以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、「層」、「シート」及び「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて互いから区別されるものではない。例えば「シート」という用語は、層或いはフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
最初に、本発明の第1の実施形態の加飾シート50、加飾シート付きパネル15、加飾シート付き表示装置20及びパネル付き表示装置10について説明する。
図1は、第1の実施形態のパネル付き表示装置10を概略的に示す分解斜視図であり、図2は、第1の実施形態の加飾シート50の拡大正面図であり、図3は、第1の実施形態のパネル付き表示装置10の断面図である。
加飾シート50は、絵柄が形成された絵柄部53と、絵柄部53の非形成部であって、表示装置40の表示面41からの画像光を透過する透過部57と、を有している。
加飾シート付き表示装置20は、表示面41を有する表示装置40と、表示面41に対面して設けられた加飾シート50と、を有している。
パネル付き表示装置10は、表示面41を有する表示装置40と、表示面41に対面して設けられた加飾シート付きパネル15と、を有し、加飾シート付きパネル15は、開口部30aを有するパネル部材30と加飾シート50とを有している。
そして、このパネル付き表示装置10は、表示装置40の表示面41から発した画像光が、パネル部材30の開口部30aと加飾シート50の透過部57とを通過して、表示面41への法線方向からの観察者に観察されるように構成されている。
なお、図1の例では、加飾シート50、加飾シート付き表示装置20及びパネル付き表示装置10は、平板状に示されているが、各構成要素が湾曲した湾曲形状であってもよい。
表示装置40は、画像光を出射する装置であり、画像光を出射することができる表示面41を有している。この表示装置40としては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の任意の表示装置を用いることができる。このような表示装置10の表示面11は、典型的にはガラス面となっている。あるいは、表示装置10は、光を印刷が施された透明なフィルム等を透過させて画像を表示するものや、光の一部を遮光物によって遮光して明暗を表示するものであってもよい。この場合、表示装置10は、光を発する光源及び印刷が施された透明なフィルムや遮光物を含んでいる。
パネル部材30は、表示装置40と加飾シート50との間に配置されており、開口部30aを有している。パネル部材30は、例えば厚さ0.5mmの板状部材である。パネル部材30は、表示装置40の表示面41が、表示面41への法線方向からの観察において、開口部30a内に位置するように配置されている。
パネル部材30は、基材層31と、基材層31上に設けられた意匠層35と、を含んでいる。基材層31は、意匠層35を適切に支持することができる部材である。意匠層35は、パネル部材30に意匠性を付与するための部材であり、典型的には黒色等の濃色となっている。このような意匠層35は、例えば黒色顔料を含む樹脂によって形成される。黒色顔料としては、カーボンブラックやチタンブラック等を例示することができる。意匠層35は、パネル部材30が設けられる環境に応じて、木目調や大理石調等の任意の意匠性を付与するものであってもよい。また、意匠層35は不要であればなくても良い。
第1の実施形態のパネル部材30は、矩形の開口部30aを有するロ字型となっている。しかし、本発明の実施形態はこれに限らず、パネル部材30は、L字型、コ字型等の、矩形から一部を除いた形状であってもよい。また、パネル部材30は、矩形に限らず、円形等の任意の形状であってもよい。さらには、開口部30aの形状も任意の形状であってもよい。
また、本発明のパネル部材30は、開口部30aを有さずに、表示装置40の表示面41と対向する部分が透明に形成されたものであってもよい。また、パネル部材30は、透明な基材層31と意匠層35とからなるものであって、意匠層35のみに開口部30aを有するものであってもよい。また、パネル部材30は、意匠層35を有さずに、全体が透明に形成されたものであってもよい。また、パネル部材30は、全体が半透明なスモーク板として形成されたものであってもよい。また、パネル部材30は、透明な基材層31と意匠層35とからなるものであって、開口部30aを有さずに、意匠層35が光を透過するアイコン表示部を有するものであってもよい。
図3及び図9に示すように、加飾シート50は、表面に複数の凸部51aを有する透明な基材部51と、基材部51の表面の凸部51a以外の領域に設けられた絵柄部53及び遮蔽部55と、を有している。そして、基材部51の凸部51aが光を透過させる透過部57となっている。
基材部51は、透明なフィルム状の部材である。基材部51としては、可視光を透過し、絵柄部53及び遮蔽部55を適切に支持し得るものであればいかなる材料でもよいが、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、環状ポリオレフィン等を挙げることができる。また、基材部51は、可視光透過性や、絵柄部53及び遮蔽部55の適切な支持性等を考慮すると、25μm以上500μm以下の厚みを有していることが好ましい。
第1の実施形態の加飾シート50は、さらに、透明な樹脂で構成されたラミネート部(第1のフィルム部材)58を有している。ラミネート部58は、透明な樹脂で構成されたフィルム部材が、基材部51の絵柄部53及び遮蔽部55が形成されている側の面に、熱ラミネートされることにより、形成されている。すなわち、ラミネート部58は、基材部51、絵柄部53及び遮蔽部55を含む積層体に対して絵柄部53及び遮蔽部55が形成されている側から溶着したフィルム部材によって形成されている。ラミネート部58は、絵柄部53及び遮蔽部55を保護する層としても機能する。また、ラミネート部58が積層される面には、基材部51の凸部51aが形成されている。ラミネート部58は、この凹凸を均すように設けられている。また、ラミネート部58は、この凹凸によって、基材部51、絵柄部53及び遮蔽部55を含む積層体に高い密着力で接合し、絵柄部53及び遮蔽部55を安定して保護することができる。
ラミネート部58は、可視光を透過し、絵柄部53及び遮蔽部55を適切に保護し得るものであればいかなる材料でもよいが、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、環状ポリオレフィン等を挙げることができる。ただし、光の透過性の観点からは、基材部51と同程度の屈折率を有するものが好ましい。また、ラミネート部58は、任意の厚みを有するものとすることができる。例えば、絵柄部53及び遮蔽部55の保護のみを目的とする場合には、75μm〜125μm程度とすることができ、加飾シートの剛性の向上をも目的とする場合には、125μm〜3mm程度とすることができる。
遮蔽部55は、表示装置40の表示面41と加飾シート50の絵柄部53との間に配置されており、表示装置40の表示面41の側から絵柄部53を覆っている。遮蔽部55は、表示装置40の表示面41からの画像光が絵柄部53に入射しないよう、光を吸収する機能を有している。遮蔽部55は、例えば光吸収粒子をバインダー樹脂中に含み得る。光吸収粒子としては、カーボンブラックやチタンブラック等の黒色顔料を例示することができる。具体的な例として、遮蔽部55の厚さは、1μm以上、20μm以下である。なお、加飾シート50は、遮蔽部55を有さないものであってもよい。
絵柄部53は、木目調、大理石調、単色などの任意の絵柄を形成することができる。
絵柄部53は、遮蔽部55によって表示装置40の側から覆われている。この遮蔽部55によって、画像光が絵柄部53へ入射することが妨げられる。このため、絵柄部53を画像光が透過して、絵柄部53によって表される意匠と画像光とが混合して観察されることを防止することができる。すなわち、絵柄部53で特定波長域の可視光が吸収されることに起因して画像の色再現性が劣化することを効果的に防止することができる。
透過部57は、加飾シート50の正面からの観察において、絵柄部53の非形成部であり、表示装置40の表示面41からの画像光を透過させることができる。この実施形態の透過部57は、基材部51の樹脂によって形成されている。
なお、本明細書において、「透明基材」における「透明」とは、透明基材を介して当該透明基材の一方の側から他方の側を透視し得る程度の透明性を有していることを意味しており、例えば、30%以上、より好ましくは70%以上の可視光透過率を有していることを意味する。可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。
表示装置40の表示面41に画像を表示した状態では、画像光は、パネル部材30の開口部30a及び加飾シート50の透過部57を透過し、外部の観察者に観察される。加飾シート50の表示装置40の表示面41に対面する領域における透過部57の割合(以下、「開口率」という。)は、観察者が画像光を表示装置としての実用に耐える程度に観察できるようにするために、5%以上とするのが好ましく、観察者が十分な明るさの画像光を観察するために、10%以上とするのが好ましく、観察者がさらに十分な明るさの画像光を観察するために、15%以上とするのがさらに好ましい。
表示装置40の表示面41に画像を表示していない状態では、加飾シート50の絵柄部の絵柄が観察される。加飾シート50の開口率は、加飾シート50の意匠を観察者が実用に耐える程度に観察できるようにするために65%以下とするのが好ましく、観察者がさらに明確に加飾シート50の意匠を観察できるようにするために、60%以下とするのがさらに好ましい。
なお、加飾シート50の開口率は、(開口率)=(透過部57の面積の合計)/((絵柄部53の面積の合計)+(透過部57の面積の合計))の式を用いて算出することができる。
第1の実施形態の加飾シート50の透過部57は、次に説明する透過部57の形成方法により形成され得る。以下の例において、透過部57は、加飾シート50の法線方向から観察して概ね正方形状の透過部57が正方格子状に形成される。
第1の実施形態の加飾シート50の透過部57の形成方法を説明する。
図4Aから図4Cは、第1の実施形態の加飾シート50の透過部57の形成方法を示す概念断面図であり、図5は、第1の実施形態の加飾シート50の透過部57の形成に用いるメッシュ部材70の拡大正面図である。
まず、図4Aに示すように、透明なシート状の基材部51の表面に印刷などにより絵柄部53及び遮蔽部55を形成する。
次に、基材部51と絵柄部53及び遮蔽部55とが軟化する温度環境の下において、メッシュ部材70を絵柄部53及び遮蔽部55が形成された基材部51に押し込む。
ここで、図5に示すように、メッシュ部材70は、線部71と開口部72とを有するメッシュ状の部材である。線部71は、例えばポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、フッ素系材料、ステンレス等の金属材料などにより構成される。図示された例において、メッシュ部材70は、隙間をあけて線部71を織り込んだ織物として構成されている。メッシュ部材70は、第1方向D1に延びて第1方向と垂直な第2方向D2に配列された縦糸をなす線部71と、第2方向D2に延びて第1方向D1に配列された横糸をなす線部71と、を有している。
次に、図4Bに示すように、基材部51上に絵柄部53及び遮蔽部55を形成してなる積層体に対して絵柄部53及び遮蔽部55の側からメッシュ部材70が押しつけられると、メッシュ部材70の線部71に対向する領域の絵柄部53及び遮蔽部55は、基材部51内に押し込められ、メッシュ部材70の開口部72に対向する領域の絵柄部53及び遮蔽部55は、メッシュ部材70の開口部72内に入れられることになる。すなわち、メッシュ部材70の開口部72に入り込んだ絵柄部53及び遮蔽部55は、ある程度の弾性を有した線部71の間に保持されるようになる。
次に、図4Cに示すように、メッシュ部材70を、開口部72内に取り込まれた絵柄部53及び遮蔽部55とともに、基材部51から剥離することにより離間させる。
この工程を、絵柄部53及び遮蔽部55の組成、メッシュ部材70の構成、加工温度、メッシュ部材70を基材部51に押しつける力、メッシュ部材70を基材部51に押しつける速度(加工速度)などを適切に選択して実施することにより、メッシュ部材70の線部71に対向する領域の絵柄部53及び遮蔽部55を基材部51内に押し込めるとともに、メッシュ部材70の開口部72に対向する領域の絵柄部53及び遮蔽部55のみを、絵柄部53及び遮蔽部55の他の部分から切り取って、基材部51から取り除くことができる。
この工程における条件としては、例えば、絵柄部53及び遮蔽部55の構成材料としてアクリル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの混合物、ポリエステル系材料などを使用し、メッシュ部材70として、線部の太さが40μm、開口部の幅が50μmのポリエステル製のものを使用し、加工温度を160℃とし、メッシュ部材70を基材部51に押しつける力を3MPaとし、加工速度を1m/分とすることが考えられる。
この工程の結果、メッシュ部材70の開口部72と同じ形状及び配列の透過部57を有する加飾シート50が製造される。なお、この加飾シート50の製造方法においては、メッシュ部材70は、通常、使い捨てとなる。
次に、本発明の第2の実施形態の加飾シート50について説明する。
第2の実施形態の加飾シート50の構成は、透過部57の形成方法、形状及び配置を除き、第1の実施形態の加飾シート50と同じである。
図6は、第2の実施形態の加飾シート50の拡大正面図である。第2の実施形態の加飾シート50の透過部57は、加飾シート50の法線方向から観察して円形の透過部57が正方格子状に形成されたものである。
本発明の透過部57は、正方格子状に形成されたものでなくてもよい。しかし、透過部57が格子状に形成されている場合には、表示装置40の画像光が均一に透過することから、表示装置40の画像のムラが生じにくくなる。さらに透過部57が正方格子状に形成されている場合には、さらに、表示装置40の画像のムラが生じにくくなる。そのため、加飾シート50の透過部57は、加飾シート50の法線方向から観察して円形の透過部57が格子状に形成されていることが好ましく、円形の透過部57が正方格子状に形成されていることがさらに好ましい。また、透過部57は、円形のものでなくてもよく、例えば、第1の実施形態と同じように正方形としてもよい。
第2の実施形態の加飾シート50の透過部57の形成方法を説明する。
図7A〜図7Dは、第2の実施形態の加飾シート50の透過部57の形成方法を示す概念断面図であり、図8は、第2の実施形態の加飾シート50の透過部57の形成に用いる押圧部材80のパターンを示す拡大正面図である。
まず、図7Aに示すように、透明なシート状の基材部51の表面に印刷などにより絵柄部53及び遮蔽部55を形成する。
次に、基材部51と絵柄部53及び遮蔽部55とが軟化する温度環境の下において、複数の凹部80aを有する押圧部材80を絵柄部53及び遮蔽部55が形成された基材部51に押し付ける。
ここで、押圧部材80は、表面凹凸を有したシート状の部材(板)である。図7A〜図8に示すように、押圧部材80の表面凹凸は、作製されるべき加飾シート50の透過部の配列パターンに対応したパターンにて凹部80aが設けられることで、形成されている。この押圧部材80では、その表面のうちの凹部以外の領域が押圧面となっている。押圧部材80は、加飾シート50の基材部51と絵柄部53及び遮蔽部55とに押し付けられたときに変形しない程度の剛性と、基材部51と絵柄部53及び遮蔽部55からの剥離性とを有する部材である。図7A〜図7Cに示された例において、押圧部材80は、フィルム基材81に接着剤層82を介して接着された銅箔として構成されている。押圧部材80の凹部80aは、例えばフォトリソグラフィー技術を用いて銅箔をパターニングすることにより、形成される。図示された例において、押圧部材80、フィルム基材81及び接着剤層82によって、押圧積層体85が形成されている。
なお、本件明細書において「接着」との用語は、「粘着」の意味を含むものとして用いている。したがって、本件明細書で用いる「接着剤」は粘着剤も含み、本件明細書で用いる「接着層」は粘着層も含む。
図7Bに示すように、基材部51上に絵柄部53を形成してなる積層体に対して絵柄部53及び遮蔽部55の側から押圧部材80が押しつけられると、押圧部材80の凹部80a以外(すなわち凸部80b)に対向する領域の絵柄部53及び遮蔽部55は、基材部51内に押し込められることになる。
次に、図7Cに示すように、押圧部材80を、基材部51から剥離することにより離間させる。このとき、基材部51の押圧部材80の凹部80aに対向していた領域には凸部51aが形成されており、この凸部51aの上に絵柄部53及び遮蔽部55が載っている状態となっている。
次に、例えば、ロール式表面研磨装置、ブラスト研磨装置、フィルム研磨装置などを用いて、押圧部材80を剥離した後の基材部51の表面の研磨を行い、図7Dに示すように、基材部51の凸部51aの上の絵柄部53及び遮蔽部55を基材部51から除去する。
この工程を、絵柄部53及び遮蔽部55の組成、押圧部材80の構成、加工温度、押圧部材80を基材部51に押しつける力、押圧部材80を基材部51に押しつける速度(加工速度)、研磨条件などを適切に選択して実施することにより、押圧部材80の凹部80a以外(凸部80b)に対向する領域の絵柄部53及び遮蔽部55を基材部51内に押し下げ、基材部51の押圧部材80の凹部80aに対向していた領域に凸部51aを形成するとともに、基材部51の凸部51a上の絵柄部53及び遮蔽部55を基材部51から取り除くことができる。
工程の条件としては、例えば、絵柄部53及び遮蔽部55の構成材料としてアクリルおよび、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系材料などを使用し、押圧部材80として、厚さ80μmの銅箔80に直径100μmの円状の凹部80aをピッチ200μmで配置したものを使用し、加工温度を160℃とし、押圧部材80を基材部51に押しつける力を3MPaとし、加工速度を1m/分とすることが考えられる。
この工程の結果、押圧部材80の凹部80aと同じ形状及び配列の透過部57を有する加飾シートが製造される。なお、この加飾シート50の製造方法においては、第1の実施形態の加飾シートの製造方法とは異なり、透過部57の形成に用いる押圧部材80を繰り返し使用することが可能となっている。また、第2の実施形態の加飾シートの製造方法は、透過部57の形状及び配置の自由度が高いものとなっている。図8に示す例では、複数の凹部80aが分散されて配置されているが、本発明の押圧部材80は、複数の凸部80bが分散配置されたものであってもよい。
第2の実施形態の押圧部材80は、フィルム基材81に接着剤層82を介して接着された銅箔として構成されているが、本発明の構成はこれに限定されない。必要な剛性と剥離性とを有し、フォトリソグラフィー技術を用いてパターニングすることができる部材であれば、押圧部材として好適に使用することができる。例えば、押圧部材80として、銅、ニッケルなどの金属箔、又は、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどの樹脂が使用できる。
また、押圧部材80は、フィルム基材81ではなく、ロールなどの適宜の支持体に形成されたもの、つまり、ロール状フィルムに銅パターン形成されているものであってもよい。また、押圧部材80は、パターニングした銅製ロールとして形成されたもの、つまり、銅からなる金属ロールをエッチングしたものであってもよい。このように、押圧部材80をロールに形成した場合には、ロールが押圧ロールを兼ね、加飾シート50の透過部57の形成を、バッチ処理ではなく、連続処理により行うことが可能になるという利点を有している。
図9は、第1及び第2の実施形態の加飾シートの製造方法により製造された加飾シート50の拡大断面図である。他の図(例えば図3)では、加飾シートの絵柄部53及び遮蔽部55の厚さと基材部51の凸部51aとの高さが同じ程度に見えるように示されていることもあるが、実際には、絵柄部53及び遮蔽部55の厚さは、5μmから10μm程度であるのに対し、基材部51の凸部51aの高さは10μmから200μm程度となる。
従来の加飾シートにおいては、基材部51上の絵柄部53及び遮蔽部55をレーザー加工などにより除去することにより透過部57を形成していた。このことから、加飾シート50の絵柄部53及び遮蔽部55と透過部57との段差は、5〜10μm程度にすぎなかった。それに対し、第1及び第2の実施形態の加飾シート50の絵柄部53及び遮蔽部55と透過部57との段差Hは、10μmから100μm程度となっており、従来の加飾シートよりも相当程度大きくなっている。そのため、第1及び第2の実施形態の加飾シート50は、従来の加飾シート50よりも表面積が大きくなり、その結果、他の部材との密着性が向上したものとなっている。
正方形の透過部57が正方格子状に配列されているとした場合において、加飾シート50の透過部57の幅をDとし、絵柄部53及び遮蔽部55と透過部57との段差をHとすると、1つの透過部57あたりの表面積増加量は、4DHとなる。1辺の長さがLの単位面積中にピッチPで透過部57が配置されている場合、単位面積中の透過部57の数は(L/P)2となり、単位面積中の表面積増加量は、4DH×(L/P)2となる。この表面積増加量は、透過部57の幅D若しくは段差Hを大きくし、又は、ピッチPを小さくすることで増大する。ここで透過部57の幅Dを大きくすると、一定の開口率を維持するために、ピッチPも大きくする必要がある。一方、段差Hは、第1の実施形態ではメッシュの線幅である40μmまで大きくすることができ、第2の実施形態では、銅箔パターンの高さである80μmまで大きくすることができる。このことから、単位面積当たりの表面積増加率は、透過部57の幅Dよりも、段差Hのほうが高いことが理解できる。つまり、表面積の増加への貢献は、透過部57の幅Dよりも絵柄部53及び遮蔽部55と透過部57との段差Hの方が大きい。
そのため、第1及び第2の実施形態の加飾シート50は、基材部51とラミネート部材58との密着性が高いものとなっている。
図10は、第1及び第2の実施形態の変形例の加飾シート50の断面図である。この変形例の加飾シート50は、第1及び第2の実施形態とは異なり、接着剤層60を介して接着された、表面保護、表示装置の光照射による退色防止などの任意の機能を有する透明なフィルム部材(第2のフィルム部材)59を有している。この実施形態の加飾シート50は、基材部51の凸部51aを有する面において、接着剤層60を介して、フィルム部材59に接着されている。より厳密には、基材部51、絵柄部53及び遮蔽部55の積層体に対して、絵柄部53及び遮蔽部55や凹凸が形成されている側から、フィルム部材59が接着されている。
フィルム部材59は、可視光を透過し、絵柄部53及び遮蔽部55を適切に保護し得るものであればいかなる材料でもよいが、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などを挙げることができる。ただし、光の透過性の観点からは、基材部51と同程度の屈折率を有するものが好ましい。また、フィルム部材59は、任意の厚みを有するものとすることができる。例えば、絵柄部53及び遮蔽部55の保護のみを目的とする場合には、10μm〜250μmとすることができ、加飾シートの剛性の向上をも目的とする場合には、250μm〜3mmとすることができる。
接着剤層60は、光を透過し、加飾シート50の基材部51、絵柄部53及び透過部57とフィルム部材59とを適切に接着し得るものであればいかなる材料でも良いが、例えば、ポリエステル系材料、ポリエーテル系材料などを挙げることができる。
この変形例の加飾シート50は、基材部51、絵柄部53及び透過部57とフィルム部材59との密着性が高いものとなっている。
図10に示す例において、フィルム部材59として、パネル部材30を用いることも可能である。この場合においては、加飾シート50とパネル部材30とで加飾シート付きパネル15を構成している。パネル部材30を構成するフィルム部材59としては、例えば、厚さ3mmのポリカーボネート樹脂の板状部材を用いることができる。この加飾シート付きパネル15は、加飾シート50とパネル部材30との密着性が高いものとなっている。
このパネル部材30としては、一例として、(1)基材層31と意匠層35とからなり、表示装置40の表示面41と対向する部分に開口部30aを有するもの、(2)基材層31と意匠層35とからなり、開口部30aを有さずに、表示装置40の表示面41と対向する部分が透明に形成されたもの、(3)透明な基材層31と意匠層35とからなり、意匠層35のみに開口部30aを有するもの、(4)意匠層35を有さずに、全体が透明に形成されたもの、(5)全体が半透明なスモーク板として形成されたもの、(6)透明な基材層31と意匠層35とからなり、開口部30aを有さずに、意匠層35が光を透過するアイコン表示部を有するもの、などが挙げられる。
図11は、第1及び第2の実施形態の別の変形例の加飾シート付きパネル15の断面図である。この変形例の加飾シート付きパネル15は、第1及び第2の実施形態とは異なり、ラミネート部58を有さずに、パネル部材30に熱ラミネートにより貼合されている。つまり、この変形例の加飾シート付きパネル15は、ラミネート部58として、パネル部材30を用いたものといえる。この加飾シート付きパネル15も、加飾シート50とパネル部材30との密着性が高いものとなっている。このパネル部材30としては、図10に示す例において用いられるパネル部材30と同様のものを用いることができる。
図12A、図12B及び図12Cは、第1の実施形態の加飾シート50の絵柄部53及び遮蔽部55の平坦化処理を示す断面図である。
図12Aに示すように、第1の実施形態の加飾シート50の絵柄部53及び遮蔽部55は、断面視において、湾曲した状態、より具体的には、透過部57に近づくほど基材部51の表面側に位置し、透過部57から離れるほど基材部51の奥側に位置する状態になることもある。このような現象は、主に、メッシュ部材70の構成、例えば、メッシュ部材70の線部71の形状や、加工条件等に起因して生じる。絵柄部53及び遮蔽部55の平坦化処理は、湾曲した状態にある絵柄部53及び遮蔽部55をならして、絵柄部53及び遮蔽部55を平坦にする処理である。
前述のとおり、第1及び第2の実施形態の加飾シート50は、絵柄部53及び遮蔽部55と透過部57との段差Hが大きく、部材間の密着性が高いものとなっており、この点が利点の1つとなっている。しかし、部材間の密着性の要求が高くない用途、又は、部材間の密着性の要求よりも絵柄部53及び遮蔽部55を平坦にする要求の方が強い用途においては、加飾シート50の絵柄部53及び遮蔽部55の平坦化処理を行ってもよい。
例えば、絵柄部53が光を反射するメタリック材料により構成される場合には、絵柄部53の表面が湾曲していると光を適切に反射することができなくなることから、絵柄部53の平坦化の要求が強くなる。一方、絵柄部53が濃い色の材料により構成されている場合には、通常、平坦化の必要性はない。
平坦化処理は、図12Aに示すように、加飾シート50の絵柄部53及び遮蔽部55の上方から下方に向かって高温のプレスプレート91を押し付けて、図12Bに示すように、所定の圧力で所定の時間プレスした後、図12Cに示すように、プレスプレート91を上方に引き上げることによりなされる。
この平坦化処理の条件は、絵柄部53及び遮蔽部55を適切に平坦にできるものであればよく、特に限定されないが、例えば、プレス温度を200℃とし、プレス圧力を2MPaとし、プレス時間を10秒とすることが考えられる。
なお、第2の実施形態の加飾シート50においては、透過部57の形成の工程において、メッシュ部材70よりも形状等の自由度の高い押圧部材80を用いることから、絵柄部53及び遮蔽部55の湾曲の程度は相対的に小さいものとなる。しかし、第2の実施形態の加飾シート50においても、平坦化処理が行われてもよい。
以上で説明した第1及び第2の実施形態の加飾シート50は、例えば図9に示すように、基材部51又は転写基材部511の上に絵柄部53が形成され、その絵柄部53の上に遮蔽部55が形成されるように構成されていた。しかし、加飾シート50は、例えば図13に示すように、基材部51又は転写基材部511の上に遮蔽部55が形成され、その遮蔽部55の上に絵柄部53が形成されるように構成されていてもよい。
この図13に示す加飾シート50は、観察面が図9に示す加飾シートとは逆向きとなるように使用されることになる。この場合には、基材部51、絵柄部53及び遮蔽部55の積層体に対して、絵柄部53及び遮蔽部55や凹凸が形成されている側から、表面保護層を構成する樹脂フィルムなどが他の部材として積層されることになる。このような、表面保護層を構成する樹脂フィルムとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明樹脂フィルムが好適である。
また、第1及び第2の実施形態の加飾シート50は、遮蔽部55を有していなくてもよい。ただし、絵柄部53の意匠と表示装置40からの画像光とが混合して観察されることの抑制の観点から、加飾シート50は、遮蔽部55を有していることが好ましい。
次に、本発明の第3の実施形態の加飾シート50について説明する。
図14は、第3の実施形態の加飾シートの拡大正面図である。第3の実施形態の加飾シート50の透過部57は、加飾シート50の法線方向から観察して、略楕円形状の透過部57が正方格子状に形成されたものである。ただし、この略楕円形状の透過部57は、互いに隣接する略楕円形状の透過部57の長軸の方向が互いに直交するように配置されている。この配置は、次に述べる透過部57の形成方法に由来する。
第3の実施形態の加飾シート50の透過部57の形成方法を説明する。
図15A、図15B及び図15Cは、第3の実施形態の加飾シート50の透過部57の形成方法を示す概念断面図である。この形成方法においては、第1の実施形態と同様、図5に示すようなメッシュ部材70を用いる。
まず、図15Aに示すように、透明なシート状の転写基材部511の表面に印刷などにより絵柄部53、遮蔽部55及びヒートシール層92を形成する。一例として、絵柄部53及び遮蔽部55の厚さは、合計5μmであり、ヒートシール層の厚さは、1μmである。
転写基材部511は、第1の実施形態の加飾シート50の基材部51よりも硬い材料により構成されている。転写基材部511は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニルサルファイド、ポリイミドなどにより構成される。この転写基材部511と第1の実施形態の基材部51との違いの詳細については後述する。
ヒートシール層92は、いわゆる熱溶着層であり、より具体的には、加熱により接着性を有するようになる層である。このヒートシール層92は、例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂などの、加熱により接着性を有するようになる材料により構成される。
次に、転写基材部511が軟化せず又は軟化の程度が小さく、絵柄部53及び遮蔽部55が軟化し、ヒートシール層92が接着性を有するようになる温度環境の下において、メッシュ部材70を絵柄部53、遮蔽部55及びヒートシール層92が形成された転写基材部511に押しつける。第1の実施形態では、基材部51を軟化させていたが、この第3の実施形態は、転写基材部511を軟化させないこと又は軟化の程度が小さいことに特徴を有している。
図15Bに示すように、転写基材部511上に絵柄部53、遮蔽部55及びヒートシール層92を形成してなる積層体に対して絵柄部53、遮蔽部55及びヒートシール層92の側からメッシュ部材70が押しつけられると、メッシュ部材70の線部71に対向する領域の絵柄部53及び遮蔽部55は、メッシュ部材70の線部71と対向する領域から押し出され、メッシュ部材70の開口部72の領域に移動することになる。すなわち、メッシュ部材70の線部71と対向する領域にある絵柄部53及び遮蔽部55は、転写基材部511が軟化していないか軟化の程度が小さいことから、転写基材部511内に押し込まれることなく、転写基材部511の面に沿って(転写基材部511のシート面に沿って)移動する。これにより、メッシュ部材70の線部71と対向する領域にあった絵柄部53及び遮蔽部55は、メッシュ部材70の線部71と対向する領域から押し出され、メッシュ部材70の開口部72の領域に移動することになる。なお、転写基材部511の軟化の程度が小さいとは、絵柄部53及び遮蔽部55のこのような移動が可能な程度の軟化であることをいう。このようにして、転写基材部511の表面におけるメッシュ部材70の線部71に対向する領域から絵柄部53及び遮蔽部55が除去される。
また、メッシュ部材70の線部71と対向する領域にあるヒートシール層92は、一部がメッシュ部材70の線部71の表面に融着し、その他の部分は、絵柄部53及び遮蔽部55と同様、メッシュ部材70の線部71と対向する領域から押し出され、メッシュ部材70の開口部72の領域に移動することになる。
次に、図15Cに示すように、メッシュ部材70を、転写基材部511、絵柄部53、遮蔽部55及びヒートシール層92から離間させる。
このとき、絵柄部残渣53a及び遮蔽部残渣55aが、メッシュ部材70の線部71に融着したヒートシール層92に接着されて、転写基材部511の表面から除去されることになる。この絵柄部残渣53a及び遮蔽部残渣55aは、メッシュ部材70の線部71に対向する領域の絵柄部53及び遮蔽部55のうちメッシュ部材70の開口部72の領域に移動することのできなかった絵柄部53及び遮蔽部55の残渣である。
このように、転写基材部511の表面におけるメッシュ部材70の線部71に対向する領域から絵柄部53及び遮蔽部55が除去される。この絵柄部53及び遮蔽部55が除去された部分が透過部57となる。そして、この透過部57は、メッシュ部材70の線部71に融着したヒートシール層92によって絵柄部残渣53a及び遮蔽部残渣55aが除去されていることから、絵柄部残渣53a及び遮蔽部残渣55aの残留が抑制されたものとなっている。
また、転写基材部511上の絵柄部53及び遮蔽部55は、透過部57に近づくほど盛り上がった状態となっている。これは、メッシュ部材70の線部71に対向する領域から除去された絵柄部53及び遮蔽部55の多くが、メッシュ部材70の開口部72に対向する領域に移動しているためである。一例として、絵柄部53及び遮蔽部55の厚みは、ヒートシール層92を含めて、透過部57から離れた箇所では合計5μm程度であるのに対し、透過部57に接する箇所では合計10μm〜15μm程度となる。
このような工程を、転写基材部511、絵柄部53、遮蔽部55及びヒートシール層92の組成、メッシュ部材70の構成、加工温度、メッシュ部材70を転写基材部511に押しつける力、メッシュ部材70を転写基材部511に押しつける速度(加工速度)などを適切に選択して実施する。これにより、メッシュ部材70の線部71に対向する領域の絵柄部53及び遮蔽部55を、メッシュ部材70の開口部の領域に移動させるとともに、絵柄部残渣53a及び遮蔽部残渣55aをメッシュ部材70の線部71に融着したヒートシール層92に接着させて、転写基材部511の表面におけるメッシュ部材70の線部71に対向する領域から、絵柄部53及び遮蔽部55を除去することができる。
このような工程における条件としては、例えば、転写基材部511にポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニルサルファイド、ポリイミドなどを使用し、絵柄部53及び遮蔽部55にアクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの混合物、ポリエステル系材料などを使用し、ヒートシール層92にポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂などを使用し、メッシュ部材70として、線部71の太さが60μm、開口部の幅が130μmのポリエステル製のものを使用し、加工温度を200℃とし、メッシュ部材70を転写基材部511に押しつける力を3MPaとし、加工速度を1m/分とすることが考えられる。
また、この工程では、メッシュ部材70を転写基材部511に押しつける力を変えることにより、形成される透過部57の大きさ(つまり、加飾シート50の法線方向から観測したそれぞれの透過部57の大きさ)を変えることができるようになっている。具体的には、メッシュ部材70を転写基材部511に押しつける力を大きくすると大きな透過部57が形成され、メッシュ部材70を転写基材部511に押しつける力を小さくすると小さな透過部57が形成される。
第3の実施形態の加飾シート50は、さらに、転写基材部511上の絵柄部53及び遮蔽部55を、より成形性に優れた材料により構成された被転写基材部512に転写する工程を経て製造され得る。この工程は、加飾シート50をより成形性が求められる用途に使用できるようにするためのものである。
図16Aから図16Dは、第3の実施形態の加飾シート50の絵柄部53及び遮蔽部55の転写処理の工程を示す概念断面図である。
この絵柄部53及び遮蔽部55の転写処理の工程では、まず、転写基材部511よりも柔らかく伸び率が高いなどの成形性に優れた透明なフィルム状の部材である被転写基材部512を用意する。この被転写基材部512の材料として、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を好ましく挙げることができ、これらのうち1種又は2種以上を組み合せて用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン樹脂が好ましい。被転写基材部512に用いられる材料としては、これらの樹脂のうち、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリプロピレン樹脂を含むことが特に好ましく、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体を含むことが最も好ましい。
次に、図16Aに示すように、転写基材部511が軟化せず又は軟化の程度が小さく、絵柄部53、遮蔽部55及び被転写基材部512が軟化し、ヒートシール層92が接着性を有するようになる温度環境の下において、転写基材部511上の絵柄部53、遮蔽部55及びヒートシール層92を被転写基材部512に所定の圧力で所定の時間押しつける。
次に、図16Bに示すように、転写基材部511を被転写基材部512から引き離す。このとき、被転写基材部512とヒートシール層92との間の接着力が、転写基材部511と絵柄部53との間の接着力よりも大きくなることから、転写基材部511上の絵柄部53、遮蔽部55及びヒートシール層92が、被転写基材部512上に転写される。
このとき、転写基材部511上の絵柄部53、遮蔽部55及びヒートシール層92が、そのまま被転写基材部512上に転写されるため、被転写基材部512上の絵柄部53及び遮蔽部55は、転写前と同様、透過部57に近づくほど盛り上がった状態となる。この盛り上がりの程度は、前述の転写処理の前と同じである。
このように、絵柄部53及び遮蔽部55と透過部57との段差は、10μm〜15μm程度となっており、従来の加飾シートよりも相当程度大きくなっている。そのため、この状態の加飾シート50は、第1及び第2の実施形態の加飾シート50と同様、他の部材との密着性が向上したものとなっている。
次に、図16C及び図16Dに示すように、被転写基材部512の絵柄部53及び遮蔽部55が形成されている側の面に、絵柄部53及び遮蔽部55を保護する表面保護層581を形成する。この表面保護層581は、被転写基材部512の絵柄部53及び遮蔽部55が形成されている側の面に、透明な樹脂で構成されたフィルム状の部材を熱ラミネートすることにより、形成される。
表面保護層581は、前述の絵柄部53及び遮蔽部55と透過部57との大きな段差によって、被転写基材部512、絵柄部53及び遮蔽部55を含む積層体に高い密着力で接合し、絵柄部53及び遮蔽部55を安定して保護することができる。表面保護層581は、適切な成形性を有し、可視光を透過し、絵柄部53及び遮蔽部55を適切に保護し得るものであればいかなる材料で構成されてもよい。表面保護層581の材料として、例えば、アクリル系樹脂、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリブテン系、エチレン−プロピレン系共重合体樹脂、エチレン−プロピレン−ブテン系共重合体樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル変性ウレタン系樹脂、ポリエステル変性ウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体変性ウレタン系樹脂等のポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂等を挙げることができ、これらのうち1種又は2種以上を組合せて用いることができる。中でも、透明性に優れ、その結果、優れた塗装感も付与できるアクリル系樹脂が好ましい。該アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート系共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン系共重合体等のアクリル系樹脂(ただし、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートをいう)、フッ素等による変性アクリル系樹脂を1種又は2種以上の混合物として、単層又は2層以上の積層体のシートとして用いる。表面保護層581としては、上記の樹脂からなる市販の樹脂フィルムを用いることもできるし、上記の樹脂を用いて公知の方法によりフィルムを成形して用いることもできる。
以上の工程の結果、図14に示す形状及び配列の透過部57を有する加飾シート50が製造される。
次に、本発明の第4の実施形態の加飾シート50について説明する。
第4の実施形態の加飾シート50は、透過部57の形成方法、形状及び配置を除き、第3の実施形態の加飾シート50と同じである。
第4の実施形態の加飾シート50の法線方向から観察した透過部57の形状及び配置は、図6に示す第2の実施形態と同じであり、円形の透過部57が正方格子状に配置されている。なお、透過部57の形状及び配置は、第2の実施形態と同様、円形の透過部57が正方格子状に配置されたものに限定されない。
第4の実施形態の加飾シート50の透過部57の形成方法を説明する。
図17A、図17B及び図17Cは、第4の実施形態の加飾シート50の透過部57の形成方法を示す概念断面図である。図18は、第4の実施形態の加飾シート50の透過部57の形成に用いる押圧部材80のパターンを示す拡大正面図である。
まず、図17Aに示すように、透明なシート状の転写基材部511の表面に印刷などにより絵柄部53、遮蔽部55及びヒートシール層92を形成する。転写基材部511は、第1の実施形態の加飾シート50の基材部51よりも硬い材料により構成されており、第3の実施形態の転写基材部511と同じものである。一例として、絵柄部53及び遮蔽部55の厚さは、合計5μmであり、ヒートシール層の厚さは、1μmである。
次に、転写基材部511が軟化せず又は軟化の程度が小さく、絵柄部53及び遮蔽部55が軟化し、ヒートシール層92が接着性を有するようになる温度環境の下において、複数の凹部80aを有する押圧部材80を絵柄部53、遮蔽部55及びヒートシール層92が形成された転写基材部511に押しつける。押圧部材80は、表面に凹部80aと凸部80bとを有したシート状の部材(板)であり、凹部80a及び凸部80bの形状及び配置を除き、第2の実施形態の押圧部材80と同じ構成を有するものである。
図17Bに示すように、転写基材部511上に絵柄部53、遮蔽部55及びヒートシール層92を形成してなる積層体に対して絵柄部53、遮蔽部55及びヒートシール層92の側から押圧部材80が押しつけられると、押圧部材80の凸部80bと対向する領域の絵柄部53及び遮蔽部55は、押圧部材80の凸部80bと対向する領域から押し出され、押圧部材80の凹部80aの領域に移動することになる。すなわち、押圧部材80の凸部80bと対向する領域にある絵柄部53及び遮蔽部55は、転写基材部511が軟化していないか軟化の程度が小さいことから、転写基材部511内に押し込まれることなく、転写基材部511の面に沿って(転写基材部511のシート面に沿って)移動する。これにより、押圧部材80の凸部80bと対向する領域にあった絵柄部53及び遮蔽部55は、押圧部材80の凸部80bと対向する領域から押し出され、押圧部材80の凹部80aの領域に移動することになる。このようにして、転写基材部511の表面における押圧部材80の凸部80bに対向する領域から絵柄部53及び遮蔽部55が除去される。
また、押圧部材80の凸部80bと対向する領域にあるヒートシール層92は、その一部が押圧部材80の凸部80bの表面に融着し、その他の部分は、絵柄部53及び遮蔽部55と同様、押圧部材80の凸部80bと対向する領域から押し出され、押圧部材80の凹部80aの領域に移動することになる。この押圧部材80は、図18に示すパターンを有している。
次に、図17Cに示すように、押圧部材80を、転写基材部511、絵柄部53、遮蔽部55及びヒートシール層92から離間させる。
このとき、絵柄部残渣53a及び遮蔽部残渣55aが、押圧部材80の凸部80bに融着したヒートシール層92に接着されて、転写基材部511の表面から取り除かれることになる。この絵柄部残渣53a及び遮蔽部残渣55aは、押圧部材80の凸部80bに対向する領域の絵柄部53及び遮蔽部55のうち押圧部材80の凹部80aの領域に移動することのできなかった絵柄部53及び遮蔽部55の残渣である。
このように、転写基材部511の表面の押圧部材80の凸部80bに対向する領域から絵柄部53及び遮蔽部55が除去される。この絵柄部53及び遮蔽部55が除去された部分が透過部57となる。また、転写基材部511上の絵柄部53及び遮蔽部55は、透過部57に近づくほど盛り上がった状態となっている。これは、押圧部材80の凸部80bに対向する領域から除去された絵柄部53及び遮蔽部55の多くが、押圧部材80の凹部80aに対向する領域に移動しているためである。一例として、絵柄部53及び遮蔽部55の厚みは、ヒートシール層92を含め、透過部57から離れた箇所では合計5μm程度であるのに対し、透過部57に接する箇所では合計10μm〜15μm程度となる。
このような工程を、転写基材部511、絵柄部53、遮蔽部55及びヒートシール層92の組成、押圧部材80の構成、加工温度、押圧部材80を転写基材部511に押しつける力、押圧部材80を転写基材部511に押しつける速度(加工速度)などを適切に選択して実施する。これにより、押圧部材80の凸部80bに対向する領域の絵柄部53及び遮蔽部55を、押圧部材80の開口部の領域に移動させるとともに、絵柄部残渣53a及び遮蔽部残渣55aを押圧部材80の凸部80bに融着したヒートシール層92接着させて、転写基材部511の表面における押圧部材80の凸部80bに対向する領域から、絵柄部53及び遮蔽部55を除去することができる。
このような工程における条件としては、例えば、転写基材部511にポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニルサルファイド、ポリイミドなどを使用し、絵柄部53及び遮蔽部55にアクリル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの混合物、ポリエステル系材料などを使用し、ヒートシール層92にポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂などを使用し、押圧部材80として、厚さ80μmの銅箔80で直径100μmの円状の凸部80bをピッチ200μmで配置したものを使用し、加工温度を200℃とし、押圧部材80を転写基材部511に押しつける力を3MPaとし、加工速度を1m/分とすることが考えられる。
第4の実施形態の加飾シート50は、第3の実施形態と同様、さらに、転写基材部511上の絵柄部53及び遮蔽部55を、より柔らかい材料により構成された被転写基材部512に転写する工程を経て製造される。
以上の工程の結果、押圧部材80の凸部80bと同じ形状及び配列の透過部57を有する加飾シート50が製造される。なお、図17に示す例の押圧部材80は、複数の凸部80bが分散されて配置されているが、本発明の押圧部材80は、複数の凹部80aが分散配置されたものであってもよい。
以上で説明した第3及び第4の実施形態の加飾シート50は、メッシュ部材70又は押圧部材80によって押される部分が透過部57となり、絵柄部53として残る部分がメッシュ部材70又は押圧部材80によって押されていないことから、第1及び第2の実施形態の加飾シート50と比較して、意匠性の劣化が抑制されたものとなっている。この効果は、特に、アルミ粉などの金属粉を有する絵柄部53においては、効果的に発揮される。
また、第3及び第4の実施形態の加飾シート50は、前述のとおり、その絵柄部53及び遮蔽部55が透過部57に近づくほど盛り上がった状態となっている。つまり、第3及び第4の実施形態の加飾シート50は、被転写基材部512と、被転写基材部512上に設けられた絵柄部53及び遮蔽部55と、絵柄部53及び遮蔽部55の非形成部である透過部57とを有し、絵柄部53及び遮蔽部55は、透過部57に近くなるほど厚くなっている。図示された例では、絵柄部53及び遮蔽部55の厚みが透過部57から離れるにつれて常に変化しているようにみえるが、絵柄部53及び遮蔽部55の厚みは、透過部57に近い領域においては変化しているが、透過部57から離れた領域では一定であってもよい。
このような加飾シート50は、被転写基材部512、絵柄部53及び遮蔽部55からなる積層体と他の部材との密着性が高いものとなっている。また、このような加飾シート50は、絵柄部53及び遮蔽部55の透過部57に接する部分の厚みが大きくなっていることから、透過部57を透過する光の視野角を抑えることができるものとなっている。そして、絵柄部53及び遮蔽部55の透過部57に接する部分の厚みは、透過部57を形成する工程における条件を変えることによって、ある程度制御することが可能である。そのため、第3及び第4の実施形態の加飾シート50は、透過部57を透過する光の視野角がある程度制御されたものとなっている。
また、第3及び第4の実施形態の加飾シート50は、被転写基材部512と絵柄部53及び遮蔽部55との間に、ヒートシール層92を有している。このヒートシール層92により、透過部57における絵柄部残渣53a及び遮蔽部残渣55aの残留が抑制されたものとなっているとともに、被転写基材部512と絵柄部53及び遮蔽部55との間の密着性がより高いものとなっている。
また、第3及び第4の実施形態の加飾シート50は、相対的に硬い材料により構成された転写基材部511上の絵柄部53及び遮蔽部55を、より成形性に優れた材料により構成された被転写基材部512上に転写する工程を経て製造される。これは、加飾シート50をより成形性に優れたものとするためである。しかし、成形性の要請が強くない用途に用いられる加飾シート50は、このような転写処理の工程を経たものでなくてもよい。つまり、成形性の要請が強くない用途に用いられる加飾シート50は、転写基材部511上に絵柄部53及び遮蔽部55を有するものであってもよい。成形性の要請が強くない用途としては、例えば、フラットな面に対して適用する場合などが考えられる。
この場合には、図15Cに示すような転写基材部511、絵柄部53及び遮蔽部55の積層体に対して、絵柄部53及び遮蔽部55が形成されている側から、絵柄部53及び遮蔽部55を保護するための樹脂フィルムなどを積層してもよい。このような樹脂フィルムとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明樹脂フィルムが好適である。
また、このような加飾シート50は、絵柄部53及び遮蔽部55の転写基材部511とは反対側にヒートシール層92を有するものとなっている。このヒートシール層92は、転写基材部511、絵柄部53及び遮蔽部55の積層体に対して、絵柄部53及び遮蔽部55を保護するための樹脂フィルムなどを積層するときに密着性を高めるものとなっている。
また、第3及び第4の実施形態の加飾シート50は、絵柄部53及び遮蔽部55とは別にヒートシール層92を有するものとなっている。しかし、遮蔽部55を加熱により接着性を有するようになる材料により構成することによって、遮蔽部55がヒートシール層92を兼ねるものとすることができる。このようなヒートシール層92を兼ねる遮蔽部55は、例えば、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体などの融点が80℃程度の樹脂などにより構成される。
また、第3及び第4の実施形態の加飾シート50は、ヒートシール層92を有さないものであってもよい。転写基材部511上の絵柄部53及び遮蔽部55を被転写基材部512に転写する際においても、通常、被転写基材部512と遮蔽部55との間の接着力が、転写基材部511と絵柄部53との間の接着力よりも大きくなることから、ヒートシール層92がなくても、転写基材部511上の絵柄部53及び遮蔽部55を、被転写基材部512上に転写することができる。
ただし、第3及び第4の実施形態の加飾シート50は、前述のとおり、ヒートシール層92により、透過部57における絵柄部残渣53a及び遮蔽部残渣55aの残留が抑制されたものとなっている。また、第3及び第4の実施形態の加飾シート50の製造方法は、ヒートシール層92により、転写基材部511上の絵柄部53及び遮蔽部55を被転写基材部512に転写することが容易なものとなっている。そのため、第3及び第4の実施形態の加飾シート50は、ヒートシール層92を有するものが好ましい。
また、第3及び第4の実施形態の加飾シート50の製造方法においては、例えば図15Aに示すように、転写基材部511の上に絵柄部53が形成され、その絵柄部53の上に遮蔽部55が形成されていた。しかし、本発明の加飾シート50の製造方法においては、転写基材部511の上に遮蔽部55が形成され、その遮蔽部55の上に絵柄部53が形成されるようにしてもよい。
また、第1及び第2の実施形態の加飾シート50は、遮蔽部55を有していなくてもよい。ただし、絵柄部53の意匠と表示装置40からの画像光とが混合して観察されることの抑制の観点から、加飾シート50は、遮蔽部55を有していることが好ましい。
次に、第1及び第2の実施形態の基材部51と第3及び第4の実施形態の転写基材部511との違いについて説明する。
前述のとおり、第3及び第4の実施形態の転写基材部511は、第1及び第2の実施形態の基材部51よりも硬い材料により構成されている。より具体的には、第1及び第2の実施形態の基材部51は、加飾シート50の透過部57を形成する際の温度環境の下において軟化する材料により構成されるのに対し、第3及び第4の実施形態の転写基材部511は、その温度環境の下において軟化しない又は軟化の程度が小さい材料により構成される。また、第1及び第2の実施形態における透過部57の形成では、基材部51と絵柄部53及び遮蔽部55とが軟化する温度環境の下でメッシュ部材70又は押圧部材80が押し付けられるのに対し、第3及び第4の実施形態における透過部57の形成では、転写基材部511が軟化せず又は軟化の程度が小さく、絵柄部53及び遮蔽部55が軟化する温度環境の下でメッシュ部材70又は押圧部材80が押し付けられる。
このような観点から、第1及び第2の実施形態の基材部51は、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などにより構成されるのが好ましい。また、第3及び第4の実施形態の転写基材部511は、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニルサルファイド、ポリイミドなどにより構成されるのが好ましい。
また、第3及び第4の実施形態の被転写基材部512は、転写基材部511上の絵柄部53及び遮蔽部55を適切に転写することができ、転写基材部511よりも成形性に優れた材料により構成される。このような観点から、第3及び第4の実施形態の被転写基材部512は、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体又はポリプロピレン樹脂などにより構成されるのが好ましい。
以上、第1から第4の実施形態の加飾シート50の製造方法は、簡易で低コストなものとなる。
なお、上述した実施形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施の形態において、図3に示すように、加飾シート50の全体に透過部57が形成されていた。しかしながら、図19に示すように、加飾シート50の透過部57は、表示装置40の表示面41に対面する領域のみに形成されていてもよい。表示装置40の表示面41に対面する領域のみに透過部57を形成することにより、加飾シートの製造コストをさらに抑えることが可能となる。
また、上述した実施の形態の表示装置10は、パネル部材30を有している。しかし、図20に示すように、本発明の加飾シート付き表示装置10は、パネル部材30を有しないものであってもよい。
本発明の加飾シート50、加飾シート付きパネル15、加飾シート付き表示装置20及びパネル付き表示装置10は、例えば自動車や鉄道等の車両、航空機、船舶及び宇宙船等の移動体の内装部材または外装部材に用いられる。具体的な一例として、本発明の加飾シート50、加飾シート付き表示装置20及びパネル付き表示装置10は、自動車のセンターコンソールや、ドアトリムに用いられる。あるいは、本発明の加飾シート50、加飾シート付き表示装置20及びパネル付き表示装置10は、建物の内装部材または外装部材、電子機器、家具や電化製品に組み込まれて用いられてもよい。