的に捺染染料を網掛けで表している。
媒体Mに画像Gを形成する場合には、パーソナルコンピュータなどの外部装置から画像形成装置に画像データが送信されると共に、送り出しローラ20によりトレイ10から搬送経路Rに媒体Mが送り出されると、その画像形成装置は、例えば、以下で説明するように、現像処理、1次転写処理、2次転写処理および定着処理をこの順に行う。ここで説明する一連の処理に関する動作は、制御基板70により制御される。
[現像処理]
現像ユニット30では、現像処理ユニット31(31Y,31M,31C,31K)において、感光体ドラム32の表面に静電潜像が形成されたのち、その静電潜像に捺染トナーが付着される。また、現像処理ユニット31(31N)において、感光体ドラム31の表面に静電潜像が形成されたのち、その静電潜像に非捺染トナーが付着される。
[1次転写処理]
転写ユニット40において、転写ベルト41が移動方向Dに移動すると、1次転写ローラ45(45Y,45M,45C,45K)が転写ベルト41を介して感光体ドラム32に圧接されているため、その感光体ドラム32の表面(静電潜像)から転写ベルト41の表面に捺染トナーが1次転写される。これにより、図2に示したように、転写ベルト41の表面に、捺染トナーを含む捺染トナー像TDが形成される。
こののち、転写ベルト41が引き続き移動方向Dに移動すると、1次転写ローラ45(45N)が転写ベルト41を介して感光体ドラム32に圧接されているため、上記した捺染トナーの転写原理と同様の原理により、感光体ドラム31の表面から転写ベルト41の表面に非捺染トナーが1次転写される。これにより、図2に示したように、捺染トナー像TDの上に、非捺染トナーを含む非捺染トナー像TNが形成される。この場合には、捺染トナー像TDの転写領域と非捺染トナー像TNの転写領域とが互いに重なるように、より具体的には、非捺染トナー像TNの転写領域が捺染トナー像TDの転写領域のうちの少なくとも一部と重なるように、転写ベルト41の上に捺染トナー像TDおよび非捺染トナー像TNがこの順に転写される。すなわち、捺染トナー像TDの転写領域と非捺染トナー像TNの転写領域とは、例えば、完全に一致していてもよいし、多少ずれていてもよい。これにより、転写ベルト41の上に捺染トナー像TDおよび非捺染トナー像TNがこの順に積層される。なお、上記したずれの範囲(距離)は、特に限定されないが、例えば、130μm以内である。
もちろん、実際に現像処理ユニット31Y,31M,31C,31Kのそれぞれにおいて現像処理が行われるかどうかは、捺染トナー像TDを形成するために必要な色(色の組み合わせ)に応じて決定される。ここで説明したことは、実際に1次転写ローラ45Y,45M,45C,45Kのそれぞれにおいて1次転写処理が行われるかどうかに関しても同様である。
[2次転写処理]
引き続き、転写ユニット40において、転写ベルト41が移動方向Dに移動すると、2次転写ローラ46が転写ベルト41を介してバックアップローラ44に圧接されているため、その転写ベルト41の表面から媒体Mの表面に非捺染トナー像TNおよび捺染トナー像TDがこの順に2次転写される。これにより、捺染トナー像TDと非捺染トナー像TNとの位置関係が反転するため、図3に示したように、媒体Mの上に非捺染トナー像TNおよび捺染トナー像TDがこの順に積層される。
[定着処理]
定着ユニット50では、非捺染トナー像TNおよび捺染トナー像TDのそれぞれが加圧ローラ52により加圧されながら加熱ローラ51により加熱される。これにより、非捺染トナー像TNおよび捺染トナー像TDの双方が一括して媒体Mに定着されるため、図4に示したように、その媒体Mに画像Gが形成される。この画像Gは、非捺染トナー像TNが定着処理されることにより形成された非捺染画像GNと、捺染トナー像TDが定着処理されることにより形成された捺染画像GDとを含んでいる。すなわち、非捺染画像GNおよび捺染画像GDは、媒体Mの上にこの順に積層されている。
なお、媒体Mに形成された画像Gは、例えば、後述するように、加熱処理に応じて媒体Mから他媒体L(図6参照)に移行可能である捺染染料の特性を利用して、その媒体Mから他媒体Lに転写可能である。このため、媒体Mに画像Gが形成される場合には、その画像Gは、例えば、他媒体Lに転写された際に正常な向きとなるように、左右が反転された状態で形成される。
これにより、画像Gの形成動作が完了する。この画像Gが形成された媒体Mは、搬送経路Rに沿って搬送されたのち、スタッカ1Sに排出される。
<1−4.作用および効果>
この画像形成装置では、現像処理ユニット31Y,31M,31C,31Kのそれぞれが捺染トナーを用いて捺染トナー像TDを形成すると共に、現像処理ユニット31Nが非捺染トナーを用いて非捺染トナー像TNを形成することにより、媒体Mの上に非捺染トナー像TNおよび捺染トナー像TDがこの順に転写される。よって、以下で説明する理由により、媒体Mに形成された画像Gを布地などの他媒体Lに転写させた際に、その他媒体Lに高品質な画像Iを形成することができる。
図5は、比較例の画像Gが形成された媒体Mの断面構成を表しており、図4に対応している。比較例の画像Gは、捺染画像GDだけにより形成されていることを除いて、本実施形態の画像G(図4)と同様の構成を有している。
捺染トナーを用いて媒体Mに形成された画像Gの用途としては、後述するように、布地などの他媒体L(図6参照)に画像Gを転写させることにより、その画像Gに対応する画像Iを他媒体Lに形成することが考えられる。この画像の形成方式は、例えば、他媒体LがTシャツである場合には、いわゆるTシャツプリントである。
比較例の画像Gでは、図5に示したように、捺染画像GDだけにより画像Gが形成されているため、その画像G(捺染画像GD)が捺染トナーを含んでいる。この場合には、他媒体Lに媒体Mが密着された状態において、その媒体Mが加熱されると、画像G(捺染トナー)中に含まれている捺染染料が他媒体Lに移行する。これにより、他媒体Lが捺染染料により染色されるため、画像Gが他媒体Lに転写される。特に、画像Gが捺染トナーと共に結着剤などを含んでいると、その結着剤などが媒体Mの上に残留したまま、捺染染料だけが媒体Mから他媒体Lに移行する。よって、他媒体Lに画像Iが形成される。
しかしながら、他媒体Lの材質によっては、捺染トナー中に含まれている捺染染料が他媒体Lに移行しにくくなると共に、その捺染染料により他媒体Lが染色されにくくなるため、媒体Mから他媒体Lに対する画像Gの転写効率が低くなる。これにより、他媒体Lに転写された画像Iの濃度が不足すると共に、色再現性も低下するため、他媒体Lに高品質な画像Iを形成することが困難である。
これに対して、本実施形態の画像Gでは、図4に示したように、捺染トナーを含む捺染画像GDと媒体Mとの間に、非捺染トナーを含む非捺染画像GNが介在している。この場合には、他媒体Lに媒体Mが密着された状態において、その媒体Mが加熱されると、捺染画像GD(捺染トナー)中に含まれている捺染染料が他媒体Lに移行することにより、その他媒体Lが捺染染料により染色される。しかも、後述するように、非捺染画像GNが部分的に破断することにより、その非捺染画像GNの一部が捺染画像GDの一部と一緒に他媒体Lに転写される。すなわち、捺染染料を含んでいる捺染画像GDの一部では、その捺染画像GD自体が他媒体Lに移行する。よって、他媒体Lに画像Iが形成される。
この場合には、捺染画像GD(捺染トナー)に含まれている大量の捺染染料が他媒体Lに移行するため、媒体Mから他媒体Lに対する画像Gの転写効率が高くなる。これにより、他媒体Lに転写された画像Gの濃度が担保されると共に、色再現性も向上するため、他媒体Lに高品質な画像Iを形成することができる。すなわち、高品質な画像Iを実現可能である高品質な画像Gを媒体Mに形成することができる。
特に、媒体Mの種類は、捺染トナーを含んでいる捺染画像GDが定着可能な媒体であれば、特に限定されない。また、他媒体Lの種類は、捺染染料により染色可能な媒体であれば、特に限定されない。よって、媒体Mの種類(材質)に関する自由度を広げることができると共に、他媒体Lの種類に関する自由度を広げることができる。
この他、非捺染トナー像TNの形成量が0.10mg/cm2 以上であれば、他媒体Lに移行する捺染染料の量が担保される。よって、他媒体Lに形成された画像Iでは、捺染染料の色に依存せずに高い濃度が得られるため、より高い効果を得ることができる。
この場合には、非捺染トナー像TNの形成量が0.20mg/cm2 以上であれば、他媒体Lに形成された画像Iでは、高い濃度が得られるだけでなく、階調再現性も担保されるため、さらに高い効果を得ることができる。また、非捺染トナー像TNの形成量が0.38mg/cm2 以上であれば、優れた階調再現性が安定して得られるため、著しく高い効果を得ることができる。
また、非捺染トナー像TNの形成量が0.65mg/cm2 以下であれば、定着不良などの不具合が発生することを抑制しながら、上記した利点が得られるため、さらに高い効果を得ることができる。
また、非捺染トナーが着色剤を含んでいないと共にポリエステル系樹脂を含んでいれば、非捺染画像GN(非捺染トナー像TN)の色相が捺染画像GD(捺染トナー像TD)の色相に影響を与えることを抑制しながら、その非捺染画像GNが部分的に破断しやすくなるため、より高い効果を得ることができる。
また、画像形成装置が転写ベルト41を備えており、捺染トナー像TDおよび非捺染トナー像TNが転写ベルト41を経由してから媒体Mに転写されれば、捺染トナー像TDおよび非捺染トナー像TNのそれぞれが安定に形成および転写されるため、非捺染画像GNが安定して部分的に破断しやすくなる。よって、非捺染画像GNの一部が安定して他媒体Lに移行しやすくなるため、より高い効果を得ることができる。
また、画像形成装置が捺染トナー像TDおよび非捺染トナー像TNを媒体Mに定着させる定着ユニット50を備えていれば、捺染画像GDおよび非捺染画像GNのそれぞれが安定に形成されるため、その非捺染画像GNが安定して部分的に破断しやすくなる。よって、非捺染画像GNの一部が安定して他媒体Lに移行しやすくなるため、より高い効果を得ることができる。
この場合には、媒体Mの上に非捺染トナー像TNおよび捺染トナー像TDがこの順に積層されたのち、定着ユニット50が非捺染トナー像TNおよび捺染トナー像TDを一括して媒体Mに定着させれば、画像G(非捺染画像GNおよび捺染画像GD)を形成するために定着処理の回数が1回で済む。よって、定着処理が効率よく行われることにより、媒体Mに画像Gが容易に形成されると共に他媒体Lに画像Iが容易に形成されるため、さらに高い効果を得ることができる。
<2.画像の用途>
画像形成装置を用いて媒体Mに形成された画像Gは、上記したように、加熱処理に応じて媒体Mから他媒体Lに移行可能である捺染染料の特性(昇華転写性)を利用して、その媒体Mから他媒体Lに転写可能である。よって、画像Gは、他媒体Lの種類に応じて様々な用途に用いられる。
他媒体Lの種類は、特に限定されないが、例えば、紙、布地、木材、金属、ガラス、陶器および樹脂などである。より具体的には、布地は、例えば、Tシャツなどの衣類であると共に、陶器は、例えば、マグカップなどの食器である。ただし、布地は衣類に限られないと共に、陶器は食器に限られない。布地(衣類を含む。)の材質は、特に限定されないが、中でも、ポリエステルであることが好ましい。捺染トナーにより染色されやすいからである。
以下では、画像形成装置を用いて形成された画像Gの転写方法に関して説明する。ここでは、例えば、上記したように、他媒体Lが布地である場合に関して説明する。ここで説明する画像Gの転写方法は、例えば、加熱源としてアイロンを用いたアイロンプリントであり、他媒体Lは、例えば、Tシャツなどの衣類である。
図6は、他媒体Lに対する画像Gの転写方法を説明するために、図4に対応する断面構成を表している。図7は、他媒体Lに対する画像Gの転写状態を説明するために、図6に対応する断面構成を表している。図8は、比較例である他媒体Lに対する画像Gの転写方法および転写状態を説明するために、図5に対応する断面構成を表している。
他媒体Lに画像Gを転写させる場合には、まず、図6に示したように、画像G(非捺染画像GNおよび捺染画像GD)が形成された媒体Mを他媒体Lに対向させる。これにより、非捺染画像GNが他媒体Lに対向するように媒体Mが配置される。
続いて、他媒体Lに媒体Mを密着させたのち、その媒体Mにアイロンを押し当てることにより、その媒体Mに熱エネルギーHを供給する。図6では、熱エネルギーHだけを示しており、アイロンの図示を省略している。なお、アイロンの温度、アイロンを媒体Mに押し当てる時間およびアイロンを介して媒体Mに供給される加重などの条件は、任意に設定可能である。
この場合には、図7に示したように、捺染画像GD(捺染トナー)中に含まれている捺染染料が熱エネルギーHを利用して他媒体Lに移行するため、その捺染染料により他媒体Lが染色される。しかも、非捺染画像GNが部分的に破断することにより、その非捺染画像GNの一部が捺染画像GDの一部と一緒に他媒体Lに移行するため、その捺染画像GDの一部が他媒体Lに定着する。非捺染画像GNが破断するのは、その非捺染画像GN自体の密着力よりも、媒体Mと非捺染画像GNとの密着力および捺染画像GDと非捺染画像GNとの密着力のそれぞれが十分に大きいからである。これにより、媒体Mから他媒体Lに向かう方向において非捺染画像GNの一部が途中で断裂するため、その非捺染画像GNの一部が捺染画像GDの一部と一緒に他媒体Lに移行する。よって、媒体Mから他媒体Lに画像Gが転写されるため、その画像Gに対応する画像Iが他媒体Lに形成される。
他媒体Lに画像Iが形成される場合には、上記したように、媒体Mから他媒体Lに捺染染料が移行するだけでなく、その媒体Mから他媒体Lに捺染画像GD自体が非捺染画像GNと一緒に移行するため、その媒体Mから他媒体Lに移行する捺染染料の絶対量が著しく多くなる。よって、他媒体Lに形成された画像Iでは、高い濃度が得られる。
この場合において、媒体Mから他媒体Lに移行する捺染画像GDの量は、熱エネルギーHが大きくなるにしたがって増加する。よって、他媒体Lに形成された画像Iでは、高い濃度が得られるだけでなく、優れた階調再現性も得られる。これにより、画像Iでは、熱エネルギーHに応じて濃度が制御されやすくなると共に、その濃度の再現域が広くなる。
なお、比較のために、画像G(捺染画像GD)が形成された媒体Mを用いることにより、他媒体Lに画像Gを転写させた場合には、図8に示したように、熱エネルギーHを利用して捺染画像GD(捺染トナー)中の捺染染料が他媒体Lに移行する。しかしながら、捺染画像GDがほとんど破断しないため、その捺染画像GD自体は他媒体Lに移行しないか、その捺染画像GDが移行したとしても移行量はごく僅かにすぎない。捺染画像GDが他媒体Lにほとんど移行しないのは、上記した非捺染画像GNとは異なり、その捺染画像GD自体の密着力が十分に大きいからである。これにより、媒体Mから他媒体Lに移行する捺染染料の量は、実質的に、昇華転写性を利用して媒体Mから他媒体Lに移行する捺染染料の量だけであるため、その媒体Mから他媒体Lに移行する捺染染料の絶対量が不足する。よって、他媒体Lに形成された画像Iでは、高い濃度を得ることができない。
<3.変形例>
上記した画像形成装置の構成および動作などに関しては、適宜、変更可能である。
具体的には、図2〜図4では、媒体Mの上に非捺染トナー像TNおよび捺染トナー像TDの双方を転写させたのち、非捺染トナー像TNおよび捺染トナー像TDの双方にまとめて定着処理を施すことにより、非捺染画像GNおよび捺染画像GDを形成した。この場合における定着処理の回数は、1回である。
しかしながら、例えば、媒体Mの上に非捺染トナー像TNを転写させると共に、その非捺染トナー像TNに定着処理を施すことにより、非捺染画像GNを形成したのち、その非捺染画像GNの上に捺染トナー像TDを転写させると共に、その捺染トナー像TDに定着処理を施すことにより、捺染画像GDを形成してもよい。この場合における定着処理の回数は、2回である。
この場合においても、媒体Mに画像Gが形成されると、その媒体Mの上に非捺染画像GNおよび捺染画像GDがこの順に積層されるため、同様の効果を得ることができる。
定着処理の回数は、特に限定されないため、任意に選択可能である。この場合には、上記したように、定着処理の回数を少なくすることにより、その定着処理を効率よく行うためには、その定着処理の回数を1回とすることが好ましい。一方、例えば、トナーの種類(捺染トナーおよび非捺染トナー)ごとに定着条件を変更する必要がある場合などには、定着処理の回数を2回とすることが好ましい。
本発明の実施例に関して、詳細に説明する。
(実験例1〜7)
以下の手順により、図1に示した画像形成装置を用いて媒体Mに画像Gを形成したのち、その画像Gの性能を評価した。
[画像形成の準備]
最初に、画像形成装置と、媒体Mと、トナーとを準備した。このトナーとしては、4種類の捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナー、捺染シアントナーおよび捺染ブラックトナー)と、1種類の非捺染トナー(クリアトナー)とを準備した。
(画像形成装置および媒体)
画像形成装置としては、株式会社沖データ製のカラープリンタ MICROLINE VINCI C941dnを用いた。媒体Mとしては、株式会社沖データ製のA4プリンタ用紙(エクセレントホワイト,サイズ=297mm×210mm)を用いた。
(トナーの組成)
捺染イエロートナーは、捺染イエロー染料(C.L Reactive Yellow2)5質量部と、結着剤(非晶質ポリエステル)100質量部と、帯電制御剤(オリエント化学工業株式会社製ボントロンP−51)1質量部と、外添剤(日本アエロジル株式会社製疎水性シリカ微粉末R972,平均一次粒子径=16nm)トナー母粒子100質量部に対して3質量部とを含んでいる。
捺染マゼンタトナーの組成は、捺染イエロー染料の代わりに捺染マゼンタ染料(C.L Reactive Red3)を含んでいることを除いて、その捺染イエロートナーの組成と同様である。捺染シアントナーの組成は、捺染イエロー染料の代わりに捺染シアン染料(C.L Disperde Blue60)を含んでいることを除いて、その捺染イエロートナーの組成と同様である。捺染ブラックトナーの組成は、捺染イエロー染料の代わりに捺染ブラック染料(C.L Reactive Black5)を含んでいることを除いて、その捺染イエロートナーの組成と同様である。
非捺染トナーは、結着剤(非晶質ポリエステルおよび結晶性ポリエステル)105質量部と、離型剤(日本精・株式会社製パラフィンワックスSP−0145,融点=62℃)4質量部と、帯電制御剤(オリエント化学工業株式会社製ボントロンP−51)1質量部と、外添剤(複合酸化物粒子、コロイダルシリカ粒子およびシリカ粒子)トナー母粒子に対して4.5質量部とを含んでいる。ただし、結着剤は、非晶質ポリエステル100質量部と、結晶性ポリエステル5質量部とを含んでいる。外添剤は、複合酸化物粒子(日本アエロジル株式会社製STX801,平均一次粒子径=18nm)トナー母粒子100質量部に対して1質量部と、コロイダルシリカ粒子(信越化学工業株式会社製ゾルゲルシリカ X−24−9163A,平均一次粒子径=100nm)トナー母粒子100質量部に対して1質量部と、シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製VPRY40S,平均一次粒子径=80nm)トナー母粒子100質量部に対して1質量部と、シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製RY50,平均一次粒子径=40nm)トナー母粒子100質量部に対して1.5質量部とを含んでいる。
[画像の形成]
次に、上記したトナーが搭載された画像形成装置を用いて媒体Mに画像Gを形成した。
環境条件は、温度=25℃および湿度=55%とした。画像Gの形成条件は、画像形成速度(感光体ドラムの最外周の線速度)=58.7mm/秒、媒体Mの進行方向=媒体Mの長手方向、帯電ローラの印加電圧=+970V、現像ローラの印加電圧=−175V、供給ローラの印加電圧=−285Vとした。
画像Gを形成する場合には、媒体Mの上に非捺染トナー像TNおよび捺染トナー像TDをこの順に積層させたのち、1回の定着処理を行うことにより、媒体Mの上に非捺染画像GNおよび捺染画像GDをこの順に積層させた。
この場合には、現像ローラの印加電圧を変更することにより、表1〜表4に示したように、非捺染トナー像TNの形成量(mg/cm2 )を変化させた。この非捺染トナー像TNの形成量は、上記したように、媒体Mの上における非捺染トナー像TNの形成量(単位面積当たりにおける非捺染トナーの重量)である。
また、4種類の捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナー、捺染シアントナーおよび捺染ブラックトナー)のそれぞれを用いて各色の捺染画像GD(画像パターン=ベタ,印字率=100%)を形成すると共に、非捺染トナーを用いて非捺染画像GN(画像パターン=ベタ,印字率=100%)を形成した。
さらに、捺染トナー(捺染ブラックトナー)を用いて、印字率を10%ずつ増加させながら10枚の媒体Mに画像G(印字率=10%〜100%)を形成した。印字率=100%とは、媒体M(A4サイズ)の画像形成可能領域(画像を形成可能である最大範囲)の全体に画像G(画像パターン=ベタ)が形成されたため、その画像形成可能領域の面積に対する画像Gの占有面積の割合が100%であることを意味している。
捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナー、捺染シアントナーおよび捺染ブラックトナーのそれぞれを用いて各色の捺染画像GDを形成する場合には、各色の捺染画像GDの形成量を所定の値となるように調整した。具体的には、媒体Mの上において濃度測定機器(X−rite社製の分光濃度計 X−Rite528)を用いて測定される各色の画像Gの濃度が1.50である場合において、捺染イエロートナーを用いた画像GDの形成量=0.50mg/cm2 、捺染マゼンタトナーを用いた画像GDの形成量=0.54mg/cm2 、捺染シアントナーを用いた画像GDの形成量=0.59mg/cm2 、捺染ブラックトナーを用いた画像GDの形成量=0.64mg/cm2 となるように、現像ローラの印加電圧を調整した。
なお、比較のために、非捺染画像GNを形成せずに捺染画像GDだけを形成したことを除いて同様の手順により、媒体Mに画像G(捺染画像GD)を形成した(非捺染トナー像TNの形成量=0mg/cm2 )。
[画像の性能評価]
次に、上記した手順により、いわゆるアイロンプリントを行うことにより、媒体Mに形成された画像Gの性能を評価した。この場合には、以下で説明する手順により、画像Gの性能を評価するための指標として、他媒体Lに形成された画像Iの性能(濃度特性および階調特性)を調べたところ、表1〜表4に示した結果が得られた。
(濃度特性)
画像Iの濃度特性を調べる場合には、捺染トナー(捺染イエロートナー、捺染マゼンタトナー、捺染シアントナーおよび捺染ブラックトナー)を用いて各色の画像G(印字率=100%)が形成された媒体Mを用いて、アイロンプリント(Tシャツプリント)を行った。この場合には、図6を参照しながら説明したように、他媒体Lに媒体Mを密着させたのち、その媒体Mに加熱源を押し当てた。
他媒体Lとしては、ポリエステル100%の布地を用いた。加熱源としては、MagicTouch社製の熱プレス機 Model HTP234PS1を用いた。加熱条件は、加熱源の温度=200℃、他媒体Lに対する加熱源の押し当て時間=120秒間とした。これにより、図7に示したように、画像Gに対応する画像Iが他媒体Lに形成された。
他媒体Lから媒体Mを剥離させたのち、上記した濃度測定機器を用いて、他媒体Lに形成された各色の画像Iの濃度を測定した結果、表1に示した結果が得られた。この場合には、濃度の測定回数(いわゆるn数)に関してはn=3とすると共に、濃度の値に関しては小数点第三位の値を四捨五入した値とした。表1に示した濃度は、他媒体L(布地)の上において測定された濃度である。アイロンプリントを行う場合には、媒体Mおよび他媒体Lの双方に捺染トナーが移行するため、上記したように、媒体Mの上において測定される各色の画像Gの濃度が1.50となるように調整された場合においても、他媒体Lの上において測定される各色画像Iの濃度は1.50よりも低くなる。
なお、表1に示した「Y,M,C,K」は、捺染トナーの種類(色)を表している。「Y」はイエロー、「M」はマゼンタ、「C」はシアン、「K」はブラックである。
Figure 2020034645
(階調特性)
画像Iの階調特性を調べる場合には、最初に、捺染ブラックトナーを用いて印字率を増加させながら画像G(印字率=10%〜100%)が形成された媒体Mを用いて、上記したアイロンプリントを行うことにより、画像Gに対応する画像Iを他媒体Lに形成した。
続いて、濃度測定機器を用いて2種類の画像I(印字率=10%および印字率=100%)の濃度を測定したのち、その2種類の画像Iの濃度差を算出した結果、表2に示した結果が得られた。この場合には、濃度の測定回数(n数)はn=3とすると共に、濃度の値は小数点第三位の値が四捨五入された値とした。この濃度差は、色再現可能な濃度の範囲(高濃度画像の濃度と低濃度画像の濃度との差異)を表しており、濃度差=(印字率=100%である画像Iの濃度−印字率10%である画像Iの濃度)により算出される。
Figure 2020034645
続いて、上記した濃度差に基づいて、画像Iの色再現レベルを判定した。この場合には、濃度差が1.0よりも大きい場合の色再現レベルを「5」、濃度差が0.9よりも大きいと共に1.0以下である場合の色再現レベルを「4」、濃度差が0.8よりも大きいと共に0.9以下である場合の色再現レベルを「3」、濃度差が0.7よりも大きいと共に0.8以下である場合の色再現レベルを「2」、濃度差が0.7以下である場合の色再現レベルを「1」とした。なお、色再現レベルの最上位は5であると共に色再現レベルの最下位は1であるため、その色再現レベル5は色再現レベル1よりも良好である。
続いて、濃度測定機器を用いて10種類の画像I(印字率=10%〜100%)の濃度を測定することにより、10個の濃度を得た。この場合には、上記したように、濃度の測定回数(n数)はn=3とすると共に、濃度の値は小数点第三位の値が四捨五入された値とした。こののち、10個の濃度に関して最小自乗法を用いて線形近似することにより、その線形近似に関する相関係数を算出した結果、表3に示した結果が得られた。この相関係数の値は、小数点第四位の値が四捨五入された値とした。この相関係数の値が1に近いほど、印字率と濃度との関係が比例関係に近いことを表しており、すなわち印字率の変化量に対する濃度の変化量が均一に近くなることを表している。
続いて、上記した相関係数に基づいて、画像Iの濃度勾配レベルを判定した。この場合には、相関係数が0.980よりも大きい場合の濃度勾配レベルを「5」、相関係数が0.970よりも大きいと共に0.980以下である場合の濃度勾配レベルを「4」、相関係数が0.960よりも大きいと共に0.970以下である場合の濃度勾配レベルを「3」、相関係数が0.950よりも大きいと共に0.960以下である場合の濃度勾配レベルを「2」、相関係数が0.950以下である場合の濃度勾配レベルを「1」とした。なお、濃度勾配レベルの最上位は5であると共に濃度勾配レベルの最下位は1であるため、その濃度勾配レベル5は濃度勾配レベル1よりも良好である。
Figure 2020034645
最後に、表2に示した色再現レベルの判定結果と表3に示した濃度勾配レベルの判定結果とをまとめたところ、表4に示した結果が得られた。この場合には、色再現レベルの値と濃度勾配レベルの値との和を階調再現レベルとした。この階調再現レベルは、いわゆる階調(グラデーション)の滑らかさを表す指標である。なお、階調再現レベルの値が大きいほど、その階調再現レベルは良好である。
Figure 2020034645
[考察]
表1に示したように、非捺染トナー像TNを形成した場合(実験例2〜7)には、捺染トナーの各色において、その非捺染トナー像TNを形成しなかった場合(実験例1)とほぼ同等以上の高い濃度が得られた。
特に、非捺染トナー像TNを形成した場合には、その非捺染トナー像TNの形成量が0.10mg/cm2 以上であると、1.25以上の高い濃度が得られた。この場合には、非捺染トナー像TNの形成量が0.20mg/cm2 以上であると、約1.30に至るより高い濃度が得られたと共に、非捺染トナー像TNの形成量が0.38mg/cm2 以上であると、約1.40に至るさらに高い濃度が得られた。なお、非捺染トナー像TNの形成量が0.65mg/cm2 以下であると、1.25以上の高い濃度が安定して得られた。
また、表2〜表4に示したように、非捺染トナー像TNを形成した場合(実験例2〜7)には、その非捺染トナー像TNの形成量が0.10mg/cm2 以上であると、その非捺染トナー像TNを形成しなかった場合(実験例1)と比較して、色再現レベルが向上したと共に濃度勾配レベルも向上したため、階調再現レベルも向上した。
特に、非捺染トナー像TNを形成した場合には、その非捺染トナー像TNの形成量が0.38mg/cm2 以上であると、濃度勾配レベルがより向上したため、階調再現レベルもより向上した。
[まとめ]
表1〜表4に示した結果から、非捺染トナーTNの転写領域と捺染トナーTDの転写領域とが互いに重なるように、媒体Mの上に非捺染トナー像TNおよび捺染トナー像TDをこの順に転写させると、媒体Mに形成された画像Gを布地などの他媒体Lに転写させた際に、画像Iの濃度特性および階調特性が改善された。よって、他媒体Lに高品質な画像Iが形成されたと共に、その高品質な画像Iを形成可能である画像Gが得られた。
以上、一実施形態を挙げながら本発明を説明したが、本発明は上記した一実施形態において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。具体的には、例えば、本発明の一実施形態の画像形成装置は、プリンタに限られず、複写機、ファクシミリおよび複合機などでもよい。また、例えば、本発明の一実施形態の画像形成装置は、中間転写媒体を用いる中間転写方式を採用する場合に限られず、その中間転写媒体を用いない直接転写方式を採用してもよい。
30…現像ユニット、31(31Y,31M,31C,31K,31N)…現像処理ユニット、40…転写ユニット、41…転写ベルト、50…定着ユニット、70…制御基板、G,I…画像、GD…捺染画像、GN…非捺染画像、L…他媒体、M…媒体,TD…捺染トナー像、TN…非捺染トナー像。

Claims (10)

  1. 捺染染料を含む捺染トナーを用いて捺染トナー像を形成する第1トナー像形成部と前記捺染染料を含まない非捺染トナーを用いて非捺染トナー像を形成する第2トナー像形成部とを含むと共に、前記非捺染トナー像の転写領域と前記捺染トナー像の転写領域とが互いに重なるように媒体の上に前記非捺染トナー像および前記捺染トナー像をこの順に転写させる画像形成部を備えた、画像形成装置。
  2. 前記非捺染トナー像の形成量は、0.10mg/cm2 以上である、
    請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記非捺染トナー像の形成量は、0.20mg/cm2 以上である、
    請求項2記載の画像形成装置。
  4. 前記非捺染トナー像の形成量は、0.38mg/cm2 以上である、
    請求項3記載の画像形成装置。
  5. 前記非捺染トナー像の形成量は、0.65mg/cm2 以下である、
    請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記非捺染トナーは、着色剤を含まないと共に、ポリエステル系樹脂を含む、
    請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記非捺染トナーは、クリアトナーである、
    請求項6記載の画像形成装置。
  8. 前記画像形成部は、中間転写媒体を含むと共に、前記中間転写媒体の上に前記捺染トナー像および前記非捺染トナー像をこの順に転写させたのち、前記中間転写媒体から前記媒体の上に前記非捺染トナー像および前記捺染トナー像をこの順に転写させる、
    請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. さらに、
    前記画像形成部により前記媒体の上に転写された前記非捺染トナー像および前記捺染トナー像を前記媒体に定着させる定着ユニットを備えた、
    請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記画像形成部は、前記媒体の上に前記非捺染トナー像および前記捺染トナー像をこの順に積層させると共に、
    前記定着ユニットは、前記画像形成部により前記媒体の上に積層された前記非捺染トナー像および前記捺染トナー像を一括して前記媒体に定着させる、
    請求項9記載の画像形成装置。
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