JP2020033675A - 吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法及び吸音材用又は断熱材用不織布 - Google Patents

吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法及び吸音材用又は断熱材用不織布 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、軽量化が容易であり、優れた吸音特性と粉落ち防止とを両立し得る吸音材用又は断熱材用不織布、及びそれらの製造方法を提供する。【解決手段】不織布基材繊維と、前記不織布基材繊維よりも融点の低い繊維とを混綿して熱接着した不織布基材に、熱膨張性微粒子を含む塗布液を含浸し、前記熱膨張性微粒子を膨張させて前記不織布基材の厚さを5mm以上にする一方、前記熱膨張性微粒子の膨張後の含有量を20g/m2以下とすることを特徴とする吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、嵩密度が小さく、且つ優れた吸音特性又は断熱特性を有し、熱膨張性微粒子の不織布からの脱落(粉落ち)が生じない吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法、及び吸音材用又は断熱材用不織布に関するものである。
吸音特性を有する不織布は吸音材として、自動車の内外装、AV機器、床材や壁材、天井材といった建築材等、様々な場所で使用されている。そして、吸音材を機器等に内在させる場合には特に、「軽量化」が求められる。
従来の不織布から成る吸音材としては、通気度制御のために繊維径2μm程のマイクロファイバーと、厚さ制御のために繊維径20〜30μmのステープルファイバーを組み合わせたものが知られている。しかし、該吸音材は、嵩密度が大きく、「軽量化」の要望に充分に応えられるものではなかった。
嵩密度が小さい、つまり嵩高でかつ軽量な不織布としては、例えば、特許文献1には長繊維ウエブ(スパンボンドウエブ)をニードルパンチして得られる不織布に、熱膨張性ガスが内包されたマイクロカプセルを含む樹脂が充填されたものが開示されている。また特許文献2には、繊維基材の表面に熱膨張性マイクロカプセルが混合された合成樹脂発泡層を形成してなる複合吸音材料が開示されている。
特開平04−281054号公報 特開2016−045450号公報
しかし、特許文献1の不織布は、熱膨張性ガスが内包されたマイクロカプセルを多量に使用しなければ発泡による嵩高な不織布を得られず、膨張後のマイクロカプセルが不織布から脱落する(粉落ち)恐れがあった。逆に粉落ちを回避するためにマイクロカプセルを少なくすると、膨張が不十分となって吸音性が低下する恐れがあり、粉落ちの防止と吸音特性の両立が困難であった。
特許文献2の複合吸音材は、高密度な繊維基材の表面に、高増粘した合成樹脂エマルジョンを塗布しているため、嵩密度や目付が大きくなりやすく、軽量化の点で劣るものであった。
この様な状況下、本発明は、軽量化が容易であり、優れた吸音特性と粉落ち防止とを両立し得る吸音材用又は断熱材用不織布、及びそれらの製造方法を提供することを課題として掲げた。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、不織布基材繊維と、前記不織布基材繊維よりも融点の低い繊維とを混綿して熱接着した不織布基材を用い、前記不織布基材の厚さを5mm以上にする一方、前記熱膨張性微粒子の膨張後の含有量を20g/m2以下とすることにより、軽量化、優れた吸音特性、優れた断熱特性、少ない粉落ちを達成できる吸音材用又は断熱材用不織布の製造ができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法は、以下の点に要旨を有する。
[1] 不織布基材繊維と、前記不織布基材繊維よりも融点の低い繊維とを混綿して熱接着した不織布基材に、熱膨張性微粒子を含む塗布液を含浸し、前記熱膨張性微粒子を膨張させて前記不織布基材の厚さを5mm以上にする一方、前記熱膨張性微粒子の膨張後の含有量を20g/m2以下とすることを特徴とする吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法。
[2] 前記熱膨張性微粒子の膨張により、吸音材用又は断熱材用不織布の嵩密度を0.001〜0.050g/cm3とする[1]に記載の吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法。
[3] 前記不織布基材繊維が、繊度0.8〜30dtexの不連続繊維である[1]又は[2]に記載の吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法。
[4] 前記不織布基材繊維よりも融点の低い繊維の繊度が、1.0〜20dtexである[1]〜[3]のいずれかに記載の吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法。
[5] 前記熱膨張性微粒子のメジアン粒径が、20〜70μmである[1]〜[4]のいずれかに記載の吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法。
[6] 熱接着された不織布基材繊維と、前記不織布基材繊維間に分散した状態で存在する内部中空樹脂カプセルとを含み、厚さが5mm以上、嵩密度が0.001〜0.050g/cm3である吸音材用又は断熱材用不織布。
[7] 前記不織布基材繊維が、繊度0.8〜30dtexの不連続繊維である[6]に記載の吸音材用又は断熱材用不織布。
[8] 前記内部中空樹脂カプセルの平均メジアン粒径が170〜200μmであり、該内部中空樹脂カプセルの含有量が単位面積あたり2000個/cm2以下であり、且つ、通気度が50.0cc/cm2・sec以下である[6]又は[7]に記載の吸音材用又は断熱材用不織布。
[9] 前記サーマルボンド不織布の1600〜5000Hzにおける垂直入射吸音率が、0.300以上である[6]〜[8]のいずれかに記載の吸音材用又は断熱材用不織布。
本発明によれば、不織布基材繊維と、前記不織布基材繊維よりも融点の低い繊維とを混綿して熱接着した不織布基材に、熱膨張性微粒子を含む塗布液を含浸し、前記熱膨張性微粒子を膨張させ、前記不織布基材の厚さを5mm以上にする一方、前記熱膨張性微粒子の膨張後の含有量を20g/m2以下とすることにより、軽量化が容易であり、優れた吸音特性又は断熱特性と、粉落ち防止とを両立し得る吸音材用又は断熱材用不織布を製造することが可能となる。
図1は、実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた吸音材用又は断熱材用不織布の垂直入射吸音率測定結果を示すグラフである。 図2は、実施例4で得られた吸音材用又は断熱材用不織布表面の実体顕微鏡写真である。 図3は、実施例4で得られた吸音材用又は断熱材用不織布断面の実体顕微鏡写真である。 図4は、比較例5で得られた吸音材用又は断熱材用不織布表面の実体顕微鏡写真である。 図5は、比較例5で得られた吸音材用又は断熱材用不織布断面の実体顕微鏡写真である。 図6は、比較例6で得られた吸音材用又は断熱材用不織布表面の実体顕微鏡写真である。 図7は、比較例6で得られた吸音材用又は断熱材用不織布断面の実体顕微鏡写真である。 図8は、実施例5及び比較例7で得られた吸音材用又は断熱材用不織布の断熱性能の測定結果を示すグラフである。
本願発明の吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法は、不織布基材繊維と前記不織布基材繊維よりも融点の低い繊維(以下、「低融点繊維」と称する)を含む不織布基材に、熱膨張性微粒子を含む塗布液を含浸させ加熱処理し、前記熱膨張性微粒子を膨張させ、前記不織布基材の厚さを5mm以上にする一方、前記熱膨張性微粒子の膨張後の含有量を20g/m2以下とすることを特徴としている。以下、本発明について詳述する。
<<不織布基材>>
本発明の吸音材用又は断熱材用不織布を構成する不織布基材は、不織布基材繊維と低融点繊維を含む。該不織布基材を加熱加工すれば、不織布基材に含まれる低融点繊維の一部又は全部が熱溶融され、不織布基材に含まれる繊維の交点をサーマルボンドによって接着(融着)・結合することができる。
<不織布基材繊維>
不織布基材繊維としては、例えば、天然繊維、再生繊維、合成繊維などが挙げられる。具体的には、例えば、綿、麻、毛、絹等の天然繊維;レーヨン、ポリノジック、キュプラ、レヨセル等の再生繊維;アセテート繊維、トリアセテート繊維等の半合成繊維;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド繊維;ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリ乳酸繊維、ポリアリレート繊維等のポリエステル繊維;ポリアクリロニトリル繊維、ポリアクリロニトリル−塩化ビニル共重合体繊維等のアクリル繊維;ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維;ビニロン繊維、ポリビニルアルコール繊維等のポリビニルアルコール系繊維;ポリ塩化ビニル繊維、ビニリデン繊維、ポリクラール繊維等のポリ塩化ビニル系繊維;ポリウレタン繊維等の合成繊維;ポリエチレンオキサイド繊維、ポリプロピレンオキサイド繊維等のポリエーテル系繊維等が例示できる。
不織布基材繊維の融点は、後述する低融点繊維の融点よりも、例えば、30℃以上高いことが好ましく、より好ましくは50℃以上高いことが望ましい。融点差が小さくなると、低融点繊維を溶融すべく熱処理を施した際に、加熱条件によっては、不織布基材繊維及び低融点繊維の両方が溶融又は軟化して不織布基材全体が固化したり、或いは、不織布基材繊維及び低融点繊維の両方が溶融又は軟化せず、不織布基材中の繊維の結合力が弱まる虞があるため好ましくない。
不織布基材繊維は、繊維の動きの自由度が高い点で不連続繊維(いわゆる短繊維)であることが好ましい。不織布基材繊維が不連続繊維であれば、熱膨張性微粒子の熱膨張を阻害しないため好ましい。不織布基材繊維の繊維長は、好ましくは200mm以下、より好ましくは100mm以下であり、好ましくは10mm以上、より好ましくは30mm以上である。
不織布基材繊維の繊度は、0.8dtex以上が好ましく、より好ましくは1.0dtex以上であり、更に好ましくは1.1dtex以上であり、30dtex以下が好ましく、より好ましくは22dtex以下であり、更に好ましくは15dtex以下であり、より更に好ましくは10dtex以下であり、特に好ましくは6dtex以下である。不織布基材繊維の繊度が前記下限値以上であれば、不織布基材としての充分な強度が得られるため好ましい。不織布基材繊維の繊度が前記上限値以下であれば、不織布基材が低通気性となるため、吸音性又は断熱性の点で好ましい。さらには、不織布基材繊維の繊度が前記上限値以下であれば、不織布基材中の繊維本数が適度に多くなるため、熱膨張性微粒子を不織布基材中に均一に分布させやすく、熱膨張性微粒子が熱膨張する際には繊維が柔軟に移動することができるため、膨張を阻害しにくいため好ましい。
なお、不織布基材繊維としては、1種類の不織布基材繊維又は複数種の不織布基材繊維を組み合せて使用することができる。
<低融点繊維>
前記低融点繊維について説明する。本明細書において低融点繊維とは、融点が80℃以上200℃以下の熱溶融性繊維をいい、例えば、融点が80℃以上、より好ましくは95℃以上、更に好ましくは110℃以上、より更に好ましくは120℃以上であり、200℃以下、より好ましくは190℃以下、更に好ましくは180℃以下の繊維をいう。
低融点繊維の融点は、後述する熱膨張性微粒子の最大膨張温度よりも低い温度であることが好ましい。低融点繊維の融点が、熱膨張性微粒子の最大膨張温度よりも低ければ、加熱により熱膨張性微粒子が膨張する際に、繊維ウエブを熱接着している低融点繊維が先に溶融するため、熱膨張性微粒子が繊維に阻まれることなく膨張することができる。
低融点繊維としては、不織布の製造に通常使用されるものであればよく、融点の異なる複数の樹脂を組み合わせた芯鞘構造、偏心構造、あるいはサイドバイサイド構造を有する複合繊維;変性ポリエステル繊維;変性ポリアミド繊維;変性ポリプロピレン繊維等の変性ポリオレフィン繊維等が使用できる。前記複合繊維に使用される樹脂の組み合わせには、ポリエチレン−ポリプロピレン、ポリプロピレン−変性ポリプロピレン等のポリオレフィン系の組み合わせの他、ポリエチレン−ポリエステル、ポリエステル−変性ポリエステル、ナイロン−変性ナイロン等が挙げられる。なお、複数の樹脂を組み合わせた複合繊維の場合には、複数の樹脂のうちの少なくとも1つが前記低融点繊維の融点の範囲内であればよい。また融点によっては、単一の樹脂からなる低融点繊維も使用できる。中でも、生産性がよく入手が容易であることから、芯鞘構造を有する複合繊維が好ましいが、単一の樹脂からなる低融点繊維であっても問題はない。
低融点繊維の繊度は、1.0dtex以上が好ましく、より好ましくは1.1dtex以上であり、更に好ましくは1.2dtex以上であり、20dtex以下が好ましく、より好ましくは17dtex以下であり、更に好ましくは5dtex以下である。なお繊度の異なる複数の低融点繊維を含む時には、各繊度の低融点繊維の割合(質量基準)を考慮した加重平均によって、低融点繊維の繊度を求める。低融点繊維の繊度が前記下限値以上であれば、不織布基材としての充分な強度が得られ、且つ繊維間のサーマルボンドによる接着・結合も強固とすることができるため好ましい。低融点繊維の繊度が前記上限値以下であれば、不織布基材が低通気性となるため、吸音性又は断熱性の点で好ましい。さらには、低融点繊維の繊度が前記上限値以下であれば、不織布基材中の繊維本数が適度に多くなるため、熱膨張性微粒子を不織布基材中に均一に分布させやすく、熱膨張性微粒子が膨張する際には繊維が柔軟に移動することができるため、熱膨張を阻害しにくいため好ましい。これらの利点により、本発明の吸音材用又は断熱材用不織布は、熱膨張性微粒子含有量が少量でありながらも嵩高く、さらには通常は相反する低嵩密度と低通気性を両立することができる。
低融点繊維の配合比率は、不織布基材100重量%中、5重量%以上が好ましく、より好ましくは10重量%以上であり、更に好ましくは15重量%以上である。上限は例えば、95重量%以下が好ましく、より好ましくは80重量%以下であり、更に好ましくは60重量%以下である。低融点繊維の配合比率が前記下限値を下回ると、繊維間を強固に接着・結合できないため好ましくない。また、低融点繊維の配合比率が前記上限値を超えると、熱膨張性微粒子による膨張時、不織布基材が不安定となり、厚さの制御が困難となるため好ましくない。
低融点繊維の繊維長は、好ましくは200mm以下、より好ましくは100mm以下であり、好ましくは20mm以上、より好ましくは40mm以上である。
なお、低融点繊維としては、1種類の低融点繊維又は複数種の低融点繊維を組み合せて使用することができる。
<不織布基材の製造方法>
不織布基材の製造方法は、繊維ウエブ形成と繊維ウエブの結合の2工程による。繊維ウエブ形成工程の、不織布基材繊維及び低融点繊維の計量、混綿、積層する工程は、一般的な製造方法を用いればよく、不織布基材繊維として不連続繊維を用いる場合には、短繊維ウエブの製造方法を使用できる。短繊維ウエブの製造方法によれば、繊維の動きの自由度を高めることができ、熱膨張性微粒子による不織布の膨張性を高めることができる。短繊維ウエブの形成方法としては、例えば、使用する繊維を計量した後混綿し、その後、カード機を用いてカーディングした後、クロスラッパーによりラッピングするとよい。得られた短繊維ウエブは、前記低融点繊維を利用して、サーマルボンド法による熱接着を行う。
低融点繊維による熱接着(サーマルボンド)の熱処理温度、時間等の条件は、必要とされる不織布基材の強度により適宜選定すればよく、熱処理温度は低融点繊維の融点以上であり、不織布基材繊維の融点未満であればよい。熱処理時間は、例えば、20秒間〜3分間が好ましく、より好ましくは30秒間〜2分間である。熱処理温度は150〜210℃が好ましく、より好ましくは170〜200℃である。
繊維ウエブの結合としては、上記低融点繊維による繊維間接着により、不織布基材として必要な強度が充分得られるが、不織布基材により強度を持たせるために、熱接着前に、機械的交絡工程(ニードルパンチ法、ウォーターパンチ法等)を設けてもよい。特に好ましくは、ニードルパンチ法及びサーマルボンド法を併用することで繊維を絡合・接着する態様である。
ニードルパンチ法による交絡を行う場合、ニードルパンチ加工における単位面積当たりの打ち込み本数は、例えば、5本/cm2以上が好ましく、より好ましくは10本/cm2以上、更に好ましくは20本/cm2以上であり、100本/cm2以下が好ましく、より好ましくは70本/cm2以下、更に好ましくは50本/cm2以下である。打ち込み本数が前記範囲内であれば、熱膨張性微粒子を含む樹脂を不織布基材に適量含有させることができ、且つ熱膨張性微粒子の膨張を阻害しないため好ましい。
ニードルパンチ法による交絡を行う場合、ニードルパンチ加工における針深さは、0mm以上が好ましく、より好ましくは3mm以上、更に好ましくは5mm以上であり、20mm以下、より好ましくは15mm以下、更に好ましくは12mm以下である。
<不織布基材の特徴>
不織布基材の厚さは特に限定されないものの、例えば、2.5mm以上が好ましく、より好ましくは3.0mm以上、更に好ましくは3.2mm以上である。
不織布基材の目付は、50g/m2以上が好ましく、より好ましくは80g/m2以上であり、更に好ましくは100g/m2以上であり、400g/m2以下が好ましく、より好ましくは350g/m2以下であり、更に好ましくは300g/m2以下である。不織布基材の目付が前記範囲内であれば、熱膨張性微粒子の含有量が少なくとも、熱膨張性微粒子の膨張により、嵩密度が小さく、且つ通気度が小さい、吸音特性又は断熱特性を有する吸音材用又は断熱材用不織布を得ることができるため好ましい。
不織布基材の嵩密度は、0.020g/cm3以上が好ましく、より好ましくは0.025g/cm3以上であり、0.070g/cm3以下が好ましく、より好ましくは0.065g/cm3以下である。
<<塗布液>>
次に不織布基材に含浸させる塗布液について説明する。塗布液とは、熱膨張性微粒子とその分散媒体とを含むものであり、熱可塑性樹脂等の接着性成分をさらに含むことが好ましい。塗布液を不織布基材に含浸することにより、不織布繊維に熱膨張性微粒子を付着(好ましくは接着)できる。
<熱膨張性微粒子>
熱膨張性微粒子とは、気化性液体を、熱可塑性高分子で内包した構成のマイクロカプセルのことである。熱膨張性微粒子は、加熱により外殻を構成する熱可塑性高分子が軟化し、同時に内包されている気化性液体がガス化して内圧が上がり、膨張した状態となる。該状態を、内部中空樹脂カプセルと称する場合がある。本発明の吸音材用又は断熱材用不織布では、この熱膨張性微粒子の膨張により、不織布の繊維間が広げられ嵩高さが得られる。
気化性液体としては、常温で液体であり、膨張開始温度で気化する液体を適宜使用でき、炭化水素が好ましい。
熱膨張性微粒子の熱膨張倍率は、膨張前の直径D1に対する膨張後の直径D2の比(D2/D1)で表すと、2以上が好ましく、より好ましくは3以上であり、更に好ましくは3.5以上であり、5.5以下が好ましく、より好ましくは5以下であり、更に好ましくは4.5以下である。熱膨張倍率を前記範囲内に調整することにより、通常は相反する嵩高さと低通気性を両立した吸音材用又は断熱材用不織布ができる。
熱膨張性微粒子の未膨張状態における平均メジアン粒径は、20μm以上であり、より好ましくは25μm以上、更に好ましくは30μm以上であり、70μm以下であり、より好ましくは65μm以下、更に好ましくは60μm以下である。熱膨張性微粒子の平均メジアン粒径が上限値を上回ると、熱膨張性微粒子を不織布基材に均一に付着又は接着できない虞や、熱膨張性微粒子が吸音材用又は断熱材用不織布から脱落しやすくなる虞がある。また熱膨張性微粒子の平均粒子径が下限値を下回ると、熱膨張性微粒子を付着又は接着した不織布の膨張率が小さくなるため、充分に嵩密度が小さい不織布とできない虞がある。
熱膨張性微粒子の平均メジアン粒径は、例えば、レーザー回折式粒子径分布測定装置((株)島津製作所製「SALD−2300」)により測定することが可能である。
熱膨張性微粒子の膨張開始温度は、70℃以上が好ましく、より好ましくは90℃以上であり、さらに好ましくは100℃以上である。また、熱膨張性微粒子の最大膨張温度は、200℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以下であり、更に好ましくは165℃以下である。熱膨張性微粒子の熱膨張開始温度が前記下限値を下回ると、断熱材として本発明の不織布を使用する際、熱の影響で該熱膨張性微粒子が更に膨張したり、過剰な膨張により外殻が薄くなり内部の気化性液体が透過拡散し、内圧よりも外殻を構成する熱可塑性高分子の張力と外圧が勝り縮小したりして、不織布の厚さが変化する虞がある。
熱膨張性微粒子を分散させる溶媒としては、例えば、有機溶剤系でもよく、水性媒体でもよく、好ましくは水性媒体である。なお、水性媒体とは、少なくとも水を含む媒体であり、水だけでもよく、水と、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類などの水溶性溶媒との混合溶媒であってもよい。
塗布液に含有させる熱膨張性微粒子の濃度は、使用する不織布基材の目付に応じて適宜選択すればよいが、例えば、3g/L以上が好ましく、より好ましくは5g/L以上であり、更に好ましくは7g/L以上であり、35g/L以下が好ましく、より好ましくは30g/L以下であり、更に好ましくは27g/L以下である。本発明の吸音材用又は断熱材用不織布は、サーマルボンド製法による不織布基材を用いるため膨張が阻害されず、塗布液含浸層中の熱膨張性微粒子含有量が少量でも嵩高くできるので、塗布液に含有させる熱膨張性粒子の濃度を、前記範囲のように薄くすることができる。
<接着性成分>
塗布液中の接着性成分としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂の種類は汎用のものでよく、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含むアクリル系樹脂;酢酸ビニルに由来する構成単位を含む酢酸ビニル系樹脂;塩化ビニルに由来する構成単位を含む塩化ビニル系樹脂;ブタジエン−スチレン系、ブタジエン−アクリロニトリル系、クロロプレン系等の合成ゴム系樹脂;ポリエステル系樹脂;ウレタン系樹脂;等が好ましい。これらの樹脂は1種のみでも2種以上を組み合わせても使用することができる。中でも、酢酸ビニルに由来する構成単位とエチレンに由来する構成単位とを有する共重合体(3元以上の多元共重合体も含む)の酢酸ビニル系樹脂が溶着性及び柔軟性の点で好ましく、アクリル系樹脂が接着性及び入手容易性の点で好ましい。
塗布液中の接着性成分として用いる熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、−30〜50℃が好ましく、より好ましくは−20〜40℃である。
熱可塑性樹脂は、エマルジョンとして塗布液に含有させればよい。
熱可塑性樹脂エマルジョンは、有機溶剤系でも構わないが、水性媒体のエマルジョンであることが好ましい。複数の(共)重合体から樹脂が構成されている場合でも、エマルジョン同士を混合して撹拌すれば、均一な樹脂エマルジョンが簡単に得ることができる。また、水性媒体のエマルジョンであれば、得られる樹脂エマルジョンの粘度も低く抑えることができ、さらに環境にも優しい。なお、熱膨張性微粒子を分散させる溶媒と同じものでもよい。
熱可塑性樹脂の含有量は、塗布液100質量%中、2〜10質量%が好ましく、より好ましくは3〜9質量%であり、更に好ましくは4〜7質量%である。
<塗布液の調製方法>
本発明の塗布液の調製方法としては特に限定されず、上記熱膨張性微粒子溶液及び熱可塑性樹脂エマルジョンを、前述する割合となるように撹拌機等により撹拌する等の一般的な方法を用いて混合することにより調製することができる。また、水等の溶媒を適宜混合してもよい。
<<吸音材用又は断熱材用不織布>>
本発明の吸音材用又は断熱材用不織布は、軽量化が容易であり、優れた吸音特性又は断熱特性と粉落ち防止とを両立し得るという特性を有する。
<吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法>
本発明の吸音材用又は断熱材用不織布は、上記熱接着した不織布基材に上記熱膨張性微粒子を含む塗布液を含浸させたサーマルボンド不織布を作製し、サーマルボンド不織布中の前記熱膨張性微粒子を膨張させることにより製造できる。
不織布基材への塗布液の含浸は、上記塗布液の入った容器中に上記不織布基材を浸す、いわゆるディッピング法等の一般的な方法で行えばよい。そして、塗布液含浸後は、余剰に含浸された塗布液を、マングルロールを使用して適度な圧力で絞る等の方法で除去を行った後、乾燥させる。乾燥方法としては、風乾や熱処理等の一般的方法が挙げられ、前記熱処理の条件としては、塗布液を乾燥できる条件であれば特に限定されないが、乾燥と塗布液中の熱膨張性微粒子の膨張を同時に行う場合には、熱膨張性微粒子の膨張により不織布基材が所定の厚さとなる条件を適宜選択すればよい。乾燥と塗布液中の熱膨張性微粒子の膨張を別のタイミングで行う場合には、塗布液が乾燥し、且つ熱膨張性微粒子の膨張開始温度以下の条件を適宜選択すればよい。
乾燥温度としては、例えば、80℃以上が好ましく、より好ましくは90℃以上であり、更に好ましくは120℃以上であり、220℃以下が好ましく、より好ましくは210℃以下であり、更に好ましくは200℃以下である。乾燥時間としては、例えば、30秒以上が好ましく、より好ましくは1分以上であり、更に好ましくは2分以上であり、5分以下が好ましく、より好ましくは4.5分以下であり、更に好ましくは4分以下である。
前記熱膨張性微粒子の熱処理による膨張は、上記の様に塗布液の乾燥と同時に行ってもよく、別のタイミングで行ってもよい。なお、乾燥と塗布液中の熱膨張性微粒子の膨張を別のタイミングで行う場合での、膨張工程での熱処理条件としては、熱膨張性微粒子の膨張開始温度以上であり、且つ、不織布基材繊維の融点以下の温度で、不織布基材が所定の厚さとなる処理時間を適宜選択すればよい。
不織布膨張工程での膨張温度としては、例えば、低融点繊維の融点よりも20℃以上高いことが好ましく、より好ましくは30℃以上高い温度であり、熱膨張性微粒子の膨張開始温度よりも30℃以上高いことが好ましく、より好ましくは40℃以上高い温度であり、不織布基材繊維の融点よりも30℃以上低いことが好ましく、より好ましくは40℃以上低い温度である。
塗布液の吸音材用又は断熱材用不織布に対する固定量(樹脂目付)としては、固形分で、20g/m2以上が好ましく、より好ましく30g/m2は以上であり、更に好ましくは40g/m2以上であり、120g/m2以下が好ましく、より好ましくは100g/m2以下であり、更に好ましくは90g/m2以下である。樹脂目付が前記範囲内であれば、熱膨張性微粒子の粉落ちもなく、熱膨張性微粒子の膨張を阻害しない。
吸音材用又は断熱材用不織布に固着する熱可塑性樹脂(固形分)と熱膨張性微粒子の質量比(熱可塑性樹脂(固形分)/熱膨張性微粒子)は、1.0以上が好ましく、より好ましくは1.5以上であり、更に好ましくは2.0以上であり、より更に好ましくは2.3以上であり、上限は特に限定されないが、10.0以下が好ましく、より好ましくは9.5以下であり、更に好ましくは9.0以下であり、より更に好ましくは8.5以下である。熱膨張性微粒子の配合比率が高過ぎると、樹脂で充分に不織布基材に熱膨張性微粒子を固定できず、熱膨張性微粒子が基材から脱落する虞がある。一方、熱膨張性微粒子の配合比率が低すぎると、不織布基材の膨張が不充分となり、所定の厚さの吸音材用又は断熱材用不織布が得られない虞がある。
<吸音材用又は断熱材用不織布の特徴>
吸音材用又は断熱材用不織布の厚さは、5mm以上が好ましく、より好ましくは8mm以上であり、更に好ましくは10mm以上であり、より更に好ましくは12mm以上である。厚さを前記下限値以上とすることにより、低嵩密度の不織布とすることができる。
吸音材用又は断熱材用不織布の総目付は、110g/m2以上が好ましく、より好ましくは120g/m2以上であり、更に好ましくは125g/m2以上であり、500g/m2以下が好ましく、より好ましくは400g/m2以下であり、更に好ましくは350g/m2以下である。総目付が前記下限値を下回ると、所望の厚さを保持することが難しくなる。総目付が前記上限値を上回ると、不織布の軽量化という点で好ましくない。
吸音材用又は断熱材用不織布の嵩密度は、0.001g/cm3以上が好ましく、より好ましくは0.003g/cm3以上であり、更に好ましくは0.005g/cm3以上であり、より更に好ましくは0.010g/cm3以上であり、0.050g/cm3以下が好ましく、より好ましくは0.045g/cm3以下であり、更に好ましくは0.035g/cm3以下であり、より更に好ましくは0.030g/cm3以下である。嵩密度が前記範囲内であれば、軽量な不織布であるため、吸音材又は断熱材として機器等に内在させる際に有利である。
吸音材用又は断熱材用不織布中の、膨張後の熱膨張性微粒子すなわち内部中空樹脂カプセルの含有量は、20g/m2以下であり、より好ましくは18g/m2以下であり、更に好ましくは17g/m2以下であり、0.5g/m2以上が好ましく、より好ましく1.0g/m2は以上であり、更に好ましくは1.5g/m2以上である。本発明の吸音材用又は断熱材用不織布は、サーマルボンド製法による不織布基材を用いるため膨張が阻害されないので、膨張後の熱膨張性微粒子すなわち内部中空樹脂カプセルの含有量が前記範囲内であれば、通常は相反する低通気性(つまり高吸音性又は高断熱性)と、嵩高さを両立できるので好ましい。また、熱膨張性微粒子の膨張後の含有量が前記範囲の様に少ないため、粉落ちが生じないので好ましい。
吸音材用又は断熱材用不織布に含まれる内部中空樹脂カプセルの平均メジアン粒径は、170μm以上であり、より好ましくは173μm以上、更に好ましくは175μm以上であり、200μm以下であり、より好ましくは198μm以下、更に好ましくは195μm以下である。吸音材用又は断熱材用不織布に含まれる内部中空樹脂カプセルの平均メジアン粒径を前記範囲内に調整することにより、通常は相反する嵩高さと低通気性を両立した吸音材用又は断熱材用不織布ができる。
吸音材用又は断熱材用不織布に含まれる内部中空樹脂カプセルの含有量は、単位面積あたり1000個/cm2以上が好ましく、より好ましくは1100個/cm2以上であり、更に好ましくは1200個/cm2以上であり、より更に好ましくは1300個/cm2以上であり、2000個/cm2以下、より好ましくは1950個/cm2以下であり、更に好ましくは1900個/cm2以下であり、より更に好ましくは1800個/cm2以下である。吸音材用又は断熱材用不織布に含まれる内部中空樹脂カプセルの含有量が前記範囲内であれば、通常は相反する嵩高さと低通気性を両立した吸音材用又は断熱材用不織布ができる。
吸音材用又は断熱材用不織布の通気度は、1.0cc/cm2・sec以上が好ましく、より好ましくは1.5cc/cm2・sec以上であり、更に好ましくは2.0cc/cm2・sec以上であり、より更に好ましく2.5cc/cm2・sec以上であり、50.0cc/cm2・sec以下が好ましく、より好ましくは30.0cc/cm2・sec以下であり、更に好ましくは10.0cc/cm2・sec以下であり、より更に好ましくは8.0cc/cm2・sec以下である。通気度が前述の範囲であれば、高い吸音性能又は断熱性能を得ることができる。
本発明の吸音材用又は断熱材用不織布は、1600〜5000Hzにおける垂直入射吸音率が、0.300以上という優れた吸音性能を発揮する。また、本発明の吸音材用又は断熱材用不織布は、優れた断熱性能を発揮する。
[吸音性能]JIS A1405−2(垂直入射吸音率)に準ず。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例及び比較例で採用した評価は以下の通りである。
1.目付:JIS L1913 6.2に準ず。
2.厚さ:ノギスを用いて測定する。
3.嵩密度:目付/厚さを単位換算する。
4.通気度:カトーテック株式会社製通気性試験機(形式:KES−F8)により測定する。
5.吸音性能:JIS A1405−2(垂直入射吸音率)に準ず。
6.断熱性能:外寸法が90×130×全高110mm、内寸法が60×100×深さ95mmである底壁と側壁を備えた発泡スチロール製の上部が開放された箱に、上部開放部を全て覆うようにサンプル不織布を載せる。そして、125Wの赤外線電球を熱光源とし、サンプル不織布から20cm垂直上から光量1万ルクスで照射を行い、経時による箱内部の温度変化を測定する。ただし、測定は、温度25℃、相対湿度65%RHの雰囲気中で行う。
実施例1
繊度1.3dtex、繊維長38mm、融点255℃のポリエステル繊維70重量%と、繊度2.2dtex、繊維長51mm、芯鞘構造を有する芯部融点255℃、鞘部融点130℃のポリエステル系低融点繊維(芯:PET、鞘:変性PET)30重量%をそれぞれ計量、混綿、カーディング、クロス積層した繊維ウエブを、打ち込み本数40本/cm2、針深さ6mmでニードルパンチ加工を施した後、設定温度170℃の熱処理機で30秒間加熱して、目付245g/m2の吸音材用又は断熱材用不織布用サーマルボンド不織布基材を得た。
水70質量部に、熱膨張開始温度が100℃、最大膨張温度が160℃の熱膨張性微粒子(メジアン粒径50μm;松本油脂製)を1質量部と、50重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(住化ケムテックス製)を6質量部、及び50重量%のアクリルエマルジョン(DIC製)を4質量部分散させた塗布液を調製した。前記塗布液中に、前記吸音材用又は断熱材用不織布用サーマルボンド不織布基材(目付245g/m2)を含浸させ、次いでマングルロールの圧力3kg/cm2にて絞り、乾燥機内温度160℃の雰囲気下で3分間熱風乾燥を行い、目付334g/m2、厚さ15mm、膨張後嵩密度0.022g/cm3の吸音材用又は断熱材用不織布を作製した。作製された吸音材用又は断熱材用不織布の特性を表1〜2、及び図1に示す。
実施例2
吸音材用又は断熱材用不織布用サーマルボンド不織布基材の目付を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして吸音材用又は断熱材用不織布を作製した。作製された吸音材用又は断熱材用不織布の特性を表1〜2、及び図1に示す。
実施例3
吸音材用又は断熱材用不織布用サーマルボンド不織布基材の目付を表1に示すように変更し、塗布液調製時の熱膨張性微粒子を2質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして吸音材用又は断熱材用不織布を作製した。作製された吸音材用又は断熱材用不織布の特性を表1〜2、及び図1に示す。
比較例1
吸音材用又は断熱材用不織布用サーマルボンド不織布基材の代わりに、ニードルパンチスパンボンド長繊維不織布(東洋紡社製「ボランス4101N」;目付100g/m2、厚さ1.4mm)を基材として使用したこと以外は、実施例1と同様にして吸音材用又は断熱材用不織布を作製した。作製された吸音材用又は断熱材用不織布の特性を表1〜2、及び図1に示す。
比較例2
繊度1.8dtex、繊維長51mmのポリエステル繊維70重量%と、繊度3.3dtex、繊維長51mmのポリエステル繊維30重量%をそれぞれ計量、混綿、積層した繊維ウエブを、打ち込み本数250本/cm2、針深さ8mmでニードルパンチ加工を施し、目付100g/m2の吸音材用又は断熱材用不織布用ニードルパンチ不織布基材を得た。
吸音材用又は断熱材用不織布用サーマルボンド不織布基材の代わりに、前記吸音材用又は断熱材用不織布用ニードルパンチ不織布基材(目付100g/m2)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして吸音材用又は断熱材用不織布を作製した。作製された吸音材用又は断熱材用不織布の特性を表1〜2、及び図1に示す。
比較例3
塗布液調製時の熱膨張性微粒子を10質量部に変更したこと以外は、比較例1と同様にして吸音材用又は断熱材用不織布を作製した。作製された吸音材用又は断熱材用不織布の特性を表1〜2、及び図1に示す。
比較例4
塗布液調製時の熱膨張性微粒子を10質量部に変更したこと以外は、比較例2と同様にして吸音材用又は断熱材用不織布を作製した。作製された吸音材用又は断熱材用不織布の特性を表1〜2、及び図1に示す。
実施例1〜3の吸音材用又は断熱材用不織布は、いずれも、膨張後の熱膨張性微粒子すなわち内部中空樹脂カプセルの含有量が少ないながらも、厚さ膨張が大きく、嵩密度が小さい不織布が形成出来ており、1600〜5000Hzにおける吸音率が0.300以上と高く、良好な吸音性能を兼ね備えている。一方、比較例1〜2の吸音材用又は断熱材用不織布では、不織布基材がサーマルボンド製法によるものではないため、熱膨張性微粒子の濃度が同じ塗布液を使用した実施例1〜2の吸音材用又は断熱材用不織布と比べて、厚さ膨張が少なく、嵩密度が大きいうえに、吸音性能も劣っている。比較例3〜4の吸音材用又は断熱材用不織布では、比較例1〜2と比べて使用する塗布液中の熱膨張性微粒子の濃度を約9.2倍とすることにより、比較例1〜2よりは若干改善しているが、実施例1〜3よりも厚さ膨張が少なく、嵩密度が大きいうえに、吸音性能も劣っている。
実施例4
コード化実体顕微鏡(Leica製「M125C」)を用いて、実施例3にて作製した吸音材用又は断熱材用不織布の表面及び断面の拡大写真を撮影した。撮影した写真画像を図2〜3に示す。また、前記吸音材用又は断熱材用不織布の表面写真に基づいて、吸音材用又は断熱材用不織布における単位面積あたりの内部中空樹脂カプセル含有量を測定した。測定結果を表3に示す。
比較例5、6
比較例1、3の吸音材用又は断熱材用不織布について、実施例4と同様に表面及び断面の写真撮影と、内部中空樹脂カプセル含有量の測定を行った。写真画像を図4〜7に、測定結果を表3に示す。
図2〜3に示すように、実施例4の吸音材用又は断熱材用不織布は、内部中空樹脂カプセルが不織布全体に均一に分散している。これに対し、比較例5(図4〜5)の吸音材用又は断熱材用不織布では、不織布の交絡に沿って内部中空樹脂カプセルが点在しており、空隙が多い。つまり、比較例5の吸音材用又は断熱材用不織布は、空隙が多いため通気性が高く、吸音性能又は断熱性能が劣るものである。また、比較例6(図6〜7)の吸音材用又は断熱材用不織布では、熱膨張性微粒子の濃度が濃い塗布液に含浸して作製しているため、繊維が覆われ見えないほどに内部中空樹脂カプセルが密集している。つまり、比較例6の吸音材用又は断熱材用不織布は、粉落ちの虞がある。
実施例5
実施例3にて作製した吸音材用又は断熱材用不織布を用いて、断熱性能の測定を行った。結果を表4、及び図8に示す。
比較例7
実施例3の吸音材用又は断熱材用不織布用サーマルボンド不織布基材を用いて、実施例5と同様にして断熱性能の測定を行った。結果を表4、及び図8に示す。
実施例5の吸音材用又は断熱材用不織布は、比較例7の熱膨張性微粒子の含浸、及び前記熱膨張性微粒子の膨張をしていない吸音材用又は断熱材用不織布用サーマルボンド不織布基材よりも、光照射15分経過後の温度上昇が、34%抑制されており、断熱性能が良好であるといえる。

Claims (9)

  1. 不織布基材繊維と、前記不織布基材繊維よりも融点の低い繊維とを混綿して熱接着した不織布基材に、熱膨張性微粒子を含む塗布液を含浸し、前記熱膨張性微粒子を膨張させて前記不織布基材の厚さを5mm以上にする一方、前記熱膨張性微粒子の膨張後の含有量を20g/m2以下とすることを特徴とする吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法。
  2. 前記熱膨張性微粒子の膨張により、吸音材用又は断熱材用不織布の嵩密度を0.001〜0.050g/cm3とする請求項1に記載の吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法。
  3. 前記不織布基材繊維が、繊度0.8〜30dtexの不連続繊維である請求項1又は2に記載の吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法。
  4. 前記不織布基材繊維よりも融点の低い繊維の繊度が、1.0〜20dtexである請求項1〜3のいずれかに記載の吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法。
  5. 前記熱膨張性微粒子のメジアン粒径が、20〜70μmである請求項1〜4のいずれかに記載の吸音材用又は断熱材用不織布の製造方法。
  6. 熱接着された不織布基材繊維と、前記不織布基材繊維間に分散した状態で存在する内部中空樹脂カプセルとを含み、厚さが5mm以上、嵩密度が0.001〜0.050g/cm3である吸音材用又は断熱材用不織布。
  7. 前記不織布基材繊維が、繊度0.8〜30dtexの不連続繊維である請求項6に記載の吸音材用又は断熱材用不織布。
  8. 前記内部中空樹脂カプセルの平均メジアン粒径が170〜200μmであり、該内部中空樹脂カプセルの含有量が単位面積あたり2000個/cm2以下であり、且つ、通気度が50.0cc/cm2・sec以下である請求項6又は7に記載の吸音材用又は断熱材用不織布。
  9. 前記サーマルボンド不織布の1600〜5000Hzにおける垂直入射吸音率が、0.300以上である請求項6〜8のいずれかに記載の吸音材用又は断熱材用不織布。
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