JP2020032940A - 鉄道機器用フェールセーフ制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
しかも、デジタル回路の高集積化等に伴って、それらのデジタル時素リレーにおける制御部には、照合機能付き多重系電子計算機にて具現化されたフェールセーフコンピュータを採用することが多くなっている(例えば特許文献3参照)。
鉄道機器の制御部に対するフェールセーフコンピュータの採用は、上述したデジタル時素リレーに限られず、フェールセーフ性を求められる種々の鉄道機器に及んでおり、例えばATS車上装置なども(例えば特許文献6,7参照)、対象に含まれる。
安全性が重視される鉄道機器については、仕様で要求された基本レベルにとどまるのでなく、それよりも高いフェールセーフ性を備えることが望ましいので、上記容量には少なくとも当初は十分な余裕が付与されるが、コンデンサ等の蓄電部材には性能のバラツキが大きく、早期に容量が低下するものを完全に排除するのは難しいため、上述のような異常情報の書き込み漏れの発生確率は皆無ではない。
また、電源回路の蓄電部材の容量が低下しても異常情報の書き込み漏れが発生し難い鉄道機器用フェールセーフ制御装置を実現することが第2技術課題となる。
組み込み先の鉄道機器に係る制御を行う第1中央処理装置および第2中央処理装置と、前記第1中央処理装置の処理と前記第2中央処理装置の処理との同一性を調べる照合手段と、前記第1中央処理装置と前記第2中央処理装置に供給される動作電力を蓄える蓄電部材とを備え、前記照合手段の同一性確認結果に応じて選択的に前記鉄道機器の制御を実行する鉄道機器用フェールセーフ制御装置において、
前記第1中央処理装置および前記第2中央処理装置が、何れも、個々に不揮発性記憶手段を具備していて、動作中に異常を検出したときには自己の不揮発性記憶手段に異常情報を保持させるとともに前記鉄道機器の制御実行を回避し、動作開始時には自己の不揮発性記憶手段を調べて異常情報と立ち上げ抑止情報とのうち何れか一方または双方が保持されていれば前記鉄道機器の制御実行を回避するが異常情報も立ち上げ抑止情報も保持されていなければ自己の不揮発性記憶手段に立ち上げ抑止情報を保持させたうえで前記鉄道機器の制御を実行し、動作停止時には自己の不揮発性記憶手段に保持されている立ち上げ抑止情報を消去するようになっていることを特徴とする。
前記第1中央処理装置および前記第2中央処理装置が、何れも、動作停止時に立ち上げ抑止情報を消去する際に時間をかけて行うようになっている、ことを特徴とする。
前記第1中央処理装置および前記第2中央処理装置が、何れも、動作開始時に、立ち上げ抑止情報の消去具合に応じて場合分けして、短時間経過対応の抑止値が保持されている場合は、前記蓄電部材の容量が使用限界まで低下したという判断を下すとともに、立ち上げ抑止情報が保持されているときの処理を行い、短時間経過対応の抑止値は無いが長時間経過対応の抑止値が保持されている場合は、前記蓄電部材の容量が低下したという判断を下すとともに、立ち上げ抑止情報が保持されていないときの処理を行い、立ち上げ抑止情報が完全に消去されている場合は、立ち上げ抑止情報が保持されていないときの処理を行うようになっている、ことを特徴とする。
前記第1中央処理装置および前記第2中央処理装置が、何れも、個々に表示部を具備していて、前記判断に基づく表示を自己の表示部に行わせるようになっている、ことを特徴とする。
前記第1中央処理装置および前記第2中央処理装置が、何れも、動作開始時に前記鉄道機器の制御実行を回避するときに限って自己の不揮発性記憶手段の立ち上げ抑止情報を前記照合手段の照合に供するようになっている、ことを特徴とする。
そのため、直前の動作停止が正常に完遂したか否かを判別する手掛かりとして立ち上げ抑止情報が役立つことになる。
したがって、この発明によれば、電源回路の蓄電部材の容量低下等によって異常情報の書き込み漏れが発生しても不都合の少ない鉄道機器用フェールセーフ制御装置を実現することができ、その結果、上述の第1技術課題が解決される。
図1〜2に示した実施例1は、上述した解決手段1(出願当初の請求項1)を具現化したものであり、図3〜5に示した実施例2は、上述した解決手段2〜4(出願当初の請求項2〜4)を具現化したものであり、図示を割愛した実施例3は、上述した解決手段5(出願当初の請求項5)を具現化したものである。
鉄道機器用フェールセーフ制御装置11〜29は、照合機能付き多重系電子計算機にて具現化されたフェールセーフコンピュータであり、時素の設定部や計時手段などが二重化されている。
蓄電部材12は、電源電圧Pの低下を遅らせる適宜な容量を持っている単一の又は複数のコンデンサ等からなり、リレー駆動ライン(*)からの電力供給が断たれた後も暫くは両中央処理装置14,24の動作を継続させることができるようになっている。
さらに、第2中央処理装置24にも、例えばロータリスイッチ等からなり時素の値などの設定に使用される設定部25と、例えば小形の液晶パネル等からなり異常情報や立ち上げ抑止情報のコード表示や文字表示などに使用される表示部26と、異常情報や立ち上げ抑止情報の記憶保持に使用される不揮発性メモリ27が、付設されている。
このように異常情報や立ち上げ抑止情報が双方であれば勿論のこと片方だけでも設定されてデータ保持されていた場合は、原因解明に役立つ情報が表示されて目視確認が可能になるのに加え、自発的な動作停止により、総ての制御実行が回避されて、出力リレー33の駆動が止まって、出力リレー33の状態が安全側に強制されるようになっている。
この実施例では立ち上げ抑止情報の有無が分かれば良いため立ち上げ抑止情報の値は例えば「有」に“1”を割り当て「無」に“0”を割り当てると二値情報で足りるので、異常情報と立ち上げ抑止情報とに同じデータ領域を割り当ててビット分け等にて区別するようにすることも可能であるが、一方のデータ更新時にハードウェア故障等の障害が発生して他方のデータまで破壊されるといった不具合の回避をも考慮すると、異常情報と立ち上げ抑止情報とは書き込みタイミングを異にする別のデータ領域に保持されるようになっているのが望ましい。
また、上記処理の繰り返し中に制御入力Sの値が「有」から「無」になったことが判明したときには(ステップS54無)、動作停止時に行う機能として新たに追加された立ち上げ抑止情報を消去する処理を行う状態に至るので、自己の不揮発性メモリ17又は27の立ち上げ抑止情報保持用データ領域に保持されている立ち上げ抑止情報をクリアインストラクションの実行等にて値“1”から値“0”に書き換えることで消去し(ステップS55)、それから自発的に動作を停止するようになっている。
図2は、その主要な動作状態を示し、(a)が正常時の動作状態、(b)が故障後に電源が断たれたときの動作状態、(c)が故障とほぼ同時に電源が断たれたときの動作状態を示している。
この場合、電源投入時には、両中央処理装置14,24の何れについても、異常情報が無い(図1(c)ステップS41,S42正常,S45無)。具体的には、不揮発性メモリ17又は27の異常情報保持用データ領域における該当データの値がクリアされて「無」相当の“0”になっている。
それから時素の時間計測や照合データ送出等と時間経過後の出力リレー33のオン駆動といった動作が繰り返され(ステップS52〜S54)、そのような正常動作時には、異常情報が無く且つ立ち上げ抑止情報が有るという状態が継続する(図2(a)参照)。
そして、上述のように再び異常情報と立ち上げ抑止情報とについて以前に書き込まれたデータ値が調べられるが(図1(c)ステップS41〜S46)、異常情報も立ち上げ抑止情報もデータ値が「無」で設定の無い状態なので(図2(a)参照)、再び上述した正常時の動作が繰り返される。
そして、両中央処理装置14,24がリレー制御等の処理を繰り返しているときに故障が発生して異常が検出されると(図1(c)ステップS53有)、不揮発性メモリ17又は27の異常情報保持用データ領域に単なる「有」か適宜なエラーコード等の付いた「有」相当値が設定され(図1(c)ステップS43,図2(b)参照)、更に表示部16にエラー表示がなされる(ステップS44)。
そのため(図2(b)右端欄を参照)、その後の電源再投入時には、対応するエラーコード等が表示部16に表示されるだけで(図1(c)ステップS44)、安全のため、直ちに動作が停止する。
そして、両中央処理装置14,24がリレー制御等の処理を繰り返しているときに故障が発生するとともに、間髪を入れず電源断まで発生したとする。しかも、その電源断では蓄電部材12の故障も伴って電源電圧Pまで制御入力Sの如く急峻に低下したとする。
鉄道機器用フェールセーフ制御装置11〜29に追加された機能は、立ち上げ抑止情報が細分化されて動作開始時の対応処理が場合分けされたことと(ステップS46,S51 → S61〜S64)、動作停止時に立ち上げ抑止情報を消去する処理が時間をかけて行われるようになったことである(ステップS55 → S65〜S67)。
それらのうち「 」は立ち上げ抑止情報が完全に消去されて設定状態でなくなったときのデータ値であり、「重」は立ち上げ抑止情報が明確に設定されているときのデータ値であり、「中」と「軽」は設定状態の「重」から消去状態の「 」へ状態が遷移していくときの中間状態をしめすデータ値である。
より具体的にはデータ領域に保持されていた「重」と「中」と「軽」というデータ値の列を、最初の10ms経過後には「 」と「中」と「軽」という値列に書き換え、次の10ms経過後には「 」と「 」と「軽」という値列に書き換え、その後の10ms経過後には「 」と「 」と「 」という値列に書き換えるようになっている。
また、立ち上げ抑止情報の値が長時間経過対応の「軽」のときには(ステップS61)、やはり蓄電部材12が使用可能ではあるが使用限界が近づきつつあると判断して、“交換推奨”などの表示を自己の表示部16又は26に行わせるようになっている(ステップS63)。
そして、これら「 」,「軽」,「中」の場合は、蓄電部材12の容量が未だ使用限界までは低下していないという判断の下、動作を停止することなく処理を継続し、立ち上げ抑止情報の値を「重」にしてから(ステップS64)、より具体的には自己の不揮発性メモリ17又は27の立ち上げ抑止情報保持用データ領域に「重」と「中」と「軽」のデータ列を保持させてから、通常の照合付きリレー制御等へ移行するようになっている(ステップS52)。
先ず、この動作開始時を含めてその前後にも故障等の異常が無く更には蓄電部材12の容量低下も無いという正常時の動作を説明すると、この場合、電源投入時には、両中央処理装置14,24の何れについても、異常情報が無く(図3ステップS41,S42正常,S45無)、立ち上げ抑止情報も無いので(ステップS61無)、立ち上げ抑止情報の値が「重」に設定され(ステップS64)、それからリレー制御といった通常の動作が繰り返され(ステップS52〜S54)、そのような正常動作時には、異常情報が「無」で立ち上げ抑止情報が「重」の状態が継続する(図4(a)では縦並びのt0,「重」,「中」,「軽」で図示)。
そして、この立ち上げ抑止情報の消去完了後に(図3ステップS67Yes参照)、両中央処理装置14,24が自発的に動作を停止する。
そして、上述のように再び異常情報と立ち上げ抑止情報とについて以前に書き込まれたデータ値が調べられるが(図3ステップS41〜S45,S61)、異常情報も立ち上げ抑止情報もデータ値が「無」なので、再び上述した正常時の動作が繰り返される。
そして、この場合は、三回目の待ち時間の経過を待っているときに(図4(b)時刻t2と時刻t3の間を参照)、電源電圧Pが動作下限電圧θを下回るため、両中央処理装置14,24が次々に動作不能になるので、立ち上げ抑止情報の消去を完了することなく(図3ステップS65参照)、立ち上げ抑止情報の値として「軽」をデータ保持したまま(図4(b)ではt2,t3の下の縦並びの「 」,「 」,「軽」で図示)、両中央処理装置14,24がそれぞれ動作停止を強いられる。
そして、上述のように再び異常情報と立ち上げ抑止情報とについて以前に設定されたデータ値が調べられるが(図3ステップS41〜S45,S61)、異常情報のデータ値が「無」であっても、立ち上げ抑止情報のデータ値が「軽」なので、蓄電部材12の取り替えを促す“交換推奨”といった注意表示が表示部16に表示される(ステップS63)。それから後は、再び上述した正常時の動作が繰り返される。
そして、この場合は、二回目の待ち時間の経過を待っているときに(図5(a)時刻t1と時刻t2の間を参照)、電源電圧Pが動作下限電圧θを下回るため、両中央処理装置14,24が次々に動作不能になるので、立ち上げ抑止情報の消去を完了することなく(図3ステップS65参照)、立ち上げ抑止情報の値として「中」をデータ保持したまま(図5(a)ではt1,t2の下の縦並びの「 」,「中」,「軽」で図示)、両中央処理装置14,24がそれぞれ動作停止を強いられる。
そして、やはり上述のように再び異常情報と立ち上げ抑止情報とについて以前に設定されたデータ値が調べられるが(図3ステップS41〜S45,S61)、異常情報のデータ値が「無」であっても、立ち上げ抑止情報のデータ値が「中」なので、蓄電部材12の取り替えを促す“交換必須”といった注意表示が表示部16に表示される(ステップS63)。それから後は、再び上述した正常時の動作が繰り返される。
そして、やはり上述のように再び異常情報と立ち上げ抑止情報とについて以前に設定されたデータ値が調べられるが(図3ステップS41〜S45,S61)、異常情報の値が「無」であっても、立ち上げ抑止情報の値が「重」なので、対応するエラーコード等が表示部16,26に表示されるだけで(ステップS44)、安全のため、直ちに動作が停止する。
そして、このような構成では、両中央処理装置14,24が何れも立ち上げ抑止情報「重」で早急に停止しようとしている場合は、照合を待つまでもなく迅速に、出力リレー33の制御実行が回避される。
何れかの立ち上げ抑止情報が「重」になっていなければ、他の場合も、同様である。
上記実施例2では、立ち上げ抑止情報の取り得る値として、「 」と「軽」と「中」と「重」という四段階のものを挙げたが、これは例示であり、立ち上げ抑止情報の取り得る値は、それより粗い「 」と「中」と「重」といった三段階のものでも良く、それより細かい五段階以上のものでも良い。
上記実施例1〜3では、中央処理装置14,24に同一のプログラムがインストールされている構成例を述べたが、これは必須でなく、両者14,24のプログラムについて具体的な構成に相違があっても、正常時の処理において照合回路28に供給する照合対象データが一致するようになっていれば良い。
11…電源回路(動作電力供給部)、
12…蓄電部材(動作電力供給部)、13…制御入力回路、
14…第1中央処理装置、15…設定部、
16…表示部、17…不揮発性メモリ(不揮発性記憶手段)、
24…第2中央処理装置、25…設定部、
26…表示部、27…不揮発性メモリ(不揮発性記憶手段)、
28…照合回路(照合手段)、29…駆動部、
33…出力リレー
Claims (5)
- 組み込み先の鉄道機器に係る制御を行う第1中央処理装置および第2中央処理装置と、前記第1中央処理装置の処理と前記第2中央処理装置の処理との同一性を調べる照合手段と、前記第1中央処理装置と前記第2中央処理装置に供給される動作電力を蓄える蓄電部材とを備え、前記照合手段の同一性確認結果に応じて選択的に前記鉄道機器の制御を実行する鉄道機器用フェールセーフ制御装置において、前記第1中央処理装置および前記第2中央処理装置が、何れも、個々に不揮発性記憶手段を具備していて、動作中に異常を検出したときには自己の不揮発性記憶手段に異常情報を保持させるとともに前記鉄道機器の制御実行を回避し、動作開始時には自己の不揮発性記憶手段を調べて異常情報と立ち上げ抑止情報とのうち何れか一方または双方が保持されていれば前記鉄道機器の制御実行を回避するが異常情報も立ち上げ抑止情報も保持されていなければ自己の不揮発性記憶手段に立ち上げ抑止情報を保持させたうえで前記鉄道機器の制御を実行し、動作停止時には自己の不揮発性記憶手段に保持されている立ち上げ抑止情報を消去するようになっていることを特徴とする鉄道機器用フェールセーフ制御装置。
- 前記第1中央処理装置および前記第2中央処理装置が、何れも、動作停止時に立ち上げ抑止情報を消去する際に時間をかけて行うようになっている、ことを特徴とする請求項1記載の鉄道機器用フェールセーフ制御装置。
- 前記第1中央処理装置および前記第2中央処理装置が、何れも、動作開始時に、立ち上げ抑止情報の消去具合に応じて場合分けして、短時間経過対応の抑止値が保持されている場合は、前記蓄電部材の容量が使用限界まで低下したという判断を下すとともに、立ち上げ抑止情報が保持されているときの処理を行い、短時間経過対応の抑止値は無いが長時間経過対応の抑止値が保持されている場合は、前記蓄電部材の容量が低下したという判断を下すとともに、立ち上げ抑止情報が保持されていないときの処理を行い、立ち上げ抑止情報が完全に消去されている場合は、立ち上げ抑止情報が保持されていないときの処理を行うようになっている、ことを特徴とする請求項2記載の鉄道機器用フェールセーフ制御装置。
- 前記第1中央処理装置および前記第2中央処理装置が、何れも、個々に表示部を具備していて、前記判断に基づく表示を自己の表示部に行わせるようになっていることを特徴とする請求項3記載の鉄道機器用フェールセーフ制御装置。
- 前記第1中央処理装置および前記第2中央処理装置が、何れも、動作開始時に前記鉄道機器の制御実行を回避するときに限って自己の不揮発性記憶手段の立ち上げ抑止情報を前記照合手段の照合に供するようになっている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載された鉄道機器用フェールセーフ制御装置。
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