以下、一実施形態の印刷装置について、図面を参照して説明する。印刷装置は、例えば、用紙などのシートに液体の一例であるインクを吐出することによって印刷を行うインクジェット式のプリンターである。
図1に示すように、印刷装置11は、略直方体状をなす装置本体12を備えている。装置本体12の上部には、原稿に記録された文字や写真などの画像を読取可能な読取ユニット13が設けられている。
装置本体12の前面部分には、底部側から上に向かって順に、前蓋15、シート載置装置16が挿着される被挿着部17、印刷が行われたシートSが排出される排出トレイ18が配置されている。さらに、排出トレイ18の上側には、印刷装置11を操作するための操作パネル19が配置されている。なお、装置本体12の前面とは、高さと幅を有し、印刷装置11に対する操作を主に行う側面のことをいう。
シート載置装置16は、装置本体12の前面から装置本体12に対して着脱可能とされている。本実施形態では、シート載置装置16が挿着されるときの移動経路の方向を移動方向Yとし、移動方向Yと交差する方向を幅方向Xとする。幅方向Xと移動方向Yは実質的に水平面に沿う。図面では、印刷装置11が水平面上に置かれているものとして、鉛直方向Zとする。図面では、幅方向X、移動方向Y、鉛直方向Zは相互に直交する。
図2に示すように、装置本体12内には、シート載置装置16に載置されたシートSを給送する給送部21と、給送されたシートSを搬送する搬送部22と、搬送されるシートSに印刷する印刷部23と、が設けられている。
給送部21は、被挿着部17の移動方向Yの奥側に設けられている。給送部21は、シート載置装置16に積層状態で載置されたシートSのうち、最上位のシートSを送り出すピックアップローラー25と、ピックアップローラー25により送り出されたシートSを1枚ずつ分離する分離ローラー26とを備える。
搬送部22は、図2に二点鎖線で示す搬送経路F1に沿ってシートSを搬送する少なくとも1つ(図2では3つ)の搬送ローラー対27を備える。搬送部22は、搬送方向Y1の上流側となるシート載置装置16に載置されたシートSを、搬送方向Y1の下流側となる排出トレイ18(図1参照)に向かって搬送する。そして、シートSの搬送経路F1沿いには、シートSを支持する支持部28が設けられている。図2に示すように、シート載置装置16に載置されたシートSがピックアップローラー25により給送される方向を給送方向Y2とする。
印刷部23は、搬送経路F1を挟んで支持部28に対向する位置に設けられている。印刷部23は、ガイド軸29に支持されて幅方向Xに往復移動可能なキャリッジ30と、キャリッジ30に搭載された印刷ヘッド31と、を備えている。そして、印刷ヘッド31は、支持部28に支持されたシートSに対しノズル32から液体(例えばインク)を吐出して印刷する。
次に、シート載置装置16について説明する。
図3に示すように、シート載置装置16は、装置本体12の前面の一部を構成する前板34と、積層された複数枚のシートSを載置可能な載置面35aを有する載置部35と、を備えている。載置部35は、上方が開口した略矩形箱状をなし、内定面に配置された略矩形状の底板36と、底板36において幅方向Xの両端から上方に向かって立設する一対の側板37と、を備えている。
載置部35には、載置されているシートSを底板36から離れる方向に押し上げることが可能なホッパー39と、幅方向Xに間隔を有して設けられた一対のガイド部40と、が設けられている。ホッパー39は、板状を有し、奥行方向で前側の端部に設けられた支軸41を中心として回動可能に設けられている。つまり、ホッパー39は上下方向への揺動が可能に設けられている。ホッパー39は、給送方向Y2寄りの部分の幅方向X両側に形成された一対の第1切欠凹部39aと、給送方向Y2側の端部と反対側の端部における幅方向Xの中央部に形成された1つの第2切欠凹部39bとを有する。一対のガイド部40は、シートSの両側端をガイドする一対の第1エッジガイド50と、一対の第1エッジガイド50を連動させるための機構である一対の伝達部51とを有している。一対の第1エッジガイド50は、第1切欠凹部39aの領域を移動可能である。一対の第1エッジガイド50が、ホッパー39と干渉することなく幅方向Xに移動させることで、載置面35a上のシートSを幅方向Xに位置決め可能である。一対の第1エッジガイド50は、幅方向Xの移動経路上の任意の位置で係止可能に構成されている。一対の第1エッジガイド50は、ユーザーにより操作される操作部50Lを有している。ユーザーによる操作部50Lの操作で第1エッジガイド50は係止が外れて移動可能になり、操作部50Lの操作を止めると、第1エッジガイド50はその位置で係止される。
また、載置部35には、載置面35aに載置されたシートSを幅方向Xと交差する給送方向Y2に位置決めする第2エッジガイド90が設けられている。第2エッジガイド90は、ホッパー39の第2切欠凹部39bの領域を給送方向Y2と平行な方向に移動可能に設けられている。第2エッジガイド90は、載置面35a上のシートSの給送方向Y2と反対側の後端をガイドする。第2エッジガイド90は、ユーザーにより操作される操作部90Lを有している。第2エッジガイド90は、給送方向Y2と平行な移動経路上の任意の位置で係止可能に構成されている。操作部90Lの操作で第2エッジガイド90は係止が外れて移動可能になり、操作部90Lの操作を止めると、第2エッジガイド90はその位置で係止される。なお、以下では、第1エッジガイド50と第2エッジガイド90とを特に区別しない場合は、単に、一対のエッジガイド50およびエッジガイド90と称す。
ホッパー39は、載置部35の一部を構成し、載置部35の他の部分を構成する底板36に対して上方に移動して、載置面35aに載置されたシートSを押し上げる。ホッパー39は、給送方向Y2側の端部を持ち上げる方向に付勢されている。ホッパー39は、載置部35内において底板36から離れる方向へ移動することにより、載置面35a上のシートSを底板36から離れる方向に押し上げる。
載置面35a上のシートSは、その先端部がホッパー39により持ち上げられ、ピックアップローラー25に押し付けられる。そして、ホッパー39により持ち上げられたシートSは、ピックアップローラー25により給送方向Y2へ送り出される。そして、給送部21によりシートSは搬送経路F1に向けて給送される。
一対の側板37における給送方向Y2の前側の位置には、側面視で略矩形状の開口43がそれぞれ形成されている。さらに、一対の側板37には、開口43から延出したホッパー39を係止する係止爪44が設けられている。係止爪44は、上側の端部を支点として回動可能に設けられている。そして、係止爪44は、押圧部材42(図4参照)の付勢力に抗して押し下げられたホッパー39を、押し下げられた位置で係止する。また、係止爪44は、シート載置装置16が装置本体12に挿着されると回動し、ホッパー39の係止を解除する。係止を解除されたホッパー39は、支軸41を中心に上方へ回動し、載置面35a上のシートSを持ち上げる。
次に、図4を参照して、ホッパー39を付勢する機構について説明する。
図4に示すように、シート載置装置16は、ホッパー39を押し上げる押圧力をホッパー39に付与する押圧部材42を備えている。押圧部材42は、複数設けられホッパー39を底板36から離れる方向に付勢している。押圧部材42は、ホッパー39の給送方向Y2の先端側となる箇所を上方へ付勢する。押圧部材42は、例えば上下方向に伸縮するコイルばねで構成され、幅方向Xにおける複数個所にそれぞれ配置されている。本例の押圧部材42は、ホッパー39と底板36との間に、互いに間隔を隔てた位置に3つ設けられている。具体的には、幅方向Xの中央の領域には、第1押圧部材42aが設けられている。そして、第1押圧部材42aよりも両側の側板37側の位置には、第2押圧部材42bと第3押圧部材42cとが設けられている。なお、幅方向Xの中央の領域とは、一対のエッジガイド50の中央となる中央位置を含む領域である。本実施形態では、幅方向Xにおいて第1押圧部材42aが配置された中央位置から等距離の位置に第2押圧部材42bと第3押圧部材42cとが配置されている。
シート載置装置16は、第1押圧部材42aを、押圧状態と非押圧状態とに切り替える切替部45を備える。切替部45は、一対のエッジガイド50の幅方向Xの間隔に応じて切り替えられる。切替部45は、一対のエッジガイド50が大きいサイズに属する第1シートS1をガイドする位置にあるとき、第1押圧部材42aをホッパー39の押圧が許容された押圧状態とする。また、切替部45は、一対のガイド部40が、第1シートS1よりも小さいサイズに属する第2シートS2をガイドする位置にあるとき、第1押圧部材42aをホッパー39の押圧が規制された非押圧状態とする。
第1シートS1(図3参照)が載置されたホッパー39は、3つの押圧部材42a,42b,42cにより第1付勢力で上方へ付勢される。また、第2シートS2(図3参照)が載置されたホッパー39は、2つの押圧部材42b,42cにより第1付勢力よりも小さな第2付勢力で上方へ付勢される。このため、第1シートS1も第2シートS2も適切な押圧力でピックアップローラー25に当接する。
切替部45は、第1押圧部材42aの変形に伴って変位可能な変位部材46を含んで構成されている。変位部材46は、第1押圧部材42aとホッパー39との間に介在する。変位部材46は、第1押圧部材42aの押圧力によるホッパー39が押圧を許容されてホッパー39に当接してホッパー39を押し上げた押圧位置と、第1押圧部材42aの押圧力によるホッパー39の押圧が規制されて押し上げられずにホッパー39に当接しない非押圧位置とに変位する。切替部45は、変位部材46を、押圧位置への変位を制限しない非制限位置と、押圧位置への変位を制限して非押圧位置に保持する制限位置とに切り替える。
第1押圧部材42aによる押圧が制限されていない押圧状態のとき、変位部材46は、ホッパー39の裏面に当接したままホッパー39を押圧してホッパー39と共に上昇した押圧位置に配置される。変位部材46が押圧位置にあるとき、ホッパー39は、3つの押圧部材42a,42b,42cにより押圧される。また、第1押圧部材42aによる押圧が制限された非押圧状態にあるとき、変位部材46は、ホッパー39が上昇してもその上昇が制限され、ホッパー39を押圧しない非押圧位置に配置される。この非押圧位置では、変位部材46は、上昇したホッパー39から離れて位置する(図12参照)。
一対のエッジガイド50が大きいサイズに属する第1シートS1をガイドする移動範囲である第1範囲にあるとき、ホッパー39の上昇に伴って変位部材46は、非押圧位置から押圧位置へ変位する。また、ホッパー39が上昇位置から退避位置へ戻るとき、変位部材46は一緒に下降し、押圧位置から非押圧位置へ戻る。一方、一対のエッジガイド50が小さいサイズに属する第2シートS2をガイドする移動範囲である第2範囲にあるとき、ホッパー39が上昇しても変位部材46は、ホッパー39から下方へ離間した非押圧位置に留まる。
本実施形態の変位部材46は、略円筒状をなし、非押圧位置では、底板36に設けられた筒状の軸部47を中心として回動可能に設けられている。変位部材46は、ホッパー39の上昇に伴い非押圧位置から押圧位置へ移動する過程で、第1押圧部材42aの付勢力により軸部47から抜ける。また、ホッパー39が上昇位置から退避位置へ下降するとき、変位部材46は軸部47に嵌まる。
さらに、切替部45は、非押圧位置に配置された変位部材46の付勢方向(上方)への移動を制限する制限部48を含んで構成されている。制限部48は、底板36に固定されている。変位部材46は、その回転角に応じて制限部48と当接する制限位置と、制限部48と当接しない非制限位置とに配置される。制限部48は、変位部材46が当接しないことで、第1押圧部材42aの押圧力によって変位部材46のホッパー39側への変位を許容する。また、制限部48は、変位部材46が当接することで、第1押圧部材42aの押圧力に抗して変位部材46のホッパー39側への変位を制限する。変位部材46及び制限部48の何れか一方が載置面35aと交差する軸部47を中心に他方に対して相対的に回動可能である。変位部材46及び制限部48の何れか一方が回動することにより、変位部材46が制限部48に当接しない状態で変位部材46の押圧位置への変位を制限しない非制限位置と、変位部材46が制限部48に当接する状態で変位部材46の押圧位置への変位を制限して変位部材46を非押圧位置に保持する制限位置とに切り替える。特に本例では、変位部材46が軸部47を中心に回動する構成としている。
図4〜図6に示すように、軸部47は、軸方向を重力方向と一致させる向きで底板36から突出している。つまり、軸部47は、その軸方向が載置面35aと交差している。詳しくは、軸部47の軸線は、ホッパー39が退避位置にあるときの載置面35aと直交する。制限部48は、軸部47をその径方向Aに挟む両側の位置に一対設けられている。換言すれば、一対の制限部48は、軸部47の周方向Bに間隔を隔てた二位置に位置する。本例では、一対の制限部48は、軸部47を幅方向Xに挟む両側に位置する。変位部材46は、載置面35aと交差する軸部47を中心に一対の制限部48に対して相対的に回動可能である。そして、変位部材46が回動することにより、変位部材46が制限部48に当接しない状態である押圧位置と、変位部材46が制限部48に当接する状態である非押圧位置とを切り替える。
次に、図4を参照して、ガイド部40について説明する。
図4に示すように、一対のガイド部40は、シートSの幅方向Xの端をガイドするエッジガイド50と、エッジガイド50に接続されて幅方向Xに沿って延びる伝達部51とをそれぞれ備える。一対の伝達部51は、エッジガイド50から幅方向Xの中央に向かって延び、互いに向き合う一対のラック52を有している。底板36には、そのほぼ中央部に1つのピニオン53が回転可能に支持されており、一対のラック52は両側からピニオン53と噛合している。そのため、一方のガイド部40を幅方向Xに移動させると、他方のガイド部40も連動して移動する。具体的には、一対のガイド部40は、互いに近づく、もしくは互いに離れるように移動する。
一対の伝達部51のうち、切替部45側に位置する一方の伝達部51には、突出部54が形成されている。突出部54は、切替部45の側に向かって突出している。突出部54は、エッジガイド50の移動に伴って幅方向Xに移動する。突出部54の移動領域の一部は、変位部材46の回動領域の一部と重複する。そのため、突出部54は、その移動経路上の途中の位置で変位部材46と当接可能である。図5に示すように、突出部54は、幅方向Xの両側に側壁面よりなる第1側部54aと第2側部54bとを有している。
一対のガイド部40が、大きいサイズに属する第1シートS1をガイドする第1範囲と、小さいサイズに属する第2シートS2をガイドする第2範囲とに亘る範囲で移動する。一対のガイド部40の移動に伴って突出部54は幅方向Xに移動する。一対のガイド部40が第1範囲と第2範囲との境界領域にあるとき、突出部54は変位部材46と噛み合い変位部材を回動させる。
図6に示すように、一対のガイド部40が第1範囲にあるとき、変位部材46は、制限部48に制限されない回転位置である非制限位置に配置され、押圧状態にある。一対のガイド部40が第1範囲から第2範囲へ移動するとき、突出部54は、第1方向X1へ移動して変位部材46と噛み合い、変位部材46を軸部47を中心に周方向B、この場合、第1方向B1に回動させる。この回動により、変位部材46は、制限部48により押圧状態が制限される回転位置である制限位置に配置され、非押圧状態にある。つまり、一対のガイド部40が第2範囲にあるとき、変位部材46は図7に示す制限位置に配置され、非押圧状態にある。
一対のガイド部40を第2範囲から第1範囲へ移動するとき、突出部54は第1方向X1とは反対側の方向となる第2方向X2へ移動して変位部材46と噛み合い、変位部材46を第2方向B2へ回動させる。この回動により、変位部材46は、制限部48による制限が解除された図6に示す非制限位置に配置される。
よって、一対のガイド部40で第1シートS1をガイドしたシート載置装置16を、装置本体12に挿着したときは、ホッパー39は3つの押圧部材42a〜42cにより上方へ付勢されて退避位置から給送位置へ上動する。また、第2シートS2一対のガイド部40でガイドしたシート載置装置16を、装置本体12に挿着したときは、ホッパー39は2つの押圧部材42b,42cにより上方へ付勢されて退避位置から給送位置へ上動する。
次に、変位部材46について説明する。
図5〜図8に示すように、変位部材46は、略円筒状をなし、その平面視における中央部には、軸線を通る貫通孔46aを有している。貫通孔46aは、軸部47が挿通可能な内径を有している。ホッパー39が退避位置にあるとき、変位部材46は、貫通孔46aに軸部47が挿入された状態にある。変位部材46は軸部47に回動自在に遊嵌されている。図6に示すように、変位部材46は、軸部47を中心とする仮想円Kの円周よりも径方向Aの外側に張り出す張出部56と、仮想円Kの円周よりも径方向Aの内側に窪んだ窪み部57とを有する。仮想円Kは、軸部47の同心円であり、制限部48の先端を通る円である。窪み部57は、周方向Bにおいて制限部48を上下方向に通過可能とする大きさを有する。本例では、変位部材46は、2つの張出部56と、2つの窪み部57とを有する。張出部56と窪み部57は、変位部材46の側周面に、周方向Bに隣り合う位置に形成されている。
さらに、変位部材46は、突出部54と噛み合い可能な第1突部58a及び第2突部58bとを有する。変位部材46の一対の突部58a,58bの間の周方向Bの間隔は、突出部54の幅方向Xの長さ寸法よりも若干長い。一対のエッジガイド50が、第1範囲にある状態から、幅方向Xにおける互いの距離を短くする第1方向X1へ相対移動する過程で、突出部54の第1側部54aが変位部材46の第1突部58aと当接する。また、一対のガイド部40が、第2範囲にある状態から、幅方向Xにおける互いの距離を長くする第2方向X2に相対移動した場合に、突出部54の第2側部54bが変位部材46の第2突部58bと当接する。
また、図5〜図8に示すように、変位部材46はその上面周縁部に一対の凹部59を有する。一対の凹部59は、変位部材46の回動方向(周方向B)に隣り合うように並ぶ第1凹部59aと第2凹部59bとを含んで構成されている。また、変位部材46は、貫通孔46aの周方向Bの一部から貫通孔46aの内周面よりも径方向Aの外側へ延びる切欠部46bを有している。変位部材46は、切欠部46bに対して第1方向B1側の部分に、傾斜面60を有している。傾斜面60は、鉛直方向Zの位置が第2方向B2側ほどに低くなる向きに傾斜している。
図8、図9に示すように、張出部56の制限部48と対向する面は、第1当接部56aとなっている。また、制限部48の張出部56と対向する面は、第2当接部48aとなっている。第1当接部56a及び第2当接部48aの少なくとも一方(本実施形態では双方)は、第1当接部56aと第2当接部48aとが当接した状態において相対的に滑ることを規制する滑り止め61を有している。本実施形態の滑り止め61は、張出部56と制限部48における互いに向き合う面に、径方向Aに沿って形成された複数の溝を含む凹凸形状である。滑り止め61は、凹凸形状同士が係合することにより、張出部56と制限部48との間の摩擦力を高めている。切替部45は、変位部材46が非制限位置にあるときに制限部48が変位部材46の付勢方向への変位を許容する押圧状態と、変位部材46が制限位置にあるときに制限部48が変位部材46の付勢方向への変位を規制する非押圧状態とに切り替える。
図10、図15に示すように、ホッパー39の変位部材46と対向する裏面39cには、凸部62が突出している。凸部62は、図15に示すように、正面視で略三角形状を有している。図15に示すように、凸部62は、変位部材46に形成された略三角形状の第1凹部59a及び第2凹部59bと係合可能である。すなわち、ホッパー39と変位部材46のうち何れか一方は、他方に向かって突出する凸部62を有し、他方は凸部62と係合可能な凹部59を有している。そして、凸部62と凹部59は、互いが不完全な係合状態である場合に第1押圧部材42aの付勢力に基づき変位部材46を不完全な係合状態が解消する方向へ回動させるように互いに摺動する斜面を有する。
第1押圧部材42aが押圧状態であって且つ変位部材46が非制限位置に配置された状態では、凸部62は、図6に示すように、第1凹部59aに係合する。また、第1押圧部材42aが非押圧状態であって且つ変位部材46が制限位置に配置された非押圧状態では、凸部62は、図7、図15に示すように第2凹部59bに係合する。
このように変位部材46は、周方向Bに回動するときに2つの位相をとる。すなわち、変位部材46は、図6に示す非制限位置にあるときの第1位相と、図7に示す制限位置にあるときの第2位相とをとる。つまり、変位部材46は、押圧位置への変位が制限されておらず押圧位置への変位が可能な第1位相と、押圧位置への変位が制限されていて非押圧位置に保持される第2位相とをとる。このため、変位部材46は、押圧位置にあるときの第1位相と、非押圧位置にあるときの第2位相とをとる。そして、変位部材46が第1位相にあるとき、凸部62が第1凹部59aに係合する。また、変位部材46が第2位相にあるとき、凸部62が第2凹部59bに係合する。変位部材46がホッパー39の裏面に当接したとき、凸部62が凹部59に係合することで、変位部材46が第1位相又は第2位相の回動位置に保持される。
また、図8、図9に示すように、一対の張出部56は、それぞれ付勢方向である上方と反対側となる下方へ延出する延出部65有している。一対の張出部56の周方向Bにおける一方の端面は斜状に形成された第1ガイド面65aとなっている。詳しくは、第1ガイド面65aは、第2方向B2側の位置ほど低くなる斜状面となっている。また、図9、図19、図20に示すように、一対の制限部48の第2方向B2側の端面は、斜状の第2ガイド面48bとなっている。第2ガイド面48bは、第2方向B2側の位置ほど低くなる斜面である。斜状の第1ガイド面65aと第2ガイド面48bは、水平面に対する傾斜角がほぼ同じ斜状面となっている。
図10に示すように、ホッパー39の載置面35aと反対側となる面である裏面39cには、当接した変位部材46を保持可能な下方へ突出する保持部材71が固定されている。保持部材71は、ホッパー39が退避位置から給送位置へ移動したときにホッパー39と共に非押圧位置から押圧位置へ変位した変位部材46をホッパー39の裏面39cにおける適切な保持位置に保持する機能を有する。本例では、保持部材71は、保持機能と誘導機能とを兼ね備えた規制部材72により構成される。規制部材72は、変位部材46が押圧位置と非押圧位置との間を変位する経路の方向とは異なる方向に移動することを規制する機能を有する。
ここで、エッジガイド50が第1範囲と第2範囲との境界領域に位置するとき、図14に示すように、張出部56の端と制限部48の端とが引っ掛かった状態にあり、張出部56と制限部48との当接面積が非常に僅かである場合がある。この場合、振動や衝撃等の何らかの理由によって、張出部56と制限部48との引っ掛かりが外れる場合がある。例えば、この状態で、ユーザーがシート載置装置16を装置本体12に挿着すると、ホッパー39が退避位置から給送位置へ上動する。ホッパー39が給送位置へ上昇した状態において、振動等の何らかの原因で、張出部56と制限部48との引っ掛かりが外れると、変位部材46は、第1押圧部材42aの付勢力によって、図12に示す非押圧位置から、図11に示す押圧位置へ単独で変位する。すなわち、ホッパー39が上動した後、変位部材46が第1押圧部材42aにより上方へ付勢された状態の下で、振動等の何らかの原因により張出部56と制限部48との引っ掛かりが外れ、変位部材46が押圧部材42aの付勢力でホッパー39に遅れて単独で上方へ飛んでしまう場合がある。このとき、飛行中の変位部材46の位置は制御不能である。
そこで、ホッパー39の裏面39cに配置された規制部材72により変位部材46を受け止めて、ホッパー39の裏面39cにおける適正な保持位置へ誘導する。こうして規制部材72は、変位部材46が変位する際に、変位部材46に係合して変位部材46が押圧位置と非押圧位置との間を変位する経路の方向とは異なる方向に移動することを規制する。
規制部材72の一部は、図11に示す押圧位置と図12に示す非押圧位置との間の途中に位置する変位部材46と、変位部材46の変位方向で同じ位置に配置されている。例えば、ホッパー39の裏面39cから下方へ突出する規制部材72の先端部75aは、押圧位置と非押圧位置との間の途中に位置する変位部材46と、変位部材46の変位方向において同じ位置に位置する。詳しくは、規制部材72の先端部75aは、変位部材46の非押圧位置と押圧位置との間の経路長に対して押圧位置から下方へ約1/3の距離に位置する。この経路長の約1/3の距離は、変位部材46のほぼ軸線方向の高さに相当する。規制部材72のホッパー39の裏面39cからの突出高さは、ホッパー39が退避位置に下降したときに、変位部材46が軸部47に嵌まるうえで邪魔にならない値に設定されている。変位部材46は貫通孔46aの開口を有し、規制部材72の一部が変位部材46の開口内に配置されることで、変位部材46の経路と異なる方向への移動が規制される。詳しくは、規制部材72の先端部75aが、飛行途中の変位部材46の開口内に入ることで、変位部材46は規制部材72に誘導されて変位の経路と異なる方向への移動が規制される。
図10〜図12に示す規制部材72は、変位部材46よりも径が小さくかつ先端ほど径方向のサイズが小さくなった所定形状を有している。規制部材72は、変位部材46の貫通孔46aの内周面と係合することで給送方向Y2及び幅方向Xへ変位部材46の移動を制限する。規制部材72は、先端ほど径が小さくなった尖り形状を有している。
図10〜図13に示すように、規制部材72は、その一部へ変位部材46の開口を誘う傾斜部75を有している。規制部材72は、下端側ほど幅が狭くなる先細り形状を有している。図12に示すように、規制部材72の先端部75aは、変位部材46の貫通孔46aの軸線L1上の位置にほぼ位置する。このため、図12に示す変位部材46が、下側から第1押圧部材42aの押圧力を受けて、図12に示す非押圧位置から図11に示す押圧位置へ向かって飛んでも、その貫通孔46aの開口に規制部材72の先端部75aが入る。すなわち、変位部材46が非押圧位置から押圧位置へ飛んだときに、非押圧位置と押圧位置との間を変位する経路の方向から多少位置がずれたり姿勢が傾いたりしても、変位部材46は、貫通孔46aに先端部75aが入ることで、規制部材72に受け止められる。その後、貫通孔46aの内周面が規制部材72の傾斜部75に沿って誘導されることで、変位部材46は押圧位置で保持部73に保持される。
また、シート載置装置16は、変位部材46が押圧位置又は非押圧位置にあるときの変位部材46の回動方向の位置である位相を制御する位相制御部を備える。本実施形態のシート載置装置16は、位相制御部の一例として、変位部材46が、規制部材72により変位の経路の方向と異なる方向への移動が規制されて押圧位置に配置される過程で、変位部材46を第1位相又は第2位相に制御する図16〜図18に示す位相制御機構70を備える。図16〜図18に示すように、位相制御機構70は、規制部材72と、変位部材46の傾斜面60とにより、変位部材46の周方向Bの位相を機械的に制御する。図16に示すように、変位部材46が鉛直方向Zにおける上方向Z1に移動する過程で、変位部材46の傾斜面60が規制部材72の張出部77に当接することで、変位部材46は第1方向B1に回動する。本例の位相制御機構70は、変位部材46を第2位相へ制御する。なお、変位部材46を第1位相へ制御する位相制御機構70を構成してもよい。
次に、図13を参照して、規制部材72の詳細な構成を説明する。規制部材72は、ホッパー39の裏面39cにおける変位部材46を非押圧位置と押圧位置との両位置で所定の保持位置に保持する保持部73と、張出部56と制限部48との引っ掛かりが振動等により外れたときの飛行中の変位部材46を保持部73へ誘導する誘導部74とを備える。保持部73は、保持部材71の基部に貫通孔46aが嵌まるサイズの円筒状をなしている。誘導部74は、傾斜部75を有し、三角板状に突出した尖り形状を有している。傾斜部75の先端部75aは、ホッパー39が給送位置へ上昇した状態において、非押圧位置にある変位部材46の貫通孔46aの中心に合わせて配置する。
誘導部74は、保持部73から同軸上に突出する筒状部74aと、筒状部74aの外周面及び先端面から互いに交差する方向に外側へ向かって延出する2つの誘導板部76,78を有している。2つの誘導板部76,78のうち第1誘導板部76は、先端が尖った略三角板状をなしている。第1誘導板部76は、変位部材46の変位方向に対して斜めに傾斜する前述の傾斜部75を有する。傾斜部75の先端部75aは、非押圧位置にあるときの変位部材46の貫通孔46aの開口の中心にほぼ真上に位置する。
第1誘導板部76の傾斜部75は、保持部73へ誘導されるときの変位部材46の貫通孔46aの内周面よりも径方向外側に張り出した張出部77を有する。傾斜部75は、変位部材46の誘導に用いられる傾斜面75bと、張出部77に形成された位相制御に用いられる傾斜面77aとを有する。本例では、傾斜面75bは、傾斜部75の先端寄りに形成されている。また、第1誘導板部76は、傾斜部75に対して筒状部74aを挟んだ反対側にも変位部材46の誘導に用いられる傾斜面76aを有する。また、第2誘導板部78は、先端部寄りに傾斜部79を有する。傾斜部79の傾斜面79aは、変位部材46の誘導に用いられる。なお、傾斜面75bと、傾斜面77aとは、別々の傾斜部に形成してもよい。
図13に示すように、傾斜部75は、基部側で一方が保持部73の外側に張り出した張出部77を有している。張出部77は、変位部材46が規制部材72に保持された図11に示す状態において、図17、図18に示すように、変位部材46の貫通孔46aにおける切欠部46bに及ぶ位置まで径方向に張り出している。図17に示すように、張出部77は、その傾斜面77aが変位部材46の貫通孔46aよりも径方向外側に位置する傾斜面60と係合可能な位置にある。
位相制御機構70は、変位部材46に回動方向に沿って傾いて形成された傾斜面60と、規制部材72の一部である張出部77とを備える。位相制御機構70は、変位部材46が非押圧位置から第1押圧部材42aの押圧力で押圧位置へ変位する際、傾斜面60が張出部77に当接することで変位部材46を押圧位置に応じた位相へ回動させる。位相制御機構70は、飛行中の変位部材46が規制部材72に係合して保持位置へ誘導される過程で、変位部材46を押圧位置に応じた位相へ回動させる。
また、図19、図20に示すように、本実施形態では、振動等の何らかの原因で制限が外れて飛んで規制部材72により保持された変位部材46が、押圧位置からホッパー39の退避位置への下降に伴って下方へ変位する過程で、変位部材46の位相を復元する位相復元機構80を有する。本例の位相復元機構80は、変位部材46を第1位相に復元する。位相復元機構80は、変位部材46に回動方向に沿って傾斜して形成されたガイド面の一例としての第1ガイド面65aと、載置部35の一部である制限部48の上部に形成された斜状の第2ガイド面48bとにより構成される。第1ガイド面65aは、変位部材46の径方向外側へ張り出した張出部56の下方へ延出する部分の周方向Bの一方の面に形成された斜面よりなる。位相復元機構80は、変位部材46が押圧位置からホッパー39の下方への移動に伴って下方へ変位する過程で、第1ガイド面65aが制限部48の第2ガイド面48bに当接することで、変位部材46を第2位相から第1位相に向かって回動させる。このように本実施形態のシート載置装置16は、変位部材46が押圧位置又は非押圧位置にあるときの変位部材46の回動方向の位置である位相を制御する位相制御部の一例として位相制御機構70及び位相復元機構80を備える。
次に、シート載置装置16の作用について説明する。
図3に示すように、シート載置装置16にシートSを載置する場合には、装置本体12からシート載置装置16を引き出す。このとき、ホッパー39は、押圧部材42の付勢力に抗して押し下げられると共に、係止爪44は、押し下げられたホッパー39を係止する。そして、一対のガイド部40の幅を広げた状態でシートSを載置すると共に、シートSの幅に合わせて一対のガイド部40を互いに近づくように移動させる。ユーザーはエッジガイド50をどの位置でも配置できる。シートSをエッジガイド50に隙間なく当ててセットできるので、スキューを防止できる。また、シートSをエッジガイド50に隙間なく当ててセットできるので、縁無し印刷時に側端に白縁が発生することを確実に回避できる。
図4〜図6に示すように、一対のガイド部40が、幅方向Xの両端に位置する場合や、幅方向Xのサイズが大きな例えばB5サイズ以上の第1シートS1をガイドする第1範囲にあるとき、突出部54は、変位部材46と噛み合うことなく、変位部材46は非制限位置に配置される。この非制限位置では、凸部62が第1凹部59aと係合すると共に、窪み部57が制限部48と対向し、変位部材46の上方への移動が許容される押圧状態にある。
図11に示すように、押圧状態の変位部材46は、第1押圧部材42aの付勢力によりホッパー39に押し付けられる。そのため、シート載置装置16が装置本体12に挿着され、係止爪44によるホッパー39の係止が解除されると、変位部材46は、保持部材71に保持された状態でホッパー39の回動に合わせて支軸41(図3参照)を中心に移動する。なお、このとき変位部材46は、凸部62が第1凹部59a係合した第1位相に保持された状態でその回動が規制されている。
次に、幅方向Xのサイズが小さな例えばA5サイズ以下の第2シートS2を載置する場合について説明する。本実施形態では、B5サイズとA5サイズの間のサイズで、切替部45が第1押圧部材42aの押圧力の制限と制限の解除とを切り替えるようになっている。シートSは、B5サイズとA5サイズの間のサイズなど定型サイズ以外のものでも使用することができる。
図3、図4に示すように、一対のエッジガイド50が第1範囲にある状態で、第2シートS2の幅に合わせて一対のガイド部40を互いに近づくように移動させると、図14に示すように、突出部54の第1側部54aが変位部材46の第1突部58aに当接し、第1側部54aが第1突部58aを押す。すると、変位部材46は、第1方向B1に回動する。このとき凸部62は、第1凹部59aと摺動して変位部材46の上面に乗り上げ、変位部材46を第1押圧部材42aの付勢力に抗してホッパー39から離れるように移動させる。このため、図9に示すように、変位部材46は、底板36側に移動しつつ回動することにより、張出部56と制限部48とが離間した状態で回動する。
図7に示すように、一対のエッジガイド50を狭める操作に伴い、突出部54との噛み合いにより変位部材46は第1方向B1に回動する。変位部材46が制限位置まで回動すると、変位部材46と突出部54との噛み合いが外れ、その後、突出部54が第1方向X1へ移動する。一対のエッジガイド50がシートSに沿う位置に位置したとき、変位部材46は制限位置にあり、凸部62が第2凹部59bと係合する第2位相に保持される。
図7に示すように、張出部56が制限部48に係合し、変位部材46の上方への移動を制限する非押圧状態となる。このように変位部材46は、一対のエッジガイド50を第1範囲から第2範囲へ移動させる過程で、押圧状態から非押圧状態へ切り替えられる。
このように切替部45は、変位部材46が制限部48に当接しない押圧状態と、変位部材46が制限部48に当接する非押圧状態とを切り替える。具体的には、第1押圧部材42aは、第1側部54aと第1突部58aとの当接に伴い切替部45における変位部材46が第1方向B1に回動することで、押圧状態から非押圧状態に切り替えられる。第1押圧部材42aは、第2側部54bと第2突部58bとの当接に伴い切替部45における変位部材46が第2方向B2に回動することで、非押圧状態から押圧状態に切り替えられる。変位部材46が一対のガイド部40の幅方向Xにおける相対移動に伴って回動し、一対のガイド部40が、幅方向Xにおける互いの距離を短くするように相対移動した場合に、第1押圧部材42aを押圧状態から非押圧状態に切り替える。
図3に示すシート載置装置16が装置本体12に挿着されると、係止爪44はホッパー39の係止を解除する。ホッパー39は、押圧部材42の付勢力により退避位置から給送位置へ上動する。
変位部材46が非制限位置にあるとき、図11に示すように、第1押圧部材42aが伸長して変位部材がホッパー39と共に上方へ変位する。つまり、変位部材46は、ホッパー39の上動に伴って非押圧位置から押圧位置へ変位する。
一方、変位部材46が制限位置にあるとき、図12に示すように、第1押圧部材42aが押圧が制限された非押圧状態にあるので、ホッパー39は2つの押圧部材42b,42cの押圧力により上方へ変位する。つまり、変位部材46は、ホッパー39が上動するとき、非押圧位置に留まる。つまり、非押圧状態では、変位部材46の移動が制限部48により制限されているため、ホッパー39が上昇しても変位部材46は底板36側の位置に留まり、ホッパー39には、第1押圧部材42aの付勢力が付与されない。したがって、第2シートS2が載置面35aに載置されているときのホッパー39が受ける付勢力は、第1シートS1が載置面35aに載置されているときのホッパー39が受ける付勢力よりも小さい。
ところで、シートサイズが第1シートS1と第2シートS2との境界領域に属するシートSを一対のエッジガイド50で位置決めしたとき、図9に二点鎖線で示す張出部56が制限部48に僅かに当接した状態となる。すなわち、一対のエッジガイドが第1範囲と第2範囲との境界領域にあるため、図14に示すように張出部56が制限部48に僅かに引っ掛かった状態にある。このとき、突出部54は、第1突部58aを僅かに押した位置にある。変位部材46は、第1位相から第2位相側へ僅かに回動した位相にある。
例えば、変位部材46が張出部56と制限部48とが僅かに接触した状態にあるとき、周辺からの振動やシート載置装置16を挿着したときの衝撃等が加わると、変位部材46が制限部48から外れる虞がある。振動等により張出部56と制限部48との引っ掛かりが外れた場合、ホッパー39の上動に遅れて、変位部材46が非押圧位置から押圧位置へ変位する。詳しくは、図12に示すように、ホッパー39が上動して給送位置にあるとき、変位部材46が同図に示す非押圧位置にある状態で制限が外れる。この結果、変位部材46は、第1押圧部材42aの押圧力により、図12に示す非押圧位置から、図11に示す押圧位置に向かって飛ぶことになる。つまり、変位部材46は、第1押圧部材42aの付勢力によりホッパー39の裏面39cへ向かって上方へ飛ぶことになる。
しかし、本実施形態では、非押圧位置にある変位部材46の貫通孔46aの軸線L1上に、上動したホッパー39の裏面39cから突出する規制部材72の先端部75aが位置する。このため、変位部材46の飛行経路が、押圧位置と非押圧位置との間を変位する経路の方向から多少ずれたり、変位部材46の姿勢が保持部材71の軸方向に対して多少傾いたりしても、その飛行途中で変位部材46の貫通孔46aの開口に先端部75aが挿入される。先端部75aが挿入後の変位部材46は、誘導部74の傾斜部75に案内されて保持部73へ誘導される。この結果、変位部材46は保持部73に保持される。
こうして変位部材46が制限部48から外れて押圧部材42aの付勢力により上方へ飛んでも、飛行中の変位部材46の貫通孔46aの開口に、規制部材72の尖り形状の誘導部74の先端部75aが挿入されることで、誘導部74の傾斜部75に沿って保持部73へ誘導され、保持部73により保持位置に保持される。
このとき、変位部材46が規制部材72により保持位置へ誘導される過程で、図16、図17に示すように、変位部材46の傾斜面60が規制部材72の張出部77の傾斜面77aに当接し、傾斜面60が張出部77に案内されることで、変位部材46は、図16、図17に矢印で示す第1方向B1に回動する。このため、変位部材46は誘導部74に誘導されて保持部73に保持される過程で、そのときの位相から第2位相へ回動する。この結果、保持部73に保持されたときに変位部材46は第2位相にあるため、変位部材46の第2凹部59bに凸部62が係合できる。これにより、変位部材46はホッパー39の裏面に、保持部73によって押圧位置から外れない適切な保持位置に、適切な位相である第2位相の状態で保持される。
その後、ユーザーがシートSの補充等の目的で、シート載置装置16を装置本体12から取り外す。この取り外し過程で、ホッパー39は案内されながら給送位置から退避位置まで下降した状態で係止される。ホッパー39が給送位置から退避位置へ戻るとき、変位部材46は、凸部62が第2凹部59bに係合する第2位相にある。ここで、ホッパー39が上昇しているときは、押圧位置にある変位部材46は、その窪み部57と制限部48とが対応する位置に配置される第1位相にあるべきであるが、振動等が原因で制限が外れて押圧位置にある場合は、第2位相にある。変位部材46がホッパー39と共に下降するときにそのままの第2位相にあると、変位部材46が制限部48に引っ掛かる。これを避けるために、変位部材46が下降する過程で、制限部48が窪み部57を抜けることが可能な第1位相へ回動する。
図19に示すように、変位部材46が鉛直方向Zにおける下方向Z2に移動する過程で、その下部にある斜状の第1ガイド面65aが、制限部48側の斜状の第2ガイド面48bに案内されることで、変位部材46が第2方向B2へ回動する。このため、図20に示すように、変位部材46は、その一対の窪み部57が一対の制限部48を抜けることができる。この回動により、変位部材46は、第2位相から第1位相へ回動する。この結果、変位部材46は、非制限位置にあるときの正規の位相である第1位相に配置される。つまり、変位部材46は、振動等の何らかの原因で制限が外れて押圧位置に変位した場合、第1位相の姿勢で元の位置に戻る。このため、凸部62が第1凹部59aと係合する。また、変位部材46が第1位相にあるので、一対のエッジガイド50が第1範囲と第2範囲との境界付近に位置するときの伝達部51側の突出部54と適切に噛み合うことができる。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)シート載置装置16は、シートを載置する載置面35aを有する載置部35と、載置部35の一部を構成し、載置部35の他の部分に対して上方に移動して、載置面35aに載置されたシートを押し上げるホッパー39とを備える。また、シート載置装置16は、ホッパー39に対してホッパー39を押し上げる押圧力を付与する押圧部材42aと、押圧部材42aの変形に伴って変位可能に前記押圧部材42aとホッパー39との間に介在する変位部材46とを備える。変位部材46は、押圧部材42aの押圧力によるホッパー39の押圧が許容されて押し上げられた押圧位置と、押圧部材42aの押圧力による変位が規制されて押し上げられない非押圧位置とに変位する。さらに、シート載置装置16は、変位部材46が変位する際に、変位部材46がホッパー39と共に押圧位置と非押圧位置との間を変位する経路の方向とは異なる方向に移動することを、変位部材46に係合して規制する規制部材72を備える。
よって、ホッパー39が上方に移動した後に、振動又は衝撃等の何らかの原因で変位部材46を非押圧位置に保持する規制が外れ、変位部材46が非押圧位置から押圧位置へ変位したとしても、変位部材46が押圧位置と非押圧位置との間を変位する経路の方向とは異なる方向に移動することが、規制部材72との係合により規制される。この結果、ホッパー39が上方へ移動した後、非押圧位置から押圧位置へ変位した変位部材46を適切な押圧位置に配置できる。よって、ホッパー39が上方へ移動した後に、振動等により制限が外れてホッパー39に当接する位置まで変位した変位部材46が適切な位置に保持されないことに起因する不都合を回避できる。例えば、変位部材46がホッパー39の裏面に押圧位置から外れた不適切な位置で当接し、この状態のままホッパー39が下降した際に、変位部材46を正規の位置に戻せなくなる不都合を回避できる。
(2)シート載置装置16は、変位部材46を、押圧位置への変位を制限しない非制限位置と、押圧位置への変位を制限して非押圧位置に保持する制限位置とに切り替える切替部45を有する。詳しくは、切替部45は、変位部材46と、載置部35における、変位部材46が変位する経路上に配置された制限部48と、を含む。制限部48は、変位部材46が当接しないことで押圧部材42aの押圧力によって、変位部材46のホッパー39側への変位を許容し、変位部材46が当接することで押圧部材42aの押圧力に抗して変位部材46のホッパー39側への変位を制限する。変位部材46及び制限部48の何れか一方が載置面35aと交差する軸部47を中心に他方に対して相対的に回動可能である。変位部材46及び制限部48の何れか一方が回動することにより、変位部材46が制限部48に当接しない状態で変位部材46の押圧位置への変位を制限しない非制限位置と、変位部材46が制限部48に当接する状態で変位部材46の変位を制限して変位部材46を非押圧位置に保持する制限位置とに切り替える。よって、変位部材46及び制限部48の何れか一方が回動することにより、変位部材46が制限部48に当接しない非制限位置と、変位部材46が制限部48に当接する制限位置とに切り替えられる。このように、変位部材46と制限部48との当接と非当接とを切り替える機構が、変位部材46と制限部48の何れか一方を回動させる機構なので、例えば変位部材をスライドさせるスライド機構により切り替える構成に比べ、機構の占有スペースが小さく済む。したがって、機構の占有スペースを小さくできた分を、他の部材等の配設スペースに割当てたり、あるいは構成部材のレイアウトの自由度を高めたりすることができる。特に本例では、変位部材46及び制限部48のうち変位部材46を回動可能に構成した。このため、変位部材46に対して径方向外側寄りに位置する制限部48を回動させる構成に比べ、回動に必要なスペースがより少なく済む。その結果、その分を他の部材等の配設スペースに割当てたり、あるいは構成部材のレイアウトの自由度を一層高めたりすることができる。
(3)規制部材72の一部は、押圧位置と非押圧位置との間の途中に位置する変位部材46と、変位部材46の変位方向で同じ位置に配置されている。よって、変位部材46が押圧位置と非押圧位置との間の途中の位置で、規制部材72の一部と係合できるので、変位部材46の経路と異なる方向への移動を効果的に規制できる。
(4)変位部材46に開口が形成され、規制部材72の一部が開口内に配置される。よって、規制部材72の一部が変位部材46の開口内に配置されることで、変位部材46が経路の方向と異なる方向へ移動することを防止できる。
(5)規制部材72は、その一部へ変位部材46の開口を誘う傾斜部75を有する。よって、規制部材72の傾斜部75が、変位部材46の開口を誘うので、変位部材46が経路の方向と異なる方向へ移動することを防止できる。
(6)シート載置装置16は、変位部材46が押圧位置又は非押圧位置にあるときの変位部材46の回動方向の位置である位相を制御する位相制御部の一例として位相制御機構70及び位相復元機構80を備える。よって、ホッパー39が上方へ移動した後、振動又は衝撃等の何らかの原因で変位部材46が押圧部材42aの押圧力により非押圧位置から押圧位置へ変位しても、位相制御機構70により、変位部材46の回動方向の位相が制御される。このため、変位部材46が何らかの原因で非押圧位置から押圧位置へ変位しても、変位部材46も押圧位置に適した位相に制御できる。また、位相復元機構80により、変位部材46が押圧位置から非押圧位置へ戻るときに、変位部材46を非押圧位置に適した位相に戻すことができる。よって、変位部材46が押圧位置又は非押圧位置で適切な位相にないことに起因する不都合を回避できる。
(7)変位部材46は、押圧位置にあるときの第1位相と、非押圧位置にあるときの第2位相とをとる。位相制御部は、変位部材46が、規制部材72により変位の経路の方向と異なる方向への移動が規制されて押圧位置に配置される過程で、変位部材46を第1位相又は第2位相へ制御する位相制御機構70を含む。よって、ホッパー39が上方へ移動した後、振動又は衝撃等の何らかの原因で変位部材46が非押圧位置から押圧位置へ変位しても、この変位の過程で、位相制御機構70により、変位部材46が第1位相又は第2位相に制御される。よって、変位部材46が押圧位置に適した位相にないことに起因する不都合を回避できる。
(8)位相制御機構70は、変位部材46に回動方向に沿って傾いて形成された傾斜面60と、傾斜面60と当接して変位部材46を回動させる規制部材72の一部である張出部77と、を含む。変位部材46が非押圧位置から押圧位置へ変位する際、変位部材46の傾斜面60が規制部材72の張出部77と当接して変位部材46を押圧位置に応じた位相に回動させる。よって、振動等の何らかの原因で、変位部材46が非押圧位置から押圧位置へ変位する際、変位部材46を押圧位置に適した位相に配置できる。
(9)シート載置装置16は、変位部材46は、押圧位置にあるときの第1位相と、非押圧位置にあるときの第2位相とをとる。位相制御部は、変位部材46が押圧位置からホッパー39の下方への移動に伴って下方へ変位するときに、変位部材46を第1位相に復元する位相復元機構80を含む。振動等の何らかの原因で変位部材46の制限が外れ、変位部材46が非押圧位置から押圧位置へ変位した場合、変位部材46は、その後、押圧位置からホッパー39の下方への移動に伴って下方へ変位する過程で、制限部48と干渉して元の位置に戻れない虞がある。しかし、本実施形態によれば、変位部材46が押圧位置からホッパー39の下方への移動に伴って下方へ変位するときに、位相復元機構80により、変位部材46が押圧位置にあるときに本来とるべき第1位相へ復元される。よって、変位部材46は、制限部48と干渉することなく元の位置へ戻ることができる。
(10)位相復元機構80は、変位部材46は、変位部材46に回動方向に沿って傾斜して形成された第1ガイド面65aと、変位部材46が押圧位置からホッパー39の下方への移動に伴って下方へ変位する過程で、第1ガイド面65aが当接して変位部材46を回動させる制限部48の第2ガイド面48bとを含む。よって、簡単な構成で、変位部材46が押圧位置からホッパー39の下方への移動に伴って下方へ変位するときに、変位部材46を第1位相に復元できる。したがって、変位部材46を制限部48と干渉することなく、押圧位置から元の位置に戻すことができる。
(11)切替部45は、変位部材46を制限部48に当接する位置と当接しない位置との間で軸部47を中心として回動させる。よって、スライド移動させるスペースを要せずにホッパー39を押圧する押圧状態と、押圧しない非押圧状態とに切り替えることができる。したがって、シート載置装置16の大型化を抑制しつつ、シートSを押し上げるホッパー39の押圧力をシートサイズに応じて変更できる。
(12)幅方向Xのサイズが小さいシートSに合わせてガイド部40の間隔を狭くすると、幅方向Xの複数箇所に配置された押圧部材42のうち中央の領域に配置された第1押圧部材42aが押圧状態から非押圧状態に切り替わる。したがって、小さいシートSを載置する場合には、ホッパー39を押圧する押圧力を小さくし、大きいシートSを載置する場合には、ホッパー39を押圧する押圧力を大きくできる。
(13)印刷装置11は、シート載置装置16と、シート載置装置16に載置されたシートSを給送する給送部21と、給送されたシートSに印刷する印刷部23と、を備える。よって、載置面35a上のシートSのサイズに応じてホッパー39の押圧力を適切に切替えできるうえ、切替え上のトラブルを低減できる。第1シートS1が載置されているときはホッパー39を大きな押圧力で押し上げ、第2シートS2が載置されているときはホッパー39を第1シートS1のときよりも小さな押圧力で押し上げることができる。このため、シートサイズに関係なくシートSをピックアップローラー25に適切な押圧力で押し付けることができ、シートSの重送を低減できる。また、ホッパー39の押圧力の切替え上のトラブルを低減するために、例えば、一対のエッジガイド50が、第1シートS1と第2シートS2との境界付近のサイズのシートSの幅に対応する間隔をとれない機構を採用することも考えられる。この場合、変位部材46が制限部48と僅かに引っ掛かる状態を避けられるので、振動等に起因して制限が外れた変位部材46が、既に上動したホッパー39に当接する位置まで飛ぶ心配がなくなる。しかし、この機構では、第1シートS1と第2シートS2の境界付近のサイズのシートSをセットする際に一対のエッジガイド50とシートSの側端との間に隙間が発生する。この場合、隙間が原因でシートSを給送したときのスキューや、給送されたシートSの幅方向Xの不要な位置ずれに起因して縁無し印刷時にシートSの側縁に僅かな余白が発生することが危惧される。これに対して、本実施形態では、第1シートS1と第2シートS2との境界付近のサイズのシートSも、一対のエッジガイド50に隙間なくガイドできる。したがって、シートSを給送したときのスキューや、給送されたシートSの幅方向Xの不要な位置ずれを無くすことができる。このため、例えばスキューに起因するシートSのジャムを低減できたり、縁無し印刷時にシートSの側縁に僅かな余白ができる不具合を解消できたりする。
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のように変更してもよい。また、上記実施形態と下記変更例とは、任意に組み合わせてもよい。
・規制部材は、ホッパー39に固定された保持部材71を兼ねる規制部材72に限定されない。保持部材71とは別体の規制部材を採用してもよい。例えば、図21に示すように、変位部材46と底板36とに両端部が固定されたコイルばねよりなる押圧部材42aを規制部材とする構成でもよい。変位部材46には押圧部材42の一端部42dが挿入される挿入部46cが形成されている。底板36には押圧部材42の他端部42eが挿入される挿入部36aが形成されている。押圧部材42aはコイルばねにより構成され、押圧部材42aの一端部42dを挿入部46cに挿入することで一端部42dを変位部材46に係止し、押圧部材42aの他端部42eを挿入部36aに挿入することで他端部42eを底板36に係止する。押圧部材42aが伸長してもその剛性により、変位部材46は変位の経路の方向からさほどずれず直状付近の位置に規制される。すなわち、変位部材46が非押圧位置と押圧位置との間を変位する経路の方向と異なる方向に移動することを規制できる。なお、押圧部材42aを構成するコイルばねの両端部がそれぞれ底板36と変位部材46に固定されているので、コイルばねが伸長したときにその一端部42dが他端部42eに対して僅かに回動する。この回動により、変位部材46が押圧位置に達したときに第1位相又は第2位相に回動させられる構成のコイルばねを選択するとよい。この構成により、変位部材46が、仮に制限が外れて非押圧位置から押圧位置へ飛んでも、ホッパー39の裏面に当接した変位部材46を押圧位置に適した保持位置に保持することができる。また、コイルばねが伸長して変位部材46が押圧位置に達したときに、変位部材46を第1位相又は第2位相に配置でき、凸部62を変位部材46の第1凹部59a又は第2凹部59bに係合させることができる。保持部材71は、変位部材46を所定位置に保持できる保持部73があればよいので、台錘形の筒形状とする。なお、保持部材71として前記実施形態と同様に規制部材72を設けてもよい。
・規制部材は、誘導部74を有する規制部材72に替え、伸縮式のロッドでもよい。伸縮式のロッドは、基部が、底板36又はホッパー39の裏面に固定されている。伸縮式のロッドは、例えば段階的に径の異なる複数の筒状部を繋げて伸縮可能としたうえで、内部にばね等の弾性部材が圧縮状態に設けられて伸長方向に付勢されている。伸縮式のロッドは、軸部47と同軸上に配置される。例えば、変位部材46が制限位置にある状態で、ホッパー39が上動したとき、伸縮式のロッドは、ホッパー39の上動に応じて伸長する。伸縮式のロッドは伸長状態において軸部47の軸線上に沿って伸びる。このため、ホッパー39が上動した後、変位部材46の張出部56と制限部48との引っ掛かりが外れたとき、変位部材46はその貫通孔46aに挿通された状態にある伸長した伸縮式のロッドに案内されて変位するので、ホッパー39の裏面における保持位置へ誘導される。よって、変位部材46が押圧位置と非押圧位置との間を変位する経路の方向と異なる方向に移動することを伸縮式のロッドにより規制することができる。
・規制部材は、ワイヤでもよい。ワイヤは一端部を底板36における非押圧位置にあるときの変位部材46の中心付近に固定し、他端部をホッパー39の裏面に固定された規制部材の先端部75aに固定する。前記実施形態では、制限が外れて飛んだ変位部材46は、規制部材72の先端部75aに到達するまでは誘導されないので、その間で経路の方向と異なる方向に移動して貫通孔46aに先端部75aが挿入できなくなる虞がある。しかし、この構成によれば、変位部材46が非押圧位置から先端部75aに到達する位置までの間の区間の全域で、変位部材46は、その貫通孔46aに挿通されたワイヤにより誘導される。よって、変位部材46を押圧位置と非押圧位置との間を変位する経路の全域で誘導でき、経路の方向と異なる方向に移動すること一層確実に規制することができる。このため、変位部材46が制限の外れにより飛んでも、ホッパー39の裏面における保持位置へ一層確実に誘導することができる。
また、ホッパー39の裏面に規制部材72に替え、誘導機能を有しない保持機能のみの保持部73を備えた構成において、ワイヤは一端部を底板36における非押圧位置にあるときの変位部材46の中心付近に固定し、他端部をホッパー39の裏面に固定された保持部73の中心付近に固定する。この構成によれば、貫通孔46aに挿通されたワイヤによって、変位部材46が押圧位置と非押圧位置との間を変位する経路の方向と異なる方向に移動することを規制することができる。このため、変位部材46が制限の外れにより飛んでも、ホッパー39の裏面における保持位置へ誘導することができる。
・前記実施形態では、変位部材46を制限部48に対して相対的に回動可能に設けたが、これとは反対に、制限部48を変位部材46に対して相対的に回動可能に設けてもよい。要するに、変位部材46及び制限部48の何れか一方が、載置面35aと交差する軸部47を中心に他方に対して相対的に回動可能であればよい。
・変位部材46を制限部48に当接させて非押圧位置に保持できれば、制限部48と張出部56と窪み部57は、それぞれ少なくとも1つ設けられれば足りる。例えば、制限部48と張出部56と窪み部57とを、1つずつ設けた構成、3つずつ設けた構成、4つずつ設けた構成でもよい。
・給送部21は、分離ローラー26を備えない構成としてもよい。例えば、シート載置装置16は、1枚ずつシートSが載置される手差しトレイとしてもよい。また、シート載置装置16は、装置本体12に固定されていてもよい。
・分離ローラー26は、シートSとの間の摩擦力によりシートSを1枚ずつ分離する分離パッドとしてもよい。また、給送部21や搬送部22は、ピックアップローラー25や搬送ローラー対27に限らず、ベルトによりシートSを給送及び搬送してもよい。
・シート載置装置16は、位相制御機構70と位相復元機構80とのうち何れか一方のみを備えた構成としてもよい。例えば、位相復元機構80を無くしてもよい。この場合、位相制御機構70は、第2位相に替えて第1位相に制御する構成とすればよい。また、例えば、位相制御機構70を無くしてもよい。この場合、位相復元機構80があれば、変位部材46を第1位相に復元することはできる。
・シート載置装置16は、位相制御機構70と位相復元機構80を共に備えない構成でもよい。
・押圧部材42a〜42cは、コイルスプリングに限らない。例えば、板ばねや皿ばねなどのばね、ゴムなどとしてもよい。
・保持部73は、変位部材46を保持可能であれば任意の構成とすることができる。例えば、変位部材46を径方向Aの外側から挟んで保持するものとしてもよい。また、ホッパー39は、保持部73を有していなくてもよい。
・変位部材46が有する凹部59は、第1凹部59aと第2凹部59bのうちいずれか一方でもよい。
・ホッパー39が凹部59を有し、変位部材46が凸部62を有する構成としてもよい。
・ホッパー39と変位部材46は、凸部62と凹部59を備えない構成としてもよい。
・ホッパー39と変位部材46の双方に凸部62を設け、凹部59を設けない構成としてもよい。なお、変位部材46に凸部62を設ける場合には、第1凹部59aにおける第2凹部59b側の斜面と、第2凹部59bにおける第1凹部59a側の斜面と、により凸部62を構成するのが好ましい。すなわち、変位部材46の上面を第1凹部59aと第2凹部59bの底部と一致させてもよい。ホッパー39と変位部材46の双方に設けられた凸部62、もしくは凸部62と凹部59は、何れか一方が斜面を有し、他方は斜面に対して摺動してもよい。
・滑り止め61は、張出部56と制限部48の少なくとも一方が有していればよい。また、滑り止め61は、張出部56と制限部48との間の摩擦力を大きくするものであればよく、例えば粗面にしてもよい。
・シート載置装置16は、突出部54を有する1つのガイド部40を備える構成としてもよい。
・シート載置装置16は、突出部54を備えない構成としてもよい。例えば、変位部材46にラック52と歯合する歯車を設け、ガイド部40の移動に伴って変位部材46を回動させてもよい。
・シート載置装置16は、ガイド部40を備えない構成としてもよい。例えば、ホッパー39に切り欠きを設け、切り欠きから露出した変位部材46をユーザーに回動させてもよい。また、変位部材46は、ガイド部40の位置とは関係なく回動させてもよい。変位部材46は、例えばシートSの種類に応じて押圧状態と非押圧状態とを切り替えてもよい。ここでいうシートの種類とは、普通紙や専用紙などの用紙種に限らず、シートSの腰の強さやシートS同士の摩擦力の大きさなどが含まれる。
・変位部材46は、第1方向B1と第2方向B2のうち何れか一方向に回動可能とし、位相に応じて押圧状態と非押圧状態とを切り替えてもよい。
・シート載置装置16は、1つもしくは2つの押圧部材42を備える構成としてもよい。また、シート載置装置16は、4つ以上の押圧部材42を備える構成としてもよい。そして、複数の押圧部材42のうち、少なくとも1つの押圧部材42に変位部材46を設けてもよい。
・切替部45は、変位部材46に替え、制限部48を回動可能とする構成としてもよい。この場合、制限部48に凹部59もしくは凸部62を設けてもよい。
・特許文献1に記載されたロック部材(変位部材)の制限と非制限との切り替えをスライダ機構により行うシート載置装置において、ロック部材の押圧位置と非押圧位置との間を変位する経路の方向と異なる方向への移動を規制する規制部材を設けてもよい。
・シートSは、用紙、樹脂製シート、紙と樹脂の複合体(樹脂含浸紙、樹脂コート紙など)、金属、樹脂と金属の複合体、織物、不織布、セラミックシート、などとしてもよい。
・シート載置装置16は、シートとしての原稿の画像を読み取るスキャナーや、シートSを折るための折り機(例えば紙折り機)、シートSを裁断するシュレッダーなどに設けてもよい。
・印刷装置11は、シートSにインクなどの液体やトナーなどの流体を付着させることにより文字や絵、写真などの画像を印刷する装置であって、シリアルプリンター、ラテラル式プリンター、ラインプリンター、ページプリンターなどとしてもよい。また、オフセット印刷装置、捺染印刷装置などとしてもよい。
前記実施形態および変更例から把握される技術思想を、その作用効果と共に以下に記載する。
シート載置装置は、シートを載置する載置面を有する載置部と、前記載置部の一部を構成し、前記載置部の他の部分に対して上方に移動して、前記載置面に載置された前記シートを押し上げるホッパーと、前記ホッパーに対して前記ホッパーを押し上げる押圧力を付与する押圧部材と、前記押圧部材の変形に伴って変位可能に前記押圧部材と前記ホッパーとの間に介在し、前記押圧部材の押圧力による前記ホッパーの押圧が許容されて押し上げられた押圧位置と、前記押圧部材の押圧力による前記ホッパーの押圧が制限されて押し上げられない非押圧位置とに変位する変位部材と、前記変位部材が変位する際に、当該変位部材が前記ホッパーと共に前記押圧位置と前記非押圧位置との間を変位するときの経路の方向とは異なる方向に移動することを、当該変位部材に係合して規制する規制部材と、を備える。
この構成によれば、ホッパーが上方に移動した後に、振動又は衝撃等の何らかの原因で変位部材を非押圧位置に保持する制限が外れ、変位部材が非押圧位置から押圧位置へ変位したとしても、変位部材が押圧位置と非押圧位置との間を変位する経路の方向とは異なる方向に移動することが、規制部材との係合により規制される。この結果、ホッパーが上方へ移動した後、非押圧位置から押圧位置へ変位した変位部材を適切な押圧位置に配置できる。よって、ホッパーが上方へ移動した後、変位部材がその制限が外れてホッパーに当接する位置まで変位した際に、変位部材が不適切な位置に保持されることに起因する不都合を回避できる。この種の不都合として、例えば、変位部材を元の正規の位置に戻せなくなる事態が挙げられる。
上記シート載置装置は、前記変位部材を、前記押圧位置への変位を制限しない非制限位置と、前記押圧位置への変位を制限して前記非押圧位置に保持する制限位置とに切り替える切替部を有し、前記切替部は、前記変位部材と、前記載置部における、前記変位部材が変位する経路上に配置され、前記変位部材が当接しないことで前記押圧部材の押圧力によって前記変位部材の前記ホッパー側への変位を許容し、前記変位部材が当接することで前記押圧部材の押圧力に抗して前記変位部材の前記ホッパー側への変位を制限する制限部と、を含み、前記変位部材及び前記制限部の何れか一方が前記載置面と交差する軸部を中心に他方に対して相対的に回動可能であり、前記何れか一方が回動することにより、前記変位部材が前記制限部に当接しない状態で前記変位部材の前記押圧位置への変位を制限しない前記非制限位置と、前記変位部材が前記制限部に当接する状態で前記変位部材の前記押圧位置への変位を制限して当該変位部材を前記非押圧位置に保持する前記制限位置とに切り替える構成でもよい。
この構成によれば、変位部材及び制限部の何れか一方が回動することにより、変位部材が制限部に当接しない非制限位置と、変位部材が制限部に当接する制限位置とに切り替えられる。よって、変位部材と制限部との当接と非当接とを切り替える機構が、変位部材と制限部材との何れか一方を回動させる回動機構なので、例えば変位部材をスライドさせるスライド機構で構成する場合に比べ、機構の占有スペースが小さく済む。よって、小さくできた分のスペースを他の部材等の配設スペースに割当てたり、構成部材のレイアウトの自由度を高めたりすることができる。
上記シート載置装置において、前記規制部材の一部は、前記押圧位置と前記非押圧位置との間の途中に位置する前記変位部材と、当該変位部材の変位方向で同じ位置に配置される構成でもよい。
この構成によれば、変位部材が押圧位置と非押圧位置との間の途中の位置で、規制部材の一部と係合できるので、変位部材の経路と異なる方向への移動を効果的に規制できる。
上記シート載置装置において、前記変位部材に開口が形成され、前記規制部材の一部が前記開口内に配置される構成でもよい。
この構成によれば、規制部材の一部が変位部材の開口内に配置されることで、変位部材が経路の方向と異なる方向へ移動することを防止できる。
上記シート載置装置において、前記規制部材は、前記一部へ前記開口を誘う傾斜部を有してもよい。
この構成によれば、規制部材の傾斜部が、規制部材の一部へ変位部材の開口を誘うので、変位部材が経路の方向と異なる方向へ移動することを防止できる。
上記シート載置装置において、前記変位部材が前記押圧位置又は前記非押圧位置にあるときの当該変位部材の回動方向の位置である位相を制御する位相制御部を備えてもよい。
この構成によれば、ホッパーが上方へ移動した後、振動又は衝撃等の何らかの原因で変位部材が押圧部材の押圧力により非押圧位置から押圧位置へ変位しても、位相制御部により、変位部材の回動方向の位相が制御される。このため、変位部材が何らかの原因で非押圧位置から押圧位置へ変位しても、変位部材を押圧位置に適した位相に制御できる。あるいは、位相制御部により、変位部材が押圧位置から非押圧位置へ戻るときに、変位部材を非押圧位置に適した位相に戻すことができる。よって、変位部材が押圧位置又は非押圧位置で適切な位相にないことに起因する不都合を回避できる。
上記シート載置装置において、前記変位部材は、前記押圧位置にあるときの第1位相と、前記非押圧位置にあるときの第2位相とをとり、前記位相制御部は、前記変位部材が、前記規制部材により前記異なる方向への移動が規制されて前記押圧位置に配置される過程で、前記変位部材を前記第1位相又は前記第2位相へ制御する位相制御機構を含んでもよい。
この構成によれば、ホッパーが上方へ移動した後、振動又は衝撃等の何らかの原因で変位部材が非押圧位置から押圧位置へ変位しても、そのとき、位相制御機構により、変位部材が回動方向に第1位相又は第2位相に制御される。よって、変位部材が振動等の原因で押圧位置に変位した際に、押圧位置に適した位相にないことに起因する不都合を回避できる。
上記シート載置装置において、前記位相制御機構は、前記変位部材に回動方向に沿って傾いて形成された傾斜面と、前記傾斜面と当接して前記変位部材を回動させる前記規制部材とを含み、前記変位部材が前記非押圧位置から前記押圧位置へ変位する際、前記傾斜面が前記規制部材の一部に当接することで、前記変位部材を前記押圧位置に応じた位相に回動させる構成でもよい。
この構成によれば、振動等の何らかの原因で、変位部材が非押圧位置から押圧位置へ変位する際、変位部材の傾斜部が規制部材の一部に当接して変位部材を回動させるので、変位部材を押圧位置に適した位相に配置できる。
上記シート載置装置において、前記変位部材は、前記押圧位置にあるときの第1位相と、前記非押圧位置にあるときの第2位相とをとり、前記位相制御部は、前記変位部材が前記押圧位置から前記ホッパーの下方への移動に伴って下方へ変位するときに、前記変位部材を前記第1位相に復元する位相復元機構を含んでもよい。
振動等の何らかの原因で変位部材の制限が外れ、変位部材が非押圧位置から押圧位置へ変位した場合、変位部材は、その後、押圧位置からホッパーの下方への移動に伴って下方へ変位する過程で、制限部と干渉して元の非押圧位置に戻れない虞がある。しかし、この構成によれば、変位部材が押圧位置からホッパーの下方への移動に伴って下方へ変位するときに、位相復元機構により、変位部材が押圧位置にあるときに本来あるべき第1位相へ復元される。よって、変位部材は、制限部と干渉することなく元の位置へ戻ることができる。
上記シート載置装置において、前記位相復元機構は、前記変位部材に回動方向に沿って傾斜して形成されたガイド面と、前記変位部材が前記押圧位置から前記ホッパーの下方への移動に伴って下方へ変位する過程で、前記ガイド面が当接して前記変位部材を回動させる前記載置部の一部とを含んでもよい。
この構成によれば、簡単な構成で、変位部材が押圧位置からホッパーの下方への移動に伴って下方へ変位する過程で、変位部材を第1位相に復元できる。よって、変位部材を制限部と干渉することなく押圧位置から元の位置へ戻すことができる。
印刷装置は、上記シート載置装置と、前記シート載置装置に載置されたシートを給送する給送部と、給送された前記シートに印刷する印刷部と、を備える。この構成によれば、載置面上のシートのサイズに応じてホッパーの押圧力を適切に切替えできるうえ、切替え上のトラブルを低減できる。