JP2019129035A - 蓄電モジュール、及び、蓄電モジュールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】大型化を避けつつ短絡を防止可能な蓄電モジュール、及び、蓄電モジュールの製造方法を提供する。【解決手段】蓄電モジュール4は、複数のバイポーラ電極14と、複数のセパレータ13と、複数の第1樹脂部21と、を備えている。バイポーラ電極14は、第1面15aを有する電極板15と、第1面15aに形成された正極16と、を有している。第1面15aは、正極16が形成された第1領域15dと、第1領域15dの外側において正極16から露出された第2領域15eと、を含んでいる。第1樹脂部21は、第1領域15dから離れて第2領域15eに設けられている。絶縁部23は、第1樹脂部21と正極16との間を充填するように第2領域15eに設けられている。セパレータ13は、積層方向Dからみて、第1領域15dから絶縁部23に重複するように延在しており、その外縁13dは、第1樹脂部21と正極16との間に位置している。【選択図】図3
Description
本発明は、蓄電モジュール、及び、蓄電モジュールの製造方法に関する。
特許文献1には、バイポーラプレート方式の積層電池が記載されている。このバイポーラプレート方式の積層電池は、マイナス側集電板とプラス側集電板とセルケーシングとによって画定される空間が複数のバイポーラプレートによって仕切られて画定される複数の単電池をボルトナットにより締め付けることによって得られている。
上記の積層電池にあっては、1つのバイポーラプレートの両側に正極及び負極が配置されている。また、バイポーラプレートは、正極及び負極よりも外側に延びてセルケーシングに挟持されている。一方、正極と負極との間に介在されたセパレータは、バイポーラプレートよりも小さく構成されており、セルケーシングにおけるバイポーラプレートの挟持部分に至っていない。
したがって、上記の積層電池にあっては、積層方向からみたときにセパレータから露出するバイポーラプレートの一部分において短絡が生じるおそれがある。これに対して、セパレータを拡大し、セルケーシングによってセパレータを支持する構成とすることが考えられる。しかしながら、この場合には、積層電池の寸法がセパレータを支持する部分だけ大きくなる。
そこで、本発明は、大型化を避けつつ短絡を防止可能な蓄電モジュール、及び、蓄電モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の蓄電モジュールは、第1方向に沿って積層された複数のバイポーラ電極と、第1方向に沿って隣接するバイポーラ電極の間に介在する複数のセパレータと、第1方向に沿って隣接するバイポーラ電極の間に空間を形成すると共に空間を封止するための複数の樹脂部と、第1方向に沿って隣接するバイポーラ電極の間に設けられた複数の絶縁部と、を備え、バイポーラ電極は、第1面を有する電極板と、第1面に形成された活物質層と、を有し、第1面は、活物質層が形成された第1領域と、第1領域の外側において活物質層から露出された第2領域と、を含み、樹脂部は、第1領域から離れて第2領域に設けられており、絶縁部は、樹脂部と活物質層との間を充填するように第2領域に設けられており、セパレータは、第1方向からみて、第1領域から絶縁部に重複するように延在しており、セパレータの外縁は、樹脂部と活物質層との間に位置している。
この蓄電モジュールにおいては、バイポーラ電極の電極板は、活物質層が形成された第1領域と、第1領域の外側において活物質層から露出された第2領域と、を含む第1面を有している。バイポーラ電極の間に空間を形成するための樹脂部は、第1領域から離れて第2領域に設けられている。絶縁部は、樹脂部と活物質層との間を充填するように第2領域に設けられている。しかも、セパレータは、第1方向からみて、第1領域から絶縁部に重複するように延在している。つまり、空間内において第2領域に相当する領域おける電極板の間は、絶縁部及びセパレータにより絶縁されている。これにより、電極板の間の短絡を防止することができる。また、セパレータの外縁は、樹脂部と活物質層との間に位置している。これにより、例えば樹脂部によりセパレータを支持するような構成が必要とせず、蓄電モジュールの大型化を避けることができる。
本発明の蓄電モジュールにおいては、第2領域は、粗面化されており、樹脂部は、第2領域に溶着されており、絶縁部は、第2領域に接合されていてもよい。この場合、樹脂部及び絶縁部をより確実に第2領域に設けることにより、電極板の間の短絡をより確実に防止することができる。
本発明の蓄電モジュールにおいては、絶縁部の材料は、耐アルカリ性の樹脂であってもよい。この場合、絶縁部の耐久性を向上させることができる。
本発明の蓄電モジュールの製造方法は、第1面を有する電極板と、第1面に形成された活物質層と、を有するバイポーラ電極を準備する第1工程と、第1面に樹脂部を設ける第2工程と、第1面に絶縁材料を塗布することにより、第1面に絶縁部を設ける第3工程と、第1面に対向するようにセパレータを配置する第4工程と、を備え、第1面は、活物質層が形成された第1領域と、第1領域の外側において活物質層から露出された第2領域と、を含み、第2工程においては、第1領域から離れるように第2領域に樹脂部を設け、第3工程においては、樹脂部と活物質層との間を充填するように絶縁部を設け、第4工程においては、第1面に交差する第1方向からみて、第1領域から延在して絶縁部に重複するようにセパレータを配置する。
この蓄電モジュールの製造方法によれば、上述した蓄電モジュールを製造することができる。
本発明によれば、大型化を避けつつ短絡を防止可能な蓄電モジュール、及び、蓄電モジュールの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、互いに積層された複数の蓄電モジュール4を含むモジュール積層体2と、モジュール積層体2に対してその積層方向に拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えている。
モジュール積層体2は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュール4と、複数(ここでは4つ)の導電板5と、を含む。蓄電モジュール4は、バイポーラ電池であり、積層方向から見て矩形状をなしている。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。導電板5は、積層方向に互いに隣り合う蓄電モジュール4間と、積層端に位置する蓄電モジュール4の外側と、にそれぞれ配置されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された一方の導電板5には、正極端子6が接続されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された他方の導電板5には、負極端子7が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、例えば導電板5の縁部から積層方向に交差する方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。流路5aは、例えば、積層方向と、正極端子6及び負極端子7の引き出し方向と、にそれぞれ交差(直交)する方向に沿って延在している。導電板5は、蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、これらの流路5aに冷媒を流通させることにより、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。なお、図1の例では、積層方向から見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
拘束部材3は、モジュール積層体2を積層方向に挟む一対のエンドプレート8と、エンドプレート8同士を締結する締結ボルト9及びナット10と、によって構成されている。エンドプレート8は、積層方向から見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。エンドプレート8の内側面(モジュール積層体2側の面)には、電気絶縁性を有するフィルムFが設けられている。フィルムFにより、エンドプレート8と導電板5との間が絶縁されている。
エンドプレート8の縁部には、モジュール積層体2よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通され、他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5がエンドプレート8によって挟持されてモジュール積層体2としてユニット化されると共に、モジュール積層体2に対して積層方向に拘束荷重が付加される。
次に、蓄電モジュール4の構成について詳細に説明する。図2は、図1に示された蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。図2に示されるように、蓄電モジュール4は、電極積層体(積層体)11と、電極積層体11を封止する樹脂製の封止体12と、を備えている。電極積層体11は、複数のセパレータ13と、複数のセパレータ13を介して、積層方向D(第1方向)に沿って互いに積層された複数の電極(複数のバイポーラ電極14、単一の負極終端電極18、及び、単一の正極終端電極19)と、積層方向Dに沿って隣接する上記電極の間に設けられた複数の絶縁部23と、を含む。ここでは、電極積層体11の積層方向Dはモジュール積層体2の積層方向と一致している。電極積層体11は、積層方向Dに延びる側面11aを有している。積層方向Dは、後述する第1面15aに交差している。
バイポーラ電極14は、電極板15、電極板15の第1面15aに設けられた正極16、電極板15の第1面15aの反対の第2面15bに設けられた負極17を含んでいる。正極16は、正極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される正極活物質層である。負極17は、負極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される負極活物質層である。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合う別のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合うさらに別のバイポーラ電極14の正極16と対向している。つまり、バイポーラ電極14は、積層方向Dに沿って正極16と負極17とが交互に配列されて互いに積層されている。
負極終端電極18は、電極板15、及び電極板15の第2面15bに設けられた負極17を含んでいる。負極終端電極18は、その第2面15bが電極積層体11の内側(積層方向Dについての中心側)になるように、積層方向Dの一端に配置されている。負極終端電極18の負極17は、セパレータ13を介して、積層方向Dの一端のバイポーラ電極14の正極16と対向している。正極終端電極19は、電極板15、及び電極板15の第1面15aに設けられた正極16を含んでいる。正極終端電極19は、その第1面15aが電極積層体11の内側になるように、積層方向Dの他端に配置されている。正極終端電極19の正極16は、セパレータ13を介して、積層方向Dの他端のバイポーラ電極14の負極17と対向している。
負極終端電極18の電極板15の第1面15aには、導電板5が接触している。また、正極終端電極19の電極板15の第2面15bには、蓄電モジュール4に隣接する他方の導電板5が接触している。拘束部材3からの拘束荷重は、導電板5を介して負極終端電極18及び正極終端電極19から電極積層体11に付加される。
電極板15は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板15は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15の縁部(バイポーラ電極14、負極終端電極18、及び、正極終端電極19の縁部)15cは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板15の第2面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の第1面15aにおける正極16の形成領域に対して一回り大きくなっている。
セパレータ13は、後述する内部空間V内に配置され、積層方向Dに沿って隣接するバイポーラ電極14の間に介在されている。セパレータ13は、少なくとも、積層方向Dに沿って互いに隣り合うバイポーラ電極14の正極16と負極17との間に介在されている。ここでは、セパレータ13は、負極終端電極18の負極17と、当該負極終端電極18に隣接するバイポーラ電極14の正極16との間、及び、正極終端電極19の正極16と、当該正極終端電極19に隣接するバイポーラ電極14の負極17との間にも介在されている。
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。
封止体12は、例えば絶縁性の樹脂によって、全体として矩形の筒状に形成されている。封止体12は、縁部15cを包囲するように電極積層体11の側面11aに設けられている。封止体12は、側面11aにおいて縁部15cを保持している。封止体12は、縁部15cに溶着された複数の第1樹脂部(複数の樹脂部)21と、側面11aに沿って第1樹脂部21を外側から包囲して第1樹脂部21に接合された単一の第2樹脂部22と、を有している。
第1樹脂部21は、積層方向Dに沿って隣接するバイポーラ電極14の間に内部空間(空間)Vを形成すると共に内部空間Vを封止するために設けられている。具体的には、第1樹脂部21は、積層方向Dから見て、矩形枠状であり、縁部15cの全周にわたって連続的に設けられている。第1樹脂部21は、電極板15の第1面15aに溶着されて液密に接合されている。第1樹脂部21は、例えば超音波又は熱によって溶着されている。第1樹脂部21は所定の厚さ(積層方向Dの長さ)を有するフィルムである。電極板15の端面は、第1樹脂部21から露出している。第1樹脂部21の内側の一部は、積層方向Dに互いに隣り合う電極板15の縁部15c同士の間に位置しており、外側の一部は、電極板15から外側に張り出している。第1樹脂部21は、当該外側の一部において第2樹脂部22に埋設されている。積層方向Dに沿って互いに隣り合う第1樹脂部21同士は、互いに離間している。
第2樹脂部22は、電極積層体11及び第1樹脂部21の外側に設けられ、蓄電モジュール4の外壁(筐体)を構成している。第2樹脂部22は、例えば樹脂の射出成型によって形成され、積層方向Dに沿って電極積層体11の全長にわたって延在している。第2樹脂部22は、積層方向Dを軸方向として延在する筒状(環状)を呈している。第2樹脂部22は、例えば、射出成型時の熱によって第1樹脂部21の外表面に溶着(接合)されている。
第2樹脂部22は、第1樹脂部21と共に、積層方向Dに沿って互いに隣り合うバイポーラ電極14の間、積層方向Dに沿って互いに隣り合う負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、積層方向Dに沿って互いに隣り合う正極終端電極19とバイポーラ電極14との間をそれぞれ封止している。これにより、バイポーラ電極14の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、正極終端電極19とバイポーラ電極14との間には、それぞれ気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。電解液は、セパレータ13、正極16及び負極17内に含浸されている。
第1樹脂部21及び第2樹脂部22は、例えば、絶縁性の樹脂であって、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等から構成され得る。
図3は、図2に示された蓄電モジュールの一部の拡大図である。図3に示されるように、電極板15の第1面15aは、正極(活物質層)16が形成された第1領域15dと、第1領域15dの外側において正極16から露出された第2領域15eと、を含む。第1領域15dの外形は、正極16の外形によって規定される。一例として、正極16は、積層方向Dからみて矩形状に形成されている。したがって、第1領域15dの外形は、例えば矩形状である。第2領域15eは、電極板15の縁部15cの一方の外表面である。したがって、第2領域15eの外形は、電極板15の外形によって規定される。一例として、積層方向Dからみて電極板15の外形は矩形状である。したがって、第2領域15eの外形は、例えば矩形状である。第2領域15eは、縁部15cの全周にわたって設けられている。したがって、第2領域15eは、全体として、例えば矩形枠状である。
電極板15の第2面15bは、負極(活物質層)17が形成された第3領域15fと、第3領域15fの外側において負極17から露出された第4領域15gと、を含む。第3領域15fの外形は、負極17の外形によって規定される。一例として、負極17は、積層方向Dからみて矩形状に形成されている。したがって、第3領域15fの外形は、例えば矩形状である。第4領域15gは、電極板15の縁部15cの他方の外表面である。したがって、第4領域15gの外形は、電極板15の外形によって規定される。したがって、第4領域15gの外形は、例えば矩形状である。第4領域15gは、縁部15cの全周にわたって設けられている。したがって、第4領域15gは、全体として、例えば矩形枠状である。
上述したように、電極板15においては、負極17の形成領域が正極16の形成領域よりも大きい。換言すれば、第1領域15dの大きさと第3領域15f大きさとは、互いに異なる。また、第2領域15eの大きさと第4領域15gの大きさとは、互いに異なる。ここでは、第1領域15dが第3領域15fよりも小さく、且つ、第2領域15eが第4領域15gよりも大きい。
第1樹脂部21は、第1領域15dから離れて第2領域15eに設けられている。つまり、第1樹脂部21の内縁21cは、正極16の外縁16dよりも一回り大きい。第1樹脂部21は、内縁21cが正極16の外縁16dと離れるように設けられている。そして、第1樹脂部21は、第2領域15eの外縁に重複している。第1樹脂部21は、第2領域15eに溶着されている。
絶縁部23は、第1樹脂部21と正極16との間を充填するように第2領域15eに設けられている。絶縁部23は、第2領域15eに接合されている。絶縁部23は、第2領域15eにおける第1樹脂部21の内縁21cと正極16の外縁16dとにより画定される矩形環状の領域の全面に設けられている。つまり、絶縁部23は、積層方向Dからみて矩形環状を呈している。絶縁部23は、第2領域15eを覆うための十分な厚さを有している。絶縁部23の厚さは、例えば10μm程度である。絶縁部23の材料は、耐アルカリ性の樹脂である。絶縁部23の材料は、例えばポリオレフィン樹脂等である。絶縁部23は、例えば溶剤にポリオレフィン樹脂等を混合して調製された絶縁材料を第2領域15eに塗布することによって設けられる。
なお、絶縁部23が第1樹脂部21と正極16との間を充填するように第2領域15eに設けられるとは、積層方向Dからみて、第2領域15eにおける第1樹脂部21の内縁21cと正極16の外縁16dとの間のエリアを被覆することを意味している。したがって、絶縁部23が第1樹脂部21と正極16との間を充填するように第2領域15eに設けられるとは、絶縁部23が、第1樹脂部21の内縁21cと正極16の外縁16dと第2領域15eとによって形成される凹部を、積層方向Dの全体にわたって埋めることを要しないが、積層方向Dの全体にわたって埋めていてもよい。
第2領域15eは、粗面化されている。ここでは、第1面15a、第2面15b及び端面を含む電極板15の表面全体が粗面化されている。電極板15の表面は、例えば、電解メッキ処理で複数の突起15pが形成されることにより粗面化されている。このように電極板15が粗面化されている場合、電極板15と第1樹脂部21との接合界面では、溶融状態の第1樹脂部21が粗面化により形成された凹部内に入り込み、アンカー効果が発揮される。また、電極板15と絶縁部23との接合界面では、上記ポリオレフィン樹脂等を含む溶剤が粗面化により形成された凹部内に入り込み、アンカー効果が発揮される。これにより、電極板15と第1樹脂部21及び絶縁部23との結合力を向上させることができる。突起15pは、例えば、基端側から先端側に向かって先太りとなる形状を有している。この場合、互いに隣接する突起15pの間の断面形状はアンダーカット形状となり、アンカー効果が生じ易い。なお、図3は模式図であって、突起15pの形状及び密度等は特に限定されない。また、図3においては、絶縁部23の厚さと突起15pの大きさの比率は、適宜調整されている。実際には、絶縁部23の厚さは、突起15pの大きさより遥かに大きい。
セパレータ13は、積層方向Dからみて、第1領域15dから絶縁部23に重複するように延在している。セパレータ13の外縁13dは、第1樹脂部21の内縁21cと正極16の外縁16dとの間に位置している。ただし、セパレータ13の外縁13dは、第1樹脂部21の内縁21cに至っていない。セパレータ13は、絶縁部23に接触している。以上のように、電極板15の第2領域15eは、第1樹脂部21、絶縁部23、及びセパレータ13によって覆われている。また、電極板15の第1面15a、及び正極16は、第1樹脂部21、絶縁部23、及びセパレータ13によって覆われている。つまり、一のバイポーラ電極14と、当該一のバイポーラ電極14に隣接する別のバイポーラ電極14との間は、第1樹脂部21、絶縁部23、及びセパレータ13によって絶縁されている。
以上説明したように、バイポーラ電極14の電極板15は、正極16が形成された第1領域15dと、第1領域15dの外側において正極16から露出された第2領域15eと、を含む第1面15aを有している。バイポーラ電極14の間に内部空間Vを形成する第1樹脂部21は、第1領域15dから離れて第2領域15eに設けられている。絶縁部23は、第1樹脂部21と正極16との間を充填するように第2領域15eに設けられている。しかも、セパレータ13は、積層方向Dからみて、第1領域15dから絶縁部23に重複するように延在している。つまり、内部空間V内において第2領域15eに相当する領域における電極板15の間は、絶縁部23及びセパレータ13により絶縁されている。これにより、電極板15の間の短絡を防止することができる。また、セパレータ13の外縁13dは、第1樹脂部21と正極16との間に位置している。これにより、例えば第1樹脂部21によりセパレータ13を支持するような構成が必要とせず、蓄電モジュール4の大型化を避けることができる。
また、蓄電モジュール4においては、第2領域15eは、粗面化されている。そして、第1樹脂部21は、第2領域15eに溶着されている。また、絶縁部23は、第2領域15eに接合されている。このため、第1樹脂部21及び絶縁部23をより確実に第2領域15eに設けることにより、電極板15の間の短絡をより確実に防止することができる。
また、蓄電モジュール4においては、絶縁部23の材料は、耐アルカリ性の樹脂である。このため、内部空間Vに収容されたアルカリ水溶液からなる電解液により絶縁部23が腐食されることが抑制される。よって、絶縁部23の耐久性を向上させることができる。
引き続いて、蓄電装置1の製造方法の一例について説明する。この方法では、まず、上記の蓄電モジュール4を製造する。蓄電モジュール4の製造方法は、一次成形工程(一次封止工程、封止工程)と、積層工程と、二次成形工程(二次封止工程、封止工程)と、注入工程と、を備える。
一次成形工程では、所定数のバイポーラ電極14と負極終端電極18及び正極終端電極19を用意し、それぞれの電極板15の縁部15cの第1面15aに第1樹脂部21を溶着する。具体的には、まず、所定数のバイポーラ電極14、負極終端電極18、及び正極終端電極19を準備する(第1工程)。続いて、電極板15の第1面15aに第1樹脂部21を設ける(第2工程)。具体的には、第1領域15dから離れるように第2領域15eに第1樹脂部21を設ける。これにより、第2領域15eにおいては、第1樹脂部21の内縁21cと正極16の外縁16dとにより画定される矩形環状の領域が形成される。第1樹脂部21は、第2領域15eに溶着される。
続いて、第1面15aに絶縁材料を塗布することにより、第1面15aに絶縁部23を設ける(第3工程)。具体的には、第1樹脂部21と正極16との間を充填するように絶縁部23を設ける。ここでは、まず、第2領域15eにおける第1樹脂部21の内縁21cと正極16の外縁16dとにより画定される上記矩形環状の領域の全面に絶縁材料を塗布する。続いて、絶縁材料の中の溶剤を揮発させることによって絶縁部23を得る。
続いて、バイポーラ電極14及び正極終端電極19の電極板15の第1面15aに対向するようにセパレータ13を配置する(第4工程)。具体的には、積層方向Dからみて、第1領域15dから延在して絶縁部23に重複するようにセパレータ13を配置する。
なお、負極終端電極18に溶着される第1樹脂部21は、積層方向Dからみて、バイポーラ電極14又は正極終端電極19に溶着される第1樹脂部21と重複するように、負極終端電極18の第1面15aに溶着される。本実施形態における溶着には、例えば、レーザ溶着、熱溶着、及び、超音波溶着等を用いることができる。負極終端電極18の電極板15の第1面15aには、絶縁部23が設けられない。
積層工程では、第1樹脂部21が電極板15の縁部15c同士の間に配置され、且つ、セパレータ13を介在させながら、積層方向Dに沿って正極16と負極17とが交互に配列されるようにバイポーラ電極14、負極終端電極18、及び正極終端電極19を積層することにより、電極積層体11を形成する。
二次成形工程では、射出成形の金型(不図示)内に電極積層体11を配置した後、金型内に溶融樹脂を射出する。これにより、第1樹脂部21を包囲するように第2樹脂部22を設ける。これにより、電極積層体11の側面11aに封止体12が形成される。注入工程では、二次成形工程の後、内部空間Vに電解液を注入する。これにより、蓄電モジュール4が得られる。
その後、得られた蓄電モジュール4と導電板5とを積層してモジュール積層体2を形成すると共に、拘束部材3によってモジュール積層体2を拘束する工程等を経て、蓄電装置1が製造される。
以上説明したように、蓄電モジュールの製造法によれば、蓄電モジュール4を製造することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態においては、一のバイポーラ電極14と、当該一のバイポーラ電極14に隣接する別のバイポーラ電極14との間に介在する第1樹脂部21が、一のバイポーラ電極14における第1面15aの第2領域15eに溶着され、絶縁部23が一のバイポーラ電極14における第1面15aの第2領域15eに接合されている例について説明した。しかしながら、一のバイポーラ電極14と、当該一のバイポーラ電極14に隣接する別のバイポーラ電極14との間に介在する第1樹脂部21が、別のバイポーラ電極14の第2面15bの第4領域15gに溶着され、絶縁部23が別のバイポーラ電極14の第2面15bの第4領域15gに接合されていてもよい。すなわち、上記実施形態における第2面15bを第1面と読み替え、第3領域15f及び第4領域15gのそれぞれを、第1領域及び第2領域のそれぞれに読み替えることが可能である。
また、絶縁部23が第1樹脂部21の内縁21cと正極16の外縁16dとの間に設けられている例を示したが、絶縁部23は、第1樹脂部21と電極板15との間に入り込んでいてもよい。
また、第1面15a、第2面15b及び端面を含む電極板15の表面全体が粗面化されている例を示したが、少なくとも第2領域15eが粗面化されていればよい。この場合においても、結合力向上の効果が得られる。また、電極板15は粗面化されていなくてもよい。
また、絶縁部23が第2領域15eに接合されている例を示したが、絶縁部23は、第2領域15eに接合されず、第2領域15eに配置されていてもよい。この場合、絶縁部23は、予め所定の形状(第1樹脂部21と正極16との間を充填するような形状)に製造された絶縁体である。
また、第1樹脂部21は、例えば、エラストマー、変性PPE、酸変性PP等の弾性材料からなってもよい。
上記蓄電モジュールの製造方法においては、第2領域15eに第1樹脂部21を設けた後、第1樹脂部21と正極16との間に絶縁部23を設ける例を示したが、正極16の外縁16dに接続するように第2領域15eに絶縁部23を設けた後、第2領域15eに第1樹脂部21を設け、結果的に絶縁部23が第1樹脂部21と正極16との間を充填するようにしてもよい。つまり、第2工程と第3工程とは、入れ替わってもよい。なお、このとき、上述したように絶縁部23が第1樹脂部21と電極板15との間に入り込む場合がある。
4…蓄電モジュール、13…セパレータ、13d…外縁、14…バイポーラ電極、15…電極板、15a…第1面、15d…第1領域、15e…第2領域、16…正極(活物質層)、21…第1樹脂部(樹脂部)、23…絶縁部、D…積層方向(第1方向)、V…内部空間(空間)。
Claims (4)
- 第1方向に沿って積層された複数のバイポーラ電極と、
前記第1方向に沿って隣接する前記バイポーラ電極の間に介在する複数のセパレータと、
前記第1方向に沿って隣接する前記バイポーラ電極の間に空間を形成すると共に前記空間を封止するための複数の樹脂部と、
前記第1方向に沿って隣接する前記バイポーラ電極の間に設けられた複数の絶縁部と、
を備え、
前記バイポーラ電極は、第1面を有する電極板と、前記第1面に形成された活物質層と、を有し、
前記第1面は、前記活物質層が形成された第1領域と、前記第1領域の外側において前記活物質層から露出された第2領域と、を含み、
前記樹脂部は、前記第1領域から離れて前記第2領域に設けられており、
前記絶縁部は、前記樹脂部と前記活物質層との間を充填するように前記第2領域に設けられており、
前記セパレータは、前記第1方向からみて、前記第1領域から前記絶縁部に重複するように延在しており、
前記セパレータの外縁は、前記樹脂部と前記活物質層との間に位置している、
蓄電モジュール。 - 前記第2領域は、粗面化されており、
前記樹脂部は、前記第2領域に溶着されており、
前記絶縁部は、前記第2領域に接合されている、
請求項1に記載の蓄電モジュール。 - 前記絶縁部の材料は、耐アルカリ性の樹脂である、
請求項1又は2に記載の蓄電モジュール。 - 第1面を有する電極板と、前記第1面に形成された活物質層と、を有するバイポーラ電極を準備する第1工程と、
前記第1面に樹脂部を設ける第2工程と、
前記第1面に絶縁材料を塗布することにより、前記第1面に絶縁部を設ける第3工程と、
前記第1面に対向するようにセパレータを配置する第4工程と、
を備え、
前記第1面は、前記活物質層が形成された第1領域と、前記第1領域の外側において前記活物質層から露出された第2領域と、を含み、
前記第2工程においては、前記第1領域から離れるように前記第2領域に前記樹脂部を設け、
前記第3工程においては、前記樹脂部と前記活物質層との間を充填するように前記絶縁部を設け、
前記第4工程においては、前記第1面に交差する第1方向からみて、前記第1領域から延在して前記絶縁部に重複するように前記セパレータを配置する、
蓄電モジュールの製造方法。
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JP2021174600A (ja) * | 2020-04-21 | 2021-11-01 | 株式会社豊田自動織機 | 蓄電セル及び蓄電装置 |
-
2018
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