JP2020027733A - ナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナトリウムイオン二次電池用負極活物質として有用性の高い、微細なNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子を簡便に得ることができる製造方法を提供する。【解決手段】次の工程(I)〜(II):(I)ナトリウム化合物、チタン化合物、リン酸化合物及び水を混合して、25℃におけるpHが1〜5である混合液を調製する工程(II)得られた混合液を100℃以上の水熱反応に付した後、水熱反応生成物を洗浄し、次いで乾燥して粒子を得る工程を備える、ナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ナトリウムイオン二次電池の充放電容量を有効に高めることのできるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の製造方法に関する。
携帯電子機器、ハイブリッド自動車、電気自動車等に用いられる二次電池の開発が行われているなか、高い出力特性や良好なサイクル特性を示すことから、特にリチウムイオン二次電池が広く用いられている。その一方、リチウムイオン二次電池の原料として用いられるリチウムは、必ずしも資源として豊富に存在するとは言えず、また産地も限定的であることから、高価な原料となっている。そのため、こうしたリチウムに代わり、産地が偏在することなく豊富な資源であるナトリウムを用いたナトリウムイオン二次電池が注目されつつある。
ところが、ナトリウムはリチウムに比べ、標準電極電位は約0.3V高く、また2倍以上のイオン体積を有し、原子量も3倍以上大きいため、リチウムイオン二次電池の材料開発指針をそのままナトリウムイオン二次電池の材料開発に適用することは困難である。例えば、一般にリチウムイオン二次電池用負極活物質として用いられる黒鉛は、ナトリウムイオンを吸蔵放出させることができないため、ナトリウムイオン二次電池用負極活物質として活用するのは不可能である。
こうしたなか、ナトリウムイオン二次電池用の負極活物質として用い得る材料として、例えば、金属ナトリウムが知られているが、かかる金属ナトリウムは、融点が約98℃と低いうえに水と爆発的に反応するため、安全性に大きな課題を有している。また、ナトリウム合金であるNa−Pb合金も用い得る材料として知られているが、鉛によりもたらされるエネルギー密度の低下や毒性等の環境への負荷も懸念されることから、より有用な材料の実現が試みられている。
例えば、特許文献1には、NaSn2(PO43の結晶相を含有することを特徴とするナトリウムイオン二次電池用の負極活物質が開示されており、また特許文献2には、結晶性のNa3-x2(PO43(Mは、V、Ti、Feから選択される1種又は2種以上の金属元素であり、0≦x≦3)を主要成分とするナノ構造体が開示されている。さらに、非特許文献1には、炭素で被覆されたNaTi2(PO43は、可逆容量が高くレート特性に優れることが示され、また非特許文献2には、Na1.3Al0.3Zr1.7(PO43が固体電解質として優れた電気化学特性を有することが報告されている。
これら、NaSn2(PO43、Na3-x2(PO43、NaTi2(PO43、Na1.3Al0.3Zr1.7(PO43は、共にNASICON型の結晶構造を有しており、これらNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物は、ナトリウムイオン二次電池用負極活物質として、大いに期待される材料である。
特開2014−35986号公報 特開2015−43283号公報
しかしながら、こうしたNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物を製造するにあたり、上記特許文献1では固相法を用いているものの、かかる方法では反応生成物の微細化を図る上で粉砕処理を施さざるを得ず、得られる粒子がブロードな粒度分布を有することとなるため、充放電特性の低下を招くおそれがある。また上記特許文献2では、エレクトロスピニング法(電界紡糸法)を用いているものの、かかる方法では、シリンジ内の原料であるポリマー溶液に高電圧を与えて帯電させ、静電爆発を起こすという煩雑な工程にならざるを得ない上、得られる一次元ナノ構造体を二次電池用材料として用いるには、特許文献1と同様、さらに粉砕処理を施す必要がある。
一方、非特許文献1及び2では、ともにクエン酸塩法(Pechini法)を用いて、粒径30nm〜100nm程度の反応生成物を得ているが、かかる方法であっても、複数の金属イオンが溶解した混合溶液に、クエン酸等のキレートとエチレングリコール等のポリアルコールとのポリエステル化反応により前駆体を生成させ、これを熱処理して粉末を得るという煩雑な工程を余儀なくされる。また工業的規模での実施には、予め多量のキレートやポリアルコールを準備する必要もある。
こうしたことから、有用性の高いNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子を得る手段として、より簡便で低コストの製造方法の実現が強く望まれる状況にある。
したがって、本発明の課題は、ナトリウムイオン二次電池用負極活物質として有用性の高い、微細なNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子を簡便に得ることができる製造方法を提供することにある。
そこで本発明者らは、種々検討したところ、水熱反応を介する、いわゆる水熱法を用いた製造方法により、微小かつ高結晶度であるNASICON型結晶構造を有する粒子、すなわちNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子からなるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子が簡便に得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、次の工程(I)〜(II):
(I)ナトリウム化合物、チタン化合物、リン酸化合物及び水を混合して、25℃におけるpHが1〜5である混合液を調製する工程
(II)得られた混合液を100℃以上の水熱反応に付した後、水熱反応生成物を洗浄し、次いで乾燥して粒子を得る工程
を備える、ナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記工程(I)〜(II)に次いで、さらに
(III)得られた粒子の表面に炭素を担持させる工程
を備える、ナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の製造方法であってもよい。
本発明の製造方法によれば、適度な粒径を有するNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子からなるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子を粉砕処理を施すことなく簡便に得ることができ、これを用いることにより、充放電特性に優れたナトリウムイオン二次電池を実現することができる。
実施例1で得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子を示すSEM像である。 実施例1で得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子のX線回折パターンである。 比較例1で得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子を示すSEM像である。 比較例1で得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子のX線回折パターンである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の製造方法は、次の工程(I)〜(II):
(I)ナトリウム化合物、チタン化合物、リン酸化合物及び水を混合して、25℃におけるpHが1〜5である混合液を調製する工程
(II)得られた混合液を100℃以上の水熱反応に付した後、水熱反応生成物を洗浄し、次いで乾燥して粒子を得る工程
を備える。
本発明の製造方法により得られるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子は、NASICON型結晶構造を有する粒子、すなわちNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子からなり、具体的には、下記式(X):
Na1+aTibc(PO43 ・・・(X)
(式(X)中、MはAl、Zr、Sc、In、Fe、Cr、Ga、Y、La、Zn、Si、Mn、Ge、Nd、Sr及びVから選ばれる1種又は2種以上を示し、a、b及びcは、0≦a≦2、1≦b≦2、0≦c≦1、a+4b+(Mの価数)×c=8を満たす数を示す。)
で表される。
上記式(X)で表されるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子は、少なくともナトリウム及びチタンを含み、これらナトリウム及びチタンとは異なる原子である金属(M)をドープ金属として含んでいてもよい。このように、金属(M)を含み得る上記式(X)で表されるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子は、水熱反応を経る本発明の製造方法により得られる化合物からなる粒子であり、かかる金属(M)が介在し得るナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子を負極活物質として用いることにより、高い放電容量を示すナトリウムイオン二次電池を実現することが可能となる。
式(X)中、MはAl、Zr、Sc、In、Fe、Cr、Ga、Y、La、Zn、Si、Mn、Ge、Nd、Sr及びVから選ばれる1種又は2種以上を示し、好ましくはAl、Zr、Mn及びGeから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはAl又はZrである。aは、0≦a≦2であって、好ましくは0≦a≦1である。bは、1≦b≦2であって、好ましくは1.5≦b≦2である。cは、0≦c≦1であって、好ましくは0<c≦0.5である。そして、これらa、b及びcは、a+4b+(Mの価数)×c=8を満たす。上記式(X)で表されるNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物としては、具体的には、例えば、NaTi2(PO43、Na1.3Al0.3Ti1.7(PO43、Na1.5Al0.5Ti1.5(PO43、Na1.3Al0.3TiZr0.7(PO43等が挙げられる。
本発明の製造方法が備える工程(I)は、ナトリウム化合物、チタン化合物、リン酸化合物及び水を混合して、25℃におけるpHが1〜5である混合液(A)を調製する工程である。このように、ナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子を得るためのナトリウム化合物、チタン化合物、リン酸化合物及び水から得られる上記混合液(A)を、後述する工程(II)において用いることにより、得られるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の微細化を有効に図ることができる。
用い得るナトリウム化合物としては、水酸化物、塩化物、炭酸塩、硫酸塩、及び有機酸塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム等が挙げられる。なかでも、反応性を高めつつ、得られる混合液(A)のpH調整をも容易に行う観点から、水酸化ナトリウムが好ましい。
用い得るチタン化合物としては、例えば、チタンの硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、酸化物、水酸化物及びハロゲン化物から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。具体的には、例えば、硫酸チタニル、硫酸チタン、酢酸チタン、塩化チタン等が挙げられる。なかでも、反応性を高める観点から、硫酸チタニル又は硫酸チタンが好ましい。
用い得るリン酸化合物としては、オルトリン酸(H3PO4、リン酸)、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等が挙げられる。なかでも、得られる混合液(A)のpHを制御するためのpH調整剤としても作用させ得る観点から、リン酸を用いるのが好ましく、70質量%〜90質量%濃度の水溶液として用いるのが好ましい。
混合液(A)を調製するにあたり、上記ナトリウム化合物、チタン化合物及びリン酸化合物以外の化合物として、さらに金属(M)化合物を混合し、得られるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子に金属(M)をドープ金属として含ませてもよい。ここで、Mは、上記式(X)中のMと同義であり、Al、Zr、Sc、In、Fe、Cr、Ga、Y、La、Zn、Si、Mn、Ge、Nd、Sr及びVから選ばれる1種又は2種以上を示す。かかる金属(M)化合物としては、ハロゲン化物、硫酸塩、有機酸塩、水酸化物、塩化物、硫化物、酸化物、又はこれらの水和物等が挙げられる。なかでも、混合液(A)中における反応を効率的に進行させる観点から、硫酸塩及び有機酸塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
工程(I)では、具体的には、チタン化合物及び水を含有し、必要に応じてさらに金属(M)化合物を含有する混合液(a−1)と、ナトリウム化合物、リン酸化合物及び水を含有する混合液(a−2)を各々調製した後、これらの混合液を混合して混合液(A)を調製するのが好ましい。これにより、得られる混合液(A)中には、化学組成の均質性が高く充分に微細化されてなる反応生成物、すなわちナトリウムリン酸塩及び酸化チタン水和物との混合物が含有されることとなり、次工程(II)において水熱反応生成物として得られるNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子の微細化を効果的に図ることができる。
混合液(a−1)は、チタン化合物と必要に応じて金属(M)化合物を水に混合することにより調製する。かかる混合液(a−1)におけるチタン化合物及び金属(M)化合物の合計含有量は、混合液(a−2)との混合を効果的に行うために粘性を下げる観点から、混合液(a−1)中の水100質量部に対し、好ましくは1質量部〜50質量部であり、より好ましくは5質量部〜30質量部であり、さらに好ましくは5質量部〜20質量部である。
また、混合液(a−1)を調製するにあたり、チタン化合物と金属(M)化合物の混合割合は、チタン量と金属(M)量のモル比(Ti:M)で、好ましくは100:1〜1:1であり、より好ましくは50:1〜2:1であり、さらに好ましくは19:1〜3:1である。
混合液(a−1)は、各成分をより均一に分散させる観点から、混合液(a−2)と混合する前に、予め撹拌してもよい。混合液(a−1)を撹拌する時間は、好ましくは5分間〜3時間であり、より好ましくは10分間〜2時間であり、さらに好ましくは15分間〜90分間である。撹拌速度は、反応容器内壁面での混合液(a−1)の流速に換算して、好ましくは10cm/秒〜200cm/秒であり、より好ましくは15cm/秒〜150cm/秒、さらに好ましくは20cm/秒〜100cm/秒である。
混合液(a−2)は、ナトリウム化合物、リン酸化合物及び水を混合することにより調製する。かかる混合液(a−2)におけるナトリウム化合物の含有量は、混合液(a−1)との混合を効果的に行うために粘性を下げる観点から、混合液(a−2)中の水100質量部に対し、好ましくは1質量部〜50質量部であり、より好ましくは5質量部〜30質量部であり、さらに好ましくは5質量部〜20質量部である。
また、混合液(a−2)におけるリン酸化合物の含有量は、混合液(a−2)中の水100質量部に対し、好ましくは3質量部〜20質量部であり、より好ましくは5質量部〜15質量部であり、さらに好ましくは7質量部〜15質量部である。
混合液(a−2)の25℃におけるpHは、得られる混合液(A)の25℃におけるpHを1〜5に調整する観点から、好ましくは3〜10であり、より好ましくは4〜10であり、さらに好ましくは5〜10である。混合液(a−2)のpHが上記範囲になるように、適宜水酸化カリウムや水酸化アンモニウム等の、上記成分以外の化合物であるpH調整剤を添加してもよい。
混合液(a−2)は、各成分をより均一に溶解又は分散させる観点から、混合液(a−1)と混合する前に、予め撹拌してもよい。混合液(a−2)を撹拌する時間は、好ましくは1分間〜30分間であり、より好ましくは2分間〜20分間であり、さらに好ましくは2分間〜10分間である。また撹拌速度は、反応容器内壁面での混合液(a−2)の流速に換算して、好ましくは10cm/秒〜200cm/秒であり、より好ましくは15cm/秒〜150cm/秒であり、さらに好ましくは20cm/秒〜100cm/秒である。
工程(I)では、上記混合液(a−1)と上記混合液(a−2)とを混合して、混合液(A)とする。混合液(a−1)と混合液(a−2)の混合方法は、特に限定されるものではないが、撹拌している混合液(a−1)に混合液(a−2)を滴下するのが好ましい。このように、チタン化合物及び必要に応じてさらに金属(M)化合物を含む混合液(a−1)に、ナトリウム化合物及びリン酸化合物を含む混合液(a−2)を滴下して少量ずつ加えることにより、混合液(A)の均質性を一層高めることができる。
この際、混合液(a−2)の混合液(a−1)への滴下速度は、10質量部の混合液(a−1)に対し、好ましくは0.1質量部/分〜0.4質量部/分であり、より好ましくは0.15質量部/分〜0.4質量部/分であり、さらに好ましくは0.2質量部/分〜0.35質量部/分である。混合液(a−2)を滴下する際の混合液(a−1)の撹拌速度は、反応容器内壁面での混合液(a−1)の流速に換算して、好ましくは10cm/秒〜200cm/秒であり、より好ましくは15cm/秒〜150cm/秒であり、さらに好ましくは20cm/秒〜100cm/秒である。
混合液(A)を得るにあたり、混合する混合液(a−1)と混合液(a−2)との質量比((a−1):(a−2))は、好ましくは20:1〜1:4であり、より好ましくは10:1〜1:3であり、さらに好ましくは5:1〜2:3である。
混合液(a−1)と混合液(a−2)を混合する際の混合液(a−1)の温度は、好ましくは10℃〜80℃であり、より好ましくは15℃〜70℃であり、さらに好ましくは20℃〜60℃である。また混合液(a−2)の温度は、好ましくは10℃〜80℃であり、より好ましくは15℃〜70℃であり、さらに好ましくは20℃〜60℃である。
混合液(a−1)と混合液(a−2)を混合する時間は、好ましくは10分間〜24時間であり、より好ましくは15分間〜18時間であり、さらに好ましくは30分間〜12時間である。またこの際、各成分をより均一に溶解又は分散させ、反応生成物の化学組成の均質性を高める観点から、撹拌してもよい。撹拌速度は、反応容器内壁面での混合液(A)の流速に換算して、好ましくは10cm/秒〜200cm/秒であり、より好ましくは15cm/秒〜150cm/秒、さらに好ましくは20cm/秒〜100cm/秒である。
混合液(a−1)と混合液(a−2)を混合することによって、ナトリウムリン酸塩及び酸化チタン水和物を含有する混合液(A)が得られる。酸化チタン水和物は、平均粒径が100nm以下の微粒子であり、後述する工程(II)において水熱反応に付す工程を経ることにより、結晶度の高いNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子を良好に生成する。かかる混合液(A)中におけるナトリウムリン酸塩及び酸化チタン水和物の合計含有量は、混合液(A)中に、好ましくは0.5質量%〜40質量%であり、より好ましくは1質量%〜35質量%であり、さらに好ましくは1.5質量%〜30質量%である。また、混合液(A)の25℃におけるpHは、1〜5であって、好ましくは2.5〜5であり、より好ましくは3〜5である。かかる範囲内となるよう混合液(A)のpHを調整するにあたり、必要に応じて混合液(a−2)のpHを調整する。
なお、混合液(A)中において、これらのナトリウムリン酸塩及び酸化チタン水和物が生成され、混合物として含有されてなることは、蒸発乾固させた混合液(A)についてX線回折法によって確認することができる。
工程(II)は、工程(I)で得られた混合液(A)を100℃以上の水熱反応に付した後、水熱反応生成物を洗浄し、次いで乾燥する工程である。かかる工程(II)における水熱反応は、混合液(A)を充填した反応容器を圧力容器等に格納して加圧下で行う。得られる水熱反応生成物は、生成されたNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子からなる。
なお、工程(II)に移行する前に、予め工程(I)で得られた混合液(A)を撹拌する場合、かかる撹拌は反応容器内で行えばよく、次いで反応容器を圧力容器等に格納すればよい。かかる撹拌は、NASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子を効率的に生成させる観点から、圧力容器等に格納された反応容器内において工程(II)における水熱反応が完了するまで継続するのが好ましい。この際における混合液(A)の撹拌速度は、反応容器内壁面での混合液(A)の流速に換算して、好ましくは15cm/秒以上であり、より好ましくは15cm/秒〜80cm/秒であり、さらに好ましくは15cm/秒〜70cm/秒である。撹拌方法としては、この撹拌速度が実現可能であれば特に限定されないが、例えば撹拌羽根を用いる方法、又は特開2014−118328号公報に記載のポンプを使用して合成容器中のスラリーを撹拌する方法等を好適に使用することができる。
さらに、上記撹拌方法を用いる際に、混合液(A)全体において均一に水熱反応を生じさせる観点から、反応容器内に邪魔板を設置したり、撹拌翼の回転方向やポンプの送液方向を間欠的に逆転したりすることによって、混合液(A)の流れに擾乱を生じさせるのが有効である。
水熱反応に付す際の混合液(A)の温度(反応温度)は、100℃以上であればよく、好ましくは130℃〜250℃であり、より好ましくは140℃〜230℃である。この際の圧力及び反応時間は、反応温度が100℃以上の場合は0.3MPa以上で10分間以上が好ましく、130℃〜250℃で反応を行う場合は0.3MPa〜2.0MPaで10分間〜24時間が好ましく、140℃〜230℃で反応を行う場合は0.4MPa〜1.8MPaで10分間〜16時間が好ましい。
また、水熱反応における反応容器内の雰囲気は限定されるものではないが、雰囲気の調整の容易性の観点から、空気下又は水蒸気下が好ましい。
次いで、水熱反応後の混合液(A)を固液分離することにより、水熱反応生成物を回収すればよい。固液分離に用いる装置としては、例えば、フィルタープレス機、遠心濾過機等が挙げられる。なかでも、効率的に水熱反応生成物を得る観点から、フィルタープレス機を用いるのが好ましい。
水熱反応後の混合液(A)から回収された水熱反応生成物は、原料由来のアニオン成分等の水溶性不純物を効果的に除去する観点から、洗浄する。かかる洗浄には水を用いればよく、その水の量は、水熱反応生成物の乾燥質量1質量部に対し、好ましくは5質量部〜50質量部であり、より好ましくは7質量部〜50質量部であり、さらに好ましくは9質量部〜50質量部である。かかる水の温度は、水溶性不純物を効果的に除去する観点から、好ましくは5℃〜70℃であり、より好ましくは20℃〜70℃である。
洗浄した水熱反応生成物は、次に乾燥する。乾燥手段としては、噴霧乾燥、恒温乾燥、流動床乾燥、外熱式乾燥、凍結乾燥、真空乾燥等が挙げられるが、なかでも、簡便性の観点から、恒温乾燥又は噴霧乾燥とするのが好ましい。
乾燥後に得られるNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)に基づく粒度分布におけるD50値で、好ましくは5nm〜150nmであり、より好ましくは5nm〜100nmであり、さらに好ましくは5nm〜80nmである。ここで、走査型電子顕微鏡(SEM)におけるD50値とは、100個のNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子の一次粒子径を測定して平均した値であり、D50値は累積50%での粒径(メジアン径)を意味する。
工程(II)で得られるNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子は、導電性を有するので、そのままナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子としてもよいが、より良好な導電性を付与するために、さらに次の工程(III)を経ることにより、かかる粒子の表面に炭素を担持させてナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子として用いてもよい。
すなわち、工程(III)は、工程(II)で得られた粒子の表面に炭素を担持する工程である。かかる工程(III)において、工程(II)で得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の表面に炭素を担持させるには、ナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子に炭素源を添加すればよい。
用い得る炭素源としては、例えば、グルコース、フルクトース、スクロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、サッカロース、デンプン、デキストリン、クエン酸等の水溶性炭素材料;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックが挙げられる。なかでも、水溶性炭素材料については、溶媒への溶解性及び分散性を高めて炭素材料として効果的に機能させる観点から、グルコース、フルクトース、スクロース、デキストリン、クエン酸が好ましく、グルコース及びクエン酸がより好ましい。カーボンブラックについては、製造されるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子のタップ密度を効果的に高める観点から、ケッチェンブラックが好ましい。なお、水溶性炭素材料とは、25℃の水100gに、水溶性炭素材料の炭素原子換算量で0.4g以上、好ましくは1.0g以上溶解する有機化合物を意味する。
工程(III)におけるこれら炭素源(水溶性炭素材料又はカーボンブラック)は、ナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子100質量%中における炭素の担持量が、炭素原子換算量で、好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.2〜10質量%であり、さらに好ましくは0.3〜8質量%となる量で添加すればよい。例えば、炭素源の添加量は、工程(II)で得られるNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子100質量部に対し、炭素原子換算量で、好ましくは0.1〜17.7質量部であり、より好ましくは0.2〜11.1質量部であり、さらに好ましくは0.3〜8.7質量部である。
工程(III)におけるこれら炭素源として水溶性炭素材料を選択した場合、かかる工程(III)では、工程(II)で得られたNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子に水溶性炭素材料及び水を添加した後、噴霧乾燥してNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子と水溶性炭素材料の混合物(B)を得る。
次に、得られた混合物(B)を焼成する。かかる焼成は、還元雰囲気又は不活性雰囲気中で行うのが好ましい。焼成温度は、水溶性炭素材料由来の炭素をNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子の表面に有効に担持させる観点、及びNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子の結晶性を向上させる観点から、好ましくは500℃〜800℃であり、より好ましくは600℃〜770℃であり、さらに好ましくは650℃〜750℃である。また、焼成時間は、好ましくは10分間〜3時間、より好ましくは30分間〜1.5時間とするのがよい。
また、工程(III)における炭素源としてカーボンブラックを選択した場合、かかる工程(III)では、NASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子の表面上で炭素を緻密かつ均一に分散させ、これを有効に担持させる観点から、工程(II)で得られたNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子にカーボンブラックを添加した後、これらを圧縮力及びせん断力を付加しながら混合して複合体とするのがよい。圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する処理は、インペラを備える密閉容器で行うのが好ましく、NASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子にカーボンブラックを添加するにあたっては、これらをかかる容器に投入すればよい。かかるインペラの周速度は、得られるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の導電性を有効に高めて電池の放電容量の向上を図る観点から、好ましくは25m/s〜40m/sであり、より好ましくは27m/s〜40m/sである。また、混合時間は、好ましくは5分間〜90分間であり、より好ましくは10分間〜80分間である。なお、インペラの周速度とは、回転式攪拌翼(インペラ)の最外端部の速度を意味し、下記式(1)により表すことができ、また圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する処理を行う時間は、インペラの周速度が遅いほど長くなるように、インペラの周速度によっても変動し得る。
インペラの周速度(m/s)=
インペラの半径(m)×2×π×回転数(rpm)÷60・・・(1)
工程(III)において、上記圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する処理を行う際の処理時間及び/又はインペラの周速度は、容器に投入するNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子とカーボンブラックの合計量に応じて適宜調整する必要がある。そして、容器を稼動させることにより、インペラと容器内壁との間でこれら混合物に圧縮力及びせん断力が付加されつつ、これを混合する処理を行うことが可能となり、NASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子表面上で炭素を緻密かつ均一に分散させることができる。例えば、上記混合する処理を、周速度25m/s〜40m/sで回転するインペラを備える密閉容器内で6分間〜90分間行う場合、容器に投入するNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子とカーボンブラックの合計量は、有効容器(インペラを備える密閉容器のうち、複合体を収容可能な部位に相当する容器)1cm3当たり、好ましくは0.1g〜0.7gであり、より好ましくは0.15g〜0.4gである。
このような圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する処理を容易に行うことができる密閉容器を備える装置としては、高速せん断ミル、ブレード型混練機等が挙げられ、具体的には、例えば、微粒子複合化装置 ノビルタ(ホソカワミクロン社製)を好適に用いることができる。
本発明の製造方法により得られるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の平均粒径は、好ましくは5nm〜150nmであり、より好ましくは5nm〜100nmであり、さらに好ましくは5nm〜80nmである。さらに、その平均結晶子径は、好ましくは5nm〜150nmであり、より好ましくは5nm〜100nmであり、さらに好ましくは5nm〜80nmである。
ここで、ナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子を構成するNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子の平均結晶子径は、Cu−kα線による回折角2θの範囲が10°〜80°のX線回折プロファイルについて、シェラーの式を適用して求めた値を意味する。
また、得られるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子のBET比表面積は、充放電特性に優れた二次電池を得る観点から、好ましくは10m2/g以上であり、より好ましくは15m2/g以上であり、さらに好ましくは20m2/g以上である。
このように、本発明の製造方法は、平均粒径が有効に微細化され、かつ結晶度の高いNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子からなるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子を得ることができる。したがって、優れた充放電特性を発現し得るナトリウムイオン二次電池を、簡便に製造することができる。
本発明の製造方法により得られるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子を適宜適用できる二次電池としては、正極、負極、セパレータ及び電解液、又は正極、負極及び固体電解質を必須構成とするものであれば、特に限定されない。
ここで、正極活物質層については、ナトリウムイオンを充電時には放出し、かつ放電時には吸蔵することができれば、その材料構成は特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。例えば、原料化合物を水熱反応させることにより得られる各種ポリアニオン型正極活物質からなる正極活物質層を好適に用いることができる。
また、本発明で得られるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子を用いて二次電池を製造する方法としては、特に限定されず、公知の方法を使用できる。
上記の構成を有する二次電池の形状としては、特に制限を受けるものではなく、コイン型、円筒型,角型等種々の形状や、ラミネート外装体に封入した不定形状であってもよい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。
[実施例1]
水40mLにTiOSO4・1.5H2O 3.74gを混合して、混合液(a−1)を得た。また、水40mLにNaOH3.6g及び85質量%のH3PO4 3.46gを混合して混合液(a−2)を得た。25℃における混合液(a−2)のpHは7.0であった。
次いで、得られた混合液(a−1)を25℃の温度に保持しながら、撹拌速度200rpmで60分間撹拌した後、そのまま撹拌を継続している混合液(a−1)に、撹拌速度200rpmで5分間撹拌した混合液(a−2)を50mL/分で全量滴下して混合した後、さらに撹拌速度200rpmで30分間撹拌して混合液(A)を得た。かかる混合液(A)の25℃におけるpHは4.0であった。
得られた混合液(A)をオートクレーブに投入し、140℃、0.3MPaでの水熱反応を1時間行った。生成した固形分を吸引ろ過し、次いで得られた固形分を固形分1質量部に対して12質量部の水で洗浄した後、80℃で12時間恒温乾燥してNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物粒子からなるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子(X1−1)を得た。得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子(X1−1)1.0g、クエン酸 0.5g及び水5mLを混合して乾燥した後、窒素雰囲気下700℃で1時間焼成して、粒子表面に炭素が担持してなるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子(X2−1)を得た(炭素の担持量:1.5質量%)。得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子(X2−1)は、NaTi2(PO43単相であり、平均粒径は70nm、平均結晶子径は70nm、BET比表面積は30m2/gであった。得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子(X2−1)のSEM写真を図1に、X線回折パターンを図2に示す。
[実施例2]
TiOSO4・1.5H2Oの添加量を3.37gとし、Al2(SO4)3 ・14−18H2O 0.63gを追加して添加した以外、実施例1と同様にして、粒子表面に炭素が担持してなるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子(X2−2)を得た(炭素の担持量:1.5質量%)。得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子(X2−2)は、Na1.2Al0.2Ti1.8(PO43単相であり、平均粒径は70nm、平均結晶子径は70nm、BET比表面積は30m2/gであった。
[比較例1]
水40mLにNa2CO3 0.53g及びNH42PO4 10.35gを混合して、混合液(b−1)を得た。得られた混合液(b−1)に、TiO2 1.60gを混合して混合液(b−2)を得た。得られた混合液(b−2)に、クエン酸 0.5gを混合して混合液(b−3)を得た。得られた(b−3)にエバポレータを用いて水を留去し、NASICON型ナトリウムリン酸塩化合物前駆体(B)を得た。得られたNASICON型ナトリウムリン酸塩化合物前駆体(B)を、窒素雰囲気下800℃で6時間焼成して、粒子表面にクエン酸由来の炭素が担持してなるナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子(Y−1)を得た(炭素の担持量:1.5質量%)。得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子(Y−1)は、NaTi2(PO43単相であり、一次粒子の平均粒径は250nm、平均結晶子径は200nm、BET比表面積は10m2/gであった。
得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子(Y−1)のSEM写真を図3に、X線回折パターンを図4に示す。
[比較例2]
TiO2の添加量を1.44gとし、Al23 0.10gを追加して添加した以外、比較例1と同様にしてナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子(Y−2)を得た(炭素の担持量:1.5質量%)。得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子(Y−2)は、Na1.2Al0.2Ti1.8(PO43単相であり、平均粒径は250nm、平均結晶子径は200nm、BET比表面積は10m2/gであった。
《レート特性の評価》
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子を用い、ナトリウムイオン二次電池の負極を作製した。
具体的には、得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子、ケッチェンブラック、ポリフッ化ビニリデンを質量比90:5:5の配合割合で混合し、これにN−メチル−2−ピロリドンを加えて充分混練し、負極スラリーを調製した。負極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗工機を用いて塗布し、80℃で12時間の真空乾燥を行った。次いで、φ14mmの円盤状に打ち抜いた後、ハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスして負極とした。
次いで、上記の負極を用いてコイン型二次電池を構築した。対極には、φ15mmに打ち抜いたナトリウム箔を用いた。電解液には、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比3:7の割合で混合した混合溶媒に、NaPF6を1mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。セパレータには、ポリプロピレンフィルムを用いた。これらの電池部品を露点が−50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型二次電池(CR−2032)を製造した。
製造したナトリウムイオン二次電池を用い、充放電試験を行った。具体的には、充電条件を電流密度13mA/g(0.1CA)、電圧2.8Vの定電流充電とし、放電条件を13mA/g(0.1CA)、終止電圧1.2Vの定電流放電とし、電流密度13mA/gにおける放電容量を求めた。さらに、同じ充電条件で充電を行い、放電条件を1300mA/g、終止電圧1.2Vの定電流放電とし、電流密度1300mA/gにおける放電容量を求めて、下記式(2)より容量比を求めた。なお、充放電試験は30℃で行った。 結果を表1に示す。
容量比(%)=(電流密度1300mA/gにおける放電容量)/
(電流密度13mA/gにおける放電容量)×100・・・(2)
上記結果より、実施例1及び2の製造方法で得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子は、比較例1及び2の製造方法で得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子に比して、簡便な方法で得られるにもかかわらず、これを用いたナトリウムイオン二次電池において優れた放電容量を示すことがわかる。これは、実施例1及び2の製造方法で得られたナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子は、粒径及び結晶子径ともに有効に微細化を図ることができたためであると考えられる。

Claims (8)

  1. 次の工程(I)〜(II):
    (I)ナトリウム化合物、チタン化合物、リン酸化合物及び水を混合して、25℃におけるpHが1〜5である混合液を調製する工程
    (II)得られた混合液を100℃以上の水熱反応に付した後、水熱反応生成物を洗浄し、次いで乾燥して粒子を得る工程
    を備える、ナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の製造方法。
  2. 工程(I)〜(II)に次いで、さらに
    (III)得られた粒子の表面に炭素を担持させる工程
    を備える、請求項1に記載のナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の製造方法。
  3. 工程(I)において混合液を調製するにあたり、さらに金属(M)化合物(MはAl、Zr、Sc、In、Fe、Cr、Ga、Y、La、Zn、Si、Mn、Ge、Nd、Sr及びVから選ばれる1種又は2種以上を示す。)を混合する、請求項1又は2に記載のナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の製造方法。
  4. 工程(I)において用いるナトリウム化合物が、水酸化物、塩化物、炭酸塩、硫酸塩又は有機酸塩である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の製造方法。
  5. 工程(I)において用いるチタン化合物が、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、酸化物、水酸化物又はハロゲン化物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の製造方法。
  6. 金属(M)化合物が、ハロゲン化物、硫酸塩、有機酸塩、水酸化物、塩化物、硫化物、酸化物又はこれらの水和物である、請求項3〜5のいずれか1項に記載のナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の製造方法。
  7. ナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子が、下記式(X):
    Na1+aTibc(PO43 ・・・(X)
    (式(X)中、MはAl、Zr、Sc、In、Fe、Cr、Ga、Y、La、Zn、Si、Mn、Ge、Nd、Sr又はVから選ばれる1種又は2種以上を示し、a、b及びcは、0≦a≦2、1≦b≦2、0≦c≦1、a+4b+(Mの価数)×c=8を満たす数を示す。)
    で表されるNASICON型結晶構造を有する粒子からなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の製造方法。
  8. ナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子が、NASICON型結晶構造を有する粒子に炭素が担持してなる粒子である、請求項2〜7のいずれか1項に記載のナトリウムイオン二次電池用負極活物質粒子の製造方法。
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