JP2020023797A - トンネル覆工コンクリートの天端部打設方法 - Google Patents

トンネル覆工コンクリートの天端部打設方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トンネルのアーチ形状部分の天端部の覆工空間に、複数の圧入打設口からコンクリートを同時に打設する際に、覆工空間の天面部分に空気溜りが生じるのを抑制できるようにする。【解決手段】トンネル覆工コンクリートの天端部打設方法であって、トンネル40の掘進方向Xに間隔をおいてトンネル覆工用型枠10の天端部に2箇所に設けられたコンクリート圧入打設口12a,12bから、コンクリート22を同時に打設する際に、既設の覆工コンクリート20aと妻型枠23との中間部分に設けられた中間部圧入打設口12bに近接して、覆工空間21に突出するじゃま板部材25を設けておく。上流側からじゃま板部材25に至ったコンクリート22を当該じゃま板部材26の部分で打ち上げさせて、じゃま板部材25に近接する部分でエア抜きパイプ27からエア抜きしながら、天端部40cの覆工空間21にコンクリート22を充填させる。【選択図】図3

Description

本発明は、トンネル覆工コンクリートの天端部打設方法に関し、特に、トンネルのアーチ形状部分の天端部の覆工空間にコンクリートを打設する際に用いるトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法に関する。
例えば山岳トンネル工法等のトンネル工法において、掘削したトンネルの内周面の地山を覆って構築されるトンネル覆工コンクリートを形成するための方法として、セントルと呼ばれるトンネル覆工用型枠を用いる工法が一般的に採用されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。トンネル覆工用型枠50は、例えば図6に示すように、例えば馬蹄形等のアーチ形状部分52を含む形状のトンネル53の内周面に沿って、トンネル53の側壁部55から上部に亘って設置されるものであり、設置されたトンネル覆工用型枠50と、トンネル53の内周面の吹き付けコンクリート54によって覆われる地山との間の覆工空間61に、好ましくは無筋コンクリートを打設して硬化させることにより、トンネル底部のインバート部51のコンクリートと連続させるようにして、覆工コンクリートが形成されることになる。
また、トンネル覆工用型枠50としては、例えばバラセントルと呼ばれる組立式のトンネル覆工用型枠の他、スライドセントルと呼ばれる移動式のトンネル覆工用型枠が知られており、トンネル53の掘削作業の進行に伴なって、例えば10.5m程度の所定の施工スパン毎にトンネル覆工用型枠50を据え付け直しながら、トンネル53の掘進方向の後方から前方に向かって、トンネル覆工用型枠50を用いてトンネル53の側部及び上部の覆工コンクリートを順次打設して形成して行くことになる。
そして、トンネル覆工用型枠50を用いてトンネルの側部及び上部の覆工コンクリートを打設するには、例えば図7(a)〜(d)に示すように、設置したトンネル覆工用型枠50に設けられた検査窓56からコンクリートを打設可能な高さ領域として、例えばトンネル53の側壁部55からアーチ形状部分52の肩部までの領域に対しては、検査窓56を介してコンクリート57を供給すると共に、バイブレータ58を検査窓56から挿入し、供給されたコンクリート57を締固めながらコンクリート57を打設する(図7(a)〜(c)参照)。しかる後に、検査窓56からコンクリート57を供給しながらバイブレータ58によって締固めることが困難な高さ領域として、トンネル53の冠部(クラウン部)59(図6参照)の領域に対しては、トンネル覆工用型枠50の天端部に設けたコンクリートの圧入打設口である吹き上げ投入口60から、コンクリートを吹き上げ方式で圧入して打ち込み、直接バイブレータを用いて締固めを行うことなく冠部59のコンクリート57を形成するパターンが採用されている(図7(d)参照)。
より具体的には、所定位置にトンネル覆工用型枠50を設置した後に、例えば側壁部55の下部より、下段の検査窓56を介してコンクリート57を流し込みながらバイブレータ58を用いて締固める工程(図7(a)参照)と、さらに側壁部55の上部のアーチ形状部分52に向かって、中段の検査窓56を介してコンクリート57を流し込みながらバイブレータ58を用いて締固める工程(図7(b)参照)と、さらにアーチ形状部分52の冠部59の手前まで、上段の検査窓56及び必要に応じて吹き上げ投入口60を介してコンクリート57を流し込みながら、バイブレータ58を用いて締固める工程(図7(c)参照)と、冠部59における既設の覆工コンクリート62側の部分から吹き上げ投入口60を介してコンクリート57を吹き上げ方式で圧入し、直接バイブレータを用いて締固めを行うことなく、妻型枠63までコンクリートを充填する工程(図7(d)参照)とによって、覆工コンクリートが打設されることになる。
特開2001−280094号公報 特開2003−262096号公報 特開2015−67949号公報
一方、近年のトンネル工法では、掘削技術の改良によって、コンクリートの打設から養生及びトンネル覆工用型枠の脱型までの、覆工コンクリートを形成するための工程の進捗が、トンネルの切羽面を掘削する工程の進捗に追随できなくなっている。このため、例えばトンネル覆工用型枠を組み立ててからコンクリートを打設するまでの工程と、打設したコンクリートの養生の後にトンネル覆工用型枠を脱型するまでの工程とを、別々の日に行っていたものを、トンネル覆工用型枠の脱型、移動、及び組立から、コンクリートの打設までの工程を、1日のうちに終わらせて、翌日は専らコンクリートの養生期間とするといった施工方法を採用したり、或いはトンネル覆工用型枠の延長を長くしたりするなどによって、覆工コンクリートの形成するための工程の進捗を早めるようにすることが検討されている。
また、トンネル覆工用型枠を用いて形成される覆工コンクリートの打設空間にコンクリートを打設する際に、複数のコンクリートポンプを用いることによって、覆工コンクリートの品質の向上を図ることができるようにした打設方法も開発されている(例えば、特許文献3参照)。覆工コンクリートの打設空間にコンクリートを打設する際に、複数のコンクリートポンプを用いることによってもまた、覆工コンクリートを形成するための工程の進捗を早めることが可能になると考えられる。
しかしながら、トンネルのアーチ形状部分の天端部の覆工空間である、トンネルの冠部(クラウン部)の覆工空間に、トンネル覆工用型枠の天端部に設けられたコンクリート圧入打設口である、複数の吹上げ投入口から、コンクリートを同時に打設すると、特に、複数のコンクリート圧入打設口から、天端部の覆工空間に各々打設されたコンクリートが合流する部分において、覆工空間の天面部に近接する部分に空気溜りが生じ易くなることから、トンネルのアーチ形状部分の天端部の覆工空間の全体にコンクリートを隙間なく充填することが難しくなって、品質の良好な天端部の覆工コンクリートを得ることが困難になる。
本発明は、トンネルのアーチ形状部分の天端部の覆工空間に、複数のコンクリート圧入打設口からコンクリートを同時に打設する際に、覆工空間の天面部分に空気溜りが生じるのを効果的に抑制して、天端部の覆工空間の全体に隙間なくコンクリートを充填させることにより、品質の良好な天端部の覆工コンクリートを得ることを可能にするトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法を提供することを目的とする。
本発明は、トンネル覆工用型枠を用いて覆工コンクリートを形成するトンネル覆工コンクリートの施工方法において、トンネルのアーチ形状部分の天端部の覆工空間にコンクリートを打設する際に用いるトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法であって、トンネルの延長方向に間隔をおいて、トンネル覆工用型枠の天端部に複数設けられたコンクリート圧入打設口から、コンクリートを同時に打設して、天端部の覆工コンクリートを形成するようになっており、複数のコンクリート圧入打設口は、先行して形成された既設の覆工コンクリートに近接する部分に設けられたラップ側圧入打設口と、既設の覆工コンクリートと妻型枠との間の中間部分に設けられた中間部圧入打設口とを含んでおり、トンネル覆工用型枠の天端部から覆工空間に突出するじゃま板部材が、覆工空間の周方向に延設すると共に、前記中間部圧入打設口の既設の覆工コンクリート側に近接して配置されて設けられており、前記じゃま板部材の既設の覆工コンクリート側に近接して配置されて、エア抜きパイプが、トンネル覆工用型枠の天端部から覆工空間の天面部に近接する部分に至る長さで突出して設けられており、複数の前記コンクリート圧入打設口からコンクリートを同時に打設する際に、各々のコンクリート圧入打設口から妻型枠側に向けて、打設したコンクリートを流出させると共に、上流側から前記じゃま板部材に至ったコンクリートを当該じゃま板部材の部分で打ち上げさせて、当該じゃま板部材に近接する部分で前記エア抜きパイプからエア抜きしながら、天端部の覆工空間にコンクリートを充填させるトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
そして、本発明のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法は、トンネルの延長方向に間隔をおいて、トンネル覆工用型枠から天端部の覆工空間に進退可能に突出する伸縮バイブレータが、複数箇所に設けられており、これらの伸縮バイブレータによって締固めながら、天端部の覆工空間にコンクリートを充填させることが好ましい。
また、本発明のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法は、打設されたコンクリートの加圧状態を維持したまま、天端部の覆工空間にコンクリートを充填させることが好ましい。
さらに、本発明のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法は、前記じゃま板部材及び前記エア抜きパイプが、トンネル覆工用型枠の内側に引き抜き可能に設けられていることが好ましい。
さらにまた、本発明のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法は、前記じゃま板部材が、硬化後の覆工コンクリートにひび割れ誘発目地を形成するための目地板を兼ねていることが好ましい。
さらに、本発明のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法は、前記トンネル覆工用型枠が、10.5m以上の施工延長を有するロングスパンのトンネル覆工用型枠であることが好ましい。
さらにまた、本発明のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法は、前記中間部圧入打設口が、既設の覆工コンクリートと妻型枠との間の中間部分に1箇所に設けられていることが好ましい。
本発明のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法によれば、トンネルのアーチ形状部分の天端部の覆工空間に、複数のコンクリート圧入打設口からコンクリートを同時に打設する際に、覆工空間の天面部分に空気溜りが生じるのを効果的に抑制して、天端部の覆工空間の全体に隙間なくコンクリートを充填させることにより、品質の良好な天端部の覆工コンクリートを得ることができる。
(a)〜(c)は、トンネル覆工用型枠を用いたトンネル覆工コンクリートの施工方法を説明する略示横断面図である。 (a)〜(c)は、トンネル覆工用型枠を用いたトンネル覆工コンクリートの施工方法を説明する略示縦断面図である。 (a)〜(c)は、本発明の好ましい一実施形態に係るトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法を説明する略示縦断面図である。 ひび割れ誘発目地を形成するための目地板を兼ねるじゃま板部材を、周方向に連設して取り付けた状態を説明する略示正面図である。 (a)は、ひび割れ誘発目地を形成するための目地板を兼ねるじゃま板部材を説明する正面図、(b)は、じゃま板部材を取り付けた状態の略示断面図である。 従来のトンネル覆工コンクリートの打設方法において、トンネル覆工用型枠をトンネルの内周面に沿って設置した状態を説明する略示横断面図である。 (a)〜(d)は、従来のトンネル覆工コンクリートの打設方法の作業手順を説明する、一部を断面図として示す略示側面図である。
本発明の好ましい一実施形態に係るトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法は、例えば山岳トンネル工法等のトンネル工法において、図1(a)〜(c)及び図2(a)〜(c)に示すように、掘削したトンネル40の内周面を覆って構築される覆工コンクリート20を、セントルと呼ばれるトンネル覆工用型枠10を用いて、例えば2台のコンクリートポンプ30からコンクリート22を同時に供給しながら打設することによって形成する際に、トンネル40のアーチ形状部分40bの天端部40cの覆工空間21の全体に、隙間なくコンクリート22を充填させることで、品質の良好な天端部40cの覆工コンクリート20(図1(c)の網掛部参照)が得られるようにする打設方法として採用されたものである。
すなわち、近年のトンネル工法では、掘削技術の改良によって、コンクリート22の打設から養生及びトンネル覆工用型枠10の脱型までの、覆工コンクリート20を形成するための工程の進捗が、トンネル40の切羽面を掘削する工程の進捗に追随できなくなって、効率良く施工されていないことが多くなっていることから、本実施形態では、一般に用いられる10.5m程度の延長を有するトンネル覆工用型枠に代えて、好ましくは例えば18〜22m程度の延長を有するロングスパンのトンネル覆工用型枠10を用いることで、一サイクルで行なわれる覆工コンクリート20の施工スパンを増大させると共に、2台のコンクリートポンプ30を用いて2系統の圧送配管31からコンクリート22を同時に打設することで、コンクリート22を打設する際の作業時間を短縮させて、覆工コンクリート20を形成するための工程の進捗を早めることができるようになっている。
本実施形態では、上述のように、好ましくは18〜22m程度の延長を有するロングスパンのトンネル覆工用型枠10を用いると共に、2台のコンクリートポンプ30を用いて2系統の圧送配管31からコンクリート22を同時に打設することによって、覆工コンクリート20を形成するための工程の進捗を早めるようになっており、特に、トンネル40のアーチ形状部分40bの天端部(クラウン部)40cの覆工空間21に、複数箇所として2箇所のコンクリート圧入打設口12a,12bから、コンクリート22を同時に打設すると(図1(c)、図2(c)参照)、各々のコンクリート圧入打設口12a、12bから打設されたコンクリート22が合流する、これらのコンクリート圧入打設口12a、12bの中間部分において、覆工空間21の天面部分に空気溜りが生じ易くなる。これによって、トンネル40のアーチ形状部分40bの天端部40cの覆工空間21の全体に、コンクリートを隙間なく充填することが難しくなることから、本実施形態では、後述するトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法を採用することによって、覆工空間21の天面部分に空気溜りが生じるのを効果的に抑制し、天端部40cの覆工空間21の全体に隙間なくコンクリートを充填させることを可能にして、品質の良好な天端部40cの覆工コンクリート20が得られるようにしている。
そして、本実施形態のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法は、トンネル覆工用型枠10を用いて覆工コンクリート20を形成するトンネル覆工コンクリートの施工方法において、トンネル40のアーチ形状部分40bの天端部(クラウン部)40cの覆工空間21にコンクリート22を打設する際に用いる打設方法であって、図2(c)に示すように、トンネル40の掘進方向Xに間隔をおいてトンネル覆工用型枠10の天端部に複数(本実施形態では、2箇所)設けられたコンクリート圧入打設口12a,12bから、コンクリート22を同時に打設して、天端部40cの覆工コンクリート20を形成するようになっている。複数(本実施形態では、2箇所)のコンクリート圧入打設口12a,12bは、先行して形成された既設の覆工コンクリート20aに近接する部分に設けられたラップ側圧入打設口12aと、既設の覆工コンクリート20aと妻型枠23との間の中間部分に設けられた中間部圧入打設口12bとを含んでおり、トンネル覆工用型枠10の天端部から覆工空間21に突出するじゃま板部材25が、覆工空間21の周方向に延設すると共に(図4参照)、図3(a)〜(c)に示すように、中間部圧入打設口12bの既設の覆工コンクリート20a側に近接して配置されて設けられている。さらに、図3(a)〜(c)に示すように、じゃま板部材25の既設の覆工コンクリート20a側に近接して配置されて、エア抜きパイプ27が、トンネル覆工用型枠10の天端部から覆工空間21の天面部に近接する部分に至る長さで突出して設けられている。複数のコンクリート圧入打設口12a,12bからコンクリート22を同時に打設する際に、各々のコンクリート圧入打設口12a,12bから妻型枠29側に向けて、打設したコンクリート22を流出させると共に(図3(a)参照)、上流側からじゃま板部材25に至ったコンクリート22を当該じゃま板部材26の部分で打ち上げさせて(図3(b)参照)、当該じゃま板部材25に近接する部分でエア抜きパイプ27からエア抜きしながら、天端部40cの覆工空間21にコンクリート22を充填させるようになっている(図3(c)参照)。
また、本実施形態では、図3(a)〜(c)に示すように、トンネル40の延長方向Xに間隔をおいて、トンネル覆工用型枠10からトンネル40の天端部40cの覆工空間21に進退可能に突出する伸縮バイブレータ28が、複数箇所に設けられており、これらの伸縮バイブレータ28によって締固めながら、天端部40cの覆工空間21にコンクリート22を充填させるようになっている。
本実施形態では、トンネル覆工コンクリートの打設方法に用いるトンネル覆工用型枠10は、トンネル40の掘進方向Xに移動可能なスライドセントルとなっており、例えば18〜22m程度の延長を有するロングスパンのセントルとなっている。トンネル覆工用型枠10は、ロングスパンのセントルとなっていること以外は、例えば特開2015−67949号公報に記載されたトンネル覆工用型枠と、略同様の構成を備えている。
すなわち、トンネル覆工用型枠10は、図1(a)〜(c)に示すように、トンネル40の掘進方向Xに連結一体化された(図2(a)〜(c)参照)、複数の門型台車13と、これらの一体化された門型台車13によって支持されると共に、例えば吹付けコンクリートによる一次覆工23によって覆われたトンネル40の内周面に沿って配置されて、覆工空間21の内側の型枠面を形成する型枠本体14とを含んで構成されている。門型台車13は、基台部13aと、基台部13aを支持する支柱脚部13bとを備えている。支柱脚部13bの下端には、トンネル40の床面に敷設されたレール24に沿って走行可能な走行部13cが設けられており、これによってトンネル覆工用型枠10は、トンネル40の掘進方向Xに移動できるようになっている。
型枠本体14は、一次覆工23によって覆われたトンネル40の内周面に沿った形状を備えるように組み付けられており、トンネル40の内周面との間に所定の間隔をおいて配置されることにより、所定の厚さの覆工空間21を形成する。また、型枠本体14は、トンネル40のアーチ形状部分40bの上部の覆工空間21を形成する上部型枠14aと、アーチ形状部分40bの下部及び両側の側壁部分40aの覆工空間21を形成する一対の側部型枠14bと、一対の下端部型枠14cとを含んで構成されている。上部型枠14aは、門型台車13の基台部13aに設けられた複数の昇降ジャッキ15aによって、上下方向に昇降可能に支持されている。一対の側部型枠14bは、上部型枠14aの両側の下端部に各々回転可能に接続されており、一対の下端部型枠14cは、各々の側部型枠14bの下端部に回転可能に接続されている。側部型枠14b及び下端部型枠14cは、一端部が門型台車13に連結された伸縮ジャッキ15b,15cの他端部と連結しており、これらの伸縮ジャッキ15b,15cを伸縮することで、側部型枠14bや下端部型枠14cを、上部型枠14aや側部型枠14bに対して、回動できるようになっている。
これらによって、トンネル覆工用型枠10は、昇降ジャッキ15aや伸縮ジャッキ15b,15cを伸縮させることで、型枠本体14を展開したり内側にまとめたりすることが可能になって、トンネル40の内周面に沿うように型枠本体14を組み付けたり、型枠本体14を脱型した後にトンネル40の内部で掘進方向Xに移動させたりできるようになっている。
本実施形態では、トンネル覆工用型枠10は、例えば18〜22m程度の延長を有するロングスパンの型枠としたことで施工スパンを増大させて、工期の短縮を図ることができるようになっていることに加えて、好ましくは、前後方向(トンネルの掘進方向)Xの一方及び他方に2分割した状態となるように、分離可能な構成を備えている。トンネル覆工用型枠10を一方及び他方に分離可能な構成としたことで、トンネル覆工用型枠10の移動及びセットをロングスパンのまま一体として行えるようにして、移動及びセットの時間の短縮を図りつつも、例えばトンネル40の坑口部分や断面拡幅部分等の、異なる断面部分の覆工コンクリート20を施工する際に、これらの異なる断面部分の型枠の組み立てや打設したコンクリートの養生などのために、トンネル覆工用型枠10を、移動することなく通常よりも長い期間、同じ位置に保持しておく必要がある場合でも、例えば一方の部分をそのまま保持しておき、異なる断面部分から外れた他方の部分を分離することで、分離した他方の部分を用いることによって、覆工コンクリート20を形成する作業を進めることが可能になる。これによって、覆工コンクリート20を形成するための工程が、異なる断面部分の影響によって長引くことになるのを、効果的に回避することが可能になる。
本実施形態では、トンネル覆工用型枠10によって形成された、一次覆工23で覆われたトンネルの40内周面との間の覆工空間21には、上述のように、2系統のコンクリートポンプ(コンクリートポンプ車)30及び圧送配管31を介して、コンクリート22が供給されるようになっている。すなわち、本実施形態では、コンクリートポンプ30は、図2(a)〜(c)に示すように、セットされたトンネル覆工用型枠10を挟んだトンネルの掘進方向Xの前方及び後方に1台ずつ、2台配置されており、各々のコンクリートポンプ30のホッパー部に、コンクリートミキサー車32からコンクリート22が投入されるようになっている。前後2台のコンクリートポンプ30には、圧送配管31が各々接続されている。これらの2系統の圧送配管31を介して、2台のコンクリートポンプ30から覆工空間21に、コンクリート22を同時に圧送して、供給できるようになっている。2系統のコンクリートポンプ20及び圧送配管31を用いることにより、覆工コンクリート20を形成するための工程の進捗を、より効果的に早めることが可能になる。2台のコンクリートポンプ30を用いる場合、これらの2台のコンクリートポンプ30は、トンネル覆工用型枠10を挟んだトンネルの掘進方向Xの前方又は後方の一方(片側)に、並べて配置することもできる。
2台のコンクリートポンプ20に接続されてコンクリートを圧送する2系統の圧送配管31は、各々、一端部がコンクリートポンプ30に接続されて、セットされたトンネル覆工用型枠10の内側に向けて、トンネル覆工用型枠10の前後方向(トンネルの掘進方向)Xに延設して設けられた主配管31aと、主配管31aの他端部からロータバルブ31c(図1(a)〜(c)参照)を介してトンネル50の幅方向の両側に枝分かれして設けられた分岐管31bとを含んで形成されている。分岐管31bは、曲折可能な可撓性を備える部分を有しており、可撓性を備える部分で適宜曲折させたり湾曲させたりすることによって、当該分岐管31bを、下段の圧入接続口11aから上段の圧入接続口11bに切り換えて接続したり、上段の圧入接続口11bから天頂部のコンクリート圧入打設口12a,12bに切り換えて接続したりすることができるようになっている。
そして、本実施形態のトンネル覆工コンクリートの打設方法では、図1(a),(b)に示すように、分岐管31bが接続された圧入接続口11a,11bに至るまでの、当該圧入接続口11a,11bの下方の覆工空間21に、コンクリート22を流し込むことで供給した後に(図1(a),(b)のドット部参照)、引き続いて当該圧入接続口11a,11bの上方の覆工空間21に、当該圧入接続口11a,11bからコンクリート22を圧入することで供給する(図1(a),(b)の斜線部参照)、コンクリート流し込み圧入工程を含んでおり、下段の圧入接続口11aから上段の圧入接続口11bに、圧送配管31の分岐管31bを接続する接続口11a,11bを切り換えながら、コンクリート流し込み圧入工程を繰り返して、トンネル40の側壁部分40aからアーチ形状部分40bのクラウン部40cに至るまでの覆工空間21に、コンクリート22を打設するようになっている。
すなわち、本実施形態では、トンネル40の側壁部分40aからアーチ形状部分40bのクラウン部40cに至るまでの、天頂部よりも下方のトンネル覆工用型枠10には、コンクリートポンプ30から延設する圧送配管31の分岐管31bを接続させる開閉可能な圧入接続口11a,11bが、上下方向に間隔をおいて複数段(2段)に設けられており、先ず下段に配置された圧入接続口11aに圧送配管31の分岐管31bを接続して、当該圧入接続口11aに至るまでの下方の覆工空間21に、当該圧入接続口11aからコンクリート22を流し込むことで供給する(図1(a)のドット部参照)。下段の圧入接続口11aから流し込んだコンクリート22が、当該圧入接続口11aの高さ位置に至ったら、接続口を切り替えることなく、そのまま続けて下段の圧入接続口11aからコンクリート22を圧入することで、当該圧入接続口11aの上方の覆工空間21に、好ましくは上段の圧入接続口11bとの間の中間部分の高さ位置に至るまで、コンクリート22を供給する(図1(a)の斜線部参照)。これらによって、下段の圧入接続口11aにおける、コンクリート流し込み圧入工程が実施される。
下段の圧入接続口11aにおけるコンクリート流し込み圧入工程によって、下段の圧入接続口11aと上段の圧入接続口11bとの間の中間部分の高さ位置に至るまで、下段の圧入接続口11aからコンクリート22を圧入したら、分岐管31bを接続させる接続口を、下段の圧入接続口11aから上段の圧入接続口11bに切り換えて分岐管31bを接続して、上段の圧入接続口11bにおいて、同様にしてコンクリート流し込み圧入工程を繰り返す。すなわち、上段に配置された圧入接続口11aに接続された圧送配管31の分岐管31bから、当該圧入接続口11bに至るまでの下方の覆工空間21に、当該圧入接続口11bからコンクリート22を流し込むことで供給する(図1(b)の上段のドット部参照)。上段の圧入接続口11bから流し込んだコンクリート22が、当該圧入接続口11bの高さ位置に至ったら、接続口を切り替えることなく、そのまま続けて上段の圧入接続口11bからコンクリート22を圧入することで、当該圧入接続口11bの上方の覆工空間21である、トンネル40のアーチ形状部分40bのクラウン部40cに至るまでの覆工空間21に、コンクリート22を供給する(図1(b)の上段の斜線部参照)。これらによって、上段の圧入接続口11bにおける、コンクリート流し込み圧入工程が実施される。
本実施形態では、最上段の接続口である上段の圧入接続口11bにおいてコンクリート流し込み圧入工程を実施して、トンネル40のアーチ形状部分40bのクラウン部40cに至るまでの覆工空間21に、コンクリート22を供給したら、トンネル40のアーチ形状部分40bの天端部(クラウン部)40cの覆工空間21にコンクリート22を打設して充填する、天頂部充填工程が行われる。天頂部充填工程では、上述のように、トンネル40の延長方向Xに間隔をおいてトンネル覆工用型枠10の天端部に2箇所に設けられたラップ側圧入打設口12a及び中間部圧入打設口12bに、2台のコンクリートポンプ30と接続する2系統の圧送配管31の分岐管31bを各々接続して、これらの圧入打設口12a,12bから、コンクリート22を同時に圧入して注入することにより行なわれる。
また、本実施形態では、トンネル40の天端部40cの覆工空間21において、中間部圧入打設口12bの既設の覆工コンクリート20a側に近接して配置されるじゃま板部材25(図3(a)〜(c)参照)は、好ましくは硬化後の覆工コンクリート20にひび割れ誘発目地を形成するための目地板26を兼ねるようにして設けられている。すなわち、本実施形態では、トンネル覆工用型枠10として、好ましくは例えば18〜22m程度の延長を有するロングスパンのものが用いられており、ロングスパンのトンネル覆工用型枠10を用いた場合に、隣接する施工スパンの境目部分だけでは、コンクリートの乾燥収縮や温度収縮によるひび割れを十分に吸収できなくなって、乾燥収縮や温度収縮によるひび割れが施工スパンの中間部分で生じ易くなる。このため、本実施形態では、施工スパンの中間部分にひび割れを誘発させる誘発目地を形成することを目的として、図4に示すように、複数の目地板26が、外側突出埋設部26aを、トンネル覆工用型枠10の型枠本体14による外周部分の型枠面15から外側の覆工空間21側に突出させて、トンネル覆工用型枠10の内側に引抜き可能な状態で、覆工空間21の周方向に連設配置されて設けられている。
本実施形態では、これらの連設配置された目地板26のうち、トンネル40の天端部40cの覆工空間21に連設される複数の目地板26の外側突出埋設部26aが、一体となって、覆工空間21の周方向に延設すると共に、トンネル覆工用型枠10の天端部から覆工空間21に突出する、中間部圧入打設口12bの既設の覆工コンクリート20a側に近接して配置されるじゃま板部材25として機能することになる。
ここで、じゃま板部材25を形成する目地板26は、好ましくアルミニウム製又はスチール製の、例えば6〜10mm程度の厚さ(本実施形態では、9mm程度の厚さ)の金属ブレートを用いて、図5(a)に示すように、例えば縦幅が300〜600mm程度、横幅が400〜700mm程度(本実施形態では、縦幅が500mm程度、横幅が700mm程度)の大きさの、上辺部及び下辺部が僅かに湾曲する略矩形の正面形状を備えるように形成される。また、目地板26は、トンネル覆工用型枠10の型枠本体14による外周部分の型枠面15を挟んで、これの外側の覆工空間21側に突出して配置される外側略半分の部分の外側突出埋設部26aと、トンネル覆工用型枠10の型枠本体14による外周部分の型枠面15を挟んで、これの内側に突出して配置される内側略半分の部分の内側突出操作部26bとを含んで構成されている。外側突出埋設部26aは、好ましくは高吸水性樹脂を含む摩擦低減材によって被覆されている。
外側突出埋設部26aは、図5(b)に示すように、トンネル覆工用型枠10の型枠本体14に周方向に延設して設けられた挿入スリット15aを介して、覆工空間21に向けて目地板26が挿入された際に、トンネル覆工用型枠10の型枠本体14による外周部分の型枠面15から、例えば250mm程度の突出高さで外側に突出するように配置される。また外側突出埋設部26aは、突出先端部から200mm程度の部分が、先端に向けて厚さを例えば9mm程度から2mm程度に減少させた、テーパー加工部26cとなっており、これによって覆工コンクリート20の硬化後に目地板26をトンネル覆工用型枠10の内側に引き抜く操作を、よりスムーズに行なうことができるようになっている。
内側突出操作部26bは、覆工空間21に打設したコンクリートが硬化するまでの間、目地板26をトンネル覆工用型枠10に固定しておくための仮固定部として機能すると共に、コンクリートが硬化した後に目地板26をトンネル覆工用型枠10の内側に引き抜く際の、持手部として機能する部分であって、下辺部と近接する部分に、持ち手用のハンドル部26dが、両側に突出して一体として設けられている。
型枠本体14による外周部分の型枠面15に、周方向に延設して設けられた挿入スリット15aを介して、覆工空間21に向けて目地板26の外側突出埋設部26aを挿入した状態で、例えばトンネル覆工用型枠10の型枠本体12の内側に溶接等により固着された支持鋼材14dに、ハンドル部26dの背面部分を、破断可能な点付け溶接等により接合することによって、目地板26を、支持鋼材14dに仮接合する。これによって、外側突出埋設部26aを覆工空間21側に突出させた状態で、覆工コンクリート20の周方向に連設配置される複数の目地板26の各々を、トンネル覆工用型枠10に、安定した状態で仮固定しておくことが可能になる。
また、覆工空間21に打設したコンクリート22が硬化した後に、目地板26をトンネル覆工用型枠10の内側に引き抜く際には、破断可能に点付け溶接等がなされたハンドル部26cの背面部分の接合箇所を破断させ、仮固定された状態を開放することによって、目地板26を引き抜く操作を行うことが可能になる。目地板26を引き抜く操作は、好ましくは内側突出操作部26bに設けられたハンドル部26dを把持しながら、容易に行うことができる。
本実施形態では、図3(a)〜(c)に示すように、目地板26によって形成されるじゃま板部材25の既設の覆工コンクリート20a側に近接して、エア抜きパイプ27が配置されている。エア抜きパイプ27は、例えば大栄工機株式会社製の「エアー抜き金具」等として知られる、公知の各種のエア抜き用のパイプ部材を用いることができる。エア抜きパイプ27は、トンネル覆工用型枠10の内側に引き抜き可能に設けることもでき、また、じゃま板部材25の既設の覆工コンクリート20a側に近接する部分に加えて、覆工空間21の天面部分から空気を抜くのに適した、その他の部分にも設けることができる。
また、本実施形態では、上述のように、トンネル40の延長方向Xに間隔をおいて、トンネル覆工用型枠10からトンネル40の天端部40cの覆工空間21に進退可能に突出する伸縮バイブレータ28が、複数箇所に設けられている。伸縮バイブレータ28は、例えば大栄工機株式会社製の「天端伸縮バイブレータ」等として知られる、公知の各種の伸縮バイブレータを用いることができる。天端部40cの覆工空間21に打設されたコンクリート22を伸縮バイブレータ28によって締固めながら、コンクリート22を充填させることにより、より密実で品質の良好な、天端部40cの覆工コンクリート20を得ることが可能になる。
そして、本実施形態では、複数のコンクリート圧入打設口12a,12bである、ラップ側圧入打設口12a及び中間部圧入打設口12bからコンクリート22を同時に打設する際に、各々のコンクリート圧入打設口12a,12bから妻型枠29側に向けて、打設したコンクリート22を流出させると共に(図3(a)参照)、上流側からじゃま板部材26に至ったコンクリート22を当該じゃま板部材26の部分で打ち上げさせて(図3(b)参照)、当該じゃま板部材26に近接する部分でエア抜きパイプ27からエア抜きしながら、天端部40cの覆工空間21にコンクリート22を充填させるようになっている(図3(c)参照)。
すなわち、ラップ側圧入打設口12a及び中間部圧入打設口12bから同時に圧入されて打設されたコンクリート22は、これらの圧入打設口12a,12bの既設の覆工コンクリート20a側に近接して、当該覆工コンクリート20aやじゃま板部材26が存在していることで、既設の覆工コンクリート20a側への流出が阻止されて、各々の圧入打設口12a,12bの付近で打ち上がると共に、各々の圧入打設口12a,12bから妻型枠29側に向けて流出してゆくことになる(図3(a)参照)。各々の圧入打設口12a,12bから妻型枠29側に向けて流出したコンクリートは、さらにコンクリート22が圧入されることで、妻型枠29側のじゃま板部材26や当該妻型枠29に至った後に、それ以上の妻型枠29側への流出が阻止されて、じゃま板部材26や当該妻型枠29に沿って上方に打ち上がることになる(図3(a)、(b)参照)。
コンクリート22が、圧入打設口12a,12bからさらに圧入されると、ラップ側圧入打設口12aから打設されたコンクリート22は、ラップ側圧入打設口12a側の部分から覆工空間21の天面部に至って、じゃま板部材26側に向けて順次覆工空間21に充填されて行くと共に、じゃま板部材26に沿ってさらに打ち上がってゆく(図3(b)参照)。また、中間部圧入打設口12bから打設されたコンクリート22は、じゃま板部材26を乗り越えて、既設の覆工コンクリート20a側にも流出して既設の覆工コンクリート20a側のコンクリート22と合流すると共に、中間部圧入打設口12b側の部分から覆工空間21の天面部に至って、妻型枠29側に向けて順次覆工空間21に充填されて行く(図3(b)参照)。
中間部圧入打設口12bから打設されたコンクリート22が覆工空間21の天面部に至ると、じゃま板部材26よりも覆工コンクリート20a側の部分に残った空気が逃げ場を失って、覆工空間21の天面部に近接する部分に空気溜りが生じ易くなるが、本実施形態では、じゃま板部材26の既設の覆工コンクリート20a側に近接して配置されて、エア抜きパイプ27が、トンネル覆工用型枠10の天端部から覆工空間21の天面部に近接する部分に至る長さで突出して設けられている。これによって、じゃま板部材26よりも覆工コンクリート20a側の部分に残った空気を、エア抜きパイプ27を介してトンネル覆工用型枠10の内側に逃がすことで(図3(b)参照)、じゃま板部材26の付近で覆工空間21の天面部分に空気溜りが生じるのを、効果的に抑制することが可能になる。
また、中間部圧入打設口12bから打設されたコンクリート22が、中間部圧入打設口12b側の部分から順次覆工空間21の天面部に至って、妻型枠29側に向けて覆工空間21に充填されて行く際に(図3(b)参照)、妻型枠29よりもじゃま板部材26側の部分に残った空気は、例えば妻型枠29に形成された隙間等から、覆工空間21の外側に排除することで、空気溜りが生じるのを効果的に抑制することが可能になる。妻型枠29に近接する部分に、エア抜きパイプを、覆工空間21の天面部に近接する部分に至る長さで突出して設けておくことにより、さらに効果的に、妻型枠29よりもじゃま板部材26側の部分に残った空気を、覆工空間21の外側に排除することが可能になる。
そして、本実施形態のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法によれば、上述のように、トンネル40のアーチ形状部分40cの天端部の覆工空間41に、複数のコンクリート圧入打設口12a,12bからコンクリート22を同時に打設する際に、中間部圧入打設口12bの既設の覆工コンクリート20a側に近接して、トンネル覆工用型枠10の天端部から覆工空間21に突出するじゃま板部材25を設けたことで、両側の圧入打設口12a,12bから圧入されたコンクリートが合流して空気溜りが生じ易くなる部分をじゃま板部材25の付近に限定すると共に、じゃま板部材25の既設の覆工コンクリート20a側に近接してエア抜きパイプ27を設けたことで、空気溜りが生じ易くなる合流部分に残った空気をスムーズに排除できるようにすることで、覆工空間21の天面部分に空気溜りが生じるのを効果的に抑制して、図3(c)に示すように、天端部の覆工空間21の全体に隙間なく、コンクリート22を充填させることにより、品質の良好な天端部の覆工コンクリート20を得ることが可能になる。
また、本実施形態では、トンネル40の掘進方向Xに間隔をおいて、伸縮バイブレータ28が、複数箇所に設けられており、天端部の覆工空間21の全体にコンクリート22を充填させた後も、これらの伸縮バイブレータ28を用いて、充填されたコンクリート22を締め固めることができるようになっている。充填後に行なわれるコンクリート22の締固めは、例えば既設の覆工コンクリート20a側からじゃま板部材25側に向けて順番に行なって、締固めが完了した伸縮バイブレータ28を、トンネル覆工用型枠10の内側に順次引き下げるようにすることが好ましい。
さらに、本実施形態では、例えばコンクリート圧入打設口12a,12bからコンクリート22を圧入して、天端部の覆工空間21の全体にコンクリート22を充填させた後も、引き続いてコンクリートポンプ30から圧力を負荷し続けることで、充填されたコンクリート22の加圧状態を維持したまま、天端部の覆工空間21のコンクリート22を締め固めるようにすることが好ましい。これによって、充填されたコンクリート22を伸縮バイブレータ28で締め固めることでコンクリート22の充填高さが下がろうとしても、下がろうとした部分のコンクートを同時に補填することが可能になって、さらに密実性の高い覆工コンクリート21を得ることが可能になる。また、充填されたコンクリート22の加圧状態を維持したまま、伸縮バイブレータ28をエア抜きパイプ27側に向けて順番に稼働させつつ締め固めを行うことにより、残った空気をエア抜きパイプ27の方に誘導して排除させることで、さらに密実な天端部の覆工コンクリート21を得ることが可能になる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、じゃま板部材は、硬化後の覆工コンクリートにひび割れ誘発目地を形成するための目地板を兼ねるものである必要は必ずしも無く、また硬化後の覆工コンクリートから引き抜き可能に設けられている必要は必ずしも無い。トンネル覆工用型枠は、ロングスパンの型枠である必要は必ずしも無く、10.5m程度の長さの一般のトンネル覆工用型枠を用いた場合でも、施工スパンの中間部分にじゃま板部材を設けて、本発明のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法を適用することができる。中間部圧入打設口は、既設の覆工コンクリートと妻型枠との間の中間部分に、間隔をおいて2箇所以上に設けることもでき、各々の中間部圧入打設口に近接して、じゃま板部材を設けることで、本発明のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法を適用することができる。
10 トンネル覆工用型枠
11a,11b 圧入接続口
12a ラップ側圧入打設口(コンクリート圧入打設口)
12b 中間部圧入打設口(コンクリート圧入打設口)
13 門型台車
14 型枠本体
15 型枠面
20 覆工コンクリート
20a 既設の覆工コンクリート
21 覆工空間
22 コンクリート
23 一次覆工
25 じゃま板部材
26 目地板
26a 外側突出埋設部
26b 内側突出操作部
27 エア抜きパイプ
28 伸縮バイブレータ
29 妻型枠
30 コンクリートポンプ(コンクリートポンプ車)
31 圧送配管
31a 主配管
31b 分岐管
40 トンネル
40a 側壁部分
40b アーチ形状部分
40c 天端部(クラウン部)
X トンネルの掘進方向

Claims (7)

  1. トンネル覆工用型枠を用いて覆工コンクリートを形成するトンネル覆工コンクリートの施工方法において、トンネルのアーチ形状部分の天端部の覆工空間にコンクリートを打設する際に用いるトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法であって、
    トンネルの延長方向に間隔をおいて、トンネル覆工用型枠の天端部に複数設けられたコンクリート圧入打設口から、コンクリートを同時に打設して、天端部の覆工コンクリートを形成するようになっており、
    複数のコンクリート圧入打設口は、先行して形成された既設の覆工コンクリートに近接する部分に設けられたラップ側圧入打設口と、既設の覆工コンクリートと妻型枠との間の中間部分に設けられた中間部圧入打設口とを含んでおり、
    トンネル覆工用型枠の天端部から覆工空間に突出するじゃま板部材が、覆工空間の周方向に延設すると共に、前記中間部圧入打設口の既設の覆工コンクリート側に近接して配置されて設けられており、
    前記じゃま板部材の既設の覆工コンクリート側に近接して配置されて、エア抜きパイプが、トンネル覆工用型枠の天端部から覆工空間の天面部に近接する部分に至る長さで突出して設けられており、
    複数の前記コンクリート圧入打設口からコンクリートを同時に打設する際に、各々のコンクリート圧入打設口から妻型枠側に向けて、打設したコンクリートを流出させると共に、上流側から前記じゃま板部材に至ったコンクリートを当該じゃま板部材の部分で打ち上げさせて、当該じゃま板部材に近接する部分で前記エア抜きパイプからエア抜きしながら、天端部の覆工空間にコンクリートを充填させるトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法。
  2. トンネルの延長方向に間隔をおいて、トンネル覆工用型枠から天端部の覆工空間に進退可能に突出する伸縮バイブレータが、複数箇所に設けられており、これらの伸縮バイブレータによって締固めながら、天端部の覆工空間にコンクリートを充填させる請求項1記載のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法。
  3. 打設されたコンクリートの加圧状態を維持したまま、天端部の覆工空間にコンクリートを充填させる請求項1又は2に記載のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法。
  4. 前記じゃま板部材及び前記エア抜きパイプは、トンネル覆工用型枠の内側に引き抜き可能に設けられている請求項1〜3のいずれか1項記載のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法。
  5. 前記じゃま板部材は、硬化後の覆工コンクリートにひび割れ誘発目地を形成するための目地板を兼ねている請求項1〜4のいずれか1項記載のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法。
  6. 前記トンネル覆工用型枠が、10.5m以上の施工延長を有するロングスパンのトンネル覆工用型枠である請求項1〜5のいずれか1項記載のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法。
  7. 前記中間部圧入打設口は、既設の覆工コンクリートと妻型枠との間の中間部分に1箇所に設けられている請求項1〜6のいずれか1項記載のトンネル覆工コンクリートの天端部打設方法。
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