JP2011084659A - 透明複合シートの製造方法および透明複合シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の透明複合シートの製造方法は、透明な樹脂材料と、一次粒子の平均粒径が可視光の波長より小さい球状ナノ微粒子(粒子)とを含む透明複合シートの製造方法であって、球状ナノ微粒子の含有量を調整することにより、全光線透過率、ヘイズ率、最大反射率および最大反射率波長の少なくとも1つを制御することを特徴とする。例えば、透明複合シートの全光線透過率は、球状ナノ微粒子の含有量を徐々に増やすことにより、図5(a)に示すように、極小値と極大値とを順次とりながら、徐々に(連続的に)低下するよう変化するので、その傾向を踏まえることで、透明複合シートの全光線透過率を制御して、目的とする特性の透明複合シートを容易に製造することができる。
【選択図】図5
Description
(1) 透明な樹脂材料と、一次粒子の平均粒径が可視光の波長より小さい粒子とを含む透明複合シートの製造方法であって、
前記粒子の含有量を調整することにより、全光線透過率、ヘイズ率、最大反射率および最大反射率波長の少なくとも1つを制御することを特徴とする透明複合シートの製造方法。
シンクロトロン放射光X線を用いた小角X線散乱法により得られた散乱強度スペクトルにおいて、当該透明複合シートの前記粒子の形状に起因するピークの数が5個以上であることを特徴とする透明複合シート。
本発明の透明複合シートは、透明な樹脂材料と、球状ナノ微粒子(粒子)とを含む透明複合シートであって、光照射下で、透明性を有しつつ、特定の波長の光を構造発色する透明複合シートである。
(樹脂材料)
本発明で用いられる樹脂材料は、透明であれば特に制限されないが、2つ以上の官能基を有する化合物を含有する樹脂組成物を熱、光等により硬化・架橋して得られるものが好ましい。2つ以上の官能基を有する化合物としては、(メタ)アクリレート、エポキシ化合物、グリシジル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、オキセタン化合物、オキセタニル基を有する化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。これらの樹脂材料は、特に透明性が高いため、透明複合シートに用いられる樹脂材料として好適である。
本発明で用いられる球状ナノ微粒子は、特に制限されるものではないが、例えば、ケイ素を含有する金属酸化物の微粒子、半導体微粒子などが挙げられる。このうち、ケイ素を含有する金属酸化物の微粒子としては、乾燥された粉末状のシリカ(酸化ケイ素)微粒子、有機溶媒に分散されたコロイダルシリカ(シリカゾル)等が挙げられる。また、分散性の点で、有機溶媒に分散されたコロイダルシリカ(シリカゾル)が好ましく用いられる。
本発明の透明複合シートの製造方法は、上述したような透明な樹脂材料と、一次粒子の平均粒径が可視光の波長より小さい粒子とを含む透明複合シートの製造方法であるが、構造発色する透明複合シートの製造にあたっては、透明複合シートの用途に応じて、構造発色の波長(最大反射率の波長)、発色性(最大反射率)、透明性(全光線透過率、ヘイズ率)等の特性を目的とする特性に合わせる必要がある。
[1]複合体組成物は、樹脂組成物と球状ナノ微粒子とを混合することにより製造されるが、具体的には、以下のような方法が挙げられる。なお、ここでは、球状ナノ微粒子としてシリカ(シリカゾル)を用いる場合を例に説明する。球状ナノ微粒子としてシリカを用いた場合には、青色として視認される波長の光が構造発色する。
このような透明複合シートは、例えば、透明板、光学レンズ、光ディスク基板、液晶表示素子用基板、カラーフィルター用基板、有機EL表示素子用基板、太陽電池用基板、タッチパネル用基板、光学素子、光導波路、LED封止材等に好適に利用可能である。これらは、いずれも透明性を要するものであるため、本発明の透明複合シートが好適に用いられる。その上、本発明の透明複合シートは、透明性を維持しつつ、構造発色するものであるため、そのような付加価値を有するものとして有用である。しかも、その発色は、着色材によるものではないので、着色材の変質・劣化による発色の特性変化が発生せず、本発明の透明複合シートは、透明性、発色性、耐熱性、耐久性に安定したものとなる。
(実験例1)
[1]複合体組成物の作製
まず、前記一般式(2)において、X、R3およびR4がすべて水素であり、Pが0である構造を有するノルボルナンジメチロールジアクリレート(TO−2111:東亞合成株式会社製)5重量部、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン1重量部、イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカ0.04重量部(シリカ含量30重量%、平均粒径100nm、日産化学製)を配合し、得られた混合物を40℃で撹拌しながら、減圧下において揮発分を除去した。その後、混合物中に、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(チバスペシャリティケミカル製、イルガキュア184)0.03重量部を添加して溶解させた後、さらに減圧下揮発分を除去し、複合体組成物を得た。複合体組成物中の溶剤含有量は10重量%未満であった。
次に、[1]で得られた複合体組成物をオーブンで所定の温度(60〜80℃)に加熱した。次いで、加熱した複合体組成物を、ガラス板上に作成した厚み0.4mmの枠内に注入し、上部よりガラス板を載せることにより、枠内に複合体組成物を充填した。これにより複合体組成物をシート状に成形した。
次に、[2]で得られた、ガラス板に挟んだ複合体組成物に、両面から約500mJ/cm2のUV光を照射した。これにより複合体組成物を硬化させた。その後、ガラスから硬化物を剥離した。
次に、[3]で得られた硬化物を、真空オーブン中により、約100℃で3時間加熱した後、さらに約275℃で3時間加熱した。これにより、透明複合シートを得た。得られた透明複合シートの中央部(リタデーション測定点)の厚さをマイクロメーターを用いて測定したところ、厚さは232nmであった。
イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカの配合量を0.41重量部に変更した以外は、前記実験例1と同様にして複合体組成物を得た後、これを用いて透明複合シートを得た。
イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカの配合量を1.26重量部に変更した以外は、前記実験例1と同様にして複合体組成物を得た後、これを用いて透明複合シートを得た。
イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカの配合量を2.14重量部に変更した以外は、前記実験例1と同様にして複合体組成物を得た後、これを用いて透明複合シートを得た。
イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカの配合量を4.51重量部に変更した以外は、前記実験例1と同様にして複合体組成物を得た後、これを用いて透明複合シートを得た。
イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカの配合量を7.17重量部に変更した以外は、前記実験例1と同様にして複合体組成物を得た後、これを用いて透明複合シートを得た。
イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカの配合量を10.2重量部に変更した以外は、前記実験例1と同様にして複合体組成物を得た後、これを用いて透明複合シートを得た。
イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカの配合量を20重量部に変更した以外は、前記実験例1と同様にして複合体組成物を得た後、これを用いて透明複合シートを得た。
イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカの配合量を27.1重量部に変更した以外は、前記実験例1と同様にして複合体組成物を得た後、これを用いて透明複合シートを得た。
イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカの配合量を40.6重量部に変更した以外は、前記実験例1と同様にして複合体組成物を得た後、これを用いて透明複合シートを得た。
イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカの配合量を49.6重量部に変更した以外は、前記実験例1と同様にして複合体組成物を得た後、これを用いて透明複合シートを得た。
イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカの配合量を60.9重量部に変更した以外は、前記実験例1と同様にして複合体組成物を得た後、これを用いて透明複合シートを得た。
実験例13では、異形状のコロイダルシリカが含まれたイソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカを用い、それ以外は前記実験例8と同様にして複合体組成物を得た後、これを用いて透明複合シートを得た。
各実験例で作製した透明複合シートについて、下記に示す評価方法により、各種特性を測定した。
まず、以下の測定条件により小角X線散乱(SAXS)測定および極小角X線散乱(U−SAXS)測定を行い、散乱強度スペクトルを得た。なお、小角X線散乱測定は、放射光施設で発生させたシンクロトロン放射光X線と、回転Cu陰極のX線管から発生させたX線とを、それぞれ用いて行った。
X線源 :高輝度光科学研究センター SPring-8 兵庫県ビームラインBL08B2
検出器 :イメージングプレート
X線エネルギー :12keV
X線源 :回転Cu陰極
検出器 :X線回折装置((株)リガク社製、Ultima IV)
X線波長 :1.5418Å
X線エネルギー :8.04keV
図1(a)には、実験例8で得られた透明複合シートについてのシンクロトロン放射光X線による散乱強度スペクトルを示す。
ここで、図2(a)には、各実験例で得られた透明複合シートについての散乱強度スペクトルを示す。図2(a)から明らかなように、実験例8以外の実験例で得られた透明複合シートについても、シンクロトロン放射光X線によるスペクトルにおいては9個以上の明瞭なピークが認められた。
図3から明らかなように、透明複合シート中のシリカの含有量を徐々に増やすことにより、粒子間距離dが徐々に(連続的に)短くなることが認められた。これは、シリカの含有量を増やすにつれて、シリカが均一かつ最密に充填し得ることを示唆するものであり、ひいては、透明複合シートが良好に構造発色し得ることを示唆するものである。
次に、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、NDH2000)を用いて、全光線透過率およびヘイズ率を測定した。
図5(a)には、実験例1〜12で得られた透明複合シートのシリカ含有量と全光線透過率とをプロットしてなるグラフを示す。なお、横軸はシリカ含有量(体積%)を示し、縦軸は全光線透過率(%)を示す。
次に、分光光度計((株)日立製作所製、U3200)を用いて、波長依存性の全光線透過率を測定した。そして、その測定結果から、最大反射率および最大反射率の波長を求めた。
図6(a)には、実験例1〜12で得られた透明複合シートのシリカ含有量と最大反射率とをプロットしてなるグラフを示す。なお、横軸はシリカ含有量(体積%)を示し、縦軸は最大反射率(%)を示す。
Claims (11)
- 透明な樹脂材料と、一次粒子の平均粒径が可視光の波長より小さい粒子とを含む透明複合シートの製造方法であって、
前記粒子の含有量を調整することにより、全光線透過率、ヘイズ率、最大反射率および最大反射率波長の少なくとも1つを制御することを特徴とする透明複合シートの製造方法。 - 前記粒子の含有量は、前記透明複合シートに対して5〜50体積%である請求項1に記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記粒子は、一次粒子の平均粒径が50〜250nmであるものである請求項1または2に記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記粒子は、一次粒子が球形をなすものである請求項1ないし3のいずれかに記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記粒子は、シリカで構成されたものである請求項1ないし4のいずれかに記載の透明複合シートの製造方法。
- 前記粒子は、一次粒子の粒径の標準偏差が、前記粒子の一次粒子の平均粒径の100%以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の透明複合シートの製造方法。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の透明複合シートの製造方法により製造されたことを特徴とする透明複合シート。
- 透明な樹脂材料と、平均粒径が可視光の波長より小さい粒子とを含む透明複合シートであって、
シンクロトロン放射光X線を用いた小角X線散乱法により得られた散乱強度スペクトルにおいて、当該透明複合シートの前記粒子の形状に起因するピークの数が5個以上であることを特徴とする透明複合シート。 - 前記シンクロトロン放射光X線は、エネルギーが10keV以上である請求項8に記載の透明複合シート。
- 全光線透過率が70%以上である請求項7ないし9のいずれかに記載の透明複合シート。
- 平均粒子間距離が100〜220nmである請求項7ないし10のいずれかに記載の透明複合シート。
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