JP2020024017A - ブレーキ装置及びこれを備える液圧モータ - Google Patents
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Abstract
【課題】ブレーキ装置を備える液圧モータの製造コストを低減させる。【解決手段】油圧モータ1を制動するブレーキ装置20は、シリンダブロック3と共に回転するディスクプレート21と、収容ケース12に摺動支持されるブレーキピストン25と、ブレーキピストン25をディスクプレート21に向けて付勢する付勢力を生じるブレーキスプリング30と、を備える。ブレーキピストン25は、収容ケース12の内周面に摺接する外周面26a,27aを有し、外周面26a,27aには、出力軸2の中心からの距離が相対的に長い第1領域31と、出力軸2の中心からの距離が第1領域31よりも短い第2領域32と、が全周に渡って径方向内方に凹むことなく設けられる。【選択図】 図2
Description
本発明は、ブレーキ装置及びこれを備える液圧モータに関するものである。
特許文献1には、液圧によって回転するシリンダブロックと共に回転するディスクプレートと、ケースに摺動支持されるピストン及びフリクションプレートと、ピストン及びフリクションプレートをディスクプレートに押し付けるバネと、を備えた液圧モータのブレーキ装置が開示されている。このブレーキ装置では、ディスクプレートをピストン、フリクションプレート及びケースによって挟む込むことによって摩擦ブレーキ力を発生させてシリンダブロックを制動させている。
特許文献1に記載のブレーキ装置では、摩擦ブレーキ力を発生させる際、円環状のピストン及びフリクションプレートには摩擦ブレーキ力の反力が回転力として作用する。このため、特許文献1に記載のブレーキ装置では、ピストンの回転を防止するために、ピストンとケースとを複数のピンを介して連結し、フリクションプレートの回転を防止するために、フリクションプレートの外周にケースに形成された溝に係合する突起を設けている。
このように、特許文献1に記載のブレーキ装置では、ケースに摺動支持されるピストン及びフリクションプレートの回転を防止するための加工や部材が必要であり、結果として、ブレーキ装置を備える液圧モータの製造コストが増大するおそれがある。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、ブレーキ装置を備える液圧モータの製造コストを低減させることを目的とする。
第1の発明は、液圧によって回転するシリンダブロックと、シリンダブロックと一体に回転する出力軸と、をケース内に備える液圧モータを制動するブレーキ装置が、シリンダブロックと共に回転するディスクプレートと、出力軸の軸方向に移動可能にケースに摺動支持される摺動部材と、摺動部材をディスクプレートに向けて付勢する付勢力を生じる付勢部材と、を備え、摺動部材は、ケースの内周面に摺接する外周面を有し、外周面には、出力軸の中心からの距離が相対的に長い第1領域と、出力軸の中心からの距離が第1領域よりも短い第2領域と、が全周に渡って径方向内方に凹むことなく設けられることを特徴とする。
第1の発明では、摺動部材の外周面に、出力軸の中心からの距離が相対的に長い第1領域と、出力軸の中心からの距離が第1領域よりも短い第2領域と、が全周に渡って径方向内方に凹むことなく設けられる。このため、摺動部材に回転力が作用すると、第1領域において、摺動部材の外周面がケースの内周面に押し付けられ、摺動部材が回転することが阻止される。このように、第1の発明では、従来、摺動部材の回転を阻止するために設けられていた構成を廃止することができる。
第2の発明は、摺動部材の外周面が円形状であり、外周面の中心が出力軸の中心に対してずれて位置するようにケースに配置されることを特徴とする。
第2の発明では、円形状に形成された摺動部材が、その外周面の中心が出力軸の中心に対してずれて位置するようにケースに配置される。これにより、第1領域と第2領域とを容易に形成することが可能であり、摺動部材が回転することを阻止することができる。
第3の発明は、摺動部材が、付勢部材の付勢力に対抗する付勢力を生じさせる液圧が作用する受圧面を有する第1ピストン部と受圧面よりも径方向内側からディスクプレートに向けて第1ピストン部から突出して設けられる第2ピストン部とを有するブレーキピストンであり、第1領域及び第2領域が、第1ピストン部及び第2ピストン部の少なくとも一方に設けられることを特徴とする。
第3の発明では、ブレーキピストンの第1ピストン部及び第2ピストン部の少なくとも一方に第1領域及び第2領域が設けられる。このように、ブレーキピストンの第1ピストン部及び第2ピストン部の少なくとも一方に第1領域及び第2領域が設けられていれば、ブレーキピストンに回転力が作用しても、第1領域において、ブレーキピストンの外周面がケースの内周面に押し付けられ、ブレーキピストンが回転することを阻止することができる。この結果、従来、ブレーキピストンの回転を阻止するために設けられていたピン部材等を廃止することができる。
第4の発明は、摺動部材が、付勢部材の付勢力に対抗する付勢力を生じさせる液圧が作用する受圧面を有する第1ピストン部と受圧面よりも径方向内側からディスクプレートに向けて第1ピストン部から突出して設けられる第2ピストン部とを有するブレーキピストンと、ディスクプレートに対して出力軸の軸方向に隣接して配置されディスクプレートに押し付けられることによりディスクプレートの回転を制動する制動力を生じるフリクションプレートと、であることを特徴とする。
第4の発明では、ブレーキピストン及びフリクションプレートにそれぞれ第1領域及び第2領域が設けられる。このように、ブレーキピストンに第1領域及び第2領域を設けることで、従来、ブレーキピストンの回転を阻止するために設けられていたピン部材等を廃止することができ、フリクションプレートに第1領域及び第2領域を設けることで、従来、フリクションプレートの回転を阻止するために、フリクションプレートに設けられていた径方向に突出する突起等を廃止することができる。
第5の発明は、第1領域及び第2領域が、第2ピストン部及びフリクションプレートにそれぞれ設けられ、ケースは、第2ピストン部を摺動支持するとともにフリクションプレートを摺動支持する摺動孔を有することを特徴とする。
第5の発明では、第1領域及び第2領域が設けられるフリクションプレートと、第1領域及び第2領域が設けられる第2ピストン部と、が共に摺動孔により摺動支持される。このように、フリクションプレートと第2ピストン部とを摺動支持する摺動孔を共通化することにより、ケースに対する加工を簡素化することができる。
第6の発明は、液圧モータが上記ブレーキ装置を備えることを特徴とする。
第6の発明では、液圧モータが、第1〜5の発明のブレーキ装置を備えている。第1〜5の発明のブレーキ装置では、従来、摺動部材の回転を阻止するために設けられていた構成を廃止することが可能であるため、結果として、ブレーキ装置を備える液圧モータの製造コストを低減させることができる。
本発明によれば、ブレーキ装置を備える液圧モータの製造コストを低減させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1〜図3を参照して本発明の第1実施形態であるブレーキ装置20について説明する。図1はブレーキ装置20が適用される液圧モータとしての油圧モータ1の全体構成を示す断面図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面の一部を示す断面図であり、図3は、図1のIII−III線に沿う断面の一部を示す断面図である。
図1〜図3を参照して本発明の第1実施形態であるブレーキ装置20について説明する。図1はブレーキ装置20が適用される液圧モータとしての油圧モータ1の全体構成を示す断面図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面の一部を示す断面図であり、図3は、図1のIII−III線に沿う断面の一部を示す断面図である。
まず、図1を参照して油圧モータ1の全体構成について説明する。油圧モータ1は、例えば、建設機械等の走行装置に用いられる斜板式の油圧モータである。
油圧モータ1は、負荷(図示せず)に連結される出力軸2と、出力軸2に連結され出力軸2と一体に回転するシリンダブロック3と、を備える。出力軸2はケース11に軸受17,18を介して回転自在に支持されている。ケース11は、シリンダブロック3を収容する収容ケース12と、図示しないボルトを介して収容ケース12に結合され収容ケース12の開口部を覆う蓋部材13と、に分割される。
シリンダブロック3には、出力軸2の軸心O1を中心とする同心円上に配置された複数のシリンダ4が出力軸2と平行に設けられる。シリンダ4は、シリンダブロック3の一端面において開口し、それぞれのシリンダ4には、容積室5を画成するピストン6が往復摺動自在に挿入されている。
ピストン6の先端には球面座6aを介してシュー9が連結されている。シュー9は、収容ケース12に固定された斜板7に面接触している。各ピストン6は、各シュー9が摺接する斜板7の傾転角度に応じてシリンダ4内を移動する。
蓋部材13とシリンダブロック3との間には、シリンダブロック3の基端面が摺接するバルブプレート8が取り付けられている。バルブプレート8は、油圧源に連通する図示しない供給ポートと、タンク側に連通する図示しない排出ポートと、を有する。油圧源から供給ポートを介して各容積室5に導かれる油圧によって各ピストン6がシリンダ4から突出し、各ピストン6がシュー9を介して斜板7を押すことによってシリンダブロック3が回転する。そして、シリンダブロック3の回転が出力軸2を介して負荷へと伝達される。
上記構成の油圧モータ1において、各シリンダ4への圧油の供給が停止されると、各ピストン6がシュー9を介して斜板7を押す力がなくなり、結果としてシリンダブロック3は停止する。
しかしながら、負荷側の慣性力や負荷側に作用する重力の影響等によって負荷側から出力軸2を介して入力があると、各シリンダ4への圧油の供給を停止するだけでは、シリンダブロック3の回転を止めることは困難であり、結果として、負荷側の駆動を完全に停止させることができないおそれがある。
このため、油圧モータ1は、負荷側の駆動を完全に停止させるために、シリンダブロック3の回転を制動する摩擦制動式のブレーキ装置20を備えている。以下に、ブレーキ装置20について説明する。
ブレーキ装置20は、シリンダブロック3と共に回転するディスクプレート21と、収容ケース12に摺動支持され出力軸2の軸方向に移動可能な摺動部材としてのブレーキピストン25と、蓋部材13とブレーキピストン25との間に介装されブレーキピストン25をディスクプレート21に向けて付勢する付勢部材としての複数のブレーキスプリング30と、圧油が供給されることによってブレーキスプリング30の付勢力に抗してブレーキピストン25を移動させるブレーキ解除用チャンバ28と、を備える。
ディスクプレート21は、図3に示すように、複数の歯を有するスプライン孔が中央に形成された円環状部材である。なお、図3では、シリンダブロック3を省略して示している。
シリンダブロック3の外周には、出力軸2の軸方向に延在して形成されたスプライン3aが設けられており、ディスクプレート21の歯とシリンダブロック3のスプライン3aとが噛み合うことによって、ディスクプレート21は、シリンダブロック3に対して周方向へ移動することが規制されるとともに、出力軸2の軸方向に沿って移動することが可能となる。このように、ディスクプレート21は、シリンダブロック3の外周にスプライン係合しており、シリンダブロック3の回転に伴って回転する。なお、ディスクプレート21は、シリンダブロック3に限らず、出力軸2と共に回転する他の部材にスプライン係合していてもよい。
ブレーキピストン25は、出力軸2の軸方向に沿って貫通する貫通孔25aが中央に形成された円環状部材であり、収容ケース12に形成された第1摺動孔12a内を出力軸2の軸方向に沿って摺動可能である第1ピストン部26と、第1ピストン部26よりも外径が小さく第1ピストン部26からディスクプレート21に向けて突出して設けられる第2ピストン部27と、を有する。第2ピストン部27は、第1摺動孔12aに連続して形成される第2摺動孔12bにより出力軸2の軸方向に沿って摺動支持される。
また、ブレーキピストン25は、蓋部材13に対向する面に形成された複数の座繰り穴25bを有する。座繰り穴25bは周方向に沿って均等配置されており、それぞれの座繰り穴25bには、ブレーキスプリング30が収装される。
ブレーキスプリング30は、蓋部材13とブレーキピストン25との間に圧縮された状態で介装されたコイルスプリングであり、ブレーキピストン25をディスクプレート21に向けて付勢する付勢力を生じる。なお、ブレーキスプリング30としては、十分な付勢力を確保するために、内側スプリングと外側スプリングとからなる二重スプリングを用いることが好ましい。
ブレーキピストン25を支持する収容ケース12には、上述の第1摺動孔12a及び第2摺動孔12bが設けられるとともに、第1摺動孔12aと第2摺動孔12bとを接続する第1段部12cと、第2摺動孔12bよりも内径が小さくシリンダブロック3や斜板7が収容される収容孔12eと、第2摺動孔12bと収容孔12eとを接続する第2段部12dと、が設けられる。
第1ピストン部26は、第1摺動孔12aに摺接する外周面としての第1外周面26aと、第1段部12cに対向する受圧面26bと、を有する。一方、第2ピストン部27は、第2摺動孔12bに摺接する外周面としての第2外周面27aと、第2段部12dに対向する当接面27bと、を有する。第1外周面26a及び第2外周面27aは、全周にわたって凹部や段部といった径方向内方に凹む部分や径方向外方に突出して形成される突起部等のない滑らかな曲面状に形成される。
このような形状を有するブレーキピストン25と収容ケース12との間には、ブレーキ解除用チャンバ28が画定される。具体的には、第2ピストン部27の第2外周面27aと、第1摺動孔12aの内周面と、第1ピストン部26の受圧面26bと、第1段部12cと、によってブレーキ解除用チャンバ28が画定される。
ブレーキ解除用チャンバ28には、油圧供給源又はタンクに選択的に接続される図示しない給排通路が接続されている。ブレーキ解除用チャンバ28に対する作動油の給排を切り換えることによって、ブレーキの作動と非作動が切り換えられる。なお、ブレーキ装置20の詳しい作動については後述する。
次に、図2を参照し、ブレーキピストン25の配置について説明する。なお、図2では、シリンダブロック3及びディスクプレート21を省略して示している。
図2に示すように、ブレーキピストン25の第1外周面26a及び第2外周面27aは、軸心O1と並行であって軸心O1から所定の距離だけ離れて位置する中心軸O2を中心とする同心円状に形成される。また、ブレーキピストン25の貫通孔25aも中心軸O2を中心としている。つまり、ブレーキピストン25は、中心軸O2を中心とする円環状部材であって、その中心軸O2がシリンダブロック3及び出力軸2の中心である軸心O1に対してずれて位置するように偏心した状態で収容ケース12に配置されている。
別の言い方をすれば、ブレーキピストン25を摺動支持する円形孔である第1摺動孔12a及び第2摺動孔12bは、その中心がシリンダブロック3及び出力軸2の中心である軸心O1に対してずれて位置するように形成されている。
このように、ブレーキピストン25の中心軸O2がシリンダブロック3及び出力軸2の軸心O1に対してずれて位置した状態を、軸心O1を基準として見た場合、第1外周面26a及び第2外周面27aは、軸心O1からの距離が相対的に長い第1領域31と、軸心O1からの距離が第1領域31よりも短い第2領域32と、を有することになる。
具体的には、図2に示される断面において、軸心O1と中心軸O2とを通る直線を第1基準線L1とし、軸心O1を通り第1基準線L1に対して直交する直線を第2基準線L2、中心軸O2を通り第1基準線L1に対して直交する直線を第3基準線L3、とすると、第2基準線L2を基準として中心軸O2が位置する側が第1領域31となり、その反対側が第2領域32となる。なお、第2基準線L2と第3基準線L3との間隔が出力軸2に対するブレーキピストン25の偏心量に相当する。
このようにブレーキピストン25の中心軸O2を軸心O1からずらすと、ブレーキピストン25に対して軸心O1を中心とする回転力が作用した場合、第2領域32よりも第1領域31の方が軸心O1からの距離が長いことから、第1領域31内において、第1外周面26a及び第2外周面27aが第1摺動孔12a及び第2摺動孔12bの内周面に押し付けられる状態となる。
具体的には、図2において矢印Aで示される方向の軸心O1を中心とする回転力がブレーキピストン25に作用した場合、第1基準線L1よりも回転力が作用する方向側において点線で囲まれる第1押付領域31aにおいて第1外周面26a及び第2外周面27aが第1摺動孔12a及び第2摺動孔12bの内周面に押し付けられることになる。
一方、図2において矢印Bで示される方向の軸心O1を中心とする回転力がブレーキピストン25に作用した場合、第1基準線L1よりも回転力が作用する方向側において点線で囲まれる第2押付領域31bにおいて第1外周面26a及び第2外周面27aが第1摺動孔12a及び第2摺動孔12bの内周面に押し付けられることになる。
このように、上記構成のブレーキ装置20では、ブレーキピストン25に軸心O1を中心とする回転力が作用すると、第1領域31において、第1外周面26a及び第2外周面27aが第1摺動孔12a及び第2摺動孔12bの内周面に押し付けられることで、ブレーキピストン25が回転することが阻止される。
このため、上記構成のブレーキ装置20では、従来、ブレーキピストン25の回転を阻止するために設けられていたピン部材を廃止することができる。また、ピン部材の廃止に伴い、ブレーキピストン25及び蓋部材13にピン挿入孔を形成する必要もなくなる。この結果、ブレーキ装置20を構成する部品点数が減るとともに加工工数が減ることで、ブレーキ装置20の製造コストを低減させることができる。
なお、ブレーキピストン25の回転を阻止するためには、出力軸2に対するブレーキピストン25の偏心量をできるだけ大きく設定することが好ましい。しかしながら、この偏心量を大きくすると、ブレーキピストン25とシリンダブロック3とが干渉したり、ケース11の外径が大きくなってしまったりするおそれがあることから、偏心量の大きさは、ブレーキピストン25の回転を阻止しつつ、干渉等が生じない大きさに設定される。
次に、ブレーキ装置20の作動について説明する。なお、図1は、ブレーキ装置20によるブレーキ作動が解除された状態を示している。
ブレーキ装置20によるブレーキ作動が解除された状態では、ブレーキ解除用チャンバ28に圧油が供給されている。このため、ブレーキ装置20をブレーキ作動状態とするには、まず、ブレーキ解除用チャンバ28をタンクに接続し、ブレーキ解除用チャンバ28内の圧油をタンクへと排出させる。
ブレーキ解除用チャンバ28内の圧油が排出されると、ブレーキピストン25の受圧面26bを押圧する圧力が低下するため、ブレーキピストン25は、図1に示す状態から、ブレーキスプリング30の付勢力により出力軸2の軸方向に沿ってディスクプレート21に向かって移動する。
ブレーキピストン25がディスクプレート21に当接すると、ブレーキピストン25は、ディスクプレート21とともに出力軸2の軸方向に沿って第2段部12dに向かってさらに移動する。
ブレーキピストン25及びディスクプレート21の移動は、ディスクプレート21が第2段部12dに当接することで規制され、移動が規制されたディスクプレート21は、ブレーキピストン25の当接面27bと第2段部12dとの間に挟み込まれた状態となる。
これにより、ディスクプレート21と当接面27bとの間、及びディスクプレート21と第2段部12dとの間にて摩擦ブレーキ力が発生し、シリンダブロック3の回転が制動される。
ここで、シリンダブロック3の回転方向が、図2に示される矢印Aで示される方向である場合、ディスクプレート21に当接面27bが押し付けられたブレーキピストン25には、矢印Aで示される方向の回転力が作用する。このため、ブレーキピストン25は、第1押付領域31aにおいて、第1外周面26a及び第2外周面27aが第1摺動孔12a及び第2摺動孔12bの内周面に押し付けられた状態となる。
一方、シリンダブロック3の回転方向が、図2に示される矢印Bで示される方向である場合、ディスクプレート21に当接面27bが押し付けられたブレーキピストン25には、矢印Bで示される方向の回転力が作用する。このため、ブレーキピストン25は、第2押付領域31bにおいて、第1外周面26a及び第2外周面27aが第1摺動孔12a及び第2摺動孔12bの内周面に押し付けられた状態となる。
このように、ブレーキ装置20では、第1外周面26a及び第2外周面27aが第1摺動孔12a及び第2摺動孔12bの内周面に押し付けられることによってブレーキピストン25が回転することが阻止される。このため、ブレーキピストン25の回転を阻止するピン部材等が設けられていなくとも、十分なブレーキ力を発生させることができる。
ブレーキの作動を解除させるには、ブレーキ解除用チャンバ28を油圧供給源側に接続し、ブレーキ解除用チャンバ28内に圧油を供給する。ブレーキ解除用チャンバ28内に圧油が供給され、ブレーキピストン25の受圧面26bを押圧する圧力が上昇すると、ブレーキピストン25は、ブレーキスプリング30の付勢力に抗して蓋部材13に向かって移動し、図1に示す状態となる。
このように、ブレーキピストン25がディスクプレート21から離れることによって、ディスクプレート21と当接面27bとの間、及びディスクプレート21と第2段部12dとの間において摩擦力の発生がなくなり、ブレーキの作動が解除される。
以上の第1実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
ブレーキ装置20では、ブレーキピストン25の第1外周面26a及び第2外周面27aに、出力軸2の軸心O1からの距離が相対的に長い第1領域31と、出力軸2の軸心O1からの距離が第1領域31よりも短い第2領域32と、が設けられる。このため、ブレーキピストン25に軸心O1を中心とする回転力が作用すると、第1領域31において、第1外周面26a及び第2外周面27aが収容ケース12に形成された第1摺動孔12a及び第2摺動孔12bの内周面に押し付けられ、ブレーキピストン25が回転することが阻止される。
したがって、ブレーキ装置20では、従来、ブレーキピストン25の回転を阻止するために設けられていたピン部材を廃止することができる。また、ピン部材の廃止に伴い、ブレーキピストン25及び蓋部材13にピン挿入孔を形成する必要もなくなる。また、ブレーキピストン25の第1外周面26a及び第2外周面27aは、全周にわたって凹部や段部といった径方向内方に凹む部分や径方向外方に突出して形成される突起部等のない滑らかな曲面状に形成されるため、ブレーキピストン25の加工も容易となる。これにより、ブレーキピストン25を有するブレーキ装置20の製造コストが低減され、結果として、ブレーキ装置20を備える油圧モータ1の製造コストを低減させることができる。
以下に、上記第1実施形態に係るブレーキ装置20の変形例について説明する。
上記第1実施形態では、ブレーキピストン25は、円形状に形成されている。これに代えて、ブレーキピストン25の第1外周面26a及び第2外周面27aの形状は、上述のような関係にある第1領域及び第2領域を全周に渡って径方向内方に凹むことなく設けることが可能であればどのような形状であってもよく、例えば、楕円や長円、卵形、多角形であってもよい。例えば、ブレーキピストン25が楕円や長円の場合は、出力軸2の軸心O1からの距離が相対的に長い第1領域が2カ所となり、出力軸2の軸心O1からの距離が第1領域よりも短い第2領域が2カ所となる。また、ブレーキピストン25が楕円や長円の場合、ブレーキピストン25の中心の位置が出力軸2の軸心O1と一致していても第1領域及び第2領域が形成される。つまり、ブレーキピストン25の外周面26a,27aの中心の位置が出力軸2の軸心O1と一致しているか否かに関わらず第1領域及び第2領域を設けることが可能である。また、ブレーキピストン25が多角形の場合、各辺の端点に近い領域が第1領域となり、各辺の中央の領域が第2領域となる。
また、上記第1実施形態では、第1外周面26a及び第2外周面27aの中心は共に中心軸O2である。これに代えて、第1外周面26aの中心の位置と第2外周面27aの中心の位置とを異ならせてもよい。
例えば、第2外周面27aよりも径が大きい第1外周面26aの中心を、出力軸2の軸心O1に近づけることで、第1外周面26aが第1摺動孔12aの内周面に押し付けられることで生じるブレーキピストン25の回転を阻止する力をある程度生じさせつつ、収容ケース12が径方向に大型化することを防止することができる。
また、上記第1実施形態では、第1外周面26a及び第2外周面27aの両方が第1領域31及び第2領域32を有している。これに代えて、第1外周面26a及び第2外周面27aの一方のみが、第1領域31及び第2領域32を有していてもよい。
例えば、第2外周面27aのみが、第1領域31及び第2領域32を有する場合であっても、第2外周面27aが第2摺動孔12bの内周面に押し付けられることによってブレーキピストン25が回転することは阻止される。また、この場合、ブレーキピストン25は、第1外周面26aの中心が中心軸O2ではなく出力軸2の軸心O1となるように形成される。このように、第1外周面26aの中心を出力軸2の軸心O1に一致させると、第1摺動孔12aが形成される位置が従来と同じ位置になるため、収容ケース12が径方向に大型化することを防止することができる。
なお、ブレーキピストン25の回転は、収容ケース12に押し付けられるブレーキピストン25の面積が大きい方が確実に阻止されるため、第1外周面26a及び第2外周面27aの両方が第1領域31及び第2領域32を有することが好ましい。
また、上記第1実施形態では、ブレーキピストン25の貫通孔25aは、第1外周面26a及び第2外周面27aと同様に、中心軸O2を中心としている。これに代えて、貫通孔25aの中心を出力軸2の軸心O1と一致させてもよい。この場合、第1外周面26a及び第2外周面27aの中心軸O2が出力軸2の軸心O1からずれて位置していても、貫通孔25aは、シリンダブロック3及び出力軸2と同軸上に位置するため、ブレーキピストン25とシリンダブロック3とが干渉してしまうことを回避することができる。
<第2実施形態>
次に、図4及び図5を参照して、本発明の第2実施形態に係るブレーキ装置120について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成には、同一の符号を付し説明を省略する。
次に、図4及び図5を参照して、本発明の第2実施形態に係るブレーキ装置120について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成には、同一の符号を付し説明を省略する。
ブレーキ装置120の基本的な構成は、上記第1実施形態に係るブレーキ装置20と同様である。ブレーキ装置120は、ディスクプレート121を複数備えるとともに、ディスクプレート121に対して出力軸2の軸方向に隣接して配置されるフリクションプレート122を備える点でブレーキ装置20と相違する。このように、複数のディスクプレート121と、これらの間に配置されるフリクションプレート122と、を備えることにより、ブレーキ装置120は、上記第1実施形態に係るブレーキ装置20と比較し制動力を向上させることができる。
ブレーキ装置120は、シリンダブロック3と共に回転する複数のディスクプレート121と、ディスクプレート121間に配置される摺動部材としてのフリクションプレート122と、収容ケース12に摺動支持され出力軸2の軸方向に移動可能なブレーキピストン25と、蓋部材13とブレーキピストン25との間に介装されブレーキピストン25をディスクプレート121に向けて付勢する付勢部材としての複数のブレーキスプリング30と、圧油が供給されることによってブレーキスプリング30の付勢力に抗してブレーキピストン25を移動させるブレーキ解除用チャンバ28と、を備える。
ディスクプレート121は、ディスクプレート21と同様に、シリンダブロック3の外周にスプライン係合している円環状部材であり、図4に示すように、出力軸2の軸方向に離間して3枚設けられる。ディスクプレート121間には、フリクションプレート122がそれぞれ配置されており、ディスクプレート121とフリクションプレート122とは、ブレーキピストン25の当接面27bと収容ケース12の第2段部12dとの間に積層された状態で配置される。
フリクションプレート122は、収容ケース12に摺動支持され出力軸2の軸方向に移動可能な円環状部材である。具体的には、フリクションプレート122の外周面としての外縁122aが第2摺動孔12bに摺接することによって各フリクションプレート122は収容ケース12により摺動支持される。なお、外縁122aは、図5に示されるように、全周にわたって凹部や段部といった径方向内方に凹む部分や径方向外方に突出して形成される突起部等のない滑らかな曲面状に形成される。フリクションプレート122は、ブレーキピストン25を介して作用するブレーキスプリング30の付勢力によってディスクプレート121に押し付けられると、ディスクプレート121の回転を制動する制動力を生じる。
次に、図5を参照し、フリクションプレート122の配置について説明する。
図5は、図4のV−V線に沿った断面の一部分を示した図である。なお、図5では、シリンダブロック3を省略して示している。
図5は、図4のV−V線に沿った断面の一部分を示した図である。なお、図5では、シリンダブロック3を省略して示している。
図5に示すように、フリクションプレート122の外縁122aは、軸心O1と並行であって軸心O1から所定の距離だけ離れて位置する中心軸O2を中心とする円形状に形成される。つまり、フリクションプレート122は、ブレーキピストン25と同様に、その中心軸O2がシリンダブロック3及び出力軸2の軸心O1に対してずれて位置するように偏心した状態で収容ケース12に配置されている。
別の言い方をすれば、フリクションプレート122を摺動支持する円形孔である第2摺動孔12bは、その中心がシリンダブロック3及び出力軸2の中心である軸心O1に対してずれて位置するように形成されている。
このように、フリクションプレート122の中心軸O2がシリンダブロック3及び出力軸2の軸心O1に対してずれて位置した状態を、軸心O1を基準として見た場合、外縁122aは、軸心O1からの距離が相対的に長い第1領域131と、軸心O1からの距離が第1領域131よりも短い第2領域132と、を有することになる。
具体的には、図5に示される断面において、軸心O1と中心軸O2とを通る直線を第1基準線L1とし、軸心O1を通り第1基準線L1に対して直交する直線を第2基準線L2、中心軸O2を通り第1基準線L1に対して直交する直線を第3基準線L3、とすると、第2基準線L2を基準として中心軸O2が位置する側が第1領域131となり、その反対側が第2領域132となる。なお、第2基準線L2と第3基準線L3との間隔が出力軸2に対するフリクションプレート122の偏心量に相当する。
このようにフリクションプレート122の中心軸O2を軸心O1からずらすと、フリクションプレート122に対して軸心O1を中心とする回転力が作用した場合、第2領域132よりも第1領域131の方が軸心O1からの距離が長いことから、第1領域131内において、外縁122aが第2摺動孔12bの内周面に押し付けられる状態となる。
具体的には、図5において矢印Aで示される方向の軸心O1を中心とする回転力がフリクションプレート122に作用した場合、第1基準線L1よりも回転力が作用する方向側において点線で囲まれる第1押付領域131aにおいて外縁122aが第2摺動孔12bの内周面に押し付けられることになる。
一方、図2において矢印Bで示される方向の軸心O1を中心とする回転力がフリクションプレート122に作用した場合、第1基準線L1よりも回転力が作用する方向側において点線で囲まれる第2押付領域131bにおいて外縁122aが第2摺動孔12bの内周面に押し付けられることになる。
このように、上記構成のブレーキ装置120では、フリクションプレート122に軸心O1を中心とする回転力が作用すると、第1領域131において、外縁122aが第2摺動孔12bの内周面に押し付けられることで、フリクションプレート122が回転することが阻止される。
このため、上記構成のブレーキ装置120では、従来、フリクションプレート122の回転を阻止するために、フリクションプレート122の外縁122aに設けられていた径方向に突出する突起等を廃止することができる。また、突起の廃止に伴い、第2摺動孔12bの内周面に突起が係合する溝を形成する必要もなくなる。この結果、フリクションプレート122の形状が簡素化されるとともに加工工数が減ることで、ブレーキ装置120の製造コストを低減させることができる。
なお、フリクションプレート122の回転を阻止するためには、出力軸2に対するフリクションプレート122の偏心量をできるだけ大きく設定することが好ましい。しかしながら、この偏心量を大きくすると、フリクションプレート122とシリンダブロック3とが干渉したり、ケース11の外径が大きくなってしまったりするおそれがあることから、偏心量の大きさは、フリクションプレート122の回転を阻止しつつ、干渉等が生じない大きさに設定される。
次に、ブレーキ装置120の作動について説明する。なお、図4は、ブレーキ装置120によるブレーキ作動が解除された状態を示している。
上記第1実施形態に係るブレーキ装置20と同様にして、ブレーキ解除用チャンバ28内の圧油がタンクへと排出されると、ブレーキピストン25の受圧面26bを押圧する圧力が低下するため、ブレーキピストン25は、図4に示す状態から、ブレーキスプリング30の付勢力により出力軸2の軸方向に沿ってディスクプレート121に向かって移動する。
ブレーキピストン25がディスクプレート121に当接すると、ブレーキピストン25は、ディスクプレート121とともに出力軸2の軸方向に沿って第2段部12dに向かってさらに移動する。
ブレーキピストン25が出力軸2の軸方向に沿って移動することによりディスクプレート121がフリクションプレート122に当接すると、ブレーキピストン25は、ディスクプレート121及びフリクションプレート122とともに出力軸2の軸方向に沿って第2段部12dに向かってさらに移動する。
ブレーキピストン25、ディスクプレート121及びフリクションプレート122の移動は、最も第2段部12d側に配置されるディスクプレート121が第2段部12dに当接することで規制され、移動が規制された複数のディスクプレート121及び複数のフリクションプレート122は、ブレーキピストン25の当接面27bと第2段部12dとの間に挟み込まれた状態となる。
これにより、ディスクプレート121と当接面27bとの間、ディスクプレート121とフリクションプレート122との間、及びディスクプレート21と第2段部12dとの間において摩擦ブレーキ力が発生し、シリンダブロック3の回転が制動される。
ここで、シリンダブロック3の回転方向が、図5に示される矢印Aで示される方向である場合、ディスクプレート121に押し付けられたフリクションプレート122には、矢印Aで示される方向の回転力が作用する。このため、フリクションプレート122は、第1押付領域131aにおいて、外縁122aが第2摺動孔12bの内周面に押し付けられた状態となる。
一方、シリンダブロック3の回転方向が、図5に示される矢印Bで示される方向である場合、ディスクプレート121に押し付けられたフリクションプレート122には、矢印Bで示される方向の回転力が作用する。このため、フリクションプレート122は、第2押付領域131bにおいて、外縁122aが第2摺動孔12bの内周面に押し付けられた状態となる。
このように、ブレーキ装置120では、外縁122aが第2摺動孔12bの内周面に押し付けられることによってフリクションプレート122が回転することが阻止される。このため、フリクションプレート122の外縁122aに径方向に突出する突起等が設けられていなくとも、十分なブレーキ力を発生させることができる。
ブレーキの作動を解除させるには、ブレーキ装置20と同様にして、ブレーキ解除用チャンバ28を油圧供給源側に接続し、ブレーキ解除用チャンバ28内に圧油を供給する。ブレーキ解除用チャンバ28内に圧油が供給され、ブレーキピストン25の受圧面26bを押圧する圧力が上昇すると、ブレーキピストン25は、ブレーキスプリング30の付勢力に抗して蓋部材13に向かって移動し、図4に示す状態となる。
このように、ブレーキピストン25がディスクプレート121から離れることによって、ディスクプレート121と当接面27bとの間、ディスクプレート121とフリクションプレート122との間、及びディスクプレート121と第2段部12dとの間において摩擦力の発生がなくなり、ブレーキの作動が解除される。
なお、ブレーキ装置120では、フリクションプレート122を摺動支持する第2摺動孔12bには、ブレーキピストン25の第2ピストン部27も摺動支持されている。つまり、第2ピストン部27は、第2外周面27aの中心である中心軸O2がシリンダブロック3及び出力軸2の軸心O1に対してずれて位置するように偏心した状態で収容ケース12に配置されている。このため、ブレーキ装置120では、ブレーキ装置20と同様にして、ブレーキピストン25が回転することも阻止される。
以上の第2実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
ブレーキ装置120では、フリクションプレート122の外縁122aに、出力軸2の軸心O1からの距離が相対的に長い第1領域131と、出力軸2の軸心O1からの距離が第1領域131よりも短い第2領域132と、が設けられる。このため、フリクションプレート122に軸心O1を中心とする回転力が作用すると、第1領域131において、外縁122aが収容ケース12に形成された第2摺動孔12bの内周面に押し付けられ、ブレーキピストン25が回転することが阻止される。
したがって、ブレーキ装置120では、従来、フリクションプレート122の回転を阻止するために、フリクションプレート122の外縁122aに設けられていた径方向に突出する突起等を廃止することができる。また、突起の廃止に伴い、第2摺動孔12bの内周面に突起が係合する溝を形成する必要もなくなる。また、フリクションプレート122の外縁122aは、全周にわたって凹部や段部といった径方向内方に凹む部分や径方向外方に突出して形成される突起部等のない滑らかな曲面状に形成されるため、フリクションプレート122の加工も容易となる。これにより、フリクションプレート122を有するブレーキ装置120の製造コストが低減され、結果として、ブレーキ装置120を備える油圧モータ1の製造コストを低減させることができる。
また、第2摺動孔12bの内周面に、フリクションプレート122の回転を阻止するための溝等の係止部を形成する必要がなくなることで、第2摺動孔12bは単純な円形孔となる。このため、第2摺動孔12bをブレーキピストン25の第2ピストン部27を摺動支持する支持孔として用いることも可能となる。このように、ブレーキピストン25の第2ピストン部27を摺動支持する支持孔と、フリクションプレート122を摺動支持する支持孔と、を別々に形成する必要がなくなることから、フリクションプレート122を有するブレーキ装置120の製造コストが低減され、結果として、ブレーキ装置120を備える油圧モータ1の製造コストを低減させることができる。
また、ブレーキピストン25の第2ピストン部27を摺動支持する支持孔と、フリクションプレート122を摺動支持する支持孔と、が共通化されることにより、フリクションプレート122を有する場合であっても、カラー部材等を用いることなく、ブレーキピストン25と収容ケース12とによりブレーキ解除用チャンバ28を容易に画定することができる。
以下、本発明の第2実施形態に係るブレーキ装置120の変形例について説明する。
上記第2実施形態では、フリクションプレート122が2枚、ディスクプレート121が3枚設けられている。ディスクプレート121及びフリクションプレート122の数はこれに限定されず、ディスクプレート121を2枚、または、ディスクプレート121を4枚以上設け、これらの間にフリクションプレート122を設けた構成としてもよい。また、フリクションプレート122は、ブレーキピストン25とディスクプレート121との間や収容ケース12の第2段部12dとディスクプレート121との間に設けられてもよい。
また、上記第2実施形態では、フリクションプレート122は、円形状に形成されている。これに代えて、フリクションプレート122の外縁122aの形状は、上述のような関係にある第1領域及び第2領域を全周に渡って径方向内方に凹むことなく設けることが可能であればどのような形状であってもよく、例えば、楕円や長円、卵形、多角形であってもよい。例えば、フリクションプレート122が楕円や長円の場合は、出力軸2の軸心O1からの距離が相対的に長い第1領域が2カ所となり、出力軸2の軸心O1からの距離が第1領域よりも短い第2領域が2カ所となる。また、フリクションプレート122が楕円や長円の場合、フリクションプレート122の中心の位置が出力軸2の軸心O1と一致していても第1領域及び第2領域が形成される。つまり、フリクションプレート122の外縁122aの中心の位置が出力軸2の軸心O1と一致しているか否かに関わらず第1領域及び第2領域を設けることが可能である。また、フリクションプレート122が多角形の場合、各辺の端点に近い領域が第1領域となり、各辺の中央の領域が第2領域となる。
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
ブレーキ装置20,120は、シリンダブロック3と共に回転するディスクプレート21,121と、出力軸2の軸方向に移動可能に収容ケース12に摺動支持される摺動部材25,122と、摺動部材25,122をディスクプレート21,121に向けて付勢する付勢力を生じるブレーキスプリング30と、を備え、摺動部材25,122は、収容ケース12に設けられた摺動孔12a,12bの内周面に摺接する外周面26a,27a,122aを有し、外周面26a,27a,122aには、出力軸2の中心からの距離が相対的に長い第1領域31,131と、出力軸2の中心からの距離が第1領域31,131よりも短い第2領域32,132と、が全周に渡って径方向内方に凹むことなく設けられる。
この構成では、摺動部材25,122の外周面26a,27a,122aに、出力軸2の軸心O1からの距離が相対的に長い第1領域31,131と、出力軸2の軸心O1からの距離が第1領域31,131よりも短い第2領域32,132と、が設けられる。このため、摺動部材25,122に軸心O1を中心とする回転力が作用すると、第1領域31,131において、外周面26a,27a,122aが収容ケース12に形成された摺動孔12a,12bの内周面に押し付けられ、摺動部材25,122が回転することが阻止される。このように、ブレーキ装置20,120では、従来、摺動部材25,122の回転を阻止するために設けられていた構成を廃止することができることにより、結果として、ブレーキ装置20,120を備える油圧モータ1の製造コストを低減させることができる。
さらに、この構成では、摺動部材25,122の外周面26a,27a,122aに設けられる第1領域31,131と第2領域32,132とが外周面26a,27a,122aの全周に渡って径方向内方に凹むことなく滑らかに設けられる。このように、摺動部材25,122の外周面26a,27a,122aには、段部や凹部といった径方向内方に凹む部分が設けられていないため、摺動部材25,122の外周面を容易に加工することができる。
また、摺動部材25,122は、外周面26a,27a,122aが円形状であり、外周面26a,27a,122aの中心軸O2が出力軸2の軸心O1に対してずれて位置するように収容ケース12に配置される。
この構成では、摺動部材25,122は、形状的に単純な円形状に形成される。そして、中心軸O2が出力軸2の軸心O1に対してずれて位置するように摺動部材25,122を収容ケース12に配置することにより、第1領域31,131と第2領域32,132とを容易に形成することができる。このように、摺動部材25,122の形状は、加工が容易な形状であり、また、円形状の摺動部材25,122を収容する収容ケース12の加工も容易となる。この結果、ブレーキ装置20,120を備える油圧モータ1の製造コストを低減させることができる。
また、摺動部材は、ブレーキスプリング30の付勢力に対抗する付勢力を生じさせる液圧が作用する受圧面26bを有する第1ピストン部26と受圧面26bよりも径方向内側からディスクプレート21,121に向けて第1ピストン部26から突出して設けられる第2ピストン部27とを有するブレーキピストン25であり、第1領域31及び第2領域32は、第1ピストン部26及び第2ピストン部27の少なくとも一方に設けられる。
この構成では、ブレーキピストン25の第1ピストン部26及び第2ピストン部27の少なくとも一方に第1領域31及び第2領域32が設けられる。このように、ブレーキピストン25の第1ピストン部26及び第2ピストン部27の少なくとも一方に第1領域31及び第2領域32が設けられていれば、ブレーキピストン25に軸心O1を中心とする回転力が作用しても、第1領域31において、第1外周面26aまたは第2外周面27aが収容ケース12に形成された第1摺動孔12aまたは第2摺動孔12bの内周面に押し付けられ、ブレーキピストン25が回転することが阻止される。このため、従来、ブレーキピストン25の回転を阻止するために設けられていたピン部材等を廃止することが可能となり、結果として、ブレーキ装置20,120を備える油圧モータ1の製造コストを低減させることができる。
また、摺動部材は、ブレーキスプリング30の付勢力に対抗する付勢力を生じさせる液圧が作用する受圧面26bを有する第1ピストン部26と受圧面26bよりも径方向内側からディスクプレート121に向けて第1ピストン部26から突出して設けられる第2ピストン部27とを有するブレーキピストン25と、ディスクプレート121に対して出力軸2の軸方向に隣接して配置されディスクプレート121に押し付けられることによりディスクプレート121の回転を制動する制動力を生じるフリクションプレート122と、である。
この構成では、ブレーキピストン25及びフリクションプレート122にそれぞれ第1領域31,131及び第2領域32,132が設けられる。このように、ブレーキピストン25に第1領域31及び第2領域32を設けることで、従来、ブレーキピストン25の回転を阻止するために設けられていたピン部材等を廃止することができ、フリクションプレート122に第1領域131及び第2領域132を設けることで、従来、フリクションプレート122の回転を阻止するために、フリクションプレート122の外縁122aに設けられていた径方向に突出する突起等を廃止することができる。この結果、ブレーキ装置120を備える油圧モータ1の製造コストを低減させることができる。
また、第1領域31,131及び第2領域32,132は、第2ピストン部27及びフリクションプレート122にそれぞれ設けられ、収容ケース12は、第2ピストン部27を摺動支持するとともにフリクションプレート122を摺動支持する第2摺動孔12bを有する。
この構成では、第1領域31及び第2領域32が設けられる第2ピストン部27と、第1領域131及び第2領域132が設けられるフリクションプレート122と、が共に第2摺動孔12bにより摺動支持される。このように、第2ピストン部27とフリクションプレート122とを摺動支持する摺動孔を共通化することにより、収容ケース12に対する加工を簡素化することが可能になる。この結果、ブレーキ装置120を備える油圧モータ1の製造コストを低減させることができる。
また、油圧モータ1は、上記構成のブレーキ装置20,120を備える。
この構成では、油圧モータ1が、上記構成のブレーキ装置20,120を備えている。上記構成のブレーキ装置20,120では、従来、摺動部材25,122の回転を阻止するために設けられていた構成を廃止することが可能であるため、結果として、ブレーキ装置20,120を備える油圧モータ1の製造コストを低減させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
20,120・・・ブレーキ装置、1・・・油圧モータ(液圧モータ)、2・・・出力軸、3・・・シリンダブロック、11・・・ケース、12・・・収容ケース、12a・・・第1摺動孔、12b・・・第2摺動孔、12d・・・第2段部、21,121・・・ディスクプレート、25・・・ブレーキピストン(摺動部材)、26・・・第1ピストン部、26a・・・第1外周面(外周面)、26b・・・受圧面、27・・・第2ピストン部、27a・・・第2外周面(外周面)、27b・・・当接面、28・・・ブレーキ解除用チャンバ、30・・・ブレーキスプリング(付勢部材)、31,131・・・第1領域、32,132・・・第2領域、122・・・フリクションプレート(摺動部材)、122a・・・外縁(外周面)、O1・・・軸心(出力軸の中心)、O2・・・中心軸(摺動部材の外周面の中心)
Claims (6)
- 液圧によって回転するシリンダブロックと、前記シリンダブロックと一体に回転する出力軸と、をケース内に備える液圧モータを制動するブレーキ装置であって、
前記シリンダブロックと共に回転するディスクプレートと、
前記出力軸の軸方向に移動可能に前記ケースに摺動支持される摺動部材と、
前記摺動部材を前記ディスクプレートに向けて付勢する付勢力を生じる付勢部材と、を備え、
前記摺動部材は、前記ケースの内周面に摺接する外周面を有し、
前記外周面には、前記出力軸の中心からの距離が相対的に長い第1領域と、前記出力軸の中心からの距離が前記第1領域よりも短い第2領域と、が全周に渡って径方向内方に凹むことなく設けられることを特徴とするブレーキ装置。 - 前記摺動部材は、前記外周面が円形状であり、前記外周面の中心が前記出力軸の中心に対してずれて位置するように前記ケースに配置されることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。
- 前記摺動部材は、前記付勢部材の付勢力に対抗する付勢力を生じさせる液圧が作用する受圧面を有する第1ピストン部と前記受圧面よりも径方向内側から前記ディスクプレートに向けて前記第1ピストン部から突出して設けられる第2ピストン部とを有するブレーキピストンであり、
前記第1領域及び前記第2領域は、前記第1ピストン部及び前記第2ピストン部の少なくとも一方に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ装置。 - 前記摺動部材は、
前記付勢部材の付勢力に対抗する付勢力を生じさせる液圧が作用する受圧面を有する第1ピストン部と前記受圧面よりも径方向内側から前記ディスクプレートに向けて前記第1ピストン部から突出して設けられる第2ピストン部とを有するブレーキピストンと、
前記ディスクプレートに対して前記出力軸の軸方向に隣接して配置され前記ディスクプレートに押し付けられることにより前記ディスクプレートの回転を制動する制動力を生じるフリクションプレートと、
であることを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ装置。 - 前記第1領域及び前記第2領域は、前記第2ピストン部及び前記フリクションプレートにそれぞれ設けられ、
前記ケースは、前記第2ピストン部を摺動支持するとともに前記フリクションプレートを摺動支持する摺動孔を有することを特徴とする請求項4に記載のブレーキ装置。 - 請求項1から5の何れか1つに記載のブレーキ装置を備えることを特徴とする液圧モータ。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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DE112021001096T5 (de) | 2020-02-17 | 2022-12-15 | Denso Corporation | Gassensorelement |
-
2018
- 2018-08-08 JP JP2018149363A patent/JP2020024017A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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