JP2020024828A - バイポーラ電池及びバイポーラ電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】セパレータの周縁部が支持されたバイポーラ電池を小型化する。【解決手段】バイポーラ電極11がセパレータ12を介して複数積層されてなる電極積層体13と、電極積層体13を取り囲む枠体14とを備え、枠体14は、ニッケル箔15の周縁部15cをそれぞれ支持するように配置された複数の一次シール20を有するバイポーラ電池2において、セパレータ12の周縁部12bが、隣接するいずれかのニッケル箔15と溶着により一体化し、且つセパレータ12が一体化したニッケル箔15の周縁部15cを支持する一次シール20と溶着により一体化しているため、ニッケル箔15及びセパレータ12ごとの支持する部位が不要となり、セパレータ12の周縁部12bが支持されたバイポーラ電池2の小型化が可能となる。【選択図】図3
Description
本発明は、バイポーラ電池及びバイポーラ電池の製造方法に関する。
従来のバイポーラ電池としては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載のバイポーラ電池は、集電体の一方面に形成された正極と集電体の他方面に形成された負極とを有するバイポーラ電極がセパレータを介して複数積層されてなる電極積層体と、電極積層体を取り囲む枠体とを備え、枠体は、集電体の周縁部をそれぞれ支持するように配置されたシールを有する。
上記のようなバイポーラ電池では、隣り合う集電体のショートの発生を防ぐ等の理由から、セパレータの周縁部をシールで支持した構造とすることがある。例えば、シールの内縁部に段差を設け、段差以外の部位で集電体の周縁部を支持し、段差の部位でセパレータの周縁部を支持する構造が考えられる。しかし、このようにシールに集電体及びセパレータごとに支持する部位を別々に設けた場合には、シールに集電体及びセパレータごとの支持する部位が必要となり、セパレータの周縁部が支持されたバイポーラ電池が大型化する欠点がある。
本発明の目的は、セパレータの周縁部が支持されたバイポーラ電池の小型化が可能なバイポーラ電池及びバイポーラ電池の製造方法を提供することである。
本発明は、集電体の一方面に形成された正極と集電体の他方面に形成された負極とを有するバイポーラ電極がセパレータを介して複数積層されてなる電極積層体と、電極積層体を取り囲む枠体とを備え、枠体は、集電体の周縁部をそれぞれ支持するように配置された複数のシールを有するバイポーラ電池であって、セパレータの周縁部が、隣接するいずれかの集電体と溶着により一体化し、且つセパレータが一体化した集電体の周縁部を支持するシールと溶着により一体化しているバイポーラ電池である。
この構成によれば、バイポーラ電極がセパレータを介して複数積層されてなる電極積層体と、電極積層体を取り囲む枠体とを備え、枠体は、集電体の周縁部をそれぞれ支持するように配置された複数のシールを有するバイポーラ電池において、セパレータの周縁部が、隣接するいずれかの集電体と溶着により一体化し、且つセパレータが一体化した集電体の周縁部を支持するシールと溶着により一体化しているため、集電体及びセパレータごとの支持する部位が不要となり、セパレータの周縁部が支持されたバイポーラ電池の小型化が可能となる。
この場合、セパレータとシールとは、それぞれ互いに相溶性のある樹脂を含むことが好適である。
この構成によれば、セパレータとシールとはそれぞれ互いに相溶性のある樹脂を含むため、セパレータとシールとの溶着の状態が向上する。
また、集電体の一方面及び他方面のいずれかにおけるセパレータが一体化した部位には凸部が設けられ、集電体と一体化したセパレータから凸部が露出していないことが好適である。
この構成によれば、集電体の一方面及び他方面のいずれかにおけるセパレータが一体化した部位には凸部が設けられているため、セパレータと集電体とがより強固に一体化される。また、集電体と一体化したセパレータから凸部が露出していないため、より確実に隣り合う集電体のショートを防ぐことができる。
また、本発明は、集電体の一方面に形成された正極と集電体の他方面に形成された負極とを有するバイポーラ電極がセパレータを介して複数積層されてなる電極積層体と、電極積層体を取り囲む枠体とを備え、枠体は、集電体の周縁部をそれぞれ支持するように配置された複数のシールを有するバイポーラ電池の製造方法であって、バイポーラ電極と、バイポーラ電極に積層されたセパレータと、バイポーラ電極の集電体の周縁部を支持するシールとを配置する配置工程と、セパレータの周縁部を集電体と溶着により一体化させつつ、セパレータの周縁部をシールと溶着により一体化させる溶着工程とを備えたバイポーラ電池の製造方法である。
この場合、溶着工程では、集電体の周縁部とシールとを溶着により一体化させつつ、セパレータの周縁部を集電体と溶着により一体化させ、且つセパレータの周縁部をシールと溶着により一体化させることが好適である。
この構成によれば、溶着工程では、集電体の周縁部とシールとが溶着により一体化させられつつ、セパレータの周縁部が集電体と溶着により一体化させられ、且つセパレータの周縁部がシールと溶着により一体化させられるため、集電体とシールとの一体化、セパレータと集電体との一体化及びセパレータとシールとの一体化を一つの工程で行うことができ、セパレータの周縁部が支持されたバイポーラ電池の製造工程の簡略化が可能となる。
また、セパレータとシールとは、それぞれ互いに相溶性のある樹脂を含むことが好適である。
また、配置工程で配置される集電体の一方面及び他方面のいずれかにおける溶着工程でセパレータを一体化させる部位には凸部が設けられ、溶着工程で集電体と一体化したセパレータから凸部が露出していないことが好適である。
本発明によれば、セパレータの周縁部が支持されたバイポーラ電池の小型化が可能になる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るバイポーラ電池を備えた蓄電装置を示す概略断面図である。図1において、蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車または電気自動車等の車両のバッテリとして使用される。蓄電装置1は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュールとしてのバイポーラ電池2を備えている。バイポーラ電池2は、例えばニッケル水素二次電池である。
複数のバイポーラ電池2は、金属製の導電板3を介して積層されている。導電板3は、積層方向(Z軸方向)の両端に位置するバイポーラ電池2の外側にも配置されている。バイポーラ電池2及び導電板3は、例えば積層方向から見て矩形状(平面視矩形状)を有している。導電板3は、隣り合うバイポーラ電池2と電気的に接続されている。これにより、複数のバイポーラ電池2が積層方向に直列接続されている。バイポーラ電池2については、後で詳述する。
積層方向の一端(ここでは下端)に位置する導電板3には、正極端子4が接続されている。積層方向の他端(ここでは上端)に位置する導電板3には、負極端子5が接続されている。正極端子4及び負極端子5は、積層方向に垂直な方向(X軸方向)に延在している。このような正極端子4及び負極端子5を設けることにより、蓄電装置1の充放電を実施することができる。
導電板3は、バイポーラ電池2において発生した熱を放出するための放熱板としても機能し得る。導電板3には、バイポーラ電池2の積層方向と正極端子4及び負極端子5の延在方向とに垂直な方向(Y軸方向)に延在した複数の空隙3aが設けられている。これらの空隙3aを空気等の冷媒が通過することにより、バイポーラ電池2からの熱を効率的に外部に放出することができる。
また、蓄電装置1は、バイポーラ電池2及び導電板3を積層方向に拘束する拘束ユニット6を備えている。拘束ユニット6は、バイポーラ電池2及び導電板3を積層方向に挟む1対の拘束プレート7と、これらの拘束プレート7同士を締結する複数組のボルト8及びナット9とを有している。
拘束プレート7は、鉄等の金属で形成されている。各拘束プレート7と導電板3との間には、樹脂フィルム等の絶縁フィルム10がそれぞれ配置されている。拘束プレート7及び絶縁フィルム10は、例えば平面視矩形状を有している。ボルト8の軸部8aが各拘束プレート7に設けられた挿通孔7aを挿通した状態で、軸部8aの先端部にナット9が螺合することで、バイポーラ電池2、導電板3及び絶縁フィルム10に積層方向の拘束荷重が付与される。
図2は、バイポーラ電池2の概略断面図である。図2において、バイポーラ電池2は、複数のセル(例えば24セル)が積層された構造(複数セル構造)を有している。バイポーラ電池2は、複数のバイポーラ電極11がセパレータ12を介して積層されてなる電極積層体13と、この電極積層体13を取り囲む枠体14とを備えている。
バイポーラ電極11及びセパレータ12は、例えば平面視矩形状を有している。セパレータ12は、積層方向に隣り合うバイポーラ電極11の間に配置されている。バイポーラ電極11は、集電体であるニッケル箔15と、このニッケル箔15の一方面である上面15aに形成された正極16と、ニッケル箔15の他方面である下面15bに形成された負極17とを有している。
バイポーラ電極11の正極16は、セパレータ12を挟んで積層方向に隣り合う一方のバイポーラ電極11の負極17と対向している。バイポーラ電極11の負極17は、セパレータ12を挟んで積層方向に隣り合う他方のバイポーラ電極11の正極16と対向している。
電極積層体13の最下層には、正極側終端電極18が配置されている。正極側終端電極18は、ニッケル箔15と、このニッケル箔15の上面15aに形成された正極16とを有している。電極積層体13の最上層には、負極側終端電極19が配置されている。負極側終端電極19は、ニッケル箔15と、このニッケル箔15の下面15bに形成された負極17とを有している。正極側終端電極18の正極16は、セパレータ12を挟んで最下層のバイポーラ電極11の負極17と対向している。負極側終端電極19の負極17は、セパレータ12を挟んで最上層のバイポーラ電極11の正極16と対向している。正極側終端電極18及び負極側終端電極19のニッケル箔15は、積層方向に隣り合う導電板3(図1参照)に接続されている。
正極16は、ニッケル箔15の上面15aに正極活物質を塗工することにより形成されている。正極活物質としては、例えばコバルト(Co)酸化物コートが施された水酸化ニッケルが用いられる。負極17は、ニッケル箔15の下面15bに負極活物質を塗工することにより形成されている。負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が用いられる。ニッケル箔15の周縁部15cは、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。
図2及び図3に示すように、セパレータ12は、正極16と負極17との間に配置され、正極16と負極17とを隔離する。セパレータ12は、例えばシート状に形成されている。セパレータ12は、積層方向から見てニッケル箔15と同じ寸法を有している。セパレータ12は、平面視矩形状の本体部12aと、この本体部12aの外側の周縁部12bとを有している。本体部12aと周縁部12bとの厚さはほぼ等しい。
セパレータ12は、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、もしくはPE、PP、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはメチルセルロース等からなる不織布または織布等で形成されている。また、セパレータ12は、フッ化ビニリデン樹脂化合物等で補強されていてもよい。
枠体14は、各バイポーラ電極11のニッケル箔15の周縁部15c及びセパレータ12の周縁部12bをそれぞれ支持するように配置された複数のシールである一次シール20と、これらの一次シール20の周囲に配置された二次シール21とを有している。
一次シール20は、積層方向に沿ってニッケル箔15毎に配置されている。一次シール20は、枠状を有している。一次シール20の下面は、ニッケル箔15の周縁部15cの上面15aに溶着されている。これにより、ニッケル箔15の周縁部15cは一次シール20により支持されている。
セパレータ12の周縁部12bは、隣接するいずれかのニッケル箔15と溶着により一体化している。本実施形態では、セパレータ12の周縁部12bは、セパレータ12の下方のニッケル箔15の上面15aと溶着により一体化している。また、セパレータ12の周縁部12bは、セパレータ12が一体化したニッケル箔15の周縁部15cを支持する一次シール20の内縁部20aと溶着により一体化している。図3に示すように、セパレータ12の周縁部12bと一次シール20の内縁部20aとは、ニッケル箔15の上面15aを覆うように互いに溶融しつつ一体化している。なお、セパレータ12の周縁部12b及びニッケル箔15の周縁部15cとは、例えば、セパレータ12及びニッケル箔15の部位の内でバイポーラ電池2の最も外側の部位を意味する。また、一次シール20の内縁部20aとは、一次シール20の部位の内でバイポーラ電池2の最も内側の部位を意味する。
図2及び図3に示すように、積層方向に隣り合うニッケル箔15間には、ニッケル箔15、正極16、負極17及び一次シール20によって画成された内部空間Vが設けられている。セパレータ12内を含む内部空間Vには、アルカリ性の電解液が注入されている。アルカリ性の電解液としては、例えば水酸化カリウム水溶液等を含むアルカリ溶液が用いられている。一次シール20は、内部空間Vを封止する。バイポーラ電池2における1つのセルは、2つのニッケル箔15、正極16、負極17、セパレータ12及び一次シール20により構成され、内部空間Vを有している。
二次シール21は、角筒状を有している。二次シール21は、例えば射出成形により形成されている。二次シール21の内壁面21aは、各一次シール20に接合されている。二次シール21は、内部空間Vを更に封止する。一次シール20及び二次シール21は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)または変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等の樹脂で形成されている。一次シール20とセパレータ12とは、それぞれ互いに相溶性のある樹脂を含み、溶着の状態を向上させられている。
ニッケル箔15の上面15a及び下面15bのいずれかにおけるセパレータ12が一体化した部位には凸部が設けられている。図3に示すように、本実施形態では、ニッケル箔15の上面15aの全体は粗面化されている。ニッケル箔15の上面15aは、例えば、電解メッキ処理で複数の凸部15dが形成されることにより粗面化されている。このようにニッケル箔15が粗面化されている場合、ニッケル箔15と一次シール20及びセパレータ12との接合界面では、溶融状態の一次シール20及びセパレータ12が粗面化により形成された凸部15dを包含し、アンカー効果が発揮される。これにより、ニッケル箔15と一次シール20及びセパレータ12との結合力を向上させることができる。
凸部15dは、例えば、基端側から先端側に向かって先太りとなる形状を有している。この場合、互いに隣接する凸部15dの間の断面形状はアンダーカット形状となり、アンカー効果が生じ易い。なお、図3は模式図であって、凸部15dの形状及び密度等は特に限定されない。また、図3においては、一次シール20及びセパレータ12の厚さと凸部15dの大きさの比率は、適宜調整されている。実際には、一次シール20及びセパレータ12の厚さは、凸部15dの大きさより遥かに大きい。特に、絶縁の確保のため、溶着により溶融し、ニッケル箔15と一体化したセパレータ12から凸部15dが露出していない。
以下、本実施形態のバイポーラ電池の製造方法について説明する。まず、ニッケル箔15の上面15aに形成された正極16とニッケル箔15の下面15bに形成された負極17とを有するバイポーラ電極11が製作された状態で、バイポーラ電極11と、バイポーラ電極11に積層されたセパレータ12と、バイポーラ電極11のニッケル箔15の周縁部15cを支持する一次シール20とを配置する配置工程が行われる。
図4に示すように、本実施形態では、バイポーラ電極11の正極16及びニッケル箔15の上面15aの側にセパレータ12が積層され、バイポーラ電極11のニッケル箔15の上面15aと一次シール20の下面とが当接させられる。配置工程の終了時には、セパレータ12の周縁部12bと一次シール20の内縁部20aとの間には、所定の間隔が空いている。積層方向から視てニッケル箔15の周縁部15cとセパレータ12の周縁部12bとの間に一次シール20の内縁部20aが位置する。
図5に示すように、積層方向から視て、ニッケル箔15の周縁部15cと、セパレータ12の周縁部12bと、周縁部15cと周縁部12bとの間の一次シール20の内縁部20aとを含む圧縮部Pにおいて、一回の熱プレスにより、セパレータ12の周縁部12bをニッケル箔15と溶着により一体化させつつ、セパレータ12の周縁部12bを一次シール20と溶着により一体化させる溶着工程が行われる。
図5に示すように、熱プレスの熱により、一次シール20の下面が溶融し、ニッケル箔15の周縁部15c付近の上面15aと一次シール20の下面とが溶着により一体化する。また、セパレータ12の周縁部12bが溶融し、ニッケル箔15と一体化する。図6に示すように、熱プレスの熱により、一次シール20の内縁部20aも溶融する。セパレータ12の周縁部12bと一次シール20の内縁部20aとは、ニッケル箔15の上面15aを覆うように互いに溶融しつつ一体化する。つまり、溶着工程では、ニッケル箔15の周縁部15cと一次シール20とを溶着により一体化させつつ、セパレータ12の周縁部12bをニッケル箔15と溶着により一体化させ、且つセパレータ12の周縁部12bを一次シール20と溶着により一体化させる。
配置工程で配置されるニッケル箔15の上面15aには凸部15dが設けられ、溶着工程でニッケル箔15と一体化したセパレータ12から凸部15dが露出していない。溶着工程の終了後に、ニッケル箔15の周縁部15cと一次シール20の内縁部20aとを完全に一体化させ、且つセパレータ12から凸部15dが露出しないようにするために、セパレータ12及び一次シール20の樹脂の流動性、凸部15dの大きさ、セパレータ12の厚さ、熱プレスの熱量及び熱プレスの時間が適宜調節される。
同様にして、互いに溶着されたバイポーラ電極11とセパレータ12と一次シール20とを有するバイポーラ電池2の部品が複数製作される。また、同様にして、互いに溶着された正極側終端電極18とセパレータ12と一次シール20とを有するバイポーラ電池2の部品が複数製作される。また、一次シール20と、一次シール20にニッケル箔15の周縁部15cが溶着された負極側終端電極19とを有するバイポーラ電池2の部品が製作される。
図7に示すように、上記のようにして製作されたバイポーラ電池2の部品のそれぞれが積層方向に積層される。ニッケル箔15の周縁部15cをそれぞれ支持する複数の一次シール20の周縁部に二次シール21が配置され、一次シール20と二次シール21とが一体化させられる。例えば、一次シール20の周縁部において、金型を用いて二次シール21が射出成形され、一次シール20のそれぞれに二次シール21が接合される。一次シール20の周縁部において、熱板溶着により、一次シール20と二次シール21とが一体化されてもよい。
本実施形態では、バイポーラ電極11がセパレータ12を介して複数積層されてなる電極積層体13と、電極積層体13を取り囲む枠体14とを備え、枠体14は、ニッケル箔15の周縁部15cをそれぞれ支持するように配置された複数の一次シール20を有するバイポーラ電池2において、セパレータ12の周縁部12bが、隣接するいずれかのニッケル箔15と溶着により一体化し、且つセパレータ12が一体化したニッケル箔15の周縁部15cを支持する一次シール20と溶着により一体化しているため、ニッケル箔15及びセパレータ12ごとの支持する部位が不要となり、セパレータ12の周縁部12bが支持されたバイポーラ電池2の小型化が可能となる。
また、本実施形態では、溶着工程では、ニッケル箔15の周縁部15cと一次シール20とが溶着により一体化させられつつ、セパレータ12の周縁部12bがニッケル箔15と溶着により一体化させられ、且つセパレータ12の周縁部12bが一次シール20と溶着により一体化させられるため、ニッケル箔15と一次シール20との一体化、セパレータ12とニッケル箔15との一体化及びセパレータ12と一次シール20との一体化を一つの工程で行うことができ、セパレータ12の周縁部12bが支持されたバイポーラ電池2の製造工程の簡略化が可能となる。
つまり、図8に示すようなセパレータ12の周縁部12bが支持されていない未支持部Nを有するバイポーラ電池201では、隣り合うニッケル箔15のショートの発生を防ぐ等の理由から、セパレータ12を一次シール20で支持した構造とすることがある。例えば、図9に示すバイポーラ電池202のように、X軸方向の長さが異なる一次シール20と一次シール22とでシールの内縁部に段差部23を設け、段差部23以外の部位でニッケル箔15の周縁部15cを支持し、段差部23でセパレータ12の周縁部12bを支持する構造が考えられる。
しかし、このような構造では、一次シール20,22にニッケル箔15を支持する部位である圧縮部P及びセパレータ12を支持する部位である支持部Fの両方が必要となり、セパレータ12の周縁部12bが支持されたバイポーラ電池202が大型化する欠点がある。また、熱プレスにより圧縮部Pを圧縮して一次シール20とニッケル箔15とを溶着する工程と、別の熱プレスにより支持部Fを圧縮して一次シール20とセパレータ12とを溶着する工程との2つの工程が必要となり、製造工程が複雑化する。
一方、本実施形態では、圧縮部Pにおいて、一回の熱プレスにより、互いにバイポーラ電極11のニッケル箔15、一次シール20及びセパレータ12が一緒に溶着されるため、支持部Fが不要となり、支持部Fの分の小型化が図れる。また、支持部Fへの熱プレスの工程が不要となるため、製造工程の簡略化が可能となる。また、段差部23等は不要になるため、部品点数を少なくすることができる。また、セパレータ12及び一次シール20は、ニッケル箔15の上面15aを覆うように一体化されるため、より確実に隣り合うニッケル箔15のショートを防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、セパレータ12と一次シール20とはそれぞれ互いに相溶性のある樹脂を含むため、セパレータ12と一次シール20との溶着の状態が向上する。
また、本実施形態によれば、ニッケル箔15の上面15a及び下面15bのいずれかにおけるセパレータ12が一体化した部位には凸部15dが設けられているため、セパレータ12とニッケル箔15とがより強固に一体化される。また、ニッケル箔15と一体化したセパレータ12から凸部15dが露出していないため、より確実に隣り合うニッケル箔15のショートを防ぐことができる。
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば、上記実施形態では、一次シール20の下面がニッケル箔15の周縁部15cの上面15aに溶着され、セパレータ12の周縁部12bがニッケル箔15の上面15aに溶着されている。しかし、バイポーラ電極11の上面15a及び下面15bのいずれか一方にセパレータ12の周縁部12bと一次シール20とが一緒に溶着されていればよい。一次シール20の上面がニッケル箔15の周縁部15cの下面15bに溶着され、セパレータ12の周縁部12bがニッケル箔15の下面15bに溶着されていてもよい。この場合、ニッケル箔15の下面15bに凸部15dが設けられていることが好ましい。
また、上記実施形態では、互いに溶着されたバイポーラ電極11とセパレータ12と一次シール20とを有するバイポーラ電池2の部品が複数製作され、これらの部品が積層された。しかし、例えば、バイポーラ電池2を構成する電極積層体13のバイポーラ電極11及びセパレータ12のそれぞれが一度に一次シール20を間に介して積層され、一回の熱プレスにより、互いに積層されている一次シール20、セパレータ12及びニッケル箔15が一緒に溶着されてもよい。
さらに、上記実施形態では、バイポーラ電池2はニッケル水素二次電池であるが、本発明は、ニッケル水素二次電池以外のバイポーラ電池(例えばリチウムイオン二次電池等)にも適用可能である。また、本発明は、電気二重層キャパシタ等の蓄電装置にも適用可能である。
1…蓄電装置、2…バイポーラ電池、3…導電板、3a…空隙、4…正極端子、5…負極端子、6…拘束ユニット、7…拘束プレート、7a…挿通孔、8…ボルト、9…ナット、10…絶縁フィルム、11…バイポーラ電極、12…セパレータ、12a…本体部、12b…周縁部、13…電極積層体、14…枠体、15…ニッケル箔(集電体)、15a…上面(一方面)、15b…下面(他方面)、15c…周縁部、15d…凸部、16…正極、17…負極、20…一次シール(シール)、20a…内縁部、21…二次シール、21a…内壁面、22…一次シール、23…段差部、201…バイポーラ電池、202…バイポーラ電池、V…内部空間、P…圧縮部、N…未支持部、F…支持部。
Claims (7)
- 集電体の一方面に形成された正極と前記集電体の他方面に形成された負極とを有するバイポーラ電極がセパレータを介して複数積層されてなる電極積層体と、前記電極積層体を取り囲む枠体とを備え、前記枠体は、前記集電体の周縁部をそれぞれ支持するように配置された複数のシールを有するバイポーラ電池であって、
前記セパレータの周縁部が、隣接するいずれかの前記集電体と溶着により一体化し、且つ前記セパレータが一体化した前記集電体の周縁部を支持する前記シールと溶着により一体化している、バイポーラ電池。 - 前記セパレータと前記シールとは、それぞれ互いに相溶性のある樹脂を含む、請求項1に記載のバイポーラ電池。
- 前記集電体の前記一方面及び前記他方面のいずれかにおける前記セパレータが一体化した部位には凸部が設けられ、
前記集電体と一体化した前記セパレータから前記凸部が露出していない、請求項1又は2に記載のバイポーラ電池。 - 集電体の一方面に形成された正極と前記集電体の他方面に形成された負極とを有するバイポーラ電極がセパレータを介して複数積層されてなる電極積層体と、前記電極積層体を取り囲む枠体とを備え、前記枠体は、前記集電体の周縁部をそれぞれ支持するように配置された複数のシールを有するバイポーラ電池の製造方法であって、
前記バイポーラ電極と、前記バイポーラ電極に積層された前記セパレータと、前記バイポーラ電極の前記集電体の周縁部を支持する前記シールとを配置する配置工程と、
前記セパレータの周縁部を前記集電体と溶着により一体化させつつ、前記セパレータの周縁部を前記シールと溶着により一体化させる溶着工程と、
を備えたバイポーラ電池の製造方法。 - 前記溶着工程では、前記集電体の周縁部と前記シールとを溶着により一体化させつつ、前記セパレータの周縁部を前記集電体と溶着により一体化させ、且つ前記セパレータの周縁部を前記シールと溶着により一体化させる、請求項4に記載のバイポーラ電池の製造方法。
- 前記セパレータと前記シールとは、それぞれ互いに相溶性のある樹脂を含む、請求項4又は5に記載のバイポーラ電池の製造方法。
- 前記配置工程で配置される前記集電体の前記一方面及び前記他方面のいずれかにおける前記溶着工程で前記セパレータを一体化させる部位には凸部が設けられ、
前記溶着工程で前記集電体と一体化した前記セパレータから前記凸部が露出していない、請求項4〜6のいずれか1項に記載のバイポーラ電池の製造方法。
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JP2018147937A JP2020024828A (ja) | 2018-08-06 | 2018-08-06 | バイポーラ電池及びバイポーラ電池の製造方法 |
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WO2021220994A1 (ja) * | 2020-04-30 | 2021-11-04 | 株式会社豊田自動織機 | 蓄電セル、蓄電装置及び蓄電装置の製造方法 |
JP7388305B2 (ja) | 2020-04-30 | 2023-11-29 | 株式会社豊田自動織機 | 蓄電セル、蓄電装置及び蓄電装置の製造方法 |
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2018
- 2018-08-06 JP JP2018147937A patent/JP2020024828A/ja active Pending
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