JP2020026465A - 蓄熱材組成物及び建築物の冷暖房用の蓄熱システム - Google Patents

蓄熱材組成物及び建築物の冷暖房用の蓄熱システム Download PDF

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Abstract

【課題】融解下限温度が20℃以上かつ融解上限温度が30℃以下にあり、融解潜熱が140J/g以上である蓄熱材組成物及び建築物の冷暖房用の蓄熱システムを提供する。【解決手段】蓄熱材組成物は、硫酸ナトリウム10水和物、リン酸水素二ナトリウム12水和物、及びリン酸三ナトリウム12水和物からなる主剤を含み、融解下限温度が20℃以上かつ融解上限温度が30℃以下にあり、融解潜熱が140J/g以上である。蓄熱材組成物は、主剤100質量%中に、硫酸ナトリウム10水和物が17.9〜32.5質量%、リン酸水素二ナトリウム12水和物が32.5〜55.0質量%、及びリン酸三ナトリウム12水和物が15〜40.5質量%含まれることが好ましい。【選択図】図3

Description

本発明は、蓄熱材組成物及び建築物の冷暖房用の蓄熱システムに関し、詳しくは、建造物の冷暖房の蓄熱システムに好適な蓄熱材組成物及びこれを含む建築物の冷暖房用の蓄熱システムに関する。
従来、液体から固体への相変化時や固体から液体への相変化時に発生又は吸収する潜熱を利用した潜熱蓄熱材組成物が知られている。潜熱蓄熱材組成物は、例えば、建造物の冷暖房の蓄熱システムに用いられる。
潜熱蓄熱材組成物には、一般的に、蓄熱量が大きいこと、所定の温度レベルで作動すること、長期間安定であること、安価であること、毒性がないこと、腐触性がないこと等の特性が要求される。
上記潜熱蓄熱材組成物が建造物の冷暖房の蓄熱システムに用いられる場合、潜熱蓄熱材組成物は、建造物の冷暖房の一般的な使用温度域である20℃以上かつ30℃以下で融解・凝固が生じることが好ましい。具体的には、潜熱蓄熱材組成物は、融解下限温度Tsが20℃以上かつ融解上限温度Tfが30℃以下であることが好ましい。ここで、融解下限温度Tsとは、潜熱蓄熱材組成物が融解潜熱を発現する下限温度を意味し、融解上限温度Tfとは、潜熱蓄熱材組成物が融解潜熱を発現する上限温度を意味する。
図面を参照して融解下限温度Ts及び融解上限温度Tfについて説明する。図1は、潜熱蓄熱材組成物の融解潜熱を発現する温度と蓄熱量との関係の一例を示すグラフである。図1中、Aは建造物の冷暖房用の蓄熱システムに好適な潜熱蓄熱材組成物Mの示す曲線、Bは建造物の冷暖房用の蓄熱システムに好適でない潜熱蓄熱材組成物Mの示す曲線である。また、図1中、Dは曲線Aの融解下限温度Ts、Eは曲線Aの融解上限温度Tf、Cは融解上限温度Tfと融解下限温度Tsとの差分である潜熱発生温度幅、をそれぞれ示す。なお、図1に示す、融解下限温度Ts20℃及び融解上限温度Tf29.5℃は一例であり、本実施形態において融解下限温度Ts及び融解上限温度Tfはこれらの数値に限定されない。
曲線Aは、潜熱発生温度幅Cが、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物に好適な20℃以上30℃以下(29.5℃以下)にある。すなわち、曲線Aの潜熱蓄熱材組成物Mは、融解下限温度Tsが20℃以上かつ融解上限温度Tfが30℃以下になっている。この融解下限温度Tsが20℃以上かつ融解上限温度Tfが30℃以下の潜熱蓄熱材組成物Mによれば、建造物の冷暖房の一般的な使用温度範囲において潜熱蓄熱材組成物の効率的な蓄熱、放熱が可能である。このため、潜熱蓄熱材組成物Mは、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として好適である。
一方、曲線Bは、潜熱発生温度幅Cが、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物に好適な20℃以上30℃以下(29.5℃以下)を逸脱している。すなわち、曲線Bの潜熱蓄熱材組成物Mは、融解下限温度Tsが20℃未満になっている。また、図1の横軸と曲線Bとの2個の交点のうち高温側の交点、すなわち、潜熱蓄熱材組成物Mの温度融解上限温度Tfは、図1には数値を明記していないが、30℃を超えるようになっている。このような潜熱蓄熱材組成物Mは、蓄熱材組成物が本来有する蓄熱量の全てを建造物の冷暖房に用いることができないため、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として好ましくない。
これに対し、従来の潜熱蓄熱材組成物として、例えば、特許文献1に、硫酸ナトリウム及び/又はその共晶塩と、水と、相分離抑制剤と、からなり、水を所定量含有する蓄熱材組成物が開示されている。特許文献1に記載される蓄熱材組成物によれば、これに含まれる硫酸ナトリウム10水和物が凝固、融解を繰り返しても蓄熱量の低下が抑制される。
また、従来の潜熱蓄熱材組成物として、非特許文献1には、硫酸ナトリウム10水和物とリン酸水素二ナトリウム12水和物との共晶型水和塩が開示されている。非特許文献1に記載される共晶型の蓄熱材組成物では、水等の融点調整剤を用いずに蓄熱材組成物の融点の低下を図っている。また、この共晶型の蓄熱材組成物によれば、凝固、融解を繰り返しても蓄熱量の低下が抑制される。
特開平5−25467号公報
ユシ・リュー外、「相変化物質としての2元共晶水和塩の改善のためのナノαAl2O3の使用」、ソーラー・エナジー・マテリアルズ&ソーラー・セルズ、オランダ、エルゼビア、2017年、第160巻、p.18−25
しかしながら、特許文献1の蓄熱材組成物には、蓄熱量が小さいという問題があった。また、特許文献1の蓄熱材組成物に含まれ、蓄熱材作用に関与する硫酸ナトリウム10水和物は、相変化温度が約32℃であり、融解上限温度Tfが30℃を超える。さらに、非特許文献1に記載される共晶型の蓄熱材組成物は、相変化温度が約29〜32℃であり、融解上限温度Tfが実質的に30℃を超える。
上記特許文献1及び非特許文献1の蓄熱材組成物は、融解上限温度が実質的に30℃を超える。このため、特許文献1及び非特許文献1の蓄熱材組成物は、建造物の冷暖房の一般的な使用温度範囲である20℃以上かつ30℃以下における蓄熱量が小さくなる。したがって、特許文献1及び非特許文献1の蓄熱材組成物は、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として好適でないという問題があった。
さらに、特許文献1の蓄熱材組成物には、含んでいる水により潜熱蓄熱材組成物の相変化の生じる温度幅が大きくなるため、潜熱発生温度幅が大きいという問題もあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。本発明は、融解下限温度が20℃以上かつ融解上限温度が30℃以下にあり、融解潜熱が140J/g以上である蓄熱材組成物及び建築物の冷暖房用の蓄熱システムを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係る蓄熱材組成物は、硫酸ナトリウム10水和物、リン酸水素二ナトリウム12水和物、及びリン酸三ナトリウム12水和物からなる主剤を含み、
融解下限温度が20℃以上かつ融解上限温度が30℃以下にあり、
融解潜熱が140J/g以上である。
本発明の第2の態様に係る蓄熱材組成物は、第1の態様に係る蓄熱材組成物において、前記主剤100質量%中に、前記硫酸ナトリウム10水和物が17.9〜32.5質量%、前記リン酸水素二ナトリウム12水和物が32.5〜55.0質量%、及び前記リン酸三ナトリウム12水和物が15〜40.5質量%含まれる。
本発明の第3の態様に係る蓄熱材組成物は、第1又は第2の態様に係る蓄熱材組成物において、前記主剤中の、前記硫酸ナトリウム10水和物の含有量をX質量%、前記リン酸水素二ナトリウム12水和物の含有量をY質量%、及び前記リン酸三ナトリウム12水和物の含有量をZ質量%と規定したとき、X、Y、及びZが下記式(1)〜(4)を満たす。
[数1]
X+Y+Z=100 (1)
[数2]
X−32.5≦0 (2)
[数3]
32.5≦Y≦55.0 (3)
[数4]
X+0.431Y−41.017≧0 (4)
本発明の第4の態様に係る蓄熱材組成物は、第1〜第3のいずれかの態様に係る蓄熱材組成物において、余剰水をさらに含み、前記余剰水は、前記主剤100質量部に対して9質量部以下含まれる。
本発明の第5の態様に係る蓄熱材組成物は、第1〜第4のいずれかの態様に係る蓄熱材組成物において、有機不飽和カルボン酸、有機不飽和スルホン酸、有機不飽和リン酸、有機不飽和アミド、有機不飽和アルコール、有機不飽和カルボン酸塩、有機不飽和スルホン酸塩、及び有機不飽和リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の単量体と、多官能性単量体と、を重合させて得られる第1の相分離抑制剤をさらに含む。
本発明の第6の態様に係る蓄熱材組成物は、第1〜第5のいずれかの態様に係る蓄熱材組成物において、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、及び尿素からなる群より選択される少なくとも1種の融点降下剤をさらに含む。
本発明の第7の態様に係る蓄熱材組成物は、第1〜第6のいずれかの態様に係る蓄熱材組成物において、ホウ砂Na(OH)・8HO、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化アルミニウム、黒鉛、アルミニウム、二酸化チタン、ヘクトライト、スメクタイトクレイ、ベントナイト、ラポナイト、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、エチレンジアミン四酢酸、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルリン酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、及びアルキルリン酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1種の過冷却抑制剤をさらに含む。
本発明の第8の態様に係る蓄熱材組成物は、第1〜第7のいずれかの態様に係る蓄熱材組成物において、ケイ酸ナトリウム、水ガラス、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリカルボキシレートポリエーテルポリマー、アクリル酸・マイレン酸共重合体ナトリウム、アクリル酸・スルホン酸系モノマー共重合体ナトリウム、アクリルアミド・ジメチルアミノエチルメタクリラートジメチル硫酸塩共重合物、アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、高吸水樹脂(SAP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMCの誘導体、カラギーナン、カラギーナンの誘導体、キサンタンガム、キサンタンガムの誘導体、ペクチン、ペクチンの誘導体、デンプン、デンプンの誘導体、コンニャク、寒天、層状ケイ酸塩、及びこれらの物質の複合物質からなる群より選択される少なくとも1種の第2の相分離抑制剤をさらに含む。
本発明の第9の態様に係る建築物の冷暖房用の蓄熱システムは、第1〜第8のいずれかの態様に係る蓄熱材組成物を用いた蓄熱材モジュールを具備する。
本実施形態に係る蓄熱材組成物によれば、融解下限温度が20℃以上かつ融解上限温度が30℃以下にあり、融解潜熱が140J/g以上である蓄熱材組成物及び建築物の冷暖房用の蓄熱システムを提供することができる。
潜熱蓄熱材組成物の融解潜熱を発現する温度と蓄熱量との関係の一例を示すグフである。 示差走査熱量測定(DSC)を用いて、潜熱蓄熱材組成物が融解潜熱を発現する融解下限温度Tsと融解上限温度Tfとを測定した結果を模式的に示したグラフである。 主剤における、硫酸ナトリウム10水和物、リン酸水素二ナトリウム12水和物、及びリン酸三ナトリウム12水和物の含有量の好適な範囲を示す三元系状態図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係る蓄熱材組成物、及び蓄熱システムについて詳細に説明する。
[蓄熱材組成物]
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、硫酸ナトリウム10水和物、リン酸水素二ナトリウム12水和物、及びリン酸三ナトリウム12水和物からなる主剤を含む。
(主剤)
<主剤中の硫酸ナトリウム10水和物>
主剤は、硫酸ナトリウム10水和物(NaSO・10HO)、リン酸水素二ナトリウム12水和物(NaHPO・12HO)、及びリン酸三ナトリウム12水和物(NaPO・12HO)からなる。
主剤は、硫酸ナトリウム10水和物、リン酸水素二ナトリウム12水和物、及びリン酸三ナトリウム12水和物を所定量含む。主剤中の各物質の配合量は、硫酸ナトリウム10水和物、リン酸水素二ナトリウム12水和物、及びリン酸三ナトリウム12水和物の混合物である主剤の質量に対して規定される。
なお、本実施形態に係る蓄熱材組成物は、主剤のみからなることができるが、必要により、余剰水をさらに含んでいてもよい。この主剤に加えて余剰水を含む蓄熱材組成物については後述する。
本実施形態に係る蓄熱材組成物では、主剤100質量%中に、硫酸ナトリウム10水和物が、通常17.9〜32.5質量%含まれる。硫酸ナトリウム10水和物の含有量が上記範囲内にあると、蓄熱材組成物の融解下限温度が20℃以上かつ融解上限温度が30℃以下にあり、融解潜熱が140J/g以上になる。
本実施形態に係る蓄熱材組成物では、主剤100質量%中に、硫酸ナトリウム10水和物が、好ましくは30〜32.5質量%含まれると、蓄熱材組成物の蓄熱量(融解潜熱量)がより大きくなる。
また、本実施形態に係る蓄熱材組成物では、主剤100質量%中に、硫酸ナトリウム10水和物が、好ましくは25〜32.5質量%含まれると、蓄熱材組成物の融解上限温度がより低くなる。
<主剤中のリン酸水素二ナトリウム12水和物>
本実施形態に係る蓄熱材組成物では、主剤100質量%中に、リン酸水素二ナトリウム12水和物が、通常32.5〜55.0質量%含まれる。リン酸水素二ナトリウム12水和物の含有量が上記範囲内にあると、蓄熱材組成物の融解下限温度が20℃以上かつ融解上限温度が30℃以下にあり、融解潜熱が140J/g以上になる。
本実施形態に係る蓄熱材組成物では、主剤100質量%中に、リン酸水素二ナトリウム12水和物が、好ましくは40〜55.0質量%含まれると、蓄熱材組成物の蓄熱量(融解潜熱量)がより大きくなる。また、本実施形態に係る蓄熱材組成物では、主剤100質量%中に、リン酸水素二ナトリウム12水和物が、好ましくは32.5〜45質量%含まれると、蓄熱材組成物の融解上限温度がより低くなる。
<主剤中のリン酸三ナトリウム12水和物>
本実施形態に係る蓄熱材組成物では、主剤100質量%中に、リン酸三ナトリウム12水和物が、通常15〜40.5質量%含まれる。リン酸三ナトリウム12水和物の含有量が上記範囲内にあると、蓄熱材組成物の融解下限温度が20℃以上かつ融解上限温度が30℃以下にあり、融解潜熱が140J/g以上になる。
本実施形態に係る蓄熱材組成物では、主剤100質量%中に、リン酸三ナトリウム12水和物が、好ましくは17.5〜30質量%含まれると、蓄熱材組成物の蓄熱量(融解潜熱量)がより大きくなる。
また、本実施形態に係る蓄熱材組成物では、主剤100質量%中に、リン酸三ナトリウム12水和物が、好ましくは25〜40.5質量%含まれると、蓄熱材組成物の融解上限温度がより低くなる。
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、好ましくは、主剤100質量%中に、硫酸ナトリウム10水和物が17.9〜32.5質量%、リン酸水素二ナトリウム12水和物が32.5〜55.0質量%及びリン酸三ナトリウム12水和物が15〜40.5質量%含まれる。硫酸ナトリウム10水和物等の各物質の含有量が上記範囲内にあると、蓄熱材組成物の融解下限温度が20℃以上かつ融解上限温度が30℃以下にあり、融解潜熱が140J/g以上になる。
<主剤中の組成>
蓄熱材組成物では、主剤中のX、Y、及びZが下記式(1)〜(4)を満たすことが好ましい。ここで、X、Y、及びZは、主剤中の硫酸ナトリウム10水和物の含有量をX質量%、リン酸水素二ナトリウム12水和物の含有量をY質量%、及び前記リン酸三ナトリウム12水和物の含有量をZ質量%と規定したものである。
[数5]
X+Y+Z=100 (1)
[数6]
X−32.5≦0 (2)
[数7]
32.5≦Y≦55.0 (3)
[数8]
X+0.431Y−41.017≧0 (4)
図3は、主剤における、硫酸ナトリウム10水和物、リン酸水素二ナトリウム12水和物、及びリン酸三ナトリウム12水和物の含有量の好適な範囲を示す三元系状態図である。図3に示す台形R及びその内部は、上記式(1)〜(4)を満たす範囲である。
本実施形態に係る蓄熱材組成物において、上記X、Y、及びZが下記式(1)〜(4)を満たすと、蓄熱材組成物の融解下限温度が20℃以上かつ融解上限温度が30℃以下にあり、融解潜熱が140J/g以上になる。
(余剰水)
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、必要により余剰水をさらに含んでいてもよい。本明細書では、主剤と余剰水とからなる混合物を主剤混合物と定義する。本実施形態に係る蓄熱材組成物において、余剰水は、主剤100質量部に対して、通常9質量部以下、好ましくは3質量部以下含まれる。
本実施形態に係る蓄熱材組成物における余剰水の含有量が上記範囲内にあると、蓄熱材組成物の融解下限温度が20℃以上かつ融解上限温度が30℃以下にあり、融解潜熱が140J/g以上になる。本実施形態に係る蓄熱材組成物における余剰水の含有量が9質量部を超えると、蓄熱材組成物の蓄熱量が小さくなるおそれがある。なお、本実施形態に係る蓄熱材組成物は、余剰水の含有量が0の場合に、主剤に加えてNaSO等の無水塩を含む場合がある。
(第1の相分離抑制剤)
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、特定の第1の相分離抑制剤をさらに含むと、主剤が保湿下で保存されるため好ましい。特定の第1の相分離抑制剤は、特定の単量体と、多官能性単量体と、を重合させて得られる。
<単量体>
特定の単量体としては、有機不飽和カルボン酸、有機不飽和スルホン酸、有機不飽和リン酸、有機不飽和アミド、有機不飽和アルコール、有機不飽和カルボン酸塩、有機不飽和スルホン酸塩、及び有機不飽和リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の単量体が用いられる。
有機不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸からなる群より選択される1種以上の不飽和カルボン酸が用いられ、好ましくはアクリル酸が用いられる。
有機不飽和スルホン酸としては、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、スルホエチルメタクリレート、アリルスルホン酸及びメタアリルスルホン酸からなる群より選択される1種以上の有機不飽和スルホン酸が用いられる。
有機不飽和カルボン酸塩としては、例えば上記不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩やアンモニウム塩が用いられる。上記不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩としては、例えば、上記不飽和カルボン酸のナトリウム塩が用いられる。上記不飽和カルボン酸のナトリウム塩としては、好ましくは、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウムが用いられる。
有機不飽和スルホン酸塩としては、例えば、上記有機不飽和スルホン酸のアルカリ金属塩やアンモニウム塩が用いられる。上記有機不飽和スルホン酸のアルカリ金属塩としては、例えば、上記有機不飽和スルホン酸のナトリウム塩が用いられる。
上記特定の単量体は、そのまま重合すると特定の単量体が重合した重合体を形成する。
<多官能性単量体>
多官能性単量体は、特定の単量体が重合した重合体を架橋させるものである。多官能性単量体としては、例えば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N,N’−ジメチレンビスアクリルアミド、N,N’−ジメチレンビスメタクリルアミドが用いられ、好ましくはN,N’−メチレンビスアクリルアミド又はN,N’−メチレンビスメタクリルアミドが用いられる。
(融点降下剤)
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、特定の融点降下剤をさらに含むと、主剤の融点が降下するため好ましい。融点降下剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、及び尿素からなる群より選択される少なくとも1種の融点降下剤が用いられる。
(過冷却抑制剤)
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、特定の過冷却抑制剤をさらに含むと、主剤の過冷却が抑制されるため好ましい。過冷却抑制剤としては、例えば、ホウ砂Na(OH)・8HO、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化アルミニウム、黒鉛、アルミニウム、二酸化チタン、ヘクトライト、スメクタイトクレイ、ベントナイト、ラポナイト、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、エチレンジアミン四酢酸、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルリン酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、及びアルキルリン酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1種の過冷却抑制剤が用いられる。
(第2の相分離抑制剤)
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、特定の第2の相分離抑制剤をさらに含むと、主剤の相分離が抑制されるため好ましい。第2の相分離抑制剤としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、水ガラス、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリカルボキシレートポリエーテルポリマー、アクリル酸・マイレン酸共重合体ナトリウム、アクリル酸・スルホン酸系モノマー共重合体ナトリウム、アクリルアミド・ジメチルアミノエチルメタクリラートジメチル硫酸塩共重合物、アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、高吸水樹脂(SAP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMCの誘導体、カラギーナン、カラギーナンの誘導体、キサンタンガム、キサンタンガムの誘導体、ペクチン、ペクチンの誘導体、デンプン、デンプンの誘導体、コンニャク、寒天、層状ケイ酸塩、及び上記物質の複合物質からなる群より選択される少なくとも1種の第2の相分離抑制剤が用いられる。
(特性)
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、融解下限温度が20℃以上かつ融解上限温度が30℃以下にあり、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として好適な温度範囲で融解潜熱を発現する。このため、本実施形態に係る蓄熱材組成物は、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として好適である。
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、融解上限温度が、30℃以下、好ましくは28℃以上30℃以下、より好ましくは28℃以上30℃未満、さらに好ましくは28℃以上29℃未満にある。本実施形態に係る蓄熱材組成物は、融解上限温度が上記数値範囲内にあるため、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として好適な温度範囲で融解潜熱を発現する。このため、本実施形態に係る蓄熱材組成物は、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として好適である。
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、融解上限温度と融解下限温度との差分である融解温度幅が、7.0℃以下、好ましくは5.0℃以下、より好ましくは4.6℃以下、好ましくは4.0℃以下である。本実施形態に係る蓄熱材組成物は、融解温度幅が上記数値範囲内にあり、溶解−凝固間の温度幅が小さいため、溶解と凝固との変化が速やかに行われる。このため、本実施形態に係る蓄熱材組成物は、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として好適である。
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、融解潜熱が140J/g以上、好ましくは140〜210J/g、より好ましくは150〜210J/g、さらに好ましくは160〜210J/gである。また、本実施形態に係る蓄熱材組成物は、融解潜熱が特に好ましくは170〜210J/g、より特に好ましくは180〜210J/gである。本実施形態に係る蓄熱材組成物は、融解潜熱が上記数値範囲内にあるため、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として融解潜熱が十分に高い。このため、本実施形態に係る蓄熱材組成物は、建造物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として好適である。
(発明の効果)
本実施形態に係る蓄熱材組成物によれば、融解下限温度が20℃以上かつ融解上限温度が30℃以下にあり、融解潜熱が140J/g以上である蓄熱材組成物が得られる。
[建築物の冷暖房用の蓄熱システム]
本実施形態に係る建築物の冷暖房用の蓄熱システムは、上記本実施形態に係る蓄熱材組成物を用いた蓄熱材モジュールを具備する。
(蓄熱材モジュール)
蓄熱材モジュールとしては、例えば、前記蓄熱材組成物を十分な密封性を有する容器に充填させた蓄熱材パックからなり、この蓄熱材パックを単数ないしは複数積層させるとともに、適切な流路を設け、モジュール化したものが用いられる。蓄熱材パックに用いる容器としては、例えば、アルミシートに樹脂製シートを積層して形成されたアルミパックシートを熱溶着することで形成されたアルミパック等が挙げられる。蓄熱材モジュールは、建造物中の空間を区切る床面、壁面、天井面の少なくとも一部に設置される。
このように設置された蓄熱材モジュールは、モジュール表面とこのモジュール表面を通気した雰囲気との熱交換、日射による日射熱、夜間電力を利用した空調システム等によって蓄熱(蓄冷)される。例えば、昼間においては、蓄熱材モジュール中の蓄熱材組成物は、建造物中の空間から得た熱によって融解し、その分のエンタルピーを蓄熱材組成物の内部に保留する。その後、夜間に外気温度が下がってくると、融解していた蓄熱材組成物は凝固し、建造物中の空間へ熱を放出する。このように、蓄熱材モジュールを建物内に設置すると、蓄熱材組成物の融解・凝固の作用により、冷暖房のためのエネルギー負荷を低減することができる。
(発明の効果)
本実施形態に係る蓄熱材システムによれば、モジュール表面とこのモジュール表面を通気した雰囲気との熱交換、日射による日射熱、夜間電力を利用した空調システム等によって蓄熱(蓄冷)されるため、冷暖房のためのエネルギー負荷を低減することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(蓄熱材組成物の作製)
20mlのガラス製サンプル瓶に、NaSO無水塩(キシダ化学株式会社製、特級)と、NaHPO無水塩(キシダ化学株式会社製、特級)と、NaPO無水塩(キシダ化学株式会社製、特級)と、純水とを、合計約5gになるように所定量混合した。
なお、NaSO無水塩、NaHPO無水塩、NaPO無水塩及び純水の量は、得られる蓄熱材組成物の組成が表1に示す組成になるような量で配合した。
得られた混合物を50℃以上で湯煎したところ、蓄熱材組成物が得られた(試料No.A15)。この蓄熱材組成物は、極微量の余剰水を含む以外は、実質的に主剤のみからなるものであった。余剰水の含有量を表1に示す。
また、蓄熱材組成物の調製時の沈殿の生成の有無を調べた。蓄熱材組成物の調製時に沈殿が生成することは、凝固・融解を繰り返したときの蓄熱材組成物の特性安定性が低いことを示す指標である。試料No.A15の蓄熱材組成物では、沈殿は生成しなかった。結果を表1に示す。
Figure 2020026465
(融解潜熱の融解下限温度Ts、融解上限温度Tf、及び融解潜熱の測定)
蓄熱材組成物から10mg試料を採取し、DSC(示差走査熱量測定)を行い、蓄熱材組成物の融解下限温度Ts及び融解上限温度Tfを測定した。融解下限温度Ts及び融解上限温度Tfの測定について、図2を参照して説明する。図2は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて、潜熱蓄熱材組成物が融解潜熱を発現する融解下限温度Tsと融解上限温度Tfとを測定した結果を模式的に示したグラフである。
具体的には、融解下限温度Tsは、DSC曲線におけるベースの直線と、最初にヒートフローが低下したDSC曲線の変曲点における傾きを延長した直線と、の交点とした。また、融解上限温度Tfは、ヒートフローがベースに回復する直前のDSC曲線の変曲点における傾きを延長した直線と、DSC曲線におけるベースの直線と、の交点とした。
また、DSC曲線の吸熱ピークのピーク面積から融解潜熱を算出した。
これらの結果を表1に示す。
[実施例2〜28、比較例1〜16]
得られる蓄熱材組成物が表1又は表2に示す組成になるように、NaSO無水塩、NaHPO無水塩、NaPO無水塩、及び純水の配合量を変えた以外は、実施例1と同様にして、蓄熱材組成物を得た(試料No.A1〜A14、A16〜A44)。
試料No.A1〜A14はそれぞれ比較例1〜14の蓄熱材組成物、試料No.A16〜A42はそれぞれ実施例2〜28の蓄熱材組成物、試料No.A43及びA44はそれぞれ比較例15及び16の蓄熱材組成物である。
Figure 2020026465
試料No.A1〜A14及びA16〜A44につき、実施例1と同様にして、余剰水の含有量と、蓄熱材組成物の沈殿の生成の有無を調べた。また、試料No.A1〜A14及びA16〜A44につき、実施例1と同様にして、融解潜熱の融解下限温度Ts、融解上限温度Tf、及び融解潜熱の測定を行った。結果を表1及び表2に示す。
(三元系状態図)
図3は、主剤における、硫酸ナトリウム10水和物、リン酸水素二ナトリウム12水和物、及びリン酸三ナトリウム12水和物の含有量の好適な範囲を示す三元系状態図である。試料No.A1〜A42の蓄熱材組成物の主剤の組成を図3にプロットした。
図3中、試料No.A15〜A42(実施例1〜28)の蓄熱材組成物のプロットを記号○で示す。
図3において、台形の領域Rは、試料No.A15〜A42(実施例1〜28)の蓄熱材組成物の主剤が存在する領域である。領域Rは、硫酸ナトリウム10水和物の含有量をX質量%、リン酸水素二ナトリウム12水和物の含有量をY質量%、及びリン酸三ナトリウム12水和物の含有量をZ質量%と規定したとき、X、Y及びZが下記式(1)〜(4)を満たす領域である。
[数9]
X+Y+Z=100 (1)
[数10]
X−32.5≦0 (2)
[数11]
32.5≦Y≦55.0 (3)
[数12]
X+0.431Y−41.017≧0 (4)
表1より、図3の領域R内にある試料No.A15〜A42(実施例1〜28)の蓄熱材組成物は、蓄熱材組成物の融解下限温度が20℃以上かつ融解上限温度が30℃以下にあり、融解潜熱が140J/g以上になっていることが分かった。
なお、表2より、図3中に記号×で表される蓄熱材組成物(試料No.A1〜A8)は、蓄熱材組成物の調製時に沈殿が生成しており、繰り返し特性安定性が低いことが分かった。
また、表2より、図3中に記号△で表される蓄熱材組成物(試料No.A8〜A14)は、蓄熱量(融解潜熱)が小さいことが分かった。
表1及び図3より、上記式(1)〜(4)を満たす領域R内にある実施例1〜28の蓄熱材組成物(試料No.A15〜A42)は、蓄熱材組成物として好ましいことが分かった。また、実施例1〜28の蓄熱材組成物(試料No.A15〜A42)は、融解下限温度が20℃以上かつ融解上限温度が30℃以下にあり、融解潜熱が140J/g以上であることが分かった。
以上、本発明を実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。

Claims (9)

  1. 硫酸ナトリウム10水和物、リン酸水素二ナトリウム12水和物、及びリン酸三ナトリウム12水和物からなる主剤を含み、
    融解下限温度が20℃以上かつ融解上限温度が30℃以下にあり、
    融解潜熱が140J/g以上であることを特徴とする蓄熱材組成物。
  2. 前記主剤100質量%中に、
    前記硫酸ナトリウム10水和物が17.9〜32.5質量%、
    前記リン酸水素二ナトリウム12水和物が32.5〜55.0質量%、及び
    前記リン酸三ナトリウム12水和物が15〜40.5質量%含まれることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱材組成物。
  3. 前記主剤中の、前記硫酸ナトリウム10水和物の含有量をX質量%、前記リン酸水素二ナトリウム12水和物の含有量をY質量%、及び前記リン酸三ナトリウム12水和物の含有量をZ質量%と規定したとき、X、Y、及びZが下記式(1)〜(4)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄熱材組成物。
    [数1]
    X+Y+Z=100 (1)
    [数2]
    X−32.5≦0 (2)
    [数3]
    32.5≦Y≦55.0 (3)
    [数4]
    X+0.431Y−41.017≧0 (4)
  4. 余剰水をさらに含み、
    前記余剰水は、前記主剤100質量部に対して9質量部以下含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄熱材組成物。
  5. 有機不飽和カルボン酸、有機不飽和スルホン酸、有機不飽和リン酸、有機不飽和アミド、有機不飽和アルコール、有機不飽和カルボン酸塩、有機不飽和スルホン酸塩、及び有機不飽和リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の単量体と、
    多官能性単量体と、
    を重合させて得られる第1の相分離抑制剤をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄熱材組成物。
  6. 塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、及び尿素からなる群より選択される少なくとも1種の融点降下剤をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄熱材組成物。
  7. ホウ砂Na(OH)・8HO、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化アルミニウム、黒鉛、アルミニウム、二酸化チタン、ヘクトライト、スメクタイトクレイ、ベントナイト、ラポナイト、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、エチレンジアミン四酢酸、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルリン酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、及びアルキルリン酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1種の過冷却抑制剤をさらに含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄熱材組成物。
  8. ケイ酸ナトリウム、水ガラス、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリカルボキシレートポリエーテルポリマー、アクリル酸・マイレン酸共重合体ナトリウム、アクリル酸・スルホン酸系モノマー共重合体ナトリウム、アクリルアミド・ジメチルアミノエチルメタクリラートジメチル硫酸塩共重合物、アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、高吸水樹脂(SAP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMCの誘導体、カラギーナン、カラギーナンの誘導体、キサンタンガム、キサンタンガムの誘導体、ペクチン、ペクチンの誘導体、デンプン、デンプンの誘導体、コンニャク、寒天、層状ケイ酸塩、及びこれらの物質の複合物質からなる群より選択される少なくとも1種の第2の相分離抑制剤をさらに含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄熱材組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の蓄熱材組成物を用いた蓄熱材モジュールを具備することを特徴とする建築物の冷暖房用の蓄熱システム。
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