JP2020026540A - 任意の色彩を放つ金属からなる薄膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる金属の薄膜を、基材の表面に形成する方法に係わる。従って、この薄膜は任意の色彩を放つ。
また、特許文献2に、金属酸化物からなるコア部と、ポリドーパミンからなるシェル部とからなる構造色を呈する微粒子が記載されている。この構造色を呈する微粒子の用途は、ハードコピーに用いるインクに限定される。また、微粒子の外側のシェル部が、有機材料のポリドーパミンであるため、紫外線の照射によって継時劣化する。
こうした6つの性質を兼備する薄膜を基材に形成する形成方法を見出すことが、本発明が解決しようとする課題である。
なお、本薄膜の形成方法に依れば、薄膜の膜厚を予め見積もることが可能になり、薄膜が放つ色彩を予め設定することができる。つまり、第一に、金属の扁平粉の扁平面同士が互いに重なるように結合するため、結合した扁平粉の厚みが見積もれる。第二に、金属の扁平粉の厚みより1桁大きさが小さい金属微粒子を、扁平粉の扁平面同士が互いに重なり合って結合する手段として用い、扁平粉の表面に析出した金属微粒子の積層数を、懸濁液を作成する際の金属化合物の配合割合として設定することができ、結合した扁平粉の厚み、すなわち、薄膜の厚みの微細調整が可能になる。これによって、薄膜の膜厚を予め見積もることが可能になり、可視光線の波長領域における金属の屈折率が既知であるため、薄膜を形成するにあたり、薄膜が放つ色彩を予め設定することができる。
本薄膜の形成方法は、第一に、金属化合物をアルコールに分散し、アルコール分散液を作成する。第二に、アルコール分散液に、3つの性質を兼備する有機化合物を混合し、混合液を作成する。第三に、混合液に金属の扁平粉の集まり混合し、懸濁液を作成する。第四に、懸濁液を回転および揺動する。第五に、薄膜を形成する基材に懸濁液を印刷する。第六に、基材に、左右、前後、上下の3方向の振動を繰り返し加える。第七に、前記基材を、金属化合物が熱分解する温度に昇温する。これによって、扁平粉の表面に析出した金属微粒子が金属結合し、扁平面同士が重なり合った平面に近い平滑性を持つ薄膜が、基材に形成される。この薄膜は、表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いが部分的に生じ、薄膜の表面で複数の光線を反射するが、特定した同一の色彩を放つ複数の光線として表面で反射する干渉現象を起こす。この干渉現象は9段落で説明する。また、薄膜は下記に説明する8つの作用効果をもたらす。
なお、金属化合物はアルコールに分子状態となって分散され、金属微粒子の原料である金属化合物が液相化される。さらに、有機化合物がアルコールに溶解ないしは混和する性質を持つため、有機化合物がアルコールに溶解ないしは混和し、混合液を構成する。このため、金属化合物は、混合液中に分子状態で均一に分散される。これによって、全ての扁平粉に金属微粒子の集まりが析出し、この金属微粒子が金属結合することで、扁平面同士が重なり合って結合した扁平粉の集まりが、特定の色彩を放つ光線の干渉現象を起こす厚みを有する薄膜として、基材の表面に結合する。
本薄膜の形成方法は、アルコール分散液の作成と混合液の作成と懸濁液の作成とを、一つの容器を用いて連続して行うと、一回のバッチ処理で大量の懸濁液が容器内に製造される。また、混合機による一回のバッチ処理で、大量の攪拌された懸濁液が容器内に製造される。しかし、懸濁液を基材に印刷するだけでは、扁平面同士が重なり合った扁平粉の集まりからなる薄膜は形成できない。このため、懸濁液を印刷した基材に、左右、前後、上下の3方向の振動を繰り返し加え、懸濁液中で扁平面同士が重なり合うように扁平粉が配列させる。この後、基材を金属化合物が熱分解される温度まで昇温し、基材に薄膜を形成する。なお、特定した同一の色彩を放つ複数の光線が反射する干渉現象を起こす膜厚は、1−4μmの厚みからなる。従って、混合液の粘度はアルコールの粘度の2倍程度と低い。
ここで、懸濁液に対する前記の処理で、扁平面同士が重なり合った扁平粉の集まりになる過程を説明する。最初に、混合機内で懸濁液を回転及び揺動させ、扁平粉の集まりをランダムに混合させる。これによって、全ての扁平粉の表面に混合液が吸着する。この後、懸濁液を印刷した基材を加振機の上に配置し、基材に左右、前後、上下の3方向の振動を繰り返し加える。この際、混合液が低粘度であるため、基材の表面の凹部に混合液が入り込む。また、懸濁液中では扁平粉同士が直接接触しないため、扁平粉は懸濁液中で移動する。この際、扁平粉同士の間隙に粒径が小さい扁平粉が入り込む扁平粉の配列と、全ての扁平粉が扁平面同士で重なり合う扁平粉の配列とが継続する。最後に上下方向の振動を加え、基材への加振を停止すると、金属からなる扁平粉の密度が有機化合物の密度より大きいため、扁平面同士が重なり合った扁平粉の集まりが懸濁液中に沈む。なお、懸濁液中で扁平粉の配列を行う振動加速度は、扁平粉が微細であるため、0・2G程度と小さい。
次に、前記の処理で薄膜が形成される過程を説明する。基材を金属化合物が熱分解する温度に昇温すると、昇温に準じて次の現象が生じる。アルコールの沸点に達すると、懸濁液からアルコールが気化し、全ての扁平粉の表面に、金属化合物の微細結晶が一斉に析出し、扁平粉は微細結晶の集まりで覆われる。この微細結晶の大きさは、熱分解で析出する金属微粒子の大きさに近く、基材の表面の凹部の幅と深さより1桁小さいため、基材の表面の凹部にも、微細結晶の集まりが析出する。さらに、有機化合物が気化した後に、金属化合物を構成する無機物ないしは有機物の沸点に達すると、金属化合物が無機物ないしは有機物と金属とに分解する。無機物ないしは有機物の密度が金属の密度より小さいため、無機物ないしは有機物が上層に、金属が下層に析出し、上層の無機物ないしは有機物が気化した後に、扁平粉の平均粒径より2桁小さい40−60nmの大きさの金属の粒状微粒子が一斉に析出し、金属化合物は熱分解を終える。析出した金属は不純物を持たず、互いに接触する部位で金属微粒子同士が金属結合する。このため、扁平粉の表面に析出した金属微粒子の集まりが金属結合し、扁平面同士が重なり合った扁平粉の各々が、金属結合した金属微粒子で覆われるとともに、金属微粒子の金属結合で扁平粉同士が結合され、扁平面同士が重なり合った扁平粉の集まりからなる薄膜が形成される。いっぽう、基材の表面の凹部に析出した金属化合物が金属微粒子になるため、表面の凹部にも金属微粒子の集まりが析出し、金属微粒子が接触部位で金属結合する。従って、基材表面の凹部における金属微粒子の集まりは、この金属微粒子の集まりと接する扁平粉の集まりからなる薄膜の最下面の金属微粒子の集まりと金属結合する。この結果、基材表面の凹部における金属結合した金属微粒子の集まりによるアンカー効果で、薄膜は一定の結合強度で基材表面に結合する。また、薄膜は金属微粒子の金属結合力に基づく機械的強度を持つ。いっぽう、特定した同一の色彩を放つ複数の光線が反射する干渉現象を起こす膜厚は、可視光線の波長領域で1−4μmであり、薄膜は極めて軽量である。従って、薄膜に各種の応力が加わっても、薄膜は基材の表面から剥がれにくい。なお、金属化合物の熱分解反応は、金属化合物の微細結晶が金属微粒子に置き換わる反応であり、金属微粒子の大きさが微細結晶の大きさに近いため、扁平粉の表面に吸着した金属化合物の微細結晶が、金属微粒子に置き換わっても、扁平面同士が重なり合った扁平粉の配列は崩れない。この結果、扁平面同士が重なり合った扁平粉の各々が、金属微粒子の金属結合で結合され、扁平粉の集まりが薄膜を形成する。この薄膜は、基材の表面に一定の強度で結合する。
ここで、前記した方法で形成した薄膜の作用効果を説明する。
第1の作用効果は、9段落で説明するように、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いが部分的に生じるが、薄膜の表面で反射する複数の光線が、特定した同一の色彩を放つ複数の光線となる膜厚を薄膜が有する。従って、薄膜は、特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する干渉現象を起こす。これによって、薄膜は、可視光線の波長領域において、特定した色彩を放つ。このため、薄膜は、任意の色彩を放つ塗膜として用いることができる。つまり、薄膜における金属微粒子が占める体積は1%程度であり、薄膜における光路は、扁平粉の金属の屈折率に、薄膜の膜厚を掛けた値の2倍になる。このため、9段落に説明する干渉現象を起こす関係式において、扁平粉の金属の屈折率と、薄膜の膜厚とによって、干渉現象を起こす波長が任意に設定できる。この結果、薄膜は特定した色彩を放つ。この干渉現象は、同一の色彩を放つ光線の波長領域と、この波長領域における金属の屈折率と、扁平粉の厚みの3つの項目によって実現できる。このため、12段落以降の各段落で、各々の色彩ごとの3項目の具体例によって、各々の色彩ごとの干渉現象を説明する。
第2の作用効果は、薄膜を塗膜として用いると、薄膜は金属の扁平粉と金属微粒子とで構成されるため、塗膜に紫外線が長期に亘って照射されても、塗膜は劣化しない。また、長期にわたって塗膜が大気に晒されても、塗膜の表面の金属微粒子の表層の一部が金属酸化物に酸化されるだけで、金属微粒子の金属結合力は変わらず、また、塗膜の厚みは変わらず、扁平粉が酸化されないため、扁平粉の屈折率が変化しない。このため、塗膜は、長期に亘って初期の色彩を放ち続ける。
第3の作用効果は、厚みが僅か1−4μmからなる極めて軽量の薄膜が、基材表面の凹部に金属結合した金属微粒子の集まりのアンカー効果で、基材の表面に結合する。従って、各種の応力が薄膜に加わっても、薄膜からなる塗膜は剥がれにくい。
第4の作用効果は、耐熱性が低い合成樹脂であっても、多くの合成樹脂は、熱分解が開始する温度が、金属化合物が熱分解する温度より高い。従って、合成樹脂に薄膜を形成しても、合成樹脂の性質は変わらない。このため、基材の材質に拘わらず、干渉現象をもたらす薄膜が形成できる。さらに、基材の大きさと形状とに拘わらず、基材に懸濁液が印刷でき、基材の大きさと形状に拘わらず、薄膜が形成できる。従って、汎用的に用いることができる塗膜が、基材に形成できる。
第5の作用効果は、薄膜は、99%程度の体積が金属の扁平粉で占められるため、薄膜の導電性は扁平粉の導電度に準じ、熱伝導性は扁平粉の熱伝導度に準じる。このため、薄膜からなる塗膜は、電磁波シールド膜と帯電防止膜の機能を併せ持つ。また、金属に準ずる耐熱性と耐寒性とを持ち、大気雰囲気での塗膜の寿命は極めて長い。さらに、金属からなる塗膜は不燃性である。
第6の作用効果は、薄膜の表面は潤滑被膜として作用する。つまり、厚みがサブミクロンの扁平粉の扁平面同士が重なり合って薄膜を形成するため、薄膜の表面は平面に近い平滑性を持つ。また、薄膜の表面は、扁平粉の平均粒径より大きさが2桁小さい金属結合した金属微粒子で覆われる。従って、塗膜に接触した基材ないしは部品が、金属微粒子との間で多点接触に近い摩擦を行い、摩擦力は小さい。また、塗膜が受けるせん断応力が、数多くの金属微粒子に分散される。このため、塗膜の表面は、摩擦係数が小さい潤滑膜として作用する。従って、塗膜は摩耗しにくく、塗膜の寿命が極めて長い。
第7の作用効果は、薄膜の表面は撥水性や防汚性の作用をもたらす。つまり、薄膜の表面は、金属結合した金属微粒子の集まりで覆われ、金属微粒子の大きさである40−60nmの凹凸に基づく超撥水性を持つ。このため、薄膜の表面は撥水性と防汚性とを併せ持つ。従って、塗膜に異物が付着しにくく、塗膜は長期に亘って初期の色彩を放ち続ける。
第8の作用効果は、安価な材料を用い、安価な費用で干渉現象を起こす薄膜が形成できる。すなわち、懸濁液を構成する金属化合物と有機化合物と金属の扁平粉とは、汎用的な工業用材料で、さらに、膜厚が1−4μmの薄膜を、扁平面同士が重なり合って結合させるため、使用する扁平粉の量が僅かで、貴金属からなる扁平粉を用いても、薄膜の原料は安価である。また、薄膜を形成する方法は、いずれも極めて簡単な7つの処理からなり、懸濁液の製造費と薄膜の加工費は安価で済む。さらに、金属化合物の熱分解温度は、200℃ないしは340℃であり、熱処理費用も安価で済む。このため、本発明における薄膜の形成方法は、安価な材料を用い、安価な薄膜を形成する方法である。
以上に説明したように、本発明の薄膜は、6段落に記載した6つの性質を持つ塗膜として用いることができ、さらに、6段落に記載しなかった2つの性質を兼備する画期的な塗膜になる。
薄膜の表面に光が当たると、光波の波面の一部が薄膜の上面で反射する。また、他の一部が屈折して薄膜の内部に入射し、下面で反射し、さらに上面で屈折し、薄膜の上面で2つの光波が干渉する。薄膜の上面で反射した光は、固定端で反射するため、位相がπずれる。いっぽう、薄膜の内部に入射し、下面で反射し、さらに上面で屈折した光は、自由端で反射するため、位相はずれない。2つの光の光路差は、薄膜の屈折率をnとし、空気の屈折率を1.0とし、屈折角をθとすると、2n・d・cosθになる。いっぽう、ヤングの干渉実験や回折格子による干渉において、光の波長をλとすると、光路差が波長の整数倍の時に、光が強め合うことが分かっている。上面で反射した光波の位相がπだけずれているため、光路差が(m+1/2)・λの時に2つの光波が強め合う。ここで、mは整数である。従って、2n・d・cosθ=(m+1/2)・λの関係が成立したと時に、光線が干渉現象を起こす。ここで、薄膜が観察者から離れている距離にある場合は、屈折角はゼロに近いため、2n・d=(m+1/2)・λの関係になる。この関係式は、高等学校の物理の教科書などに記載され、よく知られた式である。なお、観察者が薄膜に近づいた場合は、屈折角はゼロにならず、観察者が観察する干渉現象を起こす光線の波長λは、λ・cosθだけ低波長にずれる。
前記したように、薄膜の膜厚dが、波長λからなる光線を反射する干渉現象は、膜厚dと波長λとの間で、2n・d=(m+1/2)・λの関係式が成立する。この関係式において、整数mが1の時に干渉現象を起こす膜厚が最も薄くなり、干渉現象を起こす波長は唯一存在する。これに対し、整数mが2である場合は、干渉現象を起こす波長は、整数mが1である場合と、整数mが2である場合との双方によって干渉現象が起こる。従って、特定した波長のみを反射する薄膜の干渉現象は、整数mが1の場合のみに起こる。
いっぽう、薄膜が扁平粉の扁平面同士が重なり合って形成されるため、基材への懸濁液の印刷精度に拘わらず、膜厚は表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いが部分的に生ずる。従って、薄膜の膜厚dは部分的に厚くなり、この厚くなった膜厚d´は、前記した波長λとは異なる波長λ´との間で、2n・d´=(1+1/2)・λ´の関係式が成立する。これらの波長λとλ´とが同一の色彩を放つ光線であれば、本発明における特定した同一の色彩を放つ複数の波長を反射する膜厚からなる薄膜になる。このため、同一の色彩を放つ光線の波長領域と、この波長領域における金属の屈折率と、用いる金属の扁平粉の厚みを考慮し、前記した関係式に基づき、前記したλとλ´とが同一の色彩を放つ波長になるように、膜厚dとd´とを設定する。つまり、膜厚が、扁平粉の厚みの2枚分の厚みの違いを部分的に持つが、この膜厚の違いに拘わらず、薄膜は同一の色彩からなる複数の光線を表面で反射する。このような薄膜は、可視光線の波長領域で、膜厚を1−4μmの膜厚とすることで、同一の色彩を放つ複数の光線を表面で反射する干渉現象を起こす。
こうした特定した同一の色彩を放つ複数の光線を表面で反射する膜厚からなる薄膜の干渉現象は、同一の色彩を放つ光線の波長領域と、この波長領域における金属の屈折率と、用いる金属の扁平粉の厚みとの3つの項目に係わる具体例で実現できる。このため、12段落以降の各段落で、各々の色彩ごとの具体例で、各々の色彩の干渉現象を説明する。
また、本薄膜の形成方法によれば、膜の幅が任意に設定でき、各々の色彩を放つ光線の強度が任意に変えられ、薄膜が発色する混合された複数種類の色彩が広がる。さらに、各々の色彩を放つ膜の配列順序と膜幅との双方が任意に変えられ、薄膜が発色する混合された色彩がさらに広がる。この薄膜を塗膜に用いると、塗膜は、単色では得られない様々な複数種類の色彩が混合された色彩を放つ。なお、薄膜は、8段落に記載した第2−第8の作用効果をもたらす。
なお、9段落で説明したように、特定した同一の色彩を放つ複数の光線を表面で反射する膜厚からなる薄膜の干渉現象は、同一の色彩を放つ光線の波長領域と、この波長領域における金属の屈折率と、扁平粉の厚みとの3つの項目に係わる具体例によって実現できる。このため、12段落以降の各段落で、各々の色彩ごとの具体例で、各々の色彩の干渉現象を説明する。
すなわち、銀の屈折率は、380nmで0.20であり、長波長側に移るにつれ屈折率が微減し、570nm近辺で屈折率が40%減って、0.12になり、さらに、長波長側に移るにつれ屈折率が微増し、750nmで屈折率が23%増えて、0.15になる。このように、銀は屈折率が小さく、かつ、屈折率の波長依存性も小さい。
これに対し、380nm−750nmの可視光線の波長領域において、扁平粉を形成する展性に優れた金属の屈折率は、例えば、銅の屈折率が1.21−0.24で、アルミニウムの屈折率が0.44−2.40で、金の屈折率が1.68−0.17であり、これら金属の屈折率は、波長によって大きく変わる。これに対し、銀の屈折率は0.20−0.15で、可視光線の全波長領域において、屈折率が最も小さく、かつ、屈折率の波長依存性も最も小さい。
ここで、紫の色彩を放つ波長領域の一つの目安となる両端部である、380nmと450nmとの波長で、干渉現象を起こす最も厚みが薄い膜厚を説明する。9段落で説明した干渉現象を起こす関係式で、整数mを1とし、380nmの波長を反射する膜厚は、銅の扁平粉が0.23μmで、アルミニウムの扁平粉が0.65μmで、金の扁平粉が0.17μmである。これに対し、銀の扁平粉は1.44μmと厚い。また、整数mを1とし、450nmの波長を反射する膜厚は、銅の扁平粉が0.29μmで、アルミニウムの扁平粉が0.55μmで、金の扁平粉が0.22μmである。これに対し、銀の扁平粉は2.24μmと厚い。2つの波長における干渉現象を起こす膜厚差は、銀の扁平粉が0.80μmで、銅の扁平粉が0.06μmで、アルミニウムの扁平粉が0.10μmで、金の扁平粉が0.05μmである。従って、銀の扁平粉からなる薄膜の膜厚差のみが、厚みがサブミクロンからなる2枚の扁平粉の厚みより大きい。このため、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いがあっても、銀の扁平粉のみが、紫の色彩を放つ複数の光線を表面で反射する膜厚からなる薄膜が形成できる。
すなわち、サブミクロンの厚みからなる銀の扁平粉を用い、銀の扁平粉の集まりで形成する薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、1.44−2.24μmの幅に収まる薄膜を形成すれば、紫の色彩を放つ一つの目安となる380−450nmの波長領域で、紫の色彩を放つ干渉現象を起こす。このため、厚みが0.40μmより薄い銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚幅が1.44−2.24μmの幅に収まる薄膜を形成すると、この薄膜は、紫の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、紫の色彩を放つ干渉現象を起こす薄膜の膜厚幅が0.80μmと狭い。しかし、懸濁液を作成する際に、使用する銀の扁平粉の量に対する金属化合物の量を調節すると、銀の扁平粉同士を覆う積層した金属微粒子の数が調整され、目標とする膜厚の薄膜が形成できる。また、膜厚が1.44−2.24μmの幅に収まるため、銀の扁平粉の使用量が少なく、薄膜は安価に製造できる。なお、銀の扁平粉を用い、紫の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、紫の色彩を放つ波長領域における銀の屈折率に基づき、実施形態1で具体的に説明する。
いっぽう、銀は金に次いで展性が優れるため、厚みがサブミクロンからなる扁平粉が容易に製造できる。また、金属の中で最も優れた電気導電性と熱伝導性とを併せ持つため、薄膜は銀に準ずる電気導電性と熱伝導性とを併せ持つ。
以上に説明したように、銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、紫の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成すると、紫の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜が基材に形成できる。
すなわち、サブミクロンの厚みからなる銀の扁平粉を用い、銀の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、2.24−2.86μmの膜厚の幅に収まれば、青の色彩を放つ一つの目安となる450−495nmの波長領域で、青の色彩を放つ干渉現象を起こす。このため、0.31μmより厚みが薄い銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、薄膜の膜厚幅が2.24−2.86μmの幅に収まる薄膜を作成すると、この薄膜は、青の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、青の色彩を放つ干渉現象を起こす薄膜の膜厚幅が、0.62μmと狭い。しかし、13段落で説明したように、懸濁液を作成する際に、使用する銀の扁平粉の量に対する金属化合物の量を調節することで、銀の扁平粉同士を覆う積層した金属微粒子の数が調整され、目標とする膜厚の薄膜が形成できる。また、膜厚が2.24−2.86μmの幅に収まるため、銀の扁平粉の使用量が少なく、薄膜は安価に製造できる。なお、銀の扁平粉を用い、青の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、青の色彩を放つ波長領域における銀の屈折率に基づいて、実施形態2で具体的に説明する。
以上に説明したように、銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、青の色彩を放つ複数の光線を表面で反射する膜厚からなる薄膜を形成すると、青の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜が基材に形成される。
すなわち、サブミクロンの厚みからなる銀の扁平粉を用い、銀の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、2.86−3.56μmの膜厚幅に収まれば、緑の色彩を放つ一つの目安となる495−570nmの波長領域で、緑の色彩を放つ干渉現象を起こす。このため、厚みが0.35μmより薄い銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚幅が2.86−3.56μmに収まる薄膜を作成すると、この薄膜は、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、銀の屈折率は、495−540nmの波長領域では、有効数字の4桁目が僅かに変わるだけで0.130であり、540−570nmの波長領域では、わずかな減少率で単調減少し、570nmの波長で0.120の値となる。このため、495−570nmの波長領域で、2.86−3.56μmになる。なお、緑の色彩を放つ干渉現象を起こす薄膜の膜厚幅が、0.70μmと狭い。しかし、13段落で説明したように、懸濁液を作成する際に、使用する銀の扁平粉の量に対する金属化合物の量を調節することで、銀の扁平粉同士を覆う積層した金属微粒子の数が調整され、目標とする膜厚の薄膜が形成できる。なお、銀の扁平粉を用い、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、緑の色彩を放つ波長領域における銀の屈折率に基づいて、実施形態3で具体的に説明する。
これに対し、サブミクロンの厚みからなる金の扁平粉を用い、金の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いで、一つの目安として、0.40−1.49μmの膜厚の幅に収まれば、緑の色彩を放つ一つの目安となる495−570nmの波長領域で、緑の色彩を放つ干渉現象を起こす。しかし、厚みが0.55μmより薄い金の扁平粉を用い、厚みが0.40μmの薄膜は形成できない。この理由は、金の屈折率は、495−570nmの波長領域で単調減少するが、前記した銀の屈折率に比べて大きな屈折率を持ち、干渉現象を起こす膜厚が薄いことによる。すなわち、金の屈折率は、496nmの波長で0.916であり、506nmの波長で0.755であり、517nmの波長で0.608であり、528nmの波長で0.492である。このため、干渉現象を起こす膜厚は、前記した銀の扁平粉からなる膜厚に比べて薄い。すなわち、496nmの波長で0.406μmであり、506nmの波長で0.502μmであり、517nmの波長で0.637μmであり、528nmの波長で0.804μmである。波長が539nmに及んで、膜厚が1.01μmになる。さらに、564nmの波長における膜厚が1.39μmになる。従って、厚みが0.24μmより薄い金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚幅が1.00−1.49μmに収まる薄膜を作成すると、この薄膜は、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。このように、銀の扁平粉を用いる場合に比べると、金の扁平粉の場合は、干渉現象を起こす膜厚の設定幅が0.49μmと狭い。しかし、13段落で説明したように、使用する金の扁平粉の量に対する金属化合物の量を調節することで、金の扁平粉同士を覆う積層された金属微粒子の厚みが調整され、目標とする膜厚の薄膜が形成できる。なお、金の扁平粉を用い、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、緑の色彩を放つ波長領域における金の屈折率に基づいて、実施形態4で具体的に説明する。
なお、膜厚の幅が、金の扁平粉が1.00−1.49μmに、銀の扁平粉が2.86−3.56μmに収まり、貴金属の扁平粉の使用量が少なく、薄膜は安価に製造できる。
いっぽう、金は展性に最も優れる金属であり、厚みがサブミクロンからなる扁平粉は、金箔を機械的に破砕することで容易に製造できる。また、金属の中で、銀、銅に次いで電気導電性に優れ、銀に次いで熱伝導性に優れるため、薄膜は金に準ずる電気導電性と熱伝導性とを併せ持つ。
以上に説明したように、銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成し、ないしは、金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成し、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜が基材に形成される。
すなわち、サブミクロンの厚みからなる金の扁平粉を用い、金の扁平粉で形成された薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、1.49−1.88μmの膜厚幅に収まれば、黄色の色彩を放つ一つの目安となる570−590nmの波長領域で、黄色の色彩を放つ干渉現象を起こす。このため、厚みが0.20μmより薄い金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚が1.49−1.88μmの幅に収まる薄膜を形成すると、この薄膜は、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、黄色の色彩を放つ干渉現象を起こす膜厚幅が、0.39μmと狭い。しかし、13段落で説明したように、懸濁液を作成する際に、使用する金の扁平粉の量に対する金属化合物の量を調節することで、金の扁平粉同士を覆う積層した金属微粒子の数が調整され、目標とする膜厚の薄膜が形成できる。なお、金の屈折率は、570−590nmの波長領域で単調減少し、0.287−0.236と小さい値を持つ。このため、干渉現象を起こす膜厚は、570−590nmの波長領域で単調増加し、1.49−1.88μmと一定の膜厚幅を形成する。なお、金の扁平粉を用い、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、黄色の色彩を放つ波長領域における金の屈折率に基づいて、実施形態5で具体的に説明する。
また、サブミクロンの厚みからなる銅の扁平粉で形成された薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、0.58−0.95μmの幅に収まれば、黄色の色彩を放つ一つの目安となる570−590nmの波長領域で、黄色の色彩を放つ干渉現象を起こす。このため、厚みが0.19μmより薄い銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚幅が0.58−0.95μmに収まる薄膜を形成すると、この薄膜は、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、銅の屈折率は、570−590nmの波長領域で単調減少し、0.736−0.468の値になる。従って、干渉現象を起こす膜厚は、570−590nmの波長領域で単調増加し、0.58−0.95μmの膜幅になる。なお、銅の扁平粉を用い、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、黄色の色彩を放つ波長領域における銅の屈折率に基づいて、実施形態6で具体的に説明する。
なお、570−590nmの波長領域では、銅の屈折率が金の屈折率より大きいため、干渉現象を起こす膜厚が金の扁平粉を用いる場合より薄い。このため、2つの波長で起こる干渉現象の膜厚差が僅かに小さくなった。いっぽう、厚みが0.20μmより薄い扁平粉の製造は、展性が銅より優れた金の扁平粉の方が相対的に容易である。従って、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜の形成は、金の扁平粉を用いる場合の方が容易である。
なお、銅は金、銀、鉛に次いで展性に優れる金属であり、厚みがサブミクロンからなる扁平粉が製造できる。また、金属の中で、銀に次いで電気導電性と熱伝導性に優れるため、薄膜は銅に準ずる電気導電性と熱伝導性とを併せ持つ。
以上に説明したように、金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成し、ないしは、銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成し、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜が基材に形成される。
すなわち、サブミクロンの厚みからなる銅の扁平粉で形成された薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、0.95−1.71μmの膜厚の幅に収まれば、橙の色彩を放つ波長領域の一つの目安となる590−620nmの波長領域で、橙の色彩を放つ干渉現象を起こす。このため、厚みが0.38μmより薄い銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚が0.95−1.71μmの幅に収まる薄膜を形成すると、この薄膜は、橙の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、銅の屈折率は、590−620nmの波長領域で単調減少し、0.468−0.272と比較的小さな値を持つ。このため、干渉現象を起こす膜厚は、590−620nmの波長領域で単調増加し、0.95−1.71μmと、一定の膜厚を形成する。なお、銅の扁平を用い、橙の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、橙の色彩を放つ波長領域における銅の屈折率に基づいて、実施形態7で具体的に説明する。
また、サブミクロンの厚みからなる金の扁平粉で形成された薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、1.88−2.40μmの膜厚の幅に収まれば、橙の色彩を放つ一つの目安となる590−620nmの波長領域で、橙の色彩を放つ干渉現象を起こす。このため、厚みが0.26μmより薄い金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚が1.88−2.40μmの幅に収まる薄膜を形成すると、この薄膜は、橙の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、金の屈折率は、590−620nmの波長領域で単調減少し、0.236−0.194の小さな値を持つ。このため、干渉現象を起こす膜厚は、590−620nmの波長領域で単調増加し、1.88−2.40μmと、一定の膜厚を形成する。なお、金の扁平粉を用い、橙色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成する方法は、橙の色彩を放つ波長領域における金の屈折率に基づいて、実施形態8で具体的に説明する。
以上に説明したように、銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、橙色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成し、ないしは、金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、橙色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成し、橙の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜が基材に形成される。
なお、銀の扁平粉の膜厚差は0.30μmである。いっぽう、薄膜の表面と裏面との双方において、扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いをもたらす扁平粉の表面にも、金属微粒子の集まりが積層する。この扁平粉に金属微粒子が2層積層すると、銀の扁平粉の厚みが0.10μmであっても、薄膜の表面と裏面との双方の厚みの差は、銀の扁平粉の膜厚差である0.30μmを超える。この結果、0.10μmの厚みからなる銀の扁平粉を用いても、赤の色彩を放つ複数の光線を表面で反射する膜厚を有する薄膜が形成できない。
すなわち、サブミクロンの厚みからなる金の扁平粉で形成された膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、2.40−3.32μmの膜厚幅に収まれば、赤の色彩を放つ一つの目安となる620−750nmの波長領域で、赤の色彩を放つ干渉現象を起こす。従って、厚みが0.46μmより薄い金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚幅が2.40−3.31μmに収まる薄膜を形成すると、この薄膜は、赤の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、金の屈折率は、620−750nmの波長領域で単調減少し、0.194−0.169の小さな値を持つ。このため、干渉現象を起こす膜厚は、620−750nmの波長領域で単調増加し、2.40−3.32μmからなる一定の膜厚を形成する。なお、金の扁平粉を用い、赤色の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、赤の色彩を放つ波長領域における金の屈折率に基づいて、実施形態9で具体的に説明する。
また、サブミクロンの厚みからなる銅の扁平粉で形成された薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、1.71−2.39μmの膜厚の幅に収まれば、赤の色彩を放つ一つの目安となる620−750nmの波長領域で、赤の色彩を放つ干渉現象を起こす。このため、厚みが0.34μmより薄い銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚幅が1.71−2.39μmに収まる薄膜を形成すると、この薄膜は、赤の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、銅の屈折率は、620−670nmの波長領域で単調減少し、0.272−0.209の値になる。670−750nmの波長領域では、わずかな増加率で増加し、750nmの波長で0.235になる。このため、干渉現象を起こす膜厚は、620−750nmの波長領域で単調増加し、1.71−2.38μmの幅になる。なお、銅の扁平粉を用い、赤色の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、赤の色彩を放つ波長領域における銅の屈折率に基づいて、実施形態10で具体的に説明する。
以上に説明したように、銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、赤の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成し、ないしは、金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、赤の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成し、赤の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜が基材に形成される。
すなわち、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体を、還元雰囲気で熱処理すると、配位結合部が最初に分断され、無機物と金属とに分解される。さらに昇温すると、無機物が気化熱を奪って気化し、すべての無機物の気化が完了した後に金属が析出する。つまり、錯体を構成するイオンの中で、分子の中央に位置する金属イオンが最も大きい。このため、金属イオンと配位子との距離が最も長い。従って、錯体を還元雰囲気で熱処理すると、金属イオンが配位子と結合する配位結合部が最初に分断され、金属と無機物とに分解する。さらに温度が上がると、無機物が気化熱を奪って気化し、気化が完了した後に、金属が析出する。この際、無機物が低分子量であるため、無機物の分子量に応じた180−220℃の低い温度で無機物の気化が完了する。このような錯体として、アンモニアNH3が配位子となって金属イオンに配位結合するアンミン金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、塩素イオンCl−が、ないしは塩素イオンCl−とアンモニアNH3とが配位子となって金属イオンに配位結合するクロロ金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、シアノ基CN−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するシアノ金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、臭素イオンBr−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するブロモ金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、沃素イオンI−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するヨード金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体などがある。このような分子量が小さい無機金属化合物からなる錯体は、合成が容易で最も安価な金属錯イオンを有する金属錯体である。
また、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、グリコール類、グリコールエーテル類、ないしはスチレンモノマーからなるいずれか1種類の有機化合物に、メタ―ノールに溶解ないしは混和する第一の性質と、粘度がメタ―ノールの粘度より高い第二の性質と、沸点が無機金属化合物からなる錯体の熱分解温度より低い第三の性質を兼備する有機化合物が存在する。このような有機化合物は、いずれも汎用的な工業用薬品である。このため、有機化合物は、混合液を製造する際の安価な第一の原料になる。
従って、無機金属化合物からなる錯体のメタノール分散液に、前記した有機化合物のいずれか一種類を混合すると、錯体と有機化合物とが分子状態で均一に混ざり合った混合液が大量に製造される。このため、安価な工業用薬品である無機金属化合物からなる錯体と、最も汎用的なアルコールであるメタノールと、汎用的な工業用薬品である有機化合物とを原料として用いると、7段落ないしは10段落に記載した混合液が安価な費用で大量に製造される。このため、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法において、混合液が安価に製造できる。
また、錯体が還元雰囲気で熱分解する温度では、合成樹脂の熱分解が始まらないため、耐熱性が低く、安価な合成樹脂に、特定した単数ないしは複数の色彩を放つ光線の波長を反射する薄膜が形成できる。つまり、合成樹脂の熱分解反応が開始する温度は、還元雰囲気と大気雰囲気とでは大きく異なり、還元雰囲気では合成樹脂の酸化反応が起こらず吸熱反応が起こるため、熱分解が開始する温度は、大気雰囲気に比べて、大きく高温側にシフトする。従って、混合液を付着させた合成樹脂からなる基材を還元雰囲気で昇温すると、合成樹脂の熱分解反応が発生せず、合成樹脂の性質は不可逆変化しない。
ここで、合成樹脂の熱分解について説明する。合成樹脂を昇温すると、所定の温度から合成樹脂の熱分解が開始し、高分子材料である合成樹脂の分子が徐々に断ち切られ、次第に低分子量となって重量が軽減する熱分解反応が進む。従って、合成樹脂の熱分解が始まると分子構造が変わるため、合成樹脂の性質は不可逆変化する。この合成樹脂の分子構造に変化が始まる温度は、重量変化が始まる温度であり、熱重量分析(Thermogravimetory略してTG)で測定される。従って、錯体を熱分解させても、合成樹脂の熱分解が始まらなければ、合成樹脂の性質は変わらない。これによって、合成樹脂の性質を変えることなく、合成樹脂の基材に干渉現象を起こす薄膜が形成できる。
すなわち、合成樹脂の熱分解反応は、酸素ガスが存在する雰囲気と、還元雰囲気とでは大きく異なる。つまり、酸素ガスが存在する雰囲気での熱分解は、酸化反応による熱分解が初期に起こり、燃焼であるため発熱を伴う。この発熱現象が酸化されやすい、つまり、燃えやすい有機物質からなる合成樹脂の熱分解を促進させる。これに対し、還元雰囲気での初期の熱分解は吸熱反応による熱分解であり、酸化反応による発熱現象が生じない。このため、合成樹脂が熱分解を開始する温度は、酸素ガスが存在する雰囲気に比べて大幅に遅れて高温側にシフトする。例えば、高密度ポリエチレン樹脂の熱分解は、大気雰囲気では250℃で開始するが、窒素雰囲気では400℃と150℃も高温側にシフトする。
従って、合成樹脂の基材に懸濁液を印刷し、基材に3方向の振動を加えた後に、還元雰囲気で無機金属化合物からなる錯体を熱分解すれば、合成樹脂の基材に、特定した単数ないしは複数の色彩を放つ波長の光線を反射する薄膜が形成できる。この際、合成樹脂が熱分解されず、合成樹脂の性質は変わらない。
すなわち、オクチル酸C7H15COOHのカルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合するオクチル酸金属化合物は、金属イオンが最も大きいイオンであり、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの距離が、他のイオン同士の距離より長い。こうした分子構造上の特徴を持つオクチル酸金属化合物を還元雰囲気で熱処理すると、オクチル酸の沸点を超えると、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの結合部が最初に分断され、オクチル酸と金属とに分離する。さらに、オクチル酸が気化熱を奪って気化し、気化が完了すると金属が析出する。このようなオクチル酸金属化合物として、ニッケルを析出するオクチル酸ニッケルNi(C7H15COO)2、銅を析出するオクチル酸銅Cu(C7H15COO)2、アルミニウムを析出するオクチル酸アルミニウムAl(C7H15COO)3など、オクチル酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンと共有結合した様々なオクチル酸金属化合物が存在する。
さらに、オクチル酸金属化合物は、容易に合成できる安価な工業用薬品である。すなわち、最も汎用的な有機酸であるオクチル酸を、強アルカリと反応させるとオクチル酸アルカリ金属化合物が生成され、オクチル酸アルカリ金属化合物を無機金属化合物と反応させると、様々な金属との化合物であるオクチル酸金属化合物が合成される。従って、有機金属化合物の中で最も安価な有機金属化合物である。このため、25段落で説明した無機金属化合物からなる錯体より熱分解温度が高いが、錯体より安価な金属化合物である。
また、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、グリコール類、グリコールエーテル類、ないしはスチレンモノマーからなるいずれか1種類の有機化合物に、メタノールに溶解ないしは混和する第一の性質と、粘度がメタ―ノールの粘度より高い第二の性質と、沸点がオクチル酸金属化合物の熱分解温度より低い第三の性質とを兼備する有機化合物が存在する。このような有機化合物は、汎用的な工業用薬品である。このため、有機化合物は、混合液を製造する際の安価な第二の原料になる。
従って、オクチル酸金属化合物のメタノール分散液に、有機化合物のいずれか一種類を混合すると、オクチル酸金属化合物と有機化合物とが分子状態で均一に混ざり合った混合液が大量に製造される。これによって、安価な工業用薬品であるオクチル酸金属化合物と、最も汎用的なアルコールであるメタノールと、汎用的な工業用薬品である有機化合物とを原料として用いると、7段落ないしは10段落に記載した混合液が安価な費用で大量に製造される。このため、7段落に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、ないしは、10段落に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、混合液が安価に製造できる。
なお、窒素雰囲気で合成樹脂の熱分解が開始する温度は、例えば、ポリアセタール樹脂POMは280℃で始まり、ポリスチレン樹脂PSは350℃で始まり、ポリエチレンテレフタレート樹脂PETが425℃で始まり、ポリプロピレン樹脂PPが370℃で始まり、高密度ポリエチレン樹脂HDPEが400℃で始まり、ポリテトラフルオルエチレン樹脂PTFEは490℃で始まり、ノボラック型フェノール樹脂の熱分解反応は、260℃付近から可塑剤の脱離が始まる。また、大気雰囲気で合成樹脂の熱分解が開始する温度は、例えば、ポリビニールアルコール樹脂が230℃で、ポリ塩化ビニール樹脂が250℃で、アクリル樹脂が300℃で、ポリアセテート樹脂が300℃で、ポリスチレン樹脂が320℃で、ポリプロピレン樹脂が380℃で、低密度ポリエチレン樹脂が400℃で、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が440℃で、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂が480℃で、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂が480℃で、ポリカーボネート樹脂が500℃である。
従って、還元雰囲気で熱分解が開始する温度が340℃より高い合成樹脂の基材に、ないしは、大気雰囲気で熱分解が開始する温度が290℃より高い合成樹脂の基材に、懸濁液を印刷し、基材に3方向の振動を加えた後に、還元雰囲気ないしは大気雰囲気でオクチル酸金属化合物を熱分解すれば、合成樹脂の基材に、特定した単数ないしは複数の色彩を放つ光線の波長を反射する薄膜が形成できる。この際、合成樹脂の熱分解が始まらず、合成樹脂の性質は変わらない。
本実施形態は、13段落に記載した銀の扁平粉を用い、紫の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。金に次いで展性に優れた銀からなる扁平粉は、スタンプミル(搗砕機に相当する)により、多数の金属製の杵で銀粉の集まりを叩き、薄いフレーク状に銀粉を延ばすことで製造される。厚みが0.2−0.5μmのものが市販されている。
13段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる銀の扁平粉を用い、銀の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、1.44−2.24μmの幅に収まる薄膜を形成すれば、紫の色彩を放つ一つの目安となる380−450nmの波長領域で、紫の色彩を放つ干渉現象を起こす。
ここで、厚みが0.26μmからなる銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の4層が積層し、銀の扁平粉の3枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、膜厚は、1.58μmになる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの銀の扁平粉の厚みの違いが部分的に生じると、銀の扁平粉の集まりからなる薄膜は、1.58−2.20μmの膜厚に広がる。膜厚が1.58−2.20μmからなる薄膜は、紫の色彩を放つ。
本実施形態は、15段落に記載した銀の扁平粉を用い、青の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。15段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる銀の扁平粉を用い、銀の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いで、一つの目安として、2.24−2.86μmの膜厚の幅に収まれば、青の色彩を放つ一つの目安となる450−495nmの波長領域で、青の色彩を放つ干渉現象を起こす。
ここで、厚みが0.26μmからなる銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の3層が積層し、銀の扁平粉の5枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、膜厚は、2.20μmになる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの銀の扁平粉の厚みの違いが部分的に生じると、銀の扁平粉の集まりからなる薄膜は、2.20−2.82μmに広がる。なお、銀の扁平粉からなる薄膜は、膜厚が2.20μmで448nmの波長からなる光線を反射し、この光線は青の色彩を放つ。従って、膜厚が2.20−2.82μmなる薄膜は、青の色彩を放つ。
本実施形態は、17段落に記載した銀の扁平粉を用い、緑の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。17段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる銀の扁平粉を用い、銀の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いで、一つの目安として、2.86−3.56μmの膜厚幅に収まれば、緑の色彩を放つ一つの目安となる495−570nmの波長領域で、緑の色彩を放つ干渉現象を起こす。
ここで、厚みが0.26μmからなる銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の4層が積層し、銀の扁平粉の6枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、膜厚は、2.96μmになる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの銀の扁平粉の厚みの違いが部分的に生じると、銀の扁平粉の集まりからなる薄膜は、2.96−3.58μmに広がる。なお、銀の扁平粉からなる薄膜は、膜厚が3.58μmで571nmの波長からなる光線を反射し、この光線は緑の色彩を放つ。従って、膜厚が2.96−3.58μmからなる薄膜は、緑の色彩を放つ。
本実施形態は、17段落に記載した金の扁平粉を用い、緑の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。17段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる金の扁平粉を用い、金の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、1.00−1.49μmの膜厚の幅に収まれば、緑の色彩を放つ一つの目安となる495−570nmの波長領域で、緑の色彩を放つ干渉現象を起こす。なお、金の扁平粉は、厚さが0.1−0.2μmの金箔を微粉砕することで、厚みが0.1−0.2μmの金の扁平粉が市販されている。
ここで、厚みが0.15μmからなる金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の3層が積層し、金の扁平粉の3枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、膜厚は1.05μmになる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの金の扁平粉の厚みの違いが部分的に生じると、金の扁平粉の集まりからなる薄膜は、1.05−1.45μmに広がる。膜厚が1.05−1.45μmからなる薄膜は、緑の色彩を放つ。
本実施形態は、19段落に記載した金の扁平粉を用い、黄色の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。19段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる金の扁平粉を用い、金の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、1.49−1.88μmの膜厚幅に収まれば、黄色の色彩を放つ一つの目安となる570−590nmの波長領域で、薄膜は黄色の色彩を放つ干渉現象を起こす。
ここで、厚みが0.12μmの金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の3層が積層し、金の扁平粉の5枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、膜厚は、1.50μmになる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの金の扁平粉の厚みの違いが部分的に生じると、金の扁平粉の集まりからなる薄膜は、1.50−1.84μmに広がる。膜厚が1.50−1.84μmからなる薄膜は黄色の色彩を放つ。
本実施形態は、19段落に記載した銅の扁平粉を用い、黄色の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。19段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる銅の扁平粉を用い、銅の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、0.58−0.95μmの膜厚幅に収まれば、黄色の色彩を放つ一つの目安となる570−590nmの波長領域で、薄膜は黄色の色彩を放つ干渉現象を起こす。
ここで、厚みが0.15μmの銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の2層が積層し、銅の扁平粉の2枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、薄膜は0.60μmの膜厚になる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの銅の扁平粉の厚みの違いが生じると、膜厚は0.60−1.00μmに拡大する。なお、銅の扁平粉からなる薄膜は、膜厚が1.00μmで593nmの波長からなる光線を反射し、黄色の色彩を放つ。従って、膜厚が0.60−1.00μmからなる薄膜は黄色の色彩を放つ。
なお、銅の扁平粉は、スタンプミルにより、多数の金属製の杵で銅粉の集まりを叩き、薄いフレーク状に銅粉を延ばすことで製造される。厚みが0.2−0.5μmのものが市販されている。いっぽう、厚みが0.15μmからなる銅の扁平粉は、特注品になる。
21段落に記載した銅の扁平粉を用い、橙色の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。21段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる銅の扁平粉を用い、銅の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、膜厚幅が0.95−1.71μmに収まれば、橙の色彩を放つ一つの目安となる590−620nmの波長領域で、薄膜は橙色の色彩を放つ干渉現象を起こす。なお、銅の扁平粉は、厚みが0.2−0.5μmのものが市販されている。
ここで、厚みが0.30μmの銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の3層が積層し、銅の扁平粉の2枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、薄膜は1.05μmの膜厚になる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの銅の扁平粉の厚みの違いが生じると、膜厚は1.05−1.75μmに拡大する。なお、銅の扁平粉からなる薄膜は、膜厚が1.75μmで622nmの波長からなる光線を反射し、橙の色彩を放つ。従って、膜厚が1.05−1.75μmからなる薄膜は橙色の色彩を放つ。
本実施形態は、21段落に記載した金の扁平粉を用い、橙色の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。21段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる金の扁平粉を用い、金の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、膜厚が1.88−2.40μmの膜厚の幅に収まれば、橙の色彩を放つ一つの目安となる590−620nmの波長領域で、金の扁平粉からなる薄膜は、橙色の色彩を放つ干渉現象を起こす。
ここで、厚みが0.15μmの金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の4層が積層し、金の扁平粉の5枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、薄膜は、1.95μmの膜厚になる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの金の扁平粉の厚みの違いが生じると、膜厚は1.95−2.35μmに拡大する。膜厚が1.95−2.35μmからなる薄膜は、橙色の色彩を放つ。
本実施形態は、23段落に記載した金の扁平粉を用い、赤の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。23段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる金の扁平粉を用い、金の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いで、一つの目安として、膜厚が2.40−3.32μmの膜厚の幅に収まれば、赤の色彩を放つ一つの目安となる620−750nmの波長領域で、金の扁平粉からなる薄膜は赤の色彩を放つ干渉現象を起こす。
ここで、厚みが0.20μmの金の扁平粉を用い、金属の微粒子の5層が積層し、金の扁平粉の5枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合されると、金属微粒子の大きさを平均粒径の50nmとすると、金の扁平粉の集まりからなる薄膜は、2.50μmの膜厚になる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの金の扁平粉の厚みの違いが生じると、膜厚は2.50−3.00μmに拡大する。膜厚が2.50−3.00μmからなる薄膜は、赤色の色彩を放つ干渉現象を起こす。
本実施形態は、23段落に記載した銅の扁平粉を用い、赤の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。23段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる銅の扁平粉を用い、銅の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いで、膜厚が1.71−2.39μmの幅に収まれば、620−750nmの波長領域で、銅の扁平粉からなる薄膜は赤色の色彩を放つ干渉現象を起こす。
ここで、厚みが0.30μmの銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の4層が積層し、銅の扁平粉の3枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、薄膜は、1.70μmの膜厚になる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの銅の扁平粉の厚みの違いが生じると、膜厚は1.70−2.40μmに拡大する。なお、銅の扁平粉からなる薄膜は、膜厚が1.70μmで619nmの波長からなる光線を反射し、この光線は赤の色彩を放つ。また、膜厚が2.40μmで751nmの波長からなる光線を反射し、この光線は赤の色彩を放つ。従って、膜厚が1.70−2.40μmからなる薄膜は、赤色の色彩を。
本実施形態は、相対的に低い温度で金属化合物が熱分解して金属を析出する金属化合物の実施形態であり、このような金属化合物として、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる金属錯体が適切であることを説明する。すなわち、金属錯体は無機物の分子量が小さいため、還元雰囲気での熱処理温度が相対的に低い温度で熱分解する。従って、25段落で説明したように合成樹脂の熱分解が開始されず、合成樹脂の性質は変わらない。ここでは、金属を銅とし、銅化合物について説明する。
最初に、アルコールに分散する銅化合物を説明する。硫酸銅と塩化銅は水に溶け、銅イオンが溶解し、多くの銅イオンが銅の析出に参加できない。また、水酸化銅と酸化銅はアルコールに分散しない。このため、こうした分子量が低い無機銅化合物は、銅を析出する原料として適切でない。
次に、熱分解で銅を析出する銅化合物を説明する。銅化合物から銅が生成される化学反応の中で、最も簡単な処理による化学反応に熱分解反応がある。つまり、銅化合物を昇温するだけで、銅化合物が熱分解して銅が析出する。さらに、銅化合物の熱分解温度が低ければ、耐熱性が低い合成樹脂を金属微粒子の集まりで接合できる。無機物からなる分子ないしはイオンが配位子となって、分子構造の中央に位置する銅イオンに配位結合した銅錯イオンを有する銅錯体は、無機物の分子量が小さければ、還元雰囲気で熱分解する温度は、分子量がより大きい有機物が配位子を形成する有機銅錯体が大気雰囲気で熱分解する温度より低い。このため、このような無機銅錯体は、有機銅錯体より相対的に高価な物質ではあるが、より低い温度で銅を析出するため、廉価な合成樹脂を銅微粒子の集まりで覆うことができる。なお、安価な有機銅錯体として、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが、金属イオンに配位結合したカルボン酸金属化合物がある。
すなわち、無機銅錯体を構成する分子の中で銅イオンが最も大きい。ちなみに、銅原子の単結合の共有結合半径は112pmであり、一方、窒素原子の三重結合の共有結合半径の54pmであり、酸素原子の三重結合の共有結合半径は53pmである。このため、無機銅錯体の分子構造においては、配位子が銅イオンに配位結合する配位結合部の距離が最も長い。従って、還元雰囲気の熱処理で、最初に配位結合部が分断され、銅と無機物とに分解し、無機物の気化が完了した後に銅が析出する。
このような無機銅錯体の中で、アンモニアNH3が配位子となって銅イオンに配位結合するアンミン錯体は、他の無機銅錯体に比べて相対的に合成が容易であるため、相対的に安価な費用で製造できる。こうした無機銅錯体は、アンモニアガスや水素ガスなどの還元性雰囲気で熱処理すると、配位子の分子量が小さいため、200℃より低い温度で配位結合部位が最初に分断され、この後、200℃前後の温度で無機物が気化し、銅が析出する。さらに、メタノールに10重量%近くまで分散する。このような銅錯イオンとして、例えば、テトラアンミン銅イオン[Cu(NH3)4]2+があり、無機銅錯体として、例えば、テトラアンミン銅硝酸塩[Cu(NH3)4](NO3)2がある。
本実施形態は、第一にアルコールに溶解ないしは混和し、第二にアルコールより粘度が高く、第三に金属錯体とオクチル酸金属化合物との少なくともどちらか一方の熱分解温度より沸点が低い、これら3つの性質を兼備する液体の有機化合物である。
つまり、有機化合物の沸点が、金属錯体が熱分解する200℃前後より低ければ、有機化合物は金属錯体のアルコール分散液と共に混合液を構成する。有機化合物の沸点が、オクチル酸金属化合物が熱分解する340℃より低ければ、オクチル酸金属化合物のアルコール分散液と共に混合液を構成する。従って、有機化合物はこれら混合液の粘度を調整する調整剤になる。こうした3つの性質を持つ有機化合物は、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、グリコール類、グリコールエーテル類、ないしはスチレンモノマーからなるいずれか1種類の有機化合物に存在する。
すなわち、アクリル酸nブチルは化学式がCH2=CHCOOC4H9で示され、メタノールに溶解し、メタノールの1.9倍の粘度を持ち、さらに、沸点がメタノールの沸点より高い148℃で、25段落で説明した金属錯体、27段落で説明したオクチル酸金属化合物の熱分解温度より低い。従って、金属錯体ないしはオクチル酸金属化合物をメタノールに分散し、この分散液にアクリル酸nブチルを添加して撹拌すると、添加したアクリル酸nブチルの量に応じて分散液の粘度が増大する。なお、アクリル酸nブチルは、繊維処理剤、粘接着剤、塗料、合成樹脂、アクリルゴム、エマルジョン等の原料として使用される、安価な有機化合物である。
すなわち、メタクリル酸nブチルは、化学式がCH2=C(CH3)COO−CH2(CH2)2CH3で示され、メタノールに溶解し、メタノールの1.6倍の粘度を持ち、沸点がメタノールより高い164℃で、25段落で説明した金属錯体、27段落で説明したオクチル酸金属化合物の熱分解温度より低い。従って、金属錯体ないしはオクチル酸金属化合物をメタノールに分散し、この分散液にメタクリル酸nブチルを添加して撹拌すると、添加したメタクリル酸nブチルの量に応じて分散液の粘度が増大する。なお、メタクリル酸nブチルは、塗料、接着剤、繊維処理剤の原料として用いられている安価な有機化合物である。なお、メタクリル酸エチルの粘度は0.62mPa秒で、メタノールの粘度の1.05倍と低い。
エチレングリコールは、メタノールに溶解し、粘度がメタノールの36倍と高く、沸点が197℃の液状モノマーである。ジエチレングリコールは、メタノールに溶解し、粘度がメタノールの61倍と高く、沸点が244℃の液状モノマーである。プロピレングリコールは、メタノールと混和し、粘度がメタノールの82倍と高く、沸点が188℃の液状モノマーである。ジプロピレングリコールは、メタノールと混和し、粘度がメタノールの127倍と高く、沸点が232℃の液状モノマーである。トリプロピレングリコールは、メタノールと混和し、粘度がメタノールの97倍と高く、沸点が265℃の液状モノマーである。
エチレングリコール系エーテルの中で、メタノールに溶解し、銅錯体の熱分解温度より沸点が低い液体のグリコールエーテル類に、粘度がメタノールの3倍で沸点が125℃のメチルグリコール、粘度がメタノールの5倍で沸点が142℃のイソプロピルグリコール、粘度がメタノールの6倍で沸点が171℃のブチルグリコール、粘度がメタノールの5倍で沸点が161℃のイソブチルグリコール、粘度がメタノールの4倍で沸点が159℃のアリルグリコール、粘度がメタノールの7倍で沸点が194℃のメチルジグリコール、粘度がメタノールの9倍で沸点が208℃のヘキシルグリコールが存在する。
エチレングリコール系エーテルの中で、メタノールに溶解し、沸点が340℃より低い液体のグリコールエーテル類に、粘度がメタノールの13倍で沸点が249℃のメチルトリグリコール、粘度がメタノールの8倍で沸点が207℃のイソプロピルジグリコール、粘度がメタノールの11倍で沸点が231℃のブチルジグリコール、粘度がメタノールの14倍で沸点が271℃のブチルトリグリコール、粘度がメタノールの9倍で沸点が220℃のイソブチルジグリコール、粘度がメタノールの15倍で沸点が259℃ヘキシルジグリコール、粘度がメタノールの13倍で沸点が229℃の2−エチルヘキシルグリコール、粘度がメタノールの18倍で沸点が272℃の2−エチルヘキシルジグリコール、粘度がメタノールの52倍で沸点が245℃のフェニルグリコール、粘度がメタノールの20倍で沸点が256℃のベンジルグリコール、粘度がメタノールの33倍で沸点が302℃のベンジルジグリコールが存在する。
次に、プロピレングリコール系エーテルの中で、メタノールに溶解し、銅錯体の熱分解温度より沸点が低い液体のグリコールエーテル類に、粘度がメタノールの3倍で沸点が121℃のメチルプロピレングリコール、粘度がメタノールの2倍で沸点が146℃のメチルプロピレングリコールアセテート、粘度がメタノールの5倍で沸点が150℃のプロピルプロピレングリコール、粘度がメタノールの6倍で沸点が170℃のブチルプロピレンジグリコール、粘度がメタノールの7倍で沸点が187℃のメチルプロピレンジグリコールが存在する。
プロピレングリコール系エーテルの中で、メタノールに溶解し、沸点が340℃より低い液体のグリコールエーテル類に、粘度がメタノールの18倍で沸点が212℃のプロピルプロピレンジグリコール、粘度がメタノールの13倍で沸点が231℃のブチルプロピレンジグリコール、粘度がメタノールの39倍で沸点が243℃のフェニルプロピレングリコール、粘度がメタノールの14倍で沸点が274℃のブチルプロピレントリグリコールが存在する。
最後に、ジアルキルグリコールエーテルの中で、メタノールに溶解し、銅錯体の熱分解温度より沸点が低い液体のグリコールエーテル類に、粘度がメタノールの2倍で沸点が85℃のジメチルグリコール、粘度がメタノールの3倍で沸点が162℃のジメチルジグリコール、粘度がメタノールの2倍で沸点が171℃のジメチルポロピレンジグリコール、粘度がメタノールの21倍で沸点が176℃のメチルエチルジグリコール、粘度がメタノールの2倍で沸点が189℃のジエチルジグリコールが存在する。
以上に説明したように、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、グリコール類、グリコールエーテル類の中に17段落に説明した3つの性質を兼備する有機化合物が多く存在する。また、スチレンモノマーは、3つの性質を兼備する有機化合物である。
本実施例は懸濁液の第1実施例である。金属の扁平粉として、29段落の第1実施形態で説明した厚みが0.26μmで、長軸径の平均が3.85μmで、短軸径の平均が2.75μmからなる銀の扁平粉(例えば、山本貴金属地金株式会社の製品)を用い、金属微粒子の原料として、39段落の第11実施形態で説明したテトラアンミン銅硝酸塩(例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)を用い、有機化合物として、第12実施形態の45段落で説明したイソプロピルグリコール(例えば、日本乳化剤株式会社の製品)を用いた。
最初に、テトラアンミン銅硝酸塩の0.01モルに相当する2.6gを100ccのメタノールに分散する。この分散液に、イソプロピルグリコールの20ccを混合した。この混合液に銀の扁平粉の74gを混合し、混合物を回転による拡散混合と揺動による移動混合とを同時に行う装置(愛知電機株式会社のロッキングミキサーRMH−HT)に充填し、回転と揺動を繰り返して第一の懸濁液を作成した。
本実施例は懸濁液の第2実施例である。金属の扁平粉は、32段落の第4実施形態で説明した厚みが0.15μmで、平均粒径が2.25μmからなる金の扁平粉(例えば、株式会社今井金箔の製品)を用い、金属微粒子の原料として、40段落の第12実施形態で説明したオクチル酸銅(例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)を用い、有機化合物として、45段落で説明したヘキシルグリコール(例えば、日本乳化剤株式会社の製品)を用いた。
最初に、オクチル酸銅の0.01モルに相当する3.5gを100ccのメタノールに分散する。この分散液に、ヘキシルグリコールの11ccを混合した。この混合液に金の扁平粉の137gを混合し、混合物を実施例1で用いた回転装置に充填し、回転と揺動を繰り返して第二の懸濁液を作成した。
本実施例は懸濁液の第3実施例である。金属の扁平粉は、33段落の第5実施形態で説明した厚みが0.12μmで、平均粒径が1.8μmからなる金の扁平粉(例えば、株式会社今井金箔の製品)を用い、金属微粒子の原料として、実施例2のオクチル酸銅を用い、有機化合物として、実施例2のヘキシルグリコールを用いた。
最初に、オクチル酸銅の0.01モルに相当する3.5gを100ccのメタノールに分散する。この分散液に、ヘキシルグリコールの11ccを混合した。この混合液に金の扁平粉の137gを混合し、混合物を実施例1で用いた回転装置に充填し、回転と揺動を繰り返して第三の懸濁液を作成した。
本実施例は懸濁液の第4実施例である。金属の扁平粉として、35段落の第7実施形態で説明した厚みが0.30μmで、平均粒径が4.5μmからなる銅の扁平粉(例えば、福田金属箔粉工業株式会社の製品)を用い、金属微粒子の原料として、実施例1のテトラアンミン銅硝酸塩を用い、有機化合物として、実施例1のイソプロピルグリコールを用いた。
最初に、テトラアンミン銅硝酸塩の0.01モルに相当する2.6gを100ccのメタノールに分散する。この分散液に、イソプロピルグリコールの20ccを混合した。この混合液に銅の扁平粉の64gを混合し、混合物を実施例1で用いた回転装置に充填し、回転と揺動を繰り返して第四の懸濁液を作成した。
本実施例は、懸濁液の第5実施例である。金属の扁平粉は、37段落の第9実施形態で説明した厚みが0.20μmで、平均粒径が3.0μmからなる金の扁平粉(例えば、株式会社今井金箔の製品)を用い、金属微粒子の原料として、実施例2のオクチル酸銅を用い、有機化合物として、実施例2のヘキシルグリコールを用いた。
最初に、オクチル酸銅の0.01モルに相当する3.5gを100ccのメタノールに分散する。この分散液に、ヘキシルグリコールの11ccを混合した。この混合液に金の扁平粉の137gを混合し、混合物を実施例1で用いた回転装置に充填し、回転と揺動を繰り返して第五の懸濁液を作成した。
実施例1で作成した第一の懸濁液を、厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシート(例えば、住友ベークライト株式会社の製品EPG100)の小片に、22μmの厚みとして印刷した。この後、小片の複数枚を加振機の上に配置し、左右、前後、上下の3方向の0.2Gの振動加速度を5秒間ずつ3回繰り返し、最後に、0.2Gの上下方向の振動加速度を10秒間加えた。さらに、小片の複数枚を水素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、200℃まで昇温し、200℃で5分間熱処理した。なお、ポリエチレンテレフタレートPET樹脂は、窒素雰囲気では熱分解が425℃で始まる。
最初に、作成した試料の膜厚を、反射分光膜厚計(大塚電子株式会社の製品FE−3000)で測定した。試料は1.58μmの膜厚から形成されていたが、部分的に2.20μmの厚みが形成されていた。
次に、分光測色計(コニカミノルタジャパン株式会社の製品CM−700d)によって分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、385nmの波長で最も高く、次に448nmの波長で高く、また、447nmと450nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも紫の色彩を放つ波長である。
さらに、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡(JFEテクノリサーチ株式会社の極低加速電圧SEM)で行なった。この装置は、100Vからの極低加速電圧による観察が可能で、試料に導電性の被膜を形成せずに直接試料が観察できる特長を持つ。試料を厚み方向に2つに切断し、切断面を観察した。
最初に、反射電子線の900−1000Vの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行い、試料の表面を観察した。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、銀の扁平粉の表面に微粒子が4層を形成して積層し、3枚の銀の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。
次に、試料の表面と複数の断面からの反射電子線について、900−1000Vの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡で微粒子の材質を分析した。いずれの粒状微粒子にも濃淡が認められなかったので、単一原子から構成されていることが分かった。さらに、試料の表面と複数の断面からの特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒子を構成する元素の種類を分析した。粒状微粒子は銅原子のみで構成されていたため、銅の粒状微粒子である。
これらの結果から、金属結合した銅微粒子の集まりが4層を形成して積み重なり、銀の扁平粉の表面を覆うとともに、銅微粒子の金属結合を介して銀の扁平粉の3枚が、扁平面同士が重なり合って結合された銀の扁平粉の集まりからなる薄膜が、PET樹脂のシート表面に形成された。図1に、試料の断面を模式的に示す。1は銀の扁平粉で、2は銅微粒子で、3はPET樹脂のシートである。
この薄膜は1.58μmの膜厚からなり、部分的に2.20μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、1.58μmの膜厚に相当する干渉現象が380nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、2.20μmの膜厚に相当する干渉現象が448nmの波長で起こった。さらに、447nmと450nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、448nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
実施例1で作成した第一の懸濁液を、実施例6で用いた厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシートの小片に、31μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、水素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、200℃まで昇温し、200℃で5分間熱処理した。
最初に、作成した試料の膜厚を、実施例6で用いた反射分光膜厚計で測定した。試料は2.20μmの膜厚から形成され、部分的に2.82μmの厚みが形成されていた。
次に、実施例6で用いた分光測色計で分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、448nmの波長で最も高く、次に489nmの波長で高く、また、486nmと492nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも青の色彩を放つ波長である。
さらに、実施例6と同様に、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡で行なった。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状の銅微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、銀の扁平粉の表面に銅微粒子が3層を形成して積層し、5枚の銀の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。試料断面の構造は、実施例6に類似しているため図示しない。
この薄膜は2.20μmの膜厚からなり、部分的に2.82μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、2.20μmの膜厚に相当する干渉現象が448nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、2.82μmの膜厚に相当する干渉現象が489nmの波長で起こった。さらに、486nmと492nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、489nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
実施例1で作成した第一の懸濁液を、実施例6で用いた厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシートの小片に、42μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、水素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、200℃まで昇温し、200℃で5分間熱処理した。
最初に、作成した試料の膜厚を、実施例6で用いた反射分光膜厚計で測定した。試料は2.96μmの膜厚から形成され、部分的に3.58μmの厚みが形成されていた。
次に、実施例6で用いた分光測色計で分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、513nmの波長で最も高く、次に571nmの波長で高く、また、569nmと574nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも緑の色彩を放つ波長である。
さらに、実施例6と同様に、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡で行なった。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状の銅微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、銀の扁平粉の表面に銅微粒子が4層を形成して積層し、6枚の銀の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。試料断面の構造は、実施例6に類似しているため図示しない。
この薄膜は2.96μmの膜厚からなり、部分的に3.58μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、2.96μmの膜厚に相当する干渉現象が513nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、3.58μmの膜厚に相当する干渉現象が571nmの波長で起こった。さらに、569nmと574nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、3.58nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
実施例2で作成した第二の懸濁液を、実施例6で用いた厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシートの小片に、15μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、窒素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、340℃まで昇温し、340℃で1分間熱処理した。
最初に、作成した試料の膜厚を、実施例6で用いた反射分光膜厚計で測定した。試料は1.05μmの膜厚から形成され、部分的に1.45μmの厚みが形成されていた。
次に、実施例6で用いた分光測色計で分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、542nmの波長で最も高く、次に567nmの波長で高く、また、566nmと568nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも緑の色彩を放つ波長である。
さらに、実施例6と同様に、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡で行なった。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状の銅微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、金の扁平粉の表面に銅微粒子が3層を形成して積層し、3枚の金の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。試料断面の構造は、実施例6に類似しているため図示しない。
この薄膜は1.05μmの膜厚からなり、部分的に1.45μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、1.05μmの膜厚に相当する干渉現象が542nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、1.45μmの膜厚に相当する干渉現象が567nmの波長で起こった。さらに、566nmと568nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、567nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
実施例3で作成した第三の懸濁液を、実施例6で用いた厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシートの小片に、22μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、窒素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、340℃まで昇温し、340℃で1分間熱処理した。
最初に、作成した試料の膜厚を、実施例6で用いた反射分光膜厚計で測定した。試料は1.50μmの膜厚から形成され、部分的に1.84μmの厚みが形成されていた。
次に、実施例6で用いた分光測色計で分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、570nmの波長で最も高く、次に588nmの波長で高く、また、587nmと589nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも黄色の色彩を放つ波長である。
さらに、実施例6と同様に、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡で行なった。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状の銅微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、金の扁平粉の表面に銅微粒子が3層を形成して積層し、5枚の金の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。試料断面の構造は、実施例6に類似しているため図示しない。
この薄膜は1.50μmの膜厚からなり、部分的に1.84μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、1.50μmの膜厚に相当する干渉現象が570nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、1.84μmの膜厚に相当する干渉現象が588nmの波長で起こった。さらに、587nmと589nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、588nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
実施例4で作成した第四の懸濁液を、実施例6で用いた厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシートの小片に、15μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、水素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、200℃まで昇温し、200℃で5分間熱処理した。
最初に、作成した試料の膜厚を、実施例6で用いた反射分光膜厚計で測定した。試料は1.05μmの膜厚から形成され、部分的に1.75μmの厚みが形成されていた。
次に、実施例6で用いた分光測色計で分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、594nmの波長で最も高く、次に622nmの波長で高く、また、621nmと623nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも橙の色彩を放つ波長である。
さらに、実施例6と同様に、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡で行なった。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状の銅微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、銅の扁平粉の表面に銅微粒子が3層を形成して積層し、2枚の銅の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。試料断面の構造は、実施例6に類似しているため図示しない。
この薄膜は1.05μmの膜厚からなり、部分的に1.75μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、1.05μmの膜厚に相当する干渉現象が594nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、1.75μmの膜厚に相当する干渉現象が622nmの波長で起こった。さらに、621nmと623nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、622nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
実施例2で作成した第二の懸濁液を、実施例6で用いた厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシートの小片に、28μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、窒素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、340℃まで昇温し、340℃で1分間熱処理した。
最初に、作成した試料の膜厚を、実施例6で用いた反射分光膜厚計で測定した。試料は1.95μmの膜厚から形成され、部分的に2.35μmの厚みが形成されていた。
次に、実施例6で用いた分光測色計で分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、594nmの波長で最も高く、次に617nmの波長で高く、また、616nmと618nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも橙の色彩を放つ波長である。
さらに、実施例6と同様に、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡で行なった。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状の銅微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、金の扁平粉の表面に銅微粒子が4層を形成して積層し、5枚の金の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。試料断面の構造は、実施例6に類似しているため図示しない。
この薄膜は1.95μmの膜厚からなり、部分的に2.35μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、1.95μmの膜厚に相当する干渉現象が594nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、2.35μmの膜厚に相当する干渉現象が617nmの波長で起こった。さらに、616nmと618nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、617nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
実施例6で作成した第六の懸濁液を、実施例6で用いた厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシートの小片に、36μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、窒素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、340℃まで昇温し、340℃で1分間熱処理した。
最初に、作成した試料の膜厚を、実施例6で用いた反射分光膜厚計で測定した。試料は2.50μmの膜厚から形成され、部分的に3.00μmの厚みが形成されていた。
次に、実施例6で用いた分光測色計で分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、626nmの波長で最も高く、次に658nmの波長で高く、また、656nmと660nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも赤の色彩を放つ波長である。
さらに、実施例6と同様に、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡で行なった。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状の銅微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、金の扁平粉の表面に銅微粒子が5層を形成して積層し、5枚の金の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。試料断面の構造は、実施例6に類似しているため図示しない。
この薄膜は2.50μmの膜厚からなり、部分的に3.00μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、2.50μmの膜厚に相当する干渉現象が626nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、3.00μmの膜厚に相当する干渉現象が658nmの波長で起こった。さらに、656nmと660nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、658nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
実施例4で作成した第四の懸濁液を、実施例6で用いた厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシートの小片に、24μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、水素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、200℃まで昇温し、200℃で5分間熱処理した。
最初に、作成した試料の膜厚を、実施例6で用いた反射分光膜厚計で測定した。試料は1.70μmの膜厚から形成され、部分的に2.40μmの厚みが形成されていた。
次に、実施例6で用いた分光測色計で分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、620nmの波長で最も高く、次に746nmの波長で高く、また、740nmと753nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも赤の色彩を放つ波長である。
さらに、実施例6と同様に、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡で行なった。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状の銅微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、銅の扁平粉の表面に銅微粒子が4層を形成して積層し、3枚の銅の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。試料断面の構造は、実施例6に類似しているため図示しない。
この薄膜は1.70μmの膜厚からなり、部分的に2.40μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、1.70μmの膜厚に相当する干渉現象が620nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、2.40μmの膜厚に相当する干渉現象が746nmの波長で起こった。さらに、753nmと740nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、746nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
なお、銅の屈折率は、710nm近辺から750nm近辺までの波長領域においては、波長の増加率に対し屈折率の増加率が大きく変わる。すなわち、709nmから729nmにおいて、波長が2.8%増加するのに対し、屈折率は0.216から0.223として3.2%増加する。これに対し、729nmから752nmにおいて、波長が3.1%増加するのに対し、屈折率は0.233から0.237として6.2%増加する。このため、膜厚が2.38μmの薄膜は753nmの波長に相当する光線の干渉現象を起こし、膜厚が2.40μmの薄膜は746nmの波長に相当する光線の干渉現象を起こし、膜厚が2.42μmの薄膜は740nmの波長に相当する光線の干渉現象を起こす。
実施例6で記載した紫の色彩を放つ薄膜と、実施例14で記載した赤の色彩を放つ薄膜とを、各々の薄膜が1cmの幅で、互いに隣り合うように、各々の5つずつの薄膜を、厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂のシートに、等間隔で形成する。
実施例1で作成した第一の懸濁液を、PET樹脂のシートの小片に、1cmの幅で1cmの間隔を置いて、5つの塗膜を22μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、水素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、200℃まで昇温し、200℃で5分間熱処理した。
次に、前記のPET樹脂のシートの小片の薄膜が形成されていな部位に、実施例4で作成した第四の懸濁液を、24μmの厚みで印刷した。この後、前記と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、水素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、200℃まで昇温し、200℃で5分間熱処理した。PET樹脂のシートの小片から、紫と赤の色彩が混合された色彩を発色した。
また、本発明に依れば、特定した色彩を放つ薄膜は、8段落で説明した8つ作用効果をもたらすため、様々な用途が新たに開ける。
本発明は、特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる金属の薄膜を、基材の表面に形成する方法に係わる。従って、この薄膜は任意の色彩を放つ。
また、特許文献2に、金属酸化物からなるコア部と、ポリドーパミンからなるシェル部とからなる構造色を呈する微粒子が記載されている。この構造色を呈する微粒子の用途は、ハードコピーに用いるインクに限定される。また、微粒子の外側のシェル部が、有機材料のポリドーパミンであるため、紫外線の照射によって継時劣化する。
こうした6つの性質を兼備する薄膜を基材に形成する形成方法を見出すことが、本発明が解決しようとする課題である。
なお、本薄膜の形成方法に依れば、薄膜の膜厚を予め見積もることが可能になり、薄膜が放つ色彩を予め設定することができる。つまり、第一に、金属の扁平粉の扁平面同士が互いに重なるように結合するため、結合した扁平粉の厚みが見積もれる。第二に、金属の扁平粉の厚みより1桁大きさが小さい金属微粒子を、扁平粉の扁平面同士が互いに重なり合って結合する手段として用い、扁平粉の表面に析出した金属微粒子の積層数を、懸濁液を作成する際の金属化合物の配合割合として設定することができ、結合した扁平粉の厚み、すなわち、薄膜の厚みの微細調整が可能になる。これによって、薄膜の膜厚を予め見積もることが可能になり、可視光線の波長領域における金属の屈折率が既知であるため、薄膜を形成するにあたり、可視光線の波長領域で薄膜が放つ色彩を予め設定することができる。
本薄膜の形成方法は、第一に、金属化合物をアルコールに分散し、アルコール分散液を作成する。第二に、アルコール分散液に、3つの性質を兼備する有機化合物を混合し、混合液を作成する。第三に、混合液に金属の扁平粉の集まり混合し、懸濁液を作成する。第四に、懸濁液を回転および揺動する。第五に、薄膜を形成する基材に懸濁液を印刷する。第六に、基材に、左右、前後、上下の3方向の振動を繰り返し加える。第七に、前記基材を、金属化合物が熱分解する温度に昇温する。これによって、扁平粉の表面に析出した金属微粒子が金属結合し、扁平面同士が重なり合った平面に近い平滑性を持つ薄膜が、基材に形成される。この薄膜は、表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いが部分的に生じ、薄膜の表面で複数の光線を反射するが、可視光線の波長領域で特定した同一の色彩を放つ複数の光線として表面で反射する干渉現象を起こす。この干渉現象は9段落で説明する。また、薄膜は下記に説明する8つの作用効果をもたらす。
なお、金属化合物はアルコールに分子状態となって分散され、金属微粒子の原料である金属化合物が液相化される。さらに、有機化合物がアルコールに溶解ないしは混和する性質を持つため、有機化合物がアルコールに溶解ないしは混和し、混合液を構成する。このため、金属化合物は、混合液中に分子状態で均一に分散される。これによって、全ての扁平粉に金属微粒子の集まりが析出し、この金属微粒子が金属結合することで、扁平面同士が重なり合って結合した扁平粉の集まりが、特定の色彩を放つ光線の干渉現象を起こす厚みを有する薄膜として、基材の表面に結合する。
本薄膜の形成方法は、アルコール分散液の作成と混合液の作成と懸濁液の作成とを、一つの容器を用いて連続して行うと、一回のバッチ処理で大量の懸濁液が容器内に製造される。また、混合機による一回のバッチ処理で、大量の攪拌された懸濁液が容器内に製造される。しかし、懸濁液を基材に印刷するだけでは、扁平面同士が重なり合った扁平粉の集まりからなる薄膜は形成できない。このため、懸濁液を印刷した基材に、左右、前後、上下の3方向の振動を繰り返し加え、懸濁液中で扁平面同士が重なり合うように扁平粉が配列させる。この後、基材を金属化合物が熱分解される温度まで昇温し、基材に薄膜を形成する。なお、可視光線の波長領域で特定した同一の色彩を放つ複数の光線が反射する干渉現象を起こす膜厚は、1−4μmの厚みからなる。従って、混合液の粘度はアルコールの粘度の2倍程度と低い。
ここで、懸濁液に対する前記の処理で、扁平面同士が重なり合った扁平粉の集まりになる過程を説明する。最初に、混合機内で懸濁液を回転及び揺動させ、扁平粉の集まりをランダムに混合させる。これによって、全ての扁平粉の表面に混合液が吸着する。この後、懸濁液を印刷した基材を加振機の上に配置し、基材に左右、前後、上下の3方向の振動を繰り返し加える。この際、混合液が低粘度であるため、基材の表面の凹部に混合液が入り込む。また、懸濁液中では扁平粉同士が直接接触しないため、扁平粉は懸濁液中で移動する。この際、扁平粉同士の間隙に粒径が小さい扁平粉が入り込む扁平粉の配列と、全ての扁平粉が扁平面同士で重なり合う扁平粉の配列とが継続する。最後に上下方向の振動を加え、基材への加振を停止すると、金属からなる扁平粉の密度が有機化合物の密度より大きいため、扁平面同士が重なり合った扁平粉の集まりが懸濁液中に沈む。なお、懸濁液中で扁平粉の配列を行う振動加速度は、扁平粉が微細であるため、0・2G程度と小さい。
次に、前記の処理で薄膜が形成される過程を説明する。基材を金属化合物が熱分解する温度に昇温すると、昇温に準じて次の現象が生じる。アルコールの沸点に達すると、懸濁液からアルコールが気化し、全ての扁平粉の表面に、金属化合物の微細結晶が一斉に析出し、扁平粉は微細結晶の集まりで覆われる。この微細結晶の大きさは、熱分解で析出する金属微粒子の大きさに近く、基材の表面の凹部の幅と深さより1桁小さいため、基材の表面の凹部にも、微細結晶の集まりが析出する。さらに、有機化合物が気化した後に、金属化合物を構成する無機物ないしは有機物の沸点に達すると、金属化合物が無機物ないしは有機物と金属とに分解する。無機物ないしは有機物の密度が金属の密度より小さいため、無機物ないしは有機物が上層に、金属が下層に析出し、上層の無機物ないしは有機物が気化した後に、扁平粉の平均粒径より2桁小さい40−60nmの大きさの金属の粒状微粒子が一斉に析出し、金属化合物は熱分解を終える。析出した金属は不純物を持たず、互いに接触する部位で金属微粒子同士が金属結合する。このため、扁平粉の表面に析出した金属微粒子の集まりが金属結合し、扁平面同士が重なり合った扁平粉の各々が、金属結合した金属微粒子で覆われるとともに、金属微粒子の金属結合で扁平粉同士が結合され、扁平面同士が重なり合った扁平粉の集まりからなる薄膜が形成される。いっぽう、基材の表面の凹部に析出した金属化合物が金属微粒子になるため、表面の凹部にも金属微粒子の集まりが析出し、金属微粒子が接触部位で金属結合する。従って、基材表面の凹部における金属微粒子の集まりは、この金属微粒子の集まりと接する扁平粉の集まりからなる薄膜の最下面の金属微粒子の集まりと金属結合する。この結果、基材表面の凹部における金属結合した金属微粒子の集まりによるアンカー効果で、薄膜は一定の結合強度で基材表面に結合する。また、薄膜は金属微粒子の金属結合力に基づく機械的強度を持つ。いっぽう、特定した同一の色彩を放つ複数の光線が反射する干渉現象を起こす膜厚は、可視光線の波長領域で1−4μmであり、薄膜は極めて軽量である。従って、薄膜に各種の応力が加わっても、薄膜は基材の表面から剥がれにくい。なお、金属化合物の熱分解反応は、金属化合物の微細結晶が金属微粒子に置き換わる反応であり、金属微粒子の大きさが微細結晶の大きさに近いため、扁平粉の表面に吸着した金属化合物の微細結晶が、金属微粒子に置き換わっても、扁平面同士が重なり合った扁平粉の配列は崩れない。この結果、扁平面同士が重なり合った扁平粉の各々が、金属微粒子の金属結合で結合され、扁平粉の集まりが薄膜を形成する。この薄膜は、基材の表面に一定の強度で結合する。
ここで、前記した方法で形成した薄膜の作用効果を説明する。
第1の作用効果は、9段落で説明するように、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いが部分的に生じるが、薄膜の表面で反射する複数の光線が、可視光線の波長領域で特定した同一の色彩を放つ複数の光線となる膜厚を薄膜が有する。従って、薄膜は、特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する干渉現象を起こす。これによって、薄膜は、可視光線の波長領域において、特定した色彩を放つ。このため、薄膜は、任意の色彩を放つ塗膜として用いることができる。つまり、薄膜における金属微粒子が占める体積は1%程度であり、薄膜における光路は、扁平粉の金属の屈折率に、薄膜の膜厚を掛けた値の2倍になる。このため、9段落に説明する干渉現象を起こす関係式において、扁平粉の金属の屈折率と、薄膜の膜厚とによって、干渉現象を起こす波長が任意に設定できる。この結果、薄膜は特定した色彩を放つ。この干渉現象は、同一の色彩を放つ光線の波長領域と、この波長領域における金属の屈折率と、扁平粉の厚みの3つの項目によって実現できる。このため、12段落以降の各段落で、各々の色彩ごとの3項目の具体例によって、各々の色彩ごとの干渉現象を説明する。
第2の作用効果は、薄膜を塗膜として用いると、薄膜は金属の扁平粉と金属微粒子とで構成されるため、塗膜に紫外線が長期に亘って照射されても、塗膜は劣化しない。また、長期にわたって塗膜が大気に晒されても、塗膜の表面の金属微粒子の表層の一部が金属酸化物に酸化されるだけで、金属微粒子の金属結合力は変わらず、また、塗膜の厚みは変わらず、扁平粉が酸化されないため、扁平粉の屈折率が変化しない。このため、塗膜は、長期に亘って初期の色彩を放ち続ける。
第3の作用効果は、厚みが僅か1−4μmからなる極めて軽量の薄膜が、基材表面の凹部に金属結合した金属微粒子の集まりのアンカー効果で、基材の表面に結合する。従って、各種の応力が薄膜に加わっても、薄膜からなる塗膜は剥がれにくい。
第4の作用効果は、耐熱性が低い合成樹脂であっても、多くの合成樹脂は、熱分解が開始する温度が、金属化合物が熱分解する温度より高い。従って、合成樹脂に薄膜を形成しても、合成樹脂の性質は変わらない。このため、基材の材質に拘わらず、干渉現象をもたらす薄膜が形成できる。さらに、基材の大きさと形状とに拘わらず、基材に懸濁液が印刷でき、基材の大きさと形状に拘わらず、薄膜が形成できる。従って、汎用的に用いることができる塗膜が、基材に形成できる。
第5の作用効果は、薄膜は、99%程度の体積が金属の扁平粉で占められるため、薄膜の導電性は扁平粉の導電度に準じ、熱伝導性は扁平粉の熱伝導度に準じる。このため、薄膜からなる塗膜は、電磁波シールド膜と帯電防止膜の機能を併せ持つ。また、金属に準ずる耐熱性と耐寒性とを持ち、大気雰囲気での塗膜の寿命は極めて長い。さらに、金属からなる薄膜は不燃性である。
第6の作用効果は、薄膜の表面は潤滑被膜として作用する。つまり、厚みがサブミクロンの扁平粉の扁平面同士が重なり合って薄膜を形成するため、薄膜の表面は平面に近い平滑性を持つ。また、薄膜の表面は、扁平粉の平均粒径より大きさが2桁小さい金属結合した金属微粒子で覆われる。従って、薄膜に接触した基材ないしは部品が、金属微粒子との間で多点接触に近い摩擦を行い、摩擦力は小さい。また、薄膜が受けるせん断応力が、数多くの金属微粒子に分散される。このため、薄膜の表面は、摩擦係数が小さい潤滑膜として作用する。従って、薄膜は摩耗しにくく、薄膜の寿命が極めて長い。
第7の作用効果は、薄膜の表面は撥水性や防汚性の作用をもたらす。つまり、薄膜の表面は、金属結合した金属微粒子の集まりで覆われ、金属微粒子の大きさである40−60nmの凹凸に基づく超撥水性を持つ。このため、薄膜の表面は撥水性と防汚性とを併せ持つ。従って、薄膜に異物が付着しにくく、薄膜は長期に亘って初期の色彩を放ち続ける。
第8の作用効果は、安価な材料を用い、安価な費用で干渉現象を起こす薄膜が形成できる。すなわち、懸濁液を構成する金属化合物と有機化合物と金属の扁平粉とは、汎用的な工業用材料で、さらに、膜厚が1−4μmの薄膜を、扁平面同士が重なり合って結合させるため、使用する扁平粉の量が僅かで、貴金属からなる扁平粉を用いても、薄膜の原料は安価である。また、薄膜を形成する方法は、いずれも極めて簡単な7つの処理からなり、懸濁液の製造費と薄膜の加工費は安価で済む。さらに、金属化合物の熱分解温度は、200℃ないしは340℃であり、熱処理費用も安価で済む。このため、本発明における薄膜の形成方法は、安価な材料を用い、安価な薄膜を形成する方法である。
以上に説明したように、本発明の薄膜は、6段落に記載した6つの性質を持つ薄膜として用いることができ、さらに、6段落に記載しなかった2つの性質を兼備する画期的な薄膜になる。
薄膜の表面に光が当たると、光波の波面の一部が薄膜の上面で反射する。また、他の一部が屈折して薄膜の内部に入射し、下面で反射し、さらに上面で屈折し、薄膜の上面で2つの光波が干渉する。薄膜の上面で反射した光は、固定端で反射するため、位相がπずれる。いっぽう、薄膜の内部に入射し、下面で反射し、さらに上面で屈折した光は、自由端で反射するため、位相はずれない。2つの光の光路差は、薄膜の屈折率をnとし、空気の屈折率を1.0とし、屈折角をθとすると、2n・d・cosθになる。いっぽう、ヤングの干渉実験や回折格子による干渉において、光の波長をλとすると、光路差が波長の整数倍の時に、光が強め合うことが分かっている。上面で反射した光波の位相がπだけずれているため、光路差が(m+1/2)・λの時に2つの光波が強め合う。ここで、mは整数である。従って、2n・d・cosθ=(m+1/2)・λの関係が成立したと時に、光線が干渉現象を起こす。ここで、薄膜が観察者から離れている距離にある場合は、屈折角はゼロに近いため、2n・d=(m+1/2)・λの関係になる。この関係式は、高等学校の物理の教科書などに記載され、よく知られた式である。なお、観察者が薄膜に近づいた場合は、屈折角はゼロにならず、観察者が観察する干渉現象を起こす光線の波長λは、λ・cosθだけ低波長にずれる。
前記したように、薄膜の膜厚dが、波長λからなる光線を反射する干渉現象は、膜厚dと波長λとの間で、2n・d=(m+1/2)・λの関係式が成立する。この関係式において、整数mが1の時に干渉現象を起こす膜厚が最も薄くなり、干渉現象を起こす波長は唯一存在する。これに対し、整数mが2である場合は、干渉現象を起こす波長は、整数mが1である場合と、整数mが2である場合との双方によって干渉現象が起こる。従って、特定した波長のみを反射する薄膜の干渉現象は、整数mが1の場合のみに起こる。
いっぽう、薄膜が扁平粉の扁平面同士が重なり合って形成されるため、基材への懸濁液の印刷精度に拘わらず、膜厚は表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いが部分的に生ずる。従って、薄膜の膜厚dは部分的に厚くなり、この厚くなった膜厚d´は、前記した波長λとは異なる波長λ´との間で、2n・d´=(1+1/2)・λ´の関係式が成立する。これらの波長λとλ´とが同一の色彩を放つ光線であれば、本発明における特定した同一の色彩を放つ複数の波長を反射する膜厚からなる薄膜になる。このため、同一の色彩を放つ光線の波長領域と、この波長領域における金属の屈折率と、用いる金属の扁平粉の厚みを考慮し、前記した関係式に基づき、前記したλとλ´とが同一の色彩を放つ波長になるように、膜厚dとd´とを設定する。つまり、膜厚が、扁平粉の厚みの2枚分の厚みの違いを部分的に持つが、この膜厚の違いに拘わらず、薄膜は同一の色彩からなる複数の光線を表面で反射する。このような薄膜は、可視光線の波長領域で、膜厚を1−4μmの膜厚とすることで、同一の色彩を放つ複数の光線を表面で反射する干渉現象を起こす。
こうした特定した同一の色彩を放つ複数の光線を表面で反射する膜厚からなる薄膜の干渉現象は、同一の色彩を放つ光線の波長領域と、この波長領域における金属の屈折率と、用いる金属の扁平粉の厚みとの3つの項目に係わる具体例で実現できる。このため、12段落以降の各段落で、各々の色彩ごとの具体例で、各々の色彩の干渉現象を説明する。
また、本薄膜の形成方法によれば、膜の幅が任意に設定でき、各々の色彩を放つ光線の強度が任意に変えられ、薄膜が発色する混合された複数種類の色彩が広がる。さらに、各々の色彩を放つ膜の配列順序と膜幅との双方が任意に変えられ、薄膜が発色する混合された色彩がさらに広がる。この薄膜を塗膜に用いると、塗膜は、単色では得られない様々な複数種類の色彩が混合された色彩を放つ。なお、薄膜は、8段落に記載した第2−第8の作用効果をもたらす。
なお、9段落で説明したように、特定した同一の色彩を放つ複数の光線を表面で反射する膜厚からなる薄膜の干渉現象は、同一の色彩を放つ光線の波長領域と、この波長領域における金属の屈折率と、扁平粉の厚みとの3つの項目に係わる具体例によって実現できる。このため、12段落以降の各段落で、各々の色彩ごとの具体例で、各々の色彩の干渉現象を説明する。
すなわち、銀の屈折率は、380nmで0.20であり、長波長側に移るにつれ屈折率が微減し、570nm近辺で屈折率が40%減って、0.12になり、さらに、長波長側に移るにつれ屈折率が微増し、750nmで屈折率が23%増えて、0.15になる。このように、銀は屈折率が小さく、かつ、屈折率の波長依存性も小さい。
これに対し、380nm−750nmの可視光線の波長領域において、扁平粉を形成する展性に優れた金属の屈折率は、例えば、銅の屈折率が1.21−0.24で、アルミニウムの屈折率が0.44−2.40で、金の屈折率が1.68−0.17であり、これら金属の屈折率は、波長によって大きく変わる。これに対し、銀の屈折率は0.20−0.15で、可視光線の全波長領域において、屈折率が最も小さく、かつ、屈折率の波長依存性も最も小さい。
ここで、紫の色彩を放つ波長領域の一つの目安となる両端部である、380nmと450nmとの波長で、干渉現象を起こす最も厚みが薄い膜厚を説明する。9段落で説明した干渉現象を起こす関係式で、整数mを1とし、380nmの波長を反射する膜厚は、銅の扁平粉が0.23μmで、アルミニウムの扁平粉が0.65μmで、金の扁平粉が0.17μmである。これに対し、銀の扁平粉は1.44μmと厚い。また、整数mを1とし、450nmの波長を反射する膜厚は、銅の扁平粉が0.29μmで、アルミニウムの扁平粉が0.55μmで、金の扁平粉が0.22μmである。これに対し、銀の扁平粉は2.24μmと厚い。2つの波長における干渉現象を起こす膜厚差は、銀の扁平粉が0.80μmで、銅の扁平粉が0.06μmで、アルミニウムの扁平粉が0.10μmで、金の扁平粉が0.05μmである。従って、銀の扁平粉からなる薄膜の膜厚差のみが、厚みがサブミクロンからなる2枚の扁平粉の厚みより大きい。このため、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いがあっても、銀の扁平粉のみが、紫の色彩を放つ複数の光線を表面で反射する膜厚からなる薄膜が形成できる。
すなわち、サブミクロンの厚みからなる銀の扁平粉を用い、銀の扁平粉の集まりで形成する薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、1.44−2.24μmの幅に収まる薄膜を形成すれば、紫の色彩を放つ一つの目安となる380−450nmの波長領域で、紫の色彩を放つ干渉現象を起こす。このため、厚みが0.40μmより薄い銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚幅が1.44−2.24μmの幅に収まる薄膜を形成すると、この薄膜は、紫の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、紫の色彩を放つ干渉現象を起こす薄膜の膜厚幅が0.80μmと狭い。しかし、懸濁液を作成する際に、使用する銀の扁平粉の量に対する金属化合物の量を調節すると、銀の扁平粉同士を覆う積層した金属微粒子の数が調整され、目標とする膜厚の薄膜が形成できる。また、膜厚が1.44−2.24μmの幅に収まるため、銀の扁平粉の使用量が少なく、薄膜は安価に製造できる。なお、銀の扁平粉を用い、紫の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、紫の色彩を放つ波長領域における銀の屈折率に基づき、実施形態1で具体的に説明する。
いっぽう、銀は金に次いで展性が優れるため、厚みがサブミクロンからなる扁平粉が容易に製造できる。また、金属の中で最も優れた電気導電性と熱伝導性とを併せ持つため、薄膜は銀に準ずる電気導電性と熱伝導性とを併せ持つ。
以上に説明したように、銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、紫の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成すると、紫の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜が基材に形成できる。
すなわち、サブミクロンの厚みからなる銀の扁平粉を用い、銀の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、2.24−2.86μmの膜厚の幅に収まれば、青の色彩を放つ一つの目安となる450−495nmの波長領域で、青の色彩を放つ干渉現象を起こす。このため、0.31μmより厚みが薄い銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、薄膜の膜厚幅が2.24−2.86μmの幅に収まる薄膜を作成すると、この薄膜は、青の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、青の色彩を放つ干渉現象を起こす薄膜の膜厚幅が、0.62μmと狭い。しかし、13段落で説明したように、懸濁液を作成する際に、使用する銀の扁平粉の量に対する金属化合物の量を調節することで、銀の扁平粉同士を覆う積層した金属微粒子の数が調整され、目標とする膜厚の薄膜が形成できる。また、膜厚が2.24−2.86μmの幅に収まるため、銀の扁平粉の使用量が少なく、薄膜は安価に製造できる。なお、銀の扁平粉を用い、青の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、青の色彩を放つ波長領域における銀の屈折率に基づいて、実施形態2で具体的に説明する。
以上に説明したように、銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、青の色彩を放つ複数の光線を表面で反射する膜厚からなる薄膜を形成すると、青の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜が基材に形成される。
すなわち、サブミクロンの厚みからなる銀の扁平粉を用い、銀の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、2.86−3.56μmの膜厚幅に収まれば、緑の色彩を放つ一つの目安となる495−570nmの波長領域で、緑の色彩を放つ干渉現象を起こす。このため、厚みが0.35μmより薄い銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚幅が2.86−3.56μmに収まる薄膜を作成すると、この薄膜は、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、銀の屈折率は、495−540nmの波長領域では、有効数字の4桁目が僅かに変わるだけで0.130であり、540−570nmの波長領域では、わずかな減少率で単調減少し、570nmの波長で0.120の値となる。このため、495−570nmの波長領域で、2.86−3.56μmになる。なお、緑の色彩を放つ干渉現象を起こす薄膜の膜厚幅が、0.70μmと狭い。しかし、13段落で説明したように、懸濁液を作成する際に、使用する銀の扁平粉の量に対する金属化合物の量を調節することで、銀の扁平粉同士を覆う積層した金属微粒子の数が調整され、目標とする膜厚の薄膜が形成できる。なお、銀の扁平粉を用い、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、緑の色彩を放つ波長領域における銀の屈折率に基づいて、実施形態3で具体的に説明する。
これに対し、サブミクロンの厚みからなる金の扁平粉を用い、金の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いで、一つの目安として、0.40−1.49μmの膜厚の幅に収まれば、緑の色彩を放つ一つの目安となる495−570nmの波長領域で、緑の色彩を放つ干渉現象を起こす。しかし、厚みが0.55μmより薄い金の扁平粉を用い、厚みが0.40μmの薄膜は形成できない。この理由は、金の屈折率は、495−570nmの波長領域で単調減少するが、前記した銀の屈折率に比べて大きな屈折率を持ち、干渉現象を起こす膜厚が薄いことによる。すなわち、金の屈折率は、496nmの波長で0.916であり、506nmの波長で0.755であり、517nmの波長で0.608であり、528nmの波長で0.492である。このため、干渉現象を起こす膜厚は、前記した銀の扁平粉からなる膜厚に比べて薄い。すなわち、496nmの波長で0.406μmであり、506nmの波長で0.502μmであり、517nmの波長で0.637μmであり、528nmの波長で0.804μmである。波長が539nmに及んで、膜厚が1.01μmになる。さらに、564nmの波長における膜厚が1.39μmになる。従って、厚みが0.24μmより薄い金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚幅が1.00−1.49μmに収まる薄膜を作成すると、この薄膜は、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。このように、銀の扁平粉を用いる場合に比べると、金の扁平粉の場合は、干渉現象を起こす膜厚の設定幅が0.49μmと狭い。しかし、13段落で説明したように、使用する金の扁平粉の量に対する金属化合物の量を調節することで、金の扁平粉同士を覆う積層された金属微粒子の厚みが調整され、目標とする膜厚の薄膜が形成できる。なお、金の扁平粉を用い、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、緑の色彩を放つ波長領域における金の屈折率に基づいて、実施形態4で具体的に説明する。
なお、膜厚の幅が、金の扁平粉が1.00−1.49μmに、銀の扁平粉が2.86−3.56μmに収まり、貴金属の扁平粉の使用量が少なく、薄膜は安価に製造できる。
いっぽう、金は展性に最も優れる金属であり、厚みがサブミクロンからなる扁平粉は、金箔を機械的に破砕することで容易に製造できる。また、金属の中で、銀、銅に次いで電気導電性に優れ、銀に次いで熱伝導性に優れるため、薄膜は金に準ずる電気導電性と熱伝導性とを併せ持つ。
以上に説明したように、銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成し、ないしは、金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成し、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜が基材に形成される。
すなわち、サブミクロンの厚みからなる金の扁平粉を用い、金の扁平粉で形成された薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、1.49−1.88μmの膜厚幅に収まれば、黄色の色彩を放つ一つの目安となる570−590nmの波長領域で、黄色の色彩を放つ干渉現象を起こす。このため、厚みが0.20μmより薄い金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚が1.49−1.88μmの幅に収まる薄膜を形成すると、この薄膜は、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、黄色の色彩を放つ干渉現象を起こす膜厚幅が、0.39μmと狭い。しかし、13段落で説明したように、懸濁液を作成する際に、使用する金の扁平粉の量に対する金属化合物の量を調節することで、金の扁平粉同士を覆う積層した金属微粒子の数が調整され、目標とする膜厚の薄膜が形成できる。なお、金の屈折率は、570−590nmの波長領域で単調減少し、0.287−0.236と小さい値を持つ。このため、干渉現象を起こす膜厚は、570−590nmの波長領域で単調増加し、1.49−1.88μmと一定の膜厚幅を形成する。なお、金の扁平粉を用い、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、黄色の色彩を放つ波長領域における金の屈折率に基づいて、実施形態5で具体的に説明する。
また、サブミクロンの厚みからなる銅の扁平粉で形成された薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、0.58−0.95μmの幅に収まれば、黄色の色彩を放つ一つの目安となる570−590nmの波長領域で、黄色の色彩を放つ干渉現象を起こす。このため、厚みが0.19μmより薄い銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚幅が0.58−0.95μmに収まる薄膜を形成すると、この薄膜は、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、銅の屈折率は、570−590nmの波長領域で単調減少し、0.736−0.468の値になる。従って、干渉現象を起こす膜厚は、570−590nmの波長領域で単調増加し、0.58−0.95μmの膜幅になる。なお、銅の扁平粉を用い、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、黄色の色彩を放つ波長領域における銅の屈折率に基づいて、実施形態6で具体的に説明する。
なお、570−590nmの波長領域では、銅の屈折率が金の屈折率より大きいため、干渉現象を起こす膜厚が金の扁平粉を用いる場合より薄い。このため、2つの波長で起こる干渉現象の膜厚差が僅かに小さくなった。いっぽう、厚みが0.20μmより薄い扁平粉の製造は、展性が銅より優れた金の扁平粉の方が相対的に容易である。従って、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜の形成は、金の扁平粉を用いる場合の方が容易である。
なお、銅は金、銀、鉛に次いで展性に優れる金属であり、厚みがサブミクロンからなる扁平粉が製造できる。また、金属の中で、銀に次いで電気導電性と熱伝導性に優れるため、薄膜は銅に準ずる電気導電性と熱伝導性とを併せ持つ。
以上に説明したように、金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成し、ないしは、銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成し、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜が基材に形成される。
すなわち、サブミクロンの厚みからなる銅の扁平粉で形成された薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、0.95−1.71μmの膜厚の幅に収まれば、橙の色彩を放つ波長領域の一つの目安となる590−620nmの波長領域で、橙の色彩を放つ干渉現象を起こす。このため、厚みが0.38μmより薄い銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚が0.95−1.71μmの幅に収まる薄膜を形成すると、この薄膜は、橙の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、銅の屈折率は、590−620nmの波長領域で単調減少し、0.468−0.272と比較的小さな値を持つ。このため、干渉現象を起こす膜厚は、590−620nmの波長領域で単調増加し、0.95−1.71μmと、一定の膜厚を形成する。なお、銅の扁平を用い、橙の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、橙の色彩を放つ波長領域における銅の屈折率に基づいて、実施形態7で具体的に説明する。
また、サブミクロンの厚みからなる金の扁平粉で形成された薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、1.88−2.40μmの膜厚の幅に収まれば、橙の色彩を放つ一つの目安となる590−620nmの波長領域で、橙の色彩を放つ干渉現象を起こす。このため、厚みが0.26μmより薄い金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚が1.88−2.40μmの幅に収まる薄膜を形成すると、この薄膜は、橙の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、金の屈折率は、590−620nmの波長領域で単調減少し、0.236−0.194の小さな値を持つ。このため、干渉現象を起こす膜厚は、590−620nmの波長領域で単調増加し、1.88−2.40μmと、一定の膜厚を形成する。なお、金の扁平粉を用い、橙色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成する方法は、橙の色彩を放つ波長領域における金の屈折率に基づいて、実施形態8で具体的に説明する。
以上に説明したように、銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、橙色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成し、ないしは、金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、橙色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成し、橙の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜が基材に形成される。
なお、銀の扁平粉の膜厚差は0.30μmである。いっぽう、薄膜の表面と裏面との双方において、扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いをもたらす扁平粉の表面にも、金属微粒子の集まりが積層する。この扁平粉に金属微粒子が2層積層すると、銀の扁平粉の厚みが0.10μmであっても、薄膜の表面と裏面との双方の厚みの差は、銀の扁平粉の膜厚差である0.30μmを超える。この結果、0.10μmの厚みからなる銀の扁平粉を用いても、赤の色彩を放つ複数の光線を表面で反射する膜厚を有する薄膜が形成できない。
すなわち、サブミクロンの厚みからなる金の扁平粉で形成された膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、2.40−3.32μmの膜厚幅に収まれば、赤の色彩を放つ一つの目安となる620−750nmの波長領域で、赤の色彩を放つ干渉現象を起こす。従って、厚みが0.46μmより薄い金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚幅が2.40−3.31μmに収まる薄膜を形成すると、この薄膜は、赤の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、金の屈折率は、620−750nmの波長領域で単調減少し、0.194−0.169の小さな値を持つ。このため、干渉現象を起こす膜厚は、620−750nmの波長領域で単調増加し、2.40−3.32μmからなる一定の膜厚を形成する。なお、金の扁平粉を用い、赤色の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、赤の色彩を放つ波長領域における金の屈折率に基づいて、実施形態9で具体的に説明する。
また、サブミクロンの厚みからなる銅の扁平粉で形成された薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、1.71−2.39μmの膜厚の幅に収まれば、赤の色彩を放つ一つの目安となる620−750nmの波長領域で、赤の色彩を放つ干渉現象を起こす。このため、厚みが0.34μmより薄い銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、膜厚幅が1.71−2.39μmに収まる薄膜を形成すると、この薄膜は、赤の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚を有する薄膜になる。なお、銅の屈折率は、620−670nmの波長領域で単調減少し、0.272−0.209の値になる。670−750nmの波長領域では、わずかな増加率で増加し、750nmの波長で0.235になる。このため、干渉現象を起こす膜厚は、620−750nmの波長領域で単調増加し、1.71−2.38μmの幅になる。なお、銅の扁平粉を用い、赤色の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法は、赤の色彩を放つ波長領域における銅の屈折率に基づいて、実施形態10で具体的に説明する。
以上に説明したように、銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、赤の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成し、ないしは、金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、赤の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成し、赤の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜が基材に形成される。
すなわち、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体を、還元雰囲気で熱処理すると、配位結合部が最初に分断され、無機物と金属とに分解される。さらに昇温すると、無機物が気化熱を奪って気化し、すべての無機物の気化が完了した後に金属が析出する。つまり、錯体を構成するイオンの中で、分子の中央に位置する金属イオンが最も大きい。このため、金属イオンと配位子との距離が最も長い。従って、錯体を還元雰囲気で熱処理すると、金属イオンが配位子と結合する配位結合部が最初に分断され、金属と無機物とに分解する。さらに温度が上がると、無機物が気化熱を奪って気化し、気化が完了した後に、金属が析出する。この際、無機物が低分子量であるため、無機物の分子量に応じた180−220℃の低い温度で無機物の気化が完了する。このような錯体として、アンモニアNH3が配位子となって金属イオンに配位結合するアンミン金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、塩素イオンCl−が、ないしは塩素イオンCl−とアンモニアNH3とが配位子となって金属イオンに配位結合するクロロ金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、シアノ基CN−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するシアノ金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、臭素イオンBr−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するブロモ金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体、沃素イオンI−が配位子イオンとなって金属イオンに配位結合するヨード金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体などがある。このような分子量が小さい無機金属化合物からなる錯体は、合成が容易で最も安価な金属錯イオンを有する金属錯体である。
また、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、グリコール類、グリコールエーテル類、ないしはスチレンモノマーからなるいずれか1種類の有機化合物に、メタ―ノールに溶解ないしは混和する第一の性質と、粘度がメタ―ノールの粘度より高い第二の性質と、沸点が無機金属化合物からなる錯体の熱分解温度より低い第三の性質を兼備する有機化合物が存在する。このような有機化合物は、いずれも汎用的な工業用薬品である。このため、有機化合物は、混合液を製造する際の安価な第一の原料になる。
従って、無機金属化合物からなる錯体のメタノール分散液に、前記した有機化合物のいずれか一種類を混合すると、錯体と有機化合物とが分子状態で均一に混ざり合った混合液が大量に製造される。このため、安価な工業用薬品である無機金属化合物からなる錯体と、最も汎用的なアルコールであるメタノールと、汎用的な工業用薬品である有機化合物とを原料として用いると、7段落ないしは10段落に記載した混合液が安価な費用で大量に製造される。このため、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法において、混合液が安価に製造できる。
また、錯体が還元雰囲気で熱分解する温度では、合成樹脂の熱分解が始まらないため、耐熱性が低く、安価な合成樹脂に、特定した単数ないしは複数の色彩を放つ光線の波長を反射する薄膜が形成できる。つまり、合成樹脂の熱分解反応が開始する温度は、還元雰囲気と大気雰囲気とでは大きく異なり、還元雰囲気では合成樹脂の酸化反応が起こらず吸熱反応が起こるため、熱分解が開始する温度は、大気雰囲気に比べて、大きく高温側にシフトする。従って、混合液を付着させた合成樹脂からなる基材を還元雰囲気で昇温すると、合成樹脂の熱分解反応が発生せず、合成樹脂の性質は不可逆変化しない。
ここで、合成樹脂の熱分解について説明する。合成樹脂を昇温すると、所定の温度から合成樹脂の熱分解が開始し、高分子材料である合成樹脂の分子が徐々に断ち切られ、次第に低分子量となって重量が軽減する熱分解反応が進む。従って、合成樹脂の熱分解が始まると分子構造が変わるため、合成樹脂の性質は不可逆変化する。この合成樹脂の分子構造に変化が始まる温度は、重量変化が始まる温度であり、熱重量分析(Thermogravimetory略してTG)で測定される。従って、錯体を熱分解させても、合成樹脂の熱分解が始まらなければ、合成樹脂の性質は変わらない。これによって、合成樹脂の性質を変えることなく、合成樹脂の基材に干渉現象を起こす薄膜が形成できる。
すなわち、合成樹脂の熱分解反応は、酸素ガスが存在する雰囲気と、還元雰囲気とでは大きく異なる。つまり、酸素ガスが存在する雰囲気での熱分解は、酸化反応による熱分解が初期に起こり、燃焼であるため発熱を伴う。この発熱現象が酸化されやすい、つまり、燃えやすい有機物質からなる合成樹脂の熱分解を促進させる。これに対し、還元雰囲気での初期の熱分解は吸熱反応による熱分解であり、酸化反応による発熱現象が生じない。このため、合成樹脂が熱分解を開始する温度は、酸素ガスが存在する雰囲気に比べて大幅に遅れて高温側にシフトする。例えば、高密度ポリエチレン樹脂の熱分解は、大気雰囲気では250℃で開始するが、窒素雰囲気では400℃と150℃も高温側にシフトする。
従って、合成樹脂の基材に懸濁液を印刷し、基材に3方向の振動を加えた後に、還元雰囲気で無機金属化合物からなる錯体を熱分解すれば、合成樹脂の基材に、特定した単数ないしは複数の色彩を放つ波長の光線を反射する薄膜が形成できる。この際、合成樹脂が熱分解されず、合成樹脂の性質は変わらない。
すなわち、オクチル酸C7H15COOHのカルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンに共有結合するオクチル酸金属化合物は、金属イオンが最も大きいイオンであり、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの距離が、他のイオン同士の距離より長い。こうした分子構造上の特徴を持つオクチル酸金属化合物を還元雰囲気で熱処理すると、オクチル酸の沸点を超えると、カルボキシル基を構成する酸素イオンと金属イオンとの結合部が最初に分断され、オクチル酸と金属とに分離する。さらに、オクチル酸が気化熱を奪って気化し、気化が完了すると金属が析出する。このようなオクチル酸金属化合物として、ニッケルを析出するオクチル酸ニッケルNi(C7H15COO)2、銅を析出するオクチル酸銅Cu(C7H15COO)2、アルミニウムを析出するオクチル酸アルミニウムAl(C7H15COO)3など、オクチル酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが金属イオンと共有結合した様々なオクチル酸金属化合物が存在する。
さらに、オクチル酸金属化合物は、容易に合成できる安価な工業用薬品である。すなわち、最も汎用的な有機酸であるオクチル酸を、強アルカリと反応させるとオクチル酸アルカリ金属化合物が生成され、オクチル酸アルカリ金属化合物を無機金属化合物と反応させると、様々な金属との化合物であるオクチル酸金属化合物が合成される。従って、有機金属化合物の中で最も安価な有機金属化合物である。このため、25段落で説明した無機金属化合物からなる錯体より熱分解温度が高いが、錯体より安価な金属化合物である。
また、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、グリコール類、グリコールエーテル類、ないしはスチレンモノマーからなるいずれか1種類の有機化合物に、メタノールに溶解ないしは混和する第一の性質と、粘度がメタ―ノールの粘度より高い第二の性質と、沸点がオクチル酸金属化合物の熱分解温度より低い第三の性質とを兼備する有機化合物が存在する。このような有機化合物は、汎用的な工業用薬品である。このため、有機化合物は、混合液を製造する際の安価な第二の原料になる。
従って、オクチル酸金属化合物のメタノール分散液に、有機化合物のいずれか一種類を混合すると、オクチル酸金属化合物と有機化合物とが分子状態で均一に混ざり合った混合液が大量に製造される。これによって、安価な工業用薬品であるオクチル酸金属化合物と、最も汎用的なアルコールであるメタノールと、汎用的な工業用薬品である有機化合物とを原料として用いると、7段落ないしは10段落に記載した混合液が安価な費用で大量に製造される。このため、7段落に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、ないしは、10段落に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、混合液が安価に製造できる。
なお、窒素雰囲気で合成樹脂の熱分解が開始する温度は、例えば、ポリアセタール樹脂POMは280℃で始まり、ポリスチレン樹脂PSは350℃で始まり、ポリエチレンテレフタレート樹脂PETが425℃で始まり、ポリプロピレン樹脂PPが370℃で始まり、高密度ポリエチレン樹脂HDPEが400℃で始まり、ポリテトラフルオルエチレン樹脂PTFEは490℃で始まり、ノボラック型フェノール樹脂の熱分解反応は、260℃付近から可塑剤の脱離が始まる。また、大気雰囲気で合成樹脂の熱分解が開始する温度は、例えば、ポリビニールアルコール樹脂が230℃で、ポリ塩化ビニール樹脂が250℃で、アクリル樹脂が300℃で、ポリアセテート樹脂が300℃で、ポリスチレン樹脂が320℃で、ポリプロピレン樹脂が380℃で、低密度ポリエチレン樹脂が400℃で、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が440℃で、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂が480℃で、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂が480℃で、ポリカーボネート樹脂が500℃である。
従って、還元雰囲気で熱分解が開始する温度が340℃より高い合成樹脂の基材に、ないしは、大気雰囲気で熱分解が開始する温度が290℃より高い合成樹脂の基材に、懸濁液を印刷し、基材に3方向の振動を加えた後に、還元雰囲気ないしは大気雰囲気でオクチル酸金属化合物を熱分解すれば、合成樹脂の基材に、特定した単数ないしは複数の色彩を放つ光線の波長を反射する薄膜が形成できる。この際、合成樹脂の熱分解が始まらず、合成樹脂の性質は変わらない。
本実施形態は、13段落に記載した銀の扁平粉を用い、紫の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。金に次いで展性に優れた銀からなる扁平粉は、スタンプミル(搗砕機に相当する)により、多数の金属製の杵で銀粉の集まりを叩き、薄いフレーク状に銀粉を延ばすことで製造される。厚みが0.2−0.5μmのものが市販されている。
13段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる銀の扁平粉を用い、銀の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、1.44−2.24μmの幅に収まる薄膜を形成すれば、紫の色彩を放つ一つの目安となる380−450nmの波長領域で、紫の色彩を放つ干渉現象を起こす。
ここで、厚みが0.26μmからなる銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の4層が積層し、銀の扁平粉の3枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、膜厚は、1.58μmになる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの銀の扁平粉の厚みの違いが部分的に生じると、銀の扁平粉の集まりからなる薄膜は、1.58−2.20μmの膜厚に広がる。膜厚が1.58−2.20μmからなる薄膜は、紫の色彩を放つ。
本実施形態は、15段落に記載した銀の扁平粉を用い、青の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。15段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる銀の扁平粉を用い、銀の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いで、一つの目安として、2.24−2.86μmの膜厚の幅に収まれば、青の色彩を放つ一つの目安となる450−495nmの波長領域で、青の色彩を放つ干渉現象を起こす。
ここで、厚みが0.26μmからなる銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の3層が積層し、銀の扁平粉の5枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、膜厚は、2.20μmになる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの銀の扁平粉の厚みの違いが部分的に生じると、銀の扁平粉の集まりからなる薄膜は、2.20−2.82μmに広がる。なお、銀の扁平粉からなる薄膜は、膜厚が2.20μmで448nmの波長からなる光線を反射し、この光線は青の色彩を放つ。従って、膜厚が2.20−2.82μmなる薄膜は、青の色彩を放つ。
本実施形態は、17段落に記載した銀の扁平粉を用い、緑の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。17段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる銀の扁平粉を用い、銀の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いで、一つの目安として、2.86−3.56μmの膜厚幅に収まれば、緑の色彩を放つ一つの目安となる495−570nmの波長領域で、緑の色彩を放つ干渉現象を起こす。
ここで、厚みが0.26μmからなる銀の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の4層が積層し、銀の扁平粉の6枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、膜厚は、2.96μmになる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの銀の扁平粉の厚みの違いが部分的に生じると、銀の扁平粉の集まりからなる薄膜は、2.96−3.58μmに広がる。なお、銀の扁平粉からなる薄膜は、膜厚が3.58μmで571nmの波長からなる光線を反射し、この光線は緑の色彩を放つ。従って、膜厚が2.96−3.58μmからなる薄膜は、緑の色彩を放つ。
本実施形態は、17段落に記載した金の扁平粉を用い、緑の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。17段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる金の扁平粉を用い、金の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、1.00−1.49μmの膜厚の幅に収まれば、緑の色彩を放つ一つの目安となる495−570nmの波長領域で、緑の色彩を放つ干渉現象を起こす。なお、金の扁平粉は、厚さが0.1−0.2μmの金箔を微粉砕することで、厚みが0.1−0.2μmの金の扁平粉が市販されている。
ここで、厚みが0.15μmからなる金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の3層が積層し、金の扁平粉の3枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、膜厚は1.05μmになる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの金の扁平粉の厚みの違いが部分的に生じると、金の扁平粉の集まりからなる薄膜は、1.05−1.45μmに広がる。膜厚が1.05−1.45μmからなる薄膜は、緑の色彩を放つ。
本実施形態は、19段落に記載した金の扁平粉を用い、黄色の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。19段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる金の扁平粉を用い、金の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、1.49−1.88μmの膜厚幅に収まれば、黄色の色彩を放つ一つの目安となる570−590nmの波長領域で、薄膜は黄色の色彩を放つ干渉現象を起こす。
ここで、厚みが0.12μmの金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の3層が積層し、金の扁平粉の5枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、膜厚は、1.50μmになる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの金の扁平粉の厚みの違いが部分的に生じると、金の扁平粉の集まりからなる薄膜は、1.50−1.84μmに広がる。膜厚が1.50−1.84μmからなる薄膜は黄色の色彩を放つ。
本実施形態は、19段落に記載した銅の扁平粉を用い、黄色の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。19段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる銅の扁平粉を用い、銅の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、0.58−0.95μmの膜厚幅に収まれば、黄色の色彩を放つ一つの目安となる570−590nmの波長領域で、薄膜は黄色の色彩を放つ干渉現象を起こす。
ここで、厚みが0.15μmの銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の2層が積層し、銅の扁平粉の2枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、薄膜は0.60μmの膜厚になる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの銅の扁平粉の厚みの違いが生じると、膜厚は0.60−1.00μmに拡大する。なお、銅の扁平粉からなる薄膜は、膜厚が1.00μmで593nmの波長からなる光線を反射し、黄色の色彩を放つ。従って、膜厚が0.60−1.00μmからなる薄膜は黄色の色彩を放つ。
なお、銅の扁平粉は、スタンプミルにより、多数の金属製の杵で銅粉の集まりを叩き、薄いフレーク状に銅粉を延ばすことで製造される。厚みが0.2−0.5μmのものが市販されている。いっぽう、厚みが0.15μmからなる銅の扁平粉は、特注品になる。
21段落に記載した銅の扁平粉を用い、橙色の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。21段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる銅の扁平粉を用い、銅の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、膜厚幅が0.95−1.71μmに収まれば、橙の色彩を放つ一つの目安となる590−620nmの波長領域で、薄膜は橙色の色彩を放つ干渉現象を起こす。なお、銅の扁平粉は、厚みが0.2−0.5μmのものが市販されている。
ここで、厚みが0.30μmの銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の3層が積層し、銅の扁平粉の2枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、薄膜は1.05μmの膜厚になる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの銅の扁平粉の厚みの違いが生じると、膜厚は1.05−1.75μmに拡大する。なお、銅の扁平粉からなる薄膜は、膜厚が1.75μmで622nmの波長からなる光線を反射し、橙の色彩を放つ。従って、膜厚が1.05−1.75μmからなる薄膜は橙色の色彩を放つ。
本実施形態は、21段落に記載した金の扁平粉を用い、橙色の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。21段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる金の扁平粉を用い、金の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、一つの目安として、膜厚が1.88−2.40μmの膜厚の幅に収まれば、橙の色彩を放つ一つの目安となる590−620nmの波長領域で、金の扁平粉からなる薄膜は、橙色の色彩を放つ干渉現象を起こす。
ここで、厚みが0.15μmの金の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の4層が積層し、金の扁平粉の5枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、薄膜は、1.95μmの膜厚になる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの金の扁平粉の厚みの違いが生じると、膜厚は1.95−2.35μmに拡大する。膜厚が1.95−2.35μmからなる薄膜は、橙色の色彩を放つ。
本実施形態は、23段落に記載した金の扁平粉を用い、赤の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。23段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる金の扁平粉を用い、金の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いで、一つの目安として、膜厚が2.40−3.32μmの膜厚の幅に収まれば、赤の色彩を放つ一つの目安となる620−750nmの波長領域で、金の扁平粉からなる薄膜は赤の色彩を放つ干渉現象を起こす。
ここで、厚みが0.20μmの金の扁平粉を用い、金属の微粒子の5層が積層し、金の扁平粉の5枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合されると、金属微粒子の大きさを平均粒径の50nmとすると、金の扁平粉の集まりからなる薄膜は、2.50μmの膜厚になる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの金の扁平粉の厚みの違いが生じると、膜厚は2.50−3.00μmに拡大する。膜厚が2.50−3.00μmからなる薄膜は、赤色の色彩を放つ干渉現象を起こす。
本実施形態は、23段落に記載した銅の扁平粉を用い、赤の色彩を放つ薄膜の形成方法に係わる実施形態である。23段落に記載したように、サブミクロンの厚みからなる銅の扁平粉を用い、銅の扁平粉で形成される薄膜の膜厚が、表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いで、膜厚が1.71−2.39μmの幅に収まれば、620−750nmの波長領域で、銅の扁平粉からなる薄膜は赤色の色彩を放つ干渉現象を起こす。
ここで、厚みが0.30μmの銅の扁平粉を用い、7段落ないしは10段落に記載した薄膜の形成方法に従って、平均粒径が50nmからなる金属の微粒子の4層が積層し、銅の扁平粉の3枚が、扁平面同士が重なり合って、金属微粒子の集まりで結合された薄膜を形成すると、薄膜は、1.70μmの膜厚になる。この薄膜の表面と裏面とに1枚ずつの銅の扁平粉の厚みの違いが生じると、膜厚は1.70−2.40μmに拡大する。なお、銅の扁平粉からなる薄膜は、膜厚が1.70μmで619nmの波長からなる光線を反射し、この光線は赤の色彩を放つ。また、膜厚が2.40μmで751nmの波長からなる光線を反射し、この光線は赤の色彩を放つ。従って、膜厚が1.70−2.40μmからなる薄膜は、赤色の色彩を。
本実施形態は、相対的に低い温度で金属化合物が熱分解して金属を析出する金属化合物の実施形態であり、このような金属化合物として、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる金属錯体が適切であることを説明する。すなわち、金属錯体は無機物の分子量が小さいため、還元雰囲気での熱処理温度が相対的に低い温度で熱分解する。従って、25段落で説明したように合成樹脂の熱分解が開始されず、合成樹脂の性質は変わらない。ここでは、金属を銅とし、銅化合物について説明する。
最初に、アルコールに分散する銅化合物を説明する。硫酸銅と塩化銅は水に溶け、銅イオンが溶解し、多くの銅イオンが銅の析出に参加できない。また、水酸化銅と酸化銅はアルコールに分散しない。このため、こうした分子量が低い無機銅化合物は、銅を析出する原料として適切でない。
次に、熱分解で銅を析出する銅化合物を説明する。銅化合物から銅が生成される化学反応の中で、最も簡単な処理による化学反応に熱分解反応がある。つまり、銅化合物を昇温するだけで、銅化合物が熱分解して銅が析出する。さらに、銅化合物の熱分解温度が低ければ、耐熱性が低い合成樹脂を金属微粒子の集まりで接合できる。無機物からなる分子ないしはイオンが配位子となって、分子構造の中央に位置する銅イオンに配位結合した銅錯イオンを有する銅錯体は、無機物の分子量が小さければ、還元雰囲気で熱分解する温度は、分子量がより大きい有機物が配位子を形成する有機銅錯体が大気雰囲気で熱分解する温度より低い。このため、このような無機銅錯体は、有機銅錯体より相対的に高価な物質ではあるが、より低い温度で銅を析出するため、廉価な合成樹脂を銅微粒子の集まりで覆うことができる。なお、安価な有機銅錯体として、カルボン酸のカルボキシル基を構成する酸素イオンが、金属イオンに配位結合したカルボン酸金属化合物がある。
すなわち、無機銅錯体を構成する分子の中で銅イオンが最も大きい。ちなみに、銅原子の単結合の共有結合半径は112pmであり、一方、窒素原子の三重結合の共有結合半径の54pmであり、酸素原子の三重結合の共有結合半径は53pmである。このため、無機銅錯体の分子構造においては、配位子が銅イオンに配位結合する配位結合部の距離が最も長い。従って、還元雰囲気の熱処理で、最初に配位結合部が分断され、銅と無機物とに分解し、無機物の気化が完了した後に銅が析出する。
このような無機銅錯体の中で、アンモニアNH3が配位子となって銅イオンに配位結合するアンミン錯体は、他の無機銅錯体に比べて相対的に合成が容易であるため、相対的に安価な費用で製造できる。こうした無機銅錯体は、アンモニアガスや水素ガスなどの還元性雰囲気で熱処理すると、配位子の分子量が小さいため、200℃より低い温度で配位結合部位が最初に分断され、この後、200℃前後の温度で無機物が気化し、銅が析出する。さらに、メタノールに10重量%近くまで分散する。このような銅錯イオンとして、例えば、テトラアンミン銅イオン[Cu(NH3)4]2+があり、無機銅錯体として、例えば、テトラアンミン銅硝酸塩[Cu(NH3)4](NO3)2がある。
本実施形態は、第一にアルコールに溶解ないしは混和し、第二にアルコールより粘度が高く、第三に金属錯体とオクチル酸金属化合物との少なくともどちらか一方の熱分解温度より沸点が低い、これら3つの性質を兼備する液体の有機化合物である。
つまり、有機化合物の沸点が、金属錯体が熱分解する200℃前後より低ければ、有機化合物は金属錯体のアルコール分散液と共に混合液を構成する。有機化合物の沸点が、オクチル酸金属化合物が熱分解する340℃より低ければ、オクチル酸金属化合物のアルコール分散液と共に混合液を構成する。従って、有機化合物はこれら混合液の粘度を調整する調整剤になる。こうした3つの性質を持つ有機化合物は、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、グリコール類、グリコールエーテル類、ないしはスチレンモノマーからなるいずれか1種類の有機化合物に存在する。
すなわち、アクリル酸nブチルは化学式がCH2=CHCOOC4H9で示され、メタノールに溶解し、メタノールの1.9倍の粘度を持ち、さらに、沸点がメタノールの沸点より高い148℃で、25段落で説明した金属錯体、27段落で説明したオクチル酸金属化合物の熱分解温度より低い。従って、金属錯体ないしはオクチル酸金属化合物をメタノールに分散し、この分散液にアクリル酸nブチルを添加して撹拌すると、添加したアクリル酸nブチルの量に応じて分散液の粘度が増大する。なお、アクリル酸nブチルは、繊維処理剤、粘接着剤、塗料、合成樹脂、アクリルゴム、エマルジョン等の原料として使用される、安価な有機化合物である。
すなわち、メタクリル酸nブチルは、化学式がCH2=C(CH3)COO−CH2(CH2)2CH3で示され、メタノールに溶解し、メタノールの1.6倍の粘度を持ち、沸点がメタノールより高い164℃で、25段落で説明した金属錯体、27段落で説明したオクチル酸金属化合物の熱分解温度より低い。従って、金属錯体ないしはオクチル酸金属化合物をメタノールに分散し、この分散液にメタクリル酸nブチルを添加して撹拌すると、添加したメタクリル酸nブチルの量に応じて分散液の粘度が増大する。なお、メタクリル酸nブチルは、塗料、接着剤、繊維処理剤の原料として用いられている安価な有機化合物である。なお、メタクリル酸エチルの粘度は0.62mPa秒で、メタノールの粘度の1.05倍と低い。
エチレングリコールは、メタノールに溶解し、粘度がメタノールの36倍と高く、沸点が197℃の液状モノマーである。ジエチレングリコールは、メタノールに溶解し、粘度がメタノールの61倍と高く、沸点が244℃の液状モノマーである。プロピレングリコールは、メタノールと混和し、粘度がメタノールの82倍と高く、沸点が188℃の液状モノマーである。ジプロピレングリコールは、メタノールと混和し、粘度がメタノールの127倍と高く、沸点が232℃の液状モノマーである。トリプロピレングリコールは、メタノールと混和し、粘度がメタノールの97倍と高く、沸点が265℃の液状モノマーである。
エチレングリコール系エーテルの中で、メタノールに溶解し、銅錯体の熱分解温度より沸点が低い液体のグリコールエーテル類に、粘度がメタノールの3倍で沸点が125℃のメチルグリコール、粘度がメタノールの5倍で沸点が142℃のイソプロピルグリコール、粘度がメタノールの6倍で沸点が171℃のブチルグリコール、粘度がメタノールの5倍で沸点が161℃のイソブチルグリコール、粘度がメタノールの4倍で沸点が159℃のアリルグリコール、粘度がメタノールの7倍で沸点が194℃のメチルジグリコール、粘度がメタノールの9倍で沸点が208℃のヘキシルグリコールが存在する。
エチレングリコール系エーテルの中で、メタノールに溶解し、沸点が340℃より低い液体のグリコールエーテル類に、粘度がメタノールの13倍で沸点が249℃のメチルトリグリコール、粘度がメタノールの8倍で沸点が207℃のイソプロピルジグリコール、粘度がメタノールの11倍で沸点が231℃のブチルジグリコール、粘度がメタノールの14倍で沸点が271℃のブチルトリグリコール、粘度がメタノールの9倍で沸点が220℃のイソブチルジグリコール、粘度がメタノールの15倍で沸点が259℃ヘキシルジグリコール、粘度がメタノールの13倍で沸点が229℃の2−エチルヘキシルグリコール、粘度がメタノールの18倍で沸点が272℃の2−エチルヘキシルジグリコール、粘度がメタノールの52倍で沸点が245℃のフェニルグリコール、粘度がメタノールの20倍で沸点が256℃のベンジルグリコール、粘度がメタノールの33倍で沸点が302℃のベンジルジグリコールが存在する。
次に、プロピレングリコール系エーテルの中で、メタノールに溶解し、銅錯体の熱分解温度より沸点が低い液体のグリコールエーテル類に、粘度がメタノールの3倍で沸点が121℃のメチルプロピレングリコール、粘度がメタノールの2倍で沸点が146℃のメチルプロピレングリコールアセテート、粘度がメタノールの5倍で沸点が150℃のプロピルプロピレングリコール、粘度がメタノールの6倍で沸点が170℃のブチルプロピレンジグリコール、粘度がメタノールの7倍で沸点が187℃のメチルプロピレンジグリコールが存在する。
プロピレングリコール系エーテルの中で、メタノールに溶解し、沸点が340℃より低い液体のグリコールエーテル類に、粘度がメタノールの18倍で沸点が212℃のプロピルプロピレンジグリコール、粘度がメタノールの13倍で沸点が231℃のブチルプロピレンジグリコール、粘度がメタノールの39倍で沸点が243℃のフェニルプロピレングリコール、粘度がメタノールの14倍で沸点が274℃のブチルプロピレントリグリコールが存在する。
最後に、ジアルキルグリコールエーテルの中で、メタノールに溶解し、銅錯体の熱分解温度より沸点が低い液体のグリコールエーテル類に、粘度がメタノールの2倍で沸点が85℃のジメチルグリコール、粘度がメタノールの3倍で沸点が162℃のジメチルジグリコール、粘度がメタノールの2倍で沸点が171℃のジメチルポロピレンジグリコール、粘度がメタノールの21倍で沸点が176℃のメチルエチルジグリコール、粘度がメタノールの2倍で沸点が189℃のジエチルジグリコールが存在する。
以上に説明したように、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、グリコール類、グリコールエーテル類の中に17段落に説明した3つの性質を兼備する有機化合物が多く存在する。また、スチレンモノマーは、3つの性質を兼備する有機化合物である。
本実施例は懸濁液の第1実施例である。金属の扁平粉として、29段落の第1実施形態で説明した厚みが0.26μmで、長軸径の平均が3.85μmで、短軸径の平均が2.75μmからなる銀の扁平粉(例えば、山本貴金属地金株式会社の製品)を用い、金属微粒子の原料として、39段落の第11実施形態で説明したテトラアンミン銅硝酸塩(例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)を用い、有機化合物として、第12実施形態の45段落で説明したイソプロピルグリコール(例えば、日本乳化剤株式会社の製品)を用いた。
最初に、テトラアンミン銅硝酸塩の0.01モルに相当する2.6gを100ccのメタノールに分散する。この分散液に、イソプロピルグリコールの20ccを混合した。この混合液に銀の扁平粉の74gを混合し、混合物を回転による拡散混合と揺動による移動混合とを同時に行う装置(愛知電機株式会社のロッキングミキサーRMH−HT)に充填し、回転と揺動を繰り返して第一の懸濁液を作成した。
本実施例は懸濁液の第2実施例である。金属の扁平粉は、32段落の第4実施形態で説明した厚みが0.15μmで、平均粒径が2.25μmからなる金の扁平粉(例えば、株式会社今井金箔の製品)を用い、金属微粒子の原料として、40段落の第12実施形態で説明したオクチル酸銅(例えば、三津和化学薬品株式会社の製品)を用い、有機化合物として、45段落で説明したヘキシルグリコール(例えば、日本乳化剤株式会社の製品)を用いた。
最初に、オクチル酸銅の0.01モルに相当する3.5gを100ccのメタノールに分散する。この分散液に、ヘキシルグリコールの11ccを混合した。この混合液に金の扁平粉の137gを混合し、混合物を実施例1で用いた回転装置に充填し、回転と揺動を繰り返して第二の懸濁液を作成した。
本実施例は懸濁液の第3実施例である。金属の扁平粉は、33段落の第5実施形態で説明した厚みが0.12μmで、平均粒径が1.8μmからなる金の扁平粉(例えば、株式会社今井金箔の製品)を用い、金属微粒子の原料として、実施例2のオクチル酸銅を用い、有機化合物として、実施例2のヘキシルグリコールを用いた。
最初に、オクチル酸銅の0.01モルに相当する3.5gを100ccのメタノールに分散する。この分散液に、ヘキシルグリコールの11ccを混合した。この混合液に金の扁平粉の137gを混合し、混合物を実施例1で用いた回転装置に充填し、回転と揺動を繰り返して第三の懸濁液を作成した。
本実施例は懸濁液の第4実施例である。金属の扁平粉として、35段落の第7実施形態で説明した厚みが0.30μmで、平均粒径が4.5μmからなる銅の扁平粉(例えば、福田金属箔粉工業株式会社の製品)を用い、金属微粒子の原料として、実施例1のテトラアンミン銅硝酸塩を用い、有機化合物として、実施例1のイソプロピルグリコールを用いた。
最初に、テトラアンミン銅硝酸塩の0.01モルに相当する2.6gを100ccのメタノールに分散する。この分散液に、イソプロピルグリコールの20ccを混合した。この混合液に銅の扁平粉の64gを混合し、混合物を実施例1で用いた回転装置に充填し、回転と揺動を繰り返して第四の懸濁液を作成した。
本実施例は、懸濁液の第5実施例である。金属の扁平粉は、37段落の第9実施形態で説明した厚みが0.20μmで、平均粒径が3.0μmからなる金の扁平粉(例えば、株式会社今井金箔の製品)を用い、金属微粒子の原料として、実施例2のオクチル酸銅を用い、有機化合物として、実施例2のヘキシルグリコールを用いた。
最初に、オクチル酸銅の0.01モルに相当する3.5gを100ccのメタノールに分散する。この分散液に、ヘキシルグリコールの11ccを混合した。この混合液に金の扁平粉の137gを混合し、混合物を実施例1で用いた回転装置に充填し、回転と揺動を繰り返して第五の懸濁液を作成した。
実施例1で作成した第一の懸濁液を、厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシート(例えば、住友ベークライト株式会社の製品EPG100)の小片に、22μmの厚みとして印刷した。この後、小片の複数枚を加振機の上に配置し、左右、前後、上下の3方向の0.2Gの振動加速度を5秒間ずつ3回繰り返し、最後に、0.2Gの上下方向の振動加速度を10秒間加えた。さらに、小片の複数枚を水素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、200℃まで昇温し、200℃で5分間熱処理した。なお、ポリエチレンテレフタレートPET樹脂は、窒素雰囲気では熱分解が425℃で始まる。
最初に、作成した試料の膜厚を、反射分光膜厚計(大塚電子株式会社の製品FE−3000)で測定した。試料は1.58μmの膜厚から形成されていたが、部分的に2.20μmの厚みが形成されていた。
次に、分光測色計(コニカミノルタジャパン株式会社の製品CM−700d)によって分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、385nmの波長で最も高く、次に448nmの波長で高く、また、447nmと450nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも紫の色彩を放つ波長である。
さらに、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡(JFEテクノリサーチ株式会社の極低加速電圧SEM)で行なった。この装置は、100Vからの極低加速電圧による観察が可能で、試料に導電性の被膜を形成せずに直接試料が観察できる特長を持つ。試料を厚み方向に2つに切断し、切断面を観察した。
最初に、反射電子線の900−1000Vの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行い、試料の表面を観察した。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、銀の扁平粉の表面に微粒子が4層を形成して積層し、3枚の銀の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。
次に、試料の表面と複数の断面からの反射電子線について、900−1000Vの間にあるエネルギーを抽出して画像処理を行い、画像の濃淡で微粒子の材質を分析した。いずれの粒状微粒子にも濃淡が認められなかったので、単一原子から構成されていることが分かった。さらに、試料の表面と複数の断面からの特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理し、粒子を構成する元素の種類を分析した。粒状微粒子は銅原子のみで構成されていたため、銅の粒状微粒子である。
これらの結果から、金属結合した銅微粒子の集まりが4層を形成して積み重なり、銀の扁平粉の表面を覆うとともに、銅微粒子の金属結合を介して銀の扁平粉の3枚が、扁平面同士が重なり合って結合された銀の扁平粉の集まりからなる薄膜が、PET樹脂のシート表面に形成された。図1に、試料の断面を模式的に示す。1は銀の扁平粉で、2は銅微粒子で、3はPET樹脂のシートである。
この薄膜は1.58μmの膜厚からなり、部分的に2.20μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、1.58μmの膜厚に相当する干渉現象が380nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、2.20μmの膜厚に相当する干渉現象が448nmの波長で起こった。さらに、447nmと450nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、448nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
実施例1で作成した第一の懸濁液を、実施例6で用いた厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシートの小片に、31μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、水素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、200℃まで昇温し、200℃で5分間熱処理した。
最初に、作成した試料の膜厚を、実施例6で用いた反射分光膜厚計で測定した。試料は2.20μmの膜厚から形成され、部分的に2.82μmの厚みが形成されていた。
次に、実施例6で用いた分光測色計で分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、448nmの波長で最も高く、次に489nmの波長で高く、また、486nmと492nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも青の色彩を放つ波長である。
さらに、実施例6と同様に、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡で行なった。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状の銅微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、銀の扁平粉の表面に銅微粒子が3層を形成して積層し、5枚の銀の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。試料断面の構造は、実施例6に類似しているため図示しない。
この薄膜は2.20μmの膜厚からなり、部分的に2.82μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、2.20μmの膜厚に相当する干渉現象が448nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、2.82μmの膜厚に相当する干渉現象が489nmの波長で起こった。さらに、486nmと492nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、489nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
実施例1で作成した第一の懸濁液を、実施例6で用いた厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシートの小片に、42μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、水素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、200℃まで昇温し、200℃で5分間熱処理した。
最初に、作成した試料の膜厚を、実施例6で用いた反射分光膜厚計で測定した。試料は2.96μmの膜厚から形成され、部分的に3.58μmの厚みが形成されていた。
次に、実施例6で用いた分光測色計で分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、513nmの波長で最も高く、次に571nmの波長で高く、また、569nmと574nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも緑の色彩を放つ波長である。
さらに、実施例6と同様に、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡で行なった。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状の銅微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、銀の扁平粉の表面に銅微粒子が4層を形成して積層し、6枚の銀の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。試料断面の構造は、実施例6に類似しているため図示しない。
この薄膜は2.96μmの膜厚からなり、部分的に3.58μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、2.96μmの膜厚に相当する干渉現象が513nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、3.58μmの膜厚に相当する干渉現象が571nmの波長で起こった。さらに、569nmと574nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、3.58nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
実施例2で作成した第二の懸濁液を、実施例6で用いた厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシートの小片に、15μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、窒素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、340℃まで昇温し、340℃で1分間熱処理した。
最初に、作成した試料の膜厚を、実施例6で用いた反射分光膜厚計で測定した。試料は1.05μmの膜厚から形成され、部分的に1.45μmの厚みが形成されていた。
次に、実施例6で用いた分光測色計で分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、542nmの波長で最も高く、次に567nmの波長で高く、また、566nmと568nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも緑の色彩を放つ波長である。
さらに、実施例6と同様に、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡で行なった。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状の銅微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、金の扁平粉の表面に銅微粒子が3層を形成して積層し、3枚の金の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。試料断面の構造は、実施例6に類似しているため図示しない。
この薄膜は1.05μmの膜厚からなり、部分的に1.45μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、1.05μmの膜厚に相当する干渉現象が542nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、1.45μmの膜厚に相当する干渉現象が567nmの波長で起こった。さらに、566nmと568nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、567nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
実施例3で作成した第三の懸濁液を、実施例6で用いた厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシートの小片に、22μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、窒素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、340℃まで昇温し、340℃で1分間熱処理した。
最初に、作成した試料の膜厚を、実施例6で用いた反射分光膜厚計で測定した。試料は1.50μmの膜厚から形成され、部分的に1.84μmの厚みが形成されていた。
次に、実施例6で用いた分光測色計で分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、570nmの波長で最も高く、次に588nmの波長で高く、また、587nmと589nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも黄色の色彩を放つ波長である。
さらに、実施例6と同様に、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡で行なった。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状の銅微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、金の扁平粉の表面に銅微粒子が3層を形成して積層し、5枚の金の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。試料断面の構造は、実施例6に類似しているため図示しない。
この薄膜は1.50μmの膜厚からなり、部分的に1.84μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、1.50μmの膜厚に相当する干渉現象が570nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、1.84μmの膜厚に相当する干渉現象が588nmの波長で起こった。さらに、587nmと589nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、588nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
実施例4で作成した第四の懸濁液を、実施例6で用いた厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシートの小片に、15μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、水素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、200℃まで昇温し、200℃で5分間熱処理した。
最初に、作成した試料の膜厚を、実施例6で用いた反射分光膜厚計で測定した。試料は1.05μmの膜厚から形成され、部分的に1.75μmの厚みが形成されていた。
次に、実施例6で用いた分光測色計で分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、594nmの波長で最も高く、次に622nmの波長で高く、また、621nmと623nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも橙の色彩を放つ波長である。
さらに、実施例6と同様に、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡で行なった。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状の銅微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、銅の扁平粉の表面に銅微粒子が3層を形成して積層し、2枚の銅の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。試料断面の構造は、実施例6に類似しているため図示しない。
この薄膜は1.05μmの膜厚からなり、部分的に1.75μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、1.05μmの膜厚に相当する干渉現象が594nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、1.75μmの膜厚に相当する干渉現象が622nmの波長で起こった。さらに、621nmと623nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、622nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
実施例2で作成した第二の懸濁液を、実施例6で用いた厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシートの小片に、28μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、窒素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、340℃まで昇温し、340℃で1分間熱処理した。
最初に、作成した試料の膜厚を、実施例6で用いた反射分光膜厚計で測定した。試料は1.95μmの膜厚から形成され、部分的に2.35μmの厚みが形成されていた。
次に、実施例6で用いた分光測色計で分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、594nmの波長で最も高く、次に617nmの波長で高く、また、616nmと618nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも橙の色彩を放つ波長である。
さらに、実施例6と同様に、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡で行なった。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状の銅微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、金の扁平粉の表面に銅微粒子が4層を形成して積層し、5枚の金の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。試料断面の構造は、実施例6に類似しているため図示しない。
この薄膜は1.95μmの膜厚からなり、部分的に2.35μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、1.95μmの膜厚に相当する干渉現象が594nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、2.35μmの膜厚に相当する干渉現象が617nmの波長で起こった。さらに、616nmと618nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、617nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
実施例6で作成した第六の懸濁液を、実施例6で用いた厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシートの小片に、36μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、窒素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、340℃まで昇温し、340℃で1分間熱処理した。
最初に、作成した試料の膜厚を、実施例6で用いた反射分光膜厚計で測定した。試料は2.50μmの膜厚から形成され、部分的に3.00μmの厚みが形成されていた。
次に、実施例6で用いた分光測色計で分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、626nmの波長で最も高く、次に658nmの波長で高く、また、656nmと660nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも赤の色彩を放つ波長である。
さらに、実施例6と同様に、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡で行なった。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状の銅微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、金の扁平粉の表面に銅微粒子が5層を形成して積層し、5枚の金の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。試料断面の構造は、実施例6に類似しているため図示しない。
この薄膜は2.50μmの膜厚からなり、部分的に3.00μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、2.50μmの膜厚に相当する干渉現象が626nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、3.00μmの膜厚に相当する干渉現象が658nmの波長で起こった。さらに、656nmと660nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、658nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
実施例4で作成した第四の懸濁液を、実施例6で用いた厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂からなるシートの小片に、24μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、水素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、200℃まで昇温し、200℃で5分間熱処理した。
最初に、作成した試料の膜厚を、実施例6で用いた反射分光膜厚計で測定した。試料は1.70μmの膜厚から形成され、部分的に2.40μmの厚みが形成されていた。
次に、実施例6で用いた分光測色計で分光反射率を調べた。この結果、分光反射率は、620nmの波長で最も高く、次に746nmの波長で高く、また、740nmと753nmとの波長でもわずかな反射率が存在した。いずれも赤の色彩を放つ波長である。
さらに、実施例6と同様に、試料の表面と断面との観察と分析とを電子顕微鏡で行なった。試料表面はいずれの部位も、40−60nmの大きさからなる粒状の銅微粒子の集まりが、表面全体に満遍なく形成されていた。試料の断面においては、銅の扁平粉の表面に銅微粒子が4層を形成して積層し、3枚の銅の扁平粉が、扁平面同士が重なり合って積層されていた。試料断面の構造は、実施例6に類似しているため図示しない。
この薄膜は1.70μmの膜厚からなり、部分的に2.40μmの厚みが形成された。この結果、分光反射率は、1.70μmの膜厚に相当する干渉現象が620nmの波長で最も高い頻度で起こった。次いで、薄膜の表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いによって、2.40μmの膜厚に相当する干渉現象が746nmの波長で起こった。さらに、753nmと740nmとの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子が40nmの大きさである場合の膜厚と、薄膜表面の銅微粒子が60nmの大きさである場合の膜厚とに相当する干渉現象である。従って、746nmの波長での分光反射率は、薄膜表面の銅微粒子の大きさが、平均粒径の50nmである場合の膜厚に相当する干渉現象である。
なお、銅の屈折率は、710nm近辺から750nm近辺までの波長領域においては、波長の増加率に対し屈折率の増加率が大きく変わる。すなわち、709nmから729nmにおいて、波長が2.8%増加するのに対し、屈折率は0.216から0.223として3.2%増加する。これに対し、729nmから752nmにおいて、波長が3.1%増加するのに対し、屈折率は0.233から0.237として6.2%増加する。このため、膜厚が2.38μmの薄膜は753nmの波長に相当する光線の干渉現象を起こし、膜厚が2.40μmの薄膜は746nmの波長に相当する光線の干渉現象を起こし、膜厚が2.42μmの薄膜は740nmの波長に相当する光線の干渉現象を起こす。
実施例6で記載した紫の色彩を放つ薄膜と、実施例14で記載した赤の色彩を放つ薄膜とを、各々の薄膜が1cmの幅で、互いに隣り合うように、各々の5つずつの薄膜を、厚みが1mmのポリエチレンテレフタレートPET樹脂のシートに、等間隔で形成する。
実施例1で作成した第一の懸濁液を、PET樹脂のシートの小片に、1cmの幅で1cmの間隔を置いて、5つの塗膜を22μmの厚みとして印刷した。この後、実施例6と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、水素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、200℃まで昇温し、200℃で5分間熱処理した。
次に、前記のPET樹脂のシートの小片の薄膜が形成されていな部位に、実施例4で作成した第四の懸濁液を、24μmの厚みで印刷した。この後、前記と同様に、小片を加振機の上に配置して振動を加え、さらに、水素ガスの雰囲気の熱処理炉に入れ、200℃まで昇温し、200℃で5分間熱処理した。PET樹脂のシートの小片から、紫と赤の色彩が混合された色彩を発色した。
また、本発明に依れば、特定した色彩を放つ薄膜は、8段落で説明した8つ作用効果をもたらすため、様々な用途が新たに開ける。
Claims (10)
- 特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜は、厚みがサブミクロンで平均粒径がミクロンサイズからなる金属の扁平粉の集まりを、該扁平粉の平均粒径より大きさが2桁小さい金属微粒子の集まりで、前記扁平粉の扁平面同士が重なり合って結合された薄膜であり、該薄膜は、表面と裏面との双方で扁平粉の1枚分ずつの厚みの違いが部分的に生じ、該薄膜の表面で複数の光線を反射するが、該複数の光線は特定した同一の色彩を放つ光線として反射する膜厚からなる薄膜であって、該薄膜の形成方法は、熱分解で金属を析出する金属化合物を、アルコールに分散してアルコール分散液を作成し、前記アルコールに溶解ないしは混和する第一の性質と、前記アルコールより高い粘度を有する第二の性質と、沸点が前記金属化合物の熱分解温度より低い第三の性質を兼備する有機化合物を、前記アルコール分散液に混合して混合液を作成する、この後、金属の扁平粉の集まりを、前記混合液に混合して懸濁液を作成する、さらに、前記懸濁液を回転及び揺動させ、この後、前記懸濁液を、前記薄膜の表面で反射する複数の光線が、特定した同一の色彩を放つ光線として反射する膜厚からなる薄膜を形成する該懸濁液の膜厚として、基材に印刷し、該基材に、左右、前後、上下の3方向の振動を繰り返し加える、この後、前記基材を前記金属化合物が熱分解する温度に昇温する、これによって、前記扁平粉の平均粒径より大きさが2桁小さい金属微粒子の集まりが、前記扁平粉の表面に析出し、該金属微粒子同士が金属結合することによって、前記扁平粉の扁平面同士が重なり合って結合して薄膜を形成し、該薄膜の表面で反射する複数の光線が、特定した同一の色彩を放つ光線として反射する膜厚からなる薄膜として前記基材に形成される、特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法。
- 請求項1に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、前記薄膜が特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜であり、該薄膜の形成方法は、請求項1に記載した懸濁液として、第一の金属の扁平粉からなる懸濁液を用い、請求項1に記載した薄膜の形成方法に従って、第一の色彩を放つ第一の薄膜を、前記第一の色彩を放つ複数の光線が反射する膜厚として、基材の予め決められた部位に形成し、この後、請求項1に記載した懸濁液として、第二の金属の扁平粉からなる懸濁液を用い、請求項1に記載した薄膜の形成方法に従って、第二の色彩を放つ第二の薄膜を、前記第二の色彩を放つ複数の光線が反射する膜厚として、前記第一の薄膜が形成された部位とは異なる前記基材の予め決められた部位に形成する、こうした処理を前記複数種類の色彩ごと繰り返し、特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜を前記基材に形成する、特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法。
- 請求項1に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、ないしは、請求項2に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、前記薄膜が、紫の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜であって、該薄膜の形成方法は、金属の扁平粉として、厚みが0.40μmより薄い銀の扁平粉を用い、請求項1ないしは請求項2に記載した薄膜の形成方法に従って、紫の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成する、請求項1に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、ないしは、請求項2に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、紫の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法。
- 請求項1に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、ないしは、請求項2に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、前記薄膜が、青の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜であって、該薄膜の形成方法は、金属の扁平粉として、厚みが0.31μmより薄い銀の扁平粉を用い、請求項1ないしは請求項2に記載した薄膜の形成方法に従って、青の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成する、請求項1に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、ないしは、請求項2に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、青の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法。
- 請求項1に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、ないしは、請求項2に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、前記薄膜が、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜であって、該薄膜の形成方法は、金属の扁平粉として、厚みが0.35μmより薄い銀の扁平粉を用い、請求項1ないしは請求項2に記載した薄膜の形成方法に従って、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成する、ないしは、金属の扁平粉として、厚みが0.24μmより薄い金の扁平粉を用い、請求項1ないしは請求項2に記載した薄膜の形成方法に従って、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成する、請求項1に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、ないしは、請求項2に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、緑の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法。
- 請求項1記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、ないしは、請求項2に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、前記薄膜が、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜であって、該薄膜の形成方法は、金属の扁平粉として、厚みが0.20μmより薄い金の扁平粉を用い、請求項1ないしは請求項2に記載した薄膜の形成方法に従って、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成する、ないしは、金属の扁平粉として、厚みが0.19μmより薄い銅の扁平粉を用い、請求項1ないしは請求項2に記載した薄膜の形成方法に従って、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成する、請求項1に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、ないしは、請求項2に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、黄色の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法。
- 請求項1に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、ないしは、請求項2に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、前記薄膜が、橙の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜であって、該薄膜の形成方法は、金属の扁平粉として、厚みが0.26μmより薄い金の扁平粉を用い、請求項1ないしは請求項2に記載した薄膜の形成方法に従って、橙の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成する、ないしは、金属の扁平粉として、厚みが0.38μmより薄い銅の扁平粉を用い、請求項1ないしは請求項2に記載した薄膜の形成方法に従って、橙の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成する、請求項1に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、ないしは、請求項2に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、橙の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜を形成する方法。
- 請求項1に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、ないしは、請求項2に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、前記薄膜が、赤の色彩を放つ複数の光線を反射する薄膜であって、該薄膜の形成方法は、金属の扁平粉として、厚みが0.46μmより薄い金の扁平粉を用い、請求項1ないしは請求項2に記載した薄膜の形成方法に従って、赤の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成する、ないしは、金属の扁平粉として、厚みが0.34μmより薄い銅の扁平粉を用い、請求項1ないしは請求項2に記載した薄膜の形成方法に従って、赤の色彩を放つ複数の光線を反射する膜厚からなる薄膜を形成する、請求項1に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、ないしは、請求項2に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、赤の色彩を放つ光線を反射する薄膜を形成する方法。
- 請求項1に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、ないしは、請求項2に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、前記混合液を作成する際に用いる第一の原料は、前記金属化合物が、無機物の分子ないしはイオンからなる配位子が、金属イオンに配位結合した金属錯イオンを有する無機金属化合物からなる錯体であり、前記アルコールがメタノールであり、前記有機化合物が、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、グリコール類、グリコールエーテル類、ないしはスチレンモノマーからなるいずれか1種類の有機化合物であり、これら3種類の物質を、前記混合液を作成する際の第一の原料として用い、請求項1ないしは請求項2に記載した薄膜の形成方法に従って薄膜を形成する、請求項1に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法、ないしは、請求項2に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法。
- 請求項1に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、ないしは、請求項2に記載した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法において、前記混合液を作成する際に用いる第二の原料は、前記金属化合物がオクチル酸金属化合物であり、前記アルコールがメタノールであり、前記有機化合物が、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、グリコール類、グリコールエーテル類、ないしはスチレンモノマーからなるいずれか1種類の有機化合物に属する有機化合物であり、これら3種類の物質を、前記混合液を作成する際の第二の原料として用い、請求項1ないし請求項2に記載した薄膜の形成方法に従って薄膜を形成する、請求項1に記載した特定した同一の色彩を放つ複数の光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法、ないしは、請求項2に記載した特定した複数種類の色彩を放つ光線を反射する金属からなる薄膜の形成方法。
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